(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】電流センサ
(51)【国際特許分類】
G01R 15/20 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
G01R15/20 C
G01R15/20 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537524
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-08-13
(86)【国際出願番号】 CN2022132433
(87)【国際公開番号】W WO2023116277
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202111569931.X
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514116947
【氏名又は名称】江▲蘇▼多▲維▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】MULTIDIMENSION TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building D & E, No.2 Guangdong Road,Zhangjiagang Free Trade Zone,Zhangjiagang,Jiangsu,215634 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ミンフォン
(72)【発明者】
【氏名】シー、ラン
(72)【発明者】
【氏名】シュエ、ソンション
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA00
2G025AB01
2G025AB04
2G025AC01
(57)【要約】
電流センサは、それぞれ同じ方向で配置された第1の電流シャント用銅バー(11)、第2の電流シャント用銅バー(21)、および差動銅バー(31)で構成された、被測定電流入力構成要素と、基板(51)および基板(51)上に固定された磁気誘導モジュール(41)で構成された、信号出力構成要素とを備える。信号出力構成要素は、上記電流入力構成要素から電気的に絶縁される。被測定電流は、第1の電流シャント用銅バー(11)、第2の電流シャント用銅バー(21)、および差動銅バー(31)に直交する断面を通って流れ、磁気誘導モジュール(41)の位置に磁場を生成する。磁気誘導モジュール(41)は、第1の磁気誘導ユニット(411)および第2の磁気誘導ユニット(421)を少なくとも備える。2つの磁気誘導ユニット(411、412)は、差動銅バー(31)と第1の電流シャント用銅バー(11)との間に位置し、上記電流入力構成要素によって生成されるディファレンシャル・モード磁場を差動式で感知し、差動電圧信号を生成して電流センサの出力信号を形成する。したがって、この電流センサの利点の高精度、調節可能、および大電流測定範囲が実現される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流センサであって、
第1の電流シャント用銅バー、第2の電流シャント用銅バー、および該第1の電流シャント用銅バーと該第2の電流シャント用銅バーとの間に配置された差動銅バーで構成され、該第1の電流シャント用銅バー、該第2の電流シャント用銅バー、および該差動銅バーが同じ方向に配置された、被測定電流入力構成要素と、
該被測定電流入力構成要素から電気的に絶縁され、磁気誘導モジュールおよび基板を備え、該磁気誘導モジュールが該基板上に固定された、信号出力構成要素とを備え、
被測定電流が、該第1の電流シャント用銅バー、該第2の電流シャント用銅バー、および該差動銅バーに直交する断面を通って流れ、該磁気誘導モジュールの位置に磁場を生成し、
該磁気誘導モジュールが、第1の磁気誘導ユニットおよび第2の磁気誘導ユニットを少なくとも備え、該第1の磁気誘導ユニットおよび該第2の磁気誘導ユニットが該差動銅バーと該第1の電流シャント用銅バーとの間に位置し、該第1の磁気誘導ユニットおよび該第2の磁気誘導ユニットが、該被測定電流入力構成要素によって生成されるディファレンシャル・モード磁場を差動式で感知し、差動電圧信号を生成して該電流センサの出力信号を形成する、電流センサ。
【請求項2】
前記第1の磁気誘導ユニットおよび前記第2の磁気誘導ユニットが同じ水平面上に配設され、該水平面が、前記基板が位置する面に平行であり、
前記基板が位置する該面に直交する方向で、前記基板が位置する該面上における前記差動銅バーの垂直投影が、前記第1の磁気誘導ユニットをカバーし、前記第2の磁気誘導ユニットとは重なり合わず、
前記基板が位置する該面に直交する方向で、前記基板が位置する該面上における前記第1の電流シャント用銅バーの垂直投影が、前記第1の磁気誘導ユニットおよび前記第2の磁気誘導ユニットをカバーし、前記基板が位置する該面上における前記第2の電流シャント用銅バーの垂直投影が、前記第1の磁気誘導ユニットおよび前記第2の磁気誘導ユニットをカバーすることを特徴とする、請求項1に記載の電流センサ。
【請求項3】
前記第1の磁気誘導ユニットの感度方向および前記第2の磁気誘導ユニットの感度方向が、前記第1の磁気誘導ユニットの位置で前記差動銅バーを介して前記被測定電流によって生成される前記磁場の方向と同じかまたは反対であることを特徴とする、請求項2に記載の電流センサ。
【請求項4】
ハウジングをさらに備え、前記被測定電流入力構成要素および前記信号出力構成要素が両方とも、該ハウジング内部に固定的に配設される、請求項1に記載の電流センサ。
【請求項5】
前記差動銅バーが前記基板内部に配設されることを特徴とする、請求項1に記載の電流センサ。
【請求項6】
前記第1の磁気誘導ユニットが1つの磁気抵抗ブリッジ・アームを少なくとも備え、前記第2の磁気誘導ユニットが1つの磁気抵抗ブリッジ・アームを少なくとも備え、
前記第1の磁気誘導ユニットの該磁気抵抗ブリッジ・アームおよび前記第2の磁気誘導ユニットの該磁気抵抗ブリッジ・アームが電気的に接続されて、差動半ブリッジ構造または差動フル・ブリッジ構造を形成し、
すべての磁気抵抗ブリッジ・アームが同じ感度方向を有し、該磁気抵抗ブリッジ・アームが、少なくとも1つの磁気抵抗感知素子を直列および並列で接続することによって形成されることを特徴とする、請求項1に記載の電流センサ。
【請求項7】
開ループ信号調整回路をさらに備え、該開ループ信号調整回路が、前記差動電圧信号に対して調整および増幅、温度補償、ならびに直線性補正を実施し、あるいは、
閉ループ信号調整回路および磁場フィードバック・コイルをさらに備え、該閉ループ信号調整回路、該磁場フィードバック・コイル、前記第1の磁気誘導ユニット、および前記第2の磁気誘導ユニットが閉ループ磁場フィードバック構造を構築し、
該閉ループ信号調整回路によって増幅された後、前記差動電圧信号が該磁場フィードバック・コイルを通ってフィードバック磁場を生成して、前記ディファレンシャル・モード磁場を逆方向にオフセットし、前記磁場の動的平衡が達成されると、前記第1の磁気誘導ユニットおよび前記第2の磁気誘導ユニットが等しいコモン・モード磁場動作点で動作し、次に該磁場フィードバック・コイルのフィードバック電流がサンプリングされて、前記磁気誘導モジュールの出力信号を形成する、請求項1に記載の電流センサ。
【請求項8】
前記磁場フィードバック・コイルが前記磁気誘導モジュールの内部に統合され配設され、あるいは、
前記磁場フィードバック・コイルが前記基板の内部に統合され配設されることを特徴とする、請求項7に記載の電流センサ。
【請求項9】
前記第1の磁気誘導ユニットが1つの第1の半ブリッジまたは第1のフル・ブリッジを備え、前記第2の磁気誘導ユニットが1つの第2の半ブリッジまたは第2のフル・ブリッジを備え、
前記第1の磁気誘導ユニットの該ブリッジと前記第2の磁気誘導ユニットの該ブリッジとの間の出力電圧差が前記差動電圧信号を生成することを特徴とする、請求項1に記載の電流センサ。
【請求項10】
前記第1の半ブリッジが反対の感度方向を有する2つの磁気抵抗ブリッジ・アームを備え、前記第2の半ブリッジが反対の感度方向を有する2つの磁気抵抗ブリッジ・アームを備え、あるいは、
前記第1のフル・ブリッジが、電気的に接続された2つの隣接する磁気抵抗ブリッジ・アームが反対の感度方向を有する4つの磁気抵抗ブリッジ・アームを備え、前記第2のフル・ブリッジが、電気的に接続された2つの隣接する磁気抵抗ブリッジ・アームが反対の感度方向を有する4つの磁気抵抗ブリッジ・アームを備え、
該磁気抵抗ブリッジ・アームが、1つの磁気抵抗感知素子によって、または2つ以上の磁気抵抗感知素子を直列および並列で接続することによって形成されることを特徴とする、請求項9に記載の電流センサ。
【請求項11】
電流センサであって、
並列に接続された第1の電流シャント用銅バーおよび第2の電流シャント用銅バーで構成された、被測定電流入力構成要素と、
