(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】絶縁基板を用いた複数の半導体デバイスのモジュールアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20241128BHJP
H01L 21/338 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L29/80 H
H01L29/80 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537945
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 US2022082182
(87)【国際公開番号】W WO2023122694
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510219556
【氏名又は名称】トランスフォーム テクノロジー,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビシ,ダビデ
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,ギータク
(72)【発明者】
【氏名】細田 勉
(72)【発明者】
【氏名】ミシュラ,ウメシュ
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102FA10
5F102GA02
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ04
5F102GJ10
5F102GL04
5F102GM04
5F102GV03
5F102GV08
(57)【要約】
高熱伝導性パッケージベースを有する電子部品パッケージを備える電子部品。部品は、第1絶縁基板を有し、第1側と第2側とを有し、その第1側上に第1のIII-N材料構造を有する第1横型III-Nデバイスをさらに備える。第2横型III-Nデバイスは、第2絶縁基板を有し、第1側と第2側とを有し、その第1側上に第2のIII-N材料構造を有する。第1横型III-Nデバイスの第2側は熱伝導性パッケージベースに直接的に取り付けられ、物理的に取り付けられ、第2横型III-Nデバイスの第2側は熱伝導性パッケージベースに直接的に取り付けられ、物理的に取り付けられる。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高熱伝導性パッケージベースを有する電子部品パッケージと、
第1絶縁基板を有し、第1側と第2側とを有し、その前記第1側上に第1のIII-N材料構造を有する第1横型III-Nデバイスと、
第2絶縁基板を有し、第1側と第2側とを有し、その第1側上に第2のIII-N材料構造を有する第2横型III-Nデバイスと、を備え、
前記第1横型III-Nデバイスの前記第2側は、前記パッケージベースに直接的に取り付けられ、物理的に取り付けられ、前記第2横型III-Nデバイスの前記第2側は前記熱伝導性パッケージベースに直接的に取り付けられ、物理的に取り付けられる、電子部品。
【請求項2】
前記第1横型III-Nデバイスおよび前記第2横型III-Nデバイスの前記第2側にバックメタル層が配置され、前記バックメタル層は、熱伝導性はんだ、熱伝導性エポキシ、または熱伝導性はんだペーストを用いて前記熱伝導性パッケージベースに取り付けられている、請求項1に記載の部品。
【請求項3】
前記第1絶縁基板および前記第2絶縁基板は、厚さ50μm超であり、破壊電圧が1200V超のサファイア基板である、請求項1に記載の部品。
【請求項4】
前記電子部品パッケージ内にプリント基板(PCB)をさらに備え、
前記PCBが絶縁層と、第1側と、前記第1側と反対側の第2側とを備え、前記PCBの前記第1側は、前記パッケージベースに物理的に取り付けられた第1金属層を有する、請求項1に記載の部品。
【請求項5】
前記PCBの前記第2側は第2金属層を有し、
前記第2金属層は、少なくとも第1部分、第2部分、および第3部分を有し、前記第1部分、前記第2部分、および前記第3部分は、それぞれ電気的に他の部分から絶縁され、
前記第1横型III-Nデバイスのドレイン電極は、前記第1部分に電気的に接続され、前記第1横型III-Nデバイスのソース電極は、前記第2部分に電気的に接続され、前記第2横型III-Nデバイスのドレイン電極は、前記第2部分に電気的に接続され、前記第2横型III-Nデバイスのソース電極は、前記第3部分に電気的に接続されている、請求項4に記載の部品。
【請求項6】
第1縦型MOSFETデバイスをさらに備え、
前記第1縦型MOSFETデバイスのドレイン電極は、前記第1横型III-Nデバイスのソース電極に電気的に接続され、物理的に取り付けられている、請求項4に記載の部品。
【請求項7】
第2縦型MOSFETデバイスをさらに備え、
前記第2縦型MOSFETデバイスのドレイン電極は、前記第2横型III-Nデバイスのソース電極に電気的に接続され、物理的に取り付けられている、請求項6に記載の部品。
【請求項8】
前記PCBの前記第2側は、第2金属層を有し、
前記第2金属層は、少なくとも第1部分、第2部分、および第3部分を有し、前記第1部分、前記第2部分、および前記第3部分はそれぞれ電気的に他の部分から絶縁され、
前記第1横型III-Nデバイスのドレイン電極は、前記第1部分に電気的に接続され、前記第1縦型MOSFETデバイスのソース電極は、前記第2部分に電気的に接続され、前記第2横型III-Nデバイスのドレイン電極は、前記第2部分に電気的に接続され、前記第2縦型MOSFETデバイスのソース電極は、前記第3部分に電気的に接続されている、請求項7に記載の部品。
【請求項9】
前記PCBの前記第2側に取り付けられた抵抗器、コンデンサ、または集積回路をさらに備える、請求項5に記載の部品。
【請求項10】
前記電子部品パッケージ内にプリント基板(PCB)をさらに備え、
前記PCBは、絶縁層と、第1側と、前記第1側と反対側の第2側とを有し、前記PCBは前記パッケージベースから物理的に分離されている、請求項1に記載の部品。
【請求項11】
前記PCBの前記第2側に取り付けられた抵抗器、コンデンサ、または集積回路、および前記PCBの前記第1側に取り付けられた抵抗器、コンデンサ、または集積回路をさらに備えている、請求項10に記載の部品。
【請求項12】
高熱伝導性パッケージベースと、
前記熱伝導性パッケージベースに取り付けられた基板であって、絶縁層上に第1金属層を備え、前記第1金属層は、第1部分、第2部分、および第3部分を有し、前記基板は第1開口部および第2開口部をさらに有し、前記第1開口部および前記第2開口部において前記第1金属層および前記絶縁層を除去して前記パッケージベースの上面を露出させる、前記基板と、
前記第1開口部において前記熱伝導性パッケージベースに取り付けられた第1半導体デバイスと、
前記第2開口部において前記熱伝導性パッケージベースに取り付けられた第2半導体デバイスと、
前記パッケージベースに取り付けられ、前記基板、前記第1半導体デバイスおよび前記第2半導体デバイスを囲むパッケージカバーと、を備える電子モジュール。
【請求項13】
前記第1半導体デバイスのドレイン電極は、前記第1金属層の前記第1部分に電気的に接続され、前記第1半導体デバイスのソース電極は、前記第1金属層の前記第2部分に電気的に接続され、前記第2半導体デバイスのドレイン電極は、前記第1金属層の前記第2部分に電気的に接続され、前記第2半導体デバイスのソース電極は、前記第1金属層の前記第3部分に電気的に接続されている、請求項12に記載の電子モジュール。
【請求項14】
前記第1金属層の前記第1部分は高電圧端子に接続され、前記第1金属層の前記第2部分は出力端子に接続され、前記第1金属層の前記第3部分は接地端子に接続されている、請求項13に記載の電子モジュール。
【請求項15】
前記第1半導体デバイスおよび前記第2半導体デバイスはハーフブリッジ回路を形成する、請求項14記載の電子モジュール。
【請求項16】
前記第1半導体デバイスおよび前記第2半導体デバイスは、横型III-Nトランジスタであり、前記トランジスタのIII-N材料構造はサファイア基板上に形成されている、請求項13に記載の電子モジュール。
【請求項17】
第3半導体デバイスと第4半導体デバイスとをさらに備え、
前記第3半導体デバイスのドレイン電極は、前記第1半導体デバイスのソース電極に取り付けられ、前記第4半導体デバイスのドレイン電極は、前記第2半導体デバイスのソース電極に取り付けられ、
