(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/82 20130101AFI20241128BHJP
【FI】
A61F2/82
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537889
(86)(22)【出願日】2022-12-26
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 CN2022141879
(87)【国際公開番号】W WO2023125398
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111682990.8
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521204208
【氏名又は名称】元心科技(深▲せん▼)有限公司
【氏名又は名称原語表記】BIOTYX MEDICAL (SHENZHEN) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】4F, Building No.4, Jinxiu Science Park, Wuhe Avenue, Longhua District Shenzhen, Guangdong 518000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張 万謙
(72)【発明者】
【氏名】李 海鋒
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA49
4C267FF05
(57)【要約】
本発明は医療機器の技術分野に属し、具体的には長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法に関し、該方法は長管状の埋込み型医療機器の一端を固定し、同時に他端に外力を加えて機器をストレートに保持することを確保する。本発明によって提供される方法は簡単で、便利で、同時に長管状の埋込み型医療機器の最傾斜位置と固定装置の中心線とのなす角度θ≦5°を確保することができ、それにより加工ワークの均一度、加工製品の合格率及び検出の精度を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法であって、前記長管状の埋込み型医療機器は固定端と宙吊り端を有し、前記長管状の埋込み型医療機器の宙吊り端に外力が加えられて機器をストレートに保持することを確保することお特徴とする、長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項2】
前記外力は磁界牽引力である;前記磁界牽引力が埋込み型医療機器に作用する大きさは
であり、ここで:
μ
0は磁気媒体の真空状態での透磁率で、xは磁気源から機器の宙吊り端における透磁材料の最外延作用面までの距離であり、dxは磁気源から透磁材料の作用面までの距離の積分であり、hは機器上の透磁材料の作用面に垂直な方向での長さであり、F
牽は機器に受ける磁界の総牽引力であり、Bは磁界が透磁材料の作用面における磁気誘導強度であり、Sは磁界と透磁材料の作用面の面積であることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項3】
前記磁界牽引力を発生する磁気源は永久磁石、電磁石であることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項4】
前記磁気源から長管状の埋込み型医療機器の宙吊り端透磁材料の最外延作用面までの距離xの取り得る値の範囲は0.1-100mmであることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項5】
前記磁気源が発生する磁界の磁気誘導強度B≦1000mTであることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項6】
前記埋込み型医療機器の透かし彫り部分の長さは5mm-200mmであることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項7】
前記埋込み型医療機器に作用する磁界牽引力の大きさは埋込み型医療機器の宙吊り部分が受ける重力の1-40倍であることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項8】
前記埋込み型医療機器の固定端に固定される機器の長さはL
固定≦2/3×L
機器であることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項9】
前記埋込み型医療機器固定端の固定方式は挟持、物理的締まり嵌め、磁気リンク、化学的固定を含むことを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項10】
前記長管状の埋込み型医療機器の外径が1.0mm-20.0mmであることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項11】
前記長管状の埋込み型医療機器の肉厚が10μm-600μmであることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項12】
前記長管状の埋込み型医療機器の断面の被覆率が0.1%-35%であることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項13】
前記長管状の埋込み型医療機器の表面の被覆率が5%-60%であることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項14】
前記埋込み型医療機器自体は磁気伝導性を有する;又は前記埋込み型医療機器に磁気伝導のパッチを加えることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項15】
