(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】低応力直接ハイブリッド接合
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3205 20060101AFI20241128BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20241128BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241128BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01L21/88 B
H01L21/02 B
H01L21/88 T
H01L21/304 622X
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537974
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-08-20
(86)【国際出願番号】 US2022081974
(87)【国際公開番号】W WO2023122559
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518065991
【氏名又は名称】アデイア セミコンダクター ボンディング テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】タイル ジェレミー アルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】ウゾー シプリアン エメカ
(72)【発明者】
【氏名】ガオ ギリアン
【テーマコード(参考)】
5F033
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
5F033HH07
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(57)【要約】
導電性コンタクトパッドを有する誘電体層を製造し、誘電体層の誘電体接合面及び導電性接合面を直接接合する方法。一部の態様では、この方法は、誘電体層の上部の誘電体接合面に研磨停止層を配置するステップを含む。導電層は、研磨停止層の上部に配置され、その後、研磨され、研磨された導電性接合面を有する導電性コンタクトパッドを形成するようになっている。研磨プロセス中、研磨停止層は、誘電体エッジの丸みと、密に離間配置された導電性接合面の間にある誘電体接合面の侵食とを軽減する。結果として得られた研磨された誘電体接合面及び導電性接合面は、導電性相互接続を形成するために、別の誘電体層の誘電体接合面及び導電性接合面に直接接合される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子素子の基板の上の誘電体層に開口部を準備するステップと、
前記誘電体層のフィールド区域及び前記開口部の側壁の上に研磨停止層を形成するステップと、
前記研磨停止層の上に導電性バリア層を塗布するステップと、
前記導電性バリア層を塗布した後、前記開口部を導電性材料で充填するステップと、
直接ハイブリッド接合のために前記電子素子を調製するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記導電性材料を研磨して、前記導電性バリア層上の及び前記誘電体層の前記フィールド区域の上の前記導電性材料を除去して、導電性コンタクトパッドを形成するステップさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
直接ハイブリッド接合のために前記電子素子を調製する前に、前記フィールド区域上の前記研磨停止層の上から前記導電性バリア層を除去するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記導電性バリア層を除去するステップは、前記研磨停止層で停止させるための選択的化学作用を有する化学機械研磨を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記導電性バリア層を除去するステップは、前記研磨停止層で停止させるためのエンドストップ検出を有する化学機械研磨を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記直接ハイブリッド接合のために前記電子素子を調製する前に、前記フィールド区域の上から前記研磨停止層を除去するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記研磨停止層を除去するステップは、前記誘電体層で停止させるための選択的化学作用を有する化学機械研磨を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記研磨停止層を除去するステップは、前記誘電体層で停止させるためのエンドストップ検出を有する化学機械研磨を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
直接ハイブリッド接合のために前記電子素子を調製するステップは、直接ハイブリッド接合のために前記研磨停止層を活性化させるステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
直接ハイブリッド接合のために前記電子素子を調製するステップは、前記電子素子の上面を窒素種で終端させるステップを含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記研磨停止層は、絶縁材料である、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記研磨停止層は、ダイヤモンド状炭素、酸化アルミニウム、炭窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、及びそれらの組み合わせから成る群から選択された材料を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記開口部の上部幅は、前記開口部の底部幅よりも少なくとも10%大きい、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記開口部の前記側壁と前記フィールド区域の表面との間の角度は、100度より大きい、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記導電性バリア層は、金属窒化物を含む、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記導電性バリア層は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、酸化タンタル(少量の酸素を含むタンタル)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、コバルト-リン合金(CoP)、コバルト-タングステン合金CoW、珪酸コバルト(CoSi)、ニッケル-バナジウム(NiV)、及びそれらの組み合わせを含む、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
導電性バリア層を塗布する前に、前記開口部の底部から前記研磨停止層を除去して下部導電性素子の一部分を露わにするステップをさらに含む、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記開口部を準備するステップは、前記開口部の前記底部にある前記下部導電性素子の前記一部分を露出させるステップを含み、前記研磨停止層を除去するステップは、前記下部導電性素子を露わにするステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記開口部を準備するステップは、前記下部導電性素子より上の誘電体材料内でビアエッチングを停止させるステップを含み、前記開口部の前記底部から前記研磨停止層を除去した後で、前記誘電体材料を除去して前記下部導電素子の前記一部分を露わにするステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記研磨停止層は、導電性材料を含む、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記開口部の底部は、下部導電性素子を備え、前記研磨停止層の少なくとも一部分は、前記下部導電性素子の上面に塗布されている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記誘電体材料を除去するステップは、前記下部導電素子より上でかつ前記研磨停止層の一部分より下に、階段状誘電体層を形成するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
直接ハイブリッド接合のために前記電子素子を調製するステップは、前記誘電体の前記フィールド区域を活性化させるステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記研磨停止層を塗布するステップは、蒸着プロセスを含む、請求項1から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記誘電体層は、再配線層の上に接合層を含み、前記電子構成要素は、集積回路を含む、請求項1から24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
接着剤を介在させることなく前記電子構成要素を別の構成要素に直接ハイブリッド接合するステップをさらに含む、請求項1から25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記導電性材料は、銅である、請求項1から26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
第1の電子構成要素に接合させるための電子構成要素であって、
内部に開口部を有する上部誘電体層と、
少なくとも前記開口部の側壁をライニングする導電性バリア層と、
前記側壁において少なくとも前記導電性バリア層と前記上部誘電体層との間で前記導電性バリア層の下にある研磨停止層と、
前記開口部内で前記導電性バリア層の上の導電性フィラーと、
を備え、
前記電子構成要素の上面は、直接ハイブリッド接合のために平坦化され処理されている、電子構成要素。
【請求項29】
前記研磨停止材料は、ダイヤモンド状炭素、酸化アルミニウム、炭窒化ケイ素、炭化ケイ素、及びそれらの組み合わせから成る群から選択された材料を含む、請求項28に記載の電子構成要素。
【請求項30】
前記上面は、前記別の電子構成要素との直接的な共有結合を強化するために活性化され化学種で終端された誘電体層を含む、請求項28又は29に記載の電子構成要素。
【請求項31】
前記上面は、前記誘電体層の上の前記研磨停止層の上部を備え、前記上面は、前記別の電子構成要素との直接的な共有結合を強化するために、活性化され化学種で終端されている、請求項28又は29に記載の電子構成要素。
【請求項32】
前記化学種は、窒素を含む、請求項30又は31に記載の電子構成要素。
【請求項33】
前記開口部は、前記上面のフィールド領域と前記側壁との間を移行する角部を有し、前記角部は、前記バリア層の厚さの100倍未満の曲率半径を規定する、請求項28から32のいずれかに記載の電子構成要素。
【請求項34】
前記上面は5Å(rms)未満の粗さを有する、請求項28から33のいずれかに記載の電子構成要素。
【請求項35】
前記導電性フィラーは、銅を含む、請求項28から34のいずれかに記載の電子構成要素。
【請求項36】
前記電子構成要素の前記上面が平坦化された後に、前記導電性フィラーの上面は、前記電子構成要素の前記上面より20Å未満だけ陥凹している、請求項28から35のいずれかに記載の電子構成要素。
【請求項37】
前記研磨停止層は、導電性材料を含む、請求項28に記載の電子構成要素。
【請求項38】
前記開口部の底部は、下部導電性素子を備え、前記研磨停止層は、前記下部導電性素子の上面に塗布されている、請求項37に記載の電子構成要素。
【請求項39】
前記電子構成要素は、第2の電子構成要素に直接接合されている、請求項28に記載の電子構成要素。
【請求項40】
前記開口部の前記側壁と前記フィールド区域の表面との間の角度は、100度より大きい、請求項28から39のいずれかに記載の電子構成要素。
【請求項41】
接合構造であって、
第1の非導電性フィールド領域を備える第1の素子と、
ハイブリッド接合によって接着剤なしで前記第1の素子に直接接合された第2の素子と、
を備え、
前記第1の非導電性フィールド領域は、
第1の開口部と、
前記第1の開口部内に配置された第1の導電性コンタクトパッドと、
少なくとも前記第1の開口部の側壁にライニングされる第1の研磨停止層と、
少なくとも前記導電性コンタクトパッドと、前記第1の開口部の前記側壁に塗布された前記第1の研磨停止層の部分との間に配置された第1の導電性バリア層と、
を備える、接合構造。
【請求項42】
前記第2の素子は、第2の非導電性フィールド領域を備え、前記第2の非導電性フィールド領域は、
第2の開口部と、
前記第2の開口部内に配置された第2の導電性コンタクトパッドと、
少なくとも前記第2の開口部の側壁にライニングされる第2の研磨停止層と、
少なくとも前記導電性コンタクトパッドと、前記第2の開口部の前記側壁に塗布された前記第2の研磨層の部分との間に配置された第2の導電性バリア層と、
を備える、請求項41に記載の接合構造。
【請求項43】
前記ハイブリッド接合は、前記第1の非導電性フィールド領域の接合面と前記第2の非導電性フィールド領域の接合面との間に形成された接合を含む、請求項41及び42のいずれかに記載の接合構造。
【請求項44】
前記第1の研磨停止層は、前記第1の非導電性フィールド領域の接合面及び前記第1の開口部の前記側壁をさらに覆い、
前記第2の研磨停止層は、前記第2の非導電性フィールド領域の接合面及び前記第2の開口部の前記側壁をさらに覆う、請求項41及び42のいずれかに記載の接合構造。
