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特表2024-545288スキンケアおよび/または落ちないメイクアップのための無水組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】スキンケアおよび/または落ちないメイクアップのための無水組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/88 20060101AFI20241128BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20241128BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241128BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20241128BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20241128BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20241128BHJP
   A61Q 1/06 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61K8/88
A61K8/81
A61K8/60
A61K8/73
A61Q19/00
A61Q1/04
A61Q1/10
A61Q1/02
A61Q1/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537347
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-06-26
(86)【国際出願番号】 FR2022052427
(87)【国際公開番号】W WO2023118721
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】2114155
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500078211
【氏名又は名称】エル・ヴェ・エム・アッシュ ルシェルシュ
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(72)【発明者】
【氏名】アラール,ヴァレリー
(72)【発明者】
【氏名】ラティナ,アンヌ-ソフィー
(72)【発明者】
【氏名】ノー,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ローラン,リュディヴィーヌ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC011
4C083AC372
4C083AC421
4C083AC422
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD201
4C083AD202
4C083AD241
4C083BB46
4C083CC12
4C083CC13
4C083CC14
4C083DD11
4C083DD21
4C083DD28
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
本発明は、好ましくは固体の、無水化粧品組成物であって、生理学的に許容可能な媒体中に少なくとも:ポリアミド型脂溶性重縮合物と;該組成物のケラチン物質への付着を促進する化合物であって、特に、ビニルピロリドン(VP)および2~20炭素原子を有するアルケンコポリマー、糖エステル、好ましくはイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)、分岐デキストリンエステル、およびそれらの混合物からなる群より選択される、化合物と;加えて、オプションとして、少なくとも1つの着色物質と;を含み、7重量%未満、好ましくは5重量%以下の全ワックス含量を有することまたはワックスを含まないことを特徴とする、組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは固体の、無水化粧品組成物であって、生理学的に許容可能な媒体中に少なくとも、
ポリアミド型脂溶性重縮合物と、
該組成物のケラチン物質への付着を促進する化合物であって、特に、
ビニルピロリドン(VP)および2~20炭素原子を有するアルケンコポリマー、
糖エステル、好ましくはイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)、
分岐デキストリンエステル、
およびそれらの混合物
からなる群より選択される、化合物と、
加えて、オプションとして、少なくとも1つの着色物質と
を含み、7重量%未満、好ましくは5重量%以下の全ワックス含量を有することまたはワックスを含まないことを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記ポリアミド型脂溶性重縮合物が、エステル末端ポリアミド、第3級アミド末端ポリアミド、またはポリアルキレンオキシ末端ポリアミド、あるいはその他のエステル末端ポリ(エステルアミド)から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、C36ジアシドの、より特にリノール酸二量体の、エチレンジアミンでの縮合によって得られる少なくとも1つのエステル末端ポリアミドであって、残りの酸端部が、セチルアルコール、ステアリルアルコールまたはそれらの混合物でエステル化され、INCI名(エチレンジアミン/ダイマージリノール酸ステアリル)コポリマーを有するものを含むことを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、C36ジアシドの、より特にネオペンチルグリコールおよび水素添加リノール酸の二量体の、エチレンジアミンでの縮合によって得られるエステル末端を有する少なくとも1つのポリ(エステルアミド)であって、残りの酸端部が、ステアリルアルコールでエステル化され、INCI名ポリアミド-8を有するものを含むことを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物の総重量に対して、前記脂溶性ポリアミド重縮合物が、5~30重量%の範囲の有効物質含量で存在する組成物であること、特に、前記脂溶性ポリアミド重縮合物が、15~30重量%、好ましくは20~25重量%の範囲の有効物質含量で存在する固体組成物であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
