(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】直鎖状アルファオレフィンを精製するための方法
(51)【国際特許分類】
C07C 5/25 20060101AFI20241128BHJP
C07C 11/107 20060101ALI20241128BHJP
B01J 29/40 20060101ALI20241128BHJP
B01J 29/08 20060101ALI20241128BHJP
B01J 21/04 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C07C5/25
C07C11/107
B01J29/40 Z
B01J29/08 Z
B01J21/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539005
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-08-23
(86)【国際出願番号】 EP2022087666
(87)【国際公開番号】W WO2023126331
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508171804
【氏名又は名称】サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アザム,シャヒド
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ,アシム・クマール
(72)【発明者】
【氏名】ビスワナス,ビヌ
(72)【発明者】
【氏名】バワレス,バンダー
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジェン
(72)【発明者】
【氏名】コーラ,アスピ・ケルサスプ
(72)【発明者】
【氏名】チャクラボルティー,デバシス
(72)【発明者】
【氏名】メレノフ,アンドレイ
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169CB41
4G169DA06
4G169EA01Y
4H006AA02
4H006AC27
4H006AD11
4H006BA09
4H006BA30
4H006BA33
4H006BA62
4H006BA71
4H006BA72
4H006BA85
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC18
4H006BD33
4H006BD53
4H006BD80
4H006BD84
4H006DA25
(57)【要約】
本開示は、直鎖状アルファオレフィン生成物を精製する方法であって、直鎖状アルファオレフィン生成物及び少なくとも1つの不純物を含む直鎖状アルファオレフィン供給流を複数の積み重ねられた段を有する蒸留塔に供給するステップと、前記複数の積み重ねられた段のうちの少なくとも1つから側流を取り出すステップと、前記少なくとも1つの不純物の少なくとも一部を第1の異性体から第2の異性体に変換する異性化触媒を含む反応器に前記側流を供給し、前記第1の異性体の含有量が低減された反応器生成物流を生成するステップと、前記反応器生成物流を前記蒸留塔の段に戻すステップと、前記直鎖状アルファオレフィン生成物を含み、前記少なくとも1つの不純物の含有量が低減された塔頂流を前記蒸留塔から取り出すステップとを含む、方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直鎖状アルファオレフィン生成物を精製する方法であって、
直鎖状アルファオレフィン生成物及び少なくとも1つの不純物を含む直鎖状アルファオレフィン供給流を、複数の積み重ねられた段を有する蒸留塔に供給するステップと、
前記複数の積み重ねられた段のうちの少なくとも1つから側流を取り出すステップと、
前記少なくとも1つの不純物の少なくとも一部を第1の異性体から第2の異性体に変換する異性化触媒を含む反応器に前記側流を供給し、前記第1の異性体の含有量が低減された反応器生成物流を生成するステップと、
前記反応器生成物流を前記蒸留塔の段に戻すステップと、
前記直鎖状アルファオレフィン生成物を含み、前記少なくとも1つの不純物の含有量が低減された塔頂流を前記蒸留塔から取り出すステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの不純物が分岐状オレフィンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記直鎖状アルファオレフィン生成物が1-ヘキセンであり、前記少なくとも1つの不純物が2-エチル-1-ブテン又はその異性体である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の異性体が2-エチル-1-ブテンであり、前記第2の異性体がcis-又はtrans-3-メチル-2-ペンテンである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記塔頂流が、約99.5モル%以上の1-ヘキセンを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記塔頂流が、約200ppm以下のn-ヘキサンを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記塔頂流が、約0.15モル%以下の2-エチル-1-ブテン又はその異性体を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記異性化触媒が、約1~10バールの圧力、約45~100℃の温度及び約0.5~8.5h
