(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】昆虫幼虫を輸送するための可動式輸送装置
(51)【国際特許分類】
A01K 67/033 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
A01K67/033 502
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538344
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-08-21
(86)【国際出願番号】 EP2022087293
(87)【国際公開番号】W WO2023118335
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】102021134208.2
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524236839
【氏名又は名称】ファームインセクト・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング・ヴェスターマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・キューン
(57)【要約】
本発明は、昆虫幼虫を輸送するための可動式輸送装置(1)に関し、選択的に開閉可能な開口部(3)を有するハウジング(2)と、少なくとも1つの第1の昆虫肥育容器(6.1)を受け入れるためにハウジング(2)内に配設された受け入れセクション(4)であって、第1の昆虫肥育容器(6.1)は、受け入れ部分(4)内に受け入れられ、肥育のための第1の昆虫幼虫コホートを収容するように構成される、受け入れセクション(4)と、ハウジング(2)内の空気を部分的に再循環させるための再循環ファン(8)と、再循環ファン(8)を制御するための電子制御ユニット(10)と、第1の側に第1の換気セクション(14)を、第2の側に第1の排気セクション(16)を有する、第1の空気調節装置(12.1)であって、空気は、再循環ファン(8)を用いて、第1の換気セクション(14)を通って第1の昆虫肥育容器(6.1)に入り、第1の排気セクション(16)を通って第1の昆虫肥育容器(6.2)から出る、第1の空気調節装置(12.1)とを備える。本発明は、方法および使用にもさらに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昆虫幼虫を輸送するための可動式輸送装置(1)であって、
選択的に開閉可能な開口部(3)を有するハウジング(2)と、
少なくとも1つの第1の昆虫肥育容器(6.1)を受け入れるために前記ハウジング(2)内に配設された受け入れセクション(4)であって、前記第1の昆虫肥育容器(6.1)は、前記受け入れセクション(4)内に受け入れられ、肥育のための第1の昆虫幼虫コホートを受け入れるように構成される、受け入れセクション(4)と、
前記ハウジング(2)内の空気を部分的に再循環させるための再循環ファン(8)と、
前記再循環ファン(8)を制御するための電子制御ユニット(10)と、
第1の側に第1の換気セクション(14)を、第2の側に第1の排気セクション(16)を有する第1の空気調節装置(12.1)であって、空気は、前記再循環ファン(8)を用いることで、前記第1の換気セクション(14)を通って前記第1の昆虫肥育容器(6.1)に入り、前記第1の排気セクション(16)を通って前記第1の昆虫肥育容器(6.2)から出る、第1の空気調節装置(12.1)と、
を備える可動式輸送装置(1)。
【請求項2】
換気制御ユニット(18)を備え、前記第1の換気セクション(14)は、前記換気制御ユニット(18)を用いて調整可能な第1のフロー断面(20)を含む、請求項1に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項3】
前記換気制御ユニット(18)は、前記第1の昆虫肥育容器(6.2)内に受け入れられた前記昆虫幼虫コホートの決定された活動に基づき前記第1のフロー断面(20)を制御するように構成される、請求項2に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項4】
肥育のために第2の昆虫幼虫コホートを受け入れるように構成されている、前記受け入れセクション(4)に受け入れられる第2の昆虫肥育容器(6.2)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項5】
前記受け入れセクション(4)は、前記第1の昆虫肥育容器(6.1)が受け入れられる、少なくとも1つの第1のコンパートメント(22.1)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項6】
前記受け入れセクション(4)は、前記第2の昆虫肥育容器(6.2)が受け入れられる、少なくとも1つの第2のコンパートメント(22.2)を有する、請求項4を引用する場合の請求項5に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項7】
前記受け入れセクション(4)は、内部(24)を換気部分(26)と排気部分(28)とに分割し、前記換気部分(26)および前記排気部分(28)は、一方では前記再循環ファン(8)を介して、他方では少なくとも前記第1の空気調節装置(12.1)を介して、空気伝導方式で接続される、請求項1から6のいずれか一項に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項8】
空気調整材料(31)を受け入れるための貯蔵容器(30)を備え、前記貯蔵容器は、第1の側に貯蔵容器換気セクション(32)を備え、第2の側に貯蔵容器排気セクション(34)を備え、前記貯蔵容器換気セクション(32)は、好ましくは、貯蔵容器制御ユニット(36)を用いて調整され得る貯蔵容器フロー断面(38)を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項9】
空気調整材料(31)は、空気除湿用材料、好ましくはゼオライト材料、空気冷却用材料、および/または空気加熱用材料のうちの1つまたは複数を含むか、またはそれらである、請求項7に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項10】
開口部(3)を有するハウジング(2)と、
少なくとも第1の昆虫幼虫コホートを受け入れるために前記ハウジング(2)内に配設された受け入れセクション(4)と、
好ましくは前記少なくとも1つの第1の昆虫幼虫コホートの予め決定されおよび/または制御される冷却のための、冷却ユニットと、
を備える、好ましくは請求項1から9のいずれか一項に記載の、昆虫幼虫を輸送するための可動式輸送装置(1)。
【請求項11】
前記冷却ユニットは、前記可動式輸送装置(1)を、0℃から10℃の範囲内の、好ましくは3℃から7℃の範囲内の、特に好ましくは5℃の温度に維持するように構成され、前記冷却ユニットは、好ましくは、長くても10日間、好ましくは長くても6日間、より好ましくは長くても4日間にわたって温度を維持するように構成される、請求項9に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項12】
前記冷却ユニットは、対流冷却のための冷却表面を有するヒートシンクを備える、請求項10または11に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項13】
環境(44)から前記ハウジングによって囲まれた前記内部空間(24)に空気を導入するための外気ファン(46)を備え、および/または前記ハウジングによって囲まれた前記内部空間(24)から前記環境(44)に空気を放出するための排気ファン(48)を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項14】
前記空気を加熱するための加熱装置(50)は、前記ハウジング(2)の内側に配設される、請求項1から13のいずれか一項に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項15】
前記第1の昆虫肥育容器(6.1)内に受け入れられる前記第1の昆虫幼虫コホートの活動を検出するための活動センサー装置(54)を備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項16】
前記活動センサー装置(54)は、前記第1の昆虫肥育容器(6.1)の少なくとも第1の昆虫肥育容器温度測定点(56)において第1の昆虫肥育容器温度測定値を検出するように、および/または前記第1の昆虫肥育容器(6.1)の第1の昆虫肥育容器湿度測定点(58)において第1の昆虫肥育容器湿度測定値を検出するように構成される、請求項15に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項17】
前記内部(24)および好ましくは前記周囲(44)の前記空気の状態を決定するための空気センサー装置(60)を備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項18】
前記空気センサー装置(60)は、前記ハウジング(2)内の少なくとも第1の内部湿度測定点(64)において第1の内部湿度測定値を検出するように、および/または前記ハウジング(2)内の少なくとも第1の内部温度測定点(66)において第1の内部温度測定値を検出するように構成される、請求項17に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項19】
前記空気センサー装置(60)は、前記ハウジング(2)の外側の少なくとも第1の外部湿度測定点(68)において第1の外部湿度測定値を検出するように、および/または前記ハウジング(2)の外側の少なくとも第1の外部温度測定点(70)において第1の外部温度測定値を検出するように構成される、請求項17または18に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項20】
前記空気センサー装置(60)は、少なくとも第1のCO2測定点(72)において前記ハウジング(2)内を循環する前記空気の第1のCO2濃度測定値を検出するように構成され、前記電子制御ユニット(10)は、好ましくは、前記検出された第1のCO2濃度測定値を処理してCO2濃度測定値超過を決定するように構成され、さらに、前記電子制御ユニット(10)は、好ましくは、CO2濃度測定値超過が決定された場合に、前記内部(24)と前記環境(44)との間の空気交換のために前記外気ファン(46)および前記排気ファン(48)を制御するように構成される、請求項17から19のいずれか一項に記載の可動式輸送装置。
【請求項21】
前記電子制御ユニット(10)は、少なくとも前記第1の昆虫肥育容器温度測定値および少なくとも前記第1の昆虫肥育容器湿度測定値を処理して、前記第1の昆虫肥育容器(6.1)内に受け入れられた前記第1の昆虫幼虫コホートの活動を決定するように構成される、請求項16に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項22】
前記電子制御ユニット(10)は、少なくとも前記第1の内部湿度測定値および/または少なくとも前記第1の内部温度測定値を処理して、前記ハウジング(2)内を循環する前記空気の状態を決定するように構成される、請求項18または19に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項23】
前記電子制御ユニット(10)は、少なくとも前記第1の外部湿度測定値および/または少なくとも前記第1の外部温度測定値を処理して、前記周囲空気の状態を決定するように構成される、請求項19に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項24】
遠隔監視のためのユニットを備える、請求項1から23のいずれか一項に記載の可動式輸送装置(1)。
【請求項25】
可動式輸送装置(1)により昆虫幼虫を輸送するための方法であって、前記装置は、
選択的に開閉可能な開口部(3)を有するハウジング(2)と、
少なくとも1つの第1の昆虫肥育容器(6.1)を受け入れるために前記ハウジング(2)内に配設された受け入れセクション(4)であって、前記第1の昆虫肥育容器(6.1)は、前記受け入れセクション(4)内に受け入れられ、肥育のための第1の昆虫幼虫コホートを受け入れるように構成される、受け入れセクション(4)と、
前記ハウジング(2)内の空気を部分的に再循環するための再循環ファン(8)および前記再循環ファン(8)を制御するための電子制御ユニット(10)と、を備え、
前記方法は、
- 肥育基材を添加している間に前記第1の昆虫肥育容器(6.1)に前記昆虫幼虫コホートを充填するステップ(S1)と、
- 前記充填された第1の昆虫肥育容器(6.1)を前記受け入れセクション(4)内に、好ましくは前記受け入れセクション(4)の第1のコンパートメント(22.1)内に挿入するステップ(S2)と、
- 前記可動式輸送装置(1)を用いて前記第1の昆虫幼虫コホートを第1の場所から第2の場所に輸送するステップ(S3)と、
- 前記第2の場所において前記第1の昆虫肥育容器(6.1)を前記受け入れセクション(4)から取り出すステップ(S4)と、
を含む、昆虫幼虫を輸送するための方法。
【請求項26】
前記可動式輸送装置(1)は、好ましくは、請求項10に従って設計され、
- 前記冷却ユニット(51)を用いて、前記第1の昆虫幼虫コホートを、0℃から10℃の範囲内、好ましくは3℃から7℃の範囲内、特に好ましくは5℃前後の温度まで冷却するステップと、
- 前記冷却ユニット(51)を用いて輸送中に温度を維持するステップと、
- 前記可動式輸送装置(1)から前記昆虫幼虫コホートを取り出す前または取り出した後に前記第1の昆虫幼虫コホートを解凍しおよび/または加熱するステップと、
をさらに含む、請求項25に記載の昆虫幼虫を輸送するための方法。
【請求項27】
- 前記第1の昆虫肥育容器温度測定値を表す第1の昆虫肥育容器温度信号を供給し、前記活動センサー装置(54)からの前記第1の昆虫肥育容器湿度測定値を表す第1の昆虫肥育容器湿度信号を前記電子制御ユニット(10)に供給するステップ(S3.1.1)と、
