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特表2024-545339抗コロナウイルスのポリペプチド、その誘導体及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】抗コロナウイルスのポリペプチド、その誘導体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/165 20060101AFI20241128BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241128BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 15/50 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20241128BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C07K14/165
C12N15/63 Z ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K19/00
C12N15/50
A61P31/14
A61K47/64
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/107
A61K9/14
A61P37/04
A61K38/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538259
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 CN2022084473
(87)【国際公開番号】W WO2023123722
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111675955.3
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517121939
【氏名又は名称】中国科学院微生物研究所
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF MICROBIOLOGY, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(71)【出願人】
【識別番号】516373845
【氏名又は名称】深▲せん▼翰宇薬業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HYBIO PHARMACEUTICAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】4th Floor Office Building, Hybio Medicine Park, Middle Zone Hi-Tech Industrial Park, Nanshan District, Shenzhen, Guangdong 518057 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】高福
(72)【発明者】
【氏名】曾少貴
(72)【発明者】
【氏名】王奇慧
(72)【発明者】
【氏名】唐洋明
(72)【発明者】
【氏名】陳健韜
(72)【発明者】
【氏名】▲ウ▼麗麗
(72)【発明者】
【氏名】鄭安▲チ▼
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA45
4C076AA17
4C076AA29
4C076AA36
4C076AA53
4C076AA95
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB25
4C076CC06
4C076CC35
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA19
4C084MA22
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA43
4C084MA52
4C084MA59
4C084MA66
4C084NA13
4C084ZB33
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA18
4H045BA19
4H045BA55
4H045CA01
4H045DA86
4H045EA31
4H045FA33
(57)【要約】
本発明は、抗コロナウイルスのポリペプチド、その誘導体及びその使用に関し、本発明は、抗コロナウイルスのためのポリペプチドを提供し、且つこれを基にして上記ポリペプチドのコレステロール含有誘導体を提供し、これらのポリペプチド誘導体は、コロナウイルス、特にSARS-CoV-2オリジナル株及び変異株に対して予想外の阻害効果を生じ、新型コロナウイルスの予防又は治療のための薬物若しくはワクチンの製造に使用可能であり、極めて高い予防又は治療潜在力を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗コロナウイルスのためのポリペプチドであって、下記の(1)~(8):
(1)配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(2)配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(3)配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(4)配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(5)配列番号13に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(6)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(7)前記ポリペプチド(1)~(6)の何れか1つのアミノ酸配列において1つ又は複数のアミノ酸残基が置換、欠失、付加又は挿入されたアミノ酸配列を含み、且つコロナウイルスに対する阻害活性を有するポリペプチド、或いは
(8)前記ポリペプチド(1)~(6)の何れか1つのアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、93%、94%又は95%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つコロナウイルスに対する阻害活性を有するポリペプチド、
の何れか1つに記載の配列のポリペプチドであり、
好ましくは、前記ポリペプチドの配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号12、配列番号13、又は配列番号14の配列である、
ことを特徴とする、ポリペプチド。
【請求項2】
抗コロナウイルスのためのポリペプチド誘導体であって、前記ポリペプチド誘導体は、コレステロールの誘導体で修飾された請求項1に記載の抗コロナウイルスのポリペプチドであり、
好ましくは、前記コレステロールの誘導体の修飾部位は、ポリペプチドのC末端、N末端、又はポリペプチドのアミノ酸塩基側鎖にあり、より好ましくは、前記コレステロール修飾の修飾部位は、前記ポリペプチドのC末端にあり、
好ましくは、前記コレステロールの誘導体は、前記ポリペプチドのC末端にリンカーを介して連結しているか又は直接連結しており、
好ましくは、前記コレステロールの誘導体は、システインで修飾されたコレステロールの誘導体であり、
或いは
前記コレステロールの誘導体は、システイン及びPEGで修飾されたコレステロールの誘導体である、
ことを特徴とする、ポリペプチド誘導体。
【請求項3】
前記コレステロール誘導体は、

から選ばれ、
前記RはOH又はNHであり、
前記nは1~20の任意の整数、好ましくは2~6の任意の整数であり、
前記xは1~6の任意の整数である、
ことを特徴とする、請求項2に記載のポリペプチド誘導体。
【請求項4】
前記リンカーは、-NH-PEGn-(CH)x-CO-、(GSG)m、(GSGSG)m、(GSG)m-CONH-PEGn-(CH)x-CO-、又は(GSGSG)m-CONH-PEGn-(CH)x-CO-であり、
そのうち、mは0~6の任意の整数であり、
前記nは1~20の任意の整数、好ましくは2~6の任意の整数であり、
前記xは1~6の任意の整数である、
ことを特徴とする、請求項2又は3に記載のポリペプチド誘導体。
【請求項5】
前記ポリペプチド誘導体は、以下の構造I、構造II及び構造IIIに示される構造式を有する:



そのうち、前記Rは(GSG)m又は(GSGSG)mであり、mは0~6の任意の整数から選ばれ、好ましくは、mは0、1又は2であり、
前記RはOH又はNHであり、好ましくは、RはNHであり、
前記ポリペプチド配列は、請求項1における(1)~(8)から選ばれる何れか1つに記載のポリペプチド配列であり、
好ましくは、前記ポリペプチド配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号12、配列番号13、又は配列番号14の配列である、
ことを特徴とする、請求項2に記載のポリペプチド誘導体。
【請求項6】
前記ポリペプチド誘導体は以下から選ばれる:

























から選ばれる、
ことを特徴とする、請求項2に記載のポリペプチド誘導体。
【請求項7】
請求項1に記載のポリペプチドをコードするために用いられる、ことを特徴とする、ポリヌクレオチド配列。
【請求項8】
請求項7に記載のポリヌクレオチド配列を含む、ことを特徴とする、ベクター。
【請求項9】
請求項8に記載のベクターを含む、ことを特徴とする、細胞。
