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特表2024-5452782,4,6-トリヨードイソフタル酸ビスアミドの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】2,4,6-トリヨードイソフタル酸ビスアミドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 231/02 20060101AFI20241128BHJP
   C07C 237/32 20060101ALI20241128BHJP
   C07C 231/12 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C07C231/02
C07C237/32
C07C231/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537036
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2022086082
(87)【国際公開番号】W WO2023117667
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】21215850.5
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504448162
【氏名又は名称】ブラッコ・イメージング・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】BRACCO IMAGING S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ラットゥアーダ,ルチアーノ
(72)【発明者】
【氏名】ベヴェリーナ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】サッシ,マウロ
(72)【発明者】
【氏名】マッティエッロ,サーラ
(72)【発明者】
【氏名】パパーニ,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ズッキ,アニータ
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB84
4H006AC53
4H006BB15
4H006BB31
4H006BC10
4H006BC31
4H006BC33
4H006BC35
4H006BJ50
4H006BM74
4H006BN10
4H006BV72
(57)【要約】
本発明は、非イオン性X線造影剤の製造において有用な中間体である2,4,6-トリヨードイソフタル酸ビスアミド誘導体を製造する新規な方法に関し、対応するアシルクロリド中間体を出発物質とし、少量の水の存在下、特定の親水性溶媒の混合物中でアミド化する。さらに、本発明は、非イオン性X線造影剤を製造するための、前記2,4,6-トリヨードイソフタル酸ビスアミド中間体の製造におけるこのような親水性溶媒の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
[式中、
Rは、水素、場合により-OCOCHで置換された直鎖状または分岐鎖状のC-Cアルキル-カルボニル、および2-(プロパン-2-イル)-1,3-ジオキサン-5-カルボニルから選択され;
は、各々独立して、水素またはメチルであり;および
は、各々独立して、-CH(CHOH)または-CHCH(OH)CHOHである]
で示される2,4,6-トリヨードイソフタル酸ビスアミドの製造方法であって、以下の工程:
a)式(II)
【化2】

[式中、Rは上記で定義した通りである]
で示される、置換された2,4,6-トリヨード-1,3-ベンゼンジカルボン酸ジクロリドを、
式(III):
【化3】
[式中、RおよびRは上記で定義した通りである]
で示されるアミンと反応させる工程
を含み、工程a)の反応が、0.1%~15%v/vの量の水の存在下、親水性エーテルおよびグリコールから選択される溶媒を含む混合物中で行われ、式(III)のアミンと式(II)のアシルクロリドとの間のモル比が3:1~7:1であることを特徴とする、製造方法。
【請求項2】
溶媒が、式(IV):
【化4】
[式中、
は、直鎖状または分岐鎖状のC-Cアルキルであり;
は、場合により少なくとも1つの酸素原子で中断されている、直鎖状または分岐鎖状のC-C10アルキルである]
で示される化合物である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
Rが、水素または以下
【化5】

から選択される基である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
RがCHCO-(i)である、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
式(IV)の化合物が、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-プロポキシ-2-プロパノール、1-ブトキシ-2-プロパノール、3-メトキシ-1-ブタノール、プロピレングリコールブチルエーテル、ジ(プロピレングリコール)ブチルエーテル、ジ(プロピレングリコール)プロピルエーテル、1,3-ジエトキシ-2-プロパノールおよび1-メトキシ-3-ブトキシ-2-プロパノールから選択される溶媒である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項6】
式(IV)の化合物が1-メトキシ-2-プロパノールである、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
工程a)の混合物中の水の量が5%~15%v/vである、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項8】
工程a)の混合物が、1-メトキシ-2-プロパノールおよび0.1%~2%v/vの量の水を含む、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項9】
式(III)のアミンが、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオールおよび3-(メチルアミノ)プロパン-1,2-ジオールから選択されるアミノアルコールである、請求項1~8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
工程a)が、10℃~20℃の温度で実施される、請求項1~9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
工程a)が、15℃~18℃の温度で実施される、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
式(II)の化合物の濃度が0.25M~0.75Mである、請求項1~11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
式(III)のアミンと式(II)のアシルクロライドとの間のモル比が、4:1~6:1である、請求項1~12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
以下の工程:
b)式(I)の化合物を加水分解し、および/または保護基を除去して、式(I’):
【化6】

[式中、
およびRは、上記で定義されるとおりであり、
R’は、場合により1以上の-OHによって置換された、直鎖状または分岐鎖状のC-Cアルキル-カルボニルから選択される]
で示される対応する化合物を得る工程;および/または
c)式(I)または式(I’)の化合物をアルキル化またはアミド化して、式(I’’):
【化7】

