(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】潤滑シャトル
(51)【国際特許分類】
A61M 5/31 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
A61M5/31 530
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532758
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2022083903
(87)【国際公開番号】W WO2023099590
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520384541
【氏名又は名称】サノフィ・ウィントロップ・インダストリエ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・シャベール
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド・ダラス
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066DD08
4C066PP02
(57)【要約】
本発明は、管状要素の表面を潤滑する有利なデバイスに関する。本デバイスは、長手方向軸を有するシャフト部分と、シャフト部分上に配置されたブラシ部分とを備える。ブラシ部分は、螺旋形態を有する少なくとも1つの径方向突起を備える。突起は、表面に接触するための少なくとも1つの接触ゾーンを備える。少なくとも1つの接触ゾーンによって形成される螺旋形態の外径は、ブラシ部分の両方の長手方向端部において、螺旋形態の外径がブラシ部分の長手方向端部で減少するようにテーパを付けられる。ブラシ部分は、ブラシ部分材料と、使用中に少なくとも1つの接触ゾーンから表面に移動するように構成された潤滑剤とから形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達デバイスのための管状要素(500)の表面(514)を潤滑するデバイス(400)であって、前記デバイスが、
長手方向軸(A)を有するシャフト部分(102、130、140、150、160、170、180、190、210)と、
前記シャフト部分上に配置されたブラシ部分(410)であって、前記ブラシ部分が、螺旋形態を有する少なくとも1つの径方向突起(414)を備え、前記突起が、表面に接触するための少なくとも1つの接触ゾーン(104)を備える、ブラシ部分(410)
を備え、
前記少なくとも1つの接触ゾーンによって形成される前記螺旋形態の外径が、前記ブラシ部分の両方の長手方向端部において、前記螺旋形態の前記外径が前記ブラシ部分の前記長手方向端部で減少するようにテーパを付けられ、
前記ブラシ部分が、ブラシ部分材料(105)と、使用中に前記少なくとも1つの接触ゾーンから表面に移動するように構成された潤滑剤(106)とから形成される、デバイス(400)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの径方向突起(414)が、コアセクション(411)から延び、前記径方向突起が、潤滑される管状要素(500)の表面(514)に接触するように構成された少なくとも1つの接触点(422)を含む前記少なくとも1つの接触ゾーン(104)を備える、請求項1に記載のデバイス(400)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの接触点(424)が、前記径方向突起(414)の先端(423)に配置される、請求項2に記載のデバイス(400)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの径方向突起が、単一の螺旋形態を備え、前記螺旋形態が、前記螺旋形態の前記外径にある自由端によって形成される単一の連続接触ゾーンを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス(400)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの螺旋形態が、前記ブラシ部分の少なくとも一方の端部に導入面取部を備え、任意選択的に、前記導入面取部が半回転にわたって延びる、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス(400)。
【請求項6】
前記ブラシ部分が、複数の径方向突起(414)を備え、前記径方向突起のそれぞれが、螺旋形態(415)を有する、請求項2又は3に記載のデバイス(400)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの螺旋形態が、複数の回転を含み、任意選択的に、各螺旋形態が、5~10の全回転を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス(400)。
【請求項8】
各螺旋形態が、管状要素を通る前記デバイスの移動中に表面に接触し、前記表面を潤滑するように構成される5~7の有効な接触ゾーンを備える、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ブラシ部分が、8の全回転及び7の有効な接触ゾーンを備える単一の螺旋形態を備える、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記シャフト部分が、前記シャフト部分の端部に案内機構(111)を備え、前記案内機構(111)が、前記シャフト部分の先端(113)を画定する心棒部分(114)を備え、前記心棒部分が、使用中に潤滑され管状要素を通して前記デバイスを把持及び/又は駆動することができるように構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載のデバイス(400)。
【請求項11】
前記心棒部分が、使用中に潤滑される管状要素を通して前記デバイスを把持及び/又は駆動することができるように構成された十字形断面を備える、請求項10に記載のデバイス(400)。
【請求項12】
前記案内機構が、突起を備え、前記突起が、前記シャフト部分の前記長手方向軸に対して実質的に垂直に延び、前記ブラシ部分が前記シャフト部分に対して長手方向に移動するのを阻止するように構成された表面を有する、請求項10又は11に記載のデバイス(400)。
【請求項13】
前記突起が、略円錐又は円錐台セクションを備え、前記円錐セクションが、前記表面を備える、請求項12に記載のデバイス(400)。
【請求項14】
前記シャフト部分のブラシ部分受容セクション(121、131、141、151、161、171、181、191、211)が、前記長手方向に前記案内機構(111)から離れるように延び、任意選択的に、前記シャフト部分が、対向する実質的に垂直な表面間に前記シャフト部分の前記ブラシ部分受容セクションを画定する、前記長手方向に間隔を空けて配置された2つの案内機構を備える、請求項10~13のいずれか一項に記載のデバイス(400)。
【請求項15】
前記シャフト部分が、プラスチックから形成される、請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイス(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤デバイスの構成要素の内面を潤滑するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
注入デバイス、例えばオートインジェクタは、典型的には、薬剤の密閉容器と、患者への薬剤の注入のための針とを有する。あるタイプのデバイスでは、薬剤容器は、薬剤カートリッジを備えることがあり、針は、最初、カートリッジから分離されていることがある。最初の動作により、カートリッジ及び針が一緒に移動して、針がカートリッジを貫通する。別のタイプのデバイスでは、薬剤容器は、薬剤を収容するシリンジを備えることがあり、針はシリンジに固定されていることがある。どちらの場合も、その後、カートリッジ又はシリンジ内のプランジャ又はピストンがカートリッジ又はシリンジ内に移動されて、患者に注入するための針を通して薬剤を投与することができる。
【0003】
ほとんどの注入デバイスにおいて、1つ以上の機能で、構成要素どうしの互いに対する移動が必要とされる。しかしながら、適切に機能するためには、構成要素どうしの互いに対する移動は、摺動面に作用する摩擦力に打ち勝たなければならない。摩擦を低減するために、構成要素の表面を削って、摺動面をより平滑にする、及び/又は障害物を除去するように模索することが知られている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、薬剤送達デバイスのための管状要素の表面を潤滑する有利なデバイスであって、本デバイスが、長手方向軸を有するシャフト部分と、シャフト部分上に配置されたブラシ部分であって、ブラシ部分が、螺旋形態を有する少なくとも1つの径方向突起を備え、突起が、表面に接触するための少なくとも1つの接触ゾーンを備える、ブラシ部分とを備え、少なくとも1つの接触ゾーンによって形成される螺旋形態の外径が、ブラシ部分の両方の長手方向端部において、螺旋形態の外径がブラシ部分の長手方向端部で減少するようにテーパを付けられ、ブラシ部分が、ブラシ部分材料と、使用中に少なくとも1つの接触ゾーンから表面に移動するように構成された潤滑剤とから形成される、デバイスを提供することである。
【0005】
これにより、薬剤注入デバイスの製造中に、本デバイスを使用して、薬剤送達デバイスのための管状要素の表面を潤滑することができるという利点がもたらされ得る。表面を潤滑することによって、薬剤注入デバイスの移動する構成要素の受ける摩擦力が低減され、これにより、構成要素がより容易に移動することができ、構成要素が不適切に機能する可能性が低減される。また、このことにより、及ぼす力の小さい付勢部材を薬剤注入デバイスで使用することができる。よって、薬剤注入デバイスの全体的なサイズ(すなわち、ばねの直径又は線径に関して、ばねの厚さ)、重量、及びコストを低減する可能性がある。
【0006】
螺旋形態により、径方向突起がより堅固になるため、薬剤送達デバイスのための管状要素に対してより多くの力を提供して、潤滑剤の表面への移動を促進することができるという利点がもたらされる。加えて、螺旋形態により、薬剤送達デバイスの管状要素の表面での潤滑剤の堆積の均一性が改善されるという利点がもたらされる。
【0007】
ブラシ部分の長手方向端部における接触ゾーンが、より中央にある接触ゾーンと比較して、シャフト部分の長手方向軸に近いことにより、ブラシ部分の略卵形のプロファイルが形成される。ブラシ部分の卵形形状は、ブラシ部分の前縁の摩耗を低減し、薬剤送達デバイスのための管状要素に入る際に、本デバイスを中央に配置するのを助ける。これにより、ぐらつき、すなわち、薬剤送達デバイスのための管状要素の長手方向軸に対してシャフトの長手方向軸が動き回ることが抑制される。本デバイスを中央に配置することによって、接触ゾーンにおいてより均一な力プロファイルが提供されることにより、薬剤送達デバイスのための管状要素のより一貫した均一な潤滑が可能になる。
【0008】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの径方向突起は、コアセクションから延び得、径方向突起は、潤滑される管状要素の表面に接触するように構成された少なくとも1つの接触点を含む少なくとも1つの接触ゾーンを備える。
【0009】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの接触点は、径方向突起の先端に配置され得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの径方向突起は、単一の螺旋形態を備え得、螺旋形態は、螺旋形態の外径における自由端によって形成される単一の連続接触ゾーンを備える。
【0011】
螺旋形態により、径方向突起がより堅固になるという利点がもたらされる。単一の連続接触ゾーンによって、管状要素の周方向内面の周りに力が一貫して加えられるという利点がもたらされる。この単一の堅固な接触面が、管状要素の表面での潤滑剤の堆積の均一性を改善するのである。単一の連続接触面は、曲げにより強いものであり得、よって、薬剤送達デバイスのための管状要素の内面とのより一貫した接触をもたらす。
【0012】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの螺旋形態は、ブラシ部分の少なくとも一方の端部に導入面取部を備え得る。いくつかの実施形態では、導入面取部は、半回転にわたって延び得る。
【0013】
導入面取部により、本デバイスのブラシ部分を管状要素内に案内するのを助け、本デバイスの長手方向軸と管状要素とをアライメントするという利点がもたらされる。
【0014】
いくつかの実施形態では、ブラシ部分は、複数の径方向突起を備え得、径方向突起のそれぞれが、螺旋形態を有する。
【0015】
複数の螺旋形態により、本デバイスのブラシ部分と潤滑される管状要素との間の接触面積が増加するという利点がもたらされる。したがって、管状要素に加えられる力を増加させ、潤滑効率を高めることができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの螺旋形態は、複数の回転を含み得る。いくつかの実施形態では、各螺旋形態は、5~10の全回転を含み得る。
【0017】
これにより、デバイスのブラシ部分と潤滑される管状要素との間の接触面積が増加するという利点がもたらされる。したがって、管状要素に加えられる力を増加させ、潤滑効率を高めることができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、各螺旋形態は、管状要素を通る本デバイスの移動中に表面に接触し、表面を潤滑するように構成された5~7の有効な接触ゾーンを備え得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、ブラシ部分は、8の全回転及び7の有効な接触ゾーンを備える単一の螺旋形態を備え得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、ブラシ部分は、二重螺旋構成の2つの螺旋形態を備え得、2つの螺旋形態のそれぞれが、6の全回転及び5の有効な接触ゾーンを備える。
【0021】
いくつかの実施形態では、ブラシ部分は、900サイクル後に、最初のサイクルにおいて管状要素に加えられた初期累積径方向力よりも最大で50N小さい累積径方向力を加えるように構成され得る。
【0022】
