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特表2024-545371ダイレクトドライブトランスミッションシステム及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】ダイレクトドライブトランスミッションシステム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 41/03 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
H02K41/03 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023529113
(86)(22)【出願日】2023-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 CN2023087072
(87)【国際公開番号】W WO2024119682
(87)【国際公開日】2024-06-13
(31)【優先権主張番号】202211564744.7
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522237667
【氏名又は名称】エーエーシー テクノロジーズ (ナンジン) カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Technologies (Nanjing) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】8th Floor, R&D Building, Emerging Industry Incubation Base, Nanda Science Park, Yuanhua road, Xianlin University Town, Qixia district, Nanjing City, Jiangsu Province, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】郭順
(72)【発明者】
【氏名】史衛領
(72)【発明者】
【氏名】銭林
(72)【発明者】
【氏名】朱学園
【テーマコード(参考)】
5H641
【Fターム(参考)】
5H641BB06
5H641BB19
5H641GG02
5H641GG04
5H641GG26
5H641HH03
5H641JA02
5H641JA09
(57)【要約】
【課題】本発明には、ダイレクトドライブトランスミッションシステム及び制御方法が提供される。
【解決手段】ダイレクトドライブトランスミッションシステムは、基板、ガイドレール、複数の固定子、可動子、第1位置フィードバック装置、複数の第2位置フィードバック装置、複数のドライバ及びコントローラを含み、第1位置フィードバック装置と第2位置フィードバック装置が対応して設置され、固定子は、可動子をガイドレール上に摺動させるように駆動するために用いられ、複数の第2位置フィードバック装置が間隔をあけて分布し、第2位置フィードバック装置がコントローラに電気的に接続され、コントローラは、受信した第2位置フィードバック装置からフィードバックされた有効な位置情報に基づいて各ドライバの駆動動作を制御するために用いられる。第2位置フィードバック装置がコントローラに電気的に接続されるため、コントローラは、第2位置フィードバック装置からフィードバックされた有効な位置情報を直接に受信でき、最新の有効な位置情報を受信し、コントローラの位置に対する応答効率を高める、ダイレクトドライブトランスミッションシステムの制御効率を向上させると同時に、ドライバの性能に対する要求を下げることができる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板に固定されたガイドレールと、前記基板に固定され、かつ前記ガイドレールの延在方向に沿って分布する複数の固定子と、前記ガイドレールに摺動可能に組み立てられかつ前記固定子と間隔をあけて設置された可動子と、前記可動子に固定された第1位置フィードバック装置と、前記基板に固定され、かつ複数の固定子に1対1で対応する複数の第2位置フィードバック装置と、各前記固定子に1対1で対応して電気的に接続された複数のドライバと、前記ドライバに電気的に接続されたコントローラと、を含み、前記第1位置フィードバック装置と前記第2位置フィードバック装置が対応して設置されており、前記固定子は、前記可動子を前記ガイドレール上に摺動させるように駆動するために用いられるダイレクトドライブトランスミッションシステムであって、
複数の前記第2位置フィードバック装置が間隔をあけて分布しており、前記第2位置フィードバック装置が前記コントローラに電気的に接続され、前記コントローラは、受信した前記第2位置フィードバック装置からフィードバックされた有効な位置情報に基づいて各前記ドライバの駆動動作を制御するために用いられる、