前記第1半導体デバイスのドレイン電極は、前記第1金属層の前記第1部分に電気的に接続され、前記第3半導体デバイスのソース電極は、前記第1金属層の前記第2部分に電気的に接続され、前記第2半導体デバイスのドレイン電極は、前記第1金属層の前記第2部分に電気的に接続され、前記第4半導体デバイスのソース電極は、前記第1金属層の前記第3部分に電気的に接続されている、請求項12に記載の電子モジュール。
【請求項18】
前記第1金属層の前記第1部分は高電圧端子に接続され、前記第1金属層の前記第2部分は出力端子に接続され、前記第1金属層の前記第3部分は接地端子に接続されている、請求項17に記載の電子モジュール。
【請求項19】
前記第1半導体デバイスおよび前記第2半導体デバイスはハーフブリッジ回路を形成する、請求項18に記載の電子モジュール。
【請求項20】
前記第1半導体デバイスおよび前記第2半導体デバイスは、横型III-Nトランジスタであり、前記トランジスタのIII-N材料構造は、サファイア基板上に形成され、前記第3半導体デバイスおよび前記第4半導体デバイスは、縦型シリコンMOSFETトランジスタである、請求項17に記載の電子モジュール。
【請求項21】
高熱伝導性パッケージベースと、高電圧端子と、出力端子と、接地端子と、
第1のIII-Nデプリーションモードトランジスタと、第1エンハンスメントモードトランジスタとを有する高位側スイッチと、
第2のIII-Nデプリーションモードトランジスタと、第2エンハンスメントモードトランジスタとを有する低位側スイッチと、
前記基板と、前記高位側スイッチと、前記低位側スイッチとを囲むように前記パッケージベースに取り付けられたパッケージカバーと、を備え、
前記第1のIII-Nデプリーションモードトランジスタのドレイン電極は、前記高電圧端子に電気的に接続され、前記第1エンハンスメントモードトランジスタのソース電極は、前記出力端子に電気的に接続され、前記第2のIII-Nデプリーションモードトランジスタのドレイン電極は、前記出力端子に電気的に接続され、前記第2エンハンスメントモード端子のソース電極は、前記接地端子に電気的に接続され、
前記第1のIII-Nデプリーションモードトランジスタおよび前記第2のIII-Nデプリーションモードトランジスタの基板は、前記高熱伝導性パッケージベースに直接的に取り付けられ、物理的に取り付けられている、電子モジュール。
【請求項22】
前記第1のIII-Nデプリーションモードトランジスタおよび前記第2のIII-Nデプリーションモードトランジスタの前記基板は、サファイア基板である、請求項21に記載の電子モジュール。
【請求項23】
前記高位側スイッチと前記低位側スイッチは、ハーフブリッジ回路を形成する、請求項22に記載の電子モジュール。
【請求項24】
前記第1のIII-Nデプリーションモードトランジスタおよび前記第2のIII-Nデプリーションモードトランジスタは、横型GaN HEMTトランジスタである、請求項23に記載の電子モジュール。
【請求項25】
前記第1エンハンスメントモードトランジスタおよび前記第2エンハンスメントモードトランジスタは、縦型シリコンMOSFETトランジスタである、請求項24に記載の電子モジュール。
【請求項26】
前記第1エンハンスメントモードトランジスタのドレインは、前記第1のIII-Nデプリーションモードトランジスタのソースに直接物理的に取り付けられ、前記第2エンハンスメントモードトランジスタのドレインは、前記第2のIII-Nデプリーションモードトランジスタのソースに直接物理的に取り付けられている、請求項25に記載の電子モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、半導体電子デバイスおよびモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、トランジスタ、ダイオード、パワーMOSFET、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)などのデバイスを有する代表的なパワー半導体デバイスは、シリコン(Si)半導体材料で製造されている。最近では、優れた特性を持つワイドバンドギャップ材料(たとえばIII-N)がパワーデバイスとして検討されている。ガリウムナイトライド(GaN)デバイスなどのIII族窒化物、すなわちIII-N半導体デバイスは、大電流を流し、高電圧に耐えることができ、スイッチング時間が短く電力損失が少ないうえにオン抵抗が非常に低いという点で、魅力的な候補として注目されている。GaNパワーデバイスのコストを削減し、既存のシリコン製パワーデバイスと競争するために、GaNパワーデバイスは通常、既存のシリコン製造設備と互換性の高い、導電性または半導電性のシリコン基板(GaN-on-Silicon)上に製造される。
【0003】
シリコンなどの導電性または半導電性の基板上に製造された2つ以上の半導体デバイスを有する電子モジュールは、通常、半導体デバイス間の電気的絶縁を確保するために、絶縁層(通常、AlNなどのセラミック層)を用いて直接接着銅板(すなわちDBC)またはプリント基板(PCB)上に組み立てられる。この電気的絶縁は、モジュールの適切な動作に必要である。
【0004】
従来技術の断面図を
図1に示す。
図1のモジュール100は、プラスチックまたは金属製のパッケージカバーとすることができるモジュールパッケージカバー10を有する。モジュール100は、高熱伝導材料(たとえば、銅、アルミニウム、ニッケルなどの金属)で形成された構造パッケージベース11を有する。パッケージカバー10および構造パッケージベース11は、内部電子部品を環境要素から保護するパッケージアセンブリを形成する。
【0005】
モジュール100は、たとえば直接接着銅(DBC)基板またはプリント基板(PCB)とすることができる基板12を有し、これはモジュールのベース基板となり得る。一般的に、パッケージベース11は、パッケージカバー10が取り付けられる層、および基板12からさらに離れた層(ただし、基板12自体や基板12に近い層を除く)を有するものと考えることができる。
【0006】
簡略化のため、モジュール100の基板12はDBC基板である。DBC基板は、高温溶融拡散プロセスにおいて、AlNやAl2O3などのセラミック絶縁体への純銅の直接接着によって形成される。DBC基板12は、底部金属層13(たとえば銅またはニッケル)と上部金属層(たとえば銅またはニッケル)の間に絶縁層14(たとえばセラミック、AlN、またはAl2O3)を有する。上部金属層は、少なくとも第1部分15、第2部分16、第3部分17、第4部分18、および第5部分19にパターン化されている。部分15~19は、DBC12の上部金属層を通して形成されたトレンチ25によって、それぞれ電気的に互いに絶縁されている。
【0007】
モジュール100はさらに、第1半導体デバイス20および第2半導体デバイス30を有する。デバイス20または30は、たとえば、縦型または横型のFET、IGBT、MOSFET、JFET、HEMT、またはその他の適切なデバイスとすることができる。この実施形態において、
図1に示す第1および第2半導体デバイス20および30は横型デバイスである。第1デバイス20は、導電性または半導電性の基板21(たとえば、Si、SiCまたはGaN)上に形成される。第1デバイス20は、第1ソース電極22および第1ドレイン電極23を有し、接着層24(たとえば、はんだ、エポキシまたははんだペースト)により、上部金属層16の第2部分に取り付けられる。
【0008】
モジュール100は、第2半導体デバイス30をさらに有する。第2デバイス30は、たとえば、横型または縦型のFET、IGBT、MOSFET、JFET、HEMT、またはその他の適切なデバイスとすることができる。第2デバイス30は、導電性または半導電性の基板31(たとえば、Si、SiC、またはGaN)上に形成される。第2デバイス30は、第2ソース電極32および第2ドレイン電極33を有し、接着層34(たとえば、はんだ、エポキシ、はんだペースト)により上部金属層18の第4部分に取り付けられる。
【0009】
コネクタ41は、第1ドレイン電極22を上部金属層15の第1部分と電気的に接続する。コネクタ42は、第1ソース電極23を上部金属層17の第3部分と電気的に接続する。コネクタ43は、第2ドレイン電極32を上部金属層17の第3部分と電気的に接続する。コネクタ44は、第2ソース電極33を上部金属層19の第5部分に電気的に接続する。コネクタ41~44は、ワイヤボンド、銅クリップ、ワイヤリボンなどで形成することができる。第1半導体デバイス20と第2半導体デバイス30の電気的絶縁を確保するために、絶縁層14がモジュール100内で熱伝導性構造パッケージベース11からデバイスを絶縁し、分離するために使用される。絶縁層14の厚さは、一般的に200μmより大きくすることができる。