【請求項10】
請求項1に記載のポリペプチド、及び/又は請求項2~5の何れか一項に記載のポリペプチド誘導体を含む、ことを特徴とする、融合タンパク質又は複合体。
【請求項11】
医薬組成物であって、請求項1に記載のポリペプチド、及び/又は請求項2~5の何れか一項に記載のポリペプチド誘導体又はそれらの混合物、及び/又は請求項10に記載の融合タンパク質又は複合体、並びに薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を含み、
好ましくは、前記医薬組成物は、吸入剤、鼻腔用製剤、又は経口製剤若しくは非経口製剤の形態であり、
好ましくは、前記経口製剤は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、懸濁剤、丸剤及び液剤から選ばれ、
好ましくは、前記非経口製剤は、注射可能又はボーラス投与可能な製剤であり、
好ましくは、前記医薬組成物は、ワクチン組成物である、
ことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項12】
薬物の製造における、請求項1に記載のポリペプチド、及び/又は請求項2~5の何れか一項に記載のポリペプチド誘導体又はそれらの混合物、及び/又は請求項10に記載の融合タンパク質又は複合体の使用であって、前記薬物は、コロナウイルスの阻害、或いはコロナウイルスにより引き起こされる疾患の治療及び/又は予防のために用いられ、
好ましくは、そのうち、前記コロナウイルスは、SARS-CoV、MERS-CoV、SARS-CoV-2、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1のオリジナル株又はそれらの変異株から選ばれ、
好ましくは、前記コロナウイルスは、SARS-CoV-2オリジナル株、SARS-CoV-2変異株から選ばれ、
より好ましくは、前記SARS-CoV-2変異株は、Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicron、Kappa、Lambda、Deltacronから選ばれ、
好ましくは、コロナウイルスにより引き起こされる疾患は、新型コロナウイルス肺炎(Corona Virus Disease 2019、COVID-19)、重症急性呼吸器症候群、中東呼吸器症候群から選ばれ、
好ましくは、そのうち、前記薬物の剤形は、錠剤、カプセル剤、ドロップ剤、エアロゾル剤、丸剤、粉末剤、液剤、懸濁剤、エマルジョン、顆粒剤、リポソーム、経皮剤、坐剤、又は凍結乾燥粉末注射剤であり、
好ましくは、そのうち、前記薬物は、好ましいは、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射及び腹腔内注射、大槽内注射若しくは注入などの注射投与、経直腸、膣及び舌下などの体腔内投与、経鼻腔などの経気道投与、粘膜投与、又は表面投与により投与される、
使用。
【請求項13】
インビトロでコロナウイルスを阻害する方法であって、請求項1に記載のポリペプチド、及び/又は請求項2~5の何れか一項に記載のポリペプチド誘導体又はそれらの混合物、請求項10に記載の融合タンパク質又は複合体、及び/又は請求項11に記載の医薬組成物を投与することを含み、
好ましくは、そのうち、前記コロナウイルスは、SARS-CoV、MERS-CoV、SARS-CoV-2、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1のオリジナル株又はそれらの変異株から選ばれ、
好ましくは、前記コロナウイルスは、SARS-CoV-2オリジナル株、SARS-CoV-2変異株から選ばれ、
より好ましくは、前記SARS-CoV-2変異株は、Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicron、Kappa、Lambda、Deltacronから選ばれる、
方法。
【請求項14】
対象におけるコロナウイルス感染又はコロナウイルスにより引き起こされる疾患を予防又は治療する方法であって、請求項1に記載のポリペプチド、及び/又は請求項2~5の何れか一項に記載のポリペプチド誘導体又はそれらの混合物、請求項10に記載の融合タンパク質又は複合体、及び/又は請求項11に記載の医薬組成物を投与することを含み、
好ましくは、そのうち、前記コロナウイルスは、SARS-CoV、MERS-CoV、SARS-CoV-2、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1のオリジナル株又はそれらの変異株から選ばれ、
好ましくは、前記コロナウイルスは、SARS-CoV-2オリジナル株、SARS-CoV-2変異株から選ばれ、
より好ましくは、前記SARS-CoV-2変異株は、Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicron、Kappa、Lambda、Deltacronから選ばれ、
好ましくは、コロナウイルスにより引き起こされる疾患は、新型コロナウイルス肺炎(Corona Virus Disease 2019、COVID-19)、重症急性呼吸器症候群、中東呼吸器症候群から選ばれる、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医薬分野に関し、具体的には、コロナウイルスの予防又は治療のためのポリペプチド、その誘導体、そのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、当該ポリヌクレオチドを含む核酸構築物、当該核酸構築物を含む発現ベクター、形質転換細胞、及び以上を含む医薬組成物、並びに新型コロナウイルスの予防及び/又は治療のための薬物若しくはワクチンの製造におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
コロナウイルス(英語:Coronavirus)は、エンベロープを有し、ゲノムが線状一本鎖プラス鎖であるRNAウイルスであり、自然界に広く存在するウイルスの一種である。コロナウイルスの中には、ヒトに感染して疾患を引き起こすものがあり、これまでのところ、ヒトに感染できるコロナウイルスとしては、SARS-CoV、MERS-CoV、SARS-CoV-2、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1の7種類がある。
【0003】
SARS-CoV-2ウイルスは、新型コロナ肺炎の病原体であり、21世紀以来、ヒトの疫病の流行を引き起こす第三のコロナウイルスである。現在、SARS-CoV-2に対するワクチンやモノクローナル抗体薬物には、緊急使用許可が承認されたものが種々あるが、多くの研究によると、Beta、Delta、及びOmicronなどの広く流行している新型コロナウイルス変異株に対するそれらの保護効果が低下していることが示され、そのため、現在流行しており、及び将来出現する新型変異株に対する広域スペクトル薬物又はワクチンの開発が急務となっている。
【0004】
現在、コウモリ由来のRaTG13、RmYN02、ZC45、ZXC21など、センザンコウ由来のGX/P2V/2017及びGD/1/2019などの様々な新型コロナ関連コロナウイルス(sarbecovirusに属する)が報告されているが、研究によると、RaTG13、GX/P2V/2017、GD/1/2019などもヒトに感染する可能性があり、そのため、将来出現する可能性のある新規な疫病の流行に対処するために、これらの関連コロナウイルスに対する薬物又はワクチンの開発も急務となっている。
【発明の概要】
【0005】
先行技術の欠点に対して、本発明の目的は、コロナウイルスの予防又は治療のためのポリペプチド、それをコードするポリヌクレオチド、当該ポリヌクレオチドを含む核酸構築物、当該核酸構築物を含む発現ベクター、形質転換細胞、及び以上を含む医薬組成物、並びにコロナウイルスの予防又は治療のための薬物若しくはワクチンの製造におけるそれらの使用を提供することである。
【0006】
第1の態様において、本発明は、下記の(1)~(8)の何れか1つに記載の配列のポリペプチドである、抗コロナウイルスのためのポリペプチドを提供する:
(1)配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(2)配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(3)配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(4)配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(5)配列番号13に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(6)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(7)上記ポリペプチド(1)~(6)の何れか1つのアミノ酸配列において1つ又は複数のアミノ酸残基が置換、欠失、付加又は挿入されたアミノ酸配列を含み、且つコロナウイルスに対する阻害活性を有するポリペプチド、或いは
(8)上記ポリペプチド(1)~(6)の何れか1つのアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、93%、94%又は95%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つコロナウイルスに対する阻害活性を有するポリペプチド。
【0007】
好ましくは、上記ポリペプチドの配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号12、配列番号13、又は配列番号14の配列である。
【0008】
