(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 53/00 20060101AFI20241128BHJP
F04B 1/0476 20200101ALI20241128BHJP
【FI】
F04B53/00 C
F04B53/00 D
F04B1/0476
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537964
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-08-13
(86)【国際出願番号】 CN2021140068
(87)【国際公開番号】W WO2023115328
(87)【国際公開日】2023-06-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524234215
【氏名又は名称】張 帆
【氏名又は名称原語表記】ZHANG, Fan
【住所又は居所原語表記】Room 501, Unit 3, Building 36, Yuanyangshanshui Community Shijingshan District Beijing 100040, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張 帆
【テーマコード(参考)】
3H070
3H071
【Fターム(参考)】
3H070AA03
3H070BB07
3H070BB17
3H070CC07
3H070CC27
3H070DD02
3H070DD09
3H070DD93
3H070EE09
3H071AA01
3H071BB01
3H071CC26
3H071CC27
3H071DD07
3H071DD43
3H071DD45
3H071EE03
3H071EE09
(57)【要約】
本発明は、水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプを開示し、高圧水ポンプの技術分野に関する。当該水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプは、駆動機構、ハウジング、反発構造、少なくとも1つのプランジャおよびプランジャチャンバを含む。駆動機構は、主軸と、主軸に設けられる少なくとも1つの偏心構造とを含み、それぞれの偏心構造の外側に推力構造が外嵌され、推力構造と偏心構造が相対回転可能であり、推力構造と偏心構造が第1摺動摩擦対偶を構成する。偏心構造と推力構造は、いずれもハウジングに位置し、偏心構造と推力構造が位置するハウジング内の空間は水または水溶液を充填するために用いられ、水または水溶液がハウジング内における第1摺動摩擦対偶に進入できる。偏心構造が回転する時、推力構造はプランジャを押してプランジャチャンバ内で移動させて水または水溶液に対する加圧を実現でき、プランジャは反発構造の反発力によってプランジャチャンバ内で移動して水または水溶液を吸い込む。本発明は、出力圧力が高く、耐汚染性が良好である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプであって、
駆動機構、ハウジング、反発構造、少なくとも1つのプランジャおよびプランジャチャンバを含み、
前記駆動機構は、主軸と、前記主軸に設けられる少なくとも1つの偏心構造とを含み、それぞれの前記偏心構造の外側には推力構造が外嵌され、前記推力構造と前記偏心構造が相対回転可能であり、前記推力構造と前記偏心構造が第1摺動摩擦対偶を構成し、
前記偏心構造と前記推力構造は、いずれも前記ハウジングに位置し、前記偏心構造と前記推力構造が位置する前記ハウジング内の空間は水または水溶液を充填するために用いられ、水または水溶液が前記ハウジング内における前記第1摺動摩擦対偶に進入可能であり、
前記偏心構造が回転する時、前記推力構造は、前記プランジャを押して前記プランジャチャンバ内で移動させて水または水溶液に対する加圧を実現し、
前記プランジャは、前記反発構造の反発力によって前記プランジャチャンバ内で移動して水または水溶液を吸い込む、
ことを特徴とする水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ。
【請求項2】
前記推力構造の、前記主軸の軸線に垂直な断面の外縁曲線は、第1曲線と第2曲線とを含み、前記第1曲線における点から前記主軸の軸線までの垂直距離は、前記第1曲線の一端から前記第1曲線の他端へ徐々に増大し、前記第2曲線における点から前記主軸の軸線までの垂直距離は、前記第1曲線の他端に接続される前記第2曲線の一端から、前記第1曲線の一端に接続される前記第2曲線の他端へ徐々に減少する、
ことを特徴とする請求項1に記載の水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ。
【請求項3】
前記偏心構造の外面および/または前記推力構造の内面には、第1減摩層が設けられ、
前記第1減摩層は、プラスチック製である、
ことを特徴とする請求項2に記載の水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ。
【請求項4】
前記プランジャは、プランジャ本体を含み、前記プランジャ本体の一端が前記プランジャチャンバに挿入され、前記プランジャ本体と前記プランジャチャンバが第2摩擦対偶を構成し、前記プランジャ本体の外面および/または前記プランジャチャンバの内面に第2減摩層が固定され、
前記第2減摩層は、プラスチック製である、
ことを特徴とする請求項3に記載の水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ。
【請求項5】
前記水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプは、少なくとも2つの前記推力構造を含み、前記推力構造と前記プランジャが一対一対応し、それぞれの前記プランジャはすべて前記主軸の同一側に位置する、
ことを特徴とする請求項4に記載の水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ。
【請求項6】
前記偏心構造は、本体と、前記本体に外嵌されるソケット構造とを含み、前記ソケット構造と前記本体との間に隙間が設けられる、
