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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】潤滑シャトル
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/31 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
A61M5/31 530
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532759
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2022083909
(87)【国際公開番号】W WO2023099594
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】21315260.6
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520384541
【氏名又は名称】サノフィ・ウィントロップ・インダストリエ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・シャベール
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド・ダラス
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066DD08
4C066PP02
(57)【要約】
本発明は、薬剤送達デバイスのための管状要素の表面を潤滑する有利な方法に関する。本方法は、薬剤送達デバイスのための管状要素に対してデバイスを移動させるステップと、管状要素をデバイスのブラシ部分と接触させるステップと、管状要素の表面を潤滑するために、管状要素の表面上に潤滑剤を堆積させるステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達デバイスのための管状要素(500)の表面(514)を潤滑する方法であって、
薬剤送達デバイスのための前記管状要素に対してデバイス(100、400)を移動させるステップ、
前記管状要素を前記デバイスのブラシ部分と接触させるステップ、
前記管状要素の表面を潤滑するために、前記管状要素の前記表面上に潤滑剤を堆積させるステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記ブラシ部分を、前記管状要素との接触を通して変形させて、前記潤滑剤を放出するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記デバイス及び管状要素は、互いに接触しながら、潤滑装置の回転軸を中心とした弧状経路に沿って連続的に移動される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記移動させるステップは、前記管状要素に対する並進移動を使用して前記デバイスを移動させることを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記移動させるステップは、前記管状要素に対する回転移動を使用して前記デバイスを移動させることを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記堆積させるステップは、約40nm~約60nmの範囲の潤滑剤の層を前記管状要素の前記表面上に堆積させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記デバイスを移動させる前記ステップは、シャフト部分の長手方向軸が前記管状要素の中心軸と位置合わせされるような位置に前記デバイスを移動させることを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記デバイスを移動させる前記ステップは、前記ブラシ部分の導入面取り部が前記管状要素の前記表面に接触して、前記シャフト部分の前記長手方向軸を前記管状要素の前記中心軸と位置合わせするように、前記デバイスを前記管状要素内に移動させることを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記デバイスは、潤滑装置のアームによって機械的に移動される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記デバイスは、それに印加される圧力差によって移動される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記デバイスは、前記管状要素の前記表面と接触しながら、前記管状要素の前記表面に対して単一方向に移動される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記デバイスは、前記管状要素と接触している間に前記管状要素の前記表面に対して第1の方向に、且つ前記管状要素と接触している間に前記管状要素に対して第2の方向に移動され、任意選択的に、前記第2の方向は、前記第1の方向と反対の方向である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記デバイスは、前記第1及び第2の方向の移動間において、その長手方向軸に対して垂直な軸を中心として180°回転される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記デバイスは、約0.1m/秒~約1.6m/秒の速度で移動される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
単一の径方向突出部若しくは回転が受ける最大径方向力は、約25N~約60Nの範囲であり、及び/又は単一の径方向突出部若しくは回転が受ける最小径方向力は、約20N~約40Nの範囲である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤デバイスの構成要素の内面を潤滑する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
注射デバイス、例えば自動注射器は、通常、薬剤の密封容器と、薬剤を患者に注射するための針とを有する。1つのタイプのデバイスでは、薬剤容器は、薬剤カートリッジを含み得、針は、最初にカートリッジから分離することができる。初期動作は、針がカートリッジを穿刺するように、カートリッジ及び針を一緒に移動させる。別のタイプのデバイスでは、薬剤容器は、薬剤を収容するシリンジを含み得、針は、シリンジに固定することができる。両方の場合において、カートリッジ又はシリンジ内のプランジャ又はピストンは、その後、患者への注射のために針を通して薬剤を投与するためにカートリッジ又はシリンジ内に移動され得る。
【0003】
ほとんどの注射デバイスでは、1つ又は複数の機能は、構成要素の互いに対する移動を必要とする。しかしながら、構成要素の互いに対する移動は、適切に機能するために、摺動面に作用する摩擦力に打ち勝たなければならない。摩擦を低減する試みにおいて、摺動面をより滑らかにし、且つ/又は障害物を除去しようとするために、構成要素の表面を擦ることが知られている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、薬剤送達デバイスのための管状要素の表面を潤滑する有利な方法を提供することであり、本方法は、管状要素に対してデバイスを移動させるステップ、管状要素をデバイスのブラシ部分と接触させるステップ、管状要素の表面上に潤滑剤を堆積させるステップを含む。
【0005】
これは、薬剤送達デバイスのための管状要素の摩擦係数を有利に低減し、その結果、薬剤送達デバイスを使用するときに作動ステップを実行するために必要とされる力がより小さくなる。
【0006】
一部の実施形態では、本方法は、管状要素との接触を通してブラシ部分を変形させて、潤滑剤を放出するステップを更に含み得る。
【0007】
ブラシ部分を変形させることにより、ブラシ部分に圧力を加え、潤滑剤をブラシ部分から管状要素の表面上に滲出させることができる。
【0008】
一部の実施形態では、デバイス及び管状要素は、相互に接触しながら、潤滑装置の回転軸を中心とした弧状経路に沿って連続的に移動され得る。
【0009】
これは、複数の管状要素及び更に同時に複数の管状要素の一定且つ連続的な潤滑を可能にすることにより、方法の効率が改善されるという利点を提供することができる。
【0010】
一部の実施形態では、移動させるステップは、管状要素に対する並進移動を使用してデバイスを移動させることを含み得る。一部の実施形態では、移動させるステップは、管状要素に対する回転移動を使用してデバイスを移動させることを更に含み得る。
【0011】
これは、管状要素の表面上に堆積された潤滑剤が、デバイスが管状要素を通して移動されるにつれて、円周面の周囲で払拭され、潤滑剤のより均質な層を提供するという利点を提供することができる。
【0012】
一部の実施形態では、堆積させるステップは、約40nm~約60nmの範囲の潤滑剤の層を管状要素の表面上に堆積させることを含み得る。
【0013】
一部の実施形態では、デバイスを移動させるステップは、シャフト部分の長手方向軸が管状要素の中心軸と位置合わせされるような位置にデバイスを移動させることを含み得る。
【0014】
一部の実施形態では、デバイスを移動させるステップは、ブラシ部分の導入面取り部が管状要素の表面に接触して、シャフト部分の長手方向軸を管状要素の中心軸と位置合わせするように、デバイスを管状要素内に移動させることを含み得る。
【0015】
これは、デバイス及び管状要素が適切に位置合わせされ、内周表面のより均一な処理を提供し、デバイス上の不均一な摩耗を低減させるという利点を提供することができる。
【0016】
一部の実施形態では、デバイスは、潤滑装置のアームによって機械的に移動され得る。一部の実施形態では、デバイスは、それに印加される圧力差によって移動され得る。
【0017】
一部の実施形態では、デバイスは、管状要素の表面と接触しながら、管状要素の表面に対して単一方向に移動され得る。
【0018】
一部の実施形態では、デバイスは、管状要素と接触している間に管状要素の表面に対して第1の方向に、且つ管状要素と接触している間に管状要素に対して第2の方向に移動され得る。
【0019】
一部の実施形態では、第2の方向は、第1の方向と反対の方向であり得る。
【0020】
これは、有利には、ブラシ部分の各端部のライフサイクルを交互に使用することにより、前方径方向突出部上の摩耗を低減することによってブラシ部分のライフサイクルを一時的に増加させることを可能にし得る。
【0021】
一部の実施形態では、デバイスは、第1及び第2の方向の移動間において、その長手方向軸に垂直な軸を中心として180°回転され得る。
【0022】
これは、有利には、ブラシ部分の一方の端部のライフサイクルが、ブラシ部分の他方の端部を先端部として使用して別のライフサイクルを実行する前に使い果たされることを可能にし得る。
【0023】
一部の実施形態では、デバイスは、約0.1m/秒~約1.6m/秒の速度で移動され得る。
【0024】
一部の実施形態では、単一の径方向突出部又は回転が受ける最大径方向力は、約25N~約60Nの範囲であり得る。一部の実施形態では、単一の径方向突出部又は回転が受ける最小径方向力は、約20N~約40Nの範囲であり得る。
【0025】
これは、デバイスの寿命にわたってブラシ部分と潤滑される管状要素との間に十分な接触力が維持されるという利点を生じさせることができ、その結果、その寿命を通してデバイスによるより均一な処理性能が得られ、したがってより一貫した結果が得られる。
【0026】
一部の実施形態では、デバイスは、プラスチックから形成されるシャフト部分を含み得る。
【0027】
これは、デバイスが軽量であり、コスト及び環境の両方に関して効率的な方法で製造され得るという利点を生じさせ得る。すなわち、プラスチック、すなわち熱可塑性エラストマー及び/又はポリオレフィンのシャフト部分は、耐久性もあり、成形によって容易に製造することができる軽量のデバイスを提供する。
【0028】
一部の実施形態では、本方法は、ブラシ部分をプラスチックシャフト部分上に成形することによってデバイスを製作するステップを更に含み得る。
【0029】
一部の実施形態では、デバイスのブラシ部分は、螺旋形状を含み得、少なくとも1つの接触ゾーンによって形成される螺旋形状の外径は、螺旋形状の外径がブラシ部分の長手方向端部において低減されるように、ブラシ部分の両方の長手方向端部においてテーパ状である。
【0030】
螺旋形状は、径方向突出部がより剛性であり、したがって表面への潤滑剤の移送を促進するために、薬剤送達デバイスのための管状要素に対してより大きい力を提供することができるという利点を提供する。加えて、螺旋形状は、薬剤送達デバイスの管状要素の表面上の潤滑剤堆積物の改善された均一性という利点を提供する。
【0031】
より中央の接触ゾーンと比較して、ブラシ部分の長手方向端部においてシャフト部分の長手方向軸により近い接触ゾーンは、ブラシ部分の概ね卵形の輪郭を作り出す。ブラシ部分の卵形の形状は、ブラシ部分の前縁上の摩耗を低減し、薬剤送達デバイスのための管状要素への進入時にデバイスを中心に置くのに役立つ。これは、ぐらつき、すなわちシャフトの長手方向軸が薬剤送達デバイスのための管状要素の長手方向軸に対して移動することを低減する。デバイスのセンタリングは、接触ゾーンにおいてより均一な力プロファイルを提供することにより、薬剤送達デバイスのための管状要素のより一貫した均一な潤滑を可能にする。
【0032】
一部の実施形態では、ブラシ部分は、単一の螺旋形状を含み、螺旋形状は、螺旋形状の外径における自由端によって形成される単一の連続接触ゾーンを含む。
【0033】