ことを特徴とするダイレクトドライブトランスミッションシステム。
【請求項2】
前記第2位置フィードバック装置は、対応する固定子のガイドレールの延在方向に沿う両端の間に位置している、
ことを特徴とする請求項1に記載のダイレクトドライブトランスミッションシステム。
【請求項3】
前記第2位置フィードバック装置はリードヘッドであり、前記第1位置フィードバック装置はスケールであり、前記第1位置フィードバック装置の長さは1つの前記固定子の駆動範囲の前記ガイドレールの延在方向に沿う長さ以上である、
ことを特徴とする請求項2に記載のダイレクトドライブトランスミッションシステム。
【請求項4】
前記固定子は、前記基板に固定された第1透磁体と、前記第1透磁体に固定され、かつ前記ガイドレールの延在方向に沿って間隔をあけて分布している複数の巻線と、を含み、前記第2位置フィードバック装置は前記ガイドレールと前記巻線との間に位置し、同じ前記固定子の全ての巻線はいずれも同じ前記ドライバに電気的に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のダイレクトドライブトランスミッションシステム。
【請求項5】
前記可動子は、前記ガイドレールに摺動可能に組み立てられた取付板と、前記取付板の前記基板に近い側に固定された第2透磁体と、前記第2透磁体の前記取付板から離れた側に固定された複数の磁石鋼と、を含み、複数の前記磁石鋼が複数の前記巻線に1対1で対応しかつ対向して設置され、かつ前記磁石鋼が前記巻線と間隔をあけて設置されている、
ことを特徴とする請求項4に記載のダイレクトドライブトランスミッションシステム。
【請求項6】
全ての前記固定子に接続されたドライバはいずれも同じコントローラに電気的に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のダイレクトドライブトランスミッションシステム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のダイレクトドライブトランスミッションシステムに用いられるためのダイレクトドライブトランスミッションシステムの制御方法であって、前記ダイレクトドライブトランスミッションシステムの制御方法は、
第2位置フィードバック装置からフィードバックされた有効な位置情報を受信することと、
前記有効な位置情報に基づいて、駆動しようとするドライバを決定することと、
駆動しようとするドライバに対応する駆動指令を下すことと、を含む、
ことを特徴とするダイレクトドライブトランスミッションシステムの制御方法。
【請求項8】
前記第1位置フィードバック装置はスケールであり、かつ前記第1位置フィードバック装置の目盛りの範囲はM-Nであり、前記第2位置フィードバック装置はリードヘッドであり、2つの前記第2位置フィードバック装置のうち、可動子の移動方向に沿って先にある第2位置フィードバック装置の読み取り値をmとし、後にある読み取り値をnとし、
前記第2位置フィードバック装置が前記第1位置フィードバック装置に対して位置感知を行って得られた固定子に対する可動子の有効な位置情報を受信する前に、さらに、
可動子が開始位置に位置する場合の第1位置フィードバック装置の目盛りを読み取る第2位置フィードバック装置の数と読み取り値を取得することと、
前記第2位置フィードバック装置の数によって、各前記読み取り値と前記目盛りの範囲を比較し、各読み取り値のうちの1つが有効な位置情報であることを決定することと、を含み、
ここで、1つの前記第2位置フィードバック装置の読み取り値のみが前記目盛りの範囲M-N内にある場合、前記第2位置フィードバック装置の読み取り値を有効な位置情報とし、2つの前記第2位置フィードバック装置の読み取り値が前記目盛りの範囲M-N内にある場合、m-Mがn-Nより大きいか否かを判断し、大きい場合、対応する読み取り値がmである第2位置フィードバック装置の読み取り値を有効な位置情報とし、大きくない場合、対応する読み取り値がnである第2位置フィードバック装置の読み取り値を有効な位置情報とする、
ことを特徴とする請求項7に記載のダイレクトドライブトランスミッションシステムの制御方法。
【請求項9】
前記有効な位置情報に基づいて、駆動しようとするドライバを決定することは、
前記有効な位置情報によって、前記有効な位置情報に対応する第2位置フィードバック装置を決定することと、
前記第2位置フィードバック装置に対応する固定子に接続されたドライバ、または前記第2位置フィードバック装置に対応する固定子と可動子の摺動方向に沿った次の固定子に接続されたドライバを駆動しようとするドライバとすることと、を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載のダイレクトドライブトランスミッションシステムの制御方法。
