(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】医薬製剤およびその製造のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
A61K 31/192 20060101AFI20241129BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241129BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20241129BHJP
A61K 9/72 20060101ALI20241129BHJP
A61P 31/06 20060101ALI20241129BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20241129BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20241129BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241129BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241129BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20241129BHJP
C07C 53/126 20060101ALI20241129BHJP
C07C 57/48 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
A61K31/192
A61P35/00
A61P37/04
A61K9/72
A61P31/06
A61P31/12 171
A61P31/04 171
A61K9/20
A61K9/08
A61K9/14
C07C53/126
C07C57/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533230
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 IB2022052935
(87)【国際公開番号】W WO2023099968
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】202121055757
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524209796
【氏名又は名称】サヴァ ヘルスケア エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】SAVA HEALTHCARE LTD
【住所又は居所原語表記】Sava Research Centre,17/6 Block D1,MIDC Chinchwad,Pune-Maharashtra 411019,India
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パドマナブハン,スリラム
(72)【発明者】
【氏名】ジャドハブ,ヴィノード ラムチャンドラ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA29
4C076AA36
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4H006AB23
4H006AB28
4H006AB29
4H006BJ50
4H006BS10
(57)【要約】
本開示は、医薬製剤およびその調製のためのプロセスに関する。医薬製剤は、桂皮酸および少なくとも1つの賦形剤を含む。本開示の医薬製剤は、改善された患者のコンプライアンス、および軽減された副作用を有する。本開示の医薬製剤は、シクロホスファミド誘発性好中球減少症の処置において使用されることができる。本開示はさらに、桂皮酸の調製のプロセスに関する。プロセスは単純および経済的である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
a)製剤の全質量に対して0.1質量%~10質量%の範囲にある量における薬学的に活性な剤としての桂皮酸;および
b)製剤の全質量に対して90質量%~99.9質量%の範囲にある量における少なくとも1つの賦形剤を含む、医薬製剤。
【請求項2】
前記賦形剤は、溶媒、着色剤、潤滑剤、希釈剤および崩壊剤からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記溶媒は、水、エタノールおよびイソプロピルアルコールから選択される少なくとも1つであり;前記着色剤は、酸化鉄黄色NF;色素ブリリアントブルースープラ;FD&C緑色3号;およびサンセットイエローから選択され;前記潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカおよびステアリン酸から選択される少なくとも1つであり;前記崩壊剤は、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される少なくとも1つであり;ならびに、前記希釈剤は、ポリエチレングリコール、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル、および、D-マンニトール-キシリトール-微結晶セルロース-クロスポビドン-無水リン酸二カルシウムの組み合わせ混合物から選択される、請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記製剤は、経口製剤、注射用製剤、乾燥粉末吸入製剤、定量吸入製剤、軟膏、ゲル、パッチ、眼科用製剤、およびスプレーから選択される形態である、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記経口製剤は、製剤の全質量に対して0.1質量%~5質量%の範囲にある量における桂皮酸、および製剤の全質量に対して95質量%~99.9質量%の範囲にある量における少なくとも1つの賦形剤を含み、前記賦形剤は、溶媒、着色剤、潤滑剤、希釈剤および崩壊剤からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記溶媒は、水、エタノールおよびイソプロピルアルコールから選択される少なくとも1つであり;前記着色剤は、酸化鉄黄色NF;色素ブリリアントブルースープラ;FD&C緑色3号;およびサンセットイエローから選択され;前記潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、およびステアリン酸から選択される少なくとも1つであり;前記崩壊剤はカルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される少なくとも1つであり;ならびに、前記希釈剤は、ポリエチレングリコール、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル、および、D-マンニトール-キシリトール-微結晶セルロース-クロスポビドン-無水リン酸二カルシウムの組み合わせ混合物から選択される、請求項5に記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記注射用製剤は、製剤の全質量に対して1質量%~10質量%の範囲にある量における桂皮酸、および製剤の全質量に対して90質量%~99質量%の範囲にある量における、ポリエチレングリコール、水、エタノール、プロピレングリコール、乳酸エチルおよびジメチルスルホキシドからなる群から選択される、少なくとも1つの賦形剤を含む、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記乾燥粉末吸入製剤は、
a.製剤の全質量に対して1質量%~5質量%の範囲にある量における、0.1μm~10μmの範囲にある粒子サイズを有する微粉化された桂皮酸;
b.製剤の全質量に対して10質量%~30質量%の範囲にある量における、20μm~300μmの範囲にある粒子サイズを有する第1のラクトース;
c.製剤の全質量に対して75質量%~85質量%の範囲にある量における、0.1μm~10μmの範囲にある粒子サイズを有する第2のラクトース;および
d.製剤の全質量に対して0.1質量%~1質量%の範囲にある量における賦形剤、
を含み、
ここで、前記第1のラクトースと前記第2のラクトースとの質量比は、1:2~1:5の範囲にある、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記賦形剤は、ステアリン酸マグネシウムである、請求項8に記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記乾燥粉末吸入製剤の質量空気動力学的中位径(MMAD)は、2μm~5μmの範囲にある、請求項8に記載の医薬製剤。
【請求項11】
前記第1のラクトースの平均粒子サイズ(d10)は、35μm~65μmの範囲にあり;前記第1のラクトースの平均粒子サイズ(d50)は、95μm~125μmの範囲にあり;および前記第1のラクトースの平均粒子サイズ(d90)は、160μm~190μmの範囲にある、請求項8に記載の医薬製剤。
【請求項12】
前記第2のラクトースの平均粒子サイズ(d10)は、0.01μm~1μmの範囲にあり;前記第2のラクトースの平均粒子サイズ(d50)は、1μm~5μmの範囲にあり;および前記第2のラクトースの平均粒子サイズ(d90)は、1μm~10μmの範囲にある、請求項8に記載の医薬製剤。
【請求項13】
前記桂皮酸が、トランス桂皮酸およびシス桂皮酸から選択される、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記桂皮酸が、1.5mg/kg体重~30mg/kg体重の範囲にある用量にて投与される、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項15】
前記製剤は、抗好中球減少活性、抗結核活性、抗マラリア活性、COVID-19に対する抗ウイルス活性、抗菌活性および心血管活性を有する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項16】