ことを特徴とする請求項3に記載の水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ。
【請求項7】
前記ソケット構造は、少なくとも2つの順次に嵌合するソケット体を含み、最も内側の前記ソケット体が前記本体に外嵌され、最も内側の前記ソケット体と前記本体との間に隙間が設けられ、隣り合う前記ソケット構造の間に隙間が設けられる、
ことを特徴とする請求項6に記載の水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ。
【請求項8】
前記推力構造は、少なくとも2つの順次に嵌合する推力体を含み、最も内側の前記推力体が前記偏心構造に外嵌され、最も内側の前記推力体と前記偏心構造との間に隙間が設けられ、隣り合う前記推力体の間に隙間が設けられる、
ことを特徴とする請求項3に記載の水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ。
【請求項9】
タペットチャンバをさらに含み、前記プランジャはプランジャ本体とタペットとを含み、前記タペットは前記タペットチャンバ内で摺動可能であり、前記タペットと前記タペットチャンバが第3摩擦対偶を構成し、前記タペットの外面および/または前記タペットチャンバの内面に第3減摩層が固定され、前記第3減摩層がプラスチック製であり、
前記推力構造は、水または水溶液に対する加圧を実現するように、前記タペットを押して前記タペットチャンバ内で移動させ、したがって前記タペットが前記推力構造の作用力を前記プランジャ本体に伝達して、前記プランジャ本体を前記プランジャチャンバ内で移動させる、
ことを特徴とする請求項1または3に記載の水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ。
【請求項10】
前記プランジャは、前記プランジャ本体の一端に設けられる第1プランジャ体をさらに含み、前記第1プランジャ体が前記推力構造に接触し、前記第1プランジャ体と前記プランジャ本体は異なる材料で製造される、
ことを特徴とする請求項4に記載の水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧水ポンプの技術分野に関し、特に、水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
高圧水ポンプは、高圧水を生産するためのものであり、高圧洗浄、高圧ミスト発生、微細ミスト消火、海水淡水化、高圧バリ取りなどの分野でコア部材として広く応用されている。
【0003】
現在広く応用されている高圧水ポンプは、往復動ポンプ、水潤滑アキシャルプランジャポンプがある。
【0004】
往復動ポンプは、長い歴史を持ち、高圧水を生産するために広く用いられ、主にクランクシャフト、コンロッド、クロスヘッド、プランジャなどの部材からなる。往復動ポンプは、潤滑油で動力端を潤滑するために、シールリングを用いて加圧水を封止するとともに、水と潤滑油を遮断する必要がある。このようなポンプの最も肝心な問題は、潤滑油を定期的に交換する必要があり、しかも潤滑油が環境を汚染すること、および、シールリングの寿命が短くて交換が面倒であることにある。
【0005】
前世紀の90年代では、ダンフォスを代表として、商業化された水潤滑アキシャルプランジャポンプの発表に成功した。水潤滑アキシャルプランジャポンプは、往復動ポンプと比べれば、環境にやさしく、エネルギ効率が高いなどの利点を有する。主な移動部材は、流体静圧支持を利用し、最大16MPaの圧力出力を実現した。また、中国特許出願CN105240237Aには、水潤滑プランジャポンプが提出されている。これらの水潤滑高圧水ポンプにある肝心な問題は、静圧支持の設計要素を大量に採用し、高圧水漏れの影響によってより高い圧力を実現し難いこと、静圧支持によって構造も複雑になり、汚染物によって損壊されやすく、水の濾過精度に対する要求が高いことにある。
【0006】
動力端水潤滑技術により実現される高圧水ポンプは、環境保全性および高効率を有し、間違いなく高圧ポンプの重要な発展方向である。しかし、水は粘度が低く、従来の材料に対する潤滑性が劣るため、適切な摩擦対偶の設計が困難であり、また、水に適用できる高性能材料は制限される。このため、より高い圧力を有し、環境適応性が強く、経済性が良い水潤滑高圧水ポンプの商業化は、未だに実現されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来の水潤滑高圧水ポンプが汚染物によって損壊されやすく、圧力出力が低いという課題を解決でき、かつ構造が簡単である、水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0009】
本発明は、水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプを提供する。当該水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプは、駆動機構、ハウジング、反発構造、少なくとも1つのプランジャおよびプランジャチャンバを含み、前記駆動機構は、主軸と、前記主軸に設けられる少なくとも1つの偏心構造とを含み、それぞれの前記偏心構造の外側には推力構造が外嵌され、前記推力構造と前記偏心構造が相対回転可能であり、前記推力構造と前記偏心構造が第1摺動摩擦対偶を構成する。前記偏心構造と前記推力構造は、いずれも前記ハウジングに位置し、前記偏心構造と前記推力構造が位置する前記ハウジング内の空間は水または水溶液を充填するためにも用いられ、水または水溶液が前記ハウジング内における前記第1摺動摩擦対偶に進入できる。前記偏心構造が回転する時、前記推力構造は前記プランジャを押して前記プランジャチャンバ内で移動させて水または水溶液に対する加圧を実現できる。前記プランジャは、前記反発構造の反発力によって前記プランジャチャンバ内で移動して水または水溶液を吸い込む。
【0010】
好ましくは、前記推力構造の前記主軸の軸線に垂直な断面の外縁曲線は、第1曲線と第2曲線とを含み、前記第1曲線における点から前記主軸の軸線までの垂直距離は、前記第1曲線の一端から前記第1曲線の他端へ徐々に増大し、前記第2曲線における点から前記主軸軸線までの垂直距離は、前記第1曲線の他端に接続される前記第2曲線の一端から、前記第1曲線の一端に接続される前記第2曲線の他端へ徐々に減少する。