[式中、
、RおよびR’は上記で定義した通りであり、
R’’は、場合により1以上の-OHおよび/または-OCHによって置換された、直鎖状または分岐鎖状のC-CアルキルまたはC-Cアルキル-カルボニルである]
で示される化合物を得る工程
をさらに含む、請求項1~13のいずれかに記載の製造方法。
【請求項15】
請求項1に定義される式(I)の化合物の製造における、親水性溶媒としての、請求項2に定義される式(IV)の溶媒と0.1%~15%v/vの量の水とを含む混合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非イオン性X線造影剤の調製において有用な中間体である、2,4,6-トリヨードイソフタル酸ビスアミド誘導体の新規な製造方法に関する。より具体的には、本発明は、少量の水の存在下、特定の親水性溶媒の混合物中で行われる、対応するアシルジクロリド中間体のアミド化反応に関するものである。さらに、本発明は、非イオン性X線造影剤の製造のための、前記2,4,6-トリヨードイソフタル酸ビスアミド中間体の製造におけるそのような親水性溶媒の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、1位と3位に2つのアミノカルボニル部分を有する2,4,6-トリヨード-フェニル骨格(イソフタル酸誘導体)の存在によって特徴づけられる、例えばイオパミドール、イオヘキソール、イオペントール、イオジキサノール、イオバーソール、イオメプロールおよびイオビトリドール等の非イオン性X線造影剤(Lusic, H. et al, Chem. Rev. 2013, 113, 1641-1666)の合成に有用な中間体の製造に関する。
【0003】
これらの化合物の製造に現在使用されている工業的プロセスは、その合成において対応するアシルクロリド中間体のアミド化反応を含んでなる。通常、アシルジクロリドとアミンの反応によって達成されるアミド結合の形成は、このような化合物を製造するための合成プロセスにおいて最も重要な工程の一つである。実際、このようなアミド化プロセスは、(側鎖を形成する)水溶性アミンと(トリヨード化コアを含んでなる)水に不溶性の基質との反応を伴うため、反応に適した溶媒の選択が難しい。
【0004】
一般的に、DMACやDMFのような双極性の非プロトン性溶媒は、親油性のアリール中間体と親水性のヒドロキシアルキルアミンの両方を可溶化できるため、反応性や溶解性の問題を克服するためにこのような変換に使用される。
【0005】
しかし、このような溶媒は生殖毒性があるという欠点があり、「化学物質の登録、評価、認可および制限に関する法律」(REACH)の下では、特に工業生産で大量に使用される場合において、高懸念物質(Substances of Very High Concern)に指定されている。N-メチルピロリドン(NMP)やN-エチルピロリドン(NEP)のような他の非プロトン性双極性溶媒は、これらの反応において試されており良好な結果が得られているが、これらは生殖毒性もあるため、この安全性の問題を解決するには適していない。さらに、これらは沸点が非常に高く、反応終了時に除去したり、原薬から除去することが困難である。
【0006】
規制当局は、製薬業界において環境に優しい溶媒系の使用をより頻繁に呼びかけている。例えば、アルコールのような毒性の低い溶媒の使用はすでに説明されており、上記の変換に効率的であることが証明されている。
【0007】
望ましくない極性非プロトン性溶媒の代替に向けた1つのアプローチは、例えば、Shi M.ら、Org. Process Res. Dev 2020, 24: 1543-1548に記載されているように、水性ミセル化技術の使用に関するものである。この文献は、DIPEAのような塩基の存在下、DL-α-トコフェロールメトキシポリエチレングリコールサクシネート(TPGS-750-M)の2wt%水溶液中で行われるアシルクロリドとアミンの反応を開示している。TPGS-750-Mは、両親媒性の性質を有する既知の界面活性剤であり、ミセル効果、パートナーの本質的な溶解性、バルク水とミセルによって形成された親油性層との間の非常に動的な交換を利用して、非均質系、例えば懸濁液やエマルション中で反応を進行させることができる。
【0008】
しかしながら、ミセル化によるアプローチは、例えば、反応終了時に界面活性剤の除去が難しいなどのいくつかの制限があり、例えば、イオパミドールや他の非イオン性X線造影剤のような水に非常に溶けやすい物質では特にそうである。
【0009】
他の文献には、種々の水溶性溶媒の使用が開示されている。例えば、特許EP1075462には、対応するアシルジクロリドを出発物質とする2,4,6-トリヨード-1,3-ベンゼンカルボキサミドの調製法が開示されており、このような反応に通常使用される溶媒であるDMACは、低級アルコール、モノアルキルエーテルグリコールや、環状、直鎖状または分岐鎖状のアルキルエーテルから選択される溶媒に置き換えられている。例えば、実施例6および7にはイオパミドールの調製が記載されており、塩化物と溶媒との競合的エステル化を抑制するために必要な極めて大過剰のセリノールの存在下でのみ、対応するビスアミド中間体を形成するために2-メトキシエタノールまたは3-エトキシエタノール溶媒が使用されている。
【0010】
特許出願CN104098484は、2,4,6-トリヨード-1,3-ベンゼンジカルボン酸またはアシルクロリドもしくはカルボキシレート中間体と、保護されたセリノールとのアミド化反応(工程c)を、低級アルコール、好ましくはtert-ブタノールおよびsec-ブタノール、グリコールモノアルキルエーテル、好ましくは2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、および環状、直鎖状または分岐鎖状アルキルエーテル、好ましくは1,4-ジオキサン、ジグライムおよびメチルtert-ブチルエーテルから選択される溶媒を用いて、アルカリ性条件下で行うことができることを開示している。しかし、このような溶媒を用いた反応の例は示されておらず、例示されているアミド化はすべて通常のDMAC中で行われている。