-1の液空間速度で、約1時間で、約80モル%以上の2-エチル-1-ブテンを前記第2の異性体に変換することができる、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
約3モル%以下の1-ヘキセンが、同じ反応条件下で異なる異性体に変換される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記異性化触媒が、アルミナ材料、ゼオライト材料又はイオン交換樹脂、例えば、シリカ対アルミナのモル比が5~1000の範囲又は25~300の範囲のゼオライト材料、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記蒸留塔が、触媒材料を実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記蒸留塔が、約150以下の段含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記反応器の動作温度が、約45℃~約100℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記蒸留塔が、前記蒸留塔に戻される還流流を生じる塔頂凝縮器を含み、還流比が、約4~約20、例えば約7~約15である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記反応器において前記側流を供給するステップが、並列に配置された1組の第1の反応器及び第2の反応器のうちの第1の反応器に前記側流を供給するステップを含み、前記第1の反応器を使用している間に前記第2の反応器が前記異性化触媒の再生に利用可能となる、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、直鎖状アルファオレフィン生成物流をオリゴマー化反応から精製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直鎖状オレフィンは、石油化学産業において原料として有用な炭化水素の一種であり、これらの直鎖状アルファオレフィンの中でも、二重結合が鎖の末端に位置する分岐していないオレフィンは、重要なサブクラスを形成している。直鎖状アルファオレフィンは、ヒドロホルミル化によって直鎖状第一級アルコールに変換されうる。ヒドロホルミル化は、アルデヒドを調製するためにも使用でき、それは、次に酸化されて、潤滑剤の製造に有用な合成脂肪酸、特に、奇数の炭素数を有する合成脂肪酸を得ることができる。直鎖状アルファオレフィンは、直鎖状アルキルベンゼンスルホネートなどの洗剤の製造においても使用され、直鎖状アルキルベンゼンスルホネートは、ベンゼンと直鎖状オレフィンとのフリーデル・クラフツ反応とそれに続くスルホン化によって調製される。直鎖状アルファオレフィンの別の重要な使用は、エチレンとの触媒による共重合による直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の製造に関する。
【0003】
アルファオレフィンの調製は、エチレンのオリゴマー化に主に基づいており、これには、生成されたアルファオレフィンが偶数の炭素原子を有するという当然の結果がある。エチレンのオリゴマー化方法は、触媒として有機アルミニウム化合物又は遷移金属を主に利用する。オリゴマー化方法は、ジルコニウム成分、例えばテトライソ酪酸ジルコニウム及び活性剤としてアルミニウム成分、例えばエチルアルミニウムセスキクロリドを含む触媒の存在下で典型的に実行される。典型的に、直鎖状アルファオレフィンを生成するために使用される反応器からの排出物は、直鎖状アルファオレフィンの様々な画分を分離するために1つ以上の蒸留塔に誘導される。
【0004】
オリゴマー化反応のアルファオレフィン生成物を非常に高い純度レベル、例えば99.5モル%超の純度レベルまで精製することが望ましい。従来の分離方法を使用してそのような高純度を達成することは、標的アルファオレフィン生成物の沸点と非常に近い沸点を有する不純物が存在するため、困難となりうる。当技術分野において、そのような生成物のための分離方法における改善の必要性が残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本開示の例示的実施は、直鎖状アルファオレフィン生成物流を精製するための方法を対象としている。特に、本発明の方法は、蒸留塔を通る流れの少なくとも一部を受け取るように配置された少なくとも1つの側部反応器の使用を伴い、側部反応器は、少なくとも1つの不純物を第1の異性体から第2の異性体に変換することが可能な異性化触媒を含み、第2の異性体は、標的直鎖状アルファオレフィンからより容易に分離される。このようにして、側部反応器は、蒸留塔の分離効率を改善することができ、標的直鎖状アルファオレフィンを非常に高い純度レベルまで精製することを可能にする。
【0006】