INCI名ポリアミド-8を有するポリアミド型脂溶性重縮合物であって、好ましくは、前記組成物の総重量に対して5~30重量%、特に15~30重量%の範囲の含量である、ポリアミド型脂溶性重縮合物と、
前記組成物のケラチン物質への付着を促進する化合物であって、
ビニルピロリドン(VP)および2~20炭素原子を有するアルケンコポリマー、
糖エステル、好ましくはイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)、
およびそれらの混合物
からなる群より選択される、化合物と、
加えて、オプションとして、着色物質と
を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、1つ以上の炭化水素油、好ましくはエステル油から選択されるものを含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、抗酸化剤、香料、保存料、化粧品有効成分、フィラー、およびそれらの混合物から選択される追加の成分を更に含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、1つ以上のUVフィルターを更に含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
皮膚および/または唇のケアおよび/またはメイクアップのための液体組成物である、あるいは、皮膚および/または唇のケアおよび/またはメイクアップのための固体組成物または無水スティックである、特に、唇のための液体組成物、リップカラースティック、流体ファンデーション、スティックファンデーション、顔色補正剤もしくはコンシーラー、目蓋製品、眉毛製品、あるいはアイライナーである、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物を、ケラチン物質に、特に皮膚および/または唇、好ましくは唇に適用することを含む、ケラチン物質のケアおよび/またはメイクアップのための化粧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品分野に関し、特にケラチン物質(特に皮膚および唇)のケアおよび/またはメイクアップのための無水化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン物質上での優れた耐久力、特に皮膚または唇上での優れた耐久力を有する無水スキンケアおよびメイクアップ製品、特にいわゆる「過酷な」条件を含むあらゆる「生活条件」(高温および高湿度、汗および皮脂(温度の影響)、ならびに広範囲のマスク着用(摩擦および転移の領域を伴う))に耐える製品に対する、消費者の間の強い期待が存在する。
【0003】
長持ちするポリマー、特にシリコーン、揮発性油およびワックスの、特に固体組成物における使用が従来技術から公知であるが、特に過酷な条件において、皮膚上での耐久効果(移動しない(no migration)および/または落ちない(non-transfer:または転移しない))および/または知覚性(快適さ)は必ずしも最善でない。
【0004】
そのため、所望の化粧および知覚(快適)性に妥協することなく、改善された耐久力を有する新しい無水製品を開発することに対する要請が残っている。好都合には、固体組成物のための、少しの揮発性油を有するまたは有しない、少しのワックスを有するまたは有しない製品が求められる。
【0005】
出願人は、ポリアミド型脂溶性重縮合物と、皮膚および/または唇への製品の付着を促進する1つ以上の化合物との組合せにより、皮膚/唇上に堆積された製品膜の密着および付着特性が改善され、よって、外部応力に対する抵抗性が改善されることを実証している。驚くべきことに、この組合せにより、ポリアミド型脂溶性重縮合物/付着剤の化学的相互作用のおかげで、ポリアミド型脂溶性重縮合物単独での粘着感が制限され、脂肪相においてポリアミド型脂溶性重縮合物により形成されるアレイが損傷されない。この組合せにより、シリコーン樹脂なしで、かつ、組成物の総重量に対して7%未満のワックス含量で、無水組成物を、特に固体のものとして、処方することができる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の要旨は、好ましくは固体の、無水化粧品組成物であって、生理学的に許容可能な媒体中に少なくとも、
ポリアミド型脂溶性重縮合物と、
該組成物のケラチン物質への付着を促進する化合物であって、特に、
ビニルピロリドン(VP)および2~20炭素原子を有するアルケンコポリマー、
糖エステル、好ましくはイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)、
分岐デキストリンエステル、
およびそれらの混合物、
からなる群より選択される、化合物と、
加えて、オプションとして(または任意に)、少なくとも1つの着色物質と
を含み、7重量%未満、好ましくは5重量%以下の全ワックス含量を有することまたはワックスを含まないことを特徴とする、組成物である。
【0007】
「ケラチン物質」とは、特に皮膚および/または唇を意味する。
【0008】
また、本発明は、ケラチン物質、特に皮膚および/または唇のケアおよび/またはメイクアップのための化粧方法であって、該ケラチン物質に本発明による組成物を適用することを含む化粧方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
よって、本発明の第1の要旨は、好ましくは固体の、無水化粧品組成物であって、生理学的に許容可能な媒体中に少なくとも、
ポリアミド型脂溶性重縮合物と、
該組成物のケラチン物質への付着を促進する化合物であって、特に、
ビニルピロリドン(VP)および2~20炭素原子を有するアルケンコポリマー、
糖エステル、好ましくはイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)、
分岐デキストリンエステル、
およびそれらの混合物
からなる群より選択される、化合物と、