【0011】
このような方法の欠点は、2-メトキシエタノールや2-エトキシエタノールのような溶媒でさえ、DMACと同様の毒性プロファイルを特徴とすることであり、環境に優しい代替案とは言えず、上記の問題を解決できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、より安全で経済的、かつ容易に入手可能な代替溶媒を使用し、良好な生産性で工業的規模に適用可能な、2,4,6-トリヨード-1,3-ベンゼンジカルボン酸ジクロリドのビスアミド化の改良された製造法が必要とされている。
【0013】
上記の変換が、低い割合の水の存在下で、親水性溶媒のあるサブグループから選択される溶媒中で容易かつ効率的に実施できることが見出された。
【0014】
ハイドロトロープは、両親媒性構造を有する水溶性化合物の一種で、ミセル化による可溶化以外の方法で、疎水性物質の水への溶解度を高めることができる。一般に、ハイドロトロープは、(界面活性剤のように)親水性部分と疎水性部分から構成されているが、後者は一般に小さすぎて、自発的な自己凝集やミセルの形成を引き起こさない(Subbarao C.V. et al, Chem. Eng. Technol. 2012, 35:225-237; Dhapte V. et al, St. Petersburg Polytechnical University Journal: Physics and Mathematics 2015, 1: 424-435)。
【0015】
このような化合物の一種は、例えばアルキレングリコールのモノエーテルに代表され、アルキル鎖の長さにより、共溶媒、ハイドロトロープ、または界面活性剤として作用することができる。
【0016】
今回、驚くべきことに、いくつかの親水性エーテルまたはグリコールが、低量の水の存在下で、無機塩基を添加する必要なく、本発明の反応を実施するための有用で安全な溶媒として作用することが見出された。さらに、本発明の製造方法は、このような群のエーテルまたはグリコールを使用することにより、DMACの存在に関連する前述の問題を効果的に克服することができると同時に、最終生成物を驚くべき効率で提供することができる。
【0017】
実際、上記の合成手順とは異なり、本発明の製造方法は、患者に対する副作用や毒性のリスクを最小限に抑えるために、より安全性に優れ、より容易に除去可能な化学物質を使用することにより、良好な収率で2,4,6-トリヨードイソフタル酸ビスアミド中間体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の概要
第一の態様において、本発明の目的は、対応する2,4,6-トリヨードアシルクロリド中間体を、低量の水の存在下、親水性エーテルまたはグリコールの存在下、適切なアミノアルコールと反応させることによる、2,4,6-トリヨードイソフタル酸ビスアミド化合物の製造方法を提供することである。このような化合物は、非イオン性X線造影剤の合成において有用な中間体であり、本発明に従って、特に安全で選択的な高収率の手順を提供する工業的規模の製造に適した新しい方法で調製される。
【0019】
驚くべきことに、このような反応は、親水性の挙動を示すエーテルまたはグリコール誘導体の群を含んでなる混合物中、0.1%~15%v/vの範囲の水の存在下で容易に実施できることが見出された。
【0020】
実際、あらゆる割合で水と混和性であり、両親媒性構造を有するこれらの特定の溶媒は、ミセル化における処理上の問題が生じることなく、水性媒体中の疎水性基質の溶解度を高めることができる。
【0021】
0.1%~15%v/vの範囲の量の水は、試薬の可溶化を助けるのに十分で周囲温度に近い温度のような温和な条件での作業を可能にし、起こりうる加水分解の問題や望ましくない副生成物の形成を回避するのに十分に低いことが分かっている。場合によっては、本発明の製造方法は、0.1%v/vのような低量の水の存在下、あるいは水の不存在下でも容易に実施することができる。3%より低い量は、結晶水または水和水のような試薬瓶内に既に存在する水として表され得るので、反応器に別途水を溶媒として加える必要はない。このような場合、親水性エーテルまたはグリコールは、さらに水を加えることなく試薬を溶解すると考えることができる。
【0022】
上記の親水性溶媒は生殖毒性がないため、これらの溶媒のいずれかと低い割合の水との混合物の使用は、本発明の反応を行うためのDMACのような双極性非プロトン性溶媒の使用に関して極めて安全である。
【0023】
さらに、これらの溶媒は比較的沸点が低く、特に、双極性非プロトン性溶媒よりもはるかに揮発性が高く、沸点で安定であるため、直接蒸発(例えば蒸留)させることによって反応混合物から容易に除去することができる。
【0024】
これにより、有利なことに、本発明の製造方法は、より簡便で、安価で、そして環境に優しい方法となり、有害な溶媒の代替が可能で、対応する2,4,6-トリヨードイソフタル酸ビスアミド誘導体の収率を少なくとも70%にすることが可能である。
【0025】
さらに、本発明は、非イオン性X線造影剤の合成に有用な2,4,6-トリヨードイソフタル酸ビスアミド誘導体の製造における、0.1%~15%v/vの量の水の存在下での、このような親水性エーテルおよびグリコールの混合物の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
第1の態様によれば、本発明は、式(I)
【化1】

