(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】べたつきがなく滑らかで安定な組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20241128BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20241128BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20241128BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20241128BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20241128BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20241128BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61K8/06
A61Q1/00
A61Q5/00
A61K8/37
A61K8/365
A61K8/55
A61K8/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024557010
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 JP2022046300
(87)【国際公開番号】W WO2023113004
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】P 2021205211
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】丸山 和彦
(72)【発明者】
【氏名】水野 智子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB151
4C083AB152
4C083AB241
4C083AB242
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC212
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC712
4C083AC812
4C083AC852
4C083AC901
4C083AC902
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD352
4C083AD412
4C083BB11
4C083BB21
4C083CC03
4C083CC05
4C083CC19
4C083CC33
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE06
(57)【要約】
本発明は、O/W型エマルションの形態にある組成物であって、(a)少なくとも1種の油と、(b)少なくとも1種の脂肪族アルコールと、(c)少なくとも1種の、ヒドロキシル酸、フィチン酸、及びこれらの混合物から選択される酸と、(d)少なくとも1種の、C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルと、(e)少なくとも1種の増粘剤と、(f)少なくとも1種の粉末と、(g)水とを含み、(d)C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルのHLB、又は(d)C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルのHLB値の加重平均が、8.0から11.5の間である、組成物に関する。本発明による組成物は(c)酸を含むが、該組成物は安定であり、べたつきのない感触又はべたつきの少ない感触とともに、脂ぎっていない感触又は滑らかな感触を付与することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
O/W型エマルションの形態にある組成物であって、
(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種の脂肪族アルコールと、
(c)少なくとも1種の、ヒドロキシル酸、フィチン酸、及びこれらの混合物から選択される酸と、
(d)少なくとも1種の、C
6~C
32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルと、
(e)少なくとも1種の増粘剤と、
(d)少なくとも1種の粉末と、
(g)水と
を含み、
(d)C
6~C
32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルのHLB、又は(d)C
6~C
32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルのHLB値の加重平均が、8.0から11.5の間である、組成物。
【請求項2】
(a)油が、エステル油、トリグリセリド油、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)油の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~30質量%、好ましくは0.1質量%~25質量%、より好ましくは1質量%~20質量%の範囲である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(b)脂肪族アルコールが、セチルアルコール、セテアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(b)脂肪族アルコールの量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%の範囲である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ヒドロキシル酸が、アルファ-ヒドロキシ酸、ベータ-ヒドロキシ酸、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(c)酸の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~8質量%の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(d)C
6~C
32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルが、2~10個のグリセリン、好ましくは2~8個のグリセリン、より好ましくは2~6個のグリセリンに由来するポリグリセリル部分を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(d)C
6~C
32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルの量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.05質量%~15質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%の範囲である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
(e)増粘剤が、多糖、AMPS(コ)ポリマー、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
(e)増粘剤の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%の範囲である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
(f)粉末が、顔料、フィラー、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
(f)粉末の量が、組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%の範囲である、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
(h)ビタミンB3及びその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物を更に含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ケラチン物質を処置するための美容方法であって、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、べたつきがなく滑らかで安定である、組成物、好ましくは化粧用又は皮膚科用の組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ピーリングは、例えば、ざ瘡若しくは水痘に起因する皮膚のそばかす若しくは跡等の色素沈着の欠陥を薄めるための、又は皮膚のテクスチャにおける異常、詳細にはしわ又は小じわを滑らかにするための、特にヒトの皮膚の見てわかる及び/又は触ってわかる異常の処置について皮膚の表面の外観を改善するための、周知の手段である。
【0003】
このピーリングは、例えば皮膚の落屑を刺激するピーリング剤、例えばアルファ-ヒドロキシ酸(AHA)、例えばグリコール酸、又はベータ-ヒドロキシ酸(BHA)、例えばサリチル酸及びフィチン酸、或いは他の活性物質、例えばレチノイン酸、レゾルシノール、トリクロロ酢酸又はフェノールを含有する組成物の適用等の化学的方法によって、処置されることになる皮膚の部分(表皮、おそらくは真皮の上層)を除去する効果を有する。
【0004】
ピーリング剤が、乳液ローション等のエマルション中に組み入れられる場合に、この組入れは、べたつきのある手触り又は脂ぎった手触りをもたらすことが多く、不安定である傾向があり、特に経時的に及び/又は温度変化のもとで不安定である傾向があることがわかっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6159479号
【特許文献2】米国特許第5558871号
【特許文献3】仏国特許第2581542号
【特許文献4】米国特許第4767750号
【特許文献5】欧州特許第378936号
【特許文献6】米国特許第5267407号
【特許文献7】米国特許第5667789号
【特許文献8】米国特許第5580549号
【特許文献9】欧州特許第A-570230号
【特許文献10】欧州特許第0216479B2号
【特許文献11】米国特許第3915921号
【特許文献12】米国特許第4509949号
【特許文献13】欧州特許第173109号
【特許文献14】仏国特許出願第0009609号
【特許文献15】仏国特許第2416723号
【特許文献16】米国特許第2798053号
【特許文献17】米国特許第2923692号
【特許文献18】欧州特許第A-750899号
【特許文献19】米国特許第5089578号
【特許文献20】欧州特許第A-750899号
【特許文献21】米国特許第5089578号
【特許文献22】仏国特許第2679771号
【特許文献23】欧州特許第1184426号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968)、Academic Press
【非特許文献2】Cosmetics and Toiletries、Vol. 91、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmetics
【非特許文献3】ASTM規格445附属書C
【非特許文献4】G. Fonnum、J. Bakke及びFk. Hansen、論文、Colloid Polym. Sci 271, 380~389(1993)
【非特許文献5】「Encyclopedia of Chemical Technology」、Kirk-Othmer、第3版、1982年、第3巻、896~900頁、及び第15巻、439~458頁
【非特許文献6】E. A. MacGregor及びC. T. Greenwood、「Polymers in Nature」、John Wiley & Sons社発行、第6章、240~328頁、1980年
【非特許文献7】「Industrial Gums-Polysaccharides and their Derivatives」、Roy L. Whistler編、第2版、Academic Press Inc.社発行
【非特許文献8】Yotaro Morishima、「Self-assembling amphiphilic polyelectrolytes and their nanostructures、Chinese Journal of Polymer Science、18巻、40号(2000年)、323~336頁」
【非特許文献9】Yotaro Morishima、「Micelle formation of random copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and a non-ionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering、Macromolecules、33巻、10号、2000年、3694~3704頁」
【非特許文献10】Yotaro Morishima、「Solution properties of micelle networks formed by non-ionic moieties covalently bound to a polyelectrolyte:salt effects on rheological behavior、Langmuir、2000年、16巻、12号、5324~5332頁」
【非特許文献11】Yotaro Morishima、「Stimuli responsive amphiphilic copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and associative macromonomers、Polym. Preprint, Div. Polym. Chem. 1999年、40(2)、220~221頁」
【非特許文献12】ウルマンの百科事典
【非特許文献13】Milton J. Rosen、Gemini Surfactants, Properties of surfactant molecules with two hydrophilic groups and two hydrophobic groups、Cosmetics & Toiletries magazine、113巻、1998年12月、49~55頁
【非特許文献14】Milton J. Rosen、Recent Developments in Gemini Surfactants、Allured's Cosmetics & Toiletries magazine、2001年7月、116巻、7号、67~70頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、組成物がピーリング剤を含む場合であってさえ、塗布後にべたつきのない手触り又はべたつきの少ない手触りとともに、脂ぎっていない手触り又は滑らかな手触りをもたらし、且つ安定である、特に経時的に及び/又は温度変化のもとで安定である組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記の目的は、O/W型エマルションの形態にある組成物であって、
(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種の脂肪族アルコールと、
(c)少なくとも1種の、ヒドロキシル酸、フィチン酸、及びこれらの混合物から選択される酸と、
(d)少なくとも1種の、C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルと、
(e)少なくとも1種の増粘剤と、
(f)少なくとも1種の粉末と、
(g)水と
を含み、
(d)C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルのHLB、又は(d)C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルのHLB値の加重平均が、8.0から11.5の間である、組成物によって達成することができる。
【0009】
(a)油は、エステル油、トリグリセリド油、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0010】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~30質量%、好ましくは0.1質量%~25質量%、より好ましくは1質量%~20質量%の範囲であってもよい。
【0011】
(b)脂肪族アルコールは、セチルアルコール、セテアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0012】
本発明による組成物中の(b)脂肪族アルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%の範囲であってもよい。
【0013】
(c)酸のための上記のヒドロキシル酸は、アルファ-ヒドロキシ酸、ベータ-ヒドロキシ酸、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0014】
本発明による組成物中の(c)酸の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~8質量%の範囲であってもよい。
【0015】
(d)C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルは、2~10個のグリセリン、好ましくは2~8個のグリセリン、より好ましくは2~6個のグリセリンに由来するポリグリセリル部分を有してもよい。
【0016】
本発明による組成物中の(d)C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.05質量%~15質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%の範囲であってもよい。
【0017】
(e)増粘剤は、多糖、AMPS(コ)ポリマー、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0018】
本発明による組成物中の(e)増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%の範囲であってもよい。
【0019】
(f)粉末は、顔料、フィラー、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0020】
本発明による組成物中の(f)粉末の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%の範囲であってもよい。
【0021】
本発明による組成物は、(h)少なくとも1種の、ビタミンB3及びその誘導体から選択される組成物を更に含んでもよい。
【0022】
本発明はまた、ケラチン物質を処置するための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、美容方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
鋭意検討の結果、本発明者らは、選択された成分の特定の組合せを一定の条件下で使用することによって、組成物がピーリング剤を含む場合であってさえ、塗布後にべたつきのない手触り又はべたつきの少ない手触りとともに、脂ぎっていない手触り又は滑らかな手触りをもたらし、且つ安定であり、特に経時的に及び/又は温度変化のもとで安定である組成物を提供するための新たなアプローチを発見した。
【0024】
そのため、本発明の一態様は、
(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種の脂肪族アルコールと、
(c)少なくとも1種の、ヒドロキシル酸、フィチン酸、及びこれらの混合物から選択される酸と、
(d)少なくとも1種の、C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルと、
(e)少なくとも1種の増粘剤と、
(d)少なくとも1種の粉末と、
(g)水と
を含む、組成物であって、
(d)C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルのHLB、又は(d)C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルのHLB値の加重平均が、8.0から11.5の間である、組成物である。
【0025】
本発明による組成物は、ピーリング剤、すなわち(c)酸を含むが、べたつきのない手触り又はべたつきの少ない手触りとともに、脂ぎっていない手触り又は滑らかな手触りをもたらすことができる。
【0026】
したがって、本発明による組成物は、使用中に優れた感触を、特に、組成物の塗布中及び塗布後の皮膚の感触において優れた感触をもたらすことができる。
【0027】
用語「べたつきがある」は、本明細書では、皮膚に、粘りつく感触をもたらす特性を意味する。
【0028】
用語「脂ぎっている」は、本明細書では、皮膚に、ぬめりのある感触をもたらす特性を意味する。
【0029】
本発明による組成物は、調製直後に安定であり、且つ冷温から高温への温度変化のもとでさえ、組成物の調製の長時間後も安定である。したがって、本発明による組成物は、経時的に安定であり、冬から夏までに起こる温度変化のもとでさえ、長期間貯蔵されうる。
【0030】
本発明による組成物が(h)少なくとも1種の、ビタミンB3及びその誘導体から選択される化合物を含む場合、本発明による組成物は、肌の色合いの改善の観点において、より優れた美容効果を付与することができる。
【0031】
これ以降、本発明による組成物をより詳細に説明する。
【0032】
[油]
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の油を含む。単一のタイプの油を使用してもよいが、2つ以上の異なるタイプの油を組み合わせて使用することもできる。
【0033】
本明細書では、「油」は、大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)にて、液体又はペースト又は固体の形態にある、脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。(a)油として、化粧品において一般に使用されるものを、単独で又はそれらの組合せにおいて使用することができる。これらの油は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0034】
(a)油は、炭化水素油、シリコーン油等の非極性油;植物油若しくは動物油、及びエステル油若しくはエーテル油等の極性油;又はこれらの混合物であってもよい。
【0035】
(a)油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油及び炭化水素油からなる群から選択することができる。
【0036】
植物油の例として、例えば、アマニ油、カメリア油、マカダミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、ベニバナ油、ホホバ油、ホホバエスエル、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナッツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0037】
合成油の例として、アルカン油、例えば、イソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0038】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとの液状エステルであり、エステルの炭素原子の総数は10個以上である。
【0039】
好ましくは、一価アルコールのエステルの場合、本発明のエステルが由来するアルコール及び酸の中からの少なくとも1種は、分枝状である。
【0040】