第2の態様において、本発明は、抗コロナウイルスのためのポリペプチド誘導体を提供し、上記ポリペプチド誘導体は、コレステロールの誘導体で修飾された上記抗コロナウイルスのポリペプチドである。
【0009】
更に、上記コレステロールの誘導体の修飾部位は、ポリペプチドのC末端、N末端、又はポリペプチドのアミノ酸塩基側鎖にある。好ましくは、上記コレステロール修飾の修飾部位は、上記ポリペプチドのC末端にある。
【0010】
更に、上記コレステロールの誘導体は、上記ポリペプチドのC末端にリンカーを介して連結しているか又は直接連結している。
【0011】
更に、上記コレステロールの誘導体は、システイン及び/又はPEGで修飾されたコレステロールの誘導体である。
【0012】
更に、上記コレステロール誘導体は、

から選ばれ、
上記RはOH又はNHであり、
上記nは1~20の任意の整数、好ましくは2~6の任意の整数、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20であり、
上記xは1~6の任意の整数、例えば1、2、3、4、5、6である。
【0013】
更に、上記リンカーは、-NH-PEGn-(CH)x-CO-、(GSG)m、(GSGSG)m、(GSG)m-CONH-PEGn-(CH)x-CO-、又は(GSGSG)m-CONH-PEGn-(CH)x-CO-であり、
そのうち、mは0~6の任意の整数、例えば0、1、2、3、4、5又は6であり、
上記nは1~20の任意の整数、好ましくは2~6の任意の整数、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20であり、
上記xは1~6の任意の整数、例えば1、2、3、4、5、6である。
【0014】
更に、上記ポリペプチド誘導体は、以下の構造I、構造II及び構造IIIに示される構造式を有する:
構造I式:ポリペプチド配列-R1-Cys(CHCONH(PEG)(CHCOOChol)-R
構造II式:ポリペプチド配列-R1-Cys(CHCOOChol)-R
構造III式:ポリペプチド配列-R1-CONH(PEG)(CH)x-Cys(CHCOOChol)-R
そのうち、上記ポリペプチド配列は、上記(1)~(8)の何れか1つに記載のポリペプチド配列を指し、
好ましくは、上記ポリペプチド配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号12、配列番号13、又は配列番号14の配列であり、
上記Rは(GSG)m又は(GSGSG)mであり、mは0~6の任意の整数から選ばれ、好ましくは、mは1又は2であり、
上記RはOH又はNHであり、好ましくは、RはNHである。
【0015】
更に、上記ポリペプチド誘導体は以下:























から選ばれる。
【0016】
第3の態様において、本発明は、第1の態様のポリペプチドをコードするためのポリヌクレオチド配列を提供する。
【0017】
第4の態様において、本発明は、第3の態様に記載のポリヌクレオチド配列を含むベクターを提供する。
【0018】
第5の態様において、本発明は、本発明の第4の態様に記載のベクターを含む細胞を提供する。
【0019】
第6の態様において、本発明は、第1の態様で提供されるポリペプチド及び/又は第2の態様で提供される誘導体、並びに薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を含む、医薬組成物を提供し、
一実施例において、上記医薬組成物は、吸入剤、鼻腔用製剤、又は経口製剤若しくは非経口製剤の形態であり、
好ましくは、上記経口製剤は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、懸濁剤、丸剤及び液剤から選ばれ、
好ましくは、上記非経口製剤は、注射可能又はボーラス投与可能な製剤であり、
より好ましくは、上記医薬組成物は、ワクチン組成物である。
【0020】
好ましくは、そのうち、上記薬物の剤形は、錠剤、カプセル剤、ドロップ剤、エアロゾル剤、丸剤、粉末剤、液剤、懸濁剤、エマルジョン、顆粒剤、リポソーム、経皮剤、坐剤、又は凍結乾燥粉末注射剤であり、
好ましくは、そのうち、前記薬物は、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射及び腹腔内注射、大槽内注射若しくは注入などの注射投与、経直腸、膣及び舌下などの体腔内投与、経鼻腔などの経気道投与、粘膜投与、又は表面投与により投与されることが好ましく、
第7の態様において、本発明は、薬物の製造における、上記ポリペプチド、ポリペプチド誘導体、融合タンパク質又は複合体の使用を提供し、上記薬物は、コロナウイルスの阻害、或いはコロナウイルスにより引き起こされる疾患の治療及び/又は予防のために用いられる。
【0021】
好ましくは、そのうち、上記コロナウイルスは、SARS-CoV、MERS-CoV、SARS-CoV-2、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1のオリジナル株又はそれらの変異株から選ばれ、
好ましくは、上記コロナウイルスは、SARS-CoV-2オリジナル株、SARS-CoV-2変異株から選ばれる。
【0022】
更に好ましくは、上記SARS-CoV-2変異株は、Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicron、Kappa、Lambda、Deltacronから選ばれる。
【0023】
好ましくは、コロナウイルスにより引き起こされる疾患は、新型コロナウイルス肺炎(Corona Virus Disease 2019、COVID-19)、重症急性呼吸器症候群、中東呼吸器症候群から選ばれる。
【0024】
第8の態様において、本発明は、上記ポリペプチド、ポリペプチド誘導体、融合タンパク質又は複合体、或いは医薬組成物を使用することを含む、インビトロでコロナウイルスを阻害する方法を提供し、
好ましくは、そのうち、上記コロナウイルスは、SARS-CoV-2オリジナル株及び/又はSARS-CoV-2変異株であり、
更に好ましくは、上記変異株は、Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicronを含む。
【0025】
更に、使用の方法は、第1の態様のポリペプチド、第2の態様で提供される誘導体及び/又は第3の態様の医薬組成物を、ウイルスと接触させることである。
【0026】
第9の態様において、本発明は、対象におけるコロナウイルス感染又はコロナウイルスにより引き起こされる疾患を予防又は治療する方法であって、上記ポリペプチド、ポリペプチド誘導体、融合タンパク質又は複合体、或いは医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供し、
好ましくは、そのうち、上記コロナウイルスは、SARS-CoV-2オリジナル株及び/又はSARS-CoV-2変異株であり、
更に好ましくは、上記SARS-CoV-2変異株は、Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicron、Kappa、Lambda、Deltacronを含む。
【0027】
第10の態様において、本発明は、対象におけるコロナウイルス感染又はコロナウイルスにより引き起こされる疾患を予防又は治療するための、上記ポリペプチド及びポリペプチド誘導体、融合タンパク質又は複合体の使用を提供し、
好ましくは、そのうち、上記コロナウイルスは、SARS-CoV-2オリジナル株及び/又はSARS-CoV-2変異株であり、
更に好ましくは、上記変異株は、Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicron、Kappa、Lambda、Deltacronを含む。
【0028】
本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0029】
本発明は、SARS-CoV-2ウイルスのSタンパク質のHR2領域に基づいて、ポリペプチドP3を設計し、且つそれに対して一連の改変(1つ又は複数のアミノ酸の増加又は置換を含む)を行ってポリペプチドを得、そしてポリペプチドにリンカー及びコレステロール修飾を行ってポリペプチド誘導体を得、ポリペプチド及びその誘導体は、SARS-CoV-2のオリジナル株及び変異株Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicronに対する優れた阻害効果を有し、新型コロナウイルスの予防又は治療のための薬物若しくはワクチンの製造に使用可能であり、極めて高い予防又は治療潜在力を有する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施例2における異なるポリペプチドの、SARS-CoV-2オリジナル株のシュードウイルスに対する阻害効果である。
図2】実施例2における異なるポリペプチドの、SARS-CoV-2変異株Omicronのシュードウイルスに対する阻害効果である。
図3】実施例3におけるポリペプチドP3-2の、新型コロナウイルスオリジナル株及び変異株Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicronのシュードウイルスに対する阻害効果である。
図4】実施例3におけるポリペプチドP3-2-GS-Cholの、新型コロナウイルスオリジナル株及び変異株Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicronのシュードウイルスに対する阻害効果である。
図5】実施例3におけるポリペプチドP3-2-PEG-Cholの、新型コロナウイルスオリジナル株及び変異株Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicronのシュードウイルスに対する阻害効果である。