【0011】
好ましくは、前記偏心構造の外面および/または前記推力構造の内面には第1減摩層が設けられ、前記第1減摩層はプラスチック製である。
【0012】
好ましくは、前記プランジャは、プランジャ本体を含み、前記プランジャ本体の一端が前記プランジャチャンバに挿入され、前記プランジャ本体と前記プランジャチャンバが第2摩擦対偶を構成し、前記プランジャ本体の外面および/または前記プランジャチャンバの内面には第2減摩層が固定され、前記第2減摩層はプラスチック製である。
【0013】
好ましくは、前記水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプは、少なくとも2つの前記推力構造を含み、前記推力構造と前記プランジャが一対一対応し、それぞれの前記プランジャはすべて前記主軸の同一側に位置する。
【0014】
好ましくは、前記偏心構造は、本体と、前記本体に外嵌されるソケット構造とを含み、前記ソケット構造と前記本体との間に隙間が設けられる。
【0015】
好ましくは、前記ソケット構造は、少なくとも2つの順次に嵌合するソケット体を含み、最も内側の前記ソケット体が前記本体に外嵌され、最も内側の前記ソケット体と前記本体との間に隙間が設けられ、隣り合う前記ソケット構造の間に隙間が設けられる。
【0016】
好ましくは、前記推力構造は、少なくとも2つの順次に嵌合される推力体を含み、最も内側の前記推力体が前記偏心構造に外嵌され、最も内側の前記推力体と前記偏心構造との間に隙間が設けられ、隣り合う前記推力体の間に隙間が設けられる。
【0017】
好ましくは、前記水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプは、タペットチャンバをさらに含み、前記プランジャはプランジャ本体とタペットとを含み、前記タペットは前記タペットチャンバ内で摺動可能であり、前記タペットと前記タペットチャンバが第3摩擦対偶を構成し、前記タペットの外面および/または前記タペットチャンバの内面に第3減摩層が固定され、前記第3減摩層がプラスチック製である。前記推力構造は、水または水溶液に対する加圧を実現するように、前記タペットを押して前記タペットチャンバ内で移動させ、前記タペットを介して前記推力構造の作用力を前記プランジャ本体に伝達して、前記プランジャ本体を前記プランジャチャンバ内で移動させる。
【0018】
好ましくは、前記プランジャは、前記プランジャ本体の一端に設けられる第1プランジャ体をさらに含み、前記第1プランジャ体が前記推力構造に接触し、前記第1プランジャ体と前記プランジャ本体は異なる材料で製造される。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、従来技術に対して以下の技術的効果を奏する。
【0020】
本発明の駆動機構は、静圧支持を含まず、適切な第1摩擦対偶の材料の適用により、駆動機構の第1摩擦対偶は、主に偏心構造と推力構造の相対回転により発生する流体動圧の潤滑効果によって摩擦を低減し、推力構造とプランジャの間では低摩擦の転がり接触を利用してプランジャを押して水または水溶液を加圧する。これらの重要構造は、実現しやすく、流量損失がないため、高圧水ポンプがより高い圧力および容積効率に達することができ、耐汚染性も著しく向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の実施例または従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例で使用する必要がある図面を簡単に紹介する。言うまでもないが、以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎない。当業者であれば、創造的な労働をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図1】本発明に係る水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプの内部構造の模式図である(実施例1)。
【
図2】本発明に係る駆動機構の模式
図1(実施例1)である。
【
図4】本発明に係る駆動機構の模式図である(実施例2)。
【
図6】本発明に係る偏心構造の模式図である(実施例3)。
【
図7】本発明に係る推力構造の模式図である(実施例4)。
【
図8】本発明に係る水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプの断面図である(実施例5)。
【
図9】本発明に係る水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプの断面図である(実施例6)。
【
図10】本発明に係る水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプの断面図である(実施例7)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例に係る図面を参照して、本発明の実施例に係る技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。言うまでもないが、説明する実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得られるすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に該当する。
【0023】
本発明の目的は、従来の水潤滑高圧水ポンプが汚染物によって損壊されやすく、圧力出力が低いという課題を解決でき、かつ構造が簡単である、水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプを提供することである。
【0024】
本発明の上記目的、構成および利点をより明らかにするために、以下、図面および具体的な実施形態に関連して本発明をさらに詳しく説明する。
【0025】
[実施例1]
図1~