本開示は、限定することなく、以下の実施形態を含む。
【0007】
実施形態1:直鎖状アルファオレフィン生成物を精製する方法であって、直鎖状アルファオレフィン生成物及び少なくとも1つの不純物を含む直鎖状アルファオレフィン供給流を、複数の積み重ねられた段を有する蒸留塔に供給するステップと、前記複数の積み重ねられた段のうちの少なくとも1つから側流を取り出すステップと、前記少なくとも1つの不純物の少なくとも一部を第1の異性体から第2の異性体に変換する異性化触媒を含む反応器に前前側流を供給し、前記第1の異性体の含有量が低減された反応器生成物流を生成するステップと、前記反応器生成物流を前記蒸留塔の段に戻すステップと、前記直鎖状アルファオレフィン生成物を含み、前記少なくとも1つの不純物の含有量が低減された塔頂流(overhead stream)を前記蒸留塔から取り出すステップとを含む、方法。
【0008】
実施形態2:前記少なくとも1つの不純物が分岐状オレフィンである、実施形態1に記載の方法。
【0009】
実施形態3:前記直鎖状アルファオレフィン生成物が1-ヘキセンであり、前記少なくとも1つの不純物が2-エチル-1-ブテン又はその異性体である、実施形態1又は2に記載の方法。
【0010】
実施形態4:前記第1の異性体が2-エチル-1-ブテンであり、前記第2の異性体がcis-又はtrans-3-メチル-2-ペンテンである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0011】
実施形態5:前記塔頂流が、約99.5モル%以上の1-ヘキセンを含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0012】
実施形態6:前記塔頂流が、約200ppm以下のn-ヘキサンを含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0013】
実施形態7:前記塔頂流が、約0.15モル%以下の2-エチル-1-ブテン又はその異性体を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0014】
実施形態8:前記異性化触媒が、約1~10バールの圧力、約45~100℃の温度及び約0.5~8.5h-1の液空間速度で、約1時間で、約80モル%以上の2-エチル-1-ブテンを前記第2の異性体に変換することができる、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0015】
実施形態9:約3モル%以下の1-ヘキセンが、同じ反応条件下で異なる異性体に変換される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0016】
実施形態10:前記異性化触媒が、アルミナ材料、ゼオライト材料又はイオン交換樹脂、例えばシリカ対アルミナのモル比が5~1000の範囲又は25~300の範囲のゼオライト材料を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0017】
実施形態11:前記蒸留塔が、触媒材料を実質的に含まない、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0018】
実施形態12:前記蒸留塔が、約150以下の段を含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0019】
実施形態13:前記反応器の動作温度が、約45℃~約100℃である、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0020】
実施形態14:前記蒸留塔が、前記蒸留塔に戻される還流流を生じる塔頂凝縮器を含み、還流比が、約4~約20、例えば約7~約15である、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0021】
実施形態15:前記反応器において前記側流を供給するステップが、並列に配置された1組の第1の反応器と第2の反応器のうちの第1の反応器に前記側流を供給するステップを含み、前記第1の反応器を使用している間に前記第2の反応器が前記異性化触媒の再生に利用可能となる、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0022】
本開示のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明を、以下に簡潔に記載されている添付の図とともに読むことから明らかになる。本開示は、そのような特徴又は要素が、本明細書に記載されている具体的な例示的実施において明示的に組み合わされているか、そうでなければ列挙されているかに関わらず、この開示に記載されている2つ、3つ、4つ又はそれ以上の特徴又は要素の任意の組合せを含む。本開示は、本開示の文脈が明らかに別段の指示をしない限り、本開示の任意の分離可能な特徴又は要素が、任意のその態様及び例示的実施において、組合せ可能であると見なされるべきであるように、全体論的に読まれることが意図されている。
【0023】