加えて、オプションとして、少なくとも1つの着色物質と
を含み、7重量%未満、好ましくは5重量%以下の全ワックス含量を有することまたはワックスを含まないことを特徴とする、組成物である。
【0010】
本発明の組成物は、無水組成物である。
【0011】
「無水」とは、特に、水が組成物に好ましくは意図的に添加されていないが、組成物に使用されるさまざまな化合物において微量で存在してもよいことを意味する。特に、本発明による組成物は、前記組成物の総重量に対して、水を4重量%未満、好ましくは3重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、よりさらに好ましくは0.5重量%未満で含み、あるいは水を完全に含まない。
【0012】
本発明の組成物は、液体または固体であってよい。
【0013】
第1の要旨によれば、組成物は液体である。
【0014】
本発明による「液体」は、固体組成物と称される組成物と異なり、20℃および周囲圧力(760mmHg)でその自重により流れることができる流体組成物を意味する。
【0015】
もう1つの態様によれば、組成物は、例えば下記の手順に従って粘弾性パラメータにより定義されるように、固体である。
【0016】
製品(本発明の組成物)の粘弾性パラメータは、TA Instruments社のDHR2レオメータを用いて、25℃および周囲圧力(760mmHg)にて測定される。製品のペレットを切断し、直径20mmおよびエアギャップ1mmの2つの平滑な金属板の間で堆積させる。保存係数(conservation modulus)または弾性係数G’(Pa)およびデルタ位相角(°)を、0.1Pa~10000Paの範囲で応力を増加させながらその関数として記録する。係数が一定になる、言わば変形が100Pa未満である、直線領域から、保持される値を抽出する。保存係数G’が5000Pa以上であり、および位相角が30°以下である製品を固体とみなす。
【0017】
従って、ある好ましい態様によれば、本発明の組成物は、上記の手順に従って測定して、5000Pa以上の保存係数G’およびその位相角が30°以下であること特徴とする。
【0018】
ポリアミド型ゲル化ポリマー(膜密着を促進する)
本発明による組成物は、脂肪相ゲル化剤として、少なくとも1つのポリアミド型脂溶性重縮合物を含む。
【0019】
ポリアミド型重縮合物は、水素結合型の相互作用により3次元ネットワークを形成し得、その中で脂溶性油は、酸二量体鎖に対する親和性を有する。皮膚および/または唇の表面に適用されると、外部応力(摩擦、接触等)に耐える非常に構造的なネットワークが形成され、これは、せん断後に、快適さを保持しながら迅速に変形する。それらが脂肪相に存在することで、本発明の組成物が皮膚および/または唇の表面に膜の形態で適用されたときに、該組成物に顕著に改善された耐久力が付与される。
【0020】
本発明の目的にて、用語「重縮合物(polycondensate)」は、重縮合によって、すなわち、特に酸、アルコールおよびアミン官能基から選択される、異なる官能基を有するモノマー間の化学反応によって得られるポリマーを意味する。
【0021】
本発明の目的にて、用語「ポリマー」は、少なくとも2つの繰り返し単位、好ましくは少なくとも3つの繰り返し単位、好ましくは10以上の繰り返し単位を有する化合物を意味する。
【0022】
本明細書の残りにおいて、「ポリアミドポリマー」または「ポリアミド重縮合物」または「脂溶性ポリアミド重縮合物」または「ポリアミド型脂溶性重縮合物」または「ポリアミド型の脂溶性ゲル化ポリマー」は差がないものとみなす。
【0023】
本発明の組成物において脂肪相ゲル化剤として使用可能なポリアミド型重縮合物は、好ましくは、エステル末端ポリアミド、第3級アミド末端ポリアミド、またはポリアルキレンオキシ末端ポリアミド、あるいはその他のエステル末端ポリ(エステルアミド)から選択される。
【0024】
本発明の文脈において、本発明による組成物は、好都合には、少なくとも1つのエステル末端ポリアミドおよび/または1つのエステル末端ポリ(エステルアミド)を含む。
【0025】
本発明の第1の好ましい態様によれば、組成物は、C36ジアシドの、より特にリノール酸二量体(ジリノール酸とも称される)の、エチレンジアミンでの縮合によって得られる少なくとも1つのエステル末端ポリアミドであって、残りの酸端部が、セチルアルコール(C16)、ステアリルアルコール(C18)またはそれらの混合物でエステル化されたものを含む。これにより得られるコポリマーは、INCI名(エチレンジアミン/ダイマージリノール酸ステアリル)コポリマー(ETHYLENEDIAMINE/STEARYL DIMER DILINOLEATE COPOLYMER)を有する。これは特に、ARIZONA CHEMICAL社により商品名UNICLEAR 80およびUNICLEAR 100 VGで販売され、それぞれ鉱物油中の(有効物質で)80%および(有効物質で)100%のゲルの形態である。
【0026】
また、かかる混合物は、CRODA社により商品名OLEOCRAFT LP-10-PA-(MV)で販売され、それぞれ保存料を有して(有効物質で)99.7%である。これらは88℃~94℃の軟化点を有する。その重量平均分子量は、好ましくは6000であり、より好ましくは4000である。
【0027】
本発明の第2の特に好ましい態様によれば、組成物は、C36ジアシドの、より特にネオペンチルグリコールおよび水素添加リノール酸の二量体(水素添加ジリノール酸とも称される)の、エチレンジアミンでの縮合によって得られるエステル末端を有する少なくとも1つのポリ(エステルアミド)であって、残りの酸端部が、ステアリルアルコール(C18)でエステル化されたものを含む。
【0028】
これにより得られるコポリマーは、エチレンジアミンビスステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリルジベンゾエート二量体コポリマーであり、INCI名ポリアミド-8である。
【0029】
INCI名ポリアミド-8を有するコポリマーは、例えば、CRODA社より名称OLEOCRAFT LP-20で市販されている。
【0030】
一般的に、下記に説明するようなポリマーは、ポリマーの混合物の形態であり、これら混合物は、ジエステルに対応する合成生成物も含み得る。
【0031】
