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特表2024-5452743D NAND構造シート用の選択性エッチング液
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  • 特表-3D  NAND構造シート用の選択性エッチング液 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】3D NAND構造シート用の選択性エッチング液
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20241128BHJP
   H01L 21/308 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01L21/306 E
H01L21/308 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536427
(86)(22)【出願日】2023-03-23
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 CN2023083387
(87)【国際公開番号】W WO2024077875
(87)【国際公開日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】202211234631.0
(32)【優先日】2022-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524229543
【氏名又は名称】湖北興福電子材料股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUBEI SINOPHORUS ELECTRONIC MATERIALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.66-3, Xiaoting Avenue, Xiaoting District Yichang, Hubei 443007 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】李 少平
(72)【発明者】
【氏名】賀 兆波
(72)【発明者】
【氏名】馮 帆
(72)【発明者】
【氏名】葉 瑞
(72)【発明者】
【氏名】張 庭
(72)【発明者】
【氏名】班 昌勝
(72)【発明者】
【氏名】馮 凱
(72)【発明者】
【氏名】王 書萍
(72)【発明者】
【氏名】彭 飛
【テーマコード(参考)】
5F043
【Fターム(参考)】
5F043AA35
5F043BB23
5F043DD07
(57)【要約】
本発明は、3D NAND構造シート用の選択性エッチング液を提供する。該エッチング液は、リン酸、シラン添加剤1、シラン添加剤2を含み、残りは水である。本発明のエッチング液は、シリカ膜と窒化ケイ素膜に対してエッチング選択性を有し、窒化ケイ素膜を選択的に除去でき、エッチング液の耐用年数を向上させ、かつ積層構造のエッチングに適応することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量部で、
1.5~2.0%のシラン添加剤1、
2.0~2.5%のシラン添加剤2、
83~86%のリン酸、残りの水、という原料を含むことを特徴とする3D NAND構造シートの選択性エッチング液。
【請求項2】
前記シラン添加剤1は、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3-グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、およびトリエトキシ(3-エポキシプロピルオキシプロピル)シランのいずれか一種である、ことを特徴とする請求項1に記載の3D NAND構造シートの選択性エッチング液。
【請求項3】
前記シラン添加剤2は、2-シアノエチルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、および3-ウレイドプロピルトリエトキシシランのいずれか一種である、ことを特徴とする請求項1に記載の3D NAND構造シートの選択性エッチング液。
【請求項4】
前記エッチング液中のリン酸と水の質量含有比は6~8であり、好ましくは7~7.5である、ことを特徴とする請求項1に記載の3D NAND構造シートの選択性エッチング液。
【請求項5】
前記3D NAND構造シートは、シリカ膜と窒化ケイ素膜との積層構造であり、前記窒化ケイ素膜層の厚さは500~1000Åであり、前記シリカの膜層の厚さは50~500Åであり、前記積層構造の層数は150~250層であることを特徴とする請求項1に記載の3D NAND構造シートの選択性エッチング液。