[式中、
Rは、水素、場合により-OCOCHで置換された、直鎖状または分岐鎖状のC-Cアルキル-カルボニル、および2-(プロパン-2-イル)-1,3-ジオキサン-5-カルボニルから選択され;
は、各々独立して、水素またはメチルであり;および
は、各々独立して、-CH(CHOH)または-CHCH(OH)CHOHである]
で示される2,4,6-トリヨードイソフタル酸ビスアミドの製造方法であって、以下の工程:
a)式(II)
【化2】

[式中、、Rは上記で定義した通りである]
で示される、置換された2,4,6-トリヨード-1,3-ベンゼンジカルボン酸ジクロリドを、
式(III):
【化3】
[式中、RおよびRは上記で定義した通りである]
で示されるアミンと反応させる工程
を含み、工程a)の反応が、0.1%~15%v/vの量の水の存在下、親水性エーテルおよびグリコールから選択される溶媒を含む混合物中で行われ、式(III)のアミンと式(II)のアシルクロリドとの間のモル比が3:1~7:1であることを特徴とする、製造方法に関する。
【0027】
好ましい実施形態において、工程a)における前記溶媒は、式(IV):
【化4】
[式中、
は、直鎖状または分岐鎖状のC-Cアルキルであり;
は、場合により少なくとも1つの酸素原子で中断されている、直鎖状または分岐鎖状のC-C10アルキルである]
で示される化合物である。
【0028】
本発明の別の好ましい実施形態において、式(I)の化合物の定義において、Rは、水素または以下
【化5】

[式中、
【化6】

は結合位置を表す]
から選択される基を表す。
より好ましい実施態様において、式(I)の化合物の定義において、Rは、上記で定義した基CHCO-(i)を表す。
【0029】
本発明の別の実施形態において、式(III)のアミンは、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオールおよび3-(メチルアミノ)プロパン-1,2-ジオールから選択されるアミノアルコールである。
【0030】
別の実施形態によれば、本発明は、以下の工程:
b)式(I)の化合物を加水分解し、および/または保護基を除去して、式(I’):
【化7】

[式中、
およびRは、上記で定義されるとおりであり、
R’は、場合により1以上の-OHによって置換された、直鎖状または分岐鎖状のC-Cアルキル-カルボニルから選択される]
で示される対応する化合物を得る工程;および/または
c)式(I)または式(I’)の化合物をアルキル化またはアミド化して、式(I’’):
【化8】

[式中、
、RおよびR’は上記で定義した通りであり、
R’’は、場合により1以上の-OHおよび/または-OCHによって置換された、直鎖状または分岐鎖状のC-CアルキルまたはC-Cアルキル-カルボニルである]
で示される化合物を得る工程
をさらに含む、上記で定義される製造方法に関する。
【0031】
別の実施形態において、2当量の式(I)の化合物をアルキル化剤と反応させて、式(I’’’)
【化9】