【請求項10】
前記有効な位置情報に基づいて、駆動しようとするドライバを決定した後、さらに、
位置解析アルゴリズムで有効な位置情報を解析し、可動子の位置実際値を得ることと、
可動子の位置実際値と予め設定された位置基準値を比較することと、
前記位置実際値が前記位置基準値より大きい場合、駆動しようとする前記ドライバに電流出力を低下させる駆動指令を下し、前記位置実際値が前記位置基準値より小さい場合、駆動しようとする前記ドライバに電流出力を向上させる駆動指令を下し、前記位置実際値が前記位置基準値と等しい場合、駆動しようとする前記ドライバに電流出力を一定に維持する駆動指令を下すことと、を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載のダイレクトドライブトランスミッションシステムの制御方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイレクトドライブトランスミッションシステムの技術分野に関し、特にダイレクトドライブトランスミッションシステム及び制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モーター技術の発展に伴って、様々な製造業界はいずれもその生産ラインに様々なモーターを配置している。そのうち、ダイレクトドライブモーターを採用したダイレクトドライブトランスミッションシステムは、部品輸送などの生産ラインのシナリオで広く使われていると同時に、トランスミッションシステムによって各トランスミッションユニットの位置を正確に制御できるプランも徐々に採用されている。
【0003】
従来技術では、セグメント化ドライブ型ダイレクトドライブトランスミッションシステムの多くは位置フィードバック方式で位置をドライバにフィードバックし、コントローラが全てのドライバの位置情報を統合的に制御し、一定の位置フィードバック遅延があり、このため、コントローラの位置に対する応答効率が低くなり、制御効率に影響を及ぼしている。
【0004】
したがって、新しいダイレクトドライブトランスミッションシステムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術のダイレクトドライブトランスミッションシステムにおけるコントローラの位置に対する応答効率が低いという技術的課題を解決できるダイレクトドライブトランスミッションシステム及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術案は以下の通りである。
ダイレクトドライブトランスミッションシステムは、基板と、前記基板に固定されたガイドレールと、前記基板に固定され、かつ前記ガイドレールの延在方向に沿って分布する複数の固定子と、前記ガイドレールに摺動可能に組み立てられかつ前記固定子と間隔をあけて設置された可動子と、前記可動子に固定された第1位置フィードバック装置と、前記基板に固定され、かつ複数の固定子に1対1で対応する複数の第2位置フィードバック装置と、各前記固定子に1対1で対応して電気的に接続された複数のドライバと、前記ドライバに電気的に接続されたコントローラと、を含み、前記第1位置フィードバック装置と前記第2位置フィードバック装置が対応して設置されており、前記固定子は、前記可動子を前記ガイドレール上に摺動させるように駆動するために用いられ、複数の前記第2位置フィードバック装置が間隔をあけて分布しており、前記第2位置フィードバック装置が前記コントローラに電気的に接続され、前記コントローラは、受信した前記第2位置フィードバック装置からフィードバックされた有効な位置情報に基づいて各前記ドライバの駆動動作を制御するために用いられる。
【0007】
好ましくは、前記第2位置フィードバック装置は、対応する固定子のガイドレールの延在方向に沿う両端の間に位置している。
【0008】
好ましくは、第2位置フィードバック装置はリードヘッドであり、前記第1位置フィードバック装置はスケールであり、前記第1位置フィードバック装置の長さは1つの前記固定子の駆動範囲の前記ガイドレールの延在方向に沿う長さ以上である。
【0009】
好ましくは、前記固定子は、前記基板に固定された第1透磁体と、前記第1透磁体に固定され、かつ前記ガイドレールの延在方向に沿って間隔をあけて分布している複数の巻線と、を含み、前記第2位置フィードバック装置は前記ガイドレールと前記巻線との間に位置し、同じ前記固定子の全ての巻線はいずれも同じ前記ドライバに電気的に接続されている。
【0010】
好ましくは、前記可動子は、前記ガイドレールに摺動可能に組み立てられた取付板と、前記取付板の前記基板に近い側に固定された第2透磁体と、前記第2透磁体の前記取付板から離れた側に固定された複数の磁石鋼と、を含み、複数の前記磁石鋼が複数の前記巻線に1対1で対応しかつ対向して設置され、かつ前記磁石鋼が前記巻線と間隔をあけて設置されている。
【0011】