該被測定電流入力構成要素から電気的に絶縁され、磁気誘導モジュールおよび基板を備え、該磁気誘導モジュールが該基板上に固定された、信号出力構成要素とを備え、
被測定電流が、該第1の電流シャント用銅バーおよび該第2の電流シャント用銅バーに直交する断面を通って流れ、該磁気誘導モジュールの位置に磁場を生成し、
該磁気誘導モジュールが、第1の磁気誘導ユニットおよび第2の磁気誘導ユニットを少なくとも備え、該第1の磁気誘導ユニットが該第1の電流シャント用銅バーと該第2の電流シャント用銅バーとの間に位置し、該第1の磁気誘導ユニットおよび該第2の磁気誘導ユニットが同じ水平面上に位置し、該水平面が、該基板が位置する面に平行であり、該基板が位置する該面に直交する方向において、該基板が位置する該面上における該第1の電流シャント用銅バーおよび該第2の電流シャント用銅バーの垂直投影が重なり合う領域が、該第2の磁気誘導ユニットと重なり合わず、
該第1の磁気誘導ユニットおよび該第2の磁気誘導ユニットが、該被測定電流入力構成要素によって生成される磁場を差動式で感知し、差動電圧信号を生成して該電流センサの出力信号を形成する、電流センサ。
【請求項12】
電流センサであって、
電流シャント用銅バーおよび差動銅バーで構成され、該電流シャント用銅バーおよび該差動銅バーが同じ方向で配置された、被測定電流入力構成要素と、
該被測定電流入力構成要素から電気的に絶縁され、磁気誘導モジュールおよび基板を備え、該磁気誘導モジュールが該基板上に固定された、信号出力構成要素とを備え、
被測定電流が、該電流シャント用銅バーおよび該差動銅バーに直交する断面を通って流れ、該磁気誘導モジュールの位置に磁場を生成し、
該磁気誘導モジュールが、第1の磁気誘導ユニットおよび第2の磁気誘導ユニットを少なくとも備え、該第1の磁気誘導ユニットおよび該第2の磁気誘導ユニットが同じ水平面上に位置し、該水平面が、該基板が位置する面に平行であり、
該電流シャント用銅バーが、該差動銅バーの下方または該磁気誘導モジュールの上方に配設され、該基板が位置する該面に直交する方向で、該基板が位置する該面上における該差動銅バーの垂直投影が、該第1の磁気誘導ユニットをカバーし、該第2の磁気誘導ユニットと重なり合わず、該基板が位置する該面上における該電流シャント用銅バーの垂直投影が、該第1の磁気誘導ユニットおよび該第2の磁気誘導ユニットをカバーし、
該第1の磁気誘導ユニットおよび該第2の磁気誘導ユニットが、該被測定電流入力構成要素によって生成される磁場を差動式で感知し、差動電圧信号を生成して該電流センサの出力信号を形成する、電流センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電気的測定の技術分野に関し、詳細には、電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
電流センサは、被測定電流の検出された情報を、特定の標準的な要件を満たす電気信号または他の形態の信号に変換することができる、一種の電流検出デバイスである。これらの信号は次に、情報の送信、処理、記憶、表示、記録、および制御のニーズを満たすのに使用される。現在、電流センサは、家電製品、スマート・グリッド、電気車両、風力発電、および他の分野で広く使用されている。
【0003】
電流センサとしては、ホール電流センサ、フラックスゲート電流センサ、および磁気抵抗電流センサなどの磁気電流センサが挙げられる。ホール電流センサは、技術の面で最も成熟しているが、低感度であること、温度ドリフト特性の点で劣っていること、高精度電流測定のシナリオにおいて適用帯域幅の限界が狭いことなどの欠点がある。フラックスゲート電流センサは、直線性が良好であり、検出精度が高く、温度ドリフト性能が良好であるが、サイズが大きく、帯域幅が狭く、回路が複雑であり、サイズ要件が高くない状況に対する使用の際のコスト限界が厳しい。磁気抵抗電流センサは、サイズが小さく、信号振幅が大きく、感度が高く、低ノイズであり、半導体回路との統合が簡単であるという特性を有する、有望な新しいタイプの電流センサであり、バック・エンド信号処理回路の設計を単純化し、電流センサの全体サイズを低減し、コストを下げることができる。
【0004】
しかしながら、既存の磁気抵抗電流センサ、特に小型チップ・レベルの磁気抵抗電流センサは、検出精度が高いため、電流測定範囲が制限される。つまり、高感度の磁気抵抗電流センサは、一般に飽和磁場が小さいため、大電流を測定する場合に磁気飽和を起こしやすい。例えば、AllegroのACS70331統合型GMR電流センサは、GMRで構成されたブリッジ構造を含み、単層U形銅伝導経路を通る被測定電流によって反対方向で生成される磁場を感知することができ、つまり、この磁場はブリッジの入力信号として直接使用され、それによって電流センサの使用範囲が大幅に制限され、結果としてセンサの測定範囲は2.5Aにしか達することができない。AllegroのACS710、CrossChip MicrosystemsのCC6920、およびMelexisのMLX91221など、低感度であるが飽和磁場が大きいチップ・レベルのホール電流センサの場合、単層U形銅伝導経路を使用したときの電流センサの測定範囲は最大で数十アンペアである。AllegroのACS756の場合など、U形銅伝導経路を長方形の銅バスバー経路に置き換えても、電流センサの測定範囲は200Aを超えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、高精度でサイズが小さい既存の電流センサの測定範囲が小さいという問題を解決する電流センサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、電流センサを提供し、電流センサは、
第1の電流シャント用銅バー、第2の電流シャント用銅バー、および第1の電流シャント用銅バーと第2の電流シャント用銅バーとの間に配置された差動銅バーで構成され、第1の電流シャント用銅バー、第2の電流シャント用銅バー、および差動銅バーが同じ方向に配置された、被測定電流入力構成要素と、
上記被測定電流入力構成要素から電気的に絶縁され、磁気誘導モジュールおよび基板を備え、磁気誘導モジュールが基板上に固定された、信号出力構成要素とを備え、
被測定電流は、第1の電流シャント用銅バー、第2の電流シャント用銅バー、および差動銅バーに直交する断面を通って流れ、磁気誘導モジュールの位置に磁場を生成し、
磁気誘導モジュールは、第1の磁気誘導ユニットおよび第2の磁気誘導ユニットを少なくとも備え、第1の磁気誘導ユニットおよび第2の磁気誘導ユニットは差動銅バーと第1の電流シャント用銅バーとの間に位置し、第1の磁気誘導ユニットおよび第2の磁気誘導ユニットは、上記被測定電流入力構成要素によって生成されるディファレンシャル・モード磁場を差動式で感知し、差動電圧信号を生成して電流センサの出力信号を形成する。
【0007】
本発明の実施形態は、電流センサを提供し、電流センサは、
並列に接続された第1の電流シャント用銅バーおよび第2の電流シャント用銅バーで構成された、被測定電流入力構成要素と、
上記被測定電流入力構成要素から電気的に絶縁され、磁気誘導モジュールおよび基板を備え、磁気誘導モジュールが基板上に固定された、信号出力構成要素とを備え、
被測定電流は、第1の電流シャント用銅バーおよび第2の電流シャント用銅バーに直交する断面を通って流れ、磁気誘導モジュールの位置に磁場を生成し、
磁気誘導モジュールは、第1の磁気誘導ユニットおよび第2の磁気誘導ユニットを少なくとも備え、第1の磁気誘導ユニットは第1の電流シャント用銅バーと第2の電流シャント用銅バーとの間に位置し、第1の磁気誘導ユニットおよび第2の磁気誘導ユニットは同じ水平面上に位置し、水平面は基板が位置する面に平行であり、基板が位置する面に直交する方向において、基板が位置する面上の第1の電流シャント用銅バーおよび第2の電流シャント用銅バーの垂直投影が重なり合う領域は、第2の磁気誘導ユニットと重なり合わず、
第1の磁気誘導ユニットおよび第2の磁気誘導ユニットは、上記被測定電流入力構成要素によって生成される磁場を差動式で感知し、差動電圧信号を生成して電流センサの出力信号を形成する。
【0008】
本発明の実施形態によって提供される電流センサは、コモン・モード磁場動作点を制御することができ、磁気抵抗感知素子が飽和しやすいという問題を解決することができ、それによって既存の電流センサの測定電流範囲に対する高精度による制限に対処する、新規な電流センサである。さらに、本発明の実施形態によって提供される電流センサの構造は、小体積電流センサチップに適用可能であることにより、電流センサの高精度および調節可能な電流測定範囲を実現し、さまざまな異なる動作範囲に適用させることができ、単純な構造、外部磁場干渉に対する強い耐性、大きいDCおよびAC電流の測定能力、入力および出力電気絶縁、良好な直線性、高精度、良好な安定性、小体積、および広範囲という利点を達成する。
【0009】