図6】実施例3におけるポリペプチドP3-2-GS-PEG-Cholの、新型コロナウイルスオリジナル株及び変異株Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicronのシュードウイルスに対する阻害効果である。
図7】実施例3におけるポリペプチドP3-1-GS-PEG-Cholの、新型コロナウイルスオリジナル株及び変異株Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicronのシュードウイルスに対する阻害効果である。
図8】実施例4におけるポリペプチドP3-2-GS-Chol及びP3-2-GS-PEG-Cholのアミノ酸がN末端から1つずつノックアウトされた後の切断型ポリペプチドの、オリジナル株(SARS-CoV-2 Prototype)のシュードウイルスに対する阻害効果である。
図9】実施例4におけるポリペプチドP3-2-GS-Chol及びP3-2-GS-PEG-Cholのアミノ酸がN末端から1つずつノックアウトされた後の切断型ポリペプチドの、変異株Deltaのシュードウイルスに対する阻害効果である。
図10】実施例4におけるポリペプチドP3-2-GS-Chol及びP3-2-GS-PEG-Cholのアミノ酸がN末端から1つずつノックアウトされた後の切断型ポリペプチドの、変異株Omicronのシュードウイルスに対する阻害効果である。
図11】実施例5におけるポリペプチドP3-2-GS-cholの、Vero細胞上でのSARS-CoV-2オリジナル株及びその変異株の生ウイルスに対する阻害効果である。
図12】実施例5におけるポリペプチドP3-2-PEG-cholの、Vero細胞上でのSARS-CoV-2オリジナル株及びその変異株の生ウイルスに対する阻害効果である。
図13】実施例5におけるポリペプチドP3-2-GS-PEG-cholの、Vero細胞上でのSARS-CoV-2オリジナル株及びその変異株の生ウイルスに対する阻害効果である。
図14】実施例6におけるポリペプチドP3-2-GS-cholの、Vero E6細胞上でのSARS-CoV-2オリジナル株及びその変異株の生ウイルスに対する阻害効果である。
図15】実施例6におけるポリペプチドP3-2-PEG-cholの、Vero E6細胞上でのSARS-CoV-2オリジナル株及びその変異株の生ウイルスに対する阻害効果である。
図16】実施例6におけるポリペプチドP3-2-GS-PEG-cholの、Vero E6細胞上でのSARS-CoV-2オリジナル株及びその変異株の生ウイルスに対する阻害効果である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
コロナウイルススパイク(S)タンパク質は、ウイルス侵入を媒介するプロセスで重要な役割を果たし、S1及びS2の2つのサブユニットに分けられ、そのうち、S1サブユニットは受容体の認識を担い、S2サブユニットはウイルスエンベロープと宿主細胞膜との膜融合を媒介する。S2におけるヘプタペプチド反復配列HR1及びHR2は、6ヘリックスバンドルを形成することにより膜融合機能を発揮し、研究によると、異種HR1又はHR2ポリペプチドの加入が、ウイルス自体のHR1及びHR2の6ヘリックスバンドルの形成を阻害し、更に膜融合プロセスを阻害し得ることが示唆されている。
【0032】
本発明の目的は、SARS-CoV-2及びSARS様ウイルス感染に対する阻害機能を有し得るポリペプチド類侵入阻害剤のセットを提供することであり、上記ポリペプチド類侵入阻害剤は、SARS-CoV-2及びSARS様ウイルスS2タンパク質中のHR1領域に結合し、ウイルス自体の6ヘリックスバンドルの形成プロセスを妨害することにより、ウイルスの融合感染プロセスを阻害する。
【0033】
本発明は、SARS-CoV-2ウイルスのSタンパク質のHR2領域に基づいて、ポリペプチドP3を設計し、且つそれに対して一連の改変(1つ又は複数のアミノ酸の増加又は置換を含む)を行ってポリペプチドP3-1、P3-2、P3-3を得、そしてポリペプチドP3-1、P3-2、P3-3にリンカー及びコレステロール修飾を行い、そのコレステロール修飾ポリペプチド誘導体がSARS-CoV-2オリジナル株及び変異株Omicronに対して強い阻害効果を有するようにし、新型コロナウイルスの予防又は治療のための薬物若しくはワクチンの製造に使用可能である。
【0034】
当該セットのポリペプチドの具体的な配列は、表1に示す通りであるか、又はポリペプチド配列表に詳しく示される。当該発明のポリペプチドは、SARS-CoV-2に対する阻害活性を有し、一部のポリペプチドの阻害活性は予想外に高いレベルまで達しており、特に、新型コロナウイルス変異株Omicronに対して優れた阻害効果を達成した。
【0035】
本明細書において、ポリペプチドは、配列番号1~6の配列を含むポリペプチド又はその変異体であってもよい。
【0036】
例えば、ポリペプチドは、配列番号1、2又は3に示されるアミノ酸配列において1つ又は複数のアミノ酸が置換、付加、欠失又は挿入されたアミノ酸配列を含み得る。
【0037】
アミノ酸付加は、ポリペプチドがコロナウイルスに対する阻害活性を有する限り、アミノ酸配列、例えば配列番号1、2又は3の配列のC末端又はN末端にアミノ酸を付加することを指す。
【0038】
アミノ酸置換は、ポリペプチドがコロナウイルスに対する阻害活性を有する限り、アミノ酸配列、例えば配列番号1、2又は3の配列のある位置におけるあるアミノ酸残基が他のアミノ酸残基で置換されたことを指す。
【0039】
アミノ酸挿入は、ポリペプチドがコロナウイルスに対する阻害活性を有する限り、アミノ酸配列、例えば配列番号1、2又は3の配列の適切な位置にアミノ酸残基を挿入することを指し、挿入されたアミノ酸残基は全体又は一部が互いに隣接していてもよく、或いは、挿入されたアミノ酸は何れも互いに隣接していない。
【0040】
アミノ酸欠失は、ポリペプチドがコロナウイルスに対する阻害活性を有する限り、アミノ酸配列、例えば配列番号1、2又は3の配列から1、2又は3個以上のアミノ酸を削除してもよいことを指す。
【0041】
本発明のポリペプチド又はポリペプチド誘導体は、合成により生成されてもよく、或いは、本発明のポリペプチドは、細胞で発現されてもよい。例えば、化学的手段により本発明のポリペプチドを合成してもよい。或いは、組換え細胞において本発明のポリペプチドを発現してもよい。細胞の種類は限定されず、例えば、細胞は真核細胞又は原核細胞であってもよい。真核細胞は、酵母細胞などの真菌細胞、又は昆虫細胞若しくはマウス細胞などの哺乳動物細胞であってもよい。原核細胞は、大腸菌細胞などの細菌細胞であってもよい。
【0042】
本発明のポリペプチドのコレステロール修飾は、ポリペプチドがC末端でコレステロールの一部に連結するように、ポリペプチドのC末端で行うことができる。当該連結は、直接連結であってもよく、又はリンカーを介した連結であってもよい。本発明におけるポリペプチドのコレステロール修飾方法は、従来技術における公知の方法である。
【0043】
リンカーの種類と長さは変更可能である。例えば、リンカーは(GSG)m又は(GSGSG)mであってもよく、そのうち、mは任意の整数、例えば1、2、3、4、5、6などであってもよい。
【0044】
リンカーはPEG化され得る。PEG化修飾の手段は、当業者に既知のものである。本明細書で使用される場合、用語PEG化リンカーは、1つ又は複数のPEGが付加されたリンカーを指す。本明細書において、PEG化リンカーは、PEG化の(GSG)n又は(GSGSG)nであってもよい。nは任意の整数、例えば1、2、3、4、5、6などであってもよい。
【0045】
本明細書に使用されるように、「PEGm」は、ポリエチレングリコール繰り返し単位の数がmであることを意味する。mは任意の整数、例えば1、2、3、4、5、6、8、10、12、14、16、18、20であってもよい。
【0046】
本明細書に使用されるように、コロナウイルスは、任意の種類のコロナウイルスであってもよい。好ましくは、上記コロナウイルスは、オリジナル株Prototype又は変異株Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicron、Kappa、Lambda、Deltacronである。
【0047】
本発明のポリペプチド又はポリペプチド誘導体は、薬物又は医薬組成物として製造することができ、このような医薬組成物は、吸入剤、鼻腔用製剤、又は経口製剤若しくは非経口製剤の形態であり、
好ましくは、上記経口製剤は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、懸濁剤、丸剤及び液剤から選ばれ、
好ましくは、上記非経口製剤は、注射可能又はボーラス投与可能な製剤であり、
好ましくは、医薬組成物は、ワクチン組成物であり、
このような薬物は、錠剤、カプセル剤、ドロップ剤、エアロゾル剤、丸剤、粉末剤、液剤、懸濁剤、エマルジョン、顆粒剤、リポソーム、経皮剤、坐剤、又は凍結乾燥粉末注射剤であってもよい。これらの薬物又は医薬組成物は、様々な投与方法、例えば、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射及び腹腔内注射、大槽内注射若しくは注入などの注射投与、経直腸、膣及び舌下などの体腔内投与、経鼻腔などの経気道投与、粘膜投与、又は表面投与により使用されてもよい。
【0048】
本発明は、対象におけるコロナウイルス感染又はコロナウイルスにより引き起こされる疾患を予防又は治療する方法であって、本発明のポリペプチド又はポリペプチド誘導体を投与することを含む、方法を提供する。本発明は、対象におけるコロナウイルス感染又はコロナウイルスにより引き起こされる疾患を予防又は治療するためのポリペプチド又はポリペプチド誘導体を更に提供する。
【0049】