【請求項45】
前記ハイブリッド接合は、前記第1の非導電性フィールド領域の前記接合面に塗布された前記第1の研磨停止層の部分と、前記第2の非導電性フィールド領域の前記接合面に塗布された前記第2の研磨停止層の部分との間に形成された接合を含む、請求項44に記載の接合構造。
【請求項46】
前記第1の研磨停止層は、前記第1の開口部の前記側壁に対して直交する方向に沿った厚さを有し、前記厚さは、1000nm未満である、請求項41に記載の接合構造。
【請求項47】
前記第1の開口部の前記側壁と前記フィールド区域の表面との間の角度は、100度より大きい、請求項41に記載の接合構造。
【請求項48】
前記ハイブリッド接合は、前記第1の導電性コンタクトパッドと前記第2の導電性コンタクトパッドとの間に形成された第1の接合をさらに含む、請求項42から46のいずれかに記載の接合構造。
【請求項49】
前記第1の導電性コンタクトパッド及び前記第2の導電性コンタクトパッドは、銅を含む、請求項42から48のいずれかに記載の接合構造。
【請求項50】
前記第1の研磨停止層及び前記第2の研磨停止層は、絶縁材料である、請求項42から49のいずれかに記載の接合構造。
【請求項51】
前記第1の研磨停止層及び前記第2の研磨停止層は、ダイヤモンド状炭素、酸化アルミニウム、炭窒化ケイ素、炭化ケイ素、及びそれらの組み合わせから成る群から選択された材料を含む、請求項42から50のいずれかに記載の接合構造。
【請求項52】
前記第1の導電性バリア層及び前記第2の導電性バリア層は、金属窒化物を含む、請求項42から51のいずれかに記載の接合構造。
【請求項53】
前記第1の導電性バリア層及び前記第2の導電性バリア層は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、酸化タンタル(少量の酸素を含むタンタル)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、コバルト-リン合金(CoP)、コバルト-タングステン合金CoW、珪酸コバルト(CoSi)、ニッケル-バナジウム(NiV)、及びそれらの組み合わせを含む、請求項52に記載の接合構造。
【請求項54】
前記第1の導電性コンタクトパッドより下の第1の再配線層と、前記第2の導電性コンタクトパッドより下の第2の再配線層とをさらに備える、請求項42から53のいずれかに記載の接合構造。
【請求項55】
前記第1の導電性バリア層の一部分は、前記第1の再配線層と電気的に接触しており、前記第2の導電性バリア層の一部分は、前記第2の再配線層と電気的に接触している、請求項54に記載の接合構造。
【請求項56】
前記第1の研磨停止層の一部分は、前記第1の再配線層と接触しており、前記第2の研磨停止層の一部分は、前記第2の再配線層と接触している、請求項54に記載の接合構造。
【請求項57】
前記研磨停止層は、導電性材料である、請求項42及び43のいずれかに記載の接合構造。
【請求項58】
前記第1の導電性コンタクトパッドより下の第1の再配線層と、前記第2の導電性コンタクトパッドより下の第2の再配線層とをさらに備え、前記第1の研磨停止層の一部分は、前記第1の再配線層と電気的に接触しており、前記第2の研磨停止層の一部分は、前記第2の再配線層と電気的に接触している、請求項57に記載の接合構造。
【請求項59】
前記第1の開口部は、前記第1の非導電性フィールド領域の接合面と前記第1の開口部の前記側壁との間を移行する角部を有し、
前記第2の開口部は、前記第2の非導電性フィールド領域の接合面と前記第2の開口部の前記側壁との間を移行する角部を有し、
前記角部の各々は、前記第1の導電性コンタクトパッド及び前記第2の導電性コンタクトパッドの幅の10%未満である曲率半径を規定する、請求項41及び42のいずれかに記載の接合構造。
【請求項60】
前記第1の素子は、第1の集積回路の第1の誘電体層を含み、前記第2の素子は、第2の集積回路の第2の誘電体層を含む、請求項41から59のいずれかに記載の接合構造。
【請求項61】
電子素子の基板の上に誘電体層に開口部を準備するステップと、
前記誘電体層のフィールド区域及び前記開口部の側壁の上に研磨停止層を形成するステップと、
前記研磨停止層を形成した後に、前記開口部を導電性材料で充填するステップと、
前記研磨停止層及び前記導電性材料の上に平らな接合面を形成するステップと、
直接ハイブリッド接合のために前記電子素子を調製するステップと、
を含む方法。
【請求項62】
前記形成された研磨停止層上の前記導電性材料を除去するために前記導電性材料を研磨して、導電性コンタクトパッドを形成するステップをさらに含み、前記導電性コンタクトパッドの上面は、前記平らな接合面に対して陥凹している、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記形成された研磨停止層の硬度は、前記形成された研磨停止層の下の前記誘電体層の硬度よりも高い、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
直接接合素子の基板の上の誘電体層内の開口部と、
前記誘電体層のフィールド区域及び前記開口部の側壁の上の研磨停止層と、
前記誘電体層内の前記開口部で前記研磨停止層の上に配置された平らな導電性材料と、
を備える直接接合素子であって、
前記研磨停止層の硬度は、前記研磨停止層の下の前記誘電体層の硬度よりも高い、直接接合素子。
【請求項65】
前記研磨停止層と前記平らな導電性材料との間に配置されたバリア層をさらに含む、請求項64に記載の直接接合素子。
【請求項66】
素子の基板の上の誘電体層内の開口部と、
前記誘電体層のフィールド区域及び前記開口部の側壁の上の研磨停止層と、
前記誘電体層内の前記開口部で前記研磨停止層の上に配置された導電性材料と、
を備える素子であって、
前記研磨停止層の硬度は、前記研磨停止層の下の前記誘電体層の硬度よりも高い、素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年12月22日出願の米国特許仮出願第63/293011号「低応力直接ハイブリッド接合」に対する優先権を主張するものであり、その開示内容全体は、全ての目的で参照による本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
この分野は、誘電体領域及び導電性領域を含むハイブリッド接合面を有する構造、及びその形成方法に関する。
【背景技術】
【0003】
集積デバイスダイ又はチップなどの半導体素子は、他の素子上に取り付けること又は積層することができる。例えば、半導体素子は、別の半導体素子の上部に積層することができ、例えば、第1の集積デバイスダイのハイブリッド接合面は、第2の集積デバイスダイのハイブリッド接合面の上に接合することができる。接合された素子は、ハイブリッド接合面に含まれるコンタクトパッドを通して互いに電気的につながることができる。対向する半導体素子上のコンタクトパッドが整列すること、対向するハイブリッド接合面の間に十分な接触が存在すること、並びに対向する2つの半導体素子上のコンタクトパッドの間の電気接続が信頼できることを保証することが重要となる場合がある。場合によっては、ハイブリッド接合面のトポグラフィは、集積デバイスダイの誘電体領域と導電性領域との間の信頼できる接合の形成に悪影響を及ぼす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第9564414号明細書
【特許文献2】米国特許第9391143号明細書
【特許文献3】米国特許第10434749号明細書
【特許文献4】米国特許第9716033号明細書
【特許文献5】米国特許第9852988号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2019/0096741号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で説明する実施形態の一部の非限定的な実施例が以下に提示される。
【0006】
第1の実施例では、方法は、
電子素子の基板の上野誘電体層に開口部を準備するステップと、
誘電体層のフィールド区域及び開口部の側壁と上に研磨停止層を形成するステップと、
研磨停止層の上に導電性バリア層を塗布するステップと、
導電性バリア層を塗布した後、開口部を導電性材料で充填するステップと、
直接ハイブリッド接合のために電子素子を調製するステップと、
を含む。
【0007】
第2の実施例では、導電性材料を研磨して導電性バリア層上の及び誘電体層のフィールド区域の上の導電性材料を除去し、導電性コンタクトパッドを形成するステップをさらに含む、実施例1の方法。
【0008】
第3の実施例では、直接ハイブリッド接合のために電子素子を調製する前に、フィールド区域上の研磨停止層の上から導電性バリア層を除去するステップをさらに含む、実施例2の方法。
【0009】
第4の実施例では、導電性バリア層を除去するステップは、研磨停止層で停止させるための選択的化学作用を有する化学機械研磨を含む、実施例3の方法。
【0010】
第5の実施例では、導電性バリア層を除去するステップは、研磨停止層で停止させるためのエンドストップ検出を有する化学機械研磨を含む、実施例3の方法。
【0011】
第6の実施例では、直接ハイブリッド接合のために電子素子を調製する前に、フィールド区域の上から研磨停止層を除去するステップをさらに含む、実施例3の方法。
【0012】
第7の実施例では、研磨停止層を除去するステップは、誘電体層で停止させるための選択的化学作用を有する化学機械研磨を含む、実施例6の方法。
【0013】
第8の実施例では、研磨停止層を除去するステップは、誘電体層で停止させるためのエンドストップ検出を有する化学機械研磨を含む、実施例6の方法。
【0014】
第9の実施例では、直接ハイブリッド接合のために電子素子を調製するステップは、直接ハイブリッド接合のために研磨停止層を活性化させるステップを含む、実施例3の方法。
【0015】
第10の実施例では、直接ハイブリッド接合のために電子素子を調製するステップは、電子素子の上面を窒素種で終端させるステップを含む、実施例1から9のいずれかの方法。
【0016】
第11の実施例では、研磨停止層は、絶縁材料である、実施例1から10のいずれかの方法。
【0017】
第12の実施例では、研磨停止層は、ダイヤモンド状炭素、酸化アルミニウム、炭窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、及びそれらの組み合わせから成る群から選択された材料を含む、実施例11の方法。
【0018】
第13の実施例では、開口部の上部幅は、開口部の底部幅よりも少なくとも10%大きい、実施例1から12のいずれかの方法。
【0019】
第14の実施例では、開口部の側壁とフィールド区域の表面との間の角度は、100度より大きい、実施例1から13のいずれかの方法。
【0020】
第15の実施例では、導電性バリア層は、金属窒化物を含む、実施例1から14のいずれかの方法。
【0021】
第16の実施例では、導電性バリア層は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、酸化タンタル(少量の酸素を含むタンタル)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、コバルト-リン合金(CoP)、コバルト-タングステン合金CoW、珪酸コバルト(CoSi)、ニッケル-バナジウム(NiV)、及びそれらの組み合わせを含む、実施例1から12のいずれかの方法。
【0022】
第17の実施例では、導電性バリア層を塗布する前に、開口部の底部から研磨停止層を除去して下部導電性素子の一部分を露わにするステップをさらに含む、実施例1から16のいずれかの方法。
【0023】
第18の実施例では、開口部を準備するステップは、開口部の底部にある下部導電性素子の一部分を露出させるステップを含み、研磨停止層を除去するステップは、下部導電性素子を露わにするステップを含む、実施例17の方法。
【0024】
第19の実施例では、開口部を準備するステップは、金属特徴部より上の誘電体材料内でビアエッチングを停止させるステップを含み、開口部の底部から研磨停止層を除去した後で、誘電体材料を除去して下部導電素子の一部分を露わにするステップをさらに含む、実施例17の方法。
【0025】
第20の実施例では、研磨停止層は、導電性材料を含む、実施例1から8のいずれかの方法。
【0026】
第21の実施例では、開口部の底部は、下部導電性素子を備え、研磨停止層の少なくとも一部分は、下部導電性素子の上面に塗布されている、実施例20の方法。
【0027】
第22の実施例では、誘電体材料を除去するステップは、下部導電素子より上でかつ研磨停止層の一部分より下に、階段状誘電体層を形成するステップを含む、実施例19の方法。
【0028】
第23の実施例では、直接ハイブリッド接合のために電子素子を調製するステップは、誘電体のフィールド区域を活性化させるステップを含む、実施例21の方法。
【0029】
第24の実施例では、研磨停止層を塗布するステップは、蒸着プロセスを含む、実施例1から23のいずれかの方法。
【0030】
第25の実施例では、誘電体層は、再配線層の上に接合層を含み、電子構成要素は、集積回路を含む、実施例1から24のいずれかの方法。
【0031】
第26の実施例では、接着剤を介在させることなく電子構成要素を別の構成要素に直接ハイブリッド接合するステップをさらに含む、実施例1から25のいずれかの方法。
【0032】
第27の実施例では、導電性材料は、銅である、実施例1から26のいずれかの方法。
【0033】
第28の実施例では、別の電子構成要素に接合させるための電子構成要素は、
内部に開口部を有する上部誘電体層と、
少なくとも開口部の側壁をライニングする導電性バリア層と、
側壁において少なくとも導電性バリア層と上部誘電体層との間で導電性バリア層の下にある研磨停止層と、
開口部内で導電性バリア層の上の導電性フィラーと、
を備え、
電子構成要素の上面は、直接ハイブリッド接合のために平坦化され処理されている。
【0034】