【請求項6】
シランカップリング剤AとBを室温で均一に混合し、リン酸溶液にともに添加して、エッチング液を得る、ことを特徴とする3D NAND構造シートの選択性エッチング液の調製方法。
【請求項7】
リン酸溶液の温度を80~100°Cに予熱し、シランカップリング剤AとBを均一に混合した後、ともに80~100°Cのリン酸溶液に添加し、次に再度110~120°Cに加熱し、0.5~1時間保温し、室温まで冷却して、エッチング液を得る、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記シランカップリング剤Aの質量含有量は1.5~2.0%であり、
シランカップリング剤Bの質量含有量は2.0~2.5%であり、
リン酸の質量含有量は83~86%であり、ほかは水であり、前記エッチング液におけるリン酸と水の質量含有比は6~8であり、好ましくは7~7.5であり、
前記シラン添加剤1は、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3-グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、およびトリエトキシ(3-エポキシプロピルオキシプロピル)シランのいずれか一種であり、
前記シラン添加剤2は、2-シアノエチルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、および3-ウレイドプロピルトリエトキシシランのいずれか一種である、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記3D NAND構造シートは、シリカ膜と窒化ケイ素膜との積層構造であり、前記窒化ケイ素膜層の厚さは500~1000Åであり、前記シリカの膜層の厚さは50~500Åであり、前記積層構造の層数は150~250層であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
シリカ膜および窒化ケイ素膜の積層構造を、動作温度156~164°Cで、選択性エッチング液中でエッチングする、ことを特徴とする選択性エッチング液による3D NAND構造シートのエッチング方法。
【請求項11】
選択性エッチング液には、
質量含有量1.5~2.0%の前記シランカップリング剤A、
質量含有量2.0~2.5%のシランカップリング剤B、
質量含有量83~86%のリン酸、残りの水、という原料が含まれ、
前記エッチング液におけるリン酸と水の質量含有比は6~8であり、好ましくは7~7.5であり、
前記シラン添加剤1は、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3-グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、およびトリエトキシ(3-エポキシプロピルオキシプロピル)シランのいずれか一種であり、
前記シラン添加剤2は、2-シアノエチルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、および3-ウレイドプロピルトリエトキシシランのいずれか一種であり、
前記3D NAND構造シートは、シリカ膜と窒化ケイ素膜との積層構造であり、前記窒化ケイ素膜層の厚さは500~1000Åであり、前記シリカの膜層の厚さは50~500Åであり、前記積層構造の層数は150~250層である、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記3D NAND構造シートは、シリカ膜と窒化ケイ素膜との積層構造であり、前記窒化ケイ素膜層の厚さは500~1000Åであり、前記シリカの膜層の厚さは50~500Åであり、前記積層構造の層数は150~250層であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記エッチング過程におけるケイ素含有量は0-500ppmであり、
前記エッチング液における追加ケイ素の含有量が0ppmである場合、窒化ケイ素のエッチング速度は2000Å/30minを超え、シリカのエッチング速度は0.8Å/30min未満であり、窒化ケイ素/シリカのエッチング速度の選択比は2500を超え、
前記エッチング液における追加ケイ素の含有量が300ppmである場合、窒化ケイ素のエッチング速度は1800Å/30minを超え、シリカのエッチング速度は0.3Å/30minを超える、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子化学品の分野に属し、具体的にはシリカと窒化ケイ素の選択性エッチング液に関する。