前記長管状の埋込み型医療機器はステントに加工される原材料、半製品、又はステントの完成品であることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の技術分野に属し、具体的には長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療技術の発展に伴い、埋込み型医療機器は徐々にみんなの視野に入ってきており、主に患者の患部をサポートするなどの役割を果たしている。例えば現在一般的に血管病変に用いられるステント留置術は、ステントを血管の病変部位に入れ、狭窄血管を再び拡張させ、正常な血液供給を回復させ、それにより血行再建の目的を達成し、現在血管の狭窄、血液供給不足による疾患(冠状動脈性心臓病、下肢閉塞性動脈硬化症など)の治療には、最も効果的な方法である。埋込み型医療機器は人体内に埋め込まれるため、生産プロセスにおける何らかの要因で機器の合格率が低く、品質が不安定である等の問題を引き起こすと、多くの安全上の問題を引き起こしやすくなり、患者の体内に非常に顕著な副作用が発生し、患者に苦痛をもたらすことになる。そのため、現在各国は埋込み型医療機器の品質、安全性等に対して高い基準を設定し、また対応する規制を強化している。製造業者は製品を生産する時に製品が対応する基準に合致することを保証し、且つそれが体内に埋め込まれた後に対応する安全リスクを可能な限り回避しなければならない。
【0003】
医療機器は生産過程においてスプレー、切断、検出等の工程に関わることが多く、上記工程において、現在よく使われている方法としては、医療機器の一端を治具で挟持され、他端が宙吊りであり、さらにスプレー、切断、検出等の対応する操作を行う。医療機器の長さが比較的短い場合、宙吊りの一端は重力により曲がったり垂れ下がったりすることがないため、加工過程において重力による機器の生産プロセスの不安定、製品の合格率が高くない等の問題がほとんどない。管状の医療機器の長さが一定の値になると、特に透かし彫り設計を有する長管状の医療機器に対し、その表面材料の被覆率が低く、機器全体が軽くて薄いため、宙吊り部のステントは重力により下向きに曲がりやすく、特にスプレー、切断、検出等の工程で、機器は一定の速度と範囲内で回転する必要があり、それにより機器の先端と後端の中心軸が重ならずに顕著な「振れ」が発生し、宙吊り部分の非常に速い揺動により、生産プロセスに一連の問題をもたらす。例えばスプレーのプロセスにおいて機器の表面に均一に吹き付けることができないこと、レーザ切断時にエネルギーが不均一であるために切断できない又は切断されたロッドの太さが一致しないこと、又は切断位置がずれて寸法が不均一であり、加工精度が高くないこと等である。それにより最終的に生産されたステント完成品は体内で使用される時に血栓など一連の問題を引き起こす可能性がある。これに基づき、ステント表面のコーティングが均一で、切断された模様が均一で、検出結果の精度が高い等を確保するように、ステントが加工中に常にストレートを保持することを確保する方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
上記技術的課題に対し、本発明の技術的解決手段は長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法を提供し、該方法は長管状の埋込み型医療機器、特に透かし彫りの長管状の埋込み型医療機器を加工又は検出の工程において常に比較的ストレートな状態を保持することを確保することができ、その揺動中に通過する最高点又は最低点と機器固定末端の固定点との間の接続線が固定装置の中心線が位置する直線とのなす角度はθ≦5°ひいてはθ≦3°であり、同時に加工工程におけるワークの外観及び寸法の合格率及び検出工程における検出精度が90%ひいては95%以上に達することができる。
【0005】
本発明の技術的解決手段は長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法を提供し、該方法における長管状の埋込み型医療機器は固定端と宙吊り端を含み、そのうち、宙吊り端に外力が加えられて機器がストレートに保持することを確保する。
【0006】
本発明における長管状の埋込み型医療機器は仕様が小さく、管状機器が長いほど、宙吊り部が長くなり、振れ現象が深刻であり、ある加工工程において、加工された機器は絶えず回転する必要があるため、機器は重力及びその自身の慣性等により大幅な振れが発生し、振れの角度は120°に達することができ、すなわち揺動過程において機器が通過する最高点と最低点はそれぞれ機器固定末端の固定点との間の接続線とのなす角度は2θであり、揺動過程において2θの値は10°-120°の範囲内に達することができる。特に長管状の埋込み型医療機器が透かし彫り構造である場合、振れがより深刻であり、揺動の角度2θはさらに180°に達することができる。そのため機器表面に十分な力を加える必要があり、機器の尾部を「ストレートに引っ張る」という効果を達成する。
【0007】
なお、上記「最高点」、「最低点」はいずれも機械が揺動の過程において最高位置又は最低位置に達する機械末端断面の中心点を指す。
【0008】
本発明によって提供される上記技術的解決手段において、提供される外力は磁界牽引力である;磁界牽引力が埋込み型医療機器に作用する大きさは
ここで、μ
0は真空状態における磁気媒体の透磁率(即ち真空透磁率であり、ここでμ
0=4π×10
-7N・A
-2)であり、xは磁気源から機器の宙吊り端における透磁材料の最外延作用面までの距離であり、dxは磁気源から透磁材料作用面までの距離の積分であり、hは機器における透磁材料の作用面に垂直な方向での長さであり、F
牽は機器における磁界を受ける総牽引力であり、Bは磁界が透磁材料作用面における磁気誘導強度であり、Sは磁界と透磁材料作用面の面積である。
【0009】
本発明における前記長管状の埋込み型医療機器は磁界の誘導を受けて対応する作用力を生成することができるが、具体的に機器表面が磁界の牽引力を受ける方式は限定されない。
いくつかの場合、長管状の埋込み型医療機器自体は磁気伝導性を有し、例えばいくつかの実施形態における機器の宙吊り部分の全体ひいては機器全体が磁気を伝導することができ、いずれも磁界の作用力を受けることができる;他の実施形態では、機器のある部分は磁気伝導性を有し、例えば機器のコーティング又は機器の主材質は磁気伝導性を有し、又は機器のある断面に磁気伝導性を有する物質(現像構造など)が存在し、機器が磁界の作用力を受け、それにより機器がストレート状態を保持することを確保する。他のいくつかの場合では、機器自体は磁気を伝導しないが、機器の外表面に磁気を伝導するパッチ等が貼り付けられるなど、外部の磁気伝導性を有する材料によって機器も磁界の作用力を受けてさらにストレートを保持することができる。
【0010】
機器は純鉄又は鉄合金の材質で作られるなど、機器自体が磁気伝導性を有し且つその宙吊り部分又は機器全体がいずれも磁気を伝導することができる場合、この時点で本発明の機器にかかる磁界の作用力は
であり、ここでμ
0は磁気媒体の真空状態での透磁率で、すなわち真空透磁率であり、μ
0=4π×10
-7N・A
-2であり、xは磁気源から機器の宙吊り端における最外延作用面までの距離であり、dxは磁気源から機器作用面までの距離の積分であり、hは機器の宙吊り部分の長さであり、F