これにより、ブラシ部分と潤滑される管状要素との間に十分な接触力が本デバイスの寿命にわたって維持され、その結果、本デバイスによるより均一な処理性能がその寿命全体を通して得られ、したがってより一貫した結果が得られるという利点がもたらされ得る。いくつかの実施形態では、ブラシ部分がその寿命の終わりに達した場合、このブラシ部分をシャフト部分から取り外し、シャフト部分に新しいブラシ部分を配置したり、シャフト部分の上に成形したりすることができることが理解されよう。
【0023】
いくつかの実施形態では、シャフト部分は、シャフト部分の端部に案内機構を備え得、案内機構は、シャフト部分の先端を画定する心棒部分を備え、心棒部分は、使用中に潤滑される管状要素を通して本デバイスを把持及び/又は駆動することができるように構成される。
【0024】
いくつかの実施形態では、心棒部分は、使用中に潤滑される管状要素を通して本デバイスを把持及び/又は駆動することができるように構成された十字形断面を備え得る。
【0025】
案内機構により、ブラシ部分がシャフト部分に対して長手方向に移動することが阻止されるという利点がもたらされ得る。心棒部分は、好都合なことに、潤滑剤を含まない保持面を提供することによって、オペレータ又はツールが本デバイスをより容易に取り扱うことができるようにし得る。心棒部分の断面はまた、好都合なことに、本デバイスの向きの基準を提供し、より良いアライメントを可能にし得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、案内機構は、突起を備え得、突起は、シャフト部分の長手方向軸に対して実質的に垂直に延び、ブラシ部分がシャフト部分に対して長手方向に移動するのを阻止するように構成された表面を有する。
【0027】
好都合なことに、表面は、ブラシ部分の移動を阻止するためにブラシ部分を当接させる止め具を提供し得る。これにより、使用中にブラシ部分がシャフト部分から外れることが阻止される。案内機構は、好都合なことに、薬剤送達デバイスのための管状要素の表面での潤滑剤の堆積の変動性を低減することによって、本デバイスの堅牢性及びプロセスの均一性を高める。
【0028】
いくつかの実施形態では、突起は、略円錐又は円錐台セクションを備え得、円錐セクションは、表面を備える。
【0029】
いくつかの実施形態では、突起は、ブラシ部分の質量を低減するように構成された空洞を備え得る。
【0030】
好都合なことに、円錐セクション及び空洞は、本デバイスの構造的完全性を損なうことなく本デバイスの重量を減少させ得る。軽量なデバイスは、使用する材料がより少なく、操作に必要なエネルギーが少ない。
【0031】
いくつかの実施形態では、シャフト部分のブラシ部分受容セクションが、長手方向に案内機構から離れるように延び得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、シャフト部分は、対向する実質的に垂直な表面間にシャフト部分のブラシ部分受容セクションを画定する、長手方向に間隔を空けて配置された2つの案内機構を備え得る。
【0033】
これにより、薬剤送達デバイスのための管状要素に対して本デバイスがどの方向に移動されても、ブラシ部分の移動を制限又は阻止することができるという利点がもたらされ得る。相対的な移動を抑制することにより、ブラシ部分の受ける摩耗量が低減され、その結果、ブラシの寿命が延びる。
【0034】
いくつかの実施形態では、シャフト部分はプラスチックから形成され得る。
【0035】
プラスチック製、すなわち熱可塑性エラストマー及び/又はポリオレフィン製のシャフト部分によって、耐久性にも優れ、成形によって容易に製造され得る軽量なデバイスがもたらされる。プラスチック製のシャフト部分は、容易にオーバーモールド又は一緒に成形される。
【0036】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下に記載する実施形態を参照することにより明らかにされ、解明されるであろう。
【0037】
ここで、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を例示としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明による、表面を潤滑するデバイスの概略斜視図である。
【
図3】デバイスのシャフト部分の第1の実施形態の概略側面図である。
【
図4】デバイスのシャフト部分の第2の実施形態の概略斜視図である。
【
図5】デバイスのシャフト部分の第3の実施形態の概略斜視図である。
【
図6】デバイスのシャフト部分の第4の実施形態の概略斜視図である。
【
図7】デバイスのシャフト部分の第5の実施形態の概略斜視図である。
【
図8】デバイスのシャフト部分の第6の実施形態の概略斜視図である。
【
図9】デバイスのシャフト部分の第7の実施形態の概略斜視図である。
【
図10】デバイスのシャフト部分の第8の実施形態の概略斜視図である。
【
図11】デバイスのシャフト部分の第9の実施形態の概略斜視図である。
【
図12】デバイスのブラシ部分の第2の実施形態の概略斜視図である。
【
図13】デバイスのブラシ部分の第3の実施形態の概略斜視図である。
【
図14】デバイスのブラシ部分の第4の実施形態の概略斜視図である。
【
図15】デバイスのブラシ部分の第5の実施形態の概略斜視図である。
【
図16】デバイスのブラシ部分の第6の実施形態の概略斜視図である。
【
図17】デバイスのブラシ部分の第7の実施形態の概略斜視図である。
【
図18】デバイスのブラシ部分の第8の実施形態の概略斜視図である。
【
図19A】デバイスの第9の実施形態の概略側面図である。
【
図20】デバイスのブラシ部分の第10の実施形態の概略斜視図である。
【
図23A】潤滑される構成要素に対する第1の位置におけるデバイスの概略断面側面図である。
【
図23B】潤滑される構成要素に対する第2の位置におけるデバイスの概略断面側面図である。
【
図23C】潤滑される構成要素に対する第3の位置におけるデバイスの概略断面側面図である。
【
図24】薬剤送達デバイスのための管状要素を潤滑する装置の概略斜視側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
多くのデバイスにおいて、構成要素どうしが互いに移動する必要がある。このようなデバイスでは、互いに対して移動する構成要素は、移動する際に互いに接触することが多い。このことにより、構成要素どうしの互いに対する移動とは反対向きに摩擦力が生じる。場合によっては、摩擦力は、デバイスの適切な機能を防げるのに十分な大きさであり得る。
【0040】
このようなデバイスは、第1の摺動面を有する第1の構成要素と、第1の摺動面と接触する第2の摺動面を有する第2の構成要素とを少なくとも備える。例えば、第1の構成要素は管状ハウジングであり得、第2の構成要素は管状ハウジング内で移動可能な構成要素であり得る。いくつかの実施形態では、本デバイスは、薬剤送達デバイスであり得る。
【0041】
摺動面を平滑にして、摺動面と構成要素とが相対移動する際に構成要素が受ける摩擦力を低減するために、デバイスの摺動面を削る又は研磨する装置を使用することが知られている。このことは、平均面又は理想面から最も逸脱する摺動面の部分を除去することによって実現される。しかしながら、このようにして構成要素から材料を除去することは精密ではない。除去する材料が少なすぎる、又は多すぎることがあり、そうすると、表面が依然として粗すぎたり、使用中に故障する可能性が高い脆弱な箇所が構成要素にあったりする。
【0042】
本発明は、以下により詳細に説明するように、デバイスの製造中に構成要素の摺動面を潤滑するデバイスを提供することによって、摺動面が受ける摩擦力を低減することに焦点を当てている。デバイスの摺動面を潤滑することにより、構成要素からより多くの材料を除去することなく、また構成要素内に脆弱な箇所を形成するリスクなしに、摺動面の摩擦係数を下げることができる。
【0043】
本出願で言及されるデバイスは、潤滑シャトルとしても知られ、この2つの用語は、本出願全体を通して同義で使用され得る。
【0044】
ここで
図1及び
図2を参照すると、本発明によるデバイス100の実施形態の概略斜視図、及びデバイス100の実施形態の概略断面図が示されている。デバイス100は、例えば、限定されるものではないが、薬剤送達デバイスのための管状要素の内面などの表面を潤滑するように構成される。デバイス100は、長手方向軸Aを有するシャフト部分102と、ブラシ部分103とを備える。ブラシ部分103は、シャフト部分102上に配置される。ブラシ部分103は、使用中に薬剤送達デバイスのための管状要素の内面に接触するように構成された少なくとも1つの接触ゾーン104を備える。
【0045】
いくつかの実施形態では、シャフト部分102の長さは、約50mmから約60mmの範囲にあり得る。いくつかの実施形態では、シャフト部分102は、長さが約53mmである。いくつかの実施形態では、ブラシ部分103の長さは、約16mmから約25mmの範囲にあり得る。いくつかの実施形態では、ブラシ部分103は、長さが約19mmである。いくつかの実施形態では、ブラシ部分103は、約10mmから約20mmの範囲にある直径を有し得る。いくつかの実施形態では、ブラシ部分103は、特に約12.5mmの範囲にある直径を有する薬剤送達デバイスのための管状要素を潤滑する場合、約13mmの直径を有し得る。シャフト部分102は、例えば、限定されるものではないが、熱可塑性エラストマー及び/又はポリオレフィンなどのプラスチックから形成され得る。
【0046】
ブラシ部分103は、ブラシ部分材料105から形成される。ブラシ部分材料105は、潤滑剤106を含浸される。潤滑剤106は、使用中に、少なくとも1つの接触ゾーン104から薬剤送達デバイスのための管状要素の内面に移動されるように構成される。ブラシ部分材料105は、ブラシ部分103の構造的要素を提供する。潤滑剤106は、ブラシ部分103の機能要素を提供する。
【0047】
本実施形態では、シャフト部分102は、断面が略円筒状であるが、シャフト部分102の半径は、その長手方向軸に沿って変化し得、ブラシ部分103を通って延びる。つまり、ブラシ部分103は、シャフト部分102の周囲に、シャフト部分102の長さの少なくとも一部に沿って延びる。シャフト部分102は、以下により詳細に説明するように、ブラシ部分103の中心を通って延び得る。
【0048】
ブラシ部分材料105は、熱可塑性エラストマーから形成され得る。熱可塑性エラストマーは、例えば、限定されるものではないが、ポリオレフィンであり得る。いくつかの実施形態では、熱可塑性エラストマーは、複数種のポリオレフィンの混合物から形成され得る。ポリオレフィンのうちの少なくとも1種類は、加硫熱可塑性物質であり得る。ポリオレフィンのうちの少なくとも1種類は、非加硫熱可塑性物質であり得る。ブラシ部分材料105を形成するために使用され得るポリオレフィンの例は、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー及びポリアミドである。ポリオレフィンは、繊維で強化され得る。他の例としては、ブタジエン、すなわちポリスチレン-ブタジエン-スチレン又はポリスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンなどのエラストマー単位を有するスチレン系熱可塑性物質が挙げられる。
【0049】
潤滑剤106は、例えば、限定されるものではないが、シロキサンポリマーであり得る。シロキサンポリマーの一例は、ポリジメチルシロキサン(以下、「PDMS」と呼ぶ)である。熱可塑性エラストマー製ブラシ部分材料105は、約2400MPaのヤング率を有し得る。潤滑剤106は、約40MPaのヤング率を有し得る。ブラシ部分材料105を形成する熱可塑性エラストマーは、複数の細孔107又は空間を含むように形成される。複数の細孔107のそれぞれが、潤滑剤106を受容し得る。このようにして、ブラシ部分材料105は、スポンジのように形成される。
【0050】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)は、シリコーン油の一例である。PDMSは潤滑剤106の特に優れた例であるが、それは、PDMSが光学的に透明であり、不活性であり、無毒性であり、不燃性であるためである。
【0051】
ブラシ部分103は、ブラシ部分材料105と潤滑剤106とを組み合わせることによって形成される。ブラシ部分材料105と潤滑剤106とは一緒に混合されて、実質的に均一な混合物を形成し得る。潤滑剤106は、潤滑剤の分子がブラシ部分材料105と弱い共有結合しか形成しないように高濃度で提供される。混合物は、以下で論じるように、必要な形状を実現するために射出成形における通常の仕方でねじによって金型に押し込まれる。
【0052】
少なくとも1つの接触ゾーン104は、ブラシ部分103の端部から長手方向に間隔を空けて配置された少なくとも1つの接触ゾーン104よりも、ブラシ部分の少なくとも一方の長手方向端部において、シャフト部分102の長手方向軸Aに近くなり得る。
【0053】
ブラシ部分103は、使用中に潤滑剤106がブラシ部分103から浸出するように構成される。つまり、潤滑剤106の少なくとも一部が、使用中にブラシ部分材料105を離れて、薬剤送達デバイスのための管状要素の内面を被覆することができる。このように、潤滑剤106は、スポンジの細孔と同様の仕方で、ブラシ部分103のブラシ部分材料105間にある空間に存在し得る。潤滑剤106は、潤滑剤106が少なくとも1つの接触ゾーン104に向かって移動することができるように、ブラシ部分103の構造的ブラシ部分材料105内に散在する。デバイス100と薬剤送達デバイスのための管状要素の内面との間の摩擦係数は、潤滑剤が移動された場合、約0.08であり得る。
【0054】
本実施形態では、ブラシ部分材料105中に受容可能な潤滑剤106の濃度は、使用前のブラシ部分103の重量の40%から60%の範囲にある。この範囲内にある潤滑剤106の量によって、熱可塑性エラストマー製ブラシ部分材料105において、高濃度の、例えばPDMS分子がもたらされる。このような高濃度では、すべてのPDMS分子が熱可塑性エラストマー製ブラシ部分材料105と共有結合を形成することができるわけではない。
【0055】
つまり、ブラシ部分103を形成する熱可塑性エラストマー材料105の製造に関連する可塑化工程にもかかわらず、PMDS分子のそれぞれと共有結合を形成するのに利用可能な電子を有する熱可塑性エラストマーの分子が十分に存在しない。よって、熱可塑性エラストマー製ブラシ部分材料105に結合していないPDMS分子が、ブラシ部分材料105内に散在する。非結合PDMS分子は、ブラシ部分材料105内を移動することができる。
【0056】
