(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】潤滑シャトル
(51)【国際特許分類】
A61M 5/31 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
A61M5/31 530
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532757
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2022083901
(87)【国際公開番号】W WO2023099588
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520384541
【氏名又は名称】サノフィ・ウィントロップ・インダストリエ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・シャベール
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド・ダラス
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066DD08
4C066PP02
(57)【要約】
本発明は、管状要素の表面を潤滑するための有利な装置に関する。この装置は、長手方向軸を有するシャフト部分であって、プラスチックから形成されシャフト部分と、シャフト部分上に配置されるブラシ部分と、を含む。ブラシ部分は、表面と接触するための少なくとも1つの接触領域を有するように構成される。ブラシ部分は、表面と接触するための少なくとも1つの接触領域を含む。ブラシ部分は、ブラシ部分材料と、使用中に少なくとも1つの接触領域から表面に移行させられるように構成される潤滑剤から形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達装置用の管状要素(500)の表面(514)を潤滑するための装置(100、400)において、
長手方向軸(A)を有するシャフト部分(102、130、140、150、160、170、180、190、210)であって、プラスチックから形成されるシャフト部分と、
前記シャフト部分の上に配置されるブラシ部分(103、230、250、270、290、310、330、350、370、410)であって、表面と接触するための少なくとも1つの接触領域(104)を含むブラシ部分と、
を含み、
前記ブラシ部分は、ブラシ部分材料(105)と、使用中に前記少なくとも1つの接触領域から表面へと移行させられるように構成された潤滑剤(106)から形成される装置(100、400)。
【請求項2】
前記ブラシ部分は、使用中に前記潤滑剤(106)が前記ブラシ部分の前記ブラシ部分材料から滲出するように構成される、請求項1に記載の装置(100、400)。
【請求項3】
前記潤滑剤(106)は、前記ブラシ部分の前記ブラシ部分材料中に散在し、前記少なくとも1つの接触領域(104)に向かって移動できる、請求項1又は請求項2に記載の装置(100、400)。
【請求項4】
前記ブラシ部分は、コア区間(231、251、271、219、311、331、351、371、411)から延びる少なくとも1つの半径方向の突起(234、254、274、294、314、334、354、374、414)を含み、前記半径方向の突起は、潤滑対象の管状要素(500)の表面(514)と接触するように構成された少なくとも1つの接触点(242、262、282、302、322、342、362、382、422)を含む前記少なくとも1つの接触領域(104)を含む、請求項1~3の何れか1項に記載の装置(100、400)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの接触点(242、262、282、302、322、342、362、382、424)は、前記半径方向の突起(234、254、274、294、314、334、354、374、414)の末端(243、263、283、303、323、343、363、383、423)に配置される、請求項4に記載の装置(100、400)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの接触領域は、前記ブラシ部分の少なくとも一方の端において、前記ブラシ部分の前記端から長手方向に離間された前記少なくとも1つの接触領域よりも前記シャフト部分の前記長手方向軸に近い、請求項1~5の何れか1項に記載の装置(100、400)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの半径方向の突起(234、254、274、294、314、334、354、374)は、前記シャフト部分の前記長手方向軸(A)に垂直な方向に延びる少なくとも1つの円形ディスク(235、255、275、295、315、335、355、375)を含む、請求項4~請求項6の何れか1項に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの半径方向の突起(414)は螺旋形状(415)を含む、請求項4~請求項6の何れか1項に記載の装置(400)。
【請求項9】
前記ブラシ部分は、900サイクル後に、最初のサイクルで管状要素に加えられる初期累積半径方向力より最大で50N小さい累積半径方向力を加えるように構成される、請求項1~8の何れか1項に記載の装置(400)。
【請求項10】
前記シャフト部分は、前記シャフト部分の端に案内機構(111)を含む、請求項1~9の何れか1項に記載の装置(100、400)。
【請求項11】
前記案内機構(111)は前記シャフト部分の末端(113)を画定するアクスル部分(114)を含み、前記アクスル部分は、使用中に前記装置が把持され、及び/又は潤滑対象の管状要素の中で駆動されることができるように構成される、請求項10に記載の装置(100、400)。
【請求項12】
前記案内機構は突起及びアクスル部分を含み、前記突起は、前記シャフト部分の前記長手方向軸に対して実質的に垂直に延びて前記シャフト部分に関する前記ブラシ部分の長手方向への移動を防止するように構成された表面を有し、前記突起は空洞を含み、前記アクスル部分は、使用中に前記装置が把持され、及び/又は潤滑対象の管状要素の中で駆動されることができるように構成される十字形の断面を有する、請求項10に記載の装置(100、400)。
【請求項13】
前記シャフト部分のブラシ部分受容区間(121、131、141、151、161、171、181、191、211)は前記案内機構(111)から長手方向に延び、任意選択的に、前記ブラシ部分受容区間は少なくとも1つの半径方向の突起(133、143、153、163、173、183,193,213)を含む、請求項10~請求項12の何れか1項に記載の装置(100、400)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの半径方向の突起(133、143、213)は、前記シャフト部分(130、140、210)に沿って長手方向に延びて前記ブラシ部分の前記シャフト部分に関する回転移動を防止するように構成される、請求項13に記載の装置(100、400)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの半径方向の突起(153、163、173、183、193、213)は、前記長手方向軸に対して垂直に延びて前記ブラシ部分の前記シャフト部分に関する長手方向の移動を防止するように構成された円形ディスク(157、167、177、187、197、217)を含む、請求項13又は請求項14に記載の装置(100、400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤装置の構成要素の内面を潤滑するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
注入装置、例えば自動注射器は、典型的には、薬剤の密閉容器と、その薬剤を患者の体内に注入するための針を有する。あるタイプの装置では、薬剤容器は薬剤カートリッジを含み得て、針は当初はカートリッジから分離された状態であり得る。最初の動作により、カートリッジと針が一緒に移動して、針がカートリッジを穿刺する。別のタイプの装置では、薬剤容器は、薬剤を収容したシリンジを含み得て、針はシリンジに固定され得る。どちらの場合も、その後、カートリッジ又はシリンジ内のプランジャ又はピストンをカートリッジ又はシリンジ内へと移動させて、薬剤を患者に注入するために針を通じて吐出することができる。
【0003】
ほとんどの注入装置では、1つ以上の機能に、構成要素が相互に関して移動することが必要となる。しかしながら、適切に機能するためには、構成要素の相互に関する移動は、摺動面に作用する摩擦力を克服しなければならない。摩擦を軽減させるための試みにおいて、構成要素の表面をこすることによって、摺動面をより平滑にし、及び/又は障害物を取り除こうとすることが知られている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、薬剤送達装置用管状要素の表面を潤滑するための有利な装置を提供することであり、この装置は、長手方向軸を有するシャフト部分であって、ブラスチックで形成されるシャフト部分と、シャフト部分上に配置されたブラシ部分であって、表面と接触するための少なくとも1つの接触領域を含むブラシ部分と、を含み、ブラシ部分は、ブラシ部分材料と、使用中に少なくとも1つの接触領域から表面へと移行させられるように構成される潤滑剤から形成される。
【0005】
これにより、薬剤注入装置の製造中に、この装置を、薬剤送達装置用管状要素の表面を潤滑するために使用できるという利点が生じ得る。表面を潤滑することにより、薬剤注入装置の移動する構成要素にかかる摩擦力が軽減され、これによって構成要素はより動きやすくなり、構成要素が不適正に機能する可能性が低くなる。これによって、薬剤注入装置の中で、より小さい力を提供する付勢部材を使用できることにもなり得る。したがって、ばねの直径又は線径、重量及び薬剤注入装置のコストに関して、ばねの全体的サイズ、すなわち太さを減少させる可能性がある。
【0006】
さらに、プラスチック、すなわち熱可塑性エラストマ及び/又はポリオレフィンのシャフト部分により、耐久性があり、成形によって容易に製造できる軽量な装置が提供される。プラスチックのシャフト部分は、容易にオーバーモールド又はコモールドされる。
【0007】
いくつかの実施形態では、ブラシ部分は、使用中に潤滑剤がブラシ部分のブラシ部分材料から滲出するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ブラシ部分材料に潤滑剤を含浸させ得る。いくつかの実施形態では、潤滑剤は、ブラシ部分のブラシ部分材料中に散在し得て、少なくとも1つの接触点に向かって移動することができ得る。
【0008】
これにより、潤滑剤が容易に貯蔵され、薬剤送達装置用管状要素の表面に移行させられるという利点が生じ得る。これにより、ブラシ部分の潤滑剤が、潤滑機能が最小閾値に達するまで使用される前に、装置を何度も使用することが可能になり得る。有利な点として、装置は800~2000回の使用サイクルを経得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、潤滑剤の濃度は、使用前のブラシ部分の重量の40%~60%を構成し得て、それにより、潤滑剤とブラシ部分材料との共有結合が完全には形成されない。
【0010】
これにより、潤滑剤が装置から薬剤送達装置用管状要素に移行することが促進され、その結果、表面がより効果的に潤滑されるという利点が生じ得る。有効な潤滑は、潤滑剤がブラシ部分材料に結合していないか、又はブラシ部分の潤滑剤の濃度によって弱い共有結合しか形成していないことの結果である。それに加えて、ブラシ部分の柔軟性が増大し得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、ブラシ部分材料は、長手方向軸に対して垂直な方向に弾性的に圧縮可能であり得る。いくつかの実施形態では、ブラシ部分材料は、シャフト部分の長手方向軸に平行な方向に弾性的に変形可能であり得る。
弾性変形は、有利な点として、潤滑剤のブラシ部分からの移動を促進しながら、ブラシ部分に生じる摩耗を軽減し得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、ブラシ部分は、内面全体がシャフト部分に接するように構成された内面を有するコア区間を含み得る。コア区間は開口を含み得て、シャフト部分はそこを通って延びる。
【0013】
これにより、ブラシ部分とシャフト部分との間の摩擦力が増大し得て、これら2つの構成要素間の相対移動は、なくならないとしても、減少するという利点が生じ得る。したがって、装置が受ける力は、ブラシ部分と、潤滑対象である薬剤送達装置用管状要素の表面との間の相互作用に集中させられる。さらなる利点は、シャフト部分及びブラシ部分が薬剤送達装置用管状要素を通過する際に分解されないことである。これにより、装置の堅牢性が向上し、プロセスからより均一な結果を得ることが可能になる。
【0014】
いくつかの実施形態では、ブラシ部分は、コア区間から延びる少なくとも1つの半径方向の突起を含み得て、この半径方向の突起は、少なくとも1つの接触領域を含み得て、これは潤滑対象である薬剤送達装置用管状要素の表面と接触するように構成された少なくとも1つの接触点を含み得る。少なくとも1つの接触点は、半径方向の突起の外側端/末端に配置され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、接触領域は、半径方向の突起の先端に配置される、半径方向に延びるリップによって形成される1つの接触点を含み得る。いくつかの実施形態では、接触領域は、半径方向の突起の末端に配置される複数のリップによって形成される複数の接触点を含み得る。接触点は、実質的に円周方向に、又は螺旋状に延びるリップによって形成され得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの接触領域はシャフト部分の長手方向軸に、ブラシ部分の少なくとも一端において、ブラシ部分の、長手方向にブラシ部分のその端から離間された少なくとも1つの接触領域より近い。
【0017】
接触領域が、より中央の接触領域と比較して、ブラシ部分の長手方向の端においてシャフト部分の長手方向軸により近いことによって、ブラシ部分の概して卵形のプロファイルが作られる。ブラシ部分の卵形形状は、ブラシ部分の先端の摩耗を低減させ、薬剤送達装置用管状要素への進入時に装置をセンタリングするのに役立つ。これにより、ぐらつき、すなわちシャフトの長手方向軸の薬剤送達装置用管状要素の長手方向軸に関する前後左右の動きが減少する。装置のセンタリングにより、接触領域でのより均一な力プロファイルが提供され、それによって薬剤送達装置用管状要素をより一貫して均一に潤滑することが可能となる。
【0018】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの半径方向の突起は、シャフト部分の長手方向軸に対して垂直な方向に延びる少なくとも1つの円形ディスクを含み得る。少なくとも1つの半径方向の突起は、螺旋形状を有し得る。
