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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】光学測定システムのための素子
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/05 20060101AFI20241128BHJP
   G01N 21/49 20060101ALI20241128BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20241128BHJP
   G01N 15/1434 20240101ALI20241128BHJP
   G01N 15/13 20240101ALI20241128BHJP
【FI】
G01N21/05
G01N21/49 A
G01N21/64 F
G01N15/1434
G01N15/13 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537139
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 FR2022052395
(87)【国際公開番号】W WO2023118708
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】2114011
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520005152
【氏名又は名称】ディアグドゥヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ・ジョルジュ・ジェラール・メルシェ
【テーマコード(参考)】
2G043
2G057
2G059
【Fターム(参考)】
2G043AA04
2G043BA16
2G043CA04
2G043DA02
2G043DA05
2G043EA01
2G043EA13
2G043EA14
2G043FA06
2G043HA01
2G043HA05
2G043JA03
2G043KA02
2G043KA03
2G043LA02
2G057AA01
2G057AA02
2G057AA03
2G057AA04
2G057AB07
2G057AC01
2G057BA05
2G057BB06
2G057DB03
2G059AA05
2G059BB13
2G059CC16
2G059DD12
2G059EE01
2G059EE02
2G059EE07
2G059HH02
2G059HH03
2G059JJ03
2G059JJ07
2G059JJ11
2G059JJ17
2G059KK02
(57)【要約】
本発明は、軸(X)周りの円周方向に延在し、少なくとも一つの第一光学レンズ(11)を備えている第一クラウン(4)と、前記第一クラウン(4)の半径方向外側に位置し、前記第一クラウン(4)を囲み、少なくとも一つの第一レンズ(11)が少なくとも一つの第二レンズ(14)と並んでいる、第二クラウン(5)と、を備え、前記第一クラウン(4)と前記第二クラウン(5)とはユニタリ素子(2)を形成するように同一の材料でできている、光学測定システム(1)のための素子(2)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学測定システム(1)のための素子(2)であって、軸(X)周りの円周方向に延在し、少なくとも一つの第一光学レンズ(11)を備えている第一クラウン(4)と、前記第一クラウン(4)の半径方向外側に位置し、前記第一クラウン(4)を囲み、少なくとも一つの第一レンズ(11)が少なくとも一つの第二光学レンズ(14)と並んでいる、少なくとも一つの第二光学レンズ(14)を備えている、第二クラウン(5)と、を備え、
前記第一クラウン及び前記第二クラウン(4、5)はユニタリ素子(2)を形成するように同一の材料でできており、前記素子(2)は、少なくとも一つの前記第二光学レンズ(14)に位置し、光学エミッタ又は光学レシーバ(24)の追加のセンタリング又はアラインメント手段(23、25)と係合するように意図されている、センタリング手段又はアラインメント手段(9)を備え、前記素子(2)はさらに、前記第一クラウン及び前記第二クラウン(4、5)の前記軸(X)に沿って分析され、位置し、向けられるサンプルを備えている流体の通過を対象とし、前記第一クラウン(4)によって画定されている空間で開口し、前記流体が通過することを意図されている、測定チャンバーを形成する、
素子(2)。
【請求項2】
前記較正された開口部(7)が円形のベースを有する円筒形であり、30μm~100μmの直径を有していることを特徴とする、請求項1に記載の素子(2)。
【請求項3】
前記較正された開口部(7)が前記第一クラウン及び前記第二クラウン(4、5)と同じ材料の薄壁(6)で提供され、前記薄壁(6)は10μm~80μmの厚さを有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の素子(2)。
【請求項4】
少なくとも一つの前記第一光学レンズ(11)が非球面型であり得ることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の素子(2)。
【請求項5】
少なくとも一つの前記第二光学レンズ(14)が球面型であり得ることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の素子(2)。
【請求項6】
前記薄壁に対して前記測定チャンバーの向かいに位置している、上流チャンバーを備えていることを特徴とする、請求項3及び請求項1、2、4、5のいずれか一項とに記載の素子(2)。
【請求項7】