本発明の実施形態または従来技術における技術的解決策をより明確に示すために、実施形態または従来技術での使用に必要な添付図面を以下に簡潔に紹介する。当然ながら、後述する添付図面は本発明のいくつかの具体的な実施形態であるが、当業者にとって、本発明のさまざまな実施形態によって開示され指示されるデバイス構造、駆動方法、および製造方法の基本概念は、他の構造および図面へと拡張し拡大することができ、これらがすべて本発明の特許請求の範囲内にあることは間違いない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による電流センサを示す概略図である。
【
図2】
図1の電流センサのシミュレーションを示す概略図である。
【
図3】
図1の電流センサの差動半ブリッジ構造を示す概略図である。
【
図4】
図1の電流センサの別のブリッジ構造を示す概略図である。
【
図5】
図1の電流センサのさらに別のブリッジ構造を示す概略図である。
【
図6】本発明の一実施形態による別の電流センサを示す概略図である。
【
図7】
図6の電流センサの差動フル・ブリッジ構造を示す概略図である。
【
図8】本発明の一実施形態によるさらに別の電流センサを示す概略図である。
【
図9】本発明の一実施形態によるさらに別の電流センサを示す概略図である。
【
図10】本発明の一実施形態によるさらに別の電流センサを示す概略図である。
【
図11】本発明の一実施形態によるさらに別の電流センサを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、本発明の技術的解決策について、本発明の実施形態において添付図面を参照して、実現方法を通して明確かつ十分に後述する。当然ながら、記載する実施形態は、本発明の実施形態の一部であってすべてではない。本発明の実施形態によって開示され指示される基本概念に基づいて、当業者によって得られる他のすべての実施形態は本発明の保護範囲内にある。
【0012】
図1を参照すると、この図は、本発明の一実施形態による電流センサの概略図である。
図1に示されるように、本発明の一実施形態による電流センサは、第1の電流シャント用銅バー11、第2の電流シャント用銅バー21、および第1の電流シャント用銅バー11と第2の電流シャント用銅バー21との間に配置された差動銅バー31で構成され、第1の電流シャント用銅バー11、第2の電流シャント用銅バー21、および差動銅バー31が同じ方向に配置された、被測定電流入力構成要素と、上記被測定電流入力構成要素から電気的に絶縁され、磁気誘導モジュール41および基板51を備え、磁気誘導モジュール41が基板51上に固定された、信号出力構成要素とを備え、被測定電流は、第1の電流シャント用銅バー11、第2の電流シャント用銅バー21、および差動銅バー31に直交する断面を通って流れ、磁気誘導モジュール41の位置に磁場を生成し、磁気誘導モジュール41は、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421を少なくとも備え、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421は差動銅バー31と第1の電流シャント用銅バー11との間に位置し、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421は、上記被測定電流入力構成要素によって生成されるディファレンシャル・モード磁場を差動式で感知し、差動電圧信号を生成して電流センサの出力信号を形成する。
【0013】
本実施形態では、第1の電流シャント用銅バー11、第2の電流シャント用銅バー21、および差動銅バー31は、被測定電流入力構成要素を構築する。3つの銅バーは共同で被測定電流をシャントし、第1の電流シャント用銅バー11における被測定電流の電流方向、第2の電流シャント用銅バー21における被測定電流の電流方向、および差動銅バー31における被測定電流の電流方向は同じである。
図1に示されるように、第1の電流シャント用銅バー11、第2の電流シャント用銅バー21、および差動銅バー31は、Z方向に沿って並列に配置される。
【0014】
磁気誘導モジュール41および基板51は信号出力構成要素を構築し、信号出力構成要素は上記被測定電流入力構成要素から電気的に絶縁され、磁気誘導モジュール41は基板51上に固定される。
図1に示されるように、第1の電流シャント用銅バー11は、磁気誘導モジュール41の基板51から遠い側に配設され、第2の電流シャント用銅バー21は、基板51の磁気誘導モジュール41から遠い側に配設される。図面に示される方向に沿って、第1の電流シャント用銅バー11は磁気誘導モジュール41の上方に配設され、第2の電流シャント用銅バー21は差動銅バー31の下方に配設され、磁気誘導モジュール41は差動銅バー31の上方に配設される。被測定電流は、第1の電流シャント用銅バー11、第2の電流シャント用銅バー21、および差動銅バー31に直交する断面を通って流れ、磁気誘導モジュール41の位置に磁場を生成する。第1の電流シャント用銅バー11、第2の電流シャント用銅バー21、および差動銅バー31の断面はX-Z面であり、そのため、被測定電流の電流方向は、
図1に示されるようなX-Z面に直交することを理解することができる。
【0015】
磁気誘導モジュール41は、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421を少なくとも備え、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421は差動銅バー31と第1の電流シャント用銅バー11との間に位置し、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421はX方向に沿って配置される。第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421は、上記被測定電流入力構成要素によって生成されるディファレンシャル・モード磁場を差動式で感知し測定し、差動電圧信号を生成して電流センサの出力信号を形成する。任意選択で、磁気誘導ユニットの感度方向は
図1に示されるように右向きの方向、つまりX方向なので、磁気誘導モジュール41の各磁気誘導ユニットの感度方向は、基板51が位置する面に平行である。
【0016】
任意選択で、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421は同じ水平面上に配設され、水平面は基板51が位置する面に平行であり、基板51が位置する面に直交する方向Zにおいて、基板51が位置する面上の差動銅バー31の垂直投影は第1の磁気誘導ユニット411をカバーし、第2の磁気誘導ユニット421とは重なり合わず、基板51が位置する面に直交する方向Zにおいて、基板51が位置する面上の第1の電流シャント用銅バー11の垂直投影は第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421をカバーし、基板51が位置する面上の第2の電流シャント用銅バー21の垂直投影は、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421をカバーする。
【0017】
上述したように、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421は同じ水平面上に配設され、水平面は基板51が位置する面に平行であり、基板51が位置する面はX-Z面に直交する。Z方向で、垂直投影は、基板51が位置する面上で、第1の電流シャント用銅バー11、第2の電流シャント用銅バー21、および差動銅バー31、第1の磁気誘導ユニット411、および第2の磁気誘導ユニット421に対して実施され、そのため、基板51が位置する面上における構造の投影間の関係は、第1の磁気誘導ユニット411の投影が差動銅バー31の投影範囲内にあり、第2の磁気誘導ユニット421の投影が差動銅バー31の投影範囲外にあり、第1の電流シャント用銅バー11の投影が第1の磁気誘導ユニット411の投影および第2の磁気誘導ユニット421の投影をカバーし、第2の電流シャント用銅バー21の投影が第1の磁気誘導ユニット411の投影および第2の磁気誘導ユニット421の投影をカバーするというものである。各銅バーの磁場は単に磁気誘導ユニットの範囲をカバーすれば良く、それによって電流センサのチップ・レベルのサイズを達成する。
【0018】
任意選択で、電流センサはさらにハウジング61を備え、被測定電流入力構成要素および信号出力構成要素は両方とも、ハウジング61内部に固定的に配設される。任意選択で、差動銅バー31は基板51内部に配設される。本実施形態では、ハウジング61は機械的支持ハウジングであり、機械的支持ハウジングは、電流センサのさまざまな部品を包み込み、固定し、支持し、外部インターフェースを提供するのに役立つ。基板51内部に埋め込まれた差動銅バー31、および基板51内におけるその位置は、第1の磁気誘導ユニット411に比較的近い。
【0019】