【0019】
円形ディスクは、薬剤送達装置用管状要素の円周面全体にブラシ部分が接触するという利点を提供する。これにより、有利な点として、管状要素の表面全体を潤滑することが可能となる。螺旋形状は、半径方向の突起がより剛直で、したがって薬剤送達装置用管状要素に対してより大きな力を提供して、潤滑剤の表面への移行を促進することができるという利点を提供する。それに加えて、螺旋形状は、薬剤送達装置用管状要素の表面上の潤滑剤の堆積の均一性が改善されるという利点を提供する。
【0020】
いくつかの実施形態では、各螺旋形態の存在は、単一の連続接触面を提供する。この単一の剛直な接触面は、管状要素の表面上の潤滑剤の堆積の均一性を改善するものである。単一の連続接触面は、曲げに対してより耐性があり得、それゆえ、薬剤送達装置用管状要素の内面とより一貫して接触できる。
【0021】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの半径方向の突起は、0.8mm~1.4mmの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの半径方向の突起は、約12.9~約13.3mmの範囲の直径を有する。この直径範囲は、有利な点として、内径13.3mm未満の薬剤送達用管状要素との締り嵌めを提供する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの半径方向の突起は、約9~約17の範囲のアスペクト比を有する。いくつかの実施形態では、隣接する突起の接触領域間の距離は、約1.8mm~約2.2mmの範囲である。
【0022】
これにより、半径方向の突起の圧縮率及び柔軟性が改善されるという利点が生じ得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、ブラシ部分は、900サイクル後に加える累積半径方向力が、最初のサイクルで管状要素に加えた初期累積半径方向力より50N以上小さくならないように構成され得る。
【0024】
これにより、装置の寿命が終了するまで、ブラシ部分と潤滑されている管状要素との間に十分な接触力が保持され、その結果、装置によるその寿命全体を通じた治療パフォーマンスがより均一となり、したがってより一貫した結果が得られるという利点が生じ得る。いくつかの実施形態では、ブラシ部分がその寿命の終わりに達すると、それをシャフト部分から取り外し、シャフト部分にセットするか、又はその上に成形できると理解されたい。
【0025】
いくつかの実施形態では、シャフト部分は、シャフト部分の端に案内機構を含み得る。いくつかの実施形態では、案内機構は、シャフト部分の末端を画定するアクスル部分を含み得て、アクスル部分は、使用中に装置を把持し、及び/又は潤滑対象である薬剤送達装置用管状要素の中で駆動できるように構成される。いくつかの実施形態では、アクスル部分は、十字形の断面を有する。
【0026】
案内機構は、ブラシ部分が長手方向にシャフト部分に関して移動するのを防止するという利点を生じさせ得る。アクスル部分により、有利な点として、潤滑剤を含まない保持するための面を提供することによって、オペレータ又は工具が装置を扱いやすくなり得る。アクスル部分の断面はまた、有利な点として、装置の向きの基準を提供し、よりよく整列させることができるようにし得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、案内機構は表面をさらに含み得て、これはシャフト部分の長手方向軸に対して実質的に垂直に延び、シャフト部分に関するブラシ部分の長手方向の移動を防ぐように構成される。
【0028】
有利な点として、表面は、ブラシ部分が当接してブラシ部分の移動を防止するストッパを提供し得る。これにより、使用中にブラシ部分がシャフト部分から外れるのが防止される。案内機構は、有利な点として、薬剤送達装置用管状要素の表面上の潤滑剤の堆積のばらつきを減少させることによって、装置の堅牢性及びプロセスの均一性を向上させる。
【0029】
いくつかの実施形態では、案内機構は突起をさらに含み得る。突起は円錐区間であり得る。円錐区間は表面を含み得る。円錐区間は、シャフト部分を軽量化するように構成された空洞を含み得る。
【0030】
有利な点として、円錐区間及び空洞は、装置を、その構造的完全性を損なわずに軽量化し得る。より軽量なデバイスは、使用する材料がより少なくて済み、操作に必要なエネルギも少なくて済む。
【0031】
いくつかの実施形態では、案内機構は、突起とアクスル部分を含み得て、突起は、シャフト部分の長手方向軸に実質的に垂直に延び、シャフト部分に関するブラシ部分の長手方向の移動を防止するように構成された表面を有し得て、突起は空洞を含み得て、アクスル部分は、使用中に装置を把持し、及び/又は管状要素の中で駆動できるように構成された十字形の断面を有し得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、シャフト部分のブラシ部分受容区間は案内機構から長手方向に延び得る。
【0033】
幾つかの実施形態では、シャフト部分は2つの案内機構を含み得て、これらは長手方向に離間され、シャフト部分のブラシ部分受容区間を画定する。
【0034】
これは、薬剤送達装置用管状要素に関して装置がどの方向に移動されても、ブラシ部分の移動を限定又は防止できるという利点を提供し得る。相対的な動きを減少させることにより、ブラシ部分に生じる摩耗量が削減され、ブラシの寿命が延びる。
【0035】
いくつかの実施形態では、ブラシ部分受容区間は、半径方向の突起を含み得る。いくつかの実施形態では、半径方向の突起は、シャフト部分に沿って長手方向に延び、シャフト部分に関するブラシ部分の回転移動を防ぐように構成される。
【0036】
いくつかの実施形態では、半径方向の突起は2つの案内部分間で長手方向に延び得る。いくつかの実施形態では、半径方向の突起は、一方の案内部分から他方の案内部分まで、2つの案内部分間に長手方向に延び得る。
【0037】
有利な点として、半径方向の突起により、シャフト部分に関するブラシ部分の回転が防止され得る。相対的な動きを減少させることにより、ブラシ部分に生じる摩耗量が削減され、ブラシの寿命が延びる。これによって、ブラシ部分が受ける力がブラシ部分を回転させるのではなく、薬剤送達装置用管状要素に潤滑剤を移行させることになることが可能となる。そのため、潤滑効率が向上する。
【0038】
いくつかの実施形態では、ブラシ部分受容区間は複数の半径方向の突起を含み得る。いくつかの実施形態では、ブラシ部分受容区間は実質的に十字形の断面を有し得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、半径方向の突起は円形のディスクを含み得て、これは長手方向軸に対して垂直に延び、シャフト部分に関するブラシ部分の長手方向への移動を防止するように構成される。
【0040】
有利な点として、半径方向の突起はシャフト部分に関するブラシ部分の長手方向への移動を防止し得る。半径方向部分はまた、ブラシ部分のコア区間の長手方向への圧縮又は長手方向軸からの曲がりも防止し得る。相対的な動きを減少させることにより、ブラシ部分の摩耗量が削減され、ブラシの寿命が延びる。
【0041】
いくつかの実施形態では、ブラシ部分受容区間は、ブラシ部分受容区間に沿って長手方向に離間される複数の円形ディスクを含み得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、複数の円形ディスクのうちの少なくとも1つの半径は、複数の円形ディスクのうちの少なくとも別の1つの半径と異なり得る。
【0043】
これにより、ブラシ部分の端における導入面取り部ができる。導入面取り部は、薬剤送達装置用管状要素の内で、装置を管状要素の中へと移動させる際に装置をセンタリングするのに役立つ。有利な点として、これによって半径方向の突起の各々の円周に沿った接触点において同様の力を感じることが可能となる。
【0044】
いくつかの実施形態では、円形ディスクは切欠き区間を含み得て、これはブラシ部分の一部を受けて、シャフト部分に関するブラシ部分の回転を防止するように構成される。
【0045】
切欠き区間により、ブラシ部分の回転を防止することができる。さらなる利点は、シャフト部分及びブラシ部分が薬剤送達装置用管状要素を通過する際に分解されないことである。これにより、装置の堅牢性が向上し、プロセスからより均一な結果を得ることが可能となる。
【0046】
いくつかの実施形態では、半径方向の突起はピンを含み得て、これは半径方向に延び、シャフト部分に対するブラシ部分の長手方向及び回転移動を防ぐように構成される。
【0047】
ピンにより、有利な点として、シャフト部分がブラシ部分の相対的な回転及び長手方向の移動を防止することが可能となり得る。さらなる利点は、シャフト部分及びブラシ部分が薬剤送達装置用管状要素を通過する際に分解されないことである。これにより、装置の堅牢性が向上し、プロセスからより均一な結果を得ることが可能となる。
【0048】
いくつかの実施形態では、ブラシ部分は内面を有するコア区間を含み得て、内面全体がシャフト部分と当接する。
【0049】
2つの構成要素間の接触面積が大きいほど、摩擦力が増大し、相対移動が減少する。さらなる利点は、シャフト部分及びブラシ部分が薬剤送達装置用管状要素を通過する際に分解されないことである。これにより、装置の堅牢性が向上し、プロセスからより均一な結果を得ることが可能となる。
【0050】
いくつかの実施形態では、コア区間は開口を含み得て、そこを通ってシャフト部分が延びる。
【0051】
本発明の他の目的は、薬剤送達装置用管状要素の表面を潤滑するための有利な装置を提供することであり、この装置は、長手方向軸を有するシャフト部分と、シャフト部分上に配置されたブラシ部分であって、表面に接触するための少なくとも1つの接触領域を有するように構成されるブラシ部分と、を含み、ブラシ部分は、使用中に少なくとも1つの接触領域から表面へと移行させられるように構成される潤滑剤を含浸させたブラシ部分材料から形成される。
【0052】
本発明の目的は、薬剤送達装置用管状要素の表面を潤滑する有利な方法を提供することでもあり、この方法は、装置を管状要素に関して移動させるステップと、管状要素を装置のブラシ部分と接触させるステップと、管状要素の表面に潤滑剤を堆積させるステップと、を含む。
【0053】
これにより、有利な点として、薬剤送達装置用管状要素の摩擦係数が低下し、薬剤送達装置を使用するときに作動ステップを実行するために必要な力がより小さくて済む。
【0054】
方法は、薬剤送達装置用管状要素との接触によってブラシ部分を変形させるステップをさらに含み得る。ブラシ部分を変形させると、ブラシ部分に圧力がかかり、潤滑剤がブラシ部分から管状要素の表面に滲み出すようにし得る。
【0055】
堆積させるステップでは、薬剤送達装置用管状要素の表面上に、約40nm~約60nmの範囲の厚さの潤滑剤の層を堆積させ得る。
【0056】
方法は、工具によって装置を機械的に移動させるステップをさらに含み得る。方法は、装置を、そこに加えられる圧力差によって移動させるステップをさらに含み得る。
【0057】
方法は、装置を、それが薬剤送達装置用管状要素と接触している間に、管状要素の表面に関して一方向に移動させるステップをさらに含み得る。
【0058】
方法は、シャトルを、薬剤送達装置用管状要素と接触しながら管状要素の表面に関して第一の方向に、また管状要素と接触しながら第二の方向に移動させるステップをさらに含み得る。
これにより、有利な点として、先端の半径方向の要素の摩耗を低減させることによって、ブラシ部分の寿命を延ばすことが可能となり得る。
【0059】
本発明のこれら及び他の態様は、後述の実施形態から明らかになり、それを参照しながら説明する。
【0060】
ここで、本発明の実施形態を、あくまでも例として、下記のような添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】本発明による、表面を潤滑するための装置の概略斜視図である。
【
図3】装置のシャフト部分の第一の実施形態の概略側面図である。
【
図4】装置のシャフト部分の第二の実施形態の概略斜視図である。
【
図5】装置のシャフト部分の第三の実施形態の概略斜視図である。
【
図6】装置のシャフト部分の第四の実施形態の概略斜視図である。
【
図7】装置のシャフト部分の第五の実施形態の概略的斜視図である。
【
図8】装置のシャフト部分の第六の実施形態の概略的斜視図である。
【
図9】装置のシャフト部分の第七の実施形態の概略的斜視図である。
【
図10】装置のシャフト部分の第八の実施形態の概略斜視図である。
【
図11】装置のシャフト部分の第九の実施形態の概略斜視図である。
【
図12】装置のブラシ部分の第二の実施形態の概略斜視図である。
【
図13】装置のブラシ部分の第三の実施形態の概略斜視図である。
【
図14】装置のブラシ部分の第四の実施形態の概略斜視図である。
【
図15】装置のブラシ部分の第五の実施形態の概略斜視図である。
【
図16】装置のブラシ部分の第六の実施形態の概略斜視図である。
【
図17】装置のブラシ部分の第七の実施形態の概略斜視図である。
【
図18】装置のブラシ部分の第八の実施形態の概略斜視図である。
【
図19A】装置の第九の実施形態の概略側面図である。
【
図20】装置のブラシ部分の第十の実施形態の概略斜視図である。
【
図23A】潤滑対象の構成要素に関して第一の位置における装置の概略側面断面図である。
【
図23B】潤滑対象の構成要素に関して第二の位置にある装置の概略側面断面図である。
【
図23C】潤滑対象の構成要素に関して第三の位置にある装置の概略側面断面図である。
【
図24】薬剤送達装置用管状要素を潤滑するための装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
多くの装置において、構成要素を相互に関して移動させる必要がある。そのような装置では、互いに関して移動する構成要素は、移動するうちに相互に接触することが多い。これにより、構成要素の相互に関する動きと反対の摩擦力が生じる。場合によっては、摩擦力は非常に大きく、装置の適正な機能を妨げる可能性がある。
【0063】
このような装置は少なくとも、第一の摺動面を有する第一の構成要素と、第一の摺動面と接触する第二の摺動面を有する第二の構成要素を含む。例えば、第一の構成要素は管状ハウジングであり得、第二の構成要素は管状ハウジング内で移動可能な構成要素であり得る。いくつかの実施形態では、装置は薬剤送達装置であり得る。
【0064】
表面を平滑化しようとするために装置の摺動面を擦り、又は研磨し、したがって、構成要素がそれらの相対移動中に受ける摩擦力を低減させる装置を使用することが知られている。これは、摺動面から、平均的又は理想的な表面から最も逸脱する部分を除去することによって達成される。しかしながら、このように構成要素から材料を除去することは正確に行われない。除去する材料が少なすぎる、又は多すぎると、表面が粗すぎるままであるか、弱点のある構成要素が使用中に故障する可能性が高くなる。
【0065】