前記第二光学レンズ(14)に面して装着された、請求項1~6のいずれか一項に記載の素子(2)と、少なくとも一つの光学エミッタと、少なくとも一つの光学レシーバ(24)と、を備えている、測定システム(1)。
【請求項8】
上流チャンバー(18)の中に、特性評価されるサンプルを含んでいる流体を供給するための手段(28、29)を備え、前記流体が前記較正された開口部(7)を通過し前記測定チャンバー(8)に開口する、ことを特徴とする請求項6に記載の素子(2)を備えている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記上流チャンバーに第一シース液を供給するための手段(30)を備えていることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記測定チャンバー(8)に第二シース液を供給するための手段(34)を備えていることを特徴とする、請求項8又は9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第一クラウン及び前記第二クラウン(4、5)間で、半径方向に前記素子(2)に装着され、少なくとも一つの前記第二光学レンズ(14)に面している干渉フィルタを備えている、請求項8~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記素子(2)に装着され、光学エミッタ(11)及び前記第一クラウン(4)のレンズに面して配置されているアクロマティックダブレット(21)を備えていることを特徴とする、請求項8~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
較正された開口部(7)の一方の側で軸方向に位置している、少なくとも2つの電極と、前記2つの電極間のインピーダンスを測定するのに適している測定手段と、を備えている、請求項8~12のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フローサイトメトリーによって、細胞、特に生物学的細胞を特性評価する測定を特に実行することを意図した、光学測定システムのための素子に関する。
【背景技術】
【0002】
フローサイトメトリーは細胞の特徴及び特性、例えば細胞のサイズ、細胞内内容物、及びDNA含量などを決定するのに役立つ。フローサイトメトリーは、細胞集団の内部での細胞の特性の変化及び分布もまた可能にし、最終的に、例えば血を構成する様々な細胞の分化のような、細胞のうちの部分集団の特定をもたらす。
【0003】
さらに、フローサイトメトリーは迅速な方法である。一般に、毎分数千の細胞が特性評価される。従って希少な細胞の部分集団のカウント及び特性評価が可能になる。これらの細胞の部分集団の希少性は、特に統計的に受け入れられる数の細胞の部分集団の測定を行うことが不可能であるため、一般に、それらの顕微鏡による観察及び特性評価は不可能である。
【0004】
さらに、光学センサと、特にますます低くなる強度信号を検知する能力との向上により、インピーダンス測定(コールター測定)を介した細胞の体積の測定、及び一つ以上の光学測定を介した細胞の内容物の情報の入手もまた可能になる。
【0005】
フローサイトメトリーは、細胞のサイズと比較して大きな部分の液体静脈において独立して細胞を通過するように主に構成されている。当該液体静脈は、2つ以上の細胞が同時に、又は近接しすぎることを阻止するように調整された、較正された開口部を有しているノズルにおいて終わっている。液体静脈と開口部との間で流速が一定であるため、液体静脈の直径は減少し、細胞の速度が上昇し、ノズルからの放出時、ノズルの直径を備える、液体のジェットにおいて、細胞は毎秒数千オーダーの細胞の流速に到達する。
【0006】
細胞の体積の測定は、ノズルの開口部のどちらか一方の側でインピーダンスを測定することによって行われる。実際、細胞の体積は、導電媒体(コールターシステム)を通過することによって生まれるインピーダンス変化と相関し、細胞は電気的に絶縁であると考えられる。細胞がどのような形状であっても、前記体積は絶対的に決定される。
【0007】
さらに、ノズルの開口部を通じた細胞の通過は、細胞のいくつかの流体力学的なセンタリングを保証し、細胞の方向性もまた保証する。そのようにして、ノズルから出て、励起源によって放出される光線で細胞を含む、ジェットを正確に位置付けることを可能にする。細胞が光線を通過する時、細胞の特性を決定するために、細胞はサイトメーターによって用いられ得るいくつかの光信号を拡散する。
【0008】
これらの光信号は、
液体と細胞間、また異なる細胞の構成要素間の異なる指標により、一部の入射光線の反射によって見られる、細胞からの光の反射と、
細胞へ入射する光線の変更として見られる、細胞による光の屈折と、
数度から360度までの立体角を主として介した、細胞による光の拡散と、
を含んでいる。
【0009】
これらの全ての信号は光収集システムによって収集され、その後光学フィルタシステムによって(半値幅20nm~50nm、または30nm~40nm)それらの波長で分離され、最終的に様々な光センサに到達する。
【0010】
これらの様々なセンサは、
細胞からの小角散乱(前方散乱)を測定することと、
細胞からの広角散乱(後方散乱)を測定することと、
細胞の吸光度を測定することと、
細胞が一つ以上の蛍光色素によってマーキングされた場合に細胞の蛍光を測定することと、
に適し得る。
【0011】
前方散乱は、膜の表面に到達する入射光の一部からの細胞膜による散乱に起因する。散乱光の一部は入射光と同一の波長を有している。散乱光は入射光の軸において捉えられる。散乱光は細胞の大きさ及び平均屈折率についての情報を与える。
【0012】
後方散乱は、細胞膜を通過する入射光の一部の細胞内部の細胞小器官による全ての空間角における散乱に起因する。後方散乱は光電子増倍管又はアバランシェフォトダイオードによって捉えられ得る。後方散乱は、屈折及び反射の特性に関与するため、細胞の内容物の微細な不均一性についての情報を提供する。