したがって、この概要は、本開示のいくつかの態様についての基本的理解を提供するために、いくつかの例示的実施を要約する目的のためにだけ提供されていることが理解される。したがって、上述の例示的実施は単なる例であり、いかなる方法でも本開示の範囲又は趣旨を狭くするように解釈されるべきではないことが理解される。他の例示的実施、態様及び利点は、例として、いくつかの記載されている例示的実施の原理を例証する添付の図と併せて、以下の詳細な説明から明らかになる。
【0024】
このように、本開示の態様を前述の一般用語で説明してきたが、次に、添付の図について言及し、これは必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本開示の例示的実施によるエチレンオリゴマー化システムのブロック図である。
【
図2】本開示による2つの側部反応器を備えた蒸留塔の例示的実施形態の概略図である。
【
図3】本開示による1つの側部反応器を備えた蒸留塔の例示的実施形態の概略図である。
【
図4】本開示による並列に配置された2つの側部反応器を備えた蒸留塔の例示的実施形態の概略図である。
【
図5】本開示によるAspen Plusシミュレーションのために使用される単一の側部反応器を備えた蒸留塔の例示的実施形態の概略図である。
【
図6】一実施形態による側部反応器の最適な位置を決定するための
図5のシステム配置のシミュレーションの結果を、グラフを用いて示す。
【
図7】生成物純度に与える還流比の影響を決定するための
図5のシステム配置のシミュレーションの結果を、グラフを用いて示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以降で、本開示のすべての実施ではないがいくつかの実施が示されている添付図を参照して、本開示のいくつかの実施がより十分に説明される。実際、本開示の様々な実施が、多くの異なる形態で具現化される可能性があり、本明細書に記載されている実施に限定されて解釈されるべきではなく;むしろ、これらの例示的実施は、この開示が徹底的で完全であり、本開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。同様の参照数字は、全体を通して同様の要素を指す。
【0027】
特に指定のない限り又は文脈から明らかでない限り、第1の、第2のなどの言及は、特定の順番を意味するものと解釈されるべきではない。別の特徴の上にあると記載された特徴は、(特に指定のない限り又は文脈から明らかでない限り)代わりに下にある場合もあり、その逆もまた然りであり;同様に、別の他の特徴の左にあると記載された特徴は、代わりに右にある場合もあり、その逆もまた然りである。また、本明細書では、定量的測定、値、幾何学的関係性などに言及する場合があるが、別段の記載がない限り、これらのすべてではなくともいずれか1つ以上は、絶対的であってもよく、起こりうる許容可能なばらつき、例えば工学上の公差などによるものを説明するために近似的であってもよい。
【0028】
本明細書に開示されているすべての範囲は、端点を含み、端点は互いに独立して組合せ可能である(例えば、「25重量%まで又は、より具体的には、5重量%~20重量%まで」の範囲は、端点及び「5重量%~20重量%」の範囲のすべての中間値などを含む。)。「組合せ」は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを含む。
【0029】
本明細書で使用される場合、特に指定のない限り又は文脈から明らかでない限り、1組のオペランドの「又は」は、「包含的又は」であり、それによって、すべてのオペランドが真であるときに偽となる「排他的又は」とは対照的に、1つ以上のオペランドが真である場合に及びその場合にのみ真である。したがって、例えば、「[A]又は[B]」は、[A]が真である場合、若しくは[B]が真である場合又は[A]と[B]の両方が真である場合に、真である。さらに、冠詞「a」及び「an」は、特に指定のない限り又は文脈から単数形を対象とすることが明らかでない限り、「1つ以上」を意味する。
【0030】
<エチレンオリゴマー化方法及びシステム>
直鎖状アルファオレフィン(LAO)は、化学式CxH2xを有するオレフィンであり、同様の分子式を有する他のモノオレフィンと、炭化水素鎖の直線性及び第一級又はアルファ位の二重結合の位置によって区別される。直鎖状アルファオレフィンは、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン並びにC20~C24、C24~C30及びC20~C30オレフィンの高級ブレンドを含む、工業的に重要なアルファオレフィンの一種を構成する。直鎖状アルファオレフィンは、洗剤、合成潤滑剤、コポリマー、可塑剤及び多くの他の重要な製品の製造に有用な中間体である。
【0031】
直鎖状アルファオレフィンの製造のための既存の方法は、エチレンのオリゴマー化に典型的に頼るものである。例えば、直鎖状アルファオレフィンは、チーグラー・ナッタ型触媒又は非チーグラー・ナッタ型触媒の存在下で、エチレンの触媒的オリゴマー化によって調製されうる。
【0032】
オリゴマー化は、10~200℃の温度、例えば20~100℃、例えば50~90℃、例えば55~80℃、例えば60~70℃で起こりうる。動作圧力は1~5メガパスカル(MPa)、例えば2~4MPaでありうる。方法は、連続的であることが可能であり、平均滞留時間は10分~20時間、例えば、30分~4時間、例えば1~2時間であることが可能である。滞留時間は、高い選択性で所望の変換を達成するために選択されうる。