本発明は、装置の製造中に構成要素の摺動面を潤滑するための装置を提供することによって、摺動面が受ける摩擦力を低減させることに焦点を当てており、以下により詳細に説明する。装置の摺動面を潤滑することにより、摺動面の摩擦係数を、構成要素からより多くの材料を取り除かずに、また構成要素内に弱点を生じるリスクなしに低下させることができる。
【0066】
本願で言及する装置は潤滑シャトルとも呼ばれ、この2つの用語は、本願全体を通じて互換的に使用され得る。
【0067】
ここで、
図1及び2を参照すると、本発明による装置100のある実施形態の概略斜視図と、装置100のその実施形態の概略断面図が示されている。装置100は、例えば薬剤送達装置用管状要素の内面等であるがこれに限定されない表面を潤滑するように構成される。装置100は、長手方向軸Aを有するシャフト部分102と、ブラシ部分103を含む。ブラシ部分103は、シャフト部分102上に配置される。ブラシ部分103は少なくとも1つの接触領域104を含み、これは薬剤送達装置用管状要素の内面と接触するように構成される。
【0068】
いくつかの実施形態では、シャフト部分102の長さは、約50mm~約60mmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、シャフト部分102は約53mmの長さである。いくつかの実施形態では、ブラシ部分103の長さは、約16mm~約25mmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、ブラシ部分103は、約19mmの長さである。いくつかの実施形態では、ブラシ部分103は、約10mm~約20mmの範囲の直径を有し得る。いくつかの実施形態では、ブラシ部分103は、特に約12.5mmの範囲の直径を有する薬剤送達装置用管状要素を潤滑するときに、約13mmの直径を有し得る。シャフト部分102は例えば、熱可塑性エラストマ及び/又はポリオレフィン等のプラスチックから形成され得るが、これに限定されない。
【0069】
ブラシ部分103は、ブラシ部分材料105から形成される。ブラシ部分材料105には潤滑剤106が含浸される。潤滑剤106は、使用中に少なくとも1つの接触領域104から薬剤送達装置用環状要素の内面へと移行させられるように構成される。ブラシ部分材料105は、ブラシ部分103の構造的要素を提供する。潤滑剤106は、ブラシ部分103の機能的要素を提供する。
【0070】
本実施形態では、シャフト部分102は概して円筒形の断面を有するが、シャフト部分102の半径は、その長手方向軸に沿って変化し得て、ブラシ部分103を通って延びる。すなわち、ブラシ部分103は、シャフト部分102の周囲に、シャフト部分102の少なくとも一部に沿って延びる。シャフト部分102は、以下により詳細に説明するように、ブラシ部分103の中心を通って延び得る。
【0071】
ブラシ部分材料105は、熱可塑性エラストマから形成され得る。熱可塑性エラストマは、例えばポリオレフィンであり得るが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、熱可塑性エラストマは複数のポリオレフィンの混合物から形成され得る。ポリオレフィンの少なくとも1つは加硫熱可塑性物質であり得る。ポリオレフィンの少なくとも1つは非加硫熱可塑性物質であり得る。ブラシ部分材料105を形成するために使用され得るポリオレフィンの例は、エチレン-プロピレン-ジエンモノマ及びポリアミドである。ポリオレフィンは、繊維で強化され得る。他の例としては、ブタジエン等のエラストマ単位を持つスチレン系熱可塑性物質、すなわちポリスチレン-ブタジエン-スチレン又はポリスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンが含まれる。
【0072】
潤滑剤106は、例えばシロキサンポリマであり得るが、これに限定されない。シロキサンポリマの一例は、ポリジメチルシロキサン(以下「PDMS」と呼ぶ)である。熱可塑性エラストマのブラシ部分材料105は、約2400MPaのヤング率を有し得る。潤滑剤106は、約40MPaのヤング率を有し得る。ブラシ部分材料105を形成する熱可塑性エラストマは、複数の細孔107又は空間を含むように形成される。複数の細孔107の各々は、潤滑剤106を受け取り得る。このようにして、ブラシ部分材料105はスポンジと同様の方法で形成される。
【0073】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)は、シリコーン油の一例である。PDMSは潤滑剤106の特に好適な例であるが、これは、それが光学的に透明、不活性、無毒、且つ不燃性であるからである。
【0074】
ブラシ部分103は、ブラシ部分材料105と潤滑剤106とを組み合わせることによって形成される。ブラシ部分材料105と潤滑剤106は、実質的に均一な混合物を形成するために一緒に混合され得る。潤滑剤106は、潤滑剤の分子がブラシ部分材料105との弱い共有結合のみを形成するように高濃度で提供される。混合物は、以下で説明するように、必要な形状を達成するために射出成形の通常の方法でスクリュにより金型に押し込まれる。
【0075】
少なくとも1つの接触領域104は、シャフト部分102の長手方向軸Aに、ブラシ部分の長手方向の少なくとも一方の端において、ブラシ部分103のその端から長手方向に離れた少なくとも1つの接触領域104より近付けられ得る。
【0076】
ブラシ部分103は、使用中に潤滑剤106がブラシ部分103から滲出するように構成される。すなわち、潤滑剤106の少なくとも一部は、使用中にブラシ部分材料105から離れて、薬剤送達装置用管状要素の内面を被覆できる。それゆえ、潤滑剤106は、スポンジの細孔と同様の方法で、ブラシ部分103のブラシ部分材料105間の空間に存在し得る。潤滑剤106は、潤滑剤106が少なくとも1つの接触領域104に向かって移動できるように、ブラシ部分103の構造的ブラシ部分材料105中に散在させられる。装置100と薬剤送達装置用管状要素の内面との間の摩擦係数は、潤滑剤が移行させられるときに約0.08であり得る。
【0077】
本実施形態では、ブラシ部分材料105中に受容可能な潤滑剤106の濃度は、使用前のブラシ部分103の重量の40%~60%の範囲である。この範囲内の潤滑剤106の量では、熱可塑性エラストマのブラシ部分材料105中の、例えばPDMS分子が高濃度となる。これらの高濃度では、全てのPDMS分子が熱可塑性エラストマのブラシ部分材料105との共有結合を形成できるわけではない。
【0078】
すなわち、ブラシ部分103を形成する熱可塑性エラストマ材料105の製造に関連する可塑化工程にもかかわらず、PMDS分子の各々との共有結合を形成するのに利用可能な電子を有する熱可塑性エラストマの分子は十分でない。それゆえ、熱可塑性エラストマのブラシ部分材料105に結合していないPDMS分子は、ブラシ部分材料105中に散在する。非結合PDMS分子は、ブラシ部分材料105内を移動することができる。
【0079】
ブラシ部分103のブラシ部分材料105は、装置100のシャフト部分102の長手方向軸に垂直な方向に圧縮可能であり得る。これに関して、弾性的に圧縮可能とは、ブラシ部分103が外力の負荷を受けると圧縮され得るが、外力が取り除かれると、ブラシ部分103が元の形状に戻ることを意味する。それに加えて、ブラシ部分103のブラシ部分材料105は、装置100のシャフト部分102の長手方向軸Aに平行な方向に弾性変形可能であり得る。これに関して、弾性変形可能とは、ブラシ部分の103が外力の負荷を受けると変形し得るが、外力が取り除かれると、ブラシ部分103が元の形状に戻ることを意味する。それゆえ、ブラシ部分103のブラシ部分材料105は、シャフト部分102の長手方向軸Aに平行な方向に柔軟である。
【0080】
これにより、装置100を、その断面の寸法、すなわち直径が装置100の断面寸法、すなわち直径より小さい内部空洞を有する薬剤送達装置用管状要素の内部に配置することが可能になる。したがって、少なくとも1つの接触領域104は、使用中に管状要素の内面と接触する。ブラシ部分103の圧縮性及び/又は弾性変形性は、装置100を使用して、装置100の半径より小さい、又はかなり小さい半径を有する管状要素を潤滑できることを意味する。
【0081】
使用中、PDMS分子はブラシ部分103の表面に移動し、それゆえ、薬剤送達装置用管状要素の内面に移行する位置にある。この過程は滲出と呼ばれる。以下でより詳細に説明するように、潤滑剤106の移行は、1つの実施形態では、装置100のブラシ部分103と管状要素の内面との接触によって得られる。潤滑剤106の移行は、局所的な温度上昇によって支援され、これは、ブラシ部分103が使用中に圧縮され、装置100が管状要素に関して移動する速度によって引き起こされる摩擦の増加による。
【0082】
潤滑装置100は、薬剤送達装置用管状要素の内面に潤滑剤106の層を堆積させるように構成される。管状要素の内面に堆積した潤滑剤106の層は、実際には表面の粗さを増大させ得ることがわかった。表面粗さの増大は、10%~30%であり得ることが分かっている。これは、潤滑剤106、例えばPDMSの粒子が管状要素の内面に堆積することによる。表面粗さの増大は、潤滑剤106の層が不均一であることによる。すなわち、潤滑剤106の層は厚さが均一ではない。潤滑剤106の層は、約40nm~約60nmの範囲であり得る。したがって、表面粗さの増大から、既知の技術で特許請求されているように粗い表面が削られて平滑化されるのではなく、潤滑剤106が粗い表面がブラシ部分103から表面に堆積させられることは明らかである。
【0083】
次に
図3を参照すると、装置100のシャフト部分102の側面図が示されている。シャフト部分102は案内機構111を含む。案内機構111は、シャフト部分102の端112に配置されている。すなわち、案内機構111は、シャフト部分102の末端113と、シャフト部分102の、末端113から延びる区間を形成する。
【0084】
案内機構111はアクスル部分114を含む。アクスル部分114は、シャフト部分102の末端113を形成し、長手方向に延びる。案内機構111のアクスル部分114は、装置100を工具(図示せず)で把持できるように構成される。工具は、例えば製造ロボット(図示せず)のアームであり得るが、これに限定されない。アクスル部分114は、使用中に潤滑対象である薬剤送達装置用管状要素の中を駆動されるように構成され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、
図3に示すように、アクスル部分114は少なくとも1つの切欠き区間115を含む。切欠き区間115は、装置100のアクスル部分114の把持性を向上させる。すなわち、アクスル部分114内の少なくとも1つの切欠き区間115により、ツール(図示せず)が装置100を把持しやすくなる。本実施形態では、アクスル部分114は4つの切欠き区間115を含む。切欠き区間115の各々は、長手方向に延びる概して扇形の断面を有する。切欠き区間115は、円周方向に等間隔に配置される。したがって、アクスル部分114は、長手方向に延びる十字形の断面を含む。
【0086】
案内機構111は、ブラシ部分103と当接するように構成された表面116をさらに含む。表面116は、シャフト部分102の長手方向軸Aに対して実質的に垂直に延びる。本実施形態では、案内機構111の表面116は実質的に円形であるが、代替的な実施形態では、案内機構111の表面116は異なる形状でもあり得ると理解されたい。表面116は、ブラシ部分103と当接するように構成され、ブラシ部分103がシャフト部分102に関してシャフト部分102の末端113に向かって長手方向に移動するのを防止する。
【0087】
案内機構111は、テーパ区間117をさらに含む。本実施形態では、テーパ区間117は円錐区間117である。円錐区間117は、アクスル部分114と表面116との間に延びている。すなわち、円錐区間117は、円錐区間117のアクスル部分114とは反対にある表面116を含む。表面116の半径は、アクスル部分114の半径よりも大きく、それによって頂点部分118は表面116よりもシャフト部分102の末端113に近くなる。円錐区間117の頂点部分118は、アクスル部分114へと融合する。代替的な実施形態では、テーパ区間117は、表面116の断面形状に基づいて、別の形状の形態を取り得ると理解されたい。すなわち、テーパ区間は概してピラミッド形状であり得る。
【0088】
テーパ区間117は、表面116に、使用中にブラシ部分103によってそこに加えられたあらゆる力に対抗する強度を提供する。それに加えて、テーパ区間117は少なくとも1つの空洞119を含み得る。少なくとも1つの空洞119は、シャフト部分102の重量を削減するように構成される。少なくとも1つの空洞119は、テーパ区間117の強度に有意な影響を及ぼすことなく、シャフト部分102を軽量化し得る。
【0089】
図1~
図3に示すように。装置100のシャフト部分102はブラシ部分受容区間121を含む。ブラシ部分受容区間121はブラシ部分103を受けるように構成される。ブラシ部分受容区間121は長手方向に延びる。ブラシ部分受容区間121は案内機構111から延びる。すなわち、ブラシ部分受容区間121は表面116から突出し、表面116から長手方向に延びる。ブラシ部分受容区間121は、表面116の中心から延び得る。いくつかの実施形態では、ブラシ部分受容区間121は案内機構111と同軸である。
【0090】
本実施形態では、装置100のシャフト部分102は複数の案内機構111を含む。
図3及び
図4に示すように、シャフト部分102は、第一の案内機構111a及び第二の案内機構111bを含む。第一及び第二の案内機構111a、111bは、長手方向に離間される。したがって、第一及び第二の案内機構111a、111bは、シャフト部分102の長手方向軸に沿って離間され、ブラシ部分受容区間121によって分離される。すなわち、本実施形態では、ブラシ部分受容区間121は、ブラシ部分受容区間121の両端で案内機構111により画定され、又は区切られる。
【0091】
それゆえ、第一の案内機構111aは、ブラシ部分103がシャフト部分102に関してシャフト部分102の長手方向軸Aに沿って第一の方向へと長手方向に移動するのを防止するように構成される。第二の案内機構111bは、ブラシ部分がシャフト部分102に関して長手方向軸Aに沿って反対の第二の方向へと長手方向に移動するのを防止するように構成される。
【0092】
図2に示すように、ブラシ部分受容区間121はコア区間122を含む。コア区間122は、ブラシ部分受容区間121の長さに沿って長手方向に延びる。すなわち、本実施形態では、コア区間122は、第一の案内機構111aと第二の案内機構111bとの間のブラシ部分受容区間121の長さを延ばす。
図4に示される実施形態では、ブラシ部分受容区間121のコア区間122は断面が概して円形であり、コア区間122は円筒状である。
【0093】
図2は、ブラシ部分受容区間121を最も単純な形態で示しており、すなわち円筒上のコア区間122のみにより形成されている。しかしながら、
図4~
図12を参照すると、装置100のシャフト部分102の9つの別の例示的な実施形態が示されており、各々、代替的なブラシ部分受容区間を有する。シャフト部分102の例示的な実施形態を、以下でより詳細に説明する。
【0094】