上述したもののうち脂溶性ゲル化剤の混合物は、例えば、エステル末端ポリ(エステルアミド)およびポリアルキレンオキシ末端ポリアミドであって、分子量が約4500~30000ダルトン(Da)のものの混合物である。
【0032】
ある態様によれば、本発明に使用されるポリアミド型脂溶性重縮合物は、組成物中に、組成物の総重量に対する有効物質の量で5~30重量%の範囲で存在する。
【0033】
ある態様によれば、特に本発明による液体組成物の場合、本発明により使用されるポリアミド型脂溶性重縮合物は、組成物中に、組成物の総重量に対する有効物質の量で5~20重量%、特に5~15重量%の範囲で存在する。
【0034】
もう1つのある態様によれば、特に本発明による固体組成物の場合、本発明により使用されるポリアミド型脂溶性重縮合物は、組成物中に、組成物の総重量に対する有効成分の量で15~30重量%、好ましくは20~25重量%の範囲で存在する。
【0035】
本発明のある態様によれば、組成物は、皮膚上での膜の付着を促進する脂溶性コゲル化剤を含まない。特に、組成物は、シリコーン樹脂を含まない。
【0036】
皮膚および/または唇上での膜の付着を促進する化合物
本発明の組成物は、皮膚および/または唇への良好な付着特性を有する1つ以上の化合物であって、脂肪相に分散可能で、ポリマー性または非ポリマー性で、上述の脂溶性ポリアミド重縮合物と区別されるものを含む。
【0037】
本発明によるケラチン物質への組成物の付着を促進するこの化合物(あるいは「付着性化合物」と称される)は、皮膚および/または唇への一日中の最善の付着を保証できる。
【0038】
ある態様によれば、皮膚および/または唇への膜の付着を促進するこの化合物は、下記の手順によって規定されるように、付着作用測定(adhesion work measurement)を特徴とする。
【0039】
原料(例えばポリマー)の付着作用は、室温(22℃±2℃)および周囲圧力(760mmHg)にて、「デルリンフィンガー(Delrin finger)」法と称される方法を用いて測定される。使用される装置は、Stable Micro SystemsによるTAXT Plus texturometerである。この方法は、直径12.7mmのポリオキシメチレン(デルリン)シリンダー(その端部において円形である)を、直径6cmおよび高さ4cmで、テストされる原料(例えばポリマー)が充填されたポットに挿入することから成る。挿入深さは13mmで、スピードは2mm/秒である。挿入の最後に、シリンダーを2mm/秒のスピードで取り出す。
【0040】
シリンダーの除去に対する抵抗力を、シリンダーに入れたポリマーが完全に開放されるまで(測定力がゼロに戻ることに対応する)測定する。計算される付着作用は、N/mmで表現され、横軸の下の全面積に対応する。
【0041】
よって、本発明の文脈において、使用は、皮膚および/または唇への膜の付着を促進する化合物であって、例えば上述の手順によって測定される、2N/mm以上、好ましくは4N/mm以上、5N/mm~35N/mmまたはさらに7N/mm~30N/mmの範囲の付着作用を有する化合物によってなされる。
【0042】
特に、上述の手順に従って測定される付着作用を有する以下の付着ポリマーに言及がなされ得る:
UNIMER U1946(VP/ヘキサデセンコポリマー、INCI名:VP/ヘキサデセンおよびオクチルドデカノール):7.7N/mm
CGT-UNIFILMA HVY(85%)(イソステアリン酸デキストリン):20.7N/mm
EASTMAN SUSTANE SAIB(イソ酪酸酢酸スクロース):24.2N/mm
【0043】
よって、本発明のある態様によれば、ケラチン物質への膜の付着性を促進する前記化合物は、以下の群から選択される:
ビニルピロリドン(VP)および2~20の炭素原子を有するアルケンコポリマー、
糖エステル、好ましくはイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)、
分岐デキストリンエステル
およびそれらの混合物。
【0044】
ビニルピロリドン(VP)およびアルケンコポリマー
第1の態様によれば、本発明の組成物は、ビニルピロリドン(VP)および2~20炭素原子を有するアルケンコポリマー、例えばVP/エイコセン、VP/ヘキサデセン、VP/スチレンのコポリマーなどから選択されるポリマーを含む。
【0045】
ある好ましい態様によれば、本発明の組成物は、VP/ヘキサデセンコポリマー、例えばINCI名VP/ヘキサデセンおよびオクチルドデカノールを有するもの、名称UNIMER U-1946で市販されているものを含む。
【0046】
ビニルピロリドンおよび2~20炭素原子を有するアルケンコポリマー(単数または複数)、特にVP/ヘキサデセンコポリマーは、組成物中に、組成物の総重量に対して、合計含量で2~20重量%、特に5~15重量%で存在する。
【0047】
糖エステル
もう1つのある態様によれば、本発明の組成物は、糖エステル、特にEASTMAN社より名称EASTMAN SUSTANE SAIBで市販されるイソ酪酸酢酸スクロースから選択される、膜の付着性を促進する化合物を含む。この化合物は、スクロースと無水酢酸およびイソ酪酸無水物との反応、その後の真空蒸留による広範な精製という公知技術により調製され得る。エステル化の程度は、ほぼ完全(最大置換度8に対して7.5を超える置換度)であり、アセテート:イソ酪酸エステル比は2:6である。米国特許第3,096,324号は、SAIBの調製の例を提供する。
【0048】
糖エステル(単数または複数)、特にイソ酪酸酢酸スクロースは、組成物中に、組成物の総重量に対して2~20重量%、特に5~15重量%の範囲の全含量で存在する。
【0049】
分岐デキストリンエステル
もう1つのある態様によれば、本発明の組成物は、分岐デキストリンエステルから選択される、ケラチンに対する膜の付着性を促進する化合物を含む。
【0050】
本発明による分岐デキストリンエステルは、1つのエステル化鎖、または同じもしくは異なっていてよいいくつかのエステル化鎖を含み得る。例えば、いくつかの同じまたは異なる脂肪酸でエステル化されたデキストリンであってよい。これらデキストリンエステルは、常套的なエステル化方法を用いて調製され得る。
【0051】