本発明は、対象におけるコロナウイルス感染又はコロナウイルスにより引き起こされる疾患を予防又は治療する方法であって、本発明のポリペプチド又はポリペプチド誘導体の組成物を対象/患者に投与することを含む、方法に更に関し、
好ましくは、そのうち、コロナウイルスは、オリジナル株Prototype又は変異株Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicron、Kappa、Lambda、Deltacronである。
【0050】
本発明は、対象におけるコロナウイルス感染又はコロナウイルスにより引き起こされる疾患を予防又は治療するためのポリペプチド又はポリペプチド誘導体或いは組成物に更に関し、好ましくは、そのうち、上記コロナウイルスは、オリジナル株Prototype又は変異株Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicron、Kappa、Lambda、Deltacronである。
【0051】
本発明は、対象/患者におけるコロナウイルス感染又はコロナウイルスにより引き起こされる疾患を予防又は治療するためのポリペプチド又はポリペプチド誘導体或いは組成物、医薬組成物、及び試薬キットに更に関し、好ましくは、そのうち、上記コロナウイルスは、オリジナル株Prototype又は変異株Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicron、Kappa、Lambda、Deltacronである。
実施例
【0052】
本発明がより明確に理解されるように、以下の実施例及び図面を参照しながら本発明を更に説明する。実施例は、単に説明するためであり、本発明を限定するものではない。実施例において、各未加工試薬材料は何れも市販されており、具体的な条件が明記されていない実験方法は、当技術分野における周知の通常の方法及び通常の条件、又は機器メーカーにより推奨された条件に従う。
【0053】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0054】
本発明は、SARS-CoV-2のSタンパク質のHR2領域に基づいて、ポリペプチドP3を設計し、且つP3ポリペプチドに対して一連の改変(1つ又は複数のアミノ酸の増加又は置換を含む)を行い、改変後のポリペプチドをそれぞれP3-1、P3-2、P3-3と命名し、そしてポリペプチドP3-1、P3-2、P3-3にリンカー及びコレステロール修飾を行って対応するポリペプチド誘導体を得、当分野で通常使用される方法により直接合成される。
【0055】
実験機器及び材料:
シュードウイルス・パッケージング骨格ウイルスG*VSV-delG(武漢枢密脳科学技術有限公司から購入)。
【0056】
真核生物系タンパク質pCAGGS発現ベクター(蘇州金唯智社により提供)。
【0057】
HEK 293T ACE2細胞(蘇州金唯智社により提供)。
【0058】
ポリペプチド:
本発明者らは、ヒト感染コロナウイルスタンパク質中のHR1及びHR2配列の同一性を比較することにより、ポリペプチドP3を設計し、且つP3ポリペプチドに対して一連の改変(1つ又は複数のアミノ酸の増加又は置換を含む)を行い、改変後のポリペプチドをそれぞれP3-1、P3-2、P3-3と命名し、そしてポリペプチドP3-1、P3-2、P3-3に一連のリンカー及びコレステロール修飾を行って対応するポリペプチド誘導体を得、表1に示されるこれらのポリペプチド及びポリペプチド誘導体の具体的な配列及び構造を得た。合成及び精製は、深セン翰宇薬業股フン有限公司により行い、その純度>95%である。
【0059】
【表1】
【0060】
本発明のSARS-CoV-2オリジナル株及びその変異株のシュードウイルスは、本発明者らの実験室によりパッケージングして得られる(実施例2を参照)。
実施例1
【0061】
SARS-CoV-2オリジナル株及び変異株のシュードウイルスのパッケージング
切断されたSタンパク質の発現プラスミドの製造
1)SARS-CoV-2オリジナル株(Prototype)及び変異株(Alpha(B.1.1.7)、Beta(B.1.351)、Gamma(P.1)、Delta(B.1.617.2)及びOmicron(BA.1))のSタンパク質の最後の18位アミノ酸をコードするヌクレオチドを除去し、それぞれヌクレオチド配列SARS-CoV-2-Prototype-S-del18、B.1.1.7-S-del18、B.1.351-S-del18、P.1-S-del18、B.1.617.2-S-del18、BA.1-S-del18を得、そして蘇州金唯智社により合成した。
【0062】
2)pCAGGS発現ベクターに1)で得られた各ヌクレオチド配列をそれぞれクローニングし、発現プラスミドpCAGGS-SARS-CoV-2-Prototype-S-del18、pCAGGS-B.1.1.7-S-del18、pCAGGS-B.1.351-S-del18、pCAGGS-P.1-S-del18、pCAGGS-B.1.617.2-S-del18、及びpCAGGS-BA.1-S-del18を得た。
【0063】
SARS-CoV-2オリジナル株及び変異株のシュードウイルスのパッケージング
a.細胞の準備:10cm細胞ペトリ皿にHEK 293T細胞を播種し、翌日の細胞コンフルエンスが80%程度に達するようにした。
【0064】
b.トランスフェクション:上記ステップ2)で得られた各Sタンパク質の発現プラスミドを取り、PEIで30μgプラスミド/10cm細胞ペトリ皿にトランスフェクションし、目的プラスミドとPEIとを1:3の割合で均一に混合してからトランスフェクションし、4~6hに培養液(10%FBS含有DMEM培地)を換えて37℃で24h培養した。
【0065】
c.ウイルス加入:上記トランスフェクションしたHEK 293T細胞に、シュードウイルス・パッケージング骨格ウイルスG*VSV-delG(武漢枢密脳科学技術有限公司から購入)を加え、37℃で2hインキュベートし、培養液(10%FBS含有のDMEM培地)を換え、そしてVSV-G抗体(当該抗体を発現するハイブリドーマ細胞はATCC細胞バンクから購入)を加え、インキュベーターで引き続き30h培養した。
【0066】
d.ウイルス回収:上清を回収して3000rpmで10min遠心分離し、超クリーンベンチにおいて0.45μmの滅菌フィルターでろ過し、細胞破片を除去し、分注し、-80℃の冷蔵庫で保存した。
【0067】
上記ステップを経て、SARS-CoV-2オリジナル株(SARS-CoV-2 prototype)及び変異株(Alpha(B.1.1.7)、Beta(B.1.351)、Gamma(P.1)、Delta(B.1.617.2)及びOmicron(BA.1))のシュードウイルスをそれぞれ得た。
実施例2
【0068】
ポリペプチドのSARS-CoV-2オリジナル株及びその変異株のシュードウイルスに対する阻害効果の評価
本実施例は、表1におけるポリペプチドのオリジナル株(SARS-CoV-2 Prototype)及び変異株Omicron(BA.1)のシュードウイルスに対する阻害効果を測定することを目的とする。
【0069】
実験の群分け:HEK 293T ACE2細胞(ブランク対照群、細胞はウイルスに感染していない)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+DMEM培地(陰性対照群、細胞はウイルスに感染しているがポリペプチドで処理されていない)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+ポリペプチドP3(P3処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-1(P3-1処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-2(P3-2処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-3(P3-3処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-1-GS-Chol(P3-1-GS-Chol処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-2-GS-Chol(P3-2-GS-Chol処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-3-GS-Chol(P3-3-GS-Chol処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-3-GS2-Chol(P3-3-GS2-Chol処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-1-PEG-Chol(P3-1-PEG-Chol処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-2-PEG-Chol(P3-2-PEG-Chol処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-3-PEG-Chol(P3-3-PEG-Chol処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-1-GS-PEG-Chol(P3-1-GS-PEG-Chol処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-2-GS-PEG-Chol(P3-2-GS-PEG-Chol処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-3-GS-PEG-Chol(P3-3-GS-PEG-Chol処理群)。
【0070】