- 前記電子制御ユニット(10)を用いて、前記供給された昆虫肥育容器温度信号および前記供給された昆虫肥育容器湿度信号に基づき、前記第1の昆虫肥育容器(6.1)内に受け入れられた前記第1の昆虫幼虫コホートの活動を決定するステップ(S3.1.2)と、
- 前記第1の昆虫肥育容器(6.1)内に受け入れられた前記第1の昆虫幼虫コホートの前記決定された活動に基づき前記電子制御ユニット(10)から少なくとも前記再循環ファン(8)への制御信号を調整するステップ(S3.1.3)と、
をさらに含む、請求項25または26に記載の昆虫幼虫を輸送するための方法。
【請求項28】
前記可動式輸送装置(1)は、請求項2に従って設計され、
- 前記第1の昆虫幼虫容器(6.1)内に受け入れられた前記第1の昆虫幼虫コホートの前記決定された活動に基づき前記第1のフロー断面(20.1)を調整するために前記第1の昆虫肥育容器(6.1)に受け入れられた前記第1の昆虫幼虫コホートの前記決定された活動に基づき前記電子制御ユニット(10)から前記換気制御ユニット(18)への制御信号を調整するステップ(S3.1.4)
をさらに含む、請求項27に記載の昆虫幼虫を輸送するための方法。
【請求項29】
- 前記第1の貯蔵容器温度測定値を表す第1の貯蔵容器温度信号を供給し、前記第1の内部湿度測定値を表す第1の内部湿度信号を供給し、前記第1の内部温度測定値を表す内部温度信号を供給し、前記空気センサー装置(60)から前記電子制御ユニット(10)へのCO2濃度測定値を表すCO2濃度信号を供給するステップ(S3.2.1)と、
- 前記電子制御ユニット(10)を用いて、前記供給された貯蔵容器温度信号、前記供給された内部湿度信号、および前記供給された内部温度信号に基づき前記ハウジング(2)内を循環する空気の状態を決定するステップ(S3.2.2)と、
- 前記決定された空気状態に基づき前記電子制御ユニット(10)から少なくとも前記貯蔵容器制御ユニット(36)への制御信号を調整するステップ(S3.2.3)と、
を含む、請求項25から28のいずれか一項に記載の昆虫幼虫を輸送するための方法。
【請求項30】
- 前記第1の外部湿度測定値を表す外部湿度信号を供給し、前記第1の外部温度測定値を表す外部温度信号を前記空気センサー装置(60)から前記電子制御ユニット(10)に供給するステップ(S3.3.1)と、
- 前記供給された外部湿度信号および前記供給された外部温度信号に基づき前記周囲空気の状態を決定するステップ(S3.3.1)と、
- 前記電子制御ユニット(10)から少なくとも前記加熱装置(50)への制御信号を調整するステップ(S3.3.3)と、
を含む、請求項25から29のいずれか一項に記載の昆虫幼虫を輸送するための方法。
【請求項31】
- 前記空気センサー装置から前記電子制御ユニット(10)への前記測定されたCO2濃度値を表すCO2濃度信号を供給するステップ(S3.4.1)と、
- 前記CO2濃度値が所定の臨界CO2濃度値を超えた場合に前記電子制御ユニット(10)によってCO2濃度測定値超過を決定するステップ(S3.4.2)と、
- CO2濃度測定値超過が検出された場合に前記電子制御ユニット(10)から前記外気ファン(46)への制御信号を調整するステップ(S3.4.3)と、
- CO2濃度測定値が超過であると決定された場合に前記電子制御ユニット(10)から前記排気ファン(48)への制御信号を調整するステップ(S3.4.4)と、
を含む、請求項25から30のいずれか一項に記載の昆虫幼虫を輸送するための方法。
【請求項32】
第1の場所から第2の場所へ昆虫幼虫を輸送するための請求項1から24のいずれか一項に記載の輸送装置の使用であって、前記第1の場所は、前記第2の場所から空間的に隔たっており、前記輸送の持続時間は、好ましくは、最大10日間、好ましくは最大6日間、より好ましくは最大4日間である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫幼虫を輸送するための可動式輸送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
畜産業向けの、および世界人口の増加に伴う、タンパク質の需要増大に対して、代替タンパク源が必要となる。昆虫幼虫は、タンパク質含有量が高く、有機性廃棄物を飼料とすることができ、飼育する上で、従来のタンパク質源に比べて著しく気候に優しい。したがって、昆虫幼虫は、魚粉などの、タンパク質が豊富な畜産用飼料を補うか、または完全に置き換えるのに適している。
【0003】
家畜に代替タンパク源を供給することに加えて、畜産農家は、昆虫幼虫を使用することによってそれら自らの有機廃棄物を利用する機会も有する。したがって、飼育の大部分を農家の敷地内で直接的に行うことは理にかなっており、農家は、昆虫幼虫から、タンパク質が豊富な飼料の形態だけでなく、自然の廃棄物処理機構の形態でも利益を得ることができる。
【0004】
この目的のために、昆虫幼虫は、さらなる繁殖のために中央繁殖センターから農家へ輸送されなければならない。昆虫を輸送するための装置は、従来技術からすでに知られている。
【0005】
特許文献1は、生きた昆虫を第1の場所から第2の場所に輸送するための装置に関する。この目的のために、輸送装置は、少なくとも1つの細長流体ガイドセクションを有する流体ガイド要素、流体分注要素、および給餌装置を備える。孵化したばかりの幼虫は、装置内に導入され、層流によってピックアップされる。空気、外気、アンモニア、メタン、および窒素酸化物などのガスが可能な流体として指定される。この解決法の欠点は、年齢差が最小の昆虫しか輸送され得ないことである。しかしながら、年齢差がより大きい昆虫も輸送可能であれば望ましいであろう。
【0006】
生きた幼虫用の輸送ボックスは、特許文献2から知られており、これは長距離輸送に使用され得る。この輸送ボックスは、複数の引き出し状の幼虫貯蔵ボックスを備えた輸送本体部を備える。貯蔵ボックスの頂部は、複数の換気孔を備えるカバーを有する。換気窓は、輸送本体部の側壁に配設される。各換気窓は、ガーゼ層と密封層とを含み、密封層は2つの対向する半円形の折り畳み可能な鋸歯状部分窓を有する。
【0007】
特許文献3は、昆虫幼虫を飼育するためのシステムをさらに開示しており、これは、幼虫用の飼料を調製するための1つまたは複数のモジュールと、調製された飼料を使用して幼虫を飼育するための1つまたは複数のモジュールとを含み得る。飼育モジュールは、幼虫を受け入れるか、または収納するための複数のトレイを取り扱い、トレイに餌を供給するように構成される。モジュールシステム全体は、運送用コンテナの形態をとることができる輸送可能容器を備える。したがって、モジュールは、第1の場所で部分的または完全に組み立てられ、輸送可能容器を用いて第2の場所に配送され得る。この非常に複雑なシステムは、より大規模なシステムには適しているが、短い距離または短い期間における単純で費用対効果の高い輸送には適していない。
【0008】
以前から知られている輸送容器のもう1つの欠点は、卵または幼虫を安全に輸送することが可能でなく、信頼できる輸送プロセスがない点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2019/125162号
【特許文献2】中国実用新案第209684269号明細書
【特許文献3】国際公開第2019/053439号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、昆虫幼虫および/または昆虫卵を、中央繁殖施設から農家まで安全に輸送することを可能にすることであり、昆虫幼虫は、高い確率で生存し、成長することができる。それに加えて、実施形態において、本発明の1つの目的は、昆虫幼虫の異なる年齢グループを同時に輸送することであり、好ましくは、それらの異なる要件を満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、選択的に開閉可能な開口部を有するハウジング、さらには少なくとも1つの第1の昆虫肥育容器を受け入れるためにハウジングの内側に配設された受け入れセクションによる上で述べたタイプの可動式輸送装置において本発明の第1の態様によって達成され、第1の昆虫肥育容器は、受け入れセクション内に受け入れられ、肥育のための第1の昆虫幼虫コホートを受け入れるように構成される。それに加えて、本発明の第1の態様による可動式輸送装置は、ハウジング内の空気を部分的に再循環させるための再循環ファンと、好ましくは再循環ファンを制御するための電子制御ユニットと、好ましくは第1の側の第1の換気セクションおよび第2の側の第1の排気セクションを含む第1の空気調節装置とを有する。第1の昆虫肥育容器は、好ましくは、第1の換気セクションと第1の排気セクションとの間に配設され、および/または前記セクションを含む。再循環ファンを用いることで、空気は、第1の換気セクションを通って第1の昆虫肥育容器に入り、第1の排気セクションを通って昆虫肥育容器から出る。第1の昆虫幼虫コホートが、第1の昆虫肥育容器内に収容されることが好ましい。好ましくは、第1の肥育容器は、第1の昆虫幼虫コホートおよび肥育基材を収容するように構成される。好ましくは、第1の肥育容器は、肥育基材および第1の昆虫幼虫コホートを保持する。
【0012】
輸送中の第1の昆虫幼虫コホートにとって最適な環境条件については、第1の昆虫幼虫コホートが収容される第1の昆虫肥育容器内の空気の交換を可能にすることが有利である。第1の態様によれば、第1の昆虫肥育容器内の空気交換は、第1の空気調節装置の第1の換気セクションを介して第1の昆虫肥育容器内に入り、再循環ファンを用いて第1の空気調節装置の第1の排気セクションを介して第1の昆虫肥育容器から出る空気によって可能にされる。第1の昆虫肥育容器内の淀んだ空気は、こうして、新鮮な空気と交換され得る。この文脈において、再循環は、空気が経路上でハウジング内を循環することを意味する。この経路は、好ましくは閉路である。したがって、再循環空気は、再循環ファンからハウジング内を通って流れ、最終的に再循環ファンに戻される。
【0013】
第1の換気セクションおよび第1の排気セクションは、たとえこれが好ましいとしても、互いに対向して配設されなくてもよい。たとえば、これらは、互いにある角度を成して配設されるか、またはオフセットして配設され得る。しかしながら、空気が第1の昆虫肥育容器に入り出ることができるように配設されることが重要である。直接的な空気の流れは、これに対しては必要でないが、設けられてもよい。
【0014】
本発明者らは、そのような換気が昆虫肥育容器内のCO2濃度、湿度、温度を低下させ得ることを認識している。これは、幼虫の成長に影響を及ぼすので、これはプラスの影響を受け得る。
【0015】
第1の換気セクションは、好ましくは、換気制御ユニットを用いて調整され得る第1のフロー断面を含む。換気制御ユニットは、たとえばソフトウェアモジュールの形態の、電子制御ユニットの要素であるか、または独立したユニットとして実装されてもよく、これは、次いで、好ましくは電子制御ユニットと通信する。第1の換気セクションおよび第1の排気セクションは、好ましくは、第1の昆虫肥育容器の、実質的に対向する2つの側面に配設され、それにより、空気は、実質的に直線的に昆虫肥育容器内を流れ得る。第1のフロー断面は、たとえば、第1の空気調節装置が、好ましくは換気制御ユニットに接続された第1のアクチュエータを用いて、第1のフロー断面を調整するように移動可能に配設されたルーバを備えるという点で、調整可能であり得る。他の調整ユニットも、第1のフロー断面を調整するために設けられ得る。可能な選択肢は、たとえば、互いに関して変位可能な2つまたはそれ以上の穿孔パネル、回転ダイヤフラム、絞りダイヤフラム、フラップ、または類似のもの、さらにはそれらの組合せを含む。
【0016】
好ましくは、換気制御ユニットは、記録されたおよび/または決定されたデータに基づき第1のフロー断面を制御し、調整するように構成される。たとえば、換気制御ユニットは、クラウドサービスからデータを取得する、センサー、制御ユニット、および/または無線装置などの、輸送装置の他のユニットから、この目的のためのデータを受信する。
【0017】
好ましくは、換気制御ユニットは、第1の昆虫肥育容器に受け入れられた昆虫幼虫コホートの検出された活動に基づき、第1のフロー断面を制御するように構成される。好ましくは、換気制御ユニットは、第1の昆虫幼虫肥育容器内に受け入れられた昆虫幼虫コホートの換気を少なくする必要がある場合に、第1のフロー断面を減少させるか、または所定の値に設定するように構成される。これは、たとえば、昆虫幼虫コホートが特に少しのCO2、湿度、および/または熱を発生する、すなわち、活動が低い場合であり得る。指定された値は、たとえば、メモリに記憶され、CO2、湿度、および/または熱に応じて選択され得る。好ましくは、換気制御ユニットは、第1の昆虫肥育容器に受け入れられた昆虫幼虫コホートのより大きな換気が必要とされるときに第1のフロー断面を拡大するように、または所定の値に設定するように構成される。たとえば、これは、昆虫幼虫コホートが多量の熱、CO2、および/または湿度を発生する場合、すなわち、非常に活動的である場合であり得る。昆虫肥育容器内で発生した熱は、ハウジング内を再循環する空気を加熱するためにも使用され得る。換気制御ユニットは、好ましくは、後で説明される活動センサー装置および/または空気センサー装置からの信号に応じて第1のフロー断面および好ましくはさらなるフロー断面を制御するように構成される。
【0018】
可動式輸送装置は、好ましくは、第2の昆虫肥育容器を有し、これは、受け入れセクションに受け入れられ、肥育する第2の昆虫幼虫コホートを受け入れるように構成される。昆虫幼虫の第1および第2のコホートは、たとえば、それらの年齢または昆虫幼虫の属について異なっていてもよい。また、第1および第2の昆虫幼虫コホートが同じ昆虫幼虫コホートに由来することも可能である。第2の昆虫幼虫コホートが、第2の昆虫肥育容器内に受け入れられることが好ましい。好ましくは、第2の肥育容器は、第2の昆虫幼虫コホートおよび肥育基材を受け入れるように構成される。好ましくは、肥育基材および第2の昆虫幼虫コホートは、第2の昆虫肥育容器内に受け入れられる。
【0019】
好ましい一実施形態において、受け入れセクションは、第1の昆虫肥育容器が受け入れられる少なくとも1つの第1のコンパートメントを有する。コンパートメントは、実質的に立方体の形状を有することが好ましい。しかし、他の形態のコンパートメント化も可能である。コンパートメントは、ラックの棚のように形成されてもよい。好ましくは、コンパートメントは、第1の昆虫肥育容器を受け入れるために開閉できる。この実施形態では、換気および排気セクションは、好ましくはコンパートメントの側壁に形成されるかまたは配設される。この方法で、内部の昆虫肥育容器は、よりシンプルに、たとえば単純な箱として設計され得る。
