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特表2024-545382スイカズラの品種を同定するためのSNP座位の組み合わせ、プライマーの組み合わせ及びスイカズラの品種の同定方法
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  • 特表-スイカズラの品種を同定するためのSNP座位の組み合わせ、プライマーの組み合わせ及びスイカズラの品種の同定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】スイカズラの品種を同定するためのSNP座位の組み合わせ、プライマーの組み合わせ及びスイカズラの品種の同定方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6895 20180101AFI20241129BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20241129BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20241129BHJP
【FI】
C12Q1/6895 Z ZNA
C12Q1/686 Z
C12Q1/6869 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505215
(86)(22)【出願日】2023-03-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 CN2023084082
(87)【国際公開番号】W WO2023231532
(87)【国際公開日】2023-12-07
(31)【優先権主張番号】202211657645.3
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521493695
【氏名又は名称】河南師範大学
【氏名又は名称原語表記】HENAN NORMAL UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No. 46, Jianshe East Road Xinxiang, Henan 453007, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】李 建軍
(72)【発明者】
【氏名】常 ▲しょう▼▲はい▼
(72)【発明者】
【氏名】常 翠芳
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ04
4B063QQ42
4B063QR62
4B063QS25
4B063QX01
(57)【要約】
本発明は、スイカズラの品種を同定するためのSNP座位の組み合わせ、プライマーの組み合わせ及びスイカズラの品種の同定方法を提供し、遺伝子工学分野に関するものであり、前記SNP座位の前後150bpの塩基配列は、SEQ ID No.1~15で示される。本発明による方法は、簡便かつ迅速であり、短時間でスイカズラの新品種を同定することができる上、低コストである。また、高感度であり、Sanger配列決定法と構築済みの39個のスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとを組み合わせることで、検査対象のサンプルの遺伝子型と既存のスイカズラの品種との遺伝子型との違いを効果的に検出することができる。優れた特異性を備え、本発明は、15個の高品質なSNP座位配列に基づいて15対のプライマーを設計し、高い特異性を備えている。本発明は、スイカズラの新品種の同定において高い参考価値があり、普及・応用にも適している。

【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイカズラの品種を同定するためのSNP座位の組み合わせであって、
前記SNP座位の前後150bpの塩基配列は、SEQ ID No.1~15で示される
ことを特徴とするスイカズラの品種を同定するためのSNP座位の組み合わせ。
【請求項2】
請求項1に記載のSNP座位の組み合わせを増幅するためのプライマーの組み合わせであって、
前記プライマーの塩基配列はSEQ ID No.16~45で示される
ことを特徴とするプライマーの組み合わせ。
【請求項3】
SEQ ID No.16~17はSEQ ID No.1を増幅し、
SEQ ID No.18~19はSEQ ID No.2を増幅し、
SEQ ID No.20~21はSEQ ID No.3を増幅し、
SEQ ID No.22~23はSEQ ID No.4を増幅し、
SEQ ID No.24~25はSEQ ID No.5を増幅し、
SEQ ID No.26~27はSEQ ID No.6を増幅し、
SEQ ID No.28~29はSEQ ID No.7を増幅し、
SEQ ID No.30~31はSEQ ID No.8を増幅し、
SEQ ID No.32~33はSEQ ID No.9を増幅し、
SEQ ID No.34~35はSEQ ID No.10を増幅し、
SEQ ID No.36~37はSEQ ID No.11を増幅し、
SEQ ID No.38~39はSEQ ID No.12を増幅し、
SEQ ID No.40~41はSEQ ID No.13を増幅し、
SEQ ID No.42~43はSEQ ID No.14を増幅し、
SEQ ID No.44~45はSEQ ID No.15を増幅する
ことを特徴とする請求項2に記載のプライマーの組み合わせ。
【請求項4】
スイカズラの品種を同定する方法であって、
1) 検査対象のサンプルのDNAを抽出し、前記DNAを鋳型として使用し、請求項2又は3に記載のプライマーの組み合わせを使用してPCR増幅を実行し、増幅産物を得るステップと、
2) 前記ステップ1)で得られた増幅産物に対してSanger配列決定を実行して、検査対象のサンプルの、請求項1に記載のSNP座位における遺伝子型を取得し、DNAフィンガープリントを描画するステップと、
3) 前記ステップ2)で得られたDNAフィンガープリントと、構築済みのスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとを照合し、検査対象のサンプルとスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとの異なる座位=0である場合、「同一品種」として、検査対象のサンプルとスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとの異なる座位≦2である場合、「近似品種」として、検査対象のサンプルとスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとの異なる座位≧3である場合、「異品種」とするステップと、
