(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】プロヘキサジオン植物成長調整剤組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 37/42 20060101AFI20241128BHJP
A01P 21/00 20060101ALI20241128BHJP
A01N 25/04 20060101ALI20241128BHJP
A01N 25/30 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A01N37/42
A01P21/00
A01N25/04 102
A01N25/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538137
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 US2022081689
(87)【国際公開番号】W WO2023122484
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000000169
【氏名又は名称】クミアイ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンダーヒル,ロバート
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AB03
4H011BA05
4H011BB06
4H011BC04
4H011BC18
4H011DA15
4H011DD03
(57)【要約】
プロヘキサジオンカルシウム、硫酸アンモニウム及びアミンを含むプロヘキサジオンの水性懸濁濃縮液組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロヘキサジオンカルシウム、硫酸アンモニウム及びアミンを含む、プロヘキサジオンの水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項2】
前記アミンが、20℃で少なくとも4g/Lの水溶解度を有する、請求項1に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項3】
前記アミンは、以下の式(I)の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【化1】
(式中、
R
1、R
2及びR
3は、独立して、水素;C
1~C
6アルキル;アリール;水酸基、C
1~C
6アルコキシ、アミノ、C
1~C
6アルキルアミノ、アミノ置換アルキルアミノ、アミノ置換C
1~C
6アルコキシ及びジ-(C
1~C
6アルキル)アミノからなる群より選択される置換基で置換されたC
1~C
6アルキルからなる群より選択され、
R
1、R
2及びR
3の少なくとも1つは水素以外であり、
R
1、R
2及びR
3のうちの2つが一緒になって、アミン窒素を組み込んだ、メチレン及び任意に(アミン窒素に加えて)-O-、オキソ(C=O)、-N(H)-及び-N(C
1~C
6-アルキル)-から選択されるさらなるヘテロ原子環員を有する5又は6の構成環員の環を形成し、
R
1、R
2及びR
3の他の1つは、水素、C
1~C
6アルキル並びに水酸基、C
1~C
6アルコキシ、アミノ及び(C
1~C
6アルキル)アミノからなる群より選択される置換基で置換されたC
1~C
6アルキルから選択される。)
【請求項4】
式Iにおいて、基R
1、R
2及びR
3が、独立して、水素;C
1~C
6アルキル;水酸基、C
1~C
6アルコキシ、アミノ、C
1~C
6アルキルアミノ、アミノ置換アルキルアミノ、アミノ置換C
1~C
6アルコキシ及びジ-(C
1~C
6アルキル)アミノからなる群より選択される置換基で置換されたC
1~C
6アルキルからなる群より選択され、
R
1、R
2及びR
3の少なくとも1つは水素以外である、請求項3に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項5】
式Iにおいて、基R
1、R
2及びR
3が、独立して、水素;C
1~C
6アルキル;水酸基、C
1~C
6アルコキシ、アミノ、C
1~C
6アルキルアミノ、アミノ置換アルキルアミノ、アミノ置換C
1~C
6アルコキシ及びジ-(C
1~C
6アルキル)アミノからなる群より選択される置換基で置換されたC
1~C
6アルキルからなる群より選択され、
R
1、R
2及びR
3の少なくとも1つは水素以外である、請求項3に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項6】
前記アミンが、エタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、モルホリン及び2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールからなる群より選択される、請求項1に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項7】
第三級アミンが、トリエタノールアミン又はトリイソプロパノールアミンである、請求項1に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項8】
プロヘキサジオンカルシウムが少なくとも5重量%の量で存在する、請求項1に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項9】
プロヘキサジオンカルシウムが、組成物の5重量%~20重量%の量で存在する、請求項1に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項10】
硫酸アンモニウムとプロヘキサジオンカルシウムの重量比が3:1~1:1である、請求項1に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項11】