【発明の概要】
【0010】
本明細書では、絶縁基板を使用してデバイスをコンポーネントパッケージまたは電子モジュールに統合し、モジュールの熱性能を向上させる横型デバイス(たとえば、GaN HEMTパワートランジスタ)用の統合設計について説明する。用語「デバイス」は、トランジスタ、スイッチ、ダイオードを区別する必要がない場合は、一般的にこれらのいずれにも使用される。
【0011】
第1の態様では、電子部品が記載されている。電子部品は、高熱伝導性パッケージベースを有する電子部品パッケージを有する。この部品は、第1絶縁基板を有する第1横型III-Nデバイスを備え、前記第1横型III-Nデバイスは、第1側と第2側とを有し、その前記第1側上に第1のIII-N材料構造を有する。部品は、第2絶縁基板を有する第2横型III-Nデバイスを備える。前記第2横型III-Nデバイスは、第1側と第2側とを有し、その第1側上に第2のIII-N材料構造を有する。前記第1横型III-Nデバイスの前記第2側は、前記パッケージベースに直接的に取り付けられ、物理的に取り付けられ、前記第2横型III-Nデバイスの前記第2側は前記パッケージベースに直接的に取り付けられ、物理的に取り付けられる。
【0012】
第2の態様では、電子モジュールが記載されている。このモジュールは、パッケージ、高熱伝導性パッケージベース、および前記パッケージベースに取り付けられた基板を有する。前記基板は絶縁層上に第1金属層を備える。前記第1金属層は、第1部分、第2部分、および第3部分を有する。前記基板は第1開口部および第2開口部をさらに有し、前記第1開口部および前記第2開口部において前記第1金属層および前記絶縁層を除去して前記パッケージベースの上面を露出させる。第1半導体デバイスは、前記第1開口部において前記パッケージベースに取り付けられ、第2半導体デバイスは、前記第2開口部において前記パッケージベースに取り付けられている。
【0013】
第3の態様では、電子モジュールが記載されている。電子モジュールは、パッケージ、熱伝導性パッケージベース、高位側スイッチ、低位側スイッチ、高電圧端子、出力端子、および接地端子を有する。高位側スイッチは、第1のIII-Nデプリーションモードトランジスタと第1エンハンスメントモードトランジスタとを備え、低位側スイッチは、第2のIII-Nデプリーションモードトランジスタと第2エンハンスメントモードトランジスタとを備える。第1のIII-Nデプリーションモードトランジスタのドレイン電極は、高電圧端子に電気的に接続され、第1エンハンスメントモードトランジスタのソース電極は、出力端子に電気的に接続され、第2のIII-Nデプリーションモードトランジスタのドレイン電極は、出力端子に電気的に接続され、第2エンハンスメントモードトランジスタのソース電極は接地端子に電気的に接続され、第1および第2のIII-Nデプリーションモードトランジスタの基板は、高熱伝導性パッケージベースに直接物理的に取り付けられている。
【0014】
本明細書で説明するデバイス、トランジスタ、およびモジュールは、それぞれ以下の特徴の1つ以上を有することができる。絶縁基板はサファイア基板とすることができる。第1および第2絶縁基板はバックメタル層を有し、バックメタル層は熱伝導性はんだ、熱伝導性エポキシ、または熱伝導性はんだペーストを用いてパッケージベースに取り付けられる。プリント基板(PCB)は部品パッケージ内とすることができ、PCBは絶縁層、第1側と、第1側と反対側の第2側を有し、PCBの第1側はパッケージベースに物理的に取り付けられた第1金属層を有する。PCBの第2側は第2金属層を有することができ、第2金属層は少なくとも第1部分、第2部分、および第3部分を有し、第1部分、第2部分、および第3部分はそれぞれ電気的に他の部分から絶縁されている。第1横型III-Nデバイスのドレイン電極は第1部分に電気的に接続され、第2横型III-Nデバイスのドレイン電極は第2部分に電気的に接続され、第1横型III-Nデバイスのソース電極は第2部分に電気的に接続され、第2横型III-Nデバイスのソース電極は第3部分に電気的に接続されている。第1縦型MOSFETデバイスは、MOSFETデバイスのドレイン電極が第1横型III-Nデバイスのソース電極に電気的に接続され、物理的に取り付けられている。第2縦型MOSFETデバイスは、第2MOSFETのドレインが第2のIII-Nデバイスのソースに電気的に接続され、物理的に取り付けられている。抵抗器、コンデンサ、またはICがPCBの第2側に取り付けられている。PCBはパッケージベースから物理的に分離されている。このデバイスは、破壊電圧が600V超、オン抵抗が15mオーム未満の高電圧デバイスとすることができる。第1金属層の第1部分は高電圧端子に接続され、第1金属層の第2部分は出力端子に接続され、第1金属層の第3部分は接地端子に接続される。電子モジュールの高位側(第1半導体デバイス)および低位側(第2半導体デバイス)スイッチは、ハーフブリッジ回路を形成することができる。高位側スイッチと低位側スイッチは、単一の電子パッケージに収容することができる。第1および第2のIII-Nデプリーションモードトランジスタは、横型GaN HEMTトランジスタである。第1および第2エンハンスメントモードトランジスタは、縦型シリコンMOSFETトランジスタである。
【0015】
本明細書において、「ハイブリッドエンハンスメントモード電子デバイスまたはコンポーネント」、または単に「ハイブリッドデバイスまたはコンポーネント」とは、デプリーションモードトランジスタとエンハンスメントモードトランジスタで形成された電子デバイスまたはコンポーネントである。デプリーションモードトランジスタは、エンハンスメントモードトランジスタと比較して、より高い動作電圧および/または破壊電圧が可能であり、ハイブリッドデバイスまたはコンポーネントは、破壊電圧および/または動作電圧がデプリーションモードトランジスタとほぼ同じで、単一のエンハンスメントモードトランジスタと同様に動作するように構成されている。すなわち、ハイブリッドエンハンスメントモードデバイスまたはコンポーネントは、以下の特性を有する少なくとも3つのノードを有する。第1ノード(ソースノード)および第2ノード(ゲートノード)を同一の電圧に保持した場合、ハイブリッドエンハンスメントモードデバイスまたはコンポーネントは、ソースノードに対して第3ノード(ドレインノード)に印加される正の高電圧(すなわち、エンハンスメントモードトランジスタが遮断可能な最大電圧よりも大きな電圧)を遮断することができる。ゲートノードがソースノードに対して十分な正の電圧(すなわち、エンハンスメントモードトランジスタの閾値電圧よりも高い電圧)に保持されている場合、ソースノードに対してドレインノードに十分な正の電圧が印加されると、電流がソースノードからドレインノードへ、またはドレインノードからソースノードへ流れる。エンハンスメントモードトランジスタが低電圧デバイスで、デプリーションモードトランジスタが高電圧デバイスである場合、ハイブリッドコンポーネントは、単一の高電圧エンハンスメントモードトランジスタと同様に動作することができる。デプリーションモードトランジスタは、エンハンスメントモードトランジスタの少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または少なくとも20倍の破壊電圧および/または最大動作電圧を有することができる。
【0016】
本明細書において、III-窒化物またはIII-N材料、層、デバイスなどの用語は、化学量論式BwAlxInyGazNに従う化合物半導体材料を有する材料またはデバイスを指し、ここで、w+x+y+zは約1であり、0≦w≦1、0≦x≦1、0≦y≦1および0≦z≦1である。III-N材料、層、またはデバイスは、適切な基板上に直接成長させる方法(たとえば、有機金属化学気相成長法)により、または適切な基板上に成長させ、元の基板から剥離し、他の基板に結合させる方法によって形成または調製することができる。
【0017】
本明細書において、2つ以上の接点またはその他の要素(たとえば、導電性チャネルまたはコンポーネント)が「電気的に接続される」とは、いかなるバイアス条件下でも常に各接点またはその他の要素の電位が同じになるように意図されている、たとえばほぼ同じになるように伝導性が十分な材料で接続されていることをいう。
【0018】