を含むことを特徴とするスイカズラの品種を同定する方法。
【請求項5】
前記ステップ1)におけるPCR増幅反応系は、1μlの鋳型DNAと、1μlの濃度10μMの上流プライマーと、1μlの濃度10μMの下流プライマーと、1μlのdNTP(mix)と、2.5μlのTaq Bufferと、0.2μlのTaq酵素とを含み、滅菌脱イオン水を25μlとなるまで加える
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記PCR増幅の手順は、95℃で5分間プレ変性し、94℃で30秒間変性し、63℃で30秒間アニーリングし、1サイクル当たりアニーリング温度を0.5℃下げ、72℃で30秒間伸長し、10サイクルし、95℃で30秒間変性し、58℃で30秒間アニーリングし、72℃で30秒間伸長し、30サイクル後、72℃で10分間修復伸長する
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ3)における構築済みのスイカズラDNAフィンガープリントデータベースは39個のスイカズラ品種を用いて通常の方法により構築される
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記39個のスイカズラ品種は、封花1号、魯峰王、巨花1号、亜特1号、亜特立本金銀花、密県線花、密県野生、密県大毛花、豫金1号、豫金2号、特蕾1号、封金1号、豫金4号、豫金5号、密花3号、密花2号、密花1号、豫金3号、金翠蕾、白雲、龍花、龍瑶、華金2号、華金3号、華金6号、豫金6号、豫金5号1-2、九豊1号、野生線花、長針線花、小鶏爪、大鶏爪、細針観花、亜特良種、亜特5号、亜特4号、豊蕾及び淡紅金銀花である
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
検査対象のサンプルの若い葉からDNAを抽出すること
を特徴とする請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子工学の分野を関し、特に、スイカズラの品種を同定するためのSNP座位の組み合わせ、プライマーの組み合わせ及びスイカズラの品種の同定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スイカズラ(Lonicera japonica Thunb.)は、スイカズラ科スイカズラ属の多年生半常緑つる性低木であり、中国原産であり、主に北半球の温帯地域に分布し、日本と韓国とにも少量植栽されている。金銀花は、スイカズラ科の植物スイカズラ(Lonicera japonica Thunb.)の花の蕾又は咲き始めの花を乾燥したものであり、性味が甘寒で芳香があり、胃を痛めずに清熱し、血液を解毒する効果があり、古くから清熱・解毒の良薬として知られており、医療に利用されるほか、健康食品、飲料、化粧品、飼料、香料などの幅広い用途に使用されている。金銀花は、今回の新型コロナウイルス感染症の予防・治療においても重要な役割を果たしており、幅広い市場の可能性を秘めている。
【0003】
中国における金銀花は、主に河南省の密県と封丘、山東省の平邑、河北省の巨鹿の3つの生産地に分布している。河南省の金銀花は、栽培の歴史が長く、品質は最も優れているとされており、特に封丘県は、「中原の二つの花は世界一であり、封丘の二つの花は中原一である」という評判を得ている。中国明代の李時珍の『本草綱目』にも、「スイカズラはどこにでもあるが、封丘の方が優れている」という言葉が記載されている。2003年3月、封丘の金銀花は中国品質監督検査検疫総局が発行する「原産地標記登録証明書」を獲得し、WTO加盟国で知的財産レベルの保護を受けている。金銀花の市場需要が日ましに高まるにつれ、如何に金銀花の品種を科学的且つ正確に同定することが難題となっている。現在、金銀花の生産には、(1)金銀花の生殖質資源の損失が深刻であり、生殖質資源の収集・保存量が少ない、(2)金銀花の新品種や改良品種が少ない、(3)栽培規模が不安定で、金銀花の収穫量と品質が低下するといった課題が存在する。劣った栽培技術、管理標準化の不行き届き、深刻な病虫害、不健全な産業チェーンなどの問題により、スイカズラの生殖質資源は非常に混乱しており、異なる品種の同名、同じ品種の別名、品種間の遺伝的関係が不明などの問題がしばしば発生し、これらの問題により、品種間の知的財産紛争につながるだけでなく、スイカズラの生殖質資源のカタログ作成と保存、新品種の栽培及びスイカズラの品種の普及と応用が非常に困難である。したがって、スイカズラの品種同定の課題を解決する正確、迅速、簡便で低コストの方法の確立が求められている。現在、スイカズラの生殖質は、品種同定において形態学的及び化学的フィンガープリント分析法に限定されており、ほとんどの研究では高速液体クロマトグラフ(HPLC)、キャピラリー電気泳動フィンガープリント(CEFP)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)などが使用されており、DNA分子マーカー技術やDNAフィンガープリントの構築を用いた研究方法は依然として非常に不足しており、スイカズラの新品種を正確、迅速且つ便利に同定するという目的を達成することはできていない。
【0004】
一塩基多型(Single nuleotide polymorphism,SNP)は、ハイスループットシーケンシング技術とDNAチップ技術とに基づいた分子マーカー技術であり、高い多型性、高い共優性継承、効率的で便利な検出手段及び低コストという利点がある。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、特定のDNA断片を増幅するために使用される分子生物学の手法であり、PCRの最大の特徴は、微量のDNAを大幅に増加させることができ、サンプルの特異性を観察しやすくすることである。現時点では、SNP分子マーカー技術やPCR技術は、スイカズラの新品種の迅速同定には使用されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、スイカズラの品種を同定するためのSNP座位の組み合わせ、プライマーの組み合わせ及びスイカズラの品種の同定方法を提供し、本発明は15個の高品質SNP座位を提供し、特異性に基づいて15個の特異的プライマーを設計し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)と第一世代の配列決定技術を使用して、スイカズラの新品種の、15個のSNP座位における遺伝子型を検出し、構築済みのスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとの照合・解析により、スイカズラの新品種かどうかを判別する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本発明は以下のような技術案を提案する。