前記アミンが、組成物のpHが7.5~9.5の範囲、好ましくは7.5~9の範囲、例えば7.8~9.0、7.8~8.5、最も好ましくは約8となる量で組成物中に存在する、請求項1に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項12】
前記アミンが、組成物の1重量%~10重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項13】
前記アミンが、組成物の0.5重量%~5重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項14】
5重量%~15重量%のプロヘキサジオンカルシウムと、
重量比が6:1~1:1の範囲の硫酸アンモニウムおよびプロヘキサジオン硫酸塩と、
0.5重量%~5重量%の非揮発性第三級アミンと、
を含む、請求項1に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項15】
7重量%~15重量%のプロヘキサジオンカルシウム;
15重量%~30重量%の硫酸アンモニウム;
0.5重量%~5重量%のアミン、好ましくはトリエタノールアミン、及び
2重量%~20重量%の界面活性剤
を含む、請求項1に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項16】
オルガノシリコーン、アルキルポリオキシエチレンエーテル、アルキルフェノールエトキシレート及びアルコールアルコキシレート界面活性剤;
脂肪酸、脂肪酸エステル及び脂肪酸アミンエトキシレート、ソルビタン及びエトキシ化ソルビタンエステル;
エトキシ化植物油、アルキル、グリコール及びグリセロールエステル並びにグリコールエーテル;
トリスチリルフェノールエトキシレート;
グリセロール、ジカルボン酸及びモノカルボン酸のコポリマー;並びに
グルカミド
からなる群より選択される界面活性剤を含む、請求項1に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項17】
グリセロール、無水フタル酸及びヤシ脂肪酸のコポリマーである界面活性剤を含む、
請求項1に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項18】
非イオン性湿潤剤を含む、請求項1に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項19】
グルカミドから選択される湿潤剤である界面活性剤を含む、請求項15に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項20】
前記界面活性剤組成物が、カプリロイル/カプロイルメチルグルカミドを含む、請求項15に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項21】
グリセロール、ジカルボン酸及びモノカルボン酸のコポリマーを0.5重量%~10重量%、例えば0.5重量%~5重量%含む、請求項1に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項22】
前記界面活性剤組成物が、水性懸濁濃縮液組成物の0.5~10重量%のグルカミド界面活性剤を含む、請求項1に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項23】
5重量%~15重量%のプロヘキサジオンカルシウム;
10重量%~30重量%の硫酸アンモニウム;
0.5重量%~5重量%のアミン、好ましくはトリエタノールアミン;
0.5重量%~10重量%、例えば0.5重量%~5重量%のグリセロール、ジカルボン酸及びモノカルボン酸のコポリマーである界面活性剤;及び
0.5重量%~10重量%のグルカミド界面活性剤、例えば0.5重量%~5重量%のグルカミド界面活性剤、
を含む、請求項1に記載の水性懸濁濃縮液組成物。
【請求項24】
1重量%~10重量%のプロピレングリコール不凍剤を含む、
請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
請求項1に記載の組成物を、任意に希釈後に、葉面散布すること含む、
植物の成長を調節する方法。
【請求項26】
前記植物が、果樹(特にリンゴ、ナシ及びサクランボ)、イネ科植物(特にコムギ、トリチセラ、オオムギ、オーツムギおよびライムギ、さらにはトウモロコシ、イネ、サトウキビ及び芝生)、ワタ、ダイズ、アワ、ヒマワリ、ナタネ、ラッカセイ、コーヒー、イネ、観賞用植物、芝生の草(例えば、ケンタッキーブルーグラス、1年生及び多年生のライグラス、トールフェスク、レッドフェスク、ホワイトオーストリッチグラス、1年生のブルーグラス、シバ属、バミューダグラス、セントバイドグラス、セントオーガスチングラス)からなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記水性組成物を葉面散布前に水で希釈し、50ppm (ai)~1000ppmの濃度で対象植物に散布される、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物成長調整剤プロヘキサジオンの水性懸濁濃縮液及びその製造方法並びに雑草防除におけるプロヘキサジオンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プロヘキサジオンカルシウム(IUPAC名:カルシウム3,5-ジオキソ-4-プロピオニルシクロヘキサンカルボン酸(CA):カルシウム3,5-ジオキソ-4-(1-オキソプロピル)シクロヘキサンカルボキシレート)は、植物ホルモンであるジベレリンの生合成を阻害することにより、節間伸長と栄養成長を抑制する葉面散布型の植物調整剤である。プロヘキサジオンカルシウムは、例えば、オオムギ、オーツムギ、コムギを含む穀物の植物成長抑制、また芝生、リンゴ、ナシ、サクランボ、ラッカセイにも使用される。リンゴやナシの葉に散布することで、火傷病(Erwinia amylovoraによる)とリンゴ黒星病(Venturia inaequalisによる)という2つの主要な病気に対するリンゴやナシの葉の抵抗性を高める。