第29の実施例では、研磨停止材料は、ダイヤモンド状炭素、酸化アルミニウム、炭窒化ケイ素、炭化ケイ素、及びそれらの組み合わせから成る群から選択された材料を含む、実施例28の電子構成要素。
【0035】
第30の実施例では、上面は、別の電子構成要素との直接的な共有結合を強化するために活性化され化学種で終端された誘電体層を含む、実施例28又は29の電子構成要素。
【0036】
第31の実施例では、上面は、誘電体層の上の研磨停止層の上部を備え、上面は、別の電子構成要素との直接的な共有結合を強化するために、活性化され化学種で終端されている、実施例28又は29の電子構成要素。
【0037】
第32の実施例では、化学種は、窒素を含む、実施例30又は31の電子構成要素。
【0038】
第33の実施例では、開口部は、上面のフィールド領域と側壁との間を移行する角部を有し、角部は、バリア層の厚さの100倍未満の曲率半径を規定する、実施例28から32のいずれかの電子構成要素。
【0039】
第34の実施例では、上面は、5Å(rms)未満の粗さを有する、実施例28から33のいずれかの電子構成要素。
【0040】
第35の実施例では、導電性フィラーは、銅を含む、実施例28から34のいずれかの電子構成要素。
【0041】
第36の実施例では、電子構成要素の上面が平坦化された後に、導電性フィラーの上面は、電子構成要素の上面より20Å未満だけ陥凹している、実施例28から35のいずれかの電子構成要素。
【0042】
第37の実施例では、研磨停止層は、導電性材料を含む、実施例28の電子構成要素。
【0043】
第38の実施例では、開口部の底部は、下部導電性素子を備え、研磨停止層は、下部導電性素子の上面に塗布されている、実施例37の電子構成要素。
【0044】
第39の実施例では、電子構成要素は、第2の電子構成要素に接合されている、実施例28の電子構成要素。
【0045】
第40の実施例では、開口部の側壁とフィールド区域の表面との間の角度は、100度より大きい、実施例28から39のいずれかの電子構成要素。
【0046】
第41の実施例では、接合構造は、
第1の非導電性フィールド領域を備える第1の素子と、
ハイブリッド接合によって接着剤なしで第1の素子に直接接合された第2の素子と、を備え、
第1の非導電性フィールド領域は、
第1の開口部と、
第1の開口部内に配置された第1の導電性コンタクトパッドと、
少なくとも第1の開口部の側壁にライニングされる第1の研磨停止層と、
少なくとも導電性コンタクトパッドと、第1の開口部の側壁に塗布された第1の研磨停止層の部分との間に配置された第1の導電性バリア層と、
を備える。
【0047】
第42の実施例では、第2の素子は、第2の非導電性フィールド領域を備え、第2の非導電性フィールド領域は、
第2の開口部と、
第2の開口部内に配置された第2の導電性コンタクトパッドと、
少なくとも第2の開口部の側壁を覆い隠す第2の研磨停止層と、
少なくとも導電性コンタクトパッドと、第2の開口部の側壁に塗布された第2の研磨停止層の部分との間に配置された第2の導電性バリア層と、
を備える、実施例41の接合構造。
【0048】
第43の実施例では、ハイブリッド接合は、第1の非導電性フィールド領域の接合面と第2の非導電性フィールド領域の接合面との間に形成された接合を含む、実施例41及び42のいずれかの接合構造。
【0049】
第44の実施例では、
第1の研磨停止層は、第1の非導電性フィールド領域の接合面及び第1の開口部の側壁をさらに覆い、
第2の研磨停止層は、第2の非導電性フィールド領域の接合面及び第2の開口部の側壁をさらに覆う、実施例41及び42のいずれかの接合構造。
【0050】
第45の実施例では、ハイブリッド接合は、第1の非導電性フィールド領域の接合面に塗布された第1の研磨停止層の部分と、第2の非導電性フィールド領域の接合面に塗布された第2の研磨停止層の部分との間に形成された接合を含む、実施例44の接合構造。
【0051】
第46の実施例では、第1の研磨停止層は、第1の開口部の側壁に対して直交する方向に沿った厚さを有し、その厚さは1000nm未満である、実施例41の接合構造。
【0052】
第47の実施例では、第1の開口部の側壁とフィールド区域の表面との間の角度は、100度より大きい、実施例41の接合構造。
【0053】
第48の実施例では、ハイブリッド接合は、第1の導電性コンタクトパッドと第2の導電性コンタクトパッドとの間に形成された第1の接合をさらに含む、実施例42から46のいずれかの接合構造。
【0054】
第49の実施例では、第1の導電性コンタクトパッド及び第2の導電性コンタクトパッドは、銅を含む、実施例42から48のいずれかの接合構造。
【0055】
第50の実施例では、第1の研磨停止層及び第2の研磨停止層は、絶縁材料である、実施例42から49のいずれかの接合構造。
【0056】
第51の実施例では、第1の研磨停止層及び第2の研磨停止層は、ダイヤモンド状炭素、酸化アルミニウム、炭窒化ケイ素、炭化ケイ素、及びそれらの組み合わせから成る群から選択された材料を含む、実施例42から50のいずれかの接合構造。
【0057】
第52の実施例では、第1の導電性バリア層及び第2の導電性バリア層は、金属窒化物を含む、実施例42から51のいずれかの接合構造。
【0058】
第53の実施例では、第1の導電性バリア層及び第2の導電性バリア層は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、酸化タンタル(少量の酸素を含むタンタル)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、コバルト-リン合金(CoP)、コバルト-タングステン合金CoW、珪酸コバルト(CoSi)、ニッケル-バナジウム(NiV)、及びそれらの組み合わせを含む、実施例52の接合構造。
【0059】
第54の実施例では、第1の導電性コンタクトパッドより下の第1の再配線層と、第2の導電性コンタクトパッドより下の第2の再配線層とをさらに備える、実施例42から53のいずれかの接合構造。
【0060】
第55の実施例では、第1のバリア層の一部分は、第1の再配線層と電気的に接触しており、第2のバリア層の一部分は、第2の再配線層と電気的に接触している、実施例54の接合構造。
【0061】
第56の実施例では、第1の研磨停止層の一部分は、第1の再配線層と接触しており、第2の研磨停止層の一部分は、第2の再配線層と接触している、実施例54の接合構造。
【0062】
第57の実施例では、研磨停止層は、導電性材料である、実施例42及び43のいずれかの接合構造。
【0063】
第58の実施例では、第1の導電性コンタクトパッドより下の第1の再配線層と、第2の導電性コンタクトパッドより下の第2の再配線層とをさらに備え、第1の研磨停止層の一部分は、第1の再配線層と電気的に接触しており、第2の研磨停止層の一部分は、第2の再配線層と電気的に接触している、実施例57の接合構造。
【0064】
第59の実施例では、
第1の開口部は、第1の非導電性フィールド領域の接合面と第1の開口部の側壁との間を移行する角部を有し、
第2の開口部は、第2の非導電性フィールド領域の接合面と第2の開口部の側壁との間を移行する角部を有し、
角部の各々は、第1の導電性コンタクトパッド及び第2の導電性コンタクトパッドの幅の10%未満である曲率半径を規定する、実施例41及び42のいずれかの接合構造。
【0065】
第60の実施例では、第1の素子は、第1の集積回路の第1の誘電体層を含み、第2の素子は、第2の集積回路の第2の誘電体層を含む、実施例41から59のいずれかの接合構造。
【0066】
第61の実施例では、方法は、
電子素子の基板の上の誘電体層に開口部を準備するステップと、
誘電体層のフィールド区域及び開口部の側壁の上に研磨停止層を形成するステップと、
研磨停止層を形成した後に、開口部を導電性材料で充填するステップと、
研磨停止層及び導電性材料の上に平らな接合面を形成するステップと、
直接ハイブリッド接合のために電子素子を調製するステップと、
を含む。
【0067】
第62の実施例では、形成された研磨停止層上の導電性材料を除去するために導電性材料を研磨して、導電性コンタクトパッドを形成するステップをさらに含み、導電性コンタクトパッドの上面は、平らな接合面に対して陥凹している、実施例61の方法。
【0068】
第63の実施例では、形成された研磨停止層の硬度は、その下の誘電体層の硬度よりも高い、実施例61の方法。
【0069】
第64の実施例では、直接接合素子は、
素子の基板の上の誘電体層内の開口部と、
誘電体層のフィールド区域及び開口部の側壁の上の研磨停止層と、
誘電体層内の開口部で研磨停止層の上に配置された平らな導電性材料と、
を備え、研磨停止層の硬度は、その下の誘電体層の硬度よりも高い。
【0070】
第65の実施例では、研磨停止層と平らな導電性材料との間に配置されたバリア層をさらに含む、実施例64の直接接合素子。
【0071】
第66の実施例では、素子は、
素子の基板の上の誘電体層内の開口部と、
誘電体層のフィールド区域及び開口部の側壁の上の研磨停止層と、
誘電体層内の開口部で研磨停止層の上に配置された導電性材料と、
を備え、研磨停止層の硬度は、その下の誘電体層の硬度よりも高い。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【
図1A-1E】導電性コンタクトパッドを備えたハイブリッド接合面を有する誘電体層を製造するための例示的なプロセス、及び各々が少なくとも1つの導電性コンタクトパッドを有する2つの誘電体層のハイブリッド接合面を接合することによって形成された直接接合構造を示す。
【
図2A-2C】導電性コンタクトパッドを有する2つの誘電体層が互いに直接接合される直接ハイブリッド接合プロセスの例を示す。
【
図3】各々が2つの導電性コンタクトパッドと、丸みを帯びた誘電体エッジを備えたハイブリッド接合面とを有する2つの誘電体層をハイブリッド接合のために接触させる様子を示す。
【
図4A-4B】2つの誘電体層(又は誘電体層の2つの領域)の接合面に亘る応力密度の異なる分布を示す図である(各接合面は2つの導電性コンタクトパッドで区切られ、一方の誘電体層の導電性コンタクトパッド間の間隔は、他方の誘電体層の導電性コンタクトパッド間の間隔よりも大きい)。
【
図4C】研磨プロセス中、誘電体膜に加えられた3つの異なる圧力レベルについて、誘電体除去速度を誘電体膜の応力に対してプロットした図である。
【
図5A】金属表面被覆率の小さい、例示的な研磨されたハイブリッド接合面の一領域に関するトポグラフィを示す。
【
図5B】金属表面被覆率の大きい、例示的な研磨されたハイブリッド接合面の一領域に関するトポグラフィを示す。
【
図5C】
図5Bに示す誘電体層について、2つの導電性コンタクトパッドの間の接合面(R
B2)と導電性コンタクトパッドから離れた接合面(R
A2)とに関する誘電体研磨速度と応力の関係を示す。
【
図6】研磨層が存在する場合の、
図5Bに示す誘電体層の研磨されたハイブリッド接合面のトポグラフィを示す。
【
図7A-7G】低応力誘起トポグラフィを備えた研磨されたハイブリッド接合面を有する誘電体層を製造するための例示的なプロセスを示す。
【
図8A-8G】低応力誘起トポグラフィを備えた研磨されたハイブリッド接合面を有する誘電体層を製造するための別の例示的なプロセスを示す図である。
【
図9A-9F】低応力誘起トポグラフィを備えた研磨されたハイブリッド接合面を有する誘電体層を製造するための別の例示的なプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
相互接続密度を高め、電気的性能を向上させるために、微細ピッチで配置されたコンタクトパッドを有する半導体素子を直接接合する需要が高まっている。直接ハイブリッド接合は、非導電性フィールド領域と、非導電性フィールド領域に少なくとも部分的に埋め込まれた複数の導電性特徴部(例えば、導電性コンタクトパッド)とを含む研磨された接合面を有する半導体素子(例えば、ウェハ又はダイ)を製造することによって形成することができる。接着剤を使用することなく2つの半導体素子の非導電性フィールド領域を低温で直接接合して、接合構造を形成することができる。接合構造は、導電性コンタクトパッドの対向する表面の間に接合を形成するために、加熱して導電性コンタクトパッドを膨張させることができる。従って、ハイブリッド接合面は、非導電性(例えば、誘電体)領域と、非導電層上に形成された導電性領域とを含む。研磨の際には、様々なパラメータが、結果として得られる研磨ハイブリッド接合面のトポグラフィに影響を及ぼす可能性がある。例えば、ハイブリッド接合面上での応力変動の存在は、ハイブリッド接合面における応力誘起トポグラフィの形成につながる場合がある。応力誘起トポグラフィは、或る素子の誘電体層又は非導電性フィールド領域と別の素子の誘電体層又は非導電性フィールド領域との間のハイブリッド接合の品質を低下させる可能性がある。例えば、フィールド誘電体と導電性パッド間の界面近傍にある誘電体エッジの丸み及び誘電体接合領域の侵食は、ハイブリッド接合面の導電性パッドの間の接合に悪影響を及ぼす場合がある。本明細書に開示する様々な方法及び構造を用いて、応力誘起トポグラフィを軽減し、結果として得られる相互接続の歩留まり及び品質を向上させることができる。例えば、開示する技術の一部は、ハイブリッド接合面上の、密に離間配置された接触パッドの間の誘電体接合領域の侵食及び誘電体エッジの丸みを低減することができる。
【0074】
直接接合方法及び直接接合構造の実施例
本明細書に開示する様々な実施形態は、接着剤を介在させることなく2つの素子(例えば、2つの半導体素子)を互いに直接接合することのできる直接接合構造に関する。場合によっては、素子は、基板と、基板上又は基板より上に配置された電子構成素子、導電性コンタクトパッド、及び導電線とを備える電子素子とすることができる。詳細には、導電性コンタクトパッドの直接接合によって形成された1又は2以上の導電性相互接続部(又はビア)を有する直接接合構造が説明される。直接ハイブリッド接合を備えることのできるこのような直接接合構造は、Direct Bond Interconnects(DBI(登録商標))と呼ばれる場合がある。
【0075】
