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特表2024-545435翻訳効率が向上された5’-UTR、これを含む合成核酸分子及びこれを含むワクチンまたは治療剤組成物
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  • 特表-翻訳効率が向上された5’-UTR、これを含む合成核酸分子及びこれを含むワクチンまたは治療剤組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】翻訳効率が向上された5’-UTR、これを含む合成核酸分子及びこれを含むワクチンまたは治療剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20241129BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20241129BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20241129BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20241129BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20241129BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20241129BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20241129BHJP
   C12N 15/31 20060101ALN20241129BHJP
   C12N 15/50 20060101ALN20241129BHJP
   C12N 15/67 20060101ALN20241129BHJP
【FI】
C12N15/113 Z
A61P37/04
A61K31/7088
A61K9/127
A61K9/14
A61K47/44
C12N15/12 ZNA
C12N15/31
C12N15/50
C12N15/67 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533226
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 KR2022019491
(87)【国際公開番号】W WO2023101508
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0172306
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524209729
【氏名又は名称】モガム インスティチュート フォー バイオメディカル リサーチ
【氏名又は名称原語表記】MOGAM INSTITUTE FOR BIOMEDICAL RESEARCH
(71)【出願人】
【識別番号】517095191
【氏名又は名称】グリーン クロス コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Green Cross Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194973
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 祐朗
(72)【発明者】
【氏名】シン ミンギョン
(72)【発明者】
【氏名】ハ ホンソク
(72)【発明者】
【氏名】パク ジュリ
(72)【発明者】
【氏名】イ セナ
(72)【発明者】
【氏名】キム ユンギ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ジェソン
(72)【発明者】
【氏名】イ ユンソク
(72)【発明者】
【氏名】クォン ヒョギョン
(72)【発明者】
【氏名】キム テヒ
(72)【発明者】
【氏名】ユン ヨミン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076AA65
4C076CC06
4C076EE51
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA24
4C086MA41
4C086NA14
4C086ZB09
(57)【要約】
本発明は、翻訳効率が向上された5'-UTRを含む合成核酸分子及びこれを含むワクチン/治療剤組成物に関し、より具体的には、特定のモチーフを含んで製造され、翻訳効率が向上された5'-UTRポリヌクレオチドとこれを含む合成核酸分子及び前記合成核酸分子を含むワクチン/治療剤組成物に関する。本発明による5'-UTRポリヌクレオチドは、翻訳効率が向上され、目的タンパク質の発現を効果的に誘導することができるため、様々なRNAベースの用途、例えば、ワクチン、インビボ/エクスビボ遺伝子治療剤等に活用することができ、有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(I)による核酸配列で示される塩基配列を含む、単離された5'-UTR(untranslated region)ポリヌクレオチド:
[化1]
AG[N22]GCCACC。
【請求項2】
化学式(II)による核酸配列で示される塩基配列を含む、単離された5'-UTR(untranslated region)ポリヌクレオチド:
[化2]
AGGA[N19]RGCCACC
ここで、Rは、AまたはGを意味する。
【請求項3】
前記5'-UTRは、配列番号1~33で示される塩基配列のいずれか一つであることを特徴とする、請求項1または2に記載の単離された5'-UTRポリヌクレオチド。
【請求項4】
5'から3'の順に、
a)5'-CAP構造;
b)請求項1または2に記載の5'-UTRポリヌクレオチド;
c)一つ以上のコーディング領域;
d)3'-非翻訳領域(3'-UTR);及び
e)10~1000個のポリ(A)テールまたはポリ(A)テール様配列;
を含む合成核酸分子。
【請求項5】
前記5'-CAP構造は、m7GpppAmpG、m7GpppApG、及びm7,3'OmeApppGからなる群から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の合成核酸分子。
【請求項6】
前記コーディング領域は、抗原性タンパク質、アレルギー性タンパク質、治療用タンパク質及び前記タンパク質の断片、変異体または誘導体からなる群から選択されるいずれか一つ以上のタンパク質をコードすることを特徴とする、請求項4に記載の合成核酸分子。
【請求項7】
前記抗原性タンパク質は、腫瘍抗原、病原性抗原、自己抗原、同種抗原及びアレルギー性抗原からなる群から選択されるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項6に記載の合成核酸分子。
【請求項8】
前記腫瘍抗原は、NYESO-1、HER-2/neu、MAGE-1、チロシナーゼ、MUC1、CEA、Mam-A、hTERT、Syalyl-Tn、WT1、α-フェトプロテイン、CA-125、gp-100、p53、Ras、Src、EGFRvIII、PSMA、GD2、Bcr-abl、サバイビン、PSA、EphA2、PAP、AFP、EpCAM、ALK、メソテリン、PSCA、MART-1、メラン-A、SCP-1、SPAG9、AKAP4及びOY-TES-1からなる群から選択されることを特徴とする、請求項7に記載の合成核酸分子。
【請求項9】
前記病原性抗原は、バクテリア、ウイルス、真菌及び原生生物抗原からなる群から選択されることを特徴とする、請求項7に記載の合成核酸分子。
【請求項10】
前記ウイルスは、コロナウイルスであることを特徴とする、請求項9に記載の合成核酸分子。
【請求項11】
前記ポリ(A)テール様配列は、ウラシル(U)、シトシン(C)及びグアニン(G)からなる群から選択されるアデニン以外の一つ以上のヌクレオチドが複数個のアデニンの間またはポリ(A)テール末端に挿入されていることを特徴とする、請求項4に記載の合成核酸分子。
【請求項12】
前記合成核酸分子は、RNAであることを特徴とする、請求項4に記載の合成核酸分子。
【請求項13】
前記RNAは、mRNA、ウイルスRNA、自己-複製RNA及びレプリコン(replicon)RNAからなる群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の合成核酸分子。
【請求項14】
前記合成核酸分子は、一つ以上のバックボーン修飾、糖修飾または塩基修飾された核酸を含むことを特徴とする、請求項4に記載の合成核酸分子。
【請求項15】
前記3'-UTRは、β-グロビン3'UTR;CYBA 3'UTR;アルブミン3'UTR;成長ホルモン(GH)3'UTR;VEEV 3'UTR;B型肝炎ウイルス(HBV)3'UTR;α-グロビン3'UTR;DEN 3'UTR;PAVオオムギ黄化萎縮ウイルス(BYDV-PAV)3'UTR;伸長因子1 α1(EEF1A1)3'UTR;マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD)3'UTR;ミトコンドリアH(+)-ATPシンターゼのβサブユニット(β-mRNA)3'UTR;GLUT1 3'UTR;MEF2A 3'UTR;及びβ-F1-ATPase 3'UTRからなる群から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の合成核酸分子。
【請求項16】
請求項4~13のいずれか一項に記載の合成核酸分子を含むワクチン組成物。
【請求項17】
前記合成核酸分子は、一つ以上の脂質と複合体化又は関連され、1つ以上の脂質ナノ粒子またはリポソームを形成することを特徴とする、請求項16に記載のワクチン組成物。
【請求項18】