ブラシ部分103のブラシ部分材料105は、デバイス100のシャフト部分102の長手方向軸に垂直な方向に圧縮可能であり得る。これに関連して、弾性的に圧縮可能であるとは、ブラシ部分103が外力の負荷下に置かれたときに圧縮され得るが、外力が取り除かれると、ブラシ部分103が元の形状に戻ることを意味する。加えて、ブラシ部分103のブラシ部分材料105は、デバイス100のシャフト部分102の長手方向軸Aに平行な方向に弾性的に変形可能であり得る。これに関連して、弾性的に変形可能であるとは、ブラシ部分103が外力の負荷下に置かれたときに変形され得るが、外力が取り除かれると、ブラシ部分103が元の形状に戻ることを意味する。よって、ブラシ部分103のブラシ部分材料105は、シャフト部分102の長手方向軸Aに平行な方向に可撓性を有し得る。
【0057】
これにより、デバイス100の断面寸法(すなわち直径)よりも小さい断面の寸法(すなわち直径)を有する内部空洞を有する、薬剤送達デバイスのための管状要素の内部にデバイス100を配置することが可能になる。したがって、少なくとも1つの接触ゾーン104は、使用中に管状要素の内面に接触する。ブラシ部分103の圧縮性及び/又は弾性変形能は、デバイス100を使用して、デバイス100の半径よりも小さい、又は著しく小さい半径を有する管状要素を潤滑することができることを意味する。
【0058】
PDMS分子は、ブラシ部分103の表面に移動し、これにより、使用中に薬剤送達デバイスのための管状要素の内面に移動される位置にある。この過程は浸出として知られる。以下でより詳細に説明するように、潤滑剤106の移動は、1つの実施形態では、デバイス100のブラシ部分103と管状要素の内面との間の接触によって得られる。潤滑剤106の移動は、局所的な温度上昇によって支援され、局所的な温度上昇は、ブラシ部分103が使用中に圧縮され、デバイス100が管状要素に対して移動する速度によって引き起こされる摩擦の増加に起因する。
【0059】
潤滑デバイス100は、薬剤送達デバイスのための管状要素の内面に潤滑剤106の層を堆積するように構成される。管状要素の内面に堆積された潤滑剤106の層は、実際に表面の粗さを増大させ得ることが判明した。表面粗さの増大は、10%~30%であり得ることが判明した。これは、潤滑剤106、例えばPDMSの粒子が管状要素の内面に堆積されることに起因する。表面粗さの増大は、潤滑剤106の層が不均一であることに起因する。つまり、潤滑剤106の層は厚さが均一ではない。潤滑剤106の層は、約40nmから約60nmの範囲にあり得る。したがって、表面粗さの増大から、既知の技術で言われるように粗い表面が平滑に削られるのではなく、潤滑剤106がブラシ部分103から表面に堆積されることは明らかである。
【0060】
次に
図3を参照すると、デバイス100のシャフト部分102の側面図が示されている。シャフト部分102は、案内機構111を備える。案内機構111は、シャフト部分102の端部112上に配置される。つまり、案内機構111は、シャフト部分102の先端113と、先端113から離れるように延びるシャフト部分102のセクションとを形成する。
【0061】
案内機構111は、心棒部分114を備える。心棒部分114は、シャフト部分102の先端113を形成し、長手方向に延びる。案内機構111の心棒部分114は、デバイス100をツール(図示せず)で把持することができるように構成される。ツールは、例えば、限定されるものではないが、製造ロボット(図示せず)のアームであり得る。心棒部分114は、使用中に潤滑される薬剤送達デバイスのための管状要素を通して駆動されるように構成され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、
図3に示すように、心棒部分114は、少なくとも1つの切り欠きセクション115を備える。切り欠きセクション115は、デバイス100の心棒部分114の把持能力を向上させる。つまり、心棒部分114における少なくとも1つの切り欠きセクション115により、ツール(図示せず)がデバイス100を把持及び保持しやすくなる。本実施形態では、心棒部分114は、4つの切り欠きセクション115を備える。切り欠きセクション115のそれぞれが、長手方向に延びる略扇形の断面を有する。切り欠きセクション115は、周方向に等間隔に配置される。したがって、心棒部分114は、長手方向に延びる十字形断面を備える。
【0063】
案内機構111は、ブラシ部分103に当接するように構成された表面116を更に備える。表面116は、シャフト部分102の長手方向軸Aに対して実質的に垂直に延びる。本実施形態では、案内機構111の表面116は実質的に円形であるが、代替的な実施形態では、案内機構111の表面116は異なる形状であり得ることを理解されたい。表面116は、ブラシ部分103と当接して、ブラシ部分103が、シャフト部分102の先端113に向かってシャフト部分102に対して長手方向に移動するのを阻止するように構成される。
【0064】
案内機構111は、テーパセクション117を更に備える。本実施形態では、テーパセクション117は、円錐セクション117である。円錐セクション117は、心棒部分114と表面116との間に延びる。つまり、円錐セクション117は、円錐セクション117の心棒部分114とは反対側にある表面116を備える。表面116の半径は、頂点部分118が表面116よりもシャフト部分102の先端113に近くなるように、心棒部分114の半径よりも大きい。円錐セクション117の頂点部分118は、心棒部分114に溶け込む。代替的な実施形態では、テーパセクション117は、表面116の断面形状に基づく別の形状の形態を取り得ることを理解されたい。つまり、テーパセクションは、形状が略ピラミッド状であり得る。
【0065】
テーパセクション117は、使用中にブラシ部分103によって表面116に対して加えられるあらゆる力に対抗する強度を表面116に提供する。加えて、テーパセクション117は、少なくとも1つの空洞119を備え得る。少なくとも1つの空洞119は、シャフト部分102の重量を低減するように構成される。少なくとも1つの空洞119は、テーパセクション117の強度に著しい影響を及ぼすことなく、シャフト部分102の重量を低減し得る。
【0066】
図1から
図3に示すように、デバイス100のシャフト部分102は、ブラシ部分受容セクション121を備える。ブラシ部分受容セクション121は、ブラシ部分103を受容するように構成される。ブラシ部分受容セクション121は、長手方向に延びる。ブラシ部分受容セクション121は、案内機構111から離れるように延びる。つまり、ブラシ部分受容セクション121は、表面116から突出し、表面116から離れるように長手方向に延びる。ブラシ部分受容セクション121は、表面116の中心から延び得る。いくつかの実施形態では、ブラシ部分受容セクション121は、案内機構111と同軸である。
【0067】
本実施形態では、デバイス100のシャフト部分102は、複数の案内機構111を備える。
図3及び
図4に示すように、シャフト部分102は、第1の案内機構111aと第2の案内機構111bとを備える。第1の案内機構111aと第2の案内機構111bとは、長手方向に間隔を空けて配置される。したがって、第1の案内機構111aと第2の案内機構111bとは、シャフト部分102の長手方向軸に沿って間隔を空けて配置され、ブラシ部分受容セクション121によって隔てられる。つまり、本実施形態では、ブラシ部分受容セクション121は、ブラシ部分受容セクション121の各端部にある案内機構111によって画定される、又は境界を定められる。
【0068】
よって、第1の案内機構111aは、シャフト部分102の長手方向軸Aに沿った第1の方向における、シャフト部分102に対するブラシ部分103の長手方向の移動を阻止するように構成される。第2の案内機構111bは、長手方向軸Aに沿った反対向きの第2の方向における、シャフト部分102に対するブラシ部分の長手方向の移動を阻止するように構成される。
【0069】
図2に示すように、ブラシ部分受容セクション121は、コアセクション122を備える。コアセクション122は、ブラシ部分受容セクション121の長さに沿って長手方向に延びる。つまり、本実施形態では、コアセクション122は、第1の案内機構111aと第2の案内機構111bとの間で、ブラシ部分受容セクション121の長さにわたって延びる。
図4に示す実施形態では、ブラシ部分受容セクション121のコアセクション122は、コアセクション122が円筒状であるように断面が略円形である。
【0070】
図2は、ブラシ部分受容セクション121を、その最も単純化された形態、すなわち、円筒状コアセクション122のみによって形成された形態で示している。しかしながら、
図4から
図12を参照すると、それぞれが代替的なブラシ部分受容セクションを有する、デバイス100のシャフト部分102の更に9つの例示的な実施形態が示されている。シャフト部分102の例示的な実施形態について、以下でより詳細に説明する。
【0071】
図4を参照すると、シャフト部分の第2の実施形態130が示されている。シャフト部分130は、上記のシャフト部分の実施形態102と概ね同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。更に、シャフト部分102の特徴及び構成要素と同じシャフト部分130の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号のままとする。シャフト部分の第2の実施形態130と上述のシャフト部分102との間の主な違いは、シャフト部分130のブラシ部分受容セクション131に見出すことができる。
【0072】
図4に示すシャフト部分130は、ブラシ部分受容セクション131を備える。ブラシ部分受容セクション131は、コアセクション132を備える。コアセクション132は、案内機構111a、111b間でブラシ部分受容セクション131の長さに沿って長手方向に延びる。
【0073】
本実施形態では、ブラシ部分受容セクション131は、少なくとも1つの径方向突起133を更に備える。少なくとも1つの径方向突起133は、ブラシ部分受容セクション131のコアセクション132から径方向に突出する。つまり、少なくとも1つの径方向突起133は、コアセクション132からシャフト部分130の長手方向軸Aに垂直な方向に径方向に突出する。
【0074】
本実施形態では、コアセクションは円筒を備え得るが、代替的な実施形態では、コアセクション132は、少なくとも1つの径方向突起133の厚さに等しい長さの辺を有する正四角柱によって形成され得る。
【0075】
加えて、少なくとも1つの径方向突起133は、ブラシ部分受容セクション131の少なくとも一部に沿って長手方向に延びる。つまり、少なくとも1つの径方向突起133は、案内機構111間のコアセクション132に沿って少なくとも部分的に延びる。本実施形態では、少なくとも1つの径方向突起133は、シャフト部分130の長手方向軸に平行な方向に延びる。
【0076】
更に、本発明の少なくとも1つの径方向突起133は、実質的にシャフト部分130の第1の案内機構111aから第2の案内機構111bまで延びる。つまり、少なくとも1つの径方向突起133は、ブラシ部分受容セクション131の全長に沿って延びる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの径方向突起133は、案内機構111の表面116に当接し得る。
【0077】
図4に示すように、ブラシ部分受容セクションは、複数の径方向突起133を備える。具体的には、ブラシ部分受容セクション131の本実施形態では、4つの径方向突起133を備える。4つの径方向突起は、シャフト部分130の長手方向軸Aに垂直に延びる平面で見ると、コアセクション132と共に略十字形断面を形成するように、コアセクション132の周囲に等間隔に配置される。径方向突起133のそれぞれが、直方体であり、長方形の断面を有する。しかしながら、代替的な実施形態では、径方向突起133の形状が異なり得ることを理解されたい。
【0078】
径方向突起133のそれぞれが、自由端134を備える。各径方向突起133の自由端134は、シャフト部分130の中心線、すなわち長手方向軸Aから、案内機構111の表面116の半径に等しい距離に配置される。したがって、本実施形態では、径方向突起133は、径方向に案内機構111を超えて延びない。
【0079】
径方向突起133のそれぞれはまた、コアセクション132と自由端134との間に延びる、互いに反対側を向く第1の側面135及び第2の側面136を備える。第1の面135及び第2の面136は、ブラシ部分がシャフト部分130に取り付けられたときに、ブラシ部分103に当接する。本実施形態では、第1の面135と第2の面136とは、互いに平行であるが間隔を空けて配置された平面であって、シャフト部分130の長手方向軸Aに平行である平面内に延びる。第1の面135及び第2の面136は、案内機構111の表面116に対して垂直に延びる。第1の面135及び第2の面136は、略長方形の断面を有する。
【0080】
図5を参照すると、シャフト部分の第3の実施形態140が示されている。シャフト部分140は、上記のシャフト部分の実施形態130と概ね同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。更に、シャフト部分130の特徴及び構成要素と同じシャフト部分140の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号のままとする。シャフト部分の第3の実施形態140と上述のシャフト部分130との間の主な違いは、少なくとも1つの径方向突起143に見出すことができる。
【0081】
図5に示すシャフト部分140は、ブラシ部分受容セクション141を備える。ブラシ部分受容セクション141は、上述のようにコアセクション142を備える。ブラシ部分受容セクション141は、コアセクション142から延びる少なくとも1つの径方向突起141を更に備える。本実施形態では、ブラシ部分受容セクション141は、コアセクション142の周囲に等間隔に配置された4つの径方向突起143を備える。
【0082】
しかしながら、
図5に示すシャフト部分の第3の実施形態140と、
図4に示すシャフト部分の第2の実施形態130との間の違いは、径方向突起143の自由端144が、案内機構111の表面116の半径よりも遠くに径方向に延びることである。したがって、径方向突起143の自由端144は、シャフト部分140の中心線から、案内機構111の表面116の周囲よりも遠くにある。案内機構111よりも径方向に遠くに延びる径方向突起143は、シャフト部分140のブラシ部分受容セクション141間の利用可能な接触面積を増加させる。したがって、ブラシ部分103に作用する面積がより大きくなり、これにより、シャフト部分140に対してブラシ部分103が移動するのを阻止するシャフト部分140の能力が高まる。
【0083】
次に