2又は3以上の半導体素子(例えば、集積デバイスダイ、ウェハなど)を互いに積層して又は接合して接合構造を形成し、第1の素子内の1又は2以上の導電線と第2の素子内の1又は2以上の導電線との電気的接触を可能にすることができる。第1の素子の導電性コンタクトパッドは、第2の素子の対応する導電性コンタクトパッドに電気接続することができる。何らかの適切な数の素子は、接合構造内で積層することができる。
【0076】
一部の実施形態では、素子は、接着剤なしで互いに直接接合される。様々な実施形態において、各素子は、少なくとも1つの非導電性材料(誘電体材料)を備えた非導電性フィールド領域を含むことができる。一部の例では、素子の非導電性フィールド領域は誘電体層である。第1の素子の誘電体層は、接着剤なしで、第2の素子の対応する誘電体層に直接接合することができる。別の誘電体層の対応する領域に接合される誘電体層の領域は、非導電性接合領域、誘電体接合領域、又は接合領域と呼ぶ場合がある。場合によっては、誘電体層の接合領域は、誘電体接合面又は接合面を有することができる。また、誘電体層の接合面は、誘電体層のフィールド区域又はフィールド領域と呼ぶ場合がある。一部の実施形態では、第1の素子の非導電性材料は、誘電体-誘電体接合技術を用いて、第2の素子の対応する非導電性材料に直接接合させることができる。場合によっては、第1の接合領域は第1の接合面を有することができ、第2の接合領域は第2の接合面を有することができる。例えば、少なくとも米国特許第9564414号、米国特許第9391143号、及び米国特許第10434749号に開示される直接接合技術を用いて、第1の素子の第1の接合面と第2の素子の第2の接合面との間に、接着剤なしで誘電体-誘電体接合を形成することができ、上記特許の各々の開示内容全体は、全ての目的で参照によって本明細書に組み込まれる。
【0077】
一部の実施例では、誘電体接合領域の接合面は、高い平滑度まで研磨することができる(例えば、誘電体-誘電体接合を改善するために)。接合面は、洗浄し、プラズマ及び/又はエッチング液に曝して接合面を活性化させることができる。一部の実施形態では、接合面は活性化後又は活性化中(例えば、プラズマ及び/又はエッチングプロセス中)に化学種で終端させることができる。理論に限定されることなく、一部の実施形態では、活性化プロセスを実行して接合面の化学結合を破壊することができ、終端プロセスは、直接接合中の結合エネルギを向上させる追加の化学種を接合面に与えることができる。一部の実施形態では、活性化及び終端処理は同じステップで提供され、例えば、接合面を活性化させ終端させるためにプラズマ又はウェットエッチング液が施される。他の実施形態では、接合面を別の処理で終端させて、直接接合のための追加の化学種を施すことができる。様々な実施形態において、終端化学種は、窒素を含むことができる。さらに、一部の実施形態では、接合面は、フッ素に曝すことができる。例えば、層及び/又は接合界面の近傍に1つ又は複数のフッ素ピークが存在することができる。従って、直接接合構造では、2つの誘電体材料間の接合界面は、高い窒素含有量及び/又はフッ素ピークを接合界面に備えた、非常に平滑な界面を備えることができる。活性化及び/又は終端処理のさらなる例は、米国特許第9564414号、米国特許第9391143号、及び米国特許第10434749号を通して見出すことができ、上記特許の各々の開示内容全体は、全ての目的で参照によって本明細書に組み込まれる。様々な実施形態において、上記の手順によって準備された接合面は、接着剤を介在させることなく第1の素子と第2の素子との間に接合を形成することができる。
【0078】
一部の実施形態では、誘電体層は1又は2以上の導電性コンタクトパッドを含むことができる。導電性コンタクトパッド(「コンタクトパッド」とも呼ぶ)は、導電性材料(例えば、銅、ニッケル、金、又は金属合金)を含み、誘電体層に埋め込むことができる。一部の実施例では、導電性コンタクトパッドは、接着剤なしで別の導電性コンタクトパッドの導電性接合面との接合を形成できる導電性接合面(例えば、研磨された導電性表面)を備えることができる。2つのコンタクトパッドの間に(例えば、導電性接合面を介して)形成された接合は、導電性の接合とすることができる。
【0079】
一部の実施形態では、コンタクトパッドを含む誘電体層の表面は、誘電体層の接合面(誘電体接合面)と導電性コンタクトパッドの導電性接合面とを含むハイブリッド接合面を備えることができる。
【0080】
様々な実施形態において、上記のハイブリッド接合面は、接着剤を介在させることなく第1の素子と第2の素子との間にハイブリッド直接接合を形成することができる。ハイブリッド直接接合は、誘電体接合領域に加えて、少なくとも1つの導電性領域又はコンタクトパッドを備えることができる。一部の実施形態では、各素子は1又は2以上の導電性コンタクトパッドを含むことができる。これらの実施形態では、第1の素子の導電性コンタクトパッドは、第2の素子の対応する導電性コンタクトパッドに直接接合することができる。
【0081】
例えば、上記のように準備された、2つの導電性接合面の間、及び共有結合的に直接接合された誘電体-誘電体表面の間に形成された接合界面に沿って導体-導体の直接接合をもたらすために、ハイブリッド接合技術を用いることができる。様々な実施形態において、導体-導体(例えば、コンタクトパッド-コンタクトパッド)の直接接合及び誘電体-誘電体の直接接合は、少なくとも米国特許第9716033号及び米国特許第9852988号に開示される直接接合技術を用いて形成することができ、それらの開示内容全体は、全ての目的で参照によって本明細書に組み込まれる。また、導電性コンタクトパッド(非導電性誘電体フィールド領域に囲まれる場合がある)は、接着剤を介在させることなく互いに直接接合することができる。
【0082】
一部の実施形態では、それぞれのコンタクトパッドは、誘電体層の接合面より下方に陥凹させることができる。一部の実施例では、誘電体層のコンタクトパッドの導電性接合面は、誘電体層の接合面に対して、例えば30nm未満、20nm未満、15nm未満、又は10nm未満だけ、例えば2nm~20nmの範囲、又は4nm~10nmの範囲で陥凹させることができる。一部の実施例では、コンタクトパッドの導電性接合面は、接合面より5Å、10Å、20Å、又は100Å未満だけ陥凹させることができる。場合によっては、誘電体エッジは、陥凹したコンタクトパッドと誘電体接合領域との間の界面近傍に形成される場合がある。例えば、誘電体エッジは、誘電体層の接合面と、コンタクトパッドが配置される(例えば、開口部を導電性充填材で充填することによって)誘電体層の開口部内面との間に形成される場合がある。一部の実施形態では、誘電体接合領域は、室温で接着剤なしで互いに直接接合することができ、その後、接合された構造は、高温(例えば、室温を超える)でアニールすることができる。アニールした状態で、コンタクトパッドは、膨張して互いに接触し、金属-金属直接接合を形成することができる。一部の実施例では、2つのコンタクトパッドが膨張する際に、それらの導電性接合面の間に金属-金属直接接合が形成される。
【0083】
有利には、米国カリフォルニア州サンノゼのAdeia社から入手可能なDirect Bond Interconnect、つまりDBI(登録商標)などのハイブリッド接合技術を使用することで、直接接合界面を横切って高密度のパッドを接続すること(例えば、規則的配列に関する小ピッチ又は微細ピッチ)が可能になる。一部の実施形態では、接合パッドのピッチ、又は接合素子の一方の接合面に埋め込まれた導電性トレースのピッチは、40ミクロン未満、又は10ミクロン未満、又はさらに2ミクロン未満とすることができる。一部の適用例では、接合パッドの寸法の1つ(例えば、コンタクトパッドの幅又は長さ)に対する接合パッドのピッチの比率は5未満、又は3未満であり、場合によっては望ましくは2未満である。別の適用例では、接合素子の一方の接合面に埋め込まれたコンタクトパッドの幅(コンタクトパッドの両端の間の長手方向距離)は、0.3~3ミクロンの範囲とすることができる。様々な実施形態において、コンタクトパッド及び/又はトレースは銅を含むことができるが、他の金属が適する場合もある。
【0084】
このようにして、直接ハイブリッド接合プロセスでは、接着剤を介在させることなく第1の素子の誘電体接合領域及びコンタクトパッドを、第2の素子の誘電体接合領域及びコンタクトパッドに直接接合することができる。一部の構成では、第1の素子は、個片化された集積デバイスダイなどの個片化素子を備えることができる。別の構成では、第1の素子は、複数(例えば、数十、数百、又はそれ以上)のデバイス領域を含む担体又は基板(例えば、ウェハ)を備えることができ、これらは、個片化された場合に複数の集積デバイスダイを形成する。同様に、第2の素子も、個片化された集積デバイスダイなどの個片化素子を備えることができる。別の構成では、第2の素子は、担体又は基板(例えば、ウェハ)を備えることができる。
【0085】
1つの適用例では、第1の素子の形状及び/又はサイズは、第2の素子の形状及び/又はサイズと実質的に同様とすることができる。例えば、両方の素子が矩形(個片化ダイの事例など)又は円形(例えば、ウェハ)である場合、接合構造内の第1の素子の幅は、第2の素子の幅と類似することができる。一部の他の実施形態では、接合構造内の第1の素子の形状及び/又はサイズは、例えばダイとウェハの接合用途、又はダイとより大きな基板の接合用途において、第2の素子の形状及び/又はサイズと異なることができる。接合構造内で大きい方の素子の幅又は面積は、小さい方の素子の幅又は面積よりも少なくとも10%大きい場合がある。第1の素子及び第2の素子は、適宜、非堆積型素子を備えることができる。さらに、直接接合構造は、堆積層とは異なり、接合界面に沿ってナノボイドの存在する欠陥領域を含む可能性がある。ナノボイドは、接合面の活性化(例えば、プラズマへの曝露)に起因して形成される可能性がある。上述したように、接合界面は、活性化プロセス及び/又は最終化学処理プロセスから得られる物質の集中を含むことができる。例えば、活性化のために窒素プラズマを利用する実施形態では、接合界面に窒素ピークが形成される可能性がある。活性化に酸素プラズマを利用する実施形態では、接合界面に酸素ピークが形成される可能性がある。一部の実施形態では、接合界面は、酸窒化ケイ素、酸炭窒化ケイ素、又は炭窒化ケイ素を含むことができる。本明細書で説明するように、直接接合は、ファンデルワールス結合よりも強い共有結合を含むことができる。接合層は、高い平滑度まで平坦化された研磨面を含むこともできる。
【0086】
様々な実施形態では、コンタクトパッドの間の金属-金属接合は、銅粒が接合界面を横切って互いの中へ成長するように接合させることができる。一部の実施形態では、接合界面を横切る銅の拡散を向上させるために、銅は(111)結晶面に沿って配向した粒を有することができる。接合界面は、接合されたコンタクトパッドの少なくとも一部分まで実質的に完全に広がることができるので、接合されたコンタクトパッド又はその近傍の非導電性接合領域の間には、実質的に隙間が存在しない。一部の実施形態では、バリア層は、コンタクトパッド(例えば、銅を含むことができる)の下に設けることができる。しかしながら、別の実施形態では、例えば米国公開第2019/0096741号に記載されるように、コンタクトパッドの下にバリア層が存在しない場合があり、その開示内容全体は、全ての目的で参照によって本明細書に組み込まれる。様々な実施形態において、バリア層は、導電性バリア層又は非導電層とすることができる。導電性バリア層は、窒化チタン、窒化タンタル、タングステン、窒化タングステン、及びそれらの組み合わせを含むことができる。
【0087】
図1A-1Bは、非導電性(例えば、誘電体)層と、誘電体層に少なくとも部分的に埋め込まれたコンタクトパッドとを含むハイブリッド接合面を製造するための例示的なプロセスを示す。ステップ1では、第1の誘電体層100を素子(例えば、ダイ又はウェハなどの半導体素子)の上に準備する(
図1A)。第1の誘電体層100は、第1の素子の誘電体層を含むことができる。開示する実施形態では、第1の誘電体層100の接合面(上面)は、第1の素子の接合面の領域を含むことができる。場合によっては、第1の素子は、その接合面上に多数の(例えば、数百又は数千の)このような領域を含むことができる。このような場合、第1の素子は、これらの領域上に製造された複数のコンタクトパッドと電気的につながる電子回路を有する半導体デバイス領域を含むことができる。図示する接合層(誘電体層100)の部分は、素子の半導体デバイス領域上に配置することができる。例えば、誘電体層100は、スパッタリング又は蒸着プロセス(例えば、PVD、PECVD、MOCVDなど)を用いて、第1の素子の基板(例えば、ケイ素デバイス領域などの半導体デバイス領域又は層)の上に配置することができる。様々な実施形態において、誘電体層100は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸炭窒化ケイ素、又は何らかの他の適切な非導電性層を含むことができる。ステップ2では、第1の誘電体層100に開口部108を準備する(