前記ワクチン組成物は、一つ以上のアジュバントまたは活性剤をさらに含むことを特徴とする、請求項16に記載のワクチン組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、翻訳効率が向上された5'-UTRを含む合成核酸分子及びこれを含むワクチン/治療剤組成物に関し、より具体的には、特定のモチーフを含んで製造され、翻訳効率が向上された5'-UTRポリヌクレオチドとこれを含む合成核酸分子及び前記合成核酸分子を含むワクチン/治療剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
mRNA内の非翻訳領域(UTR)は、mRNAの安定性及びmRNA翻訳の両方の調節において、中枢的な役割を担うことが報告されている。UTRは、翻訳の開始、伸長、及び終結に加え、RNA結合タンパク質とそれらの相互作用を通じたmRNAの安定化及び細胞内分布に影響を与えることが示される(Jackson RJ, et al., Nat Rev Mol Cell Biol. Vol. 11(2), pp. 113-127, 2010)。UTR内の特異的モチーフに応じて、それはmRNAターンオーバー(mRNA turnover)を向上させるか、減少させることができる(Barrett LW, et al., Cell Mol Life Sci. Vol. 69(21), pp. 3613-34, 2012)。また、mRNA半減期及び相応するUTR配列に関するデータが公開されている('t Hoen PA, et al., Nucleic Acids Res.Vol. 39(2), pp. 556-566, 2012)。
【0003】
UTRは、mRNAの開始コドンの上流及び終止コドンの下流にあるmRNA分子のセクション、すなわち、翻訳されない配列である。これらの領域は、コーディング領域と共に転写され、従って、それらは成熟したmRNAに存在するため、エクソンである。mRNAの開始コドンの上流にあるUTRは、5'UTRと呼ばれ、一度転写されると、特にプロモーターの(残余3')一部に相応する配列と共に、いわゆるコザック(Kozak)配列を保有する。
【0004】
コザック共通配列、コザック共通、またはコザック配列は、真核生物mRNAに示されることが知られており、共通(gcc)gccRccAUGGを有する配列である。コザック共通配列は、翻訳過程の開始で重要な役割を担う。その配列は、その重要性を引き出したマリリンコザックに因んで命名された。mRNA分子内のこの配列は、翻訳開始部位でリボソームによって認識され、そこからそのmRNA分子によってタンパク質がコードされる。リボソームは、翻訳を開始するために、この配列またはその可能な変異体を必要とする。
【0005】
その配列は、表記(gcc)gccRccAUGGによって識別され、これは下記のように、非常に多様な供給源(合計約699個)からのコザックによって分析されたデータを要約する:小文字は、塩基がそれでも変動する可能性のある位置の最も通常の塩基を表記し;大文字は、高度に保存された塩基を示し、すなわち、「AUGG」配列は、不変であるか、変化するとしてもまれに変化し、「R」は、プリン(アデニンまたはグアニン)が常にこの位置で観察されることを示し(コザックは、アデニンがより頻繁だと主張している);括弧内の配列((gcc))は、有意性が不明確である。
【0006】
mRNAの安定性を増加させ、細胞または有機体に投与されたmRNAによって引き起こされる免疫原性反応を減少させ、発現効率(すなわち、転写及び/または翻訳効率)を増加させる手段及び方法が多く公開されているが(US 10080809、US 2018-0353618、US 2019-0144883)、特に発現効率(すなわち、転写及び/または翻訳効率)を増加させる追加の手段または代案的な手段に関して改善の必要性が依然として存在し、これは発現効率が、例えば、mRNA薬物の投与及び投与間隔を決定し、究極的に最終産物、すなわち、暗号化されるペプチドまたはタンパク質のバイオアベイラビリティを決定するため、発現効率は、予想される医学的応用のための必須パラメータであるためである。同時に、mRNA薬物の製造コストをさらに減少させ、生成されるmRNA分子の収率を増加させ、実際の移植遺伝子のための、すなわち、目的とするポリペプチドをコードするコーディング領域のための、生成されるmRNA分子内の利用可能なスペースを増加させる必要性が依然として存在するのが現状である。
【0007】
一方、遺伝子ワクチンは、標的遺伝子をコードするDNA及びRNAを直接動物に注入すると、標的遺伝子が生きた動物で発現し、この発現により免疫が可能であることが報告されてから開発され始めた(Wolff JA et al. Science, 247:1465-8, 1990)。
【0008】
遺伝子ワクチン接種は、バクテリア表面の特徴的な構成要素、ウイルス粒子、腫瘍抗原等のような、選択された抗原に対して所望の免疫反応を引き起こすことができるようにする。総じて、ワクチン接種は、現代医学の中枢的な成果の一つである。しかし、効果的なワクチンは、現在、限定された数の疾患にのみ用いることができる。従って、ワクチン接種により予防することができない感染症は、依然として毎年何百万人もの人々に影響を及ぼしている。
【0009】
遺伝子治療または遺伝子ワクチン接種において、DNAとRNAを遺伝子投与のための核酸分子として使用することができ、DNAがRNAに比べて相対的に安定し、取り扱いが容易であることが知られている。しかし、DNAの場合、患者の遺伝体内に投与されたDNA-切片が所望しない位置に挿入され、遺伝子が損傷する場合、潜在的なリスクが発生する可能性がある。さらに、所望しない抗-DNA抗体が現れる可能性があり、また他の問題点は、DNA投与及びこの後の転写/翻訳によって発現されるペプチドまたはタンパク質の発現レベルが限定的であるということである。DNA転写を調節する特定の転写因子の存在の有無が、投与されたDNAの発現レベルに主要な影響を及ぼし、特定の転写因子がない場合には、DNA転写によって十分な量のRNAが生成されず、結果として、翻訳されて生成されるペプチドまたはタンパク質のレベルも限定される。
【0010】
一方、RNAを遺伝子投与のためのツールとして使用する場合、RNAは転写を必要とせず、DNAのように核に入る必要がなく、細胞質内で直接タンパク質を合成することができるため、細胞染色体内に入り込んで所望しない遺伝子損傷を引き起こすおそれがない。また、DNAに比べて半減期が短く、長期的な遺伝子修飾を誘導しない(Sayour EJ, et al., J Immunother Cancer Vol. 3, 13, 2015)。一般的なRNAワクチンは、細胞内に伝達されると短期間のみ活性化され、標的タンパク質を発現するようになり、数日以内に酵素学的反応により破壊され、発現した標的抗原(タンパク質)に対する特異的な免疫反応は残るようになる。
【0011】
また、遺伝子投与のためのツールとしてRNAを使用する場合、核膜を通過する必要がなく、細胞膜のみを通過すると作用するため、DNAよりも少ない量を使用しても、DNAと同じ量の標的タンパク質を発現することができる。また、RNAは、それ自体が免疫補強原性を有しているため、DNAに比べて少量のみを投与しても、同じ免疫効果を得ることができる。遺伝子ワクチン接種のためにDNAの代わりにRNAを用いることにより、所望しないゲノム統合及び抗-DNA抗体の生成のリスクは、最小化されるか、防止される。しかし、RNAは、遍在するRNaseによって容易に分解することができる非常に不安定な分子種とされる。
【0012】
過去数年間に多くの発展が成されたにもかかわらず、適応免疫反応を誘発することができるmRNAワクチン接種のための効率的な方法として、この時、抗原の早期分解または細胞でのmRNAの非効率的な放出によるmRNAの非効率的な翻訳は、当該分野に依然として残っている。さらに、潜在的な安全性の懸念を軽減させるために、そしてワクチンを第3世界で接種することができるようにするために、mRNAワクチンの用量を減少させる必要が切実である。
【0013】
生物学的システムで所望の反応をもたらすための核酸の伝達に関しては、多くの問題がある。ワクチンのような核酸ベースの治療剤は、大きな可能性を秘めているが、この可能性を実現するためには、細胞または有機体内で適切な部位に核酸をより効果的に伝達する必要性が依然としてある。
【0014】
しかし、治療及び予防目的での核酸の使用は、現在、二つの問題に直面している。第一に、遊離RNAは、血漿でヌクレアーゼ消化に脆弱である。第二に、遊離RNAは、関連する翻訳機構が常在する細胞内区画に接近する能力が制限的である。中性脂質、コレステロール、PEG、ペグ化脂質及びオリゴヌクレオチドのような他の脂質構成要素とカチオン性脂質から形成された脂質ナノ粒子が血漿でRNAの分解を遮断し、核酸の細胞吸収を促進するために試みられている。
【0015】
そこで、本発明者らは、前記の問題点を解決し、翻訳効率が向上された5-UTRを開発するために鋭意努力した結果、30bpの長さの人工核酸分子の組み合わせで2次構造が発生せず、ウリジンが少なく、安定性を低下させる配列を含まない人工核酸分子を選別する場合、翻訳効率が向上された5'-UTRを収得するができることを確認し、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、翻訳効率が向上された5'-UTRポリヌクレオチドを提供することである。
本発明の他の目的は、翻訳効率が向上された5'-UTRポリヌクレオチドを含む合成核酸分子を提供することである。
本発明のまた他の目的は、合成核酸分子を含むワクチン組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するために、本発明は、化学式(I)による核酸配列で示される塩基配列からなる、単離された5'-UTR(untranslated region)ポリヌクレオチドを提供する:
[化1]
AG[N22]GCCACC。
【0018】
本発明はまた、化学式(II)による核酸配列で示される塩基配列からなる、単離された5'-UTR(untranslated region)ポリヌクレオチドを提供する:
[化2]
AGGA[N19]RGCCACC
ここで、Rは、AまたはGを意味する。
【0019】
本発明はまた、5'から3'の順に、
a)5'-CAP構造;b)前記5'-UTRポリヌクレオチド;c)一つ以上のコーディング領域;d)3'-非翻訳領域(3'-UTR);及びe)10~1000個のポリ(A)テールまたはポリ(A)テール様配列;を含む合成核酸分子を提供する。