【0013】
吸光度及び/又は消光の測定は細胞の励起光の軸でなされる。前記測定は、細胞の直径と細胞内部の細胞小器官の吸収の指標とに比例する。
【0014】
細胞が一つ以上の蛍光色素によってマークされる場合、蛍光色素は、励起されると、励起源の波長よりも長い一つ以上の波長で、等方的に、すなわち全ての空間的な方向に、蛍光を放出する。干渉フィルタは、光電子増倍管に各々送られる、(一般に20nmから50nmまで、又は30nmから40nmまでの半値幅のスペクトルにおいて)様々な蛍光波長の分離を可能にする。測定される蛍光の強度は、細胞に固定された蛍光分子の数に依存する。例えば、DNAに受動的に及び特異的に結合している細胞の細胞質膜を通過する蛍光色素である、DRACQ5マーカーを用いる場合、有核細胞についての情報を抽出することができる。DRACQ5マーカーは、626nmと676nmとで2つの吸収の最大値を有し、紫外領域においては240nmと314nmとで2つの他の吸収の最大値を有している。DRACQ5マーカーは、波長665nmと800nmでは、赤色の蛍光を放出する。フィルタは、入射ビームから90度で、650nmよりも短い全てのスペクトル成分を反射し、650nmよりも長いスペクトル成分を送る。光源の定義を考慮すると、第一フィルタは、50nmオーダーの通過帯域を備える光源の波長で当然に中央に位置する。
【0015】
そのため、この配置では、各々の粒子が3つの物理量、すなわち粒子の体積を表す電気的な測定と、細胞の屈折性に関連する励起測定と、最後に、分析された細胞の核酸含有量に関連する傾向測定と、を測定することができる。
【0016】
フローサイトメトリーは様々なウイルス、感染症及び寄生虫の診断と治療の監視を可能にする血液学の研究に有利には用いられ、健康な細胞の機能的な研究にもまた用いられる。フローサイトメトリーは様々な血液細胞のタイプをカウントし、特性評価することを可能にする。例えば、白血球にフローサイトメトリーを用いることによって、白血球の合計の数をカウントすることができ、白血球のモルフォロジーに従って白血球を区別し、細胞の体積のインピーダンス測定と吸収測定とを用いることにより、3つの異なるタイプに分類することができる。
【0017】
第一のタイプは、大きいサイズの細胞(直径20μmから40μm)の単球である。核の形状は丸、楕円、腎臓の形、又は明確に不定形であってもよく、最も一般的な場合は楕円形状である。染色質は密ではなく、塊状ではなく、均一な構造を有している。血中の単球の滞留時間は、それらの組織を通過する前に2日間、骨髄の通過時間は1日~2日間である。単球が活性化すると、単球はマクロファージになる。マクロファージはバクテリアや細胞全体を貪食することができ、例えばいわゆるほこりなどの様々な汚染粒子も貪食することができる。
【0018】
食細胞は免疫システムにおいて主要な役割を有している第二の種である。食細胞は異なる大きさの以下の2つのグループに分けることができる。すなわち、
丸みを帯びた核又は楕円形の核を有し、時々わずかに拡張した細胞質を有した腎臓型の形であり、透明又はわずかに好塩基性であり、通常は核の片側のみから延在する、小リンパ球(直径7μm~9μm)と、
小さなリンパ球の好塩基球よりもより広がり、核を完全に包囲する細胞質を備える、中心に位置する又はわずかに中心からずれた核を有している、より大きな大きさのリンパ球(直径9μm~15μm)である。
【0019】
第3の種は、顆粒球又はいわゆる多核球であり、その主要な機能は感染症に対する保護であり、3つのサブカテゴリに分けられ得る。まず、好中球は最も豊富(約96%)な顆粒球である。好中球は丸みを帯び、12μm~14μmの直径を有している。好中球は、多裂形状(3つから5つの裂片)によって特徴付けられる。好中球は、組織の通過までに2日の血中における滞留時間を有し、顆粒前駆体の骨髄通過時間は10日~14日である。好中球のための骨髄の予備区画が存在する。それらはバクテリアの破壊において非常に効果的であり、急性の炎症中に有力である。それらの不可欠な役割は、バクテリアや酵母などの外来の微生物に対する生命体の防御である。それらの排泄機能は組織の局所の炎症反応を支持し生命体の防御に貢献する。次に、好塩基球は非常に低い個体数であり、たった約0.5%の白血球を示す。好塩基球は10μm~14μmの直径を有している。好塩基球の両葉核は、非常に多数であり、細胞中に分散している、特定の肉芽で覆われている。血中のそれらの滞留時間は、既知の組織の通過なしで、12時間から24時間である。髄における通過時間は好中球と同じである。好塩基球の重要な機能は好酸球を引き付けることである。最後に、好酸球は(立方ミリメートルあたり約350個の)循環する白血球の約2%~5%を示す。好酸球は、両葉核によって、及び球状(直径0.5μm~1.5μm)の顆粒の存在によって特に特徴づけられる直径12μm~14μmの細胞である。それらはアズロフィル顆粒を含んでいる。多核好酸球はアレルギー性の炎症及び抗寄生虫防御の鍵となる細胞である。それらは特に組織に分布する。すなわち、循環する分画物は好酸球の合計の数のうち1%のみを示す。血中のそれらの通過時間は、髄を出発した後から3時間から8時間であり、且つそれらが10日程度の寿命を有することとなる(特に腸、肺、皮膚、及び子宮などの)組織に堆積するまでである。別の例では、赤血球及び血小板の合計の数を決定し、赤血球及び血小板を、それらのモルフォロジーによって区別し、インピーダンス測定及び吸収測定による細胞の体積測定によって分類することができる。
【0020】
フローサイトメトリーの他の応用は、網状赤血球、赤芽球、未熟球、白血球の前駆細胞、活性リンパ球、又はさらに網状血小板などの様々な種の血液細胞の特性評価及び/又はカウントに明瞭な診断的関心がある。
【0021】