図4を参照すると、第二の実施形態のシャフト部分130が示されている。シャフト部分130は、前述の実施形態のシャフト部分102と概して同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。さらに、シャフト部分130の特徴及び構成要素で、シャフト部分102の特徴及び構成要素と同じものは、同じ用語及び参照番号を保持する。第二の実施形態のシャフト部分130と前述のシャフト部分102との主な違いは、シャフト部分130のブラシ部分受容区間131に見出すことができる。
【0095】
図4に示されるシャフト部分130は、ブラシ部分受容区間131を含む。ブラシ部分受容区間131はコア区間132を含む。コア区間132は、案内機構111a、111b間でブラシ部分受容区間131の長さに沿って長手方向に延びる。
【0096】
本実施形態では、ブラシ部分受容区間131は少なくとも1つの半径方向の突起133をさらに含む。少なくとも1つの半径方向の突起133は、ブラシ部分受容区間131のコア区間132から半径方向に突出する。すなわち、少なくとも1つの半径方向の突起133は、半径方向に、コア区間132からシャフト部分130の長手方向軸Aに垂直な方向に突出する。
【0097】
本実施形態では、コア区間は円筒を含み得るが、代替的な実施形態では、コア区間132は、少なくとも1つの半径方向の突起133の厚さと等しい長さの辺を有する正四角柱によって形成され得る。
【0098】
それに加えて、少なくとも1つの半径方向の突起133は、ブラシ部分受容区間131の少なくとも一部に沿って長手方向に延びる。すなわち、少なくとも1つの半径方向の突起133は、少なくとも部分的に案内機構111間のコア区間132に沿って延びる。本実施形態では、少なくとも1つの半径方向の突起133は、シャフト部分130の長手方向軸に平行な方向に延びる。
【0099】
さらに、本発明の少なくとも1つの半径方向の突起133は、実質的にシャフト部分130の第一の案内機構111aから第二の案内機構111bまで延びる。すなわち、少なくとも1つの半径方向の突起133は、ブラシ部分受容区間131の全長に沿って延びる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの半径方向の突起133は案内機構111の表面116と当接し得る。
【0100】
図4に示すように、ブラシ部分受容区間は複数の半径方向の突起133を含む。具体的には、本実施形態では、ブラシ部分受容区間131は4つの半径方向の突起133を含む。4つの半径方向の突起はコア区間132の周囲に等間隔に配置され、それによってこれらは、シャフト部分130の長手方向軸Aに垂直に延びる平面内で見た時に、コア区間132と共に概して十字形の断面を形成する。半径方向の突起133の各々は、長方形の断面を有する立方体である。しかしながら、代替的な実施形態では、半径方向の突起133の形状は異なり得ると理解されたい。
【0101】
半径方向の突起133の各々は自由端134を含む。半径方向の突起133の各々の自由端134は、シャフト部分130の中心線、すなわち長手方向軸Aから、案内機構111の表面116の半径と等しい距離に配置される。したがって、本実施形態では、半径方向の突起133は案内機構111を半径方向に超えて延びない。
【0102】
半径方向の突起133の各々はまた、対向する第一及び第二の側面135、136も含み、これらはコア区間132及び自由端134との間に延びる。第一及び第二の面135、136は、ブラシ部分がシャフト部分130に取り付けられたとき、ブラシ部分103と当接する。本実施形態では、第一及び第二の面135、136は、相互に平行であるが離間され、且つシャフト部分130の長手方向軸Aに平行である平面内に延びる。第一及び第二の面135、136は、案内機構111の表面116に関して垂直に延びる。第一及び第二の面135、136は、概して長方形の断面を有する。
【0103】
図5を参照すると、第三の実施形態のシャフト部分140が示されている。シャフト部分140は、上述の実施形態のシャフト部分130と概して同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。さらに、シャフト部分140の特徴及び構成要素で、シャフト部分130の特徴及び構成要素と同じものは、同じ用語及び参照番号を保持する。第三の実施形態のシャフト部分140と前述のシャフト部分130との主な違いは、少なくとも1つの半径方向の突起143に見出すことができる。
【0104】
図5に示されるシャフト部分140は、ブラシ部分受容区間141を含む。ブラシ部分受容区間141は、前述のように、コア区間142を含む。ブラシ部分受容区間141は、コア区間142から延びる少なくとも1つの半径方向の突起141をさらに含む。本実施形態では、ブラシ部分受信区間141は、コア区間142の周りに均等に離間された4つの半径方向の突起143を含む。
【0105】
しかしながら、
図5に示される第三の実施形態のシャフト部分140と
図4に示される第二の実施形態のシャフト部分130との違いは、半径方向の突起143の自由端144が半径方向に、案内機構111の表面116の半径よりさらに延びていることである。したがって、半径方向の突起143の自由端144は、案内機構111の表面116の円周よりもシャフト部分140の中心線から離れている。半径方向に案内機構111よりさらに延びる半径方向の突起143により、シャフト部分140のブラシ部分受容区間141間の利用可能な接触面積が増大する。したがって、ブラシ部分103に作用する面積がより大きくなり、それによってシャフト部分140がブラシ部分103のシャフト部分140に関する移動を防止する能力が増大する。
【0106】
次に
図6を参照すると、第四の実施形態のシャフト部分150が示されている。シャフト部分150は、前述の実施形態のシャフト部分102と同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。さらに、シャフト部分150の特徴及び構成要素で、シャフト部分102の特徴及び構成要素と同じものは、同じ用語及び参照番号を保持する。第四の実施形態のシャフト部分150と前述のものとの主な違いは、少なくとも1つの半径方向の突起に見出すことができる。
【0107】
図6に示されるシャフト部分150は、ブラシ部分受容区間151を含む。ブラシ部分受容区間151はコア区間152を含む。コア区間152は、案内機構111a、111b間でブラシ部分受容区間151の長さに沿って長手方向に延びる。
【0108】
本実施形態では、ブラシ部分受容区間151は少なくとも1つの半径方向の突起153をさらに含む。少なくとも1つの半径方向の突起153は、ブラシ部分受容区間151のコア区間152から半径方向に突出する。本実施形態では、少なくとも1つの半径方向の突起153は、コア区間から半径方向に、且つコア区間152の周囲に円周方向に突出する。
【0109】
すなわち、少なくとも1つの半径方向の突起153は円形ディスク157を含む。円形ディスクは、シャフト部分150の長手方向軸Aに対して垂直に延びる。垂直に延びる円形ディスク157は、ブラシ部分103がシャフト部分150に関して長手方向に移動するのを防止するように構成される。円形ディスク157は、他の実施形態では三角形又は正方形のプレート等、他の形状とすることができると理解されたい。
【0110】
図6に示すように、ブラシ部分受容区間151は複数の半径方向の突起153を含む。具体的には、ブラシ部分受容区間151の本実施形態は、5つの半径方向の突起153を形成する5つの円形ディスク157を含む。半径方向の突起153の各々は、シャフト部分150の長手方向軸Aに平行な方向に、少なくとも部分的にブラシ部分受容区間151に沿って延びる。
【0111】
本実施形態では、半径方向の突起153、157のうちの少なくとも1つは、ブラシ部分受容区間151に沿って長手方向に、少なくとも1つの別の半径方向の突起153、157がブラシ部分受容区間151に沿って長手方向に延びる距離とは異なる距離だけ延びる。例えば、
図6において、中央のディスク157は、ブラシ部分受容区間151に沿って長手方向に、他の半径方向の突起153、157の何れよりも長い距離だけ延び、他の半径方向の突起は、この場合、全て同じ距離だけ長手方向に延びている。
【0112】
複数の円形ディスク157の各々は、シャフト部分150の長手方向軸Aに沿って相互に離間される。すなわち、複数のディスク157の各々は相互にギャップ158により相互に離間される。ギャップ158は、以下でより詳細に説明するように、ブラシ部分103がシャフト部分150に取り付けられたときに、ブラシ部分103によって埋められるように構成される。
【0113】
円形ディスク157は自由端154を含む。円形ディスク157の自由端154は、その円周面によって形成される。少なくとも1つの半径方向の突起153の円周面154は、シャフト部分150の中心線から案内機構111の表面116の半径と等しい距離だけに配置される。したがって、本実施形態では、少なくとも1つの半径方向の突起153は半径方向に案内機構111を超えて延びない。
【0114】
円形ディスク157の各々は第一及び第二の側面155、156も含み、これらはコア区間152と円周面154との間に延びる。それゆえ、第一及び第二の側面155、156が円周面154と出会う場所に縁部158が形成される。第一及び第二の面155、156並びに円周面154は、ブラシ部分103がシャフト部分150に取り付けられると、ブラシ部分103に当接するように構成される。本実施形態では、第一及び第二の面155、156は、相互に平行であるが離間され、且つ案内機構111の表面116に平行な平面内に延びる。第一及び第二の面155、156は、シャフト部分150の長手方向軸Aに対して垂直に延びる。
【0115】
隣接する円形ディスク157の第一及び第二の面155、156は対向する。したがって、1つのディスク157の第一の面155は、隣接するディスク157の第二の面156からギャップ159のうちの1つにより分離され得る。同様に、1つのディスクの第二の面156は、隣接するディスク157の第一の面155からギャップ159のうちの1つにより分離され得る。
【0116】
第一及び第二の面155、156は、概して環状の断面を有する。本実施形態では、第一のディスク157の第一の面155は、第一の案内機構111aの表面116から離間され、最後のディスク157の第二の面156は、第二の案内機構111bの表面116から離間される。
【0117】
次に
図7を参照すると、第五の実施形態のシャフト部分160が示されている。シャフト部分160は、上述の実施形態のシャフト部分150と概して同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。さらに、シャフト部分160の特徴及び構成要素で、シャフト部分150の特徴及び構成要素と同じものは、同じ用語及び参照番号を保持する。第五の実施形態のシャフト部分160と第四の実施形態のシャフト部分140との主な違いは、少なくとも1つの半径方向の突起に見出すことができる。
【0118】
図7に示されるシャフト部分160は、ブラシ部分受容区間161を含む。ブラシ部分受容区間161はコア区間162を含む。コア区間162は、案内機構111a、111b間にブラシ部分受容区間161の長さに沿って長手方向に延びる。
【0119】
本実施形態では、ブラシ部分受容区間161は、少なくとも1つの円形ディスク167の形態の少なくとも1つの半径方向の突起163をさらに含む。少なくとも1つの円形ディスク157は、シャフト部分160の長手方向軸に対して垂直に延びる。
図7のシャフト部分は5つの円形ディスクを含み、その各々はブラシ部分受容区間161に沿って長手方向に同じ距離だけ延びる。
【0120】
本実施形態では、円形ディスク167の自由端164は、案内機構111の表面116の半径よりもさらに半径方向に配置される。したがって、円形ディスク167の円周面164は、案内機構111の表面116の円周よりもシャフト部分160の中心線から遠い。
【0121】
それに加えて、第一のディスク167の第一の面165は、第一の案内機構111aの表面116と当接する。すなわち、第一の案内機構111aと第一のディスク167との間にギャップ169はない。最後のディスク167の第二の面166は、第二の案内機構111bの表面116と当接する。すなわち、第二の案内機構111bと最後のディスク167との間にギャップ169はない。
【0122】
次に
図8を参照すると、第六の実施形態のシャフト部分170が示されている。シャフト部分170は、前述の実施形態のシャフト部分150と概して同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。さらに、シャフト部分170の特徴及び構成要素で、シャフト部分150の特徴及び構成要素と同じものは、同じ用語及び参照番号を保持する。第六の実施形態のシャフト部分170と第四の実施形態のシャフト部分140との主な違いは、少なくとも1つの半径方向の突起に見出すことができる。
【0123】
図8に示されるシャフト部分170は、ブラシ部分受容区間171を含む。ブラシ部分受容区間171はコア区間172を含む。コア区間172は、案内機構111a、111b間にブラシ部分受容区間171の長さに沿って長手方向に延びる。
【0124】
本実施形態では、ブラシ部分受容区間171は、少なくとも1つの円形ディスク177の形態の少なくとも1つの半径方向の突起173をさらに含む。少なくとも1つの円形ディスク177は、シャフト部分170の長手方向軸に対して垂直に延びる。
図8のシャフト部分170は5つの円形ディスクを含み、各々は長手方向にブラシ部分受容区間171に沿って同じ距離だけ延びる。
【0125】
本実施形態では、円形ディスク177の自由端174は半径方向に案内機構111の表面116の半径よりも遠い距離に配置される。したがって、円形ディスク177の円周面174は、案内機構111の表面116の円周よりもシャフト部分170の中心線から遠い。
【0126】
円形ディスク177の各々は第一及び第二の側面175、176も含み、これらはコア区間172と円周面174との間に延びる。本実施形態では、円周面174が前述のシャフト部分150、160のように円筒面によって形成されるのではなく、円周面174に丸みが付けられている。すなわち、第一の面175の半径方向に外側の端を第二の面176の半径方向に外側の端とつなぐ円周面174は概してドーム状である。尖った縁部を取り除くことにより、使用中のブラシ部分103の磨耗が軽減される。
【0127】
第一及び第二の面175、176、並びにドーム状の円周面174は、ブラシ部分103がシャフト部分170に取り付けられたときに、ブラシ部分103と当接するように構成される。本実施形態では、第一及び第二の面175、176は、平行であるが相互に離間され、且つ案内機構111の表面116に平行な平面内に延びる。第一及び第二の面175、176は、シャフト部分170の長手方向軸Aに対して垂直に延びる。
【0128】
隣接する円形ディスク177の第一及び第二の面175、176は対向する。したがって、1つのディスク177の第一の面175は隣接するディスク177の第二の面176からギャップ179のうちの1つにより分離され得る。同様に、1つのディスクの第二の面176は隣接するディスク177の第一の面175からギャップ179のうちの1つにより分離され得る。