本発明はまた、前記合成核酸分子を含むワクチン組成物を提供する。
本発明はまた、前記ワクチン組成物の疾患予防用途を提供する。
本発明はまた、前記ワクチン組成物を投与する段階を含む疾患の予防方法を提供する。
本発明はまた、疾患の予防のための薬剤の製造のための前記ワクチン組成物の用途を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施例による5'-UTR候補群を選別する過程を図式化した図である。
図2】本発明の一実施例で選別した5'-UTRを含むmRNAのインビトロ転写合成の性能確認のために製造したベクターのベクターマップである。
図3】本発明の一実施例で選別した5'-UTRを含むmRNAの構造を図式化した図である。
図4】(A)及び(B)は、本発明の一実施例で選別した5'-UTRを含むmRNAの発現効率をHEK293T細胞株で確認した結果であり、(C)及び(D)は、HeLa細胞株で確認した結果である。
図5】(A)及び(B)は、本発明の一実施例で選別した5'-UTRを含むmRNAの発現効率をHuh7細胞株で確認した結果であり、(C)及び(D)は、SNU423細胞株で確認した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野における熟練した専門家により通常理解されるものと同じ意味を有する。一般的に、本明細書で使用される命名法及び以下に記述する実験方法は、当該技術分野において周知であり、通常使用されるものである。
【0022】
本発明においては、翻訳効率が向上された5'-UTRを自然界に存在する遺伝子から抽出するものではなく、全体の組み合わせから一定の論理で選別して決定する場合、自然界に存在する5'-UTRよりその性能が優れていることを確認しようとした。
【0023】
すなわち、本発明の一実施例においては、30個のポリヌクレオチドの組み合わせから、図1に記載のように、2次構造を有する可能性のある組み合わせを除去する段階;キャッピング効率を向上させるための配列を選別する段階;UUU及びUUUUモチーフを除去する段階;15%以上のウリジンを除去する段階;及び安定性の低い配列を除去する段階を行って選別した5'-UTRポリヌクレオチドの翻訳効率が向上されることを確認した(図1)。
従って、本発明は、一観点において、
化学式(I)による核酸配列で示される塩基配列からなる、単離された5'-UTR(untranslated region)ポリヌクレオチドに関する:
[化1]
AG[N22]GCCACC
【0024】
本発明は、他の観点において、
化学式(II)による核酸配列で示される塩基配列からなる、単離された5'-UTR(untranslated region)ポリヌクレオチドに関する:
[化2]
AGGA[N19]RGCCACC
ここで、Rは、AまたはGを意味する。
本発明において、前記5'-UTRは、配列番号1~33で示される塩基配列のいずれか一つであることを特徴とすることができる。
【表1】
【0025】
本発明において、用語「UTR」は、本明細書に記述される核酸分子のコーディング領域の上流(5')及び/または下流(3')に位置し、これにより、典型的に、前記コーディング領域の側面にある「非翻訳領域」を意味する。従って、「UTR」という用語は、一般に、3'-非翻訳領域(「3'-UTR」)及び5'-非翻訳領域(「5'-UTR」)を含む。UTRは、典型的に、タンパク質に翻訳されない核酸配列を含むか、これで構成することができる。通常、UTRは、「調節要素」を含む。
【0026】
「調節要素」という用語は、遺伝子調節活性、作動可能に(シスまたはトランスで)連結された転写可能な核酸配列の発現、特に転写または翻訳に影響を及ぼす能力を有する核酸配列を指す。前記用語は、プロモーター、エンハンサー、内部リボソーム進入部位(IRES)、イントロン、リーダー、転写終結シグナル、例えば、ポリアデニル化シグナル及びポリ-U配列、及び他の発現調節要素を含む。調節要素は、構成的に、または時間-及び/または細胞特異的な方式で作用することができる。選択的に、調節要素は、発現、特に遺伝子の転写を調節(誘導、向上、減少、廃棄、または防止)することができる調節タンパク質の相互作用(例えば、動員及び結合)を介して機能を発揮することができる。
【0027】
UTRは、好ましくは、コーディング領域に、好ましくは、「作動可能に連結され」、すなわち、機能的な関係で配置され、前記コーディング配列の発現を制御(すなわち、仲裁または調節、好ましくは、向上)させる方式で行う。
【0028】
本発明において、用語「5'-UTR」は、核酸分子の一部を指し、これはオープンリーディングフレームの5'(すなわち、「上流」)に位置し、これはタンパク質に翻訳されない。本発明の脈絡において、5'-UTRは、転写開始部位で始まり、オープンリーディングフレームの開始コドンから一つのヌクレオチド前で終結する。
【0029】
5'-UTRは、いわゆる「調節要素」と呼ばれる遺伝子発現を調節する要素を含むことができる。このような調節要素は、例えば、リボソーム結合部位であり得る。前記5'-UTRは、転写後修飾、例えば、5'-CAPの付加によって修飾することができる。従って、5'-UTRは、好ましくは、5'-CAP及び開始コドンの間に位置する核酸、特に成熟mRNAの配列、及びより具体的には、5'-CAPの3'に位置するヌクレオチド、好ましくは、5'-CAPの3'の直後に位置するヌクレオチドからタンパク質コーディング配列の開始コドン(転写開始部位)の5'に位置するヌクレオチド、好ましくは、タンパク質コーディング配列の開始コドン(転写開始部位)の5'の直前に位置するヌクレオチドまで延長された配列に相応することができる。
【0030】
成熟したmRNAの5'-CAPのすぐ3'に位置するヌクレオチドは、通常、転写開始部位に該当する。5' UTRの長さは、一般的に、500、400、300、250個未満または200個未満のヌクレオチドを有する。一部の実施例において、この長さは、10、20、30または40個以上、好ましくは、10または50個以下のヌクレオチドの範囲であってもよい。
【0031】
本発明は、また他の観点において、5'から3'の順に、
a)5'-CAP構造;
b)前記単離された5'-UTRポリヌクレオチド;
c)一つ以上のコーディング領域;
d)3'-非翻訳領域(3'-UTR);及び
e)10~1000個のポリ(A)テールまたはポリ(A)テール様配列;
を含む合成核酸分子に関する。
【0032】
天然mRNAの5'-CAPは、核流出に伴い、mRNAの安定性を増加させ、mRNAキャップ結合タンパク質(CBP)に結合されるが、これは成熟環状mRNA種を形成するため、ポリ(A)結合タンパク質とCBPの会合を通じて、細胞及び翻訳段階でmRNAの安定性をもたらす。キャップは、mRNAスプライシングの間に5'近位のイントロン除去をさらに補助する。
【0033】
本発明において、5'-CAPは、典型的に修飾されたヌクレオチド(CAP類似体)、特にmRNA分子の5'末端に付加されたグアニンヌクレオチドである。好ましくは、5'-CAPは、5'-5'-三リン酸結合を用いて付加される(m7GpppNとも命名される)。5'-CAP構造のさらなる例は、グリセリル、反転したデオキシ非塩基(abasic)残基(モイエティ)、4',5'メチレンヌクレオチド、1-(β-D-エリトロフラノシル)ヌクレオチド、4'-チオヌクレオチド、カルボサイクリックヌクレオチド、1,5-アンヒドロヘキシトールヌクレオチド、L-ヌクレオチド、α-ヌクレオチド、修飾された塩基ヌクレオチド、トレオ-ペントフラノシルヌクレオチド、非環状(acyclic)3',4'-セコ(seco)ヌクレオチド、非環状3,4-ジヒドロキシブチルヌクレオチド、非環状3,5-ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、3'-3'-反転したヌクレオチドモイエティ、3'-3'-反転した非塩基モイエティ、3'-2'-反転したヌクレオチドモイエティ、3'-2'-反転した非塩基モイエティ、1,4-ブタンジオールホスファート、3'-ホスホロアミダート、ヘキシルホスファート、アミノヘキシルホスファート、3'-ホスファート、3'-ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、またはブリッジング(bridging)または非-ブリッジングメチルホスホナートモイエティを含む。
これらの修飾された5'-CAP構造は、本発明の合成核酸分子のmRNA配列を修飾させるために使用することができる。
【0034】
本発明で使用することができる追加の修飾された5'-CAP構造は、CAP1(m7GpppNの隣接ヌクレオチドのリボースの追加的メチル化)、CAP2(m7GpppNの下流の2番目のヌクレオチドのリボースの追加的メチル化)、CAP3(m7GpppNの下流の3番目のヌクレオチドのリボースの追加的メチル化)、CAP4(m7GpppNの下流の4番目のヌクレオチドのリボースの追加的メチル化)、ARCA(アンチ-反逆(reverse)CAP類似体)、修飾されたARCA(例えば、ホスホチオアート修飾されたARCA)、イノシン、N1-メチル-グアノシン、2'-フルオロ-グアノシン、7-デアザ-グアノシン、8-オキソ-グアノシン、2-アミノ-グアノシン、LNA-グアノシン及び2-アジド-グアノシンである。
【0035】
本発明において、5'-CAP構造は、化学的RNA合成またはcCAP類似体を用いたRNA試験管内転写(共転写キャッピング)で形成することもでき、またはCAP構造は、キャッピング酵素(例えば、商業的に利用可能なキャッピングキット)を用いて、試験管内で形成することができる。
【0036】
本発明において、CAP類似体は、RNA分子の5'末端に導入される時、翻訳または局所化を促進させ、及び/またはRNA分子の分解を防止するCAP機能を有する非-重合性ジ-ヌクレオチドを指す。非-重合性とは、CAP類似体が5'三リン酸を有さず、5'末端でのみ結合されるため、鋳型-依存性RNAポリメラーゼによって3'方向に伸長することができないことを意味する。
【0037】