好ましくは、全ての前記固定子に接続されたドライバはいずれも同じコントローラに電気的に接続されている。
【0012】
好ましくは、上記のいずれか1項に記載のダイレクトドライブトランスミッションシステムに用いられるためのダイレクトドライブトランスミッションシステムの制御方法は、
第2位置フィードバック装置からフィードバックされた有効な位置情報を受信することと、
前記有効な位置情報に基づいて、駆動しようとするドライバを決定することと、
駆動しようとするドライバに対応する駆動指令を下すことと、を含む。
【0013】
好ましくは、前記第1位置フィードバック装置はスケールであり、かつ前記第1位置フィードバック装置の目盛りの範囲はM-Nであり、前記第2位置フィードバック装置はリードヘッドであり、2つの前記第2位置フィードバック装置のうち、可動子の移動方向に沿って先にある第2位置フィードバック装置の読み取り値をmとし、後にある読み取り値をnとし、
前記第2位置フィードバック装置が第1位置フィードバック装置に対して位置感知を行って得られた固定子に対する可動子の有効な位置情報を受信する前に、さらに、
可動子が開始位置に位置する場合の第1位置フィードバック装置の目盛りを読み取る第2位置フィードバック装置の数と読み取り値を取得することと、
前記第2位置フィードバック装置の数によって、各前記読み取り値と前記目盛りの範囲を比較し、各読み取り値のうちの1つが有効な位置情報であることを決定することと、を含み、
ここで、1つの前記第2位置フィードバック装置の読み取り値のみが前記目盛りの範囲M-N内にある場合、前記第2位置フィードバック装置の読み取り値を有効な位置情報とし、2つの前記第2位置フィードバック装置の読み取り値が前記目盛りの範囲M-N内にある場合、m-Mがn-Nより大きいか否かを判断し、大きい場合、対応する読み取り値がmである第2位置フィードバック装置の読み取り値を有効な位置情報とし、大きくない場合、対応する読み取り値がnである第2位置フィードバック装置の読み取り値を有効な位置情報とする。
【0014】
好ましくは、前記有効な位置情報に基づいて、駆動しようとするドライバを決定することは、
前記有効な位置情報によって、前記有効な位置情報に対応する第2位置フィードバック装置を決定することと、
前記第2位置フィードバック装置に対応する固定子に接続されたドライバ、または前記第2位置フィードバック装置に対応する固定子と可動子の摺動方向に沿った次の固定子に接続されたドライバを駆動しようとするドライバとすることと、を含む。
【0015】
好ましくは、前記有効な位置情報に基づいて、駆動しようとするドライバを決定した後、さらに、
位置解析アルゴリズムで有効な位置情報を解析し、可動子の位置実際値を得ることと、
可動子の位置実際値と予め設定された位置基準値を比較することと、
前記位置実際値が前記位置基準値より大きい場合、駆動しようとする前記ドライバに電流出力を低下させる駆動指令を下し、前記位置実際値が前記位置基準値より小さい場合、駆動しようとする前記ドライバに電流出力を向上させる駆動指令を下し、前記位置実際値が前記位置基準値と等しい場合、駆動しようとする前記ドライバに電流出力を一定に維持する駆動指令を下すことと、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の有益な効果は以下の通りである。
第2位置フィードバック装置がコントローラに電気的に接続されているため、コントローラは第2位置フィードバック装置からフィードバックされた有効な位置情報を直接に受信することができ、第2位置フィードバック装置からフィードバックされた位置情報がドライバに伝送されてから、ドライバを介してコントローラに伝送されるという従来技術と比べて、コントローラは最新の有効な位置情報を受信し、コントローラの位置に対する応答効率を高めることができ、ダイレクトドライブトランスミッションシステムの制御効率を向上させることができると同時に、ドライバの性能に対する要求を下げることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施例におけるダイレクトドライブトランスミッションシステムの構成を示す図である。
図2図2は、図1のA-A方向の一部の断面図である。
図3図3は、図3は、本発明の実施例におけるダイレクトドライブトランスミッションシステムの正面図である。
図4図4は、本発明の実施例におけるダイレクトドライブトランスミッションシステムの制御方法の概略フローチャートである。
図5図5は、本発明の実施例におけるダイレクトドライブトランスミッションシステムの制御方法の基本的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面及び実施形態を組み合わせて本発明をさらに説明する。
【0019】