【0129】
第一及び第二の面175、176は、概して環状の断面を有する。本実施形態では、第一のディスク177の第一の面175は第一の案内機構111aの表面116から離間され、最後のディスク177の第二の面176は第二の案内機構111bの表面116から離間される。
【0130】
次に
図9を参照すると、第七の実施形態のシャフト部分180が示されている。シャフト部分180は、上述の実施形態のシャフト部分180と概して同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。さらに、シャフト部分180の特徴及び構成要素で、シャフト部分170の特徴及び構成要素と同じものは、同じ用語及び参照番号を保持する。第七の実氏形態のシャフト部分180と第六の実施形態のシャフト部分170との主な違いは、少なくとも1つの半径方向の突起に見出すことができる。
【0131】
図9に示されるシャフト部分180は、ブラシ部分受容区間181を含む。ブラシ部分受容区間181はコア区間182を含む。コア区間182は、案内機構111a、111b間にブラシ部分受容区間181の長さに沿って長手方向に延びる。
【0132】
本実施形態では、ブラシ部分受容区間181は、少なくとも1つの円形ディスク187の形態の少なくとも1つの半径方向の突起183をさらに含む。少なくとも1つの円形ディスク187は、シャフト部分180の長手方向軸に対して垂直に延びる。
図9のシャフト部分は5つの円形ディスクを含み、各々は長手方向にブラシ部分受容区間181に沿って同じ距離だけ延びる。
【0133】
本実施形態では、円形ディスク187の自由端184は、案内機構111の表面116の半径よりもさらに半径方向に配置される。したがって、円形ディスク187の円周面184は、案内機構111の表面116の円周よりもシャフト部分180の中心線から遠い。シャフト部分180の周面184は、
図10に示される実施形態に関して前述したようにドーム状である。
【0134】
それに加えて、第一のディスク187の第一の面185は第一の案内機構111aの表面116と当接する。すなわち、第1の案内機構111aと第一のディスク187との間にギャップ189はない。最後のディスク187の第二の面186は第二の案内機構111bの表面116と当接する。すなわち、第二の案内機構111bと最後のディスク187との間にギャップ189はない。
【0135】
次に
図10を参照すると、第八の実施形態のシャフト部分190が示されている。シャフト部分190は上述の実施形態のシャフト部分と概して同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。さらに、シャフト部分190の特徴及び構成要素で、シャフト部分190の特徴及び構成要素と同じものは、同じ用語及び参照番号を保持する。第八の実施形態のシャフト部分190と上述のその他の実施形態のシャフト部分との主な違いは、少なくとも1つの径方向の突起に見出すことができる。
【0136】
図10に示すシャフト部分190は、ブラシ部分受容区間191を含む。ブラシ部分受容区間191は、コア区間192を含む。コア区間192は、案内機構111a、111b間にブラシ部分受容区間191の長さに沿って長手方向に延びる。
【0137】
本実施形態では、ブラシ部分受容区間191は少なくとも1つの円形ディスク197の形態の少なくとも1つの半径方向の突起193をさらに含む。少なくとも1つの円形ディスク197は、シャフト部分190の長手方向軸に対して垂直に延びる。
図10のシャフト部分は5つの円形ディスクを含み、各々はブラシ部分受容区間191に沿って長手方向に同じ距離だけ延びる。
【0138】
本実施形態では、円形ディスク187の各々の自由端184は、案内機構111の表面116の半径よりもさらに半径方向に配置される。しかしながら、本実施形態では、第一及び最後の円形ディスク197、すなわち案内機構111a、111bに最も近いディスク197は、
図8に関して説明した円周面と同様に、ドーム状の円周面194を有する。残りのディスク197、すなわち第一及び最後のディスク197間に配置されるディスク197は、
図6に関して述べた円周面と同様に、円筒状の円周面194を含む。
【0139】
複数の円形ディスク197のうちの少なくとも1つの半径は、複数の円形ディスク197の少なくとも別の1つの半径と異なり得る。例えば、
図10に示すように、第一及び最後の円形ディスク197は残りの円形ディスク197より小さい半径を有する。異なる半径のディスク197は
図10にのみ示されているが、本明細書に記載の何れの実施形態もまた、異なる大きさの半径を有する円形ディスク197を含むことができると理解されたい。。
【0140】
さらに、半径方向の突起193の少なくとも1つ、例えば円形ディスク197は切欠き区間201をさらに含み得る。切欠き区間201は、ブラシ部分103がシャフト部分190上に配置されたときに、ブラシ部分103の一部を受けるように構成される。切欠き区間201は、シャフト部分190に、ブラシ部分103がそこを通って延びるアンカポイントを提供することにより、ブラシ部分103がシャフト部分190に関して回転するのを防止するように構成される。
【0141】
切欠き201は、少なくとも1つ突起193の自由端194から延びる凹部により形成される。この場合、凹部は、少なくとも1つの円形ディスク197の円周面194から延びる。凹部は、自由端又は円周面194からコア区間192に向かって半径方向に内向きに延びる。したがって、切欠きは径方向に延びる第一及び第二の側壁202、203を含む。第一及び第二の側壁202は、切欠き201の底壁204により接合され得る。底壁204は、湾曲面又は平坦面によって形成され得る。
【0142】
代替的な実施形態では、第一及び第二の側壁202、203は半径方向に延びるのではなく、相互に平行に、離間されて延びてもよいと理解されたい。しかしながら、そのような実施形態では、切欠き201の中心線は依然としてシャフト部分190の長手方向軸に向かって概して半径方向に延び得る。
【0143】
次に
図11を参照すると、第九の実施形態のシャフト部分210が示されている。シャフト部分210は、前述の実施形態のシャフト部分150と概して同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。さらに、シャフト部分150の特徴及び構成要素で、シャフト部分150の特徴及び構成要素と同じものは、同じ用語及び参照番号を保持する。第九の実施形態のシャフト部分210とこれ以前の実施形態のシャフト部分との主な違いは、少なくとも1つの半径方向の突起に見出すことができる。
【0144】
図11に示すシャフト部分210は、ブラシ部分受容区間211を含む。ブラシ部分受容区間211は、コア区間212を含む。コア区間212は、案内機構111a、111b間にブラシ部分受容区間211の長さに沿って長手方向に延びる。
【0145】
本実施形態では、ブラシ部分受容区間211は少なくとも1つの円形ディスク217の形態の少なくとも1つの半径方向の突起213をさらに含む。少なくとも1つの円形ディスク217は、シャフト部分210の長手方向軸に対して垂直に延びる。
図11のシャフト部分は3つの円形ディスクを含む。
【0146】
3つの円形ディスク217の各々は、シャフト部分210の長手方向軸Aに沿って相互に離間される。すなわち、複数のディスク217の各々は相互にギャップ218によって分離される。本実施形態では、真ん中の円形ディスク217は、ブラシ受容区間211に沿って長手方向に、第一及び最後の円形ディスク217が長手方向に延びる距離とは異なる距離だけ延びる。
図11に示すように、中央の円形ディスク217は、第1及び最後の円形ディスク217よりも長手方向にさらに延びている。
【0147】
円形ディスク217は自由端214を含む。円形ディスク217の自由端214は、その円周面によって形成される。少なくとも1つの円形ディスク217の円周面214はシャフト部分210の中心線から、案内機構111の表面116の半径より小さい距離に配置される。したがって、本実施形態では、案内機構111の表面116の円周は円形ディスク217の円周面214を越えて延びる。
【0148】
さらに、少なくとも1つの半径方向の突起213はピン225を含み得る。ピン225は、コア区間212から半径方向に延び得る。代替的に、
図11に示すように、ピン225は円形ディスク217のうちの少なくとも1つの円周面214から半径方向に延び得る。本実施形態では、ピン225は概して、中心軸がシャフト部分210の長手方向軸Aに対して垂直に延びる円筒形である。代位的な実施形態では、ピン225は別の形状であり得る。ピンは、その自由端226が案内機構111の表面116の円周を超えないように延び得る。
【0149】
シャフト部分の実施形態に関して上述した特徴及び構成要素は、例としてのみ与えられ、説明した特徴は、図に示されていない方法でも組み合わせられ得ると理解されたい。
【0150】
図1及び
図2を再び参照すると、第一の実施形態のブラシ部分103が示されている。ブラシ部分の103は長手方向軸A’を有する。ブラシ部分の長手方向軸A’は、シャフト部分102の長手方向軸Aと同軸である。ブラシ部分103は、コア区間231を含む。ブラシ部分103のコア区間231は、案内機構111間にシャフト部分102のブラシ部分受容区間121にわたり長手方向に延びる。コア区間231は、中央開口232を含む。装置100のシャフト部分102は中央開口232を通って延びる。中央開口232は、内面233を含む。ブラシ103の内面233は、シャフト部分102のブラシ部分受容区間121と当接するように構成される。
【0151】
ブラシ部分103は、シャフト部分102にオーバーモールドされ得る。代替的に、ブラシ部分103及びシャフト部分102は、コモールドされ得る。したがって、
図4~
図11に示す例で述べたように、ブラシ部分103の内面233は、ブラシ部分受容区間121上にどの構成要素が配置されているかにかかわらず、案内機構間にブラシ部分受容区間121とその長さに沿って接触し得る。すなわち、内面全体は、上述のように、ブラシ部分受容区間103及び全ての半径方向の突起と当接し得る。
【0152】
コア区間231は概して円筒形であり、シャフト部分102のブラシ部分受容区間121のコア区間122の周りに延び得る。ブラシ部分103のコア区間231は、ブラシ部分103のうち、ブラシ部分103がシャフト部分102に取り付けられたときに、シャフト部分102の案内機構111又はシャフト部分102のブラシ部分受容区間121の半径方向の突起133の自由端134の何れか、シャフト部分102の長手方向軸Aから遠い方の、半径方向に内側の部分と考え得る。いくつかの実施形態では、コア区間231は少なくとも1つの開口を含み得る。少なくとも1つの開口は、シャフト部分の半径方向の突起がそこを通って延びることができるように構成され得る。
【0153】
ブラシ部分103は、少なくとも1つの半径方向の突起234をさらに含む。少なくとも1つの半径方向の突起234は、ブラシ部分103のコア区間232から延びる。すなわち、少なくとも1つの半径方向の突起234は、コア区間231からシャフト部分102の長手方向軸Aに垂直な方向に半径方向に突出する。それに加えて、少なくとも1つの半径方向の突起234は、コア区間231の少なくとも一部に沿って長手方向に延びる。
【0154】
本実施形態では、コア区間231は概して円筒状であり得るが、代替的な実施形態では、コア区間231は、例えば多角柱、すなわち、n辺の多角形底辺を含む多面体により形成され得るが、これに限定されない。さらなる代替的な実施形態では、コア区間231は、以下でより詳細に説明するように、半径方向の突起間に接続される要素によって、又は長手方向に延びる部材によって形成され得る。
【0155】
本実施形態では、少なくとも1つの半径方向の突起234は、少なくとも1つの円形ディスク235によって形成される。少なくとも1つの円形ディスク235は、シャフト部分102の長手方向軸Aに垂直な方向に延びる。垂直に延びるディスク235は、使用中に薬剤送達装置用管状要素の表面と接触するように構成される。ディスク235は、前述のように、使用中に弾性的に圧縮可能及び/又は弾性変形可能であるような寸法とされ得る。円形ディスク235は、他の実施形態では他の形状、例えば三角形又は正方形とすることもできると理解されたい。一般に、ディスク235の形状は、潤滑対象の管状要素の内面に合致するように構成される。円形ディスク235の半径は、潤滑対象の管状要素の表面と締まり嵌めを形成するように構成される。
【0156】
図2に示すように、ブラシ部分は円形ディスク235の形態の複数の半径方向の突起234を含む。具体的には、ブラシ部分103の本実施形態は9つの円形ディスク235を含む。円形ディスク235の各々は、長手方向軸A’に平行な方向にコア区間231の一部に沿って延びる。
【0157】
本実施形態では、円形ディスク235の各々は、コア区間231に沿って長手方向に同じ距離だけ延びているが、代替的な実施形態では、少なくとも1つの円形ディスクの厚さは、ディスク235の別の1つの厚さと異なり得る。本実施形態では、円形ディスク235は中実である。しかしながら、代替的な実施形態では、円形ディスク235は中空であり得る。
【0158】
複数の円形ディスク235の各々は、ブラシ部分103の長手方向軸Aに沿って互いに離間される。すなわち、複数のディスク235の各々は相互にギャップ236により離間される。ギャップ236は、使用中にディスク235が曲がるための空間を設けるように構成される。
【0159】
各円形ディスク235は自由端237を含む。円形ディスク235の自由端237は、その円周面によって形成される。円形ディスク235の円周面237は、シャフト部分102の中心線から、シャフト部分の中心線から案内機構111及びブラシ受容部分121の円周面までの距離よりも大きい距離に配置される。これにより、潤滑対象の薬剤送達装置用管状要素の表面と接触するのは、シャフト部分102ではなくブラシ部分103であることが確実となる。
【0160】
円形ディスク235の各々は第一及び第二の面238、239も含み、これらはブラシ部分103のコア区間231とその円周面237との間に延びる。円周面237は、
図2に示されるように概してドーム状である。本実施形態では、第一及び第二の面238、239は、相互に平行であるが離間され、且つブラシ部分103の長手方向軸A’に対して垂直である平面内に延びる。別の実施形態では、第一及び第二の面238、239が延在する平面は、相互に関して角度を成し得る。
【0161】
少なくとも1つの半径方向の突起234は、少なくとも1つの接触領域104を含む。少なくとも1つの接触領域104は、半径方向の突起234の、ブラシ部分103のコア区間231から遠位側にある端241に配置される。半径方向の突起234の端241は、円周面237によって形成され得る。少なくとも1つの接触領域104は、少なくとも1つの接触点242を含む。少なくとも1つの接触点242は、薬剤送達装置用管状要素の表面と接触して、ブラシ部分材料105中の潤滑剤106を表面に移行させるように構成される。