【0033】
方法は、触媒組成物と有利に非反応性である不活性な溶媒を使用して溶液中で行われうる。望ましい有機溶媒の例は、非置換又はハロゲンで置換されている場合がある芳香族炭化水素溶媒、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン;脂肪族パラフィン炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン;脂環式炭化水素化合物、例えばシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン;及びハロゲン化アルカン、例えばジクロロエタン及びジクロロブタンを含むことができるが、これらに限定されない。
【0034】
方法は、あらゆる反応器、例えばループ反応器、プラグフロー反応器又は気泡塔反応器において実行されうる。エチレンのオリゴマー化は、エチレンの余剰流によって冷却されうる発熱反応である。反応器の上部で出る気体は、一連の外部冷却器及び凝縮器を使用して冷却されうる。気相は、さらに冷却した後、再循環されうる。
【0035】
下部からオリゴマー化反応器を出る下部流は、活性触媒及び未反応エチレンを含みうる。反応は、望ましくない副反応を避けるために、苛性水性相を用いた抽出によって触媒成分を有機相から除去することによって終了させることができる。苛性水性相との接触は、触媒成分に対応する非反応性無機化合物の形成をもたらしうる。
【0036】
有機相は、触媒除去システムを通過した後、モレキュラーシーブ吸収床を通過することができ、その後、溶解したエチレンを回収するために蒸留塔に供給されうる。回収されたエチレンは、生成物が中間容器に供給されている間、エチレン再循環ループによって再循環することができ、その後、生成物は分離部に供給されうる。特定の実施形態において、反応器から生成された直鎖状アルファオレフィンは、分離トレインに誘導されうる。
【0037】
図1に示されるように、システム10は、反応器12、トルエン(又は他の溶媒)源14及び分離トレイン16を含むことができる。通常の生成モードでは、反応物18、例えばエチレン、溶媒及び触媒が反応器12に供給されて、直鎖状アルファオレフィン及び様々な不純物、例えば分岐状オレフィン及びポリマー物質を生成することができる。反応後、放出流20は分離トレイン16に誘導されうるが、ここで、放出流は、未反応の反応物、生成された直鎖状アルファオレフィン、例えばC
4~C
20+オレフィン、溶媒、触媒及び様々な不純物を含みうる。分離トレイン16は、溶媒、触媒、様々な不純物及び任意の未反応のエチレンから直鎖状アルファオレフィンを分離するように構成されうる。分離トレイン16は、各直鎖状アルファオレフィンを分離することができ、例えば、C
4流、C
6流、C
8流などをもたらす。分離トレイン16は、直鎖状アルファオレフィンを特定の画分、例えばC
4~C
10画分、C
11~C
17画分、C
18~C
20画分、C
20+画分又は任意の他の所望の画分にも分離することができる。
【0038】
直鎖状アルファオレフィン生成物は、水性苛性触媒クエンチとそれに続く水による洗浄及び蒸留による最終生成物回収を含む手順を使用して単離されうる。例えば、エチレンが溶解した溶媒(例えば、トルエン)を含む液体生成物が上述の分離トレイン16に供給されうる。第1の塔では、未消費のエチレンが直鎖状アルファオレフィン生成物及び溶媒から分離されうる。エチレンは、反応器に戻して再循環されうる。より重い画分は、その後の分離部に送られうるが、ここで、より重い画分は、異なる直鎖状アルファオレフィン画分(例えば、C8、C10、C12超)に分けられうる。溶媒は回収され、また反応器に戻して再循環されうる。
【0039】
反応器内のポリマーファウリングがオリゴマー化反応方法の間に起こる可能性がある。このようなファウリングは、例えば、排出流速の低下、内部凝縮器性能の低下、反応器内の様々な位置での差圧の上昇などによって典型的に検出される。このようなファウリングは、反応器をトルエン又は別の溶媒で洗い流してポリマー物質副産物を除去することにより処理されうる。ポリマー物質を含む洗い流されたトルエンは、直鎖状アルファオレフィン反応生成物を含む分離トレインに誘導されうる。ポリマー物質は、少なくとも1つの直鎖状アルファオレフィンに可溶性であり、そのため、洗い流されたトルエンは、ポリマー物質を本質的に含まずに分離トレインを出ることができ、その後の反応器の洗い流しのためにトルエン源に戻して再循環されうる。
【0040】
<一体化した蒸留塔及び側部反応器>
本開示によれば、分離トレイン16は、少なくとも1つの側部反応器が接続された少なくとも1つの蒸留塔を含む。蒸留塔の種類は異なってもよく、その例として、バブルキャップトレイ、バルブトレイ又はシーブトレイを備えた塔を含む。
【0041】
側部反応器は、蒸留塔に入る少なくとも1つの不純物、例えば分岐状オレフィンを第1の異性体から第2の異性体に変換するように適合された異性化触媒を含む。第2の異性体の沸点が、第1の異性体と比較して、所望のアルファオレフィン生成物の沸点からさらに離れていることは有利である。したがって、第2の異性体は、第1の異性体と比較して、蒸留塔によって所望のアルファオレフィン生成物からより容易に分離される。
【0042】