[式中、
、RおよびR’は上記で定義した通りであり;
は、場合により1以上の-OHで置換された、直鎖状または分岐鎖状のC-Cアルキレン基である]
で示される二量体化合物を得ることができる。
【0032】
必要に応じて、式(I)、(I’)および/または(I’’)の化合物は、例えば逆相クロマトグラフィーまたはイオン交換樹脂、例えば強酸性Amberlite(登録商標)樹脂を通過させることにより精製することができる。
【0033】
本発明の化合物を製造するために上述した全ての工程は、必要であれば、そして所望であれば、例えば、蒸発、濾過、溶媒抽出、蒸留、クロマトグラフィー、結晶化、または当業者に公知の方法に従う他の操作で終了することができる。
【0034】
本発明の文脈において、「親水性エーテルまたはグリコール」という表現は、特に、ヒドロキシ-アルキルエーテルまたはアルキレングリコールヒドロキシ-アルキルエーテルのクラスに属する高極性溶媒を指し、高い揮発性を特徴とし、溶解度が低いか、水またはそれらを含む組成物の水相に不溶性である疎水性有機分子の溶解度を増加させることができる。このような溶媒は、あらゆる割合で水と混和性であり、透明で均質な溶液の形成を促進することができる。場合によっては、特に油相を形成する親油性化合物の存在下では、最終的にコロイド分散系を提供することができる。
【0035】
用語「C-Cアルキル」または「C-C10アルキル」は、それぞれ1~6個または3~10個の炭素原子を含む飽和炭化水素基を指し、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。好ましくは、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチルおよびイソヘプチルから選択される。
【0036】
用語「C-Cアルキル-カルボニル」は、1~6個の炭素原子を含む直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基で置換されたカルボニル基を指す。好ましくは、メチル-カルボニル(アセチル)基が使用される。
【0037】
「水の割合が低い」という表現は、親水性溶媒の量に対して15%v/v以下の水の量を意味する。例えば、水の量は、親水性(無水ではない)溶媒中に少量の水が結晶水として既に含まれていることも考慮して、0.1%~15%v/vの間であり得る。このような場合、反応器にさらなる水を添加することなく、水をさらに添加することなく本製造方法を実質的に進行させることができる。
【0038】
本発明はまた、本発明の化合物、好ましくは式(I)の化合物の、立体異性体、水和物、溶媒和物、有機または無機の塩を包含する。それらの互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびエピマー形態も包含される。
【0039】
一実施形態において、本発明は、0.1%~15%v/vの量の水の存在下、上記で定義された製造方法に従う式(I)の化合物の製造における、親水性溶媒としての、上記で定義された一般式(IV)の溶媒を含む混合物の使用に関する。
【0040】
好ましい実施形態において、式(IV)の化合物は、1-メトキシ-2-プロパノール(PGME)、1-エトキシ-2-プロパノール(PGEE)、1-プロポキシ-2-プロパノール(PGPE)、1-ブトキシ-2-プロパノール(PnB)、3-メトキシ-1-ブタノール(MeBuOH)、プロピレングリコールブチルエーテル(PGBE)、ジ(プロピレングリコール)ブチルエーテル(DPnB)、ジ(プロピレングリコール)プロピルエーテル(DPnP)、1,3-ジエトキシ-2-プロパノールおよび1-メトキシ-3-ブトキシ-2-プロパノールから選択される溶媒である。
【0041】
より好ましくは、式(IV)の化合物は、1-メトキシ-2-プロパノール(PGME)、1-エトキシ-2-プロパノール(PGEE)、1-プロポキシ-2-プロパノール(PGPE)およびプロピレングリコールブチルエーテル(PGBE)から選択される。さらにより好ましくは、式(IV)の化合物は、1-メトキシ-2-プロパノール(PGME)である。
【0042】
上記の親水性溶媒は生殖毒性がないため、上記で定義したように、式(IV)の溶媒と低い割合の水との混合物の使用は、本発明の反応を行うための、DMACのような双極性非プロトン性溶媒の使用に関して極めて安全である。
【0043】
好ましくは、水の量は5%~15%v/vである。より好ましくは、5%~10%v/vである。
【0044】
本発明の別の実施形態では、水の量は0.1%~2%v/vである。いくつかの実施形態において、そのような量の水は、親水性溶媒に既に含まれる結晶化水または水和水によって表され得る。
【0045】
好ましくは、本発明の反応は、1-メトキシ-2-プロパノールと、0.1%~2%v/v、さらに好ましくは0.1%~0.5%v/vの量の水とを含んでなる混合物中で実施され、1-メトキシ-2-プロパノール中での反応が、混合物にさらに水を加えることなく実質的に実施できると考えられる。
【0046】
実際、驚くべきことに、低い割合(15%v/v以下)の水の存在は、式(III)のアミンの可溶化に有用であり、反応を促進し、反応媒体の均質性を維持しながら、その粘度を低下させることを可能にすることが見出された。逆に、水の量が15%v/vより高い場合では、そのような利点は、例えば加水分解副反応で形成されるいくつかの望ましくない副生成物の形成によって打ち消される。
【0047】
別の好ましい実施態様において、工程a)の反応は、20℃以下の温度で行われる。実際、例えば外部浴による温度制御は、特に第一級アルコールが使用される場合、式(II)の化合物と式(IV)の溶媒との競合的エステル化に関連する可能性のある副反応を回避するため、および化合物の熱分解を防止するために有益であることが見出された。
【0048】
本発明のさらなる態様は、非イオン性X線造影剤の製造のための、上記のとおり得られる式(I)の化合物の使用に関する。
【0049】
本発明の好ましい実施形態は、それぞれ、式(IIa)または(IIb):
【化10】