図1B)。場合によっては、開口部108は、導電性コンタクトパッドが形成されるコンタクトパッド開口部である。開口部108は、例えば、誘電体層100上にパターン形成されたマスク(例えば、フォトリソグラフィ、電子ビームリソグラフィ及び他のリソグラフィ技術を用いて形成されたパターン付きフォトレジスト層)を製造することによって準備することができる。パターン付きマスクは、誘電体層100の上面の一部分を覆い、他の1又は2以上の部分を露出した状態にしておくことができる。場合によっては、パターン付きマスクで覆われた誘電体層100の部分は、誘電体層100の接合面又は接合領域を含むことができる。場合によっては、誘電体層100の露出領域は、コンタクトパッドを設置すべき領域とすることができる。ドライエッチングプロセス又はウェットエッチングプロセスは、誘電体層100の露出領域の誘電体層100の中に開口部108を形成するために用いることができる。場合によっては、開口部108の底面104は、誘電体層100の上面106と実質的に平行にすることができる。一部の他の事例では、開口部108の底面104は、誘電体層100の上面106に対して僅かに傾斜することができる(例えば、5度未満、又は5~10度の角度で)。様々な実施構成では、誘電体層100の上面106と開口部108の底面104との間の傾斜は、開口部108を形成するために使用されるエッチングプロセスによって決定することができる。開口部108は、底部幅109と最上部幅107とを有する。底部幅109は、例えば、誘電体層100の上面106と平行な方向に沿った、開口部108の底面104の幅とすることができる。最上部幅107は、誘電体層100の上面106にある開口部の、上面106と平行な方向の幅とすることができる。一部の実施形態では、最上部幅107は、底部幅109よりも20%又は30%又は50%を超えて幅広とすることができる。場合によっては、開口部108の側壁105a及び/又は105bは、誘電体層100の上面106(又は底面104)に対して90度を超える傾斜を成すことができる。一部の実施例では、開口部108の側壁105a又は側壁105bの傾斜は、例えば上面106に対して、95~110度、110~120度、120~130度、130~150度、又はこれらの値で形成される何らかの範囲、或いはより大きい又はより小さい値とすることができる。ステップ3では、バリア層103を誘電体層100上に配置又は塗布した後に、導電層101を堆積することができる(
図1C)。場合によっては、例えば、導電層101が電気めっきを用いて配置される場合、シード層は、導電層101の堆積前にバリア層103上に配置することができる(例えば、スパッタリング、PECVD、PVD、及び他の物理的又は化学的堆積方法を用いて)。様々な実施形態において、導電層101は、熱蒸着、電子ビーム蒸着、金属めっきなどを用いて配置することができる。バリア層103は、例えば窒化チタン、タンタル、窒化タンタルなど、何らかの適切な種類の導電性バリアを含むことができる。導電層101(導電性フィラーとも呼ばれる)は、銅、ニッケル、又は導電性合金などの導電性材料を含むことができる。バリア層103は、400nm未満、100nm未満、10nm未満、又は2nm未満の厚さを有することができる。ステップ4では、導電層101は、誘電体層100の接合面(フィールド領域)の上に配置された導電層101及びその下にあるバリア層103の一部分を除去することにより、研磨ハイブリッド接合面を形成するために研磨することができる(
図ID)。一部の実施例では、導電層101は、化学機械研磨(CMP)プロセスを用いて研磨することができる。一部のこのような事例では、CMPプロセスは、バリア層103で又は誘電体接合面で停止する選択的CMPプロセスとすることができる。例えば、誘電体層100のフィールド区域を覆って配置された銅の過剰部分は、バリア層103で停止する選択的CMPプロセスで除去することができる。CMPプロセスがバリア層で停止する一部の事例では、第2の研磨プロセスを用いてバリア層を除去することができる。場合によっては、ステップ4で、導電層と共に誘電体層100の接合面114を研磨することができる。様々な実施構成では、ステップ4は、2又は3以上の研磨ステップを含むことができる。場合によっては、両方の研磨ステップは、物理的な研磨プロセスに続いてCMPプロセスを含むことができるが、各ステップで異なるスラリ、パッド及びプロセスパラメータを使用することができる。ステップ4の終了時の加工された誘電体層は、コンタクトパッド102と、コンタクトパッド102の導電性接合面及び誘電体接合領域の接合面(誘電体接合面)114を含む平滑なハイブリッド接合面とを備える。加えて、ステップ4の終了時に、開口部108の側壁(例えば、傾斜した側壁)の少なくとも一部分は、バリア層103で覆うことができる。場合によっては、研磨後、コンタクトパッド102の研磨された導電性接合面は、誘電体層100の接合面に対して陥凹させることができる。例えば、コンタクトパッド102の研磨された導電性面の間の垂直距離は、1nm~50nmとすることができる。本明細書で説明するように、様々な実施形態において、研磨プロセス(ステップ4)の間に誘電体接合面114とコンタクトパッド102との間の誘電体エッジは、例えば、コンタクトパッド102又はバリア層103と接触している誘電体層100の部分及び/又はその近くにおける誘電体応力レベルの変化により、丸みを帯びる可能性がある。
【0088】
一部の実施形態では、ステップ4の後、研磨されたハイブリッド表面を直接ハイブリッド接合プロセスのためにさらに調製することができる。場合によっては、誘電体接合面114、又はハイブリッド接合面のフィールド区域を活性化させて、誘電体-誘電体の直接接合プロセスを促進することができる。例えば、誘電体接合面114を窒素種などの適切な化学種で終端させることができる。同様のプロセスを用いて、第2のコンタクトパッド112を有する第2の誘電体層110を製造し、そのハイブリッド接合面を調製することができる。
【0089】
図1Eは、第1の誘電体層100及び第2の誘電体層110のハイブリッド接合面同士を接合することによって形成された直接接合構造120を示す。一部の実施形態では、第1の誘電体層100及び第2の誘電体層110のハイブリッド接合面の非導電性領域を直接接合することができ、それぞれの導電性領域を電気接続することができる。
【0090】
第1のコンタクトパッド102と第2のコンタクトパッド112との接合は、研磨プロセス後に誘電体層とコンタクトパッドとの界面付近に形成された誘電体エッジの形状の影響を受ける可能性がある。誘電体エッジの形状は、例えば、研磨プロセス中に加えられた圧力と、対応するハイブリッド接合面全体に亘る応力分布とに支配される可能性がある。例えば、誘電体エッジ付近の応力変動により、研磨プロセス中に丸みを帯びた誘電体エッジが形成される可能性がある。一部の実施例では、第1及び/又は第2の誘電体層100/110のハイブリッド接合面にある丸みを帯びた誘電体エッジにより、対向するハイブリッド接合面の間の密接な接触が妨げられ、結果として、それらの間に、並びに第1及び第2のコンタクトパッド102/112の間に弱い接合が形成される場合がある。
【0091】
図2A~2Cは、第1のコンタクトパッド102を有する第1の素子100(例えば、第1の誘電体層を含む第1の半導体素子)が、第2のコンタクトパッド112を有する第2の素子110(例えば、第2の誘電体層を含む第2の半導体素子)に直接接合される直接ハイブリッド接合プロセスの一例を示す。
図2Aは、接合前の第1の素子100及び第2の素子110を示している。場合によっては、コンタクトパッドは、対応する誘電体層の開口部内に配置された導電性材料(例えば、銅)を含むことができる。図示の例では、バリア層103(又は213)が、コンタクトパッド102(又は112)と誘電体層の対応する開口部表面との間に配置される。一部の実施形態では、バリア層103/213が存在しない場合があり、コンタクトパッドは誘電体層と直接接触することができる。別の実施形態では、バリア層とコンタクトパッドとの間にシード層を配置することができる。上述のように、バリア層103/213は、導電材料(例えば銅)がコンタクトパッド102/112から対応する誘電体層に移動するのを防ぐ導電層を備えることができる。場合によっては、接合面214(又は204)から測定した誘電体層の開口部深さDは、10ミクロン、5ミクロン、又は2ミクロン、1ミクロン、0.5ミクロン未満とすることができる。場合によっては、コンタクトパッド102(又は112)の導電性接合面244(又は245)は、誘電体層100(又は110)の接合面214(又は204)に対して陥凹させることができる。一部のこのような事例では、コンタクトパッド102(又は112)の導電性接合面244(又は245)と、対応する接合面204(又は214)との間の垂直距離(Z軸に沿う)は、ハイブリッド接合(誘電接合面の間の接合、及びコンタクトパッド102と112の間の導電性接合の形成)を可能にするように選択することができる。
【0092】
第1の素子の第1の誘電体接合領域及び第2の素子の第2の誘電体接合領域を研磨して、第1の素子100上に第1の接合面204を、第2の素子110上に第2の接合面214を作り出す。場合によっては、誘電体エッジ205が、接合面214又は204と、コンタクトパッド102又は112が配置された開口部の内面との間に形成される可能性がある。一部のこのような事例では、誘電体エッジ205は、所定の曲率半径を有する丸みを帯びた誘電体エッジとすることができる。場合によっては、曲率半径は、対応するハイブリッド接合面の間に形成されたハイブリッド接合の強度を低下させるほどに大きくなる場合がある。そのため、様々な実施構成では、第1の誘電体層100及び第2の誘電体層110のハイブリッド接合面上に形成された誘電体エッジの曲率半径を小さくすることにより、接合面積を増加させることで、ハイブリッド接合面の間に形成されたハイブリッド接合の強度を向上させることができる。
【0093】
各コンタクトパッドは、対応する接合面と平行な方向に沿って幅Wを有することができる。場合によっては、第1のコンタクトパッド102の幅と第2のコンタクトパッド112の幅は、実質的に等しい場合又は異なる場合がある。一旦、両素子100/110の上に研磨された接合面を作り出すと、それらの接合面は、整列させることができ、第1の素子100の接合面204は、第2の素子110の接合面214と実質的に平行になり、コンタクトパッド102の導電面244の少なくとも一領域は、接合面と平行な平面においてコンタクトパッド112の導電面245の一領域と整列するようになっている。
【0094】
図2Bは、第1及び第2のコンタクトパッド102/112を整列させた後の第1の素子100及び第2の素子110を示し、第1及び第2の素子100/110の対応する接合面214/204は接触して互いに接合している(例えば、上述のプロセス及び機構を用いて)。接合構造は、比較的低温(例えば、400度未満)で加熱して、金属コンタクト部102/112を膨張させ、金属-金属(例えば、銅-銅)の直接接合を形成することができる。この金属-金属接合は、導電性接合とすることができる。Cu-Cu接合の形成は、コンタクトパッド102の設計(例えば、コンタクトパッドが形成される開口部の断面形状、断面積及び深さ)、金属表面の誘電体接合面からの凹み深さ、コンタクトパッド102の導電性接合面の特性(例えば、粒径、粒界の配置)などを含むがこれらに限定されない、いくつかのパラメータ及び因子に影響を受ける可能性がある。
図2Cは、2つのコンタクトパッド102/112が接合され、電気的に接触した後に結果として得られる接合構造を示す。
【0095】
図3は、第1の素子300及び第2の素子310(又は第1の素子の第1の誘電体層及び第2の素子の第2の誘電体層)の誘電体エッジが丸みを帯びて大きな曲率半径(ROC)を有する例を示す。場合によっては、曲率半径(ROC)は、バリア層、コンタクトパッド、又は導電層に隣接する侵食(erode)された誘電体領域又は表面の曲率半径とすることができる。図示の例では、第1の素子300及び第2の素子310は各々、2つのコンタクトパッド102a/102b及び112a/112bを有するが、素子はさらに多くのパッド、例えば数百又は数千のパッドを有することができる。場合によっては、曲率半径の大きい丸みを帯びた誘電体エッジを有することで、対向する誘電体接合面の間の接触面積が減少して、丸みを帯びた誘電体エッジ近傍の第1の素子と第2の素子との間の接合が弱化する可能性がある。誘電体の丸みにより、金属結合を形成するためのアニール温度が上昇することで、直接接合プロセスのサーマルバジェットが増加する可能性もある。そのため、バリア層又は導電層に隣接する誘電体層上に形成された丸みを帯びた誘電体エッジの曲率半径(ROC)を小さくすることが望ましい。一部の実施構成では、
図1に示す製造プロセスを変更して、このような丸みを帯びた誘電体エッジのROCを、バリア層103(又は213)の厚さの200倍未満、バリア層の厚さの100倍未満、又はバリア層の厚さの50倍未満に低減することができる。一部の実施形態では、バリア層又は導電層に隣接する誘電体領域のROCは、導電層の幅の25%未満、導電層の幅の10%未満、導電層の幅の5%未満、導電層の幅の2%未満にすることができる。
【0096】
場合によっては、曲率半径の大きい丸みを帯びた誘電体エッジによって、接合面と平行な方向(例えば、x方向又はy方向)におけるコンタクトパッドの間の最小横方向間隔が制限される可能性がある。
図3に示すように、第1の素子300のコンタクトパッド120a/102b及び第2の素子310のコンタクトパッド112a/112bに近接した丸みを帯びた誘電体エッジは、上部の第1の素子300及び第2の素子310の誘電体接合面の間の接触面積を減少させる可能性がある。第1の素子300と第2の素子310を接合のために接触させると、コンタクトパッド102aと102bの間の誘電体表面と、コンタクトパッド112aと112bの間の誘電体表面とは、テーパ状の隙間で隔てられ、接触面積が小さくなる可能性がある。従って、横方向に離れた隣接するパッドの間の誘電体接合面を増加させるには、2つの隣接するパッドの間の横方向距離を、丸みを帯びたエッジの横方向範囲320よりも少なくとも2倍だけ大きくする必要がある場合がある。丸みを帯びたエッジの横方向範囲は、対応する接合面と垂直な横方向沿った(x軸に沿った)、開口部の側壁と対応する接合面の平坦領域との間の距離とすることができる。
【0097】
上述のように、研磨プロセス中に丸みを帯びた誘電体エッジが形成された場合、誘電体エッジの曲率は、ハイブリッド接合プロセスに悪影響を及ぼす可能性がある(例えば、接合面積を減少させることによって)。場合によっては、丸みを帯びた誘電体エッジの形成は、誘電体エッジ付近及び誘電体フィールド全体の応力状態と応力値、誘電体材料の特性、研磨プロセス中の接合面全体の圧力分布、研磨速度、並びに研磨プロセスの所要時間を含むがこれらに限定されない、いくつかの因子によって影響され、支配される可能性がある。これらの因子は、結果として得られる丸みを帯びた誘電体エッジの形状及び/又は曲率半径に影響を及ぼす可能性がある。
【0098】
場合によっては、誘電体の局所的な研磨速度は、誘電体材料とバリア層との境界付近、又は誘電体材料とコンタクトパッドとの境界付近の誘電体応力の影響を受ける可能性がある。そのため、ハイブリッド接合面に亘る誘電体応力の空間的変動は、研磨プロセス中の研磨速度の空間的変動につながり、結果として、誘電体エッジの過度の丸みがもたらされる可能性がある。