所望のアルファオレフィン生成物が63.48℃の沸点を有する1-ヘキセンである場合、問題のある不純物(すなわち、第1の異性体)の一例は、64.67℃の沸点を有する2-エチル-1-ブテンである。しかし、2-エチル-1-ブテンは、異性化触媒を使用して、cis-/trans-3-メチル-2-ペンテンなどのより高い沸点の異性体(すなわち、第2の異性体)に変換されうる。この平衡制限反応は、下記に示されている。
【0043】
【0044】
例示的異性化触媒は、アルミナ材料、ゼオライト材料又はイオン交換樹脂を含む。好適な触媒は、酸性官能基を典型的に含む。アルミナ触媒は、例えば、商標名SELEXSORB(登録商標)(例えば、SELEXSORB(登録商標)CD又はCDL)で、BASF Corporation又は第三者供給業者から入手可能である。イオン交換樹脂触媒は、例えば、商標名AMBERLYST(登録商標)(例えば、AMBERLYST(登録商標)15)で、Dow Chemical Company又は第三者供給業者から入手可能である。
【0045】
ゼオライト触媒材料は、様々でありうる。一部の実施形態において、ゼオライトは、ABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFX、AFY、AHT、APC、APD、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AVL、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOF、BOG、BOZ、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、CHI、CLO、CON、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DON、EAB、EDI、EEI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、EZT、FAU、FER、GIS、GME、GON、GOO、HEU、IFR、IFY、IHW、IMF、IRN、ISV、ITE、ITG、ITH、ITW、IWR、IWS、IWV、IWW、JBW、JRY、JSR、JST、KFI、LAU、LEV、LOV、LTA、LTF、LTL、LTN、MAZ、MEI、MEL、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、MRE、MSE、MTF、MTT、MVY、MTW、MWF、MWW、NAB、NAT、NES、NPO、NPT、NSI、OBW、OFF、OKO、OSI、OSO、OWE、PAR、PAU、PCR、PHI、PON、PUN、RHO、RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RWR、RWY、SAF、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBS、SBT、SCO、SEW、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、SFW、SGF、SIV、SOF、SOS、SSF、SSY、STF、STI、STO、STT、STW、SVR、SZR、TER、THO、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOS、USI、UTL、UWY、VET、VFI、VNI、VSV、WIE、WEN、YUG、ZON及びそれらの混合物又は連晶からなる群から選択されるフレームワーク型を有する。一部の実施形態において、ゼオライトは、AEI、BEA(ベータゼオライト)、CHA(チャバザイト)、FAU(ゼオライトY)、FER(苦土沸石)、MFI(ZSM-5)及びMOR(モルデナイト)からなる群から選択されるフレームワーク型を含む。これらの構造を有するゼオライトの非限定的な例は、チャバザイト、フォージャサイト、ゼオライトY、超安定ゼオライトY、ベータゼオライト、モルデナイト、シリカライト、ゼオライトX及びZSM-5を含む。
【0046】
ゼオライトのシリカ対アルミナのモル比(「SAR」)は、広い範囲にわたり変動しうる。例えば、ゼオライトは、約1~約1000のSARを有する可能性がある。1つ以上の実施形態において、ゼオライトは、約1、約2、約5、約8、約10、約15、約20又は約25から約30、約35、約40、約45、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約150、約200、約260、約300、約400、約500、約750又は約1000(例えば、約10~約150又は約20~約80)の範囲のSARモル比を有する。特定の実施形態において、ゼオライト材料は、5~1000の範囲又は25~300の範囲のシリカ対アルミナのモル比を有する。
【0047】
特定の実施形態において、異性化触媒は、望ましくない第1の異性体がどのくらい第2の異性体に変換されるかに基づいて特徴付けることができる。例えば、特定の実施形態において、異性化触媒は、約1~10バールの圧力、約45~100℃の温度及び約0.5~8.5h-1の液空間速度で、約1時間で、約80モル%以上の2-エチル-1-ブテン(例えば、約85モル%以上又は約90モル%以上又は約95モル%以上)を第2の異性体に変換することができる。一部の実施形態において、約3モル%以下の1-ヘキセン(例えば、約2モル%以下又は約1モル%以下)が上述の同じ反応条件下で異なる異性体に変換される。