牽は機器に受ける磁界の総牽引力であり、Bは磁界が機器作用面における磁気誘導強度であり、Sは磁界と機器作用面の面積である。
【0011】
本発明における「磁界と機器作用面の面積S」とは、機器が磁力の作用を受けるいずれかの周方向断面の被覆材の面積を意味し、本発明における機器が透かし彫りの管状構造である場合、「磁界と機器作用面の面積S」は、断面における機器支持ロッドの面積、すなわちS
支持ロッド断面を意味する。その計算式は機器外径の周方向断面積S
周方向に機器断面が被覆する材料の被覆率S
断面被覆率を乗算し、すなわち:
S
機器ロッド断面=S
周方向×S
断面被覆率 式II
ここで、断面に機器が被覆する材料の被覆率S
断面被覆率は全周方向断面において支持ロッドが占める面積S
支持ロッド断面とステント外径の周方向断面積S
周方向との比であり、すなわち:
【0012】
なお、上記S断面被覆率、S周方向、S支持ロッド断面はいずれも平均値であり、且ついずれも機器加工状態/加工過程における面積であり、機器が体内に埋め込まれて体内で使用される状態における面積ではない。
【0013】
本発明における機器自体は一部だけが磁気伝導性を有し(内部の磁気伝導)又はその外表面に透磁材料(外部の磁気伝導)が付着される場合、特に機器内部又は外部磁気伝導箇所の透磁材料が機器の長さ方向の長さが非常に短くて無視できる場合、上記牽引力の式は以下のとおりであってもよい:B
2S
すなわち、機器が受ける磁界牽引力の大きさは、周方向断面方向における磁気伝導性材の面積のみに関係している。
【0014】
磁界は距離の増加につれて徐々に減衰していくため、ある磁気源が外に発射する一定磁界では、磁気源から離れるほど、磁界の磁気誘導強度が小さく、そのため磁界と埋込み型医療機器の宙吊り端の最外延作用面との間の距離が大きい場合、最終的に機器表面に作用する力を一定に保持するために、それに応じて磁気源が発射する磁気誘導強度を増加する必要がある。磁気源は埋込み型医療機器の宙吊り端の最外延作用面との距離が遠い場合、必要な磁気誘導強度は1000mTに達することができ、磁気源は埋込み型医療機器の宙吊り端の最外延作用面との距離が近い場合、磁気源が発生する磁気誘導強度は100mTでも要求を満たすことができる。すなわち、本発明によって提供される上記技術的解決手段において、磁気源が発生する磁界の磁気誘導強度B≦1000mTであり、200mT、300mT、400mT、500mT、600mT、700mT、800mT、900mT等1000以下のいずれかの値を含むが、これらに限定されるものではなく、さらに、磁気源が発生する磁界の磁気誘導強度B≦750mT又はB≦600mT等である。
【0015】
本発明によって提供される上記技術的解決手段において、磁界牽引力を発生する磁気源はいずれの磁界を発生することができる装置及び/又はデバイスであってもよく、一般的な永久磁石など、自然でその自体が磁性を発生することができるものでもよく、通電の場合で磁界を発生することができるなど、外力の作用下で磁界を発生することができる装置又はデバイスであってもよい。さらに、本発明の前記磁気源が永久磁石と電磁石を含むが、これらに限定されるものではなく、磁石、磁鉄、磁界を発生するコイル等であってもよい。一定の磁界、交番磁界、脈動磁界、パルス磁界のいずれかまたは複数であってもよい。また、磁界源の数も1つに限らず、1つであってもよいし、複数の組み合わせであってもよい。
【0016】
本発明によって提供される上記技術的解決手段において、磁気源から埋込み型医療機器の宙吊り端の最外延作用面までの距離xの取り得る値の範囲は0.1mm-100mm(0.5mm、1mm、3mm、5mm、7mm、9mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mm、60mm、65mm、70mm、75mm、80mm、85mm、90mm、95mm、98mm等を含むが、これらに限定されるものではない)である;さらに、磁気源から埋込み型医療機器の宙吊り端の最外延作用面までの距離xの取り得る値は、0.1mm-10mm、0.1mm-15mm、0.1mm-25mm、0.1mm-50mm、0.1mm-60mm、0.1mm-70mm、0.1mm-80mm、0.15mm-80mm、0.15mm-90mmなど、0.1-100mmの間の任意の二つの値からなる区間であってもよい。
【0017】
本発明における前記埋込み型医療機器の吊り下げ端の最外延作用面は磁性源に最も近い磁気伝導性材料上の点が機器の径方向面に垂直な周方向断面であり、本発明における機器全体又は機器の宙吊り部分が透磁材料である場合、前記埋込み型医療機器の宙吊り端の最外延作用面は、機器の宙吊り端が空気と接触する一つの径方向面に垂直な周方向断面を指す。
【0018】
本発明は特に長さが長くて管状である埋込み式医療機器の加工工程に提供される技術的解決手段であり、埋込み式医療機器は長さが長いほど、表面被覆率が低くなり、埋込み式医療機器が重力により曲がりやすくなり、回転又は振動の過程で振れが発生しやすく、人体内で必要とされる/適用する医療機器の長さが限られるため、本発明は宙吊り部分の長さが5mm-200mmである長管状機器(宙吊り部分の長さが10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mm、60mm、65mm、70mm、75mm、80mm、85mm、90mm、95mm、100mm、110mm、120mm、130mm、140mm、150mm、160mm、170mm、180mm、190mm、200mm等を含むが、これらに限定されるものではない)をストレートに保持することができ、さらには、宙吊り部分の長さが38mm-150mm、38mm-140mm、15mm-150mm、15mm-140mm、20mm-150mm、20mm-140mmなどの5mm-200mm区間内の任意の二つの値からなる新しい区間範囲内の長管状器械に適用可能である。
【0019】