【0020】
好ましくは、第1のコンパートメントは、第1の空気調節装置を含む。第1の換気セクションを有する第1の側は、コンパートメントの第1の側壁を形成し、第1の排気セクションを有する第2の側は、第1のコンパートメントの第2の側壁を形成することが好ましい。好ましくは、第1の側壁は、第2の側壁に実質的に対向して配設される。
【0021】
受け入れセクションは、好ましくは、第2の昆虫肥育容器が受け入れられる第2のコンパートメントを有する。好ましくは、さらなるコンパートメントが設けられ、その各々は、昆虫肥育容器を受け入れることができる。さらなるコンパートメント内の昆虫肥育容器は、また、好ましくは、さらなる昆虫幼虫コホートおよび好ましくは肥育のための肥育基材を受け入れるように構成される。昆虫幼虫コホートおよび肥育基材は、好ましくは、さらなるコンパートメント内に受け入れられる。
【0022】
個別のコンパートメントは、たとえば、垂直方向に互いの上に配設され得るが、水平方向に互いに隣り合わせに、または受け入れセクションにおいて垂直方向および水平方向の両方に配設され得る。これらは、好ましくは、可動式輸送装置の内部の断面全体にわたって実質的に延在する。
【0023】
第2のコンパートメントは、好ましくは、第2の空気調節装置を有する。第2の空気調節装置は、好ましくは、第1の空気調節装置と同じ方法で設計される。さらなるコンパートメントも、空気調節装置を装備する。これは、さらなるコンパートメントに関係しない別個の環境を各コンパートメント内に設定することを可能にし、昆虫肥育容器に収容された昆虫幼虫コホートは、その結果、特に換気され得る。好ましくは、第1、第2、およびすべてのさらなるコンパートメントは、同じ幾何学的形状を有する。
【0024】
好ましくは、昆虫肥育容器は、昆虫卵を受け入れるように構成される。昆虫卵は、第1の昆虫肥育容器内、第2の昆虫肥育容器内、および/またはさらなる昆虫肥育容器内に受け入れられることが好ましい。昆虫卵は、昆虫幼虫コホートに加えて、または昆虫幼虫コホートの代替として、昆虫肥育容器内に受け入れられ得る。好ましくは、第1の昆虫肥育容器、第2の昆虫肥育容器、および/またはさらなる昆虫肥育容器は、昆虫幼虫コホート、昆虫卵、および肥育基材を含む。好ましい改良形態において、第1、第2、およびさらなる昆虫肥育容器は、各々、昆虫卵を受け入れるための1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の受け入れ装置を有する。少なくとも1つの受け入れ装置は、昆虫肥育容器の上側領域または昆虫肥育容器の中心領域に配設されることが好ましい。好ましくは、受け入れ装置は昆虫肥育容器より上に配設される。受け入れ装置は、昆虫肥育容器の頂部を少なくとも部分的に覆うことが特に好ましい。昆虫卵は、好ましくは受け入れ装置の上に置かれる。昆虫卵は、幼虫が孵化するまで受け入れ装置の上でインキュベートすることができる。孵化後、幼虫は、好ましくは、受け入れ装置から昆虫肥育容器内に落下する。好ましくは、受け入れ装置は、孵化した幼虫が落下する際に通ることができる開口部を有する。好ましくは、1つまたは複数の受け入れ装置は、グリルである。グリルは、好ましくは、孵化したばかりの昆虫幼虫が通過することを可能にするメッシュ密度を有する。
【0025】
好ましくは、受け入れセクションは、内部を換気セクションと排気セクションに分割する。換気セクションおよび排気セクションは、好ましくは、一方では再循環ファンを介して、他方では少なくとも第1の空気調節装置を介して、空気伝導方式で接続される。再循環ファンの出口側は、好ましくは、可動式輸送装置の換気セクション内へ開いており、したがって換気セクションに陽圧が生じる。一方、排気セクションは、好ましくは陰圧がかかる。圧力差が生じた結果、吸引効果が発生し、換気部分からの空気は、空気調節装置の換気セクションを介して第1の昆虫肥育容器に流入し、第1の昆虫肥育容器から空気調節装置の排気セクションを介して排気部分内に流出し、それによって昆虫肥育容器内の空気交換を達成する。
【0026】
さらに好ましい実施形態では、第1の昆虫肥育容器および第2の昆虫肥育容器は、積み重ね可能である。この実施形態では、昆虫肥育容器は、好ましくは、互いの上に直接的に積み重ねられ得る。この目的のために別個のコンパートメントが設けられなくてもよい。この場合、空気調節装置は、有利には、第1の換気セクションを有する第1の側が第1の昆虫肥育容器の第1の側壁を形成し、第1の排気セクションを有する第2の側が第1の昆虫肥育容器の第2の側壁を形成するように、それぞれの昆虫肥育容器に直接的に実装され得る。第1の側壁および第2の側壁は、他の実施形態では互いにある角度を成し得るとしても、好ましくは互いに対向して配設される。
【0027】
可動式輸送装置は、好ましくは、空気調整材料を受け入れるための貯蔵容器またはホルダーを有する。貯蔵容器は、第1の側に設けられた貯蔵容器換気セクションと、第2の側に設けられた貯蔵容器排気セクションとを備える。昆虫肥育容器と同様に、貯蔵容器は、形状が立方体であることが好ましい。貯蔵容器は、第1、第2、およびすべてのさらなるコンパートメントと同じ形状を有することが特に好ましい。本発明の目的のために、空気調整材料は、空気の状態を変化させることができる材料を含む。空気の状態変数は、圧力、温度、および空気中の物質の量を含む。空気の状態を変化させる可能なものは、たとえば、空気の加熱、空気の冷却、空気の加湿、および/または空気の除湿を含む。
【0028】
貯蔵容器換気セクションは、好ましくは、貯蔵容器制御ユニットを用いて調整され得る貯蔵容器のフロー断面を含む。貯蔵容器制御ユニットは、電子制御ユニットのさらなる要素、たとえばさらなるソフトウェアモジュールまたは換気制御ユニットの一部の形態をとることが可能である。代替的に、これは独立したユニットとして設計され得、次いで好ましくは、電子制御ユニットおよび/または換気制御ユニットと通信する。第1のフロー断面と同様に、貯蔵容器フロー断面もまた、たとえば、貯蔵容器換気セクションが好ましくは貯蔵容器制御ユニットに接続された貯蔵容器アクチュエータを用いて貯蔵容器フロー断面を調整するように移動可能に配設されているルーバを備えるという点で、調整可能であり得る。特に互いに関して変位可能な2つの穿孔パネル、回転ダイヤフラム、絞りダイヤフラム、フラップ、または同様のものなどの、貯蔵容器フロー断面を調整するためのさらなる手段も設けられ得る。
【0029】
貯蔵容器換気セクションおよび貯蔵容器排気セクションは、好ましくは、貯蔵容器の実質的に対向する2つの側部に配設される。その結果、空気は、容器およびその中に含まれる空気調整材料を通って実質的に直線的に流れることができる。
【0030】
換気制御ユニットと同様に、貯蔵容器制御ユニットも、好ましくは、貯蔵容器フロー断面を第1、第2、および/またはさらなる昆虫肥育容器内の環境条件に適合させるように構成される。好ましくは、貯蔵容器制御ユニットは、昆虫肥育容器内に収容された昆虫幼虫コホートの換気を少なくする必要がある場合に、貯蔵容器のフロー断面を減少させるか、または所定の値に設定するように構成される。これは、たとえば、昆虫幼虫コホートが特に少しのCO2、湿度、および/または熱を発生する場合であり得る。指定された値は、たとえば、メモリに記憶され、CO2、湿度、および/または発熱量に応じて選択され得る。好ましくは、貯蔵容器制御ユニットは、昆虫肥育容器内に収容された昆虫幼虫コホートの換気を多くする必要がある場合に、貯蔵容器のフロー断面を増やすか、または所定の値に設定するように構成される。これは、たとえば、昆虫幼虫コホートが特に高いレベルの熱、CO2、湿度、および/または湿度を発生する場合であり得る。
【0031】
空気調整材料は、好ましくは、空気除湿のための材料、好ましくはゼオライト材料、空気冷却のための材料、および/または空気加熱のための材料のうちの1つもしくは複数を含むか、またはそれらである。CO2を吸収する材料を含むことも企図可能である。空気を冷却する可能な材料は、たとえば、氷(水)、ドライアイス、窒素氷、セラミック材料、金属材料、または空気を冷却する他の材料である。空気を冷却するための材料は、好ましくは、固体または液体である。材料は、好ましくは、ハウジング内を再循環する空気に冷たさを伝える冷却表面を有する。再循環する空気は、たとえば、対流、熱輻射および/または伝導を用いて冷却され得る。一変更形態において、空気冷却のために材料が蒸発することが好ましい。蒸発は、再循環空気を冷却する。昆虫幼虫肥育容器内の昆虫幼虫が凍結するかまたは凍ってしまうような程度まで空気を冷却することも可能である。空気を加熱するために貯蔵容器内に電気ヒーターが設けられることも可能である。材料は、好ましくは互いに交換可能であり、カートリッジの原理に従って交換され得る。
【0032】
これもまた独立して請求されている、本発明の一部、特に第2の考察は、さらに、開口部を有するハウジングと、少なくとも第1の昆虫幼虫コホートを受け入れるためのハウジングの内側に配設される受け入れセクションと、冷却ユニットとを有する、昆虫幼虫を輸送するための可動式輸送装置である。冷却ユニットの助けを借りて、昆虫幼虫を冷却された、過冷却された、または部分的にもしくは完全に凍結した状態で輸送することが可能であり、これによって、冷却ユニットは、好ましくは、可動式輸送装置を0℃から10℃の範囲、好ましくは3℃から7℃の範囲、特に好ましくは5℃の温度に維持するように構成される。第1の考察による可動式輸送装置は、第1の考察による可動式輸送装置の改良であってもよいことは理解されるべきである。この場合、冷却ユニットは、空気調整材料に対する貯蔵ユニットを含むか、もしくは貯蔵ユニットであるか、または貯蔵容器内に収納されてもよい。空気調整材料は、好ましくは冷却材料である。
【0033】
本発明のこの考察は、昆虫幼虫は温度が下がると代謝が低下し、温度に応じて、固形物の凝集状態に変化することができ、これによって昆虫幼虫の生命力がほぼ無期限に維持されるという考えに基づいている。これは、昆虫幼虫が、もはや動くことができない一種の冬眠状態に陥ることを意味している。この状態では、昆虫幼虫の生命過程は最小にまで下がる。この過程は可逆的であり、昆虫幼虫は活動状態に戻され得る。昆虫幼虫は、この凍結保存状態で数日から数週間の長期間にわたって、給餌なしで輸送され、輸送後に解凍され得る。解凍後、昆虫幼虫は、生理的過程を再開する。
【0034】
冷却ユニットは、好ましくは、最大10日間、好ましくは最大6日間、より好ましくは最大4日間、温度を維持することができる。冷却ユニットは、空気の流れに影響を及ぼす材料として少なくとも1つの冷却表面を有するヒートシンクを有することが好ましい。冷却ユニットは、ヒートシンクの冷却表面を介して再循環空気に冷気を伝達することができる。再循環空気は、対流、熱輻射および/または伝導を用いて、冷却表面を介して冷却され得る。冷却ユニットは、液体または固体の形態をとり得る。ヒートシンクは、たとえば、立方体、円錐、プレート、またはペレットの形状を有することができる。ヒートシンクは、氷(水)、液体窒素(窒素氷)、固体CO2(ドライアイス)、クールパックなどの冷湿布、冷却パッド、ペルチェ素子、金属体および/もしくはセラミック体、または他の冷却要素であること、および/またはこれらを含むことが好ましい。金属体および/またはセラミック体は、好ましくは、輸送中に空気から熱を抽出することができるように輸送装置内に挿入される前に所定の温度まで冷却される。金属体およびセラミック体に加えて、石または塩のような鉱物体など、良好な蓄熱体である他の物体も使用され得る。
【0035】
一実施形態において、冷却ユニットは、好ましくは、能動冷却用の冷却ユニットであるか、またはそのような冷却ユニットを含む。能動冷却のための冷却ユニットは、好ましくは、ファン、ポンプ、および/またはコンプレッサを備える。能動冷却用の冷却ユニットは、好ましくは、冷却剤を導くための冷却剤供給管路、および冷却剤を導くための冷却剤放出管路を備える。好ましくは、冷却剤供給管路および冷却剤放出管路は、少なくともファン、ポンプ、またはコンプレッサを介して接続されており、冷却剤供給管路は好ましくは冷却剤をファン、ポンプ、またはコンプレッサに供給し、冷却剤放出管路は好ましくは冷却剤をファン、ポンプ、またはコンプレッサから放出する。好ましくは、冷却剤は、能動冷却のために冷却ユニット内を流れる。
【0036】
ヒートシンクは、好ましくは25/1未満、好ましくは12/1未満、特に好ましくは10/1未満の体積対表面積比を有する。1日当たり、昆虫幼虫1kg当たりの冷却ユニットの冷却能力は、好ましくは、昆虫幼虫1kg当たり6Wから昆虫幼虫1kg当たり9Wの範囲、好ましくは昆虫幼虫1kg当たり7Wから昆虫幼虫1kg当たり8Wの範囲、特に好ましくは昆虫幼虫1kg当たり7.4Wから昆虫幼虫1kg当たり7.5Wの範囲である。ヒートシンクが、ドライアイスまたは窒素氷である場合、ドライアイスまたは窒素氷と1日当たり輸送される昆虫幼虫の量との比は、好ましくは、1日当たり1kgのドライアイス(窒素氷)/2kgの昆虫幼虫から1日当たり4kgのドライアイス(窒素氷)/2kgの昆虫幼虫の範囲、好ましくは1日当たり3kgのドライアイス(窒素氷)/2kgの昆虫幼虫から1日当たり4kgのドライアイス(窒素氷)/2kgの昆虫幼虫の範囲、特に好ましくは1日当たり約3.4kgのドライアイス(窒素氷)/2kgの昆虫幼虫であり得る。
【0037】
好ましい改良では、ハウジングは、第1のハウジングセクションに空気取り入れセクションを有し、第2のハウジングセクションに空気排出セクションを有する。空気取り入れセクションおよび空気排出セクションは、ハウジングによって囲まれている内部空間と環境との間の少なくとも部分的な空気交換を確実にする。空気取り入れセクションは、好ましくは、換気セクション内に開いており、空気排出セクションは、好ましくは、内部の換気セクション内に開いている。
【0038】
また、可動式輸送装置は、環境から空気をハウジングによって囲まれている内部に導入するための外気ファンを有することが好ましい。この外気ファンは、好ましくは、空気取り入れセクション内にまたは空気取り入れセクション上に配設される。この外気ファンは、好ましくは、電子制御ユニットによって制御されるが、たとえば電子制御ユニットのさらなるソフトウェアモジュールの形態で、または独立した制御ユニットとして、別個の外気ファン制御ユニットによっても制御され得る。
【0039】