本明細書において、「電圧遮断」とは、トランジスタ、デバイス、またはコンポーネントに電圧が印加された際に、通常の導電時の動作電流の0.001倍を超える電流などの大きな電流がトランジスタ、デバイス、またはコンポーネントを流れるのを防ぐトランジスタ、デバイス、またはコンポーネントの能力を指す。言い換えれば、トランジスタ、デバイス、またはコンポーネントに印加された電圧を遮断している間、そのトランジスタ、デバイス、またはコンポーネントを流れる電流の合計は、通常の導電時の動作電流の0.001倍を超えない。この値よりも大きいオフ状態電流を持つデバイスは、損失が大きく効率が低いため、多くの用途、特にpパワースイッチング用途には通常適さない。
【0019】
本明細書において、「高電圧デバイス」とは、たとえば、高電圧スイッチングトランジスタ、HEMT、双方向スイッチ、または4象限スイッチ(FQS)などの、高電圧用途向けの電子デバイスを指す。すなわち、デバイスがオフ状態のとき、約300V以上、約600V以上、または約1200V以上の高電圧を遮断することができ、デバイスがオン状態のとき、使用される用途において十分に低いオン抵抗(RON)を有し、たとえば、デバイスを流れる電流で十分に低い伝導損失となる。高電圧デバイスは、少なくとも、使用される回路の高電圧供給または最大電圧と同等の電圧を遮断できるものとすることができる。高電圧デバイスは、300V、600V、1200V、1700V、2500Vの遮断、または用途に応じて要求される適切な遮断電圧が可能であるとしてもよい。言い換えれば、高電圧デバイスは、0Vから少なくともVmaxまでの間のすべての電圧を遮断できる。ここで、Vmaxは回路または電源から供給可能な最大電圧であり、Vmaxは、たとえば300V、600V、1200V、1700V、2500V、または用途に応じて要求されるその他の適切な遮断電圧である。双方向スイッチまたは4象限スイッチの場合、スイッチがオフのときは、遮断される電圧は、特定の最大値(たとえば±300V、±600V、±1200Vなどの±Vmax)以下の任意の極性となり、スイッチがオンのとき、電流はいずれかの方向に流れる。
【0020】
本明細書において、「上方(over)」、「下方(under)」、「間(between)」、「上(on)」という用語は、ある層の別の層に対する相対的位置を指す。したがって、たとえば、ある層が他の層の上方または下方に配置されている場合、その層は別の層と直接的に接触してもよいし、1つ以上の層が間に介在してもよい。さらに、2つの層の間に配置された層は、それら2つの層と直接的に接触してもよいし、1つ以上の層が間に介在してもよい。これに対して、第2層「上」の第1層は、第2層と接触する。さらに、ある層の、他の層に対する相対的位置は、基板の絶対的配向を考慮することなく、基板に対して操作が実行されることを想定して提供される。
【0021】
本明細書において、「電極」とは、デバイスのソース、ゲート、ドレインのいずれかに接続されるデバイスまたはトランジスタ内の金属層を指す。「ソースパッド、ドレインパッド、ゲートパッド」などの「パッド」とは、たとえばはんだ、エポキシ、ワイヤボンディング、および/または金属クリップを用いて、デバイスまたはトランジスタをパッケージに電気的に接続するために使用される半導体材料からなる電極の最上部の非パッシベーション部分を指す。
【0022】
本明細書において、熱伝導率の高い材料とは、1メートルケルビンあたりのワット数で測定して1を超える熱伝導率を持つ材料として定義される。
【0023】
本明細書で説明されている主題の1つ以上の開示された実装の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。実装には、追加の機能やバリエーションが含まれる場合もある。その他の機能、態様、および利点は、明細書、図面、および特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【0025】
【
図2A】絶縁基板上に形成された半導体デバイスを有する電子モジュールの断面図。
【
図2B】絶縁基板上に形成された半導体デバイスを有する電子モジュールの平面図。
【0026】
【
図3】ハイブリッドIII-Nデバイスを有する電子モジュールの断面図。
【0027】
【
図4A】絶縁基板上に形成された半導体デバイスを有する電子モジュールの平面図。
【0028】
【
図4B】絶縁基板を有する電子モジュールの例示的な断面側面図。
【
図4C】絶縁基板を有する電子モジュールの例示的な断面側面図。
【
図4D】絶縁基板を有する電子モジュールの例示的な断面側面図。
【0029】
【
図5A】絶縁基板を有する電子モジュールの例示的な断面側面図。
【
図5B】絶縁基板を有する電子モジュールの例示的な断面側面図。
【0030】
【0031】
【
図5D】絶縁基板を有する電子モジュールの例示的な断面側面図。
【
図5E】絶縁基板を有する電子モジュールの例示的な断面側面図。
【0032】
【
図6A】モノリシック集積半導体デバイスを有する電子モジュールの例示的な断面図。
【
図6B】モノリシック集積半導体デバイスを有する電子モジュールの平面図。
【0033】
【
図7】モノリシック集積半導体デバイスを有する電子モジュールの例示的な断面側面図。
【0034】
【
図8A】フリップチップ技術を用いた電子モジュールの断面側面図。
【
図8B】フリップチップ技術を用いた電子モジュールの断面側面図。
【
図8C】フリップチップ技術を用いた電子モジュールの断面側面図。
【
図8D】フリップチップ技術を用いた電子モジュールの断面側面図。
【0035】
【発明を実施するための形態】
【0036】
シリコン基板のコストが低く、シリコンと互換性のある加工装置が広く入手可能であるため、現在の業界における商業化への取り組みは、主に半導電性または導電性のシリコン基板上に横型のIII-N半導体デバイス(たとえば、GaN/AlGaN HEMTデバイス)を形成することに集中している。しかしながら、シリコン基板上に形成された複数の半導体デバイスを単一の電子モジュールに統合するには、デバイス間の電気的絶縁が必要であり、そのため、パワーデバイスとモジュールパッケージベースの間に電気絶縁板を追加する必要があり、熱性能が低下し得る。複数の半導体デバイスの電気的絶縁を確保するために、絶縁シムがモジュール内で熱伝導性構造パッケージベースからデバイスを絶縁し、分離するために使用される。絶縁シムの厚さは一般的に200μmより大きくなる。しかし、これにより半導体デバイスとモジュールパッケージの熱パッドおよび/またはヒートシンクとの間に大きな熱抵抗が生じ、モジュール性能の低下につながる。絶縁シムを薄い誘電体層(たとえばSiN)に置き換えることも仮想上は可能であるが、この場合、高い破壊電圧(たとえば1200V超)を実現することは難しく、複数のデバイスが同じ熱伝導性パッケージベースに容量結合されるため、スイッチング性能が低下する。また、デバイス間のバックゲートクロストークは、特に
図6A、7および8Cで説明されているようなモノリシック集積デバイスでは、性能を低下させる。その結果、熱要求事項が高い用途やモジュールでは、熱抵抗を低減するために、代替のデバイス設計およびモジュール設計が必要となる。
【0037】
LED照明市場の最近の成功により、サファイア基板などの絶縁基板の価格が最近低下している。さらに、厚さ100μm未満のサファイア基板などの薄い絶縁基板を製造する技術が利用可能になりつつある。絶縁基板上に横型GaNデバイスなどの半導体デバイスを形成することによって、固有の半導電特性に起因し、シリコン、炭化ケイ素、窒化ガリウム基板などの導電性または半導電性の基板上に形成された半導体デバイスでは実現できない、新しいモジュール設計やレイアウトの検討が可能になる。これにより、絶縁基板上に形成されたIII族窒化物デバイスやトランジスタのパッケージングの複雑性を低減すると同時に、モジュール性能をさらに改善する機会が得られる。
【0038】
本明細書では、電気的および熱的性能を向上させるために、絶縁基板を使用してデバイスを電子部品パッケージ(たとえば電子モジュール)に統合する、横型デバイス(たとえばIII-N HEMTデバイス)用の統合設計について説明する。これにより、パッケージングの複雑さとモジュールアセンブリの全体的なコストを同時に削減できる。本明細書では、横型デバイスとは、ソース電極とドレイン電極がデバイス基板の同じ側に形成されている半導体デバイスと定義される。
【0039】
電子モジュール200の断面図を
