(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】狭小ヘッド部を備えた心室内心臓ポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 60/174 20210101AFI20241128BHJP
F04D 7/00 20060101ALI20241128BHJP
F04D 3/02 20060101ALI20241128BHJP
A61M 60/31 20210101ALI20241128BHJP
A61M 60/508 20210101ALI20241128BHJP
A61M 60/221 20210101ALN20241128BHJP
A61M 60/422 20210101ALN20241128BHJP
A61M 60/804 20210101ALN20241128BHJP
【FI】
A61M60/174
F04D7/00 Z
F04D3/02 B
A61M60/31
A61M60/508
A61M60/221
A61M60/422
A61M60/804
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024538376
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2022084129
(87)【国際公開番号】W WO2023117368
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524237423
【氏名又は名称】ファインハート
【氏名又は名称原語表記】FINEHEART
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194973
【氏名又は名称】尾崎 祐朗
(72)【発明者】
【氏名】ギャルリグ,ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】マスカレル,アルノー
【テーマコード(参考)】
3H130
4C077
【Fターム(参考)】
3H130AA05
3H130AB23
3H130AB53
3H130AC18
3H130BA66A
3H130CA01
3H130CA08
3H130CA21
3H130DD00X
3H130EB01A
3H130EB05A
4C077AA04
4C077DD08
(57)【要約】
心臓の心室内に配置されるように、かつシグモイド弁の方向の誘導流体流を生成するように意図された心臓ポンプであって;このポンプは:- 流体を上端に向かって推進するための推進チャンバを形成する上方部分、及び下方部分を備えた固定ケーシングと、- 上方部分と下方部分との間の、外部から推進チャンバに向かう流体流入のためのチャンバを形成する少なくとも1つの側方開口部と、- 流体を側方開口部から推進チャンバの出口まで送るための、ケーシング内に配設された動力部と、を具備している。推進チャンバは上側本体と吐出ヘッド部とを具備し;吐出ヘッド部は上側本体の外側横断面と比較して狭小な外側横断面を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分的又は全体的に心臓(1)の心室内に配置されるように、かつ大動脈のシグモイド弁の方向の誘導流体流を生成するように意図された、心臓ポンプ(12)であって;このポンプは、
- 心臓ポンプが鉛直方向に配置された時の上方部分(13)であって、流体を上端に向かって推進するための推進チャンバを形成している上方部分、及び上方部分に固定されて取り付けられた下方部分(14)、を備えた固定ケーシング(13,14,15)と、
- 上方部分と下方部分との間の、外部から推進チャンバに向かう流体流入のためのチャンバ(16)を形成する少なくとも1つの側方開口部と、
- 流体を側方開口部から推進チャンバの出口まで送るための、ケーシング内に配設された動力部(14,21)と
を具備し、
推進チャンバは上側本体(26)及び吐出ヘッド部(22)を具備することと;吐出ヘッド部は上側本体の外側横断面と比較して狭小な外側横断面を有することと;吐出ヘッド部(22)はその直径又は最大距離が14~16mmに含まれる外側横断面を有することとを特徴とする、心臓ポンプ。
【請求項2】
上側本体(26)の外側横断図は17~20mmに含まれる直径又は最大距離を有することを特徴とする、請求項1に記載の心臓ポンプ。
【請求項3】
上側本体(26)の外側横断面は18mmに等しい直径又は最大距離を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の心臓ポンプ。
【請求項4】
吐出ヘッド部(22)は推進軸に沿って5~10mmに含まれる距離を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の心臓ポンプ。
【請求項5】