【0003】
プロヘキサジオンカルシウムは、ドライフロアブル製剤として利用可能である。水分散性顆粒などのドライフロアブル製剤は、スプレータンク内で硫酸アンモニウムと混合されることが多く、組成物の活性を改善し、スプレータンク内の硬水との混合の問題を軽減する。ドライフロアブル製剤のエンドユーザーは、水中でドライフロアブル製剤を混合し、効果的に分散させる必要があり、希釈された組成物は通常、葉面にスプレー装置で散布される。ドライフロアブルの分散が不十分であったり、硬水源を使用したりすると、製品が沈降したり、スプレーノズルが詰まったりして、その結果、投与量が不足するリスクがある。
【0004】
プロヘキサジオンカルシウムの溶解度は、20℃の蒸留水中で約786mg/lであり、水性組成物中では経時的に分解しやすい。プロヘキサジオンカルシウムは、pH5~7で4.4~65日の加水分解速度が報告されており、290nm超の波長で吸収する発色団を含むため、日光による直接的な光分解を受けやすい可能性がある(Pesticide Manual第15版 ver.5.1 Alton British Crop Protection Counsel)。
【0005】
したがって、取り扱いの容易さ、スプレータンク内での希釈、および粉塵による危険性の低減のために、顧客はドライフロアブル組成物よりも液体製剤を好むことが多い。一方、プロヘキサジオンカルシウムの懸濁濃縮液組成物は必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、プロヘキサジオンカルシウムが、硫酸アンモニウムと有機アミンプロトンスカベンジャーの存在下で、安定な水性懸濁濃縮液として製剤化できることを見出した。
【0007】
本発明者らは、プロヘキサジオンカルシウム、硫酸アンモニウム、およびアミンを含むプロヘキサジオンの水性懸濁濃縮液組成物を提供する。アミンは、好ましくは20℃で少なくとも4g/Lの水溶解度を有する。
【0008】
本発明の組成物は、優れた保存安定性を示すプロヘキサジオンカルシウムを含む液体組成物に硫酸アンモニウムを含めるという大きな利点を提供する。この組成物は、固体粉末または顆粒を取り扱う必要がなく、圃場で使用する前に硫酸アンモニウムをタンク内で混合する必要がないため、硫酸アンモニウムによってもたらされる向上した活性を提供する。
【0009】
有機アミンは、第一級、第二級、第三級アミンであってもよく、DABCOなどの立体障害アミンであってもよい。
一実施形態において、アミンは、以下の式(I)の少なくとも1つを含む。
【化1】
【0010】
式中、R1、R2及びR3は、独立して、水素;C1~C6アルキル;アリール;水酸基、C1~C6アルコキシ、アミノ、C1~C6アルキルアミノ、アミノ置換アルキルアミノ、アミノ置換C1~C6アルコキシ及びジ-(C1~C6アルキル)アミノからなる群より選択される置換基で置換されたC1~C6アルキルから選択され;
R1、R2及びR3の少なくとも1つは水素以外であり;かつ
R1、R2及びR3のうちの2つが一緒になって、アミン窒素を組み込んだ、メチレン及び任意に(アミン窒素に加えて)-O-、オキソ(C=O)、-N(H)-及び-N(C1~C6-アルキル)-から選択されるさらなるヘテロ原子環員を任意に有する5又は6の構成環員の環を形成し、
R1、R2及びR3の他の1つは、水素、C1~C6アルキル並びに水酸基、C1~C6アルコキシ、アミノ及びアミノ-(C1~C6アルキル)からなる群より選択される置換基で置換されたC1~C6アルキルから選択される。
【0011】
式Iの好ましいアミンとしては、R1、R2及びR3が独立して、水素;C1~C6アルキル;水酸基、C1~C6アルコキシ、アミノ、C1~C6アルキルアミノ、アミノ置換アルキルアミノ、アミノ置換C1~C6アルコキシ及びジ-(C1~C6アルキル)アミノからなる群より選択される置換基で置換されたC1~C6アルキルからなる群より選択され;R1、R2及びR3の少なくとも1つは水素以外であるアミンが挙げられる。
【0012】
1つの一連の実施形態では、アミンは式Iであり、式中R1、R2及びR3は、独立して、水素及びC1~C6アルキルから選択される群から選択され、R1、R2及びR3の少なくとも1つはC1~C6アルキルである。この群の好ましいアミンは、モノ-、ジ-及びトリ-(C1~C6アルキル)アミンであり、好ましくはトリエチルアミンなどのトリ-(C1~C4アルキル)アミンである。この群の具体的なアミンの例としては、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、およびトリエチルアミンが挙げられる。
【0013】
さらなる一連の式Iのアミンでは、R1、R2及びR3は、独立して、水素、C1~C6アルキル並びに水酸基、C1~C6アルコキシ、アミノ、C1~C6アルキルアミノ、アミノ置換アルキルアミノ、アミノ置換C1~C6アルコキシ、(C1~C6アルキル)アミノ及びジ-(C1~C6アルキル)アミノからなる群より選択される置換基で置換されたC1~C6アルキルからなる群より選択され、R1、R2及びR3の少なくとも1つは水素及びC1~C6アルキル以外である。この化合物群のより具体的な例としては、C1~C6アルカノールアミン、ジ-(C1~C6アルカノール)アミン、トリ-(C1~C6アルカノール)アミン、ジ-(C1~C6アルキル)-C1~C6アルカノールアミン、(アミノC1~C6アルキル)-ジ-(C1~C6アルキル)アミン、ジ-(アミノC1~C6アルキル)(C1~C6アルキル)アミン、ジアミノC2~C6アルキル、アミノ-(C1~C4アルコキシ)-(C2~C4アルキル)アミンが挙げられる。この好ましい群では、エタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン(エタン-1,2-ジアミン)などの化合物が特に好ましい。
【0014】