【0007】
本発明は、スイカズラの品種を同定するためのSNP座位の組み合わせに関するものであり、前記SNP座位の前後150bpの塩基配列は、SEQ ID No.1~15で示される。
【0008】
本発明は、上記の技術案に記載のSNP座位の組み合わせを増幅するためのプライマーの組み合わせを提供し、前記プライマーの塩基配列はSEQ ID No.16~45で示される。
【0009】
好ましくは、SEQ ID No.16~17はSEQ ID No.1を増幅し、
SEQ ID No.18~19はSEQ ID No.2を増幅し、
SEQ ID No.20~21はSEQ ID No.3を増幅し、
SEQ ID No.22~23はSEQ ID No.4を増幅し、
SEQ ID No.24~25はSEQ ID No.5を増幅し、
SEQ ID No.26~27はSEQ ID No.6を増幅し、
SEQ ID No.28~29はSEQ ID No.7を増幅し、
SEQ ID No.30~31はSEQ ID No.8を増幅し、
SEQ ID No.32~33はSEQ ID No.9を増幅し、
SEQ ID No.34~35はSEQ ID No.10を増幅し、
SEQ ID No.36~37はSEQ ID No.11を増幅し、
SEQ ID No.38~39はSEQ ID No.12を増幅し、
SEQ ID No.40~41はSEQ ID No.13を増幅し、
SEQ ID No.42~43はSEQ ID No.14を増幅し、
SEQ ID No.44~45はSEQ ID No.15を増幅する。
【0010】
本発明は、スイカズラ品種を同定する方法を提供し、前記方法は、
1) 検査対象のサンプルのDNAを抽出し、前記DNAを鋳型として使用し、上記の技術案に記載のプライマーの組み合わせを使用してPCR増幅を実行し、増幅産物を得るステップと、
2) 前記ステップ1)で得られた増幅産物に対してSanger配列決定を実行して、検査対象のサンプルの、上記の技術案に記載のSNP座位における遺伝子型を取得し、DNAフィンガープリントを描画するステップと、
3) 前記ステップ2)で得られたDNAフィンガープリントと、構築済みのスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとを照合し、検査対象のサンプルとスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとの異なる座位=0である場合、「同一品種」として、検査対象のサンプルとスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとの異なる座位≦2である場合、「近似品種」として、検査対象のサンプルとスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとの異なる座位≧3である場合、「異品種」とするステップと、を含む。
【0011】
好ましくは、前記ステップ1)におけるPCR増幅反応系は、1μlの鋳型DNAと、1μlの濃度10μMの上流プライマーと、1μlの濃度10μMの下流プライマーと、1μlのdNTP(mix)と、2.5μlのTaq Bufferと、0.2μlのTaq酵素とを含み、滅菌脱イオン水を25μlとなるまで加える。
【0012】
好ましくは、前記PCR増幅の手順は、95℃で5分間プレ変性し、94℃で30秒間変性し、63℃で30秒間アニーリングし、1サイクル当たりアニーリング温度を0.5℃下げ、72℃で30秒間伸長し、10サイクルし、95℃で30秒間変性し、58℃で30秒間アニーリングし、72℃で30秒間伸長し、30サイクル後、72℃で10分間修復伸長する。
【0013】
好ましくは、前記ステップ3)における構築済みのスイカズラDNAフィンガープリントデータベースは39個のスイカズラ品種を用いて通常の方法により構築される。
【0014】
好ましくは、前記39個のスイカズラ品種は、封花1号、魯峰王、巨花1号、亜特1号、亜特立本金銀花、密県線花、密県野生、密県大毛花、豫金1号、豫金2号、特蕾1号、封金1号、豫金4号、豫金5号、密花3号、密花2号、密花1号、豫金3号、金翠蕾、白雲、龍花、龍瑶、華金2号、華金3号、華金6号、豫金6号、豫金5号1-2、九豊1号、野生線花、長針線花、小鶏爪、大鶏爪、細針観花、亜特良種、亜特5号、亜特4号、豊蕾及び淡紅金銀花である。
【0015】
好ましくは、検査対象のサンプルの若い葉からDNAを抽出する。
【0016】
本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0017】
本発明による方法は、簡便かつ迅速であり、短時間でスイカズラの新品種を同定することができる上、低コストである。また、高感度であり、Sanger配列決定法と構築済みの39個のスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとを組み合わせることで、検査対象のサンプルの遺伝子型と既存のスイカズラの品種との遺伝子型との違いを効果的に検出することができる。優れた特異性を備え、本発明は、15個の高品質なSNP座位配列に基づいて15対のプライマーを設計し、高い特異性を備えている。本発明は、スイカズラの新品種の同定において高い参考価値があり、普及・応用にも適している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施例又は従来技術における技術案をより明確に説明するために、実施例で利用する必要のある添付図面について以下に簡単に説明する。
図1】DNA Marker1の電気泳動である。
図2】DNA Marker2の電気泳動である。
図3】構築済みの39個のスイカズラDNAフィンガープリントデータベースである。
図4】DNAの検出及び抽出の図である。
図5】39個のスイカズラサンプルのPCA主成分分析である。