哺乳動物に、1.5mg/kg体重~30mg/kg体重の範囲にある量において治療的に有効な量の桂皮酸を投与することを含む、哺乳動物における好中球減少症、結核、マラリア、ウイルス感染、細菌感染および心血管疾患を処置する方法。
【請求項17】
前記哺乳動物はヒトである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記治療的に有効な量の桂皮酸は、15mg/kg体重~25mg/kg体重の範囲にある、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
好中球減少症、結核、マラリア、ウイルス感染、細菌感染および心血管疾患の処置のための、請求項1に記載の医薬製剤の使用。
【請求項20】
桂皮酸の調製のためのプロセスであって、以下のステップ:
a)ピクロシド1を第1の流体媒体において混合し、続いて少なくとも1つのアルカリ水酸化物を撹拌下で添加し、混合物を得ること;
b)前記混合物を、25℃~35℃の範囲にある温度にて、予め決められた時間の期間維持し、続いて前記混合物を塩酸で中和して中和混合物を得ること;
c)前記中和混合物から前記流体媒体を真空下で40℃~50℃の範囲にある温度にて除去して、塩をともなう分解されたピクロシド1を含む乾燥粉末を得ること;
d)第2の流体媒体を前記乾燥粉末に混合し、塩なしの分解されたピクロシド1を含む溶液を得ること;および
e)前記溶液をデカントし、続いて前記溶液から前記第2の流体媒体を40℃~50℃の範囲にある温度にて蒸発させ、桂皮酸(塩なしの分解されたピクロシド1)を得ること、
を含む、前記プロセス。
【請求項21】
前記第1の流体媒体は水であり、前記第2の流体媒体は、メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールである、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
前記アルカリ水酸化物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化カルシウムである、請求項20に記載のプロセス。
【請求項23】
前記ピクロシド1と前記アルカリ水酸化物との比が0.01:50である、請求項20に記載のプロセス。
【請求項24】
前記予め決められた時間の期間は、30分~2時間の範囲にある、請求項20に記載のプロセス。
【請求項25】
1.5mg/kg体重~30mg/kg体重の範囲にある治療的に有効な量を有する、好中球減少症、結核、マラリア、ウイルス感染、細菌感染および心血管疾患の処置のための、請求項20に記載されるとおりに調製された桂皮酸の使用。
【請求項26】
製剤の全質量に対して、前記桂皮酸は、0.1質量%~10質量%の範囲にある量において、90質量%~99.9質量%の範囲にある量における少なくとも1つの賦形剤とともに存在する、好中球減少症、結核、マラリア、ウイルス感染、細菌感染および心血管疾患の処置のための、請求項20に記載されるとおりに調製された桂皮酸の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、医薬製剤およびその調製のためのプロセスに関する。
【0002】
定義
本開示において使用されるように、以下の用語は、使用される文脈が別途指し示す範囲を除き、一般に、以下に規定される意味を有することが意図される。
【0003】
MMAD(質量空気動力学的中位径(mass median aerodynamic diameter))は、それにて、質量によって、エアロゾルの粒子の50%が大きく、および50%が小さい直径を指す。
FPF(微粒子分率)は、微粒子の用量を総放出量で割った割合を指す。
初回通過代謝は、薬剤が体内の特定の位置で代謝され、作用の部位または全身循環に到達したときに活性薬剤の濃度の低減をもたらす現象を指す。
【0004】
D10は、特定された値を下回る直径をもつ粒子の割合が10%であることを指す。
D50は、特定された値よりも小さい直径をもつ粒子、および特定された値よりも大きい直径をもつ粒子の割合が50%であることを指す。中位径(median diameter)としてもまた知られる。
D90は、特定された値を下回る直径をもつ粒子の割合が90%であることを指す。
【0005】
F-MELT(登録商標)タイプCは、炭水化物、崩壊剤、および無機成分の独自の処方であり、口腔内崩壊錠(ODT)のためのプレミックスとしてデザインされている。
GCSFは、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSFまたはGCSF)であり、コロニー刺激因子3(CSF3)としてもまた知られ、骨髄を刺激して顆粒球と幹細胞を生成し、および血流中へ放出する糖タンパク質である。
【0006】
FD&C色素(FD and C color)は、1938年の連邦食品・医薬品・化粧品法およびこれに続く法令によって、認定バッチにおいて食品、医薬品、化粧品に使用することが許可されている合成着色料である。
純粋なピクロシドド1(Pure Picrside 1)は、天然に存在するイリドイド配糖体であり、および植物、Picrorhiza kurroaから得られる。
【0007】
塩をともなうピクロシド1(Picroside 1 with salt)は、天然に存在するピクロシド1(Picroside 1)を強制アルカリ水酸化物分解することによって得られる。塩は、分解された形態において、無傷のまま残存する。
塩なしのピクロシド1(Picroside 1 without salt)は、本開示による桂皮酸であり、天然に存在するピクロシド1の強制アルカリ水酸化物分解によって得られる。塩は、この分解された形態で、第2の流体媒体(メタノール)を使用することによって、除去される。
【背景技術】
【0008】
背景
本明細書中の以下の背景情報は、本開示に関するが、しかし必ずしも先行技術ではない。
【0009】
共通に桂皮酸と呼ばれる、3-フェニル-2-プロペン酸は、白色の結晶性固体で、および低密度に甘い、蜂蜜のような芳香を有する。桂皮酸およびその誘導体は、様々な果物、野菜、および花において幅広く分布している。桂皮酸は、トランス桂皮酸およびシス桂皮酸の両方として見出される。より安定な異性体は、トランス異性体であり、天然に存在し、および通常の市販用の製品である。桂皮酸は、抗酸化剤、抗菌剤、治癒剤、抗真菌剤、および抗がん剤等々として作用する。それは、熱可塑性プラスチックおよび香味剤の合成のための前駆体として使用され、ならびに化粧品健康食品においてもまた、幅広く使用されている。
【0010】
現シナリオにおいて、がんは世界中で最も致命的な死亡原因であり、および世界中で極めて顕著な病気であり、主に米国、ヨーロッパ、およびその他の地域で何百万人もの人々に影響を及ぼしている。目下、悪性がん細胞の予防および/または処置のために、化学療法、ホルモン療法、免疫療法、放射線療法、手術、および標的療法を包含する、数多くの利用可能な処置がある。中でも、化学療法はより普及しており、およびがん細胞の処置の目的で頻繁に使用されている。アルキル化化学療法剤である、シクロホスファミドは、悪性腫瘍および非悪性腫瘍を処置するために、臨床において、幅広く使用されている薬剤である。しかしながら、その幅広いスペクトラムの臨床用途にかかわらず、ヒトおよび実験動物の両方において、正常細胞に対して重度の細胞毒性を呈する。その代謝物は、タンパク質、膜脂質、RNA、ならびにDNAなどの細胞高分子とともに相互作用し得、およびアポトーシスを誘導する。その代謝物の1つ、すなわち、アクロレインは、正常細胞のDNA損傷へつながる酸化ストレスを引き起こし、および様々な臓器に毒性を引き起こす。最も深刻な影響を受ける部位の1つは、骨髄の造血コンパートメントである。実に、好中球減少症は、細胞毒性化学療法の最も共通のおよび頻出の副作用である。その他の治療法はより費用が高く、貧血、食欲不振、血小板減少症、脱毛症、末梢神経障害などの重篤かつ/または生命を脅かす有害事象を有する。
【0011】
シクロホスファミド誘発性好中球減少症の有効な管理および治療のための承認された医薬は存在しないため、安全であり、および増強された効き目を有する製剤の研究開発のための余地がある。
【0012】
したがって、本明細書の上記の不利益を軽減する医薬製剤の必要が感じられる。
【発明の概要】
【0013】
課題
本明細書の少なくとも1つの態様が満たす本開示の課題のいくつかは、以下の通りである。
本開示の課題は、従来技術の1つ以上の問題を改善すること、または少なくとも有用な代替手段を提供することである。
本開示の課題は、医薬製剤を提供することである。
【0014】
本開示の別の課題は、桂皮酸の医薬製剤を提供することである 。
本開示のもう1つの課題は、費用対効果のよく、およびすべての種類の化学療法誘発性好中球減少症に使用されることができる桂皮酸の医薬製剤を提供することである。
【0015】
本開示の課題は、初回通過代謝を回避する桂皮酸の乾燥粉末吸入製剤の形態で医薬製剤を提供することである。
本開示の別の課題は、低減された用量にて等価な/増強された有効性を発揮する桂皮酸の乾燥粉末吸入製剤の形態で医薬製剤を提供することである。
【0016】
本開示のもう1つの課題は、注射用製剤の形態で桂皮酸の医薬製剤を提供することである。
本開示の別の課題は、経口製剤の形態で桂皮酸の医薬製剤を提供することである。
【0017】
本開示のもう1つの課題は、桂皮酸の調製のための単純なプロセスを提供することである。
本開示の他の課題および利点は、以下の説明からより明らかになるであろうが、以下の記載は、本開示の視野を制限することを意図されるものではない。
【0018】
概要
本開示は、医薬製剤および医薬製剤の調製のためのプロセスに関する。
【0019】
ある側面において、医薬製剤は、桂皮酸を製剤の全質量に対して0.1質量%~10質量%の範囲にある量において含み、および少なくとも1つの賦形剤を、製剤の全質量に対して90質量%~99.9質量%の範囲にある量において含む。桂皮酸は、シス桂皮酸およびトランス桂皮酸から選択される。
【0020】
別の側面において、本開示は、桂皮酸の調製のプロセスに関する。このプロセスは、ピクロシド1を第1の流体媒体と混合し、およびアルカリ水酸化物を、続いて撹拌下で添加し、混合物を得ることを含む。混合物を、25℃~35℃の範囲にある温度にて予め決められた時間の期間維持し、続いて混合物を塩酸で中和することにより、中和混合物を得る。中和混合物から、流体媒体を、真空下で40℃~50℃の範囲にある温度にて除去し、分解されたピクロシド1と塩とを含む乾燥粉末を得る。乾燥粉末を、第2の流体媒体と混合して、塩なしの分解されたピクロシド1を含む溶液を得る。溶液を、デカントし、および40℃~50℃の範囲にある温度にて溶液から第2の流体媒体を蒸発させて、桂皮酸(塩なしの分解されたピクロシド1)を得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