可動式輸送装置は、また、ハウジングによって囲まれている内部から環境内へ空気を放出するための排気ファンを有する。この排気ファンは、好ましくは、空気排出セクション内にまたは空気排出セクション上に配設される。この排気ファンは、好ましくは、電子制御ユニットによって制御されるが、電子制御ユニットのさらなるソフトウェアモジュールとして、または独立した制御ユニットとして、好ましく設計された、別個の排気ファン制御ユニットによっても制御され得る。
【0040】
空気を加熱するための加熱装置は、好ましくは、ハウジング内に配設される。好ましくは、加熱装置は、電熱線から作られた電気加熱コイルを有し、導入されたおよび/または再循環する空気を加熱する。熱対流を用いて空気を加熱する他の設計も企図可能であり、好ましい。この目的のために、加熱装置は、好ましくは、可動式輸送装置の換気セクション内に配設される。加熱装置は、電子制御ユニットを用いて制御され得ることが好ましい。加熱装置が、電子制御ユニットのさらなるソフトウェアモジュールであり得る別の加熱装置制御ユニットを介して制御されることも可能である。ハウジング内を循環する空気の必要熱量は、特に、循環空気の平均体積および可動式輸送装置内の周囲温度と好ましい温度との間の温度差に依存する。
【0041】
可動式輸送装置のさらなる実施形態において、好ましくは別個の個別に制御可能な加熱装置が各換気セクションの前または上に配設されることも可能である。これは、昆虫肥育容器を通って流れる空気が昆虫肥育容器内に配設された昆虫幼虫コホートの要件に応じて特に加熱されることを可能にする。好ましくは、加熱装置制御ユニットは、換気制御ユニットによるフロー断面の制御、それぞれの昆虫肥育容器内のCO2、湿度、および/または熱測定値に応じて、個別の加熱装置を制御するように構成される。
【0042】
ハウジングは、好ましくは、ハウジングによって囲まれた内部と環境との間の熱伝達を低減するために断熱材を有する。断熱材は、たとえば、断熱材料または断熱特性を有する建築材料とすることができる。可動式輸送装置は、したがって、冷却または加熱から保護され得る。
【0043】
好ましい改良では、断熱材は、0.75W/m2K未満、好ましくは0.5W/m2K未満、0.3W/m2K、0.2W/m2K、0.15W/m2K、0.1W/m2Kの熱伝達率を有する。
【0044】
可動式輸送装置は、好ましくは、第1の昆虫肥育容器内に受け入れられる第1の昆虫幼虫コホートの活動を決定するための活動センサー装置を備える。いくつかの昆虫肥育容器が提供される場合、活動センサー装置は、他の昆虫肥育容器に収容された第2およびさらなる昆虫幼虫コホートの活動を決定するようにも構成される。
【0045】
活動センサー装置は、好ましくは、少なくとも第1の昆虫肥育容器の第1の昆虫肥育容器温度測定点において第1の昆虫肥育容器温度測定値を検出するように構成される。また、第1の昆虫集団容器の第2のまたはさらなる昆虫肥育容器温度測定点において第2のまたはさらなる昆虫肥育容器温度測定値が記録されることも可能である。いくつかの昆虫肥育容器が提供される場合、活動センサー装置は、他の昆虫肥育容器の昆虫肥育容器温度測定値を記録するように構成される。
【0046】
活動センサー装置は、少なくとも第1の昆虫肥育容器の第1の昆虫肥育容器湿度測定点において第1の昆虫肥育容器湿度測定値を検出するように構成されることがさらに好ましい。また、第1の昆虫肥育容器の第2のまたはさらなる昆虫肥育容器湿度測定点で、第2のまたはさらなる昆虫肥育容器湿度測定値を記録することも可能である。いくつかの昆虫肥育容器の場合、活動センサー装置は、他の昆虫肥育容器からの昆虫肥育容器湿度測定値を記録するように構成される。
【0047】
可動式輸送装置は、また、好ましくは、内部および好ましくは周囲の空気の状態を検出するための空気センサー装置を備える。
【0048】
空気センサー装置は、好ましくは、少なくとも貯蔵容器の第1の貯蔵容器温度測定点において第1の貯蔵容器温度測定値を検出するように構成される。
【0049】
空気センサー装置は、また、好ましくは、少なくともハウジング内の第1の内部湿度測定点において第1の内部湿度測定値を検出するように構成される。ハウジング内の第2のまたはさらなる内部湿度測定点で、第2のまたはさらなる内部湿度測定値を記録することも可能である。
【0050】
それに加えて、空気センサー装置は、好ましくは、少なくともハウジングの内側の第1の内部温度測定点において第1の内部温度測定値を検出するように構成される。さらなる好ましい実施形態において、空気センサー装置を用いてハウジング内の第2のまたはさらなる内部温度測定点が検出されることが可能である。
【0051】
好ましくは、空気センサー装置は、周囲空気の空気湿度を決定するため、したがって内部に流入する空気の空気湿度を決定するために、少なくともハウジングの外側の第1の外部湿度測定点において第1の外部湿度測定値を検出するようにセットアップされる。
【0052】
空気センサー装置は、また、好ましくは、周囲空気の空気温度を決定するため、したがって内部に流入する空気の空気温度を決定するために、少なくともハウジングの外側の第1の外部温度測定点において第1の外部温度測定値を検出するように構成される。これは、たとえば、より冷たい空気を供給することによって内部の温度を調整するために使用され得る。また、測定された外部温度の値は、所望の内部温度を達成するために加熱装置がどのように制御されるべきかを決定するために使用され得る。
【0053】
それに加えて、空気センサー装置は、好ましくは、少なくとも第1のCO2測定点においてハウジングの内側で循環する空気の第1の測定されたCO2濃度値を検出するように構成される。これは、所望の目標濃度を達成するために、どれだけの空気が外部から供給される必要があるかを決定するためにも使用され得る。
【0054】
好ましい改良において、可動式輸送装置の電子制御ユニットは、少なくとも第1の昆虫肥育容器温度測定値および少なくとも第1の昆虫肥育容器湿度測定値を処理して、第1の昆虫肥育容器に受け入れられた第1の昆虫幼虫コホートの活動を決定するように構成される。第2のまたはさらなる昆虫肥育容器が、可動式輸送装置内に設けられている場合、電子制御ユニットは、第2のおよび/またはさらなる昆虫肥育容器に収容された第2のおよび/またはさらなる昆虫幼虫コホートの活動を決定するようにも構成される。この目的のために、電子制御ユニットは、第2のおよび/または他の昆虫肥育容器の測定された昆虫肥育容器温度値および測定された昆虫肥育容器湿度値を処理することができる。
【0055】
さらなる好ましい実施形態において、電子制御ユニットは、少なくとも第1の貯蔵容器温度測定値、少なくとも第1の内部湿度測定値、および/または少なくとも第1の内部温度測定値を処理して、ハウジング内を循環する空気の状態を決定するように構成される。
【0056】
さらなる好ましい実施形態において、電子制御ユニットは、少なくとも第1の測定された外部湿度値および少なくとも第1の測定された外部温度値を処理して、周囲空気の状態を決定するように構成される。
【0057】
電子制御ユニットが、少なくとも検出された第1のCO2濃度測定値を処理して、CO2濃度測定値を超えたかどうかを決定するように構成されることも好ましい。
【0058】
CO2濃度測定値を超えたと決定された場合、電子制御ユニットは、好ましくは、内部と環境との間の空気交換のために外気ファンおよび排気ファンを制御するように構成される。空気交換は、定められた量の使用済み空気が排気ファンを用いて環境に放出され、同じ量の周囲空気が外気ファンを用いて内部に取り込まれることを可能にする。空気交換が完了するとすぐに、電子制御ユニットは、外気ファンおよび排気ファンを再び制御し、内部と環境との間の空気交換を中断することができる。これは、また、空気が常に環境に放出され、その結果、熱および湿度が失われるのを防ぐ。
【0059】
可動式輸送装置は、少なくとも再循環ファンおよび第1の制御ユニットに電気エネルギーを供給するためのエネルギー貯蔵ユニットを有することも好ましい。好ましくは、エネルギー貯蔵ユニットは、他の電気的または電子的コンポーネントの一部または全部にも電気エネルギーを供給する。好ましい一実施形態において、可動式輸送装置は、電気的接続部を有する。可動式輸送装置は、電気的接続部を介して電源に接続され得る。この点で、可動式輸送装置は、受取人の敷地内のローカル電源に接続され、固定装置として操作され得る。
【0060】
好ましい改良では、可動式輸送装置は、遠隔監視のためのユニットを備える。好ましくは、遠隔監視ユニットは、無線モジュールであるか、または無線モジュールを含む。無線モジュールは、4Gモジュール、5Gモジュール、GSMモジュール、または任意の他の無線モジュールであってもよい。無線モジュールは、データを送受信することができることが好ましい。好ましくは、無線モジュールは、中央基地局へデータを送信し、中央基地局からデータを受信する。中央基地局は、たとえば中央演算処理装置またはクラウドサービスである。遠隔監視ユニットは、好ましくは、昆虫バスト(insect bast)容器に収容された昆虫幼虫の活動を検出するように構成されている、活動センサー装置に接続される。活動センサー装置によって記録されたデータは、好ましくは、無線モジュールを介して中央基地局に送信される。遠隔監視のためのユニットは、好ましくは、空気センサー装置に接続されており、これは、可動式輸送装置の内部および好ましくは周囲の空気の状態を検出するように構成される。空気センサー装置によって記録されたデータは、好ましくは、無線モジュールを介して中央基地局に送信される。活動センサー装置によって記録されたデータおよび空気センサー装置によって記録されたデータは、好ましくは中央基地局で処理される。好ましい改良では、遠隔監視のためのユニットは、電子制御ユニットに接続される。好ましくは、電子制御ユニットによってすでに処理されたデータは、中央基地局に送信される。遠隔監視ユニットは、測位ユニット、たとえばGPSトラッカーを有することが好ましい。測位ユニットは、可動式輸送装置のローカル位置を検出する。記録されたローカル位置は、好ましくは無線モジュールを介して中央基地局に送信され得る。遠隔監視ユニットは、中央基地局からデータの形態で制御コマンドを受信することが好ましい。受信された制御コマンドは、好ましくは電子制御ユニットに発行される。電子制御ユニットは、好ましくは制御コマンドを実行することができる。そのような制御コマンドは、たとえば、第1のまたはさらなるフロー断面を設定するコマンド、空気を加熱または冷却するコマンド、再循環ファンを制御するコマンド、または類似のコマンドを含むことができる。
【0061】
第3の考察において、本発明は、さらに、昆虫の幼虫および/または昆虫卵を可動式輸送装置により輸送するための方法によって問題を解決し、これは第1の昆虫肥育容器に、第1の昆虫幼虫コホートおよび/または昆虫卵を充填し、肥育基材を添加する、ステップと、充填された第1の昆虫肥育容器を可動式輸送装置の受け入れセクション、好ましくは受け入れセクションの第1のコンパートメントに挿入するステップと、第1の昆虫幼虫コホートおよび/または昆虫卵を可動式輸送装置で第1の場所から第2の場所に輸送するステップと、第2の場所で第1の昆虫肥育容器を受け入れセクションから取り出すステップと、を含む。好ましくは、昆虫幼虫コホートは、少なくとも部分的に肥育基材に覆われる。
【0062】
添加される肥育基材が一定割合の水を含むことが特に好ましい。添加される肥育基材は、好ましくは、一定割合の水結合物質を含む。添加される肥育基材は、好ましくは、一定割合の栄養物を含む。添加される肥育基材中の水の割合は、好ましくは0%から90%の範囲内である。添加される肥育基材中の水結合物質の割合は、好ましくは10%から100%の範囲内である。添加される肥育基材中の栄養物の割合は、好ましくは0%から100%の範囲内である。水結合基材は、たとえば、ふすま、水結合ゲル、または他の水結合要素である。肥育基材の粘稠度は、好ましくは、添加時に粥状の粘稠度である。肥育プロセス中に、肥育基材内の水の割合は減少する。その結果、肥育基材の粘稠度が変化し、自由流動性を有するようになり、分割可能になる。本発明の第3の考察による方法における可動式輸送装置は、好ましくは、上で説明されているように、本発明の第1のおよび/または第2の考察による可動式輸送装置の好ましい一実施形態により実装される。この点に関して、上記の説明が完全に参照される。
【0063】
第1の施設は、好ましくは、昆虫幼虫の中心繁殖施設である。昆虫幼虫は、最初に、ここで繁殖され、輸送のために第1の昆虫肥育容器に充填され得る。第2のおよび/またはさらなる昆虫肥育容器が、可動式輸送装置に備えられている場合に、これらも、第1の場所で昆虫幼虫コホートおよび肥育基材を充填される。第2のおよび/または他の昆虫肥育容器は、第1の昆虫幼虫コホートとは異なる昆虫幼虫コホートを充填されることが好ましい。第2のおよび/または後続の昆虫幼虫コホートは、第1の昆虫幼虫コホートとは年齢または属について異なり得る。しかしながら、第1の、第2の、およびさらなる昆虫幼虫コホートは、共通の昆虫幼虫コホートにも由来し得る。第2の昆虫肥育容器および/または他の昆虫肥育容器が、代替的にまたはそれに加えて、昆虫卵を充填されることが好ましい。第2の場所は、好ましくは、昆虫幼虫を家畜の飼料として、または廃棄物処理手段として使用する農家などの、受取人の施設にある。可動式輸送装置を受け取った後、受取人は、受け入れセクションから第1の昆虫肥育容器を取り出し、そこに収容された第1の昆虫幼虫コホートをそれ自身の飼育装置に移送することができる。いくつかの昆虫肥育容器が充填された場合、受取人は、他の昆虫肥育容器も取り出し、そこに収容された昆虫幼虫コホートをそれ自身の飼育設備に移送する。
【0064】
昆虫幼虫を輸送するための方法の好ましい改良において、第1の昆虫幼虫コホートは、可動式輸送装置でピックアップされた後、冷却ユニットを用いて0℃から10℃の範囲、好ましくは3℃から7℃の範囲、特に好ましくは5℃の温度に冷却される。昆虫幼虫は、代謝をほとんど完全に低下させる。昆虫幼虫は、この冷却状態で、餌なしでより長い期間にわたって輸送され得る。
【0065】
冷却温度は、好ましくは冷気が再循環空気に放出される際に通る冷却表面を持つヒートシンクを有する、冷却ユニットを用いて輸送中に可動式輸送装置の内側で維持される。ヒートシンクは、氷(水)、液体窒素(窒素氷)、固体CO2(ドライアイス)、クールパックなどの冷湿布、冷却パッド、ペルチェ素子、金属材料。セラミック材料、または他の冷却要素であること、および/またはこれらを含むことが好ましい。ヒートシンクがドライアイスまたは窒素氷であるか、またはドライアイスまたは窒素氷を含んでいる場合、ドライアイスまたは窒素氷は、冷却能力の結果として蒸発する。ドライアイスの蒸発量は、好ましくは、0.15kWh/kgから0.2kWh/kg、好ましくは0.178kWh/kg程度である。1日当たり、昆虫幼虫1kg当たりの冷却ユニットの冷却能力は、好ましくは、昆虫幼虫1kg当たり6Wから昆虫幼虫1kg当たり9Wの範囲、好ましくは昆虫幼虫1kg当たり7Wから昆虫幼虫1kg当たり8Wの範囲、特に好ましくは昆虫幼虫1kg当たり7.4Wから昆虫幼虫1kg当たり7.5Wの範囲である。