ある態様によれば、分岐デキストリンエステルは、デキストリンが3~150の平均グルコース重合度を有するデキストリンエステル;および、脂肪酸が4~26炭素原子を有する1つ以上の飽和分岐脂肪酸を(脂肪酸の総重量に基づいて)50~100モル%で、および1つ以上の他の脂肪酸を(脂肪酸の総重量に基づいて)0~50モル%未満で含むデキストリンエステルであって、該他の脂肪酸が、2~22炭素原子を有する飽和直鎖脂肪酸、6~30炭素原子を有する不飽和直鎖または分岐脂肪酸、および6~30炭素原子を有する環式、飽和または不飽和脂肪酸から成る群より選択される、デキストリンエステル;および、脂肪酸によるデキストリンの置換度がグルコース単位当たり1.0~3.0であるデキストリンエステルである。
【0052】
かかるデキストリンエステルは、特に、欧州出願第2537865号に記載される。
【0053】
好ましい態様によれば、分岐デキストリンエステルは、イソステアリン酸デキストリン、イソアラキジン酸デキストリン、イソパルミチン酸デキストリン、イソノナン酸デキストリン、ならびにそれらの混合物から選択される。好ましくは、分岐デキストリンは、イソステアリン酸デキストリンである。
【0054】
市販の化合物のなかで、Chiba Flour Milling Co.社により市販されるイソステアリン酸デキストリンUNIFILMA HVYについて言及がなされ得る。
【0055】
1つの態様によれば、分岐デキストリンエステルは、組成物中に、組成物の総重量に対して2~20重量%、特に5~15重量%の範囲の含量で存在する。
【0056】
ある態様によれば、本発明の組成物は、例えばEASTMAN社より名称EASTMAN SUSTANE SAIBで市販されているような、少なくとも1つのイソ酪酸酢酸スクロースを含む。
【0057】
もう1つのある態様によれば、本発明の組成物は、少なくとも1つの分岐デキストリンエステルを含む。
【0058】
もう1つのある態様によれば、本発明の組成物は、少なくとも1つの糖エステルと、ビニルピロリドン(VP)およびアルケンコポリマーとを含む。
【0059】
よって、ある態様によれば、本発明の組成物は、
INCI名ポリアミド-8を有するポリアミド型脂溶性重縮合物であって、好ましくは、前記組成物の総重量に対して5~30重量%、特に15~30重量%の範囲の含量である、ポリアミド型脂溶性重縮合物と、
前記組成物のケラチン物質への付着を促進する化合物であって、
ビニルピロリドン(VP)および2~20の炭素原子を有するアルケンコポリマー、
糖エステル、好ましくはイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)、
およびそれらの混合物
からなる群より選択される、化合物と、
加えて、オプションとして、着色物質と
を含む。
【0060】
ある態様によれば、本発明の組成物は、
ポリアミド型脂溶性重縮合物であって、特に、組成物の総重量に対する有効物質含量が5~30重量%、好ましくは15~30重量%、特に20~25重量%である、ポリアミド型脂溶性重縮合物と、
VP/ヘキサデセンコポリマーであって、特に、組成物の総重量に対して2~20重量%、特に5~15重量%の範囲の含量である、VP/ヘキサデセンコポリマーと
を含む。
【0061】
好ましくは、このある態様において、INCI名ポリアミド-8を有するポリアミド型脂溶性重縮合物が使用される。
【0062】
もう1つのある態様によれば、本発明の組成物は、
ポリアミド型脂溶性重縮合物であって、特に、組成物の総重量に対して5~30重量%、好ましくは15~30重量%、特に20~25重量%の範囲の含量である、ポリアミド型脂溶性重縮合物と、
イソ酪酸酢酸スクロースであって、特に、組成物の総重量に対して2~20重量%、特に5~15重量%の範囲の含量である、イソ酪酸酢酸スクロースと
を含む。
【0063】
好ましくは、このある態様において、INCI名ポリアミド-8を有するポリアミド型脂溶性重縮合物が使用される。
【0064】
ある態様によれば、本発明の組成物は、
ポリアミド型脂溶性重縮合物であって、特に、組成物の総重量に対して5~30重量%、好ましくは15~30重量%、特に20~25重量%の範囲の含量である、ポリアミド型脂溶性重縮合物と、
VP/ヘキサデセンコポリマーであって、特に、組成物の総重量に対して2~20重量%、特に5~15重量%の範囲の含量である、VP/ヘキサデセンコポリマーと、
イソ酪酸酢酸スクロースであって、特に、組成物の総重量に対して2~20重量%、特に5~15重量%の範囲の含量である、イソ酪酸酢酸スクロースと
を含む。
【0065】
好ましくは、このある態様において、INCI名ポリアミド-8を有するポリアミド型脂溶性重縮合物が使用される。
【0066】
油性相
本発明の化粧品組成物は、脂肪または油性相を含む。
【0067】
「油性相(oily phase)」とは、油または互いに適合性(または相溶性)の複数の油の混合物を意味する。
【0068】
「油」は、本発明の範囲において、脂肪物質で、水に溶けず、25℃および大気圧で液体であるものを意味する。
【0069】
本発明の組成物は、7重量%未満、特に5重量%以下、好ましくは2重量%以下のワックス含量を含み、あるいはワックスを含まない。
【0070】
本発明の組成物が1つ以上のワックスを組成物の7重量%未満の含量で含む場合、前記ワックスは、天然由来のワックス、特に植物由来のワックスから選択される。
【0071】
天然由来のワックスは、ビーズワックス(または蜜ろう)、カルバナワックス、キャンデリラワックスを含む。
【0072】
ある態様によれば、本発明の組成物は、5%未満のシリコーン油、特に2%未満のシリコーン油を含み、あるいはシリコーン油を含まない。
【0073】
好ましくは、本発明の組成物は、5重量%未満の揮発性油、特に2重量%未満の揮発性油を含み、あるいは揮発性油を含まない。
【0074】
よって、好ましくは、本発明の組成物は、ワックス、シリコーン油または揮発性油を含まない。
【0075】
組成物の油性相は、植物由来の炭化水素油、合成C10~C40エーテル、合成C10~C40エステル、C12~C26脂肪アルコール、より高いC12~C22脂肪酸およびそれらの混合物から選択される少なくとも不揮発性炭化水素油を含み得る。
【0076】
ある態様によれば、組成物は、好ましくはエステル油から選択される、1つ以上の炭化水素油を含み得る。
【0077】
「エステル油」のなかで、特に下記への言及がなされ得る:
脂肪酸エステルであって、特に4~22炭素原子の脂肪酸エステル;