図6を参照すると、シャフト部分の第4の実施形態150が示されている。シャフト部分150は、上記のシャフト部分の実施形態102と概ね同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。更に、シャフト部分102の特徴及び構成要素と同じシャフト部分150の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号のままとする。シャフト部分の第4の実施形態150と上述のものとの間の主な違いは、少なくとも1つの径方向突起に見出すことができる。
【0084】
図6に示すシャフト部分150は、ブラシ部分受容セクション151を備える。ブラシ部分受容セクション151は、コアセクション152を備える。コアセクション152は、案内機構111a、111b間でブラシ部分受容セクション151の長さに沿って長手方向に延びる。
【0085】
本実施形態では、ブラシ部分受容セクション151は、少なくとも1つの径方向突起153を更に備える。少なくとも1つの径方向突起153は、ブラシ部分受容セクション151のコアセクション152から径方向に突出する。本実施形態では、少なくとも1つの径方向突起153は、コアセクションから径方向に、且つコアセクション152の周囲に周方向に突出する。
【0086】
つまり、少なくとも1つの径方向突起153は、円形ディスク157を備える。円形ディスクは、シャフト部分150の長手方向軸Aに対して垂直に延びる。垂直に延びる円形ディスク157は、シャフト部分150に対するブラシ部分103の長手方向の移動を阻止するように構成される。円形ディスク157は、異なる実施形態では、三角形又は正方形プレートなどの別の形状であってもよいことを理解されたい。
【0087】
図6に示すように、ブラシ部分受容セクション151は、複数の径方向突起153を備える。具体的には、ブラシ部分受容セクションの本実施形態151は、5つの径方向突起153を形成する5つの円形ディスク157を備える。径方向突起153のそれぞれが、ブラシ部分受容セクション151に部分的に沿って、シャフト部分150の長手方向軸Aに平行な方向に延びる。
【0088】
本実施形態では、径方向突起153、157のうちの少なくとも1つが、ブラシ部分受容セクション151に沿って長手方向に、少なくとも1つの他の径方向突起153、157がブラシ部分受容セクション151に沿って長手方向に延びる距離とは異なる距離だけ延びる。例えば、
図6では、中央のディスク157は、ブラシ部分受容セクション151に沿って長手方向に、このケースでは、すべてが同じ距離だけ長手方向に延びる他の径方向突起153、157のどれよりも大きな距離にわたって延びる。
【0089】
複数の円形ディスク157のそれぞれが、シャフト部分150の長手方向軸Aに沿って互いに間隔を空けて配置される。つまり、複数のディスク157のそれぞれが、間隙158によって互いに間隔を空けて配置される。間隙158は、以下でより詳細に説明するように、ブラシ部分103がシャフト部分150に取り付けられたときに、ブラシ部分103によって埋められるように構成される。
【0090】
円形ディスク157は、自由端154を備える。円形ディスク157の自由端154は、円形ディスク157の円周面によって形成される。少なくとも1つの径方向突起153の円周面154は、シャフト部分150の中心線から、案内機構111の表面116の半径に等しい距離に配置される。したがって、本実施形態では、少なくとも1つの径方向突起153は、径方向に案内機構111を超えて延びない。
【0091】
円形ディスク157のそれぞれはまた、第1の側面155及び第2の側面156を備え、これらはコアセクション152と円周面154との間に延びる。よって、第1の側面155及び第2の側面156が円周面154に合わさる場所に縁部158が形成される。第1の面155及び第2の面156並びに円周面154は、ブラシ部分103がシャフト部分150に取り付けられたときに、ブラシ部分103に当接するように構成される。本実施形態では、第1の面155と第2の面156とは、互いに平行であるが間隔を空けて配置された平面であって、案内機構111の表面116に平行である平面内に延びる。第1の面155及び第2の面156は、シャフト部分150の長手方向軸Aに対して垂直に延びる。
【0092】
隣接する円形ディスク157の第1の面155と第2の面156とは互いに面する。したがって、あるディスク157の第1の面155は、間隙159のうちの1つによって、隣接するディスク157の第2の面156から隔てられ得る。同様に、あるディスクの第2の面156は、間隙159のうちの1つによって、隣接するディスク157の第1の面155から隔てられ得る。
【0093】
第1の面155及び第2の面156は、略環状の断面を有する。本実施形態では、最初のディスク157の第1の面155が、第1の案内機構111aの表面116から間隔を空けて配置され、最後のディスク157の第2の面156が、第2の案内機構111bの表面116から間隔を空けて配置される。
【0094】
次に
図7を参照すると、シャフト部分の第5の実施形態160が示されている。シャフト部分160は、上記のシャフト部分の実施形態150と概ね同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。更に、シャフト部分150の特徴及び構成要素と同じシャフト部分160の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号のままとする。シャフト部分の第5の実施形態160とシャフト部分の第4の実施形態140との間の主な違いは、少なくとも1つの径方向突起に見出すことができる。
【0095】
図7に示すシャフト部分160は、ブラシ部分受容セクション161を備える。ブラシ部分受容セクション161は、コアセクション162を備える。コアセクション162は、案内機構111a、111b間でブラシ部分受容セクション161の長さに沿って長手方向に延びる。
【0096】
本実施形態では、ブラシ部分受容セクション161は、少なくとも1つの円形ディスク167の形態の少なくとも1つの径方向突起163を更に備える。少なくとも1つの円形ディスク157は、シャフト部分160の長手方向軸に対して垂直に延びる。
図7のシャフト部分は、それぞれがブラシ部分受容セクション161に沿って同じ距離だけ長手方向に延びる5つの円形ディスクを備える。
【0097】
本実施形態では、円形ディスク167の自由端164は、径方向に案内機構111の表面116の半径よりも遠くに配置される。したがって、円形ディスク167の円周面164は、シャフト部分160の中心線から、案内機構111の表面116の周囲よりも遠くにある。
【0098】
加えて、最初のディスク167の第1の面165は、第1の案内機構111aの表面116に当接する。つまり、第1の案内機構111aと最初のディスク167との間に間隙169はない。最後のディスク167の第2の面166は、第2の案内機構111bの表面116に当接する。つまり、第2の案内機構111bと最後のディスク167との間に間隙169はない。
【0099】
次に
図8を参照すると、シャフト部分の第6の実施形態170が示されている。シャフト部分170は、上記のシャフト部分の実施形態150と概ね同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。更に、シャフト部分150の特徴及び構成要素と同じシャフト部分170の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号のままとする。シャフト部分の第6の実施形態170とシャフト部分の第4の実施形態140との間の主な違いは、少なくとも1つの径方向突起に見出すことができる。
【0100】
図8に示すシャフト部分170は、ブラシ部分受容セクション171を備える。ブラシ部分受容セクション171は、コアセクション172を備える。コアセクション172は、案内機構111a、111b間でブラシ部分受容セクション171の長さに沿って長手方向に延びる。
【0101】
本実施形態では、ブラシ部分受容セクション171は、少なくとも1つの円形ディスク177の形態の少なくとも1つの径方向突起173を更に備える。少なくとも1つの円形ディスク177は、シャフト部分170の長手方向軸に対して垂直に延びる。
図8のシャフト部分170は、それぞれがブラシ部分受容セクション171に沿って同じ距離だけ長手方向に延びる5つの円形ディスクを備える。
【0102】
本実施形態では、円形ディスク177の自由端174は、径方向に案内機構111の表面116の半径よりも遠くの距離に配置される。したがって、円形ディスク177の円周面174は、シャフト部分170の中心線から、案内機構111の表面116の周囲よりも遠くにある。
【0103】
円形ディスク177のそれぞれはまた、第1の側面175及び第2の側面176を備え、これらはコアセクション172と円周面174との間に延びる。本実施形態では、円周面174が上述のシャフト部分150、160のような円筒面によって形成される代わりに、円周面174は丸みを帯びている。つまり、第1の面175の径方向外方端を第2の面176の径方向外方端に接合する円周面174は、略ドーム形状である。鋭利な縁部をなくすことにより、使用中のブラシ部分103の摩耗が低減される。
【0104】
第1の面175及び第2の面176並びにドーム状円周面174は、ブラシ部分103がシャフト部分170に取り付けられたときに、ブラシ部分103に当接するように構成される。本実施形態では、第1の面175と第2の面176とは、互いに平行であるが間隔を空けて配置された平面であって、案内機構111の表面116に平行である平面内に延びる。第1の面175及び第2の面176は、シャフト部分170の長手方向軸Aに対して垂直に延びる。
【0105】
隣接する円形ディスク177の第1の面175と第2の面176とは互いに面する。したがって、あるディスク177の第1の面175は、間隙179のうちの1つによって、隣接するディスク177の第2の面176から隔てられ得る。同様に、あるディスクの第2の面176は、間隙179のうちの1つによって、隣接するディスク177の第1の面175から隔てられ得る。
【0106】
第1の面175及び第2の面176は、略環状の断面を有する。本実施形態では、最初のディスク177の第1の面175が、第1の案内機構111aの表面116から間隔を空けて配置され、最後のディスク177の第2の面176が、第2の案内機構111bの表面116から間隔を空けて配置される。
【0107】
次に
図9を参照すると、シャフト部分の第7の実施形態180が示されている。シャフト部分180は、上記のシャフト部分の実施形態180と概ね同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。更に、シャフト部分170の特徴及び構成要素と同じシャフト部分180の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号のままとする。シャフト部分の第7の実施形態180とシャフト部分の第6の実施形態170との間の主な違いは、少なくとも1つの径方向突起に見出すことができる。
【0108】
図9に示すシャフト部分180は、ブラシ部分受容セクション181を備える。ブラシ部分受容セクション181は、コアセクション182を備える。コアセクション182は、案内機構111a、111b間でブラシ部分受容セクション181の長さに沿って長手方向に延びる。
【0109】
本実施形態では、ブラシ部分受容セクション181は、少なくとも1つの円形ディスク187の形態の少なくとも1つの径方向突起183を更に備える。少なくとも1つの円形ディスク187は、シャフト部分180の長手方向軸に対して垂直に延びる。
図9のシャフト部分は、それぞれがブラシ部分受容セクション181に沿って同じ距離だけ長手方向に延びる5つの円形ディスクを備える。
【0110】
本実施形態では、円形ディスク187の自由端184は、径方向に案内機構111の表面116の半径よりも遠くに配置される。したがって、円形ディスク187の円周面184は、シャフト部分180の中心線から、案内機構111の表面116の周囲よりも遠くにある。シャフト部分180の円周面184は、
図10に示す実施形態に関して上述したように、ドーム状である。
【0111】
加えて、最初のディスク187の第1の面185は、第1の案内機構111aの表面116に当接する。つまり、第1の案内機構111aと最初のディスク187との間に間隙189はない。最後のディスク187の第2の面186は、第2の案内機構111bの表面116に当接する。つまり、第2の案内機構111bと最後のディスク187との間に間隙189はない。
【0112】
次に
図10を参照すると、シャフト部分の第8の実施形態190が示されている。シャフト部分190は、上記のシャフト部分の各実施形態と概ね同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。更に、シャフト部分190の特徴及び構成要素と同じシャフト部分190の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号のままとする。シャフト部分の第8の実施形態190と上記のシャフト部分の他の実施形態との間の主な違いは、少なくとも1つの径方向突起に見出すことができる。
【0113】
図10に示すシャフト部分190は、ブラシ部分受容セクション191を備える。ブラシ部分受容セクション191は、コアセクション192を備える。コアセクション192は、案内機構111a、111b間でブラシ部分受容セクション191の長さに沿って長手方向に延びる。
【0114】
本実施形態では、ブラシ部分受容セクション191は、少なくとも1つの円形ディスク197の形態の少なくとも1つの径方向突起193を更に備える。少なくとも1つの円形ディスク197は、シャフト部分190の長手方向軸に対して垂直に延びる。
図10のシャフト部分は、それぞれがブラシ部分受容セクション191に沿って同じ距離だけ長手方向に延びる5つの円形ディスクを備える。
【0115】
本実施形態では、円形ディスク187のそれぞれの自由端184は、径方向に案内機構111の表面116の半径よりも遠くに配置される。しかしながら、本実施形態では、最初のディスク及び最後のディスク197、すなわち案内機構111a、111bに最も近いディスク197は、
図8に関連して説明した円周面と同様に、ドーム状の円周面194を有する。残りのディスク197、すなわち、最初のディスクと最後のディスク197との間に配置されたディスク197は、
図6に関して説明した円周面と同様に、円筒状円周面194を備える。
【0116】
複数の円形ディスク197のうちの少なくとも1つの半径は、複数の円形ディスク197のうちの少なくとも別の1つの半径とは異なり得る。例えば、
図10に示すように、最初の円形ディスク及び最後の円形ディスク197は、残りの円形ディスク197よりも小さい半径を有する。異なる半径のディスク197は