一酸のモノエステル、及びモノアルコールのモノエステルの中でも、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えば、ミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0041】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、並びにモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた、使用することができる。
【0042】
とりわけ挙げることができるのは、セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールである。
【0043】
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の、糖エステル及びジエステルを使用することができる。用語「糖」が、いくつかのアルコール官能基を含有し、アルデヒド又はケトン官能基を有し又は有さず、且つ少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素を有する炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖とすることができる。
【0044】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はショ糖)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、特にアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてはメチルグルコースがある。
【0045】
脂肪酸の糖エステルは、特に、前述の糖と、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステル混合物を含む群から選ぶことができる。それらが不飽和である場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0046】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル及びポリエステル、並びにこれらの混合物からも選択することができる。
【0047】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ油脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えば、特に、オレオパルミチン酸、オレオステアリン酸及びパルミトステアリン酸の各混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってもよい。
【0048】
より詳細には、モノエステル及びジエステル、特に、スクロース、グルコース又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0049】
挙げることができる例は、Amerchol社により名称Glucate(登録商標) DOで販売されている製品であり、これはジオレイン酸メチルグルコースである。
【0050】
好ましいエステル油の例として挙げることができるのは、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びこれらの混合物である。
【0051】
人工トリグリセリドの例として挙げることができるのは、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルである。
【0052】
シリコーン油の例として挙げることができるのは、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等;環状オルガノポリシロキサン、例えばシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等、及びこれらの混合物である。
【0053】
好ましくは、シリコーン油は、液体ポリジアルキルシロキサン、とりわけ液体ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び少なくとも1つのアリール基を含む液体ポリオルガノシロキサンから選ばれる。
【0054】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてもよい。本発明により使用されうる有機変性シリコーンは、上に定義しているシリコーン油であり、それらの構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1つ又は複数の有機官能基を含むシリコーン油である。
【0055】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968)、Academic Pressに、より詳細に定義されている。それらは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0056】
それらが揮発性であるとき、シリコーンは、より特定すると、60℃から260℃の間の沸点を有するものから選ばれ、更により特定すると以下から選ばれる:
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特にUnion Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標)7207又はRhodia社により名称Silbione(登録商標)70045 V2で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標)7158、Rhodia社により名称Silbione(登録商標)70045 V5で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社により名称Silsoft 1217で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物である。また挙げることができるのは、ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン等のタイプのシクロコポリマー、例えば式:
【0057】
【0058】
の、Union Carbide社により販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109である。
また挙げることができるのは、環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物である。
(ii)2~9個のケイ素原子を含有し、25℃で5×10-6m2/s以下の粘度を有する直鎖状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。一例は、特にToray Silicone社により名称SH 200で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。このカテゴリーに属するシリコーンはまた、Cosmetics and Toiletries、Vol. 91、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsにおいて発表された論文にも記載されている。シリコーンの粘度は、ASTM規格445附属書Cに従って、25℃にて測定される。
【0059】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンもまた使用されてもよい。これらの不揮発性シリコーンは、より詳細にはポリジアルキルシロキサンから選ばれ、それらの中では、主としてトリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンを挙げることができる。
【0060】
これらのポリジアルキルシロキサンの中でも非限定的に挙げることができるのは、以下の市販製品である:
- Rhodia社により販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ又はMirasil(登録商標)油、例としては70 047 V 500 000油、
- Rhodia社により販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば60,000mm2/秒の粘度を有するDC200、
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油、及びGeneral Electric社製のSFシリーズの特定の油(SF 96、SF 18)。
【0061】
名称ジメチコノール(CTFA)で知られる、ジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油も挙げることができる。
【0062】
アリール基を含有するシリコーンの中でも、ポリジアリールシロキサン、とりわけ、ポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサンがある。挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品がある:
- Rhodia社製のSilbione(登録商標)油の70 641シリーズ、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製の油Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20、
- General Electric社製のSFシリーズの特定の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0063】
有機変性液状シリコーンは、特にポリエチレンオキシ基及び/又はポリプロピレンオキシ基を含有しうる。そのため、信越化学工業株式会社によって提案されているシリコーンKF-6017、及びUnion Carbide社製のSilwet(登録商標)L722油及びL77油を挙げることができる。
【0064】
炭化水素油は、以下から選ぶことができる:
- 直鎖状又は分枝状の、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンが挙げられ、並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、流動パラフィン、流動石油ゼリー、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、及びスクアラン。
【0065】
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0066】
一実施形態では、(a)油は、トリグリセリド油から選ぶことができる。
【0067】
トリグリセリド油は、少なくとも1つのトリグリセリドを含む。トリグリセリドは、トリアシルグリセロールと称されることもあり、トリグリセリドにおいては、3つの脂肪酸、又は2つの脂肪酸及び1つの非脂肪酸と、1個のグリセロールとがエステル化されている。
【0068】
脂肪酸は、例えば、4個以上、6個以上、8個以上又は10個以上の炭素原子、且つ30個以下、28個以下、26個以下又は24個以下の炭素原子を有しうる。脂肪酸は、例えば、4~30個の炭素原子、好ましくは6~28個の炭素原子、より好ましくは8~26個の炭素原子、更により好ましくは10~24個の炭素原子の、異なる炭素鎖長を有しうる。炭素鎖は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。
【0069】
脂肪酸は、飽和であっても不飽和であってもよい。
【0070】
飽和脂肪酸の例として、例えば、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、テトラドコサン酸、ヘキサドコサン酸及びオクタドコサン酸を挙げることができる。
【0071】
不飽和脂肪酸の例として挙げることができるのは、例えば、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸及びニシン酸である。
【0072】
非脂肪酸の例は、例えば、1個以上、2個以上、3個以上又は4個以上の炭素原子、且つ12個以下、10個以下、8個以下又は6個以下の炭素原子を有してもよい、ジカルボン酸でありうる。非脂肪酸は、例えば、1~12個の炭素原子、好ましくは2~10個の炭素原子、より好ましくは3~8個の炭素原子、更により好ましくは4~6個の炭素原子の、異なる炭素鎖長を有しうる。炭素鎖は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。
【0073】
非脂肪酸、好ましくはジカルボン酸は、飽和であっても不飽和であってもよい。
【0074】
飽和非脂肪酸、好ましくは飽和ジカルボン酸の例として挙げることができるのは、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸である。
【0075】
不飽和脂肪酸の例として挙げることができるのは、例えばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸及び2-ペンテン酸である。
【0076】
本発明に好適でありうるトリグリセリド油は、植物起源のものである。換言すると、トリグリセリド油が植物油から選択されることが好ましい。
【0077】
植物油は、植物抽出油、植物抽出バター、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0078】
植物抽出油の中でも、以下のものを列挙することができる:ホホバ油、ババス油、ヒマワリ油、オリーブ油、アブラナ油、ヤシ油、メドウフォーム種子油;ブラジルナッツ油、マルーラ油、トウモロコシ油、アルガン油、ダイズ油、マロー油、ブドウ種子油、アマニ油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ油、コリアンダー油、ヒマシ油、アボカド油、シアバター油、ナタネ油及びコプラ油。
【0079】
植物抽出バターの中でも、以下のものを列挙することができる:シアバター、ニロティカシアバター(Butyrospermum parkii)、ガラムバター(Butyrospermum parkii)、ボルネオバター又は脂肪又はテンカワン(tengkawang)タロー(Shorea stenoptera)、ショレア(shorea)バター、イリッペバター、マドフカ(madhuca)バター又は(Bassia)マドフカ・ロンギフォリア(Madhuca longifolia)バター、モーラ(mowrah)バター(Madhuca latifolia)、カチアウ(katiau)バター(Madhuca mottleyana)、フルワラ(phulwara)バター(M. butyracea)、マンゴバター(Mangifera indica)、ムルムルバター(Astrocaryum murumuru)、コクムバター(Garcinia indica)、ウクーババター(Virola sebifera)、ツクマ(tucuma)バター、パインヤ(kpangnan)バター(Pentadesma butyracea)、コーヒーバター(Coffea arabica)、アプリコットバター(Prunus armeniaca)、マカダミアバター(Macadamia ternifolia)、ブドウ種子バター(Vitis vinifera)、アボカドバター(Persea gratissima)、オリーブバター(Olea europaea)、スイートアーモンドバター(Prunus amygdalus dulcis)、カカオバター(Theobroma cacao)及びヒマワリバター。
【0080】
好ましい一実施形態では、トリグリセリド油は、カプリル/カプリン/コハク酸トリグリセリド、シアバター、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0081】
(a)油が、エステル油、トリグリセリド油、炭化水素油、シリコーン油、及びこれらの混合物から選ばれることが好ましく、より好ましくは、エステル油、トリグリセリド油、及びこれらの混合物から選ばれる。
【0082】
(a)油が、600g/mol未満の分子量を有する油から選ばれることが好ましい。
【0083】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0084】
その一方で、本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下であってもよい。
【0085】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~30質量%、好ましくは0.1質量%~25質量%、より好ましくは1質量%~20質量%の範囲であってもよい。
【0086】
[脂肪族アルコール]
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種の脂肪族アルコールを含む。単一のタイプの脂肪族アルコールを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプの脂肪族アルコールを組み合わせて使用することもできる。
【0087】
用語「脂肪」は、本明細書では、比較的多数の炭素原子の包含を意味する。そのため、6個以上、好ましくは8個以上、より好ましくは10個以上の炭素原子を有するアルコールが、脂肪族アルコールの範囲内に包含される。脂肪族アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪族アルコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。2種以上の脂肪族アルコールが組み合わせて使用されてもよい。
【0088】
(b)脂肪族アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、8~40個の炭素原子、例えば8~30個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選ばれる)を有しうる。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C24アルキル基及びC12~C24アルケニル基から選ばれる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
【0089】
挙げることができる(b)脂肪族アルコールの非限定例としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、リノレイルアルコール、ウンデシレニルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、セテアリルアルコール、及びこれらの混合物がある。
【0090】
好適な脂肪族アルコールの例としては、セチルアルコール、セテアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
脂肪族アルコールは、脂肪族アルコールの混合物を表していてもよく、これは、脂肪族アルコールのいくつかの種が、市販製品中、混合物の形態において共存できることを意味する。
【0092】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物中に使用される脂肪族アルコールは、セチルアルコールとセテアリルアルコールとの混合物(セテアリルアルコール)から選ばれる。
【0093】
(b)脂肪族アルコールが、セチルアルコール、セテアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0094】
本発明による組成物中の(b)脂肪族アルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0095】
その一方で、本発明による組成物中の(b)脂肪族アルコールの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0096】
本発明による組成物中の(b)脂肪族アルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%の範囲であってもよい。
【0097】
[酸]
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種の、ヒドロキシ酸、フィチン酸、及びこれらの混合物から選択される酸を含む。2種以上のこのような酸が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0098】
(c)酸は、ピーリング剤として、具体的には皮膚の角質層等のケラチン層の落屑のためのピーリング剤として、機能することができる。
【0099】
ヒドロキシル酸が、アルファ-ヒドロキシ酸、ベータ-ヒドロキシ酸、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0100】
用語「アルファ-ヒドロキシ酸」又は「AHA」は、本明細書では、1個の炭素原子によって分離された少なくとも1つのカルボン酸基と少なくとも1つのヒドロキシル基とを有するカルボン酸を意味する。そのため、換言すると、AHAは、隣接(アルファ)炭素原子上に少なくとも1つのヒドロキシル基を有するカルボン酸である。
【0101】
アルファ-ヒドロキシ酸は、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、マンデル酸、及びこれらの混合物から、好ましくは、グリコール酸、乳酸、及びこれらの混合物から、より好ましくは乳酸から選択することができる。
【0102】
用語「アルファ-ヒドロキシ酸」は、本明細書では、AHAを含むだけでなく、AHAの誘導体も含む。AHAの誘導体は、例えば、加水分解によってAHAを放出することができるAHAのエステルであってもよい。
【0103】
用語「ベータ-ヒドロキシ酸」又は「BHA」は、本明細書では、2個の炭素原子によって分離された少なくとも1つのカルボン酸基と少なくとも1つのヒドロキシル基とを有するカルボン酸を意味する。
【0104】
ベータ-ヒドロキシ酸は、サリチル酸であってもよい。
【0105】
用語「ベータ-ヒドロキシ酸」は、本明細書では、BHAを含むだけでなく、BHAの誘導体も含む。BHAの誘導体は、例えば、加水分解によってBHAを放出することができるBHAのエステルであってもよい。
【0106】
(c)酸は、以下の式(I):
【0107】
【0108】
[式中、
- R基は、2~22個の炭素原子を含有する、直鎖状、分枝状又は環状の、飽和の脂肪族鎖;共役されうる1つ又は複数の二重結合を含有する、2~22個の炭素原子を含有する不飽和の鎖;直接的に、又は2~7個の炭素原子を含有する飽和若しくは不飽和の脂肪族鎖を介してカルボニル基に結合されている芳香族核を示し;前記基は1つ又は複数の置換基でおそらくは置換されており、これらは同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、遊離形態にある若しくは1~6個の炭素原子を含有する酸でエステル化されたヒドロキシル基、又は遊離形態にある若しくは1~6個の炭素原子を含有する低級アルコールでエステル化されたカルボキシル基から選ばれ;
- R'は、ヒドロキシル基、又は式:
【0109】
【0110】
(式中、R1は、1~18個の炭素原子を含有する、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の脂肪族鎖を示す)
のエステル基である]
によって表される化合物(サリチル酸誘導体)及びまた、無機又は有機塩基に由来するその塩から選択することができる。
【0111】
好ましくは、式(I)中のR基は、3~11個の炭素原子を含有する、直鎖状、分枝状又は環状の、飽和の脂肪族鎖; 3~17個の炭素原子を含有し、1つ又は複数の共役若しくは非共役の二重結合を含む、不飽和の鎖を示し;この炭化水素系鎖が1つ又は複数の置換基で置換されることが可能であり、これは同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、遊離形態にある又は1~6個の炭素原子を含有する酸でエステル化されたヒドロキシル基、又は遊離形態にある若しくは1~6個の炭素原子を含有する低級アルコールでエステル化されたカルボキシル官能基から選ばれる。