図6】39個のスイカズラサンプルの進化系統樹解析図である。
図7】39個のスイカズラサンプルの遺伝子集団分析である。
図8】検証実験のピークチャート結果であり、Marker1~15はSNP座位名であり、Typeは各サンプルの、座位における遺伝子型である。
図9】検証実験の品種のDNAフィンガープリントである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、スイカズラの品種を同定するためのSNP座位の組み合わせに関するものであり、前記SNP座位の前後150bpの塩基配列は、SEQ ID No.1~15で示され、具体的には以下の通りである。
【0020】
SEQ ID No.1:
CCGAATTGATGGCCAAGGGTGCCGTTGTTGAGATGAACCGAGTTAGGGAGGAGCATGCATTGACCATAGTTTAGTTAAAGGAAATGCATGCCTCCGAAATTTCCCAATTGGGTTCTCGGCATGAATCTGCTTTAATCGACGAGATGAACTATGGTTACAATGAGGCTTTGAGCGACTATGCGTCTGAAATGTCCAAGCTCAAGGATCTCATCTACCAAGGCGGTACAAATTCGGCCTTGAACGTGTTGGTCTCCCACTCGATCATGAACTGTTTGGTCAGGCTGCGCTATGCCCTCATGAT;
SEQ ID No.2:
ACGGGCACATCAGGAGACATATAATAGCCCTCCACAATACTAACAACATGACGTTCCTCATTCTATCATTTCTCAGCCCTCGTAGAACATTCTTAATTAGGGCTCGTTTAGTTCGAGTTTTGGGAATGGAATGGGCATCCTAAATTCCTGGAAACCTTTTATCATAGCATCTAGGTTGCCTTACTAATGTTTGGTTTAGACATGAATTCTTCTTTCCTAAAACGTTAAATTACCTTTCTATATTTAGTTCAATCAAAAATATGAATAAAATACGTGTGGATTATCAAAATATTCTTCATTT;
SEQ ID No.3:
GATCTAAATTGGTATACTCACAATAAAATTCTCTAATAATTTATGTTGAAAGGTTGAATCATAAATTCATGGGGTTGAAATTTTTATATAAAATTACCATTTCGGGTTCCAAGAATGAACAAAAACTCGAACCAAACAAGCATTATGACTGCGTTTGATGTGTGTATGATAAAAGAATTCCATGTCTGGTGTTCGTCAGGATTGGACATCAGGGTGAATTATTTATCCCACTAAAGCTTCCTATCCCACTGAGCGATGATTAACAAATCCCACCTAAGAGGTAAGATTGTTTTATCCTGTT;
SEQ ID No.4:
CTTGCGTAGTCTTAACTCAATATTTGTGGTTTAGTTTGTCTTCTACATTGTTAATGTACAGCATCAAGGTGTTCATAGAACTGTATTTGACACCATTTTATGCCCGAGATACTATCACAGAACCTTACGTATAACCCTGATTGAGAGAGCAAGTGGGCTAGCCTAGTTGGCAAGGCACCCACACGAATTCAAGAGTAGTCCTGAGTTCGAGTCTCATTTGTAGTGGGGGATTTTCTTTATTATTGTACTATTGAAGTAAAGGGAAGAGACGACCTTCCATTTTTATTTTATTTTTTAAAAA;
SEQ ID No.5:
AGGATTTGAGGAGCTGGCTGCATCAGAATTCATGATGAGAGGGGTAATCTCGGTAATTGGGTAAACACAAAGAAGACTGTGTGAGAAGTGTGGGAGAGGTTCATTGAATTTAAAGGGTTTACAAAAGGGTTCAGCTTCTTAAATAGCGATATGGGAAACTTGCTGCTGGGAGACTTGTTGGTGTTGTCTAGAGAAGAAATCTGCAATGACATTATCCTTTCCTTTAACATGCTTGACTTCATAATCCCATTATGAAAACCATTCTGACCAACGTAAGAGCTGGGAATTCGGGATTTGTTTA;
SEQ ID No.6:
GGGACATATTGTATGAAATGAAAAATGTTCTTGTTTTACTAGAACATGGGTTTTAAGTCTTTCACATGAATTATGTTTTATTAACCCGCCGTCAGCAAATGGCACCCGAGATTAACCGGGTCCCTGAGGATAGTTTCTCTTGACGGGATTCAGGGCATCACAGGATAACATTGAAATCTTTGTTGAACGAATTTTAAAATGAGCTATGATAGTAGCTCGGAAGACTATACATGATAGAGCATTTGTAGTGATATGAGCATAGTAGTCCTTCAATGCACGTTCTTCCTCATTTTTGGATGT;
SEQ ID No.7:
TGTTCAAAATACATTAATGTATAAAAGCTAACGTGTAAATTGTATAAGAGGAAAACTATGAACATGTCGTGTAACGACCTTAATGTTGTGGACAGATGTGCCCTGGTGCATGTGGTTCCAATAGATGCTAGCAGGCTATACACTATAGGTGTGTTCGGCAACCCCAATTCTATGCCATAGAATTGGAATTGGGGTATAATTTTAAAATTTCATTGTTTGGATGAACTAATTGATCATAGTTTTGGAATTCTAAAACCATCAATTCTATAAGATTGAATTCTATAAGGGGAGTAGGCAATTC;
SEQ ID No.8:
AAATTATTGGGCTAATTTTTAGTGGTATAATTAATTTTTAGTTAATCCTAGAGACTACTCAAATAAATGTGGGCCAAATGTGTAGATTCTTTATCTGGGCTTGCCAGGGTTTTATGGAAACCCTAACTAGATCCGTGCTGTTATTGTGATCGATTCTCATATTTCGCATTTATTTATCATAGATCCAGGTACGTGGTTTTATCGTGTTTAAATTAGAGAAAATCTATGTTTCTACTCATGTTATAACTTATTTATTAGGACCCAAAAACTATAATCGCCTTGTAAAGTATTTTAGGCGCGT;
SEQ ID No.9:
CTAAAGAGAATGAGGTTGGTCTATTTAAATTTATTTGGCATCAATGTGTTCTTCTTAAATGGTCATTTTTGGTGTGGAGGGCTTTACAACATAGTCTTCCCATTGATGATTGCTTAATCCGTAAAGATTTTTAAATGGCTTCTAAATGTAATTGTTGTGTGGAGGCTAGAGTTGAAACTATTTCTCATGTCTTTGTTACTAGTGATATTGCTCGGAATGTGTGGTCTTTTTTTGAGGACTTGTGCAACATTCAAGGTGCAGGAACACTTCTTCAGAGTAAAATGAATACTTGGTGGATTCA;
SEQ ID No.10:
ATGGTTTTTTTTTATGCTATTTGCACACAATTTTTTACTTGGTTTTACTCAACTTTTTATTCACCCAATAATAAGCGAGTAAGTGCATGTTATTCGTCCAATGATAAACAAATAAAAGCTTGAAAATGCCTTATTTGCTTGTCATTAGGCGAGTAACATGCACTTACTCACCCGATGAAGAGGCACCAGGCCCGGGCAAACAACTGCCACTTGTGAAGGCTCCGGTACCAATAGCAAGCTACTTTGATGGACTTTTTTTGAAACATTAACCCGGTCTTGCCCTTTGATAGTCACATTATTT;
SEQ ID No.11:
CAGAGTCAATCTCACGTTCTTGAGGAGCATGTAGAACAATTGTGGTGGAACCCACAACACACAGAGCACAGCCAAGAACTCCAAAAAGATGTAGCTTCTCTCTCAATATAATATGTGCAAGTACAGCACTGCAATACAGATACAGTACAAGTCATTGATGTAGTCAAGACCGTAGAATTCAGCATGAATAAAGAGTTTTGACTTTCTATCATACCTGATAATAATGCTGAGTGCACCAAGAGGAGTGACAAGAATGGCTGGTGCAAATGCATAGGCAGCAAAATTAGCAATTTCTCCAACA;
SEQ ID No.12:
CACCTTGCTCTAAAGTTTGCTCTCCATGTTCTAAGTCAACTTTTCCTTGGTGTTGATCTCTAATTCCCTGCAAATAAGACACAACAAATATAGGCAAAACAGGATTAAGATTGTTAGAACCTTGGAATTCGTCGAAACATACTTTGACCCGTAGTCTATAAACATACTATCTCGGATTGTCTTTCCTAGCCAAGCTAATGGAACTTTGACTCGTAGTCTATAAACATACTAGAACCTTGGAATTCATCGAAAAAGATGGAAGGTGGAAACCTCAACCCAACGCTTAAAAGATCATGAACCT;
SEQ ID No.13:
TGAATCTCCACCATCAATGAGCATTACCGGTGAGTCTAGTAACCGCAAATTTGACCCACATCATCTTGGGAGTTCTTATAACTTCTAGTCGTTCTTTAATTACGAAGAGCTAACCCTCTGCATCCTTGGGTCCCTTTGTTCCATCAAACACTGGAGGCTGAAAACGAGTGAATTCTCGCAGGTAAGTGATTTCATTAGTCTCCCCTCCTGCGGTTCTTGATCCTCCTCCGAATTTTCCAAAATTGCAGGGTCCTCTTGGGCTTGGCCCTTGTTTGCACCCGCTCCATTAGTAGACCTGTGA;
SEQ ID No.14:
ATTCAATCATCTCCGACAAGAAGATATCAATACAGTAATGAAGTCCTCATAAATTGTCATAAGAAATAAGAATTCTTGAAGCATCCAGATACTCTGCCATAAGCATAAGTTATAGATAAAGAGATATAAGCTCCTCGTGAGACAACATCCAAGCCATATGCTATAAGAAAACTCTAGGTGTTGCCAAGATATCATCCGATAGCTGGTTGACACAATTATAATGCACACACTGCAATTCTTACTCTTTATGATAACTAAAGGCAACACATACCACTTAAACTTCACTCATCATACATCTAAG;
SEQ ID No.15:
TCTTGGAATGGCTGTTGTGACTATTTTGTTTGCAGCTCTTGGATTTATGTCCCCAGCTTCTCGTGGAACCCTGATTACAGGTATGCTATTTTCCTACATGATTCTTGGAATTGCAGCCGGTTATGTTGCGGTTCGATTATGGAGAACAATGTGCTGTGGTGATCACAAAGGCTGGGTCTCAGTTTCTTGGAAGGCCGCTTGTTTCTTCCCCGGTATCGCCTTTTTTATTCTAACCACTTTGAATTTCCTTTTGTGGGGTAGTCGTAGTACTGGAGCAATTCCGTTTTCTCTGTTCGTAGTC。
【0021】
本発明は、上記の技術案に記載のSNP座位の組み合わせを増幅するためのプライマーの組み合わせをさらに提供し、前記プライマーの塩基配列はSEQ ID No.16~45で示され、具体的には以下の通りである。
【0022】
SEQ ID No.16-F:TTGAGATGAACCGAGTTAGGG;
SEQ ID No.17-R:GCAGCCTGACCAAACAGTTC;
SEQ ID No.18-F:ACGGGCACATCAGGAGAC;
SEQ ID No.19-R:AGAATATTTTGATAATCCACACG;
SEQ ID No.20-F:TCATTCCAGGGATCTAAATTGG;
SEQ ID No.21:1-R:GGTGGGATTTGTTAATCATCG;
SEQ ID No.22-F:GCATCAAGGTGTTCATAGAACTG;
SEQ ID No.23-R:CTTCGACACAATCCATGTCAC;
SEQ ID No.2:4-F:TTGGGAGAGGAGGATTTGAG;
SEQ ID No.25-R:TCCCAGCTCTTACGTTGGTC;
SEQ ID No.26-F:TTGTACTTGGGACCTCATTGGAG;
SEQ ID No.27-R:GTCCATAAATCCGAGTCCAGATTC;
SEQ ID No.28-F:AAGAGGAAAACTATGAACATGTCG;
SEQ ID No.29-R:ATAACATTTAGAATTGCCTACTCCC;
SEQ ID No.30-F:AGAGACTACTCAAATAAATGTGGGC;
SEQ ID No.31-R:CTTTACAAGGCGATTATAGTTTTTG;