図2Aに示す。モジュール200は、プラスチック、セラミック、または金属パッケージカバーとすることができるパッケージカバー210と、高熱伝導性材料(たとえば、銅、アルミニウム、ニッケルなどの金属)で形成された構造パッケージベース211とを有する。パッケージベース211は、均質な材料の単層とすることができる。パッケージカバー210と構造パッケージベース211は、内部電子部品を環境要素から保護するパッケージアセンブリを形成する。パッケージベース211は、パッケージカバー210が取り付けられる層、およびパッケージカバー210および/またはモジュール内で内部電子部品からさらに離れた側の層によって提供されるものと考えることができる。簡略化のために図示されていないが、パッケージベース211はヒートシンクに接続されるように構成することができる。ヒートシンクは外部に接続することができる。ヒートシンクの構成に応じて、
図2Aのモジュール200は、上部側冷却または底部側冷却が可能である。
【0040】
モジュール200は、第1半導体デバイス220と第2半導体デバイス230とを有する。これらのデバイス220または230は、たとえば、横型FET、IGBT、MOSFET、JFET、HEMT、またはその他の適切なデバイスとすることができる。簡略化のため、第1および第2半導体デバイス220および230は、600V超の電圧を遮断できる高出力III-N HEMTデバイスであると仮定する。第1デバイス220は、絶縁性デバイス基板221(たとえばサファイア基板)の第1側に形成された(たとえば、有機金属化学気相成長炉で成長させた)III-N HEMT材料構造225を有する。第1デバイス220は、さらに、たとえば絶縁性デバイス基板221の第2側に直接接触して形成される第1裏面メタライゼーション層225aを有する。第1デバイス220は、第1ソース電極222と第1ドレイン電極223とを有し、これらはデバイス220の第1側に形成される。デバイス220の第2側(デバイス220の第1側と反対側)、たとえばメタライゼーション層225aは、接着層224(たとえば、はんだ、エポキシ、または第1裏面メタライゼーション層とともに熱リフローされるはんだペースト)を使用して、熱伝導性構造パッケージベース211に直接的に取り付けられ、物理的に取り付けられている(すなわち、第1デバイスとパッケージベースの間に絶縁および/または絶縁シムを使用せずに)。熱リフローにより、メタライゼーション層225aおよび接着層224が合金部分を形成する場合がある。ベース211上の他のデバイスには金属層213を使用できるが、第1および第2デバイス220、230は、このような介在層なしでベース211に取り付けることができる。さらに、第1デバイス220をパッケージベース211から電気的に絶縁するための介在絶縁層(たとえば、セラミック、AlN、またはAl2O3シム)はない。
【0041】
モジュール200はさらに、第2半導体デバイス230を有する。第2半導体デバイス230は、たとえば、横型FET、IGBT、MOSFET、JFET、HEMT、またはその他の適切なデバイスとすることができる。簡略化のため、第2半導体デバイス230は、600V超の電圧を遮断できる高出力III-N HEMTデバイスであると仮定できる。第2デバイス230は、絶縁デバイス基板231(たとえばサファイア)の第1側に形成されたIII-N HEMT材料構造235を有する。第2デバイス230はさらに、たとえば直接接触して絶縁デバイス基板231の第2側に形成された第2裏面メタライゼーション層235aを有する。第2デバイス230は、さらに、第2ソース電極232および第2ドレイン電極233を有し、これらはデバイス230の第1側に形成される。デバイス230の第2側(デバイス230の第1側と反対側)、たとえばメタライゼーション層235aは、接着層234(たとえば、はんだ、エポキシ、第2裏面メタライゼーション層とともに熱リフローされるはんだペースト)を使用して、熱伝導性構造パッケージベース211に直接的に取り付けられ、物理的に取り付けられる(すなわち、第1デバイスとパッケージベースの間に絶縁および/または絶縁シムを使用せずに)。第2デバイス230をパッケージベース211から電気的に絶縁するための介在絶縁層(たとえば、セラミック、AlN、またはAl2O3シム)または底部金属層は介在しない。
【0042】
図1を参照すると、たとえば半導体シリコンデバイス基板でデバイス20とデバイス30が形成されている場合、デバイス20をデバイス30から電気的に絶縁するために絶縁層14(たとえばセラミック、AlN、またはAl
2O
3シム)が必要である。しかし、
図2Aに示すように、たとえば絶縁性のサファイアデバイス基板でデバイス220とデバイス230とを形成する場合、第1デバイス220および第2デバイス230の下では、絶縁層14を省略することができ、第1デバイス220および第2デバイス230は、いずれも高熱伝導性パッケージベース211に直接物理的に取り付けられる。
【0043】
第1および第2デバイス220および230は、それぞれ、たとえば600V超、あるいは1200V超の高い破壊電圧を有する高出力半導体デバイスとすることができる。これらは、いくつかの異なる一般的な回路トポロジーに構成することができる。たとえば、第1デバイス220は低位側トランジスタとし、第2デバイス230は高位側トランジスタとし、第1および第2デバイスはハーフブリッジ回路を構成することができる。あるいは、第1および第2デバイス220および230は双方向スイッチ(一般に4象限スイッチまたはFQSと呼ばれる)として動作するように構成することができる。さらに、本明細書で説明するモジュール200および本明細書で後述するすべてのモジュールは、2つのデバイスに限定されるものではなく、本明細書で説明するモジュールの構成は、設計者の要求に合わせて拡張または増設できる基本構成要素として機能し得る。たとえば、本明細書で説明するモジュールには、並列に接続された2つ以上の低位側トランジスタまたは並列に接続された2つ以上の高位側トランジスタを含めることができる。さらに、本明細書で説明するデバイスは、3相インバータを形成するように構成することができる。本明細書で説明する回路およびモジュールは、回路を安全かつ効果的に動作させるために必要に応じて、コンデンサ、抵抗器、インダクタ、駆動トランジスタ、ダイオードなどの追加の電子部品を有することができる。
【0044】
絶縁デバイス基板(たとえばサファイア基板)上に製造されたデバイスは、たとえば絶縁デバイス基板の下方のTi/Ni/Ag層のような裏面メタライゼーション層(たとえば層225aおよび235a)を有することができる。この裏面メタライゼーション層は、デバイスをコンポーネントパッケージまたは熱伝導性構造パッケージベースに物理的に取り付ける(たとえば、はんだまたはエポキシ)ために使用される。裏面メタライゼーション層は、熱リフロープロセス中に、はんだまたはエポキシと反応し、接着層224および234を形成する。
【0045】
モジュール200は、さらに、たとえば、高温溶融拡散プロセスにおいて、AlNまたはAl2O3などのセラミック絶縁体への純銅の直接接着によって形成される直接接着銅(DBC)基板、またはプリント基板(PCB)とすることができる基板212を有するが、PCBは製造コストが低いという利点がある。簡略化のため、モジュール200の基板212はプリント基板である。プリント基板212は、はんだまたはエポキシで熱伝導性パッケージベース211に物理的に取り付けられるバックメタル層213を有する。
【0046】
PCB212は少なくとも3つの部分を有することができる。いくつかの実装では、部分は、PCBをパターニングによって、第1および第2デバイス220および230が位置するPCBの1つ以上の領域を除去することによって形成される。たとえば、1つ以上の開口部、たとえば2つの開口部212a、212b(デバイス220および230のそれぞれに1つの開口部)を、PCB212を通して形成することができる。第1半導体デバイス220および第2半導体デバイス230の下にあるこれらの領域を取り除くことで、基板212が取り除かれた領域で熱伝導性パッケージベース211の上面が露出する。
【0047】
PCB212の第1部分は、底部金属層213(たとえば、銅またはニッケル)と上部金属層215(たとえば、銅またはニッケル)の間に絶縁層214a(たとえば、セラミック、AlNまたはAl
2O