添付の図面の簡単な説明
本開示は、直ちに、添付の図面の助力とともに、記載されるであろう、それにおいて、
【
図1A】
図1Aは、本開示によるNGI(次世代インパクター)のステージ2からステージ6までの放出あたりの薬剤分布のパターンを例証するグラフである;
【
図1B】
図1Bは、本開示に従って、デバイスからMOC(マイクロオリフィスコレクター、他のインパクターでは通常最終フィルターにおいて収集される薬剤の極めて小さな粒子を収集カップにおいて捕捉する)への排出当たりの薬剤分布パターンを提示するグラフを、例証する;
【0022】
【
図2】
図2は、本開示による、桂皮酸の乾燥粉末吸入(DPI)製剤の累積(%アンダーサイズ)粒子サイズ分布および様々なステージにおける薬剤分布を示すグラフを、例証する;
【0023】
【
図3A】
図3Aは、本開示による、純粋なピクロシド1のHPLCクロマトグラムを、例証する;
【
図3BC】
図3Bは、本開示による、塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)のHPLCクロマトグラムを、例証する;
図3Cは、本開示による、塩をともなう分解されたピクロシド1のHPLCクロマトグラムを、例証する;
【0024】
【
図3DE】
図3Dは、本開示による、純粋なピクロシド1およびメタノール(ブランク溶液)の質量クロマトグラムを、例証する;
図3Eは、本開示による、塩なしの分解されたピクロシド1の質量スペクトルを、例証する;
【
図3FG】
図3Dは、本開示による、純粋なピクロシド1およびメタノール
図3Fは、本開示による、塩なしの分解されたピクロシド1のFTIRスペクトルを、例証する;
【0025】
【
図3HI】
図3Gは、本開示による、塩なしの分解されたピクロシド1の1H-NMRスペクトルを、例証する;
図3Hは、本開示による、塩なしの分解されたピクロシド1の
13C-NMRスペクトルを、例証する;
図3Iは、本開示による、塩なしの分解されたピクロシド1のUVスペクトルを、例証する;
【
図3J】
図3Jは、本開示による、市販の合成桂皮酸のUVスペクトルを、例証する;
【0026】
【
図4A】
図4Aは、シクロホスファミド誘発性の血液学的変化における、純粋なピクロシド1と、塩をともなう分解されたピクロシド1との、対照およびGCSF(顆粒球コロニー刺激因子)に対する比較効果を、例証する;
【
図4B】
図4Bは、シクロホスファミド誘発肝毒性における、純粋なピクロシド1と、塩をともなう分解されたピクロシド1との、対照およびGCSF(顆粒球コロニー刺激因子)に対する比較効果を、例証する;
【0027】
【
図5A】
図5Aは、シクロホスファミド誘発血液学的変化における、純粋なピクロシド1と、塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)と、市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置と、市販の合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置との、対照およびGCSF(顆粒球コロニー刺激因子)に対する比較効果を、例証する;および
【
図5AB】
図5Aは、シクロホスファミド誘発血液学的変化における、純粋なピクロシド1と、塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)と、市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置と、市販の合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置との、対照およびGCSF(顆粒球コロニー刺激因子)に対する比較効果を、例証する。
図5Bは、シクロホスファミド誘発肝毒性および腎変化における、純粋なピクロシド1と、塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)と、市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置と、市販の合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置との対照およびGCSF(顆粒球コロニー刺激因子)に対する比較効果を、例証する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
詳細な説明
本開示の態様は、添付の図面を参照し、直ちに記載されるだろう。
【0029】
態様は、本開示の視野を、当業者へ徹底的にかつ完全に、伝えるために提供される。特定の構成要素、および方法に関する、無数の詳細が記述され、本開示の態様の完全な理解が提供される。態様で提供される詳細が、本開示の視野を制限するものと解釈されるべきではないことは、当業者にとって明らかであろう。いくつかの態様において、周知のプロセス、周知の装置構造、および周知の技術については、詳細に記載されない。
【0030】
本開示において使用される専門用語は、具体的な態様を説明するためのみのものであり、およびかかる専門用語は、本開示の視野を制限するものと考慮されないものとする。本開示において使用される「a」、「an」、および「the」という形態は、文脈が明確に他のことを提案しない限り、複数形もまた包含することが、意図されていてもよい。「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、「包含すること(including)」、および「有する(having)」という用語は、制限のない移行句であり、およびしたがって、述べられた特徴、整数、ステップ、操作、要素、モジュール、ユニット、および/または構成要素の存在をと特定するが、しかし1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在あるいは追加を禁止するものではない。本開示の方法およびプロセスにおいて開示されるステップの具体的な順序は、記載されるか、または例証されるとおりのそれらの実行を、必然的に要求するとして解釈されるべきではない。追加のまたは代替のステップが採用されてもよいこともまた、理解されるべきである。
【0031】
アルキル化化学療法剤であるシクロホスファミドは、悪性腫瘍および非悪性腫瘍の治療に臨床おいて広く適用されている薬剤である。しかしながら、その幅広いスペクトラムの臨床用途にかかわらず、ヒトおよび実験動物の両方において、正常細胞に対して重度の細胞毒性を呈する。その代謝物は、タンパク質、膜脂質、RNA、ならびにDNAなどの細胞高分子とともに相互作用することができ、およびアポトーシスを誘導する。その代謝物の1つ、すなわち、アクロレインは、正常細胞のDNA損傷へつながる酸化ストレスを引き起こし、および様々な臓器に毒性を引き起こす。最も深刻な影響を受ける部位の1つは、骨髄の造血コンパートメントである。実に、好中球減少症は、細胞毒性化学療法の最も共通のおよび頻出の副作用である。その他の処置は、より費用が高く、および貧血、食欲不振、血小板減少症、脱毛症、末梢神経障害などの重篤かつ/または生命を脅かす有害事象を有する。
【0032】
現状況を考慮すると、シクロホスファミド誘発性好中球減少症の有効な管理および処置のための承認済み薬の不在から、安全および有効である医薬組成物を開発する余地がある。
本開示は、医薬製剤およびその調製プロセスを提供する。
【0033】
本開示の一側面において、医薬 製剤は、 製剤の全質量に対して0.1質量%~10質量%の範囲にある量における医薬活性剤としての桂皮酸と、製剤の全質量に対して90質量%~99.9質量%の範囲にある量における少なくとも1つの賦形剤とを含む。
【0034】
桂皮酸は、トランス桂皮酸およびシス桂皮酸から選択される。
賦形剤は、溶媒、着色剤、潤滑剤、希釈剤および崩壊剤からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0035】
本開示によると、溶媒は、水、エタノールおよびイソプロピルアルコールから選択される少なくとも1つである。着色剤は、FD&C色素(FD and C color)から選択される。潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、ステアリン酸から選択される少なくとも1つである。崩壊剤は、カルボキシメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される少なくとも1つである。希釈剤は、ポリエチレングリコール、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル、および、D-マンニトール-キシリトール-微結晶セルロース-クロスポビドン-無水リン酸二カルシウム(Anhydrous dibasic calcium phosphate)の組み合わせ混合物から選択される。
【0036】
一態様において、医薬製剤は、経口製剤、注射用製剤、および吸入製剤、定量吸入製剤、軟膏、ゲル、パッチ、眼科用製剤、およびスプレーから選択される形態である。例示的な態様において、医薬製剤は、経口製剤の形態である。別の例示的な態様において、医薬製剤は、注射用製剤の形態である。さらに別の態様において、医薬製剤は、乾燥粉末吸入製剤の形態である。
【0037】
一態様において、医薬製剤は、経口製剤の形態である。経口製剤は、錠剤、カプセル剤、軟膏剤、ゲル剤、洗口剤、および懸濁液からなる群から選択される剤形においてである。例示的な態様において、経口医薬製剤の剤形は、錠剤である。経口製剤は、製剤の全質量に対して0.1質量%~5質量%の範囲にある量における桂皮酸と、製剤の全質量に対して95質量%~99.9質量%の範囲にある量における少なくとも1つの賦形剤とを含む。
【0038】
一態様において、賦形剤は、溶媒、着色剤、潤滑剤、希釈剤、および崩壊剤からなる群から選択される少なくとも1つである。