【0099】
誘電体層内の全体的な(又は本質的な)応力のレベルは誘電体堆積パラメータで制御することができるが、局所的な誘電体応力は、誘電体材料とコンタクトパッドとの間の境界付近の誘電体-金属界面の近接度の影響を受ける可能性がある。例えば、引張応力を受けているコンタクトパッドは、コンタクトパッドと接触している誘電体エッジ付近の圧縮応力を低減する可能性がある。少なくとも、誘電体構造の研磨速度は誘電体構造内の圧縮応力のレベルに反比例するので、誘電体エッジ付近の誘電体研磨速度は、エッジから離れた誘電体研磨速度よりも大きくなり、曲率半径の大きい丸みを帯びた誘電体エッジをもたらす可能性がある。
【0100】
場合によっては、ハイブリッド接合面に亘って様々な領域の研磨速度を調整することによって(例えば、ハイブリッド接合面の特定の領域に研磨速度の低い層を追加することによって)、曲率半径の大きい丸みを帯びた誘電体エッジの形成を制御することができる。一部のこのような事例では、丸みを帯びた誘電体エッジの曲率半径は、誘電体とバリア層との境界付近、又は誘電体とコンタクトパッドとの境界付近の誘電体応力及び/又は誘電体応力の変動を制御することによって制御可能である。
【0101】
エッジ又は表面付近の異なる応力レベルは、研磨プロセス中にエッジ又は表面からの材料の異なる除去速度をもたらす可能性がある。2又は3以上のコンタクトパッドの間に位置するハイブリッド接合面に亘る応力変動は、接合面を囲むコンタクトパッドの間の間隔の影響を受ける可能性がある。場合によっては、接合面の応力は、コンタクトパッド付近の誘電体エッジから、バリア層から離れた接合面中央部に向かって変動する可能性がある。例えば、幅が3ミクロンのコンタクトパッドに関して、2つのコンタクトパッドの間の間隔がコンタクトパッド幅の2~3倍より大きい場合、接合面中央部の応力は、誘電体層に内在する応力と実質的に等しい場合がある。場合によっては、2つのコンタクトパッドの間の間隔が各コンタクトパッド幅の2~3倍未満(例えば、3ミクロン)の場合、コンタクトパッドの間の誘電体領域に作用する応力は、誘電体層に内在する応力とは大幅に異なる(圧縮性が低い)可能性がある。場合によっては、コンタクトパッドの間の間隔が狭くなるにつれて、2つのコンタクトパッドの間の接合面に亘る応力の変動が増加する可能性がある。一部の実施形態では、誘電体膜は、圧縮応力(例えば、100~300MPa程度の圧縮性)を内在して堆積される。2つのコンタクトパッドの間の間隔がコンタクトパッド幅の2倍より小さい場合、接合面中央部の応力は、誘電体層に内在する応力よりも低くなる(圧縮性が低い)可能性がある。そのため、場合によっては、互いに遠く離れて離間配置されたコンタクトパッドの間の誘電体表面と比べて、密に離間配置されたコンタクトパッドの間の誘電体表面はより速く研磨され、対応する誘電体エッジは曲率半径が大きくなる可能性がある。
【0102】
上述のように、金属で充填された開口部(コンタクトパッド)の誘電体エッジ付近の応力レベルは、金属の引張応力によって低減される可能性がある。場合によっては、コンタクトパッドを配置する開口部を形成するために使用されるエッチングプロセス中の応力低減と、開口部(コンタクトパッド)内の導体材料の応力状態との組み合わせに起因して、誘電体層(例えば、酸化物層)のエッジにおける応力レベル(例えば、圧縮応力レベル)は、誘電体層の固有応力よりも低くなる可能性がある。例えば、コンタクトパッドは、堆積時に引張状態の銅(コンタクトパッドの形成に使用される一般的な金属)を含むことができる。銅の引張応力により、近傍の酸化物の圧縮応力が低減され、酸化物の応力状態を圧縮から引張に変化させる可能性もある。
【0103】
図4A及び4Bは、異なる金属表面被覆率を有する2つの誘電体層401/402のハイブリッド接合面の一部分に亘る応力分布を示す。誘電体層401は金属表面被覆率が低く、誘電体層402は金属表面被覆率が高い。場合によっては、誘電体層401及び402は、単一誘電体層の2つの異なる領域を表す可能性がある。誘電体層401は、誘電体層402よりも金属表面被覆率が低く、そのため、誘電体層402の2つのコンタクトパッド404a/404bは、誘電体層401の2つのパッド403a/403bと比べて互いに接近している。場合によっては、2つの金属パッド403aと403bとの間の距離が大きいため、金属パッド403a/403bの引張応力が、コンタクトパッド403aと403bの間にある誘電体領域407の中央部の応力レベルに与える影響は無視できるほどに小さい可能性がある。例えば、
図4Aを参照すると、誘電体エッジ405a/405b付近の応力σ
mdは圧縮性が低い可能性があるのに対し、誘電体領域407の中央部の応力σ
dは、コンタクトパッド403a/403bを形成する前の誘電体層401の固有応力レベルに非常に近い可能性がある。対照的に、
図4Bを参照すると、2つの金属パッド404aと404bの間の距離が小さいため、金属パッド404a及び404bの引張応力が、コンタクトパッド404a/404bの間にある誘電体領域408の中央部の応力レベルに与える影響は大きくなる可能性がある。そのため、誘電体層402の誘電体領域408の中央部における応力σ
dは、誘電体エッジ406a及び406b付近の応力σ
mdに近くなる可能性がある。
【0104】
図4Cは、CMP研磨プロセス中、例示的な誘電体膜(酸化ケイ素)に加えられた3つの異なる圧力レベルについて、誘電体除去速度(R)を誘電体膜の応力に対してプロットしたものを示す。場合によっては、除去速度は、膜の応力が高い圧縮応力から引張応力に変化する際に増加する可能性がある。場合によっては、除去速度は、例えば膜の応力が引張応力の場合に膜の応力と共に増加する可能性がある。
図4A及び4Bに関連して、少なくとも誘電体領域における除去速度の応力レベルへの依存性(例えば、
図4Cに示すような)を考慮すると、誘電体層401の誘電体エッジ405a/405bの曲率半径は、誘電体層402の誘電体エッジ406a/406bと異なる可能性があり、コンタクトパッド403aと403bの間の誘電体エッジ406a及び406bの研磨速度は、コンタクトパッド404aと404bの間の誘電体領域407のエッチング速度よりも大きくなる可能性がある。このようなエッチング速度の差により、以下で説明するように、間隔の異なるコンタクトパッドの間の研磨された誘電体表面の間には高低差が生じる可能性がある。
【0105】
上述のように、誘電体層の接合面に亘る応力変動は、誘電体層に内在する応力とコンタクトパッドの近接度による残留応力との差と関係する可能性がある。誘電体層に内在する応力のレベルは、誘電体層の特定の材料特性と相関する可能性がある。場合によっては、誘電体層の圧縮応力は、対応する誘電体材料の硬度及び/又は弾性率と共に増加する可能性がある。材料特性に加えて、誘電体層を(例えば、基板上に)配置するために使用される堆積方法、並びに堆積パラメータの値は、誘電体層の圧縮性に影響を及ぼす可能性がある。
【0106】
本明細書に開示する様々な実施形態は、ハイブリッド接合面に亘って丸みを帯びた誘電体エッジの曲率半径を小さくすることによって、デバイスの歩留まりを向上させることができる。本明細書に開示する一部の実施形態は、誘電体エッジ付近の誘電体応力又は誘電体応力の変動を低減することによって、誘電体エッジの丸みを低減することができる。
【0107】
一部の実施形態では、誘電体応力は、誘電体接合面に亘って及び/又は誘電体材料とコンタクトとの境界に研磨層(研磨停止層、研磨ストップ、又は研磨ライナとも呼ばれる)を組み込むことによって制御することができる。場合によっては、研磨層の除去速度は、誘電体層の除去速度よりも小さくすることができる。場合によっては、研磨層は、誘電体と接触するコンタクトパッドが誘電体エッジの応力のレベル及び種類に与える影響を軽減することで、誘電体のエッジ付近又はエッジにおける誘電体の除去速度を低下させることができる。場合によっては、研磨層は、2つの密に離間配置されたコンタクトパッドの間の誘電体表面の中央部における誘電体除去速度を低下させることで、誘電体の侵食を低減することができる。
【0108】
図5Aは、距離D1だけ離れた2つのコンタクトパッド503の近くで、金属表面被覆率の小さい、例示的な研磨されたハイブリッド接合面の一領域に関するトポグラフィを示す。場合によっては、距離D1は、コンタクトパッド503a/503bの幅よりも大きくすることができる。上述のように、互いに近接していない2つのコンタクトパッド503a/503bの間の接合面B1に亘る応力σ
Bは、コンタクトパッド503a/503bの存在の影響を著しく受けない可能性がある。従って、接合面領域B1からの誘電体材料の除去速度は、接合面領域A1からの誘電体材料の除去速度に近いか、又は実質的に等しくなる可能性がある。その結果として、一旦、ハイブリッド接合面が研磨されると、接合面領域A1付近の誘電体層501の厚さZ
Aは、接合面領域B1付近の誘電体層501の厚さZ
Bに近くなるか、又は実質的に等しくなる可能性がある。
【0109】
図5Bは、
図5Aの距離D1より小さい距離D2だけ離れた、2つの密に離間配置されたコンタクトパッド504a/504bの近くで、金属表面被覆率の大きい、別の例示的な研磨されたハイブリッド接合面の一領域に関するトポグラフィを示す。場合によっては、D2は、誘電体層502に埋め込まれたコンタクトパッド504a/504bの幅の2~3倍よりも小さくなることがある。一部のこのような事例では、銅(例えば、コンタクトパッド504a/504b)の応力が、コンタクトパッド504a/504bの間の誘電体領域のエッジにおける応力を支配する可能性がある。
【0110】
上述のように、2つの密に離間配置された2つのコンタクトパッド504a/504bの間の接合面B2に亘る応力σBは、コンタクトパッド504の存在の影響を著しく受ける可能性がある。例えば、コンタクトパッド504a/504b(例えば、銅のコンタクトパッド)の引張応力により、接合面領域B2に亘る応力σBは、コンタクトパッド504から離れた接合面領域A2に亘る応力σAよりも圧縮性が小さくなる可能性がある。従って、接合面領域B2からの誘電体材料の除去速度は、接合面領域A2からの誘電体材料の除去速度より大きくなる可能性がある。
【0111】
その結果として、一旦、ハイブリッド接合面が研磨されると、接合面領域A2付近の誘電体層502の厚さZ
Aは、接合面領域B2付近の誘電体層502の厚さZ
Bよりも大きくなる可能性がある。ハイブリッド接合面の2つの接合面(例えば、
図5AのZ
A-Z
Bなど)に関する厚さの差は、侵食(erosion)と呼ばれる場合がある。場合によっては、誘電体の侵食は、2つの誘電体層の密に離間配置されたコンタクトパッドの間の接合表面領域が互いに接触して誘電体接合を形成することを許さない可能性がある。そのため、誘電体層のハイブリッド接合面に亘る応力変動から生じる誘電体の侵食は、誘電体層と他の誘電体層とのハイブリッド接合の強度を低下させる可能性がある。
【0112】
一部の実施形態では、研磨後の侵食測定を用いて、ハイブリッド接合面に亘る応力変動を検出し、定量化することができる。例えば、コンタクトパッド504a/504bから遠い接合面領域A2付近の誘電体厚さ(Z
A)と、コンタクトパッド504a/504bの間の接合面領域B2付近の誘電体厚さ(Z
B)との測定差を用いて、接合面領域A2付近の誘電体除去速度と接合面領域B2付近の誘電体除去速度との差を推定することができる。続いて、誘電体除去速度の差を用いて、接合表面領域A2とB2の間の応力変動を推定することができる。例えば、
図5Cに示すように、接合面領域A2に亘る応力σ
1及び接合面B2に亘る応力σ
2は、
図4Cに示すプロットを使用して、接合面領域A2及びB2付近の推定誘電体除去速度R
A2及びR
B2に基づき推定することができる。
【0113】
上述のように、ハイブリッド接合面に亘る局所的な応力及び空間的な応力変動は、ハイブリッド接合面上にアーティファクト(丸み、又は高所)及び誘電体侵食の形成をもたらす可能性がある。ハイブリッド接合面に形成されたこれらのアーティファクト及び誘電体侵食は、応力誘起トポグラフィと呼ばれる。応力誘起トポグラフィは、研磨される誘電体材料に関する研磨速度と応力との間の関係、並びにハイブリッド接合層に亘る応力の特殊な変動(例えば、コンタクトパッドの存在に起因する)に相関する可能性がある。従って、応力誘起トポグラフィを軽減するためには、ハイブリッド接合面全体に亘る応力の空間的変動を小さくし、研磨プロセス中も小さく維持する必要がある。誘電体層のハイブリッド接合層に亘って誘電体応力の空間的変動を制御することは、誘電体層内の応力の種類及びレベルと、誘電体層内にコンタクトパッドを形成する金属内の応力の種類及びレベルとの間に本質的な違いに起因して、難しい課題である。そのため、材料組成、及び/又は金属領域(コンタクトパッド)を埋め込んだ誘電体層を製造するために使用されるプロセスを変更することなく、応力誘起トポグラフィを軽減できる方法が求められている。一部の実施構成では、研磨停止誘電体層(研磨停止層、研磨層、又は研磨ライナとも呼ばれる)は、対応する誘電体エッジを保護するために誘電体層上に配置することができる。場合によっては、研磨停止層は、誘電体層と比べて研磨層中の除去速度が遥かに小さい材料を含むことができる。
【0114】
様々な実施形態では、研磨プロセス中の誘電体侵食は、誘電体接合面上に及び/又はフィールド誘電体と接触パッドとの境界に研磨層を追加することによって低減する又は最小限に抑えることができる。一部の実施例では、研磨層は、誘電体層の研磨速度に比べて低い研磨速度を有することができる。様々な実施構成では、研磨層は、ダイヤモンド状炭素(DLC)、酸化アルミニウム(Al2O3)、炭窒化ケイ素(SiCN)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(SiN)、様々な非導電性酸化物、セラミック、ガラスセラミック、炭化物又は窒化物、それらの様々な組み合わせ、或いはフィールド誘電体(例えば、酸化ケイ素を含むことができる)よりも研磨速度が低い他の材料を含むことができる。一部の実施形態では、研磨停止層の硬度は、研磨層が配置される誘電体層の硬度よりも大きい。研磨プロセス中、研磨層は、誘電体エッジを保護することに加えて、ハイブリッド接合面、特に、密に離間配置されたコンタクトパッドを備えるハイブリッド接合面の侵食を軽減することができる。場合によっては、研磨層は、コンタクトパッドがフィールド誘電体又はコンタクトパッド間の誘電体の応力に与える影響を軽減し、結果として誘電体層の誘電体エッジ付近の応力変動を低減することができる。その結果として、研磨層は、金属密度が高い場合でも、誘電体エッジの侵食と曲率半径を低減することができる。