【0048】
1つ以上の側部反応器は、例えば、プラグフロー反応器(他に管型反応器として知られている。)又は連続撹拌槽型反応器(CSTR)のいずれかとして作動することができ、蒸留塔の動作温度及び圧力に依存しない温度及び圧力で作動することができる。不純物を含む1-ヘキセン供給は、上向流又は下向流のいずれかのモードで管型反応器に供給されうる。一部の実施形態において、供給流は、上向流モードで供給される。
【0049】
外部側部反応器は、触媒の反応条件(例えば、温度及び圧力)が所望の蒸留条件と一致しないとき、極めて有用である。この方法の構成は、大量の触媒を必要とする遅い反応が実行されなければならないときも、極めて有用である。従来の反応性蒸留塔は、塔体積の20~40%までしか触媒を典型的に保持できない。側部反応器に触媒を置くことにより、反応性蒸留方法に伴うこの制限を回避する。側部反応器の典型的動作温度は、約40~約100℃、例えば、約50~約70℃の範囲である。側部反応器中の触媒の量は、変動しうる。特定の実施形態において、触媒投入量は、側部反応器あたり約3,000~約6,000kg触媒、例えば約4,000~約5,000kgである。
【0050】
触媒は、蒸留塔の外側に位置するため、反応性蒸留塔と比較して触媒の再生をより容易に成し遂げることができる。一方の反応器を、他方の反応器が再生を受けている間に稼働できるように、並列に構成された2つの外部側部反応器を使用することは、有利となりうる。例示的再生方法は、高温の窒素ガス、例えば、約200℃以上又は約250℃以上又は約280℃以上(例えば、約250~約300℃)の窒素を触媒床に通過させることを含む。
【0051】
蒸留塔の外側に異性化触媒を置くことの利点を考慮すると、特定の実施形態において、本開示で利用されている蒸留塔は、触媒材料を実質的に又は完全に含まず、蒸留塔が1体積%未満の触媒又は0.5体積%未満の触媒又は0体積%の触媒を塔内に含むことを意味すると説明することができる。
【0052】
一体化した側部反応器を備えた蒸留塔の例示的実施が
図2に示されている。示されているように、分離トレインは、蒸留塔30を含むことができ、蒸留塔30は、上段として凝縮器32を典型的に含み、下段としてリボイラー34を典型的に含む。蒸留液流36は、生成物流として塔の上部を出る。下部流38も塔を出る。供給流40が所望の供給段で塔に入り、この供給段は様々でありうる。供給流40は、さらなる精製が必要なアルファオレフィン生成物を、1つ以上の不純物、例えば分岐状オレフィンとともに典型的に含む。蒸留塔の還流比は変動する場合があり、例示的範囲は、約4~約20、例えば約7~約15である。
【0053】
蒸留塔30と流体連通している側部反応器の数は、様々でありうる。様々な実施形態が1~10個の側部反応器を有する。
図2において、2つの側部反応器44及び46が示されている。示されているように、側部反応器44及び46のそれぞれは、ポンプ48及び50を使用して蒸留塔30の段から液体を取り出すように配置されており、ポンプ48及び50は、レベル指示制御器などのそれぞれの制御器52及び54を使用して制御されうる。
【0054】
図3は、蒸留塔62と一体化した側部反応器60の一例示的実施形態のより詳細な図を提供し、部分断面図で示されている。示されているように、液溜め保持ポット64は、側部反応器60を通して液体をポンピングするために使用されるポンプ66の上流で蒸留塔から出る液体を保持するために使用することができる。蒸気圧均等化ライン68は、保持ポット64の上部から蒸留塔トレイ70の蒸気ヘッドスペースまで延長することができ、蒸留塔トレイ70は、例示としてのみ、バブルキャップトレイとして示されている。任意選択的に、システムは、側部反応器60の上流の予熱器72及び側部反応器から下流の冷却器74を含むことができる。示されていないが、方法の熱効率を高めるために、塔供給流との熱交換によって、側部反応器に入る又は側部反応器を出る流れの任意の所望の加熱/冷却が達成されることが可能である。
【0055】
側部反応器に入る流速は、変動することができ、特に、塔内の液体の流れの任意の割合でありうる。さらに、側部反応器に供給するために液体が引き出される段と、側部反応器からの排出物が戻される段との相対的位置は、様々でありうる。液体は、抜き取られて同じ段に戻すことができる又は隣接する段若しくは抜き取られた段からさらに離れた段に戻すことができる。したがって、抜き取られた段と戻された段の間の段数は、0又は1~100の任意の数字又はそれよりも多い場合がある。液体は、複数の段から抜き取られ、同じ反応器又は複数の反応器に供給されうる。
【0056】
上述のように、並列に置かれた2つの側部反応器は、蒸留塔と一体化させることができる。そのような実施形態の例が、
図4に示されており、ここで、1-ヘキセン供給流は、Rで標識された2つの側部反応器を並列に有する蒸留塔に入る。並列反応器の使用は、異性化触媒が汚れた又はそうでなければ不活性化したときに、蒸留塔の作動を中断させることなく、1つの反応器を再生のために停止させることを可能にする。精製された1-ヘキセンは、塔の上部を出て、不純物の大多数は下部流として出る。
【0057】