【0066】
昆虫幼虫が、第2の場所で可動式輸送装置から取り出された後、これらは解凍され、および/または加熱され、活動状態にされ得る。解凍後、昆虫幼虫は、生理的過程を再開する。しかしながら、昆虫幼虫は、また、たとえば加熱装置を使用して、可動式輸送ボックス内で加熱され得る。この目的のために、ウォームアッププログラムが、電子制御ユニットに記憶され、輸送が完了した後に実行され得る。
【0067】
昆虫幼虫を輸送する方法は、好ましくは、第1の昆虫肥育容器温度測定値を表す第1の昆虫肥育容器温度信号を供給し、活動センサー装置からの第1の昆虫肥育容器湿度測定値を表す第1の昆虫肥育容器湿度信号を電子制御ユニットに供給するステップと、電子制御ユニットを用いて、供給された昆虫肥育容器温度信号および供給された昆虫肥育容器湿度信号に基づき、第1の昆虫肥育容器内に受け入れられた第1の昆虫幼虫コホートの活動を決定するステップと、第1の昆虫肥育容器内に受け入れられた第1の昆虫幼虫コホートの決定された活動に基づき電子制御ユニットから少なくとも再循環ファンへの制御信号を調整するステップとをさらに含む。
【0068】
温度および湿度が、第1の昆虫肥育容器に受け入れられた第1の昆虫幼虫コホートの活動の増大に伴って高くなるにつれ、昆虫幼虫の比較的高い活動は、比較的高い温度および/または湿度の結果として決定され得る。比較的低い温度および/または湿度では、第1の昆虫肥育容器でピックアップされた第1の昆虫幼虫コホートの比較的低い活動が決定され得る。
【0069】
昆虫肥育容器内の空気交換を必要とする活動が検出された場合、再循環ファンは、好ましくは可動式輸送装置の換気セクション内に開いている、再循環ファンの出口側に過圧が生じるが、換気セクションでは陰圧が生じるように制御される。圧力差が生じた結果、吸引効果が発生し、換気セクションからの空気は、空気調節方向の換気セクションを介して第1の昆虫肥育容器に流入し、第1の昆虫肥育容器から空気調節装置の排気セクションを介して換気セクション内に流出し、それによって昆虫肥育容器内の空気交換を可能にする。第1の昆虫肥育容器内で比較的遅い空気交換を必要とするか、または空気交換をまったく必要としない活動が検出された場合、再循環ファンは、速度を下げて運転するように制御され得、その結果、電力を節約する。再循環ファンを完全にオフにすることも可能である。
【0070】
可動式輸送装置により昆虫幼虫を輸送する方法は、好ましくは、第1の昆虫幼虫容器内に収容された第1の昆虫幼虫コホートの決定された活動に基づき第1のフロー断面を設定するために第1の昆虫肥育容器に収容された第1の昆虫幼虫コホートの決定された活動に基づき電子制御ユニットから換気制御ユニットへの制御信号を調整するステップをさらに含む。
【0071】
第1のフロー断面は、たとえば、第1の空気制御装置が、第1のフロー断面を調整するために、好ましくは第1のアクチュエータを用いて、移動可能に配設されるルーバを備えるという点で、調整可能であり得る。代替的に、互いに対して移動され得る、穿孔プレート、回転スライド、絞りダイヤフラム、単純なフラップ、または同様のものを有することもできる。第1のフロー断面は、したがって、第1の昆虫肥育容器内に配設された第1の昆虫幼虫コホートの決定された活動に応じて、相対的に拡大されるか、相対的に縮小されるか、または完全に閉鎖され得る。これは、昆虫肥育容器のフロー断面、したがってそれぞれの昆虫肥育容器を通過する空気流が結果として個別に制御され得るので、いくつかの昆虫幼虫容器が可動式輸送装置内に配設されている場合に特に有利である。また、昆虫肥育容器内で発生する熱を利用することも可能である。この方法で、収容されている昆虫幼虫コホートが特に大量の熱を発生する昆虫肥育容器は、激しく換気され得る。この目的のために、対応するフロー断面は、相対的に拡大される。その結果、再循環空気が加熱され、その熱が他の昆虫肥育容器に分配され得る。
【0072】
好ましい改良において、可動式輸送装置により昆虫幼虫を輸送するための方法は、第1の貯蔵容器温度測定値を表す第1の貯蔵容器温度信号を供給し、第1の内部湿度測定値を表す第1の内部湿度信号を供給し、第1の内部温度測定値を表す内部温度信号を供給し、電子制御ユニット上の空気センサー装置からのCO2濃度測定値を表すCO2濃度信号を供給するステップと、電子制御ユニットを用いて、供給された貯蔵容器温度信号、供給された内部湿度信号、および供給された内部温度信号に基づきハウジング内を循環する空気の状態を決定するステップと、決定された空気状態に基づき電子制御ユニットから少なくとも貯蔵容器制御ユニットへの制御信号を調整するステップとを含む。
【0073】
貯蔵容器制御ユニットは、貯蔵容器の貯蔵容器換気セクションの貯蔵容器フロー断面を設定するために使用され得る。空気調整材料は、好ましくは、貯蔵容器内に配設される。第1のフロー断面と同様に、貯蔵容器フロー断面は、たとえば、ルーバを含む貯蔵容器換気セクションまたは上述の他の手段によって、調整可能であってもよく、これは、好ましくは、貯蔵容器フロー断面を調整するように貯蔵容器アクチュエータによって移動可能に配設される。
【0074】
貯蔵容器フロー断面は、したがって、ハウジング内を循環する空気の検出された空気状態に応じて、貯蔵容器制御ユニットによって相対的に拡大されるか、縮小されるか、または完全に閉鎖され得る。貯蔵容器フロー断面が少なくとも部分的に開いている場合、空気は、換気セクションから貯蔵容器内に流入し、内部の空気調整材料を通って流れることができる。空気調整材料は、必要に応じて、貯蔵容器内に流入する空気から湿度を抽出する、熱を加えるもしくは取り除く、または空気から過剰なCO2を吸収することができる。さらに、昆虫肥育容器内に収容された昆虫幼虫コホートが、結果としてもはや活動をいっさい示さない程度まで、空気調整材料が流入空気を冷却することが好ましい。
【0075】
この方法は、第1の外部湿度測定値を表す外部湿度信号を供給し、第1の外部温度測定値を表す外部温度信号を空気センサー装置から電子制御ユニットに供給するステップと、供給された外部湿度信号および供給された外部温度信号に基づき周囲空気の状態を決定するステップと、電子制御ユニットから少なくとも加熱装置への制御信号を調整するステップとを含むことがさらに好ましい。
【0076】
決定された周囲空気の状態が、内部に流入する周囲空気に対する熱供給を必要とする場合、加熱装置は、内部に流入する周囲空気に必要に応じて熱を供給するように制御され得る。この目的のために、加熱装置は、好ましくは、ハウジングの空気取り入れセクション上に配設される。加熱装置は、また、好ましくは、ハウジング内を循環する空気のすでに決定された空気状態に基づきハウジング内を循環する空気を加熱することができるようにセットアップされ、配設される。内部を循環する空気は、また、年齢が高いことに起因して非常に活発な昆虫幼虫コホートからの排熱によっても加熱される。決定された周囲空気の状態が、内部に流入する周囲空気またはハウジング内を循環する空気に対する熱供給を必要としない場合には、加熱装置は、オフにされ得る。
【0077】
第2のまたはさらなる昆虫肥育容器が、可動式輸送装置内に配設される場合、別個の加熱装置が、昆虫肥育容器の各換気セクションの前に配設されることが可能である。電子制御ユニットは、好ましくは、それぞれの昆虫肥育容器内に収容された昆虫幼虫コホートの決定された活動に基づき、ハウジング内を循環する空気の決定された空気状態に基づき、および/または周囲空気の決定された空気状態に基づき、個別の加熱装置を個別に制御するように構成され、それによりそれぞれの昆虫肥育容器に流入する空気は、個別に加熱され得る。それぞれの昆虫肥育容器の昆虫幼虫コホートが、追加の熱を必要としない場合、対応する昆虫肥育容器上の加熱装置はオフされ得る。
【0078】
この方法は、好ましくは、空気センサー装置から電子制御ユニットへの測定されたCO2濃度値を表すCO2濃度信号を供給するステップと、CO2濃度値が所定の臨界CO2濃度値を超えた場合に電子制御ユニットによって過剰CO2濃度測定値を決定するステップと、過剰CO2濃度測定値が決定された場合に電子制御ユニットから外気ファンへの制御信号を調整するステップと、過剰CO2濃度測定値が決定された場合に電子制御ユニットから排気ファンへの制御信号を調整するステップとをさらに含む。
【0079】
臨界CO2濃度値は、輸送されるべき昆虫幼虫コホートの生存が脅かされないように予め決定され、選択される。測定されたCO2濃度値が臨界CO2濃度値を少なくとも10%、好ましくは少なくとも5%、特に好ましくは少なくとも5%未満だけ超える場合に、測定されたCO2濃度値を超えたと認識される。
【0080】
CO2濃度が測定値を超えた場合、外気ファンおよび排気ファンの両方が作動して、内部と環境との間の空気交換を可能にする。排気ファンは、好ましくは、定められた量の使用済み空気を環境に放出することができる。外気ファンは、好ましくは、同じ量の空気を周囲からの新鮮な空気の形態で内部に導入するために使用され得る。空気が交換された後、電子制御ユニットは、それ以上空気が可動式輸送装置の内部から環境へ放出される、または環境から内部へ導入されることのないように外気ファンおよび/または排気ファンを再び制御することができる。それに加えて、または代替的に、フラップまたは同様のものなどの閉鎖部が、外気ファンおよび/または排気ファンに設けられ、それらを閉鎖することもできる。
【0081】
可動式輸送装置により昆虫幼虫を輸送する方法は、好ましくは、貯蔵容器に、ハウジングの内側の空気の状態に影響を及ぼす空気調整材料を充填するステップをさらに含む。空気調整材料は、好ましくは、貯蔵容器内にカートリッジの形態で配設され、これは、空気調整材料の交換を容易にする。空気調整材料は、好ましくは、空気を除湿するための材料、空気を冷却するための材料、空気を加熱するための材料、および/またはCO2吸収材料を含むか、またはこれらの材料である。
【0082】
好ましくは、このプロセスは遠隔監視ユニットを用いて監視される。遠隔監視のためのユニットは、好ましくは、上で説明されているように設計される。
【0083】
第4の考察において、冒頭で述べた課題は、可動式輸送装置を使用することによっても解決される。可動式輸送装置の使用は、好ましくは、昆虫幼虫コホートおよび/または昆虫卵を第1の場所から第2の場所に輸送することであり、第1の場所は第2の場所から空間的に隔たっている。
【0084】
可動式輸送装置を使用するときには、輸送は最大10日間、好ましくは最大6日間、より好ましくは最大4日間を要することが好ましい。
【0085】
本発明の第4の考察による使用による可動式輸送装置は、好ましくは、本発明の第1または第2の考察による可動式輸送装置の上述の好ましい実施形態の1つに従って設計される。この点に関して、上記の説明が完全に参照される。
【0086】
本発明の第1または第2の考察による可動式輸送装置、本発明の第3の考察による方法、および本発明の第4の考察による使用は、特に従属請求項において記録されているように、同一および類似の下位の考察を含むことが理解される。この点で、一考察の好ましい実施形態および改良については、他の考察の好ましい実施形態および改良も参照される。
【0087】
本発明の実施形態を、図面を使用して以下で説明する。図面は、実施形態を必ずしも縮尺通りに示しておらず、むしろ、図面は、わかりやすくするために有用である限り、図式的なおよび/またはわずかに歪めた形態で作成されている。図面から直接的に認識可能な教示の拡張に関しては、該当する従来技術が参照される。実施形態の形態および詳細に関係する様々な修正および変更は、本発明の一般的な考え方から逸脱することなく行われ得ることに留意されたい。説明、図面、および特許請求の範囲において開示されている本発明の特徴は、個別および任意の組合せの両方で、本発明の改良に本質的であり得る。さらに、明細書、図面、および/または特許請求の範囲において開示されている特徴の2つまたはそれ以上の組合せはすべて本発明の範囲内に収まる。本発明の一般的な考え方は、以下に示され、説明されている好ましい実施形態の正確な形態または詳細に限定されるものではなく、また、特許請求の範囲において請求されている主題と比較して限定される主題に限定されるものでもない。寸法に対して範囲が与えられている場合、規定された限界内の値および限界値は、開示され、任意に使用され請求され得る。簡略化のため、以下では、同一のもしくは類似の部分、または同一のもしくは類似の機能を有する部分に対して、同じ参照番号が使用される。
【0088】
本発明のさらなる利点、特徴、および詳細は、好ましい実施形態の以下の説明および図面に起因し、図面には以下が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【
図2】
図1の断面に対して垂直な、
図1による可動式輸送装置の断面図である。
【
図3】ハウジングの断熱カバープレートを備えた可動式輸送装置の上面図である。
【
図5】時間の経過に伴うコンパートメントの発熱を示す図である。
【
図6】時間の経過に伴うコンパートメントの必要換気量を示す図である。
【
図8】昆虫幼虫を輸送するための方法の第1の好ましい実施形態の概略フローチャートである。
【
図9】昆虫幼虫を輸送するための方法の第1の実施形態の可能な改良である、昆虫幼虫を輸送するための方法の第2の好ましい実施形態の概略フローチャートである。
【
図10】昆虫幼虫を輸送するための方法の第2の実施形態の可能な改良である、昆虫幼虫を輸送するための方法の第3の好ましい実施形態の概略フローチャートである。
【
図11】昆虫幼虫を輸送するための方法の第1、第2、または第3の実施形態の可能な改良である、昆虫幼虫を輸送するための方法の第4の好ましい実施形態の概略フローチャートである。
【
図12】昆虫幼虫を輸送するための方法の第1、第2、第3、または第4の実施形態の可能な改良である、昆虫幼虫を輸送するための方法の第5の好ましい実施形態の概略フローチャートである。
【
図13】昆虫幼虫を輸送するための方法の第1、第2、第3、第4、または第5の実施形態の可能な改良である、昆虫幼虫を輸送するための方法の第6の好ましい実施形態の概略フローチャートである。
【
図14A】肥育フェーズの開始時の幼虫分布の概略的表現の等角上面図である。