【0112】
好ましい一実施形態では、式(I)中のR基は、2個以上、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上、更により好ましくは5個以上、特定すると6個以上の炭素原子、及び/又は22個以下、好ましくは18個以下、更により好ましくは14個以下、優先的には12個以下、特定すると10個以下の炭素原子を含有する、直鎖状又は分枝状のアルキル基又はアルケニル基、好ましくはアルキル基を示す。
【0113】
優先的には、式(I)中のR'は、ヒドロキシル基、又は式:
【0114】
【0115】
[式中、R1は、-(CH2)n-CH3基(式中、nは0~14の範囲の数である)を示す]
のエステル基である。
【0116】
式(I)(式中、R基は、C3~C10アルキル基であり、且つ/又はR'はヒドロキシルを示す)による化合物が好ましい場合がある。
【0117】
式(I)(式中、R基は、カプリン酸、リノール酸、リノレン酸又はオレイン酸に由来する鎖を表す)による化合物もまた好ましい。
【0118】
式(I)(式中、R基は、遊離形態にある又は1~6個の炭素原子を含有する低級アルコールでエステル化されている、カルボキシル官能基を保持するC3~C10アルキル基を示し、R'はヒドロキシルを示す)による化合物もまた好ましい場合がある。
【0119】
本発明に従って使用されうる式(I)の化合物は、特に米国特許第6159479号及び米国特許第5558871号、仏国特許第2581542号、米国特許第4767750号、欧州特許第378936号、米国特許第5267407号、米国特許第5667789号、米国特許第5580549号及び欧州特許第A-570230号に記載されている。
【0120】
式(I)の特に好ましい化合物の中で挙げることができるのは、5-n-オクタノイルサリチル酸(又はカプリロイルサリチル酸)、5-n-デカノイルサリチル酸、5-n-ドデカノイルサリチル酸、5-n-ヘプチルオキシサリチル酸、及び対応するそれらの塩である。当該誘導体は、好ましくは5-n-オクタノサリチル酸である。
【0121】
(c)酸は、塩の形態にあってもよい。無機塩基に由来する塩として特に挙げることができるのは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の加水分解された塩基のもの、例としては水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、及びアンモニアである。有機塩基に由来する塩の観点として特に挙げることができるのは、アミンタイプ又はアルカノールアミンタイプの塩基に由来するものである。
【0122】
(c)酸として、少なくとも1種のアルファ-ヒドロキシ酸と少なくとも1種のベータ-ヒドロキシ酸との組合せ、より好ましくは乳酸及びサリチル酸と、フィチン酸との組合せを使用することが好ましい。
【0123】
AHAが、角質層においては、プロテアーゼを活性化させて、コルネオデスモソームの分解を促進する一方で、真皮層においては、AHAがコラーゲンの形成を促進することができ、その後、これが皮膚の落屑へと至らせることが公知である。更に、AHAがまた、顔面の毛穴及び黒色面皰を減少させ、これが、皮脂産生に関連する酵素活性化及びタンパク質機能を標的化することによる可能性が最も高い、ことが報告されている。
【0124】
BHAが、角質層において、細胞のピーリング及び脱落を促進する角質溶解活性を加えることは公知である。それはまた、毛穴を塞ぐ皮脂を軟化させることによって、皮膚の詰まりを取り除く。この理由から、BHAは落屑の改善にとって有効であり、ざ瘡及び脂性肌タイプに対しても特に有効である。
【0125】
本発明による組成物中の(c)酸の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0126】
その一方で、本発明による組成物中の(c)酸の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下であってもよい。
【0127】
本発明による組成物中の(c)酸の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~8質量%であってもよい。
【0128】
[ポリグリセリル脂肪酸エステル]
本発明による組成物は、(d)少なくとも1種の、C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルを含む。単一のタイプのこのようなポリグリセリル脂肪酸エステルを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプのこのようなポリグリセリル脂肪酸エステルを組み合わせて使用することもできる。
【0129】
(d)C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルは、非イオン性界面活性剤のタイプである。
【0130】
(d)C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルが、2~10個のグリセロール、より好ましくは2~8個のグリセロール、更により好ましくは2~6個のグリセロールに由来するポリグリセロール部分を有することが好ましい。
【0131】
単一の(d)C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルが使用される場合、(d)C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルは、8.0~11.5、好ましくは8.5~11.0、より好ましくは9.0~10.5のHLB(親水性親油性バランス)値を有する。
【0132】
2種以上の(d)C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルが使用される場合、(d)C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルのHLB値の加重平均は、8.0~11.5、好ましくは8.5~11.0、より好ましくは9.0~10.5である。
【0133】
(d)C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルは、ポリグリセリル脂肪酸モノ、ジ及びトリエステルから選ぶことができる。(d)ポリグリセリル脂肪酸エステルが、ポリグリセリル脂肪酸モノエステル及びジエステルから選択されることが好ましい。
【0134】
成分(d)が、少なくとも1種のC6~C22脂肪酸残基を有する第1のポリグリセリル脂肪酸エステル、及び少なくとも1種のC24~C32脂肪酸残基を有する第2のポリグリセリル脂肪酸エステルを含むことが好ましい。
【0135】
第1のポリグリセリル脂肪酸エステルは、C6~C22脂肪酸残基を有する。C6~C22脂肪酸残基は、6~22個の炭素原子、好ましくは7~20個の炭素原子、より好ましくは8~18個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の脂肪酸、好ましくは飽和の脂肪酸、例えば、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、カプリン酸、カプリル酸及びミリスチン酸に由来しうる。
【0136】
C6~C22脂肪酸残基を有する第1のポリグリセリル脂肪酸エステルは、カプリル酸PG2、セスキカプリル酸PG2、ジカプリル酸PG2、トリカプリル酸PG2、カプリン酸PG2、セスキカプリン酸PG2、ジカプリン酸PG2、トリカプリン酸PG2、ラウリン酸PG2、セスキラウリン酸PG2、ジラウリン酸PG2、トリラウリン酸PG2、ミリスチン酸PG2、セスキミリスチン酸PG2、ジミリスチン酸PG2、トリミリスチン酸PG2、ステアリン酸PG2、セスキステアリン酸PG2、ジステアリン酸PG2、トリステアリン酸PG2、イソステアリン酸PG2、セスキイソステアリン酸PG2、ジイソステアリン酸PG2、トリイソステアリン酸PG2、オレイン酸PG2、セスキオレイン酸PG2、ジオレイン酸PG2、トリオレイン酸PG2、カプリル酸PG3、セスキカプリル酸PG3、ジカプリル酸PG3、トリカプリル酸PG3、カプリン酸PG3、セスキカプリン酸PG3、ジカプリン酸PG3、トリカプリン酸PG3、ラウリン酸PG3、セスキラウリン酸PG3、ジラウリン酸PG3、トリラウリン酸PG3、ミリスチン酸PG3、セスキミリスチン酸PG3、ジミリスチン酸PG3、トリミリスチン酸PG3、ステアリン酸PG3、セスキステアリン酸PG3、ジステアリン酸PG3、トリステアリン酸PG3、イソステアリン酸PG3、セスキイソステアリン酸PG3、ジイソステアリン酸PG3、トリイソステアリン酸PG3、オレイン酸PG3、セスキオレイン酸PG3、ジオレイン酸PG3、トリオレイン酸PG3、カプリル酸PG4、セスキカプリル酸PG4、ジカプリル酸PG4、トリカプリル酸PG4、カプリン酸PG4、セスキカプリン酸PG4、ジカプリン酸PG4、トリカプリン酸PG4、ラウリン酸PG4、セスキラウリン酸PG4、ジラウリン酸PG4、トリラウリン酸PG4、ミリスチン酸PG4、セスキミリスチン酸PG4、ジミリスチン酸PG4、トリミリスチン酸PG4、ステアリン酸PG4、セスキステアリン酸PG4、ジステアリン酸PG4、トリステアリン酸PG4、イソステアリン酸PG4、セスキイソステアリン酸PG4、ジイソステアリン酸PG4、トリイソステアリン酸PG4、オレイン酸PG4、セスキオレイン酸PG4、ジオレイン酸PG4、トリオレイン酸PG4、カプリル酸PG5、セスキカプリル酸PG5、ジカプリル酸PG5、トリカプリル酸PG5、テトラカプリル酸PG5、カプリン酸PG5、セスキカプリン酸PG5、ジカプリン酸PG5、トリカプリン酸PG5、テトラカプリン酸PG5、ラウリン酸PG5、セスキラウリン酸PG5、ジラウリン酸PG5、トリラウリン酸PG5、テトララウリン酸PG5、ミリスチン酸PG5、セスキミリスチン酸PG5、ジミリスチン酸PG5、トリミリスチン酸PG5、テトラミリスチン酸PG5、ステアリン酸PG5、セスキステアリン酸PG5、ジステアリン酸PG5、トリステアリン酸PG5、テトラステアリン酸PG5、イソステアリン酸PG5、セスキイソステアリン酸PG5、ジイソステアリン酸PG5、トリイソステアリン酸PG5、テトライソステアリン酸PG5、オレイン酸PG5、セスキオレイン酸PG5、ジオレイン酸PG5、トリオレイン酸PG5、テトラオレイン酸PG5、カプリル酸PG6、セスキカプリル酸PG6、ジカプリル酸PG6、トリカプリル酸PG6、テトラカプリル酸PG6、ペンタカプリル酸PG6、カプリン酸PG6、セスキカプリン酸PG6、ジカプリン酸PG6、トリカプリン酸PG6、テトラカプリン酸PG6、ペンタカプリン酸PG6、ラウリン酸PG6、セスキラウリン酸PG6、ジラウリン酸PG6、トリラウリン酸PG6、テトララウリン酸PG6、ペンタラウリン酸PG6、ミリスチン酸PG6、セスキミリスチン酸PG6、ジミリスチン酸PG6、トリミリスチン酸PG6、テトラミリスチン酸PG6、ペンタミリスチン酸PG6、ステアリン酸PG6、セスキステアリン酸PG6、ジステアリン酸PG6、トリステアリン酸PG6、テトラステアリン酸PG6、ペンタステアリン酸PG6、イソステアリン酸PG6、セスキイソステアリン酸PG6、ジイソステアリン酸PG6、トリイソステアリン酸PG6、テトライソステアリン酸PG6、ペンタイソステアリン酸PG6、オレイン酸PG6、セスキオレイン酸PG6、ジオレイン酸PG6、トリオレイン酸PG6、テトラオレイン酸PG6、ペンタオレイン酸PG6、カプリル酸PG10、セスキカプリル酸PG10、ジカプリル酸PG10、トリカプリル酸PG10、テトラカプリル酸PG10、ペンタカプリル酸PG10、ヘキサカプリル酸PG10、カプリン酸PG10、セスキカプリン酸PG10、ジカプリン酸PG10、トリカプリン酸PG10、テトラカプリン酸PG10、ペンタカプリン酸PG10、ヘキサカプリン酸PG10、ラウリン酸PG10、セスキラウリン酸PG10、ジラウリン酸PG10、トリラウリン酸PG10、テトララウリン酸PG10、ペンタラウリン酸PG10、ヘキサラウリン酸PG10、ミリスチン酸PG10、セスキミリスチン酸PG10、ジミリスチン酸PG10、トリミリスチン酸PG10、テトラミリスチン酸PG10、ペンタミリスチン酸PG10、ヘキサミリスチン酸PG10、ステアリン酸PG10、セスキステアリン酸PG10、ジステアリン酸PG10、トリステアリン酸PG10、テトラステアリン酸PG10、ペンタステアリン酸PG10、ヘキサステアリン酸PG10、イソステアリン酸PG10、セスキイソステアリン酸PG10、ジイソステアリン酸PG10、トリイソステアリン酸PG10、テトライソステアリン酸PG10、ペンタイソステアリン酸PG10、ヘキサイソステアリン酸PG10、オレイン酸PG10、セスキオレイン酸PG10、ジオレイン酸PG10、トリオレイン酸PG10、テトラオレイン酸PG10、ペンタオレイン酸PG10及びヘキサオレイン酸PG10からなる群から選択することができる。
【0137】
C6~C22脂肪酸残基を有する第1のポリグリセリル脂肪酸エステルが、
- 2~6個のグリセロール単位を含むモノステアリン酸ポリグリセリル、
- 2~6個のグリセロール単位を含むモノカプリン酸ポリグリセリル、
- 2~6個のグリセロール単位を含むモノオレイン酸ポリグリセリル、及び
- 2~6個のグリセロール単位を含むジステアリン酸ポリグリセリル
から選ばれることが好ましい。
【0138】
C6~C22脂肪酸残基を有する第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの例として挙げることができるのは、日清オイリオグループ株式会社製のSalacos 41V、Evonik Co., Ltd.製のTegosoft PC 41、及び日本エマルジョン株式会社製のEmalex DSG-6である。
【0139】
第2のポリグリセリル脂肪酸エステルは、C24~C32脂肪酸残基を有する。C24~C32脂肪酸残基は、24~32個の炭素原子、好ましくは25~30個の炭素原子、より好ましくは26~28個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の脂肪酸、好ましくは飽和の脂肪酸、例えばリグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸及びモンタン酸に由来しうる。
【0140】
C24~C32脂肪酸残基を有する第2のポリグリセリル脂肪酸エステルが、以下の式(B)
R3-C(O)-(O-CH2-CH(OH)-CH2)n-O-C(O)-R4 (B)
(式中、
R3及びR4は、それぞれ、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC24~C32脂肪鎖を示し、
nは、2~10、好ましくは2~8、より好ましくは2~6を示す)
によって表されるポリグリセリルジエステルであることが好ましい。
【0141】
一実施形態によれば、式(B)中、R3-C(O)-基は、C24~C32脂肪酸の炭素鎖に対応し、この酸は、通常、直鎖状で飽和であり、好ましくは直鎖状の飽和のC24~C30脂肪酸に対応する。したがって、この酸としては、例えば、テトラコサン(又はリグノセリン)酸(C24)及びヘキサコサン(又はセロチン)酸(C26)が挙げられる。R4基は、アルコールの炭化水素鎖に対応し、このアルコールは、通常、飽和で直鎖状であり、C24~C32鎖、好ましくはC24~C30鎖を有する。
【0142】
本発明によれば、ポリグリセリルジエステルは、少なくとも1種のポリオールの存在下、固形ワックスのエステル化によって得ることができる。
【0143】
ワックスの供給源に応じて、モノエステルの混合物は、一定の割合のヒドロキシ酸エステル、例えば、ヒドロキシパルミチン酸又はヒドロキシステアリン酸もまた含有しうる。これは、例えば、ビーズワックスの場合である。好ましくは、このアルコールは、エイコサノール、ドコサノール又はテトラコサノールである。ビーズワックス、カルナウバワックス、カンデリラワックス、米糠ワックス、ヒマワリワックス、オーリクリーワックス、シェラックワックス及びサトウキビワックスは、天然固形ワックスの例である。好ましくは、固形ワックスはビーズワックスである。
【0144】
ポリグリセリルジエステルを得るために好適な固形ワックスは、50℃から90℃の間の融点を有しうる。これらは、式R1-C(O)-O-R2[式中、R1-C(O)-基は、脂肪酸の炭素鎖に対応する]を有するモノエステルを本質的に含む混合物に相当し、この酸は、通常、直鎖状で飽和であり、少なくとも24個、特に26個、好ましくは最大32個、より好ましくは30個の炭素原子数を有する。そのため、これには、ヘキサコサン(又はセロチン)酸(C26)が含まれる。ワックスの供給源に応じて、モノエステルの混合物は、一定の割合のヒドロキシ酸エステル、例えば、ヒドロキシパルミチン酸又はヒドロキシステアリン酸も含有しうる。これは、例えば、ビーズワックスの場合である。R2基は、アルコールの炭化水素鎖に対応し、このアルコールは、通常、飽和で直鎖状であり、少なくとも18個、特に20個、好ましくは最大44個、より好ましくは34個の炭素原子数を有する。好ましくは、このアルコールは、エイコサノール、ドコサノール又はテトラコサノールである。ビーズワックス、カルナウバワックス、カンデリラワックス、米糠ワックス、ヒマワリワックス、オーリクリーワックス、シェラックワックス及びサトウキビワックスが、天然の固形ワックスの例である。
【0145】
好ましくは、エステル化反応に好適な固形ワックスは、ビーズワックスである。
【0146】
好ましくは、エステル化に使用されるポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2-メチルプロパンジオール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセロール、ジグリセロール及びポリグリセロール(すなわち、グリセロール単位のポリマー)を含む群から選択される。より好ましくは、ポリオールは、2から6の間、好ましくは3の平均重合度を有するポリグリセロールである。好ましくは、ポリオールはポリグリセロール-3である。
【0147】
C24~C32脂肪酸残基を有する第2のポリグリセリル脂肪酸エステルは、固形ワックスの酸部分を含みうる。ワックスは、複雑な組成を有する。ワックスは、酸モノエステルと、非常に長い鎖長の脂肪族アルコールとの混合物を含有するという共通の特徴を有する。
【0148】
好ましくは、C24~C32脂肪酸残基を有する第2のポリグリセリル脂肪酸エステルは、少なくとも1種のポリオールの存在下、少なくとも1種の固形ワックスを任意選択で少なくとも1種の触媒と一緒に反応させることによって得られる、ワックス誘導体である。このような場合、様々な化学物質(chemical entity)同士の間でエステル交換反応が起こり、ワックス誘導体が得られる。
【0149】
好ましい触媒は、水酸化物、又はアルカリ若しくはアルカリ土類アルコキシド、水酸化カルシウム、炭酸カリウム若しくは炭酸ナトリウム、又はスズ系若しくはチタン系触媒である。
【0150】
好ましくは、固形ワックスは、有利には、カルナウバワックス、カンデリラワックス、米糠ワックス、ヒマワリワックス、サトウキビワックス、オーリクリーワックス、ビーズワックス及びシェラックワックスを含む群から選択される。
【0151】
好ましい一実施形態では、ワックス誘導体は、ビーズワックスと、ポリグリセロール、例えばポリグリセロール-3とを反応させることによって得られる。
【0152】
実践では、反応は、好ましくは、100℃から220℃の間、有利には150℃から200℃の間の温度において行われる。
【0153】
C24~C32脂肪酸残基を有する第2のポリグリセリル脂肪酸エステルが、ポリグリセリル1-3ビーズワックスであることが好ましい。
【0154】
C24~C32脂肪酸残基を有する第2のポリグリセリル脂肪酸エステルは、他の成分との組合せとして使用してもよい。
【0155】
例えば、C24~C32脂肪酸残基を有する第2のポリグリセリル脂肪酸エステルを、ホホバワックス、セチルアルコール、ジステアリン酸ポリグリセリル-6、及びポリグリセリル-3ビーズワックスとの組合せとして使用してもよい。
【0156】
C24~C32脂肪酸残基を有する第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとして、ホホバワックス、セチルアルコール、ジステアリン酸ポリグリセリル-6、及びポリグリセリル-3ビーズワックス[INCI名:ジステアリン酸ポリグリセリル-6(及び)ホホバエステル(及び)ポリグリセリル-3ビーズワックス(及び)セチルアルコール]の混合物を含むEMULIUM(登録商標)MELLIFERA(Gattefosse)を使用することができる。この混合物は、混合物の総質量に対して、5質量%~30質量%のホホバワックス、3質量%~15質量%のセチルアルコール、少なくとも50質量%のジステアリン酸ポリグリセリル-6、及び3質量%~15質量%のポリグリセリル-3ビーズワックスを含む。
【0157】
本発明による組成物中の(d)C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0158】
その一方で、本発明による組成物中の(d)C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0159】
本発明による組成物中の(d)C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.05質量%~15質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%の範囲であってもよい。
【0160】
成分(d)が、少なくとも1種の、C6~C22脂肪酸残基を有する第1のポリグリセリル脂肪酸エステル、及び少なくとも1種の、C24~C32脂肪酸残基を有する第2のポリグリセリル脂肪酸エステルを含む場合、第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量/第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量の質量比は、15超で35未満、好ましくは17超で30未満、より好ましくは19超で25未満であってもよい。
【0161】
[増粘剤]
本発明による組成物は、(e)少なくとも1種の増粘剤を含む。単一のタイプの増粘剤を使用してもよいが、2種以上の異なるタイプの増粘剤を組み合わせて使用することもできる。
【0162】
(e)増粘剤(thickener)又は増粘剤(thickening agent)は、有機増粘剤及び無機増粘剤から選択することができる。
【0163】
(e)増粘剤は、
(i)会合性増粘剤、
(ii)架橋アクリル酸ホモポリマー、
(iii)(メタ)アクリル酸と(C1~C6)アクリル酸アルキルとの架橋コポリマー、
(iv)非イオン性のホモポリマー、及びエステルタイプ及び/又はアミドタイプのエチレン性不飽和モノマーを含むコポリマー、
(v)アクリル酸アンモニウムのホモポリマー、及びアクリル酸アンモニウムとアクリルアミドとのコポリマー、
(vi)多糖、並びに
(vii)C12~C30脂肪族アルコール
からなる群から選択することができる。
【0164】
(i)本明細書で使用されるとき、表現「会合性増粘剤」は、親水性単位と疎水性単位との両方を含む、例えば少なくとも1個のC8~C30脂肪鎖と少なくとも1個の親水性単位とを含む、両親媒性増粘剤を意味する。
【0165】
使用されうる代表的な会合性増粘剤は、
(aa)少なくとも1個の脂肪鎖と少なくとも1個の親水性単位とを含む非イオン性両親媒性ポリマー、
(bb)少なくとも1個の親水性単位と少なくとも1個の脂肪鎖単位とを含むアニオン性両親媒性ポリマー、
(cc)少なくとも1個の親水性単位と少なくとも1個の脂肪鎖単位とを含むカチオン性両親媒性ポリマー、及び
(dd)少なくとも1個の親水性単位と少なくとも1個の脂肪鎖単位とを含む両性両親媒性ポリマー
から選ばれる会合性ポリマーであり、ここで、この脂肪鎖は10~30個の炭素原子を含有する。
【0166】
(aa)少なくとも1個の脂肪鎖と少なくとも1個の親水性単位とを含む非イオン性両親媒性ポリマーは、例えば、以下から選ぶことができる:
(1)少なくとも1個の脂肪鎖を含む基で変性されたセルロースであり、挙げることができる例には以下がある:
- アルキル、アリールアルキル及びアルキルアリールの各基から選ばれる少なくとも1個の脂肪鎖を含む基で変性されたヒドロキシエチルセルロースであり、ここで、アルキル基は、例えばC8~C22であり、例えばAqualon社により販売されている製品Natrosol Plus Grade 330 CS(C1~C6アルキル)、及びBerol Nobel社により販売されている製品Bermocoll EHM 100があり、並びに
- ポリアルキレングリコールアルキルフェニルエーテル基で変性されたセルロースであり、例えばAmerchol社により販売されている製品Amercell Polymer HM-1500(ポリエチレングリコール(15)ノニルフェニルエーテル)がある。
(2)少なくとも1個の脂肪鎖を含む基で変性されたヒドロキシプロピルグアーであり、例えばLamberti社により販売されている製品Esaflor HM 22(C22アルキル鎖)、及びRhodia Chimie社により販売されている製品Miracare XC95-3(C14アルキル鎖)及びRE205-1(C20アルキル鎖)がある。
(3)少なくとも1個の脂肪鎖、例えばC10~C30アルキル基又はアルケニル基を含むポリエーテルウレタンであり、例としてはAkzo社により販売されている製品Elfacos T 210及びElfacos T 212、又はRohm & Haas社により販売されている製品Aculyn 44及びAculyn 46がある。
(4)ビニルピロリドンと疎水性脂肪鎖モノマーとのコポリマーであり、挙げることができる例には以下がある:
- I.S.P.社により販売されている製品Antaron V216及びGanex V216(ビニルピロリドン/ヘキサデセンコポリマー)、並びに
- I.S.P.社により販売されている製品Antaron V220及びGanex V220(ビニルピロリドン/エイコセンコポリマー)。
(5)C1~C6アクリル酸アルキル又はC1~C6メタクリル酸アルキルと、少なくとも1個の脂肪鎖を含む両親媒性モノマーとのコポリマーであり、例えばGoldschmidt社により名称Antil 208で販売されているオキシエチレン化メタクリル酸メチル/アクリル酸ステアリルコポリマーがある。
(6)親水性アクリレート又はメタクリレートと、少なくとも1個の脂肪鎖を含む疎水性モノマーとのコポリマーであり、例えばメタクリル酸ポリエチレングリコール/メタクリル酸ラウリルコポリマーである。
【0167】
(bb)少なくとも1個の親水性単位と少なくとの1個の脂肪鎖単位とを含むアニオン性両親媒性ポリマーは、例えば、少なくとも1個の脂肪鎖アリルエーテル単位と、エチレン性不飽和アニオン性モノマー単位、例えばビニルカルボン酸単位を含む少なくとも1個の親水性単位とを含むものから選ぶことができ、更に、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、及びこれらの混合物に由来する単位から選ぶことができ、ここで、脂肪鎖アリルエーテル単位は、下記の式(I):
CH2=C(R1)CH2OBnR (I)
(式中、R1は、H及びCH3から選ばれ、Bは、エチレンオキシ基であり、nは、ゼロ及び1~100の範囲の整数から選ばれ、Rは、10~30個の炭素原子、更に例えば10~24個の炭素原子、より更に例えば12~18個の炭素原子を含有する、アルキル、アリールアルキル、アリール、アルキルアリール及びシクロアルキルの各基から選ばれる炭化水素系基から選ばれる)
のモノマーに相当する。
【0168】
一実施形態では、式(I)の単位は、例えば、式中、R1がHであってもよく、nが10に等しくてもよく、Rがステアリル(C18)基であってもよい、単位である。
【0169】
このタイプのアニオン性両親媒性ポリマーは、欧州特許第0216479B2号に記載されており、エマルション重合方法により調製されている。
【0170】
一実施形態では、アニオン性両親媒性ポリマーは、例えば、20質量%~60質量%のアクリル酸及び/又はメタクリル酸、5質量%~60質量%の低級(メタ)アクリル酸アルキル、2質量%~50質量%の式(I)の脂肪鎖アリルエーテル、並びに0質量%~1質量%の、周知の共重合性不飽和ポリエチレン系モノマーである架橋剤、例えば、フタル酸ジアリル、(メタ)アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸(ポリ)エチレングリコール及びメチレンビスアクリルアミドから形成されるポリマーである。
【0171】
このようなポリマーの例は、メタクリル酸とアクリル酸エチルとポリエチレングリコール(10 EO)ステアリルエーテル(ステアレス-10)との架橋ターポリマー、例えばCiba社により名称Salcare SC 80及びSalcare SC 90で販売されているものであり、これらは、メタクリル酸とアクリル酸エチルとステアレス-10アリルエーテルとの架橋ターポリマー(40/50/10)の30%水性エマルションである。
【0172】
アニオン性両親媒性ポリマーは、例えば、不飽和オレフィン性カルボン酸タイプの少なくとも1個の親水性単位と、不飽和カルボン酸の(C10~C30)アルキルエステル等のタイプの少なくとも1個の疎水性単位とを含むものから更に選ぶことができる。不飽和オレフィン性カルボン酸タイプの親水性単位は、例えば、下記の式(II):
【0173】
【0174】
(式中、R1は、H、CH3及びC2H5から選ばれ、すなわち、アクリル酸、メタクリル酸及びエタクリル酸の各単位である)
のモノマーに相当する。不飽和カルボン酸の(C10~C30)アルキルエステル等のタイプの疎水性単位は、例えば下記の式(III):
【0175】
【0176】
[式中、R1は、H、CH3及びC2H5から選ばれ(すなわち、アクリレート、メタクリレート及びエタクリレートの各単位)、例えばH(アクリレート単位)及びCH3(メタクリレート単位)から選ばれ、R2は、C10~C30アルキル基、例えばC12~C22アルキル基から選ばれる]
のモノマーに相当する。
【0177】
不飽和カルボン酸の(C10~C30)アルキルエステルの例には、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル及びアクリル酸ドデシル、並びにその対応するメタクリレート、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル及びメタクリル酸ドデシルが挙げられる。
【0178】
このタイプのアニオン性両親媒性ポリマーは、例えば、米国特許第3915921号及び第4509949号により開示されており調製されている。
【0179】
使用されうる代表的なアニオン性両親媒性ポリマーは、以下を含むモノマー混合物から形成されたポリマーから更に選ぶことができる:
(7)アクリル酸、下記の式(IV):
【0180】
【0181】
(式中、R1は、H及びCH3から選ばれ、R2は、C10~C30アルキル基、例えば12~22個の炭素原子を含有するアルキル基から選ばれる)
のエステル、及び架橋剤、例えば、95質量%~60質量%のアクリル酸(親水性単位)、4質量%~40質量%のC10~C30アクリル酸アルキル(疎水性単位)、及び0質量%~6質量%の架橋重合性モノマーに由来するポリマー、若しくは98質量%~96質量%のアクリル酸(親水性単位)、1質量%~4質量%のC10~C30アクリル酸アルキル(疎水性単位)、及び0.1質量%~0.6質量%の架橋重合性モノマーに由来するポリマー、又は
(8)アクリル酸と、メタクリル酸ラウリル、例えば66質量%のアクリル酸と34質量%のメタクリル酸ラウリルとから形成されたポリマー。
【0182】
架橋剤は、その不飽和結合が共役されていない少なくとも1つの他の重合性基を有する基:
【0183】
【0184】
を含むモノマーとすることができる。
【0185】
挙げることができるのは、例えば、ポリアリルエーテル、例えばポリアリルスクロース及びポリアリルペンタエリスリトールである。
【0186】
上のこれらのポリマーの中で挙げることができるのは、例えば、Goodrich社により商品名Pemulen TR1、Pemulen TR2及びCarbopol 1382、及び更に例えばPemulen TR1で販売されている製品、並びにS.E.P.C.社により名称Coatex SXで販売されている製品である。
【0187】
アニオン性両親媒性脂肪鎖ポリマーの中でまた挙げることができるのは、例えばAmerchol社により名称Viscophobe DB 1000で販売されている、メタクリル酸/アクリル酸メチル/アルキルジメチル-メタ-イソプロペニルベンジルイソシアネートのエトキシル化コポリマーである。
【0188】
使用される(cc)カチオン性両親媒性ポリマーは、例えば、四級化セルロース誘導体、及びアミノ側基を含むポリアクリレートから選ばれる。
【0189】
四級化セルロース誘導体は、例えば、少なくとも8個の炭素原子を含む、アルキル、アリールアルキル及びアルキルアリールの各基等の少なくとも1つの脂肪鎖を含む基で変性された四級化セルロース、及びそれらの混合物、並びに少なくとも1つの脂肪鎖、例えば少なくとも8個の炭素原子を含むアルキル、アリールアルキル及びアルキルアリールの各基、並びにこれらの混合物を含む基で変性された四級化ヒドロキシエチルセルロースから選ばれる。
【0190】
アミノ側基を含む四級化及び非四級化ポリアクリレートは、例えば、ステアレス-20[ポリオキシエチレン化(20)ステアリルアルコール]及び(C10~C30)イタコン酸アルキルPEG-20のような疎水性基を有する。
【0191】
上の四級化セルロース及びヒドロキシエチルセルロースにより保持されているアルキル基は、例えば8~30個の炭素原子を含有する。
【0192】
アリール基は、例えば、フェニル、ベンジル、ナフチル及びアントリルの各基から選ばれる。
【0193】
C8~C30脂肪鎖を含む四級化アルキルヒドロキシエチル-セルロースの例は、Amerchol社により販売されている製品Quatrisoft LM 200、Quatrisoft LM-X 529-18-A、Quatrisoft LM-X 529-18B(C12アルキル)及びQuatrisoft LM-X 529-8(C18アルキル)、並びにCroda社により販売されている製品Crodacel QM、Crodacel QL(C12アルキル)及びCrodacel QS(C18アルキル)である。
【0194】
アミノ側鎖を含むポリアクリレートの例は、ポリマー8781-124B又は9492-103、並びにNational Starch社製のStructure Plusである。
【0195】
(dd)少なくとも1個の親水性単位と少なくとも1個の脂肪鎖単位とを含む両性両親媒性ポリマーの中で挙げることができるのは、例えばメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリル酸/C10~C30メタクリル酸アルキルのコポリマーであり、ここで、アルキル基は、例えばステアリル基である。
【0196】
組成物中の会合性増粘剤は、例えば、1%水中活性材料の濃度での溶液中又は分散体中に、Rheomat RM 180レオメーターを用いた25℃での測定で、200s-1のせん断速度にて、0.1cp超の粘度、更に例えば0.2cp超の粘度を有することができる。
【0197】
会合性増粘剤は、会合性ポリマー増粘剤、好ましくは会合性ポリウレタン増粘剤であってもよい。
【0198】
会合性ポリウレタン増粘剤は、カチオン性であっても非イオン性であってもよい。
【0199】
会合性ポリウレタン増粘剤の中で、会合性ポリウレタン誘導体、例えば、約20質量%~70質量%の、α,β-モノエチレン性不飽和部を含有するカルボン酸、約20~80質量%の、α,β-モノエチレン性不飽和部を含有する非界面活性剤モノマー、約0.5~60質量%の、モノヒドロキシル化界面活性剤とモノエチレン性不飽和モノイソシアネートとの反応の生成物である非イオン性モノ-ウレタンの重合により得られるものを挙げることができる。
【0200】
同様のことが、特に欧州特許第173109号、より特定するとその実施例3に記載されている。より正確には、このポリマーは、25%での水性分散体としてのメタクリル酸/アクリル酸メチル/エトキシル化ベヘニルアルコール(40 EO)のジメチルメタイソプロペニルベンジルイソシアネートのターポリマーである。この製品は、AMERCHOL社により参照名VISCOPHOBE DB1000で提供されている。
【0201】
また好適なのは、カチオン性会合性ポリウレタン増粘剤であり、そのファミリーは、出願人により、仏国特許出願第0009609号に記載されている。これらは、より具体的には、次の一般式(A): R-X-(P)n-[L-(Y)m]r-L'-(P')p-X'-R' (A)(式中、R及びR'は、同一であり又は異なり、疎水性基又は水素原子を表し、X及びX'は、同一であり又は異なり、疎水性基を保持しているか又はそうではないアミン官能基を含有する基を表し、又はそうでなければ基L”を表し、L、L'及びL”は、同一であり又は異なり、ジイソシアネートに由来する基を表し、P及びP'は、同一であり又は異なり、疎水性基を保持しているか又はそうではないアミン官能基を含有する基を表し、Yは、親水性基を表し、rは、1から100の間、好ましくは1から50の間、特定すると1から25の間の整数であり、n、m及びpはそれぞれ、他から独立して、0から1000の間であり、分子は、少なくとも1つのプロトン化した又は第四級化したアミン官能基、及び少なくとも1つの疎水性基を含有する)によって表すことができる。
【0202】
きわめて有利な実施形態では、これらのポリウレタンの唯一の疎水性基は、鎖の両端にあるR基及びR'基である。
【0203】
第1の好ましい実施形態によれば、会合性ポリウレタン増粘剤は、式(A)[式中、R及びR'は両方とも、独立して、疎水性基を表し、X、X'はそれぞれL”基を表し、n及びpは1から1000の間であり、L、L'、L”、P、P'、Y及びmは、式(A)で示された意味を有する]に相当する。
【0204】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、会合性ポリウレタン増粘剤は、式(A)[式中、R及びR'は両方とも、独立して、疎水性基を表し、X、X'はそれぞれL”基を表し、n及びpは0に等しく、L、L'、L”、Y及びmは、上に示された式(A)中での意味を有する]に相当する。
【0205】
n及びpが0に等しいという事実は、これらのポリマーが、重縮合中にポリマーに組み込まれたアミン官能基を含有するモノマーに由来する単位を含有しないことを意味する。これらのポリウレタンのプロトン化アミン官能基は、過剰のイソシアネート官能基の、鎖末端での加水分解から、続いて疎水性基を含有するアルキル化剤、すなわちRQ又はR'Qタイプ(式中、R及びR'は上で定義した通りであり、Qは脱離基、例えば、ハライド、スルフェート等を示す)の化合物により形成された第一級アミン官能基のアルキル化により、得られる。
【0206】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、会合性ポリウレタン増粘剤は、式(A)[式中、R及びR'は両方とも、独立して、疎水性基を表し、X、X'は両方とも、独立して、第四級アミンを含有する基を表し、n及びpはゼロに等しく、L、L'、Y及びmは、式(A)で示された意味を有する]に相当する。
【0207】
カチオン性会合性ポリウレタン増粘剤の数平均分子量は、通常400g/molから500,000g/molの間、特に1,000g/molから400,000g/molの間、理想的には1,000から300,000g/molの間である。
【0208】
X及び/又はX'が第三級又は第四級アミンを含有する基を示すとき、X及び/又はX'は、以下の式:
【0209】
【0210】
【0211】
[式中、
R2は、1~20個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキレン基を表し、飽和若しくは不飽和の環又はアリーレン基を含有し又は含有せず、炭素原子のうちの1個又は複数が、N、S、O、Pから選ばれるヘテロ原子によって置き換えられることが可能であり、
R1及びR3は、同一であり又は異なり、直鎖状又は分枝状のC1~C30アルキル又はアルケニル基、アリール基を示し、炭素原子のうちの少なくとも1個が、N、S、O及びPから選ばれるヘテロ原子によって置き換えられることが可能であり、
A-は、生理学的に許容される対イオンである]
のうちの1つを表すことができる。
【0212】
L基、L'基及びL”基は、式:
【0213】
【0214】
(式中、
Zは、-O-、-S-又は-NH-を表し、
R4は、1~20個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキレン基を表し、飽和又は不飽和の環、アリーレン基を含有し又は含有せず、炭素原子のうちの1個又は複数が、N、S、O及びPから選ばれるヘテロ原子によって置き換えられることが可能である)
の基を表す。
【0215】
アミン官能基を含むP基及びP'基は、以下の式:
【0216】
【0217】
(式中、
R5及びR7は、上で定義されたR2と同じ意味を有し、R6、R8及びR9は、上で定義されたR1及びR3と同じ意味を有し、
R10は、直鎖状又は分枝状のアルキレン基を表し、これは、任意選択で不飽和であり、これは、N、O、S及びPから選ばれる1個又は複数のヘテロ原子を含有してもよく、
A-は、生理学的に許容される対イオンである)
のうちの少なくとも1つを表すことができる。
【0218】
Yの意味に関して、親水性基という表現は、重合性又は非重合性の水溶性基を意味すると理解される。例として挙げることができるのは、ポリマーが関与しない場合、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びプロピレングリコールである。好ましい実施形態によれば、親水性ポリマーの場合に挙げることができるのは、例として、ポリエーテル、スルホン化ポリエステル、スルホン化ポリアミド、又はこれらのポリマーの混合物である。好ましくは、親水性化合物は、ポリエーテル、具体的にはポリエチレンオキシド又はポリプロピレンオキシドである。
【0219】
式(A)のカチオン性会合性ポリウレタン増粘剤は、ジイソシアネートから、及び不安定水素を含有する官能基を保有する様々な化合物から形成される。不安定水素を含有する官能基は、ジイソシアネート官能基との反応後に、ポリウレタン、ポリウレア及びポリチオウレアをそれぞれ付与するアルコール官能基、第一級若しくは第二級アミン官能基、又はチオール官能基であってもよい。本発明の用語「ポリウレタン」は、これらの3タイプのポリマー、すなわち厳密な意味でのポリウレタン、ポリウレア及びポリチオウレア、並びにそれらのコポリマーを対象とする。
【0220】
式(A)のポリウレタンの調製を開始する第1のタイプの化合物は、アミン官能基を含有する少なくとも1個の単位を含有する化合物である。この化合物は多官能性であってもよいが、好ましくは該化合物は二官能性であり、すなわち、好ましい一実施形態によれば、この化合物は、例えば、ヒドロキシル、第一級アミン、第二級アミン又はチオール官能基により保持されている2個の不安定水素原子を含有する。多官能化合物と二官能化合物との混合物を使用することもまた可能であり、ここで、多官能化合物のパーセンテージは低い。
【0221】
上に示したように、この化合物は、アミン官能基を含有する1個超の単位を含有してもよい。これは、この時、アミン官能基を含有する単位の繰り返しを有するポリマーである。
【0222】
このタイプの化合物は、式: HZ-(P)n-ZH又はHZ-(P')p-ZH(式中、Z、P、P'、n及びpは上に定義した通りである)のうちの1つによって表すことができる。
【0223】
アミン官能基を含有する化合物の例として挙げることができるのは、N-メチルジエタノールアミン、N-tert-ブチルジエタノールアミン、及びN-スルホエチルジエタノールアミンである。
【0224】
式(A)のポリウレタンの調製を開始する第2の化合物は、式O=C=N-R4-N=C=O(式中、R4は上に定義されている)に相当するジイソシアネートである。
【0225】
例として挙げることができるのは、メチレンジフェニルジイソシアネート、メチレンシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート及びヘキサンジイソシアネートである。
【0226】
式(A)のポリウレタンの調製を開始する第3の化合物は、式(A)のポリマーの末端疎水性基を形成することが意図される疎水性化合物である。
【0227】
この化合物は、疎水性基と、不安定水素を含有する官能基、例えばヒドロキシル、第一級若しくは第二級アミン、又はチオール官能基とからなる。
【0228】
例として、この化合物は、脂肪族アルコール、例えば、特にステアリルアルコール、ドデシルアルコール及びデシルアルコールであってもよい。この化合物がポリマー性の鎖を含有するとき、それは、例えばヒドロキシル水素化ポリブタジエンであってもよい。
【0229】
式(A)のポリウレタンの疎水性基は、少なくとも1個の第三級アミン単位を含有する化合物の第三級アミンが四級化した反応の結果によるものであってもよい。そのため、疎水性基は、四級化剤により導入される。この四級化剤は、RQ又はR'Qタイプ(式中、R及びR'は、上で定義した通りであり、Qは、ハライド、スルフェート等の脱離基を示す)の化合物である。
【0230】
カチオン性会合性ポリウレタン増粘剤は、加えて、親水性配列を含んでもよい。この配列は、ポリマーの調製を開始する第4のタイプの化合物によって付与される。この化合物は、多官能性であってもよい。それは、好ましくは二官能性である。更に、多官能化合物のパーセンテージが低い混合物を有することもできる。
【0231】
不安定水素を含有する官能基は、アルコール、第一級若しくは第二級アミン、又はチオールの各官能基である。この化合物は、不安定水素を含有するこれらの官能基のうちの1つによって鎖末端において終了したポリマーであってもよい。
【0232】
例として挙げることができるのは、ポリマーが関与しない場合、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びプロピレングリコールである。
【0233】
親水性ポリマーの場合に挙げることができるのは、例として、ポリエーテル、スルホン化ポリエステル、スルホン化ポリアミド、又はこれらのポリマーの混合物である。好ましくは、親水性化合物は、ポリエーテル、具体的にはポリエチレンオキシド又はポリプロピレンオキシドである。
【0234】
式(A)中、Yと称される親水性基は、任意選択である。実際には、第四級又はプロトン化アミン官能基を含有する単位は、水溶液中のこのタイプのポリマーに必要な可溶性又は水分散性を十分に提供することができる。親水性基Yの存在は任意選択であるが、このような基を含有するカチオン性会合性ポリウレタン増粘剤が、それにもかかわらず好ましい。
【0235】
本発明において使用される会合性ポリウレタン増粘剤はまた、非イオン性であってもよく、特に非イオン性ポリウレタン-ポリエーテルであってもよい。非イオン性ポリウレタン-ポリエーテルは、少なくとも1個の親水性部分と少なくとも1個の疎水性部分との両方を有してもよい。より具体的には、このポリマーは、鎖中に、多くの場合ポリオキシエチレン性の親水性配列と、脂肪族連結単独及び/又は脂環式及び/又は芳香族連結でありうる疎水性配列との両方を含有してもよい。
【0236】
好ましくは、これらのポリエーテル-ポリウレタンは、親水性配列によって分離された、6~30個、好ましくは6~20個の炭素原子を有する少なくとも2つの親油性炭化水素鎖を含み、この炭化水素鎖が、ペンダント鎖、又は親水性配列の末端にある鎖であることが可能である。特に、1つ又は複数のペンダント鎖が想定されることが可能である。加えて、ポリマーは、親水性配列の片末端に又は両末端に、炭化水素鎖を含むことができる。
【0237】
ポリエーテル-ポリウレタンは、ポリブロック、特にトリブロックの形態にあってもよい。疎水性配列は、鎖の各末端にあってもよく(例えば、親水性の中央配列を有するトリブロックコポリマー)、又は両末端及び鎖中に分布されていてもよい(例えば、ポリブロックコポリマー)。これらの同じポリマーはまた、グラフト単位の形態にあってもよく、又は星型であってもよい。
【0238】
会合性ポリウレタン増粘剤は、疎水性部分が疑似ミセル(quasi-micelle)を接続するネットワークを水中で形成しうる。
【0239】
したがって、会合性ポリウレタン増粘剤は、本発明による組成物の粘度又は稠度を向上させることができる。そのため、本発明による組成物の塗布後、組成物の元の弾力は急速に回復されうる。
【0240】