インピーダンスによる細胞の体積の測定は、ベースが約50μmの直径の開口部を有している、フローセルを備えているデバイスを用い、液体流れの中で一細胞の独立した通過を可能にする。開口部の上流へ、液体流れは特性評価される細胞と、サンプルジェットの流体力学的集中を可能にするサンプルジェットを包囲するシース液(一般に生理食塩水)と、を備えているサンプルジェットに形成される。電圧計の端子は電極に電気的に接続され、前記端子のうち一つは開口部から上流に設置され、他の端子は下流に設置され、Oリングジョイントは密封を確保するためにこれらの領域において必要とされる。細胞の通過時に観察される電圧の変化は、細胞の体積を表す。
【0022】
フローセルの底部は、人工ルビーのような非常に高価な宝石でできている、直径数ミリメートルで厚さ数ミクロンのディスクから一般にできている。通過開口部は当該ディスクにおいて機械で作製され、次にディスクはノズルの端部に手動で圧着される。微小な亀裂が出現し得、そのためインピーダンス測定を失敗させるように、微小な亀裂が正極と負極との間の抵抗の変化を生み出すため、圧着操作には危険が伴う。
【0023】
光学測定に関して、直径80μmで液体流れにおける一つのセル及びベースに対して平坦な透明なエンクロージャの個々の通過を可能にする、通過開口部をその中心で有しているベースプレートから形成されているフローセルを備えている、別のデバイスが用いられる。エンクロージャとベースとの間の接合は、これら2つの部品間の密閉を提供する。サンプルの流れが励起源によって放出される光線と交差する、400μmの長さにわたってサンプルの流れを伴わせるために、ベースのすぐ近くにある、エンクロージャの下部によって、第二のスクリーニング入口がサンプルの流れをせき止めるためのシース液の到達を可能にする。第二の接合は、フローセルの上部に密閉を提供するために必要である。
【0024】
体積測定と光学測定とを同時に行うために、光学測定デバイスのためのベースとして体積測定デバイスのベースを用いることによって単一のデバイスに2つのデバイスを組み合わせることが可能である。
【0025】
しかしながら、そのような構成には4つの接合を使用する必要がある。同じように、様々な要素間の漏れがなくなる保証はない。
【0026】
さらに、測定デバイスは長時間の設定時間及び調整時間を必要とする。実際、いわゆる励起ビームを形成し、一つ以上の受入ビームもまた形成するために一つ以上のレンズで構成されている複数の光学サブアセンブリを装着することがしばしば必要である。さらに、セルを含むサンプルフローへのアラインメントはしばしば最も複雑であり、一般にマイクロメーターステージ及び/又はスライドグラスを用いる。
【0027】
さらに、これらのデバイスの大半が同時に2つのパラメータのみを用いる、特に光学測定としてのインピーダンス及び吸光度による体積測定を用いる。いくつかの病状の診断はますます細かいカウントと、循環する血中の造血細胞の特性評価とを必要とし、従って、パラメータの数の掛け算を必要とし、殆どの場合は光学パラメータであり、装着と調整との両方をより複雑にする。
【0028】
さらに、特定の非常に特異的な病原を診断することの必要性を考慮しても、特に細胞のRNAとDNAとを区別することによって、これらのデバイスの大半が複数の異なるマーカーを使用し、それゆえ多くの励起波長を使用する。これらの光学的な結合はともに一般に非常に複雑なシステムを必要とし、非常に高価である。
【0029】
これらの短所の少なくとも一部を補うために、国際公開第2019/002787号は、ベースを備えた光学測定チャンバーを形成するために、ベースと、ベースから延在する透明な側面のエンクロージャと、を備えている、細胞をカウント及び/又は特性評価するための測定フローセルであって、ベースがセルの通過のための30μm~100μmの直径を有し、ベース及び透明な側面のエンクロージャがインピーダンス測定と光学測定の両方に適している単一ユニットフローセルを形成する、測定フローセルを提案する。
【0030】
この単一ユニット測定フローセルにより、細胞体積測定と光学測定との両方を可能にする一つの測定フローセルに予め必要な4つの接合のうち3つをなしで済ますことができる。実際、それが単一のユニットであるため、測定フローセルはもはや通過開口部と光学測定チャンバーとの間の結合を必要とせず、正極と、様々な液体(シース液や溶菌など)の評価を提供する部分と、の間の結合もまた必要としない。さらに、この測定フローセルは数マイクロ病の間隔で同じセルでのインピーダンス測定及び光学測定によって体積測定を可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
この測定フローセルはさらにレンズを備え、前記フローセルが光源と光学センサに沿って装着された支持部を備えている測定システムにおいて用いられている。レンズを備えている受光光学部品はフローセルとセンサとの間に挿入される。従って、これらの受光光学部品は、実行するのに長く複雑なステップである、精密な装着及び調整を必要とする。
【0032】
本発明は、単純に、確実に、低コストで当該短所を補うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
この目的のために、本発明は、軸を中心として円周方向に延在し、少なくとも一つの第一光学レンズを備えている第一クラウンと、第一クラウンの半径方向外側に位置し、第一クラウンを囲み、第一レンズが少なくとも一つの第二レンズと並んでいる、少なくとも一つの第二光学レンズと、を備えている第二クラウンと、を備えている光学測定システムのための素子に関し、第一クラウンと第二クラウンとはユニタリ素子を形成するように同一の材料で形成され、前記素子は、少なくとも一つの第二レンズの近くに位置し、光学エミッタ又は光学レシーバの追加のセンタリング手段又はアラインメント手段と係合するように意図されている、センタリング手段とアラインメント手段とを備え、前記素子はさらに前記第一クラウン及び前記第二クラウンの前記軸に沿って分析され、位置し、向けられたサンプルを備え、第一クラウンによって画定された空間に開口し、前記流体が通過することを意図されている測定チャンバーを形成する。