SEQ ID No.32-F:CTTCTTGGGATGTGTGTAGGG;
SEQ ID No.33-R:AAGAAGTGTTCCTGCACCTTG;
SEQ ID No.34-F:TTTTATTCACCCAATAATAAGCGAG;
SEQ ID No.35-R:AGTCCATCAAAGTAGCTTGCTATTG;
SEQ ID No.36-F:GCAAGATCCCACACTTCTGTC;
SEQ ID No.37-R:CATTTGCACCAGCCATTC;
SEQ ID No.38-F:CCTGCTTACCAACACCTTGC;
SEQ ID No.39-R:TGAGGTTTCCACCTTCCATC;
SEQ ID No.40-F:GGACTGCTTGCTGAATCTCC;
SEQ ID No.41-R:GTGCAAACAAGGGCCAAG;
SEQ ID No.42-F:TTCAATCATCTCCGACAAGAAG;
SEQ ID No.43-R:AAGTGGTATGTGTTGCCTTTAG;
SEQ ID No.44-F:TTCTTGGAATGGCTGTTGTG;
SEQ ID No.45-R:AGAAAACGGAATTGCTCCAG。
【0023】
本発明において、SEQ ID No.16~17はSEQ ID No.1を増幅し、SEQ ID No.18~19はSEQ ID No.2を増幅し、SEQ ID No.20~21はSEQ ID No.3を増幅し、SEQ ID No.22~23はSEQ ID No.4を増幅し、 SEQ ID No.24~25はSEQ ID No.5を増幅し、SEQ ID No.26~27はSEQ ID No.6を増幅し、SEQ ID No.28~29はSEQ ID No.7を増幅し、SEQ ID No.30~31はSEQ ID No.8を増幅し、
SEQ ID No.32~33はSEQ ID No.9を増幅し、SEQ ID No.34~35はSEQ ID No.10を増幅し、SEQ ID No.36~37はSEQ ID No.11を増幅し、SEQ ID No.38~39はSEQ ID No.12を増幅し、 SEQ ID No.40~41はSEQ ID No.13を増幅し、SEQ ID No.42~43はSEQ ID No.14を増幅し、SEQ ID No.44~45はSEQ ID No.7を増幅する。
【0024】
本発明は、スイカズラ品種を同定する方法を提供し、前記方法は、
1) 検査対象のサンプルのDNAを抽出し、前記DNAを鋳型として使用し、上記の技術案に記載のプライマーの組み合わせを使用してPCR増幅を実行し、増幅産物を得るステップと、
2) 前記ステップ1)で得られた増幅産物に対してSanger配列決定を実行して、検査対象のサンプルの、上記の技術案に記載のSNP座位における遺伝子型を取得し、DNAフィンガープリントを描画するステップと、
3) 前記ステップ2)で得られたDNAフィンガープリントと、構築済みのスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとを照合し、検査対象のサンプルとスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとの異なる座位=0である場合、「同一品種」として、検査対象のサンプルとスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとの異なる座位≦2である場合、「近似品種」として、検査対象のサンプルとスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとの異なる座位≧3である場合、「異品種」とするステップと、を含む。
【0025】
本発明によれば、検査対象のサンプルのDNAを抽出し、前記DNAを鋳型として使用し、上記の技術案に記載のプライマーの組み合わせを使用してPCR増幅を実行し、増幅産物を得る。本発明によれば、好ましくは、検査対象のサンプルの若い葉からDNAを抽出する。本発明において、DNAを抽出する方法について特に限定せず、当業者であれば、植物組織のDNAを抽出する一般的な方法に従えばよい。本発明において、前記PCR増幅反応系は、好ましくは、1μlの鋳型DNAと、1μlの濃度10μMの上流プライマーと、1μlの濃度10μMの下流プライマーと、1μlのdNTP(mix)と、2.5μlのTaq Bufferと、0.2μlのTaq酵素とを含み、滅菌脱イオン水を25μlとなるまで加える。本発明において、好ましくは、前記PCR増幅の手順は、95℃で5分間プレ変性し、94℃で30秒間変性し、63℃で30秒間アニーリングし、1サイクル当たりアニーリング温度を0.5℃下げ、72℃で30秒間伸長し、10サイクルし、95℃で30秒間変性し、58℃で30秒間アニーリングし、72℃で30秒間伸長し、30サイクル後、72℃で10分間修復伸長する。
【0026】
本発明によれば、前記ステップ1)で得られた増幅産物に対してSanger配列決定を実行して、検査対象のサンプルの、上記の技術案に記載のSNP座位における遺伝子型を取得し、DNAフィンガープリントを描画する。配列決定が完了した後に、Chromasソフトウェア又はSeqManソフトウェアを使用してピークチャートファイル(.abl)を開き、SeqManソフトウェアを使用して検査対象のサンプルの配列と15snp配列とを照合し、検査対象のサンプルの遺伝子型を得ることができる。
【0027】
本発明によれば、得られたDNAフィンガープリントと、構築済みのスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとを照合し、検査対象のサンプルとスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとの異なる座位=0である場合、「同一品種」として、検査対象のサンプルとスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとの異なる座位≦2である場合、「近似品種」として、検査対象のサンプルとスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとの異なる座位≧3である場合、「異品種」とする。
【0028】
本発明において、構築済みのスイカズラDNAフィンガープリントデータベースの構築方法について特に限定せず、一般的な方法を用いて構築すればよく、例えば、SNP分子マーカー技術を利用して構築してもよく、操作方法もいずれも一般的な方法である。
【0029】