【背景技術】
【0002】
3D NANDは、フラッシュメモリチップの重要なプロセス技術であり、より多くのストレージデータユニットが得られるように、垂直スタッキング技術により、より小さなスペース内でより多くのストレージユニットを構築し、同類のNAND技術の3倍であり、現在の発展の主流傾向でもある。
【0003】
ただし、192層の3D NAND構造をエッチング液でエッチングする過程では、シリカと窒化ケイ素の交互積層の構造であるため、窒化ケイ素をエッチングすると同時に、シリカに対してある程度のエッチングを引き起こす。そのため、エッチング液にはシリカに対する高い選択性が要求されるため、窒化ケイ素をエッチングすると同時に、酸化珪素をわずかにエッチングする。エッチング過程では、溶液中のケイ酸の含有量が増加するにつれて、特定のケイ素含有量に達すると、シリカ層にケイ素の再付着が形成され、同時に、ウェーハの表面の粒度を増やし、最終製品の電気的性能が不適格になり、チップの歩留まりが低下する。
【0004】
上記問題を解決するように、リン酸の中に複合添加剤を添加する必要があり、ケイ素含有量の上昇に伴い、シリカのエッチングを抑制かつ安定化し、シリカの表面の再付着を減らし、同時に窒化ケイ素のエッチングの速度を維持することができる。
【発明の概要】
【0005】
本発明は解決しようとする技術的問題は、ケイ素含有量の上昇に伴い、シリカのエッチングを抑制かつ安定化し、シリカの表面の再付着を減らし、同時に窒化ケイ素のエッチングの速度を維持し、それにNAND構造に適応できる、シリカと窒化ケイ素の選択性エッチング液を提供することである。
【0006】
1つの態様では、本発明は、シリカと窒化ケイ素の選択性エッチング液に関し、前記エッチング液の組成は、1.5~2.0質量%のシラン添加剤1、2.0~2.5質量%のシラン添加剤2、含有量83~86質量%のリン酸、残りの水である。
【0007】
本発明に関する選択性エッチング液は、そのシランカップリング剤1は、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3-グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、およびトリエトキシ(3-エポキシプロピルオキシプロピル)シランのいずれか一種である。
【0008】
シランカップリング剤1の主な機能は、窒化ケイ素とシリカの選択比を調整することであり、その作用機序は、リン酸におけるシランカップリング剤の加水分解であり、ケイ素-オキシ-ケイ素構造の化学結合がシリカの表面に付着することができ、同時に、末端基が大きいほど立体障害効果が大きいため、リン酸と水によるシリカの表面のエッチングを妨げ、こうして、2つの効果の相乗効果がシリカのエッチングを阻害する。
【0009】
本発明に関する選択性エッチング液は、そのシランカップリング剤2は、2-シアノエチルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、および3-ウレイドプロピルトリエトキシシランのいずれか一種である。
【0010】
シランカップリング剤2の主な機能は、ケイ酸がシリカの表面に再付着することを防ぐことであり、炭素-窒素結合の加水分解により、水溶性の強いヒドロキシル基やカルボキシル基などの化学結合を形成するため、シランカップリング剤2はケイ酸に結合して、それがシリカの表面に再付着することを防ぐことができ、シランカップリング剤1はシリカの表面に効果的に付着できるため、ケイ酸と結合した後、シリカの表面に付着しやすくなり、さらに、シランカップリング剤2は、シランカップリング剤1と相互作用して、シリカの表面に付着する能力を低下させることができ、溶液の中のケイ素含有量が高い場合、シリカのエッチングもポジティブエッチングの効果に達することができる。
【0011】
本発明のエッチング液において、リン酸と水の含有量は、シリカおよび窒化ケイ素の初期エッチング速度に大きな影響を与え、即ち、リン酸含有量が高いほど、水分含有量が低くなり、シリカのエッチング速度が速くなる。ただし、リン酸濃度が高すぎると、シランカップリング剤の脱水や炭化を招きやすくなるため、無効になり、かつ、シリカのエッチング速度が素早く上昇し、リン酸濃度が低すぎると、高温エッチング水の安定した含有量のニーズを満たすことができない。
【0012】
本発明に記載のエッチング液中のリン酸と水の質量含有比は6~8であり、好ましくは7~7.5である。
【0013】
前記3D NAND構造シートは、シリカ膜と窒化ケイ素膜との積層構造であり、前記窒化ケイ素膜層の厚さは500~1000Åであり、前記シリカの膜層の厚さは50~500Åであり、前記積層構造の層数は150~250層である。