本発明によって提供される上記技術的解決手段において、機器が基本的にストレート状態を保持することを確保するように、すなわち機器の最傾斜位置と固定装置の中心線とのなす角度θの値が小さいと可能な限り確保するように、角度θの値を5°及び5°以下、さらに3°及び3°以下に制御することができ、それにより加工工程におけるワークの外観及び寸法の合格率及び検出工程における検出精度が90%以上に達することを確保し、そのためステントの宙吊り端に十分な外力又は磁気牽引力を加える必要がある。しかし埋込み型医療機器に加える磁界牽引力も大きすぎてはならない。大きすぎると機器を固定端の固定から容易に離脱させて安定性を失い、すなわち埋込み型医療機器に作用する磁界牽引力の大きさは、固定端の機器が左右又は上下の移動を発生しないように、固定端が機器に対する引張力より小さくする必要がある;また、本発明における長管状の埋込み型医療機器は透かし彫り構造である場合、加えられる外力の力が大きすぎると、機器が引っ張られて変形しやすい。そのため、本発明では、機器に作用する磁界牽引力の大きさが適度なものとなるように、埋込み型医療機器に加えられる磁界牽引力の大きさを制限する必要がある。本発明によって提供される技術的解決手段において、機器に作用する磁界牽引力の大きさは埋込み型医療機器に加えられる重力の1-40倍であり、2倍、3倍、5倍、7倍、10倍、12倍、15倍、18倍、20倍、23倍、25倍、28倍、30倍、35倍、38倍、40倍などを含むが、これらに限定されるものではない。さらに、埋込み型医療機器に作用する磁界牽引力の大きさは埋込み型医療機器に加えられる重力の1-28倍、1-20倍、5-35倍、3-35倍、3-40倍などである。
【0020】
長管状の埋込み型医療機器のスプレー工程において、スプレー液は粘稠であり、スプレー時にスプレー液を治具付きステント端に吹き付けると、機器と治具が接着しやすくなり、それにより機器表面のコーティングは治具と分離する過程で引き裂かれるため、現在機器を二回又は複数回に分けてスプレーすることは一般的であり、その際にも、埋込み型医療機器挟持端の治具の長さは機器の長さを超えないことが要求され、すなわち機器の長さは治具の長さより長い必要がある。本発明によって提供される上記技術的解決手段において、治具の長さは埋込み式医療機器の長さの2/3以下であってもよく、1/2以下、1/3以下、1/4以下、1/5以下であってもよく、さらに機器内部に位置する治具の長さは0mmであってもよい。
【0021】
本発明によって提供される上記技術的解決手段において、前記埋込み式医療機器固定端の固定方式は多様であり、治具によって挟持してもよく、物理的締まり嵌めによって固定してもよく、さらに磁力又は化学的方式によって固定してもよい。すなわち本発明によって提供される技術的解決手段における機器固定端の固定方式は挟持、物理的締まり嵌め、磁力固定、化学的固定といういくつかの固定方式を含むが、これらに限定されるものではない。
【0022】
本発明によって提供される上記製造方法は、全ての外径、肉厚及び被覆率である長管状の埋込み型医療機器の加工に適用し、特に透かし彫りの長管状の埋込み型医療機器の加工に適用し、長管状の埋込み型医療機器が加工過程においてストレートを保持することを確保する。
【0023】
本発明によって提供される上記技術的解決手段において、前記長管状の埋込み型医療機器の外径は1.0mm-20.0mmである;さらに、前記長管状の埋込み型医療機器の外径は1.0mm-15.0mmである;さらに、前記長管状の埋込み型医療機器の外径は1.0mm-10.0mmである。
【0024】
本発明によって提供される上記技術的解決手段において、前記長管状の埋込み型医療機器の肉厚は10μm-600μm(20μm、30μm、40μm、50μm、80μm、100μm、120μm、150μm、175μm、200μm、225μm、250μm、280μm、300μm、320μm、350μm、380μm、425μm、450μm、475μm、500μm、520μm、550μm、560μm、580μm、600μm等を含むが、これらに限定されるものではない)である;さらに、前記長管状の埋込み型医療機器の肉厚は10μm-500μmである;さらに、前記長管状の埋込み型医療機器の肉厚は15μm-450μmである。
【0025】
本発明によって提供される上記技術的解決手段において、前記長管状の埋込み型医療機器断面の被覆率は0.1%-35%(1%、5%、8%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22.5%、25%、28%、30%、33%、34.5%等を含むが、これらに限定されるものではない)である;さらに、前記長管状の埋込み型医療機器断面の被覆率は0.1%-30%である;さらに、前記長管状の埋込み型医療機器断面の被覆率は0.1%-25%である。
【0026】
本発明によって提供される上記技術的解決手段において、前記長管状の埋込み型医療機器は透かし彫り設計であり、機器表面の被覆率は5%-60%(6%、8%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22.5%、25%、28%、30%、33%、36、40%、45%、50%、55%、58%などを含むが、これらに限定されるものではない)であり、さらに、前記長管状の埋込み型医療機器の被覆率は5%-55%である;さらに、前記長管状の埋込み型医療機器の被覆率は5%-50%、8%-55%、8%-50%、10%-55%、10%-50%、8%-45%、8%-40%、5%-45%、5%-40%、10%-45%、10%-40%、8%-35%又は10%-35%等の5%-60%範囲内の任意の二つの値からなる区間内の値である。
【0027】
なお、本発明における「機器表面の被覆率」とは、加工過程において機器直径条件で機器材料の表面被覆率を意味し、すなわち機器材料が被覆する表面積とステント被覆部の全ての円柱側面積との比であり、公式は以下のとおりである:
ここで:
Sr:加工過程において機器模様の外表面に実際に充填/占める面積、ステントの外表面面積はCADソフトウェアにより測定される;
Ss:加工過程においてステントの被覆部の円筒側面総面積、Ss=π×D1×L1(2)
D1:加工過程におけるステントの直径;
【0028】
なお、本発明に属する長管状の埋込み型医療機器の「外径」、「肉厚」、「断面の被覆率」、「表面の被覆率」はいずれも長管状の埋込み型医療機器が加工状態での対応する値を指す。すなわち、加工する又は加工中の長尺管状の埋込型医療機器の管材の「外径」、「肉厚」、「断面の被覆率」、「表面の被覆率」の値を指す。
【0029】
本発明によって提供される技術的解決手段において、他のいくつかの実施形態では、長管状の埋込み型医療機器は管腔プロテーゼであり、さらに、長管状の埋込み型医療機器は血流ガイド装置であり、さらに、長管状の埋込み型医療機器は血管支持器である。本発明のいくつかの実施形態では、長管状の埋込み型医療機器はステントである;他のいくつかの実施形態では、長管状の埋込み型医療機器はステントに加工される管材であり、いくつかの実施形態では、長管状の埋込み型医療機器は最終完成品のステントに加工される半加工品である;他のいくつかの実施形態では、長管状の埋込み型医療機器は任意の体内用の埋込み型の長くて軽量な医療機器であってもよい;さらにいくつかの実施形態では、前記長管状の埋込み型医療機器はステントに加工される原材料、半加工品、又はステントの完成品である。