【0162】
図2に示すように、接触領域104は1つの接触点242を含み得る。接触点242は、シャフト部分102の長手方向軸Aに垂直な方向に、ブラシ部分103のコア区間231からの半径方向の突起234の最も遠位部分又は末端243によって形成され得る。
【0163】
本実施形態では、半径方向の突起234の接触点242は、ブラシ部分103の長手方向軸A’から様々な距離だけ離間される。例えば、ブラシ部分103の端に最も近い、すなわち案内機構に近い半径方向の突起234は、半径方向において他の半径方向の突起234よりも短くてもよい。すなわち、長手方向軸A’と第一及び最後の半径方向の突起234の接触点242との間の距離は、長手方向軸A’と他の何れの半径方向の突起234の接触点242との間の距離よりも短くてよい。接触領域104の接触点242によって作られる形状は、概して卵形である。このような配置は、装置100を、潤滑対象の薬剤送達装置用管状要素の中へと案内するのに役立ち、装置100を管状要素内に適切にセットして、ブラシ部分材料105から管状要素の内面への潤滑剤106の移行にとって最適な接触が得られるようにする。
【0164】
図21及び
図22を簡単に参照すると、接触点242は少なくとも1つのリップ244により形成され得る。少なくとも1つのリップ244は、半径方向の突起234の末端243に形成される。リップ244は、例えばドーム形状の突起によって形成され得るが、これに限定されない。
図21の半径方向の突起234の実施形態は、1つのリップ244を含む。リップ244は、半径方向の突起234の端243の中央に配置され得る。これにより、リップ244は、装置100がどの方向に移動しても、薬剤送達装置用管状要素の表面に接触することができる。
【0165】
図22に示される代替的な実施形態では、半径方向の突起234は複数のリップ244を含み得る。本実施形態では、半径方向の突起234は、半径方向の突起234の中心線からオフセットされた2つのリップ244a、244bを含む。したがって、2つのリップ244a、244bのうちの少なくとも1つは、使用中に薬剤送達装置用管状要素の表面と接触する。例えば、第一のリップ244aは、装置100が一方向に移動すると管状要素の表面と接触し得て、第二のリップ244bは、装置100が反対方向に移動すると管状要素の表面に接触し得る。
【0166】
例えば、隣接する半径方向の突起234間の長手方向の距離は、約1.8mm~約2.2mmの範囲であり得る。さらに、少なくとも1つの半径方向の突起234は、約9~約17の範囲のアスペクト比を有し得る。少なくとも1つの半径方向の突起234のアスペクト比は、半径方向の突起234の中心長手方向軸からの半径方向への長さと、半径方向の突起234の長手方向への厚さの比と考えられる。
【0167】
ここで
図12を簡単に参照すると、第二の実施形態のブラシ部分250が示されている。ブラシ部分250は、前述のブラシ部分103の実施形態と概して同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。さらに、ブラシ部分250の特徴及び構成要素で、ブラシ部分103の特徴及び構成要素と同じものは、同じ用語及び参照番号を保持する。
【0168】
図12は、
図4に示すものと同様のシャフト部分130に取り付けられたブラシ部分250を示す。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分250は、ブラシ部分を異なるシャフト部分上に成形することによって異なるシャフト部分にも配置され得ると理解されたい。
【0169】
本実施形態では、ブラシ部分250は、十字形の断面を有するコア区間251を含む。すなわち、ブラシ部分250のコア区間251は、シャフト部分130の十字形のブラシ部分受容区間131の周囲に延び、それによってブラシ部分受容区間131の表面全体がブラシ部分250の内面253と当接する。ブラシ部分250の十字形のコア区間251は、ブラシ部分がより剛直となり、ブラシ部分250と潤滑対象の表面とが良好に接触するのにも役立つ。
【0170】
ブラシ部分250は、少なくとも1つの半径方向の突起254をさらに含む。本実施形態では、ブラシ部分250はコア区間251から延びる9つの円形ディスク255を含み、これらは半径方向の突起254を形成する。円形ディスク255の各々は、ドーム状の表面によって形成される円周面257を含む。それゆえ、円形ディスク255の接触点262は、ドームの頂点265によって形成される。
【0171】
本実施形態では、円形ディスク255のうちの少なくとも1つはブラシ部分250の長手方向軸A’から、その他の円形ディスク255のうちの少なくとも1つとは異なる距離に延びる。したがって、異なるアスペクト比を有する少なくとも2つの円形ディスク255が存在し得る。ブラシ部分103の端にない円形ディスク255は、同じアスペクト比を有し得る。
【0172】
次に
図13を簡単に参照すると、第三の実施形態のブラシ部分270が示されている。ブラシ部分270は、上述の実施形態のブラシ部分250と概して同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。さらに、ブラシ部分270の特徴及び構成要素で、ブラシ部分250の特徴及び構成要素と同じものは、同じ用語及び参照番号を保持する。
【0173】
図13は、
図5に示されるものと同様のシャフト部分140に取り付けられたブラシ部分270を示す。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分270は、ブラシ部分を異なるシャフト部分の上に成形することによって、異なるシャフト部分にも配置され得ると理解されたい。
【0174】
本実施形態では、ブラシ部分270は十字形の断面を有するコア区間271を含む。すなわち、ブラシ部分270のコア区間271は、シャフト部分140の十字形のブラシ部分受容区間141の周囲に延び、それによってブラシ部分受容区間11の表面全体がブラシ部分270の内面273と当接する。ブラシ部分270の十字形のコア区間271はまた、ブラシ部分をより剛直にして、ブラシ部分270と潤滑対象の表面とを良好に接触させることができるようにするのにも役立つ。
【0175】
ブラシ部分の270は、少なくとも1つの半径方向の突起274をさらに含む。本実施形態では、ブラシ部分270は、コア区間271から延びる9つの円形ディスク275を含み、これらは半径方向の突起274を形成する。円形ディスク275の各々は円周面277を含み、これはドーム状の表面によって形成される。円周面277は、ドームの頂点285から突出するリップ284をさらに含む。それゆえ、円形ディスク275の接触点282は円周方向に延びるリップ284によって形成される。
【0176】
本実施形態では、円形ディスク275の少なくとも1つは、ブラシ部分270の長手方向軸A’から異なる距離に延ぴる。第三の実施形態のブラシ部分270の円形ディスクは、半径方向に、第二の実施形態のブラシ部分250の円形ディスクより長い。
【0177】
ここで
図14を簡単に参照すると、第四の実施形態のブラシ部分290が示されている。ブラシ部分290は、前述の実施形態のブラシ部分103と概して同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。さらに、ブラシ部分290の特徴及び構成要素で、ブラシ部分103の特徴及び構成要素と同じものは、同じ用語及び参照番号を保持する。
【0178】
図14は、
図6に示されるものと同様のシャフト部分150に取り付けられたブラシ部分290を示している。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分290は、ブラシ部分を異なるシャフト部分の上に成形することによって、異なるシャフト部分にも配置され得ると理解されたい。
【0179】
本実施形態では、ブラシ部分290は円筒上のコア区間291を含み、これはブラシ部分受容区間151の表面全体と当接する。さらに、ブラシ部分290は1つの円形ディスク295を含み、これは案内機構111間でブラシ部分受容区間151の長さだけ延びる。円形ディスク295の円周面297は、円筒状の表面によって形成される。円筒状の円周面297は、複数の接触点302を形成するように配置された10個のリップ304を含む。10個のリップ304は、リップ304の5つの第一のグループがブラシ部分290の一方の端の付近に位置付けられ、5つのリップ304の第二のグループはブラシ部分290のもう一方の端の付近に位置付けられるように配置される。リップ304の、ブラシ部分290の端に最も近い少なくとも1つは、リップ304の別の1つよりも、シャフト部分150の長手方向軸Aに近い接触点302を有する。本実施形態では、リップ304の第一及び第二のグループは距離dだけ離間されている。しかしながら、他の実施形態では代替的な配置も想定されると理解されたい。
【0180】
ここで
図15を簡単に参照すると、第五の実施形態のブラシ部分310が示されている。ブラシ部分310は、前述の実施形態のブラシ部分103と概して同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。さらに、ブラシ部分310の特徴及び構成要素で、ブラシ部分103の特徴及び構成要素と同じものは、同じ用語及び参照番号を保持する。
【0181】
図15は、
図8に示されるものと同様のシャフト部分170に取り付けられたブラシ部分310を示す。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分310は、ブラシ部分を異なるシャフト部分の上に成形することによって、異なるシャフト部分に配置され得ると理解されたい。
【0182】
ブラシ部分310はコア区間311を含み、これはシャフト部分170のブラシ部分受容区間171にわたって長手方向に延びる。コア区間311はその中に複数の開口を含み、これはシャフト部分170のディスク313がそこを通って延びることができるように構成される。それゆえ、コア区間311は複数の円筒形部品311aによって形成される。コア区間311の円筒形部品311aは、シャフト部分170のブラシ部分受容区間171のコア区間172と当接する内面313を有する。コア区間311の部品は、シャフト部分のディスク173を覆うように延びる円形ディスク315によって相互に結合される。それゆえ、本実施形態では、コア区間311は連続していない。しかしながら、ブラシ部分310の内面313は依然として、シャフト部分170のブラシ部分受容区間171の表面全体と接触する。
【0183】
本実施形態では、ブラシ部分310は5つの円形ディスク315を含み、その各々はシャフト部分170のディスク177を覆うように延びる。複数の円形ディスク315の各々は、ブラシ部分310の長手方向軸Aに沿って相互に離間される。各円形ディスク315は自由端317を含む。円形ディスク315の自由端317は、その円周面によって形成される。円形ディスク315の各々はまた、第一及び第二の面318、319も含み、これらはブラシ部分310のコア区間311とその円周面317との間に延びる。円周面317は概してドーム状の形態であり、したがってドームの頂点325は接触点322を形成する。ブラシ部分310の端に最も近いディスク315の少なくとも1つは、接触点322の他の1つよりもシャフト部分170の長手方向軸Aに近い接触点322を有する。
【0184】
ここで
図16を簡単に参照すると、第六の実施形態のブラシ部分330が示されている。ブラシ部分330は、上述の実施形態のブラシ部分310と概して同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。さらに、ブラシ部分330の特徴及び構成要素で、ブラシ部分310の特徴及び構成要素と同じものは、同じ用語及び参照番号を保持する。
【0185】
図16は、
図7に示されるものと同様のシャフト部分160に取り付けられたブラシ部分330を示す。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分330は、ブラシ部分を異なるシャフト部分の上に成形することによって、異なるシャフト部分にも配置され得ると理解されたい。
【0186】
本実施形態では、コア区間331は、シャフト部分160のブラシ部分受容区間161のコア区間162を取り囲み、それと接触する円筒形の部品により形成されていない。そうではなく、本実施形態では、コア区間は複数の半径方向に突出する要素331bで形成され、これは隣接する円形ディスク335間で長手方向に延びる。すなわち、要素331aは1つの円形ディスク335の第一の面338から隣接する円形ディスク335の第二の面339まで延びる。本実施形態では、4つの半径方向の要素331aは隣接する円形ディスク335の各ペア間に延びる。半径方向の要素331aは、ブラシ部分330の長手方向軸A’の周囲に等間隔で離間される。
【0187】
ここで
図17を簡単に参照すると、第七の実施形態のブラシ部分350が示されている。ブラシ部分350は、前述のブラシ部分290と概して同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。さらに、ブラシ部分350の特徴及び構成要素で、ブラシ部分290の特徴及び構成要素と同じものは、同じ用語及び参照番号を保持する。
【0188】
図17は、
図9に示すようなシャフト部分180に取り付けられたブラシ部分350を示す。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分350は、ブラシ部分を異なるシャフト部分の上に成形することによって、異なるシャフト部分にも配置され得ると理解されたい。
【0189】
本実施形態では、ブラシ部分350は円筒形のコア区間351を含み、これはブラシ部分受容区間181の表面全体と当接する。さらに、ブラシ部分350は1つの円形ディスク355を含み、これは案内機構111間でブラシ部分受容区間181の長さだけ延びる。円形ディスク355の円周面357は、円筒形表面によって形成される。
【0190】
円筒形の円周面357は、複数の接触点362を形成するように配置された10個のリップ364を含む。10個のリップ364は、リップ364が、突起183の第一及び第二の面185、186が延びる平面に隣接する点において円周方向に延びるように配置される。したがって、シャフト部分180の2つの隣接する突起183間の距離において、2つのリップ364は円周方向に延びる。ブラシ部分350の端に最も近いリップ364の少なくとも1つは、リップ364の他の1つよりもシャフト部分180の長手方向軸Aに近い接触点362を有する。
【0191】
ここで
図18を簡単に参照すると、第八の実施形態のブラシ部分370が示されている。ブラシ部分370は、前述の実施形態のブラシ部分103と概して同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。さらに、ブラシ部分370の特徴及び構成要素で、ブラシ部分103の特徴及び構成要素と同じものは、同じ用語及び参照番号を保持する。
【0192】
図18は、