図10にしか示されていないが、本明細書で説明される任意の実施形態は、異なるサイズの半径を有する円形ディスク197を追加的に備え得ることを理解されたい。
【0117】
更に、径方向突起193のうちの少なくとも1つ、例えば円形ディスク197は、切り欠きセクション201を更に備え得る。切り欠きセクション201は、ブラシ部分103がシャフト部分190上に配置されたときに、ブラシ部分103の一部を受容するように構成される。切り欠きセクション201は、ブラシ部分103が延びるシャフト部分190にアンカーポイントを設けることにより、シャフト部分190に対するブラシ部分103の回転を阻止するように構成される。
【0118】
切り欠き201は、少なくとも1つの突起193の自由端194から延びる凹部によって形成される。この場合、凹部は、少なくとも1つの円形ディスク197の円周面194から延びる。凹部は、自由端又は円周面194からコアセクション192に向かって径方向内方に延びる。したがって、切り欠きは、径方向に延びる第1の側壁202及び第2の側壁203を備える。第1の側壁202及び第2の側壁は、切り欠き201の底壁204によって接合され得る。底壁204は、湾曲面又は平担面によって形成され得る。
【0119】
代替的な実施形態では、第1の側壁202及び第2の側壁203は径方向に延びず、代わりに、平行に延びるが、互いに間隔を空けて配置され得ることを理解されたい。しかしながら、そのような実施形態では、切り欠き201の中心線は、依然としてシャフト部分190の長手方向軸に向かって略径方向に延び得る。
【0120】
次に
図11を参照すると、シャフト部分の第9の実施形態210が示されている。シャフト部分210は、上記のシャフト部分の実施形態150と概ね同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。更に、シャフト部分150の特徴及び構成要素と同じシャフト部分150の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号のままとする。シャフト部分の第9の実施形態210とシャフト部分の先に挙げた実施形態との間の主な違いは、少なくとも1つの径方向突起に見出すことができる。
【0121】
図11に示すシャフト部分210は、ブラシ部分受容セクション211を備える。ブラシ部分受容セクション211は、コアセクション212を備える。コアセクション212は、案内機構111a、111b間でブラシ部分受容セクション211の長さに沿って長手方向に延びる。
【0122】
本実施形態では、ブラシ部分受容セクション211は、少なくとも1つの円形ディスク217の形態の少なくとも1つの径方向突起213を更に備える。少なくとも1つの円形ディスク217は、シャフト部分210の長手方向軸に対して垂直に延びる。
図11のシャフト部分は、3つの円形ディスクを備える。
【0123】
3つの円形ディスク217のそれぞれが、シャフト部分210の長手方向軸Aに沿って互いに間隔を空けて配置される。つまり、複数のディスク217のそれぞれが、間隙218によって互いに間隔を空けて配置される。本実施形態では、中間円形ディスク217は、ブラシ部分受容セクション211に沿って長手方向に、最初の円形ディスク及び最後の円形ディスク217が長手方向に延びた距離とは異なる距離だけ延びる。
図11に示すように、中間円形ディスク217は、最初の円形ディスク及び最後の円形ディスク217よりも長手方向に遠くに延びる。
【0124】
円形ディスク217は、自由端214を備える。円形ディスク217の自由端214は、円形ディスク217の円周面によって形成される。少なくとも1つの円形ディスク217の円周面214は、案内機構111の表面116の半径未満である、シャフト部分210の中心線からの距離に配置される。したがって、本実施形態では、案内機構111の表面116の円周は、円形ディスク217の円周面214を超えて延びる。
【0125】
更に、少なくとも1つの径方向突起213は、ピン225を備え得る。ピン225は、コアセクション212から径方向に延び得る。或いは、
図11に示すように、ピン225は、円形ディスク217のうちの少なくとも1つの円周面214から径方向に延び得る。本実施形態では、ピン225は、その中心軸がシャフト部分210の長手方向軸Aに対して垂直に延びる略円筒状である。代替的な実施形態では、ピン225は別の形状であり得る。ピンは、その自由端226が案内機構111の表面116の円周を超えないように延び得る。
【0126】
シャフト部分の各実施形態に関連して上で説明した特徴及び構成要素は、例として提示したに過ぎず、説明した特徴は、図面に示されていない仕方で組み合わされてもよいことを理解されたい。
【0127】
再び
図1及び
図2を参照すると、ブラシ部分の第1の実施形態103が示されている。ブラシ部分103は、長手方向軸A’を有する。ブラシ部分の長手方向軸A’は、シャフト部分102の長手方向軸Aと同軸である。ブラシ部分103は、コアセクション231を備える。ブラシ部分103のコアセクション231は、案内機構111間でシャフト部分102のブラシ部分受容セクション121にわたって長さ方向に延びる。コアセクション231は、中央開口部232を備える。デバイス100のシャフト部分102は、中央開口部232を通って延びる。中央開口部232は、内面233を備える。ブラシ103の内面233は、シャフト部分102のブラシ部分受容セクション121に当接するように構成される。
【0128】
ブラシ部分103は、シャフト部分102にオーバーモールドされ得る。或いは、ブラシ部分103とシャフト部分102とは、一緒に成形され得る。したがって、
図4から
図11に示す例において説明したように、ブラシ部分103の内面233は、ブラシ部分受容セクション121上にどの構成要素が配置されているかにかかわらず、ブラシ部分受容セクション121に、案内機構間でその長さに沿って接触し得る。つまり、内面全体が、ブラシ部分受容セクション103と、上述の任意の径方向突起とに当接し得る。
【0129】
コアセクション231は、略円筒状であり、シャフト部分102のブラシ部分受容セクション121のコアセクション122の周囲に延び得る。ブラシ部分103のコアセクション231は、ブラシ部分103がシャフト部分102に取り付けられたときに、どちらがシャフト部分102の長手方向軸Aから最も遠い方であるにしても、シャフト部分102の案内機構111の径方向内方にあるブラシ部分103の一部、又はシャフト部分102のブラシ部分受容セクション121の径方向突起133の自由端134であると考えられ得る。いくつかの実施形態では、コアセクション231は、少なくとも1つの開口部を備え得る。少なくとも1つの開口部は、シャフト部分の径方向突起が少なくとも1つの開口部を通って延びることを可能にするように構成され得る。
【0130】
ブラシ部分103は、少なくとも1つの径方向突起234を更に備える。少なくとも1つの径方向突起234は、ブラシ部分103のコアセクション232から延びる。つまり、少なくとも1つの径方向突起234は、コアセクション231からシャフト部分102の長手方向軸Aに垂直な方向に径方向に突出する。加えて、少なくとも1つの径方向突起234は、コアセクション231の少なくとも一部に沿って長手方向に延びる。
【0131】
本実施形態では、コアセクション231は、略円筒状であり得るが、代替的な実施形態では、コアセクション231は、例えば、限定されるものではないが、多角柱、すなわち、Nの辺を有する多角形の底面を備える多面体によって形成され得る。更なる代替的な実施形態では、コアセクション231は、以下でより詳細に説明するように、径方向突起間で接続された要素によって、又は長手方向に延びる部材によって形成され得る。
【0132】
本実施形態では、少なくとも1つの径方向突起234は、少なくとも1つの円形ディスク235によって形成される。少なくとも1つの円形ディスク235は、シャフト部分102の長手方向軸Aに垂直な方向に延びる。垂直に延びるディスク235は、使用中に薬剤送達デバイスのための管状要素の表面に接触するように構成される。ディスク235は、上で論じたように、使用中に弾性的に圧縮可能及び/又は弾性的に変形可能であるように寸法を定められ得る。円形ディスク235は、異なる実施形態では、三角形又は正方形などの別の形状であり得ることを理解されたい。一般に、ディスク235の形状は、潤滑される管状要素の内面に一致するように構成される。円形ディスク235の半径は、潤滑される管状要素の表面と締まり嵌めを形成するように構成される。
【0133】
図2に示すように、ブラシ部分は、円形ディスク235の形態の複数の径方向突起234を備える。具体的には、ブラシ部分の本実施形態103は、9つの円形ディスク235を備える。円形ディスク235のそれぞれが、長手方向軸A’に平行な方向にコアセクション231に沿って部分的に延びる。
【0134】
本実施形態では、円形ディスク235のそれぞれが、コアセクション231に沿って同じ距離だけ長手方向に延びるが、代替的な実施形態では、少なくとも1つの円形ディスクの厚さは、別のディスク235の厚さとは異なり得る。本実施形態では、円形ディスク235は中実である。しかしながら、代替的な実施形態では、円形ディスク235は中空であり得る。
【0135】
複数の円形ディスク235のそれぞれが、ブラシ部分103の長手方向軸Aに沿って互いに間隔を空けて配置される。つまり、複数のディスク235のそれぞれが、間隙236によって互いに間隔を空けて配置される。間隙236は、ディスク235が使用中に曲がる空間を確保するように構成される。
【0136】
各円形ディスク235は、自由端237を備える。円形ディスク235の自由端237は、円形ディスク235の円周面によって形成される。円形ディスク235の円周面237は、シャフト部分102の中心線から、シャフト部分の中心線から案内機構111の円周面及びブラシ受容部分121までの距離よりも大きい距離に配置される。これにより、潤滑される薬剤送達デバイスのための管状要素の表面に接触するのが、シャフト部分102ではなく、ブラシ部分103であることが確保される。
【0137】
円形ディスク235のそれぞれはまた、第1の面238及び第2の面239を備え、これらはブラシ部分103のコアセクション231その円周面237との間に延びる。円周面237は、
図2に示すように、略ドーム状である。本実施形態では、第1の面238と第2の面239とは、互いに平行であるが間隔を空けて配置された平面であって、ブラシ部分103の長手方向軸A’に垂直である平面内に延びる。代替的な実施形態では、第1の面238及び第2の面239が延びる平面は、互いに角度を付けられ得る。
【0138】
少なくとも1つの径方向突起234は、少なくとも1つの接触ゾーン104を備える。少なくとも1つの接触ゾーン104は、ブラシ部分103のコアセクション231から遠位に配置される径方向突起234の端部241に配置される。径方向突起234の端部241は、円周面237によって形成され得る。少なくとも1つの接触ゾーン104は、少なくとも1つの接触点242を含む。少なくとも1つの接触点242は、薬剤送達デバイスのための管状要素の表面に接触して、ブラシ部分材料105にある潤滑剤106を表面に移動させるように構成される。
【0139】
図2に示すように、接触ゾーン104は、単一の接触点242を含み得る。接触点242は、ブラシ部分103のコアセクション231から、シャフト部分102の長手方向軸Aに垂直な方向における径方向突起234の最遠部分又は先端243によって形成され得る。
【0140】
本実施形態では、径方向突起234の接触点242は、ブラシ部分103の長手方向軸A’から様々な距離間隔を空けて配置される。例えば、ブラシ部分103の端部に最も近い、すなわち案内機構に近接する径方向突起234は、径方向に他の径方向突起234よりも短くなり得る。つまり、長手方向軸A’と最初の径方向突起及び最後の径方向突起234の接触点242との間の距離は、長手方向軸A’と任意の他の径方向突起234の接触点242との間の距離よりも短くなり得る。接触ゾーン104の接触点242によって作成される形状は、略卵形である。このような構成は、潤滑される薬剤送達デバイスのための管状要素内にデバイス100を案内するのに役立ち、デバイス100を管状要素に適切に配置して、ブラシ部分材料105から管状要素の内面への潤滑剤106の移動のための最適な接触を提供する。
【0141】
図21及び
図22を簡単に参照すると、接触点242は、少なくとも1つのリップ244によって形成され得る。少なくとも1つのリップ244は、径方向突起234の先端243上に形成される。リップ244は、例えば、限定されるものではないが、ドーム状の突起によって形成され得る。
図21の径方向突起234の実施形態は、単一のリップ244を備える。リップ244は、径方向突起234の端部243の中央に配置され得る。これにより、リップ244は、デバイス100がどちら方向に移動しても、薬剤送達デバイスのための管状要素の表面に接触することができる。
【0142】
図22に示す代替的な実施形態では、径方向突起234は、複数のリップ244を備え得る。本実施形態では、径方向突起234は、径方向突起234の中心線からオフセットされた2つのリップ244a、244bを備える。したがって、2つのリップ244a、244bのうちの少なくとも一方が、使用中に薬剤送達デバイスのための管状要素の表面に接触する。例えば、第1のリップ244aは、デバイス100が一方の方向に移動するときに管状要素の表面に接触し得、第2のリップ244bは、デバイス100がそれとは反対の方向に移動するときに管状要素の表面に接触し得る。
【0143】
例えば、長手方向における隣接する径方向突起234間の距離は、約1.8mmから約2.2mmの範囲にあり得る。更に、少なくとも1つの径方向突起234は、約9から約17の範囲にあるアスペクト比を有し得る。少なくとも1つの径方向突起234のアスペクト比は、径方向における径方向突起234の中心長手方向軸からの長さと、長手方向における径方向突起234の厚さとの比と見なされる。
【0144】
次に簡単に
図12を参照すると、ブラシ部分の第2の実施形態250が示されている。ブラシ部分250は、上記のブラシ部分の実施形態103と概ね同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。更に、ブラシ部分103の特徴及び構成要素と同じブラシ部分250の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号のままとする。
【0145】
図12は、
図4に示したものと同様のシャフト部分130上に取り付けられたブラシ部分250を示している。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分250は、ブラシ部分を異なるシャフト部分上に成形することによって、異なるシャフト部分上に配置され得ることを理解されたい。