本発明の具体的な実施形態において、前記構築済みのスイカズラDNAフィンガープリントデータベースの構築方法は、好ましくは以下のステップを含む。
【0030】
(1) DNAの抽出とライブラリの構築
スイカズラサンプルのDNAを抽出し(DNA抽出プロセスは上記の方法と同じなので、説明を省く)、NanoDrop2000紫外分光光度計を使用してDNAの質量と濃度を測定し、500ngのゲノムDNAを採取し、0.6UのEcoRI (NEB)、T4 DNAリガーゼ(NEB)、ATP (NEB)及びEcoRI リンカー(サンプルを区別するためのIndex配列を含む)を加え、37℃で3時間反応させ、65℃で1時間アニーリングする。次に、制限エンドヌクレアーゼNlaIII(NEB)とNlaIIIリンカーとを加え、37℃で3時間反応させる。反応が完了した後に、PCR装置に65℃で30分間放置しエンドヌクレアーゼを不活性化させ、その後、アガロースゲル電気泳動を使用してライゲーション産物の断片を選択し、400~600bpを選択して酵素切断産物を回収してQubit3.0(Life Technology)を使用して回収された産物に対してDNA定量し、24個のサンプルを等量混合し、最終的にIllumina TruSeqキットを使用して混合生成物についてDNAライブラリを構築する。
【0031】
(2) ddRAD簡易配列決定とデータの品質管理
Illumina NovaSeq 6000 PE150を使用してライブラリ構築後のサンプルに対して配列決定を行い、ソフトウェアfastp(バージョン:0.20.0)を使用してローデータ内の低品質配列をフィルタリングして除去し、Clean Dataデータを得て、パラメータを-q 5 -n 5に設定して、主に以下のreadsを取り除く。一、 不明な塩基の数N<5のreadsを取り除く。二、 Readsの50%長さの塩基品質値が5よりも小さいreadsを取り除く。三、リンカー配列を取り除く。
【0032】
(3) 参照ゲノムとの照合
BWA(Burrows-Wheeler Aligner,0.7.17-r1188)を使用して参照ゲノムと照合し(参照ゲノム名:GWHAAZE00000000.genome.fasta、ダウンロードURL:https://ngdc.cncb.ac.cn/search/?dbId=gwh&q=SAMC097356)、パラメータを-M -Rに設定する。照合により生成されたsamファイルを、samtools(バージョン:1.9)ソフトウェアを使用してbamフォーマットに変換する。次に、picard MarkDuplicates(バージョン:2.21.2)を使用してPCR duplicationsマーキングを行う。その後、後の分析のために、高品質なproper readsのみ残しておく。
【0033】
(4) SNPの検出とアノテーション
SNPの検出は、主にGATK(バージョン:4.1.4.1)ソフトウェアツールキットを使用して行う。Clean Readsの、参照ゲノムにおける位置決定の結果に基づいて、GATKを使用して一塩基多型を検出し、最終的なSNP座位セットを得て、SNPの統計を実行する。主な検出プロシージャは以下の通りである。一、BWA照合により得られた結果に対して、Picard(バージョン:0.7.17-r1188)のMark Duplicateツールを使用して重複を削除し、PCR duplicationによる影響を除去する。二、GATKを使用して変異検出(variant calling)を行い、主にSNPとInDelとを含む。三、GATKを使用して変異座位の品質値の再校正(VQSR)を行う。
【0034】
四、GATKを使用して、得られた変異結果に対してフィルタリングを行い、信頼できる変異結果を選択する。
【0035】
(5) 集団の遺伝構造解析
一、主成分分析(Principal Component Analysis,PCA)。SNPに基づいて、ソフトウェアGCTA(バージョン:1.92.1)(http://cnsgenomics.com/software/gcta/#Overview)を用いて、39個のサンプルの主成分クラスタリング結果を得て、異なる形質と特徴を有する個体をクラスタリングし、異なるサブグループに分類し、結果を図5に示す。
【0036】
二、進化系統樹解析(phylogenetic tree)。ソフトウェアFastTree(バージョン:2.1.9)の最尤法(Maximum likelihood,ML)を使用して、39個のサンプル間の進化的関係を説明する進化系統樹を構築し、結果を図6に示す。
【0037】
三、集団の遺伝構造解析(Structure)。集団の遺伝構造解析は、admixtureソフトウェア(バージョン:1.3.0)(http://software.genetics.ucla.edu/admixture/)を使用して行われる。39個のスイカズラのサンプルに含まれる祖先の数及び類似度を観察する。その結果が図7に示されている。
【0038】
(6) DNAフィンガープリントの構築と分析。できるだけ少ないマーカーを用いてできるだけ多くの品種を同定するというDNAフィンガープリント構築の原則に従うことにより、簡単、効率的、経済的という目的を達成する。マーカーのPIC値の大きさや分布頻度などに基づいて、検出率が高く、多型性が高く、全品種を区別できるコアマーカーを15個選択し、DNAフィンガープリントを構築した。マーカー同定の効率が図3に示されている。
【0039】
本発明では、ホモ接合型遺伝子型C/C、A/A、T/T、G/Gはそれぞれ黄色、緑、青、紫の4色で表され、ヘテロ接合型遺伝子型は灰色で表され、欠損遺伝子型は白色で表され、サンプル番号に対応する品種を以下の表1に示す。
表1 スイカズラの品種と番号
【0040】
本発明をさらに説明するために、以下に、実施例を参照して本発明について詳細に説明するが、これらを本発明の保護範囲に対する限定として理解すべきではない。
実施例1
【0041】
1.鋳型DNAの抽出
(1)50~100mgの新鮮な植物組織を液体窒素中で充分に粉に研磨し、1.5mlのl遠心管に移す。
【0042】
(2)65℃で予熱した600μlのBuffer PCBと12 μlのβ-メルカプトエタノールを加える。均一となるように振盪して混合し、65℃の水浴に25分間置き、間欠的に均一となるように混合する。
【0043】
(3)600μlのクロロホルムを加え、よく混ぜ、12000rpmで5分間遠心分離する。上層の水相をきれいな1.5ml遠心管に吸引したあとに、等体積のフェノール:クロロホルム(1:1、pH8.0)と繰り返し混合し、12000rpmで5分間遠心分離し、上清液を取り、1~3回間繰り返し抽出する。