【0030】
本発明によって提供される上記技術的解決手段において、埋込み型医療機器自体は磁気伝導性を有する;又は前記埋込み式医療機器に磁性パッチが付加され、磁性パッチは機器上の任意の位置に貼り付けることができるが、治具に挟持されず且つ磁気源に近い部分に貼り付けると効果がよくなり、ステント両端に磁気伝導の現像点を付加すること、又はステント表面に磁気伝導のコーティングを塗布することを含むが、これらに限定されるものではない。さらに、磁性パッチは磁気源からの平均距離が小さいほど好ましい。本発明に貼り付けられる磁性パッチの数は一つ又は複数であってもよく、磁性パッチの形状も限定されないが、それは磁気源が発生する磁界強度、機器作用面から磁気源までの距離などと合わせて十分な磁力を発生してステントをストレート状態に保持することができる。
【0031】
本方法は透かし彫り設計の長管機器の生産過程における複数の工程に適用し、スプレー、切断、検出、被膜等の工程を含むが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本発明によって提供される上記技術的解決手段において、いくつかの実施形態では、機器の材質は純鉄基、鉄基合金であってもよく、他のいずれかの磁気伝導性を有する純金属又は合金材質であってもよい;他のいくつかの実施形態では、機器の材質はポリ乳酸などその自体が磁気伝導性を有しない物質であってもよい。
【0033】
本発明における「固定」とは、治具と機器との相互作用による力によって、機器の固定端を所定の位置に固定することであってもよい;また磁力等の外力によって機器の固定端をある具体的な位置に固定することであってもよい;締り嵌めによる固定であってもよいし、磁界の化学的作用による固定等であってもよい。
【0034】
なお、本発明において、説明の便宜上、「長管状の埋込み型医療機器」を簡略化し、すなわち本発明に記載の「機器」、「医療機器」、「埋込み型医療機器」はいずれも「長管状の埋込み型医療機器」を指す。
【0035】
本発明に記載の「長管状」埋込み型医療機器は機器の長さがその外径より大きい機器を指し、特に宙吊り部分の長さが5mmまたはそれ以上の機器を指し、さらに宙吊り部分の長さが10mm以上の機器を指す。
【0036】
本発明における[振れ]とは、加工中にステント先端とステント後端の中心軸が重ならないことを意味する。
【0037】
本発明に記載の「ストレート」は埋込み型医療機器の最傾斜位置と固定装置の中心線とのなす角度θ≦5°を意味する。
【0038】
なお、本発明における符号「/」は「又は」の意味を表し、例えば「体内で必要とされる/適用する」は体内で必要とされる又は適用することを意味する。
【0039】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態を記述するためだけの目的であり、限定することを意図していないことが理解されるべきである。文脈が特に明示的に示さない限り、本明細書で使用される単数形「一」、「一つ」及び「前記」は、複数形を含むことを表すこともできる。用語「含む」、「包含」、「含有」及び「有する」は包含的であり、したがって説明された特徴、ステップ、操作、素子及び/又は部品の存在を示すが、1つ又は複数の他の特徴、ステップ、操作、素子、部品、及び/又はそれらの組み合わせの存在または追加は除外されない。本明細書に記載される方法、ステップ、プロセス、及び操作は、実行順序が明示的に示されていない限り、説明または説明された特定の順序で実行する必要があるとは解釈されない。なお、他のステップ又は代替のステップを使用することができることも理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読むことにより、様々な他の利点及びメリットは当業者にとって明らかになる。図面は好適な実施形態を示すためのものだけであり、本発明を限定するものではない。また、図面全体において、同じ部品は同じ図面符号で示される。ここで:
【
図1】
図1は実施例1におけるステントスプレーの状態概略図である;
【
図2】
図2は実施例5の現像孔とステントの結合方式の概略図である;
【
図3】
図3は実施例6におけるステント切断過程の状態概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図面には本発明の例示的な実施形態が示されているが、本明細書で説明する実施形態に限定されることなく、様々な形態で本発明を実施することができることを理解すべきである。逆に、これらの実施形態を提供することは、本発明をより完全に理解し、本発明の範囲を当業者に完全に伝えることができるようにするためである。
【0042】
試験方法:
1.コーティング厚さ試験
ステントを超音波霧化ノズルの下に置き、スプレーを行い、ステント表面にコーティング層を被覆した後、sensofar-非接触式3D光学輪郭計を用いて白色光干渉技術の原理により、ステント表面のコーティング層の厚さを測定する。ステント全体の複数箇所のコーティング厚さを測定し、コーティング厚さの最大値と最小値を比較すると、両者の差が2μmを超えることは望ましくない。
2.ステントロッド幅試験
切断されたステントを三次元顕微鏡に置いて観察し、全てのステントレバーを目で観察し、ロッド幅の最大と最小のレバーを探して測定し、測定された最大と最小ロッド幅の差が16μmを超えたことを雌雄ロッドと定義し、雌雄ロッドを切断するステント数を統計する。
すなわち、切断寸法合格率=雌雄ロッドステント数/切断ステント数
3.傾斜角度の測定
ステントの宙吊り部の長さhを確定し、ステントの最遠端断面の中心点と挟持部の水平中心線の高さbを測定し、三角関数から
になり、傾斜角θの大きさが得られる。
4.切断外観検査
切断されたステントを三次元顕微鏡に置いて観察し、ステントの表面に完全にブランキングしていないことがあるか否かを観察し、完全にブランキングしていないステントの数を統計する。
即ち、切断外観の合格率=完全にブランキングしていないステント数/切断ステント数。
【0043】
実施例1
長さが118mmの鉄基吸収可能な薬物溶出外周ステント(ステント加工外径が1.58mmであり、ステント表面被覆率が30%であり、ステント壁厚が70μmであり、ステント周方向断面の支持ロッド被覆率が5%であり、ステント質量mが112.53mgである)の一端を長さが59mmの治具を用いて物理的締まり嵌めにより固定し、挟持部のない長さhが59mmであり、最大磁気誘導強度Bmaxが400mTを発射できる磁石を磁気源としてステントに磁気牽引力を加え、磁石をステント宙吊り端の最外延作用面から1mm離れた位置に設置すると、ステントが比較的ストレートな状態にある。