図1図2および図3に示すように、本発明の実施例には、ダイレクトドライブトランスミッションシステムが提供され、当該ダイレクトドライブトランスミッションシステムは、基板1と、基板1に固定されたガイドレール2と、基板1に固定され、かつガイドレール2の延在方向に沿って分布する複数の固定子3と、ガイドレール2に摺動可能に組み立てられかつ固定子3と間隔をあけて設置された可動子4と、可動子4に固定された第1位置フィードバック装置5と、基板1に固定され、かつ複数の固定子3に1対1で対応する複数の第2位置フィードバック装置6と、各固定子3に1対1で対応して電気的に接続された複数のドライバ(図示せず)と、ドライバに電気的に接続されたコントローラ(図示せず)と、を含み、第1位置フィードバック装置5と第2位置フィードバック装置6が対応して設置されており、固定子3は、可動子4をガイドレール2上に摺動させるように駆動するために用いられ、複数の第2位置フィードバック装置6が間隔をあけて分布しており、第2位置フィードバック装置6がコントローラに電気的に接続され、コントローラは、受信した第2位置フィードバック装置6からフィードバックされた有効な位置情報に基づいて各ドライバの駆動動作を制御するために用いられる。
【0020】
第2位置フィードバック装置6がコントローラに電気的に接続されているため、コントローラは第2位置フィードバック装置6からフィードバックされた有効な位置情報を直接に受信することができ、第2位置フィードバック装置6からフィードバックされた位置情報がドライバに伝送されてから、ドライバを介してコントローラに伝送されるという従来技術と比べて、コントローラは最新の有効な位置情報を受信し、コントローラの位置に対する応答効率を高めることができ、ダイレクトドライブトランスミッションシステムの制御効率を向上させることができると同時に、ドライバの性能に対する要求を下げることもできる。
【0021】
なお、本発明のダイレクトドライブトランスミッションシステムは、各固定子3に接続されたドライバに異なる駆動指令を下すことによって、各ドライバが異なる駆動モードになるようにして、ダイレクトドライブトランスミッションシステムのセグメント化されたドライブを実現することができ、この場合、各固定子3は順次接続されることができる。あるいは、複数の固定子3を間隔をあけて分布させることで、固定子3に対応する駆動領域及び固定子3が設けられていない過渡領域とを有する伝送線路を形成し、ダイレクトドライブトランスミッションシステムのセグメント化されたドライブを実現し、この場合、伝送線路上の過渡領域では、可動子4が慣性によってガイドレール2上を摺動する。
【0022】
図1図3に示すように、1つの実施例では、第2位置フィードバック装置6は、対応する固定子3のガイドレール2の延在方向に沿う両端の間に位置しており、具体的には、第2位置フィードバック装置6 が固定子3の両端間の中央部に位置し、可動子4が摺動している任意の時刻で、第2位置フィードバック装置6が第1位置フィードバック装置5の位置を感知する現象が存在することを確保する。
【0023】
図1図3に示すように、1つの実施例では、第2位置フィードバック装置6はリードヘッドであり、第1位置フィードバック装置5はスケールであり、第1位置フィードバック装置5の長さは1つの固定子3の駆動範囲のガイドレール2の延在方向に沿う長さ以上である。具体的には、第1位置フィードバック装置5はラスタスケールまたは磁気スケールであり、スケールは可動子4の摺動方向に沿って可動子4に取り付けられ、第1位置フィードバック装置5の長さは固定子3の駆動範囲のガイドレール2の延在方向に沿う長さと等しく、即ち、スケールの長さは1つの固定子3の長さと等しい。第2位置フィードバック装置6が対応する固定子3の中央部に位置しているため、第1位置フィードバック装置5は常に第2位置フィードバック装置6によって感知され、可動子4の位置をリアルタイムに決定することができる。
【0024】
図1図2および図3に示すように、1つの実施例では、固定子3は、基板1に固定された第1透磁体31と、第1透磁体31に固定され、かつガイドレール2の延在方向に沿って間隔をあけて分布している複数の巻線32と、を含み、第2位置フィードバック装置6はガイドレール2と巻線32との間に位置し、同じ固定子3の全ての巻線32はいずれも同じドライバに電気的に接続されている。具体的には、第1透磁体31は平板状であってもよく、巻線32は、第1透磁体31の基板1から離れた側の表面から、外側に突出して形成された複数の突起部321と、各突起部321の外側に1対1に対応して周設固定された複数のコイル322と、を含み、突起部321が矩形状であってもよく、各突起部321が均一に間隔をあけて分布しており、これによって。巻線32に適切な電流を導入してから発生した進行波磁界の分布が比較的均一になる。隣接する2つのコイル322が間隔をあけて設置されることによって、コイル322に放熱空間を提供することができる。同じ固定子3の全ての巻線32がいずれも対応する固定子3のドライバに電気的に接続されているため、1つのドライバで1つの固定子3を駆動することができ、ダイレクトドライブトランスミッションシステムにおけるドライバの使用数を減らし、ダイレクトドライブトランスミッションシステムのコストを削減することができる。