任意選択で、第1の磁気誘導ユニット411の感度方向および第2の磁気誘導ユニット421の感度方向は、第1の磁気誘導ユニット411の位置で差動銅バー31を介して被測定電流によって生成される磁場の方向と同じかまたは反対である。被測定電流が差動銅バー31を通って流れると、差動銅バー31は第1の磁気誘導ユニット411の位置で磁場を生成し、このとき、磁場の方向は、第1の磁気誘導ユニット411の感度方向と同じであり、また第2の磁気誘導ユニット421の感度方向とも同じであるとみなされる。具体的には、
図1を参照すると、第1の磁気誘導ユニット411の位置において差動銅バー31によって生成される磁場の方向は、磁気誘導モジュール41が位置する面内にあり、被測定電流の方向に直交する。ここで、被測定電流の方向はX-Z面に直交し、そのため、第1の磁気誘導ユニット411の位置において差動銅バー31によって生成される磁場の方向はX方向に平行である。
【0020】
上述の構造に基づいて、電流センサの動作原理について具体例を通して詳細に記載する。
【0021】
図2を参照すると、この図は、
図1の電流センサのシミュレーションの概略図である。被測定電流I
inは50Aであり、被測定電流入力構成要素の断面幅は10mmであるものと設定する。
図1と組み合わせて、被測定電流入力構成要素の断面幅は、Z方向で第1の電流シャント用銅バー11の上面から第2の電流シャント用銅バー21の下面までのサイズであり、磁気誘導モジュール41は、差動銅バー31の上方0.6mmである水平面の位置に配設される。そのため、被測定電流が被測定電流入力構成要素の断面のX-Z面に直交する方向で銅バーを通って流れると、差動銅バー31の上方0.6mmである水平面の位置に磁場が生成される。
【0022】
図から分かるように、差動銅バー31の上方における垂直投影の縁部、つまり、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421の位置に近い磁場の間には明らかな違いがあり、
図2に示されるX軸の±3mm位置付近に生成される磁場は比較的均一であって、ディファレンシャル・モード磁場を有効に生成することができる。
【0023】
第1の磁気誘導ユニット411は、差動銅バー31の上方における垂直投影のカバレッジ内の磁場均一領域内に配設され、第2の磁気誘導ユニット421は、差動銅バー31の上方における垂直投影のカバレッジ外の磁場均一領域内に配設されるように設定され、これら2つの磁気誘導ユニットは、第1の電流シャント用銅バー11の磁場均一領域内に同時に位置し、2つの磁気誘導ユニットはまた、第2の電流シャント用銅バー21の磁場均一領域内に同時に位置してもよく、第1の電流シャント用銅バー11、第2の電流シャント用銅バー21、および差動銅バー31は並列に接続されて、被測定電流I
inをシャントする。次に、材料が均一である場合、
図1の断面における電流密度は同じとみなされてもよく、つまり、電流は断面積に直接比例する。
【0024】
第1の電流シャント用銅バー11を通って流れる電流をI1、第2の電流シャント用銅バー21を通って流れる電流をI2、差動銅バー31を通って流れる電流をI3とすると、次の式(1)が成立する。
Iin=I1+I2+I3 (1)
【0025】
第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421は両方とも、第1の電流シャント用銅バー11および第2の電流シャント用銅バー21の磁場均一領域内に位置するので、第1の電流シャント用銅バー11を通って流れる電流は、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421の位置で均一磁場を生成し、第2の電流シャント用銅バー21を通って流れる電流は、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421の位置で均一磁場を生成する。
【0026】
第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421の位置で第1の電流シャント用銅バー11によって生成される磁場の線形定数をk1とし、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421の位置で第2の電流シャント用銅バー21によって生成される磁場の線形定数をk2とし、第1の磁気誘導ユニット411の位置で差動銅バー31によって生成される磁場の線形定数をk31とし、第2の磁気誘導ユニット421の位置で差動銅バー31によって生成される磁場の線形定数をk32とする。図面に示される右方向が磁場の正方向であり、通電ワイヤが磁場を生成するビオ・サバールの法則に従って、被測定電流入力構成要素によって第1の磁気誘導ユニット411の位置で生成される磁場H41および第2の磁気誘導ユニット421の位置で生成される磁場H42は、電流に伴ってそれぞれ直線的に変化する。次の式(2)が得られる。
H41=-k1I1+k2I2+k31I3;
H42=-k1I1+k2I2+k32I3 (2)
【0027】
等価変換が式(2)に対して実施され、それによって、被測定電流入力構成要素による、第1の磁気誘導ユニット411の位置における磁場および第2の磁気誘導ユニット421の位置における磁場は、次式(3)によって示されるように、コモン・モード磁場H
CMおよびディファレンシャル・モード磁場H
DMに分解されてもよい。
【数1】
【0028】
それに対応して、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421の位置における被測定電流入力構成要素の磁場を、次式(4)によって表される、コモン・モード磁場HCMおよびディファレンシャル・モード磁場HDMの重畳に変換することができる。
H41=HCM+HDM;
H42=HCM-HDM (4)
【0029】
第2の磁気誘導ユニット421の位置において差動銅バー31によって生成される磁場は非常に小さく、したがってk
32=0と近似的にみなすことができ、それにより、式(3)を次式(5)のように単純化することができる。
【数2】
【0030】
式(5)および
図1から分かるように、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421の位置において第1の電流シャント用銅バー11によって生成される磁場の方向は、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421の位置において第2の電流シャント用銅バー21によって生成される磁場の方向の反対であり、したがってそれら2つを相互にオフセットし低減することができる。加えて、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421の位置における被測定電流入力構成要素のコモン・モード磁場H
CMは、第1の電流シャント用銅バー11、第2の電流シャント用銅バー21、および差動銅バー31に関連し、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421の位置における被測定電流入力構成要素のディファレンシャル・モード磁場H
DMは、差動銅バー31のみに関連し、したがって、第1の電流シャント用銅バー11および第2の電流シャント用銅バー21は、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421の位置において、ディファレンシャル・モード磁場H
DMを生成することなく、コモン・モード磁場H
CMのみを生成する。そのため、電流センサの電流入力範囲を調節し増加させることができる。
【0031】
さらに、理想的状況では、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421の位置において被測定電流入力構成要素によって生成されるコモン・モード磁場H
CMは、ゼロに完全にオフセットされ、そのため、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421の位置において被測定電流入力構成要素によって生成される磁場の分解は、ディファレンシャル・モード磁場H
DMのみを考慮することができる。
図1と組み合わせて、第2の磁気誘導ユニット421の位置において差動銅バー31によって生成される磁場は非常に小さく、k
32=0と近似的にみなすことができ、それにより、式(3)を次式(6)のように単純化することができる。
H
CM=0; H
DM=k
31I
3/2 (6)
【0032】
次に、式(4)を次式(7)のように単純化することができる。
H41=HDM=k31I3/2; H42=-HDM=-k31I3/2 (7)
【0033】
概して、第1の電流シャント用銅バー11、第2の電流シャント用銅バー21、および差動銅バー31は共同で被測定電流Iinをシャントし、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421の位置におけるその磁場は被測定電流Iinに直接比例し、それにより、ディファレンシャル・モード磁場HDMを測定することによる被測定電流の検出を達成することができる。