図10に示されるものと同様のシャフト部分190に取り付けられたブラシ部分370を示す。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分370は、ブラシ部分を異なるシャフト部分の上に成形することによって、異なるシャフト部分にも配置され得ると理解されたい。
【0193】
本実施形態では、ブラシ部分370はコア区間371を含み、これは長手方向に延びる要素371cにより接合される複数の円筒形部品371aにより形成される。長手方向に延びる要素371cは、シャフト部分190の半径方向の突起193の切欠き区間201を通って延びる。
【0194】
円形ディスク375は、コア区間371の部品371aの各々から延びる。円形ディスク375の各々は2つの円周方向に延びるリップ384を含み、これらはブラシ部分370の複数の接触点384を形成する。
図18に示される実施形態は、4つの円形ディスク375と8つの接触点382を有する。ブラシ部分370の長手方向の端の円形ディスク375は、前の実施形態に関して前述したように、より中央部の円形ディスクより小さい半径を有し得る。それに加えて、ブラシ部分370の端に最も近いリップ384の少なくとも1つは、リップ304の他の1つよりもシャフト部分150の長手方向軸Aにより近い接触点382を有する。
【0195】
ここで
図19Aを参照すると、ある実施形態の装置400が示されている。装置400は、
図7に示されるシャフト部分210を含む。装置400は、第九の実施形態のブラシ部分410をさらに含む。ブラシ部分410は、前述のブラシ部分103の実施形態と概して同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。さらに、ブラシ部分410の特徴及び構成要素で、ブラシ部分103の特徴及び構成要素と同じものは、同じ用語及び参照番号を保持する。
【0196】
ブラシ部分410は、長手方向軸A’を有する。ブラシ部分410の長手方向軸A’は、シャフト部分210の長手方向軸Aと同軸である。ブラシ部分410はコア区間411を含む。ブラシ部分410のコア区間411は、案内機構111間でシャフト部分210のブラシ部分受容区間211にわたって長手方向に延びる。コア区間411は中央開口412を含み、これは
図19Bに示される断面図の中に最もよく例示されている。装置400のシャフト部分210は、中央開口412を通って延びる。中央開口412は内面413を含む。ブラシ部分410の内面413は、シャフト部分210のブラシ部分受容区間211と当接するように構成される。内面413の全体は、外面ブラシ部分受容区間211及び半径方向の突起213、225と当接する。ブラシ部分410のコア区間411は概して円筒形であり、シャフト部分210のブラシ部分受容区間211のコア区間212の周囲に延びる。
【0197】
ブラシ部分410は、少なくとも1つの半径方向の突起414をさらに含む。少なくとも1つの半径方向の突起414は、ブラシ部分410のコア区間412から延びる。すなわち、少なくとも1つの半径方向の突起414は、コア区間411から半径方向に、シャフト部分210の長手方向軸Aに垂直な方向に突出する。それに加えて、少なくとも1つの半径方向の突起414は、コア区間411の少なくとも一部に沿って長手方向に延びる。
【0198】
本実施形態では、少なくとも1つの半径方向の突起414は、少なくとも1つの螺旋形状415によって形成される。螺旋形状415は、ブラシ部分410のコア区間412から半径方向に延びる。螺旋形状415は、螺旋形状の突起414によって形成される。すなわち、螺旋形状はブラシ部分410のコア区間412の周囲を螺旋状に回り、それによってこれはコア区間412の周囲で円周方向に延びながら長手方向にも延びる。それゆえ、螺旋形状のある点が延びる平面は、ブラシ部分410の長手方向軸A’に対して鋭角である。
【0199】
螺旋形状415は、使用中に薬剤送達装置用管状要素の表面と接触して、この表面を潤滑するように構成される。螺旋形状415は、前述のように、使用中に弾性的に圧縮可能及び/又は弾性変形可能であるような寸法とされ得る。一般に、螺旋形状415の形状は、潤滑対象の管状要素の内面と合致するように構成される。一般に、螺旋形状415の半径は、潤滑対象の管状要素の表面と締り嵌めを形成するように構成される。
【0200】
本実施形態では、螺旋形状415の厚さ、すなわちブラシ部分410の長手方向軸A’に平行な方向の寸法は一定である。しかしながら、代替的な実施形態では、螺旋形状415の厚さは、ブラシ部分140の長手方向軸A’に沿って変化し得る。
【0201】
螺旋形状415は、複数の巻きを含む。1巻きは、螺旋形状415の、ブラシ部分410の長手方向軸A’の周囲で丸1周延びる部分により画定できる。本実施形態では、螺旋形状の巻き数は8、全体の巻き数は8.5である。しかしながら、代替的な実施形態では、螺旋形状415は、何れの数の完全及び/又は部分的な巻きも含み得る。側面から見た場合、螺旋形状415は7つの頂点、すなわち中心軸から最も遠く、管状要素内での装置の移動中に表面と接触し、それを潤滑するように構成された有効接触点を含み得る。
【0202】
本実施形態では、螺旋形状415は自由端417を含む。螺旋形状415の自由端417は、その円周面によって形成される。螺旋形状415の円周面417は、ブラシ部分410の中心線から、シャフト部分210の中心線から案内機構111の円周面及びブラシ部分受容区間211までの距離より大きい距離に配置される。これによって、潤滑対象の管状要素の表面と接触するのは、シャフト部分210ではなくブラシ部分410であることが確実となる。
【0203】
少なくとも1つの螺旋形状415は、少なくとも1つの接触領域104を含む。少なくとも1つの接触領域104は、螺旋形状415の、ブラシ部分410のコア区間511から先端側にある端421に配置される。螺旋形状415の端421は、円周面417によって形成され得る。少なくとも1つの接触領域104は、少なくとも1つの接触点422を含む。少なくとも1つの接触点422は、管状要素の表面と接触して、ブラシ部分材料105中の潤滑剤106を表面に移行させるように構成される。接触点422は、小さい断面積又は、円周面の大部分等のより大きい面積を有する点であり得る。
【0204】
本実施形態では、螺旋形状は単一の連続接触面を提供する。本実施形態では、単一の連続接触面は螺旋形状415の自由端上の円周面417によって形成される。さらに、ブラシ部分は1つの螺旋形状のみを含む。
【0205】
それゆえ、本実施形態では、1つの螺旋形状により形成される、ブラシ部分の1つのみの連続接触面がある。この1つの剛直な接触面は、管状要素の表面上の潤滑剤の堆積の均一性を改善するものである。単一の連続接触面は、曲げに対してより耐性があり得、それゆえ、薬剤送達装置用管状要素の内面とより一貫した接触がなされるようにする。したがって、本実施形態では、螺旋形状はまた単一の連続する接触領域も含み、これは螺旋形状のその外径における自由端により形成される。さらに、本実施形態では、螺旋形状は単一の連続接触点も含む。
【0206】
この実施形態では、接触面、領域、又は点に言及する場合、表面、領域、又は点の各々は、長手方向A’におけるある点に関して論じられる。1つの表面、領域、又は点は長手方向におけるある距離の各々に存在し、各表面、領域、又は点が長手方向に沿った他の各点にあるものと組み合わされると、ブラシ部分に沿って延びる1つの連続する表面、領域、又は点が形成されると理解されたい。
【0207】
図19A及び
図19Cに示されるように、接触領域104は長手方向A’におけるある点において1つの接触点422を含み得る。接触点422は、螺旋形状415の、ブラシ部分410のコア区間411から長手方向A’における何れかのある点においてシャフト部分210の長手方向軸A’に垂直な方向に最も遠い部分又は末端423により形成され得る。
【0208】
本実施形態では、少なくとも1つの螺旋形状415の接触点422は、ブラシ部分210の長手方向軸A’から、接触点の位置に応じて異なる距離だけ離間される。すなわち、接触点422によって形成される螺旋形状の外径はテーパ状とされる。本実施形態では、螺旋形状の外径は、ブラシ部分の長手方向の両端でテーパ状である。螺旋形状の外径はテーパ状であり、螺旋形状の外径はブラシ部分の長手方向の端において減少している。例えば、螺旋形状415の、ブラシ部分410の端に最も近い、すなわち案内機構111の付近の巻きは、半径方向において、螺旋形状415の他の巻きより短くされ得る。すなわち、長手方向軸A’と、螺旋形状415の第一及び最後の巻きの接触点422との間の距離は、長手方向軸A’と螺旋形状415の他の巻きの接触点412との間の距離より短くされ得る。本質的に、ブラシ部分410の端における少なくとも1つの接触領域104は、長手方向にブラシ部分410の端から離間された少なくとも1つの接触領域よりもシャフト部分210の長手方向軸Aに近い。
【0209】
図19A及び
図19Cに示すように、螺旋形状415の巻きのうちの1つの半径の1つは、螺旋形状415が長手方向軸A’の周囲にそれに沿って巻き回されるにつれて増大する。すなわち、螺旋形状415はコア区間412と等しい半径から始まり、それが半周巻かれるときまでには螺旋形状415の他の巻きと等しい半径を有する。上述の実施形態の何れにおいても、半径方向の突起234の、残りの半径方向の突起(複数の場合もある)より短いこの区間は導入面取り部と呼ばれ得る。
【0210】
このような配置は、装置400を潤滑対象の管状要素の中へと案内し、装置400を管状要素の中に、潤滑剤106をブラシ部分材料105から管状要素の内面へと移行させるために最適に接触させるように適正にセットするのに役立つ。
【0211】
しかしながら、代替的な実施形態では、少なくとも1つの螺旋形状415の接触点422は、ブラシ部分410の長手方向軸A’から、長手方向軸A’に沿った各点において同じ距離だけ離間され得る。
【0212】
本実施形態では、螺旋形状415のピッチは一定である。すなわち、螺旋形状415の1巻きの始点と終点との間の長手方向への距離は、螺旋形状415の各巻きについて同じである。しかしながら、代替的な実施形態では、螺旋形状415のピッチは長手方向に変化し得ると理解されたい。
【0213】
ここで
図20を簡単に参照すると、第十の実施形態のブラシ部分430が示されている。ブラシ部分430は、上述の実施形態のブラシ部分410と概して同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。さらに、ブラシ部分430の特徴及び構成要素で、ブラシ部分410の特徴及び構成要素と同じものは、同じ用語及び参照番号を保持する。
【0214】
第十の実施形態のブラシ部分430と第九の実施形態のブラシ部分410との主な違いは、第十の実施形態のブラシ部分が複数の螺旋形状を含むことである。より具体的には、本実施形態では、ブラシ部分430は2つの螺旋形状を含む。
【0215】
ここで、装置100の動作について
図23A~
図23Cを参照しながら説明する。
図23Aは、断面100と管状要素500を断面で示す。管状要素500は概して円筒形である。管状要素500は、第一の区間501、第二の区間502、及び第三の区間503を含む。第一、第二、及び第三の区間501、502、503は一体に形成される。第一、第二、及び第三の区間501、502、503は全て同軸に延びる。
【0216】
方法は、第一の実施形態の装置100の動作に関して説明するが、方法は、前述のもの等、本発明の範囲内のシャフト部分とブラシ部分から形成される何れの装置についても基本的に同じである。
【0217】
第一の区間501は、開放端506及び対向する端壁507を含む第一の中空シリンダ505により形成される。第一の中空シリンダ505は、開口509を画定する内面508を含む。対向する端壁507は環状で、中央穴510を含む。
【0218】
第二の区間502は第二の中空シリンダ511によって形成され、これは第一の開放端512と第二の開放端513を含む。第二の中空シリンダ511は、開口515を画定する内面514を含む。第二の中空シリンダ511の開口515の半径は第一の中空シリンダ505の開口509の半径より小さい。しかしながら、第二の中空シリンダ511の開口515の半径は第一の区間501の中央穴510の半径と等しい。第二の中空シリンダ511は、第一の区間501の端壁507から延びる。
【0219】
第三の区間503は第三の中空シリンダ516により形成され、これは第一の開放端517と第二の開放端518を含む。第三の中空シリンダ516は、開口520を画定する内面519を含む。第三の中空シリンダ516は、第二の区間502の開放端513から延びる。しかしながら、第三の中空シリンダ516の開口520の半径は、第二の中空シリンダ511の開口515の半径より大きい。したがって、第二及び第三の区間502、503間に段差521が形成される。それに加えて、第三の中空シリンダ516の開口520は第一の中空シリンダ505の開口509の半径より小さい。
【0220】
本実施形態では、管状要素500の内面514は潤滑対象の表面である。内面514は、約30mmの長手方向の長さを有し得る。しかしながら、内面514の長さは異なり得ると理解されたい。管状要素500の内面514により画定される円周は、約12.5mmの直径を有し得る。
【0221】
管状要素500の表面514を潤滑する方法は、装置100を管状要素500に関して移動させるステップを含む。装置100は、
図23Aに示すように、シャフト部分102の長手方向軸Aが管状要素500の中心長手方向軸A’’と整列するような位置に移動させられる。いくつかの実施形態では、シャフト部分102の案内機構111aは、装置を管状要素500と整列させるために、ロボット(図示せず)等のツールによって把持され、移動させられ、保持され得る。
【0222】
方法は、管状要素500を装置100のブラシ部分103と接触させることをさらに含む。
図23Aに示すように、装置100は、管状要素500の長手方向軸A’’に沿って移動させられ、シャフト部分102の案内機構111のアクスル部分114は管状要素500の内面514により画定される開口515へと延びる。装置100は管状要素500の中にさらに移動させられ、シャフト部分102の案内機構111の円錐区間117は管状要素500の開口515に入る。
【0223】
次に、装置100は、装置101のブラシ部分103が管状要素500に入るまで長手方向に移動させられる。本実施形態では、管状要素の第一の区間501の開口509の直径はブラシ部分103の少なくとも1つの半径方向の突起234の半径より大きい。したがって、装置100は、ブラシ部分103の第一の半径方向の突起234が管状要素500の第二の区間502の開口515に入るまで、管状要素500の中にさらに移動させられる。
【0224】
管状要素500の第二の区間502の開口515の円周が装置のブラシ部分103の第一の半径方向の突起234の直径より小さいため、第一の半径方向の突起234の接触点242は管状要素500の内面514と接触する。
【0225】
ブラシ部分103を形成するブラシ部分材料105は、管状要素500によりそこに加えられる圧縮力を受けて弾性変形することができる。それゆえ、第一の半径方向の突起234は、管状要素500の直径がより小さいことによって半径方向に圧縮され得る、及び/又は接触点242と管状要素500の内面514との間の摩擦によって移動方向と反対の方向にも弾性的に曲がり得る。