合成エステルであって、例えば式RCOOR(式中、Rは4~40炭素原子を含む直鎖または分岐脂肪酸の残基を表し、Rは4~40炭素原子を含有する、特に分岐の、炭化水素鎖を表し、R+R≧16である)の油であるもの、例えば、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-ヘキシルエチル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、安息香酸2-オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリル酸ヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、スクシン酸2-ジエチルヘキシルであるもの;
総炭素数が35~70の範囲の直鎖脂肪酸のエステル;
ヒドロキシル化エステル、好ましくは総炭素数が35~70のもの、例えば、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ステアリン酸グリセリル、ジイソノナン酸ジエチレングリコールであるもの;
芳香族酸と4~22原子を有するアルコールとのエステル;
脂肪アルコールまたはC24~C28分岐脂肪酸のエステル;
少なくとも1つのヒドロキシル化カルボキン酸のトリグリセリドの脂肪族モノカルボン酸とのおよび脂肪族ジカルボン酸(オプションとして不飽和であってよい)とのエステル化によって得られるポリエステル;
およびそれらの混合物。
【0078】
ある態様によれば、本発明の組成物は、合成エステル、ヒドロキシル化エステルおよびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つのエステル油を含み得る。
【0079】
ある好ましい態様によれば、組成物は、少なくとも1つのヒドロキシル化エステルを含む。
【0080】
ある態様によれば、組成物は、別々のファミリーからの少なくとも2つのエステル油、特に合成エステルファミリーからの油と、ヒドロキシル化エステルファミリーからの油とを含む。本発明による組成物中に存在する油の合計重量は、組成物の総重量に対して、一般的に35~65重量%、好ましくは40~60重量%の範囲にある。
【0081】
ある態様によれば、組成物は、上記で定義される1つ以上のエステル油を、組成物の総重量に対して35~65重量%、好ましくは40~60重量%の範囲の合計含量で含む。
【0082】
また、油性相は、植物性樹脂、特にキャンデリラ樹脂、カルナウバ樹脂、およびロジン酸塩からなる群より選択されるものを含み得る。
【0083】
ある態様によれば、キャンデリラ樹脂が使用され得る。
【0084】
特に、Japan natural products Co.,Ltd.社より名称CANDELILLA RESIN E2で市販されるキャンデリラ樹脂への言及がなされ得る。
【0085】
着色物質
本発明のある態様によれば、特にティント(または染められた)ケア組成物またはメイクアップ組成物において、組成物は、少なくとも1つの着色物質を含む。
【0086】
本発明の意味における着色物質は、適切な化粧品媒体中に十分な量で処方されるときに、着色された光学効果を生成し得る化合物を意味する。
【0087】
着色物質は、本発明の油性相に可溶性または不溶性である、有機または無機着色物質、光学効果を有する物質、およびそれらの混合物から選択され得る。
【0088】
ある態様によれば、着色物質は、特に、鉱物色素、有機色素およびそれらの混合物から選択される。
【0089】
色素は、白色または色付きの、鉱物または有機粒子であって、水性溶液に不溶のもので、得られる堆積物(deposit)を着色または不透明にするよう意図されるものを意味する。鉱物色素、有機色素、および複合色素(言わば、鉱物および/または有機物質に基づく色素)が言及され得る。
【0090】
「鉱物色素」のうち、例として、二酸化チタン(ルチルまたはアナターゼ)(表面処理されていてよい);黒、黄、赤および茶色の鉄酸化物;マンガンバイオレット;ウルトラマリンブルーの酸化クロム、クロム水和酸化物、およびフェリック(ferric)ブルーについて言及がなされ得る。
【0091】
唇への使用が意図される組成物では、二酸化チタンが言及され得、例として、黒、黄、赤および茶色の鉄酸化物ならびにマンガンバイオレットが挙げられる。
【0092】
「有機色素」のうち、例えば、色素D&C Red No.19;D&C Red No.9;D&C Red No.22;D&C Red No.21;D&C Red No.28;D&C Yellow No.6;D&C Orange No.4;D&C Orange No.5;D&C Red No.27;D&C Red No.13;D&C Red No.7;D&C Red No.6;D&C Yellow No.5;D&C Red No.36;D&C Red No.33;D&C Orange No.10;D&C Yellow No.6;D&C Red No.30;D&C Red No.3;D&C Blue No.1;カーボンブラックおよびラッカーについて言及がなされ得る。
【0093】
特に、着色物質は、組成物中に、組成物の総重量に対して2~20重量%、好ましくは3~15重量%の範囲の含量で存在する。
【0094】
ある方法によれば、着色物質の合計重量は、組成物の重量に対して2~10重量%の範囲にあり得る。
【0095】
他の追加の成分
本発明の組成物は、抗酸化剤、香料、保存料(または防腐剤)、化粧品有効成分、フィラーおよびそれらの混合物から選択される少なくとも1つの追加の成分を更に含み得る。
【0096】
ある態様によれば、組成物は、フィラーを含まず、あるいは組成物の総重量に対して5重量%以下、特に2重量%以下、または1重量%以下の含量であり得る。
【0097】
ある態様によれば、組成物は、1つ以上のUVフィルターを更に含む。UVフィルター(単数または複数)は、無機UVフィルター、有機UVフィルターおよびそれらの混合物から選択され得る。
【0098】
「無機UVフィルター」は、一般的に、チタン、亜鉛、鉄、ジルコニウム、セリウムの酸化物またはそれらの混合物から選択される金属酸化物色素である。
【0099】
「無機UVフィルター」は水溶性または脂溶性であってよい。
【0100】
ある態様によれば、本発明のソーラー(または太陽光線を利用した)組成物は、酸化チタン、酸化亜鉛およびそれらの混合物から選択される無機UVフィルターならびに脂溶性有機UVフィルターを含む。
【0101】
ガレノス製剤(GALENIC)