一実施形態において、R1、R2及びR3のうちの2つが一緒になって、アミン窒素を組み込んだ、メチレン及び任意に、(アミン窒素に加えて)-O-、-N(H)-及び-N(C1~C6-アルキル)-から選択されるさらなるヘテロ原子環員からなる群より選択され、R1、R2及びR3の他の1つは、水素、C1~C6アルキル並びに水酸基、C1~C6アルコキシ、アミノ及び(C1~C6アルキル)アミノからなる群より選択される置換基で置換されたC1~C6アルキルから選択される。この群のアミンの例としては、モルホリン及びオキサゾリドンが挙げられる。オキサゾリドンなどの特定のカルバメートは、エタノールアミンに二酸化炭素を添加することによって溶液中で生成されることが理解されるであろう。
【0015】
さらなる一連の実施形態では、R1はアリールであり、R2及びR3は水素及びC1~C4アルキルから選択される。
【0016】
好ましいアミンの例としては、エタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールが挙げられる。最も好ましいアミンはトリエタノールアミンである。
【0017】
本組成物は、界面活性剤などの補助剤を含むことができ、一般的に含むであろう。
【0018】
本組成物は、通常は分散剤を含む。典型的には、分散剤は、懸濁濃縮液組成物1リットル当たり最大80gの量、例えば組成物1リットル当たり0.5~60gの量で組成物中に存在してもよい。
【0019】
さらなる実施形態では、本発明は、プロヘキサジオンの水性懸濁濃縮液組成物を水で希釈することを含むスプレー混合物の調製方法を提供する。
【0020】
さらに別の実施形態では、本発明は、プロヘキサジオンの水性懸濁濃縮液組成物を、場合により希釈後に植物の葉面に散布することを含む植物成長調整方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書(クレームを含む)において「含む」、「含まれる」又は「含んでいる」という用語が使用される場合、それらは、記載された特徴、整数、ステップ又は成分の存在を特定するものと解釈されるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップもしくは成分、又はそれらの群の存在を排除するものではない。
【0022】
「wt%」という用語は質量パーセントを意味し、特に断りのない限り、通常は懸濁濃縮液の質量パーセントである。
【0023】
本明細書で使用される「非揮発性」という用語は、特に断りのない限り、常温常圧で液体であり、20℃で有意な蒸気圧を有さず、通常は約200℃を超える平均沸点を有する物質を指す。
【0024】
1つの実施形態では、アミンは、組成物のpHが7.5~9.5の範囲、好ましくは7.5~9の範囲、例えば7.8~9.0、7.8~8.5、最も好ましくは約8となる量で組成物中に存在する。
【0025】
アミンの存在により、プロヘキサジオンカルシウムの水性懸濁濃縮液を、活性を高める硫酸アンモニウムと同じ組成物中に、水性組成物の大きな利便性と安全性とともに製剤化することができる。アミンは、好ましくは20℃で少なくとも4g/Lの水溶解度を有する。
【0026】
水性懸濁濃縮液組成物は、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも6重量%、例えば少なくとも7重量%又は少なくとも8重量%の量のプロヘキサジオンカルシウムを含んでもよい。いくつかの実施形態では、プロヘキサジオンカルシウムの量は、5重量%~30重量%の範囲、好ましくは5重量%~15重量%、例えば7重量%~15重量%、8重量%~15重量%、又は約10重量%である。
【0027】
硫酸アンモニウムとプロヘキサジオンカルシウムの重量比は、3:1~1:1、好ましくは2.5:1~1:1、例えば約2.5~1.5~約2:1であってもよい。
【0028】
プロヘキサジオンカルシウムとアミンの重量比は、好ましくは10:1~1:1の範囲、好ましくは8:1~2:1、例えば7:1~3:1又は約5:1である。
【0029】
典型的には、アミンの量は0.1重量%~10重量%の範囲、好ましくは0.5重量%~5重量%、例えば約1重量%~約5重量%である。
【0030】
一実施形態では、組成物は以下を含む。
5重量%~15重量%のプロヘキサジオンカルシウム、
重量比が6:1~1:1の範囲の硫酸アンモニウムとプロヘキサジオン硫酸塩の重量比、及び
0.5重量%~5重量%の非揮発性アミン。
【0031】
本組成物は、好ましくは、1種以上の界面活性剤を含む界面活性剤成分を含むであろう。
【0032】
さらなる実施形態では、水性懸濁濃縮液組成物は以下を含む。
5重量%~15重量%(好ましくは7重量%~15重量%)のプロヘキサジオンカルシウム、
10重量%~30重量%の硫酸アンモニウム、
0.5重量%~5重量%のアミン、好ましくはトリエタノールアミン、及び
2重量%~20重量%の界面活性剤。
【0033】
界面活性剤は、分散剤と湿潤剤を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、分散剤又は湿潤剤は、オルガノシリコーン、アルキルポリオキシエチレンエーテル、アルキルフェノールエトキシレート及びアルコールアルコキシレート界面活性剤;脂肪酸、脂肪酸エステル及び脂肪酸アミンエトキシレート、ソルビタン及びエトキシ化ソルビタンエステル;エトキシ化植物油、アルキル、グリコール及びグリセロールエステル並びにグリコールエーテル、トリスチリルフェノールエトキシレート;グリセロール、ジカルボン酸及びモノカルボン酸のコポリマー;並びにグルカミドから選択される。
【0034】
本組成物の界面活性剤成分は、好ましくは分散剤を含む。
分散剤の例としては、リグニンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸縮合物、ポリアリールフェノールエトキシレートの硫酸エステル及びリン酸エステル、ポリアリールエーテルの硫酸エステル及びリン酸エステル、ポリカルボン酸エステル並びにそれらの塩、アルコキシル化ジ(C1~C4アルキル)ジエタノールアミンのエステル(特にトリメラートエステル)、及び櫛型グラフトポリマー分散剤が挙げられる。