一態様において、溶媒は、水、エタノールおよびイソプロピルアルコールからなる群から選択される少なくとも1つである。例示的な態様において、溶媒は、水である。
【0039】
一態様において、溶媒は、賦形剤の全質量に対して10質量%~50質量%の範囲における量においてである。例示的な態様において、溶媒の量は、賦形剤の全質量に対して充分な量(質量%)である。
【0040】
一態様において、着色剤は、FD&C色素(FD&C color)から選択される少なくとも1つである。例示的な態様において、着色剤は、酸化鉄黄色NF(Iron Oxide yellow NF)、ブリリアントブルースープラ(brilliant Blue supra)、FD&C緑色3号(Green 3)、およびサンセットイエロー(sunset yellow)から選択される。
【0041】
一態様において、着色剤は、賦形剤の全質量に対して0.5質量%~2質量%の範囲にある量においてである。例示的な態様において、着色剤の量は、賦形剤の全質量に対して0.7質量%である。
【0042】
一態様において、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、およびステアリン酸からなる群から選択される少なくとも1つである。例示的な態様において、潤滑剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0043】
一態様において、潤滑剤は、賦形剤の全質量に対して0.5質量%~2質量%の範囲にある量においてである。例示的な態様において、潤滑剤の量は、賦形剤の全質量に対して0.7質量%である。
【0044】
一態様において、崩壊剤は、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびFメルト(F melt)タイプCからなる群から選択される少なくとも1つである。例示的な態様において、崩壊剤はFメルトタイプCである。
【0045】
一態様において、崩壊剤は、賦形剤の全質量に対して95質量%~98質量%の範囲にある量においてである。例示的な態様において、崩壊剤の量は、賦形剤の全質量に対して96質量%である。
【0046】
一態様において、希釈剤は、ポリエチレングリコール、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル、および、D-マンニトール-キシリトール-微結晶セルロース-クロスポビドン-無水リン酸二カルシウムの組み合わせ混合物から選択される。
【0047】
一態様において、賦形剤の総量は、製剤の全質量に対して95質量%~99.9質量%の範囲にある。
【0048】
一態様において、医薬製剤は注射用製剤である。注射用製剤は、製剤の全質量に対して1質量%~10質量%の範囲にある量における桂皮酸と、製剤の全質量に対して90質量%~99質量%の範囲にある量における少なくとも1つの賦形剤とを含む。
【0049】
一態様において、少なくとも1つの賦形剤は、ポリエチレングリコール、水、エタノール、乳酸エチル、プロピレングリコール、およびジメチルスルホキシドからなる群から選択される。例示的な態様において、賦形剤は、アルコールとポリエチレングリコール、アルコールおよび水、アルコールおよびジメチルスルホキシド、アルコールおよびエチル乳酸、アルコールおよびプロピレングリコールの組み合わせである。
【0050】
一態様において、医薬製剤は、微粉化桂皮酸、第1のラクトース、第2のラクトースおよび少なくとも1つの賦形剤を含む乾燥粉末吸入製剤である。
【0051】
一態様において、微粉化された桂皮酸は、0.1μm~10μmの範囲にある粒子サイズを有する。例示的な態様において、微粉化桂皮酸の粒子サイズは1~5μmである。
【0052】
一態様において、微粉化桂皮酸は、製剤の全質量に対して1質量%~5質量%の範囲にある量においてである。例示的な態様において、微粉化桂皮酸の量は2.4質量%においてである。
【0053】
一態様において、第1のラクトースは、20μm~300μmの範囲にある粒子サイズを有する。例示的な態様において、第1のラクトースの粒子サイズは35~190μmである。
一態様において、第1のラクトースは、製剤の全質量に対して10質量%~30質量%の範囲にある量においてである。例示的な態様において、第1のラクトースの量は、19質量%である。
【0054】
一態様において、第1のラクトースは、レスピトースSV010である。
一態様において、第1のラクトースの平均粒子径(d10)は、35μm~65μmの範囲にある。
一態様において、第1のラクトースの平均粒子径(d50)は、95μm~125μmの範囲にある。
【0055】
一態様において、第1のラクトースの平均粒子径(d90)は、160μm~190μmの範囲にある。
一態様において、第2のラクトースは、0.1μm~10μmの範囲にある粒子サイズを有する。一例として、第2のラクトースは、0.8~7.5μmである粒子サイズを有する。
【0056】
一態様において、第2のラクトースは、製剤の全質量に対して75質量%~85質量%の範囲にある量においてである。例示的な態様において、第2のラクトースの量は、78質量%である。
一態様において、第2のラクトースは、ファーマトース-450Mである。
【0057】
一態様において、第2のラクトースの平均粒子径(d10)は、0.01μm~0.1μmの範囲にある。
一態様において、第2のラクトースの平均粒子径(d50)は、1μm~5μmの範囲にある。
一態様において、第2のラクトースの平均粒子径(d90)は、1μm~10μmの範囲にある。
【0058】
一態様において、第1のラクトースと第2のラクトースの質量比は、1:2~1:5の範囲にある。例示的な態様において、第1のラクトースと第2のラクトースとの質量比は、1:4である。
一態様において、賦形剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸亜鉛から選択される。例示的な態様において、賦形剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0059】
一態様において、賦形剤は、製剤の全質量に対して0.1質量%~1質量%の範囲にある量である。例示的な態様において、賦形剤の量は、0.32質量%である。
【0060】
一態様において、乾燥粉末吸入製剤の平均質量空気動力学的直径(MMAD)は、2μm~5μmにおける範囲である。例示的な態様において、乾燥粉末吸入製剤の平均質量空気動力学的直径(MMAD)は4.26μmである。
【0061】
このようにして得られた乾燥粉末吸入(DPI)製剤は、カプセル充填機を使用してサイズ3のHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)カプセルに充填される。
本開示は、初回通過代謝を回避する乾燥粉末吸入製剤を、提供する。本開示の製剤は、低減された用量で治療的に有効であり、および患者のコンプライアンスの向上もまた観察された。
【0062】
一態様において、桂皮酸の医薬製剤は、体重1kgあたり1.5mg/kg体重~30mg/kg体重の範囲の用量にて、投与される。
一態様において、医薬製剤は、抗好中球減少活性を有する。
【0063】
別の態様において、医薬製剤は、抗結核活性、抗マラリア活性および心血管活性を有する。
一態様において、医薬製剤は、既知の抗結核薬とさらに組み合わせられる。
【0064】
一態様において、医薬製剤は、ハーブ抽出粉末中に存在する、COVID-19に対する抗ウイルス活性と、Bacillus subtilisおよびE. coli等の細菌に対する抗菌活性とを有する。
【0065】
一態様において、シス桂皮酸の医薬製剤は、桂皮酸のトランス型よりも120倍効果的である。
一態様において、シス桂皮酸の医薬製剤は、経口製剤、注射製剤、吸入製剤、局所製剤、および眼科用製剤の形態である。
【0066】
一態様において、シス桂皮酸の医薬製剤は、好中球減少症、結核、マラリア、および心血管疾患の治療に使用される。
本開示はさらに、哺乳動物における好中球減少症、結核、マラリア、ウイルス感染、細菌感染および心血管疾患を処置する方法を提供し、この方法は、哺乳動物に、1.5mg/kg体重~30mg/kg体重の範囲にある量の治療的に有効な量の桂皮酸を投与することを含む。
【0067】
本開示の一態様において、哺乳動物は、ヒトである。
本開示の一態様において、桂皮酸の治療的に有効な量は、15mg/kg体重~25mg/kg体重の範囲にある。
【0068】
本開示の態様において、医薬製剤は、好中球減少症、結核、マラリア、ウイルス感染症、細菌感染症、および心血管疾患の治療に使用される。
【0069】
本開示の態様において、桂皮酸は、好中球減少症、結核、マラリア、ウイルス感染症、細菌感染症、および心血管疾患の治療に使用され、桂皮酸の治療的に有効な量は、1.5mg/kg体重~30mg/kg体重の範囲にある。
【0070】
治療的に有効な量は、患者に投与された場合に、かかる疾患または状態の治療に効果があり、望ましい効果を呈するのに充分な化合物の量を指す。
本開示の別の態様において、桂皮酸の調製のためのプロセスが提供される。
【0071】
プロセスは、詳細に説明される。
第1のステップにおいて、純粋なピクロシド1は、第1の流体媒体と混合され、および同時にアルカリ水酸化物を、撹拌下で添加し、混合物を得る。
一態様において、第1の流体媒体は、水である。
【0072】
一態様において、アルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化カルシウムである。
一態様において、ピクロシド1のアルカリ水酸化物への比は、0.01:50である。
第2のステップにおいて、混合物は、25~35℃の範囲にある温度にて予め決められた時間の期間維持され、続いて混合物を塩酸によって中和することにより、中和混合物を得る。
【0073】
一態様において、予め決められた時間の期間は、30分~2時間の範囲にある。例示的な態様において、予め決められた時間の期間は1時間である。
第3のステップにおいて、流体媒体は、中和混合物から、真空下で40℃~50℃の範囲にある温度にて除去され、塩をともなう分解されたピクロシド1を含む、乾燥粉末を得る。
【0074】
第4のステップにおいて、乾燥粉末を第2の流体媒体と混合して、塩なしの分解されたピクロシド1を含む溶液を得る。一態様において、このようにして得られた塩(NaCl)は底に静置される(静置塩)。