上側本体と吐出ヘッド部との間の接続部に、凹面状の肩部(30)を具備することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の心臓ポンプ。
【請求項6】
推進チャンバ(13)は直円柱の形状であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の心臓ポンプ。
【請求項7】
上側本体(26)は入口チャンバから吐出ヘッド部までフレア状をなした外形状を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の心臓ポンプ。
【請求項8】
推進チャンバ(13)は、連結要素(15)によって、該連結要素の上部が推進チャンバ(13)の下端部に直接接続されて接続場所では推進チャンバの外側表面が連結要素と同一平面上となる状態で、ケーシングの下方部分に固定して取り付けられることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の心臓ポンプ。
【請求項9】
連結要素(15)は外向きに湾曲した全体形状を有することを特徴とする、請求項8に記載の心臓ポンプ。
【請求項10】
連結要素(15)は4本の柱を具備することを特徴とする、請求項8又は9に記載の心臓ポンプ。
【請求項11】
柱は、推進チャンバ(13)の内部に至る延長部(40)を備え;これらの延長部は、流体の流れをケーシングの上方部分の方向に直線状とする誘導羽根としての役割を果たすことを特徴とする、請求項9又は10に記載の心臓ポンプ。
【請求項12】
柱は、端部から距離を置いて配設された横方向のバンド(27)によって互いに繋がれていることを特徴とする、請求項10又は11に記載の心臓ポンプ。
【請求項13】
推進チャンバは流体を吐出ヘッド部に向かって推し進めるための回転子(33)を具備することを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の心臓ポンプ。
【請求項14】
回転子をパルス方式で制御するように構成された処理ユニットを具備することを特徴とする、請求項13に記載の心臓ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明はポンプに関し、特に流体中に浸漬されるように意図された軸流ポンプに関する。
【0002】
本発明は、より具体的には心室補助用のポンプに関するが、これに限定はされない。本発明は例えば、バッテリーから供給を受け、血液循環を補助するためにヒト体内に挿入されるように意図された、ポンプに関する。
【0003】
日常生活において個体が代謝を行うのに必要な血流を供給する心臓の能力が進行性に低下する心不全(HF)は、西洋諸国における死因の第2位である。患者の必要に応じて血流を適切に増加させることから成る心不全の治療法は、進歩してはいるが未だ不十分である。
【0004】
心室内心臓ポンプは、患者の心臓の体心室へと挿入されるように意図されている。心臓は全てが同一の寸法を有しているとは限らない。異なる大きさのいくつかのポンプを計画することが必要ということもあり得る。
【0005】
本発明の目的は、様々な大きさの心臓に対応するのに適した新規なポンプを提案することにより、そのような計画を回避することである。
本発明の別の目的は、拡張期か否かという心臓の状態に関係なく効率の良いポンプである。
【0006】
目的のうち少なくとも1つは、部分的又は全体的に心臓の心室内に配置されるように、かつ大動脈のシグモイド弁の方向の誘導流体流を生成するように意図された心臓ポンプを用いて達成され;このポンプは:
- 心臓ポンプが鉛直方向に配置された時の上方部分であって、流体を上端に向かって推進するための推進チャンバを形成している上方部分、及び上方部分に固定されて取り付けられた下方部分、を備えた固定ケーシングと、
- 上方部分と下方部分との間の、外部から推進チャンバに向かう流体流入のためのチャンバを形成する少なくとも1つの側方開口部と、
- 流体を側方開口部から推進チャンバの出口まで送るための、ケーシング内に配設された動力部と
を具備している。
【0007】
本発明によれば、推進チャンバは上側本体と吐出ヘッド部とを具備し;吐出ヘッド部は上側本体の外側横断面と比較して狭小な外側横断面を有し;吐出ヘッド部は、その直径又は最大距離が14~16mmに含まれる外側横断面を有する。
【0008】
「横断面」とは、流体を推進する軸に対して垂直な断面で見られる表面の領域を意味する。「外側横断面」とは、流体が循環する内部空間に関する内側横断面とは対照的に、その輪郭が推進チャンバの外側輪郭にぴったり一致する横断面を意味する。
【0009】