【0034】
式(6)および(7)を組み合わせることによって分かるように、理想的状況では、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421の位置において被測定電流入力構成要素によって生成されるコモン・モード磁場HCMを完全にオフセットすることができ、したがって、磁気抵抗感知素子の動作範囲は、ディファレンシャル・モード磁場HDMによって完全にカバーすることができ、それによって電流センサの最大測定電流範囲がもたらされる。
【0035】
本発明の実施形態では、第1の電流シャント用銅バー、第2の電流シャント用銅バー、および差動銅バーは、被測定電流入力構成要素を構築し、磁気誘導モジュールの位置において磁場を生成し、磁気誘導モジュールの2つの磁気誘導ユニットは、被測定電流が上記被測定電流入力構成要素を通って流れると生成されるディファレンシャル・モード磁場を差動式で感知し、したがって差動電圧信号を生成し、差動電圧信号は磁気誘導モジュールによって出力されて電流センサの出力信号を形成する。本発明の実施形態によって提供される電流センサは、コモン・モード磁場動作点を制御することができ、磁気抵抗感知素子が飽和しやすいという問題を解決することができ、それによって既存の電流センサの測定電流範囲に対する高精度による制限に対処する、新規な電流センサである。さらに、本発明の実施形態によって提供される電流センサの構造は、小体積電流センサチップに適用可能であることにより、電流センサの高精度および調節可能な電流測定範囲を実現し、さまざまな異なる動作範囲に適用させることができ、単純な構造、外部磁場干渉に対する強い耐性、大きいDCおよびAC電流の測定能力、入力および出力電気絶縁、良好な直線性、高精度、良好な安定性、小体積、および広範囲という利点を達成する。
【0036】
任意選択で、第1の磁気誘導ユニットは1つの磁気抵抗ブリッジ・アームを少なくとも備え、第2の磁気誘導ユニットは1つの磁気抵抗ブリッジ・アームを少なくとも備え、第1の磁気誘導ユニットの磁気抵抗ブリッジ・アームおよび第2の磁気誘導ユニットの磁気抵抗ブリッジ・アームは電気的に接続されて、差動半ブリッジ構造または差動フル・ブリッジ構造を形成し、すべての磁気抵抗ブリッジ・アームは同じ感度方向を有し、磁気抵抗ブリッジ・アームは、少なくとも1つの磁気抵抗感知素子を直列および並列で接続することによって形成される。任意選択で、磁気誘導ユニットは、異方性磁気抵抗器AMR、巨大磁気抵抗器GMR、トンネル磁気抵抗器TMR、および超巨大磁気抵抗器CMRのうちいずれか1つの磁気抵抗感知素子で構成される。
【0037】
図3を参照すると、この図は、
図1の電流センサの差動半ブリッジ構造の概略図である。
図3に示されるように、第1の磁気誘導ユニット411は1つの磁気抵抗ブリッジ・アーム411aを備え、第2の磁気誘導ユニット421は1つの磁気抵抗ブリッジ・アーム421aを備える。各磁気抵抗ブリッジ・アームは、1つまたは複数の磁気抵抗感知素子を直列および並列で接続することによって形成され、2つの磁気抵抗ブリッジ・アーム411aおよび421aは同じ感度方向を有し、例えば、感度方向は
図1に示される水平方向右向きのX方向であり、差動半ブリッジ構造を電気的に形成する。任意選択で、
図3の磁気誘導ユニットを構築する磁気抵抗感知素子はトンネル磁気抵抗器TMRである。
【0038】
上述の分析ならびに
図1および
図3を組み合わせることによって分かるように、第1の電流シャント用銅バー11および第2の電流シャント用銅バー21は、ディファレンシャル・モード磁場H
DMを生成することなくコモン・モード磁場H
CMのみをオフセットし低減することができ、オフセットされたコモン・モード磁場H
CMは、同じ方向であるか、ゼロにされるか、または反対方向のものであってもよい。
【0039】
オフセットされたコモン・モード磁場H
CMが同じ方向であると仮定すると、ディファレンシャル・モード磁場H
DMによって、第1の磁気誘導ユニット411の位置における右向きの磁場は第2の磁気誘導ユニット421の位置における右向きの磁場よりも大きくなり、2つの磁気抵抗ブリッジ・アーム411aおよび421aは両方とも右向きの感度方向を有するので、磁気抵抗ブリッジ・アーム411aの位置における右向きの磁場は、磁気抵抗ブリッジ・アーム421aの位置における右向きの磁場よりも大きい。したがって、磁気抵抗ブリッジ・アーム411aの抵抗を磁気抵抗ブリッジ・アーム421aの抵抗よりも小さく設定することによって、磁場から電圧への変換を実現することができる。したがって、
図3のVaは被測定電流の状況に従って対応して変化して、差動電圧信号を形成する。
【0040】
図1を参照すると、任意選択で、電流センサはさらに開ループ信号調整回路431を備え、開ループ信号調整回路431は、差動電圧信号に対して調整および増幅、温度補償、ならびに直線性補正を実施する。本実施形態では、磁気誘導モジュール41はさらに開ループ信号調整回路431を備え、開ループ信号調整回路431は、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421によって生成される差動電圧信号に対して調整および増幅、温度補償、ならびに直線性補正を実施し、それによって磁気誘導モジュール41の出力信号を形成する。したがって、磁気誘導モジュール41の出力は電流センサの出力信号を形成する。
【0041】
上述したように、差動銅バー31はディファレンシャル・モード磁場を形成し、第1の電流シャント用銅バー11および第2の電流シャント用銅バー21によって形成されるコモン・モード磁場は、差動銅バー31によって形成されるコモン・モード磁場を相互にオフセットし低減し、それによって電流センサの測定電流範囲を拡張する。
【0042】
本実施形態では、開ループ信号調整回路は、調節可能な電流測定範囲を有し、被測定電流の測定範囲を効果的に増加させることができ、磁気抵抗感知素子が飽和しやすいという問題を効果的に解決し、外部磁場干渉に対する強い耐性を提供し、大きいDCおよびAC電流の測定能力、単純な構造、ならびに入力および出力電気絶縁を含む特性を有する、新規な差動電流センサを作成するために採用される。ここで、銅バー磁場は単に磁気誘導ユニットの範囲をカバーすればよく、したがって電流センサはチップ・レベルの体積を達成することができ、小体積、高い信号増幅、高感度、低ノイズ、および半導体回路と統合される容易さを含む、トンネル磁気抵抗デバイスの特性と組み合わせて、電流センサ・バックエンド信号処理回路の設計をさらに単純化し、電流センサ全体の体積を低減し、電流センサのコストを下げることができる。
【0043】
任意選択で、第1の磁気誘導ユニットは1つの第1の半ブリッジまたは第1のフル・ブリッジを備え、第2の磁気誘導ユニットは1つの第2の半ブリッジまたは第2のフル・ブリッジを備え、第1の磁気誘導ユニットのブリッジと第2の磁気誘導ユニットのブリッジとの間の出力電圧差が差動電圧信号を生成する。
【0044】
任意選択で、第1の半ブリッジは反対の感度方向を有する2つの磁気抵抗ブリッジ・アームを備え、第2の半ブリッジは反対の感度方向を有する2つの磁気抵抗ブリッジ・アームを備え、あるいは第1のフル・ブリッジは、電気的に接続された2つの隣接する磁気抵抗ブリッジ・アームが反対の感度方向を有する4つの磁気抵抗ブリッジ・アームを備え、第2のフル・ブリッジは、電気的に接続された2つの隣接する磁気抵抗ブリッジ・アームが反対の感度方向を有する4つの磁気抵抗ブリッジ・アームを備え、ここでは、磁気抵抗ブリッジ・アームは、1つの磁気抵抗感知素子によって、または2つ以上の磁気抵抗感知素子を直列および並列で接続することによって形成される。
【0045】
図4を参照すると、この図は、
図1の電流センサの別のブリッジ構造の概略図である。
図4に示されるように、第1の磁気誘導ユニット411は1つの第1の半ブリッジを備え、第2の磁気誘導ユニット421は1つの第2の半ブリッジを備える。第1の半ブリッジは2つの磁気抵抗ブリッジ・アーム411b1および411b2を備え、第2の半ブリッジは2つの磁気抵抗ブリッジ・アーム421b1および421b2を備える。
【0046】
各ブリッジにおける磁気抵抗ブリッジ・アームの感度方向は異なる。第1の半ブリッジでは、磁気抵抗ブリッジ・アーム411b1および411b2の感度方向は反対であり、具体的には、磁気抵抗ブリッジ・アーム411b1の感度方向は図に示されるように左向きであり、磁気抵抗ブリッジ・アーム411b2の感度方向は図に示されるように右向きであり、第2の半ブリッジでは、磁気抵抗ブリッジ・アーム421b1および421b2の感度方向は反対であり、具体的には、磁気抵抗ブリッジ・アーム421b1の感度方向は図に示されるように左向きであり、磁気抵抗ブリッジ・アーム421b2の感度方向は図に示されるように右向きである。
【0047】
上述の分析ならびに
図1および