【0044】
(4)上層水と等体積のBuffer BDを加え、3~5回均一となるように転倒混和した後、上層水と等体積の無水エタノールを加えて均一となるようによく混ぜ、ピペットを用いて全部吸着カラムに加え、室温で2分間静置する。10000rpmで1分間遠心分離し、コレクションチューブ内の廃液を捨てる。
【0045】
(5)吸着カラムをコレクションチューブに戻し、500μlのPW Solutionを加え、10000rpmで1分間遠心分離し、コレクションチューブ内の廃液を捨てる。
【0046】
(6)吸着カラムをコレクションチューブに戻し、500μlのWash Solutionを加え、10000 rpmで1分間遠心分離し、コレクションチューブ内の廃液を捨てる。
【0047】
(7) 吸着カラムをコレクションチューブに戻し、12000rpmで2分間遠心分離する。
【0048】
(8) 吸着カラムを取り出し、新たな1.5mlの遠沈管に移し、吸着膜の中心に50μlのTE Bufferを加え、3分間静置し、12000rpmで2分間遠心分離し、得られたDNA溶液を-20℃で保存するか、そのまま後続の実験に使用する。
【0049】
2. ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
2.1 PCR反応系
表2 PCR反応系
【0050】
プライマーの塩基配列をSEQ ID No.16~45に示す。
【0051】
2.2 PCR反応条件
表3 PCR反応条件
【0052】
2.3 電気泳動検出ストリップ
5μlのPCR産物を取り、11%アガロースゲル電気泳動を行う。電気泳動パラメータ:150V、100mA、10~20分間の電気泳動観察(電気泳動図を参照)DNAマーカーが2種類あり、それぞれ図1及び2を参照する。
【0053】
3. Sanger配列決定
3.1 PCR産物の精製と回収
(1)アガロースゲル電気泳動を通じて目的のDNA断片を他の断片からできるだけ分離し、ターゲットDNA断片を含むアガロースゲルブロックを清潔なメス刃で切り出し、1.5mLの遠沈管に入れて秤量する。
【0054】
(2)ゲルブロックの重量と濃度に応じて、アガロース100mgあたり300~600μlのBufferB2を加える(ゲルブロックが100mg未満の場合は、水を加えて100mgとする)。
【0055】
(3)遠心管を50℃の水浴に5~10分間置き、ゲルブロックが完全に溶解するまで間欠的に均一となるように混合する。
【0056】
(5)溶解済みの溶液を全て吸着カラムに移し、8000Xgで30秒間遠心分離する。コレクションチューブ内の液体を捨て、吸着カラムを同じコレクションチューブに置く。
【0057】
(6)300μlのBufferB2を吸着カラムに加え、9000Xgで30秒間遠心分離する。コレクションチューブ内の液体を捨て、吸着カラムを同じコレクションチューブに置く。
【0058】
(7)500μlのWashSolutionを吸着カラムに加え、9000Xgで30秒間遠心分離する。コレクションチューブ内の液体を捨て、吸着カラムを同じコレクションチューブに置く。
【0059】
(8)ステップ7を1回繰り返す。
【0060】
(9)空の吸着カラムとコレクションチューブを遠心分離機に入れ、9.000Xqで1分間遠心分離する。
【0061】
(10)15~40μlのElutionBufferを吸着膜の中心に加え、室温で1~2分間静置し、9000Xgで1分間遠心分離する。得られたDNA溶液は-20℃で保存するか、その後の実験に使用する。
【0062】
3.2 データ分析
result group内で結果を検索し、sequence analysisソフトウェアを使用して解析し、SeqManソフトウェアを使用して検査対象のサンプルの配列を15snp配列と照合し、検査対象のサンプルの遺伝子型を取得できる。
【0063】
4. 結果の判定:Excelソフトウェアを使用して、検査対象のサンプルの、15個のSNP座位における遺伝子型のDNAフィンガープリントを描画し、構築済みのスイカズラDNAフィンガープリントデータベース(図3)を照合する。検査対象のサンプルとスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとの異なる座位=0である場合、「同一品種」として、検査対象のサンプルとスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとの異なる座位≦2である場合、「近似品種」として、検査対象のサンプルとスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとの異なる座位≧3である場合、「異品種」とする。
【0064】
実験結果:
39個のスイカズラDNAフィンガープリントデータベースにない「亜特立本」、「百農2号」及び「魏紫」との3つのスイカズラの品種を選択して、上記の実験手順に従って検証実験を実施し、本方法の信頼性と有効性を検証した。実験結果は次のとおりである。
表4 検証実験による遺伝子型結果
【0065】
注:REFは参照ゲノムの遺伝子型であり、ALTは検証結果である。遺伝子型:R=A/G、Y=C/T、M=A/C、K=G/T、S=C/G、W=A/T。
表5 39個のスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとの照合結果
【0066】
「表5 39個のスイカズラDNAフィンガープリントデータベースとの照合結果」によれば、「亜特立本」、「百農2号」及び「魏紫」とフィンガープリントデータベースと照合した結果、データベース内の既存の39品種との異なる座位は全て>3であり、「異品種」に属することが分かる。
【0067】
検証実験を通じて、本発明による方法は、短時間でスイカズラ品種の遺伝子型を取得でき、新品種のスイカズラを同定でき、且つ低コスト、高感度、良好な特異性を有し、スイカズラの新品種の同定のための高い参考価値があり、普及・応用にも適していることがさらに証明された。
【0068】
上述の実施例により、本発明を詳細に説明したが、これらは本発明の全部の実施例ではなく、一部の実施例にすぎず、当業者であれば、創造的な労働を行うことなく得る全ての実施例は、全て本発明の保護範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【図 】
図9
【配列表】
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【国際調査報告】