【0025】
図1図2および図3に示すように、1つの実施例では、可動子4は、ガイドレール2に摺動可能に組み立てられた取付板41と、取付板41の基板1に近い側に固定された第2透磁体42と、第2透磁体42の取付板41から離れた側に固定された複数の磁石鋼43と、を含み、複数の磁石鋼43が複数の巻線32に1対1で対応しかつ対向して設置され、かつ磁石鋼43が巻線32と間隔をあけて設置されている。具体的には、ガイドレール2は、合計2つ設けられかつ間隔をあけて設置されており、取付板41の両端はそれぞれ2つのガイドレール2に摺動可能に組み立てられ、これによって、可動子4の摺動安定性の向上に役立つ。第2透磁体42は平板状であり、複数の磁石鋼43が第2透磁体42に均一に分布しており、かつ複数の磁石鋼43が複数の巻線32に1対1で対応しかつ対向して設置されている。理解できるように、ダイレクトドライブトランスミッションシステムが待機状態にあった時、磁石鋼43が磁界を感知し、磁石鋼43と巻線32との間にギャップ磁界が発生し、巻線32に適切な電流を導入すると進行波磁界が発生し、この場合、ギャップ磁界と進行波磁界とが相互作用して磁石鋼43と巻線32との間に推力を発生させ、固定子3が可動子4を推力の方向にガイドレール2上に摺動させるように駆動する。必要に応じて、可動子4は、両側がそれぞれガイドレール2に摺動可能に組み立てられ、かつ取付板41に固定された摺動板44を備え、摺動板44は、取付板41のガイドレール2に対する摺動に有利となるとともに、摺動板44の厚みによって、磁石鋼43と巻線32との間のギャップを制御することができる。
【0026】
一つの実施例では、全ての固定子3に接続されたドライバはいずれも同じコントローラに電気的に接続されている。これによって、異なるドライバから出力される電流に大きすぎる差異があることを避けることができるとともに、各ドライバを協働して制御することに役立つ。
【0027】
図4に示すように、本発明には、前記ダイレクトドライブトランスミッションシステムに用いられるためのダイレクトドライブトランスミッションシステムの制御方法がさらに提供される。図4は、本発明の実施例におけるダイレクトドライブトランスミッションシステムの制御方法の概略フローチャートであり、ダイレクトドライブトランスミッションシステムの制御方法は、
第2位置フィードバック装置6からフィードバックされた有効な位置情報を受信するステップS10と、
有効な位置情報に基づいて、駆動しようとするドライバを決定するステップS11と、
駆動しようとするドライバに対応する駆動指令を下すステップS12と、を含む。
【0028】
本実施例では、ドライバを介さずに、直接コントローラを介して、第2位置フィードバック装置6からフィードバックされた有効な位置情報を受信することによって、コントローラは最新の有効な位置情報を受信し、コントローラの位置に対する応答効率を高めることができ、フィードバック装置の位置フィードバック効率とダイレクトドライブトランスミッションシステムの制御効率を向上させ、ドライバの性能に対する要求を下げている。ここで、上記ステップS12における対応する駆動指令は、巻線32に出力された電流を増やすか、電流を減らすか、または、電流を一定に維持するというコントローラがドライバに下した駆動指令を含む。
【0029】
図5は、本発明の実施例におけるダイレクトドライブトランスミッションシステムの制御方法の基本的なフローチャートであり、図5に示すように、1つの実施例では、ダイレクトドライブトランスミッションシステムの制御方法は、
可動子4が開始位置に位置する場合の第1位置フィードバック装置5の目盛りを読み取る第2位置フィードバック装置6の数と読み取り値を取得するステップS20と、
第2位置フィードバック装置6の数によって、各読み取り値と目盛りの範囲を比較し、各読み取り値のうちの1つが有効な位置情報であることを決定するステップS21と、
第2位置フィードバック装置6からフィードバックされた有効な位置情報を受信するステップS22と、
有効な位置情報によって、有効な位置情報に対応する第2位置フィードバック装置6を決定するステップS23と、
第2位置フィードバック装置6に対応する固定子3に接続されたドライバ、または第2位置フィードバック装置6に対応する固定子3と可動子4の摺動方向に沿った次の固定子3に接続されたドライバを駆動しようとするドライバとするステップS24と、
駆動しようとするドライバに対応する駆動指令を下すステップS25と、を含む。
【0030】