塔への供給流は、組成が様々でありうるが、典型的に、少なくとも96モル%又は少なくとも98モル%の1-ヘキセン(例えば、約96モル%~約98.5モル%又は約98モル%~約98.5モル%)及び少なくとも0.5モル%又は少なくとも0.8モル%の2-エチル-1-ブテン(例えば、約0.5モル%~約1.5モル%又は約0.8モル%~約1.2モル%)である。
【0058】
本明細書で想定されている側部反応器の使用は、蒸留塔の塔頂流中の1-ヘキセン又は他の直鎖状アルファオレフィンの約99.5モル%以上の純度までの精製を可能にする。特定の実施形態において、蒸留塔からの塔頂生成物流は、非常に少ない不純物含有量、例えば約0.3モル%以下又は約0.2モル%以下又は約0.15モル%以下の分岐状オレフィン、例えば2-エチル-1-ブテンによって特徴付けられる。標的直鎖状アルファオレフィンが1-ヘキセンの場合、特定の実施形態において、塔頂生成物流は、非常に少ないn-ヘキサン含有量、例えば約200ppm以下又は約150ppm以下のn-ヘキサンによっても特徴付けられる。
【0059】
この開示で想定されている側部反応器の使用は、1-ヘキセンなどの特定の直鎖状アルファオレフィンの非常に高い純度を達成するために他の方法で必要とされる可能性のある段数を減少させることができる。例えば、特定の実施形態において、直鎖状アルファオレフィンの高純度(例えば、約99.5モル%以上の純度)を達成するために必要とされる蒸留の段数は、約150段以下又は約120段以下(例えば、約80~約150段)である。
【0060】
この技術は、本明細書に記載されているC6化合物の異性化反応に広く適用できるが、平衡制限がある他の反応にも適用できる。例えば、そのような他の反応は、他の直鎖状アルファオレフィンの異性化反応、C2~C12オレフィンのメタセシス反応、燃料のオクタン価を増加させるガソリン添加剤を形成するためのC4及びC5オレフィンとアルコール(例えば、メタノール、エタノール又はイソアミルアルコール)とのエーテル化反応、エステル化、アセタール化などを含む。
【0061】
実験
【実施例】
【0062】
[実施例1]
一連の実験室反応器試験は、2-エチル-1-ブテン(2E1B)を異なる異性体、例えばcis-又はtrans-3-メチル-2-ペンテンに変換する異性化触媒を使用することの実現可能性を決定するために、様々な異性化触媒を用いて管型反応器を使用して行われた。変換率(モル%)は、圧力(P)、温度(T)、液空間速度(LHSV)及び滞留時間(TOS)に関して表1に示されている試験条件下で、2E1Bと1-ヘキセン(1H)の両方について決定された。試験された触媒は、様々なゼオライト、アルミナ材料及び1つのイオン交換樹脂を含んでいた。
【0063】
【0064】
結果は、表1にも示されている。試験された触媒のすべてが、2E1Bの少なくとも一部をより望ましい異性体に変換することができた。しかし、いくつかの触媒は、2E1Bの変換に特に選択的ではなく、かなりの量の1-ヘキセンも、望ましくない異なる異性体に変換した。最も高い性能の触媒は、例えば、ZSM-5ゼオライト(特により大きいSAR)、SELEXSORB CD及びイオン交換樹脂AMBERLYST-15を含む。
【0065】
[実施例2]
方法シミュレーション研究を、Aspen Plusを使用して行った。シミュレーションされた方法は、
図5に概略的に示されており、ここで、F-SF3は、1-ヘキセン供給流であり、SF2-80は、81個の理論段を有する蒸留塔であり、TOP-SF3は、塔頂生成物流であり、BOT-SF3は、下部流であり、RSTO-80は、蒸留塔からの入口流SIDEOUT3を受け取り、SIDEIN3を蒸留塔に戻す側部反応器である。シミュレーション研究を、1つの側部反応器の構成の最適な位置を研究するために行い、側部反応器の最適な供給位置は段47であり、液体が段48で塔に戻されることが観察された。シミュレーションされた供給流は98.15モル%の1-ヘキセン及び0.99モル%の2E1Bであった。この研究の結果が、
図6に示されている。
【0066】
さらなるシミュレーション研究を、1-ヘキセン純度に与える還流比の影響を研究するために、側部反応器の固定された触媒投入量4,347kgと、上述の同じシミュレーションされた供給流を使用して行った。結果が
図7に示されており、還流比を増加させると、生成物流中の、1-ヘキセン純度が増加し、同時にn-ヘキサン不純物が減少することが理解されうる。
【0067】
一般に、本発明は、本明細書に開示されている任意の適切な成分を代わりに含む、それからなる又はそれから本質的になることができる。本発明は、さらに又は代替的に、従来技術の組成物において使用されている又はそうでなければ本発明の機能及び/若しくは目的の達成に必須ではない任意の成分、材料、構成要素、アジュバント若しくは種がないように又は実質的に含まないように調合されうる。
【0068】
本開示の多くの改変及び他の実施が、前述の説明及び関連する図に示された教示の利益を有する、本開示が関係する当業者に思い浮かぶ。したがって、本開示は、本明細書に開示されている特定の実施に限定されるものではなく、改変及び他の実施が添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されていることを理解されたい。特定の用語が本明細書で用いられているが、これらは一般的及び説明的な意味でのみ使用されており、限定目的ではない。
【国際調査報告】