【0115】
例えば、誘電体層502上に研磨層を追加することで、研磨プロセス中の接合面領域B2の侵食(Z
A-Z
B)を軽減することができる。
図6は、研磨層642が誘電体接合面領域A2及びB2の上に配置された誘電体層502の研磨されたハイブリッド接合面のトポグラフィと、誘電体層とコンタクトパッド504a/504bとの間の境界を示す。
図6に示すように、研磨層642は、誘電体接合面を保護し、コンタクトパッド504a/504bがフィールド誘電体内の応力に与える影響を軽減することで、ハイブリッド接合面に亘って誘電体エッジの侵食及び曲率半径を同時に低減することができる。様々な実施構成では、研磨層642は、電気絶縁性材料(例えば、誘電体材料)又は導電性材料を含むことができる。
【0116】
図7A-7G、
図8A-8G、及び
図9A-9Fは、少なくとも1つの導電性コンタクトパッドを備えた研磨されたハイブリッド接合面を有する誘電体層(例えば、電子構成要素の誘電体層)を製造するための3つの例示的な製造プロセスを示す。有利には、誘電体層の上に研磨層を追加することにより、これらのプロセスは、研磨されたハイブリッド接合面上に形成される誘電体エッジの侵食及び曲率半径を低減することができる。一部の実施例では、コンタクトパッドと接合面(誘電体接合面)との間の1又は2以上の誘電体エッジは、研磨プロセス後に、コンタクトパッド幅の20%未満、コンタクトパッド幅の10%未満、又はコンタクトパッド幅の5%未満、又はコンタクトパッド幅の1%未満の曲率半径を有することができる。
【0117】
誘電体層900又は1000は、第1の素子(例えば、第1の電子素子)の誘電体層(例えば、上部誘電体層)を含むことができ、第2の素子(例えば、第2の電子素子)の誘電体層に直接接合させて2つの素子の間の1又は2以上の相互接続部の形成を支援するように構成することができる。場合によっては、素子は基板を備え、誘電体層は、基板上に配置することができる。一部の実施例では、結果として得られるハイブリッド接合面は、研磨された誘電体接合面を含むことができる。一部の他の実施例では、ハイブリッド接合面は、研磨層の研磨された面を含むことができる。
【0118】
図7A-7Gは、第1の例示的な製造プロセスを示す。
図7Aに示すように、誘電体層900は、誘電体層900に埋め込まれた金属化層(例えば、再配線層又はRDL940)と、RDL940上方の開口部908とを含むことができる。誘電体層900は、誘電体又は半導体材料を含むことができる。RDL940は、銅などの導電性材料を含むことができ、半導体素子内又はその上に(例えば、半導体素子の半導体デバイス領域内に又はその上に、図示せず)形成された回路に電気接続することができる。
図7Aでは、RDL940は、誘電体層900の一部分がRDL940の上に配置されるように、誘電体層900内に埋め込まれている。誘電体層900は、1つ又は複数の誘電体層を含むことができることを理解されたい。一部の実施例では、バリア層903(例えば、導電性バリア層)は、RDL940の表面の一部分(例えば、底面及び側面)を覆い、誘電体材料とRDL940との間にバリアを提供することができる。開口部908は、
図1Bに関して説明したように、エッチングプロセスを用いて誘電体層900上に設けることができる。一部の実施構成では、開口部908の底部の幅は、RDL940の幅よりも小さくすることができる。
【0119】
第1の製造プロセスは、研磨層942(研磨ライナ又は研磨ストップ層とも呼ばれる)を誘電体層900の上面に配置又は塗布する第1のステップ(ステップ1)から始めることができる。次に、ステップ2では、RDL940の上面944より上にある研磨層942の一部分と誘電体材料の一部分とを除去して、RDL940の上面944の一部分を露出させる(
図7C)。例えば、パターン付き誘電体マスク(例えば、リソグラフィ技術を用いて製造されたパターン付きフォトレジスト層)を研磨層942上に設けて、開口部908の底面を覆う研磨層942の部分を露出させ、露出した部分をエッチングする(例えば、ウェットエッチングプロセス又はドライエッチングプロセスを用いて)ようにする。
図7Cに示すように、上面944より上にある研磨層942及び誘電体材料の一部分を除去した後、RDL940の上面944付近に結果として得られた開口部の側壁は、研磨層942と誘電体材料(又は誘電体層100を構成する材料)とを含む段差部943を備えることができる。
【0120】
一部の実施形態では、エッチングプロセスは、研磨層942を除去するための第1のエッチングプロセスと、誘電体材料を除去するための第2のエッチングプロセスとを含むことができる。場合によっては、第1のエッチングプロセスは、誘電体層でエッチングを停止させる選択的化学作用を有することができ、第2のエッチングプロセスは、RDL940でエッチングを停止させる選択的化学作用を有することができる。一部の他の実施構成では、短時間エッチングとエンドポイント検出を用いて、次の層との界面で各エッチングプロセスを停止させることができる。
【0121】
ステップ3では、バリア層946を、研磨層942と、RDL940の上面944の露出部分との上にコンフォーマルに又は非コンフォーマルに配置する(
図7D)。
図7Dに示すように、バリア層946の一部分はRDL940の上面944と接触し、バリア層946の一部分(例えば、段差のある側壁部分943付近)は誘電体材料と接触し、バリア層946の別の部分は研磨ストップ942と接触する。次に、ステップ4では、導電層948を、バリア層946上に配置する(
図7E)。一部の実施例では、導電層は、電気めっき(例えば、スーパーフィリング添加剤を含有するめっき浴内)、又は他の物理的又は化学的な金属堆積プロセスで形成することができる。場合によっては、開口部908に導電性材料を過剰充填して、バリア層946の誘電体接合領域より上の部分を覆う導電層948を形成することができる。続いて、ステップ5では、導電層948を研磨して(例えば、CMPプロセスを用いて)、誘電体接合領域(フィールド区域)より上でバリア層946上にある導電層948の部分を除去し、RDL940の上面944に残された導電層948の部分に平滑な表面を提供し、研磨された導電性接合面950を備えた導電性コンタクトパッドを形成することができる(
図7F)。その結果として、導電性コンタクトパッドの側壁は、研磨停止層942上に配置されたバリア層946の一部分と接触することができる。このようにして、研磨停止層は、バリア層946の側壁と誘電体層900の側壁との間に配置される。場合によっては、CMPは、バリア層946上で研磨を停止させる選択的化学作用を有することができる。一部の実施例では、バリア層903(RDL940の下及び周囲)とバリア層946(研磨層942上に配置される)は、TaN、TiNなどの導電性材料を含むことができる。一部の実施例では、バリア層903とバリア層946は、金属窒化物を含むことができる。一部のこのような実施例では、バリア層903/946は、研磨停止層942とは異なる材料を含むことができる。
【0122】
場合によっては、研磨(ステップ5)の後、導電層948の研磨面950は、誘電体接合領域の表面及び/又はバリア層946の表面に対して陥凹する可能性がある。
【0123】
最後に、ステップ6(
図7G)では、誘電体接合領域より上に残されたバリア層946を除去し(例えば、エッチング又は別の研磨プロセスによって)、下部の研磨層942を露出させ、研磨層942上に平滑な表面を提供することができる。このエッチング又は研磨プロセスは、研磨停止層942で研磨を停止させるための選択的化学作用を有することができる。従って、
図7Gの実施形態では、研磨層942は、他方の素子に接合する接合面の一部分を含むことができる。別の実施形態では、研磨層942を除去して、接合層として機能することのできる下にある誘電体層900を露出させることができる。誘電体層900上に(対応する接合面上に)研磨層942が存在することで、接合面と開口部908の側壁との間にある誘電体エッジ905a(又は角部)及び誘電体エッジ905bが保護される。その結果として、ステップ4とステップ6の間の研磨プロセス中、誘電体エッジ905a及び905bの丸みを低減する又は最小限に抑えることができる。さらに、研磨層942は、接合面の侵食を軽減することができる。
【0124】
図8A-8Gは、様々な実施形態による第2の製造プロセスを示す。第2の製造プロセスは、第1の製造プロセスに関して上述した1又は2以上の特徴を備えることができる。
図8Aに示すように、誘電体層1000は、再配線層(RDL)940と、再配線層940上方の開口部1008とを含むことができ、この場合、開口部1008を通してRDL940の上面944が露出している。開口部1008は、
図1Bに関して説明したように、エッチング手法を用いて誘電体層1000上に設けることができる。場合によっては、開口部1008は、RDL940上で(RDL940の上面944で)エッチングを停止させる選択的エッチング化学作用を有するエッチングプロセスを用いて、RDL940上に形成することができる。一部の実施例では、バリア層903は、RDL940の表面の一部分(例えば、底面及び側面)を覆って、誘電体材料とRDL940との間にバリアを提供することができる。第2のプロセスは、研磨層942が誘電体層900の上面とRDL940の上面944とにコンフォーマルに又は非コンフォーマルに配置される第1のステップ(ステップ1)から始めることができる(
図8B)。次に、ステップ2では、RDL940の上面944に配置された研磨層942の一部分を除去して、RDL940の上面944の一部分を露出させる(
図8C)。例えば、パターン付き誘電体マスクを研磨層942上に設けて、RDL940の上面944を覆う研磨層942の部分を露出させ、ウェットエッチングプロセス又はドライエッチングプロセスを用いて露出した部分を除去するようにする。場合によっては、エッチングプロセスは、RDL940でエッチングを停止させる選択的化学作用を有することができる。場合によっては、エッチング後、RDL940の上面944には研磨停止層942のごく一部が残り、それを通して開口部が形成され、表面944の少なくとも一部分を露出させることができる。第1のプロセスとは異なり、ステップ2の終了時には開口部の側壁に誘電体段差は形成されない。第2の製造プロセスのステップ3-ステップ6(
図8D-8G)は、
図7D-7Gに関して上述した第1の製造プロセスのステップ3-ステップ6と同様である。しかしながら、
図7Dの構造とは異なり、
図8Dでは開口部1008の側壁に誘電体段差が形成されないので、バリア層946は誘電体材料と接触しておらず、研磨停止層942の一部分が開口部1008の底部の周囲付近でRDL層940と接触する。
【0125】
一部の実施例では、研磨層942は、別の素子の誘電体又は研磨層に接合可能な場合がある。このような場合、研磨層946(誘電体層900、1000を覆って配置することができる)の研磨された表面を処理して、直接ハイブリッド接合のために表面を活性化させることができる。例えば、研磨層946の研磨された表面を洗浄し、プラズマ及び/又はエッチング液に曝して表面を活性化させることができる。このような表面活性化は、研磨層946と別の表面(例えば、別の研磨層の研磨面又は誘電体接合面)との直接的な共有結合を強化することができる。一部の実施形態では、この表面は、活性化後又は活性化中(例えば、プラズマ及び/又はエッチングプロセス中)に化学種(例えば、窒素種)で終端させることができる。
【0126】
研磨層942の表面が接合可能でない一部の実施構成では、上記の第1又は第2の製造プロセスの終了時に誘電体接合領域上に残された研磨層942(
図7G又は8G)を除去して、誘電体層900又は1000上の誘電体接合領域を露出させることができる。研磨層942は、研磨又はエッチングプロセスを用いて除去することができる。一部の実施例では、研磨又はエッチングのプロセスは、誘電体層で(例えば、誘電体接合面)でエッチング又は研磨を停止させるための選択的化学作用を有することができる。これらの実施構成では、接合領域の研磨面を処理して、直接ハイブリッド接合のために研磨接合面を活性化させることができる。このような表面活性化は、誘電体接合面の間の直接的な共有結合を強化することができる。例えば、研磨された接合面を洗浄し、プラズマ及び/又はエッチング液に曝して接合面を活性化させることができる。一部の実施形態では、この接合面は、活性化後又は活性化中(例えば、プラズマ及び/又はエッチングプロセス中)に化学種(例えば、窒素種)で終端させることができる。
【0127】
一部の実施形態では、
図8A-8Gに示す第2の製造プロセスにおいて、バリア層の堆積(ステップ3)を省くことができる。これらの実施形態では、ステップ2の後に、研磨層942上に及びRDL940の上面944の一部分の露出領域上に導電層948を直接配置することができる。そのため、導電層948は、直接的にRDL940と電気的接触を形成することができる。続いて、導電層948を研磨して(例えば、CMPプロセスを用いて)、誘電体接合面より上の導電層を除去し、研磨停止層942で停止させる。場合によっては、CMPプロセス中に研磨層942のごく一部を除去することができる。場合によっては、結果として得られた研磨層942の平らで滑らかな表面は、誘電体接合面又は別の誘電体層の研磨層に接合するためにさらに調製することができる。調製プロセスは、研磨層942の接合面を洗浄し活性化させるステップを含むことができる。
【0128】
一部の実施形態では、研磨層942は、RDL940とバリア層との間に導電性接続部を形成できる導電性材料を含むことができる。一部のそのような実施形態では、研磨停止層942がRDL940の上面944の上に残存するように、第2のプロセスのステップ2(