本発明の組成物は、無水組成物である。
【0102】
組成物は、液体または固体であってよく、好ましくは固体である。
【0103】
これは、唇のための液体組成物、リップスティック、流体ファンデーション、スティックファンデーション、顔色補正剤もしくはコンシーラー、目蓋製品、眉毛製品あるいはアイライナーであってよい。
【0104】
第1の態様によれば、組成物は、無水の皮膚および/または唇ケア組成物である。
【0105】
もう1つの態様によれば、組成物は、皮膚および/または唇のための無水化粧品組成物であり、特に唇のための液体組成物、流体ファンデーション、ファンデーションスティック、顔色補正剤もしくはコンシーラー、目蓋製品、眉毛製品、アイライナーあるいはリップスティック(リップカラースティック)である。
【0106】
もう1つの態様によれば、組成物は、日焼け止め製品である。
【0107】
ある態様によれば、組成物は、皮膚および/または唇のためのケアおよび/またはメイクアップのための液体組成物、特に皮膚のための流体ファンデーションまたは唇のための液体組成物である。
【0108】
本発明のもう1つのある態様によれば、組成物は、皮膚および/または唇のケアおよび/またはメイクアップのためのスティックの形態の、特に皮膚のためのスティック(例えば、スティックファンデーション、顔色補正剤、目蓋スティック、アイブローペンシル、アイペンシル)またはリップスティック(例えばリップカラースティック)である固体組成物である。
【0109】
好ましくは、これはリップカラースティックまたはスティックファンデーションであり得る。
【0110】
ある態様によれば、組成物は、液体無水組成物であって、
・ポリアミド型脂溶性重縮合物であって、特に、組成物の総重量に対して5~30重量%、好ましくは5~20重量%およびより優れては5~15重量%の範囲の含量で存在する、ポリアミド型脂溶性重縮合物と、
・化合物であって、下記:
ビニルピロリドン(VP)および2~20炭素原子を有するアルケンコポリマー、
糖エステル、好ましくはイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)、
およびそれらの混合物、
から成る群より選択される化合物と、
・色素と
を含み、該組成物の総重量に対して35~65重量%の範囲の合計含量で1つ以上のエステル油を含むことを特徴とする。
【0111】
ある態様によれば、組成物は、液体無水組成物であって、
・ポリアミド型脂溶性重縮合物であって、特に、組成物の総重量に対して5~30重量%、好ましくは5~20重量%およびより優れては5~15重量%の範囲の含量で存在する、ポリアミド型脂溶性重縮合物と、
・イソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)、オプションとして、ビニルピロリドン(VP)および2~20炭素原子を有するアルケンコポリマーを伴ってよい、SAIBと、
・色素と
を含む、液体無水組成物である。
【0112】
もう1つのある態様によれば、組成物は、固体無水組成物であって、
・ポリアミド型脂溶性重縮合物であって、特に、組成物の総重量に対して15~30重量%の範囲の含量で存在する、ポリアミド型脂溶性重縮合物と、
・糖エステル、好ましくはイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)またはデキストリンエステル、好ましくはイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)と、
・ビニルピロリドン(VP)および2~20炭素原子を有するアルケンコポリマーと、
・色素と
を含む、固体無水組成物である。
【0113】
もう1つのある態様によれば、組成物は、固体無水組成物であって、
・ポリアミド型脂溶性重縮合物であって、特に、組成物の総重量に対して15~30重量%の範囲の含量で存在する、ポリアミド型脂溶性重縮合物と、
・化合物であって、下記:
エステル、好ましくはイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)およびデキストリンエステル、
好ましくはイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)
からなる群より選択される化合物と
を含む、固体無水組成物である。
【0114】
ある態様によれば、組成物は、固体無水組成物であって、
・ポリアミド型脂溶性重縮合物であって、組成物の総重量に対して15~30重量%の範囲の含量で存在する、ポリアミド型脂溶性重縮合物と、
・化合物であって、下記:
ビニルピロリドン(VP)および2~20炭素原子を有するアルケンコポリマー、
糖エステル、好ましくはイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)、
およびそれらの混合物
からなる群より選択される化合物と、
・色素と
を含む、固体無水組成物である。
【0115】
ある態様によれば、組成物は、固体無水組成物であって、
・ポリアミド型脂溶性重縮合物であって、特に、組成物の総重量に対して15~30重量%の範囲の含量で存在する、ポリアミド型脂溶性重縮合物と、
・化合物であって、下記:
ビニルピロリドン(VP)および2~20炭素原子を有するアルケンコポリマー、
糖エステル、好ましくはイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)、
およびそれらの混合物
からなる群より選択される化合物と、
・色素と
を含む、固体無水組成物であり、該組成物の総重量に対して35~65重量%の範囲の合計含量で1つ以上のエステル油を含むことを特徴とする。
【0116】
ある態様によれば、組成物は、固体無水組成物であって、
・ポリアミド型脂溶性重縮合物であって、特に、組成物の総重量に対して15~30重量%の範囲の含量で存在する、ポリアミド型脂溶性重縮合物と、
・イソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)、オプションとして、ビニルピロリドン(VP)および2~20炭素原子を有するアルケンコポリマーを伴ってよい、SAIBと、
・色素と
を含む、固体無水組成物である。
【0117】
化粧方法
また、本発明は、ケラチン物質のケアおよび/またはメイクアップのための化粧方法であって、本発明による無水組成物の、該ケラチン物質、特に皮膚および/または唇、好ましくは唇への適用を含む化粧方法に関する。