【0146】
本実施形態では、ブラシ部分250は、十字形断面を有するコアセクション251を備える。つまり、ブラシ部分250のコアセクション251は、シャフト部分130の十字形ブラシ部分受容セクション131の周囲に、ブラシ部分受容セクション131の表面全体がブラシ部分250の内面253に当接するように延びる。ブラシ部分250の十字形コアセクション251はまた、ブラシ部分をより堅固にして、ブラシ部分250と潤滑される表面との間の良好な接触を可能にするのに役立つ。
【0147】
ブラシ部分250は、少なくとも1つの径方向突起254を更に備える。本実施形態では、ブラシ部分250は、コアセクション251から延びる9つの円形ディスク255を備え、これにより径方向突起254を形成する。円形ディスク255のそれぞれが、ドーム状の表面によって形成される円周面257を備える。よって、円形ディスク255の接触点262は、ドームの頂点265によって形成される。
【0148】
本実施形態では、円形ディスク255のうちの少なくとも1つが、ブラシ部分250の長手方向軸A’から、他の円形ディスク255の少なくとも1つとは異なる距離に延びる。したがって、異なるアスペクト比を有する少なくとも2つの円形ディスク255が存在し得る。ブラシ部分103の端部にない円形ディスク255は、同じアスペクト比を有し得る。
【0149】
次に簡単に
図13を参照すると、ブラシ部分の第3の実施形態270が示されている。ブラシ部分270は、上記のブラシ部分の実施形態250と概ね同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。更に、ブラシ部分250の特徴及び構成要素と同じブラシ部分270の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号のままとする。
【0150】
図13は、
図5に示したものと同様のシャフト部分140上に取り付けられたブラシ部分270を示している。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分270は、ブラシ部分を異なるシャフト部分上に成形することによって、異なるシャフト部分上に配置され得ることを理解されたい。
【0151】
本実施形態では、ブラシ部分270は、十字形断面を有するコアセクション271を備える。つまり、ブラシ部分270のコアセクション271は、シャフト部分140の十字形ブラシ部分受容セクション141の周囲に、ブラシ部分受容セクション11の表面全体がブラシ部分270の内面273に当接するように延びる。ブラシ部分270の十字形コアセクション271はまた、ブラシ部分をより堅固にして、ブラシ部分270と潤滑される表面との間の良好な接触を可能にするのに役立つ。
【0152】
ブラシ部分270は、少なくとも1つの径方向突起274を更に備える。本実施形態では、ブラシ部分270は、コアセクション271から延びる9つの円形ディスク275を備え、これにより径方向突起274を形成する。円形ディスク275のそれぞれが、ドーム状の表面によって形成される円周面277を備える。円周面277は、ドームの頂点285から突出するリップ284を更に備える。よって、円形ディスク275の接触点282は、周方向に延びるリップ284によって形成される。
【0153】
本実施形態では、円形ディスク275のうちの少なくとも1つが、ブラシ部分270の長手方向軸A’から、他の異なる距離に延びる。ブラシ部分の第3の実施形態270の円形ディスクは、ブラシ部分の第2の実施形態250の円形ディスクよりも径方向に長い。
【0154】
次に簡単に
図14を参照すると、ブラシ部分の第4の実施形態290が示されている。ブラシ部分290は、上記のブラシ部分の実施形態103と概ね同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。更に、ブラシ部分103の特徴及び構成要素と同じブラシ部分290の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号のままとする。
【0155】
図14は、
図6に示したものと同様のシャフト部分150上に取り付けられたブラシ部分290を示している。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分290は、ブラシ部分を異なるシャフト部分上に成形することによって、異なるシャフト部分上に配置され得ることを理解されたい。
【0156】
本実施形態では、ブラシ部分290は、円筒状コアセクション291を備え、これはブラシ部分受容セクション151の表面全体に当接する。更に、ブラシ部分290は、案内機構111間でブラシ部分受容セクション151の長さにわたって延びる単一の円形ディスク295を備える。円形ディスク295の円周面297は、円筒面によって形成される。円筒状円周面297は、複数の接触点302を形成するように構成された10のリップ304を備える。10のリップ304は、第1のグループである5個のリップ304が、ブラシ部分290の一方の端部に近接して配置され、第2のグループである5個のリップ304が、ブラシ部分290の他方の端部に近接して配置されるように構成される。ブラシ部分290の端部に最も近いリップ304のうちの少なくとも1つが、リップ304の他の1つよりもシャフト部分150の長手方向軸Aに近い接触点302を有する。本実施形態では、第1のグループ及び第2のグループのリップ304は、距離dだけ隔てられる。しかしながら、他の実施形態では、代替的な構成が想定されることを理解されたい。
【0157】
次に簡単に
図15を参照すると、ブラシ部分の第5の実施形態310が示されている。ブラシ部分310は、上記のブラシ部分の実施形態103と概ね同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。更に、ブラシ部分103の特徴及び構成要素と同じブラシ部分310の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号のままとする。
【0158】
図15は、
図8に示したものと同様のシャフト部分170上に取り付けられたブラシ部分310を示している。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分310は、ブラシ部分を異なるシャフト部分上に成形することによって、異なるシャフト部分上に配置され得ることを理解されたい。
【0159】
ブラシ部分310は、シャフト部分170のブラシ部分受容セクション171にわたって長さ方向に延びるコアセクション311を備える。コアセクション311は、その中に複数の開口部を備え、複数の開口部は、シャフト部分170のディスク313が複数の開口部を通って延びることを可能にするように構成される。よって、コアセクション311は、複数の円筒状部品311aによって形成される。コアセクション311の円筒状部品311aは、シャフト部分170のブラシ部分受容セクション171のコアセクション172に当接する内面313を有する。コアセクション311の部品は、円形ディスク315によって一緒に接合され、これは、シャフト部分のディスク173上に延びる。よって、本実施形態では、コアセクション311は連続ではない。しかしながら、ブラシ部分310の内面313は、シャフト部分170のブラシ部分受容セクション171の表面全体に依然として接触する。
【0160】
本実施形態では、ブラシ部分310は、それぞれがシャフト部分170のディスク177上に延びる5つの円形ディスク315を備える。複数の円形ディスク315のそれぞれが、ブラシ部分310の長手方向軸Aに沿って互いに間隔を空けて配置される。各円形ディスク315は、自由端317を備える。円形ディスク315の自由端317は、円形ディスク315の円周面によって形成される。円形ディスク315のそれぞれはまた、第1の面318及び第2の面319を備え、これらはブラシ部分310のコアセクション311とその円周面317との間に延びる。円周面317は、略ドーム状であるため、ドームの頂点325は、接触点322を形成する。ブラシ部分310の端部に最も近いディスク315のうちの1つが、接触点322の他の1つよりもシャフト部分170の長手方向軸Aに近い接触点322を有する。
【0161】
次に簡単に
図16を参照すると、ブラシ部分の第6の実施形態330が示されている。ブラシ部分330は、上記のブラシ部分の実施形態310と概ね同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。更に、ブラシ部分310の特徴及び構成要素と同じブラシ部分330の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号のままとする。
【0162】
図16は、
図7に示したものと同様のシャフト部分160上に取り付けられたブラシ部分330を示している。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分330は、ブラシ部分を異なるシャフト部分上に成形することによって、異なるシャフト部分上に配置され得ることを理解されたい。
【0163】
本実施形態では、コアセクション331は、シャフト部分160のブラシ部分受容セクション161のコアセクション162を囲み、これに接触する円筒状部品によって形成されない。代わりに、本実施形態では、コアセクションは、隣接する円形ディスク335間で長手方向に延びる複数の径方向突出要素331bで形成される。つまり、要素331aは、1つの円形ディスク335の第1の面338から隣接する円形ディスク335の第2の面339まで延びる。本実施形態では、4つの径方向要素331aが、隣接する円形ディスク335の各対間に延びる。径方向要素331aは、ブラシ部分330の長手方向軸A’に関して等間隔で配置される。
【0164】
次に簡単に
図17を参照すると、ブラシ部分の第7の実施形態350が示されている。ブラシ部分350は、上記のブラシ部分の実施形態290と概ね同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。更に、ブラシ部分290の特徴及び構成要素と同じブラシ部分350の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号のままとする。
【0165】
図17は、
図9に示したものと同様のシャフト部分180上に取り付けられたブラシ部分350を示している。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分350は、ブラシ部分を異なるシャフト部分上に成形することによって、異なるシャフト部分上に配置され得ることを理解されたい。
【0166】
本実施形態では、ブラシ部分350は、円筒状コアセクション351を備え、これはブラシ部分受容セクション181の表面全体に当接する。更に、ブラシ部分350は、案内機構111間でブラシ部分受容セクション181の長さにわたって延びる単一の円形ディスク355を備える。円形ディスク355の円周面357は、円筒面によって形成される。
【0167】
円筒状円周面357は、複数の接触点362を形成するように構成された10のリップ364を備える。10のリップ364は、リップ364が、突起183の第1の面185及び第2の面186が延びる平面に隣接する点で周方向に延びるように構成される。したがって、シャフト部分180の2つの隣接する突起183間の距離では、2つのリップ364が周方向に延びる。ブラシ部分350の端部に最も近いリップ364のうちの少なくとも1つが、リップ364の他の1つよりもシャフト部分180の長手方向軸Aに近い接触点362を有する。
【0168】
次に簡単に
図18を参照すると、ブラシ部分の第8の実施形態370が示されている。ブラシ部分370は、上記のブラシ部分の実施形態103と概ね同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。更に、ブラシ部分103の特徴及び構成要素と同じブラシ部分370の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号のままとする。
【0169】
図18は、
図10に示したものと同様のシャフト部分190上に取り付けられたブラシ部分370を示している。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分370は、ブラシ部分を異なるシャフト部分上に成形することによって、異なるシャフト部分上に配置され得ることを理解されたい。
【0170】
本実施形態では、ブラシ部分370は、複数の円筒状部品371aによって形成されたコアセクション371を備え、複数の円筒状部品371aは長手方向に延びる要素371cによって一緒に接合される。長手方向に延びる要素371cは、シャフト部分190の径方向突起193にある切り欠きセクション201を通って延びる。
【0171】
円形ディスク375は、コアセクション371の部品371aのそれぞれから延びる。円形ディスク375のそれぞれが、ブラシ部分370の複数の接触点384を形成する2つの周方向に延びるリップ384を備える。
図18に示す実施形態は、4つの円形ディスク375と8つの接点382とを有する。ブラシ部分370の長手方向端部にある円形ディスク375は、先に述べた実施形態に関連して上述したように、より中央にある円形ディスクの半径よりも小さい半径を有し得る。加えて、ブラシ部分370の端部に最も近いリップ384のうちの少なくとも1つが、リップ304の他の1つよりもシャフト部分150の長手方向軸Aに近い接触点382を有する。
【0172】
次に
図19Aを参照すると、デバイスの実施形態400が示されている。デバイス400は、
図7に示すシャフト部分210を備える。デバイス400は、ブラシ部分の第9の実施形態410を更に備える。ブラシ部分410は、上記のブラシ部分の実施形態103と概ね同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。更に、ブラシ部分103の特徴及び構成要素と同じブラシ部分410の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号のままとする。
【0173】
ブラシ部分410は、長手方向軸A’を有する。ブラシ部分410の長手方向軸A’は、シャフト部分210の長手方向軸Aと同軸である。ブラシ部分410は、コアセクション411を備える。ブラシ部分410のコアセクション411は、案内機構111間でシャフト部分210のブラシ部分受容セクション211にわたって長さ方向に延びる。コアセクション411は、中央開口部412を備え、このことは、