本発明によるポンプは、大動脈入口のシグモイド弁に向かって流体を効率的に推進するのに適した寸法の狭小なヘッド部を有するという利点を有している。14~16mmの範囲であることにより、心臓の状態に関係なく適切な吐出ヘッド部を有することが可能となる。実際、心臓が拡張期か否か、子供の心臓であるか大人の心臓であるか、すなわち小さな心臓であるか大きな心臓であるか、に関わらず、本発明により規定された範囲であれば、ポンプを大動脈に接触させることなく近接させて効率的に配置することが可能となる。「近接」とは、推進される流体流がシグモイド弁を開口させるのに十分な強さであるために、かつ流体が大動脈に入るために、十分な距離を意味する。この距離は、ポンプの出力に応じて変化する。
【0010】
全く同一の心臓でも様々な寸法を有することができる。例えば、拡張期の心臓は、非拡張状態の同じ心臓の体積よりも著しく大きい体積を有する。注目すべきことに、大動脈入口の寸法は、心臓の拡張レベルに関係なく同一のままである。
【0011】
ヘッド部の寸法により、生理的又は自然発生的な流れを通過させることも可能となる。心不全という状況においては、心臓は、不十分とはいえ流体を大動脈に向かって吐出するために収縮する能力をなおも有している可能性がある。その結果作り出される流れが生理的な流れである一方、ポンプによって生成される流れは、生理的な流れの大部分に相当する流れを提供するか又は生理的な流れに取って代わる、誘導された流れである。
【0012】
この目的のために、本発明に従って吐出ヘッド部について14mm~16mmに含まれる固定寸法を提案することにより、誘導された流れ及び生理的な流れの良好な循環が可能となる。この寸法により、ヘッド部の周りを生理的な流れが十分に通過することが可能となる。
【0013】
本発明の有利な特徴によれば、上側本体の外側横断面は17~20mmに含まれる直径又は最大距離を有することができる。
【0014】
本発明の実施形態によれば、上側本体の外側横断面は18mmに等しい直径又は最大距離を有する。
そのような配置構成を備えて、上側本体は流体を吐出ヘッド部に向かって推進するための手段を収容するのに適切な寸法で作製される。上側本体は吐出ヘッド部よりも大きい。
【0015】
有利には、吐出ヘッド部は、推進軸に沿って5~10mmの距離を有することができる。そのようなヘッド部は、例えば流体の流れを大動脈の方向に外側へと誘導する直円柱の形状であってもよい。
【0016】
吐出ヘッド部は、例えば羽根、速度を増大させることが可能でありかつ吐出口での所定のプロファイルを流体に与えることが可能である整流装置を構成する羽根一式を、備えることができる。
【0017】
さらなる特徴によれば、本発明によるポンプは、上側本体と吐出ヘッド部とが接続する場である、凹面状の肩部を具備することが可能である。「凹面状」とは、生理的な流れが停滞せずに肩部に沿って流れるように曲線的にくぼんだ形状を意味する。
本発明の有利な特徴によれば、推進チャンバは直円柱の形状であることが可能である。
【0018】
有利な実施形態によれば、上側本体は入口チャンバから吐出ヘッド部までフレア状をなした外形状を有することができる。好ましくは、推進チャンバの直径は肩部を備えることなく次第に大きくなる。
ヘッド部の直径は、推進チャンバの最も小さな直径と比較して、小さくても、大きくても、又は等しくてもよい。
【0019】
上記に加えて特に、推進チャンバは、連結要素によって、該連結要素の上部が推進チャンバの下端部に直接接続されて接続場所では推進チャンバの外側表面が連結要素と同一平面上となる状態で、ケーシングの下方部分に固定して取り付けられることが可能である。
【0020】
本発明によれば、連結要素は外向きに湾曲した全体形状を有することができる。この湾曲した形状とは、連結要素が、推進チャンバの下端部の直径よりも大きくかつケーシングの下方部分の上端の直径よりも大きい直径の丸みを帯びた全体的に球体の形状に沿って、内接することを意味することができる。
【0021】
例として、連結要素は4本の柱を具備することができる。
【0022】
本発明の有利な特徴によれば、柱は、推進チャンバの内部に至る延長部を備えることが可能であり;これらの延長部は、流体の流れをケーシングの上方部分の方向に直線状とする誘導羽根としての役割を果たす。
例えば、柱は、これらの柱の端部から距離を置いて配設された横方向のバンドによって互いに繋がれてもよい。
【0023】
本発明の実施形態によれば、推進チャンバは、吐出ヘッド部に向かって流体を推し進めるための回転子を具備することができる。
【0024】
有利には、ポンプは、回転子をパルス方式で制御するように構成された処理ユニットを具備することができる。
【0025】
本発明のその他の利点及び特徴については、全く限定的ではない実施形態についての詳細な説明の検討から、及び添付図面から、明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】本発明による心室内心臓ポンプのケーシングを示す斜視図。
【
図3】本発明による狭小ヘッド部の寸法を例証する簡略図。
【
図4】本発明による回転子の外側に螺旋形羽根を有する羽根車を示す略図。
【