上記状態のステントを超音波霧化ノズルの下に置き、スプレーを行う。sensofar-非接触式3D光学輪郭計を用いてスプレーした後のステントコーティング厚さを測定し、最大コーティング厚さと最小コーティング厚さの差は0.5μmである。
【0044】
実施例2
長さが200mmの鉄基吸収可能な薬物溶出外周ステント(ステント加工外径が1.58mmであり、ステント表面被覆率が30%であり、ステント肉厚が60μmであり、ステント周方向断面の支持ロッド被覆率が4%であり、ステント質量mが152.16mgである)の一端を長さが100mmの治具を用いて物理的締まり嵌めにより固定し、挟持部のない長さhが100mmであり、最大磁気誘導強度Bmaxが600mTを発射できる磁石を磁気源としてステントに磁気牽引力を加え、磁石をステント宙吊り端の最外延作用面から1mm離れた位置に設置すると、ステントが比較的ストレートな状態にある。
上記状態のステントを超音波霧化ノズルの下に置き、スプレーを行う。sensofar-非接触式3D光学輪郭計を用いてスプレーした後のステントコーティング厚さを測定し、最大コーティング厚さと最小コーティング厚さの差は1μmである。
【0045】
実施例3
長さが38mmの鉄基吸収可能な薬物溶出外周ステント(ステント加工外径が1.2mmであり、ステント表面被覆率が40%であり、ステント肉厚が80μmであり、ステント周方向断面の支持ロッド被覆率が10%であり、ステント質量mが22.83mgである)の一端を長さが15mmの治具を用いて物理締まり嵌めにより固定し、挟持部のない長さhが23mmであり、最大磁気誘導強度Bmaxが300mTを発射できる磁石を磁気源としてステントに磁気牽引力を加え、磁石をステント宙吊り端の最外延作用面から3mm離れた位置に設置すると、ステントが比較的ストレートな状態にある。
上記状態のステントを超音波霧化ノズルの下に置き、スプレーを行う。sensofar-非接触式3D光学輪郭計を用いてスプレーした後のステントコーティング厚さを測定し、最大コーティング厚さと最小コーティング厚さの差は1μmである。
【0046】
実施例4
長さが118mmのコバルト合金ステント(ステント加工外径が2.4mmであり、ステント表面被覆率が20%であり、ステント肉厚が100μmであり、ステント周方向断面の支持ロッド被覆率が4%であり、ステント質量mが98.8mgである)の一端を長さが50mmの治具を用いて物理的締まり嵌めにより固定し、挟持部のない長さhが68mmであり、最大磁気誘導強度Bmaxが300mTを発射できる磁石を磁気源としてステントに磁気牽引力を加え、磁石をステント宙吊り端の最外延作用面から1mm離れた位置に設置すると、ステントが比較的ストレートな状態にある。
上記状態のステントを超音波霧化ノズルの下に置き、スプレーを行う。sensofar-非接触式3D光学輪郭計を用いてスプレーした後のステントコーティング厚さを測定し、最大コーティング厚さと最小コーティング厚さの差は0.5μmである。
【0047】
実施例5
長さが58mmの鉄基吸収可能な薬物溶出ステント(ステント加工外径が8.0mmであり、ステント表面被覆率が11%であり、ステント肉厚が150μmであり、ステント周方向断面の支持ロッド被覆率が0.8%であり、ステント質量mが215.98mgである)の一端を長さが15mmの治具で物理的締まり嵌めにより固定し、挟持部のない長さhが43mmであり、最大磁気誘導強度Bmaxが600mTを発射できる磁石を磁気源としてステントに磁気牽引力を加え、磁石をステントの宙吊り端の最外延作用面から3mm離れた位置に設置すると、ステントが比較的ストレートな状態にある。
上記状態のステントを超音波霧化ノズルの下に置き、スプレーを行う。sensofar-非接触式3D光学輪郭計を用いてスプレーした後のステントコーティング厚さを測定し、最大コーティング厚さと最小コーティング厚さの差は1μmである。
【0048】
実施例6
長さが68mmのマグネシウム合金ステント(ステント質量mが57.26mgである)の両端に一つの断面積が0.5mm
2の現像孔をそれぞれ切断し、現像孔内に磁気伝導性に優れたニッケル材料(
図2に示す)を充填し、使用する治具の長さが30mmであり、挟持部のないステントの長さhが38mmであり、最大磁気誘導強度Bmaxが300mTを発射することができる磁石を磁気源としてステントに磁気牽引力を加え、磁石を現像孔から3mm離れた位置に設置すると、ステントが比較的ストレートな状態にある。このときステントは現像点のみで牽引力を受けるため、現像点のステント径方向における長さhが小さすぎるため、ステントが受ける牽引力は式
で計算し、ガウスメータに基づいて磁石がx=3である時の磁気誘導強度B=150mTを測定し、F
牽=0.00447Nを算出し、このステントの宙吊り部分が受ける重力F
重=0.00032Nである。この時F
牽=14F
重であり、この時ステント最遠端断面中心点と挟持部水平中心線の高さb=2.65mmであり、三角関数に基づいてθ=4°<5°を算出する。上記状態のステントを超音波霧化ノズルの下に置き、スプレーを行う。sensofar-非接触式3D光学輪郭計を用いてスプレーした後のステントコーティング厚さを測定し、最大コーティング厚さと最小コーティング厚さの差は0.5μmである。
【0049】
実施例7
長さが38mmの鉄基吸収可能な薬物溶出外周ステント(ステント加工外径が1.58mmであり、ステント表面被覆率が30%であり、ステント壁厚が70μmであり、ステント周方向断面の支持ロッド被覆率が5%であり、ステント質量mが36.24mgである)の一端を磁石で吸着して固定し、挟持部のない長さhが38mmであり、最大磁気誘導強度Bmaxが400mTを発射できる磁石を磁気源としてステントに磁気牽引力を加え、磁石をステントの宙吊り端の最外延作用面から1mm離れた位置に設置すると、ステントが比較的ストレートな状態にある。
上記状態のステントを超音波霧化ノズルの下に置き、スプレーを行う。sensofar-非接触式3D光学輪郭計を用いてスプレーした後後のステントコーティング厚さを測定し、最大コーティング厚さと最小コーティング厚さの差は0.5μmである。
【0050】
実施例8