図3に示すように、本実施例に係る水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ100は、駆動機構4、ハウジング2、反発構造9、液圧シリンダ1、少なくとも1つのプランジャ43およびプランジャチャンバ12を含む。液圧シリンダ1は、ポンプヘッドとも呼ばれ、従来の往復動ポンプの液圧シリンダと同様に機能し、ポンプにおいて液圧を受ける主な部品の1つである。液圧シリンダ1内には高低圧流体通路および逆止弁37が配置され、1つのプランジャ43は、1つの吸入弁および1つの排出弁に対応して流体の分配を実現し、低圧水の入力および高圧水の出力を実現する。プランジャチャンバ12は、液圧シリンダ1またはハウジング2に設けられてもよい。液圧シリンダ1は、一体化して成形加工されてもよく、複数の部材が組み合わされて形成されてもよい。ハウジング2は、液圧シリンダ1の右端に固定接続され、液圧シリンダ1とハウジング2は着脱可能に接続されるかまたは一体成形で製造されてもよい。ハウジング2も、複数の部材が組み合わせて固定されて形成されてもよい。駆動機構4は、主軸5と、主軸5に設けられる少なくとも1つの偏心構造とを含み、本実施例において、偏心構造は、カム6であり、好ましくは偏心輪の態様である。それぞれのカム6の外側に推力構造7が外嵌され、推力構造7とカム6は、相対回転可能であり、第1摺動摩擦対偶を構成する。推力構造7の、主軸5の軸線に垂直な断面の外縁曲線は、第1曲線44と第2曲線45を含み、第1曲線44における点から主軸5の軸線までの垂直距離は、第1曲線44の一端から第1曲線44の他端にかけて徐々に増大し、第2曲線45における点から主軸5の軸線までの垂直距離は、第1曲線44の他端に接続される第2曲線45の一端から第1曲線44の一端に接続される第2曲線45の他端にかけて徐々に減少する。
【0026】
カム6および推力構造7はいずれもハウジング2に位置し、カム6および推力構造7が位置するハウジング内の空間は水または水溶液を充填するためにも用いられ、水または水溶液がハウジング2内に進入することにより、第1摺動摩擦対偶は水または水溶液によって潤滑および放熱を改善できる。それぞれのプランジャ43は、左端が液圧シリンダ1に位置し、右端が推力構造7に接触し、プランジャ43に反発構造9が設けられる。主軸5は、一端が動力機器(例えばモータ)に接続され、主軸5がカム6を回転させる時、推力構造7は、プランジャ43の接触面に当接しながらプランジャ43の接触面において転がり(ある程度摺動する可能性がある)、接触によってプランジャ43を液圧シリンダ1のプランジャチャンバ12内で液圧シリンダ1の方向へ移動させることにより、水または水溶液に対する加圧し、水を排出する。また、反発構造9の作用により、プランジャ43が戻り行程で推力構造7との接触を維持し、並びに水を吸い込むことを保証する。
【0027】
本実施例において、カム6の外面および/または推力構造7の内面には、第1減摩層8が設けられる。第1減摩層8は具体的に、接着又はしまりばめによってカム6または推力構造7に固定されてもよく、あるいは射出、スプレーなどのプロセスによって表面に直接に成形されてもよい。水または水溶液は、第1摺動摩擦対偶に進入して流体動圧の潤滑効果を奏する。
【0028】
第1減摩層8は、プラスチックで製造され、例えばポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリアリールエーテルなどの熱可塑性材料が好ましい。プラスチックに繊維、グラファイト、ポリテトラフルオロエチレンなどを添加することにより、摩擦性能を効果的に改善することができる。
【0029】
本実施例では、カム6と主軸5は、一体部材として製造されてもよく、個別部材に製造されてから組み立てて固定されてもよく、これによりカム6と主軸5を同時に回転させることができる。それぞれの推力構造7は、それぞれのカム6に外嵌される。本実施例においては、主軸5に3つのカム6が設けられ、それぞれのカム6が1つのプランジャ43を押して水または水溶液を加圧する。回転方向において、3つのカム6の間には互いに120度の位相差がある。それぞれの推力構造7が1つのプランジャ43のみを押す場合、推力構造7とプランジャ43との間の摩擦特性は主に転がり摩擦であり、一方、それぞれの推力構造7が複数のプランジャ43を押す場合、推力構造7とプランジャ43との間の摩擦は主に摺動摩擦になる可能性がある。水環境の条件では潤滑特性が劣るため、推力構造7とプランジャ43が一対一対応する構造を適用するのは、動力システムの摩擦摩耗の低減、構造寿命の向上に対して非常に有意義である。
【0030】
また、各プランジャ本体3をすべて主軸5の同一側に配置することにより、構造を簡素化し、製造を便利にすることができる。
【0031】
本実施例において、反発構造9は、第1バッフル板10と第1弾性素子11を含み、第1バッフル板10は、プランジャ本体3の右端に固定され、第1弾性素子11は、一端が液圧シリンダ1に当接し、他端が第1バッフル板10に当接する。
【0032】
プランジャ43は、単一の部品、または複数の部品の組み合わせによって構成されてもよく、本実施例において、プランジャ43はプランジャ本体3を含む。プランジャ本体3は、一端が液圧シリンダ1のプランジャチャンバ12内に挿入され、プランジャ本体3とプランジャチャンバ12が第2摩擦対偶を構成し、第2摩擦対偶には1μm~30μmの隙間が設けられる。隙間は、プランジャ本体3がプランジャチャンバ12内でスムーズに移動することを保証とともに、プランジャチャンバ12内の高圧流体が低圧端まで漏れることを抑制することを保証する。水または水溶液は、隙間において摩擦対偶に対する潤滑作用を果たし、さらに摩擦熱を放出させる。
【0033】
本実施例において、プランジャ本体3の外面および/またはプランジャチャンバ12の内面には、第2減摩層13が固定されている。第2減摩層13は、プラスチックであり、例えばポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリアリールエーテルなどの熱可塑性材料が好ましい。プラスチックに繊維、グラファイト、ポリテトラフルオロエチレンなどを添加することにより、摩擦性能を効果的に改善することができる。
【0034】