【
図14B】肥育フェーズの開始時の肥育基材の概略的表現の側面図である。
【
図14C】肥育フェーズの中心における幼虫分布の概略的表現の等角上面図である。
【
図14D】肥育フェーズの中心における肥育基材の概略的表現の側面図である。
【
図14E】肥育フェーズの終了時の幼虫分布の概略的表現の等角上面図である。
【
図14F】肥育フェーズの終了時の幼虫分布の概略的表現の側面図である。
【
図16】昆虫幼虫飼育装置用の活動センサー装置を備えた昆虫肥育容器の等角表現図である。
【
図17】昆虫幼虫飼育装置用の活動センサー装置を備えた昆虫肥育容器のさらなる等角表現図である。
【
図18】湿度および温度センサーによって記録される測定値の時間曲線を示す図である。
【
図19】昆虫幼虫の活動を決定するための方法の第1の好ましい実施形態の例の概略フローチャートである。
【
図20】昆虫幼虫の活動を決定するための方法の第1の実施形態の可能な改良である、昆虫幼虫の活動を決定するための方法の第2の好ましい実施形態の例の概略フローチャートである。
【
図21】可動式昆虫幼虫飼育装置の第2の実施形態の例を示す図である。
【
図22】可動式昆虫幼虫飼育装置の第3の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0090】
本発明の第1の考察による可動式輸送装置1は、断熱材52、空気取入セクション40、および空気排出セクション42を備えたハウジング2を有する(
図1)。可動式輸送装置1は、ここでは可動式、すなわち輸送可能であり、輸送を意図されているものとして説明されているとしても、その機能および特徴は、昆虫幼虫の飼育し繁殖させるための固定装置においても有用であり、これらの機能および特徴は、固定装置においても有利に使用され得ることは理解されるべきである。
【0091】
受け入れセクション4が、ハウジング内に設けられ、4つの昆虫肥育容器6.1~6.4が、
図1の実施形態の例において配設されている。受け入れセクション4は、4つの昆虫肥育容器6.1~6.4を受け入れるための4つのコンパートメント22.1~22.4(
図2参照)に分割され、これらは、垂直方向に、実質的に可動式輸送装置1の断面全体にわたって配設されている(
図2および
図4参照)。この実施形態では、昆虫肥育容器6.1~6.4は、コンパートメント22.1~22.4内に選択的に挿入され、取り出され得る。好ましくは、昆虫肥育容器6.1~6.4は、コンパートメント22.1~22.4に輸送される前に、昆虫幼虫および肥育基材を充填される。これは、たとえば従業員によって手動で行われ得る。昆虫肥育容器6.1~6.4の肥育面積は、好ましくは0.5m
2から0.7m
2の範囲内にある。昆虫肥育容器6.1~6.4に最初に添加される、肥育基材は、一定割合の水を含む。添加される肥育基材は、好ましくは、一定割合の水結合物質を含む。添加される肥育基材は、好ましくは、一定割合の栄養物を含む。肥育基材は、肥育プロセス中に湿度を失う。昆虫幼虫、水結合物質、および/または換気/空気調整は、肥育基材から湿度を取り除く。その結果、肥育基材の粘稠度が変化する。
【0092】
輸送後、個別の昆虫肥育容器6.1~6.4は、次いで、コンパートメント22.1~22.4から取り出される。次いで、たとえば、さらなる飼育および給餌のために受取人によって送り先の既存の施設に輸送されるか、または成熟したときに直接的に収穫され得る。本発明の可動式輸送装置1は、輸送中であってもさらなる給餌および飼育を可能にし、これは繁殖の効率、さらには幼虫の品質をも改善することができる。
【0093】
受け入れセクション4は、ハウジング2の内部24を排気セクション28と換気セクション26とに分割しており、その機能については以下でより詳細に説明される。4つのコンパートメント22.1~22.4は、各々、空気調節装置12.1~12.4を有し、空気調節装置12.1~12.4は、各々、換気セクション14.1~14.4および排気セクション16.1~16.4を有する。
図1の実施形態の例では、換気セクション14.1~14.4は、各々、コンパートメントの第1の側壁を形成し、排気セクション16.1~16.4は、各々、コンパートメントの第2の側壁を形成する。第1および第2の側壁は、互いに対向して配設される。換気セクション14.1~14.4は、フロー断面20.1~20.4(
図2参照)も備え、これは、可動式輸送装置1の下側セクションに配設された換気制御ユニット18を用いて調整可能である。
【0094】
再循環ファン8は、ハウジング2の内側の可動式輸送装置1の上側セクションに配設されている。運転中、再循環ファン8は、排気セクション28から換気セクション26に空気を搬送し、それにより排気セクション28と換気セクション26との間に空気伝導接続部を形成する。第1、第2、第3、および第4の空気調節装置12.1~12.4は、換気セクション26と排気セクション28との間にさらなる空気伝導接続部を形成する。再循環ファン8は、可動式輸送装置1の下側セクションに配設された電子制御ユニット10によって制御される。再循環ファン8は、ハウジング2の内壁と残りの受け入れセクション4との間の明確な断面全体を閉鎖する仕切り壁内に挿入され、換気セクション26および排気セクション28は、一方では再循環ファン8を介してのみ、他方では空気調節装置12.1~12.4を介してのみ接続されている。これは、再循環ファン8によって搬送される空気が実際に個別の昆虫肥育容器6.1~6.4に到達し、その中に収容されている昆虫幼虫を曝気することを確実にする。
【0095】
貯蔵容器30も、ハウジング2内に配設されており、これも、この実施形態の例では、受け入れセクション4に収容される。他の実施形態では、別の場所に設けることもできる。貯蔵容器30は、4つのコンパートメント22.1~22.4と一緒に垂直配置構成で設けられ、配置構成の下側端部を形成する。
図1の実施形態の例では、貯蔵容器30は、追加の断熱材52を備える。空気除湿用のゼオライトなどの、空気調整材料31が、貯蔵容器30内に可逆的に収容されている。
【0096】
貯蔵容器30は、第1の側に貯蔵容器換気セクション32を有し、第1の側と対向する、第2の側部に貯蔵容器排気セクション34を有する。貯蔵容器換気セクション32は、また、貯蔵容器制御ユニット36(
図2参照)を用いて調整可能である、貯蔵容器フロー断面38を備える。
【0097】
貯蔵容器フロー断面38は、
図1および
図2の実施形態の例では、完全に閉じられており、したがって換気セクション26からの空気は貯蔵容器30に入ることができない。内部の空気の湿度が高すぎると決定された場合、貯蔵容器換気セクション32は、部分的にまたは完全に開放され、空気はまた貯蔵容器30内を循環することができ、したがって空気の湿度を下げることができる。空気調整材料31としてのゼオライトの代わりに、他の材料も、たとえば冷却材料も企図可能であり、空気の温度は、貯蔵容器換気セクション32と再循環ファン8の対応する作動によって影響を受け得る。
【0098】
電子制御ユニット10および換気制御ユニット18と同様に、貯蔵容器制御ユニット36は、可動式輸送装置1の下側セクションに配設される。
図1の実施形態の例では、貯蔵容器制御ユニット36および換気制御ユニット18は、別々の制御ユニットとして設けられている。他の実施形態では、これらは、部分的にまたは完全に単一の電子制御ユニットに統合され得、次いで、制御ユニットのいくつかまたはすべての機能を実行する。下側セクションは、また、可動式輸送装置1の電気および電子コンポーネントに供給するためのエネルギー貯蔵ユニット74を収容する。エネルギー貯蔵装置74は、好ましくは、充電式電池として設計され、好ましくは、電気および電子コンポーネントには輸送の持続時間全体にわたって電気エネルギーが供給され得るような容量を有する。可動式輸送装置1は、可動式輸送装置1がローカル電源に接続される際に経由する電気接続部(図示せず)を有することが好ましい。したがって、可動式輸送装置1は、また、エネルギー貯蔵ユニット74が追加のエネルギーを供給することなく固定モードで運転され得る。
【0099】
外気ファン46は、ハウジング2の空気取入セクション40内に配設され、環境44からの空気を内部24へと換気する。
図1の実施形態の例では、空気取入セクション40は、内部24の換気セクション26内へ開いており、環境44からの空気は、換気セクション26内に換気される。加熱装置50が、換気セクション26内に配設され、これは流入空気を加熱する。加熱装置50は、再循環ファン8によって再循環される空気も同時に加熱できるように配設されている。
【0100】
排気ファン48は、ハウジング2の空気排出セクション42内に配設されており、これは内部24の排気セクション28からの空気を環境44に導く。外気ファン46および排気ファン48は両方とも、電子制御ユニット10によって制御され得る。
【0101】
図1の実施形態の例では、第1の昆虫肥育容器温度測定点56が、4つの昆虫肥育容器6.1~6.4の各々に配設されている。昆虫肥育容器6.1~6.4が収容される、コンパートメント22.1~22.4の各々には、第1の昆虫肥育容器湿度測定点58も設けられており、これは、いわば、さらなる昆虫肥育容器温度測定点となっている。
【0102】
貯蔵容器温度測定点62が、貯蔵容器30内に配設されている。貯蔵容器排気セクション34に隣接する第1の内部湿度測定点64.1および第1の内部温度測定点66.1、さらには再循環ファン8に隣接する第2の内部湿度測定点64.2および第2の内部温度測定点66.2が、排気セクション28に設けられている。同様に、さらなる内部温度測定点である、CO2測定点72が、排気ファン48に隣接する排気セクション28に配設されている。
【0103】
第3の内部温度測定点66.3および第3の内部湿度測定点64.3は、換気セクション26に配設される。外部湿度測定点68と外部温度測定点70は、周辺44においてハウジング2の外側に配設される。
【0104】
すべての測定点は、電子制御ユニットに接続されており、したがって電子制御ユニットは、測定点からの対応する測定信号を分析することができる。
【0105】
可動式輸送装置1は、パレット106上に位置決めされている。これは、輸送を簡素化し、可動式輸送装置1は、従来の物流機器を使用して取り扱われ、輸送され得る。
【0106】
図2は、可動式輸送装置1のさらなるセクションの側面図を示しており、換気セクション14.1~14.4はフロー断面20.1~20.4と一緒に、また貯蔵容器換気セクションは貯蔵容器フロー断面38と一緒に見ることができる。
図2の実施形態の例では、フロー断面20.1~20.4および貯蔵容器フロー断面38は、アクチュエータ21.1~21.4または貯蔵容器アクチュエータ39によって移動され得るディスクを備える。
図2の実施形態の例では、アクチュエータ21.1~21.4は、換気制御ユニット18によって制御され、貯蔵容器アクチュエータ39は、貯蔵容器制御ユニット36によって制御される。
【0107】
貯蔵容器フロー断面38は、完全に閉じられている。第1、第2、および第4のフロー断面20.1、20.2、20.4は、換気セクション26からの空気が昆虫肥育容器6.1、6.2、6.4内に部分的に流入できるように部分的に開いている。他方で、第3のフロー断面20.3は、完全に開いており、空気は完全に開いたフロー断面20.3を介して第3の昆虫肥育容器6.3内に流入することができる。換気セクション26における矢印によって
図1にも示されているように、第1、第2、および第4のコンパートメント22.1、22.2、22.4にはほぼ等しい空気流が入り、第3のコンパートメント22.3にはわずかに高い割合の空気流が入る。繁殖フェーズ中では、より詳しく説明されるように、幼虫によって生成される熱量が変化する。典型的には、始めは低く、次いで、数日後には上昇し、結局成熟の終盤に向かって再び低下する。これは、特に、幼虫同士が擦れ合うことによって引き起こされる摩擦熱によって説明され得る。個別のコンパートメント22.1~22.4は、個別に換気され得るので、それぞれのコンパートメント22.1~22.4内に存在する対応する昆虫幼虫コホートは、各ケースで環境を最適に調整することができるように個別の、成熟度に応じて、適切な空気流を供給され得る。
【0108】
図3は、ハウジングの一部である、断熱カバープレート43を備える可動式輸送装置1の上面図を示している。選択的に開閉可能な開口部3は、
図3では閉じられている。空気取入セクション40および空気排出セクション42は、断熱カバープレート43上に配設されている。外部湿度測定点68および外部温度測定点70は、空気取入セクション40に空間的に近接して設けられており、空気取入セクション40を介して流入する空気の湿度および温度が検出され得る。
【0109】
図4は、ハウジング2のカバープレートなしの可動式輸送装置の上面図を示している。受け入れセクション4は、内部24を排気セクション28と換気セクション26とに分割する。矢印の方向は、再循環ファン8が排気セクション28から換気セクション26へと空気を換気し、これは加熱装置50によって加熱され得ることを示している。CO2測定点60およびさらに外部温度測定点も、周囲に配設され、したがって流入する空気の湿度および温度に加えてCO2濃度も記録され得る。
【0110】
図5は、異なるコンパートメント22.1~22.4における発熱量、ひいては異なる時刻t1、t2、t3、t4、t5、t6、およびt7においてそこで記録された昆虫幼虫コホートの曲線を示し、これらは横軸にプロットされている。これらの時点は、可動式輸送装置1によるこれらのコンパートメント22.1~22.4の共同輸送の1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、および7日目を表す。昆虫幼虫コホートは、年齢が異なっており、したがってコンパートメント22.1~22.4内の個別の発熱曲線はシフトされる。
【0111】
縦軸において、発熱量は0から350Wの範囲内のワット単位でプロットされる。
【0112】
第1のコンパートメント22.1、ひいてはそこに収容された第1の昆虫幼虫コホート内の発熱量は、時刻t1、すなわち輸送の最初の日に約25ワットであり、時刻t3までほぼ一定のままである。発熱量は、時刻t3から増加し、時刻t6の少し前に最大約120ワットに達する。次いで、発熱量は、時間t7までに約20ワットに再び低下する。この発熱プロセスは、第1のコンパートメント22.2でピックアップされた昆虫幼虫が、輸送の開始時点では比較的若い昆虫幼虫であることを示している。
【0113】