【0014】
ほかの態様では、本発明は、シランカップリング剤AとBを室温で均一に混合し、リン酸溶液にともに添加して、エッチング液を得る、3D NAND構造シートの選択性エッチング液の調製方法を提供する。
【0015】
リン酸溶液の温度を80~100°Cに予熱し、シランカップリング剤AとBを均一に混合した後、ともに80~100°Cのリン酸溶液に添加し、次に再度110~120°Cに加熱し、0.5~1時間保温し、室温まで冷却して、エッチング液を得る。
【0016】
前記調製過程では、常温条件下で調製が行われる場合、ゲルの塊状現象が容易に実現され、シランカップリング剤AとBを均一に混合した後、室温でリン酸水溶液に添加した後、80~100°C、さらに好ましくは80°C、90°C、100°Cにゆっくりと加熱すると、形成されたゲル塊が完全に消えず、形成された混合液に混合される可能性がある。さらに110~120°Cに上昇させた後、形成されたエッチング液を完全に溶解することが確保され、さらに温度を110°C、または120°Cに上昇させる。
【0017】
前記シランカップリング剤Aの質量含有量は1.5~2.0%である。
【0018】
シランカップリング剤Bの質量含有量は2.0~2.5%である。
【0019】
リン酸の質量含有量は83~86%であり、ほかは水であり、前記エッチング液におけるリン酸と水の質量含有比は6~8であり、好ましくは7~7.5である。
【0020】
前記シラン添加剤1は、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3-グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、およびトリエトキシ(3-エポキシプロピルオキシプロピル)シランのいずれか一種である。
【0021】
前記シラン添加剤2は、2-シアノエチルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、および3-ウレイドプロピルトリエトキシシランのいずれか一種である。
【0022】
前記3D NAND構造シートは、シリカ膜と窒化ケイ素膜との積層構造であり、前記窒化ケイ素膜層の厚さは500~1000Åであり、前記シリカの膜層の厚さは50~500Åであり、前記積層構造の層数は150~250層である。
【0023】
ほかの1つの態様では、本発明は、3D NAND構造シートの選択性エッチング液による3D NAND構造シートのエッチング方法を提供し、それは、シリカ膜および窒化ケイ素膜の積層構造を、動作温度156~164°C、さらに好ましくは160±0.5°Cで、選択性エッチング液中でエッチングすることを特徴とする。本発明のエッチング液は、温度が上昇すると、窒化ケイ素およびシリカのエッチング速度がいずれも増加するが、シリカのエッチング速度は窒化ケイ素よりも大きく増加し、エッチング選択比は減少する。温度が低下すると、選択比は増加するが、シリカが再付着しやすくなる。
【0024】
選択性エッチング液には、以下の原料が含まれる。
【0025】
前記シランカップリング剤Aの質量含有量は1.5~2.0%である。
【0026】
シランカップリング剤Bの質量含有量は2.0~2.5%である。
【0027】
リン酸の質量含有量は83~86%であり、ほかは水であり、前記エッチング液におけるリン酸と水の質量含有比は6~8であり、好ましくは7~7.5である。
【0028】
前記シラン添加剤1は、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3-グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、およびトリエトキシ(3-エポキシプロピルオキシプロピル)シランのいずれか一種である。
【0029】
前記シラン添加剤2は、2-シアノエチルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、および3-ウレイドプロピルトリエトキシシランのいずれか一種である。
【0030】
前記3D NAND構造シートは、シリカ膜と窒化ケイ素膜との積層構造であり、前記窒化ケイ素膜層の厚さは500~1000Åであり、前記シリカの膜層の厚さは50~500Åであり、前記積層構造の層数は150~250層である。
【0031】
前記エッチング過程におけるケイ素含有量は0~500ppmである。
【0032】
前記エッチング液における追加ケイ素の含有量が0ppmである場合、窒化ケイ素のエッチング速度は2000Å/30minを超え、シリカのエッチング速度は0.8Å/30min未満であり、窒化ケイ素/シリカのエッチング速度の選択比は2500を超える。
【0033】