ポリペプチド原液の調製:表1における各ポリペプチドを、まずそれぞれDMSOで10mMの母液として調製し、そして10%FBS含有のDMEM培地で母液を20μMに希釈し、更なる勾配希釈のための原液とした。
【0071】
ポリペプチド勾配希釈液の調製:上記20μMの各ポリペプチド原液を、10%FBS含有のDMEM培地で2倍の倍加で希釈し、合計9勾配で希釈し(それぞれ10μM、5μM、2.5μM、1.25μM、0.625μM、0.3125μM、0.156μM、0.078μM、0.039μM)、1勾配あたり3つの平行ウェル、1ウェルあたり50μLであった。
【0072】
シュードウイルス用量の決定:SARS-CoV-2オリジナル株又は変異株のシュードウイルス原液及び一連の希釈液を、HEK 293T ACE2細胞上で定量化し、1000個のFFUが出現した時点の希釈度をポリペプチド阻害効果を評価する際のウイルス用量とした(希釈倍率は6~20倍の間)。
【0073】
ウイルス阻害効果の測定方法は、以下の通りである:
a.96ウェル細胞培養プレートにHEK 293T ACE2細胞を播種し、翌日の細胞コンフルエンスが80~90%に達するように培養した。
【0074】
b.上記実験の群分けに基づいて、上記各ポリペプチド勾配希釈液を取り、等体積(50μL)の定量のシュードウイルス希釈液を加え、均一に混合した後、37℃で1hインキュベートした。
【0075】
c.ステップaの96ウェル細胞培養プレート上清を注意深く除去し、ステップbのポリペプチド-シュードウイルス混合物(100μL/ウェル)を加え、インキュベーターにおいて引き続き15h~24h培養した。
【0076】
d.ハイコンテント顕微鏡を用いて感染細胞数をカウントし、各ポリペプチドの異なる濃度における阻害率を計算し、そしてGraphPadを用いて各ポリペプチドのEC50を計算し(図1図2に示す通り)、合計2回の並行実験を行い、結果を1st及び2ndと表記し、表2に示した。
【0077】
【表2】
【0078】
注:N.D.は、今回の実験で、当該ポリペプチドが設計された濃度範囲内で当該株を阻害する半数効果濃度(EC50)を測定できなかったことを示す。
【0079】
結果及び検討:
表2から分かるように、本発明の全てのポリペプチド及びそれらの誘導体は、コロナウイルスSARS-CoV-2阻害効果を示した。そのうち、P3-2は、オリジナル株Prototype及び変異株Omicronに対する阻害効果は、オリジナルP3よりも優れているが、オリジナル株に対する阻害結果の再現性が悪く、
P3-1-GS-Chol、P3-2-GS-Chol、P3-3-GS2-Cholの、オリジナル株Prototype及び変異株Omicronに対する阻害効果は、それぞれに対応する非修飾P3-1、P3-2、P3-3よりも顕著に優れており、そのうち、P3-2-GS-Cholの阻害効果は大幅に向上し、オリジナル株Prototypeに対する2回の実験のEC50がそれぞれ0.0929μM及び0.05333μMであり、変異株Omicronに対する2回の実験のEC50がそれぞれ0.02208μM及び0.01469μMであり、
P3-1-PEG-Chol、P3-2-PEG-Chol、P3-3-PEG-Cholの、オリジナル株Prototype及び変異株Omicronに対する阻害効果は、それぞれに対応する非修飾P3-1、P3-2、P3-3よりも顕著に優れており、そのうち、P3-2-PEG-Cholの阻害効果は大幅に向上し、オリジナル株Prototypeに対する2回の実験のEC50がそれぞれ0.2113μM及び0.1955μMであり、変異株Omicronに対する2回の実験のEC50がそれぞれ0.004168μM及び0.01631μMであり、
P3-1-GS-PEG-Chol、P3-2-GS-PEG-Chol、P3-3-GS-PEG-Cholの、オリジナル株Prototype及び変異株Omicronに対する阻害効果は、それぞれに対応する非修飾P3-1、P3-2、P3-3よりも優れており、そのうち、P3-2-GS-PEG-Cholの阻害効果は大幅に向上し、オリジナル株Prototypeに対する2回の実験のEC50がそれぞれ0.1535μM及び0.0454μMであり、変異株Omicronに対する2回の実験のEC50がそれぞれ0.007021μM及び0.007624μMであり、
且つ、P3-2-GS-Chol、P3-2-PEG-Chol、P3-2-GS-PEG-Cholは、オリジナル株Prototype及び変異株Omicronに対する阻害効果が最も良く、特に変異株Omicronに対する阻害効果が顕著であり、且つP3-2誘導体は2回の実験結果の再現性が良く、ウイルスに対するその阻害能力が最も安定していることが示唆された。
実施例3
【0080】
ポリペプチドP3-2及びその誘導体のSARS-CoV-2オリジナル株及びその変異株のシュードウイルスに対する阻害効果の評価
本実施例は、ポリペプチドP3-2、P3-2-GS-Chol、P3-2-PEG-Chol、P3-2-GS-PEG-Chol、P3-1-GS-PEG-Cholの、オリジナル株(SARS-CoV-2 Prototype)及び変異株(Alpha(B.1.1.7)、Beta(B.1.351)、Gamma(P.1)、Delta(B.1.617.2)及びOmicron(BA.1))のシュードウイルスに対する阻害効果を測定することを目的とする。
【0081】
実験の群分け:HEK 293T ACE2細胞(ブランク対照群、細胞はウイルスに感染していない)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+DMEM培地(陰性対照群、細胞はウイルスに感染しているがポリペプチドで処理されていない)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+ポリペプチドP3-2(P3-2処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-2-GS-Chol(P3-2-GS-Chol処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-2-PEG-Chol(P3-2-PEG-Chol処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-2-GS-PEG-Chol(P3-2-GS-PEG-Chol処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-1-GS-PEG-Chol(P3-1-GS-PEG-Chol処理群)。
【0082】
ポリペプチド原液の調製:表1における各ポリペプチドをそれぞれ、まずDMSOで10mMの母液として調製し、そして10%FBS含有のDMEM培地で母液を20μMに希釈し、更なる勾配希釈のための原液とした。
【0083】
ポリペプチド勾配希釈液の調製:上記20μMの各ポリペプチド原液を、10%FBS含有のDMEM培地で2倍の倍加で希釈し、合計9勾配で希釈し(それぞれ10μM、5μM、2.5μM、1.25μM、0.625μM、0.3125μM、0.156μM、0.078μM、0.039μM)、1勾配あたり3つの平行ウェル、1ウェルあたり50μLであった。
【0084】
シュードウイルス用量の決定:SARS-CoV-2オリジナル株又は変異株のシュードウイルス原液及び一連の希釈液を、HEK 293T ACE2細胞上で定量化し、1000個のFFUが出現した時点の希釈度をポリペプチド阻害効果を評価する際のウイルス用量とした(希釈倍率は6~20倍の間)。
【0085】
ウイルス阻害効果の測定方法は、以下の通りである:
a.96ウェル細胞培養プレートにHEK 293T ACE2細胞を播種し、翌日の細胞コンフルエンスが80~90%に達するように培養した。
【0086】
b.上記実験の群分けに基づいて、上記各ポリペプチド勾配希釈液を取り、等体積(50μL)の定量のシュードウイルス希釈液を加え、均一に混合した後、37℃で1hインキュベートした。
【0087】
c.ステップaの96ウェル細胞培養プレート上清を注意深く除去し、ステップbのポリペプチド-シュードウイルス混合物(100μL/ウェル)を加え、インキュベーターにおいて引き続き15h~24h培養した。
【0088】
d.ハイコンテント顕微鏡を用いて感染細胞数をカウントし、各ポリペプチドの異なる濃度における阻害率を計算し、そしてGraphPadを用いて各ポリペプチドのEC50を計算し(図3~7に示す通り)、結果を表3に示した。
【0089】
【表3】
【0090】
注:N.D.は、今回の実験で、当該ポリペプチドが設計された濃度範囲内で当該株を阻害する半数効果濃度(EC50)を測定できなかったことを示す。
【0091】
結果及び検討
表3から分かるように、ポリペプチドP3-2の修飾誘導体P3-2-GS-Chol、P3-2-PEG-Chol、P3-2-GS-PEG-Cholは、新型コロナウイルスのオリジナル株Prototype、変異株Omicronに対して優れた阻害効果を有するだけでなく、同時に他の変異株Alpha、Beta、Gamma、Deltaに対しても優れたデータ効果を有し、且つオリジナル株及び変異株Omicronに対する阻害実験の結果は再現性が良く、
ポリペプチドP3-1の誘導体P3-1-GS-PEG-Cholに比べて、ポリペプチドP3-2の誘導体P3-2-GS-Chol、P3-2-PEG-Chol、P3-2-GS-PEG-Cholは、オリジナル株Prototype、変異株Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicronに対する阻害効果がより良く、
ポリペプチドP3-2に比べて、P3-2-GS-Chol、P3-2-PEG-Chol、P3-2-GS-PEG-Cholは、オリジナル株Prototype、変異株Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicronに対する阻害効果がより良く、そのうち、P3-2-GS-PEG-Cholの阻害効果はP3-2-GS-Chol、P3-2-PEG-Cholよりも優れており、