3)を有する。PCB212の第1部分の上部金属層215は、モジュール200の接地ノードに接続されるように構成することができる。PCB212の第2部分は、底部金属層213と上部金属層217との間に絶縁層214bを有する。PCB212の第2部分の上部金属層217は、モジュール200の出力ノードに接続されるように構成することができる。PCB12の第2部分の上部金属層217は、第1デバイス220と第2デバイス230との間に形成することができる。PCB212の第3部分は、底部金属層213と上部金属層219の間に絶縁層214cを有する。PCB212の第3部分の上部金属層219は、モジュール200の高電圧ノードに接続されるように構成することができる。上部金属部215、217、219はそれぞれ互いに電気的に絶縁されている。たとえば、PCB212は単一の連続基板(たとえば、
図1の基板12)であり、パターン形成およびエッチングにより少なくとも上部金属層を除去することができる。この場合、領域214a、214b、214cの底部金属層と絶縁層は物理的に相互接続されたままとなるであろう。この例を
図2Bに示し、ここで、断面A-AAは
図2Aに示される。
【0048】
あるいは、絶縁層14(および任意選択で、バックメタル層13)の上部金属部215、217、219を越えて横方向に延びる部分を除去することもできる。PCB212を部分的に除去して、上部金属部215、217、219を電気的に絶縁することは、第1および第2デバイス220および230が位置するPCBの開口部を形成するエッチング操作の一部として行うことができる。あるいは、PCB212は少なくとも3つの独立した部分で構成され、第1および第2半導体デバイス220および230の周りにモジュール200として組み立てることもできる。この場合、領域214a、214b、214cの底部金属層および絶縁層はギャップによって分離される。
【0049】
図2Aを参照すると、導電性コネクタ241は、第1ソース電極222を上部金属層215に電気的に接続する。コネクタ242は、第1ドレイン電極223を上部金属層217に電気的に接続する。別の導電性コネクタ243は、第2ソース電極232を上部金属層217に電気的に接続する。第3導電性コネクタ244は、第2ドレイン電極233を上部金属層219に電気的に接続する。コネクタ241~244は、ワイヤボンディング、銅クリップ、ワイヤリボンなどで形成することができる。
図2Bに示すように、第4上部金属層216は、ワイヤボンディングにより第1デバイス220の第1ゲート電極226に電気的に接続され、第5上部金属層218は、ワイヤボンディングにより第2デバイス230の第2ゲート電極236に電気的に接続されている。
【0050】
第1半導体デバイス220と第2半導体デバイス230との間の電気的絶縁を確保するために、第1および第2半導体デバイスの絶縁基板221および231が、モジュール200内で導電性構造パッケージベース211から、デバイスの活性領域(すなわち、III-N HEMT構造225および235)を電気的に絶縁し、分離するために使用される。たとえば、絶縁基板221および231は、たとえば研磨またはエッチングにより、200μm未満、または100μm未満の厚みに薄くすることができる。このような薄さにより、デバイスの活性領域とモジュールパッケージベースとの間の熱抵抗が小さくなり、モジュールの接合-ケース間の熱抵抗が全体的に低下する。これにより熱放散が改善され、電力損失が低減され、モジュールの最大定格(たとえば、最大定格直流電流)が拡大される。しかし、絶縁基板221および231を過度に薄くすると、破壊電圧が低下し、負のバックゲート効果が増大し、複数のデバイス間のスイッチング干渉(すなわちクロストーク)が増大する。したがって、絶縁基板の最小厚さは50μm超であることが望ましい。層224/234は、モジュールパッケージベース211と基板の間の熱膨張係数を一致させるように設計され、熱サイクル時の堅牢性と信頼性を改善することができる。
【0051】
第1デバイス220は低位側トランジスタとして、第2デバイス230は高位側トランジスタとして、第1および第2デバイスはハーフブリッジ回路を構成することができる。ハーフブリッジ回路では、上部金属層219は高電圧端子に接続される。高電圧端子は高電圧電源に接続されるように構成される。上部金属層217は出力端子に接続される。上部金属層215は接地端子に接続される。接地端子は回路接地に接続されるように構成される。
【0052】
図3は、他のモジュール300の断面図である。このモジュール300は、
図2Aのモジュール200と類似しているが、モジュール300は積層半導体デバイスを有する点で異なる。
図3に示すように、モジュール300は半導体デバイス320を有し、これはシリコンFETのような縦型エンハンスメントモード(ノーマリオフ)デバイスとすることができる。デバイス220は、GaN HEMTなどの横型デプリーションモード(ノーマリオン)デバイスとすることができる。この場合、エンハンスメントモードデバイス320とデプリーションモードデバイス220をカスケード構成に配置し、単一のハイブリッドノーマリオフデバイスとして動作させることができる。ここで、デバイス320のドレイン電極は、デバイス220のソース電極222に直接実装され、電気的に接続することができる。コネクタ341は、デバイス320のソース電極322に接続される。
図3には示されていないが、デバイス320と同様のエンハンスメントモードデバイスも、同様の方法でデバイス230のソース電極232に直接取り付けられ、電気的に接続される。
【0053】
図4Aはモジュール400の平面図であり、
図4Bはモジュール400の修正された例示的な断面側面図である。
図4Bでは、モジュール400の外観が、たとえば、両方のデバイスを単一の側面図で示すことができるように、見やすくするためにずらした状態で図示されている。しかし、
図4Aに示されている平面図から、意図されたレイアウトを解釈すべきである。さらに、
図4C、4D、5A、5B、5D、5E、6A、7、8A-8Dの断面側面図においても、これらの説明用の外観がずらして示されている。
【0054】
モジュール400はモジュール200と比較してPCB412の代替レイアウトで配置されているという点を除いて、モジュール400は、
図2Aのモジュール200と類似している。ここで、モジュール400は、パッケージ410内で単一のプリント基板412を有し、すべての上部金属層(415、416、417、418、および419)は、第1デバイス220および第2デバイス230の同じ側に配置されている。プリント基板412は、
図2Aに示すように、第1デバイス220と第2デバイス230の間に配置される基板セグメント(214b)を部分的に使用する場合と比較して、モジュールをデバイス220および230(たとえば、デバイス220および230の左側)に配線接続するために使用される。PCB412の第1部分は、絶縁層414a(たとえば、セラミック、AlN、またはAl
2O
3)と、モジュール400の接地ノードに接続されるように構成された上部金属層415(たとえば、銅またはニッケル)を有する。PCB412の第2部分は、絶縁層414bと上部金属層417を有し、上部金属層417はモジュール400の出力ノードに接続されるように構成されている。PCB412の第3部分は、絶縁層414cと上部金属層419を有し、上部金属層419はモジュール400の高電圧ノードに接続されるように構成されている。
【0055】
図4Bを参照すると、基板412は、絶縁層414と複数の上部金属層415/417/419とを有し、上部金属層415/417/419は、それぞれ互いに電気的に絶縁されている。デバイス220の第1ソース電極222は、ワイヤコネクタ441で上部金属層415に接続されている。デバイス220の第1ドレイン電極223は、ワイヤコネクタ442で上部金属層417に接続されている。デバイス230の第2ソース電極232は、ワイヤコネクタ443で上部金属層417に接続されている。デバイス230の第2ドレイン電極233は、ワイヤコネクタ444で上部金属層419に接続されている。PCB412のような代替設計を使用することで、
図2Aのモジュール200と比較して、組み立てコストを削減し、材料費を低減させることができる。
図4Aを参照すると、第1デバイス220の第1ゲート電極426は、ワイヤコネクタで上部金属層416に接続され、第2デバイス230の第2ゲート電極436は、ワイヤコネクタで上部金属層418に接続されている。
【0056】
図4Cのモジュール402は、
図4Aのモジュール400と類似しているが、
図4Cのモジュール402は、はんだダム413を有する構造パッケージベース411とともに組み立てられている。はんだダム413は、第1デバイス220と第2デバイス230の間のパッケージベース411にエッチング加工された「V」字型の溝とすることができ、第1デバイスと第2デバイスを接合するために使用したはんだが互いにリフローし、デバイスの接着特性が低下するのを防ぐことができる。はんだダム413は、同じ理由で基板412と第1デバイス220および第2デバイス230との間にエッチングすることもできる。