本実施例において、第2減摩層13は、接着またはしまりばめによってプランジャ本体3の外面またはプランジャチャンバ12の内面に固定されてもよく、あるいは射出、スプレーなどのプロセスによって第2摩擦対偶の表面に直接に成形されてもよい。
【0035】
本実施例において、駆動機構4は、軸受29によってハウジング2内に回転可能に接続される。
【0036】
本実施例は、構造が簡単であり、潤滑油がなく、メンテナンスが便利であり、30MPaを超える圧力出力を実現することができる。
【0037】
[実施例2]
図4~
図5に示すように、本実施例は、下記点で実施例1と相違する。本実施例において、偏心構造32はクランクシャフトであり、コンロッドジャーナル35はいずれもクランク36を介して主軸5に接続され、推力構造7はコンロッドジャーナル35の外周に外嵌され、第1減摩層8はコンロッドジャーナル35の外面および/または推力構造7の内面に設けられる。
【0038】
[実施例3]
図6に示すように、本実施例は、下記点で実施例1と相違する。本実施例において、偏心構造32は、本体33と、本体33に外嵌されるソケット構造34とを含み、ソケット構造34と本体33との間に隙間が設けられる。推力構造7はソケット構造34の外側に外嵌され、第1減摩層8はソケット構造34の外面および/または推力構造7の内面に設けられる。推力構造7とソケット構造34は相対回転可能である。
【0039】
ソケット構造34は、少なくとも2つの順次に外嵌するソケット体47からなり、最も内側のソケット体47が本体33に外嵌され、最も内側のソケット体47と本体33との間に隙間が設けられ、隣り合うソケット体47の間に隙間が設けられてもよい。
【0040】
[実施例4]
図7に示すように、本実施例は、下記点で実施例1と相違する。推力構造7は、少なくとも2つの順次に嵌合する推力体38を含み、最も内側の推力体38が偏心構造32に外嵌され、最も内側の推力体38と偏心構造32との間に隙間が設けられ、隣り合う推力体38の間に隙間が設けられる。偏心構造32の外面および/または最も内側の推力体38の内面には、第1減摩層8が設けられる。
【0041】
[実施例5]
実施例1について、推力構造7がプランジャ本体3を押して左へ移動させる過程において、推力構造7とプランジャ本体3が接触して力を受ける位置は回転角度によって変更する。接触位置がプランジャ本体3の中心位置にない時、プランジャ本体3に曲げモーメント荷重が与えられ、中心位置から離れるほど曲げモーメント荷重が大きくなる。ポンプ出力流体の圧力が増加するにつれて、プランジャ本体3が受ける曲げモーメントがもっと深刻になり、第2摩擦対偶における応力が著しく増加するため、第2摩擦対偶が迅速に失効するリスクがある。なお、より大きな直径を有するタペット49を導入して主な曲げモーメント荷重を負担することにより、プランジャ43が負担する曲げモーメント荷重を大きく低下させて、上記課題を効果的に解決し、水ポンプの出力圧力をさらに高めることができる。
【0042】
図8に示すように、本実施例は、下記点で実施例1と相違する。本実施例において、プランジャ43は、プランジャ本体3とタペット49を含み、本実施例に係るタペット49が第1タペット14であり、プランジャ本体3と第1タペット14との間にはボールスタッド17が設けられる。ボールスタッド17の一端の第1ボールヘッド18はプランジャ本体3の第1ボールソケット19に設けられ、第1ボールヘッド18および/または第1ボールソケット19には減摩塗布層が設けられる。ボールスタッド17の他端の第2ボールヘッド20は第1タペット14の第2ボールソケット21に設けられ、第2ボールヘッド20および/または第2ボールソケット21には減摩塗布層が設けられる。第1ボールヘッド18および第2ボールヘッド20は、それぞれ、第1ボールソケット19および第2ボールソケット21内で回転することができる。
【0043】
第1タペット14は、右端が推力構造7に当接し、前記液圧シリンダ1内または前記ハウジング2におけるタペットチャンバ48内で摺動可能であり、本実施例に係るタペットチャンバ48が第1タペットチャンバ15である。第1タペット14と第1タペットチャンバ15は第3摩擦対偶を構成し、第1タペット14の外面および/または第1タペットチャンバ15の内面には第3減摩層16が固定され、推力構造7が第1タペット14を押して液圧シリンダ1の方向へ移動させるとき、第1タペット14はボールスタッド17を介して作用力をプランジャ本体3に与えて、プランジャ本体3をプランジャチャンバ12で移動させて水または水溶液に対する加圧を実現する。
【0044】
本実施例において、第3減摩層16はプラスチックで製造され、例えばポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリアリールエーテルなどの熱可塑性材料が好ましい。プラスチックに繊維、グラファイト、ポリテトラフルオロエチレンなどを添加することにより、摩擦性能を効果的に改善することができる。第3減摩層は、接着またはしまりばめによって固定されてもよく、あるいは射出、スプレーなどのプロセスによって第1タペットチャンバ15の内壁および/または第1タペット14の外円柱の表面に直接に成形されてもよい。
【0045】
本実施例において、反発構造9は、第1タペット14の一端に固定される第2バッフル板30と、第2弾性素子31とを含む。第2弾性素子31は、一端が液圧シリンダ1に当接し、他端が第2バッフル板30に当接する。主軸5はカム6を駆動して回転させる。カム6が回転する時、推力構造7は接触により第1タペット14を押して液圧シリンダ1の方向へ移動させる。反発構造9の作用により、第1タペット14の戻り行程で第1タペット14が常に推力構造7との接触を維持することを保証する。
【0046】
本実施例において、第1タペット14の内壁には溝が開設され、溝内にはストッパリング39が配置され、プランジャ本体3の底部が突出し、プランジャ本体3の底部の突出と第1タペット14はストッパリング39によって位置規制され、したがってプランジャ43の戻り行程でプランジャ本体3が第1タペット14に追従して液圧シリンダ1から離れる方向へ移動できることと、ボールスタッド17の両端における第1ボールヘッド18と第2ボールヘッド20がそれぞれ第1ボールソケット19と第2ボールソケット21内に保持されることとを保証する。
【0047】