一態様において、第2の流体媒体は、メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールである。
【0075】
第5のステップにおいて、溶液は、デカントされ、続いて40℃~50℃の温度にて溶液から第2の流体媒体を蒸発させて、桂皮酸(塩なしの分解されたピクロシド1)を得る。
一態様において、デカンテーション後、静置塩を第2の流体媒体でさらに洗浄し、および洗浄された第2の流体媒体を蒸発させて桂皮酸を得る。
【0076】
本開示によって調製される0.1質量%~10質量%の範囲にある量における桂皮酸は、90質量%~99.9質量%の範囲にある量における少なくとも1つの賦形剤とともに、好中球減少症、結核、マラリア、ウイルス感染、細菌感染および心血管疾患の治療のために製剤化され、ここで各成分の質量パーセンテージは、桂皮酸および賦形剤の全質量に対するものである。
【0077】
態様に関する前述の説明は、例証の目的のために提供されており、および本開示の視野を制限することを意図するものではない。特定の態様の個々の構成要素は、一般に、その特定の態様に限定されないが、しかし互換性がある。かかるバリエーションは、本開示からの逸脱とはみなされず、およびかかる変更はすべて本開示の視野の内にあると、考慮される。
【0078】
本開示は、以下の実験を踏まえてさらに説明されるが、実験は例示目的のみで提示されており、および本開示の視野を制限するものとして解釈されるべきではない。以下の実験は、工業/商業規模まで拡大することができ、得られた結果は工業規模に、外挿され得る。
【0079】
実験の詳細
例1:湿式造粒法を使用することによる錠剤の形態で桂皮酸の医薬製剤の調製:
湿式造粒法を用いて、錠剤の形態で桂皮酸の医薬製剤を調製した。このプロセスは、以下のステップを含む;2mg/錠の桂皮酸を5gmの水に溶解して薬剤の溶液を得る。67.5mg/錠のFメルトタイプCおよび0.5mg/錠の青色色素を、40および80番のふるいを通して、ポリ袋において5分間混合して、混合物を得た。FメルトタイプC、青色色素、および薬剤溶液のブレンドを、湿式造粒機に移し、桂皮酸の顆粒を得た。顆粒を、オーブンで60℃にて、15分間乾燥させ、乾燥顆粒を得た。乾燥顆粒を、40番のふるいを通して、およびブレンダーに充填し、粉末を得た。0.5mg/錠のステアリン酸マグネシウムを、粉末に添加し、およびポリ袋において5分間混合し、および圧縮機に移し、桂皮酸の非コーティング錠を得た。桂皮酸の非コーティング錠を、表2において与えられるように、様々な錠剤パラメータを、評価することによって、特徴付けた。
【0080】
表1
【表1】
F-Melt(登録商標)タイプCは、D-マンニトール-キシリトール-微結晶セルロース-クロスポビドン-無水リン酸二カルシウムの組み合わせ混合物である。
【0081】
【0082】
例2:比較製剤
比較製剤を、下の表3において例証されるとおり、製剤によって原料の濃度を変動させることによって、実施例1に開示されたものと同様のやり方において調製した。
【表3】
【0083】
実施例3A:市販の合成桂皮酸を使用することによる、注射用形態での桂皮酸(6mg/ml)の医薬製剤の調製:
6mgの桂皮酸を、300μlの100%エタノールに溶解し、5分間超音波処理しおよび、次に5%PEG400/5%DMSO/5%エチル乳酸で1mlに希釈し、注射用形態(注射用製剤)で、桂皮酸の透明な溶液を得た。製剤を、ICHガイドラインにより、安定性について評価した。桂皮酸(6mg/ml)の注射用製剤の安定性パラメータは、以下の表4aおよび4bにおいて、表示される。
【0084】
【0085】
【0086】
推論:表4aおよび4bから、安定性について試験したすべての希釈液において、6mg/mlの製剤が安定していることが明らかである。30%エタノールの存在は、本開示の桂皮酸(塩なしの分解されたピクロシド1)が、可溶性形態で残存することを確実にする。
【0087】
例3B:市販の合成桂皮酸(2mg/ml)の注射用形態での医薬製剤の調製
2mgの桂皮酸を、300μlの100%エタノールに溶解し、5分間超音波処理し、および次に5%PEG400/5%DMSO/5%乳酸エチル/1.4%プロピレングリコール/水によって1mlになるように希釈して、市販の合成桂皮酸(2mg/ml)の透明な溶液を得た。製剤を、ICHガイドラインにより、安定性について評価した。桂皮酸(2mg/ml)の注射用製剤の安定性パラメータを、下の表4cおよび4dに表示する。
【0088】
【0089】
【0090】
推論:4cおよび4dから、2mg/ml桂皮酸の注射用製剤が、安定性について試験されたすべての希釈剤中で安定していることが明らかである。30%エタノールの存在は、桂皮酸が溶液中、可溶性の状態で残存することを確実にする。
【0091】
実施例4:乾燥粉末吸入剤形の桂皮酸の医薬製剤の調製:
乾式混合:
0.6グラムの微粉化桂皮酸、4.76グラムのRespitose SV010(第1のラクトース)、および19.56グラムのPharmatose 450M(吸入グレードラクトース(第2のラクトース))を二重裏地のポリ袋を使用して混合し、80メッシュサイズを使用してふるいをとおして、薬剤ラクトースブレンドを得た。個別に、ステアリン酸マグネシウム0.08g(gms)を、混合しおよび薬剤ラクトースブレンドに添加して混合物を得、および混合物を、15rpmの速度にて30分間ブレンドして、桂皮酸の乾燥粉末吸入(DPI)製剤を得た。このようにして得られた桂皮酸の乾燥粉末吸入(DPI)製剤を、カプセル充填機を使用してサイズ3のHPMCカプセルに充填した。
【0092】
例5:桂皮酸のin vitro空気力学的粒度分布
空気力学的粒度分布(APSD)またはエアロゾル化性能は、経口吸入医薬品(OINDP)のin vitro特徴づけのために、不可欠な品質特性である。
【0093】
エアロゾルのAPSDは、特に下気道において、体において蓄積するDPI粒子の割合を決定する。1~5ミクロンの範囲にある粒子は、下気道に到達し、効果的であると考慮され、5ミクロンより大きい粒子は上気道に残存し、および中咽頭に影響を与え、および飲み込まれる可能性が高く、1ミクロン未満の粒子は肺のクリアランス機構によって除去される。
【0094】
25mgの桂皮酸乾燥粉末吸入(DPI)製剤を、空気力学的粒度分布(APSD)について、評価した。本開示の乾燥粉末吸入製剤の各投与量からのAPSDを、次世代インパクター(NGI)を使用して評価した。桂皮酸のドライパウダー吸入(DPI)製剤を、使用のために吸入器のなかに設置し、マウスピースアダプターを、吸入ポートに付けた。ポンプを、デバイスにわたって4kPaの圧力降下の圧力にてオンにした。排出シーケンスを4回繰り返し粉末のNGIポートへの完全な排出を確実にした。エアロゾル化後、吸入器、導入ポート、マウスピースアダプター、プレセパレーター、NGIカップにおいて保持された薬剤の量を、桂皮酸の定量HPLC分析のために適切な量の90:10メタノール:水によって洗浄することにより抽出した。すべての試料を、0.45μmのフィルターを通して濾過し、およびHPLCによって桂皮酸含量を分析した。質量平均空気動力学的直径(MMAD)、幾何標準偏差(GSD)、放出量(ED)、および微粒子分率(FPF)などの重要なNGIパラメータを、CITDASソフトウェア(COPLEY Scientific、英国)を使用して計算した。桂皮酸のDPI、平均FPF(≦5μm)は桂皮酸の公称用量(カプセルの含量を指す)の大体35%であったが、一方で質量平均空気動力学的直径(MMAD)およびGSD値は、それぞれ4.2μmおよび2.1であった。活性成分の総放出量は、11.081mgであった。
図1Aおよび1Bにおいて、NGIのMOCに対する様々なステージおよびデバイスの放出当たりの薬剤分布パターンを示す。
【0095】
例6:生体内での桂皮酸の肺蓄積
桂皮酸DPIのための次世代インパクター(NGI)を使用することにより、用量のin vivo肺蓄積を、評価した。各カプセルは、本開示の桂皮酸(塩なしの分解されたピクロシド1)0.6mgを含有し、および68L/分(≒4KPa)の流速にて、デバイスによってプラスチエイプ(Pastiape)装置を使用して、特徴づけた。
【0096】
図2から、本開示による桂皮酸の乾燥粉末吸入(DPI)製剤の累積(%アンダーサイズ)粒子径分布を象徴し、および桂皮酸DPIの用量が、NGI(次世代インパクター)の異なるステージにおいて分配され、および微粒子用量(呼吸可能な用量)および微粒子分率(呼吸可能な画分)は、夫々、0.48mgおよび40.6%であった一方、平均送達用量は1回の発動あたり0.497mgであったことが明らかである。これらの結果は、Ph.の要件を満たす。DPIから標的用量の+/-25%が送達されることを提案するEur.68が、一方USP69のそれは標的用量の+/-15%を送達することを提案する。
【0097】
例7:純粋なピクロシド1のアルカリ分解
純度95%のピクロシド1の180mgを、水650mlにおいて混合し、続いて撹拌下で、0.1NaOH120mlを添加し混合物を得た。得られた混合物を、室温にて1時間保ち、その後塩酸で中和することにより、pH7を有する中和混合物を得た。流体媒体を、中和混合物から真空下で40℃~50℃の範囲にある温度にて除去し、塩をともなう分解されたピクロシド1を含む乾燥粉末を得た。乾燥粉末を、第2の流体媒体と混合し、塩なしの分解されたピクロシド1を含む溶液を得た。溶液をデカントし、および続いて40℃~50℃の範囲にある温度にて溶液から第2の流体媒体を蒸発させ、本開示の桂皮酸(塩なしの分解されたピクロシド1)を得た。
【0098】
純粋なピクロシド1のアルカリ分解による桂皮酸の調製のプロセスを以下の
図1に示す。
【化1】
スキーム1
【0099】
塩をともなうピクロシド1(Picroside 1 with salt)は、天然に存在するピクロシド1(Picroside 1)を強制アルカリ水酸化物分解することによって得られる。塩は、分解された形態において、無傷のまま残存する。
塩なしのピクロシド1(Picroside 1 without salt)は、本開示による桂皮酸であり、天然に存在するピクロシド1の強制アルカリ水酸化物分解によって得られる。塩は、この分解された形態で、第2の流体媒体(メタノール)を使用することによって、除去される。
【0100】
例8:塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)の特徴づけ
塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)を、クロマトグラムを評価するために、HPLCを実施し、および塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)の乾燥サンプルもまた、構造を評価するために、LCMS、NMRおよびFTIRを実行した。
【0101】
塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)のHPLC条件:
移動相:
A)0.1%オルトリン酸
B)アセトニトリル
希釈剤:メタノール
試料の調製:試料10mgを、10mlのメタノールにおいて溶解した。
【0102】
【0103】
【0104】
図3Aおよび3Bから、純粋なピクロシド1の保持時間は12.815であるのに対し、塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)の保持時間は21.947であることが見出されたことが、明らかである。
【0105】
LCMS(液体クロマトグラフィー-質量クロマトグラフィー)研究:
移動相:
A:水中の5mMギ酸アンモニウム+0.1%ギ酸、
B:メタノール中の5mMギ酸アンモニウム+0.1%ギ酸。
【0106】
LC-MS分析の移動相において、ギ酸アンモニウムを使用し、これは塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)と付加物を形成し、および210の分子量を示した。210m/zで観測されたピークの質量を引くと、塩なし付加物なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)の質量は、210-63=147ダルトンである。
【0107】
LCMS研究および
図3Dおよび3Eから、塩なしの分解されたピクロシド1は、分子量148g/molを有する桂皮酸であることが、明確に明らかである。
【0108】
FTIR(フーリエ変換赤外分光法)研究:
塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)のFTIR結果を、下の表6および
図3Fに表示する。
表6
【表6】
【0109】
塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)のNMR研究:
図3Gおよび3Hから、塩なしの分解されたピクロシド1は、糖の存在により、水素と炭素のより小さいシグナルを示したことが明らかである。合成された純粋な桂皮酸のNMRシグナルは、分解されたピクロシド1(塩なし)において観察されたピークとマッチする。分解されたピクロシド1(塩なし)で観察される追加のNMRピークは、糖の存在によるものであり、本開示の桂皮酸としての、分解されたピクロシド1の同一性には影響を及ぼさない。
【0110】
【0111】
【0112】
結論:HPLC、LCMS、FTIR、NMR(
図3A~3Hに図例証された)、およびUV分光法(
図3Iおよび3Jに例証される)のデータから、塩なしの分解されたピクロシド1は桂皮酸であることが明らかであり、これは、塩なしの分解されたピクロシド1が桂皮酸と同様の保持時間および同様の波長を示しているからである。
【0113】
例9:純粋なピクロシド1および塩をともなう分解されたピクロシド1の、シクロホスファミド誘発性好中球減少症における有効性の評価
課題:
1.シクロホスファミドを投与することにより、マウスにおいて好中球減少症を誘発すること。
2.純粋なピクロシド1および塩をともなう分解されたピクロシド1の処置の場合の総白血球数、好中球、単球、リンパ球、血小板数における効果を決定すること。
3.純粋なピクロシド1と塩をともなう分解されたピクロシド1の効果を、標準2μgG-CSFと比較すること。
【0114】
材料と方法:
材料:
シクロホスファミドを、シグマアルドリッチ(SigmaAldrich)から入手し、およびG-CSFをルピナス社(Lupin limited)の販売製剤、ルピフィル(300)から入手した。体重25~27gの雌性スイスアルビノマウスを、プネの国立生物科学研究所から入手した。
【0115】
方法:
雌性スイスアルビノマウスは、体重に基づき以下のように異なるグループにランダムに分けられた。
●グループ1-シクロホスファミド対照(CP対照)、
●グループ2-純粋なピクロシド1処置、
●グループ3-塩をともなう分解されたピクロシド1、および
●グループ4-GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)処置グループ。
【0116】
0日目に、基礎血液学的パラメータのためにすべての動物から血液を取った。すべてのグループの動物を、腹腔内経路(i.p.)を通して、150mg/kgのシクロホスファミドで注射した。3日目に、総数と分画数(好中球、リンパ球、単球)のために、すべての動物から血液を取った。動物に、4日目において、シクロホスファミド100mg/kgの1回の追加の用量を投薬した。5日目から、動物に、それぞれの処置を、経口ルートを通して水をヒビクルとして投与し、一方、グループ1に、プラセボ錠剤を5日間連続で投与した。10日目に、総数および分画数(好中球、リンパ球、単球)、白血球、血小板、およびAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)およびALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)のために、すべての動物から血液を取った。
【0117】
結果:
純粋なピクロシド1および塩をともなう分解されたピクロシド1のシクロホスファミド誘発性好中球減少症における好中球%における影響
0日目には、すべての動物のグループの好中球率は、42~43%であり、および0日目にはグループの間に有意差は、認められなかった。シクロホスファミドの投与は、0日目と比較して、シクロホスファミド対照、純粋なピクロシド1、塩をともなう分解されたピクロシド1、およびGCSF(顆粒球コロニー刺激因子)で、3日目に観察されたとおり、好中球の%における有意な(p<0.001)減少を引き起こした。表7Aおよび
図4Aに示されるように、純粋なピクロシド1による処置は、プラセボ対照群と比較した場合、シクロホスファミド誘発性好中球減少症を有意に(p<0.01)軽減した。しかしながら、塩をともなう分解されたピクロシド1による処置は、シクロホスファミド対照グループの動物と比較した場合、シクロホスファミド誘発性好中球減少症に、有意な変化を引き起こさなかった。純粋なピクロシド1により観察された好中球%における改善は、GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)のそれに匹敵した。
【0118】
純粋なピクロシド1および 塩をともなう分解されたピクロシド1のシクロホスファミド誘発血液学的変化における単球の%における効果
0日目には、すべての試験動物は、の単球の割合は7~7.5パーセントの探求のパーセンテージを有し、およびグループの間に有意差はなかった。シクロホスファミド投与は、0日目と比較して、シクロホスファミド対照グループ、純粋なピクロシド1および塩をともなう分解されたピクロシド1、およびGCSF(顆粒球コロニー刺激因子)グループで、3日目に観察された単球の%における有意な(p<0.001)減少をもたらした。シクロホスファミド誘発性の単球のパーセンテージにおける減少は、表7Aおよび
図4Aに表示されるように、シクロホスファミド対照グループと比較した場合、純粋なピクロシド1処理によって、有意に逆転された(p<0.01)。しかしながら、塩をともなう分解されたピクロシド1処置は、シクロホスファミド対照グループの動物と比較した場合、単球の%のシクロホスファミド誘発性の減少に、有意な変化を引き起こさなかった。純粋なピクロシド1で観察された逆転は、GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)処置グループのそれに匹敵した。逆転は、シクロホスファミド誘発性の単球パーセンテージにおける減少を、純粋なピクロシド1処置により有意に逆転したことを意味する。第1に、CPは単球の数を減少させるが、さらに次いで純粋なピクロシド1によってそれが逆転する。
【0119】
純粋なピクロシド1および塩をともなう分解されたピクロシド1のシクロホスファミド誘発性の血液学的変化におけるリンパ球の%における効果
0日目には、すべての試験動物グループのリンパ球の%は39~41%の間であり、およびこの日には群間に有意差は観察されなかった。シクロホスファミドで処置されたすべてのグループは、3日目において、0日目よりも、有意により高い(p<0.01)リンパ球数を有した。表7Aおよび
図4Aに表示されるように、シクロホスファミド対照グループと比較した場合、純粋なピクロシド1の処置で、リンパ球の%における有意な(p<0.01)低減を観察した。しかしながら、塩をともなう分解されたピクロシド1による処置は、シクロホスファミド対照グループの動物と比較した場合、シクロホスファミド誘発性リンパ球増加%に、有意な変化を引き起こさなかった。GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)は、シクロホスファミド対照グループと比較して、シクロホスファミド誘導リンパ球の動員を、有意に(p<0.001)逆転させた。ピクロシド1で観察された逆転は、GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)処置グループのそれに匹敵した。
【0120】
純粋なピクロシド1および塩をともなう分解されたピクロシド1の、シクロホスファミド誘発性血液学的変化における総白血球数における効果
0日目には、すべての試験動物群の総白血球数は、7410~8085の間であった。この日において、グループの間に有意差は、観察されなかった。シクロホスファミドの投与は、0日目と比較して、シクロホスファミド対照グループ、純粋なピクロシド1、および塩をともなう分解されたピクロシド1、およびGCSF(顆粒球コロニー刺激因子)グループで3日目において観察された、WBC数における有意な(p<0.001)減少を、引き起こした。純粋なピクロシド1およびGCSF(顆粒球コロニー刺激因子)による処置は、表7Aおよび
図4Aに表示されるように、シクロホスファミド対照と比較した場合、シクロホスファミド誘発性のWBC数の減少を、有意に(p<0.001)逆転させた。しかしながら、塩をともなう分解されたピクロシド1