で示される化合物を、2-アミノ-1,3-プロパンジオールと反応させることによる
式(Ia)または(Ib):
【化11】

で示される化合物の製造方法であって、該反応が、上記で定義した式(IV)の化合物と0.1%~15%v/vの量の水との混合物中で行われる、製造方法に関する。
【0050】
より好ましい実施形態では、前記反応は、0.1%~15%v/vの量の水の存在下、1-メトキシ-2-プロパノールの混合物中で行われる。より好ましくは、水の量は0.1%~2%v/vである。
【0051】
本発明はまた、
b)式(Ia)の化合物を加水分解し、または
c)式(Ib)の化合物をアミド化して、
式(V):
【化12】

で示される化合物(イオパミドール)を得る工程
をさらに含む上記の製造方法を提供する。
【0052】
工程b)は、例えばGB1472050に記載されているように、化合物(Ia)のアセチル基を除去することによって都合よく実施することができる。工程c)は、例えばWO2015/067601に記載されているように、化合物(Ib)のアミノ基をアミド化することによって実施することができる。
【0053】
本発明の別の実施形態は、式(IIc):
【化13】

で示される化合物を、3-アミノ-1,2-プロパンジオールと反応させることによる、式(Ic):
【化14】

で示される化合物の製造方法であって、該反応が、上記で定義した式(IV)の化合物と0.1%~15%v/vの量の水との混合物中で行われる、製造方法に関する。
【0054】
別の実施態様において、本発明はまた、化合物(Ic)のアセチルアミノ基をアルキル化して、例えば式(VI)(イオヘキソール)、(VII)(イオジキサノール)または(VIII)(イオペントール):
【化15】

で示される化合物を得る工程をさらに含む、上記の製造方法を提供する。
そのようなアルキル化工程は、例えば、US5,705,692A、ACS Omega 2018, 3, 7344-7349およびOrg. Process Res & Dev 2001, 5, 472-478に記載されているように実施することができる。
【0055】
本発明のさらなる実施形態は、式(IId):
【化16】

で示される化合物を、3-アミノ-1,2-プロパンジオールと反応させることによる、式(Id):
【化17】

で示される中間体の製造方法であって、該反応が、上記で定義した式(IV)の化合物と0.1%~15%v/vの量の水との混合物中で行われる、製造方法に関する。
【0056】
別の実施態様において、本発明は、(Id)のカルボニルアミノ基をアルキル化し、アセチル保護基を除去する工程をさらに含む、例えば、式(IX)(イオベルソール)または(X)(イオメプロール):
【化18】

で示される化合物を得る、上記で定義した製造方法を提供する。
このような反応は、例えばUS4,396,598AおよびUS4,352,788Aにそれぞれ記載されているように実施することができる。
【0057】
本発明のさらなる実施形態は、式(IIe):
【化19】

で示される化合物を、3-(メチルアミノ)プロパン-1,2-ジオールと反応させることによる、式(Ie):
【化20】

で示される中間体の製造方法であって、該反応が、上記で定義した式(IV)の化合物と、0.1%~15%v/vの量の水との混合物中で行われる、製造方法に関する。
【0058】
別の実施形態において、本発明は、化合物(Ie)から保護基を除去して、式(XI):
【化21】