CAP類似体は、m7GpppA、m7GpppAmpG、非メチル化CAP類似体;ジメチル化CAP類似体、トリメチル化CAP類似体(例えば、m2,2,7GpppA)、ジメチル化対称性CAP類似体(例えば、m7Gpppm7A)、またはアンチ反逆CAP類似体(例えば、ARCA;m7,2'OmeGpppA、m7,2'dGpppA、m7,3'OmeGpppA、m7,3'dGpppA及びこれらの四リン酸誘導体)からなる群から選択される化学構造を含むが、これらに限定されない。
【0038】
追加のCAP類似体は、以前に記述されている(US7,074,596、WO2008/016473、WO2008/157688、WO2009/149253、WO2011/015347、及びWO2013/059475)。
【0039】
本発明において、前記5'-CAP構造は、m7GpppAmpG、m7,3'OmeApppG及びm7GpppAからなる群から選択されることを特徴とすることができるが、これらに限定されない。
【0040】
本発明において、前記コーディング領域は、抗原性タンパク質、アレルギー性タンパク質、治療用タンパク質及び前記タンパク質の断片、変異体または誘導体からなる群から選択されるいずれか一つ以上のタンパク質を暗号化することを特徴とすることができるが、これらに限定されない。
【0041】
本発明において、前記抗原性タンパク質は、腫瘍抗原、病原性抗原、自己抗原、同種抗原及びアレルギー性抗原からなる群から選択されるいずれか一つ以上であることを特徴とすることができるが、これらに限定されない。
【0042】
本発明において、用語「腫瘍抗原」は、(好ましくは、悪性)腫瘍またはがん疾患に由来するか、または関連する抗原性(ポリ-)ペプチドまたはタンパク質を意味する。本願で使用される「がん」及び「腫瘍」という用語は、周辺組織を侵犯し、遠方の身体部位に転移する傾向があり、細胞は制御されず、一般に急速な増殖を特徴とする新生物(neoplasm)を指すものとして、相互交換的に使用される。この用語は、良性及び悪性新生物を含む。がんの悪性腫瘍は、通常、退形成(anaplasia)、侵襲性及び転移を特徴とし;良性悪性腫瘍は、通常、これらの特徴を有さない。「がん」及び「腫瘍」という用語は、特に腫瘍成長を特徴とする新生物だけでなく、血液及びリンパ系のがんを指す。「腫瘍抗原」は、通常、腫瘍/がん細胞、好ましくは、哺乳動物の腫瘍/がん細胞に由来し、好ましくは、哺乳動物、好ましくは、ヒト由来の腫瘍細胞、腫瘍、例えば、全身または固形腫瘍の内部または表面に位置し得る。「腫瘍抗原」は、一般に、腫瘍-特異的抗原(TSA)及び腫瘍-関連-抗原(TAA)を含む。TSAは、通常、腫瘍特異的突然変異に起因し、腫瘍細胞によって特異的に発現される。さらに通常のTAAは、一般的に、腫瘍及び「正常」(健康な、非-腫瘍)細胞によって提示される。
【0043】
本発明において、腫瘍抗原は、腫瘍に関連するタンパク質または核酸配列であり得、それぞれの核酸配列は、他のペプチドまたはタンパク質をコードし;及び前記少なくとも一つの核酸配列は、5T4、707-AP、9D7、AFP、AlbZIP HPG1、α-5-β-1-インテグリン、α-5-β-6-インテグリン、α-アクチニン-4/m、α-メチルアシル-コエンザイムAラセマーゼ、A T-4、ARTC1/m、B7H4、BAGE-1、BCL-2、bcr/abl、β-カテニン/m、BING-4、BRCA1/m、BRCA2/m、CA 1 5-3/CA 27-29、CA 19-9、CA72-4、CA125、カルレティキュリン(calreticulin)、CAMEL、CASP-8/m、カテプシンB(cathepsin B)、カテプシンL、CD19、CD20、CD22、CD25、CDE30、CD33、CD4、CD52、CD55、CD56、CD80、CDC27/m、CDK4/m、CDKN2A/m、CEA、CLCA2、CML28、CML66、COA-1/m、コアクトシン-様タンパク質、コラージュ(collage)XXIII、COX-2、CT-9/BRD6、Cten、サイクリンB1、サイクリンD1、cyp-B、CYPB1、DAM-10、DAM-6、DEK-CAN、EFTUD2/m、EGFR、ELF2/m、EMMPRIN、EpCam、EphA2、EphA3、ErbB3、ETV6-AML1、EZH2、FGF-5、FN、Frau-1、G250、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE7b、GAGE-8、GDEP、GnT-V、gp100、GPC3、GPNMB/m、HAGE、HAST-2、へプシン(hepsin)、Her2/neu、HERVK-MEL、HLA-A*0201-R1 7I、HLA-A1 1/m、HLA-A2/m、HNE、ホメオボックス(homeobox)NKX3.1、HOM-TES-14/SCP-1、HOM-TES-85、HPV-E6、HPV-E7、HSP70-2M、HST-2、hTERT、iCE、IGF-1R、IL-13Ra2、IL-2R、IL-5、未熟ラミニン受容体、カリクレイン-2、カリクレイン-4、i67、KIAA0205、KIAA0205/m、KK-LC-1、K-Ras/m、LAGE-A1、LDLR-FUT、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A6、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A12、MAGE-B1、MAGE-B2、MAGE-B3、MAGE-B4、MAGE-B5、MAGE-B6、MAGE-B10、MAGE-B16、MAGE-B17、MAGE-C1、MAGE-C2、MAGE-C3、MAGE-D1、MAGED2、MAGE-D4、MAGE-E1、MAGE-E2、MAGE-F1、MAGE-HI、MAGEL2、マンマグロビン(mammaglobin)A、MART-1/メラン-A、MART-2、MART-2/m、基質タンパク質22、MC1 R、M-CSF、ME 1/m、メソテリン(mesothelin)、MG50/PXDN、MMP1-1、MN/CA IX-抗原、MRP-3、MUC-1、MUC-2、MUM-1/m、MUM-2/m、MUM-3/m、ミオシンクラスl/m、NA88-A、N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ-V、ネオ-PAP、ネオ-PAP/m、NFYC/m、NGEP、NMP22、NPM/ALK、N-Ras/m、NSE、NY-ESO-1、NY-ESOB、OA1、OFA-iLRP、OGT、OGT/m、OS-9、OS-9/m、オステオカルシン(osteocalcin)、オステオポンチン(osteopontin)、pi 5、p190マイナーbcr-abl、p53、p53/m、PAGE-4、PAI-1、PAI-2、PAP、PART-1、PATE、PDEF、Pim-1-キナーゼ、Pin-1、Pml/PARα、POTE、PRAME、PRDX5/m、プロステイン(prostein)、プロテイナーゼ-3、PSA、PSCA、PSGR、PSM、PSMA、PTPRK/m、RAGE-1、RBAF600/m、RHAMM/CD1 68、RU1、RU2、S-100、SAGE、SART-1、SART-2、SART-3、SCC、SIRT2/m、Sp1 7、SSX-1、SSX-2/HOM-MEL-40、SSX-4、STAMP-1、STEAP-1、サバイビン、サバイビン-2B、SYT-SSX-1、SYT-SSX-2、TA-90、TAG-72、TARP、TEL-AML1、TGF-β、TGF-β RII、TGM-4、TPI/m、TRAG-3、TRG、TRP-1、TRP-2/6b、TRP/INT2、TRP-p8、チロシナーゼ、UPA、VEGFR1、VEGFR-2/FLK-1、WT1及びリンパ性血球の免疫グロブリン遺伝子型、またはリンパ球血球のT細胞受容体遺伝子型、または前記腫瘍抗原の相同体、断片、変異体または誘導体を暗号化することができる。
【0044】
本発明において、前記腫瘍抗原は、NYESO-1、HER-2/neu、MAGE-1、チロシナーゼ、MUC1、CEA、Mam-A、hTERT、Syalyl-Tn、WT1、α-フェトプロテイン、CA-125、gp-100、p53、Ras、Src、EGFRvIII、PSMA、GD2、Bcr-abl、サバイビン、PSA、EphA2、PAP、AFP、EpCAM、ALK、メソテリン、PSCA、MART-1、メラン-A、SCP-1、SPAG9、AKAP4及びOY-TES-1からなる群から選択されることを特徴とすることができるが、これらに限定されない。
本発明において、前記病原性抗原は、バクテリア、ウイルス、真菌及び原生生物抗原からなる群から選択されることを特徴とすることができる。
【0045】
本発明において、前記病原性抗原は、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、コロナウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、プラスモジウム、黄色ブドウ球菌、デング熱ウイルス、トラコーマクラミジア、サイトメガロウイルス(CMV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、結核菌、狂犬病ウイルス、及び黄熱病ウイルス、またはこれらのタンパク質の任意の同型体、相同体、断片、変異体、または誘導体に由来し得る。
本発明において、前記ウイルス抗原は、コロナウイルスであることを特徴とすることができるが、これに限定されない。
【0046】
本発明において、前記コロナウイルスは、ヒトコロナウイルス229E(HCoV-229E)、ヒトコロナウイルスOC43(HCoV-OC43)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、ヒトコロナウイルスNL63(HCoV-NL63)、ニューヘブンコロナウイルス、ヒトコロナウイルスHKU1、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)または重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-Cov-2)であってもよい。
【0047】