【0035】
1つの一連の実施形態では、分散剤は、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム-ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩などのナフタレンスルホン酸縮合物、例えばメチルナフタレンスルホン酸ナトリウム-ホルムアルデヒド縮合物を含む。
分散剤のさらなる例は、ナフタレンスルホン酸縮合物、例えばアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム-ホルムアルデヒド縮合物(例えば、Morwet(商標)D425)である。
【0036】
さらなる一群の分散剤は、ポリアリールフェノールエトキシレートの硫酸エステル及びリン酸エステルから選択される。これらの硫酸エステル及びリン酸エステルは、酸形態で存在してもよく、又はアンモニウム塩やトリエタノールアミン塩などのアミン塩などの塩として存在してもよい。このような製品の例としては、Soprophor BSU、Soprophor S25、Soprophor TS/10、Soprophor 4D384、Soprophor 3D33、Soprophor FLが挙げられる。
【0037】
分散剤は、ポリアリールエーテル硫酸塩及びリン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。例えば、エトキシル化トリスチリルフェノール硫酸塩、例えば、2,4,6-トリス[1-(フェニル)エチル]フェニル-オメガ-ヒドロキシポリ(オキシエチレン)硫酸塩(Soprophor(登録商標)4D384)などのエトキシル化トリスチリルフェノール、及びエトキシル化トリスチリルフェノールリン酸塩、例えばポリエチレングリコール2,4,6-トリスチリルフェニルエーテルリン酸トリエタノールアミン塩(Soprophor(商標)FL)によって、優れた保存安定性が得られる。水性懸濁濃縮液の一実施形態では、第2の界面活性剤成分は、スルホン化又はリン酸化されたジ-又はトリスチレンフェノールエトキシレートを含む。
【0038】
分散剤成分のさらなる例は、エトキシル化トリスチレンフェノール硫酸塩、例えば、Soprophor(登録商標)FL又はエトキシル化トリスチリルフェノール硫酸塩、例えば2,4,6-トリス[1-(フェニル)エチル]フェニル-オメガ-ヒドロキシポリ(オキシエチレン)硫酸塩(Soprophor(商標)4D384)を含む。
【0039】
一実施形態では、分散剤は、ポリアリールエーテル硫酸塩及び/又はリン酸塩の塩、例えばトリスチリルエーテル硫酸塩のアンモニウム塩を含む。
【0040】
1つの一連の実施形態では、懸濁濃縮液組成物の分散剤は、ポリカルボン酸塩又はその塩を含む。ポリカルボン酸塩には、アクリル酸及び/又はメタクリル酸ポリマー、及び不飽和ジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体と直鎖状又は分枝状アルケンの反応生成物、例えば分子量が約600~約12,000の範囲のポリカルボン酸塩が含まれる。ポリカルボン酸塩界面活性剤の例としては、無水マレイン酸と2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物であるGeropon T/36が挙げられる。
【0041】
1つの一連の実施形態における分散剤は、アルコキシル化ジ(C1~C4アルキル)ジエタノールアミンのエステル(特にトリメラートエステル)、例えば、ポリオキシエチレン(12)ジエチルエタノールアミンモノトリメラートを含むアルコキシル化ジエチルエタノールアミンのトリメラートエステル(例えば、アルコキシル化ジエチルエタノールアミンモノトリメラート)から選択される。このような両性ポリマー界面活性剤の例としては、Atlox(商標)4915の商品名で入手可能なものが挙げられる。両性ポリマー界面活性剤、好ましくはポリオキシエチレン(12)ジエチルエタノールアミンモノトリメラートなどのアルコキシル化ジエチルエタノールアミンモノトリメラートの量は、濃縮液1リットル当たり好ましくは10~80g、より好ましくは20g/L~80g/Lである。
【0042】
分散剤は、湿潤剤としても機能し得る櫛型グラフトポリマー分散剤を含んでもよい。櫛型グラフトポリマーは、異なる化学組成のポリマー骨格から分岐した1つの化学組成のポリマー又はオリゴマー鎖を有する物質である。本発明に使用するための好ましい櫛型グラフトポリマー界面活性剤は、ポリマー骨格及びポリマー骨格に付加されたポリエーテル基を有する。本発明に従って使用され得る櫛型グラフトポリマーには、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート又はメチル(メタ)アクリレートポリマーが含まれるが、これらに限定されるものではなく、これらは、例えば、ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール)などの別のポリマーの鎖が(メタ)アクリレートポリマー骨格から伸びている。
【0043】
1つの一連の実施形態では、櫛型グラフトポリマーは、ポリマー、例えば(メタ)アクリル酸、アクリレート、(メタ)アクリレート又はメチル(メタ)アクリレートポリマー及びコポリマーから形成されるポリマー骨格と、この骨格から伸びるポリエチレングリコール(PEG)分枝を有する。2次元表示では、PEG分枝は、(通常は直鎖状の)アクリレートポリマー骨格に垂直に描かれ、くしの歯に似ているため、「櫛型グラフトポリマー」と呼ばれる。櫛型グラフトポリマーは特許材料であるため、その組成及び製造に関する具体的な詳細は出願人には不明である。
【0044】
適切な櫛型グラフトポリマーには、Tersperse(商標)2500(Huntsman社製の約35%の櫛型グラフトコポリマー溶液)、Ethacryl P(商標)(Lyondell Chemical社製の35~45%の櫛型グラフトコポリマー溶液)などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