で示される化合物(イオビトリドール)を得る工程をさらに含む、上記で定義した製造方法を提供する。
この工程は、例えばUS5,043,152Aに記載されているように実施することができる。
【0059】
本発明によれば、工程a)のアミド化反応は、メカニカルスターラーを備え、例えば冷却浴またはジャケット付き反応器を用いて所定の温度下に好ましく維持した、フラスコまたは反応器で実施することができる。例えば、反応は20℃以下、好ましくは10℃~20℃、さらにより好ましくは15℃~18℃の温度で実施することができる。実際、驚くべきことに、セリノールの溶解度がある程度低下し得るものの、上記の範囲の温度で、反応物の最終的な熱分解(例えば、溶媒による式(II)のアシルクロリドのエステル化)およびアミド化反応の発熱による不純物の形成を抑制することが可能であることが見出された。この場合、0.1%v/v~15%v/vの割合の水の存在は、20℃以下の温度で反応混合物中にセリノールを可溶化するのに有用であることもわかった。
【0060】
反応媒体中の出発物質および試薬の溶解度に応じて、混合物の均一性および透明性を促進するために、成分の添加順序を種々の方法で調節することができる。一般に、式(II)の化合物は、化合物(IV)と0.1~15%v/vの水の混合物中のアミン(III)の溶液に、固体形態で少しずつ添加する。あるいは、水に溶解したアミン(III)の溶液を、式(IV)の溶媒中の化合物(II)の溶液(または懸濁液)に滴加してもよい。滴加は、温度を一定、例えば20℃以下に保ちながら、0.5分~2時間かけて行うことができる。
【0061】
好ましくは、反応媒体に溶解した式(II)の化合物の濃度は0.25M~0.75Mである。より好ましくは0.4M~0.6Mである。
【0062】
一般的には、モル過剰の式(III)のアミンを反応物に添加する。式(III)のアミンと式(II)のアシルクロリドとの間のモル比は、3:1~7:1である。この範囲は、生成物の純度を損なうことなく、式(III)のアミンの量および工業プラントへスケールアップする場合の関連コストをできるだけ低減するのに有利であることが見出された。実際、塩基または一定の過剰量の式(III)のアミンが存在しない場合、アミド化反応と競合して、溶媒による式(II)の化合物のエステル化反応に起因して望ましくない副生成物が生成する可能性があることが判明した。
【0063】
好ましくは、式(III)のアミンと式(II)のアシルクロリドとの間のモル比は、4:1~6:1であり、より好ましくは4.5:1または5:1である。
【0064】
反応時間は、変換が完了するまで3~20時間である。好ましくは4~6時間である。
【0065】
反応終了後、すべての揮発性成分を蒸発させ、混合物を水に溶解し、Amberlite IRC-120Hカラムで溶出して精製した後、水を蒸発させる。
【0066】
必要であれば、例えば分取クロマトグラフィーによって生成物を精製してもよい。より好ましくは、工程a)で得られた生成物は、蒸発により溶媒を除去した後、さらなる精製工程を経ずに、水の添加により工程b)で直接使用される。
【0067】
工程a)で得られた粗製物を加水分解する工程b)は、一般に標準的な方法に従って行われる。好ましくは、加水分解は、NaOHの水溶液、好ましくは30%NaOH水溶液中で実施される。加水分解工程は、好ましくは室温で1時間~4時間、好ましくは2時間~3時間行う。
【0068】
工程a)またはb)で得られた中間体のアルキル化またはアミド化の工程c)は、一般的に標準的な方法に従って行われる。
【0069】
このような本発明の化合物の製造方法は、必要であれば、そして所望であれば、当業者に公知の方法に従って、蒸発、溶媒抽出または蒸留、濾過、クロマトグラフィーまたは他の操作で終了することができる。
【0070】
以下の実施例は、本発明の製造方法を実施するための最良の実験条件を示している。
【0071】
実験パート
上記の式(IV)で示される化合物はすべて商業的に入手可能であり、1-メトキシ-3-ブトキシ-2-プロパノール(Leal-Duaso A. et al, Org. Process Res. Dev. 2020, 24 (2): 154-162の記載に従い調製)を除き、Merck KGaAから購入した。
【0072】
以下の実施例および本願明細書全体において、以下の略語は以下の意味を有する。定義されていない場合、用語は一般的に受け入れられている意味を有する。
【0073】
略語一覧
【0074】
分析方法
反応混合物および生成物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。分析は、UV/VIS検出器を備えたHPLCシステムを用い、Agilent Zorbax SB-Phenyl(5μm,4.6×250mm)カラムにて行った。
方法1:移動相Aは水、移動相Bはアセトニトリル。グラジエントは、0%Bで18分間保持した後、22分間で0%Bから38%Bまで上昇させ、さらに5分間で38%Bから50%Bまで上昇させた。240nmでUV検出。流速:1mL/分。温度:60℃。
以下に報告する収率は、HPLCクロマトグラムのピーク面積%から算出した。
【0075】
実施例1
イオパミドール(V)の合成中間体である化合物(Ia)の調製
【化22】