図4を組み合わせることによって分かるように、第1の電流シャント用銅バー11および第2の電流シャント用銅バー21は、ディファレンシャル・モード磁場H
DMを生成することなくコモン・モード磁場H
CMのみをオフセットし低減することができ、オフセットされたコモン・モード磁場H
CMは、同じ方向であるか、ゼロにされるか、または反対方向のものであってもよい。
【0048】
オフセットされたコモン・モード磁場が右向きであり、ディファレンシャル・モード磁場が重畳された後の第1の磁気誘導ユニット411の位置における右向きの磁場が第2の磁気誘導ユニット421の位置における右向きの磁場よりも大きいと仮定すると、磁気抵抗ブリッジ・アーム411b1の抵抗は磁気抵抗ブリッジ・アーム411b2の抵抗よりも大きく、磁気抵抗ブリッジ・アーム421b1の抵抗は磁気抵抗ブリッジ・アーム421b2の抵抗よりも大きく、磁気抵抗ブリッジ・アーム411b1および411b2の抵抗差は磁気抵抗ブリッジ・アーム421b1および421b2の抵抗差よりも大きく、それによって磁場から電圧への変換を実現する。したがって、
図4では、第1の磁気誘導ユニット411のブリッジの出力電圧V1bおよび第2の磁気誘導ユニット421のブリッジの出力電圧V2bは、被測定電流の状況に従って対応して変化し、2つの出力電圧の間の差は差動電圧信号を形成する。
【0049】
図5を参照すると、この図は、
図1の電流センサのさらに別のブリッジ構造の概略図である。
図5に示されるように、第1の磁気誘導ユニット411は1つの第1のフル・ブリッジを備え、第2の磁気誘導ユニット421は1つの第2のフル・ブリッジを備える。第1のフル・ブリッジは4つの磁気抵抗ブリッジ・アーム411c1、411c2、411c3、および411c4を備え、第2のフル・ブリッジは4つの磁気抵抗ブリッジ・アーム421c1、421c2、421c3、および421c4を備える。各ブリッジにおける磁気抵抗ブリッジ・アームの感度方向は完全に同じでなくてもよい。
【0050】
第1のフル・ブリッジでは、フル・ブリッジ接続構造の磁気抵抗ブリッジ・アーム411c1、411c2、411c3、および411c4のそれぞれは、電気的に隣接する磁気抵抗ブリッジ・アームとは反対の感度方向を有する。つまり、磁気抵抗ブリッジ・アーム411c1は、隣接する磁気抵抗ブリッジ・アーム411c2および411c3とは反対の感度方向を有し、磁気抵抗ブリッジ・アーム411c4は、隣接する磁気抵抗ブリッジ・アーム411c2および411c3とは反対の感度方向を有する。結果として、磁気抵抗ブリッジ・アーム411c1および411c4の感度方向は、図に示されるように同じであって右向きであり、磁気抵抗ブリッジ・アーム411c2および411c3の感度方向は、図に示されるように同じであって左向きであり、磁気抵抗ブリッジ・アーム411c1および411c2の感度方向は反対である。
【0051】
第2のフル・ブリッジでは、フル・ブリッジ接続構造の磁気抵抗ブリッジ・アーム421c1、421c2、421c3、および421c4のそれぞれは、電気的に隣接する磁気抵抗ブリッジ・アームとは反対の感度方向を有する。つまり、磁気抵抗ブリッジ・アーム421c1は、隣接する磁気抵抗ブリッジ・アーム421c2および421c3とは反対の感度方向を有し、磁気抵抗ブリッジ・アーム421c4は、隣接する磁気抵抗ブリッジ・アーム421c2および421c3とは反対の感度方向を有する。結果として、磁気抵抗ブリッジ・アーム421c1および421c4の感度方向は、図に示されるように同じであって右向きであり、磁気抵抗ブリッジ・アーム421c2および421c3の感度方向は、図に示されるように同じであって左向きであり、磁気抵抗ブリッジ・アーム421c1および421c2の感度方向は反対である。
【0052】
上述の分析ならびに
図1および
図5を組み合わせることによって分かるように、第1の電流シャント用銅バー11および第2の電流シャント用銅バー21は、ディファレンシャル・モード磁場H
DMを生成することなくコモン・モード磁場H
CMのみをオフセットし低減することができ、オフセットされたコモン・モード磁場H
CMは、同じ方向であるか、ゼロにされるか、または反対方向のものであってもよい。
【0053】
オフセットされたコモン・モード磁場が右向きであり、ディファレンシャル・モード磁場が重畳された後の第1の磁気誘導ユニット411の位置における右向きの磁場が第2の磁気誘導ユニット421の位置における右向きの磁場よりも大きいと仮定すると、磁気抵抗ブリッジ・アーム411c2および411c3の抵抗は磁気抵抗ブリッジ・アーム411c1および411c4の抵抗よりも大きく、磁気抵抗ブリッジ・アーム421c2および421c3の抵抗は磁気抵抗ブリッジ・アーム421c2および421c3の抵抗よりも大きく、磁気抵抗ブリッジ・アーム411c2および411c3の抵抗と磁気抵抗ブリッジ・アーム411c1および411c4の抵抗との間の差は差1であり、磁気抵抗ブリッジ・アーム421c2および421c3の抵抗と磁気抵抗ブリッジ・アーム421c1および421c4の抵抗との間の差は差2であり、差1は差2よりも大きい。結果として、磁場から電圧への変換が実現される。ここで、
図5では、V1c1とV1c2との間の電圧差が第1の磁気誘導ユニット411のブリッジの出力電圧を形成し、V2c1とV2c2との間の電圧差が第2の磁気誘導ユニット421のブリッジの出力電圧を形成する。第1の磁気誘導ユニット411の出力電圧および第2の磁気誘導ユニット421の出力電圧は、被測定電流の状況に従って対応して変化し、2つの出力電圧の間の差は差動電圧信号を形成する。
【0054】
上述の磁気抵抗ブリッジ・アームは1つの磁気抵抗感知素子で構成され、あるいは上述の磁気抵抗ブリッジ・アームは、直列および並列で接続された複数の磁気抵抗感知素子で構成される。
【0055】
例えば、上述の実施形態のいずれかに基づいて、高い直線性、良好な温度特性、高い安定性および信頼性、ならびに高精度の電流測定を含む、閉ループ磁場電流センサの特性に従って、閉ループ磁場フィードバック・コイルが電流センサに統合されて、電流の高精度測定を実現する。具体例を以下に提供する。
【0056】
任意選択で、第1の磁気誘導ユニットは1つの磁気抵抗ブリッジ・アームを少なくとも備え、第2の磁気誘導ユニットは1つの磁気抵抗ブリッジ・アームを少なくとも備え、第1の磁気誘導ユニットの磁気抵抗ブリッジ・アームおよび第2の磁気誘導ユニットの磁気抵抗ブリッジ・アームは電気的に接続されて、差動半ブリッジ構造または差動フル・ブリッジ構造を形成し、すべての磁気抵抗ブリッジ・アームは同じ感度方向を有し、磁気抵抗ブリッジ・アームは、少なくとも1つの磁気抵抗感知素子を直列および並列で接続することによって形成される。任意選択で、磁気誘導ユニットは、異方性磁気抵抗器AMR、巨大磁気抵抗器GMR、トンネル磁気抵抗器TMR、および超巨大磁気抵抗器CMRのうちいずれか1つの磁気抵抗感知素子で構成される。
【0057】
任意選択で、電流センサはさらに、閉ループ信号調整回路および磁場フィードバック・コイルを備え、閉ループ信号調整回路、磁場フィードバック・コイル、第1の磁気誘導ユニット、および第2の磁気誘導ユニットは、閉ループ磁場フィードバック構成要素を構築し、閉ループ信号調整回路によって増幅された後、差動電圧信号は磁場フィードバック・コイルを通って、フィードバック磁場を生成してディファレンシャル・モード磁場を逆方向にオフセットし、磁場の動的平衡に達すると、第1の磁気誘導ユニットおよび第2の磁気誘導ユニットは等しいコモン・モード磁場動作点で動作し、次に磁場フィードバック・コイルのフィードバック電流はサンプリングされて、磁気誘導モジュールの出力信号を形成する。
【0058】
図6を参照すると、この図は、本発明の一実施形態による別の電流センサの概略図である。
図7を参照すると、この図は、
図6の電流センサの差動フル・ブリッジ構造の概略図である。
図6に示されるように、電流センサはさらに、閉ループ信号調整回路441および磁場フィードバック・コイル451を備える。
図7に示されるように、第1の磁気誘導ユニット411は2つの磁気抵抗ブリッジ・アーム411d1および411d2を備え、第2のフル・ブリッジ421は2つの磁気抵抗ブリッジ・アーム421d1および421d2を備え、各磁気抵抗ブリッジ・アームは、直列および並列で接続された1つまたは2つ以上の磁気抵抗感知素子で構成され、4つの磁気抵抗ブリッジ・アーム411d1、411d2、421d1、および421d2の感度方向は同じであり、例えば、感度方向は
図6に示されるように水平方向右向きの方向であり、差動フル・ブリッジ構造を電気的に形成する。任意選択で、
図7の磁気誘導ユニットを構築する磁気抵抗感知素子はトンネル磁気抵抗器TMRである。
【0059】
図6を参照すると、第1の電流シャント用銅バー11、第2の電流シャント用銅バー21、および差動銅バー31は並列に接続されて、被測定電流をシャントし、差動銅バー31はディファレンシャル・モード磁場を形成し、第1の電流シャント用銅バー11および第2の電流シャント用銅バー21によって形成されるコモン・モード磁場、ならびに差動銅バー31によって形成されるコモン・モード磁場は互いをオフセットし低減する。