第2のコンパートメント22.2内、ひいてはそこに収容されている昆虫幼虫の第2のコホート内の発熱量は、時刻t1において約10ワットであり、時刻t3までに約45ワットに上昇し、次いで時刻t4からt5の間に約120ワットに上昇する。その後、発熱量は、時間t6までに約10ワットに低下する。発熱曲線は、第2のコンパートメント22.2でピックアップされた昆虫幼虫が、輸送の開始時に第1のコンパートメント22.1でピックアップされた昆虫幼虫よりも比較的年長であることを示している。
【0114】
第3のコンパートメント22.3、ひいてはそこに収容されている第3の昆虫幼虫コホート内の発熱量は、時刻t1において約20ワットであり、時刻t2までに発熱量はすでに約50ワットに増加し、次いで時刻t3からt4の間に最大約120ワットに達する。その後、発熱量は、時刻t5まで約10ワットに低下し、時刻t7まで一定のままとなる。発熱曲線は、第3のコンパートメント22.3に収容された昆虫幼虫が、輸送の開始時に、第1のコンパートメント22.1に収容された昆虫幼虫および第2のコンパートメント22.2に収容された昆虫幼虫よりも比較的年長であることを示している。
【0115】
第4のコンパートメント22.4内では、発熱量は、時刻t1においてすでに約45ワットである。時刻t2からt3の間に、発熱量はすでに最大約120ワットに達する。その後、発熱量は、時刻t4まで約10ワットに低下し、時刻t7まで約10ワットで一定のままとなる。この経過から、第4のコンパートメント22.4において収容されている昆虫幼虫は、輸送の開始時の比較的最年長の昆虫幼虫であることがわかる。
【0116】
実質的に、個別のコンパートメントの曲線は、したがって、1日のフェーズシフトを示している。
【0117】
昆虫幼虫によって発生する熱は、循環空気を加熱するために使用され得るエネルギーも発生する。これは、エネルギー貯蔵ユニット74のエネルギー消費を大幅に削減することができる。
【0118】
図5は、再循環ファン8を介して達成される、再循環がある場合の平均発熱量96の経過も示している。時刻t1では、再循環がある場合の平均発熱量96は、約20ワットであり、時刻t2においてすでに50ワットである。時刻t3からt4の間で、平均発熱量96は、約75ワットの最大値に達し、その後時刻t5まで約75ワットでほぼ一定に保たれる。次いで、再循環がある場合の平均発熱量の曲線は平坦になり、時刻t7までに約10ワットに低下する。
【0119】
図5は、再循環なしのコンパートメント22.1~22.4の発熱量の合計の経過も示している。再循環なしの総発熱量98は、時刻t1で100ワット弱であり、時刻t2で200ワット、次いで時刻t3で最大約290ワットである。再循環なしの総発熱量98の経過は、時刻t5まで約260ワットに低下し、その後時刻t7まで50ワット強に低下する。
【0120】
再循環がある場合の平均発熱量96と再循環がない場合の総発熱量98との比較を見ると、再循環ファン8を用いた再循環の結果、可動式輸送装置1において発熱量が低下することがわかる。
【0121】
図6は、コンパートメント22.1~22.4の需要換気量の曲線、再循環がある場合の平均需要換気量100、および再循環がない場合のコンパートメント22.1~22.4の需要換気量102の合計を示している。横軸に、時刻t1、t2、t3、t4、t5、t6、およびt7を取り、
図5のように、これらの時刻は、可動式輸送装置1とのこれらのコンパートメント22.1~22.4の共同輸送の1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、および7日目を表す。縦軸には、0m
3/hから20m
3/hまでの範囲内の必要換気量がm
3/h単位で記載されている。
図6による計算された必要換気量と、
図5による計算された発熱量は、一緒に考慮されなければならない。
【0122】
第1のコンパートメント22.1、ひいてはそこに収容される昆虫幼虫の必要換気量は、時刻t1で1m
3/hをわずかに上回り、時刻t3まで1m
3/hでほぼ一定のままである。第1のコンパートメント22.1の必要換気量は、最初に、時刻t4まで2m
3/hに増大し、次いで時刻t5とt6との間に7m
3/hに増大する。その後、必要換気量は、再び約1m
3/hに低下する。第1のコンパートメント22.1の必要換気量は、
図6に示されているように、第1のコンパートメント22.1の発熱量によって決定される。
【0123】
第2のコンパートメント22.2の必要換気量は、時刻t1で約0.5m
3/hであり、時刻t3までに2m
3/hに増大する。時刻t4からt5の間に、第2のコンパートメント22.2、ひいてはそこに収容された昆虫幼虫の必要換気量は、最大7m
3/hに達する。時刻t6までに、必要換気量は、再び約0.5m
3/hに低下し、時刻t7まで一定のままである。第2のコンパートメント22.2の必要換気量は、
図6に示されているように、第2のコンパートメント22.2の発熱量によって決定される。
【0124】
第3のコンパートメント22.3の必要換気量は、時刻t1で1m
3/h強であり、時刻t2までに2m
3/hに増大する。7m
3/hの最大必要換気量が、時刻t3からt5の間に必要である。時刻t7まで、第3のコンパートメント22.3、ひいてはそこに収容される昆虫幼虫の必要換気量は、約0.5m
3/hに落ちる。第3のコンパートメント22.3の必要換気量は、
図6に示されているように、第3のコンパートメント22.3の発熱量によって決定される。
【0125】
第4のコンパートメント22.4は、時刻t1ですでに2m
3/hを超える必要換気量を必要としている。必要換気量は、時刻t2とt3との間にすでに最大7m
3/hに達している。次いで、必要換気量は、時刻t4まで約0.5m
3/hに低下し、時刻t7まで一定のままである。第4のコンパートメント22.4の必要換気量は、
図6に示されているように、第4のコンパートメント22.4の発熱量によって決定される。
【0126】
ここでもまた、個別のコンパートメントの曲線は、実質的に、1日のフェーズシフトを示している。
【0127】
再循環がある場合のコンパートメント22.1~22.4の平均必要換気量100は、時刻t1において1m3/h強である。時刻t3からt4の間に、平均必要換気量100は、4m3/h強の最大値に達し、次いで時刻t5まで4m3/h前後でほとんど一定のままである。次いで、再循環がある場合の平均需要換気量100の曲線は平らになり、時刻t7までに約0.5m3/hに低下する。
【0128】
再循環がない場合のコンパートメント22.1~22.4の必要換気量102の合計は、時刻t1で約6m3/hであり、時刻t2で約10m3/hであり、次いで時刻t3で最大約17m3/hである。時間t5まで、再循環がない場合の総必要換気量102は、最初に、16m3/hに落ち、次いで時刻t7まで約3m3/hに落ちる。
【0129】
再循環がある場合の平均必要換気量100と再循環がない場合の必要換気量102の合計との比較を見ると、再循環ファン8を用いた再循環では結果として可動式輸送装置1の必要換気量が低下することがわかる。
【0130】
本発明の第2の実施形態による可動式輸送装置1が、
図7に示されている。可動式輸送装置1の第2の実施形態の例は、冷却ユニット51が貯蔵容器30内に収容されている点で、可動式輸送装置1の第1の実施形態の例(
図1参照)と異なる。可動式輸送装置1の第2の実施形態の例の他の特徴は、可動式輸送装置1の第1の実施形態の例の特徴に対応し、したがって、同一および類似の要素は、同じ参照記号を付されている。この点に関して、上記の説明が完全に参照される。
【0131】
冷却ユニット51は、氷(水)、液体窒素(窒素氷)、固体CO2(ドライアイス)、たとえばクールパックなどの冷湿布、冷却パッド、ペルチェ素子、金属および/もしくはセラミックおよび/もしくは鉱物材料、または他の冷却要素である冷却体であり、ならびに/または冷却体を含み、昆虫肥育容器6.1~6.4内に収容された昆虫幼虫を冷却するように構成されている。昆虫幼虫は、もはや活動しない、すなわち、もはや動けなくなる程度に冷却され得る。昆虫幼虫が冷却状態で保持される限り、加熱装置50は、好ましくはオフにされる。しかしながら、加熱装置50を用いることで、昆虫幼虫をいつでも加熱することが可能であり、その結果、それらを活動状態に戻すことができる。冷却ユニットは、また、能動冷却のための冷却ユニットであり得る。能動冷却のための冷却ユニットは、好ましくは、ファン、ポンプ、またはコンプレッサを備える。能動冷却用の冷却ユニットは、好ましくは、冷却剤を導くための冷却剤供給管路、および冷却剤を導くための冷却剤放出管路を備える。好ましくは、冷却剤供給管路および冷却剤放出管路は、少なくともファン、ポンプ、またはコンプレッサを介して接続されており、冷却剤供給管路は好ましくは冷却剤をファン、ポンプ、またはコンプレッサに供給し、冷却剤放出管路は好ましくは冷却剤をファン、ポンプ、またはコンプレッサから放出する。好ましくは、冷却剤は、能動冷却のために冷却ユニット内を流れる。冷却剤は、冷却液、ガス、または別の冷却剤であり得る。
【0132】
第1の昆虫肥育容器温度測定点56において、昆虫肥育容器温度測定値が検出され得る。したがって、昆虫肥育容器6.1~6.4内の温度が昆虫幼虫を冷却状態に保つ範囲内にあるかどうかがチェックされ得る。
【0133】
図8は、可動式輸送装置1を使って昆虫幼虫を輸送するための方法の第1の好ましい実施形態に対する概略フローチャートを示しており、第1の昆虫肥育容器6.1に、肥育基材を添加して昆虫幼虫を充填すること(ステップS1)と、充填された第1の昆虫肥育容器6.1を可動式輸送装置1の受け入れセクション4内に挿入すること(ステップS2)と、可動式輸送装置1を使って昆虫幼虫を第1の場所から第2の場所まで輸送すること(ステップS3)と、第2の場所で第1の昆虫肥育容器6.1を受け入れセクション4から取り出すこと(ステップS4)とを含む。
【0134】
図9は、昆虫幼虫を輸送するための方法の第1の実施形態の可能な改良である(
図8)、可動式輸送装置1を使って昆虫幼虫を輸送するための方法の第2の好ましい実施形態に対する概略フローチャートを示している。輸送(ステップS3)中に、これは、活動センサー装置54から電子制御ユニット10に信号を供給すること(ステップS3.1.1)と、昆虫幼虫の活動を決定すること(ステップS3.1.2)と、ステップS3.1.2の決定に基づき電子制御ユニット10から再循環ファン8に制御信号を調整すること(ステップS3.1.3)とを含む。
【0135】
図10は、昆虫幼虫を輸送するための方法の第2の実施形態の可能な改良である(
図9)、可動式輸送装置1を使って昆虫幼虫を輸送するための方法の第3の好ましい実施形態に対する概略フローチャートを示している。ステップS3.1.3の調整に加えて、これはステップS3.1.2の決定に基づく換気制御ユニットへの制御信号のさらなる調整(ステップ3.1.4)を含む。
【0136】
図11は、昆虫幼虫を輸送するための方法の第1、第2、または第3の実施形態の可能な改良である(
図8、
図9、
図10)、可動式輸送装置1を使って昆虫幼虫を輸送するための方法の第4の好ましい実施形態に対する概略フローチャートを示している。ステップS3における輸送中に、これは、空気センサー装置60から電子制御ユニット10に信号を供給すること(ステップS3.2.1)と、ハウジング2内を循環する空気の空気状態を決定すること(ステップS3.2.2)と、電子制御ユニット10から貯蔵容器制御ユニット36に制御信号を調整すること(ステップS3.2.3)とを含む。
図10にも示されている、ステップS3.1.1、S3.1.2、S3.1.3、およびS3.1.4は任意選択である。
【0137】
図12は、昆虫幼虫を輸送するための方法の第1、第2、第3、または第4の実施形態の可能な改良である(
図8、
図9、
図10、
図11)、可動式輸送装置1を使って昆虫幼虫を輸送するための方法の第5の好ましい実施形態に対する概略フローチャートを示している。ステップS3における輸送中に、これは、空気センサー装置60から電子制御ユニット10に信号を供給すること(ステップS3.3.1)と、周囲空気の状態を決定すること(ステップS3.3.2)と、電子制御ユニット10から加熱装置50に制御信号を調整すること(ステップS3.3.3)とを含む。
図10にも例示されている、ステップS3.1.1、S3.1.2、S3.1.3、S3.1.4、S3.2.1、S3.2.2、およびS3.2.3は任意選択である。
【0138】
図13は、昆虫幼虫を輸送するための方法の第1、第2、第3、第4、または第5の実施形態の可能な改良である(
図8、
図9、
図10、
図11、
図12)、可動式輸送装置1を使って昆虫幼虫を輸送するための方法の第6の好ましい実施形態に対する概略フローチャートを示している。ステップS3におけるこの輸送中に、これは、空気センサー装置60から電子制御ユニット10に信号を供給すること(ステップS3.4.1)と、CO2濃度測定値の超過が決定された場合に、CO2濃度測定値の超過を決定し(ステップS3.4.2)、電子制御ユニット10から外気ファン46への制御信号を調整し(ステップS3.4.3)、電子制御ユニット10から排気ファン48への制御信号を調整する(ステップS3.4.4)こととを含む。
図10にも例示されている、ステップS3.1.1、S3.1.2、S3.1.3、S3.1.4、S3.2.1、S3.2.2、S3.2.3、S3.3.1、S3.3.2、およびS3.3.3は任意選択である。
【0139】
図14A~
図14Bは、昆虫幼虫の繰り返された観察から知られるように、昆虫幼虫、特にアメリカミズアブの、昆虫幼虫の発育の進んだ状態に伴う活動を示している。肥育フェーズの開始時に、昆虫幼虫は、第1の昆虫肥育容器6.1内に均等に分配される(
図14A参照)。昆虫肥育容器は、肥育基材で完全に満たされる(
図14B参照)。
【0140】
発育が進み活動が活発になると、昆虫幼虫は、昆虫肥育容器6.1の中心セクション82内に群がる(
図14C参照)。肥育基材は、次第に乾燥し、この時点では、実質的に昆虫肥育容器6.1の底部を覆うのみである(
図14D参照)。
【0141】
図14Eおよび
図14Fは、発育後期の昆虫幼虫の分布を示している。昆虫幼虫は、立方体の昆虫肥育容器6.1のコーナーにも群がる(
図14E参照)。
図14Fに示されているような側面図を見ると、昆虫幼虫は床面に平らに群がっているではなく、実質的に昆虫肥育容器6.1の高さ全体にわたって群がっていることがわかる。
【0142】
図15は、移動可能でもあり得る、したがって可動式輸送装置1を形成し得る、任意選択で固定の昆虫幼虫飼育装置78を示している。昆虫幼虫飼育装置78を参照しつつ、特に活動センサー装置54に関して、説明されているすべての特徴は、また、可動式輸送装置1を参照しつつ実装され得る。