過剰量の2-アミノ-1,3プロパンジオール(12.8g;141mmol;5当量)を、PGMEと水(13%v/v;25mL)の混合物に溶解し、この溶液をPGME(30mL)中の5-[[2-(アセチルオキシ)-1-オキソプロピル]アミノ]-2,4,6-トリヨード-1,3-ベンゼンジカルボニルジクロリド(IIa)(20g;28.2mmol;1当量)の懸濁液に20℃でゆっくりと加えた。懸濁液はゆっくりと透明で均一な茶黄色の溶液となり、これを20℃で10時間撹拌した後、蒸発させた。
こうして得られた(Ia)の残留物を水(30mL)で溶解し、30%NaOH水溶液(11mL)を加え、混合物を20℃で3時間撹拌した。溶液を濃塩酸で中和し、Amberlite IR120H樹脂カラム上で溶出した。溶出液を蒸発させてイオパミドールを得た(収率93%)。
上記の手順を、本発明の式(IV)の他の溶媒または種々の割合の水を用いて同様に行い、イオパミドールの最終収率に関して以下の表1に示す結果を得た。
【表1】
【0076】
実施例2
PGMEと0.1%v/vの水の混合物中での化合物(Ia)の調製
過剰量の2-アミノ-1,3プロパンジオール(17.3g;190mmol;4.5当量)を、PGMEと0.1%v/vの水の混合物(57mL)に60℃にて溶解し、溶液を20℃に冷却し、S-5-[[2-(アセチルオキシ)-1-オキソプロピル]アミノ]-2,4,6-トリヨード-1,3-ベンゼンジカルボン酸ジクロリド(IIa)(30g;42.3mmol)の懸濁液に20℃で2時間かけてゆっくりと添加した。混合物を20℃にて5時間撹拌した後、濾過し、生成した2-アミノ-1,3プロパンジオール塩酸塩の白色沈殿物を分離した。濾液に30%NaOH水溶液(30g)を加え、2時間攪拌してエマルジョンを得た。溶液を塩酸で中和し、ろ過してNaClを除去し、蒸発させた。残留物を水に溶解し、Amberlite IR120H樹脂カラム上で溶出した。溶出液を蒸発させてイオパミドールを得た(収率92%)。
【0077】
実施例3
化合物(Ib)の調製
【化23】
ジャケット付き反応器(T=18℃)に、5-アミノ-2,4,6-トリヨード-1,3-ベンゼンジカルボニルジクロリド(10.00g,16.73mmol)を、マグネティックスターラーで撹拌しながら、PGME(22mL)に分散させた。2-アミノ-1,3プロパンジオール(6.865,75.29mmol)を、プレート上で60℃に加熱しながら、PGME(11mL)と水(0.33mL)の溶液に溶解した。この溶液を60分かけて反応混合物に滴加した。添加終了時には混合物は溶液となり、2-アミノ-1,3プロパンジオールクロロハイドレートに相当する灰色の固体の沈殿が観察された。反応はTLC(BuOH,AcOH,HO,7:2:1)でモニターした。5時間後に変換は完了した。粗製の混合物をフリットディスク付き漏斗で濾過し、10mLのPGMEで洗浄した。溶媒を減圧下で留去し、得られた固体を75mLの水で超音波処理し、ローター・ステーター・ホモジナイザーで粉砕した。ブフナー漏斗でろ過後、生成物を白色固体として得た(9.76g、質量回収率:83%、HPLC面積%:92%)。
【0078】
実施例4
化合物(Ic)の調製
【化24】
ジャケット付き反応器中、攪拌機で攪拌しながら、5-(アセチルアミノ)-2,4,6-トリヨード-1,3-ベンゼンジカルボニルジクロリド(30.00g,47.04mmol)を、26mLのPGMEに懸濁した。60mLのPGME中の3-アミノ-1,2-プロパンジオール(18.86g,207mmol)の溶液を、2時間かけて滴加した。混合物を攪拌機で24時間撹拌した。水200mLを加え、懸濁液をフリットディスク付き漏斗でろ過した。得られた白色固体を50mLの水で洗浄し、50℃にて一晩真空乾燥した(35.10g、質量回収率:79%、HPLC面積%:96%)。
【0079】
実施例5
化合物(Id)の調製
【化25】
0℃で冷却した、CaClバルブ付きの丸底フラスコ内で、マグネットスターラーで攪拌しながら、6.7mLのDMACに5-アミノ-2,4,6-トリヨード-1,3-ベンゼンジカルボニルジクロリド(5.957g,10.00mmol)を分散させた。13.5mLのDMAC中のアセトキシアセチルクロリド(2.090g、15.30mmol)の溶液を反応フラスコに滴加した。2時間後に冷却浴を取り外し、混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を80mLの脱イオン水に注ぎ、灰色の固体を形成させ、これを濾過し、10mLの水で洗浄した。生成物(6.857g,98.55%)を40℃にて一晩真空乾燥した。
【化26】
二口丸底フラスコ内で、攪拌機で攪拌しながら、塩化アシル(13.91g,19.99mmol)を、12.5mLのPGMEに分散させた。フラスコは冷却水槽で18℃に保った。26mLのPGME中の8.010gの3-アミノ-1,2-プロパンジオールの溶液を、60分間で反応フラスコに注いだ。TLCでモニターした反応は18時間で完了した。
【0080】
参考文献
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4. CN104098484
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7. GB1472050
8. WO2015/067601
9. US 5,705,692 A
10. ACS Omega 2018, 3, 7344-7349
11. Org. Process Res & Dev 2001, 5, 472-478
12. US 4,396,598 A
13. US 4,352,788 A
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15. Leal-Duaso A. et al, Org. Process Res. Dev. 2020, 24(2): 154-162
【国際調査報告】