本発明において、前記3'-UTRは、β-グロビン3'UTR;CYBA 3'UTR;アルブミン3'UTR;成長ホルモン(GH)3'UTR;VEEV 3'UTR;B型肝炎ウイルス(HBV)3'UTR;α-グロビン3'UTR;DEN 3'UTR;PAVオオムギ黄化萎縮ウイルス(BYDV-PAV)3'UTR;伸長因子1 α1(EEF1A1)3'UTR;マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD)3'UTR;ミトコンドリアH(+)-ATPシンターゼのβサブユニット(β-mRNA)3'UTR;GLUT1 3'UTR;MEF2A 3'UTR;β-F1-ATPase 3'UTR;この機能性断片及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とすることができるが、これらに限定されない。
【0048】
本発明において、用語「3'-UTR」は、典型的に、mRNAのタンパク質暗号化領域(すなわち、オープンリーディングフレーム、コーディング領域)及びポリ(A)配列の間に位置するmRNAの一部を意味する。mRNAの3'-UTRは、アミノ酸配列に翻訳されない。3'-UTR配列は、一般的に、遺伝子発現過程中にそれぞれのmRNAに転写される遺伝子によって暗号化される。このゲノム配列は、選択的イントロンを含む未成熟mRNAに先に転写される。未成熟mRNAは、この後の成熟過程で成熟mRNAにさらに加工される。このような成熟過程は、5'-キャッピング、選択的イントロンを切除する未成熟mRNAのスプライシング及び未成熟mRNAの3'末端のポリアデニル化のような3'末端の修飾及び選択的エンド-またはエキソヌクレアーゼ切断等の段階を含む。
【0049】
本発明において、3'-UTRは、タンパク質暗号化領域の終止コドンに対して3'に、好ましくは、タンパク質暗号化領域の終止コドンに対してすぐ隣の3'に位置し、ポリ(A)配列の5'側、好ましくは、ポリ(A)配列に対して5'のすぐ隣のヌクレオチドまで及ぶ成熟mRNAの配列に相応する。用語「相応する」は、3'-UTR配列が、3'-UTR配列を定義するために使用されるmRNA配列のように、RNA配列、またはこれらのRNA配列に相応するDNA配列であり得ることを意味する。
【0050】
本発明において、前記合成核酸分子は、ポリ(A)テールまたはポリ(A)テール様配列をさらに含む。さらなる実施態様において、ポリ-Aテール上の末端基は、安定化のために混入することができる。他の実施態様において、ポリ-Aテールは、デス-3'ヒドロキシルテールを含む。
【0051】
RNA加工の間、アデニンヌクレオチドの長鎖(ポリ-Aテール)は、安定性を増加させるために、ポリヌクレオチド、例えば、mRNA分子に付加することができる。転写直後に、転写体の3'末端部は、3'ヒドロキシルを遊離させるように切断することができる。続いて、ポリ-Aポリメラーゼは、RNAにアデニンヌクレオチド鎖を付加する。ポリアデニル化と呼ばれる工程は、例えば、約80~約250個の残基の長さ(約80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240または250個の残基の長さを含む)であり得るポリ-Aテールを付加する。ポリAテールはまた、作製物が核から流出した後に付加することができる。
【0052】
本発明によると、ポリAテール上の末端基は、安定化のために混入することができる。本発明のポリヌクレオチドは、デス-3'ヒドロキシルテールを含むことができる。それらはまた、Junjie Li等(Current Biology, Vol. 15, 1501-1507, August 23, 2005、この内容は、本明細書にその全文が参考として編入される)によって教示されるような構造的モイエティまたは2'-Oメチル修飾を含むことができる。
【0053】
独特なポリ-Aテールの長さは、本発明のポリヌクレオチドに対して所定の利点を提供する。一般に、ポリ-Aテールの長さは、存在するならば、長さが30個超過のヌクレオチドである。他の実施態様において、ポリ-Aテールは、長さが35個超過のヌクレオチド(例えば、少なくとも約35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500及び3,000個超過のヌクレオチド)である。
【0054】
一部の実施態様において、ポリヌクレオチドまたはこの領域は、約30~約3,000個のヌクレオチド(例えば、30~50、30~100、30~250、30~500、30~750、30~1,000、30~1,500、30~2,000、30~2,500、50~100、50~250、50~500、50~750、50~1,000、50~1,500、50~2,000、50~2,500、50~3,000、100~500、100~750、100~1,000、100~1,500、100~2,000、100~2,500、100~3,000、500~750、500~1,000、500~1,500、500~2,000、500~2,500、500~3,000、1,000~1,500、1,000~2,000、1,000~2,500、1,000~3,000、1,500~2,000、1,500~2,500、1,500~3,000、2,000~2,500、2,000~3,000、及び2,500~3,000)を含む。
【0055】
一部の実施態様において、ポリ-Aテールは、全体のポリヌクレオチドの長さまたはポリヌクレオチドの特定の領域の長さに対して設計される。この設計は、暗号化領域の長さ、特定の特徴または領域の長さに基づくか、またはポリヌクレオチドから発現される究極の産物の長さに基づくことがある。
【0056】
これに関連し、ポリ-Aテールは、ポリヌクレオチドまたはこの特徴よりも長さが10、20、30、40、50、60、70、80、90または100%より長いことがある。ポリ-Aテールはまた、それが属するポリヌクレオチドの分画として設計することができる。これに関連し、ポリ-Aテールは、作製物の合計の長さ、作製物の領域または作製物の合計の長さ-ポリ-Aテールの10、20、30、40、50、60、70、80または90%以上であってもよい。さらに、ポリ-A結合タンパク質に対するポリヌクレオチドの操作された結合部位及び接合は、発現を向上させることができる。
【0057】
さらに、多重の別個のポリヌクレオチドは、ポリ-Aテールの3'-末端で修飾されたヌクレオチドを用いて、3'-端部を介してPABP(ポリ-A結合タンパク質)を介して共に結合することができる。形質感染実験は、適切な細胞株で行うことができ、タンパク質の生産は、形質感染後12時間、24時間、48時間、72時間及び7日でELISAによって検定することができる。
【0058】
一部の実施態様において、本発明のポリヌクレオチドは、ポリA-Gカルテット領域を含むように設計される。G-カルテット(Gquartet)は、DNAとRNAの両方でG-豊富配列によって形成することができる4個のグアニンヌクレオチドの環状水素結合された検定である。この実験において、G-カルテットは、ポリ-Aテールの端部に混入される。得られたポリヌクレオチドは、安定性、タンパク質の生産及び様々な時点に半減期を含む他の媒介変数について検定される。ポリA-Gカルテットは、120個のヌクレオチド単独のポリ-Aテールを用いて知ることができる、少なくとも75%に同等するmRNAからタンパク質の生産をもたらすことを発見した。
【0059】
本発明において、前記ポリ(A)テール様配列は、ポリ(A)テールの機能を果たすことができる核酸配列であれば、制限なく利用可能であり、好ましくは、ウラシル(U)、シトシン(C)及びグアニン(G)からなる群から選択されるアデニン以外の一つ以上のヌクレオチドが複数個のアデニンの間またはポリ(A)テール末端に挿入されていることを特徴とすることができるが、これに限定されない。
本発明において、前記合成核酸分子は、RNAであることを特徴とすることができる。
【0060】
本発明において、前記RNAは、mRNA、ウイルスRNA、自己-複製RNA及びレプリコン(replicon)RNAからなる群から選択されることを特徴とすることができるが、これらに限定されない。
【0061】
本発明において、前記合成核酸分子は、一つ以上のバックボーン修飾、糖修飾または塩基修飾された核酸を含むことを特徴とすることができるが、これらに限定されない。
【0062】
糖修飾:
本説明に記述されるようなmRNA配列を含む修飾されたmRNA化合物内に混入することができる修飾されたヌクレオシド及びヌクレオチドは、糖モイエティで修飾することができる。例えば、2'ヒドロキシル基(OH)は、複数の異なる「オキシ」または「デオキシ」置換基で修飾または置換することができる。「オキシ」-2'ヒドロキシル基の修飾の例としては、アルコキシまたはアリルオキシ(-OR、例えば、R = H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルアルキル、ヘテロアリールまたは糖);ポリエチレングリコール(PEG)、-O(CH2CH2O)nCH2CH2OR;同じリボース糖の4'炭素に、例えば、メチレン架橋により、2'ヒドロキシルが結合した「ロックされた(locked)」核酸(LNA);及びアミノ基(-O-アミノ、この時、アミノ基、例えば、NRRは、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、またはジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノであってもよい)またはアミノアルコキシを含むが、これらに限定されない。
【0063】
「デオキシ」修飾は、水素、アミノ(例えば、NH2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、またはアミノ酸)を含むか;アミノ基がリンカーを介して糖に付着することができ、この時、リンカーは、原子C、N、及びOのうち一つ以上を含む。
【0064】
糖基はまた、リボース内の相応する炭素に比べ、反対の立体化学的配置を有する一つ以上の炭素を含有することができる。従って、修飾されたmRNAは、例えば、糖のようなアラビノースを含むヌクレオチドを含むことができる。