脂肪鎖を含有する非イオン性ポリエーテル-ポリウレタンは、その親水性配列が50~1000のオキシエチレン化基を含むポリオキシエチレン化鎖であるトリブロックコポリマーであってもよい。
【0241】
非イオン性ポリエーテル-ポリウレタンは、親水性配列同士の間にウレタン結合を含み、これが名称の起源である。
【0242】
拡大することにより、その親水性配列が、他の化学結合によって疎水性配列に連結されているものもまた、疎水性鎖を含有する非イオン性ポリエーテル-ポリウレタンの中に含まれる。
【0243】
本発明において使用されうる疎水性鎖を含有する非イオン性ポリエーテル-ポリウレタンの例として、RHEOX社により販売されている、尿素官能基を含有するRheolate(登録商標)205、或いはRheolate(登録商標)208、204又は212、及びAcrysol RM 184(登録商標)を使用することもまた可能である。
【0244】
また挙げることができるのは、AKZO社製の、C12~C14アルキル鎖を含有する製品ELFACOS T210(登録商標)、及びC18アルキル鎖を含有する製品ELFACOS T212(登録商標)である。
【0245】
C20アルキル鎖を含有し、ウレタン結合を有し、水中20%乾燥物含有量で販売されている、ROHM & HAAS社製の製品DW 1206B(登録商標)もまた使用することができる。
【0246】
これらのポリマーの、特に水中又は水性-アルコール性媒体中の溶液又は分散体を使用することもまた可能である。このようなポリマーの例として挙げることができるのは、RHEOX社により販売されているRheolate(登録商標)255、Rheolate(登録商標)278及びRheolate(登録商標)244である。ROHM & HAAS社により提供されている製品DW 1206F及びDW 1206Jを使用することもまた可能である。
【0247】
使用されうる上に記載したポリエーテル-ポリウレタンはまた、G. Fonnum、J. Bakke及びFk. Hansenによる論文Colloid Polym. Sci 271, 380~389(1993)に記載されているものから選ぶことができる。
【0248】
上に記載したポリエーテル-ポリウレタンとして挙げることができるのは、少なくとも1個のポリオキシエチレン化親水性ブロックと、脂肪族配列、脂環式配列及び芳香族配列から選ばれる少なくとも1個を含有する少なくとも1個の疎水性ブロックとをこれらの鎖中に含む、ポリウレタン-ポリエーテルである。
【0249】
ポリウレタン-ポリエーテルが、親水性ブロックによって分離された、8~30個の炭素原子を有する少なくとも2個の炭化水素系親油性鎖を含むことが好ましく、ここで、炭化水素系鎖は、ペンダント鎖及び親水性ブロックの末端にある鎖から選ばれる。
【0250】
本発明の特定の形態によれば、(i)150~180molのエチレンオキシドを含む少なくとも1種のポリエチレングリコールと、(ii)100molのエチレンオキシドを含むポリオキシエチレン化ステアリルアルコールと、(iii)ジイソシアネートとを含む、少なくとも3種の化合物の重縮合によって得られうるポリウレタン/ポリエーテルが使用される。
【0251】
このようなポリウレタン/ポリエーテルは、特にElementis社により名称Rheolate FX 1100(登録商標)及びRheoluxe 811(登録商標)で販売されており、これは、136molのエチレンオキシドを含有するポリエチレングリコールと、100molのエチレンオキシドでポリオキシエチレン化されたステアリルアルコールと、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)との、質量平均分子量が40,000の重縮合物(INCI名: PEG-136/ステアレス-100/HDIコポリマー)である。
【0252】
本発明の別の特定の形態によれば、(i)150~180molのエチレンオキシドを含む少なくとも1種のポリエチレングリコールと、(ii)ステアリルアルコール又はデシルアルコールと、(iii)少なくとも1種のジイソシアネートとを含む、少なくとも3種の化合物の重縮合によって得られうるポリウレタン/ポリエーテルが使用される。
【0253】
このようなポリウレタン/ポリエーテルは、特にRohm & Haas社により名称Aculyn 46(登録商標)及びAculyn 44(登録商標)で販売されている。
【0254】
INCI名: PEG-150/ステアリルアルコール/SMDIコポリマーを有するAculyn 46(登録商標)は、マルトデキストリン(4%)と水(81%)とのマトリクス中15質量%での、150mol又は180molのエチレンオキシドを含むポリエチレングリコールと、ステアリルアルコールと、メチレンビス(4-シクロへキシルイソシアネート)(SMDI)との重縮合物(INCI名:PEG-150/ステアリルアルコール/SMDIコポリマー)である。
【0255】
Aculyn 44(登録商標)(PEG-150/デシルアルコール/SMDIコポリマー)は、プロピレングリコール(39%)と水(26%)との混合物中35質量%での、150mol又は180molのエチレンオキシドを含むポリエチレングリコールと、デシルアルコールと、メチレンビス(4-シクロへキシルイソシアネート)(SMDI)との重縮合物(INCI名: PEG-150/デシルアルコール/SMDIコポリマー)である。
【0256】
会合性ポリウレタンとして、以下の式(1):
R1-{(O-R2)k-OCONH-R3[-NHCOO-(R4-O)n-R5]h}m (1)
(式中、R1は、炭化水素基を表し、R2及びR4は、独立して、2~4個の炭素原子を有する、互いに同一であっても異なっていてもよいアルキレン基、又はフェニルエチレン基を表し、R3は、任意選択でウレタン結合を有しうる炭化水素基を表し、R5は、分枝鎖又は第二級炭化水素基を表し、mは、少なくとも2の数を表し、hは、少なくとも1の数を表し、kは、1~500の範囲内の数を表し、nは、1~200の範囲内の数を表す)
によって表される化合物を使用することが好ましい。
【0257】
上に示される一般式(1)により表される疎水変性ポリウレタンは、例えば、式R1-[(O-R2)k-OH]mにより表される少なくとも1種のポリエーテルポリオールと、式R3-(NCO)h+1により表される少なくとも1種のポリイソシアネートと、式HO-(R4-O)n-R5により表される少なくとも1種のモノアルコールとを反応させることによって得られる。
【0258】
このような場合、一般式(1)中のR1~R5は、化合物R1-[(O-R2)k-OH]m、R3-(NCO)h+1及びHO-(R4-O)n-R5によって決定される。3種の化合物の中の投入比率は特に限定されず、好ましくは、ポリイソシアネートに由来するイソシアネート基の、ポリエーテルポリオール及びポリエーテルモノアルコールに由来するヒドロキシル基に対する比が、0.8:1から1.4:1の間のNCO/OHの範囲内で選択されるべきである。
【0259】
式R1-[(O-R2)k-OH]mにより表され、一般式(1)により表される会合性増粘剤を得るために好ましく使用されうるポリエーテルポリオール化合物は、m価ポリオールの、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド若しくはエピクロロヒドリンとの、又はスチレンオキシド等との付加重合から得ることができる。
【0260】
ポリオールは、好ましくは、2~8価ポリオールであるべきである。2~8価ポリオールの例には、2価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール及びネオペンチルグリコール; 3価アルコール、例えばグリセロール、トリオキシイソブタン、1,2,3-ブタントリオール、1,2,3-ペンタントリオール、2-メチル-1,2,3-プロパントリオール、2-メチル-2,3,4-ブタントリオール、2-エチル-1,2,3-ブタントリオール、2,3,4-ペンタントリオール、2,3,4-ヘキサントリオール、4-プロピル-3,4,5-ヘプタントリオール、2,4-ジメチル-2,3,4-ペンタントリオール、ペンタメチルグリセロール、ペンタグリセロール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,4-ペンタントリオール、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパン; 4価アルコール、例えばペンタエリスリトール、1,2,3,4-ペンタンテトロール、2,3,4,5-ヘキサンテトロール、1,2,4,5-ペンタンテトロール及び1,3,4,5-ヘキサンテトロール; 5価アルコール、例えばアドニトール、アラビトール及びキシリトール; 6価アルコール、例えばジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール及びイジトール;並びに8価アルコール、例えばスクロースが挙げられる。
【0261】
また、R2は、付加に供されるアルキレンオキシド、スチレンオキシド等によって決定される。特に、入手可能性及び優れた効果のためには、2~4個の炭素原子を有するアルキレンオキシド又はスチレンオキシドが好ましい。
【0262】
付加に供されるアルキレンオキシド、スチレンオキシド等は、単独重合に供されてもよく、又は少なくとも2つの構成員のランダム重合若しくはブロック重合に供されてもよい。付加のための手順は、従来の手順であってもよい。また、重合度kは、0~1,000の範囲内、好ましくは1~500の範囲内、より好ましくは10~200の範囲内で選択することができる。更に、R2を占めるエチレン基の比は、好ましくは、R2の総量に対して、50~100質量%の範囲内にあるべきである。このような場合に、本発明の目的に適した会合性増粘剤が得られる。
【0263】
更に、式R1-[(O-R2)k-OH]mにより表されるポリエーテルポリオール化合物の分子量は、好ましくは500~100,000の範囲内で選択されるべきであり、より好ましくは1,000~50,000の範囲内で選択されるべきである。
【0264】
式R3-(NCO)h+1により表され、且つ本発明により用いられる一般式(1)により表される疎水性変性されたポリエーテルウレタンを得るために好ましくは使用されうるポリイソシアネートは、そのポリイソシアネートが分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有する限り、特に限定されない。ポリイソシアネートの例には、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂環状ジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、フェニルメタンジイソシアネート、フェニルメタントリイソシアネート、及びフェニルメタンテトライソシアネートが挙げられる。
【0265】
また、上に列挙されたポリイソシアネートの二量体及び三量体(イソシアヌレート結合)を用いることも可能である。更に、アミンとの反応によって得られるビウレットを用いることが可能である。
【0266】
更に、前述のポリイソシアネート化合物とポリオールとの反応によって得られるウレタン結合を有するポリイソシアネートを用いることが可能である。ポリオールとして、2~8価ポリオールが好ましく、上に列挙されたポリオールが好ましい。3価以上のポリイソシアネートが、式R3-(NCO)n+1により表されるポリイソシアネートとして使用される場合、ウレタン結合を有する前述のポリイソシアネートを用いることが好ましい。
【0267】
式HO-(R4-O)n-R5により表され、本発明により用いられる一般式(1)によって表される疎水性変性されたポリエーテルウレタンを得るために好ましくは使用されうるポリエーテルモノアルコールは、そのポリエーテルモノアルコールが、直鎖、分枝鎖、又は第二級一価アルコールのポリエーテルである限り、特に限定されない。ポリエーテルモノアルコールは、直鎖、分枝鎖、又は第二級一価アルコールの、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド若しくはエピクロロヒドリンとの、又はスチレンオキシド等との付加重合によって得ることができる。
【0268】
一般式(1)により表される化合物は、例えば、80~90℃の温度にて1~3時間加熱し、それによってポリエーテル及びイソシアネートの通常の反応と同じ方法で反応を引き起こすことによって生成されうる。
【0269】
一般式(1)により表される化合物として、ポリエチレングリコール-240/デシルテトラデセス-20/ヘキサメチレンジイソシアネートコポリマーが好ましい。ポリエチレングリコール-240/デシルテトラデセス-20/ヘキサメチレンジイソシアネートコポリマーはまた、PEG-240/HDIコポリマービス-デシルテトラデセス-20エーテルとも称される。
【0270】
本発明によれば、会合性ポリウレタン増粘剤が、Rheox社により名称Rheolate FX 1100で販売されているステアレス-100/PEG-136/HDIコポリマー、旭電化工業株式会社(Asahi Denka)により名称Adekanol GT-700で販売されているPEG-240/HDIコポリマービス-デシルテトラデセス-20エーテル、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0271】
挙げることができる(ii)架橋アクリル酸ホモポリマーの中では、糖系のアリルアルコールエーテルで架橋されたものがある。ペンタエリスリトールのアリルエーテル、スクロースのアリルエーテル又はプロピレンのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマーであるカルボマー、例えばLubrizol社により名称Carbopol 980、981、954、2984及び5984で販売されている製品、又は3 VSA社により名称Synthalen M及びSynthalen Kで販売されている製品を挙げることができる。
【0272】
(iii)(メタ)アクリル酸とC1~C6アクリル酸アルキルとの架橋コポリマーは、例えばCoatex社により名称Viscoatex 538Cで販売されている、38%の活性材料を含む水性分散体としてのメタクリル酸とアクリル酸エチルとの架橋コポリマー、及びRohm & Haas社により名称Aculyn 33で販売されている、28%の活性材料を含む水性分散体としてのアクリル酸とアクリル酸エチルとの架橋コポリマーから選ぶことができる。メタクリル酸とアクリル酸エチルとの架橋コポリマーには、NOVEON社により名称CARBOPOL AQUA SF-1で販売されている、30%の活性材料を含む水性分散体が挙げられる。
【0273】
(iv)エステル及び/又はアミドタイプのエチレン性不飽和モノマーを含む非イオン性ホモポリマー又はコポリマーの中で挙げることができるのは、以下の名称で販売されている製品である: Cytec社によるCyanamer P250(ポリアクリルアミド)、US Cosmetics社によるPMMA MBX-8C(メタクリル酸メチル/ジメタクリル酸エチレングリコールコポリマー)、Rohm & Haas社によるAcryloid B66(メタクリル酸ブチル/メタクリル酸メチルコポリマー)、及びKobo社によるBPA 500(メタクリル酸ポリメチル)。
【0274】
挙げることができる(v)アクリル酸アンモニウムホモポリマーには、Hoechst社により名称Microsap PAS 5193で販売されている製品がある。
【0275】
アクリル酸アンモニウムとアクリルアミドとのコポリマーには、Hoechst社により名称Bozepol C Nouveau又は製品PAS 5193で販売されている製品が挙げられる(これは、仏国特許第2416723号、米国特許第2798053号及び米国特許第2923692号に記載されており調製されている)。
【0276】
(vi)多糖は、例えば、グルカン、変性及び非変性デンプン(例えば、穀物、例としてはコムギ、トウモロコシ又はコメに由来するもの、野菜、例としては黄色エンドウに由来するもの、及び塊茎、例としてはジャガイモ又はキャッサバに由来するもの)、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストラン、セルロース、及びそれらの誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース)、マンナン、キシラン、リグニン、アラバン、ガラクタン、ガラクツロナン、キチン、キトサン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、キシログルカン、グルコマンナン、ペクチン酸及びペクチン、アルギン酸及びアルギネート、アラビノガラクタン、カラゲナン、寒天、グリコサミノグルカン、アラビアガム、トラガカントガム、ガッティガム、カラヤガム、カロブガム、ガラクトマンナン、例えばグアーガム、及びそれらの非イオン性誘導体(例えばヒドロキシプロピルグアー)、スクレロチウムガム及びキサンタンガム、並びにこれらの混合物から選ばれる。
【0277】
例えば、使用されうる多糖は、例えば、「Encyclopedia of Chemical Technology」、Kirk-Othmer、第3版、1982年、第3巻、896~900頁、及び第15巻、439~458頁、E. A. MacGregor及びC. T. Greenwoodによる「Polymers in Nature」、John Wiley & Sons社発行、第6章、240~328頁、1980年、並びに「Industrial Gums-Polysaccharides and their Derivatives」、Roy L. Whistler編、第2版、Academic Press Inc.社発行に記載されているものから選ばれ、これらの3つの刊行物の内容は、参照により全体が組み込まれる。
【0278】
例えば、デンプン、グアーガム、セルロース、及びそれらの誘導体を使用することができる。
【0279】
使用されうるデンプンの中で挙げることができるのは、例えば、無水グルコース単位であるベース単位を含むポリマーの形態にある高分子である。これらの単位の数及びこれらのアセンブリは、アミロース(直鎖状ポリマー)とアミロペクチン(分枝状ポリマー)とを区別することを可能にする。アミロースとアミロペクチンとの相対的比率、並びにそれらの重合度は、デンプンの植物起源に応じて多様とすることができる。
【0280】
使用されるデンプンの分子は、それらの植物起源として穀物又は塊茎を有してもよい。そのため、デンプンは、例えば、トウモロコシ、コメ、キャッサバ、タピオカ、オオムギ、ジャガイモ、コムギ、モロコシ及びエンドウマメの各デンプンから選ぶことができる。
【0281】
デンプンは、一般に、冷水中で不溶性である白色粉末の形態で存在し、その初期の粒径は、3~100ミクロンの範囲である。
【0282】
デンプンは、任意選択でC1~C6ヒドロキシアルキル化されていてもよく、又はC1~C6アシル化(例えばアセチル化)されていてもよい。デンプンはまた、加熱処理を受けてもよい。
【0283】
リン酸二デンプン、又はリン酸二デンプンに富む化合物、例えばAVEBE社により参照名PREJEL VA-70-T AGGL(ゼラチン化ヒドロキシプロピル化キャッサバのリン酸二デンプン)、又はPREJEL TK1(ゼラチン化キャッサバのリン酸二デンプン)、又はPREJEL 200(ゼラチン化アセチル化キャッサバのリン酸二デンプン)で提供されている製品もまた使用することができる。
【0284】
グアーガムは、変性されていても変性されていなくてもよい。
【0285】
非変性グアーガムは、例えば、Unipectine社により名称Vidogum GH 175で、及びMeyhall社により名称Meypro-Guar 50及びJaguar Cで販売されている製品である。
【0286】
変性非イオン性グアーガムは、例えば、C1~C6ヒドロキシアルキル基で変性されている。
【0287】
挙げることができるヒドロキシアルキル基の中では、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル及びヒドロキシブチルの各基がある。
【0288】
これらのグアーガムは、従来技術において周知であり、例えば、ヒドロキシプロピル基で変性されたグアーガムを得るために、プロピレンオキシド等の相当するアルケンオキシドをグアーガムと反応させることによって調製することができる。
【0289】
ヒドロキシアルキル化度は、グアーガムに存在する遊離ヒドロキシル官能基の数によって消費されるアルキレンオキシド分子の数に相当し、例えば0.4~1.2の範囲であってもよい。
【0290】
ヒドロキシアルキル基で任意選択で変性されたこのような非イオン性グアーガムは、例えば、Rhodia Chimie社(Meyhall)により商品名Jaguar HP8、Jaguar HP60、Jaguar HP120、Jaguar DC 293及びJaguar HP 105で、又はAqualon社により名称Galactasol 4H4FD2で販売されている。
【0291】
使用されるセルロース及びセルロース誘導体、例えばヒドロキシアルキル基で変性されたセルロースの中で、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース、並びに疎水性化されているヒドロキシプロピルメチルセルロースがある。Aqualon社により名称Klucel E F、Klucel H、Klucel L H F、Klucel M F、及びKlucel Gで販売されている製品を挙げることができる。
【0292】
(vii)脂肪族アルコールは、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコールから選ばれる。
【0293】
加えて、(e)増粘剤は、(viii)AMPS(コ)ポリマーから選択することができる。
【0294】
AMPS(コ)ポリマーは、水溶性又は水分散性の、架橋又は非架橋の、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)モノマーのホモポリマー、又はAMPSモノマーと少なくとも1種のコモノマーとのコポリマーを意味する。
【0295】
そのため、AMPS(コ)ポリマーは、少なくともアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)モノマーを含む、水溶性又は水分散性の、架橋又は非架橋のポリマーであってもよい。
【0296】
AMPS(コ)ポリマーは、好ましくは、完全に中和されていてもよい、又は実質的に完全に中和されていてもよい、すなわち少なくとも90%中和されていてもよい。
【0297】
AMPS(コ)ポリマーは、架橋されていても架橋されていなくてもよい。
【0298】
AMPSポリマーが架橋されている場合、架橋剤は、フリーラジカル重合によって得られるポリマーの架橋に一般的に使用されるポリオレフィン性不飽和化合物の中から選択することができる。
【0299】
挙げることができる架橋剤の例には、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、エチレングリコール若しくはジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、トリアリルアミン、シアヌル酸トリアリル、マレイン酸ジアリル、テトラアリルエチレンジアミン、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、(メタ)アクリル酸アリル、糖系のアルコールのアリルエーテル、又は他の多官能性アルコールのアリルエーテル若しくはビニルエーテル、更にまた、リン酸誘導体及び/又はビニルホスホン酸誘導体のアリルエステル、或いはこれらの化合物の混合物がある。
【0300】
本発明の一実施形態によれば、架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド、メタクリル酸アリル及びトリアクリル酸トリメチロールプロパン(TMPTA)の中から選択される。架橋度は、ポリマーに対して、一般に0.01mol%~10mol%、より特定的すると0.2mol%~2mol%の範囲である。
【0301】
本発明によるAMPSポリマーは、水溶性又は水分散性である。この場合、これらは、以下のいずれかである:
AMPSモノマーのみから、及びこれらが架橋されている場合は上に定義されたもの等の1種又は複数の架橋剤から重合された「ホモポリマー」、
又は