各変異株Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicronに対して、P3-2-GS-Chol、P3-2-PEG-Chol、P3-2-GS-PEG-CholがOmicron株に対する阻害効果が最も良い。
実施例4
【0092】
ポリペプチドP3-2-GS-PEG-Chol切断型ポリペプチド及びP3-2-GS-Chol切断型ポリペプチドの、SARS-CoV-2オリジナル株及びその変異株のシュードウイルスに対する阻害効果の評価
本実施例は、ポリペプチドP3-2-GS-Chol及びP3-2-GS-PEG-Cholのアミノ酸がN末端から1つずつノックアウトされた後の切断型ポリペプチドの、オリジナル株(SARS-CoV-2 Prototype)及び変異株(Delta(B.1.617.2)及びOmicron(BA.1))のシュードウイルスに対する阻害効果を評価することを目的とする。
【0093】
そのうち、P3-2-GS-Chol及びP3-2-GS-PEG-Cholのアミノ酸がN末端から1つずつノックアウトされた後の切断型ポリペプチドのアミノ酸配列は、表4、表5に示す通りである。
【0094】
【表4】
【表5】
【0095】
そのうち、P3-2-GS-Chol-1及びP3-2-GS-PEG-Chol-1は、合成・製造における精製プロセスにおいて性質が極めて不安定であるため、SARS-CoV-2オリジナル株及びその変異株のシュードウイルスに対する阻害効果の評価実験には関与し続けていない。
【0096】
実験の群分け:HEK 293T ACE2細胞(ブランク対照群、細胞はウイルスに感染していない)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+DMEM培地(陰性対照群、細胞はウイルスに感染しているがポリペプチドで処理されていない)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-2-GS-PEG-Chol(P3-2-GS-PEG-Chol処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+ポリペプチドP3-2-GS-PEG-Chol-2(P3-2-GS-PEG-Chol-2処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-2-GS-PEG-Chol-3(P3-2-GS-PEG-Chol-3処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-2-GS-Chol-2(P3-2-GS-Chol-2処理群)、HEK 293T ACE2細胞+オリジナル株又は変異株のシュードウイルス+P3-2-GS-Chol-3(P3-2-GS-Chol-3処理群)。
【0097】
ポリペプチド原液の調製:表4、表5における各ポリペプチドをそれぞれ、まずDMSOで10mMの母液として調製し、そして10%FBS含有のDMEM培地で母液を20μMに希釈し、更なる勾配希釈のための原液とした。
【0098】
ポリペプチド勾配希釈液の調製:上記20μMの各ポリペプチド原液を、10%FBS含有のDMEM培地で3倍の倍加で希釈し、合計9勾配で希釈し(それぞれ6.67、2.22、0.74、0.25、0.082、0.027、0.009、0.003、0.001μM)、1勾配あたり3つの平行ウェル、1ウェルあたり50μLであった。
【0099】
シュードウイルス用量の決定:SARS-CoV-2オリジナル株又は変異株のシュードウイルス原液及び一連の希釈液を、HEK 293T ACE2細胞上で定量化し、1000個のFFUが出現した時点の希釈度をポリペプチド阻害効果を評価する際のウイルス用量とした(希釈倍率は6~20倍の間)。
【0100】
ウイルス阻害効果の測定方法は、以下の通りである:
a.96ウェル細胞培養プレートにHEK 293T ACE2細胞を播種し、翌日の細胞コンフルエンスが80~90%に達するように培養した。
【0101】
b.上記実験の群分けに基づいて、上記各ポリペプチド勾配希釈液を取り、等体積(50μL)の定量のシュードウイルス希釈液を加え、均一に混合した後、37℃で1 hインキュベートした。
【0102】
c.ステップaの96ウェル細胞培養プレート上清を注意深く除去し、ステップbのポリペプチド-シュードウイルス混合物(100μL/ウェル)を加え、インキュベーターにおいて引き続き15h~24h培養した。
【0103】
d.ハイコンテント顕微鏡を用いて感染細胞数をカウントし、各ポリペプチドの異なる濃度における阻害率を計算し、そしてGraphPadを用いて各ポリペプチドのEC50を計算し、結果を表6に示した。
【0104】
【表6】
【0105】
結果及び検討
本実施例において、固相合成によりP3-2-GS-Chol及びP3-2-GS-PEG-Cholの切断型ポリペプチドP3-2-GS-Chol-1及びP3-2-GS-PEG-Chol-1を合成したが、これら2つのポリペプチドは安定性が悪く、精製により高純度の試料を得ることができず、シュードウイルス中和試験によるウイルスに対する阻害効果の評価に用いることができない。
【0106】
表6及び図8~10から分かるように、ポリペプチドP3-2-GS-PEG-Cholの切断型ポリペプチドP3-2-GS-PEG-Chol-2、P3-2-GS-PEG-Chol-3も、新型コロナウイルスのオリジナル株Prototype、変異株Delta、Omicronに対してより良い阻害効果を示したが、阻害効果は何れもP3-2-GS-PEG-Cholよりも弱く、且つこのような阻害効果はペプチド配列の漸進的な切断に伴って漸進的に減少するものではなく、ポリペプチドP3-2-GS-Cholの切断型ポリペプチドP3-2-GS-Chol-2、P3-2-GS-Chol-3、P3-2-GS-Chol-4、P3-2-GS-Chol-5は、オリジナル株Prototype及び変異株Delta、Omicronに対しても一定の阻害効果を有するが、阻害効果は何れもP-2-GS-Cholよりも弱い。
【0107】
切断型ポリペプチド及び元の長さのポリペプチドのシュードウイルス中和試験データを比較すると、P3-2-GS-Chol及びP3-2-GS-PEG-Cholの切断後の抗ウイルス効果は、何れも異なる程度で低下することが分かった。
実施例5
【0108】
ポリペプチドP3-2の誘導体の、Vero細胞上でのSARS-CoV-2オリジナル株及びその変異株の生ウイルスに対する阻害効果の評価
本実施例は、表1におけるポリペプチドP3-2-GS-Chol、P3-2-PEG-Chol、P3-2-GS-PEG-Cholの、Vero細胞上でのオリジナル株(SARS-CoV-2 WH01)及び変異株Delta(B.1.617.2)とOmicron(BA.1)の生ウイルスに対する阻害効果を測定することを目的とする。
【0109】
実験の群分け:Vero細胞(ブランク対照群、細胞はウイルスに感染していない)、Vero細胞+オリジナル株又は変異株の生ウイルス+DMEM培地(陰性対照群、細胞はウイルスに感染しているがポリペプチドで処理されていない)、Vero細胞+オリジナル株又は変異株の生ウイルス+P3-2-GS-Chol(P3-2-GS-Chol処理群)、Vero細胞+オリジナル株又は変異株の生ウイルス+P3-2-PEG-Chol(P3-2-PEG-Chol処理群)、Vero細胞+オリジナル株又は変異株の生ウイルス+P3-2-GS-PEG-Chol(P3-2-GS-PEG-Chol処理群)。
【0110】
ポリペプチド原液の調製:表1におけるポリペプチドP3-2、P3-2-GS-Chol、P3-2-PEG-Chol、P3-2-GS-PEG-Cholを、まずDMSOで5mMの母液として調製し、そして2%FBS含有のDMEM培地で母液を5μMに希釈し、更なる勾配希釈のための原液とした。ポリペプチドP3-2-GS-Chol、P3-2-PEG-Cholの3種の株に対する3倍の倍加希釈は何れも5μMから開始し、合計11勾配であり、ポリペプチドP3-2-GS-PEG-CholのSARS-CoV-2 Prototype及びDelta株に対する3倍の倍加希釈は5μMから開始し、Omicronに対する5倍の倍加希釈は5μMから開始し、合計11勾配であり、1勾配あたり4つの平行ウェル、1ウェルあたり50μLであった。
【0111】
生ウイルス用量の決定:TCID50で計算し、SARS-CoV-2 WH01、Delta及びOmicronのウイルス液を、2000 TCID50/mLにそれぞれ希釈し、各ウイルス液に合計9.6mLを要した(12mLを基準として調製)。希釈にはDMEM(2%FBS含有)を用いた。
【0112】
ウイルス阻害効果の測定方法は、以下の通りである:
a.上記実験の群分けに基づいて、上記各ポリペプチド勾配希釈液を取り、等体積(50μL)の定量の生ウイルス希釈液を加え、均一に混合した後、37℃で1hインキュベートした。
【0113】
b.懸濁したVero細胞を混合液に加え、インキュベーターにおいて引き続き48h~120h培養した。
【0114】
c.細胞変性の状況を観察し、48h、72h及び120hの細胞変性のウェル数をそれぞれ記録し、各ポリペプチドの異なる濃度における阻害率を計算し、更にGraphPadを用いて各ポリペプチドのEC50を計算し(図11~13に示す通り)、結果を表7に示した。
【0115】
【表7】
【0116】
結果及び検討
表7から分かるように、P3-2-GS-Chol、P3-2-PEG-Chol及びP3-2-GS-PEG-Cholは、Vero細胞上で優れた新型コロナウイルス生ウイルス阻害効果を有する。
【0117】