【0065】
バックボーン修飾:
ホスファートバックボーンは、本説明に記述されるようなmRNA配列を含む修飾されたmRNA化合物内に混入することができる、修飾されたヌクレオシド及びヌクレオチドでさらに修飾することができる。バックボーンのリン酸基は、酸素原子のうち一つ以上を他の置換基で置換することにより、修飾することができる。また、修飾されたヌクレオシド及びヌクレオチドは、非修飾されたホスファートモイエティの本説明に記述される修飾されたホスファートへの完全な置換を含むことができる。修飾されたリン酸基の例としては、ホスホロチオアート、ホスホロセレナート、ボラノホスファート、ボラノホスファートエステル、ヒドロゲンホスホナート、ホスホロアミダート、アルキルまたはアリールホスホナート及びホスホトリエステルを含むが、これらに限定されない。ホスホロジチオアートは、硫黄によって置換された両側の非-結合酸素を有する。
【0066】
ホスファートリンカーはまた、結合酸素の窒素(架橋されたホスホロアミダート)、硫黄(架橋されたホスホロチオアート)及び炭素(架橋されたメチレン-ホスホナート)への置換によって修飾することができる。
【0067】
塩基修飾:
本説明に記述されるようなmRNA配列を含む修飾されたmRNA化合物内に混入することができる、修飾されたヌクレオシド及びヌクレオチドは、核酸塩基モイエティでさらに修飾することができる。mRNAで発見された核酸塩基の例としては、アデニン、グアニン、シトシン及びウラシルを含むが、これらに限定されない。例えば、本説明に記述されるヌクレオシド及びヌクレオチドは、メジャーグルーブ(major groove)フェイスで化学的に修飾することができる。一部の実施態様において、メジャーグルーブの化学的修飾は、アミノ基、チオール基、アルキル基、またはハロ基を含むことができる。
【0068】
本発明の好ましい実施態様において、ヌクレオチド類似体/修飾は、好ましくは、2-アミノ-6-クロロプリンリボシド-5'-トリホスファート、2-アミノプリン-リボシド-5'-トリホスファート;2-アミノアデノシン-5'-トリホスファート、2'-アミノ-2'-デオキシシチジン-トリホスファート、2-チオシチジン-5'-トリホスファート、2-チオウリジン-5'-トリホスファート、2'-フルオロチミジン-5'-トリホスファート、2'-O-メチル-イノシン-5'-トリホスファート、4-チオウリジン-5'-トリホスファート、5-アミノアリルシチジン-5'-トリホスファート、5-アミノアリルウリジン-5'-トリホスファート、5-ブロモシチジン-5'-トリホスファート、5-ブロモウリジン-5'-トリホスファート、5-ブロモ-2'-デオキシシチジン-5'-トリホスファート、5-ブロモ-2'-デオキシウリジン-5'-トリホスファート、5-ヨードシチジン-5'-トリホスファート、5-ヨード-2'-デオキシシチジン-5'-トリホスファート、5-ヨードウリジン-5'-トリホスファート、5-ヨード-2'-デオキシウリジン-5'-トリホスファート、5-メチルシチジン-5'-トリホスファート、5-メチルウリジン-5'-トリホスファート、5-プロピニル-2'-デオキシシチジン-5'-トリホスファート、5-プロピニル-2'-デオキシウリジン-5'-トリホスファート、6-アザシチジン-5'-トリホスファート、6-アザウリジン-5'-トリホスファート、6-クロロプリンリボシド-5'-トリホスファート、7-デアザアデノシン-5'-トリホスファート、7-デアザグアノシン-5'-トリホスファート、8-アザアデノシン-5'-トリホスファート、8-アジドアデノシン-5'-トリホスファート、ベンジミダゾール-リボシド-5'-トリホスファート、N1-メチルアデノシン-5'-トリホスファート、N1-メチルグアノシン-5'-トリホスファート、N6-メチルアデノシン-5'-トリホスファート、O6-メチルグアノシン-5'-トリホスファート、シュードウリジン-5'-トリホスファート、またはピューロマイシン-5'-トリホスファート、キサントシン-5'-トリホスファートから選択される塩基修飾から選択される。
【0069】
好ましくは、5-メチルシチジン-5'-トリホスファート、7-デアザグアノシン-5'-トリホスファート、5-ブロモシチジン-5'-トリホスファート、及びシュードウリジン-5'-トリホスファートからなる塩基修飾されたヌクレオチドの群から選択される塩基修飾に対するヌクレオチドである。
【0070】
一部の実施態様において、修飾されたヌクレオシドは、ピリジン-4-オンリボヌクレオシド、5-アザ-ウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、シュードウリジン、 2-チオウリジン、4-チオ-シュードウリジン、2-チオ-シュードウリジン、5-ヒドロキシウリジン、3-メチルウリジン、5-カルボキシメチル-ウリジン、1-カルボキシメチル-シュードウリジン、2'-O-メチル-ウリジン、5-メチル-ウリジン、5-プロピニル-ウリジン、1-プロピニル-シュードウリジン、5-タウリノメチルウリジン、2-チオ-ウリジン、5-メトキシ-ウリジン、1-タウリノメチル-シュードウリジン、5-タウリノメチル-2-チオ-ウリジン、1-タウリノメチル-4-チオ-ウリジン、5-メチル-ウリジン、1-メチル-シュードウリジン、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン、1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、ジヒドロウリジン、ジヒドロシュードウリジン、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-ジヒドロシュードウリジン、2-メトキシウリジン、2-メトキシ-4-チオ-ウリジン、4-メトキシ-シュードウリジン、及び4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジンを含む。
【0071】
一部の実施態様において、修飾されたヌクレオシドは、5-アザ-シチジン、シュードイソシチジン、3-メチル-シチジン、5-メチル-シチジン、N4-アセチルシチジン、5-ホルミルシチジン、N4-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、1-メチル-シュードイソシチジン、ピロロ-シチジン、ピロロ-シュードイソシチジン、2-チオ-シチジン、2-チオ-5-メチル-シチジン、4-チオ-シュードイソシチジン、4-チオ-1-メチル-シュードイソシチジン、4-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードイソシチジン、1-メチル-1-デアザ-シュードイソシチジン、ゼブラリン(zebularine)、5-アザ-ゼブラリン、5-メチル-ゼブラリン、5-アザ-2-チオ-ゼブラリン、2-チオ-ゼブラリン、2-メトキシ-シチジン、2-メトキシ-5-メチル-シチジン、4-メトキシ-シュードイソシチジン、及び4-メトキシ-1-メチル-シュードイソシチジンを含む。
【0072】
他の実施態様において、修飾されたヌクレオシドは、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-アデニン、7-デアザ-8-アザ-アデニン、7-デアザ-2-アミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2-アミノプリン、7-デアザ-2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2,6-ジアミノプリン、1-メチルアデノシン、N6-メチルアデノシン、N6-イソペンチルアデノシン、N6-(シス-ヒドロキシイソペンチル)アデノシン、2-メチルチオ-N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、N6-グリシニルカルバモイルアデノシン、N6-トレオニルカルバモイルアデノシン、2-メチルチオ-N6-トレオニルカルバモイルアデノシン、N6,N6-ジメチルアデノシン、7-メチルアデニン、2-メチルチオ-アデニン、及び2-メトキシ-アデニンを含む。
【0073】
他の実施態様において、修飾されたヌクレオシドは、イノシン、1-メチル-イノシン、ウィオシン、ウィブトシン、7-デアザ-グアノシン、7-デアザ-8-アザ-グアノシン、6-チオ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-8-アザ-グアノシン、7-メチル-グアノシン、6-チオ-7-メチル-グアノシン、7-メチルイノシン、6-メトキシ-グアノシン、1-メチルグアノシン、N2-メチルグアノシン、N2,N2-ジメチルグアノシン、8-オキソ-グアノシン、7-メチル-8-オキソ-グアノシン、1-メチル-6-チオ-グアノシン、N2-メチル-6-チオ-グアノシン、及びN2,N2-ジメチル-6-チオ-グアノシンを含む。
【0074】
一部の実施態様において、ヌクレオチドは、メジャーグルーブフェイスで修飾することができ、ウラシルのC-5で水素のメチル基またはハロ基への置換を含むことができる。特定の実施態様において、修飾されたヌクレオシドは、5'-O-(1-チオホスファート)-アデノシン、5'-O-(1-チオホスファート)-シチジン、5'-O-(1-チオホスファート)-グアノシン、5'-O-(1-チオホスファート)-ウリジン、または5'-O-(1-チオホスファート)-シュードウリジンである。
【0075】
さらなる実施態様において、修飾されたmRNAは、6-アザ-シチジン、2-チオ-シチジン、α-チオ-シチジン、シュード-イソ-シチジン、5-アミノアリル-ウリジン、5-ヨード-ウリジン、N1-メチル-シュードウリジン、5,6-ジヒドロウリジン、α-チオ-ウリジン、4-チオ-ウリジン、6-アザ-ウリジン、5-ヒドロキシ-ウリジン、デオキシ-チミジン、5-メチル-ウリジン、ピロロ-シチジン、イノシン、α-チオ-グアノシン、6-メチル-グアノシン、5-メチル-シチジン、8-オキソ-グアノシン、7-デアザ-グアノシン、N1-メチル-アデノシン、2-アミノ-6-クロロ-プリン、N6-メチル-2-アミノ-プリン、シュード-イソ-シチジン、6-クロロ-プリン、N6-メチル-アデノシン、α-チオ-アデノシン、8-アジド-アデノシン、7-デアザ-アデノシンから選択されるヌクレオシド修飾を含むことができる。