【0226】
方法は、装置100のブラシ部分103から潤滑剤106を放出させることをさらに含む。潤滑剤106は、管状要素500の内面514との接触を通じてブラシ部分材料105から放出される。ブラシ部分材料105に結合していない潤滑剤106の分子は、細孔107から内面514に自由に移動する。これは一部に、ブラシ部分材料105中及び管状要素500の内面514上の潤滑剤106の濃度の違いによる。したがって、潤滑剤106は、ブラシ部分103の接触点242から滲出して放出される。
【0227】
潤滑剤106は、管状要素500の内面514による半径方向の突起234の変形によって放出され得る。それゆえ、半径方向の突起234が変形すると、潤滑剤106は、ブラシ部分材料105のマトリックスからブラシ部分103の表面に、より具体的には接触点242に向かって絞り出され得る。
【0228】
方法は、管状要素500の表面に潤滑剤106を堆積させるステップをさらに含む。それゆえ、潤滑剤106の分子が半径方向の突起234の接触点242から滲出すると、内面514への装置100の相対移動によって潤滑剤106が管状要素500の内面514に移行する。すなわち、管状要素500の内面514への潤滑剤106の堆積は、管状要素500の内面514に加えられる累積半径方向力と、摩擦に関連する軸方向力によって駆動される。1つの半径方向の突起234が受ける最大径方向力は、25N~60Nの領域にあり得る。例えば、1つの半径方向の突起234が受ける最大径方向力は、第一のサイクルで35N~60Nの範囲、又は50N~60Nの範囲にあり得る。例えば、1つの半径方向の突起234が受ける最小径方向力は、第一のサイクルでは20N~40Nの範囲、又は20N~35Nの範囲にあり得る。これらの範囲は、ブラシ部分103の導入面取り部の一部を形成する半径方向の突起には適用されない。
【0229】
装置500が管状要素500の中でさらに移動させられると、ブラシ部分103の後続の半径方向の突起234の各々は管状要素500の内面514と接触する。ブラシ部分103の後続の半径方向の突起234の移動に対抗する、管状要素500の内面514との摩擦力は、先行する半径方向の突起234の場合より弱小であり得、これは先行する半径方向の突起234によって管状要素500の内面514に堆積させられた潤滑剤106による。
【0230】
上述の方法は、半径方向の突起234の各々について、これらが移動して管状要素500の内面514と接触すると順次実行される。装置100は連続的に移動させられて、
図23Cに示すように、半径方向の突起234の各々が管状要素500の内面514の全体にわたり長手方向に移動させられるようにする。
【0231】
装置100は、管状要素500の中で約0.1m/s~約1.6m/sの速さで移動させられ得る。装置100の速さは、装置100が管状要素500に入り、管状要素の内面514と接触している接触点242の数が増えると、摩擦の増大によって低下し得て、その後、装置100が管状要素500から出て、管状要素500の内面514と接触している接触点242の数が減ると、摩擦の軽減によって上昇し得る。
【0232】
図23A~
図23Cに示すように、装置100は、管状要素500の内面514と接触しているときに、管状要素500の内面514に関して第一の方向に、例えば図の左から右に移動させられ得る。その後、ツール(図示せず)は、管状要素500を通過すした装置100を回収し得る。ツールは、装置100を
図23Aに示される当初の開始位置に戻して、同じ管状要素500又は別の管状要素500を通過できるようにし得る。
【0233】
代替的に、装置は、管状要素500の中を第一の方向に移動させられた後、管状要素500の内面514と接触しているときに、管状要素500の内面514に関して第二の方向に、例えば図の右から左に移動させられ得る。
【0234】
いくつかの実施形態では、装置100が第二の方向に移動させられるとき、装置100の向きは変わらないままである。それゆえ、第一の方向に先頭の案内機構111aは、装置100が第二の方向に移動させられるときには後尾の案内機構111aとなる。これには、先頭の半径方向の突起234の摩耗が減り、装置100の寿命が延びるという利点がある。これにより、装置100は、半径方向の突起234に加えられる軸方向の力が小さすぎて、潤滑剤106を管状要素500の内面514に有効に移行させられなくなるまでに最大900サイクル実行することが可能となる。
【0235】
他の実施形態では、装置100が第二の方向に移動させられると装置100は180度回転し得て、それによって、装置が第一の方向に移動させられるときの先頭の案内機構111aは、装置が管状要素500の中で第二の方向に移動させられるときの先頭の案内機構111aでもある。
【0236】
方法は、ロボット(図示せず)等のツールを使って装置100を機械的に移動させることを含み得る。追加的又は代替的に、方法は、装置100を、そこに加えられる圧力差を利用して管状要素500に関して移動させることを含み得る。例えば、少なくとも部分的真空が管状要素500の開口515内の装置100の前に印加され得る。真空は、半径方向の突起234が管状要素500の内面514に対するシールを有効に形成し得るため、保持され得る。代替的に、陽圧が装置100の背後に印加され得る。
【0237】
堆積させるステップは、管状要素500の内面514に、厚さ約40nm~60nmの範囲の潤滑剤106の層を堆積させることを含み得る。この場合、層の厚さは、管状要素500の内面514に対して垂直に、そこから測定される。
【0238】
上記の方法及び
図19A~19Cに関して説明した装置を用いて、本発明者らは、熱可塑性エラストマで形成され、各化合物の重量がブラシ部分410の総重量の約50%を占めるように潤滑剤を含浸させたブラシ部分410を使用すると、ブラシ部分材料については2400MPa及び潤滑剤については40MPaのヤング率により画定されるブラシ部分410が得られることを発見した。そのようなブラシ部分410は、中空管の内面との0.08の範囲の摩擦係数を有する。
【0239】
上述の例示的装置は13.1mmの外径を有し、管状要素の中で移動させて、装置を移動させるのに必要な軸方向力を特定した。管状要素は、12.49mm~12.57mmの範囲の公称直径12.52mmを有していた、上述の例では、装置を1m/sの一定速度で移動させるのに必要な力は、管径が最大の時に29.1Nから30.6N、管径が最小の時に31.6Nの公称値であった。
【0240】
他の実験では、この例示的な実施形態は、1m/sで管状要素の中を移動させられるために35Nの初期軸方向力を必要とし、900サイクル後に1m/sで管状要素の中を移動させられるために少なくとも25Nの軸方向力を必要とする装置の設計条件を満たすことを見出した。それゆえ、装置と管状要素との間の摩擦力に関係する軸方向力は、完全にはなくならない。その結果、ブラシ部分と管状要素との間に依然として適切な潤滑を行うための十分な接触があると仮定できる。
【0241】
それゆえ、いくつかの実施形態において、中空の管状要素の中で装置を移動させるのに必要な軸方向力は約30N、又は約25N~約35Nの範囲であり得る。より具体的には、中空の管状要素の中で装置を1m/sで移動させるのに必要な軸方向力は、最初のサイクルのために約35N、900サイクルのためには約25Nであり得る。すなわち、いくつかの実施形態では、900サイクル後に中空の管状要素の中で装置を移動させるのに必要な軸方向力は、最初に中空の管状要素の中で装置を移動させるのに必要とされる軸方向力の約10N~15N以内である。
【0242】
上述の例示的装置を管状要素の中で移動させて、それが必要な累積半径方向力の目標を満たしているか否かも特定した。発明者らは、有効な巻き数が8で、より小さい半径であるために有効ではない2つの少なくとも1周の一部分の巻きを有する例示的装置の場合、螺旋形状の有効部分が受ける初期半径方向軸は約54N、又は50N~60Nの範囲であることを見出した。
【0243】
全体として、装置の長手方向軸に平行に延びる線に沿った接触点が受ける目標累積半径方向力は約415Nであった。900サイクル後に受けることになる目標累積半径方向力は、少なくとも約310Nであった。上述の例示的装置は、900サイクル後に約370Nの累積半径方向力を受ける。これは主に、ブラシ部分の末端における巻き上の接触点が管状部分に入る際に損傷を受けたことによる。いくつかの実験では、ブラシ部分の両端の巻きの各々が受ける力は25N~40Nも小さくなり、それに対して他の巻きが受ける半径方向力はほとんど変わらなかった。
【0244】
それゆえ、いくつかの実施形態では、装置の螺旋形状の全半径の巻き上の1つの接触点が中空の管状要素に加える累積半径方向力は当初、約55N、又は約50N~約60Nの範囲であり得る。完全な巻き数8の実施形態では、900サイクル後に加えられる累積半径方向力は少なくとも約370Nであり得る。完全な巻き数10の実施形態では、900サイクル後に加えられる累積半径方向力は少なくとも約480Nであり得る。
【0245】
いくつかの実施形態では、900サイクル後に中空の管状要素上に1つの螺旋形状を有する装置により加えられる累積半径方向力は、中空の管状要素上に1つの螺旋形状を有する装置により加えられる初期累積半径方向力の約40N~50N以内である。すなわち、いくつかの実施形態では、900サイクル後に受ける力は初期の力より最大で50N小さい。
【0246】
図24を簡単に参照すると、管状要素500の表面514を潤滑する方法を実行するためのある実施形態の機器600が示されている。機器600は、回転式ドラム601を含む。ドラム601は中心軸を有し、その周囲でドラム601が回転可能である。本実施形態では、ドラム601の中心軸は実質的に垂直に延びる。
【0247】
ドラム601は、第一の区間602と第二の区間603を含む。第一の区間602は、第二の区間603より大きい直径を有する。ドラム601は管状要素受容区間604をさらに含み、これは使用中に管状要素500を受けるように構成される。管状要素受容区間604は、ドラム601の第一の区間602内に配置される。管状要素受容区間604は、ドラム601の第一の区間602の円周面605内に概して半円形の凹部を含む。管状要素514は、使用中に管状要素受容区間604内に少なくとも部分的に受けられる。ドラム601の第一の区間602は複数の管状要素受容区間604を含み得て、これらはドラム601の第一の区間602の周囲で円周方向に離間される。
【0248】
機器600は、ガイドレール606をさらに含み得る。ガイドレール606は、ドラム601の第一の区間602の円周の少なくとも一部に沿って円周方向に延びる。ガイドレール606は、管状要素の500を管状要素受容区間604内に保持するのに役立つように構成される。いくつかの実施形態では、ガイドレール606は管状要素500と、管状要素がドラム601の円周に沿って移動する際に回転させるのに十分な力で接触し得る。これにより、装置400と管状要素500とが相対的に回転し、それが管状要素500の内面を潤滑するのに役立つ。
【0249】
機器600は、装置マニピュレータ607をさらに含む。装置マニピュレータ607は、ドラム601の第一の区間602と共にドラム601の中心軸の周囲で回転可能である。装置マニピュレータ607は可動ロッド608を含む。ロッド608は、ドラムがその周囲で回転する中心軸に対して実質的に平行な方向に移動するように構成される。ロッド608は、例えば空気式、油圧式、又は機械式に移動可能であり得、また、いくつかの実施形態では、伸縮式であり得る。
【0250】
装置マニピュレータ607は、ロッド608の一端に装置ハンドラ609をさらに含み得る。装置ハンドラ609は、シャフト部分210、特に案内機構111のアクスル部分114を受けるように構成されたロッド608の中空端を含む。装置ハンドラ609は、アクスル部分114の末端の断面と合致するような輪郭とされ得る。これにより、装置マニピュレータ607は、装置400を向き付けて、装置400を回転させるか、又は管状要素500の回転によって引き起こされる装置500の回転に抵抗することができる。すなわち、装置マニピュレータは、装置を管状要素500に関して並進移動のみによって移動させ得る。他の実施形態では、装置マニピュレータは、装置を管状要素500に関して並進移動及び回転移動によって移動させ得る。潤滑される管状要素を通過する際に装置がその軸の周囲で管状要素の内面に関して回転移動することにより、管状要素の内面の潤滑の均一性も改善され得る。
【0251】
本実施形態では、装置マニピュレータ607は、ドラム601が回転すると、装置ハンドラ609内に装置400を管状要素500の一端、すなわち図中の管状要素500の下端において受ける。ドラム601が回転し続けると、管状要素500が管状要素受容区間604の中に受けられる。次に、装置マニピュレータ607とドラム601が同じ角速度で回転すると、ロッド608が作動して、装置400を管状要素500内で押す。ロッド608は管状要素500内で装置400を押し、最終的に装置ハンドラ609が管状要素500の上端から出る。いくつかの実施形態では、機器600は複数の装置マニピュレータ、例えば、管状要素受容区間604毎に1つの装置マニピュレータ607を含む。
【0252】
ドラム601は向き付けツール611をさらに含む。向き付けツール611は、装置400が管状要素500の中で押されるとその制御を引き継ぐように構成される。向き付けツール611は、2つのクランプハンド612、613を含む。クランプハンド612、613は概してU字型であり、シャフト部分210の案内機構111、特に円錐区間117を把持するように構成される。クランプハンド612、613は、装置400を装置マニピュレータ609によってそれらの間に入れることのできる開位置から、クランプハンド612、613が装置400を把持する閉位置へと移動可能である。いくつかの実施形態では、機器600は複数の向き付けツール、例えば管状要素受容区間604毎に1つの向き付けツール611を含む。
【0253】
向き付けツール611はドラム601の第二の区間603から延び、それによって向き付けツール611は管状要素受容区間604及び装置マニピュレータ607の真上に配置される。向き付けツール611は、ドラム601の中心軸に関して垂直に延びる軸の周囲で回転するように構成される。クランプハンド612、613が装置400を把持すると、向き付けツール611は装置を180度回転させて、それが別の管状要素500の中で、ただし逆方向に移動できるようにする。これを達成するために、装置マニピュレータ607は、管状要素500の中で伸展されて装置400を把持し、それを管状要素の中で引き下げる。機器600は、管状要素の下端に別の向き付けツールをさらに含み、装置400を再度回転させ得る。それゆえ、装置400は、ドラム601の周りを回転しながら、複数の管状要素の中で継続的に上下に移動させることができる。
【0254】
当業者であれば、本明細書に記載の物質、配合物、機器、方法、システム、及び実施形態の様々な構成要素に対する変更(追加及び/又は削除)を本発明の完全な範囲及び主題から逸脱せずに加えてよく、かかる変更及びそのあらゆる等価物もその中に包含されることがわかるであろう。
【国際調査報告】