P3-2-GS-Cholの生ウイルス中和試験において、新型コロナウイルスのオリジナル株(WH01)について、CPE(細胞変性効果)を48時間で観察し、計算したところ、EC50は0.5280μMであった。新型コロナウイルスDelta変異株について、48時間の実験群ではCPEが観察されず、この時点でポリペプチドのウイルスに対する阻害率は100%であり、72時間まで観察時間を延長したら、CPEが観察され得、計算したところ、EC50は0.0206μMであった。新型コロナウイルスOmicron変異株について、48及び72時間の実験群では何れもCPEが観察されず、この時点でポリペプチドのウイルスに対する阻害率は100%であり、120時間まで観察時間を延長したら、CPEが観察され得、計算したところ、EC50は0.0362μMであった。
【0118】
P3-2-PEG-Cholの生ウイルス中和試験において、新型コロナウイルスのオリジナル株(WH01)について、CPEを48時間で観察し、計算したところ、EC50は0.5292μMであった。新型コロナウイルスDelta変異株について、48時間の実験群ではCPEが観察されず、この時点でポリペプチドのウイルスに対する阻害率は100%であり、72時間まで観察時間を延長したら、CPEが観察され得、計算したところ、EC50は0.0206μMであった。新型コロナウイルスOmicron変異株について、48及び72時間の実験群では何れもCPEが観察されず、この時点でポリペプチドのウイルスに対する阻害率は100%であり、120時間まで観察時間を延長したら、CPEが観察され得、計算したところ、EC50は0.1852μMであった。
【0119】
P3-2-GS-PEG-Cholの生ウイルス中和試験において、新型コロナウイルスのオリジナル株(WH01)について、CPEを48時間で観察し、計算したところ、EC50は0.0587μMであった。新型コロナウイルスDelta変異株について、48時間の実験群ではCPEが観察されず、この時点でポリペプチドのウイルスに対する阻害率は100%であり、72時間まで観察時間を延長したら、CPEが観察され得、計算したところ、EC50は0.0406μMであった。新型コロナウイルスOmicron変異株について、48及び72時間の実験群では何れもCPEが観察されず、この時点でポリペプチドのウイルスに対する阻害率は100%であり、120時間まで観察時間を延長したら、CPEが観察され得、計算したところ、EC50は0.0216μMであった。
【0120】
観察時間及びEC50を総合して分析すると、P3-2-GS-Chol、P3-2-PEG-Chol及びP3-2-GS-PEG-Cholが、Vero細胞上で新型コロナウイルス生ウイルスに有効であり、特にOmicronに対する阻害効果が最も良い。
実施例6
【0121】
ポリペプチドP3-2の誘導体の、Vero E6細胞上でのSARS-CoV-2オリジナル株及びその変異株の生ウイルスに対する阻害効果の評価
本実施例は、表1におけるポリペプチドP3-2-GS-Chol、P3-2-PEG-Chol、P3-2-GS-PEG-Cholの、Vero E6細胞上でのオリジナル株(SARS-CoV-2 WH01)及び変異株Delta(B.1.617.2)とOmicron(BA.1)の生ウイルスに対する阻害効果を測定することを目的とする。
【0122】
実験の群分け:Vero E6細胞(ブランク対照群、細胞はウイルスに感染していない)、Vero E6細胞+オリジナル株又は変異株の生ウイルス+DMEM培地(陰性対照群、細胞はウイルスに感染しているがポリペプチドで処理されていない)、Vero E6細胞+オリジナル株又は変異株の生ウイルス+P3-2-GS-Chol(P3-2-GS-Chol処理群)、Vero E6細胞+オリジナル株又は変異株の生ウイルス+P3-2-PEG-Chol(P3-2-PEG-Chol処理群)、Vero E6細胞+オリジナル株又は変異株の生ウイルス+P3-2-GS-PEG-Chol(P3-2-GS-PEG-Chol処理群)。
【0123】
ポリペプチド原液の調製:表1におけるポリペプチドP3-2、P3-2-GS-Chol、P3-2-PEG-Chol、P3-2-GS-PEG-Cholを、まずDMSOで5mMの母液として調製し、そして2%FBS含有のDMEM培地で母液を5μMに希釈し、更なる勾配希釈のための原液とした。ポリペプチドP3-2-GS-Chol、P3-2-PEG-Cholの3種の株に対する3倍の倍加希釈は何れも5μMから開始し、合計11勾配であり、ポリペプチドP3-2-GS-PEG-CholのSARS-CoV-2 Prototype及びDelta株に対する3倍の倍加希釈は5μMから開始し、Omicronに対する5倍の倍加希釈は5μMから開始し、合計11勾配であり、1勾配あたり4つの平行ウェル、1ウェルあたり50μLであった。
【0124】
生ウイルス用量の決定:TCID50で計算し、SARS-CoV-2 WH01、Delta及びOmicronのウイルス液を、2000 TCID50/mLにそれぞれ希釈し、各ウイルス液に合計9.6mLを要した(12mLを基準として調製)。希釈にはDMEM(2%FBS含有)を用いた。
【0125】
ウイルス阻害効果の測定方法は、以下の通りである:
a.上記実験の群分けに基づいて、上記各ポリペプチド勾配希釈液を取り、等体積(50μL)の定量の生ウイルス希釈液を加え、均一に混合した後、37℃で1hインキュベートした。
【0126】
b.懸濁したVero E6細胞を混合液に加え、インキュベーターにおいて引き続き48~72h培養した。
【0127】
c.細胞変性の状況を観察し、48h及び72hの細胞変性のウェル数を記録し、各ポリペプチドの異なる濃度における阻害率を計算し、更にGraphPadを用いて各ポリペプチドのEC50を計算し(図14~16に示す通り)、結果を表8に示した。
【0128】
【表8】
【0129】
注:N.D.は、今回の実験で、当該ポリペプチドが設計された濃度範囲内で当該株を阻害する半数効果濃度(EC50)を測定できなかったことを示す。
【0130】
結果及び検討
表8から分かるように、P3-2-GS-Chol、P3-2-PEG-Chol及びP3-2-GS-PEG-Cholは、Vero E6細胞上で優れた新型コロナウイルス生ウイルス阻害効果を有する。48h後に各ポリペプチドのEC50を観察することができるため、主に48hのデータを比較した。
【0131】
P3-2-GS-Cholの生ウイルス中和試験において、Vero E6細胞上での新型コロナウイルスのオリジナル株(WH01)について、48h及び72h観察したところ、何れにおいても生ウイルスに対する阻害効果は見られなかった。新型コロナウイルスDelta変異株について、48時間の実験群ではCPEが観察され得、計算したところ、EC50は0.3485μMであった。新型コロナウイルスOmicron変異株について、48時間の実験群ではCPEが観察され得、計算したところ、EC50は0.0022μMであった。
【0132】
P3-2-PEG-Cholの生ウイルス中和試験において、Vero E6細胞上での新型コロナウイルスのオリジナル株(WH01)について、48h及び72h観察したところ、何れにおいても生ウイルスに対する阻害効果は見られなかった。新型コロナウイルスDelta変異株について、48時間の実験群ではCPEが観察され得、計算したところ、EC50は0.5292μMであった。新型コロナウイルスOmicron変異株について、48時間の実験群ではCPEが観察され得、計算したところ、EC50は0.0015μMであった。
【0133】
P3-2-GS-PEG-Cholの生ウイルス中和試験において、Vero E6細胞上での新型コロナウイルスDelta変異株について、48時間の実験群ではCPEが観察され得、計算したところ、EC50は0.1208μMであった。新型コロナウイルスDelta変異株について、48時間の実験群ではCPEが観察され得、計算したところ、EC50は0.0403μMであった。新型コロナウイルスOmicron変異株について、48時間の実験群ではCPEが観察され得、計算したところ、EC50は0.000028μMであった。
【0134】
観察時間及びEC50を総合して分析すると、P3-2-GS-Chol及びP3-2-PEG-Cholは、Vero E6上で新型コロナウイルス生ウイルスの変異株に有効であり、特にOmicronに対する阻害効果が最も良く、P3-2-GS-PEG-Cholは、新型コロナウイルス生ウイルスのオリジナル株及び変異株の何れに対しても有効であり、特にOmicronに対する阻害効果が最も良い。
【0135】
以上をまとめると、SARS-CoV-2の宿主細胞への侵入プロセスにおいて、本発明のポリペプチド及びその誘導体は、Sタンパク質媒介性膜融合プロセスを阻害することによりウイルスの侵入を阻害し、コロナウイルス、特にSARS-CoV-2オリジナル株及び変異株により引き起こされる疾患の予防又は治療に適用される。本発明のポリペプチド及びその誘導体は、SARS-CoV-2オリジナル株及び変異株Alpha、Beta、Gamma、Delta、Omicron、特に変異株Omicronに対する阻害効果が顕著であり、潜在的な広い使用価値を有する。
【0136】
上記実施例1~6にかかる略語及び英語の意味は、下記表9に示す通りである。
【0137】
【表9】
【0138】
明らかに、上述の実施例は、明確な説明のための例に過ぎず、実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記の説明に基づいて他の変化又は変更を行うことができる。本明細書において、全ての実施形態の網羅は必要もなければできることもない。これらによって導かれる明らかな変更又は修正は、依然として本発明の保護範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【配列表】
2024545339000001.app
【国際調査報告】