【0143】
第1の昆虫肥育容器6.1、第2の昆虫肥育容器6.2、さらに昆虫肥育容器が飼育装置内に配設される。昆虫肥育容器は、
図15に示されているように、縦3列で積み重ねられている。
【0144】
活動センサー装置54が、昆虫肥育容器6.1、6.2の各々に収容され、それによりそれぞれの昆虫肥育容器6.1、6.2内に保持されている昆虫幼虫の活動を検出する。活動センサー装置54によって記録される測定値は、電子制御ユニット10に供給され、ひいては電子制御ユニット10に一体化された処理ユニット80に供給される。さらに、空気センサー装置60の測定データが、電子制御ユニット10に供給され、空気センサー装置60は、昆虫幼虫飼育装置78の内側および外側の両方の状態を検出することができる。電子制御ユニット10は、コンピュータ108にも接続されており、それにより処理ユニット80によって処理される測定値は、使用者に対して表示され得る。
【0145】
それに加えて、電子制御ユニット10によって制御され得る、循環ファン8、加熱装置50、および加湿器76が、昆虫幼虫飼育装置78内に配設されている。
【0146】
図16は、第1の昆虫肥育容器6.1内の活動センサー装置54の配置構成を示している。第1の昆虫肥育容器温度測定点56および第1の昆虫肥育容器湿度測定点58は、第1の昆虫肥育容器6.1の中心セクション82内に配設されている。第2の昆虫肥育容器温度測定点88および第2の昆虫肥育容器湿度測定点84は、第1の昆虫肥育容器6.1の側壁に互いに近接して配設されている。第3の昆虫肥育容器温度測定値90および第3の昆虫肥育容器湿度測定値86は、昆虫肥育容器6.1のコーナーに配設されている。
図16によれば、第2および第3の昆虫肥育容器湿度測定値84、86も、昆虫肥育容器6.1の高さにわたって延在する。
【0147】
図14A~
図14Fによる観察された活動に基づくと、昆虫幼虫はその発育中に、まず中心セクション82、すなわち第1の昆虫肥育容器温度測定点56および第1の昆虫肥育容器湿度測定点58に群がり、次いでそれに加えて第3の昆虫肥育容器温度測定点90および第3の昆虫肥育容器湿度測定点86に群がることが想定され得る。しかしながら、第2の昆虫肥育容器温度測定点88および第2の昆虫肥育容器湿度測定点では、
図14A~
図14Fによる昆虫幼虫は群がらない。
【0148】
図17は、また、第1の昆虫肥育容器6.1内の活動センサー装置54の配置構成を示しているが、ここでは、測定点の代わりにセンサーを有している。第1の湿度センサー92.1が、第1の昆虫肥育容器湿度測定点58(
図16参照)に配設され、第2の湿度センサー92.2が、第2の昆虫肥育容器湿度測定点84(
図16参照)に配設され、第3の湿度センサー92.3が、第3の昆虫肥育容器湿度測定点86(
図16参照)に配設される。
【0149】
さらに、第1の温度センサー94.1が、第1の昆虫肥育容器温度測定点56(
図16参照)に配設され、第2の温度センサー94.2が、第2の昆虫肥育容器温度測定点88(
図16参照)に配設され、第3の温度センサー94.3が、第3の昆虫肥育容器温度測定点90(
図16参照)に配設される。
【0150】
センサー92.1~92.4、94.1~94.4は、検出された測定値56、58、84、86、88、90を表す信号を電子制御ユニット10に供給し、その結果として、処理ユニット80に供給する。
【0151】
図18は、時刻t0、t1、t2、t3、t4、t5、t6、t7、t8における、湿度センサーおよび温度センサーによって記録された測定値、さらには肥育基材湿度104の曲線を示している。時点は、横軸にプロットされている。左側の縦軸は、湿度を0%~120%の範囲内のパーセント単位で示している。温度は、20℃から40℃の範囲内の℃単位で右側の縦軸にプロットされている。
【0152】
湿度センサーによって記録された測定湿度値に対する参照値とみなされ得る、肥育基材湿度104は、時刻t1で80%、時刻t4で約70%、時刻t7で40%である。したがって、時刻t1からt7までの間に肥育基材湿度は40%減少する。
【0153】
中心セクション82に配設された第1の湿度センサー92.1(
図17参照)は、時刻t4まで肥育基材湿度104に実質的に対応する湿度を検出する。時刻t4から、第1の湿度センサー92.1によって検出される湿度は、肥育基材湿度104から逸脱し始め、時刻t7までに湿度100%に上昇する。したがって、昆虫幼虫が時刻t4から第1の湿度センサー92.1に群がったと仮定することができ、これは記録された測定値が肥育基材湿度だけでなく、昆虫幼虫の追加湿度も表すことを意味する。
【0154】
図17による配置構成を有する第2の湿度センサー92.2は、実質的に肥育基材湿度104に対応する湿度を検出する。したがって、昆虫幼虫は、第2の湿度センサー92.2に群がらないと仮定され得る。
【0155】
図17による配置構成を有する第3の湿度センサー92.3は、実質的に時刻t5まで肥育基材湿度104に対応する湿度を検出する。時刻t6まで、湿度は、最初に、約65%に上昇し、次いで時刻t7まで90%に上昇する。したがって、昆虫幼虫が時刻t5から第3の湿度センサー92.3に群がったと仮定することができ、これは記録された測定値が肥育基材湿度だけでなく、昆虫幼虫の追加湿度も表すことを意味する。
【0156】
第2の温度センサー94.2は、実質的に、時刻t1~t7にわたって28℃の一定温度を記録する。時刻t4においてのみ、第2の温度センサー94.2は、30℃の温度を検出する。
【0157】
第1の温度センサー94.1も、時間t3まで実質的に約28℃の一定温度を検出する。次いで、記録された温度は、時刻t4までに約33℃に上昇し、最終的に時刻t5までに38℃に上昇する。温度のこの上昇は、第1の温度センサー94.1に群がる、昆虫幼虫の活動の増加と、熱放射の関連する増加に起因する。記録された温度は、次いで、時刻t6およびt7に約32℃に低下する。
【0158】
第3の温度センサー94.3も、時間t3まで実質的に約28℃の一定温度を検出する。次いで、記録された温度は、時刻t4までに約33℃に上昇し、最終的に時刻t5までに38℃に上昇する。温度のこの上昇は、第3の温度センサー94.3に群がる、昆虫幼虫の活動の増加と、熱放射の関連する増加に起因する。記録された温度は、時刻t6において約34℃に低下し、次いで時刻t7までに35℃とわずかに上昇する。
【0159】
図19は、昆虫幼虫飼育装置78を使って昆虫幼虫の活動を決定するための方法の第1の好ましい実施形態に対する概略フローチャートを示しており、これは肥育フェーズの開始時に第1の昆虫肥育容器6.1に、肥育基材を添加して昆虫幼虫を充填すること(ステップSI)と、第1の時刻t1において、処理ユニット80とともに活性センサー装置54を用いて記録された測定値を処理すること(ステップSII.1)とを含む。ステップSII.1における時刻t1での処理は、好ましくは、記録された測定値と時刻t1における参照値とを比較するステップ(ステップA1)と、時刻t1における参照値の不足を決定するステップ(ステップB1)と、時刻t1における参照値の過剰を決定するステップ(ステップC1)と、時刻t1におけるクラスター形成を決定するステップ(ステップD1)と、ステップD1で決定されたクラスター形成と時刻t1における参照クラスター形成とを比較するステップ(ステップE1)と、時刻t1における昆虫幼虫の規則的な活動を決定するステップ(ステップF1)と、時刻t1における昆虫幼虫の不規則な活動を決定するステップ(ステップG1)と、時刻t1における発育状態信号を出力するステップ(ステップH1)とを含む。
【0160】
図20は、昆虫幼虫の活動を決定するための方法の第1の実施形態の可能な改良である(
図19)、昆虫幼虫の活動を決定するための方法の第2の好ましい実施形態の概略フローチャートを示している。
【0161】
この第2の好ましい実施形態の方法において、ステップSII.1における時刻t1での処理の後に、ステップSII.2における第2の時刻t2で、活動センサー装置54によって記録された測定値を処理ユニット80で処理することが続く。時刻t2における処理(ステップSII.2)は、ステップA1~H1に対応するが、時刻t2に対して実行されるステップA2~H2を含む。
【0162】
ステップSII.2における時刻t2での処理の後に、ステップSII.2における第3の時刻t3で、活動センサー装置54によって記録された測定値を処理ユニット80で処理することが続く。時刻t3における処理(ステップSII.3)は、ステップA1~H1およびA2~H2に対応するが、時刻t3に実行されるステップA3~H3を含む。
【0163】
ステップSII.2における時刻t2での処理の後に、ステップSII.3における第3の時刻t3で、活動センサー装置54によって記録された測定値を処理ユニット80で処理することが続く。時刻t3における処理(ステップSII.3)は、ステップA1~H1およびA2~H2に対応するが、時刻t3に実行されるステップA3~H3を含む。
【0164】
ステップSII.3における時刻t3での処理の後に、ステップSII.4における第3の時刻t4で、活動センサー装置54によって記録された測定値を処理ユニット80で処理することが続く。時刻t4における処理(ステップSII.4)は、ステップA1~H1、A2~H2、およびA3~H3に対応するが、時刻t4に実行されるステップA4~H4を含む。
【0165】
ステップSII.4における時刻t4での処理の後に、ステップSII.5における第3の時刻t5で、活動センサー装置54によって記録された測定値を処理ユニット80で処理することが続く。時刻t5における処理(ステップSII.5)は、ステップA1~H1、A2~H2、A3~H3、およびA4~H4に対応するが、時刻t5に実行されるステップA5~H5を含む。
【0166】
ステップSII.5における時刻t5での処理の後に、ステップSII.6における第3の時刻t6で、活動センサー装置54によって記録された測定値を処理ユニット80で処理することが続く。時刻t6における処理(ステップSII.6)は、ステップA1~H1、A2~H2、A3~H3、A4~H4、およびA5~H5に対応するが、時刻t6に実行されるステップA6~H6を含む。
【0167】
ステップSII.6における時刻t6での処理の後に、ステップSII.7における第3の時刻t7で、活動センサー装置54によって記録された測定値を処理ユニット80で処理することが続く。時刻t7における処理(ステップSII.7)は、ステップA1~H1、A2~H2、A3~H3、A4~H4、A5~H5、A6~H6に対応するが、時刻t7に実行されるステップA7~H7を含む。
【0168】
図21は、可動式輸送装置1として使用され得る可動式昆虫幼虫飼育装置110の実施形態の例を示している。この実施形態の例は、可動式昆虫輸送装置1の実施形態の例に基づくものであり、第1の実施形態の例と同じおよび類似の要素は同じの参照記号を付されている。この点に関して、上記の説明が完全に参照される。第1の昆虫肥育容器6.1、第2の昆虫肥育容器6.2、さらに昆虫肥育容器が、可動式昆虫幼虫飼育装置110内に収容される。昆虫肥育容器は、
図21に示されているように、2列で積み重ねられている。活動センサー装置54が、昆虫肥育容器6.1、6.2の各々に設けられている。活動センサー装置54によって記録される測定値は、電子制御ユニット10に供給され、それに一体化された処理ユニット10に供給され得る。
【0169】
エネルギー貯蔵ユニット74は、電子制御ユニット10に接続されており、それに電気エネルギーを供給する。
図21による実施形態の例では、加熱装置50が、昆虫肥育容器6.1、6.2が加熱装置50の上方に位置決めされ得るように可動式昆虫幼虫飼育装置110の下側セクションに配設される。可動式昆虫幼虫飼育装置110では、可動式昆虫幼虫飼育装置110内の空気を再循環させるための2つの再循環ファン8も設けられている。
【0170】
図22は、可動式輸送装置1として使用され得る、可動式昆虫幼虫飼育装置110のさらなる実施形態の例を示している。
図20による実施形態の例とは対照的に、可動式昆虫幼虫飼育装置110内の空気を再循環させるために4つの再循環ファン8が設けられている。それに加えて、活動センサー装置54によって記録される測定値は、電子制御ユニット10にワイヤレス方式で供給され、ひいては処理ユニット80にもワイヤレス方式で供給され得る。
【符号の説明】
【0171】
1 可動式輸送装置
2 ハウジング
3 選択的に開閉可能な開口部
4 受け入れセクション
6.1~6.4 昆虫肥育容器
8 再循環ファン
10 電子制御ユニット
12.1~12.4 空気調節装置
14.1~14.4 換気セクション
16.1~16.4 排気セクション
18 換気制御ユニット
20.1~20.4 フロー断面
21.1~21.4 アクチュエータ
22.1~22.4 コンパートメント
24 内部
26 換気セクション
28 排気セクション
30 貯蔵容器
31 空気調整材料
32 貯蔵容器換気セクション
36 貯蔵容器制御ユニット
38 貯蔵容器フロー断面
39 貯蔵容器アクチュエータ
40 空気取入セクション
42 空気排出セクション
43 断熱カバープレート
44 環境
44 周辺
46 外気ファン
48 排気ファン
50 加熱装置
51 冷却ユニット
52 断熱材
54 活動センサー装置
56 第1の昆虫肥育容器温度測定点
58 第1の昆虫肥育容器湿度測定点
60 空気センサー装置
62 貯蔵容器温度測定点
64.1 第1の内部湿度測定点
64.2 第2の内部湿度測定点
64.3 第3の内部湿度測定点
66.1 第1の内部温度測定点
66.2 第2の内部温度測定点
66.3 第3の内部温度測定点
68 外部湿度測定点
70 外部温度測定点
72 CO2測定点
74 エネルギー貯蔵ユニット
76 加湿器
78 固定昆虫幼虫飼育装置
80 処理ユニット
82 中心セクション
84 第2の昆虫肥育容器湿度測定点
86 第3の昆虫肥育容器湿度測定値
88 第2の昆虫肥育容器温度測定点
90 第3の昆虫肥育容器温度測定点
92.1 第1の湿度センサー
92.2 第2の湿度センサー
92.3 第3の湿度センサー
94.1 第1の温度センサー
94.2 第2の温度センサー
94.3 第3の温度センサー
96 再循環がある場合の平均発熱量
98 再循環がない場合の総発熱量
100 平均換気需要
102 換気需要
104 肥育基材湿度
106 パレット
108 コンピュータ
110 可動式昆虫幼虫飼育装置
【国際調査報告】