前記エッチング液における追加ケイ素の含有量が300ppmである場合、窒化ケイ素のエッチング速度は1800Å/30minを超え、シリカのエッチング速度は0.3Å/30minを超える。
【0034】
本発明は、選択性エッチング液のエッチング効果を検証するために、シリカと窒化ケイ素をスライスしてエッチング実験を行うものである。
【0035】
本発明は、選択性エッチング液のエッチング効果を検証するために、シリカと窒化ケイ素をスライスしてエッチング実験を行うものを選択するのである。
【0036】
本発明に用いる試薬および原料は、いずれも市販のものを購入することができる。
【0037】
当該技術分野の常識に合致する上で、上述した好ましい条件の組み合わせにより、本発明のより優れたエッチング効果の実例を得ることができる。
【0038】
本発明のメリットは、従来技術と比べて、本発明は、窒化ケイ素およびシリカに選択的であり、シリカのエッチングを抑制すると同時に、高いエッチング耐用年数を有するエッチング液を提供することにある。
【0039】
(1)窒化ケイ素に対する本発明のエッチング液の初期エッチング速度は、2000Å/30minを超え、エッチング選択比は2500を超える。
【0040】
(2)本発明のエッチング液は、良好な水溶性を有する加水分解基を介して溶液のエッチング耐用年数およびケイ素含有量のウィンドウを広げ、主にケイ酸の再付着を防ぐことによってシリカのポジティブエッチング効果を達成し、300ppmのケイ素含有量での窒化ケイ素のエッチング速度は1800Å/30minを超え、シリカのエッチング速度は0.3Å/30minを超える。
【0041】
(3)本発明のエッチング液は、192層の3D NAND構造シートをエッチングすることに用いられ、歯付き構造は明確で完全であり、層間に接着がなく、300ppmのケイ素含有量でのシリカ層に再付着がない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、ケイ素含有量が0ppmの場合における実施例3の3D NAND構造シートのエッチング後のSEM像である。
【0043】
図2図2は、ケイ素含有量が100ppmの場合における実施例3の3D NAND構造シートのエッチング後のSEM像である。
【0044】
図3図3は、ケイ素含有量が200ppmの場合における実施例3の3D NAND構造シートのエッチング後のSEM像である。
【0045】
図4図4は、ケイ素含有量が300ppmの場合における実施例3の3D NAND構造シートのエッチング後のSEM像である。
【0046】
図5図5は、ケイ素含有量が300ppmの場合における比較例1の3D NAND構造シートのエッチング後のSEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
次に、本発明の具体的な実施例とあわせて、本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明し、前記実施例は、本発明の一部の実施例だけであり、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創作的労力を払わずに得られる他のすべての実施例は、本発明の保護範囲に属する。
【0048】
1、エッチング液の調製
【0049】
室温で、シランカップリング剤1と2を均一に混合し、80°Cで、濃度が約86.5%のリン酸水溶液にともに添加し、シランカップリング剤をリン酸に完全に溶解させた後、120°Cに加熱して1h保温し、最後に室温まで冷却すれば済む。
【0050】
2、エッチング実験
【0051】
2.1エッチング速度の検出方法
【0052】
ウェーハのエッチング:シリカ膜と窒化ケイ素膜、ケイ素半導体ウェーハにおける2つの膜材料の堆積厚さはそれぞれ300Åと1000Åであり、実験を行う時に1.5cm*3cmのストリップ状にスライスする。
【0053】
エッチング温度:160±0.5℃。
【0054】
エッチング時間:シリカ膜は3600sエッチングし、窒化ケイ素膜は300sエッチングする。
【0055】
エッチング速度の計算方法:エリプソメトリーを用いて、エッチング前後のシリカ膜と窒化ケイ素膜の膜厚を検出し、初期膜厚とエッチング後の膜厚の差をエッチング時間、すなわちエッチング速度で除算する。エッチング選択比は、窒化ケイ素エッチング速度(SiN E/R)とシリカエッチング速度(SiO E/R)の比である。
【0056】
2.2エッチング耐用年数の検出方法
【0057】
窒化ケイ素層のエッチングにより、エッチング液中のケイ素含有量が次第に高められ、シリカおよび窒化ケイ素のエッチングが抑制される。エッチング液の初期ケイ素含有量は0ppmであり、窒化ケイ素をその中に溶解して、ケイ素含有量が100ppm、200ppm、300ppmのエッチング液を調製し、かつエッチング液の耐用年数を特徴付けるように、シリカと窒化ケイ素のエッチング速度および選択比をそれぞれ試験する。