図3を参照し、切断対象の外径が1.6mmであり、長さが200mmである金属鉄管を固定装置に挟持し、左側は一定速度6mm/sで供給材料を回転し、右側はレーザで金属を特定の模様のステントに切断する。状態一のように、長いステントを切断する時、ステントの一部だけが模様の切断を完了した場合、金属管材料自体の硬さにより、ステントは一定の真直度を保持し、レーザが材料表面に到達するエネルギーに影響を与えない。ステントが状態二に切断される時、ステント切断の長さが一定値に達し、宙吊りで透かし彫りのステントの長さがより長い場合、宙吊り端のステントは重力により、ある程度に傾斜し、この時傾斜角θは模様切断を完了した部分のステントが長くなるにつれて大きくなり、ステント表面の被切断部位のレーザ光源からの距離と元のレーザ切断設定の距離にズレが発生し、ズレが大きいほど、材料表面に到達するレーザのエネルギーが弱くなり、切断できない又は切断後のステント模様の寸法偏差が大きいという現象が発生する。このときステントの宙吊り端に最大で1000mTの磁気誘導強度を発射することができる磁界の可変電磁気源を増加し、磁気源によってその放射された磁気誘導強度の大きさを調整することができ、及び/又は磁気源と金属管との距離を調整することによって金属管宙吊り端が受けた磁気誘導強度の大きさを調整することができる。本実施例において、切断初期に磁気源をステント末端から5mmの位置に設置し、金属管が磁気源の方向への移動に伴い、透かし彫りのステントが徐々に長くなり、一方でステントが磁気源からの距離が短くなり、この時に磁気源を調整しなくてもよく、後続の金属ロッドの切断が完了する部分が多くなることにつれて、宙吊り端の長さが長くなり、磁界はステントが元の中心位置から離れる距離/角度に基づいて磁界の大きさを調整し、ステントが中心軸から離れる角度を常に5°以内に保持することを確保し、切断が完了した後、ステントの最遠端断面中心点と挟持部水平中心線の高さb=13.95mmであり、θ=4°<5°を算出し、同時に切断済みのステントを三次元顕微鏡に入れて検査し、切断外観合格率97%、切断寸法合格率95%を得る。
【0051】
比較例1
長さが118mmの鉄基吸収可能な薬物溶出外周ステント(ステント加工外径が1.58mmであり、ステント表面被覆率が30%であり、ステント壁厚が70μmであり、ステント周方向断面の支持ロッド被覆率が5%であり、ステント質量mが112.53mgである)の一端を長さが59mmの治具で固定し、挟持部のない長さhが59mmであり、この時ステント最遠端断面中心点と挟持部水平中心線の高さb=37.92mmであり、三角関数に基づいてθ=40°を算出する。上記状態のステントを超音波霧化ノズルの下に置き、スプレーを行う。sensofar-非接触式3D光学輪郭計を用いてスプレーした後のステントコーティング厚さを測定し、最大コーティング厚さと最小コーティング厚さの差は7μmである。
【0052】
以上は、本発明の好適な具体的な実施形態であるが、本発明の保護範囲はこれに限定されるものではなく、当業者であれば本発明に開示された技術的範囲内で、容易に考えられる変更又は置換は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれる。本出願書類においてステントのみを例として説明し、本発明に提供する方法はステントの加工過程のみに適用することを代表せず、他の任意の長管状の埋込み型機器が磁力でストレートに保持する方法はいずれも本発明の保護範囲に含まれる。したがって、本発明の保護範囲は請求項の保護範囲を基準とすべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法であって、前記長管状の埋込み型医療機器は固定端と宙吊り端を有し、前記長管状の埋込み型医療機器の宙吊り端に外力が加えられて機器をストレートに保持することを確保することお特徴とする、長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項2】
前記外力は磁界牽引力である;前記磁界牽引力が埋込み型医療機器に作用する大きさは
であり、ここで:
μ
0は磁気媒体の真空状態での透磁率で、xは磁気源から機器の宙吊り端における透磁材料の最外延作用面までの距離であり、dxは磁気源から透磁材料の作用面までの距離の積分であり、hは機器上の透磁材料の作用面に垂直な方向での長さであり、F
牽は機器に受ける磁界の総牽引力であり、Bは磁界が透磁材料の作用面における磁気誘導強度であり、Sは磁界と透磁材料の作用面の面積であることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項3】
前記磁界牽引力を発生する磁気源は永久磁石、電磁石であることを特徴とする、請求項
2に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項4】
前記磁気源から長管状の埋込み型医療機器の宙吊り端透磁材料の最外延作用面までの距離xの取り得る値の範囲は0.1-100mmであることを特徴とする、請求項
2に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項5】
前記磁気源が発生する磁界の磁気誘導強度B≦1000mTであることを特徴とする、請求項
2に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項6】
前記埋込み型医療機器の透かし彫り部分の長さは5mm-200mmであることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項7】
前記埋込み型医療機器に作用する磁界牽引力の大きさは埋込み型医療機器の宙吊り部分が受ける重力の1-40倍であることを特徴とする、請求項
2に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項8】
前記埋込み型医療機器の固定端に固定される機器の長さはL
固定≦2/3×L
機器であることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項9】
前記埋込み型医療機器固定端の固定方式は挟持、物理的締まり嵌め、磁気リンク、化学的固定を含むことを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項10】
前記長管状の埋込み型医療機器の外径が1.0mm-20.0mmであることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項11】
前記長管状の埋込み型医療機器の肉厚が10μm-600μmであることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項12】
前記長管状の埋込み型医療機器の断面の被覆率が0.1%-35%であることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項13】
前記長管状の埋込み型医療機器の表面の被覆率が5%-60%であることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項14】