【0034】
「軸の」「半径方向の」「円周の」という用語は、前記クラウンの前述の軸に関連して定義されている。
【0035】
このように、前記素子は、第一レンズに対して第二レンズの位置を調節する必要なく、光学測定を可能にするために整列されるように配置されている少なくとも一組のレンズを組み入れる。「クラウン」という用語は、複数のレンズが用いられる場合に、当該複数のレンズが円周上に分布していることを示すために用いられる。クラウンは連続的又は非連続的であってもよく、全周、すなわち360度以上に亘っていてもよく、又は円周の一部に亘っていてもよい。
【0036】
各々のクラウン上のレンズの数は少なくとも2に等しくてもよく、例えば4又は8に等しくてもよい。
【0037】
前記素子は透明な材料でできていてもよい。前記素子は合成材料でできていてもよい。
【0038】
前記素子は1.4から1.6の屈折率を有していてもよい。さらに、前記材料は操作する波長の90%を超える透過率を有し得、好ましくは低複屈折と低い熱歪みを有するように選択され得る。
【0039】
単一フローセルの材料は主にポリシクロオレフィン樹脂、特に当該樹脂を95質量%以上、又は当該樹脂をさらに99.5質量%以上備えていてもよい。Zeon(登録商標)のZeonex T62Rはそのような樹脂の一例である。そのような樹脂は溶融体で非常に流動的であり、そのためユニタリフローセルの寸法を正確に制御することを可能にし、光学的な品質の表面粗さを提供する、非常に小さい収縮で、非常に高い圧力で注入することができる。有利には、そのような樹脂の選択はZeonex E48Rと比較して時間とともに黄色くなるのに対して、安定性を保証する。
【0040】
前記素子は吸水に対して低い抵抗率、例えば0.01%以下の抵抗率を有している材料からできていてもよい。この材料は、通過開口部の一方の側に位置し、インピーダンス測定又は抵抗率測定を意図している、2つの電極の間の良好な電気的な絶縁を保証するように、例えば最大で3F/m、3MHz以下の周波数、又はさらに1MHz以下の周波数で、低い誘電率を有していてもよい。
【0041】
前記素子はポリシクロオレフィン樹脂、特に当該樹脂を95質量%以上、又は当該樹脂をさらに99.5質量%以上、主として備えている種類の材料でできていてもよい。
【0042】
前記較正された開口部は円形のベースを備え、円筒形であってもよく、30μm~100μmの直径を有していてもよい。
【0043】
当該開口部はレーザードリリングによって得られてもよい。
【0044】
前記較正された開口部は前記第一クラウン及び第二クラウンと同じ材料の薄壁で提供されてもよく、前記薄壁は10μm~80μmの厚さを有している。
【0045】
薄壁の厚さは20μm~50μmであってもよく、例えば30μmオーダーであってもよい。
【0046】
当該薄壁は例えば射出成形によって作成されるプリフォームのレーザー加工によって得られてもよい。
【0047】
測定チャンバーは、例えば六角形又は八角形の、多角形の形状を有していてもよい。
【0048】
少なくとも一つの第一レンズは非球面型であってもよい。
【0049】
前記第一レンズは、測定チャンバーに面している、平坦な半径方向内側表面を備えていてもよい。前記第一レンズは、第二クラウンの側を向いた、凸形状の半径方向外側表面を備えていてもよい。第一レンズの前記半径方向外側表面は以下の式によって定義される表面であってもよい。
【0050】
非球面レンズはいくつかの球状光学表面を使用することと比較してよりよい収差補正を提供するため、非球面レンズは、従来の球状光学部品よりも少ない素子を用いることによって、光学設計者が収差を補正することを可能にする。非球面レンズは、曲率半径がその中心から半径方向に変化する、回転対称性を有している光学部品である。非球面レンズは画像の品質を向上し、必要な素子の数を削減し、設計コストを削減する。
【0051】
非球面レンズは、従来以下の式で与えられる表面プロファイルで定義されている。
【0052】
【数1】
【0053】
Zは光軸に平行な表面の矢状面に対するサグである。
sは光軸からの半径距離である。
Cは曲率であり、半径の逆数を意味する。
kは円錐定数を意味する。
A4、A6、A8、・・・はそれぞれ4次、6次、8次の非球面の項である。
【0054】
第一レンズの各々は非球面型である。
【0055】
少なくとも一つの第二レンズは球面型である。
【0056】
前記球面レンズは、第一クラウンに面している、平坦な半径方向内側表面を備えていてもよい。前記球面レンズは、第一レンズから離れる方向に面する、球状部分を有する形状の半径方向外側表面を備えていてもよい。前記球状部分の半径は例えば3mm~20mmである。
【0057】
第二レンズの各々は球面型である。
【0058】
前記センタリング手段と位置決め手段とは、両者の間にV字を形成する2つの平坦な表面を備えていてもよい。追加のセンタリング手段と位置決め手段とは前記平坦な表面の各々に直線的に支承するように意図されている円筒部分を備えていてもよい。
【0059】
前記素子は、ベースをロックするための補完手段に係合するように意図されている、第一クラウン及び第二クラウンの軸回りの回転をブロックする手段を備えていてもよい。前記ブロッキング手段は、例えばピンやリブといった突出部分を備え、ベースの相補的な形状の凹部に挿入される、又はその逆に意図されている。
【0060】
前記素子は、薄壁に対して測定チャンバーの向かいに位置している、上流チャンバーを備えていてもよい。
【0061】
前記上流チャンバーは円錐形状又は円錐台形状の領域を有していてもよい。前記円錐形状又は円錐台形状の領域は、拡大端と、拡大端と向かい合い、較正された開口部を備え、薄壁によって形成されている縮小端とを備えていてもよい。