【0118】
特に、本発明の無水組成物は、生理学的に許容可能な媒体中に、
ポリアミド型脂溶性重縮合物、特に、組成物の総重量に対して5~30重量%、好ましくは15~30重量%の範囲の含量で存在する、ポリアミド型脂溶性重縮合物と、
化合物であって、下記:
ビニルピロリドン(VP)および2~20の炭素原子を有するアルケンコポリマー、
糖エステル、好ましくはイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)、
およびそれらの混合物
からなる群より選択される、化合物と、
色素と
を含む。
【0119】
好ましくは、ポリアミド型脂溶性重縮合物(INCI名ポリアミド-8)が使用される。
【0120】
上述のある態様は、本発明による化粧方法に使用され得るメイクアップ組成物を説明する。
【0121】
ある態様によれば、皮膚に適用される組成物は、スキンケアおよび/またはメイクアップ組成物であり、特に、流体またはスティックファンデーションである。
【0122】
もう1つのある態様によれば、唇に適用される組成物は、液体または固体のリップメイクアップ組成物であり、好ましくは固体リップメイクアップ組成物、特にリップスティックである。
【0123】
本発明による方法は、特に、皮膚および/または唇に、落ちない組成物の膜(またはフィルム)を堆積させることを意図した、皮膚および/または唇をケアおよび/またはメイクアップするための方法である。
【0124】
本発明を以下の非限定的な例において説明する。%は、特に断りのない限り、組成物の総重量に対する重量%で表現される。
【実施例
【0125】
実施例1:本発明による無水リップカラースティック組成物の、光沢および膜の付着力および/または落ちない観点に対する、ワックス(カルナウバワックスおよび個々に微結晶ワックス)の添加による負の効果
本発明に従って無水スティック組成物を、および比較組成物(それぞれカルナウバワックス(植物油)および微結晶(microcrystalline:またはマイクロクリスタリン)ワックス(合成ワックス)の含量(7%および10%)を添加した)を調製した。
【0126】
【表1】
【0127】
処方物を下記の方法に従って調製した。
【0128】
連続油相(ワックスを含む)の成分をメインビーカー中に計量する。
【0129】
そして、混合物をウォーターバスで90℃まで加熱し、均質な透明相が得られるまでRayneriで分散させる。
【0130】
色素をカプセル中に計量し、メインビーカーに添加し、15分間混合する。
【0131】
得られる組成物は固体である。
【0132】
そして、処方物を、一方では、本発明の組成物の膜および光沢(shine:または輝き)の耐久力(staying power)について評価し、他方では、耐久力(落ちない(non-transfer))観点について評価した。
【0133】
膜および光沢耐久力(Film and shine staying power)
よって、処方物を本発明の組成物の膜および光沢の耐久力について、以下の手順に従って、専門家のパネルによって評価した。
・各処方物を半分の唇に、本発明の処方物を左側部分に、比較の処方物を右側部分に適用する。
・処方物が適用された唇の写真を、適用直後、T+2時間後、食後T+4時間後に撮影した。
・本発明の処方物(コントロール)と比べた比較組成物の膜および光沢の耐久力についてのワックスの添加の効果を、専門家により、下記の注釈を割り当てて評価した:
+:本発明の処方物に比べて、比較処方物の耐久力が著しく向上している
-:本発明の処方物に比べて、比較処方物の耐久力が著しく劣っている
0:処方物の耐久力に影響なし(コントロールと同じ)
【0134】
評価の結果を以下の表に示す:カルナウバワックスと微結晶ワックスとで同じ結果が観察された。
【0135】
7%カルナウバワックス(比較1)または7%微結晶ワックス(比較3)
【表2】

7%ワックス(カルナウバまたは微結晶)では耐久力および光沢に影響なし
【0136】
10%カルナウバワックス(比較2)または10%微結晶ワックス(比較4)
【表3】

膜の耐久力および直後の光沢に負の影響。粘着性の追加
【0137】
結果は、組成物の総重量に対して10重量%のカルナウバワックスまたは微結晶ワックスの追加が、本発明の組成物の膜の強さおよび光沢に対して負の影響を有することを示す。
【0138】
耐久力観点(落ちない)
同時に、以下の手順(「キス」テスト)に従って耐久力観点(落ちない)について処方物を評価した。
【0139】
これは、唇を組成物で(本発明および比較を半分で)メイクアップし、15分後に紙のシートにキスすることからなる。
【0140】
そして、各組成物(本発明および比較)の紙への転移を評価できる。
【0141】
各処方物の転移が目視観察により評価され、評価段階が割り当てられる。
0:転移なし(または落ちない)
-:軽い転移
--:平均的な転移
---:大きな転移
【0142】
結果を以下の表4に示す。
【表4】
【0143】
これらの結果は、カルナウバワックスまたは微結晶ワックス(組成物中にて7重量%または10重量%)の添加により、組成物の耐久力(落ちない)特性を低減させることを示す。
【0144】
従って、これら全ての結果に基づいて、膜耐久力および光沢における優れた性能の一方で、優れた落ちない特性のために、所望の落ちない特性を変えることなく、本発明の組成物中にて、存在する場合には少量のワックスを、いずれのケースでも7重量%未満のワックスの合計含量で使用できる。
【0145】
実施例2:処方物
2-1 落ちないリップカラースティック
【表5】
【0146】
組成物が、実施例1に記載されるように調製される。
【0147】
唇に適用されると、組成物は快適な膜を堆積し、これは膜および光沢の非常に優れた耐久力を有し、落ちない。
【0148】
2-2 落ちないリップスティック
【表6】
【0149】
もう1つの別の実施例において、VP/ヘキサデセンコポリマー(UNIMER U-1946)が、均等な成分であるイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB100)を置換する。
【0150】
組成物が、実施例1に記載されるように調製される。
【0151】
唇に適用されると、組成物は快適な膜を堆積し、これは膜および光沢の非常に優れた耐久力を有し、落ちない。
【国際調査報告】