本実施例において、プランジャ本体3はプランジャチャンバ12内に取り付けられ、プランジャ本体3とプランジャチャンバ12の内面との間には僅かな隙間(例えば1~20μmの隙間)があり、プランジャ本体3はプランジャチャンバ12内で往復移動することができる。プランジャ本体3は、液圧シリンダ1から離れる方向に移動する時、流体を吸い込む。プランジャ本体3は、液圧シリンダ1方向へ移動する時、流体を加圧して排出する。プランジャ本体3の外面とプランジャチャンバ12の内面は摺動摩擦対偶を構成する。プランジャ本体3の外面および/またはプランジャチャンバ12の内面には減摩塗布層が設けられる。
【0048】
本実施例において、減摩塗布層の材料は、DLC(ダイヤモンドライクカーボンのメッキ膜)が好ましく、DLC材料は良好な減摩効果を有する。
【0049】
本実施例において、推力構造7が第1タペット14を押して左へ移動させる過程で、推力構造7と第1タペット14が接触して力を受ける位置は回転角度によって変わる。接触位置が第1タペット14の中心位置にない時、第1タペット14には曲げモーメント荷重が与えられ、中心位置から離れるほど曲げモーメント荷重が大きくなる。本実施例において、第1タペット14は、主な曲げモーメント荷重を負担し、微視的な変形が発生する。ボールスタッド17を利用して、第1タペット14の、荷重による変形、および第1タペット14とプランジャ本体3の間の、加工および組立の誤差による非同心性を調和する。流体を加圧する時、プランジャ本体3が受けたボールスタッド17の作用力は、主にプランジャ本体3の軸心方向に沿った推力であるため、曲げ荷重が大きく減少し、プランジャ43とプランジャチャンバ12内との摩擦力も大きく減少し、プランジャ本体3の長寿命動作を確保する。
【0050】
本実施例においてはDLC塗布層の摩擦対偶部材を利用したが、全体または摩擦面においてセラミック材料または超硬合金材料を有する部材を直接利用して実現してもよい。
【0051】
本実施例は、構造が簡単であり、50MPaを超える圧力出力を実現することができる。
【0052】
[実施例6]
図9に示すように、本実施例は、下記点で実施例5と相違する。本実施例において、タペット49は第2タペット22であり、タペットチャンバ48は第2タペットチャンバ23である。本実施例において、プランジャ本体3の一端が第2タペット22の内面に当接し、接触面が弧状面である。この構造により、同様に、第2タペット22が動作中に大部分の曲げ荷重を負担するようにすることができ、プランジャ本体3と第2タペット22が同軸でない場合に、プランジャ43とプランジャチャンバ12との間の作用力の低減に寄与する。プランジャ本体3の右端面および/または第2タペット22の内面には、減摩塗布層が設けられる。
【0053】
本実施例において、反発構造9は、プランジャ本体3に外嵌される第3弾性素子25を含み、第3弾性素子25は、一端が液圧シリンダ1に当接し、他端がプランジャ本体3の一端のボス26に当接する。プランジャ本体3は第3弾性素子25を介して第2タペット22の内面に押し付けられる。
【0054】
実施例5と同様に、プランジャ本体3の外面および/またはプランジャチャンバ12の内面には、減摩塗布層が設けられる。
【0055】
減摩層の材料は、DLC(ダイヤモンドライクカーボンのメッキ膜)が好ましい。
【0056】
実施例5と同様にDLC塗布層の摩擦対偶部材を利用したが、全体または摩擦面においてセラミック材料または超硬合金材料を有する部材を直接に利用して実現してもよい。
【0057】
実施例5と同様に、第2タペット22の外面および/または第2タペットチャンバ23の内面には、同じ材料の第3減摩層16が固定されている。
【0058】
[実施例7]
図10に示すように、本実施例は、下記点で実施例1と相違する。本実施例において、プランジャ43は個別部材によって組み合わせて形成され、プランジャ43は第1プランジャ体40をさらに含む。本実施例に係る第1プランジャ体40は耐摩耗板であり、耐摩耗板はプランジャ本体3の右端に接続され、プランジャ本体3はプランジャチャンバ12に位置し、プランジャ本体3はプランジャチャンバ12において加圧機能を実現する。耐摩耗板は、推力構造7に接触し、推力構造7から耐摩耗板に与える力をプランジャ本体3に伝達する。プランジャ本体3と耐摩耗板は異なる材料により形成され、耐摩耗板は、硬度が比較に高くて摩擦摩耗や接触疲労に耐えられる材料からなり、セラミック、硬質合金、マルテンサイト系ステンレス鋼、高窒素ステンレス鋼などが好ましい。
【0059】
本明細書において具体的な例を利用して本発明の原理および実施形態について述べたが、以上の実施例に係る説明は、本発明の方法およびその中心思想を理解しやすくするためのものに過ぎない。また、当業者であれば、本発明の思想に基づいて、具体的な実施形態および応用範囲のいずれかに対して一部を変更してもよい。よって、本明細書の記載は、本発明を限定するものと理解すべきではない。
【符号の説明】
【0060】
100 水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ
1 液圧シリンダ
2 ハウジング
3 プランジャ本体
4 駆動機構
5 主軸
6 カム
7 推力構造
8 第1減摩層
9 反発構造
10 第1バッフル板
11 第1弾性素子
12 プランジャチャンバ
13 第2減摩層
14 第1タペット
15 第1タペットチャンバ
16 第3減摩層
17 ボールスタッド
18 第1ボールヘッド
19 第1ボールソケット
20 第2ボールヘッド
21 第2ボールソケット
22 第2タペット
23 第2タペットチャンバ
25 第3弾性素子
26 ボス
29 軸受
30 第2バッフル板
31 第2弾性素子
32 偏心構造
33 本体
34 ソケット構造
35 コンロッドジャーナル
36 クランク
37 逆止弁
38 推力体
39 ストッパリング
40 第1プランジャ体
41 ハウジング入水口
42 シリンダ入水口
43 プランジャ
44 第1曲線
45 第2曲線
47 ソケット体
48 タペットチャンバ
49 タペット
【手続補正書】
【提出日】2024-08-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプであって、
駆動機構、ハウジング、反発構造、少なくとも1つのプランジャおよび