【0062】
円錐状又は円錐台状の領域の壁は前記上流チャンバーの長手方向の軸に対して10度~30度の角度をなしてもよい。
【0063】
縮小端は1mm~3mmの直径、例えば2mmオーダーの直径を有していてもよい。
【0064】
本発明は、レンズに面して装着されている、前述の型の素子と、少なくとも一つの光学エミッタと、少なくとも一つの光学レシーバと、を備えている測定システムにもまた関する。
【0065】
エミッタは発光ダイオード(LED)又は白熱灯型非干渉源であってもよい。
【0066】
光学レシーバはフォトダイオードであってもよく、アバランシェフォトダイオード又は光電子増倍管であってもよい。
【0067】
システムは、特性評価されるサンプルを含む流体を上流チャンバーに供給するための手段を備えていてもよく、前記流体は較正された開口部を介して通過し、測定チャンバーに対して開口している。
【0068】
サンプルは生物学的なサンプル、例えば血液サンプルであってもよい。
【0069】
サンプルを含む流体を供給するための手段は、例えば前記上流チャンバーの軸方向中央ゾーンにおいて、上流チャンバーに対して開口しているチャネルを備えていてもよい。前記チャネルは上流チャンバーの一部にまで延在してもよい。
【0070】
サンプルを含んでいる流体を供給するための手段は1μL/s~6μL/sの流速で流体を供給するために設計されている。
【0071】
システムは上流チャンバーに第一シース液を供給するための手段を備えていてもよい。
【0072】
前記上流チャンバーは第一クラウン及び第二クラウンの軸に沿って延在してもよい。
【0073】
第一シース液を供給するための手段は、薄壁に向かい合うチャンバーの上流端で開口しているチャネルを備えていてもよい。前記チャネルの開口部は前記軸に対してずらされていてもよい。
【0074】
第一シース液を供給するための手段は1μL/s~20μL/sの流速の流体を供給するために設計されている。
【0075】
システムは測定チャンバーに第二シース液を供給するための手段を備えていてもよい。
【0076】
第二シース液を供給するための前記手段は、例えば薄壁から0.1mm~0.5mmの距離で、薄壁で開口していてもよい。第二シース液を供給するための前記手段は、第一クラウン及び第二クラウンの軸に垂直な方向に沿って、つまり薄壁において較正された開口部の軸に垂直な方向に沿って、開口してもよい。
【0077】
第二シース液を供給するための手段は、30μL/s~80μL/sの流速の液体を供給するために設計されている。
【0078】
シース液は軸に沿って液体の流れに含まれている細胞の方向付け及び位置決めをするようにサンプルを含んでいる流体流れを供給するのに役立つ。
【0079】
システムは、第一クラウンと第二クラウンとの間で半径方向に、前記素子に装着されている、少なくとも一つの第二レンズに面している干渉フィルタを備えていてもよい。
【0080】
システムは、前記素子に装着され、光学エミッタと第一クラウンのレンズとに面して配置されている、アクロマティックダブレットを備えていてもよい。アクロマティックダブレットは光線を成形することのみに用いられる。
【0081】
アクロマティックダブレットは色収差を補正し、2つのガラスで形成されているレンズを備えている。アクロマティックダブレットは第二クラウンとともに単一のユニットとして形成されていない。このような場合、第二クラウンは開口部を備えていてもよく、アクロマティックダブレットは前記開口部に装着され、又は前記開口部に面し、対応する第一レンズと並んでいてもよい。
【0082】
システムは、較正された開口部のどちらかの側で軸方向に位置している、少なくとも2つの電極と、前記2つの電極間のインピーダンスを測定するのに適している測定手段と、を備えていてもよい。
【0083】
当該インピーダンス測定は、単位時間当たりの、前記較正された開口部を介して通過する細胞の数を数えるのに特に用いられてもよい。
【0084】
2つの電極は5mm~10mmの距離で互いに軸方向に離隔されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1】実施形態に従った、光学測定システムのための素子の、上方からの斜視図である。
図2図1の素子の下方からの斜視図である。
図3】測定システムの一部の上面図である。
図4】測定システムの一部の断面図及び斜視図である。
図5】測定システムの一部の断面図及び斜視図である。
図6】測定システムの一部の斜視図である。
図7】測定システムの一部の断面図及び斜視図である。
図8】別の実施形態に従った、測定システムのための素子の上方からの斜視図である。
図9図8の素子の断面図及び斜視図である。
図10図8及び図9の素子が備えられた測定システムの一部の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
一実施形態に従った測定システム1は図1及び図7に関して以下で説明する。測定システム1は軸Xの周りに延在するユニタリ素子2を備えている。前記素子2は半径方向内部クラウン4及び第二半径方向外部クラウン5から延在するディスク形ベース3を備えている。
【0087】
ベース3の中心は、較正された開口部7に設けられる、薄壁6と呼ばれる、低厚領域を備えている。
【0088】
薄壁6は10μm~80μm、例えば30μmのオーダーの厚さを備え、開口部7の直径は30μm~100μmである。
【0089】
ベースの中央領域と第一クラウンとによって画定されている空間は、多角形、例えば六角形の測定チャンバー8を形成する。測定チャンバー8の側面のベースを形成する六角形の端は、好ましくは1mmから5mmの間で選択され、好ましくは2mmである。測定チャンバー8のベースのための他の形状、例えば円形や三角形等が選択され得る。好ましくは、測定チャンバー8のベースの形状は規則的な幾何学的形状である、すなわち、少なくとも一つの対称の素子、好ましくは対称の中心又は軸X等の対称の軸を有している。