図19Bに示す断面図に最もよく示されている。デバイス400のシャフト部分210は、中央開口部412を通って延びる。中央開口部412は、内面413を備える。ブラシ部分410の内面413は、シャフト部分210のブラシ部分受容セクション211に当接するように構成される。内面413全体が、ブラシ部分受容セクション211の外面及び径方向突起213、225に当接する。ブラシ部分410のコアセクション411は、略円筒状であり、シャフト部分210のブラシ部分受容セクション211のコアセクション212の周囲に延びる。
【0174】
ブラシ部分410は、少なくとも1つの径方向突起414を更に備える。少なくとも1つの径方向突起414は、ブラシ部分410のコアセクション412から延びる。つまり、少なくとも1つの径方向突起414は、コアセクション411からシャフト部分210の長手方向軸Aに垂直な方向に径方向に突出する。加えて、少なくとも1つの径方向突起414は、コアセクション411の少なくとも一部に沿って長手方向に延びる。
【0175】
本実施形態では、少なくとも1つの径方向突起414は、少なくとも1つの螺旋形態415によって形成される。螺旋形態415は、ブラシ部分410のコアセクション412から径方向に延びる。螺旋形態415は、螺旋形状の突起414によって形成される。つまり、螺旋形態は、ブラシ部分410のコアセクション412の周囲を、コアセクション412の周りを周方向に延びるように螺旋状に回り、長手方向にも延びる。よって、螺旋形態の点が延びる平面は、ブラシ部分410の長手方向軸A’に対して鋭角になる。
【0176】
螺旋形態415は、使用中に薬剤送達デバイスのための管状要素の表面に接触して、表面を潤滑するように構成される。螺旋形態415は、上で論じたように、使用中に弾性的に圧縮可能及び/又は弾性的に変形可能であるように寸法を定められ得る。一般に、螺旋形態415の形状は、潤滑される管状要素の内面に一致するように構成される。一般に、螺旋形態415の半径は、潤滑される管状要素の表面と締まり嵌めを形成するように構成される。
【0177】
本実施形態では、螺旋形態415の厚さ、すなわちブラシ部分410の長手方向軸A’に平行な方向におけるその寸法は一定である。しかしながら、代替的な実施形態では、螺旋形態415の厚さは、ブラシ部分140の長手方向軸A’に沿って変化し得る。
【0178】
螺旋形態415は、複数の回転を含む。回転は、ブラシ部分410の長手方向軸A’の周囲に1回転延びる螺旋形態415の一部として定義され得る。本実施形態では、螺旋形態は8の全回転を含み、全部で8回転半の回転を含む。しかしながら、代替的な実施形態では、螺旋形態415は、任意の数の全回転及び/又は部分回転を含み得る。側面から見た場合、螺旋形態415は、7つの尖頂を備え得る、すなわち、管状要素を通ってデバイスが移動する際に表面に接触し、表面を潤滑するように構成された、中心軸から最も遠い有効な接触点を備え得る。
【0179】
本実施形態では、螺旋形態415は、自由端417を備える。螺旋形態415の自由端417は、円周面によって形成される。螺旋形態415の円周面417は、ブラシ部分410の中心線から、シャフト部分210の中心線から案内機構111の円周面及びブラシ部分受容部分211までの距離よりも大きい距離に配置される。これにより、潤滑される管状要素の表面に接触するのが、シャフト部分210ではなく、ブラシ部分410であることが確保される。
【0180】
少なくとも1つの螺旋形態415は、少なくとも1つの接触ゾーン104を備える。少なくとも1つの接触ゾーン104は、ブラシ部分410のコアセクション511から遠位に配置される螺旋形態415の端部421に配置される。螺旋形態415の端部421は、円周面417によって形成され得る。少なくとも1つの接触ゾーン104は、少なくとも1つの接触点422を含む。少なくとも1つの接触点422は、管状要素の表面に接触して、ブラシ部分材料105にある潤滑剤106を表面に移動させるように構成される。接触点422は、小さい断面面積を有する点又は円周面の大部分などのより大きい面積を有する点であり得る。
【0181】
本実施形態では、螺旋形態は、単一の連続接触面を提供する。本実施形態では、単一の連続接触面は、螺旋形態415の自由端上の円周面417によって形成される。更に、ブラシ部分は、単一の螺旋形態のみを備える。
【0182】
よって、本実施形態では、単一の螺旋形態によって形成されるブラシ部分の単一の連続接触面は、1つしか存在しない。この単一の堅固な接触面によって、管状要素の表面での潤滑剤の堆積の均一性が改善される。単一の連続接触面は、曲げにより強いものであり得、よって、薬剤送達デバイスのための管状要素の内面とより一貫した接触をもたらす。したがって、本実施形態では、螺旋形態はまた、螺旋形態の外径にある自由端によって形成される単一の連続接触ゾーンを備える。更に、本実施形態では、螺旋形態はまた、単一の連続接触点を含む。
【0183】
本実施形態では、接触面、接触ゾーン、又は接触点に言及する場合、接触面、接触ゾーン、又は接触点のそれぞれが、長手方向A’における所定の点に関連して論じられる。単一の接触面、接触ゾーン、又は接触点が長手方向における各所定の距離に存在することと、各接触面、接触ゾーン、又は接触点が長手方向に沿った他の点のそれぞれにあるものと組み合わされると、ブラシ部分に沿って延びる単一の連続した接触面、接触ゾーン、又は接触点が形成されることとを理解されたい。
【0184】
図19A及び
図19Cに示すように、接触ゾーン104は、長手方向A’における所定の点に単一の接触点422を含み得る。接触点422は、長手方向A’における任意の所定の点にある、螺旋形態415におけるブラシ部分410のコアセクション411からの最遠部分又は先端423によって、シャフト部分210の長手方向軸Aに垂直な方向に形成され得る。
【0185】
本実施形態では、少なくとも1つの螺旋形態415の接触点422は、ブラシ部分210の長手方向軸A’から接触点の位置に応じて様々な距離だけ間隔を空けて配置される。つまり、接触点422によって形成される螺旋形態の外径は、テーパを付けられる。本実施形態では、螺旋形態の外径は、ブラシ部分の両方の長手方向端部でテーパを付けられる。螺旋形態の外径は、螺旋形態の外径がブラシ部分の長手方向端部で減少するようにテーパを付けられる。例えば、ブラシ部分410の端部に最も近い、すなわち案内機構111に近接する螺旋形態415の回転は、螺旋形態415の他の回転よりも径方向に短くなり得る。つまり、長手方向軸A’と螺旋形態415の最初の回転及び最後の回転の接触点422との間の距離は、長手方向軸A’と螺旋形態415の他の回転の接触点412との間の距離よりも短くなり得る。本質的に、ブラシ部分410の端部における少なくとも1つの接触ゾーン104は、長手方向におけるブラシ部分410の端部からの間隔を空けて配置された少なくとも1つの接触ゾーンよりも、シャフト部分210の長手方向軸Aに近くなる。
【0186】
図19A及び
図19Cに示すように、螺旋形態415の回転のうちの1つの半径の1つが、螺旋形態415が長手方向軸A’の周囲に、且つ長手方向軸A’に沿って巻かれるにつれて大きくなる。つまり、螺旋形態415は、コアセクション412に等しい半径から始まり、半回転が完了するまでに、螺旋形態415の他の回転に等しい半径を有するようになる。上述の実施形態のいずれかにおいて、それ以外の径方向突起よりも短い径方向突起234のこのセクションは、導入面取部と呼ばれ得る。
【0187】
このような構成は、潤滑される管状要素内にデバイス400を案内するのに役立ち、デバイス400を管状要素に適切に配置して、ブラシ部分材料105から管状要素の内面への潤滑剤106の移動のための最適な接触を提供する。
【0188】
しかしながら、代替的な実施形態では、少なくとも1つの螺旋形態415の接触点422は、長手方向軸A’に沿った各点において、ブラシ部分410の長手方向軸A’から同じ距離だけ間隔を空けて配置され得ることを理解されたい。
【0189】
本実施形態では、螺旋形態415のピッチは一定である。つまり、螺旋形態415の各回転について、長手方向における螺旋形態415の1回転の開始と終了との間の距離は同じである。しかしながら、代替的な実施形態では、螺旋形態415のピッチは長手方向において変化し得ることを理解されたい。
【0190】
次に簡単に
図20を参照すると、ブラシ部分の第10の実施形態430が示されている。ブラシ部分430は、上記のブラシ部分の実施形態410と概ね同じであるため、詳細な説明はここでは省略する。更に、ブラシ部分410の特徴及び構成要素と同じブラシ部分430の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号のままとする。
【0191】
ブラシ部分の第10の実施形態430と、ブラシ部分の第9の実施形態410との間の主な違いは、ブラシ部分の第10の実施形態が、複数の螺旋形態を備えることである。より具体的には、本実施形態では、ブラシ部分430は、2つの螺旋形態を備える。
【0192】
次に、デバイス100の動作について、
図23Aから
図23Cを参照しながら説明する。
図23Aは、デバイス100及び管状要素500を断面で示している。管状要素500は、略円筒状である。管状要素500は、第1のセクション501と、第2のセクション502と、第3のセクション503とを備える。第1のセクション501、第2のセクション502、及び第3のセクション503は、一体的に形成される。第1のセクション501、第2のセクション502、及び第3のセクション503は、すべて同軸で延びる。
【0193】
本方法は、デバイスの第1の実施形態100の動作に関連して説明されるが、本方法は、上で説明したものなど、本発明の範囲内にあるシャフト部分とブラシ部分とから形成される任意のデバイスについて本質的に同じであることを理解されたい。
【0194】
第1のセクション501は、開放端506と、対向する端壁507とを備える第1の中空円筒505によって形成される。第1の中空円筒505は、開口部509を画定する内面508を備える。対向する端壁507は、環状であり、中央穴510を備える。
【0195】
第2のセクション502は、第1の開放端512と第2の開放端513とを備える第2の中空円筒511によって形成される。第2の中空円筒511は、開口部515を画定する内面514を備える。第2の中空円筒511における開口部515の半径は、第1の中空円筒505における開口部509の半径よりも小さい。しかしながら、第2の中空円筒511における開口部515の半径は、第1のセクション501における中央穴510の半径に等しい。第2の中空円筒511は、第1のセクション501の端壁507から延びる。
【0196】
第3のセクション503は、第1の開放端517と第2の開放端518とを備える第3の中空円筒516によって形成される。第3の中空円筒516は、開口部520を画定する内面519を備える。第3の中空円筒516は、第2のセクション502の開放端513から延びる。しかしながら、第3の中空円筒516における開口部520の半径は、第2の中空円筒511における開口部515の半径よりも大きい。したがって、第2のセクション502と第3のセクション503との間に段差521が形成される。加えて、第3の中空円筒516における開口部520の半径は、第1の中空円筒505における開口部509の半径よりも小さい。
【0197】
本実施形態では、管状要素500の内面514は、潤滑される表面である。内面514は、長手方向に約30mmの長さを有し得る。しかしながら、内面514の長さは異なり得ることを理解されたい。管状要素500の内面514によって画定される円周は、約12.5mmの直径を有し得る。
【0198】
管状要素500の表面514を潤滑する方法は、管状要素500に対してデバイス100を移動させるステップを含む。デバイス100は、
図23Aに示すように、シャフト部分102の長手方向軸Aが、管状要素500の中央長手方向軸A’とアライメントされるように適所に移動される。いくつかの実施形態では、シャフト部分102の案内機構111aは、管状要素500にデバイスをアライメントさせるために、ロボット(図示せず)などのツールによって把持され、移動され、保持され得る。
【0199】
本方法は、デバイス100のブラシ部分103によって管状要素500に接触することを更に含む。
図23Aに示すように、デバイス100は、シャフト部分102の案内機構111の心棒部分114が、管状要素500の内面514によって画定された開口部515内に延びるように、管状要素500の長手方向軸A’’に沿って移動される。デバイス100は、シャフト部分102の案内機構111の円錐セクション117が、管状要素500の開口部515に入るように、管状要素500内に更に移動される。
【0200】
次いで、デバイス100は、デバイス101のブラシ部分103が管状要素500に入るまで長手方向に移動される。本実施形態では、管状要素の第1のセクション501の開口部509の直径は、ブラシ部分103の少なくとも1つの径方向突起234の半径よりも大きい。したがって、デバイス100は、ブラシ部分103の第1の径方向突起234が、管状要素500の第2のセクション502の開口部515に入るまで、管状要素500内に更に移動される。
【0201】
管状要素500の第2のセクション502の開口部515の円周が、デバイスのブラシ部分103の第1の径方向突起234の直径よりも小さいため、第1の径方向突起234の接触点242は、管状要素500の内面514に接触する。
【0202】
ブラシ部分103を形成するブラシ部分材料105は、管状要素500によってブラシ部分材料105に加えられた圧縮力の下で弾性的に変形することができる。よって、第1の径方向突起234は、管状要素500の直径がより小さいために径方向に圧縮され得る、且つ/又は接触点242と管状要素500の内面514との間の摩擦に起因して移動方向とは反対の方向に弾性的に曲げられ得る。
【0203】
本方法は、デバイス100のブラシ部分103から潤滑剤106を放出することを更に含む。潤滑剤106は、管状要素500の内面514との接触により、ブラシ部分材料105から放出される。ブラシ部分材料105に結合していない潤滑剤106の分子は、細孔107から内面514に自由に移動する。これは、部分的には、ブラシ部分材料105における潤滑剤106と、管状要素500の内面514上にある潤滑剤106との濃度の違いによるものである。したがって、潤滑剤106は、ブラシ部分103の接触点242から浸出し、放出される。
【0204】
潤滑剤106は、管状要素500の内面514によって径方向突起234が変形することにより放出され得る。よって、径方向突起234が変形すると、潤滑剤106は、ブラシ部分材料105の母材からブラシ部分103の表面、より具体的には接触点242に向かって絞り出され得る。
【0205】