本発明は、また他の観点において、合成核酸分子を含むワクチン組成物に関する。
【0076】
本発明において、「ワクチン」は、典型的に、少なくとも一つの抗原、好ましくは、抗原性ペプチドまたはタンパク質を提供する予防または治療物質であると理解される。「少なくとも抗原に提供」は、例えば、ワクチンが抗原を含むか、ワクチンが例えば、抗原を符号化する分子を含むことを意味する。従って、本発明のワクチンは、例えば、腫瘍抗原、バクテリア、ウイルス、真菌または原生動物抗原、自己抗原、アレルゲン、または同種異系抗原に由来し得、好ましくは、免疫系に発現及び提示される時、それぞれの抗原に対する免疫反応を誘導する、本願に定義される少なくとも一つの抗原性(ポリ-)ペプチドまたはタンパク質を符号化する少なくとも一つの合成核酸(RNA)分子を含むことが特に予想される。しかし、関心のある非-抗原性(ポリ-)ペプチドまたはタンパク質を符号化する合成核酸(RNA)分子はまた、本発明のワクチンに使用することができる。
本発明において、前記合成核酸分子は、一つ以上の脂質と複合体化され、脂質ナノ粒子またはリポソームを形成することを特徴とすることができる。
【0077】
本発明において、前記合成核酸(RNA)分子は、複合体化された、すなわち、一つ以上の(ポリ-)カチオン性化合物、好ましくは、(ポリ-)カチオン性ポリマー、(ポリ-)カチオン性ペプチドまたはタンパク質、例えば、プロタミン、(ポリ-)カチオン性ポリサッカライド及び/または(ポリ-)カチオン性脂質と複合体化または結合された(associated)形態で提供することができる。このような脈絡において、「複合体化された」または「関連する」という用語は、これと関連して、「複合体化された」または「結合された(associated)」という用語は、少なくとも一つの合成核酸(RNA)分子が、前記一つ以上の化合物と共有結合することなく、より大きな複合体またはアセンブリとして本質的に安定した組み合わせを意味する。
【0078】
脂質
好ましい実施例によると、本発明の合成核酸(RNA)分子は、脂質(特にカチオン性及び/または中性脂質)と複合体化または結合されることにより、一つ以上の脂質ナノ粒子またはリポソームを形成する。従って、一部の実施例において、本発明の合成核酸(RNA)分子は、脂質-ベース剤形の形態、特に、前記合成核酸(RNA)分子を含むリポソーム、及び/または脂質ナノ粒子の形態で提供することができる。
【0079】
脂質ナノ粒子
一部の好ましい実施例によると、本発明の合成核酸(RNA)分子は、一つ以上の脂質ナノ粒子を形成するために、脂質(特に、カチオン性及び/または中性脂質)と複合体化または結合される。
【0080】
好ましくは、脂質ナノ粒子(LNP)は、以下を含むことができる:(a)本発明の少なくとも一つの合成核酸分子(RNA)、(b)カチオン性脂質、(c)凝集減少剤(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)脂質またはPEG-修飾脂質)、(d)選択的に、非-カチオン性脂質(例えば、中性脂質)、及び(e)選択的に、ステロール。
【0081】
一部の実施例において、LNPは、本発明の少なくとも一つの合成核酸分子(RNA)に加えて、(i)少なくとも一つのカチオン性脂質;(ii)中性脂質;(iii)ステロール、例えば、コレステロール;及びPEG-脂質、約20~60%のカチオン性脂質:5~25%の中性脂質:25~55%のステロール;0.5~15%のPEG-脂質のモル比でPEG-脂質を含むことができる。
【0082】
一部の実施例において、本発明の合成核酸分子(RNA)は、アミノアルコールリピドイド(aminoalcohol lipidoid)に剤形化することができる。本発明に使用することができるアミノアルコールリピドイドは、米国特許第8,450,298号に記載されている方法により製造することができ、この全文は、本願に参照として含まれる。
【0083】
リポソーム
一部の実施例において、本発明の合成核酸(RNA)分子は、リポソームに剤形化される。カチオン性脂質-ベースリポソームは、静電気的相互作用により、負に帯電した核酸(例えば、RNA)と複合体を形成することができ、生体適合性、低毒性、及びインビボ(in vivo)臨床適用に必要な大規模生産の可能性を提供する複合体を生成する。リポソームは、吸収のために原形質膜と融合することができる;まず、細胞内において、リポソームは、食作用経路を介して処理され、核酸は、以後、エンドソーム/担体から細胞質に放出される。リポソームは、基本的に、生物学的膜の類似体であり、天然及び合成リン脂質の両方から製造することができるという点で、リポソームは、優れた生体適合性により、薬物伝達ビヒクルとして長い間認識されてきた。
【0084】
リポソームは、典型的に、水性コアを囲むカチオン性、アニオン性または中性(リン)脂質及びコレステロールからなり得る脂質二重層で構成される。脂質二重層及び水性空間は、全て疎水性または親水性化合物をそれぞれ含むことができる。リポソームは、一つまたはそれ以上の脂質膜を有することができる。リポソームは、ユニラメラと呼ばれる単層であるか、マルチラメラと呼ばれる多層であり得る。
【0085】
インビボ(in vivo)において、リポソームの特性及び行動は、親水性重合体コーティング、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)をリポソーム表面に付加し、立体安定性を提供することにより、修飾することができる。また、リポソームは、リガンド(例えば、抗体、ペプチド及び炭水化物)をその表面または付着したPEG鎖の末端に付着することにより、特定の標的化に使用することができる。
【0086】
リポソームは、典型的に、球形の小胞として存在し、サイズは、20nm~数ミクロンの範囲であり得る。リポソームは、直径が数百ナノメートルであり得、狭い水性区画によって分離された一連の同心円の二重層を含み得る多層ラメラ小胞(multilamellar vesicle, MLV)、50nmより小さい直径である小型単細胞小胞(small unicellular vesicle, SUV)、及び50~500nmの間の直径であり得る大型ユニラメラ小胞(large unilamellar vesicle, LUV)のように異なるサイズであってもよいが、これらに制限されない。リポソーム設計は、健康でない組織に対するリポソームの付着を改善するか、エンドサイトーシスのようなイベントを活性化させるために、オプソニンまたはリガンドを含むことができるが、これらに制限されない。リポソームは、薬剤学的剤形の伝達を向上させるために、低いまたは高いpHを含むことができる。
本発明において、前記ワクチン組成物は、一つ以上のアジュバントまたは活性剤をさらに含むことを特徴とすることができる。
【0087】
最も広い意味での「アジュバント」または「アジュバント成分」は、典型的に、他の活性剤、例えば、治療剤またはワクチンの効果を修飾、例えば、向上させることができる薬理学的及び/または免疫学的製剤である。これと関連して、「アジュバント」は、本発明のワクチン組成物の投与及び伝達を支援するのに適した任意の化合物として理解することができる。具体的には、アジュバントは、好ましくは、付加されるワクチンの免疫刺激特性を向上させることができる。また、このようなアジュバントは、これに結合されず、先天性免疫系、すなわち、非特異的免疫反応の免疫反応を開始または増加させることができる。
【0088】
「アジュバント」は、典型的に、適応免疫反応を誘発しない。これまで、「アジュバント」は、抗原としての資格がない。すなわち、投与される時、本発明のワクチンは、典型的に、前記ワクチンに含有される合成核酸(RNA)分子の少なくとも一つのコーディング配列によって符号化される、抗原性ペプチドまたはタンパク質により、適応免疫反応を開始する。
【0089】
適したアジュバントは、当業者に公知であり、この場合に適した、すなわち、哺乳動物における免疫反応の誘導を助ける任意のアジュバントから選択することができ、TDM、MDP、ムラミルジペプチド、プルロニック(登録商標)、白斑溶液、水酸化アルミニウム、ADJUMERTM(ポリホスファゼン);リン酸アルミニウムゲル;藻類からのグルカン;アルガムリン;水酸化アルミニウムゲル(白斑);高タンパク質-吸着性水酸化アルミニウムゲル;低粘度の水酸化アルミニウムゲル;AFまたはSPT(スクアラン(5%)のエマルジョン、ツイーン80(0.2%)、プルロニック(登録商標)L121(1.25%)、リン酸-緩衝生理食塩水、pH 7.4);またはAVRIDINETM(プロパンジアミン)を含むことができるが、これらに限定されない。
本発明は、また他の観点において、前記ワクチン組成物の疾患予防用途に関する。
【0090】
本発明において、「疾患」は、腫瘍抗原、バクテリア、ウイルス、真菌または原生動物抗原、自己抗原、アレルゲン、または同種異系抗原から発生する異常現象を意味し、がん、腫瘍、自己免疫疾患、炎症性疾患、ウイルス感染、バクテリア感染、真菌感染及び原生動物感染等であってもよいが、これらに限定されない。
本発明において、「予防」とは、本発明のワクチン組成物の投与により、疾患を抑制させるか、この進行を遅延させるあらゆる行為を意味する。
本発明は、また他の観点において、前記ワクチン組成物を投与する段階を含む疾患の予防方法に関する。
本発明は、また他の観点において、疾患の予防のための薬剤の製造のための前記ワクチン組成物の用途に関する。
【実施例
【0091】
以下、実施例を通じて、本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、ひとえに本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されるものと解釈されないことは、当業界における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0092】
実施例1. 5'-UTRの選別