この単一の剛性接触面は、管状要素の表面上の潤滑剤堆積物の改善された均一性を提供するものである。単一の連続的な接触面は、屈曲に対してより抵抗することができ、したがって薬剤送達デバイスのための管状要素の内面とのより一貫した接触をもたらす。
【0034】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態を参照して明らかになるであろう。
【0035】
ここで、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明による表面を潤滑するデバイスの概略斜視図である。
図2図1に示されるデバイスの概略断面図である。
図3】デバイスのシャフト部分の第1の実施形態の概略側面図である。
図4】デバイスのシャフト部分の第2の実施形態の概略斜視図である。
図5】デバイスのシャフト部分の第3の実施形態の概略斜視図である。
図6】デバイスのシャフト部分の第4の実施形態の概略斜視図である。
図7】デバイスのシャフト部分の第5の実施形態の概略斜視図である。
図8】デバイスのシャフト部分の第6の実施形態の概略斜視図である。
図9】デバイスのシャフト部分の第7の実施形態の概略斜視図である。
図10】デバイスのシャフト部分の第8の実施形態の概略斜視図である。
図11】デバイスのシャフト部分の第9の実施形態の概略斜視図である。
図12】デバイスのブラシ部分の第2の実施形態の概略斜視図である。
図13】デバイスのブラシ部分の第3の実施形態の概略斜視図である。
図14】デバイスのブラシ部分の第4の実施形態の概略斜視図である。
図15】デバイスのブラシ部分の第5の実施形態の概略斜視図である。
図16】デバイスのブラシ部分の第6の実施形態の概略斜視図である。
図17】デバイスのブラシ部分の第7の実施形態の概略斜視図である。
図18】デバイスのブラシ部分の第8の実施形態の概略斜視図である。
図19A】デバイスの第9の実施形態の概略側面図である。
図19B図19Aに示されるデバイスの概略断面端面図である。
図19C図19Aに示されるデバイスの概略端面図である。
図20】デバイスのブラシ部分の第10の実施形態の概略斜視図である。
図21】ブラシ部分の拡大概略側面図である。
図22】ブラシ部分の拡大概略側面図である。
図23A】潤滑される構成要素に対して第1の位置にあるデバイスの概略断面側面図である。
図23B】潤滑される構成要素に対して第2の位置にあるデバイスの概略断面側面図である。
図23C】潤滑される構成要素に対して第3の位置にあるデバイスの概略断面側面図である。
図24】薬剤送達デバイスのための管状要素を潤滑するための装置の概略斜視側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
多くのデバイスでは、構成要素が互いに対して移動する必要がある。かかるデバイスでは、互いに対して移動する構成要素は、それらが移動するときに互いに接触することが多い。これは、構成要素の互いに対する運動に対抗する摩擦力を生じさせる。場合により、摩擦力は、デバイスの適切な機能を妨げるのに十分なほど大きくなり得る。
【0038】
かかるデバイスは、第1の摺動面を有する第1の構成要素と、第1の摺動面と接触する第2の摺動面を有する第2の構成要素とを少なくとも含む。例えば、第1の構成要素は、管状筐体であり得、第2の構成要素は、管状筐体内で移動可能な構成要素であり得る。一部の実施形態では、デバイスは薬剤送達デバイスであり得る。
【0039】
表面を滑らかにし、したがって、構成要素がそれらの相対運動中に受ける摩擦力を低減するために、デバイスの摺動面を擦り取るか又は摩耗させる装置を使用することが知られている。これは、平均的な又は理想的な表面から最も逸脱した摺動面の部分を除去することによって達成される。しかしながら、本方法で構成要素から材料を除去することは正確ではない。除去できる材料が少なすぎたり多すぎたりすると、表面が依然として粗すぎたり、使用中に破損する可能性が高い脆弱点を有する構成要素が生じたりする。
【0040】
本発明は、以下でより詳細に説明されるように、デバイスの製造中に構成要素の摺動面を潤滑するためのデバイスを提供することにより、摺動面が受ける摩擦力を低減することに焦点を当てる。デバイスの摺動面を潤滑することにより、構成要素からより多くの材料を除去することなく、且つ構成要素内に脆弱点を生成するリスクなく、摺動面の摩擦係数を低減することができる。
【0041】
本出願において言及されるデバイスは、潤滑シャトルとしても知られており、2つの用語は、本出願全体を通して交換可能に使用され得る。
【0042】
ここで、図1及び図2を参照すると、本発明によるデバイス100の実施形態の概略斜視図及びデバイス100の実施形態の概略断面図が示されている。デバイス100は、例えば、限定されないが、薬剤送達デバイスのための管状要素の内面などの表面を潤滑するように構成される。デバイス100は、長手方向軸Aを有するシャフト部分102と、ブラシ部分103とを含む。ブラシ部分103は、シャフト部分102上に位置する。ブラシ部分103は、使用中に薬剤送達デバイスのための管状要素の内面に接触するように構成された少なくとも1つの接触ゾーン104を含む。
【0043】
一部の実施形態では、シャフト部分102の長さは、約50mm~約60mmの範囲であり得る。一部の実施形態では、シャフト部分102は、約53mmの長さである。一部の実施形態では、ブラシ部分103の長さは、約16mm~約25mmの範囲であり得、一部の実施形態では、ブラシ部分103は、約19mmの長さである。一部の実施形態では、ブラシ部分103は、約10mm~約20mmの範囲の直径を有し得る。一部の実施形態では、ブラシ部分103は、特に約12.5mmの範囲の直径を有する薬剤送達デバイスのための管状要素を潤滑するとき、約13mmの直径を有し得る。シャフト部分102は、例えば、熱可塑性エラストマー及び/又はポリオレフィンなどのプラスチックから形成され得るが、それらに限定されない。
【0044】
ブラシ部分103は、ブラシ部分材料105から形成される。ブラシ部分材料105は、潤滑剤106を含浸される。潤滑剤106は、使用中に少なくとも1つの接触ゾーン104から薬剤送達デバイスのための管状要素の内面に移送されるように構成される。ブラシ部分材料105は、ブラシ部分103の構造要素を提供する。潤滑剤106は、ブラシ部分103の機能要素を提供する。
【0045】
本実施形態では、シャフト部分102は、断面が略円筒形であるが、シャフト部分102の半径は、その長手方向軸に沿って変化し得、ブラシ部分103を通して延在する。すなわち、ブラシ部分103は、シャフト部分102の長さの少なくとも一部にわたってシャフト部分102の周りに延在する。シャフト部分102は、以下でより詳細に説明するように、ブラシ部分103の中心を通して延在し得る。
【0046】
ブラシ部分材料105は、熱可塑性エラストマーから形成され得る。熱可塑性エラストマーは、例えば、ポリオレフィンであり得るが、これに限定されない。一部の実施形態では、熱可塑性エラストマーは、複数のポリオレフィンのブレンドから形成され得る。ポリオレフィンの少なくとも1つは、加硫熱可塑性物質であり得る。ポリオレフィンの少なくとも1つは、非加硫熱可塑性物質であり得る。ブラシ部分材料105を形成するために使用され得るポリオレフィンの例は、エチレン-プロピレン-ジエン-モノマー及びポリアミドである。ポリオレフィンは、繊維で強化され得る。他の例としては、ブタジエンなどのエラストマー単位を有するスチレン系熱可塑性樹脂、すなわちポリスチレン-ブタジエン-スチレン又はポリスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンが挙げられる。
【0047】
潤滑剤106は、例えば、シロキサンポリマーであり得るが、これに限定されない。シロキサンポリマーの例は、ポリジメチルシロキサン(以下では「PDMS」と称する)である。熱可塑性エラストマーブラシ部分材料105は、約2400MPaのヤング率を有し得る。潤滑剤106は、約40MPaのヤング率を有し得る。ブラシ部分材料105を形成する熱可塑性エラストマーは、複数の孔107又は空間を含むように形成される。複数の孔107の各々は、潤滑剤106を受容し得る。これにより、ブラシ部分材料105は、スポンジ状に形成される。
【0048】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)は、シリコーン油の一例である。PDMSは、光学的に透明であり、不活性であり、非毒性であり、不燃性であるため、潤滑剤106の特に良好な例である。
【0049】
ブラシ部分103は、ブラシ部分材料105を潤滑剤106と組み合わせることによって形成される。ブラシ部分材料105及び潤滑剤106は、実質的に均一な混合物を形成するように一緒に混合され得る。潤滑剤106は、潤滑剤の分子がブラシ部分材料105と弱い共有結合のみを形成するような高濃度で提供される。混合物は、以下に説明されるように、射出成形のための通常の方法で金型内にスクリューによって押し込まれ、必要な形状を達成する。
【0050】
少なくとも1つの接触ゾーン104は、ブラシ部分の少なくとも1つの長手方向端部において、ブラシ部分103の端部から長手方向に離間した少なくとも1つの接触ゾーン104よりもシャフト部分102の長手方向軸Aに近くてもよい。
【0051】
ブラシ部分103は、使用中にブラシ部分103から潤滑剤106が滲出するように構成される。すなわち、潤滑剤106の少なくとも一部は、使用中にブラシ部分材料105を離れて、薬剤送達デバイスのための管状要素の内面をコーティングすることができる。したがって、潤滑剤106は、スポンジの孔に類似した方法でブラシ部分103のブラシ部分材料105間の空間に存在し得る。潤滑剤106は、潤滑剤106が少なくとも1つの接触ゾーン104に向かって移動することができるように、ブラシ部分103の構造ブラシ部分材料105内に散在する。デバイス100と、薬剤送達デバイスのための管状要素の内面との間の摩擦係数は、潤滑剤が移送されるとき、約0.08であり得る。
【0052】
本実施形態では、ブラシ部分材料105に収容可能な潤滑剤106の濃度は、使用前のブラシ部分103の重量の40%~60%の範囲である。この範囲内の潤滑剤106の量は、熱可塑性エラストマーブラシ部分材料105中の例えばPDMS分子の高濃度をもたらす。これらの高濃度では、全てのPDMS分子が熱可塑性エラストマーブラシ部分材料105と共有結合を形成できるわけではない。
【0053】
すなわち、ブラシ部分103を形成する熱可塑性エラストマー材料105の製造に関連する可塑化ステップにもかかわらず、PMDS分子の各々と共有結合を形成するのに十分な、利用可能な電子を有する熱可塑性エラストマーの分子は存在しない。したがって、熱可塑性エラストマーブラシ部分材料105に結合されないPDMS分子は、ブラシ部分材料105内に散在する。非結合PDMS分子は、ブラシ部分材料105内を移動することができる。
【0054】
ブラシ部分103のブラシ部分材料105は、デバイス100のシャフト部分102の長手方向軸に垂直な方向に圧縮可能であり得る。この文脈において、弾性的に圧縮可能とは、ブラシ部分103が外力の負荷下に置かれたときに圧縮され得るが、外力が除去されると、ブラシ部分103がその元の形状に戻ることを意味する。加えて、ブラシ部分103のブラシ部分材料105は、デバイス100のシャフト部分102の長手方向軸Aに平行な方向に弾性的に変形可能であり得る。この文脈において、弾性的に変形可能とは、ブラシ部分103が外力の負荷下に置かれたときに変形され得るが、いったん外力が除去されると、ブラシ部分103がその元の形状に戻ることを意味する。したがって、ブラシ部分103のブラシ部分材料105は、シャフト部分102の長手方向軸Aに平行な方向に可撓性である。
【0055】
これは、デバイス100が、デバイス100の断面寸法、すなわち直径よりも小さいその断面の寸法、すなわち直径を有する内部空洞を有する薬剤送達デバイスのための管状要素の内側に配置されることを可能にする。したがって、少なくとも1つの接触ゾーン104は、使用中に管状要素の内面に接触する。ブラシ部分103の圧縮性及び/又は弾性変形性は、デバイス100が、デバイス100の半径より小さい又は有意に小さい半径を有する管状要素を潤滑するために使用され得ることを意味する。
【0056】
PDMS分子は、ブラシ部分103の表面に移動し、したがって、使用中、薬剤送達デバイスのための管状要素の内面上に移送される位置にある。このプロセスは、滲出として知られている。以下でより詳細に説明されるように、潤滑剤106の移送は、一実施形態では、デバイス100のブラシ部分103と管状要素の内面との間の接触によって得られる。潤滑剤106の移動は、ブラシ部分103が使用中に圧縮されることによる局所的な温度上昇と、デバイス100が管状要素に対して移送される速度によって引き起こされる摩擦の増大とによって補助される。
【0057】
潤滑デバイス100は、薬剤送達デバイスのための管状要素の内面上に潤滑剤106の層を堆積させるように構成される。管状要素の内面上に堆積された潤滑剤106の層は、実際には、表面の粗度を増加させ得ることが見出されている。表面粗度の増加は、10%~30%であり得ることが見出された。これは、潤滑剤106、例えば、PDMS粒子が管状要素の内部表面上に堆積されるためである。表面粗度の増加は、潤滑剤106の層が不均一であることによる。すなわち、潤滑剤106の層は、厚さが均一ではない。潤滑剤106の層は、約40nm~約60nmの範囲であり得る。したがって、増加した表面粗度から、潤滑剤106は、従来技術で主張されているように、粗面が滑らかに削り取られるのではなく、ブラシ部分103から表面上に堆積されることが明らかである。
【0058】