本方法は、管状要素500の表面に潤滑剤106を堆積させるステップを更に含む。よって、潤滑剤106の分子が径方向突起234の接触点242から浸出すると、内面514に対するデバイス100の相対移動によって、潤滑剤106が管状要素500の内面514上に移動する。つまり、管状要素500の内面514上への潤滑剤106の堆積は、管状要素500の内面514に加わる累積径方向力、及び摩擦に関連する軸力によって駆動される。単一の径方向突起234が受ける最大径方向力は、25Nから60Nの範囲にあり得る。例えば、最初のサイクルにおいて単一の径方向突起234が受ける最大径方向力は、35Nから60Nの範囲、又は50Nから60Nの範囲にあり得る。例えば、最初のサイクルにおいて単一の径方向突起234が受ける最小径方向力は、20Nから40Nの範囲、又は20Nから35Nの範囲にあり得る。これらの範囲は、ブラシ部分103の導入面取部セクションの一部を形成する径方向突起には適用されない。
【0206】
デバイス500が管状要素500を通って更に移動すると、ブラシ部分103の後続の径方向突起234のそれぞれが、管状要素500の内面514に接触する。管状要素500の内面514に対するブラシ部分103の後続の径方向突起234の移動とは反対を向く摩擦力は、先行する径方向突起234によって潤滑剤106が管状要素500の内面514に堆積されたことに起因して、先行する径方向突起234の場合の摩擦力未満であり得る。
【0207】
上記の方法は、径方向突起234のそれぞれについて、径方向突起234が管状要素500の内面514と接触するように移動されるときに、順次行われる。デバイス100は、
図23Cに示すように、径方向突起234のそれぞれが管状要素500の内面514全体にわたって長手方向に移動されるまで継続的に移動される。
【0208】
デバイス100は、管状要素500を通して、約0.1m/sから約1.6m/sの速度で移動され得る。デバイス100の速度は、デバイス100が管状要素500に入るにつれて、管状要素の内面514と接触する接触点242の数が増加するにつれて、摩擦の増大に起因して低下し得、その後、デバイス100が管状要素500を出るにつれて、管状要素500の内面514と接触する接触点242の数が減少するにつれて、摩擦の低下に起因して上昇し得る。
【0209】
図23Aから
図23Cに示すように、デバイス100は、管状要素500の内面514と接触しながら、管状要素500の内面514に対して、第1の方向に、例えば図面の左から右に移動され得る。その後、デバイス100が管状要素500を通過すると、ツール(図示せず)がデバイス100を回収し得る。ツールは、デバイス100を
図23Aに示す元の開始位置に戻して、同じ管状要素500又は異なる管状要素500を通過させ得る。
【0210】
或いは、デバイスは、管状要素500を通して第1の方向に移動された後、追加的に、管状要素500の内面514と接触しながら、管状要素500の内面514に対して、第2の方向に、例えば図面の右から左に移動され得る。
【0211】
いくつかの実施形態では、デバイス100が第2の方向に移動されるときに、デバイス100の向きは変更されないままである。よって、第1の方向において前縁の案内機構111aは、デバイス100が第2の方向に移動されるときには、後縁の案内機構111aとなる。このことには、前縁の径方向突起234の摩耗を低減し、デバイス100の寿命を延ばすという利点がある。これにより、径方向突起234上の軸力が低くなりすぎて管状要素500の内面514に潤滑剤106を効果的に移動させることができなくなる前に、デバイス100が最大で900サイクルを実行できるようになる。
【0212】
他の実施形態では、デバイス100が第2の方向に移動される場合、デバイス100は、デバイスが管状要素500を通して第1の方向に移動されたときの前縁の案内機構111aが、第2の方向に移動されるときにも前縁の案内機構111aになるように、180度回転させられ得る。
【0213】
本方法は、ロボット(図示せず)などのツールを使用して、デバイス100を機械的に移動させることを含み得る。追加的又は代替的に、本方法は、そこにかかる圧力差を使用して、管状要素500に対してデバイス100を移動させることを含み得る。例えば、少なくとも部分的な真空が、管状要素500の開口部515においてデバイス100の前方に印加され得る。径方向突起234が、管状要素500の内面514に対して効果的に密閉状態を形成し得るため、真空が維持され得る。或いは、正圧をデバイス100の後方にかけてもよい。
【0214】
堆積するステップは、管状要素500の内面514上に、厚さが約40nmから60nmの範囲にある潤滑剤106の層を堆積することを含み得る。この場合、層の厚さは、管状要素500の内面514に対して垂直に、且つ内面514から測定される。
【0215】
上記の方法及び
図19Aから
図19Cに関連して説明したデバイスを使用して、本発明者らは、熱可塑性エラストマーによって形成され、各化合物の重量がブラシ部分410の総重量の約50%を占めるように潤滑剤を含浸させたブラシ部分410を使用することにより、ブラシ部分材料で2400MPaのヤング率、また潤滑剤では40MPaのヤング率によって定義されるブラシ部分410が得られることを見出した。このようなブラシ部分410は、中空管の内面との摩擦係数を0.08の範囲に有する。
【0216】
上記の例示的なデバイスは13.1mmの外径を備え、本デバイスを移動させるのに必要な軸力を求めるために管状要素を通して本デバイスを移動させた。管状要素は、12.52mm公称直径を有し、12.49mmから12.57mmの範囲にあるものであった。説明した例では、デバイスを1m/sの一定速度で移動させるのに必要な力は、30.6Nの公称値を有し、管径が最大の場合の29.1Nから、管径が最小の場合の31.6Nの範囲にあるものであった。
【0217】
他の実験では、例示的な実施形態が、1m/sで管状要素を通って移動するために35Nの初期軸力を必要とし、且つ900サイクル後、1m/sで管状要素を通って移動するために少なくとも25Nの軸力を必要とする、デバイスの設計条件を満たしていることが判明した。このように、デバイスと管状要素との間の摩擦力に関連する軸力は、完全にはなくならない。その結果、ブラシ部分と管状要素との間には、適切な潤滑を提供するのに十分な接触が依然としてあると想定され得る。
【0218】
よって、いくつかの実施形態では、中空管状要素を通してデバイスを移動させるのに必要な軸力は、約30Nであり得る、又は約25Nから約35Nの範囲にあり得る。より具体的には、1m/sで中空管状要素を通してデバイスを移動させるのに必要な軸力は、最初のサイクルでは約35Nであり得、且つ900サイクルでは約25Nであり得る。つまり、いくつかの実施形態では、900サイクル後に中空管状要素を通してデバイスを移動させるのに必要な軸力は、中空管状要素を通してデバイスを移動させるのに最初に必要な軸力の約10Nから15Nの範囲内にある。
【0219】
上記の例示的なデバイスはまた、それが必要な累積径方向力の目標を満たしているか否かを判定するために、管状要素を通して移動させた。本発明者らは、有効な8回転を有し、半径が小さいことに起因して有効ではない少なくとも部分的な2回転を有する例示的なデバイスでは、螺旋形態の有効部分が受ける初期径方向力は、約54Nである、又は50Nから60Nの範囲にあることを見出した。
【0220】
合計で、デバイスの長手方向軸に平行に延びる線に沿った接触点が受ける目標累積径方向力は、約415Nであった。900サイクル後に受けることになる目標累積径方向力は、少なくとも約310Nであった。上記の例示的なデバイスは、900サイクル後に約370Nの累積径方向力を受ける。これは主に、ブラシ部分の先端における回転の接触点が、管状部分に入る際に損傷したことに起因したものである。いくつかの実験では、ブラシ部分の両端にある回転のそれぞれが受ける力が25Nから40N小さい一方で、他の回転が受ける径方向力の変化は最小限である。
【0221】
よって、いくつかの実施形態では、デバイスの螺旋形態の全半径の回転上の単一の接触点によって中空管状要素に加えられる累積径方向力は、最初は約55Nであり得る、又は約50Nから約60Nの範囲にあり得る。8の全回転の実施形態の場合では、900サイクル後に加えられる累積径方向力は、少なくとも約370Nであり得る。10の全回転の実施形態では、900サイクル後に加えられる累積径方向力は、少なくとも約480Nであり得る。
【0222】
いくつかの実施形態では、900サイクル後に、単一の螺旋形態を有するデバイスによって中空管状要素に加えられる累積径方向力は、単一の螺旋形態を有するデバイスによって中空管状要素に加えられる初期累積径方向力の約40Nから50N以内である。つまり、いくつかの実施形態では、900サイクル後に受ける力は、初期力よりも最大で50N小さい。
【0223】
図24を簡単に参照すると、管状要素500の表面514を潤滑する方法を実行する装置600の実施形態が示されている。装置600は、回転可能なドラム601を備える。ドラム601は、これを中心としてドラム601が回転可能な中心軸を有する。本実施形態では、ドラム601の中心軸は、実質的に垂直に延びる。
【0224】
ドラム601は、第1のセクション602と第2のセクション603とを備える。第1のセクション602は、第2のセクション603よりも大きい直径を有する。ドラム601は、使用中に管状要素500を受容するように構成されている管状要素受容セクション604を更に備える。管状要素受容セクション604は、ドラム601の第1のセクション602に配置される。管状要素受容セクション604は、ドラム601の第1のセクション602の円周面605に略半円形の凹部を備える。管状要素514は、使用中に管状要素受容セクション604に少なくとも部分的に受容される。ドラム601の第1のセクション602は、ドラム601の第1のセクション602を中心として周方向に間隔を空けて配置された複数の管状要素受容セクション604を備え得る。
【0225】
装置600は、ガイドレール606を更に備え得る。ガイドレール606は、ドラム601の第1のセクション602の円周の少なくとも一部を中心として周方向に延びる。ガイドレール606は、管状要素500を管状要素受容セクション604に保持するのを助けるように構成される。いくつかの実施形態では、ガイドレール606は、管状要素がドラム601の周囲を動くときに管状要素を回転させるのに十分な力で管状要素500に接触し得る。これにより、デバイス400と管状要素500との間に相対回転が生じ、これは管状要素500の内面を潤滑するのに役立つ。
【0226】
装置600は、デバイスマニピュレータ607を更に備える。デバイスマニピュレータ607は、ドラム601の第1のセクション602と共に、ドラム601の中心軸を中心として回転可能である。デバイスマニピュレータ607は、可動ロッド608を備える。ロッド608は、ドラムが回転する中心軸に対して実質的に平行な方向に移動されるように構成される。ロッド608は、例えば、空気圧、油圧、又は機械的に移動可能であり得、いくつかの実施形態では、テレスコピックロッドであり得る。
【0227】
デバイスマニピュレータ607は、ロッド608の一方の端部にデバイスハンドラ609を更に備え得る。デバイスハンドラ609は、シャフト部分210、特に案内機構111の心棒部分114を受容するように構成されたロッド608の中空端部を備える。デバイスハンドラ609は、心棒部分114の先端の断面と一致するようにプロファイルを定められ得る。これにより、デバイスマニピュレータ607は、デバイス400を方向付け、デバイス400を回転させるか、管状要素500の回転によって引き起こされるデバイス500の回転に逆らうかのいずれかを行うことができる。つまり、デバイスマニピュレータは、並進運動のみによって、管状要素500に対してデバイスを移動させ得る。他の実施形態では、デバイスマニピュレータは、並進運動及び回転運動によって、管状要素500に対してデバイスを移動させ得る。潤滑される管状要素を通過する際の管状要素の内面に対するその軸を中心としたデバイスの回転運動はまた、管状要素の内面の改善された均一な潤滑も提供し得る。
【0228】
本実施形態では、デバイスマニピュレータ607は、ドラム601が回転すると、管状要素500の一方の端部、すなわち図面中の管状要素500の下端において、デバイスハンドラ609にデバイス400を受容する。ドラム601が回転し続けると、管状要素500が管状要素受容セクション604に受容される。次いで、ロッド608が、デバイスマニピュレータ607とドラム601とが同じ角速度で回転すると、管状要素500を通してデバイス400を押すように作動される。ロッド608は、デバイスハンドラ609が管状要素500の上端から出るまで、管状要素500を通してデバイス400を押す。いくつかの実施形態では、装置600は、複数のデバイスマニピュレータ、例えば、管状要素受容セクション604ごとに1つのデバイスマニピュレータ607を備える。
【0229】
ドラム601は、方向付けツール611を更に備える。方向付けツール611は、デバイス400が管状要素500を通して押されるとデバイス400の制御を引き受けるように構成される。方向付けツール611は、2つのクランプハンド612、613を備える。クランプハンド612、613は、略U字形であり、シャフト部分210の案内機構111、特に円錐セクション117を把持するように構成される。クランプハンド612、613は、開位置から閉位置に移動可能であり、開位置では、デバイスマニピュレータ609によってクランプハンド612、613間にデバイス400を配置することができ、閉位置では、クランプハンド612、613がデバイス400を把持する。いくつかの実施形態では、装置600は、複数の方向付けツール、例えば、管状要素受容セクション604ごとに1つの方向付けツール611を備える。
【0230】
方向付けツール611は、方向付けツール611が管状要素受容セクション604及びデバイスマニピュレータ607の真上に配置されるように、ドラム601の第2のセクション603から延びる。方向付けツール611は、ドラム601の中心軸に対して垂直に延びる軸を中心として回転するように構成される。クランプハンド612、613がデバイス400を把持すると、方向付けツール611は、デバイスを180度回転させて、別の管状要素500を通して今度は反対の方向に移動できるようにする。これを実現するために、デバイスマニピュレータ607は、管状要素500を通して延びて、管状要素を通してデバイス400を把持し、引き下げる。装置600は、デバイス400を再度回転させる別の方向付けツールを管状要素の下端に更に備え得る。よって、デバイス400は、ドラム601の周りを回転しながら、複数の管状要素を通して継続的に上下に移動させることができる。
【0231】
本発明の完全な範囲及び趣旨から逸脱することなく、本明細書に記載の物質、配合物、装置、方法、システム、及び実施形態の様々な構成要素の修正(追加及び/又は削除)が行われ得、本発明は、そのような修正形態及びそのありとあらゆる均等物を包含することが当業者には理解されよう。
【国際調査報告】