図8C)を省くことができる。続いて、ステップ3でバリア層946を配置する際に、上面944に配置された研磨層942の部分は、RDL940とバリア層946との間に導電性接続部を形成することができる。場合によっては、導電性研磨層942は、例えばマンガン、導電性の金属炭化物又はホウ化物、或いは他の材料の薄い層を含むことができる。
【0129】
図9A-9Fは、導電性研磨層を用いて誘電体エッジの丸み及び侵食を軽減する第3の製造プロセスを示す。一部の実施例では、導電性研磨層は、マンガン、マンガン合金、ニッケル、又はニッケル合金、又はニッケルバナジウムを備えることができる。第3の製造プロセスは、第1及び第2の製造プロセス(
図7A-7G及び
図8A-8Gに示す)に関して上述した1又は2以上の特徴を備えることができる。
図9Aの誘電体層1000の構造と第1のステップ(
図9B)は、
図8A及び8Bのものと同様である。ステップ2では、バリア層946を研磨層942上に配置する(
図9C)。次に、ステップ3では、導電層948をバリア層946上に配置する(
図9D)。続いて、ステップ4では、導電層948を研磨して、誘電体接合領域より上でバリア層946上にある導電層948の部分を除去し、RDL940の上面944に残された導電層948の部分に平滑な表面を提供することができる。そのため、結果として得られた構造(
図9E)は、研磨された導電性接合面950を含む導電性コンタクトパッドを有することができる。最後に、ステップ5(
図9F)で、誘電体接合領域より上にあるバリア層946及び導電性研磨層942を除去して、誘電体接合領域を露出させ、直接接合のために誘電体接合領域に平滑な表面を提供することができる。研磨ストップが導電性である実施形態では、研磨ストップ942を除去して他のパッドとの短絡を防ぐことができる。場合によっては、第2のプロセスではステップ2(
図9C)を省略することができ、導電層948を研磨層942上に配置することができる(バリア層946の排除)。これらの場合、導電性研磨層942は、RDL940と導電層948との間に導電性コンタクトを提供することができる。
【0130】
一部の実施形態では、研磨停止層942は、誘電体層1000の開口部1008の側壁上で連続することができる。別の実施形態では、研磨停止層942は、誘電体層1000の開口部1008の側壁上で不連続とすることができる。別の実施形態では、研磨停止層942は、誘電体層1000の接合面及び開口部1008の側壁の上に塗布することができるが、RDL940の上面944の上に塗布されない場合がある。
【0131】
誘電体層900の開口部908(
図7A)及び誘電体層1000の開口部1008(
図8A及び9A)は、誘電体層100の開口部108(
図1B)に関して上述した1又は2以上の特徴を備えることができる。例えば、開口部908(又は1008)の底面は、誘電体層900(又は1000)の上面と実質的に平行とすることができ、誘電体層900(又は1000)の上面と平行な方向に沿った開口部908(又は1008)の最上部幅は、最上部幅と平行な方向に沿った開口部908(又は1008)の底部幅よりも20%又は30%又は50%を超えて、幅広にすることができる。場合によっては、開口部908(又は1008)の側壁は、開口部908(又は1008)の上面に対して傾斜することができる。一部の実施例では、開口部908(又は1008)の底面に対する開口部908(又は1008)の側壁の傾斜は、95~110度、110~120度、120~130度、130~150度、又はこれらの値で形成される何らかの範囲、或いはより大きい又はより小さい値とすることができる。有利には、開口部908(又は1008)の側壁が傾斜している場合、第1及び第2の製造プロセスのステップ4(
図7E/8E)、第3の製造プロセスのステップ3(
図9D)で行われる研磨プロセスの間に、又はこれらのステップ後の何らかの研磨プロセス(例えば、プロセスの終了時に研磨層942を誘電体接合領域から除去するための研磨プロセス)の間に、対応する誘電体エッジ(例えば、誘電体エッジ905a及び905b)の丸みは、さらに低減することができる。
【0132】
場合によっては、誘電体接合領域から研磨停止層を除去するための最終研磨プロセスは、低圧で低速の研磨プロセスとすることができる。場合によっては、誘電体接合領域から研磨停止層を除去するための最終研磨プロセスは、誘電体接合領域の表面からの導電層948の研磨面950の間の垂直距離をさらに増加させる。
【0133】
場合によっては、導電層948の研磨面950は、第1及び第2の製造プロセスのステップ4(
図7E及び8E)、ステップ3(
図9D)で行われる研磨プロセスの間、又はこれらのステップ後の何らかの研磨プロセス(例えば、誘電体接合領域から研磨停止層を除去するための研磨プロセス)の間に、徐々に陥凹する可能性がある。その結果として、プロセスの最終研磨ステップの後、導電層948の研磨面は、誘電体接合領域の表面に対して2nm未満、10nm未満、又は40nm未満だけ陥凹する可能性がある。一部の実施例では、このような陥凹部は、導電性パッドを膨張させてそれらを接触させる最終アニールプロセスの前の直接接合時に、2つの誘電体層の2つの対向する導電性パッドの間に隙間をもたらす可能性がある。一部の実施例では、所望の陥凹量(金属コンタクトの研磨面950と対応する誘電体層の上面(接合領域)との間の垂直距離)は、プロセスの終了時に形成される導電性コンタクトパッドの厚さに依存する可能性がある。導電性コンタクトパッドの厚さは、バリア層946の底面(開口部908又は1008の底部に形成される)と導電性パッドの上部研磨面950との間の垂直距離とすることができる。場合によっては、所望の陥凹部を提供するために、プロセス(例えば、
図7、8、9に示すプロセス)の最終ステップの後に、追加の選択エッチングステップを実行して、陥凹部をさらに増加させることができる。
【0134】
上記プロセスのいずれにおいても、バリア層と開口部908(又は1008)の側壁との間に研磨層942が存在することによって、誘電体エッジ905a及び905b付近での研磨速度が遅くなることで、対応する接合面と側壁との間にある誘電体エッジ905a(又は角部)及び905bを保護することができる。
【0135】
一部の実施形態では、
図7、8、及び9の誘電体層900及び1000は、電子構成要素の誘電体層とすることができる。一部のそのような実施形態では、誘電体層900又は1000は、
図7、8、及び9に関して説明したプロセスを用いて、2又は3以上の他の電子構成要素に接合することができる。
【0136】
様々な実施例では、上述した何らかの製造プロセスで使用される研磨停止層942の厚さは、2nmと70nmの間の範囲とすることができる。場合によっては、研磨停止層942の厚さは40nm未満とすることができる。
【0137】
様々な実施例において、短時間研磨(又は短時間エッチング)及びエンドポイント検出を研磨(又はエッチング)プロセス中に使用して、研磨される層とは異なる組成を有する下層との界面で研磨(又はエッチング)プロセスを停止させることができる。
【0138】
研磨層942は、ダイヤモンド状炭素(DLC)、酸化アルミニウム(Al2O3)、炭窒化ケイ素(SiCN)、炭化ケイ素(SiC)、又は誘電体層900又は1000よりも研磨速度が遅くする特性を有する他の材料を含むことができる。一部の実施例では、研磨層942は、絶縁材料を含むことができる。場合によっては、研磨層942は、誘電体層900よりも大きな硬度を有する絶縁材料を含むことができる。
【0139】
例えば、導電性バリアは、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、酸化タンタル(少量の酸素を含むタンタル)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、コバルト-リン合金(CoP)、コバルト-タングステン合金CoW、珪酸コバルト(CoSi)、ニッケル-バナジウム(NiV)、及びそれらの組み合わせを含むことができる。
【0140】
場合によっては、上記の第1、第2、又は第3のプロセスのステップ1で配置された研磨層942は、誘電体接合面と垂直な方向に沿った第1の厚さと、開口部908(又は開口部1008)の側壁と垂直な方向に沿った第2の厚さとを有することができる。一部のこのような事例では、研磨層942の第1及び第2の厚さは、5と10nmの間、10と30nmの間、30と50nmの間、500と700nmの間、又は70と110nmの間とすることができる。場合によっては、研磨層942の第1及び第2の厚さは、誘電体層900(又は誘電体層1000)の厚さ(t)の2%、5%、8%、又は10%未満とすることができる。一部の実施構成では、第1の厚さ及び第2の厚さは実質的に同じとすることができる。
【0141】
一部の実施例では、第1又は第2のプロセスのステップ6の後に誘電体接合領域上に残された研磨層942の厚さは、1nmと50nmの間とすることができる(初期の堆積厚さに依存する)。
【0142】
研磨層及びバリア層946は、スパッタリング、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)、スパッタリング、物理蒸着(PVD)、原子層堆積(ALD)などを含むがこれらに限定されない堆積プロセスを用いて配置することができる。
【0143】
一部の実施例では、研磨層942の平滑な表面は、別の(例えば、別の研磨層又は誘電体接合層の)平滑な表面に接合可能とすることができる。研磨層942の表面が接合可能でない一部の実施構成では、第1又は第2の製造プロセスのステップ6の後に誘電体接合領域上に残された研磨層を除去して(例えば、さらに研磨することで又はエッチングプロセスを用いて)、誘電体層900又は1000上の誘電体接合領域を露出させることができる。
【0144】
一部の実施構成では、第1、第2、又は第3のプロセスの終了時に結果として得られる構造の誘電体エッジ905a及び905b(
図7G、
図8G、又は
図9F)は、誘電体層900又は1000の上面の誘電体接合領域(フィールド領域)と開口部の側壁との間を移行する開口部(コンタクトパッドが形成される)の角部を含むことができ、この角部は、研磨プロセス後のコンタクトパッドの幅の20%未満、コンタクトパッドの幅の10%未満、又はコンタクトパッドの幅の5%未満の曲率半径(ROC)を規定する。
【0145】
様々な実施形態において、誘電体接合面の研磨面又は研磨層表面の研磨面は、10Å(rms)未満、5Å(rms)未満、3Å(rms)未満、又は2Å(rms)未満の粗さを有することができる。
【0146】
用語
関連上明らかに他を意味しない限り、本明細書及び特許請求の範囲を通して単語「備える」、「備えている」、「含む」、及び「含んでいる」などは、限定的又は包括的な意味に対立するものとして包括的な意味、すなわち、「含むがこれに限定されない」という意味で解釈されるものとする。本明細書で一般的に使用する単語「結合された」は、直接に接続されるか又は1又は2以上の中間要素を通して接続されるかのいずれかである2又は3以上の要素を指す。同様に、本明細書で一般的に使用する単語「接続された」は、直接に接続されるか又は1又は2以上の中間要素を通して接続されるかのいずれかである2又は3以上の要素を指す。これに加えて、単語「本明細書で」、「上記に」、「下記に」、及び類似の主旨を有する単語は、この出願に使用する場合に全体としてこの出願を指し、この出願のいずれかを特定の部分に言及しないものである。更に、本明細書に使用するように、第1の要素が第2の要素「上に」又は「それにわたって」あると説明する場合に、第1の要素は、第1及び第2の要素が直接接触するように直接的に第2の要素上に又はそれにわたってあるとすることができ、又は第1の要素は、第1の要素と第2の要素の間に1又は2以上の要素が介在するように間接的に第2の要素上に又はそれにわたってあるとすることができる。状況が許す限り、上述の詳細説明で単数又は複数を使用する単語は、それぞれ複数又は単数も包含することができる。2又は3以上の項目のリストに関連付けられた単語「又は」は、その単語に対して以下の解釈、すなわち、リスト中の項目のいずれか、リスト中の項目の全て、及びリスト中の項目のあらゆる組合せの全てを網羅する。
【0147】
さらに、とりわけ、「することができる」、「することができると考えられる」、「場合があると考えられる」、「場合がある」、「例えば」、「例えると」、及び「のような」などのような本明細書に使用する条件付き言語は、特に別段の記載がない限り、又は使用する関連内で別様に理解されない限り、ある一定の実施形態が特定の特徴、要素、及び/又は状態を含むのに対して、他の実施形態は含まないことを伝えるように一般的に意図している。従って、そのような条件付き用語は、一般的に、特徴、要素、及び/又は状態が1又は2以上の実施形態にいずれかの方法で必要であることと示唆するように意図していない。
【0148】
ある一定の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、一例として提示したに過ぎず、開示の範囲を限定することは意図していない。実際に、本明細書に説明した新しい装置、方法、及びシステムは、異なる他の形態に具現化することができ、更に、本発明の開示の精神から逸脱することなく本明細書に説明した方法及びシステムの形態に様々な省略、置換、及び修正を行うことができる。例えば、ブロックを所与の配置で提示したが、代替実施形態では、異なる構成要素及び/又は回路トポロジを使用して類似の機能を実行することができ、一部のブロックは、削除、移動、追加、細分化、結合、及び/又は修正が可能である。これらブロックの各々は、様々な異なる方法で実施することができる。上述の様々な実施形態の要素及び作動に対していずれかの適切な組合せを行って更に別の実施形態を提供することができる。特許請求の範囲及びその均等物は、本発明の開示の範囲及び精神に属するような形態又は修正を網羅するように意図している。
【符号の説明】
【0149】
502 誘電体層
504a、b コンタクトパッド
642 研磨層
A2 コンタクトパッドから離れた接合面領域
B2 コンタクトパッド間の接合面領域
【国際調査報告】