【0090】
第一クラウン4と第二クラウン5との間に位置している環状空間は符号9によって示されることとなる。第二クラウン5の半径方向外側に位置するベースの領域は符号10を付してある。
【0091】
ここで、第一クラウン4は、第一レンズと呼ばれ、素子2の残りの部分に単一のユニットとして作られる、4つのレンズ11を備えている。第一レンズ11の各々は非球面レンズであり、測定チャンバーの方に面している、平坦な半径方向内部表面12を備えている。第一レンズ11の各々は、第二クラウン5の側に面し、凸形状である、非球面半径方向外面13を備えている。
【0092】
対応する非球面の中心は出口に位置し、較正された開口部7に位置している。
【0093】
各々の第一レンズ11の焦点は測定フローセルの中心である。非球面レンズの関心は画像の周縁部における光学的なパフォーマンスの向上であり、従って焦点において球面収差がほぼゼロであることを保証する。そのような構造は、測定点で最大出力を保証する測定システム1の球面収差を大幅に削減する。さらに、市場のデバイスとは異なり、0.5オーダーの開口数が、対物レンズを用いることなく得ることができる。
【0094】
さらに、出口及び較正された開口部7での第一レンズ11の焦点の配置は、それがまさに当該開口部7を出発しサンプル流れのセンタリングが最良であるように、分析されるサンプルからの細胞上の光学測定を可能にする。実際、較正された開口部7の出口からさらに進むと、細胞の位置はより不確実になり、サンプルジェットに対して中心からずれるおそれがより高まる。
【0095】
各々の第一レンズ11の外側表面の中心は、サンプル流れの方向、すなわちX軸に沿った方向で較正された開口部7の出口から、好ましくは200μm~600μmの間、さらに300μm~500μmの間、さらには350μm~450μmの間、好ましくは約400μmに位置する。
【0096】
第二クラウン5は、第二レンズと呼ばれる、最大で7つのレンズ14を備えていてもよく、レンズ14の各々がX軸に対して半径方向に延在する光学軸Aに沿って第一レンズ11と並んでいる。第二クラウン5は、その機能が以下で説明されることとなる開口部15をさらに備えている。
【0097】
第二レンズ14の各々は球状であり、第一クラウン4と、第一クラウン4から離れる方向に面している球状部分の形をした半径方向外側表面17と、に面している、平坦な半径方向内側表面16を備えている。前記球状部分の半径は例えば3mm~20mmである。
【0098】
ベース3は、薄壁6に対して測定チャンバー8の向かい側に位置している、上流チャンバー18をさらに画定する。前記上流チャンバー18は、拡大端と、拡大端と向かい合い較正された開口部7を備えている薄壁6によって形成されている縮小端と、を備えている円錐領域又は円錐台領域を有している。
【0099】
円錐領域又は円錐台領域の壁は、長手方向のX軸に対して10度から30度の角度を形成してもよい。縮小端は1mm~3mm、例えば2mmオーダーの直径を有していてもよい。
【0100】
ベース3の外側周辺領域10は第二クラウン5の第二レンズ14と開口部15とに面しているセンタリング手段又は位置決め手段をさらに備えている。前記センタリング手段又は位置決め手段は、2つの平坦面であって、その間にV字を形成する、2つの平坦面によって形成される凹部19を備え、当該凹部19はベース3の上面に配置されている。
【0101】
ベース3はX軸周りの回転をブロックする手段を備え、回転をブロックするこれらの手段はベース3の下面から延在する少なくとも一つのリブ20を備えている。
【0102】
ベース3と、クラウン4、5と、レンズ11、14とは一枚の同一の材料である。当該素子2は射出成型によって実現され得、薄壁6と開口部7とはレーザー加工及びレーザードリリングによって得られ得る。
【0103】
前記素子2は例えば最大で3F/m、3MHz以下の周波数、さらに1MHz以下の周波数で、吸水に対して低い抵抗率、例えば0.01%以下の抵抗率を有している透過合成材料から例えばできている。前記素子2は、ポリシクロオレフィン樹脂、特に当該樹脂を95質量%以上、又は当該樹脂をさらに99.5質量%以上主として備えている種類の材料でできていてもよい。Zeon(登録商標)からのZeonexT62Rはそのような樹脂の一例である。
【0104】
前記素子2は1.4から1.6の屈折率を有していてもよい。さらに、前記材料は操作する波長の90%を超える透過率を有するように、好ましくは低複屈折と低い熱歪みを有するように、選択されてもよい。
【0105】
アクロマティックダブレット21は、対応する第一レンズ11と前記開口部15とを通っている光学軸上で、前記開口部15に面している又は少なくとも部分的に面している、第二クラウン5の開口部15に装着されている。アクロマティックダブレット21は2つのガラスで形成されているレンズを備えている。アクロマティックダブレット21は第二クラウン5とともに単一のユニットとして形成されていない。
【0106】
少なくとも一つの光源からの光線を形成する素子22は対応する光学軸上でアクロマティックダブレット21と面して装着されている。光源又はエミッタは例えば発光ダイオード(LED)型光源である。光軸上のエミッタの正しい位置を保証するように、素子22はV字型凹部19の平坦面の各々に直線的に支承する円筒領域23を備えているボディを備えている。この成形素子22は、例えば長方形の、光線が通過しダイアフラムとしてふるまう窓を、例えば備えている。
【0107】
吸収、散乱、回折及び/又は蛍光を測定することを例えば意図されている、光学レシーバ24は、他の第二レンズ14を通る複数の光軸上に装着されている。各々の光学レシーバ24は、対応する光軸上のレシーバ24の正しい位置を保証するように、V字型凹部9の平坦面の各々に直線的に支承する領域25を備えている。
【0108】