ここで、図3を参照すると、デバイス100のシャフト部分102の側面図が示されている。シャフト部分102は、案内特徴111を含む。案内特徴111は、シャフト部分102の端部112に位置する。すなわち、案内特徴111は、シャフト部分102の先端部113と、先端部113から離れて延在するシャフト部分102のセクションとを形成する。
【0059】
案内特徴111は、軸部分114を含む。軸部分114は、シャフト部分102の先端部113を形成し、長手方向に延在する。案内特徴111の軸部分114は、デバイス100がツール(図示せず)によって把持されることを可能にするように構成される。ツールは、例えば、製造ロボット(図示せず)のアームであり得るが、これに限定されない。軸部分114は、使用中、潤滑される薬剤送達デバイスのための管状要素を通して駆動されるように構成され得る。
【0060】
一部の実施形態では、図3に示されるように、軸部分114は、少なくとも1つの切欠き部115を含む。切欠き部115は、デバイス100の軸部分114の把持能力を向上させる。すなわち、軸部分114内の少なくとも1つの切欠き部115は、ツール(図示せず)がデバイス100を把持及び保持することをより容易にする。本実施形態では、軸部分114は、4つの切欠き部115を有する。切欠き部115の各々は、長手方向に延在するほぼ扇形の断面を有する。切欠き部115は、周方向に等間隔に配置される。したがって、軸部分114は、長手方向に延在する十字状の断面を有する。
【0061】
案内特徴111は、ブラシ部分103に当接するように構成された表面116を更に含む。表面116は、シャフト部分102の長手方向軸Aに対して実質的に垂直に延在する。本実施形態では、案内特徴111の表面116は、実質的に円形であるが、代替的な実施形態では、案内特徴111の表面116は、異なる形状であり得ることを理解されたい。表面116は、ブラシ部分103に当接して、シャフト部分102の先端部113に向かう方向におけるシャフト部分102に対するブラシ部分103の長手方向の移動を防止するように構成される。
【0062】
案内特徴111は、テーパ部117を更に含む。本実施形態では、テーパ部117は、円錐部117である。円錐部117は、軸部分114と表面116との間に延在する。すなわち、円錐部117は、軸部分114に対して円錐部117の反対側にある表面116を含む。表面116の半径は、頂点部分118が表面116よりもシャフト部分102の先端部113に近くなるように、軸部分114の半径よりも大きい。円錐部117の頂点部分118は、軸部分114に融合する。代替的な実施形態では、テーパ部117は、表面116の断面形状に基づく別の形状の形態をとり得ることが理解されるであろう。すなわち、テーパ部は、概して、ピラミッド形状であり得る。
【0063】
テーパ部117は、使用中にブラシ部分103によって印加されるあらゆる力に対抗する強度を表面116に与える。加えて、テーパ部117は、少なくとも1つの空洞119を含み得る。少なくとも1つの空洞119は、シャフト部分102の重量を低減するように構成される。少なくとも1つの空洞119は、テーパ部117の強度に大きい影響を与えることなく、シャフト部分102の重量を低減することができる。
【0064】
図1図3に示すように、デバイス100のシャフト部分102は、ブラシ部分受容部121を含む。ブラシ部分受容部121は、ブラシ部分103を収容するように構成される。ブラシ部分受容部121は、長手方向に延在する。ブラシ部分受容部121は、案内特徴111から離れるように延在する。すなわち、ブラシ部分受容部121は、表面116から突出し、長手方向において表面116から離れるように延在する。ブラシ部分受容部121は、表面116の中心から延在し得る。一部の実施形態では、ブラシ部分受容部121は、案内特徴111と同軸である。
【0065】
本実施形態では、デバイス100のシャフト部分102は、複数の案内特徴111を含む。図3及び図4に示すように、シャフト部分102は、第1の案内特徴111a及び第2の案内特徴111bを含む。第1及び第2の案内特徴111a、111bは、長手方向に離間される。したがって、第1及び第2の案内特徴111a、111bは、シャフト部分102の長手方向軸に沿って離間され、ブラシ部分受容部121によって分離される。すなわち、本実施形態では、ブラシ部分受容部121は、ブラシ部分受容部121の各端部において案内特徴111によって画定され又は範囲を定められる。
【0066】
したがって、第1の案内特徴111aは、シャフト部分102に対するシャフト部分102の長手方向軸Aに沿った第1の方向へのブラシ部分103の長手方向移動を防止するように構成される。第2の案内特徴111bは、シャフト部分102に対する長手方向軸Aに沿った第2の反対方向へのブラシ部分の長手方向移動を防止するように構成される。
【0067】
図2に示されるように、ブラシ部分受容部121は、コア部122を含む。コア部122は、ブラシ部分受容部121の長さに沿って長手方向に延在する。すなわち、本実施形態では、コア部122は、第1の案内特徴111aと第2の案内特徴111bとの間のブラシ部分受容部121の長さに延在する。図4に示す実施形態では、ブラシ部分受容部121のコア部122は、コア部122が円筒形であるように、断面がほぼ円形である。
【0068】
図2は、ブラシ部分受容部121を最も簡略化した形態で示し、すなわち円筒形のコア部122のみによって形成される。しかしながら、図4図12を参照すると、デバイス100のシャフト部分102の9つの更なる例示的な実施形態が示されており、それぞれが代替的なブラシ部分受容部を有する。シャフト部分102の例示的な実施形態は、以下でより詳細に説明される。
【0069】
図4を参照すると、シャフト部分130の第2の実施形態が示されている。シャフト部分130は、前述のシャフト部分102の実施形態と概ね同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。更に、シャフト部分102の特徴及び構成要素と同じであるシャフト部分130の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号を保持する。シャフト部分130の第2の実施形態と前述のシャフト部分102との間の主な違いは、シャフト部分130のブラシ部分受容部131に見出すことができる。
【0070】
図4に示すシャフト部分130は、ブラシ部分受容部131を含む。ブラシ部分受容部131は、コア部132を含む。コア部132は、案内特徴111a、111b間でブラシ部分受容部131の長さに沿って長手方向に延在する。
【0071】
本実施形態では、ブラシ部分受容部131は、少なくとも1つの径方向突出部133を更に含む。少なくとも1つの径方向突出部133は、ブラシ部分受容部131のコア部132から径方向に突出する。すなわち、少なくとも1つの径方向突出部133は、シャフト部分130の長手方向軸Aに対して垂直な方向にコア部132から径方向に突出する。
【0072】
本実施形態では、コア部は、円筒を含み得るが、代替的な実施形態では、コア部132は、少なくとも1つの径方向突出部133の厚さに等しい長さを伴う側面を有する、正方形プリズムによって形成され得る。
【0073】
加えて、少なくとも1つの径方向突出部133は、ブラシ部分受容部131の少なくとも一部に沿って長手方向に延在する。すなわち、少なくとも1つの径方向突出部133は、案内特徴111間でコア部132に沿って少なくとも部分的に延在する。本実施形態では、少なくとも1つの径方向突出部133は、シャフト部分130の長手方向軸に平行な方向に延在する。
【0074】
更に、本発明の少なくとも1つの径方向突出部133は、実質的にシャフト部分130の第1の案内特徴111aから第2の案内特徴111bまで延在する。すなわち、少なくとも1つの径方向突出部133は、ブラシ部分受容部131の全長に沿って延在する。一部の実施形態では、少なくとも1つの径方向突出部133は、案内特徴111の表面116に当接し得る。
【0075】
図4に示されるように、ブラシ部分受容部は、複数の径方向突出部133を含む。具体的には、ブラシ部分受容部131の本実施形態では、4つの径方向突出部133を含む。4つの径方向突出部は、シャフト部分130の長手方向軸Aに対して垂直に延在する平面で見たとき、コア部132とともに略十字形の断面を形成するように、コア部132の周りに等間隔に離間される。径方向突出部133の各々は、直方体状であり、矩形断面を有する。しかしながら、代替的な実施形態では、径方向突出部133の形状は、異なり得ることが理解されるであろう。
【0076】
径方向突出部133の各々は、自由端134を含む。各径方向突出部133の自由端134は、シャフト部分130の中心線、すなわち長手方向軸Aから、案内特徴111の表面116の半径に等しい距離に位置する。したがって、本実施形態では、径方向突出部133は、径方向に案内特徴111を越えて延在しない。
【0077】
径方向突出部133の各々は、コア部132と自由端134との間に延在する対向する第1及び第2の面135、136も含む。第1の面135及び第2の面136は、ブラシ部分がシャフト部分130に取り付けられたときにブラシ部分103に当接する。本実施形態では、第1及び第2の面135、136は、互いに平行であるが離間され、シャフト部分130の長手方向軸Aに平行である平面内に延在する。第1及び第2の面135、136は、案内特徴111の表面116に対して垂直に延在する。第1及び第2の面135、136は、略矩形の断面を有する。
【0078】
図5を参照すると、シャフト部分140の第3の実施形態が示されている。シャフト部分140は、前述のシャフト部分130の実施形態と概ね同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。更に、シャフト部分130の特徴及び構成要素と同じであるシャフト部分140の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号を保持する。シャフト部分140の第3の実施形態と前述のシャフト部分130との間の主な違いは、少なくとも1つの径方向突出部143に見出すことができる。
【0079】
図5に示すシャフト部分140は、ブラシ部分受容部141を含む。ブラシ部分受容部141は、前述のようにコア部142を含む。ブラシ部分受容部141は、コア部142から延在する少なくとも1つの径方向突出部141を更に含む。本実施形態では、ブラシ部分受容部141は、コア部142の周囲に均等に離間された4つの径方向突出部143を含む。
【0080】
しかしながら、図5に示されるシャフト部分140の第3の実施形態と、図4に示されるシャフト部分130の第2の実施形態との間の違いは、径方向突出部143の自由端144が、案内特徴111の表面116の半径よりも更に径方向に延在することである。したがって、径方向突出部143の自由端144は、案内特徴111の表面116の円周よりもシャフト部分140の中心線から離れている。案内特徴111よりも径方向に更に延在する径方向突出部143は、シャフト部分140のブラシ部分受容部141との間の利用可能な接触面積を増大させる。したがって、ブラシ部分103に作用する面積が大きくなり、シャフト部分140に対するブラシ部分103の移動を防止するシャフト部分140の能力が増大する。
【0081】
ここで、図6を参照すると、シャフト部分150の第4の実施形態が示されている。シャフト部分150は、前述のシャフト部分102の実施形態と概ね同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。更に、シャフト部分102の特徴及び構成要素と同じであるシャフト部分150の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号を保持する。シャフト部分150の第4の実施形態と前述の実施形態との間の主な違いは、少なくとも1つの径方向突出部に見出すことができる。
【0082】
図6に示すシャフト部分150は、ブラシ部分受容部151を含む。ブラシ部分受容部151は、コア部152を含む。コア部152は、案内特徴111a、111b間でブラシ部分受容部151の長さに沿って長手方向に延在する。
【0083】
本実施形態では、ブラシ部分受容部151は、少なくとも1つの径方向突出部153を更に含む。少なくとも1つの径方向突出部153は、ブラシ部分受容部151のコア部152から径方向に突出する。本実施形態では、少なくとも1つの径方向突出部153は、コア部から径方向に、且つコア部152の周りで周方向に突出する。
【0084】
すなわち、少なくとも1つの径方向突出部153は、円形ディスク157を含む。円形ディスクは、シャフト部分150の長手方向軸Aに対して垂直に延在する。垂直に延在する円形ディスク157は、シャフト部分150に対するブラシ部分103の長手方向の移動を防止するように構成される。円形ディスク157は、異なる実施形態では、三角形又は正方形プレートなどの別の形状であり得ることが理解されるであろう。
【0085】
図6に示すように、ブラシ部分受容部151は、複数の径方向突出部153を含む。具体的には、ブラシ部分受容部151の本実施形態は、5つの径方向突出部153を形成する5つの円形ディスク157を含む。径方向突出部153の各々は、シャフト部分150の長手方向軸Aに平行な方向にブラシ部分受容部151に沿って部分的に延在する。
【0086】
本実施形態では、径方向突出部153、157の少なくとも1つは、少なくとも1つの他の径方向突出部153、157がブラシ部分受容部151に沿って長手方向に延在する距離と異なる距離だけブラシ部分受容部151に沿って長手方向に延在する。例えば、図6では、中央ディスク157は、他の径方向突出部153、157のいずれよりもブラシ部分受容部151に沿って長手方向に長い距離にわたって延在し、この場合、他の径方向突出部153、157は、全て長手方向に同じ距離にわたって延在する。
【0087】