図1に示される差動電流センサとの違いは、
図6に示される電流センサが、差動フル・ブリッジ回路、閉ループ信号調整回路441、および
図7に示される磁場フィードバック・コイル451などの構造を採用して、閉ループ磁場ネガティブ・フィードバックを形成し、それによって閉ループ磁場電流センサが形成されるという点にある。閉ループ磁場電流センサは、高い直線性、良好な温度特性、高い安定性および信頼性、ならびに高精度の電流測定などの特性を有する。
【0060】
上述の分析ならびに
図6および
図7を組み合わせることによって分かるように、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421の位置における被測定電流入力構成要素のオフセットされたコモン・モード磁場H
CMは同じ方向であり、ディファレンシャル・モード磁場H
DMによって、第1の磁気誘導ユニット411の位置における右向きの磁場は、第2の磁気誘導ユニット421の位置における右向きの磁場よりも大きくなる。4つの磁気抵抗ブリッジ・アーム411d1、411d2、421d1、および421d2の感度方向はすべて右向きであり、磁気抵抗ブリッジ・アーム411d1および411d2の位置における右向きの磁場は、磁気抵抗ブリッジ・アーム421d1および421d2の位置における右向きの磁場よりも大きく、したがって、磁気抵抗ブリッジ・アーム411d1および411d2の抵抗は、磁気抵抗ブリッジ・アーム421d1および421d2の抵抗よりも小さい。結果として、
図7では、Vd2電圧はVd1電圧よりも大きく、差動電圧信号が形成される。
【0061】
上述したように、閉ループ信号調整回路441、磁場フィードバック・コイル451、第1の磁気誘導ユニット411、および第2の磁気誘導ユニット421は、閉ループ磁場フィードバックを構築する。閉ループ信号調整回路441は、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421の差動電圧信号に対して調整および増幅、温度補償、ならびに直線性補正を実施し、増幅された差動電圧信号は磁場フィードバック・コイル451を通って、ディファレンシャル・モード磁場を逆方向にオフセットするフィードバック磁場を生成し、磁場の動的平衡が達成されると、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421は等しいコモン・モード磁場動作点で動作し、次に磁場フィードバック・コイル451のフィードバック電流はサンプリング抵抗器を介してサンプリングされて、磁気誘導モジュール41の出力信号を形成する。
【0062】
任意選択で、磁場フィードバック・コイル451は磁気誘導モジュール41の内部に統合され配設され、あるいは磁場フィードバック・コイル451は基板51の内部に統合され配設される。
【0063】
図6に示されるように、磁場フィードバック・コイル451、第1の磁気誘導ユニット411、および第2の磁気誘導ユニット421はすべて、磁気誘導モジュール41の内部に配設される。磁場フィードバック・コイル451は磁気誘導ユニットと統合されず、2つは互いに対して分離されるように配設される。
【0064】
図8を参照すると、この図は、本発明の一実施形態によるさらに別の電流センサの概略図である。
図8に示されるように、磁場フィードバック・コイル451は磁気誘導モジュール41の内部に統合され配設され、具体的には、磁場フィードバック・コイル451は第1の磁気誘導ユニット411の内部に統合され配設され、磁場フィードバック・コイル451はまた、第2の磁気誘導ユニット421の内部に統合され配設される。
【0065】
図9を参照すると、この図は、本発明の一実施形態によるさらに別の電流センサの概略図である。
図9に示されるように、磁場フィードバック・コイル451は基板51の内部に統合され配設される。
【0066】
磁場フィードバック・コイル451が位置する面は基板51が位置する面に平行であり、つまり、磁場フィードバック・コイル451が位置する面は、第1の磁気誘導ユニット411および第2の磁気誘導ユニット421が位置する面に平行であることに留意されたい。磁場フィードバック・コイル451は、断面中心線がZ方向に平行であるX-Z面に沿って断面化され、断面中心線の2つの側は対称的に分布され、断面中心線の一方の側における電流方向はX-Z面に直交し、銅バーにおける被測定電流の方向の反対であり、断面中心線の他方の側における電流方向はX-Z面に直交し、銅バーにおける被測定電流の方向と同じ方向である。
図6を例にとると、任意選択で、断面中心線の左側における電流方向は紙面に直交で外向きであり、断面中心線の右側における電流方向は紙面に直交で内向きであり、銅バーにおける被測定電流の方向は紙面に直交で内向きである。
【0067】
磁場フィードバック・コイル451によって生成されるフィードバック磁場の方向に関して、第1の磁気誘導ユニット411の位置における右向きの磁場が第2の磁気誘導ユニット421の位置における右向きの磁場よりも大きいという上述の状況を例にとる。ディファレンシャル・モード磁場を逆方向にオフセットするために、
図6に示される電流センサの断面図では、第1の磁気誘導ユニット411の下方に水平方向に配置された磁場フィードバック・コイル451の導体の断面電流方向は、紙面に直交で外向きであり、第2の磁気誘導ユニット421の下方に水平方向に配置された磁場フィードバック・コイル451の導体の断面電流方向は、紙面に直交で内向きである。したがって、磁場フィードバック・コイル451は第1の磁気誘導ユニット411の位置において左向きのフィードバック磁場を生成し、磁場フィードバック・コイル451は第2の磁気誘導ユニット421の位置において右向きのフィードバック磁場を生成し、それによってディファレンシャル・モード磁場を逆方向にオフセットし、磁場の動的平衡を達成する。
【0068】
本発明の実施形態によって提供される電流センサによれば、第1の電流シャント用銅バーおよび第2の電流シャント用銅バーは、差動銅バーに対して電流シャントを実施し、磁気誘導モジュールの位置において第1の電流シャント用銅バーおよび第2の電流シャント用銅バーによって生成される磁場は反対方向を有し、電流測定範囲が調節可能であるように、磁場を部分的または完全にオフセットすることができ、被測定電流の範囲は有効に増加させることができる。それにより、磁気抵抗感知素子が飽和しやすいという問題が解決され、さらに既存の電流センサの測定電流範囲に対する高精度による制限に対処して、外部磁場干渉に対する強い耐性、低ノイズ、良好な直線性、高い精度、および良好な安定性という利点につながる。
【0069】
本発明の実施形態はさらに、上述の実施形態のいずれかに記載の電流センサとは異なる電流センサを提供する。具体的には、本実施形態およびそれに続く実施形態によって提供される電流センサは差動銅バーを備えていない。
【0070】
図10を参照すると、この図は、本発明の一実施形態によるさらに別の電流センサの概略図である。
図10に示されるように、本実施形態によって提供される電流センサは、並列に接続された第1の電流シャント用銅バー12および第2の電流シャント用銅バー22で構成された、被測定電流入力構成要素と、上記被測定電流入力構成要素から電気的に絶縁され、磁気誘導モジュール42および基板52を備え、磁気誘導モジュール42が基板52上に固定された、信号出力構成要素とを備え、被測定電流は、第1の電流シャント用銅バー12および第2の電流シャント用銅バー22に直交する断面を通って流れ、磁気誘導モジュール42の位置に磁場を生成し、磁気誘導モジュール42は、第1の磁気誘導ユニット412および第2の磁気誘導ユニット422を少なくとも備え、第1の磁気誘導ユニット412は第1の電流シャント用銅バー12と第2の電流シャント用銅バー22との間に位置し、第1の磁気誘導ユニット412および第2の磁気誘導ユニット422は同じ水平面上に位置し、水平面は基板52が位置する面に平行であり、基板52が位置する面に直交する方向Zにおいて、基板52が位置する面上における第1の電流シャント用銅バー12および第2の電流シャント用銅バー22の垂直投影が重なり合う領域は、第2の磁気誘導ユニット422と重なり合わず、第1の磁気誘導ユニット412および第2の磁気誘導ユニット422は、上記被測定電流入力構成要素によって生成される磁場を差動式で感知し、差動電圧信号を生成して電流センサの出力信号を形成する。
【0071】
本実施形態では、第1の電流シャント用銅バー12および第2の電流シャント用銅バー22の断面はX-Z面であり、被測定電流は、X-Z面に直交する方向で銅バーを通って流れ、磁場を生成する。つまり、被測定電流の電流方向はX-Z面に直交し、具体的な電流方向はすべて紙面に直交で内向きである。
【0072】