AMPSから、及び1種又は複数の親水性又は疎水性エチレン性不飽和モノマーから、及びこれらが架橋されている場合は上に定義されたもの等の1種又は複数の架橋剤から重合された「コポリマー」。
【0302】
このコポリマーが、疎水性エチレン性不飽和モノマーから重合される場合、これらのモノマーは脂肪鎖を含まず、好ましくは少量で存在しうる。本発明の目的において、用語「脂肪鎖」は、少なくとも7個の炭素原子を含有する任意の炭化水素系鎖を意味する。
【0303】
そのため、AMPSポリマーは、
(i)架橋又は非架橋AMPSホモポリマー、
(ii)AMPSから、及び1種又は複数の親水性エチレン性不飽和モノマー又は脂肪鎖を含有しない疎水性エチレン性不飽和モノマーから得られる、架橋又は非架橋コポリマー、及び
(iii)これらの混合物
からなる群から選択することができる。
【0304】
用語「水溶性又は水分散性」は、水性相に25℃で導入されて1%に等しい質量濃度になるとき、巨視的に均質で透明な溶液、すなわち、500nmに等しい波長において厚さ1cmのサンプルを通して少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%の最大光透過率値を有する溶液を得ることを可能にするポリマーを意味する。
【0305】
本発明による「ホモポリマー」は、好ましくは架橋され中和されており、それらは、
(a)遊離形態のAMPS等のモノマーを、tert-ブタノールの溶液中に、又は水及びtert-ブタノールの溶液中に、分散する又は溶解する工程と、
(b)(a)で得られたモノマーの溶液又は分散体を、ポリマーのスルホン酸官能基の中和度が90%~100%の範囲で得られることを可能にする量で、1種又は複数の無機又は有機塩基、好ましくはアンモニアNH3を用いて中和する工程と、
(c)架橋モノマーを、(b)で得られた溶液又は分散体に添加する工程と、
(d)標準的なフリーラジカル重合を、フリーラジカル開始剤の存在下、10~150℃の範囲の温度で実施して、ポリマーを、tert-ブタノールに基づいた溶液又は分散体中に沈殿させる工程と
を含む調製方法に従って調製することができる。
【0306】
本発明による水溶性又は水分散性AMPSコポリマーは、水溶性エチレン性不飽和モノマー、疎水性モノマー、又はこれらの混合物から重合することができる。
【0307】
水溶性コモノマーは、イオン性であっても非イオン性であってもよい。
【0308】
イオン性の水溶性コモノマーの中で挙げることができる例には、以下の化合物及びそれらの塩がある:
(メタ)アクリル酸、
スチレンスルホン酸、
ビニルスルホン酸及び(メタ)アリルスルホン酸、
ビニルホスホン酸、
マレイン酸、
イタコン酸、
クロトン酸、
下記の式(A):
【0309】
【0310】
[式中、
R1は、H、-CH3、-C2H5又は-C3H7であり、
X1は、
-OR2タイプ(式中、R2は、少なくとも1つのスルホン酸基(-SO3-)及び/又は硫酸基(-SO4-)及び/又はリン酸基(-PO4H2-)で置換されている、1~6個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の炭化水素系基である)
のアルキルエーテル
の中から選択される]
の水溶性ビニルモノマー。
【0311】
非イオン性の水溶性コモノマーの中で挙げることができる例には、以下がある:
(メタ)アクリルアミド、
N-ビニルアセトアミド及びN-メチル-N-ビニルアセトアミド、
N-ビニルホルムアミド及びN-メチル-N-ビニルホルムアミド、
無水マレイン酸、
ビニルアミン、
4~9個の炭素原子を含有する環状アルキル基を含むN-ビニルラクタム、例えばn-ビニルピロリドン、N-ブチロラクタム及びN-ビニルカプロラクタム、
式CH2=CHOHのビニルアルコール、
下記の式(B):
【0312】
【0313】
[式中、
R15は、H、-CH3、-C2H5又は-C3H7であり、
X2は、
-OR16タイプ(式中、R16は、ハロゲン原子(ヨウ素、臭素、塩素又はフッ素)で任意選択で置換されている、1~6個の炭素を含有する、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の炭化水素系基である)
のアルキルエーテル;ヒドロキシル(-OH)基;エーテル
の中から選択される]
の水溶性ビニルモノマー。
【0314】
挙げられるものは、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、及びエチレングリコールの、ジエチレングリコールの又はポリアルキレングリコールの(メタ)アクリレートである。
【0315】
脂肪鎖不含有疎水性コモノマーの中で挙げることができる例には以下がある:
スチレン及びその誘導体、例えば4-ブチルスチレン、α-メチルスチレン及びビニルトルエン、
式CH2=CH-OCOCH3の酢酸ビニル、
式CH2=CHOR(式中、Rは、1~6個の炭素を含有する直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の炭化水素系基である)のビニルエーテル
アクリロニトリル、
カプロラクトン、
塩化ビニル及び塩化ビニリデン、
重合後にシリコーンポリマーを付与するシリコーン誘導体、例えば、メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン及びシリコーンメタクリルアミド、
下記の式(C):
【0316】
【0317】
[式中、
R23は、H、-CH3、-C2H5又は-C3H7であり、
X3は、
-OR24タイプ(式中、R24は、1~6個の炭素を含有する、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の炭化水素系基である)
のアルキルエーテル
の中から選択される]
の疎水性ビニルモノマー。
【0318】
挙げられるものは、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、(メタ)アクリレル酸n-ブチル、(メタ)アクリレル酸tert-ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル及びアクリル酸2-エチルヘキシルである。
【0319】
本発明の水溶性又は水分散性AMPSポリマーは、好ましくは50,000g/mol~10,000,000g/mol、好ましくは80,000g/mol~8,000,000g/mol、更により好ましくは100,000g/mol~7,000,000g/molの範囲のモル質量を有する。
【0320】
挙げることができる本発明による水溶性又は水分散性AMPSホモポリマーの例には、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウムの架橋又は非架橋ポリマー、例えば市販製品Simulgel 800におけるポリマー(INCI名:ポリアクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム)がある。
【0321】
挙げることができる本発明による水溶性又は水分散性AMPSコポリマーの例には、以下がある:
アクリルアミド/ナトリウムアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホネート架橋ポリマー、例えば市販製品Sepigel 305(INCI名:ポリアクリルアミド/C13~C14イソパラフィン/ラウレス-7)におけるコポリマー、又はSEPPIC社により商品名Simulgel 600(INCI名:アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/イソヘキサデカン/ポリソルベート-80)で販売されている市販製品におけるコポリマー;
AMPSとビニルピロリドン又はビニルホルムアミドとのコポリマー、例えばClariant社により名称Aristoflex AVCで販売されている市販製品におけるコポリマー(INCI名:アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/V-Pコポリマー)であるが水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムで中和されているコポリマー;
AMPSとアクリル酸ナトリウムとのコポリマー、例としてはAMPS/アクリル酸ナトリウムコポリマー、例えばSEPPIC社により名称Simulgel EGで販売されている市販製品におけるコポリマー(INCI名:アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー(及び)イソヘキサデカン(及び)ポリソルベート-80);並びに
AMPSとアクリル酸ヒドロキシエチルとのコポリマー、例としてはAMPS/アクリル酸ヒドロキシエチルコポリマー、例えばSEPPIC社により名称Simulgel NSで販売されている市販製品におけるコポリマー(INCI名:アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー(及び)スクアラン(及び)ポリソルベート-60)。
【0322】
そのため、AMPSポリマーが、
アクリルアミド/アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム)架橋コポリマー、
AMPSとビニルピロリドン又はビニルホルムアミドとのコポリマー、
AMPSとアクリル酸ナトリウムとのコポリマー(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー)、
AMPSとアクリル酸ヒドロキシエチルとのコポリマー、及び
これらの混合物
からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
【0323】
AMPSモノマーが、脂肪鎖(例えばC6~C50鎖)を含有するエチレン性不飽和疎水性モノマーで重合されているとき、得られたポリマーは、両親媒性であり、すなわち、それは、親水性部分と疎水性部分との両方を含有する。
【0324】
両親媒性AMPSコポリマーは、加えて、(メタ)アクリル酸、それらのβ-置換アルキル誘導体、又はモノアルコール又はモノ-若しくはポリアルキレングリコールにより得られたそれらのエステル、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルホルムアミド、無水マレイン酸、イタコン酸又はマレイン酸、又はこれらの化合物の混合物等の、脂肪鎖を含有しない1種又は複数のエチレン性不飽和モノマーも含有してもよい。
【0325】
好適な両親媒性ポリマーには、例えば、AMPSから得られるもの、及び6~50個の炭素原子、好ましくは6~22個の炭素原子、より好ましくは6~18個の炭素原子、最も好ましくは12~18個の炭素原子を有する少なくとも1種の疎水性部分を含有する少なくとも1種のエチレン性不飽和疎水性モノマーから得られるものが挙げられる。
【0326】
これらのコポリマーの例は、特に欧州特許第A-750899号、米国特許第5089578号、及びYotaro Morishimaによる以下の刊行物に記載されている:
- 「Self-assembling amphiphilic polyelectrolytes and their nanostructures、Chinese Journal of Polymer Science、18巻、40号(2000年)、323~336頁」、
- 「Micelle formation of random copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and a non-ionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering、Macromolecules、33巻、10号、2000年、3694~3704頁」、
- 「Solution properties of micelle networks formed by non-ionic moieties covalently bound to a polyelectrolyte: salt effects on rheological behavior、Langmuir、2000年、16巻、12号、5324~5332頁」、
- 「Stimuli responsive amphiphilic copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and associative macromonomers、Polym. Preprint, Div. Polym. Chem. 1999年、40(2)、220~221頁」。
【0327】
これらの特定のコポリマーのエチレン性不飽和疎水性モノマーは、好ましくは、以下の式(III):
【0328】
【0329】
[式中、R1及びR3は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は実質的に直鎖状若しくは分枝状のC1~C6アルキル基(好ましくはメチル)を示し、Yは、O又はNHを示し、R2は、少なくとも6~50個の炭素原子、好ましくは6~22個の炭素原子、より好ましくは6~18個の炭素原子、最も好ましくは12~18個の炭素原子を含有する疎水性炭化水素基を示し、xは、アルキレンオキシドのモル数を示し、好ましくは0~100で多様である]
のアクリレート、アルキルアクリレート、アクリルアミド及びアルキルアクリルアミドから選ばれる。
【0330】
R2基は、好ましくは、実質的に直鎖状のC6~C18アルキル基(例えば、n-ヘキシル、n-オクチル、n-デシル、n-ヘキサデシル、n-ドデシル、n-オクタデシル)、又は分枝状若しくは環状のC6~C18アルキル基[例えば、シクロドデカン(C12)若しくはアダマンタン(C10)]、ペルフルオロ化C 6~C18アルキル基[例えば式-(CH2)2-(CF2)9-CF3の基];コレステリル基(C27)又はコレステロールエステル残基、例えばオキシヘキサン酸コレステリル基;芳香族多環式基、例えばナフタレン又はピレンから選択される。これらの基の中で、最も好ましいのは、実質的に直鎖状のアルキル基、好ましくはn-ドデシル、n-ヘキサデシル又はn-オクタデシルの各基、及びこれらの混合物である。
【0331】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、式(III)のモノマーは、ポリオキシアルキレン化鎖を構成する少なくとも1つのアルキレンオキシド単位(x≧1)、好ましくはいくつかのアルキレンオキシド単位(x≧1)を含有する。ポリオキシアルキレン化鎖は、好ましくはエチレンオキシド単位及び/又はプロピレンオキシド単位からなり、より好ましくはエチレンオキシド単位からなる。オキシアルキレン化単位の数(又はアルキレンオキシドのモル数)は、好ましくは3~100、より好ましくは3~50、最も好ましくは7~25と多様である。
【0332】
好適なポリマーには、例えば以下が挙げられる:
- ポリマーに対して、15質量%~60質量%のAMPS単位、及び40質量%~85質量%の(C8~C16)アルキル(メタ)アクリルアミド単位又は(C8~C16)アルキル(メタ)アクリレート単位を含有する、架橋又は非架橋の、中和された又は中和されていない、コポリマー、例えば欧州特許第A750899号に記載されているもの、並びに
- ポリマーに対して、10mol%~90mol%のアクリルアミド単位、0.1mol%~10mol%のAMPS単位、及び5mol%~80mol%のn-(C6~C18)アルキルアクリルアミド単位を含有するターポリマー、例えば米国特許第5089578号に記載されているもの。
【0333】
好適な両親媒性ポリマーには、例えば、以下が挙げられる:
- 完全に中和されたAMPSと、メタクリル酸n-ドデシル、n-ヘキサデシル及び/又はn-オクタデシルとのコポリマー、及び
- 非架橋及び架橋の、AMPSとn-ドデシルメタクリルアミドとのコポリマー、例えば上に引用したMorishimaによる論文に記載されているもの。
【0334】
好ましくは、コポリマーは、以下の式(IV):
【0335】
【0336】
(式中、X+は、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、又はアンモニウムイオンである)
の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)単位と、
以下の式(V):
【0337】
【0338】
[式中、xは、3~100、好ましくは3~50、より好ましくは7~25の範囲の整数を示し、R1は、上記の式(I)中で示されたものと同じ意味を有し、R4は、実質的に直鎖状又は分枝状のC6~C22、より好ましくはC10~C22アルキルを示す]
の単位とからなる。
【0339】
このタイプの特に好ましい両親媒性ポリマーは、式中、x=25であり、R1がメチルを示し、R4がn-ドデシルを表すものであり、これらは上に挙げたMorishimaによる論文に記載されている。他の好ましいポリマーは、式中、x=8又は25であり、R1がメチルを示し、R4がn-ヘキサデシル(C16)、n-オクタデシル(C18)又はn-ドデシル(C12)、又はこれらの混合物を示すものである。
【0340】
式中、X+がナトリウム又はアンモニウムを示すポリマーが、最も好ましい。
【0341】
本発明による組成物中で使用される好ましい両親媒性ポリマーは、従来のフリーラジカル重合方法に従って、1種又は複数の開始剤該開始剤、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスジメチルバレロニトリル、2,2-アゾビス[2-アミジノプロパン]ヒドロクロリド(ABAH)、有機過酸化物、例えば過酸化ジラウリル、過酸化ベンゾイル、ヒドロ過酸化tert-ブチル等、無機過酸化化合物、例えば過硫酸カリウム若しくは過硫酸アンモニウム又はH2O2の存在下、任意選択で還元剤の存在下で得ることができる。
【0342】
これらの両親媒性ポリマーは、好ましくは、それらが沈降するtert-ブタノール媒体中、フリーラジカル重合によって得られる。Tert-ブタノールからの沈降による重合を使用して、ポリマー粒子のサイズ分布を得ることができ、これは特に好ましい。
【0343】
反応は、大気圧で又は減圧下で、のいずれかにおいて、0℃から150℃の間、好ましくは10℃から100℃の間の温度にて実施することができる。それはまた、不活性雰囲気下、好ましくは窒素雰囲気下でも実施することができる。
【0344】
本方法によれば、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、又はそのナトリム塩又はアンモニウム塩のうちの1種は、(メタ)アクリル酸と、
8molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC10~C18アルコール(CLARIANT社製のGENAPOL(登録商標)C-080)との、
8molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC11オキソアルコール(CLARIANT社製のGENAPOL(登録商標)UD-080)との、
7molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC11オキソアルコール(CLARIANT社製のGENAPOL(登録商標)UD-070)との、
7molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC12~C14アルコール(CLARIANT社製のGENAPOL(登録商標)LA-070)との、
9molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC12~C14アルコール(CLARIANT社製のGENAPOL(登録商標)LA-090)との、
11molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC12~C14アルコール(CLARIANT社製のGENAPOL(登録商標)LA-110)との、
8molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16~C18アルコール(CLARIANT社製のGENAPOL(登録商標)T-080)との、
15molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16~C18アルコール(CLARIANT社製のGENAPOL(登録商標)T-150)との、
11molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16~C18アルコール(CLARIANT社製のGENAPOL(登録商標)T-110)との、
20molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16~C18アルコール(CLARIANT社製のGENAPOL(登録商標)T-200)との、
25molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16~C18アルコール(CLARIANT社製のGENAPOL(登録商標)T-250)との、又は
25molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC18~C22アルコール及び/若しくは25molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16~C18イソアルコールとの
エステルと重合されうる。
【0345】
本発明によるポリマー中の式(IV)の単位及び式(V)の単位のモル%濃度は、所望の化粧用途、及び配合のために探索されるレオロジー特性に応じて多様である。それは、0.1mol%から99.9mol%の間で多様であってもよい。
【0346】
好ましくは、最も疎水性なポリマーについて、式(IV)又は式(V)の単位のモル比率は、50.1~99.9%、より好ましくは70~95%、最も好ましくは80~90%と多様である。
【0347】
好ましくは、非常に疎水性であるわけではないポリマーについて、式(IV)又は式(V)の単位のモル比率は、0.1~50%、より好ましくは5~25%、最も好ましくは10~20%と多様である。
【0348】
本発明のポリマー中のモノマーの分布は、例えば、交互、ブロック(マルチブロックを含む)又はランダムでありうる。
【0349】
このタイプの疎水性変性ポリマーとして特に挙げることができるのは、Clariant社により名称Aristoflex LNCで販売されている、AMPSとエトキシル化C12~C14メタクリル酸アルキルとのコポリマー(Genapol LA-070及びAMPSから得られる非架橋コポリマー)(CTFA名:アクロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/メタクリル酸ラウレス-7コポリマー)、及びClariant社により名称Aristoflex HMSで販売されている、AMPSとエトキシル化(25 EO)メタクリル酸ステアリルとのコポリマー(Genapolから得られるトリアクリレートとAMPSから得られるトリメチルプロパンT-25とで架橋されたコポリマー)(CTFA名:アクロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/メタクリル酸ステアレス-25クロスポリマー)である。
【0350】
(e)増粘剤が、多糖、AMPS(コ)ポリマー、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0351】
(e)増粘剤が、キサンタンガム、両親媒性AMPSコポリマー、例えばアクロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/メタクリル酸ステアレス-25クロスポリマー、及びこれらの混合物から選択されることが、より好ましい。
【0352】
本発明による組成物中の(e)増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0353】
本発明による組成物中の(e)増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってもよい。
【0354】
本発明による組成物中の(e)増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%であってもよい。
【0355】
[粉末]