本組成物は、濃縮物に適切な粘度、例えば200cP~1500cPの範囲の粘度(20℃などの室温でスピンドル2を使用して20rpmで測定したブルックフィールド粘度)を提供するために、1種以上の増粘剤を含んでもよい。増粘剤の例としては、キサンタンガム、ラムザンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン又はウェランガムなどの多糖類;ポリアクリル酸ナトリウムなどの合成ポリマー、カルボキシメチルセルロースなどの半合成多糖類;アルミニウムマグネシウムケイ酸塩、スメクタイト、ベントナイト、ヘクトライト又はフュームドシリカなどの鉱物微粉末;又はアルミナゾルが挙げられる。本発明の懸濁液に使用される増粘剤の量は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上であり、通常は同時に5.0重量%以下、好ましくは1.0重量%以下であり、重量%は農薬懸濁濃縮液組成物の重量に基づく。増粘剤の量は一般的に約0.1g/L~20g/Lある。
【0046】
一実施形態では、スメクタイト粘土などの無機増粘剤を3~25g/L、好ましくは3g/L~15g/L、より好ましくは8g/L~12g/Lで使用する。好ましい実施形態では、キサンタンガムなどの有機増粘剤を0.5g/L~10g/L、好ましくは0.5g/L~5g/L、例えば1g/L~2.5g/Lで使用する。
【0047】
本組成物は、防腐剤や消泡剤などの他の添加剤を含むことができ、通常は含むであろう。本発明のいくつかの実施形態に従って使用され得る好ましい防腐剤には、例えば、Proxel GXL(商標、Zeneca AG)として市販されている1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンが含まれる。本発明の懸濁液に使用される防腐剤の量は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上であり、同時に1.0重量%以下、好ましくは0.3重量%以下であり、重量%は農薬懸濁濃縮液製剤の重量に基づく。通常は、その量は約0.5g/L~約8g/L、好ましくは1.5g/L~4g/Lである。
【0048】
本発明の組成物に使用され得る好ましい分散剤の例としては、グリセロール、ジカルボン酸及びモノカルボン酸のコポリマーが挙げられる。このタイプの界面活性剤は、US20090156407に記載されている。このタイプの好ましい界面活性剤は、グリセロール、無水フタル酸及びヤシ脂肪酸のコポリマーである。好ましい分散剤の市販の例としては、クラリアント社から「Synergen GL 5」の商品名で入手可能であり、約70%の界面活性剤コポリマーを水中に含み、HLBが約18である。
【0049】
界面活性剤は、好ましくは非イオン性湿潤剤も含む。広範なアルコキシレート湿潤剤が知られており、市販されている。本発明の組成物に使用するための好ましい湿潤剤は、カプリロイル/カプロイルメチルグルカミドなどの水性/グリコール溶液中のグルカミドである。
【0050】
より好ましくは、本発明の組成物は、成分e)として、オクチル-N-メチルグルカミドとデシル-N-メチルグルカミドの混合物を含む。この製品は、クラリアント社からSynergen(商標) GAの名称で入手可能である。この混合物中のオクチル-N-メチルグルカミドの割合は、この混合物中に存在するアルキルグルカミドの総量に基づいて、重量で10%~90%、好ましくは重量で20%~80%、より好ましくは重量で30%~70%であってもよい。この混合物中のデシル-N-メチルグルカミドの割合は、この混合物中に存在するアルキルグルカミドの総量に基づいて、重量で10%~90%、好ましくは重量で20%~80%、より好ましくは重量で30%~70%であってもよい。
【0051】
本組成物は、好ましくは硫酸アンモニウム、水、アミン、分散剤及び任意に他の成分の混合物とともに、プロヘキサジオンカルシウム粒子状物質を粉砕することにより、プロヘキサジオンカルシウムの粒径を10ミクロン以下のd90、好ましくは8ミクロン以下のd90に減少させて調製することができる。組成物中のプロヘキサジオンカルシウムのd90粒径は、例えば2ミクロン~10ミクロンの範囲、好ましくは2ミクロン~8ミクロン、例えば5ミクロン~8ミクロンであってもよい。プロヘキサジオンカルシウムのエアミリングも、湿式粉砕の代替として使用することができる。
【0052】
一実施形態では、本組成物は、グリセロール、ジカルボン酸及びモノカルボン酸のコポリマーから選択される界面活性剤を0.5重量%~10重量%(例えば0.5重量%~5重量%)含む。特に好ましいのは、グリセロール、無水フタル酸及びヤシ脂肪酸のコポリマーである。
【0053】
一実施形態では、本組成物は、0.5~10重量%のグルカミド界面活性剤、例えば0.5重量%~5重量%のグルカミド界面活性剤を含んでもよい。
【0054】
したがって、プロヘキサジオンの水性組成物の一実施形態では、本組成物は以下を含む:
5重量%~15重量%のプロヘキサジオンカルシウム;
10重量%~30重量%の硫酸アンモニウム;
0.5重量%~5重量%のアミン、好ましくはトリエタノールアミン;及び
0.5重量%~10重量%、例えば0.5重量%~5重量%のグリセロール、ジカルボン酸及びモノカルボン酸のコポリマーである界面活性剤、及び
0.5重量%~10重量%のグルカミド界面活性剤、例えば0.5重量%~5重量%のグルカミド界面活性剤。
【0055】