磁気誘導モジュール42は、中に第1の磁気誘導ユニット412および第2の磁気誘導ユニット422を少なくとも備える。第1の磁気誘導ユニット412および第2の磁気誘導ユニット422は同じ水平面上に位置し、水平面は基板52が位置する面に平行であり、具体的には、第1の磁気誘導ユニット412および第2の磁気誘導ユニット422は基板52の上方に位置する。
【0073】
第1の磁気誘導ユニット412は、第1の電流シャント用銅バー12と第2の電流シャント用銅バー22との間に配設され、つまり、Z方向において、第1の電流シャント用銅バー12および第2の電流シャント用銅バー22の垂直投影が重なり合う範囲は第1の磁気誘導ユニット412をカバーし、Z方向において、第1の電流シャント用銅バー12および第2の電流シャント用銅バー22の垂直投影が重なり合う範囲は第2の磁気誘導ユニット422と重なり合わず、つまり、第2の磁気誘導ユニット422は、第1の電流シャント用銅バー12および第2の電流シャント用銅バー22の垂直投影が重なり合う範囲の外側に位置する。
【0074】
第1の磁気誘導ユニット412および第2の磁気誘導ユニット422は、被測定電流が上記被測定電流入力構成要素を通って流れると生成される磁場を差動式で感知し、差動電圧信号を生成し、このとき、磁気誘導モジュール42によって出力される差動電圧信号は、電流センサの出力信号を形成する。
【0075】
任意選択で、電流センサはさらにハウジング62を備え、被測定電流入力構成要素および信号出力構成要素は両方とも、ハウジング62内部に固定的に配設され、ハウジング62は機械的支持ハウジングである。ハウジング62はさらに第2の磁気誘導ユニット422を支持し、磁気誘導モジュール42は開ループ信号調整回路432を採用することに留意されたい。
【0076】
任意選択で、第1の磁気誘導ユニット412の感度方向および第2の磁気誘導ユニット422の感度方向は同じである。
図10に示されるように、磁気誘導ユニットの感度方向は右向きのX方向である。第1の電流シャント用銅バー12は第1の磁気誘導ユニット412の位置において左向きの磁場を生成し、第2の電流シャント用銅バー22は第1の磁気誘導ユニット412の位置において右向きの磁場を生成し、2つは互いをオフセットし低減することができる。第2の磁気誘導ユニット422の位置において被測定電流入力構成要素によって生成される磁場は、第2の磁気誘導ユニット422と被測定電流入力構成要素との間の相対位置によって決定され、
図10に示される電流センサの構造により、第2の磁気誘導ユニット422の位置において被測定電流入力構成要素によって生成される磁場は、ゼロ磁場であるものと概算されてもよい。
【0077】
本実施形態では、第1の電流シャント用銅バー12および第2の電流シャント用銅バー22は、被測定電流をシャントし、第1の磁気誘導ユニット412において反対磁場を生成し、2つは互いをオフセットし低減することができ、被測定電流入力構成要素の位置および構造を調節することによって、第2の磁気誘導ユニット422において、第1の電流シャント用銅バー12および第2の電流シャント用銅バー22にゼロ磁場を生成させることができる。したがって、大電流測定において磁気抵抗感知素子が飽和しやすいという問題を有効に解決する、電流測定範囲を調節する効果が達成される。この電流センサはさらに、単純な構造、小体積、入力および出力の電気的絶縁、大きいDCおよびAC電流の測定能力、調節可能な測定範囲、ならびに低コストという特性を有する。
【0078】
本発明の実施形態はさらに、上述の実施形態のいずれかに記載の電流センサとは異なる電流センサを提供する。具体的には、本実施形態によって提供される電流センサは1つの電流シャント用銅バーのみを採用する。
【0079】
図11を参照すると、この図は、本発明の一実施形態によるさらに別の電流センサの概略図である。
図11に示されるように、本実施形態によって提供される電流センサは、同じ方向で配置された電流シャント用銅バー13および差動銅バー33で構成された、被測定電流入力構成要素と、上記被測定電流入力構成要素から電気的に絶縁され、磁気誘導モジュール43および基板53を備え、磁気誘導モジュール43が基板53上に固定された、信号出力構成要素とを備え、被測定電流は、電流シャント用銅バー13および差動銅バー33に直交する断面を通って流れ、磁気誘導モジュール43の位置に磁場を生成し、磁気誘導モジュール43は、第1の磁気誘導ユニット413および第2の磁気誘導ユニット423を少なくとも備え、第1の磁気誘導ユニット413および第2の磁気誘導ユニット423は同じ水平面上に位置し、水平面は基板53が位置する面に平行であり、電流シャント用銅バー13は、差動銅バー33の下方または磁気誘導モジュール43の上方に配設され、基板53が位置する面に直交する方向において、基板53が位置する面上における差動銅バー33の垂直投影は第1の磁気誘導ユニット413をカバーし、第2の磁気誘導ユニット423と重なり合わず、基板53が位置する面上における電流シャント用銅バー13の垂直投影は第1の磁気誘導ユニット413および第2の磁気誘導ユニット423をカバーし、第1の磁気誘導ユニット413および第2の磁気誘導ユニット423は、上記被測定電流入力構成要素によって生成される磁場を差動式で感知し、差動電圧信号を生成して電流センサの出力信号を形成する。
【0080】
本実施形態では、電流シャント用銅バー13および差動銅バー33の断面はX-Z面であり、被測定電流は、X-Z面に直交する方向で銅バーを通って流れ、磁場を生成する。つまり、被測定電流の電流方向はX-Z面に直交し、具体的な電流方向はすべて紙面に直交で内向きである。
【0081】
磁気誘導モジュール43は、中に第1の磁気誘導ユニット413および第2の磁気誘導ユニット423を少なくとも備える。第1の磁気誘導ユニット413および第2の磁気誘導ユニット423は同じ水平面上に位置し、水平面は基板53が位置する面に平行であり、具体的には、第1の磁気誘導ユニット413および第2の磁気誘導ユニット423は基板53の上方に位置する。
【0082】
本実施形態では、電流シャント用銅バー13が差動銅バー33の下方に配設され、基板53が位置する面上における電流シャント用銅バー13の垂直投影が、Z方向で第1の磁気誘導ユニット413および第2の磁気誘導ユニット423をカバーし、差動銅バー33が、基板53内部の第1の磁気誘導ユニット413に近い方の一方の側に配置され、その垂直投影が第1の磁気誘導ユニット413をカバーし、第2の磁気誘導ユニット423と重なり合わないことが選択される。
【0083】
第1の磁気誘導ユニット413および第2の磁気誘導ユニット423は、被測定電流が上記被測定電流入力構成要素を通って流れると生成される磁場を差動式で感知し、差動電圧信号を生成し、このとき、磁気誘導モジュール43によって出力される差動電圧信号は電流センサの出力信号を形成する。
【0084】
任意選択で、電流センサはさらにハウジング63を備え、被測定電流入力構成要素および信号出力構成要素は両方とも、ハウジング63内部に固定的に配設され、ハウジング63は機械的支持ハウジングである。磁気誘導モジュール43は開ループ信号調整回路433を採用する。任意選択で、第1の磁気誘導ユニット413の感度方向は、第2の磁気誘導ユニット423の感度方向と同じであって、
図11に示されるような右向きのX方向である。電流シャント用銅バー13および差動銅バー33の抵抗ならびに直列および並列の接続関係を制御することによって、電流のほとんどが電流シャント用銅バー13を通って流れるようにすることができ、それによって電流センサの測定範囲を調節し拡張する。加えて、電流シャント用銅バー13および差動銅バー33が反対の電流方向を有する接続方式はまた、磁気誘導モジュール43の反対の磁場を生成するために採用されてもよい。加えて、差動銅バー33が磁気誘導モジュール43の上方に配設されることも選択されてもよく、その場合、電流シャント用銅バー13および差動銅バー33は同様に、磁気誘導モジュール43において反対の磁場を生成することができる。
【0085】
本実施形態は、より単純な構造、より小さい体積、およびさらに低減されたコストで、上述の実施形態を単純化したものである。被測定電流入力構成要素の位置および構造を調節することによって、電流センサの測定範囲を調節し拡張することができる。入力および出力の電気的絶縁、大きいDCおよびAC電流の測定能力、調節可能な測定範囲、ならびに低コストという特性がある。
【0086】
上述の記載は、本発明の好ましい実施形態および採用された技術的原理にすぎないことに留意されたい。当業者であれば、本発明は本明細書に記載される特定の実施形態に限定されず、また当業者にとって、本発明の保護範囲から逸脱することなく、さまざまな明白な修正、再調整、相互組合せ、および置換を行うことができることを理解するはずである。したがって、上述の実施形態を通して本発明について詳細に記載してきたが、本発明は上述の実施形態に単に限定されず、本発明の概念から逸脱することなく、他のより多くの等価な実施形態を含んでもよく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定められる。
【国際調査報告】