図5】本発明による、誘導羽根を形成する柱延長部及び内側螺旋形羽根を有する羽根車を例証する簡略図。
【
図6】本発明による内側螺旋形羽根を有する羽根車を示す略図。
【0027】
本明細書中以下に記載される実施形態は全く限定的ではなく;本発明の変形形態は特に、本明細書中以下に記載された特徴の中から、記載された他の特徴とは切り離して特徴が選定され、この特徴の選定が技術的な利点を与えるか又は先行技術に対して本発明を差別化するのに十分である場合に、この選定された特徴のみを具備して実行されることが可能である。この選定は、少なくとも1つの、好ましくは機能的な特徴を含み、構造上の詳細は伴わないか、又は構造上の詳細の一部のみを、この部分が単独で技術的な利点を与えるか若しくは先行技術に対して本発明を差別化するのに十分である場合に、伴っている。
【0028】
特に、記載された全ての変形形態及び全ての実施形態は、技術的観点から反対する理由がなければ、任意の組み合わせで互いに組み合わされるように意図されている。
図中、いくつかの図面に共通する構成要素は同じ参照番号を有する。
図1は心室内心臓ポンプを示す。
【0029】
心臓全体が参照番号1で示されている。シグモイド弁4を介して肺動脈3に向かって血液を放出する機能を有する右心室2が示されている。左心室5は、シグモイド弁7を介して大動脈6に向かって酸素を含む血液を放出することにより体循環を実行する機能を有する。
【0030】
右心房8は房室弁(valves auriculo-pulmonaires)9を介して右心室2に血液を供給する。左心房10は房室弁(valves auriculo-pulmonaires)11を介して左心室5に血液を供給する。
【0031】
本発明によるポンプ全体には参照番号12が付されている。ポンプは左心室5の心尖部に固定されている。ポンプは、心臓の外部の管理ユニット(図示せず)に有線又は無線で接続することが可能である。ポンプは、心拍数その他を検出するための1以上のプローブ又はセンサ(図示せず)に接続することが可能である。
【0032】
モーターを収納しているポンプの下方部分は、部分的に心臓の外部にあってもよいし、部分的に心尖部の厚みの中にあってもよいし、又は完全に心臓の内部にあってもよい。
図1の例では、ポンプの下方部分は部分的に心臓の外部にあり、これは特にモーターの維持管理のための利点となり得る。
【0033】
ポンプは、上方部分13が連結要素15によって下方部分14に強固に取り付けられて構成されたケーシングを具備する。これらの連結要素は、血液のための広い通路を残しつつ2つの部分13及び14を繋ぐ、1以上の柱15を具備することができる。
【0034】
図1の例では、下方部分14はモーターの固定子を構成する。ケーシングである13、14及び15は、固定された状態を維持するように意図されている。上方部分13と下方部分14との間には、連結要素15によってのみ遮られた空所である入口チャンバ16がある。運転中、該ポンプは、入口チャンバ16を介して心室5に含まれた血液を汲み上げ、これをケーシングの上方部分13を通して運び、かつ上端吐出部によって弁7に向けて放出するように、意図されている。
【0035】
血液を汲み上げるために、ポンプは、周囲に1以上の螺旋形羽根19が巻き付いた縦長形本体18を基にして設計された羽根車17を具備する。回転時、羽根車は血液を汲み上げてこれを吐出部に向かって推し進める。これがポンプの主機能である。したがって、主要な流れは羽根車17によって汲み上げられた流れである。
【0036】
羽根車は、羽根車とは反対側の端部にベル21を備えた伝達軸20によって担持されている。羽根車17、伝達軸20及びベル21のアセンブリは、剛性であってかつ回転を行なうのに適している。この目的のために、ベル21は、固定された固定子14を備えて形成されたモーターの回転子を構成する。このモーター14及び21は、外部回転子を備えたブラシレス型のモーターである。これは、心臓の外から利用可能であるか否かを問わず電子制御システム(図示せず)を装備した同期機である。
【0037】
羽根車は、その軸の周りで、かつ固定されたままのケーシング13、14に対して、回転運動を行なうのに適している。入口ピボット25及び出口ピボット23は羽根車の回転軸線上にあり、回転運動の際に羽根車が磁気浮上している時に羽根車をその軸内に保持する。変形形態(図示せず)では、2つのピボット域のうち一方又は両方が、羽根車の回転を可能にする軸受との接続部を具備することができる。
【0038】
本発明は、ポンプから出る血液を大動脈6の方向に推し進めるためにケーシングの上方部分13が吐出ヘッド部22を具備するという事実について特に注目に値する。
【0039】
図2は、本発明によるポンプの斜視図を例証している。下方部分14、柱15及び上方部分13を見ることができる。上方部分13は上側本体26及び吐出ヘッド部22を具備する。上側本体26は、柱15から吐出ヘッド部22へと寸法が大きくなるフレア形状を有する。上側本体26は、上側本体の上方部分の直径よりも小さい直径を有する吐出ヘッド部に接続するように、直径が小さくなる肩部を終端とする(ポンプが鉛直方向に配設されると、下方部分は下向きになる)。