本発明による組成物は、(f)少なくとも1種の粉末を含む。2種以上の粉末を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの粉末、又は異なるタイプの粉末の組合せを使用することができる。
【0356】
本発明によれば、(f)粉末は、生理学的に許容される揮発性媒体、例えば水に、不溶性である。
【0357】
本発明の目的において、用語「不溶性」粉末は、生理学的に許容される揮発性媒体、例えば水への25℃での溶解度が、粉末の総質量に対して1質量%未満、好ましくは0.1質量%未満、より好ましくは0.01質量%未満である粉末、最も好ましくは溶解度がない粉末を意味する。
【0358】
(f)粉末は、粒子の形態にあってもよい。
【0359】
(f)粉末の直径は、限定されない。(f)粉末の平均粒径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上、更により好ましくは100nm以上であり、好ましくは1,000μm以下、より好ましくは500μm以下、更により好ましくは300μm以下である。そのため、(f)粉末は、10nm~1,000μm、好ましくは50nm~500μm、より好ましくは100nm~300μmの平均粒径を有してもよい。
【0360】
(f)粉末の平均粒径が、0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上、更により好ましくは0.5μm以上であることが好ましい。
【0361】
(f)粉末の平均粒径が、15μm以下、より好ましくは12μm以下、更により好ましくは10μm以下であることが好ましい。
【0362】
平均粒径は、動的光散乱法により、例えばNicomp Z380を用いて測定することができる数平均粒径であってもよい。
【0363】
(f)粉末は、好ましくは固体の形態にある。
【0364】
(f)粉末の形態は限定されない。(f)粉末は、球体、板等の形態にあってもよい。(f)粉末は、中空であっても多孔質であってもよい。
【0365】
(f)粉末は、顔料、フィラー、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0366】
(顔料)
用語「顔料」は、生理学的に許容される揮発性媒体に不溶性であり、得られた薄膜を着色する及び/又は不透明化することが意図された、白色又は有色の、無機又は有機の粒子を意味すると理解されるべきである。
【0367】
顔料は、好ましくは380~780nmの範囲の吸収を有し、少なくとも1つの実施形態では、この吸収範囲における最大値の吸収を有する。
【0368】
顔料は、有機顔料であってもよい。本明細書で使用されるとき、用語「有機顔料」は、ウルマンの百科事典の無機顔料の章にある定義を満たす任意の顔料を意味する。有機顔料は、例えば、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、金属錯体、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン及びキノフタロンの各化合物から選ぶことができる。
【0369】
少なくとも1種の有機顔料は、例えば、カルミン、カーボンブラック、アニリンブラック、メラニン、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、参照番号CI 42090、69800、69825、73000、74100及び74160で色指数に体系化されている青色顔料、参照番号CI 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000及び47005で色指数に体系化されている黄色顔料、参照番号CI 61565、61570及び74260で色指数に体系化されている緑色顔料、参照番号CI 11725、15510、45370及び71105で色指数に体系化されている橙色顔料、参照番号CI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915及び75470で色指数に体系化されている赤色顔料、並びに例えば仏国特許第2679771号に記載されている、インドール誘導体又はフェノール誘導体の酸化重合によって得られる顔料から選ぶことができる。
【0370】
これらの顔料は、また、例えば欧州特許第1184426号に記載されている複合顔料の形態にあってもよい。これらの複合顔料は、例としては、有機顔料で少なくとも部分的に被覆されている無機核、及び有機顔料をその核に固定するための少なくとも1種の結合剤を含む粒子から構成されてもよい。
【0371】
他の例には、有機顔料の顔料ペースト、例えば、Hoechst社により以下の名称で販売されている製品が挙げられる: Jaune Cosmenyl IOG: Pigment Yellow 3 (CI 11710); Jaune Cosmenyl G: Pigment Yellow 1 (CI 11680); Orange Cosmenyl GR: Pigment Orange 43 (CI 71105); Rouge Cosmenyl R”: Pigment Red 4 (CI 12085); Carmine Cosmenyl FB: Pigment Red 5 (CI 12490); Violet Cosmenyl RL: Pigment Violet 23 (CI 51319); Bleu Cosmenyl A2R: Pigment Blue 15.1 (CI 74160); Vert Cosmenyl GG: Pigment Green 7 (CI 74260);及びNoir Cosmenyl R: Pigment Black 7 (CI 77266)。
【0372】
少なくとも1種の顔料は、また、レーキから選ぶことができる。本明細書で使用されるとき、用語「レーキ」は、不溶性粒子に吸着させた不溶化染料を意味し、このようにして得られた錯体又は化合物は、使用中に不溶性のままである。
【0373】
そこに染料を吸着させる無機基材には、例えば、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウム及びアルミニウムが挙げられる。
【0374】
有機染料の非限定例には、コチニールカルミン、及び以下の名称により知られている製品が挙げられる: D&C Red 21(CI 45380)、D&C Orange 5(CI 45370)、D&C Red 27(CI 45410)、D&C Orange 10(CI 45425)、D&C Red 3(CI 45430)、D&C Red 4(CI 15510)、D&C Red 33(CI 17200)、D&C Yellow 5(CI 19140)、D&C Yellow 6(CI 15985)、D&C Green(CI 61570)、D&C Yellow 10(CI 77002)、D&C Green 3(CI 42053)及びD&C Blue 1(CI 42090)。
【0375】
レーキの更なる非限定例は、名称D&C Red 7(CI 15850:1)により知られている製品である。
【0376】
少なくとも1種の顔料はまた、特殊効果を有する顔料であってもよい。本明細書で使用されるとき、用語「特殊効果を有する顔料」は、一般に、観察条件(光、温度、観察角度等)に応じて変化する不均一な有色の外観(特定の色調、特定の彩度及び/又は特定の明度を特徴とする)を作り出す顔料を意味する。そのため、それらは、標準的な均一の、不透明、半透明又は透明の色調を付与する白色又は有色顔料と対照的である。
【0377】
特殊効果を有する2種類の顔料が存在し、蛍光顔料、フォトクロミック顔料及びサーモクロミック顔料等の低屈折率のもの、並びに真珠層及びフレーク等の高屈折率のものである。
【0378】
少なくとも1種の顔料はまた、基材上へ固定されない干渉効果を有する顔料、例としては、液晶(Wacker社からのHelicones HC)及びホログラフィック干渉フレーク(Spectratek社からのGeometric Pigment又はSpectra f/x)からも選ぶことができる。
【0379】
特殊効果を有する顔料はまた、蛍光顔料(日光下で蛍光を放つ物質又は紫外線蛍光を生じる物質のいずれも)、リン光顔料、フォトクロミック顔料及びサーモクロミック顔料も含みうる。
【0380】
顔料はまた、好ましい実施形態では、無機顔料であってもよい。本明細書で使用されるとき、用語「無機顔料」は、ウルマンの百科事典の無機顔料の章にある定義を満たす任意の顔料を意味する。好ましくは、無機顔料は、少なくとも1種の無機材料を含む。本発明に有用な無機顔料の非限定例には、金属酸化物、特に遷移金属酸化物、例えば、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、フェリックブルー及び二酸化チタンが挙げられる。Ta2O5、Ti3O5、Ti2O3、TiO、並びにTiO2との混合物としてのZrO2、Nb2O5、CeO2及びZnSの無機顔料もまた使用することができる。
【0381】
顔料はまた、真珠光沢顔料であってもよい。
【0382】
用語「真珠光沢顔料」は、「真珠層」又は「真珠箔」とも呼ばれる場合があり、虹色であってもそうでなくてもよく、特に特定の軟体類によってそれらの殻中で生成され、又はそうでなければ合成され、且つ光学干渉を介して色効果を有する、任意の形態の着色粒子の意味であると理解されるべきである。
【0383】
真珠光沢顔料は、15μm以下、好ましくは12μm以下、より好ましくは10μm以下の粒径を有してもよく、且つ/又は着色された反射を有してもよい。
【0384】
真珠光沢顔料が、1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上の粒径を有することが好ましい場合がある。
【0385】
粒径は、本明細書では、平均体積直径(D[0.5])と表すことができる。
【0386】
真珠光沢顔料は、白色、青色、黄色、桃色、赤色、青銅色、橙色、褐色、金色及び銅色等の色を有する反射を有してもよい。
【0387】
真珠光沢顔料が白色を示すことができることが好ましい場合がある。例えば、真珠光沢顔料は、白色の背景上に白色を示すことができる。
【0388】
真珠光沢顔料が青色の反射を有することもまた好ましい場合がある。例えば、真珠光沢顔料は、黒色の背景上に青色の反射を示すことができる。本明細書では、用語「青色」は、約450~約495nmの波長を有する可視光を意味する。
【0389】
青色の反射を有する真珠光沢顔料は、抗黄色性に寄与する。したがって、ケラチン物質上の色の不完全性、例えば皮膚上のスポットを、被覆することにおいて有利でありうる。
【0390】
限定された粒径及び着色された反射を有する真珠光沢顔料は、着色された反射をケラチン物質の元々の色と混合することによって、皮膚等のケラチン物質の色矯正に、及び自然な外観に、寄与することができる。15μm超の粒径を有する従来の真珠光沢顔料の使用が、ケラチン物質を十分に被覆することができず、十分な明度を付与することができないだけでなく、輝く外観及び不自然な仕上がりをもたらすことが留意されるべきである。
【0391】
真珠光沢顔料は、任意の形状にあってもよい。例えば、アスペクト比が少なくとも5である、好ましくは10より大きい、より好ましくは20より大きい、更により好ましくは50より大きい板の形態にある真珠光沢顔料を使用することが可能である。アスペクト比は、アスペクト比=長さ/厚さの式に従って、平均厚さ及び平均長さから求めることができる。
【0392】
板状の粒子が真珠光沢顔料に使用される場合、板状粒子が、15μm以下、好ましくは12μm以下、より好ましくは10μm以下の長さを有することが好ましい。
【0393】
挙げることができる真珠光沢顔料の例には、真珠層、例えば(酸化)チタンで及びオキシ塩化ビスマスでコーティングされたマイカ、及び(酸化)チタンで及び酸化鉄でコーティングされたマイカ、(酸化)チタンで及び酸化クロムでコーティングされたマイカ、及びこれらの混合物が挙げられる。これらはまた、金属酸化物及び/又は有機色素の少なくとも2つの連続した層がその表面に重ねられたマイカ粒子とすることもできる。
【0394】
真珠光沢顔料が、マイカ及び金属酸化物、好ましくは酸化チタン及び/又は酸化スズを含むことが好ましい場合がある。
【0395】
なおも、真珠光沢顔料の例として挙げることができるのは、酸化チタンでコーティングされたホウケイ酸塩の基材を含む粒子である。
【0396】
(フィラー)
用語「フィラー」は、室温及び大気圧で固体であり、それらの成分が室温を超えた温度に持ち込まれたときであっても、生理学的に許容される不揮発性媒体に不溶性である、無着色粒子を意味すると理解されるべきである。その無機又は有機の性質について、フィラーは、本発明による組成物上に硬さを、及び/又は組成物により形成されうるメイクアップ上に柔らかさ及び均質性を与えることを可能にする。
【0397】
フィラーは、無機及び有機フィラーから選ぶことができる。フィラーが有機フィラーである場合、それらは高分子有機フィラーである。フィラーは、それらの結晶学的形態(例えば、層状晶、立方晶、六方晶及び斜方晶)に関係なく、任意の形態、例えば小板形状、球状及び長円形の粒子でありうる。
【0398】
本発明による組成物中で使用されうるフィラーは、多様な無機及び/又は有機の材料から作製することができ、且つ二酸化チタン;タルク;天然又は合成のマイカ;アルミナ;アルミノシリケート;ホウケイ酸カルシウムナトリウム;ホウケイ酸カルシウムアルミニウム;シリカ(又は二酸化ケイ素);カオリン又は他の不溶性シリケート、例えばクレイ;ポリアミド(Nylon(登録商標))、ポリ-β-アラニン粉末及びポリエチレン粉末;テトラフルオロエチレンポリマー(Teflon(登録商標))粉末、粉末デンプン;窒化ホウ素;アクリル酸ポリマー粉末;シリコーン樹脂マイクロビーズ、例としてはToshiba社製の「Tospearls(登録商標)」;オキシ塩化ビスマス;沈降炭酸カルシウム;炭酸マグネシウム及び炭酸水素マグネシウム;ヒドロキシアパタイト;中空シリカミクロスフェア、例えばMaprecos社製の「Silica Beads SB 700(登録商標)」及び「Silica Beads SB 700(登録商標)」、旭硝子株式会社製の「Sunspheres H-33(登録商標)」及び「Sunspheres H-51(登録商標)」;アクリルポリマーミクロスフェア、例えば架橋アクリレートコポリマーから作製されたものでR.P.Scherrer社製の「Polytrap 6603(登録商標)」、及びメタクリル酸ポリメチルから作製されたものでSEPPIC社製の「Micropearl M100(登録商標)」;ポリウレア粉末;ポリウレタン粉末、例えば株式会社Toshikiにより名称「Plastic Powder D-400(登録商標)」で販売されているヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールヘキシルラクトンとのコポリマー粉末;ガラス又はセラミックのマイクロカプセル;アクリル酸メチル又はメタクリル酸メチルのポリマー又はコポリマーのマイクロカプセル、或いは塩化ビニリデンとアクリロニトリルとのコポリマー、例としてはExpancel社製の「Expancel(登録商標)」;エラストマーの架橋オルガノポリシロキサン粉末、例えば信越化学工業株式会社により名称「KSP100(登録商標)」で販売されているもの;多孔質セルロースビーズ、例えば大東化成工業株式会社により名称Cellulose Beads USF(登録商標)で販売されているもの;及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0399】
本発明の組成物中で有用であるシリカの中で挙げることができるのは、結晶質シリカ、微結晶質シリカ及び非晶質シリカである。
【0400】
例として、挙げることができる結晶質シリカには、石英、トリジマイト、クリストバル石、ケアタイト、コーサイト及びスチショフ石がある。微結晶質シリカは、例えば珪藻岩である。
【0401】
使用されうる非晶形態の中では、ガラス質シリカ、及び他のタイプの非晶質シリカ、例えばコロイド状シリカ、シリカゲル、沈降シリカ及びフュームドシリカ、例としてはアエロジル、及び発熱性シリカがある。多孔質シリカ、例えばアエロゲル(シリル化シリカ)が好ましい。
【0402】
本発明の一実施形態では、粉末は、少なくとも1種の無機材料を含んでもよく、これらは、マイカ、合成マイカ、タルク、セリサイト、窒化ホウ素、ガラス、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ヒドロキシアパタイト、シリカ、シリケート、ホウケイ酸カルシウムナトリウム、酸化亜鉛、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化マグネシウム、オキシ塩化ビスマス、カオリン、ハイドロタルサイト、鉱物クレイ、合成クレイ、酸化鉄、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0403】
本発明の別の実施形態では、粉末は、少なくとも1種の有機材料を含んでもよく、これらは、ポリウレア、メラミン-ホルムアルデヒド縮合物、尿素-ホルムアルデヒド縮合物、アミノプラスト、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリホスフェート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、多糖、シリコーン、シリコーン樹脂、タンパク質、変性セルロース及びガムからなる群から選択される。
【0404】
(f)粉末が、窒化ホウ素、ガラス(例えば、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸カルシウムナトリウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウム)、二酸化チタン(及び)マイカ、並びにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0405】
(f)粉末が窒化ホウ素を含む場合、それは、1.6以上、好ましくは1.6から2.2.の間の屈折率を有してもよい。好ましい実施形態では、窒化ホウ素を含む(f)粉末は、1μmから10μmの間、特定すると1μmから6μmの間の平均粒径を有してもよい。
【0406】
窒化ホウ素の市販製品の例として、以下の製品を引用することができる: Saint Gobains Ceramics社製のPUHP3008(平均粒径6μm)、Saint Gobains Ceramics社製のPUHP1030L(平均粒径3μm)、Momentive Performance Materials社製のSoftouch BN CC6058粉末(平均粒径5~15μm)、又はこれらの混合物。
【0407】
(f)粉末が、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸カルシウムナトリウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウム等のガラスを含む場合、それはミクロスフェア(中空粒子)の形態にあってもよい。
【0408】
本発明で有用なガラスミクロスフェアの市販製品の例には、ホウケイ酸カルシウムアルミニウムの中空ミクロスフェア(Presperse Inc.社から商品名LUXSIL(登録商標)で市販されている)、ホウケイ酸ナトリウム微粒子(PQ Corporation社から商品名Q-CEL 570(登録商標)で市販されている)、ホウケイ酸カルシウム/ナトリウムの中空ミクロスフェア(3M社により商品名ES22及び1Kで市販されている)、ホウケイ酸カルシウム/ナトリウムのミクロスフェア(3M社から商品名Scotchlite(商標)K20 Productで市販されている)が挙げられる。
【0409】
(f)粉末が二酸化チタン(及び)マイカを含む場合、それは、真珠層顔料(真珠層)であってもよく、又は真珠光沢顔料であってもよい。換言すると、二酸化チタン(及び)マイカは、少なくとも1種の二酸化チタンでコーティングされたマイカであってもよい。
【0410】
二酸化チタン(及び)マイカの例として挙げることができるのは、Merck社により販売されている、Ronaflair Balance Red/Blue/Gold/Green及びTimiron Silk Blue/Green/Red/Gold、Sun Chemical社により販売されているSunshine Soft Fine Gold/Red/Violet/Blue/Green、Topy社により販売されているHelios R10Y/R/B/G、及びBASF社により販売されているFlamenco Summit Aquaシリーズ、例えばFLAMENCO SUMMIT RED R30D、FLAMENCO SUMMIT BLUE B30DCである。
【0411】
本発明による組成物中の(f)粉末の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0412】
本発明による組成物中の(f)粉末の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0413】
本発明による組成物中の(f)粉末の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%であってもよい。
【0414】
[水]
本発明による組成物は、(g)水を含む。
【0415】
本発明による組成物中の(g)水の量は、組成物の総質量に対して、45質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上であってもよい。
【0416】
その一方で、本発明による組成物中の(g)水の量は、組成物の総質量に対して、90質量%以下、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下であってもよい。
【0417】
本発明による組成物中の(g)水の量は、組成物の総質量に対して、45質量%~90質量%、好ましくは50質量%~85質量%、より好ましくは55質量%~80質量%の範囲であってもよい。
【0418】
[ビタミンB3及び誘導体]
本発明による組成物は、(h)少なくとも1種の、ビタミンB3及びその誘導体から選択される化合物を含んでもよい。単一のタイプの(h)化合物を使用してもよいが、2種以上の異なるタイプの(h)化合物を組み合わせて使用することもできる。
【0419】
ビタミンB3は、ビタミンPPとも呼ばれ、以下の式(I):
【0420】
【0421】
[式中、Rは、-CONH2(ナイアシンアミド)、-COOH(ニコチン酸若しくはナイアシン)、又はCH2OH(ニコチニルアルコール)、-CO-NH-CH2-COOH(ニコチン尿酸)若しくは-CO-NH-OH(ニコニチルヒドロキサム酸)であってもよい。ナイアシンアミドが好ましい]
の化合物である。
【0422】
挙げることができるビタミンB3誘導体には、例えば、ニコチン酸エステル、例えばニコチン酸トコフェロール、ナイアシンアミドから-CONH2の水素基の置換によって得られるアミド、カルボン酸とアミノ酸との反応からの生成物、ニコチニルアルコールと、酢酸、サリチル酸、グリコリド酸(glycolid acid)又はパルミチン酸等のカルボン酸とのエステルが挙げられる。
【0423】
以下の誘導体もまた挙げることができる: 2-クロロニコチンアミド、6-メチルニコチンアミド、6-アミノニコチンアミド、N-メチルニコチンアミド、N,N-ジメチルニコチンアミド、N-(ヒドロキシメチル)ニコチンアミド、キノリン酸イミド、ニコチンアニリド、N-ベンジルニコチンアミド、N-エチルニコチンアミド、ニフェナゾン、ニコチンアルデヒド、イソニコチン酸、メチルイソニコチン酸、チオニコチンアミド、ニアラミド、2-メルカプトニコチン酸、ニコモル及びナイアプラジン、ニコチン酸メチル及びニコチン酸ナトリウム。
【0424】
また挙げることができる他のビタミンB3誘導体には、その無機塩、例えば塩化塩、臭化塩、ヨウ化塩又は炭酸塩、及びその有機塩、例えばカルボン酸との反応によって得られる塩、例えば酢酸塩、サリチル酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、マンデル酸塩、酒石酸塩等が挙げられる。
【0425】
本発明による組成物中の(h)化合物の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であってもよい。
【0426】