本組成物は、湿潤性海面活性剤を含んでもよい。好ましい湿潤性海面活性剤には、脂肪族基に8~18個の炭素原子を有する脂肪族アルコールの非イオン性ポリグリコールエーテル誘導体が含まれる。より好ましい界面活性剤は、HLBが5~14の範囲、さらにより好ましくは9~14の範囲である。有用な界面活性剤の一例は、8~18個の炭素原子を有する脂肪族アルコールを2~15のエチレンオキシド(EO)単位でエトキシル化したものである。具体的な例としては、イソトリデシルアルコールポリグリコールエトキシレートを2、5、6、8又は15モルのエトキシル化したものがある。この種の市販の界面活性剤としては、それぞれ「Genapol」X020、Genapol X050、Genapol X060、Genapol X080、Genapol X090、Genapol X100及びGenapol X150がある。これらの界面活性剤は、HLBが5~14の範囲である。Genapol X050、Genapol X060及びGenapol X080には、イソデシルアルコールを5EO~10EO単位でエトキシル化し、HLBが9~14の範囲である界面活性剤が含まれる。
【0056】
本発明者らは、一部のプロヘキサジオンカルシウム組成物が、貯蔵中又は水処理の結果として都市水源に一般的に存在する塩化カルシウムなどのカルシウム塩を含む水との配合時に、カルシウム塩沈殿物を形成しやすいことを見出した。我々は、キレート剤が、組成物の貯蔵又は圃場での使用中のカルシウム塩の形成傾向を低減することにより、懸濁濃縮液組成物の貯蔵及び取り扱いを大幅に改善することを見出した。農家などのエンドユーザーによる濃縮物の希釈は、水質及び鉱物含有量にばらつきのある水を使用することがある。キレート剤の使用は、この状況でも安定性を大幅に改善することが見出された。キレート剤の含有量は、通常、濃縮液の0.5重量%~8重量%の範囲であり、好ましくは0.5重量%~5重量%である。キレート剤の具体的な例としては、EDTAおよびその二ナトリウム塩などの塩、アミンポリカルボン酸塩、グルクロン酸塩、ニトリロ三酢酸(NTA)およびその三ナトリウム塩などの塩、メチルグリシン二酢酸(MGDA)およびその塩、特にメチルグリシン二酢酸の三ナトリウム塩(MGDA-Na3)が挙げられる。最も好ましいキレート剤は、メチルグリシン二酢酸(MGDA)およびその塩、特にメチルグリシン二酢酸の三ナトリウム塩(MGDA-Na3)である。濃縮液の0.5重量%~8重量%の量のMGDA-Na3が好ましく、特に0.5重量%~5重量%が好ましい。MGDA-Na3は、オランダのNouryon社からDISSOLVINE(登録商標)M-40及びDISSOLVINE(登録商標)M-Sの商標名で市販されている。
【0057】
本組成物は、トリエタノールアミンなどのアミンからの臭気を低減するために、臭気マスキング剤を含んでもよい。臭気マスキング剤の例としては、ノニルフェノールポリエチレングリコールエーテル30~70重量%、サリチル酸メチル20~40重量%をポリエチレングリコール10~30重量%中に含む混合物が挙げられる。
【0058】
本組成物は、不凍剤を含んでもよい。プロピレングリコールは、代表的な不凍剤である。グリセリンは、別の代表的な不凍剤である。不凍剤の量は、通常は組成物の約2重量%~10重量%、例えば5重量%~8重量%である。
【0059】
通常は、水溶性有機溶媒の含有量は、組成物の10重量%以下、例えば5重量%以下である。有機溶媒の水溶解度は、通常は20℃で組成物の単一相を可能にする。
【0060】
本組成物は、変性シリコーン系消泡剤などの消泡剤、例えばシロキサンシオールアルキレンオキシドコポリマーを含むと考えられるポリジメチルシロキサンエマルションを含んでもよい。このような消泡剤は、Momentive社からSAG 1572の商品名で入手可能である。
【0061】
本発明は、さらに、場合により希釈後に、組成物を葉面に散布することにより、植物の成長を調節する方法を提供する。好ましい植物は、果樹(特にリンゴ、ナシ及びサクランボ)、イネ科植物(特にコムギ、トリチセラ、オオムギ、オーツムギおよびライムギ、さらにはトウモロコシ、イネ、サトウキビ及び芝生)である。他の適した植物としては、ワタ、ダイズ、アワ、ヒマワリ、ナタネ、ラッカセイ、コーヒー、イネ、観賞用植物、芝生の草(例えば、ケンタッキーブルーグラス、1年生及び多年生のライグラス、トールフェスク、レッドフェスク、ホワイトオーストリッチグラス、1年生のブルーグラス、シバ属、バミューダグラス、セントパイドグラス、セントオーガスチングラス)などが挙げられる。
【0062】
本発明の利点は、プロヘキサジオンカルシウムと硫酸アンモニウムを水性製剤に配合できることである。
【0063】
水性組成物は、通常は散布前に水で希釈される。希釈後、組成物は、50ppmのプロヘキサジオンカルシウム有効成分(ai)~1000ppm (ai)の割合で樹勢の強い樹木に散布して、植生成長を効果的に制御することができる。植生成長を効果的に制御するために必要なプロヘキサジオンカルシウムaiの最適な割合は、植物の樹勢、樹齢、整枝体系、着果量、及び他の植生成長に影響を与える要因に依存する。通常、50ppm (ai)~500ppm (ai)の濃度で、植生成長を効果的に制御することができる。
【0064】
以下の実施例を参照して本発明を説明するが、これらの実施例は本発明の実施形態をさらに理解するために提供されるものであり、本発明の範囲又は適用可能性を特定の実施例に限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0065】
実施例1 - パート1 プロヘキサジオンカルシウム懸濁濃縮液
表1に示す成分を表1に示した量で組み合わせることにより、懸濁濃縮液を調製した。
一般的な方法:
水、硫酸アンモニウム、塩基、界面活性剤、有効成分を添加する。内容物をミルに移し、粒子径分布が8ミクロン未満になるまで材料を粉砕する。ミルから取り出し、ゲル化剤、消泡剤、水を添加してレットダウンを行う。
【表1】
【0066】
Synergen(登録商標)GL5は、クラリアント社のグリセロール/ヤシ脂肪酸/無水フタル酸のコポリマーである。
Synergen(商標)GAは、水性/グリコール酸溶液中のグルカミド[1-デオキシ-1(メチル-C8-10(偶数)-アルカノイル)アミノ)-D-グルシトール]である。
ケルザンはキサンタンガム多糖類である。
Sag1572- ポリジメチルシロキサンエマルション-シロキサンシオールアルキレンオキシドコポリマー