本実施例では、第1位置フィードバック装置5はスケールであり、かつ第1位置フィードバック装置5の目盛りの範囲はM-Nであり、第2位置フィードバック装置6はリードヘッドであり、2つの第2位置フィードバック装置6のうち、可動子4の移動方向に沿って先にある第2位置フィードバック装置6の読み取り値をmとし、後にある読み取り値をnとする。スケールは可動子4の摺動方向に沿って取付板41に取り付けられ、複数のリードヘッドはガイドレール2の長手方向に沿って基板1に固定され、リードヘッドがスケールと対向して設置されている。複数の固定子3は順次接続され、リードヘッドが対応する固定子3の両端の中央部に位置しており、スケールの長さは各々の固定子3の長さと等しいため、リードヘッドによって常にスケールから数値を読み取ることができるようになる。
【0031】
具体的には、ステップS20では、ダイレクトドライブトランスミッションシステムの起動時の可動子4の位置を開始位置とする。この場合、1つの第2位置フィードバック装置6または2つの第2位置フィードバック装置6は第1位置フィードバック装置5の目盛りを読み取ることができる状況がある。
【0032】
ステップS21では、1つの第2位置フィードバック装置6の読み取り値のみが目盛りの範囲M-N内にある場合、第2位置フィードバック装置6の読み取り値を有効な位置情報とする。2つの第2位置フィードバック装置6の読み取り値が目盛りの範囲M-N内にある場合、m-Mがn-Nより大きいか否かを判断し、大きい場合、対応する読み取り値がmである第2位置フィードバック装置6の読み取り値を有効な位置情報とし、大きくない場合、対応する読み取り値がnである第2位置フィードバック装置6の読み取り値を有効な位置情報とする。理解できるように、リードヘッド自体はある程度の長さを持っており、ステップS21によって、リードヘッド自体の長さの有効な位置情報の取得に対する干渉を解消し、ダイレクトドライブトランスミッションシステムの位置検出精度を高めることができる。
【0033】
ステップS23では、有効な位置情報は、読み取り値がmである第2位置フィードバック装置6、または読み取り値がnである第2位置フィードバック装置6、または読み取り値が目盛りの範囲M-N内にある第2位置フィードバック装置6に対応する。ステップS24では、有効な位置情報に対応するのが読み取り値がmまたはnである第2位置フィードバック装置6であると決定された場合、第2位置フィードバック装置6に対応する固定子3に接続されたドライバを駆動しようとするドライバとして決定する。有効な位置情報に対応するのが読み取り値が目盛りの範囲M-N内にある第2位置フィードバック装置6であると決定された場合、第2位置フィードバック装置6に対応する固定子3に接続されたドライバと、可動子4の摺動方向に沿った次の固定子3に接続されたドライバとを駆動しようとするドライバとする。
【0034】
1つの実施例では、制御の正確性をさらに高めるために、ダイレクトドライブトランスミッションシステムの制御方法は、ステップ11とステップ12の間に、
位置解析アルゴリズムで有効な位置情報を解析し、可動子4の位置実際値を得るステップS30と、
可動子4の位置実際値と予め設定された位置基準値を比較するステップS31と、
位置実際値が位置基準値より大きい場合、駆動しようとするドライバに電流出力を低下させる駆動指令を下し、位置実際値が位置基準値より小さい場合、駆動しようとするドライバに電流出力を向上させる駆動指令を下し、位置実際値が位置基準値と等しい場合、駆動しようとするドライバに電流出力を一定に維持する駆動指令を下すステップS32と、を含む。
【0035】
本実施例では、位置解析アルゴリズムで有効な位置情報を解析して可動子4の位置実際値を取得し、かつ可動子4の位置実際値と予め設定された位置基準値を比較し、ドライバから巻線32に供給する出力電流の大きさを調整することによって、位置のクローズドループ制御を実現することができ、ダイレクトドライブトランスミッションシステム制御の精度をさらに高めることができる。理解できるように、位置実際値が位置基準値より大きい場合、可動子4が所定時間内に所定の位置を超えることを示す。この場合、駆動しようとするドライバに電流出力を低下させる駆動指令を下すことで、巻線32と磁石鋼43との間の作用力の大きさを減らし、可動子4の摺動速度を下げ、可動子4が所定時間内に所定の位置までちょうど移動できることを確保する。同様に、位置実際値が位置基準値より小さい場合、駆動しようとするドライバに電流出力を向上させる駆動指令を下す。位置実際値が位置基準値に等しい場合、可動子4が所定時間内に所定の位置までちょうど移動できるように、駆動しようとするドライバに電流出力を一定に維持する駆動指令を下す。
【0036】
以上は、本発明の実施形態に過ぎず、ここで、当業者にとって、本発明の発明構想から逸脱しないかぎり、改良を行うことができるが、これらはいずれも本発明の保護の範囲に含まれるものとする。

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】