その一方で、本発明による組成物中の(h)化合物の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0427】
本発明による組成物中の(h)化合物の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは2質量%~15質量%、より好ましくは3質量%~10質量%の範囲であってもよい。
【0428】
[ジェミニ型界面活性剤]
本発明による組成物は、(i)少なくとも1種のジェミニ型界面活性剤を含んでもよい。単一のタイプのジェミニ型界面活性剤が使用されてもよいが、2種以上の異なるタイプのジェミニ型界面活性剤を組み合わせて使用することもできる。
【0429】
本発明で使用される(i)ジェミニ型界面活性剤又は二量体界面活性剤は、周知である。様々な化学構造及びそれらの物理化学的特性の詳細な説明については、以下の刊行物が参照されうる:
Milton J. Rosen、Gemini Surfactants, Properties of surfactant molecules with two hydrophilic groups and two hydrophobic groups、Cosmetics & Toiletries magazine、113巻、1998年12月、49~55頁、及び
Milton J. Rosen、Recent Developments in Gemini Surfactants、Allured's Cosmetics & Toiletries magazine、2001年7月、116巻、7号、67~70頁。
【0430】
(i)ジェミニ型界面活性剤は、2つ以上の脂肪アミド基を有する化合物(以後、これを「アミド化合物」と称することがある)から選択することができる。アミド化合物は、以下の式(A):
【0431】
【0432】
[式中、
Y'は、独立して、カルボン酸基、又はカルボン酸基のアルカリ塩、例えばカルボン酸基のナトリウム塩を示し、
j1、k1、j2及びk2は、(j1、k1、j2、k2)=(2、0、2、0)、(2、0、0、2)、(0、2、2、0)及び(0、2、0、2)のいずれかとなるような整数を示し、
lは、6~16、好ましくは8~14、より好ましくは10~12の整数を示す]
によって表すことができる。
【0433】
好ましくは、式(A)中、Lは8~12の整数を示し、j1=j2=0、且つk1=k2=2である。
【0434】
最も好ましくは、式(A)中、Y'は-COONaであり、j1=j2=0、k1=k2=2、且つL=10である。
【0435】
アミド化合物は、例えば、長鎖N-アシル酸性アミノ酸無水物を塩基性アミノ酸、例えばリジンと、水及び/若しくは水と有機溶媒との混合溶媒中、又は不活性有機溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラクロロメタン、クロロホルム、アセトン等の中、又はいずれの溶媒もなしで、-5℃~200℃、好ましくは5℃~100℃、より好ましくは0℃~60℃にて反応させることによって、調製することができる。
【0436】
アミド化合物として挙げることができるのは、ジラウラミドグルタミドリジンナトリウム、ジミリストイルグルタミドリジンナトリウム及びジステアロイルグルタミドリジンナトリウムである。
【0437】
ジラウラミドグルタミドリジンナトリウムが、特に好ましい。ジラウラミドグルタミドリジンナトリウムは、水溶液の総質量に対して29質量%の濃度における水溶液として旭化成ファインケム株式会社によりPellicer L-10及びL-30で、又はジラウラミドグルタミドリジンナトリウムとブチレングリコールとの混合物として旭化成ファインケム株式会社によりPellicer LB-30Gで、市販されている。
【0438】
別の実施形態では、(i)ジェミニ型界面活性剤はまた、以下の式(I):
【0439】
【0440】
[式中、
R1及びR3は、互いに独立して、1~25個の炭素原子を含むアルキル基を表し、
R2は、1~12個の炭素原子を含有する、直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖からなるスペーサー基を表し、
X及びYは、互いに独立して、-(C2H4O)a-(C3H6O)bZ基(式中、
Zは、水素原子、又は-CH2-COOM、-SO3M、-P(O)(OM)2、-C2H4-SO3M、-C3H6-SO3M若しくは-CH2(CHOH)4CH2OHの各基(式中、Mは、H、又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属イオン、又はアンモニウムイオン若しくはアルカノールアンモニウムイオンを表す)を表し、
aは0~15と多様であり、bは0~10と多様であり、a+bの和は1~25と多様である)を表し、
nは、1~10と多様である]
に従うこともできる。
【0441】
式(I)のジェミニ型界面活性剤は、好ましくは、R1-CO-基及びR3-CO-基のうちのそれぞれが、8~20個の炭素原子を含み、好ましくはヤシ脂肪酸の残基(主にラウリン酸及びミリスチン酸を含む)を表すようなものである。
【0442】
加えて、この界面活性剤は、好ましくは、X基及びY基のそれぞれについて、aとbとの和が、10~20と多様である平均値を有し、好ましくは15に等しくなるようなものである。Zの好ましい基は、--SO3M基(式中、Mは、好ましくはアルカリ金属イオン、例えばナトリウムイオンである)である。
【0443】
スペーサーR2は、有利にはC1~C3直鎖状アルキレン鎖、好ましくはエチレン鎖(CH2CH2)からなる。最後に、nは、有利には1に等しい。
【0444】
このタイプの界面活性剤は、特に以下の構造:
【0445】
【0446】
を有するINCI名:ジココイルエチレンジアミンPEG-15硫酸ナトリウムによって識別されるものであり、PEGは、CH2CH2O基を表し、「ココイル」は、ヤシ脂肪酸残基を表すと理解される。
【0447】
この界面活性剤は、セラミド-3の分子構造に非常に似た分子構造を有する。
【0448】
好ましくは、本発明によるジェミニ型界面活性剤は、他の界面活性剤との混合物において、特に、(a)C6~C22脂肪酸(好ましくはC14~C20、例えばステアリン酸)とグリセリルとのエステル、(b)C6~C22脂肪酸(好ましくはC14~C20、例えばステアリン酸)及びクエン酸とグリセロールとのジエステル(特にC6~C22脂肪酸エステル及びモノクエン酸グリセリル)、並びに(c)C10~C30脂肪族アルコール(好ましくはベヘニルアルコール)との混合物において使用することができる。
【0449】
有利には、本発明による組成物は、ジココイルエチレンジアミンPEG-15硫酸ナトリウムと、ステアリン酸グリセリルと、モノクエン酸ステアリン酸グリセリルと、ベヘニルアルコールとの混合物を含む。
【0450】
例えば、ジェミニ型界面活性剤は、Sasol社により商品名Ceralution(登録商標)で販売されている製品、例えば特に以下の製品の形態において、他の界面活性剤との混合物として使用することができる:
Ceralution(登録商標)H:ベヘニルアルコール、ステアリン酸グリセリル、クエン酸ステアリン酸グリセリル及びジココイルエチレンジアミンPEG-15硫酸ナトリウム(INCI名)、
Ceralution(登録商標)F:ラウロイル乳酸ナトリウム及びジココイルエチレンジアミンPEG-15硫酸ナトリウム(INCI名)、並びに
Ceralution(登録商標)C:水、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、グリセリン、セテアレス-25、ジココイルエチレンジアミンPEG-15硫酸ナトリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、ベヘニルアルコール、ステアリン酸グリセリル、クエン酸ステアリン酸グリセリル、アラビアガム、キサンタンガム、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン(INCI名)。
【0451】
ジェミニ型界面活性剤は、これらの混合物の3質量%~50質量%を占める。好ましくは、組成物は、ジェミニ型界面活性剤として、INCI名:ベヘニルアルコール、ステアリン酸グリセリル、クエン酸ステアリン酸グリセリル及びジココイルエチレンジアミンPEG-15硫酸ナトリウムを有する化合物を含み、これは、Sasol社により商品名Ceralution(登録商標)Hで販売されている。
【0452】
本発明による組成物中の(i)ジェミニ型界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であってもよい。
【0453】
その一方で、本発明による組成物中の(i)ジェミニ型界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってもよい。
【0454】
本発明による組成物中の(i)ジェミニ型界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.005質量%~3質量%、より好ましくは0.01質量%~1質量%の範囲であってもよい。
【0455】
[ポリオール]
本発明による組成物は、少なくとも1種のポリオールを更に含んでもよい。単一のタイプのポリオールを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプのポリオールを組み合わせて使用することもできる。
【0456】
用語「ポリオール」は、本明細書では、2つ以上のヒドロキシ基を有するアルコールを意味し、糖類又はその誘導体を包含しない。糖類の誘導体には、糖類の1つ又は複数のカルボニル基を還元することによって得られる糖アルコール、及びその1つ又は複数のヒドロキシ基中の水素原子が、少なくとも1個の置換基、例えばアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アシル基又はカルボニル基で置き換えられた糖類又は糖アルコールが挙げられる。
【0457】
ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシ基、好ましくは2~5つのヒドロキシ基を含む、C2~C12ポリオール、好ましくはC2~C9ポリオールであってもよい。
【0458】
ポリオールは、天然ポリオールであっても合成ポリオールであってもよい。ポリオールは、直鎖状、分枝状又は環状の分子構造を有していてもよい。
【0459】
ポリオールは、グリセリン類及びその誘導体、並びにグリコール類及びその誘導体から選択することができる。ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ポリエチレングリコール(5~50のエチレンオキシド基)及びソルビトール等の糖からなる群から選択することができる。
【0460】
ポリオールは、組成物の総質量に対して、0.01質量%~30質量%、好ましくは0.1質量%~20質量%、例えば1質量%~10質量%の範囲の量で存在してもよい。
【0461】
[他の任意選択の成分]
本発明による組成物はまた、化粧用及び皮膚科用の組成物において他で以前から知られている、有効量の他の任意選択の成分、例えば、様々な一般的なアジュバント、金属イオン封鎖剤、例えばEDTA及びエチドロン酸、保存剤、ビタミン又はプロビタミン、例としてはパンテノール、香料、植物抽出物、カチオン性ポリマー等も含むことができる。
【0462】
本発明による組成物は、少なくとも1種の有機溶媒を更に含んでもよい。そのため、有機溶媒は、好ましくは水混和性である。有機溶媒として、例えば、エタノール及びイソプロパノール等のC1~C4アルカノール、ベンジルアルコール及びフェノキシエタノール等の芳香族アルコール、類似の製品、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0463】
有機水溶性溶媒は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上の範囲の量で存在してもよい。
【0464】
有機水溶性溶媒は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下の範囲の量で存在してもよい。
【0465】
有機水溶性溶媒は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%の範囲の量で存在してもよい。
【0466】
[調製及び特性]
本発明による組成物は、上に説明した必須成分と、必要な場合には上に説明した任意選択の成分とを混合することによって調製することができる。
【0467】
上記の必須成分と任意選択の成分とを混合する方法及び手段は、限定されない。任意の従来の方法及び手段を用いて、上記の必須成分と任意選択の成分とを混合して本発明による組成物を調製することができる。従来の方法及び手段には、ホモジナイザー、例えばタービンミキサーが挙げられる。
【0468】
[形態]
本発明による組成物は、O/W型エマルションの形態にある。
【0469】
本発明による組成物は、連続水性相中に分散されている分散脂肪相を含む。分散脂肪相は、水性相中で油滴の形態であることができる。本発明による組成物が、O/W型ゲルエマルション又はO/W型ゲル分散体の形態にあることが好ましい。
【0470】
水性相中に分散した脂肪相からなるO/W型の構成又は構造は、外側に水性相を有し、したがって、O/W型の構成又は構造を有する本発明による組成物は、水性相が提供できる即時のみずみずしさの感覚があるので、心地よい使用感を提供することができる。
【0471】
[方法及び使用]
本発明による組成物が、化粧用組成物であり、好ましくは皮膚等のケラチン物質のための化粧用組成物であり、より好ましくは皮膚ピーリング組成物であることが好ましい。
【0472】
本発明による組成物は、ケラチン物質に塗布されることによって、皮膚、毛髪、粘膜、爪、まつ毛、眉毛及び/又は頭皮等のケラチン物質を処置するための美容方法等の、非治療的方法のために使用することができる。
【0473】
そのため、本発明はまた、ケラチン物質を処置するための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、美容方法に関する。
【0474】
本発明はまた、本発明による組成物の、体及び/若しくは顔面の皮膚、並びに/又は粘膜、並びに/又は頭皮、並びに/又は毛髪、並びに/又は爪、並びに/又はまつ毛、並びに/又は眉毛のためのケア製品等の化粧料としての又は化粧料における、使用に関しうる。
【0475】
換言すると、本発明による組成物は、そのままで化粧料として使用することができる。或いは、本発明による組成物は、化粧料の一要素として使用することができる。例えば、本発明による組成物は、任意の他の要素に添加して又は任意の他の要素と合わせて化粧料を形成することができる。
【0476】
ケア製品は、ローション、クリーム、ヘアトニック、ヘアコンディショナー、日焼け止め剤等であってもよい。
【実施例】
【0477】
本発明を、実施例を介してより詳細に記載するが、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0478】
(実施例1~2及び比較例1~7)
表1に示す実施例1~2及び比較例1~7による以下の組成物を、以下のように、表1に示す成分を混合して調製した:
(1)表1のA欄の成分を70~75℃で混合して、A相の均一な混合物を形成する工程と、
(2)表1のB欄の成分を、A相の混合物に75~80℃で添加し、続いてこれらを均質化して70~75℃の均一な混合物(A相及びB相)を得る工程と、
(3)表1のC欄の成分を70~75℃で混合して、C相の混合物を形成する工程と、
(4)C相の混合物を、A相及びB相の混合物に70~75℃で添加し、続いてこれらを均質化して70~75℃の均一な混合物(A相、B相及びC相)を得て、得られた混合物を約30℃に冷却する工程と、
(5)表1のD欄及びE欄の成分を、A相、B相及びC相の混合物に約30℃で添加し、続いてこれらを均質化して約30℃の均一な混合物(A相、B相、C相、D相及びE相)を得て、得られた混合物を室温に冷却する工程。
【0479】
表1に示す成分の量の数値は、全て活性原料の「質量%」に基づく。
【0480】
【0481】
【0482】
【0483】
[評価]
(べたつきのない感触)
5名の専門の判定士が、実施例1~2及び比較例1~7による組成物の塗布後の「べたつきのない感触」を評価した。それぞれの判定士は、各組成物を手にとり、次いで、自分の顔に塗布して塗布後のべたつきのない感触を評価し、1(非常に不良)から5(非常に良好)で採点し、次いで、採点の平均に基づいて、以下の4つのカテゴリーに分類した:
非常に良好: 5.0~4.0
良好: 3.9~3.0
不良: 2.9~2.0
非常に不良: 1.9~1.0
【0484】
結果を表1に示す。
【0485】
(滑らかな感触)
5名の専門の判定士が、実施例1~2及び比較例1~7による組成物の塗布中に、「滑らかな感触(脂ぎっていない感触)」を評価した。それぞれの判定士は、各組成物を手にとり、次いで、自分の顔に塗布して滑らかな感触(脂ぎっていない感触)を評価し、1(非常に不良)から5(非常に良好)で採点し、次いで、採点の平均に基づいて、以下の4つのカテゴリーに分類した:
非常に良好: 5.0~4.0
良好: 3.9~3.0
不良: 2.9~2.0
非常に不良: 1.9~1.0
【0486】
結果を表1に示す。
【0487】
(温度安定性)
実施例1~2及び比較例1~7による各組成物を、ガラス瓶に充填し、4℃、25℃、40℃及び45℃の温度変化条件下で2か月間保持した。次いで、各サンプルを、変化の程度(色、匂い及びpH)について検査し、以下の基準に従って評価した:
非常に良好:製造時とほぼ同じ状態
良好:色、匂い及びpHの変化がいくらか観察された。しかしながら、分離又はクリーム化又は結晶化の態様は観察されなかった
不良:色、匂い及びpHの変化が明確に観察された。分離又はクリーム化又は結晶化の態様が明確に観察された
非常に不良:色、匂い及びpHの変化が顕著に認められた。分離又はクリーム化又は結晶化の態様が顕著に認められた
【0488】
結果を表1に示す。
【0489】
(肌の色合いの改善)
3名の専門の判定士が、使用4週後に「肌の色合いの改善」を評価した。それぞれの判定士は、各組成物を手にとり、次いで、自分の顔に塗布して肌の色合いの改善を評価し、1(非常に不良)~5(非常に良好)で採点し、次いで、採点の平均に基づいて、以下の4つのカテゴリーに分類した:
非常に良好: 5.0~4.0
良好: 4.0未満~3.0
普通: 3.0未満~2.0
不良: 2.0未満~1.0
【0490】
結果を表1に示す。
【0491】
表1から明らかなように、本発明によるO/W型エマルションの形態にある組成物(実施例1~2)は、べたつきのない感触、滑らかな感触、及び2か月間の温度変化のもとでの安定性の観点から、優れた美容効果を提供することができ、これは、一定の条件下の成分(a)~(g)の組合せに起因しうる。そのため、本発明による組成物は、特に、優れた手触り、及び温度変化のもとでさえ長期にわたる安定性を提供することができる。
【0492】
更に、ナイアシンアミドを含む実施例1による組成物は、ナイアシンアミドを含まない実施例2による組成物よりも良好な、肌の色合いの改善効果をもたらすことができた。
【0493】
その一方で、成分(d)(C6~C32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸)を含まない比較例1による組成物は、劣った温度安定性を示した。
【0494】
8.0から11.5の間である成分(d)のHLB値の加重平均という条件を満たしていない比較例2及び3による組成物は、劣った温度安定性を示した。
【0495】
成分(a)(油)を使用していない比較例4は、べたつきのない感触、滑らかな感触及び温度安定性のうちのいずれかの観点において、非常に不良な美容効果を示した。
【0496】
成分(b)(脂肪族アルコール)を使用していない比較例5は、べたつきのない感触、滑らかな感触及び温度安定性のうちのいずれかの観点において、非常に不良な美容効果を示した。
【0497】
成分(e)(増粘剤)を使用していない比較例6は、非常に不良な温度安定性を示した。
【0498】
成分(f)(粉末)を使用していない比較例7は、非常に不良なべたつきのない感触及び滑らかな感触を示した。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
O/W型エマルションの形態にある組成物であって、
(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種の脂肪族アルコールと、
(c)少なくとも1種の、ヒドロキシル酸、フィチン酸、及びこれらの混合物から選択される酸と、
(d)少なくとも1種の、C
6~C
32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルと、
(e)少なくとも1種の増粘剤と、
(d)少なくとも1種の粉末と、
(g)水と
を含み、
(d)C
6~C
32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルのHLB、又は(d)C
6~C
32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルのHLB値の加重平均が、8.0から11.5の間である、組成物。
【請求項2】
(a)油が、エステル油、トリグリセリド油、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)油の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~30質量%、好ましくは0.1質量%~25質量%、より好ましくは1質量%~20質量%の範囲である、請求項
1に記載の組成物。
【請求項4】
(b)脂肪族アルコールが、セチルアルコール、セテアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項
1に記載の組成物。
【請求項5】
(b)脂肪族アルコールの量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%の範囲である、請求項
1に記載の組成物。
【請求項6】
ヒドロキシル酸が、アルファ-ヒドロキシ酸、ベータ-ヒドロキシ酸、及びこれらの混合物から選択される、請求項
1に記載の組成物。
【請求項7】
(c)酸の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~8質量%の範囲である、請求項
1に記載の組成物。
【請求項8】
(d)C
6~C
32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルが、2~10個のグリセリン、好ましくは2~8個のグリセリン、より好ましくは2~6個のグリセリンに由来するポリグリセリル部分を有する、請求項
1に記載の組成物。
【請求項9】
(d)C
6~C
32脂肪酸残基を有するポリグリセリル脂肪酸エステルの量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.05質量%~15質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%の範囲である、請求項
1に記載の組成物。
【請求項10】
(e)増粘剤が、多糖、AMPS(コ)ポリマー、及びこれらの混合物から選択される、請求項
1に記載の組成物。
【請求項11】
(e)増粘剤の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%の範囲である、請求項
1に記載の組成物。
【請求項12】
(f)粉末が、顔料、フィラー、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項
1に記載の組成物。
【請求項13】
(f)粉末の量が、組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%の範囲である、請求項
1に記載の組成物。
【請求項14】
(h)ビタミンB3及びその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物を更に含む、請求項
1に記載の組成物。
【請求項15】
ケラチン物質を処置するための美容方法であって、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、美容方法。
【国際調査報告】