【0058】
2.3積層構造のエッチング試験
【0059】
エッチング実験:ケイ素含有量が0ppm、100ppm、200ppm、300ppmのエッチング液で3D NAND構造シートをそれぞれエッチングし、エッチング条件は速度検出と同じとし、エッチング時間は20minとする。
【0060】
検出方法:3D NAND構造シートの断面の高解像度SEM画像を撮ることによって、エッチング効果と再付着の状況を分析する。
【0061】
実施例1~11および比較例1~7は表1に示され、ここで、リン酸及びシランカップリング剤の含有量は質量パーセントで表し、残部は水である。
【0062】
[表1]
【0063】
初期ケイ素含有量が0ppmとされた場合、シリカ膜と窒化ケイ素膜に対する実施例1~11および比較例1~7におけるエッチング液のエッチング速度と選択比は表2に示される。
【0064】
[表2]
【0065】
実施例11の実験では、沸点が低く、沸騰条件が不安定で、かつ加熱時間が長く、同時に水分の一部が蒸発し、実験条件が安定する状況に達せず、実施例10の初期選択比は対応する要件に達せず、さらに好ましくは、実施例1の比率にして、実験全体は、主に実施例1の比率を中心として行う。
【0066】
ケイ素含有量が100ppmとされた場合、シリカ膜と窒化ケイ素膜に対する実施例1~9および比較例1~7におけるエッチング液のエッチング速度と選択比は表3に示される。
【0067】
[表3]
【0068】
ケイ素含有量が200ppmとされた場合、シリカ膜と窒化ケイ素膜に対する実施例1~9および比較例1~7におけるエッチング液のエッチング速度と選択比は表4に示される。
【0069】
[表4]
【0070】
注:負数は、ケイ素含有量が高い場合のシリカ膜が厚くなる速度を示す。
【0071】
ケイ素含有量が300ppmとされた場合、シリカ膜と窒化ケイ素膜に対する実施例1~9および比較例1~7におけるエッチング液のエッチング速度と選択比は表4に示される。
【0072】
[表5]
【0073】
以上の実験データから、比較例1~3におけるシランカップリング剤1は初期選択比が高いことが分かるが、ケイ素含有量の持続的な増加に伴い、そのシリカのエッチング速度は素早く低下し、かつケイ素含有量が300ppmに達すると、再付着現象が発生し、比較例4~6におけるシランカップリング剤2は良好な初期選択比がないが、ケイ素含有量が持続的に増加するとともに、ポジティブエッチングが維持され、実施例1~9は、2つのシランカップリング剤のメリットを組み合わせることにより、ケイ素含有量が0~300ppmの場合、シリカのエッチング速度は0.3~0.8Å/30minに維持され、窒化ケイ素のエッチング速度度は1800~2100Å/30minに維持され、再付着現象は発生しない。実施例10、11は、リン酸と水の質量分率比が調整された場合であり、リン酸と水の質量含有比が7未満である場合、実施例11において、エッチング過程における溶液沸騰状況が安定しない現象が生じ、実際の作製によくなく、リン酸と水の質量含有比が8より大きい場合、実施例10におけるシリカのエッチング速度が速すぎると、選択比が本特許の要件を満たすことができないため、好ましくは7~7.5の比率にして、エッチング結果を安定させることができる。
【0074】
構造シートのSEM画像から、実施例3において、ケイ素含有量300ppmの場合、エッチング後の192層の3D NAND構造シートは、接着のない透明な歯付き構造として現れ、かつ、シリカ層に再付着減少がなく、純粋なリン酸エッチングの結果と比べて、明らかに改善されることが分かる。また、他の実施例は、いずれも0~300ppmの場合に構造シートに対して同様のエッチング効果を達成することができる。実施例1、2、3~9の図面は、実施例3の図面と似ている。比較例1~3は、300ppmの場合の図面は、比較例1の図面と似ている。
【0075】
以上、本発明のシリカ及び窒化ケイ素の選択性エッチング液について詳細に説明したが、以上の内容は、本発明の具体的実施例に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するためのものではなく、本発明に基づいて、それにいくつかの修正または改良を加えることができることは、当業者にとっては明らかである。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの修正や改良は、すべて本発明が主張する保護の範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】