複数の円形ディスク157の各々は、シャフト部分150の長手方向軸Aに沿って互いに離間される。すなわち、複数のディスク157の各々は、間隙158によって互いに離間される。間隙158は、以下でより詳細に説明するように、ブラシ部分103がシャフト部分150に取り付けられたときにブラシ部分103によって充填されるように構成される。
【0088】
円形ディスク157は、自由端154を含む。円形ディスク157の自由端154は、その円周面によって形成される。少なくとも1つの径方向突出部153の円周面154は、案内特徴111の表面116の半径に等しいシャフト部分150の中心線からの距離に位置する。したがって、本実施形態では、少なくとも1つの径方向突出部153は、径方向に案内特徴111を越えて延在しない。
【0089】
円形ディスク157の各々は、コア部152と円周面154との間に延在する第1及び第2の面155、156も含む。したがって、縁部158は、第1及び第2の面155、156が円周面154と交わるところに形成される。第1の面155及び第2の面156並びに円周面154は、ブラシ部分103がシャフト部分150に取り付けられたときにブラシ部分103に当接するように構成される。本実施形態では、第1の面155及び第2の面156は、互いに平行であるが互いから離間され、案内特徴111の表面116に平行である平面内に延在する。第1及び第2の面155、156は、シャフト部分150の長手方向軸Aに対して垂直に延在する。
【0090】
隣接する円形ディスク157の第1及び第2の面155、156は、互いに面する。したがって、1つのディスク157の第1の面155は、間隙159の1つにより、隣接するディスク157の第2の面156から分離され得る。同様に、1つのディスクの第2の面156は、間隙159の1つにより、隣接するディスク157の第1の面155から分離され得る。
【0091】
第1及び第2の面155、156は、略環状の断面を有する。本実施形態では、第1のディスク157の第1の面155は、第1の案内特徴111aの表面116から離間され、最後のディスク157の第2の面156は、第2の案内特徴111bの表面116から離間される。
【0092】
ここで、図7を参照すると、シャフト部分160の第5の実施形態が示されている。シャフト部分160は、前述のシャフト部分150の実施形態と概ね同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。更に、シャフト部分150の特徴及び構成要素と同じであるシャフト部分160の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号を保持する。シャフト部分160の第5の実施形態とシャフト部分140の第4の実施形態との間の主な違いは、少なくとも1つの径方向突出部に見出すことができる。
【0093】
図7に示すシャフト部分160は、ブラシ部分受容部161を含む。ブラシ部分受容部161は、コア部162を含む。コア部162は、案内特徴111a、111b間でブラシ部分受容部161の長さに沿って長手方向に延在する。
【0094】
本実施形態では、ブラシ部分受容部161は、少なくとも1つの円形ディスク167の形態の少なくとも1つの径方向突出部163を更に含む。少なくとも1つの円形ディスク157は、シャフト部分160の長手方向軸に対して垂直に延在する。図7のシャフト部分は、5つの円形ディスクを含み、これらは、それぞれブラシ部分受容部161に沿って長手方向に同じ距離だけ延在する。
【0095】
本実施形態では、円形ディスク167の自由端164は、径方向において案内特徴111の表面116の半径よりも遠くに位置する。したがって、円形ディスク167の円周面164は、案内特徴111の表面116の円周よりもシャフト部分160の中心線から離れている。
【0096】
加えて、第1のディスク167の第1の面165は、第1の案内特徴111aの表面116に当接する。すなわち、第1の案内特徴111aと第1のディスク167との間に間隙169が存在しない。最後のディスク167の第2の面166は、第2の案内特徴111bの表面116に当接する。すなわち、第2の案内特徴111bと最後のディスク167との間に間隙169が存在しない。
【0097】
ここで、図8を参照すると、シャフト部分170の第6の実施形態が示されている。シャフト部分170は、前述のシャフト部分150の実施形態と概ね同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。更に、シャフト部分150の特徴及び構成要素と同じであるシャフト部分170の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号を保持する。シャフト部分170の第6の実施形態とシャフト部分140の第4の実施形態との間の主な違いは、少なくとも1つの径方向突出部に見出すことができる。
【0098】
図8に示すシャフト部分170は、ブラシ部分受容部171を含む。ブラシ部分受容部171は、コア部172を含む。コア部172は、案内特徴111a、111b間でブラシ部分受容部171の長さに沿って長手方向に延在する。
【0099】
本実施形態では、ブラシ部分受容部171は、少なくとも1つの円形ディスク177の形態の少なくとも1つの径方向突出部173を更に含む。少なくとも1つの円形ディスク177は、シャフト部分170の長手方向軸に対して垂直に延在する。図8のシャフト部分170は、5つの円形ディスクを含み、これらは、それぞれブラシ部分受容部171に沿って長手方向に同じ距離だけ延在する。
【0100】
本実施形態では、円形ディスク177の自由端174は、案内特徴111の表面116の半径よりも更に離れて径方向に位置する。したがって、円形ディスク177の円周面174は、案内特徴111の表面116の円周よりもシャフト部分170の中心線から離れている。
【0101】
円形ディスク177の各々は、コア部172と円周面174との間に延在する第1及び第2の面175、176も含む。本実施形態では、前述したシャフト部分150、160のように円周面174が円筒面で形成されるのではなく、円周面174が丸みを帯びている。すなわち、第1の面175の径方向外側端部を第2の面176の径方向外側端部に接合する円周面174は、略ドーム形状である。鋭利な縁部の除去は、使用中のブラシ部分103の摩耗を低減する。
【0102】
第1の面175及び第2の面176並びにドーム状円周面174は、ブラシ部分103がシャフト部分170に取り付けられたときにブラシ部分103に当接するように構成される。本実施形態では、第1の面175及び第2の面176は、互いに平行であるが互いから離間され、案内特徴111の表面116に平行である平面内に延在する。第1及び第2の面175、176は、シャフト部分170の長手方向軸Aに対して垂直に延在する。
【0103】
隣接する円形ディスク177の第1及び第2の面175、176は、互いに面する。したがって、1つのディスク177の第1の面175は、間隙179の1つにより、隣接するディスク177の第2の面176から分離され得る。同様に、1つのディスクの第2の面176は、間隙179の1つにより、隣接するディスク177の第1の面175から分離され得る。
【0104】
第1及び第2の面175、176は、略環状の断面を有する。本実施形態では、第1のディスク177の第1の面175は、第1の案内特徴111aの表面116から離間され、最後のディスク177の第2の面176は、第2の案内特徴111bの表面116から離間される。
【0105】
ここで、図9を参照すると、シャフト部分180の第7の実施形態が示されている。シャフト部分180は、前述のシャフト部分180の実施形態と概ね同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。更に、シャフト部分170の特徴及び構成要素と同じであるシャフト部分180の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号を保持する。シャフト部分180の第7の実施形態とシャフト部分170の第6の実施形態との間の主な違いは、少なくとも1つの径方向突出部に見出すことができる。
【0106】
図9に示すシャフト部分180は、ブラシ部分受容部181を含む。ブラシ部分受容部181は、コア部182を含む。コア部182は、案内特徴111a、111b間でブラシ部分受容部181の長さに沿って長手方向に延在する。
【0107】
本実施形態では、ブラシ部分受容部181は、少なくとも1つの円形ディスク187の形態の少なくとも1つの径方向突出部183を更に含む。少なくとも1つの円形ディスク187は、シャフト部分180の長手方向軸に対して垂直に延在する。図9のシャフト部分は、5つの円形ディスクを含み、これらは、それぞれブラシ部分受容部181に沿って長手方向に同じ距離だけ延在する。
【0108】
本実施形態では、円形ディスク187の自由端184は、径方向において案内特徴111の表面116の半径よりも遠くに位置する。したがって、円形ディスク187の円周面184は、案内特徴111の表面116の円周よりもシャフト部分180の中心線から離れている。シャフト部分180の円周面184は、図10に示す実施形態に関連して前述したように、ドーム状である。
【0109】
加えて、第1のディスク187の第1の面185は、第1の案内特徴111aの表面116に当接する。すなわち、第1の案内特徴111aと第1のディスク187との間に間隙189が存在しない。最後のディスク187の第2の面186は、第2の案内特徴111bの表面116に当接する。すなわち、第2の案内特徴111bと最後のディスク187との間に間隙189が存在しない。
【0110】
ここで、図10を参照すると、シャフト部分190の第8の実施形態が示されている。シャフト部分190は、前述のシャフト部分の実施形態とほぼ同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。更に、シャフト部分190の特徴及び構成要素と同じであるシャフト部分190の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号を保持する。シャフト部分190の第8の実施形態と前述のシャフト部分の他の実施形態との間の主な違いは、少なくとも1つの径方向突出部に見出すことができる。
【0111】
図10に示すシャフト部分190は、ブラシ部分受容部191を含む。ブラシ部分受容部191は、コア部192を含む。コア部192は、案内特徴111a、111b間でブラシ部分受容部191の長さに沿って長手方向に延在する。
【0112】
本実施形態では、ブラシ部分受容部191は、少なくとも1つの円形ディスク197の形態の少なくとも1つの径方向突出部193を更に含む。少なくとも1つの円形ディスク197は、シャフト部分190の長手方向軸に対して垂直に延在する。図10のシャフト部分は、5つの円形ディスクを含み、これらは、それぞれブラシ部分受容部191に沿って長手方向に同じ距離だけ延在する。
【0113】
本実施形態では、円形ディスク187の各々の自由端184は、径方向において、案内特徴111の表面116の半径よりも遠くに位置する。しかしながら、本実施形態では、最初及び最後の円形ディスク197、すなわち案内特徴111a、111bに最も近いディスク197は、図8に関連して説明される円周面に類似する、ドーム状円周面194を有する。残りのディスク197、すなわち最初及び最後のディスク197間に位置するディスク197は、図6に関連して説明した円周面と同様の円筒形の円周面194を含む。
【0114】
複数の円形ディスク197の少なくとも1つの半径は、複数の円形ディスク197の少なくとも別の1つの半径と異なり得る。例えば、図10に示すように、最初と最後の円形ディスク197は、残りの円形ディスク197よりも小さい半径を有する。異なる半径のディスク197が図10にのみ示されているが、本明細書に記載された任意の実施形態は、異なるサイズの半径を有する円形ディスク197を更に含み得ることが理解されるであろう。
【0115】
更に、径方向突出部193の少なくとも1つ、例えば円形ディスク197は、切欠き部201を更に含み得る。切欠き部201は、ブラシ部分103がシャフト部分190上に位置するときにブラシ部分103の一部を受容するように構成される。切欠き部201は、ブラシ部分103が貫通するシャフト部分190にアンカーポイントを設けることにより、シャフト部分190に対するブラシ部分103の回転を防止するように構成される。
【0116】
切欠き201は、少なくとも1つの突出部193の自由端194から延在する凹部によって形成される。この場合、凹部は、少なくとも1つの円形ディスク197の円周面194から延在する。凹部は、自由端又は円周面194からコア部192に向かって径方向内側に延在する。したがって、切欠きは、径方向に延在する第1及び第2の側壁202、203を含む。第1及び第2の側壁202は、切欠き201の底壁204によって接合され得る。底壁204は、曲面平面で形成され得る。
【0117】
代替的な実施形態では、第1及び第2の側壁202、203は、径方向に延在しなくてもよく、代わりに平行に延在するが、相互から離間し得ることを理解されたい。しかしながら、かかる実施形態では、切欠き201の中心線は、依然として、シャフト部分190の長手方向軸に向かって略径方向に延在し得る。
【0118】
ここで、図11を参照すると、シャフト部分210の第9の実施形態が示されている。シャフト部分210は、前述のシャフト部分150の実施形態と概ね同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。更に、シャフト部分150の特徴及び構成要素と同じであるシャフト部分150の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号を保持する。シャフト部分210の第9の実施形態とシャフト部分の前の実施形態との間の主な違いは、少なくとも1つの径方向の突出部に見出すことができる。