【0040】
入口チャンバの柱を支持するために柱を互いに繋ぐ一方で、血液の流入及びベル21と固定された下方部分14との間の戻し血液の排出のための開口部を残す、横方向のバンド27も提供される。
図3は、吐出ヘッド部及び上側本体について、いくつかの寸法を例証する略図である。
【0041】
本発明は、吐出ヘッド部の直径が14~16mmに固定されることを必要とする。この値域により、ポンプから生じる誘導された流れ28及び心臓の自然収縮から生じる自然発生的又は自然な流れ29の両方が共存することが可能となる。実際、この寸法取りは、いかなる大きさの心臓であっても、かつ心臓の状態すなわち拡張期か否かに関係なく、対応可能である。ヘッド部の狭小化により、大動脈に近接しているが自然発生的な流れの通過を阻むことのない、ポンプの効率的な配置が可能となる。ヘッド部の直径は、大動脈に到達することができる流れを生成させることが可能なように十分大きい。
【0042】
好ましくは、吐出ヘッド部の高さは5~10mmに含まれる。屈曲部30によって、直径が小さい吐出ヘッド部22と吐出ヘッド部の直径より大きな直径を有する上側本体26との間の接続部を作ることが可能となっている。上側本体はその上方部分に17~20mmの直径を有する。特に、上側本体の直径が17mmよりも大きい場合は、吐出ヘッド部の直径が17mmに達することができるように意図されている。
【0043】
図4は、伝達軸20及びベル21に取り付けられた羽根車17をもう少し詳細に示している。半球の形状である出口ピボット23は、羽根車の頂部かつ回転軸線上に位置している。螺旋形羽根19は、本体18を下端から本体18のおよそ四分の三まで取り囲んでいる。羽根車の頂部には羽根は存在しない。
【0044】
伝達軸20は側方羽根31に強固に接続されており、側方羽根のうち2つは見えており3つ目は隠れている。3つの側方羽根があるが、1つのみ、2つ、又は4つ以上であってもよい。どの場合でも、側方羽根31は流体がベル21の内部に入ることができるように開口部32を残さなければならない。図示された例では入口ピボット25はベル21よりも上方に位置しているが、入口ピボットがベル21の内部に配設されている他の実施形態を想定することもできる。
【0045】
図5は、内側螺旋形羽根を備えた羽根車を断面図で示している。ポンプのモーターは、上側本体23である固定された固定子と、回転子又は羽根車33とを具備する。
図5の例では、羽根車33は中空の直円柱である。中空部分も直円柱の形状を有するが、フレア形状、縦長形状又は構造化された形状など任意の他の形状を有してもよい。羽根車33の中空の中央部分はその内表面に、流体を吐出ヘッド部22に向かって推し進めるための螺旋形羽根34を有している。この螺旋形羽根は、羽根車の内表面の全長にわたるか又は一部分のみに存在する、単一の羽根34又は固定ピッチ若しくは不等ピッチの数個の羽根であってもよい。羽根車33は、上側本体23に対して回転するように設計されている。理想的には、上側本体23は磁性巻線35のような磁気素子を具備する固定子である。この磁気素子は、例えば羽根車33の内部又は外表面上に配設された永久磁石36のような磁気素子と磁気的に協働することができる。羽根車33を始動させるように巻線35を制御するために、電子手段(図示せず)が提供される。該アセンブリはブラシレス型のモーターを構成する。羽根車33と上側本体23との間の隙間は一直線であって、直円柱に内接しているが、フレア状であってもそうでなくても別の非直線的な形状を有することが可能である。
【0046】
場合により、固定支柱37が羽根車33の内側に配設され、これによりポンプの運転中すなわち羽根車33が上側本体23に対して回転している時に血液の流れを改善することが可能となる。この支柱37は、両端で、例えばケーシングの固定された下方部分38に、及び出口羽根39を介して吐出ヘッド部22に、固定することができる。一端のみで固定される支柱37を想定することも可能である。
【0047】
支柱37の他の配設方式、例えば回転はするが並進方向には固定される支柱などが想定可能であり;この場合、支柱37は、支柱がタービンの回転軸線内にとどまることを可能にするアームによって羽根車33に固定されることが可能である。
【0048】
羽根車を保持するために羽根車と上側本体23との間に軸受機構が提供されてもよい。その他の手段が、回転中の羽根車を接触させずにケーシング内に保持するために提供されてもよい。特に、端部を保持するか否かにかかわらず、流体によるもの、磁気によるものなどの浮遊機構を想定することが可能である。
【0049】
図5には、柱15の延長部分40も示されている。これらの延長部分は、推進チャンバの内側で誘導羽根を構成する。これらの延長部分は、流体の流れを羽根車の方向に直線的にするために推進チャンバ23、22の入口に配設される。