Proxel(商標)BN- 13.5%の1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(BIT)及び6.5%の2-ブロモ-2-ニトロパン-1,3-ジオールの水性分散液
Aromex(商標)WG28- ポリエチレングリコール中の30-70%ノニルフェノールポリエチレングリコールエーテル及び20-40%サリチル酸メチル
【0067】
組成物の実施例2-6
実施例1に従って、表2に示す重量の成分を用いて、本発明に従う組成物を調製した。
【表2】
【0068】
MIPA- モノイソプロピルアミン
TEOA- トリエタノールアミン
AMP 95- 水溶液中の95%2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール
【0069】
実施例1の組成物は懸濁濃縮液であり、散布水中で容易に分散した。本組成物の優れた安定性を示す試験結果を以下の表3に示す。
【表3】
【0070】
有効性 - 実施例1の組成物の有効性を、以下の手順を用いて試験し、表5に示す結果を得た。
【0071】
表題:ゴルフコースのフェアウェイや競技場として維持管理されているキクユグラスの芝生における植物成長調整剤。
【0072】
材料と方法:
カリフォルニア大学リバーサイド校の農業運営ステーションにおいて、キクユグラス(Pennisetum clandestinum)の成長調整について、Anuew 27.5 WDG、NUP-19022、およびPrimo Maxxを比較する試験を開始した。試験は、Hanford細砂壌土の高品質の芝生で行われた。試験区域は、試験期間中の生育時に週3日、0.5インチの高さで刈り込んだ。試験地には、月に0.5ポンドの窒素を施肥し、干ばつストレスを避けるために必要に応じて灌漑した。試験は、4反復のランダム化完全ブロック計画で行った。処理は、CO2バックパック散布機を用いて、約14日間隔で4回の散布日(A、C、E、G)に、1エーカー当たり44ガロンの散布量で行った(2020年6月25日(A)、2020年7月9日(C)、2020年7月23日(E)、2020年8月6日(G))。
【0073】
評価項目は、目視による芝生の質、芝生の薬害、NDVI、DGCI、刈り取り重量(生重量及び乾燥重量)とした。データはANOVAを用いて分析し、処理平均値はFisherのLSDを用いてp≦0.05レベルで分離した。
【0074】
【0075】
【0076】
†p値≧0.05は、処理間に有意差がない日付を示す。
1列内の異なる文字が付いた平均値は、互いに有意に異なる(P=0.05、LSD)。
2最も近い適用日(-A = 6/25、-C = 7/9、-E = 7/23、-G = 8/6/2020)からの日数(DA)を示す。
【0077】
Anuew(商標)植物成長調整剤は、Nufarm Americas社から入手可能な、有効成分としてプロヘキサジオンカルシウム(27.5重量%)を含む押出成形の粒状の植物成長調整剤である。
【0078】
Primo Maxx(商標)は、有効成分としてトリネキサパックエチル(120g/L)を含む芝生成長調整剤であり、マイクロエマルション濃縮液(シンジェンタ社から入手可能)である。
【0079】
刈り取り重量のまとめ
【0080】
Anuew 27.5 WDG、実施例1、Primo Maxxはすべて、散布開始後のすべての評価日に、無処理区と比較して統計的に有意に少ない刈り取り量を示し、2ヶ月間の試験期間中、一貫した成長調整効果を示した。Anuew 27.15 WDGと実施例1では、高用量が低用量よりも数値的には統計的に有意ではないが、数値的には、それぞれ散布開始後の刈り取り評価日8日中7日と8日中8日で成長調整効果(刈り取り量が少ない)が高まるという予測可能な用量反応が見られた。
【0081】
この試験は、各PGRによるキクユグラスの効果的かつ一貫した成長調整を示した。
【0082】
比較例1
【0083】
実施例1とほぼ同じ組成物を、表6に示す量の成分を含むように調製した。
【0084】
【0085】
【0086】
得られたpH原液は6.52と記録された。HPLCデータは分解を示した。
【0087】
比較例2
【0088】
比較例1の方法を用いて、表8に指定された量の以下の成分を用いて組成物を調製した。
【表8】
【0089】
3日後のpHは安定していないと記録された。pH不安定性は、AMS中の残留硫酸に起因する可能性がある。
【0090】
比較例3
【0091】
比較例3(CE-3)の組成物は、表9に示す重量の量で以下の表に示す成分を配合することにより調製した。
【表9】
【0092】
得られた製品は実用的な製品ではないことがわかった。
【0093】
実施例7 - タンクミックス適合性
【0094】
プロヘキサジオン製剤は、一般的に、多くのものと混合できない。
【0095】
実施例1の組成物のタンク混合を、様々な市販の除草剤で試験し、既存のプロヘキサジオン組成物*と比較した。
【表10】
【0096】
比較は、上記のタンクミックスパートナーと適合性がなかったNufarm Americas社のANUEW(商標)ブランドのプロヘキサジオンカルシウム27.5重量%の粒状組成物で行った。
【0097】
実施例8 - プロヘキサジオン懸濁濃縮液
【0098】
プロヘキサジオンカルシウムと組み合わせた一部の水源では、沈殿物が形成される可能性がある。本発明者らは、キレート剤、特にMGDAが、懸濁濃縮液の調製中又は調製後の結晶性物質の形成を阻害し、異なる品質の水中で製品を改善するのに有用であることを見出した。
【0099】
表11に示す組成のDissolvine(登録商標)-M組成物のMGBAを用いて、本発明の組成物を調製した。
【0100】
【0101】
Dissolvine(登録商標)-Mは、約40重量%のメチルグリシン二酢酸の三ナトリウム塩(MGDA-Na3)を水中に含むオランダのNouryon社の製品である。
【0102】
【0103】
2つの組成物を調製し、組成物AとBはキレート剤の添加が異なる。
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
いずれの組成物も状態は安定している。
【国際調査報告】