【0119】
図11に示すシャフト部分210は、ブラシ部分受容部211を含む。ブラシ部分受容部211は、コア部212を含む。コア部212は、案内特徴111a、111b間でブラシ部分受容部211の長さに沿って長手方向に延在する。
【0120】
本実施形態では、ブラシ部分受容部211は、少なくとも1つの円形ディスク217の形態の少なくとも1つの径方向突出部213を更に含む。少なくとも1つの円形ディスク217は、シャフト部分210の長手方向軸に対して垂直に延在する。図11のシャフト部分は、3つの円形ディスクを含む。
【0121】
3つの円形ディスク217の各々は、シャフト部分210の長手方向軸Aに沿って互いに離間される。すなわち、複数のディスク217の各々は、間隙218によって互いに離間される。本実施形態では、中間の円形ディスク217は、最初及び最後の円形ディスク217が長手方向に延在する距離と異なる距離だけブラシ部分受容部211に沿って長手方向に延在する。図11に示すように、中間の円形ディスク217は、最初と最後の円形ディスク217よりも長手方向に延在する。
【0122】
円形ディスク217は、自由端214を含む。円形ディスク217の自由端214は、その円周面によって形成される。少なくとも1つの円形ディスク217の円周面214は、シャフト部分210の中心線から、案内特徴111の表面116の半径よりも小さい距離に位置する。したがって、本実施形態では、案内特徴111の表面116の円周は、円形ディスク217の円周面214を越えて延在する。
【0123】
更に、少なくとも1つの径方向突出部213は、ピン225を含み得る。ピン225は、コア部212から径方向に延在し得る。代替的に、図11に示すように、ピン225は、円形ディスク217の少なくとも1つの円周面214から径方向に延在し得る。本実施形態では、ピン225は、シャフト部分210の長手方向軸Aに対して垂直に延在する中心軸を有する略円筒形である。代替的な実施形態では、ピン225は、別の形状であり得る。ピンは、その自由端226が案内特徴111の表面116の円周を越えて延在しないように延在し得る。
【0124】
シャフト部分の実施形態に関連して前述の特徴及び構成要素は、例として与えられているにすぎず、説明した特徴は、図に示されない方法で組み合わされ得ることが理解されるであろう。
【0125】
再び図1及び図2を参照すると、ブラシ部分103の第1の実施形態が示されている。ブラシ部分103は、長手方向軸A’を有する。ブラシ部分の長手方向軸A’は、シャフト部分102の長手方向軸Aと同軸である。ブラシ部分103は、コア部231を含む。ブラシ部分103のコア部231は、案内特徴111間でシャフト部分102のブラシ部分受容部121にわたって長手方向に延在する。コア部231は、中央開口232を含む。デバイス100のシャフト部分102は、中央開口232を通して延在する。中央開口232は、内面233を含む。ブラシ103の内面233は、シャフト部分102のブラシ部分受容部121に当接するように構成される。
【0126】
ブラシ部分103は、シャフト部分102上にオーバーモールドされ得る。代替的に、ブラシ部分103及びシャフト部分102は、共成形され得る。したがって、ブラシ部分103の内面233は、図4図11に示す例で説明したように、いずれの構成要素がブラシ部分受容部121上に位置していても、案内特徴間のその長さに沿ってブラシ部分受容部121と接触し得る。すなわち、内面の全体は、前述のように、ブラシ部分受容部103及びあらゆる径方向突出部に当接し得る。
【0127】
コア部231は、略円筒形であり得、シャフト部分102のブラシ部分受容部121のコア部122の周囲に延在し得る。ブラシ部分103のコア部231は、ブラシ部分103がシャフト部分102に取り付けられたとき、シャフト部分102の長手方向軸Aから最も遠い方である、シャフト部分102の案内特徴111又はシャフト部分102のブラシ部分受容部121の径方向突出部133の自由端134の径方向内側にあるブラシ部分103の部分であると考えることができる。一部の実施形態では、コア部231は、少なくとも1つの開口を含み得る。少なくとも1つの開口は、シャフト部分の径方向突出部がそれを通して延在することを可能にするように構成され得る。
【0128】
ブラシ部分103は、少なくとも1つの径方向突出部234を更に含む。少なくとも1つの径方向突出部234は、ブラシ部分103のコア部232から延在する。すなわち、少なくとも1つの径方向突出部234は、シャフト部分102の長手方向軸Aに対して垂直な方向にコア部231から径方向に突出する。加えて、少なくとも1つの径方向突出部234は、コア部231の少なくとも一部に沿って長手方向に延在する。
【0129】
本実施形態では、コア部231は、略円筒形であり得るが、代替的な実施形態では、コア部231は、例えば、限定されないが、多角柱、すなわちn角形の底面を含む多面体によって形成され得る。更なる代替的な実施形態では、コア部231は、以下でより詳細に説明されるように、径方向突出部間で接続される要素又は長手方向に延在する部材によって形成され得る。
【0130】
本実施形態では、少なくとも1つの径方向突出部234は、少なくとも1つの円形ディスク235によって形成される。少なくとも1つの円形ディスク235は、シャフト部分102の長手方向軸Aに対して垂直な方向に延在する。垂直に延在するディスク235は、使用中に薬剤送達デバイスのための管状要素の表面に接触するように構成される。ディスク235は、前述のように、使用中に弾性的に圧縮可能及び/又は弾性的に変形可能であるような寸法にすることができる。円形ディスク235は、異なる実施形態では、三角形又は正方形などの別の形状であり得ることが理解されるであろう。概して、ディスク235の形状は、潤滑される管状要素の内面に適合するように構成される。円形ディスク235の半径は、潤滑される管状要素の表面と締まり嵌めを形成するように構成される。
【0131】
図2に示すように、ブラシ部分は、円形ディスク235の形態の複数の径方向突出部234を含む。具体的には、ブラシ部分103の本実施形態は、9つの円形ディスク235を含む。円形ディスク235の各々は、長手方向軸A’に平行な方向にコア部231に沿って部分的に延在する。
【0132】
本実施形態では、円形ディスク235の各々は、コア部231に沿って長手方向に同じ距離だけ延在するが、代替的な実施形態では、少なくとも1つの円形ディスクの厚さは、ディスク235の別の1つの厚さと異なり得る。本実施形態では、円形ディスク235は、中実である。しかしながら、別の実施形態では、円形ディスク235は、中空であり得る。
【0133】
複数の円形ディスク235の各々は、ブラシ部分103の長手方向軸Aに沿って互いに離間される。すなわち、複数のディスク235の各々は、間隙236によって互いに離間される。間隙236は、使用中にディスク235が空間の中に屈曲することを可能にするように構成される。
【0134】
各円形ディスク235は、自由端237を含む。円形ディスク235の自由端237は、その円周面によって形成される。円形ディスク235の円周面237は、シャフト部分102の中心線からの距離が、シャフト部分の中心線から案内特徴111及びブラシ受容部分121の円周面までの距離よりも大きい位置に位置する。これは、シャフト部分102の代わりに、潤滑される薬剤送達デバイスのための管状要素の表面に接触するのがブラシ部分103であることを確実にする。
【0135】
円形ディスク235の各々は、ブラシ部分103のコア部231とその円周面237との間に延在する第1及び第2の面238、239も含む。円周面237は、図2に示されるように、概ねドーム形状である。本実施形態では、第1及び第2の面238、239は、互いに平行であるが、離間しており、ブラシ部分103の長手方向軸A’に対して垂直な平面内に延在する。代替的な実施形態では、第1及び第2の面238、239が延在する平面は、相互に対して角度付けられ得る。
【0136】
少なくとも1つの径方向突出部234は、少なくとも1つの接触ゾーン104を含む。少なくとも1つの接触ゾーン104は、ブラシ部分103のコア部231から遠位に位置する径方向突出部234の端部241に位置する。径方向突出部234の端部241は、円周面237によって形成され得る。少なくとも1つの接触ゾーン104は、少なくとも1つの接触点242を含む。少なくとも1つの接触点242は、ブラシ部分材料105内の潤滑剤106を表面に移送させるために、薬剤送達デバイスのための管状要素の表面に接触するように構成される。
【0137】
図2に示すように、接触ゾーン104は、単一の接触点242を含むことができる。接触点242は、シャフト部分102の長手方向軸Aに対して垂直な方向におけるブラシ部分103のコア部231からの径方向突出部234の最遠位部分又は先端243によって形成され得る。
【0138】
本実施形態では、径方向突出部234の接触点242は、ブラシ部分103の長手方向軸A’から種々の距離だけ離間される。例えば、ブラシ部分103の端部に最も近い、すなわち案内特徴に近位の径方向突出部234は、他の径方向突出部234よりも径方向に短くすることができる。すなわち、長手方向軸A’と最初及び最後の径方向突出部234の接触点242との間の距離は、長手方向軸A’と任意の他の径方向突出部234の接触点242との間の距離より短くてもよい。接触ゾーン104の接触点242によって形成される形状は、概ね卵形である。かかる配置は、薬剤送達デバイスが潤滑されるようにデバイス100を管状要素内に案内するのに役立ち、デバイス100を管状要素内に適切に配置して、ブラシ部分材料105から管状要素の内面への潤滑剤106の移送のための最適な接触を提供する。
【0139】
図21及び図22を簡単に参照すると、接触点242は、少なくとも1つのリップ244によって形成され得る。少なくとも1つのリップ244は、径方向突出部234の先端243に形成される。リップ244は、例えば、ドーム形状の突出部によって形成され得るが、これに限定されない。図21の径方向突出部234の実施形態は、単一のリップ244を含む。リップ244は、径方向突出部234の端部243の中央に位置し得る。これは、デバイス100がいずれの方向に移動されても、リップ244が薬剤送達デバイスのための管状要素の表面に接触することを可能にする。
【0140】
図22に図示される代替的な実施形態では、径方向突出部234は、複数のリップ244を含み得る。本実施形態では、径方向突出部234は、径方向突出部234の中心線からオフセットされた2つのリップ244a、244bを含む。したがって、2つのリップ244a、244bの少なくとも1つは、使用中に薬剤送達デバイスのための管状要素の表面に接触する。例えば、第1のリップ244aは、デバイス100が一方向に移動されるとき、管状要素の表面に接触し得、第2のリップ244bは、デバイス100が反対方向に移動されるとき、管状要素の表面に接触し得る。
【0141】
例えば、長手方向に隣接する径方向突出部234間の距離は、約1.8mm~約2.2mmの範囲であり得、更に、少なくとも1つの径方向突出部234は、約9~約17の範囲のアスペクト比を有し得る。少なくとも1つの径方向突出部234のアスペクト比は、長手方向における径方向突出部234の厚さに対する、中心長手方向軸からの径方向における径方向突出部234の長さとの比であると考えられるべきである。
【0142】
ここで、図12を簡単に参照すると、ブラシ部分250の第2の実施形態が示されている。ブラシ部分250は、前述のブラシ部分103の実施形態とほぼ同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。更に、ブラシ部分103の特徴及び構成要素と同じであるブラシ部分250の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号を保持する。
【0143】
図12は、図4に示したものと同様のシャフト部分130に取り付けられたブラシ部分250を示す。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分250は、ブラシ部分を異なるシャフト部分上に成形することにより、異なるシャフト部分上に位置し得ることが理解されるであろう。
【0144】
本実施形態では、ブラシ部分250は、十字形の断面を有するコア部251を含む。すなわち、ブラシ部分250のコア部251は、ブラシ部分受容部131の表面全体がブラシ部分250の内面253に当接するように、シャフト部分130の十字形状のブラシ部分受容部131の周囲に延在する。ブラシ部分250の十字形コア部251は、ブラシ部分をより剛性にして、ブラシ部分250と潤滑される表面との間の良好な接触を可能にするのにも役立つ。
【0145】
ブラシ部分250は、少なくとも1つの径方向突出部254を更に含む。本実施形態では、ブラシ部分250は、コア部251から延在する9つの円形ディスク255を含み、これらは、径方向突出部254を形成する。円形ディスク255の各々は、ドーム状表面によって形成された円周面257を含む。したがって、円形ディスク255の接触点262は、ドームの頂点265によって形成される。
【0146】
本実施形態では、円形ディスク255の少なくとも1つは、ブラシ部分250の長手方向軸A’から他の円形ディスク255の少なくとも1つまで異なる距離で延在する。したがって、異なるアスペクト比を有する少なくとも2つの円形ディスク255があり得る。ブラシ部分103の端部にない円形ディスク255は、同じアスペクト比を有し得る。
【0147】
ここで、図13を簡単に参照すると、ブラシ部分270の第3の実施形態が示されている。ブラシ部分270は、前述のブラシ部分250の実施形態とほぼ同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。更に、ブラシ部分250の特徴及び構成要素と同じであるブラシ部分270の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号を保持する。