前記少なくとも1つのプランジャに一対一対応する少なくとも1つのプランジャチャンバを含み、
前記駆動機構は、主軸と、前記主軸に設けられる
、前記少なくとも1つのプランジャに一対一対応する少なくとも1つの偏心構造とを含み、それぞれの前記偏心構造の外側には推力構造が外嵌され、前記推力構造と前記偏心構造が相対回転可能であり、前記推力構造と前記偏心構造が第1摺動摩擦対偶を構成し、
前記偏心構造と前記推力構造は、いずれも前記ハウジングに位置し、前記偏心構造と前記推力構造が位置する前記ハウジング内の空間は水または水溶液を充填するために用いられ、水または水溶液が前記ハウジング内における前記第1摺動摩擦対偶に進入可能であり、
前記偏心構造が回転する時、前記推力構造は、
前記プランジャの接触面に当接しながら前記接触面において転がって、前記プランジャを押して前記プランジャチャンバ内で移動させて水または水溶液に対する加圧を実現し、
前記プランジャは、前記反発構造の反発力によって前記プランジャチャンバ内で移動して水または水溶液を吸い込む、
ことを特徴とする水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ。
【請求項2】
前記推力構造の、前記主軸の軸線に垂直な断面の外縁曲線は、第1曲線と第2曲線とを含み、前記第1曲線における点から前記主軸の軸線までの垂直距離は、前記第1曲線の一端から前記第1曲線の他端へ徐々に増大し、前記第2曲線における点から前記主軸の軸線までの垂直距離は、前記第1曲線の他端に接続される前記第2曲線の一端から、前記第1曲線の一端に接続される前記第2曲線の他端へ徐々に減少する、
ことを特徴とする請求項1に記載の水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ。
【請求項3】
前記偏心構造の外面および/または前記推力構造の内面には、第1減摩層が設けられ、
前記第1減摩層は、プラスチック製である、
ことを特徴とする請求項
1に記載の水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ。
【請求項4】
前記プランジャは、プランジャ本体を含み、前記プランジャ本体の一端が前記プランジャチャンバに挿入され、前記プランジャ本体と前記プランジャチャンバが第2摩擦対偶を構成し、前記プランジャ本体の外面および/または前記プランジャチャンバの内面に第2減摩層が固定され、
前記第2減摩層は、プラスチック製である、
ことを特徴とする請求項
1に記載の水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ。
【請求項5】
前記水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプは、少なくとも2つの前記推力構造を含み、
前記少なくとも1つのプランジャは少なくとも2つのプランジャを含み、前記
少なくとも2つの推力構造と前記
少なくとも2つのプランジャが一対一対応し、
前記
少なくとも2つのプランジャはすべて前記主軸の同一側に位置する、
ことを特徴とする請求項
1ないし4のいずれか一項に記載の水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ。
【請求項6】
前記偏心構造は、本体と、前記本体に外嵌されるソケット構造とを含み、前記ソケット構造と前記本体との間に隙間が設けられる、
ことを特徴とする請求項
1ないし4のいずれか一項に記載の水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ。
【請求項7】
前記ソケット構造は、少なくとも2つの順次に嵌合するソケット体を含み、最も内側の前記ソケット体が前記本体に外嵌され、最も内側の前記ソケット体と前記本体との間に隙間が設けられ、隣り合う前記ソケット
体の間に隙間が設けられる、
ことを特徴とする請求項6に記載の水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ。
【請求項8】
前記推力構造は、少なくとも2つの順次に嵌合する推力体を含み、最も内側の前記推力体が前記偏心構造に外嵌され、最も内側の前記推力体と前記偏心構造との間に隙間が設けられ、隣り合う前記推力体の間に隙間が設けられる、
ことを特徴とする請求項
1ないし4のいずれか一項に記載の水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ。
【請求項9】
タペットチャンバをさらに含み、前記プランジャはプランジャ本体とタペットとを含み、前記タペットは前記タペットチャンバ内で摺動可能であり、前記タペットと前記タペットチャンバが第3摩擦対偶を構成し、前記タペットの外面および/または前記タペットチャンバの内面に第3減摩層が固定され、前記第3減摩層がプラスチック製であり、
前記推力構造は、水または水溶液に対する加圧を実現するように、前記タペットを押して前記タペットチャンバ内で移動させ、したがって前記タペットが前記推力構造の作用力を前記プランジャ本体に伝達して、前記プランジャ本体を前記プランジャチャンバ内で移動させる、
ことを特徴とする請求項
1ないし3のいずれか一項に記載の水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ。
【請求項10】
前記プランジャは、前記プランジャ本体の一端に設けられる第1プランジャ体をさらに含み、前記第1プランジャ体が前記推力構造に接触し、前記第1プランジャ体と前記プランジャ本体は異なる材料で製造される、