前記埋込み型医療機器自体は磁気伝導性を有する;又は前記埋込み型医療機器に磁気伝導のパッチを加えることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【請求項15】
前記長管状の埋込み型医療機器は
機器に加工される原材料、半製品、又は
機器の完成品であることを特徴とする、請求項1に記載の長管状の埋込み型医療機器をストレートに保持する方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
本発明によって提供される上記技術的解決手段において、機器が基本的にストレート状態を保持することを確保するように、すなわち機器の最傾斜位置と固定装置の中心線とのなす角度θの値が小さいと可能な限り確保するように、角度θの値を5°及び5°以下、さらに3°及び3°以下に制御することができ、それにより加工工程におけるワークの外観及び寸法の合格率及び検出工程における検出精度が90%以上に達することを確保し、そのため機器の宙吊り端に十分な外力又は磁気牽引力を加える必要がある。しかし埋込み型医療機器に加える磁界牽引力も大きすぎてはならない。大きすぎると機器を固定端の固定から容易に離脱させて安定性を失い、すなわち埋込み型医療機器に作用する磁界牽引力の大きさは、固定端の機器が左右又は上下の移動を発生しないように、固定端が機器に対する引張力より小さくする必要がある;また、本発明における長管状の埋込み型医療機器は透かし彫り構造である場合、加えられる外力の力が大きすぎると、機器が引っ張られて変形しやすい。そのため、本発明では、機器に作用する磁界牽引力の大きさが適度なものとなるように、埋込み型医療機器に加えられる磁界牽引力の大きさを制限する必要がある。本発明によって提供される技術的解決手段において、機器に作用する磁界牽引力の大きさは埋込み型医療機器に加えられる重力の1-40倍であり、2倍、3倍、5倍、7倍、10倍、12倍、15倍、18倍、20倍、23倍、25倍、28倍、30倍、35倍、38倍、40倍などを含むが、これらに限定されるものではない。さらに、埋込み型医療機器に作用する磁界牽引力の大きさは埋込み型医療機器に加えられる重力の1-28倍、1-20倍、5-35倍、3-35倍、3-40倍などである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
長管状の埋込み型医療機器のスプレー工程において、スプレー液は粘稠であり、スプレー時にスプレー液を治具付き機器端に吹き付けると、機器と治具が接着しやすくなり、それにより機器表面のコーティングは治具と分離する過程で引き裂かれるため、現在機器を二回又は複数回に分けてスプレーすることは一般的であり、その際にも、埋込み型医療機器挟持端の治具の長さは機器の長さを超えないことが要求され、すなわち機器の長さは治具の長さより長い必要がある。本発明によって提供される上記技術的解決手段において、治具の長さは埋込み式医療機器の長さの2/3以下であってもよく、1/2以下、1/3以下、1/4以下、1/5以下であってもよく、さらに機器内部に位置する治具の長さは0mmであってもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
本発明によって提供される上記技術的解決手段において、前記長管状の埋込み型医療機器は透かし彫り設計であり、機器表面の被覆率は5%-60%(6%、8%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22.5%、25%、28%、30%、33%、36、40%、45%、50%、55%、58%などを含むが、これらに限定されるものではない)であり、さらに、前記長管状の埋込み型医療機器の表面被覆率は5%-55%である;さらに、前記長管状の埋込み型医療機器の表面被覆率は5%-50%、8%-55%、8%-50%、10%-55%、10%-50%、8%-45%、8%-40%、5%-45%、5%-40%、10%-45%、10%-40%、8%-35%又は10%-35%等の5%-60%範囲内の任意の二つの値からなる区間内の値である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
本発明によって提供される技術的解決手段において、他のいくつかの実施形態では、長管状の埋込み型医療機器は管腔プロテーゼであり、さらに、長管状の埋込み型医療機器は血流ガイド装置であり、さらに、長管状の埋込み型医療機器は血管支持器である。本発明のいくつかの実施形態では、長管状の埋込み型医療機器はステントである;他のいくつかの実施形態では、長管状の埋込み型医療機器はステントに加工される管材であり、いくつかの実施形態では、長管状の埋込み型医療機器は最終完成品のステントに加工される半加工品である;他のいくつかの実施形態では、長管状の埋込み型医療機器は任意の体内用の埋込み型の長くて軽量な医療機器であってもよい;さらにいくつかの実施形態では、前記長管状の埋込み型医療機器は機器に加工される原材料、半加工品、又は機器の完成品である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
本発明における[振れ]とは、加工中に機器先端と機器後端の中心軸が重ならないことを意味する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
試験方法:
1.コーティング厚さ試験
ステントを超音波霧化ノズルの下に置き、スプレーを行い、ステント表面にコーティング層を被覆した後、sensofar-非接触式3d光学輪郭計を用いて白色光干渉技術の原理により、ステント表面のコーティング層の厚さを測定する。ステント全体の複数箇所のコーティング厚さを測定し、コーティング厚さの最大値と最小値を比較すると、両者の差が2μmを超えることは望ましくない。
2.ステントロッド幅試験
切断されたステントを三次元顕微鏡に置いて観察し、全てのステントレバーを目で観察し、ロッド幅の最大と最小のレバーを探して測定し、測定された最大と最小ロッド幅の差が16μmを超えたことを雌雄ロッドと定義し、雌雄ロッドを切断するステント数を統計する。
すなわち、切断寸法合格率=
1-100%×(雌雄ロッドステント数/切断ステント数
)。
3.傾斜角度の測定
ステントの宙吊り部の長さhを確定し、ステントの最遠端断面の中心点と挟持部の水平中心線の高さbを測定し、三角関数から
になり、傾斜角θの大きさが得られる。
4.切断外観検査
切断されたステントを三次元顕微鏡に置いて観察し、ステントの表面に完全にブランキングしていないことがあるか否かを観察し、完全にブランキングしていないステントの数を統計する。
即ち、切断外観の合格率=完全にブランキングしていないステント数/切断ステント数。
【国際調査報告】