【0148】
図13は、図5に示したものと同様のシャフト部分140に取り付けられたブラシ部分270を示す。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分270は、ブラシ部分を異なるシャフト部分上に成形することにより、異なるシャフト部分上に位置し得ることが理解されるであろう。
【0149】
本実施形態では、ブラシ部分270は、十字形の断面を有するコア部271を含む。すなわち、ブラシ部分270のコア部271は、ブラシ部分受容部11の表面全体がブラシ部分270の内面273に当接するように、シャフト部分140の十字形状のブラシ部分受容部141の周囲に延在する。ブラシ部分270の十字形コア部271は、ブラシ部分をより剛性にして、ブラシ部分270と潤滑される表面との間の良好な接触を可能にするのにも役立つ。
【0150】
ブラシ部分270は、少なくとも1つの径方向突出部274を更に含む。本実施形態では、ブラシ部分270は、コア部271から延在する9つの円形ディスク275を含み、これらは、径方向突出部274を形成する。円形ディスク275の各々は、ドーム状表面によって形成された円周面277を含む。円周面277は、ドームの頂点285から突出するリップ284を更に含む。したがって、円形ディスク275の接触点282は、周方向に延在するリップ284によって形成される。
【0151】
本実施形態では、円形ディスク275の少なくとも1つは、ブラシ部分270の長手方向軸A’から異なる距離で延在する。ブラシ部分270の第3の実施形態の円形ディスクは、ブラシ部分250の第2の実施形態の円形ディスクよりも径方向に長い。
【0152】
ここで、図14を簡単に参照すると、ブラシ部分290の第4の実施形態が示されている。ブラシ部分290は、前述のブラシ部分103の実施形態とほぼ同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。更に、ブラシ部分103の特徴及び構成要素と同じであるブラシ部分290の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号を保持する。
【0153】
図14は、図6に示したものと同様のシャフト部分150に取り付けられたブラシ部分290を示す。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分290は、ブラシ部分を異なるシャフト部分上に成形することにより、異なるシャフト部分上に位置し得ることが理解されるであろう。
【0154】
本実施形態では、ブラシ部分290は、ブラシ部分受容部151の表面全体に当接する円筒状コア部291を含む。更に、ブラシ部分290は、単一の円形ディスク295を有し、これは、案内特徴111間のブラシ部分受容部151の長さに延在する。円形ディスク295の円周面297は、円筒面によって形成される。円筒状円周面297は、複数の接触点302を形成するように配置された10個のリップ304を含む。10個のリップ304は、5個のリップ304の第1のグループがブラシ部分290の一方の端部に近接して位置し、5個のリップ304の第2のグループがブラシ部分290の他方の端部に近接して位置するように位置する。ブラシ部分290の端部に最も近いリップ304の少なくとも1つは、リップ304の別の1つよりもシャフト部分150の長手方向軸Aに近い接触点302を有する。本実施形態では、第1及び第2のグループのリップ304は、距離dだけ分離される。しかしながら、他の実施形態では、代替の配置が想定されることが理解されるであろう。
【0155】
ここで、図15を簡単に参照すると、ブラシ部分310の第5の実施形態が示されている。ブラシ部分310は、前述のブラシ部分103の実施形態とほぼ同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。更に、ブラシ部分103の特徴及び構成要素と同じであるブラシ部分310の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号を保持する。
【0156】
図15は、図8に示したものと同様のシャフト部分170に取り付けられたブラシ部分310を示す。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分310は、ブラシ部分を異なるシャフト部分上に成形することにより、異なるシャフト部分上に位置し得ることが理解されるであろう。
【0157】
ブラシ部分310は、シャフト部分170のブラシ部分受容部171にわたって長手方向に延在するコア部311を含む。コア部311は、シャフト部分170のディスク313がそれを通して延在することを可能にするように構成された複数の開口をその中に含む。このように、コア部311は、複数の円筒状部品311aによって形成される。コア部311の円筒状部品311aは、シャフト部分170のブラシ部分受容部171のコア部172に当接する内面313を有する。コア部311の部分は、シャフト部分のディスク173上に延在する円形ディスク315によって互いに接合される。したがって、本実施形態では、コア部311は、連続していない。しかしながら、ブラシ部分310の内面313は、依然としてシャフト部分170のブラシ部分受容部171の表面全体に接触する。
【0158】
本実施形態では、ブラシ部分310は、シャフト部分170のディスク177上にそれぞれ延在する5つの円形ディスク315を含む。複数の円形ディスク315の各々は、ブラシ部分310の長手方向軸Aに沿って互いに離間される。各円形ディスク315は、自由端317を含む。円形ディスク315の自由端317は、その円周面によって形成される。円形ディスク315の各々は、ブラシ部分310のコア部311とその円周面317との間に延在する第1及び第2の面318、319も含む。円周面317は、略ドーム形状であり、ドームの頂点325は、接触点322を形成する。ブラシ部分310の端部に最も近いディスク315の少なくとも1つは、接触点322の別の1つよりもシャフト部分170の長手方向軸Aに近い接触点322を有する。
【0159】
ここで、図16を簡単に参照すると、ブラシ部分330の第6の実施形態が示されている。ブラシ部分330は、前述のブラシ部分310の実施形態とほぼ同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。更に、ブラシ部分310の特徴及び構成要素と同じであるブラシ部分330の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号を保持する。
【0160】
図16は、図7に示したものと同様のシャフト部分160に取り付けられたブラシ部分330を示す。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分330は、ブラシ部分を異なるシャフト部分上に成形することにより、異なるシャフト部分上に位置し得ることが理解されるであろう。
【0161】
本実施形態では、コア部331は、シャフト部分160のブラシ部分受容部161のコア部162を包囲して接触する円筒状部品によって形成されない。その代わりに、本実施形態では、コア部は、隣接する円形ディスク335間で長手方向に延在する複数の径方向突出要素331bで形成される。すなわち、要素331aは、1つの円形ディスク335の第1の面338から隣接する円形ディスク335の第2の面339まで延在する。本実施形態では、4つの径方向要素331aは、隣接する円形ディスク335の各対間に延在する。径方向要素331aは、ブラシ部分330の長手方向軸A’の周りに均等に離間される。
【0162】
ここで、図17を簡単に参照すると、ブラシ部分350の第7の実施形態が示されている。ブラシ部分350は、前述のブラシ部分290の実施形態とほぼ同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。更に、ブラシ部分290の特徴及び構成要素と同じであるブラシ部分350の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号を保持する。
【0163】
図17は、図9に示したものと同様のシャフト部分180に取り付けられたブラシ部分350を示す。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分350は、ブラシ部分を異なるシャフト部分上に成形することにより、異なるシャフト部分上に位置し得ることが理解されるであろう。
【0164】
本実施形態では、ブラシ部分350は、ブラシ部分受容部181の表面全体に当接する円筒状コア部351を含む。更に、ブラシ部分350は、単一の円形ディスク355を有し、これは、案内特徴111間のブラシ部分受容部181の長さに延在する。円形ディスク355の周面357は、円筒面によって形成される。
【0165】
円筒状円周面357は、複数の接触点362を形成するように配置された10個のリップ364を含む。10個のリップ364は、リップ364が、突出部183の第1及び第2の面185、186が延在する平面に隣接する点で周方向に延在するように配置される。そのため、シャフト部分180の隣り合う2つの突出部183間の距離において、2つのリップ364が周方向に延在する。ブラシ部分350の端部に最も近いリップ364の少なくとも1つは、リップ364の別の1つよりもシャフト部分180の長手方向軸Aに近い接触点362を有する。
【0166】
ここで、図18を簡単に参照すると、ブラシ部分370の第8の実施形態が示されている。ブラシ部分370は、前述のブラシ部分103の実施形態とほぼ同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。更に、ブラシ部分103の特徴及び構成要素と同じであるブラシ部分370の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号を保持する。
【0167】
図18は、図10に示したものと同様のシャフト部分190に取り付けられたブラシ部分370を示す。しかしながら、他の実施形態では、ブラシ部分370は、ブラシ部分を異なるシャフト部分上に成形することにより、異なるシャフト部分上に位置し得ることが理解されるであろう。
【0168】
本実施形態では、ブラシ部分370は、長手方向に延在する要素371cによって接合された複数の円筒状部品371aによって形成されたコア部371を含む。長手方向に延在する要素371cは、シャフト部分190の径方向突出部193の切欠き部201を通して延在する。
【0169】
円形ディスク375は、コア部371の部品371aの各々から延在する。円形ディスク375の各々は、ブラシ部分370の複数の接触点384を形成する2つの周方向に延在するリップ384を含む。図18に示す実施形態は、4つの円形ディスク375及び8つの接触点382を有する。ブラシ部分370の長手方向端部における円形ディスク375は、前の実施形態に関連して前述のように、より中央の円形ディスクよりも小さい半径を有し得る。加えて、ブラシ部分370の端部に最も近いリップ384の少なくとも1つは、リップ304の別の1つよりもシャフト部分150の長手方向軸Aに近い接触点382を有する。
【0170】
ここで、図19Aを参照すると、デバイス400の実施形態が示されている。デバイス400は、図7に示されるシャフト部分210を含む。デバイス400は、ブラシ部分410の第9の実施形態を更に含む。ブラシ部分410は、前述のブラシ部分103の実施形態とほぼ同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。更に、ブラシ部分103の特徴及び構成要素と同じであるブラシ部分410の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号を保持する。
【0171】
ブラシ部分410は、長手方向軸A’を有する。ブラシ部分410の長手方向軸A’は、シャフト部分210の長手方向軸Aと同軸である。ブラシ部分410は、コア部411を含む。ブラシ部分410のコア部411は、案内特徴111間でシャフト部分210のブラシ部分受容部211にわたって長手方向に延在する。コア部411は、図19Bに示す断面図に最もよく示される中央開口412を含む。デバイス400のシャフト部分210は、中央開口412を通して延在する。中央開口412は、内面413を含む。ブラシ部分410の内面413は、シャフト部分210のブラシ部分受容部211に当接するように構成される。内面413の全体は、外側表面ブラシ部分受容部211及び径方向突出部213、225に当接する。ブラシ部分410のコア部411は、略円筒状であり、シャフト部分210のブラシ部分受容部211のコア部212の周囲に延在する。
【0172】
ブラシ部分410は、少なくとも1つの径方向突出部414を更に含む。少なくとも1つの径方向突出部414は、ブラシ部分410のコア部412から延在する。すなわち、少なくとも1つの径方向突出部414は、シャフト部分210の長手方向軸Aに対して垂直な方向にコア部411から径方向に突出する。加えて、少なくとも1つの径方向突出部414は、コア部411の少なくとも一部に沿って長手方向に延在する。
【0173】
本実施形態では、少なくとも1つの径方向突出部414は、少なくとも1つの螺旋形状415によって形成される。螺旋形状415は、ブラシ部分410のコア部412から径方向に延在する。螺旋形状415は、螺旋形状の突出部414によって形成される。すなわち、螺旋形状は、ブラシ部分410のコア部412の周りに螺旋状になっており、コア部412の周りに周方向に延在すると、長手方向にも延在するようになっている。したがって、螺旋形状の点が延在する平面は、ブラシ部分410の長手方向軸A’に対して鋭角である。