【0057】
図4Dのモジュール404は、
図4Aのモジュール400に類似しているが、
図4Dのモジュール404は、基板412に電気的に接続され、取り付けられた電子部品450を描写している。電子部品450は、たとえば、抵抗器、コンデンサ、トランジスタ、インダクタ、ダイオード、集積回路、またはその他の関連電子部品とすることができる。電子部品450は、単一のまたは複数のベアダイ、または追加のケースに収められた単一のまたは複数のパッケージ部品(
図4Dに示されている)とすることができる。
【0058】
簡略化のため図示されていないが、
図2A、3、4A-4Dのモジュール200、300、400、402、404は、それぞれ、外部回路に接続するためのモジュールリードを有する。これらのモジュールリードは、電源端子、ゲート駆動端子、接地端子、または、適切な動作に必要なその他のパッケージリードとすることができる。
【0059】
図5Aは、他の実装形態のモジュール500の例示的な断面側面図である。モジュール500は、
図4Bのモジュール400に類似している。モジュール500は、パッケージカバー510を有する。第1デバイス220および第2デバイス230は、高熱伝導構造パッケージベース511に直接的に取り付けられている。
図4Bのモジュール400とは対照的に、PCB基板512は、構造パッケージベース511から物理的に分離されており、モジュール500の内部でPCB基板512とパッケージベース511の間に絶縁成形コンパウンド520を形成することができる。物理的な分離と成形コンパウンド520は、PCBをパッケージベースから絶縁する役割を果たす。PCB基板512をパッケージベース511から分離することで、以降の図でより詳細に説明する追加の電子部品をより複雑に統合することが可能になる。
【0060】
図5Bは、他のモジュール502の例示的な断面側面図である。ここでは、コネクタ441~444は、
図5Aのモジュール500における個々のワイヤボンドとは対照的に、金属クリップ(たとえば、Cuクリップ)として描かれている。コネクタ441~444は、ワイヤリボンまたはその他の適切な電気コネクタであってもよい。
図5Cはモジュール502の平面図である。
図5Cに示すように、金属クリップ441~444はそれぞれ、第1デバイス220と第2デバイス230を、それぞれPCB512に接続する。
図5Cは、第1デバイス220の第1ゲート電極426が上部金属層416に金属クリップで接続され、第2デバイス230の第2ゲート電極436が上部金属層418に金属クリップで接続されていることも示している。
図5Cのモジュール502の平面図に示すように、PCB512は、第1および第2デバイス220および230の第1側上に配置されている。第2デバイス230は、第1デバイス220の第2側上に配置されている。ここで、デバイス220の第2側は、デバイス220の第1側と隣接している。
【0061】
図5Dは、
図5Aのモジュール500に類似する電子モジュール504の例示的な断面側面図である。ただし、モジュール504は、PCB512に取り付けられた第1電子部品550を有する。電子部品550は、
図4Cの電子部品450に類似させることができる。電子部品550は、PCB512の第1側に取り付けられる。この面は、上部金属層415~419が形成されるPCBの面と同一の面でもよい。モジュール504は、第1電子部品550に類似する第2電子部品551をさらに有することができるが、第2電子部品551は、PCB512の第1側と反対側の第2側に取り付けられる。PCB基板512は、多層基板、すなわち、基板のバルクに埋設された、1つより多いまたは2つより多い電気配線用金属層を有する基板とすることができる。これらの金属配線層は、電子部品550および551を上部金属層415~419に電気的に接続するために使用することができる。
【0062】
図5Eは、
図5Aのモジュール500に類似する電子モジュール506の例示的な断面側面図である。ただし、モジュール506はモジュール500と比較して熱効率を改善するために変更されている。
図5Eに示すように、第1デバイス220の活性III-N材料構造の下にある基板221の一部が除去されている。基板のこの部分を除去すると、基板221の底面に凹部が形成され、基板が「タブ」521を提供する。タブ521には、その後、金属やエポキシなどの高熱伝導性材料522を充填することができる。同様に、第2デバイス230の活性III-N材料構造の下にある基板231の一部が除去され、基板231の底面に凹部が形成される。これにより、タブ531が形成される。タブ531には、その後、高熱伝導性材料532を充填することができる。このタブの形成とそれに続く高熱伝導性材料による充填により、モジュール506は、熱伝導性パッケージベース511に取り付けることができるヒートシンク(図示せず)に向けて、デバイス220および230の活性層から熱を除去する能力を高めることができる。
【0063】
図6Aは、
図5Aのモジュール500に類似するモジュール600の例示的な断面側面図であり、
図6Bは平面図である。ただし、モジュール600は、モノリシックに統合された第1および第2パワーデバイスを有する点が異なる。
図6Aに示すように、第1デバイス220と第2デバイス230は、共通の絶縁基板621(たとえばサファイア基板)上に統合され、集積デバイス620を形成する。第1デバイス220のIII-N HEMT構造と第2デバイス230のIII-N HEMT構造は、絶縁領域625によって電気的に互いに絶縁されている。絶縁領域625は、集積デバイス620のIII-N HEMT構造全体、および(任意選択で)絶縁基板621の一部(デバイス220のドレイン電極とデバイス230のソース電極の間)を通してトレンチをエッチングするか、またはイオン注入により絶縁領域625を作り出すことにより形成することができる。第1デバイス220のドレイン電極と第2デバイス230のソース電極は、集積された金属層228によって互いに接続することができる(または、任意選択で、外部回路で電気的に接続することもできる)。
【0064】
集積デバイス620は、熱伝導性構造パッケージベース511に接着層624で接続されており、この接着層は、
図2Aで先に説明した接着層224と類似するものとできる。集積デバイス620を共通の絶縁基板621に形成することにより、第1デバイス220および第2デバイス230を、性能低下を引き起こすことなく集積化することができる。これは、シリコンやシリコンカーバイドなどの導電性または半導電性の基板に形成したとしたら可能ではないであろう。実際、導電性または半導電性の基板上にモノリシック集積化した場合、デバイスはクロスバックゲートの影響を受ける可能性がある。これは、デバイスが導電性または半導電性の基板と容量結合し、互いに干渉し合うことで、機能、性能、および/または信頼性が損なわれる状況である。たとえば、高電圧で動作する場合、第1デバイスが基板電位を高くする可能性もある。その結果、基板は、寄生バックゲートとして第2デバイスに作用し、第2デバイスの活性領域に望ましくない高電圧を印加し、性能と信頼性を損なう可能性がある(たとえば、バッファ電荷トラップ、電界、リークの悪化を通じて)。これに対し、基板621のようなサファイア基板などの絶縁基板では、デバイスと基板621との間の容量結合は無視できるため、クロスバックゲートは問題とならない。そのため、デバイスは動作中に互いに干渉することがなく、機能、性能、信頼性が保たれる。
図6Bは、金属クリップで形成されたモジュール600の平面図である。
【0065】
図7は、
図6Aのモジュール600と類似するモジュール700の側面図である。モジュール700は、集積デバイス620のソース電極およびドレイン電極と反対側の絶縁基板621の逆側に形成された集積電子部品および回路を有するという点で異なる。領域726に描かれた逆側回路には、逆側電源および/またはサーマルライン727、集積部品728(たとえば、コンデンサ、抵抗器、ダイオード、インダクタ、ICなど)、および信号線729(たとえば、高伝導性材料、金属製)を含めることができる。逆側電源ライン727は、ビア722を介して第1パワーデバイス220のソース電極222に接続し、他のビア733を介して第2パワーデバイス230のドレイン電極233に接続することができる。ビア722および733は絶縁基板621を貫通して形成され、ビアの金属層は集積デバイス620のソース電極とドレイン電極を逆側回路726に接続する。