干渉フィルタ26もまた、第二クラウン5の半径方向内側に、複数の第二レンズ14の各々、或いはアクロマティックダブレット21に面して装着されている。
【0109】
第二レンズ14の各々の平坦内部表面16は、その波長範囲が慎重に選択される、四角形干渉フィルタ26を受け取ることを特に可能にする。平坦面16とともにフィルタ26の各々は、それらの適切な操作を保証するために特に角度をつけることができる。実際、各々の干渉フィルタ26の平行面と光線の各々の直交性は尊重されなければならない。従来、蛍光及び回折のための光は、それらのスペクトル特性に基づいて分離される。当該分離を行うために、マルチダイエレクトリック型の光学干渉フィルタが一般に用いられる。当該フィルタは、異なる屈折率を有している2つ以上の透明材料の配置を互い違いにすることにより得られる。これらのフィルタは有利にはイオン照射フィルタであり、それらに非常に優れたスペクトルバンドの外の遮断と、非常に優れた透過と、を与える。これらのフィルタ26は、光とサンプル内の細胞との相互作用から生じる光線がコリメートされる領域で測定チャンバー8と各々の第二レンズ14との間の光路に設置されている。様々なフィルタは予想される蛍光波長と用いられる照射波長に依存して用いられ得る。
【0110】
図5図7に示されるように、システム1は素子2が装着されるベース27をさらに備えている。ベース27は、分析されるサンプル、例えば血液などの生物学的サンプルを含んでいる流体を供給するためのチャネル28を備えている。チャネル28は、X軸に沿って延在しているベース29を介して上流チャンバー18へと開口している。さらに、図7の断面図から分かるように、ベース27は、ベース27の円筒チャンバーの底壁31で開口している第一シース液(図7)を供給するためのチャネル30もまた備え、前記円筒チャンバー32はX軸に沿って延在し、その拡大端で素子2の上流チャンバー18へ向かって開口している。より具体的には、第一シース液は円筒チャンバー32の半径方向外側周縁部で開口している。Oリングジョイント33はベース27の円筒チャンバー32と素子2の上流チャンバー18との間に密封を提供する。
【0111】
さらに、第二シース液は、素子2に配置されているチャネル34(図7)を介して、測定チャンバー8で開口し、前記チャネル34はX軸に垂直な方向に開口している。
【0112】
素子2のリブ20は、ベース27に対して素子2の位置決め及び回転固定を保証するように、ベース27の補完的に形成された溝に係合している。
【0113】
システムは、例えば白金の、少なくとも一つの第一電極27aを備えている。第二電極は、例えば鋼の、ベース27によって形成され得る。
【0114】
これらの電極27、27aは較正された開口部7と薄壁6とのどちらか一方の側で軸方向に位置している。
【0115】
システムは前記電極間のインピーダンスを測定するのに適している測定手段もまた備えている。
【0116】
2つの電極は5mm~10mmの距離で互いに軸方向に離隔されていてもよい。
【0117】
動作中に、分析されるサンプルを備えている流体は、チャネル28と対応するノズル29とによって上流チャンバー18に供給される。この流体はX軸に沿って流れ、較正された開口部7を通って測定チャンバー8の中に排出される。並行して、第一シース液の流れは、チャネル30を通って、円筒チャンバー32に開口し、その後素子2の上流チャンバー18で、X軸に沿ってサンプルを含んでいる流体を留める。この第一シース液は従ってサンプルを含んでいる流体のジェットの流体力学的なセンタリングを保証する。このような現象はハイドロフォーカシングという用語で知られ、軸に沿った流体流れに含まれている細胞を方向付けて位置付けるようにサンプルを含んでいる流体流れをチャネリングすることを可能にする。
【0118】
さらに、第二シース液はチャネル34の開口部で、較正された開口部7の出口にもたらされる。この第二シース液は領域を掃引することにより再循環体積の形成を阻害するのに役立ち、細胞が、較正された開口部7の上流で、サンプルを含んでいる流体流れを出発し、この開口部7から離れることを妨げ、その結果行われる光学測定がより簡単になる。
【0119】
サンプルを含んでいる流体の流速は例えば1μL/s~6μL/sである。
【0120】
第一シース液の流速は1μL/s~20μL/sである。第二シース液の流速は30μL/s~80μL/sである。
【0121】
さらに、光学測定は光学レシーバ24を用いてなされる。
【0122】
前述のように、素子2の単一の実施は、一方の測定チャンバー8上ともう一方の励起源又は光源、及びレシーバ24又はセンサ上との間の集束レンズを設置しなければならないことと、任意の調整を行わなければならないことと、からユーザを自由にすることにより、測定システムの合計のコストをより低くするのに役立つ。さらに、そのような素子2は360度以上、レンズ11、14を支承するクラウン4、5の全周で、測定を行うことを可能にする。
【0123】
図10は、素子2が第一クラウン4上に8つの第一レンズ11と、第二のクラウン5上に7つの第一レンズ11及びアクロマティックダブレット21と、を備えている別の実施形態を示している。
【0124】
アセンブリは、成形素子22に接続されている光学ファイバ44の中に特定の光スペクトルの光の流れを導くことができるフィルタとしてふるまうダイクロイックミラー43上で導かれる光流れ42を各々放出することができる、複数の異なる光源41もまた備えている。
【0125】
光学ファイバの使用は、素子2への熱ダメージを避け、又は光源41によって放出される熱からサンプルを避けるために、光流れを均質化し、素子2からの光源を分離するのに役立つ。
【0126】
フィルタ26は、光線とサンプル、例えば血液との間の相互作用に由来する波長に適合し得ることに注意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】