【0174】
螺旋形状415は、使用中に薬剤送達デバイスのための管状要素の表面に接触して表面を潤滑するように構成される。螺旋形状415は、前述のように、使用中に弾性的に圧縮可能及び/又は弾性的に変形可能であるような寸法にすることができる。概して、螺旋形状415の形状は、潤滑される管状要素の内面に合致するように構成されるであろう。概して、螺旋形状415の半径は、潤滑される管状要素の表面と締まり嵌めを形成するように構成される。
【0175】
本実施形態では、螺旋形状415の厚さ、すなわちブラシ部分410の長手方向軸A’に平行な方向の寸法は、一定である。しかしながら、代替的な実施形態では、螺旋形状415の厚さは、ブラシ部分140の長手方向軸A’に沿って変化し得る。
【0176】
螺旋形状415は、複数の回転を含む。1回転は、ブラシ部分410の長手方向軸A’の周りを完全に1回転して延在する螺旋形状415の一部として定義することができる。本実施形態では、螺旋形状は、8回の完全な回転と、合計で8.5回の回転とを含む。しかしながら、代替的な実施形態では、螺旋形状415は、任意の数の完全及び/又は部分的回転を含み得る。側面から見ると、螺旋形状415は、7つの螺旋、すなわち管状要素を通したデバイスの移動中、表面に接触し、潤滑するように構成される、中心軸から最も遠い活性接触点を含み得る。
【0177】
本実施形態では、螺旋形状415は自由端417を含む。螺旋形状415の自由端417は、その円周面によって形成される。螺旋形状415の円周面417は、ブラシ部分410の中心線からの距離が、シャフト部分210の中心線から案内特徴111及びブラシ部分受容部211の円周面までの距離よりも長くなるように位置する。これは、シャフト部分210の代わりに、潤滑される管状要素の表面に接触するのがブラシ部分410であることを確実にする。
【0178】
少なくとも1つの螺旋形状415は、少なくとも1つの接触ゾーン104を含む。少なくとも1つの接触ゾーン104は、ブラシ部分410のコア部511から遠位に位置する螺旋形状415の端部421に位置する。螺旋形状415の端部421は、円周面417によって形成され得る。少なくとも1つの接触ゾーン104は、少なくとも1つの接触点422を含む。少なくとも1つの接触点422は、管状要素の表面に接触して、ブラシ部分材料105内の潤滑剤106を表面に移送させるように構成される。接触点422は、小さい断面積を有する点であり得るか、又は円周面の大部分などのより大きい面積を有する点であり得る。
【0179】
本実施形態では、螺旋形状は、単一の連続した接触面を提供する。本実施形態では、単一の連続した接触面は、螺旋形状415の自由端上の円周面417によって形成される。更に、ブラシ部分は、単一の螺旋形状のみを含む。
【0180】
したがって、本実施形態では、単一の螺旋形状によって形成されるブラシ部分の単一の連続接触面のみが存在する。この単一の剛性接触面は、管状要素の表面上の潤滑剤堆積物の改善された均一性を提供するものである。単一の連続的な接触面は、屈曲に対してより抵抗することができ、したがって、薬剤送達デバイスのための管状要素の内面とのより一貫した接触をもたらす。したがって、本実施形態では、螺旋形状は、その外径において螺旋形状の自由端によって形成される単一の連続接触ゾーンも含む。更に、本実施形態では、螺旋形状は、単一の連続した接触点も含む。
【0181】
この実施形態では、接触表面、ゾーン又は点が言及されるとき、表面、ゾーン又は点の各々は、長手方向A’の所与の点に関して論じられる。単一の表面、ゾーン又は点は、長手方向の各所与の距離に存在し、各表面、ゾーン又は点が、長手方向に沿った他の点の各々における表面、ゾーン又は点と組み合わされると、ブラシ部分に沿って延在する単一の連続的な表面、ゾーン又は点が形成されることが理解されるであろう。
【0182】
図19A及び図19Cに示すように、接触ゾーン104は、長手方向A’の所与の点に単一の接触点422を含むことができる。接触点422は、シャフト部分210の長手方向軸Aに対して垂直な方向におけるブラシ部分410のコア部411からの長手方向A’における任意の所与の点において、螺旋形状415の最遠位部分又は先端423によって形成され得る。
【0183】
本実施形態では、少なくとも1つの螺旋形状415の接触点422は、接触点の位置に応じて変化する距離だけブラシ部分210の長手方向軸A’から離間される。すなわち、接触点422によって形成される螺旋形状の外径は、テーパ状である。本実施形態では、ブラシ部分の長手方向両端部において、螺旋形状の外径がテーパ状に形成される。螺旋形状の外径は、螺旋形状の外径がブラシ部分の長手方向端部で減少するようにテーパ状である。例えば、ブラシ部分410の端部に最も近い、すなわち案内特徴111に近位の螺旋部分415の回転は、螺旋形状415の他の回転よりも径方向に短くてもよい。すなわち、長手方向軸A’と螺旋形状415の第1の回転及び最後の回転の接触点422との間の距離は、長手方向軸A’と螺旋形状415の他の回転の接触点412との間の距離よりも短くてもよい。本質的に、ブラシ部分410の端部にある少なくとも1つの接触ゾーン104は、長手方向にブラシ部分410の端部から離間した少なくとも1つの接触ゾーンよりもシャフト部分210の長手方向軸Aに近い。
【0184】
図19A及び図19Cに示されるように、螺旋形状415の回転の1つの半径の1つは、螺旋形状415が長手方向軸A’の周りに長手方向軸A’に沿って巻かれるにつれて増加する。すなわち、螺旋形状415は、コア部412に等しい半径で始まり、螺旋形状415の他の回転に等しい半径を有する半回転を完了したときまでに始まる。上述の実施形態のいずれにおいても、径方向突出部の残りの部分よりも短い径方向突出部234のこの部分は、導入面取り部と称され得る。
【0185】
かかる配置は、デバイス400を潤滑される管状要素内に案内するのを助け、デバイス400を管状要素内に適切に配置して、ブラシ部分材料105から管状要素の内面への潤滑剤106の移送のための最適な接触を提供する。
【0186】
しかしながら、代替的な実施形態では、少なくとも1つの螺旋形状415の接触点422は、長手方向軸A’に沿った各点において同じ距離だけブラシ部分410の長手方向軸A’から離間され得ることが理解されるであろう。
【0187】
本実施形態では、螺旋形状415のピッチは一定である。すなわち、螺旋形状415の長手方向における1回転の開始と終了との間の距離は、螺旋形状415の各回転について同じである。しかしながら、代替的な実施形態では、螺旋形状415のピッチは、長手方向に変動し得ることを理解されたい。
【0188】
ここで、図20を簡単に参照すると、ブラシ部分430の第10の実施形態が示されている。ブラシ部分430は、前述のブラシ部分410の実施形態とほぼ同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。更に、ブラシ部分410の特徴及び構成要素と同じであるブラシ部分430の特徴及び構成要素は、同じ用語及び参照番号を保持する。
【0189】
ブラシ部分430の第10の実施形態とブラシ部分410の第9の実施形態との間の主な違いは、ブラシ部分の第10の実施形態が複数の螺旋形状を含むことである。より具体的には、本実施形態では、ブラシ部分430は、2つの螺旋形状を含む。
【0190】
次に、図23A図23Cを参照して、デバイス100の動作を説明する。図23Aは、デバイス100及び管状要素500を断面で示す。管状要素500は、略円筒形である。管状要素500は、第1のセクション501、第2のセクション502及び第3のセクション503を含む。第1、第2及び第3のセクション501、502、503は、一体的に形成される。第1のセクション501、第2のセクション502及び第3のセクション503は、全て同軸に延在する。
【0191】
本方法は、デバイス100の第1の実施形態の動作に関連して説明されるが、本方法は、前述のような、本発明の範囲内のシャフト部分及びブラシ部分から形成される任意のデバイスに対して本質的に同じであることが理解されるであろう。
【0192】
第1のセクション501は、開放端506及び対向する端壁507を含む第1の中空円筒505によって形成される。第1の中空円筒505は、開口509を画定する内面508を含む。反対側の端壁507は、環状であり、中央孔510を含む。
【0193】
第2のセクション502は、第1の開放端512及び第2の開放端513を含む第2の中空円筒511によって形成される。第2の中空円筒511は、開口515を画定する内面514を含む。第2の中空円筒511の開口515の半径は、第1の中空円筒505の開口509の半径よりも小さい。しかしながら、第2の中空円筒511の開口515の半径は、第1のセクション501の中央孔510の半径に等しい。第2の中空円筒511は、第1のセクション501の端壁507から延在する。
【0194】
第3のセクション503は、第1の開放端517及び第2の開放端518を含む第3の中空円筒516によって形成される。第3の中空円筒516は、開口520を画定する内面519を含む。第3の中空円筒516は、第2のセクション502の開放端513から延在する。しかしながら、第3の中空円筒516の開口520の半径は、第2の中空円筒511の開口515の半径よりも大きい。したがって、第2のセクション502と第3のセクション503との間にステップ521が形成される。加えて、第3の中空円筒516の開口520の半径は、第1の中空円筒505の開口509の半径よりも小さい。
【0195】
本実施形態では、管状要素500の内面514は、潤滑される表面である。内面514は、長手方向に約30mmの長さを有し得るが、内面514の長さは、異なり得ることが理解されるであろう。管状要素500の内面514によって画定される円周は、約12.5mmの直径を有し得る。
【0196】
管状要素500の表面514を潤滑する方法は、管状要素500に対してデバイス100を移動させるステップを含む。デバイス100は、図23Aに示されるように、シャフト部分102の長手方向軸Aが管状要素500の中心長手方向軸A’’と位置合わせされるような位置に移動される。一部の実施形態では、シャフト部分102の案内特徴111aは、デバイスを管状要素500と位置合わせさせるように、ロボット(図示せず)などのツールによって把持、移動及び保持され得る。
【0197】
本方法は、管状要素500をデバイス100のブラシ部分103と接触させることを更に含む。図23Aに示されるように、デバイス100は、シャフト部分102の案内特徴111の軸部分114が管状要素500の内面514によって画定される開口515の中に延在するように、管状要素500の長手方向軸A’’に沿って移動される。デバイス100は、シャフト部分102の案内特徴111の円錐部117が管状要素500の開口515に進入するように、管状要素500の中へ更に移動される。
【0198】
次いで、デバイス100は、デバイス101のブラシ部分103が管状要素500に入るまで、長手方向に移動される。本実施形態では、管状要素の第1のセクション501の開口509の直径は、ブラシ部分103の少なくとも1つの径方向突出部234の半径よりも大きい。したがって、デバイス100は、ブラシ部分103の第1の径方向突出部234が管状要素500の第2のセクション502の開口515に入るまで、管状要素500内に更に移動される。
【0199】
管状要素500の第2のセクション502の開口515の円周は、デバイスのブラシ部分103の第1の径方向突出部234の直径よりも小さいため、第1の径方向突出部234の接触点242は、管状要素500の内面514に接触する。
【0200】
ブラシ部分103を形成するブラシ部分材料105は、管状要素500によって印加される圧縮力の下で弾性的に変形し得る。したがって、第1の径方向突出部234は、管状要素500のより小さい直径の結果として径方向に圧縮され得、且つ/又は接触点242と管状要素500の内面514との間の摩擦に起因して移動の方向とは反対の方向に弾性的に屈曲され得る。
【0201】
本方法は、デバイス100のブラシ部分103から潤滑剤106を放出することを更に含む。潤滑剤106は、管状要素500の内面514との接触を通してブラシ部分材料105から放出される。ブラシ部分材料105に結合されない潤滑剤106の分子は、孔107から内面514上に自由に移動する。これは、部分的には、ブラシ部分材料105内と管状要素500の内面514上との潤滑剤106の濃度の差のためである。このため、ブラシ部分103の接触点242から潤滑剤106が滲出して放出される。
【0202】
潤滑剤106は、管状要素500の内面514による径方向突出部234の変形によって放出され得る。したがって、径方向突出部234が変形されると、潤滑剤106は、ブラシ部分材料105のマトリックスからブラシ部分103の表面に、より具体的には接触点242に向かって押し出され得る。
【0203】
本方法は、管状要素500の表面上に潤滑剤106を堆積させるステップを更に含む。したがって、潤滑剤106の分子が径方向突出部234の接触点242から滲出するにつれて、内面514に対するデバイス100の相対的移動は、管状要素500の内面514上の潤滑剤106を移送させる。すなわち、管状要素500の内面514上への潤滑剤106の堆積は、管状要素500の内面514に及ぼされる累積径方向力及び摩擦に関連付けられる軸力によって駆動される。単一の径方向突出部234によって受ける最大径方向力は、25N~60Nの範囲であり得る。例えば、単一の径方向突出部234によって受ける最大径方向力は、第1のサイクルにおいて35N~60Nの範囲又は50N~60Nの範囲であり得る。例えば、単一の径方向突出部234が受ける最小径方向力は、第1のサイクルにおいて20N~40Nの範囲又は20N~35Nの範囲であり得る。これらの範囲は、ブラシ部分103の導入面取り部の一部を形成する径方向突出部に適用されない。
【0204】