【0066】
逆側回路の第1利点は、寄生インダクタンスの低減である。実際、上部側デバイス620と裏側コンポーネント726の接続は、ワイヤボンド、クリップ、リボンボンド、基板トレースを介して基板上に配置されたパワーデバイスとコンポーネントとの間の接続よりもはるかに小さい浮遊インダクタンスを持つようにすることができる。したがって、裏側回路は、浮遊インダクタンスによる電力損失とEMIを低減し、より高い動作周波数を実現するのに役立つ。逆側回路の第2利点は、基板上の使用面積をより少なくしてよりコンパクトな設計が可能になることであり、これにより、サイズに厳しい要求事項が課されるアプリケーション、たとえば統合モータードライブ、小型で分散型のインターネット・オブ・シングス(IoT)デバイスやシステムにおいて、システムの小型化につながる。
【0067】
図8Aは、
図5Dのモジュール504に類似するモジュール800の側面図である。しかし、モジュール800はフリップチップ技術を使用して組み立てられ、モジュール全体のサイズとコストを削減するとともに、回路インダクタンスを低減することでモジュール性能を向上させている。モジュール800はパッケージ810を有する。パッケージ810は、PCB512に類似するものとできるPCB812を有する。ただし、PCB812は、PCB512と比較して反転(または裏返し)されていること、およびPCB812がワイヤボンディングや金属クリップではなくはんだボールを使用して第1デバイス220および第2デバイス230に電気的に接続されている点で異なる。PCB812は、絶縁層514と上部金属層(415/417/419)とを有する。第1上部金属層415は、はんだボール841によって第1デバイス220のソースパッド222に電気的に接続される。第2上部金属層417は、はんだボール842および843で、それぞれ第1デバイス220のドレインパッド223および第2デバイス230のソースパッド232に電気的に接続されている。第3上部金属層419は、はんだ844で第2デバイス230のドレインパッド233に電気的に接続されている。PCB812は、
図5Dで説明した電子部品550/551に類似する電子部品750および/または751などの追加電子部品を任意選択で含むようにしてもよい。部品750および751は、モジュール800の全体的なフットプリントを削減するために、絶縁層514の上部金属層415/417/419と反対側の面に形成することができる。
【0068】
さらに、第1および第2パワーデバイス用に構成された別個の独立した絶縁PCB層を有することが望ましい場合がある。
図8Bのモジュール802に示すように、PCB層812は、第1部分514aおよび第2部分514bを有する絶縁層を形成することにより、電気的におよび物理的に分離された2つの部分で構成された。第1部分514aと第2部分514bは、絶縁層514を貫通するトレンチエッチングまたは2つの独立した絶縁層間のエアギャップのいずれかである絶縁領域813によって分離されている。たとえば、エアギャップは2つの別個のPCBによって提供することができる。PCB基板を分離することの利点は、熱サイクルおよびパワーサイクル中の堅牢性と信頼性を向上させることである。実際、半導体パワーデバイスと基板を形成する異なる材料間の異なる熱膨張係数は、熱サイクル中に望ましくない機械的応力を引き起こし、信頼性の低下につながる可能性がある。基板を分離することで、機械的応力を部分的にまたは完全に緩和することができる。
【0069】
図8Cに示すモジュール804は、
図8Aのモジュール800と類似している。しかし、
図8Cのモジュール804は、
図8Aに示されている第1デバイス220と第2デバイス230のような2つの個別のデバイスを使用する代わりに、
図6Aで説明した集積パワーデバイス620に類似するモノリシック集積パワーデバイス620を使用して形成されている。モジュール804に集積パワーデバイス620を使用することで、モジュール800と比較して、複雑性をさらに低減し、モジュール全体のサイズを縮小することができる。これにより、デバイスの性能向上とシステムコストの削減を実現することができる。
【0070】
さらに、第1および第2パワーデバイス用に構成された別個の独立した絶縁PCB層を有することが望ましい場合がある。
図8Dのモジュール806に示すように、PCB層812は、第1部分514aおよび第2部分514bに絶縁層を形成することにより、電気的におよび物理的に分離された2つの部分で構成されている。第1部分514aと第2部分514bは、絶縁領域813によって分離されており、絶縁層514を貫通するトレンチエッチング、またはPCB812を2つの独立した絶縁層で形成することができる。
【0071】
図9は、電子モジュール900の平面図である。モジュール900は、
図2Bのモジュール200で使用されているハーフブリッジ回路に類似しているが、モジュール900は3相フルブリッジ回路として構成されている。モジュール900は、パッケージベース911とPCB層912とを有する。PCB912は絶縁914を有する。PCB912は、モジュール900の高電圧端子に接続される上部金属層219をさらに有する。高電圧端子は、回路の高電圧電源に接続されるように構成されている。PCB912は、モジュール900の第1相、第2相、第3相のゲート入力端子にそれぞれ接続される上部金属層(218/218’/218”)をさらに有する。PCB912は、モジュール900の接地端子に接続される上部金属層215をさらに有する。モジュール900の接地端子は、回路接地に接続されるように構成されている。
【0072】
モジュール900は、第1高位側スイッチ230、第2高位側スイッチ230’および第3高位側スイッチ230”を有する。モジュール900は、第1低位側スイッチ220、第2低位側スイッチ220’および第3低位側スイッチ220”をさらに有する。高位側スイッチ(230/230’/230”)のドレイン電極(233/233’/233”)は、それぞれ上部金属層219に接続されている。第1高位側スイッチ230のソース電極232および第1低電位側スイッチ220のドレイン電極223は、それぞれ上部金属層217に接続されている。第2高位側スイッチ230’のソース電極232’および第2低位側スイッチ220’のドレイン電極223’は、それぞれ上部金属層217’に接続されている。第3高位側スイッチ230”のソース電極232”および第3低位側スイッチ220”のドレイン電極223”は、それぞれ上部金属層217”に接続されている。低位側スイッチ(220/220’/220”)のソース電極(222/222’/222”)は、それぞれ上部金属層215に接続されている。高位側スイッチ(230/230’/230”)の入力ゲート電極は、それぞれ上部金属層(218/218’/218”)に接続されている。低位側スイッチ(220/220’/220”)の入力ゲート電極は、それぞれ上部金属層(216/216’/216”)に接続されている。モジュール900の高位側スイッチおよび低位側スイッチの各絶縁基板は、絶縁層914が除去されているか、または存在しないPCB912のビア部分を介して、モジュール900のパッケージベース911に物理的に取り付けられている。
【0073】
簡略化のため図示されていないが、モジュール400、402、404、500、502、504、600、700、800、802、804、806または900のいずれも、
図3に示すデバイス320と同様に構成された低電圧エンハンスメントモードデバイスを、第1デバイス220のソースパッド222または第2デバイス230のソースパッド232のいずれかに、またはその両方に含めることができる。
【0074】
簡略化のため図示されていないが、本明細書で説明するすべてのモジュールは、パッケージケースの外側に延び、外部回路に接続されるように構成されているモジュールリードを含んでいる。これらのモジュールリードは、電源端子、ゲート駆動端子、接地端子、または適切な動作に必要なその他のパッケージリードであることができる。さらに、本明細書で説明するすべてのモジュールは、ヒートシンクに接続することができる。ヒートシンクは外部接続することができる。ヒートシンクの構成に応じて、本明細書で説明するモジュールは上部側冷却または底部側冷却のいずれでもよい。
【0075】
多くの実施態様が説明されてきた。とはいえ、本明細書で説明されている技術および装置の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を加えることができることが理解される。したがって、他の実施態様も以下の特許請求の範囲の範囲に含まれる。
【国際調査報告】