ことを特徴とする請求項4に記載の水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明は、水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプを提供する。当該水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプは、駆動機構、ハウジング、反発構造、少なくとも1つのプランジャおよび前記少なくとも1つのプランジャに一対一対応する少なくとも1つのプランジャチャンバを含み、前記駆動機構は、主軸と、前記主軸に設けられる、前記少なくとも1つのプランジャに一対一対応する少なくとも1つの偏心構造とを含み、それぞれの前記偏心構造の外側には推力構造が外嵌され、前記推力構造と前記偏心構造が相対回転可能であり、前記推力構造と前記偏心構造が第1摺動摩擦対偶を構成する。前記偏心構造と前記推力構造は、いずれも前記ハウジングに位置し、前記偏心構造と前記推力構造が位置する前記ハウジング内の空間は水または水溶液を充填するためにも用いられ、水または水溶液が前記ハウジング内における前記第1摺動摩擦対偶に進入できる。前記偏心構造が回転する時、前記推力構造は、前記プランジャの接触面に当接しながら前記接触面において転がって、前記プランジャを押して前記プランジャチャンバ内で移動させて水または水溶液に対する加圧を実現できる。前記プランジャは、前記反発構造の反発力によって前記プランジャチャンバ内で移動して水または水溶液を吸い込む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
好ましくは、前記水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプは、少なくとも2つの前記推力構造を含み、前記少なくとも1つのプランジャは少なくとも2つのプランジャを含み、前記少なくとも2つの推力構造と前記少なくとも2つのプランジャが一対一対応し、前記少なくとも2つのプランジャはすべて前記主軸の同一側に位置する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
好ましくは、前記ソケット構造は、少なくとも2つの順次に嵌合するソケット体を含み、最も内側の前記ソケット体が前記本体に外嵌され、最も内側の前記ソケット体と前記本体との間に隙間が設けられ、隣り合う前記ソケット体の間に隙間が設けられる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本発明の駆動機構は、静圧支持を含まず、駆動機構の第1摩擦対偶は、主に偏心構造と推力構造の相対回転により発生する流体動圧の潤滑効果によって摩擦を低減し、推力構造とプランジャの間では低摩擦の転がり接触を利用してプランジャを押して水または水溶液を加圧する。これらの重要構造は、実現しやすく、流量損失がないため、高圧水ポンプがより高い圧力および容積効率に達することができ、耐汚染性も著しく向上する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
[実施例1]
図1~
図3に示すように、本実施例に係る水または水溶液により潤滑される高圧水ポンプ100は、駆動機構4、ハウジング2、反発構造9、液圧シリンダ1、少なくとも1つのプランジャ43および
少なくとも1つのプランジャ43に一対一対応する少なくとも1つのプランジャチャンバ12を含む。液圧シリンダ1は、ポンプヘッドとも呼ばれ、従来の往復動ポンプの液圧シリンダと同様に機能し、ポンプにおいて液圧を受ける主な部品の1つである。液圧シリンダ1内には高低圧流体通路および逆止弁37が配置され、1つのプランジャ43は、1つの吸入弁および1つの排出弁に対応して流体の分配を実現し、低圧水の入力および高圧水の出力を実現する。プランジャチャンバ12は、液圧シリンダ1またはハウジング2に設けられてもよい。液圧シリンダ1は、一体化して成形加工されてもよく、複数の部材が組み合わされて形成されてもよい。ハウジング2は、液圧シリンダ1の右端に固定接続され、液圧シリンダ1とハウジング2は着脱可能に接続されるかまたは一体成形で製造されてもよい。ハウジング2も、複数の部材が組み合わせて固定されて形成されてもよい。
ハウジング2にはハウジング入水口41が形成されてもよく、液圧シリンダ1にはシリンダ入水口42が形成されてもよい。駆動機構4は、主軸5と、主軸5に設けられる
、少なくとも1つのプランジャ43に一対一対応する少なくとも1つの偏心構造とを含み、本実施例において、偏心構造は、カム6であり、好ましくは偏心輪の態様である。それぞれのカム6の外側に推力構造7が外嵌され、推力構造7とカム6は、相対回転可能であり、第1摺動摩擦対偶を構成する。推力構造7の、主軸5の軸線に垂直な断面の外縁曲線は、第1曲線44と第2曲線45を含み、第1曲線44における点から主軸5の軸線までの垂直距離は、第1曲線44の一端から第1曲線44の他端にかけて徐々に増大し、第2曲線45における点から主軸5の軸線までの垂直距離は、第1曲線44の他端に接続される第2曲線45の一端から第1曲線44の一端に接続される第2曲線45の他端にかけて徐々に減少する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
カム6および推力構造7はいずれもハウジング2に位置し、カム6および推力構造7が位置するハウジング内の空間は水または水溶液を充填するためにも用いられ、水または水溶液がハウジング2内に進入することにより、第1摺動摩擦対偶は水または水溶液によって潤滑および放熱を改善できる。それぞれのプランジャ43は、左端が液圧シリンダ1に位置し、右端が推力構造7に接触し、プランジャ43に反発構造9が設けられる。主軸5は、一端が動力機器(例えばモータ)に接続され、主軸5がカム6を回転させる時、推力構造7は、プランジャ43の接触面に当接しながらプランジャ43の接触面において転がり、接触によってプランジャ43を液圧シリンダ1のプランジャチャンバ12内で液圧シリンダ1の方向へ移動させることにより、水または水溶液に対する加圧し、水を排出する。また、反発構造9の作用により、プランジャ43が戻り行程で推力構造7との接触を維持し、並びに水を吸い込むことを保証する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
本実施例において、第3減摩層16はプラスチックで製造され、例えばポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリアリールエーテルなどの熱可塑性材料が好ましい。プラスチックに繊維、グラファイト、ポリテトラフルオロエチレンなどを添加することにより、摩擦性能を効果的に改善することができる。第3減摩層は、接着またはしまりばめによって固定されてもよく、あるいは射出、スプレーなどのプロセスによって第1タペットチャンバ15の内壁および/または第1タペット14の外面に直接に成形されてもよい。
【国際調査報告】