デバイス500が管状要素500を通して更に移動されるにつれて、ブラシ部分103の後続の径方向突出部234の各々は、管状要素500の内面514に接触する。管状要素500の内面514に対するブラシ部分103の後続の径方向突出部234の移動に対抗する摩擦力は、前の径方向突出部234によって管状要素500の内面514上に堆積された潤滑剤106に起因して、前の径方向突出部234の場合よりも小さくてもよい。
【0205】
上述の方法は、径方向突出部234が管状要素500の内面514と接触するように移動されるにつれて、それらの各々に対して連続的に生じる。デバイス100は、図23Cに示されるように、径方向突出部234の各々が、長手方向に管状要素500の内面514の全体を横断して移動されるまで継続的に移動される。
【0206】
デバイス100は、約0.1m/秒~約1.6m/秒の速度で管状要素500を通して移動され得る。デバイス100の速度は、デバイス100が管状要素500に進入するにつれて、管状要素の内面514と接触する接触点242の数が増加するにつれて摩擦の増加に起因して減少し得、次いでデバイス100が管状要素500を離れるにつれて、管状要素500の内面514と接触する接触点242の数が減少するにつれて摩擦の減少に起因して増加し得る。
【0207】
図23A図23Cに示すように、デバイス100は、管状要素500の内面514と接触しながら、管状要素500の内面514に対して第1の方向、例えば図の左から右に移動され得る。次いで、ツール(図示せず)は、デバイス100が管状要素500を通過すると、デバイス100を収集し得る。ツールは、同じ管状要素500又は異なる管状要素500を通過するように、デバイス100を図23Aに示される元の開始位置に戻り得る。
【0208】
代替的に、デバイスは、管状要素500を通して第1の方向に移動された後、管状要素500の内面514と接触しながら、管状要素500の内面514に対して第2の方向、例えば図の右から左に更に移動され得る。
【0209】
一部の実施形態では、デバイス100が第2の方向に移動されるとき、デバイス100の配向は変化しないままである。したがって、デバイス100が第2の方向に移動されるとき、第1の方向における先頭の案内要素111aは、後続の案内特徴111aになる。これは、先頭の径方向突出部234の摩耗を低減するという利点を有し、デバイス100の寿命を延ばす。これにより、径方向突出部234にかかる軸力が低すぎて潤滑剤106を管状要素500の内面514に効果的に移送させることができなくなる前に、デバイス100が900サイクルまで実行することが可能になる。
【0210】
他の実施形態では、デバイス100が第2の方向に移動されるとき、デバイス100は、デバイスが第1の方向に移動されるときの先頭案内特徴111aが、デバイスが管状要素500を通して第2の方向に移動されるときの先頭案内特徴111aでもあるように、180°回転され得る。
【0211】
本方法は、ロボット(図示せず)などのツールを使用して、デバイス100を機械的に移動させることを含み得る。加えて又は代替的に、本方法は、それに印加される圧力差を使用して、管状要素500に対してデバイス100を移動させることを含み得る。例えば、少なくとも部分的真空が管状要素500の開口515内のデバイス100の正面に印加され得る。真空は、径方向突出部234が管状要素500の内面514に対してシールを効果的に形成し得るため、維持され得る。代替的に、正圧をデバイス100の背後に印加し得る。
【0212】
堆積させるステップは、約40nm~60nmの範囲の厚さである潤滑剤106の層を管状要素500の内面514上に堆積させることを含み得る。この場合、層の厚さは、管状要素500の内面514に対して垂直に、且つそこから測定される。
【0213】
図19A図19Cに関連して説明した上述の方法及びデバイスを使用して、本発明者らは、熱可塑性エラストマーによって形成され、各化合物の重量がブラシ部分410の総重量の約50%を占めるように潤滑剤を含浸させたブラシ部分410を使用すると、ブラシ部分材料のヤング率が2400MPa、潤滑剤のヤング率が40MPaであるブラシ部分410が得られることを見出した。かかるブラシ部分410は、0.08の範囲の中空管の内面との摩擦係数を有する。
【0214】
上述の例示的なデバイスは、13.1mmの外径を含み、デバイスを移動させるために必要とされる軸力を決定するために管状要素を通して移動された。管状要素は、12.49mm~12.57mmの範囲の12.52mmの公称直径を有した。記載された例において、1m/秒の一定速度でデバイスを移動させるのに必要な力は、パイプ直径が最大であったときの29.1Nからパイプ直径が最小であったときの31.6Nまでの範囲の30.6Nの公称値を有した。
【0215】
他の実験では、例示的な実施形態は、35Nの初期軸力が1m/秒で管状要素を通して移動されることを要求し、少なくとも25Nの軸力が900サイクル後に1m/秒で管状要素を通して移動されることを要求する、デバイスの設計条件を満たすことが見出された。したがって、デバイスと管状要素との間の摩擦推力に関連する軸力は、完全には消耗しない。その結果、適切な潤滑を提供するために、ブラシ部分と管状要素との間に依然として十分な接触があると仮定することができる。
【0216】
したがって、一部の実施形態では、中空管状要素を通してデバイスを移動させるために要求される軸力は、約30N又は約25N~約35Nの範囲であり得る。より具体的には、1m/秒で中空管状要素を通してデバイスを移動させるために要求される軸力は、第1のサイクルに対して約35N、900サイクルに対して約25Nであり得る。すなわち、一部の実施形態では、900サイクル後に中空管状要素を通してデバイスを移動させるために必要とされる軸力は、中空管状要素を通してデバイスを移動させるために最初に必要とされる軸力の約10N~15N以内である。
【0217】
上述の例示的なデバイスは、管状要素を通しても移動され、必要とされる累積径方向力の標的を満たすかどうかを判定した。本発明者らは、より小さい半径に起因してアクティブではない2つの少なくとも部分的な回転を伴う、アクティブである8つの回転を有する例示的なデバイスについて、螺旋形状のアクティブ部分によって受ける初期径方向力は、約54N又は50N~60Nの範囲であったことを見出した。
【0218】
合計で、デバイスの長手方向軸に平行に延在する線に沿って接触点が受ける目標累積径方向力は、およそ415Nであった。900サイクル後に受けるべき目標累積径方向力は、少なくともおよそ310Nであった。上述の例示的なデバイスは、900サイクル後におよそ370Nの累積径方向力を受ける。これは、主に、ブラシ部分の両端における回転の接触点が、管状部分に入る際に損傷を受けることによるものであった。一部の実験では、25N~40N程度のより小さい力が、ブラシ部分のいずれかの端部で回転の各々によって感じられたが、他の回転が受ける径方向の力は、最小限に変化する。
【0219】
したがって、一部の実施形態では、デバイスの螺旋形状の全半径回転上の単一接触点によって中空管状要素に印加される累積径方向力は、最初に、約55N又は約50N~約60Nの範囲であり得る。8回の全回転を伴う実施形態では、900サイクル後に印加される累積径方向力は、少なくとも約370Nであり得る。10回の全回転を伴う実施形態では、900サイクル後に印加される累積径方向力は、少なくとも約480Nであり得る。
【0220】
一部の実施形態では、900サイクル後に単一の螺旋形状を有するデバイスによって中空管状要素に印加される累積径方向力は、単一の螺旋形状を有するデバイスによって中空管状要素に印加される初期累積径方向力の約40N~50N以内である。すなわち、一部の実施形態では、900サイクル後に受ける力は、初期力よりも最大で50N小さい。
【0221】
図24を簡単に参照すると、管状要素500の表面514を潤滑する方法を実施するための装置600の実施形態が示されている。装置600は、回転可能なドラム601を含む。ドラム601は、ドラム601がその周りを回転可能である中心軸を有する。本実施形態では、ドラム601の中心軸は、略垂直に延在する。
【0222】
ドラム601は、第1のセクション602及び第2のセクション603を含む。第1のセクション602は、第2のセクション603よりも大きい直径を有する。ドラム601は、使用中に管状要素500を受容するように構成された管状要素受容部604を更に含む。管状要素受容部604は、ドラム601の第1のセクション602内に位置する。管状要素受容部604は、ドラム601の第1のセクション602の円周面605に概ね半円形の凹部を含む。管状要素514は、使用中、管状要素受容部604内に少なくとも部分的に受容される。ドラム601の第1のセクション602は、ドラム601の第1のセクション602の周りに周方向に離間された複数の管状要素受容部604を含み得る。
【0223】
装置600は、案内レール606を更に含み得る。案内レール606は、ドラム601の第1のセクション602の円周の少なくとも一部の周りに周方向に延在する。案内レール606は、管状要素500を管状要素受容部604内に保持するのを助けるように構成される。一部の実施形態では、案内レール606は、管状要素がドラム601の円周の周囲を移動されるにつれて、管状要素を回転させるために十分な力で管状要素500に接触し得る。これは、デバイス400と管状要素500との間の相対的回転を引き起こし、管状要素500の内部表面を潤滑することに役立つ。
【0224】
装置600は、デバイスマニピュレータ607を更に含む。デバイスマニピュレータ607は、ドラム601の第1のセクション602とともにドラム601の中心軸の周りを回転可能である。デバイスマニピュレータ607は、可動ロッド608を含む。ロッド608は、ドラムが回転する中心軸に実質的に平行な方向に移動するように構成される。ロッド608は、例えば、空気圧、油圧又は機械的に移動可能であり得、一部の実施形態では伸縮式であり得る。
【0225】
デバイスマニピュレータ607は、ロッド608の一端にデバイスハンドラ609を更に含み得る。デバイスハンドラ609は、シャフト部分210、具体的には案内特徴111の軸部分114を受容するように構成されたロッド608の中空端部を含む。デバイスハンドラ609は、軸部分114の先端の断面に一致するように輪郭形成され得る。これは、デバイスマニピュレータ607が、デバイス400を配向し、デバイス400を回転させるか、又は管状要素500の回転によって引き起こされるデバイス500の回転に抵抗することを可能にする。すなわち、デバイスマニピュレータは、並進移動のみによって管状要素500に対してデバイスを移動させ得る。他の実施形態では、デバイスマニピュレータは、並進及び回転移動によって管状要素500に対してデバイスを移動させ得る。デバイスが、潤滑されている管状要素を通過するときの管状要素の内面に対するその軸の周りのデバイスの回転移動は、管状要素の内面の改善された均一な潤滑を提供することもできる。
【0226】
本実施形態では、デバイスマニピュレータ607は、ドラム601が回転するにつれて、管状要素500の一端、すなわち図中の管状要素500の底端においてデバイスハンドラ609内のデバイス400を受容する。ドラム601が回転し続けるにつれて、管状要素500は、管状要素受容部604内に受容される。次いで、ロッド608は、デバイスマニピュレータ607及びドラム601が同じ角速度で回転するにつれて、管状要素500を通してデバイス400を押動するように作動される。ロッド608は、デバイスハンドラ609が管状要素500の上端から出るまで、管状要素500を通してデバイス400を押す。一部の実施形態では、装置600は、複数のデバイスマニピュレータ、例えば、管状要素受容部604につき1つのデバイスマニピュレータ607を含む。
【0227】
ドラム601は、配向ツール611を更に含む。配向ツール611は、デバイス400が管状要素500を通して押されると、デバイス400の制御を引き継ぐように構成される。配向ツール611は、2つのクランプハンド612、613を含む。クランプハンド612、613は、略U字形状であり、シャフト部分210の案内特徴111、具体的には円錐部117を把持するように構成される。クランプハンド612、613は、デバイスマニピュレータ609によってデバイス400をそれらの間に配置することができる開位置から、クランプハンド612、613がデバイス400を把持する閉位置まで移動可能である。一部の実施形態では、装置600は、複数の配向ツール、例えば、管状要素受容部604につき1つの配向ツール611を含む。
【0228】
配向ツール611は、ドラム601の第2のセクション603から延在し、配向ツール611は、管状要素受容部604及びデバイスマニピュレータ607の真上に位置する。配向ツール611は、ドラム601の中心軸に対して垂直に延在する軸の周りを回転するように構成される。クランプハンド612、613がデバイス400を把持すると、配向ツール611は、デバイスが別の管状要素500を通して反対方向に移動される準備ができるように、デバイスを180°回転させる。これを達成するために、デバイスマニピュレータ607は、管状要素500を通して延在させられ、デバイス400を把持し、それを、管状要素を通して引き下げる。装置600は、デバイス400を再び回転させるように、管状要素の底端に別の配向ツールを更に含み得る。したがって、デバイス400は、ドラム601の周りを回転するにつれて、複数の管状要素を通して連続的に上下に移動することができる。
【0229】
当業者は、本明細書に記載される物質、製剤、装置、方法、システム及び実施形態の種々の構成要素の修正形態(追加形態及び/又は除去形態)が、かかる修正形態及びそのあらゆる均等物を包含する本発明の全範囲及び趣旨から逸脱することなくなされ得ることを理解するであろう。
図1
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【国際調査報告】