30bpサイズの可能な全ての5'-UTRポリヌクレオチドの組み合わせを構成した後、2次構造のような特定の構造を形成しない平均の自由エネルギーが0の値の配列を選別し、キャッピングと転写量向上のためにAGG配列で始まる配列を選別し、一部の配列は、AUG様配列をさらに除去し、ウリジンリッチエレメントによるTLR7/8の免疫感知は、タンパク質翻訳効率を減少させるため、UUU、UUUUモチーフが含まれる配列を除去した後、タンパク質翻訳効率の増大のために、全体配列から15%のウリジンを除去するウリジンディプリーションを行い、mRNAの安定性を向上させるために、CGC配列がある5'-UTRは、除去する過程を行い、合計33個の5'-UTR配列を選別した(図1)。
【0093】
実施例2. 5'-UTR含有mRNA合成核酸の製造
2-1. 鋳型DNA製造のための線形化
プラスミドからポリAサイトの後ろの部分を切断する制限酵素を用いて線形化する。AMICONを用いて線形化DNAを分離する。
この後、1%アガロースゲル上で、プラスミドDNAが切断されたかを確認する。
【0094】
2-2. インビトロ転写
インビトロ転写は、mRNAを合成する過程である。
【0095】
準備した鋳型DNAと共に、T7 RNAポリメラーゼ、バッファー、NTP(天然、化学修飾を含む)及びその他のIVTの必要な要素を表2のように、37℃で4時間(hr)反応させる(HiScribeTM T7 Quick High Yield RNA Synthesis Kit, NEB E2050S, US)。
【表2】
【0096】
反応が完了すると、DNA 1ugあたり1UのDnase Iを処理し、37℃ 15~30分(min)間反応させ、鋳型DNAを除去する。この後、反応が完了したIVTプロダクトは、Invitrogen's MEGAclearTM Kit (Austin, Tex.)でメーカーが提示した方法で精製する。この後、精製されたmRNAをナノドロップあるいはUV/Vis 吸光で定量し、アガロースゲルでバンドパターンを確認する。
【0097】
2-3. DsRNA精製
IVT反応時に生成された二本鎖RNA(dsRNA)をセルロースを用いて除去する。
セルロースプレウォッシュ:
50mlチューブに1mlバッファーAあたり0.2 gのセルロースを溶かした後、ベンチトップスケールのセルロースカラムを準備する。バッファーAとBの組成は、下記表3の通りである。
【表3】
【0098】
IVT mRNAローディング:
500μlバッファーAに溶けているIVT mRNAを前記で準備したカラムに入れる。
セルロースとdsRNAが結合するようにローテーターを用いて、常温で30分間反応させる。
14,000gで1分間遠心分離し、フロースルーを回収して新しいカラムに移す。
再び常温で30分間反応させた後、同じ条件で遠心分離し、フロースルーを回収する。
mRNA沈殿:
回収液をイソプロパノール沈殿法でペレットを回収し、ヌクレアーゼフリー水で溶解させる。
【0099】
実施例3. 製造したmRNAの純度確認
3-1. IP-RP UPLC
mRNAの純度を確認するために、C18、C8等の逆相クロマトグラフィーカラムを使用して分析する。
分析時、TEAAを含むアルキルアンモニウムアセテート系列のイオン-ペアリング添加剤(例えば、TBAA、TPAA、DMBAA、HAA等)が入った水性バッファーとACNベースバッファーをクロマトグラフィーの移動相として使用する。アセトニトリル、メタノール等の有機溶媒を使用し、カラム洗浄及び保管時に使用する。弱い洗浄バッファーは水の含量が高いバッファーを使用し、強い洗浄バッファーとシール洗浄バッファーは、10~50%含量の有機溶媒を含むバッファーを使用する。
【0100】
ポンプAにTEAAが入った水性バッファーを連結し、ポンプBにTEAAが入ったACNベースバッファーを連結した後、初期プライムプロセスを行う。カラムを機器に連結し、初期勾配条件で5CV以上カラムに流し、平衡を維持させる。平衡化の間に△psi値が安定化されることを確認する。
mRNAを注入し、初期より有機溶媒比率を上げる勾配を反映して分析する。
分析が終わった後、カラム洗浄及び保管のためにアセトニトリル及びメタノール等の有機溶媒を用いて、10CV以上流す。
【0101】
3-2. ドットブロット
ドットブロットは、不純物である二本鎖RNA(Double strand RNA; dsRNA)を定性的に確認するための目的で行う。
プローブとしてJ2抗体は、これらのdsRNAに結合し、存在の有無を確認する目的で使用される。
正荷電ナイロンメンブレン(Merck/11417240001)に分析しようとするIVT mRNAを100~200ng/μL濃度の2μL容積でメンブレンに滴下し、常温で1時間以上完全に乾燥させる。
UVクロスリンカーを用いて、1250uJ/CM2、1サイクル条件でサンプルをメンブレンに架橋させた後、4%スキムミルク(in 1X TBST)ブロッキング溶液で、常温シェーカーで1時間反応させる。
J2の1次抗体を1:5000でブロッキング溶液に希釈し、シェーカーで4℃でオーバーナイト反応させる。
【0102】
この後、1X TBST溶液で10分間3回、常温シェーカーで洗浄し、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)が結合されたヤギ抗-マウス(IgG)2次抗体を1:5000でブロッキング溶液に希釈し、常温シェーカーで1時間反応させる。
この後、1X TBST溶液で10分間3回、常温シェーカーで洗浄した。
ECL試薬1、2溶液を1:1(v/v)で混ぜてメンブレンを湿らせ、10秒間感光した後、Chemi Doc機器を用いてバンドを可視化した。
【0103】
実施例4. 製造したmRNAの翻訳効率の確認
製造された mRNA の翻訳効率評価をルシフェラーゼ活性で確認する。
ヒト胎児腎HEK293T(human kidney embryonic cell line, ATCC CRL-3216)とHela(human cervix epitherlial cell, CCL2)細胞は、DMEM/ダルベッコ改変イーグル培地内に10%ウシ胎児血清(FBS)と1%ペニシリン/ストレプトマイシンの培地で培養し、Huh7(human liver cancer cell line, Korea cell line bank, 60104)とSNU423(human liver cancer cell line, Korea cell line bank, 00423)細胞は、RPMI-1640(Gibco)内に10%ウシ胎児血清(FBS)と1%ペニシリン/ストレプトマイシンの培地で培養する。
mRNA 250ngをリポフェクタミン3000(Invitrogen, Carlsbad, Calif)で12-ウェルプレートにトランスフェクションする。
【0104】
対照群としては、
1. ヒトαグロビンA(WO2020/198337由来配列修飾):
AGTCTTCTGGTCCCCACAGACTCAGAGAGAACCCACC(配列番号34)
2. シトクロムb-245α鎖CYBA(WO2020/198337):
AGTGCGCGCCTAGCAGTGTCCCAGCCGGGTTCGTGTCGCC(配列番号35)
3. Ref UTR no.1(US2020/0208145):
AGGAAATAAGAGAGAAAAGAAGAGTAAGAAGAAATATAAGAGCCACC(配列番号36)
4. Ref UTR no.2(US2020/0208145):
GGGAAATAAGAGAGAAAAGAAGAGTAAGAAGAAATATAAGACCCCGGCGCCGCCACC(配列番号37)
等を使用した。
【0105】
トランスフェクションされている96ウェルプレートに20μLのBright-gloルシフェラーゼアッセイ試薬を入れ、常温で10分間装置後、1分間96ウェルプレートを振盪する。
GloMaxナビゲータールミノメーターをインテグレーションタイムを0.3sに設定した後、準備したプレートのルシフェラーゼ活性を測定する。
【0106】
測定したプレートにDual-glo kitのstop gloルシフェラーゼアッセイ試薬を20μL分注した後、常温で10分間装置後、1分間プレートを振盪する。
GloMaxナビゲータールミノメーターを用いて、ルシフェラーゼ活性を測定する。
【0107】
その結果、図4及び図5に記載されるように、全ての細胞株において、対照群と比較し、本発明のUTRを含むmRNAの翻訳効率が顕著に優れていることを確認した。
【0108】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳細に記述したが、当業界における通常の知識を有する者にとって、このような具体的な記述は単に好ましい実施態様に過ぎず、これによって本発明の範囲が制限されない点は明らかであろう。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とそれらの等価物によって定義されるといえる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明による5'-UTRポリヌクレオチドは、翻訳効率が向上され、目的タンパク質の発現を効果的に誘導することができるため、様々なRNAベースの用途、例えば、ワクチン、インビボ/エクスビボ遺伝子治療剤等に活用することができ、有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
【配列表】
2024545435000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-06-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0095
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0095】
準備した鋳型DNAと共に、T7 RNAポリメラーゼ、バッファー、NTP(天然、化学修飾を含む)及びその他のIVTの必要な要素を表2のように、37℃で4時間(hr)反応させる(HiScribeTM T7 Quick High Yield RNA Synthesis Kit, NEB E2050S, US)。
【表2】
【国際調査報告】