【0050】
図6は、
図5の羽根車33の一例を示す。非限定的な例として記載された本例において、それは内壁にいくつかの羽根34a、34b、34c、34dを具備する細長い中空円筒形状の本体41である。そのようなタービンは、流体に浸漬されたポンプにおいて有利に使用することができる。
【0051】
羽根34a、34b、34c、34dの機能は流体が羽根車を通り抜けるようにすることである。羽根の配向及び寸法取りは、流体が引き込まれ、次いで回転している羽根車を通り抜けた後には推進されるように意図される。
【0052】
図6の例では、4つの螺旋形羽根34a、34b、34c、34dが、羽根車の一端を始点として、互いに交差することなく螺旋状の線上で内接し、他端へと到達する。
【0053】
当然ながら、本発明はこれまで説明してきた実施例に限定されるものではない。これらの実施例に対し、記載されたような本発明の範囲を超えることなく多数の調整を行うことが可能である。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分的又は全体的に心臓(1)の心室内に配置されるように、かつ大動脈のシグモイド弁の方向の誘導流体流を生成するように意図された、心臓ポンプ(12)であって;このポンプは、
- 心臓ポンプが鉛直方向に配置された時の上方部分(13)であって、流体を上端に向かって推進するための推進チャンバを形成している上方部分、及び上方部分に固定されて取り付けられた下方部分(14)、を備えた固定ケーシング(13,14,15)と、
- 上方部分と下方部分との間の、外部から推進チャンバに向かう流体流入のためのチャンバ(16)を形成する少なくとも1つの側方開口部と、
- 流体を側方開口部から推進チャンバの出口まで送るための、ケーシング内に配設された動力部(14,21)と
を具備し、
推進チャンバは上側本体(26)及び吐出ヘッド部(22)を具備することと;吐出ヘッド部は上側本体の外側横断面と比較して狭小な外側横断面を有することと;吐出ヘッド部(22)はその直径又は最大距離が14~16mmに含まれる外側横断面を有すること
、そして推進チャンバ(13)は、連結要素(15)によって、該連結要素の上部が推進チャンバ(13)の下端部に直接接続されて接続場所では推進チャンバの外側表面が連結要素と同一平面上となる状態で、ケーシングの下方部分に固定して取り付けられることとを特徴とする、心臓ポンプ。
【請求項2】
上側本体(26)の外側横断図は17~20mmに含まれる直径又は最大距離を有することを特徴とする、請求項1に記載の心臓ポンプ。
【請求項3】
上側本体(26)の外側横断面は18mmに等しい直径又は最大距離を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の心臓ポンプ。
【請求項4】
吐出ヘッド部(22)は推進軸に沿って5~10mmに含まれる距離を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の心臓ポンプ。
【請求項5】
上側本体と吐出ヘッド部との間の接続部に、凹面状の肩部(30)を具備することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の心臓ポンプ。
【請求項6】
推進チャンバ(13)は直円柱の形状であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の心臓ポンプ。
【請求項7】
上側本体(26)は入口チャンバから吐出ヘッド部までフレア状をなした外形状を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の心臓ポンプ。
【請求項8】
連結要素(15)は外向きに湾曲した全体形状を有することを特徴とする、請求項
1~7のいずれか一項に記載の心臓ポンプ。
【請求項9】
連結要素(15)は4本の柱を具備することを特徴とする、請求項
1~8のいずれか一項に記載の心臓ポンプ。
【請求項10】
柱は、推進チャンバ(13)の内部に至る延長部(40)を備え;これらの延長部は、流体の流れをケーシングの上方部分の方向に直線状とする誘導羽根としての役割を果たすことを特徴とする、請求項
1~9のいずれか一項に記載の心臓ポンプ。
【請求項11】
柱は、端部から距離を置いて配設された横方向のバンド(27)によって互いに繋がれていることを特徴とする、請求項
1~10のいずれか一項に記載の心臓ポンプ。
【請求項12】
推進チャンバは流体を吐出ヘッド部に向かって推し進めるための回転子(33)を具備することを特徴とする、請求項1~
11のいずれか1項に記載の心臓ポンプ。
【請求項13】
回転子をパルス方式で制御するように構成された処理ユニットを具備することを特徴とする、請求項
12に記載の心臓ポンプ。
【国際調査報告】