による処置は、シクロホスファミド
対照グループと比較して、シクロホスファミド誘発性白血球数減少
おける変化を引き起こさなかった。純粋なピクロシド1において観察された逆転は、GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)処置グループのそれに匹敵した。
【0121】
純粋なピクロシド1および塩をともなう分解されたピクロシド1のシクロホスファミド誘発性血液学的変化における、血小板数における効果
0日目には、すべての試験動物群の血小板数は、732400~748400の間であった。この日において、グループの間に有意差は、観察されなかった。シクロホスファミドの投与により、0日目と比較して、シクロホスファミド対照グループ、純粋なピクロシド1、および塩をともなう分解されたピクロシド1およびGCSF(顆粒球コロニー刺激因子)グループで、3日目において観察された、血小板数における有意な(p<0.001)減少を引き起こした。ピクロシド1による処置は、表7Aおよび
図4Aに表示されるように、血小板数を、シクロホスファミド対照グループに対して、有意に(p<0.001)に改善した。しかしながら、塩をともなう分解されたピクロシド1による
処置は、シクロホスファミド対照群と比較して血小板数に変化を引き起こさなかった。GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)による処置は、シクロホスファミド対照グループと比較して、血小板数における有意な増加をもたらした。純粋なピクロシド1グループで観察された血小板数における増加は、GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)処置グループのそれに匹敵した。
【0122】
表7A:純粋なピクロシド1および塩をともなう分解されたピクロシド1のシクロホスファミド誘発性血液学的変化における効果
【表7A】
#p<0.001、3日目と比較した場合
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001、シクロホスファミド対照と比較した場合
【0123】
推論:表7Aおよび
図4Aから、シクロホスファミドの投与は、好中球%、単球%、総白血球数、および血小板数における有意な減少を引き起こし、およびリンパ球数%における有意な増加を引き起こしたことは明らかである。さらに、純粋なピクロシド1による処置は、好中球%、単球%、総白血球数におけるシクロホスファミド誘発性の減少の緩和を引き起し、および増加したリンパ球数もまた緩和した。純粋なピクロシド1処置グループにおいて、血小板数の改善があり、およびそれは、統計的に有意であった。塩をともなう分解されたピクロシド1による処置は、好中球%、単球%、総白血球数、および血小板数を有意に変化させなかった。しかしながら、純粋なピクロシド1処置グループにおいて観察された変化は、より低い有効性で、GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)グループのそれに匹敵した。
【0124】
シクロホスファミド誘発肝毒性におけるAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)(IU/L)への純粋なピクロシド1および塩をともなう分解されたピクロシド1の効果
シクロホスファミド対照群では、シクロホスファミド投与後にAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)のレベルの上昇を示した。表7Bおよび
図4Bに表示されるように、シクロホスファミド対照群と比較して、純粋なピクロシド1の投与に続いて、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)レベルにおける有意な(p<0.001)減少を、観察した。塩をともなう分解されたピクロシド1の投与は、シクロホスファミド対照群と比較して、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)を、有意に(p<0.01)低下した。シクロホスファミド対照群と比較した場合、GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)処置グループのAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)レベルにおける有意な(p<0.001)低減があった。
【0125】
シクロホスファミド誘発肝毒性におけるALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)(IU/L)における純粋なピクロシド1および塩をともなう分解されたピクロシド1の効果
シクロホスファミド対照群におけるシクロホスファミドの投与は、ALT
(アラニンアミノトランスフェラーゼ)レベルにおける有意な増大を引き起こした。純粋なピクロシド1の動物への投与は、表7Bおよび
図4Bに表示されるように、シクロホスファミド対照群グル―プと比較した場合、ALT
(アラニンアミノトランスフェラーゼ)レベルにおける有意な逆転(p<0.001)を引き起こした。塩をともなう分解されたピクロシド1の投与は、シクロホスファミド対照グループと比較するとき、ALT
(アラニンアミノトランスフェラーゼ)レベルにおける有意な変化を示さなかった。純粋なピクロシド1において観察されたALT
(アラニンアミノトランスフェラーゼ)における減少は、GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)による処置において達成されたALT
(アラニンアミノトランスフェラーゼ)レベルのそれに匹敵した(p<0.001)。
【0126】
表7B:純粋なピクロシド1および塩をともなう分解されたピクロシド1のシクロホスファミド誘導性の肝毒性における効果
【表7B】
***p<0.001 CP対照と比較した場合
【0127】
推論:表7Bおよび
図4Bから、シクロホスファミドの投与は、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)およびALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)における、有意な増加を引き起こしたことが明らかである。さらに、純粋なピクロシド1による処置において、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)およびALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)のレベルにおける、有意な減少があった。
ゆえに、表7A、7Bおよび
図4Aおよび4Bから、塩をともなう分解されたピクロシド1は、動物の好中球減少症の状態を是正することができなかったことが明らかである。
【0128】
例10:シクロホスファミド誘発性好中球減少症における市販合成桂皮酸の有効性の評価
課題:
1.シクロホスファミドの投与により好中球減少症を誘発すること。
2.市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)の低用量処置と市販の合成桂皮酸(6mg/錠)の高用量処置の総白血球数、好中球、単球、リンパ球、血小板数、肝臓パラメータSGOT(血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)、SGPT(血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)、腎臓パラメータ(血清クレアチニン、血中尿素窒素、尿酸)への効果を判断する。
【0129】
材料と方法:
材料:25~27gの間の重さのある、雌性スイスアルビノマウスを、プネのGlobal Bioresearch Solutions Pvt Ltd.から入手した。
【0130】
方法:雌性スイスアルビノマウスを、体重に基づいて以下のように6匹ずつ7つのグループにランダムに分けた。
●グループ1-プラセボグループ(プレーンな水(plain water)/観察対照)、
●グループ2-シクロホスファミド対照(CP対照)、
●グループ3-GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)2μg 皮下ルート(s.c.route)を通して、
●グループ4 市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置、
●グループ5 市販の合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置、
●グループ6 純粋なピクロシド1、および
●グループ7 塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)処置グループ。
【0131】
0日目に、基礎血液学的パラメータのために、すべての動物から、血液を取った。プラセボグループ外のすべての動物群を、腹腔内ルート(i.p.)を通して、シクロホスファミド150mg/kgで投与し、グループ1を、注射用の水でi.p.で注射した。3日目に、総数および分画数(好中球、リンパ球、および単球)のためにすべての動物から、血液を取った。グループ2から7の動物を、4日目に、シクロホスファミド100mg/kgで1回追加投薬した。5日目から、グループ4およびグループ5の動物を、市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置で投与し、一方、グループ6およびグループ7を、純粋なピクロシド1および塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)を、5日間連続的に投与した。シクロホスファミド対照グループを、5日目から9日目まで注射用水によって注射した。10日目に、すべての動物から血液を採取し、総数および分画数(好中球、リンパ球、単球)、血小板、肝臓パラメータAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、および腎臓パラメータ(血清クレアチニン、血中尿素窒素、および尿酸)を測定した。
【0132】
投与量の調製および投与:
●純粋なピクロシド1-1錠を、0.1mlの滅菌注射用水に溶解し、0.1mlを皮下注射として注射した。
●塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)1錠を、0.1mlの滅菌注射用水に溶解し、0.1mlを皮下注射剤として注射した。
●桂皮酸低用量(0.6mg/錠)処置錠を、0.1mlの滅菌注射用水において溶解し、および0.1mlを皮下注射として注射した。
●桂皮酸高用量処置(6mg/錠)錠を、0.1mlの滅菌注射用水において溶解し、0.1mlを皮下注射として注射した。
【0133】
結果:
市販合成桂皮酸低用量処置(0.6mg/錠)および市販合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置のシクロホスファミド誘発性好中球減少症における好中球%における効果
0日目に、すべての動物の試験グループの好中球率は、38~41%の間であり、および0日目にグループの間に有意な差は、観察されなかった。シクロホスファミドの投与は、プラセボグループと比較して、シクロホスファミドを投与されたすべてのグループによって3日目に観察された好中球%における有意な(p<0.001)減少を引き起こした。市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置は、表8Aおよび
図5Aにおいて表示されるように、CP対照グループと比較した場合、シクロホスファミド誘発性好中球減少症を有意に(p<0.001)軽減した。この観察された好中球数%における改善は、市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置において観察されたそれよりも優れており、および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置で観察されたものはGCSFのそれに匹敵した。
【0134】
市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)の低用量処置と市販の合成桂皮酸(6mg/錠)の高用量処置のシクロホスファミド誘発性血液学的変化における単球%における効果
0日目に、すべての試験動物は、6~6.82の間のパーセンテージの単球の割合を有し、およびグループ間に有意差はなかった。シクロホスファミド投与は、プラセボ群と比較して、シクロホスファミド投与されたすべてのグループによって3日目に単球%において有意な(p<0.001)をもたらした。シクロホスファミド誘発性の単球パーセンテージにおける減少は、表8Aおよび
図5Aにおいて表示されるように、シクロホスファミド対照グループと比較した場合、市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置およびGCSF(顆粒球コロニー刺激因子)処置によって、有意に(p<0.001)逆転された。市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)低用量処置において観察された逆転は、純粋なピクロシド1、塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)よりも良好で、およびGCSF(顆粒球コロニー刺激因子)処置グループのそれに匹敵した。
【0135】
市販合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置および市販合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置のシクロホスファミド誘発性血液学的変化におけるリンパ球%における効果
0日目に、すべての試験動物グループのリンパ球%は43~46%の間であり、この日にはグループの間に有意な差は、観察されなかった。シクロホスファミドによって処置されたすべてのグループは、プラセボグループと比較した場合、有意に(p<0.001)より高い、リンパ球数を有した。表8Aおよび
図5Aにおいて表示されるように、CP対照(シクロホスファミド)グループと比較した場合、リンパ球%における有意な(p<0.001)減少が、市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)低用量処置およびGCSF(顆粒球コロニー刺激因子)の処置によって観察された。GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)は、CP対照グループと比較して、シクロホスファミド誘発性リンパ球動員を有意に(p<0.001)逆転した。市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)の低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)の高用量処置において観察された逆転は、純粋なピクロシド1、塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)よりも良好で、およびGCSF(顆粒球コロニー刺激因子)処置グループのそれに匹敵した。
【0136】
市販合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置および市販合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置のシクロホスファミド誘発性血液学的変化における総白血球数への効果
0日目に、動物のすべての試験グループの総白血球数は、7139~7644の間であった。この日において、グループの間に有意差は、観察されなかった。シクロホスファミドの投与は、プラセボグループと比較した場合、シクロホスファミドを投与されたすべてのグループによって3日目に、白血球数の有意な(p<0.001)減少を引き起こした。市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)の高用量処置およびGCSF(顆粒球コロニー刺激因子)による処置は、表8Aおよび
図5Aに表示されるように、シクロホスファミド対照と比較した場合、白血球数における、シクロホスファミド誘発性減少を、有意に(p<0.001)逆転した。市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置において観察された逆転は、GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)処置グループのそれに匹敵し、および純粋なピクロシド1、塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)よりもよかった。
【0137】
市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置のシクロホスファミド誘発性血液学的変化における血小板数への効果
0日目に、動物のすべての試験グループの血小板数は735700~772500の間であった。この日において、グループの間に有意差は、観察されなかった。シクロホスファミドの投与は、プラセボ群と比較して、シクロホスファミド処置グループのすべてにおいて、血小板数における有意な(p<0.05)減少を引き起こした。市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置は、表8Aおよび
図5Aに表示されるように、シクロホスファミド対照群と比較した場合、10日目に血小板数に有意な変化を引き起こさなかった;しかしながら、市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置において、プラセボグループと比較した場合もまた、有意な変化はなかった。GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)による処置は、シクロホスファミド対照グループと比較して血小板数における有意な(p<0.05)増加をもたらした。
【0138】
表8A:市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置のシクロホスファミド誘発性好中球減少症における血液学的パラメータへの効果
【表8A-1】
【表8A-2】
プラセボグループと比較した場合、
$p<0.05、
$$p<0.01、
#p<0.001
*p<0.01、
***p<0.001、CP対照と比較した場合
【0139】
推論:表8Aから、試験化合物(純粋なピクロシド1、塩なしの分解されたピクロシド(本開示の桂皮酸))、市販の桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置、および市販の桂皮酸(6mg/錠)高用量処置を、5日目から5日間、1日当たり1動物当たり1錠として投与したことが明らかである;CP対照を、プラセボ錠で投与した。さらに、表8Aから、純粋なピクロシド1および塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)は、より良好な抗好中球減少活性を示すことが明らかである。市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)の低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)の高用量処置もまた、好中球減少症に対処する活性がある。
【0140】
市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置のシクロホスファミド誘発性好中球減少症におけるSGOT(血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)(IU/L)への効果
シクロホスファミド対照群グル―プは、シクロホスファミド投与後、プラセボグループと比較した場合、有意に(p<0.001)上がったSGOT(血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)のレベルを示した。、表8Bおよび
図5Bに示すように、シクロホスファミド対照グループと比較した場合、市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置の投与に続いて、SGOT(血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)レベルにおける有意な(p<0.001)減少が観察された。シクロホスファミド対照グループと比較した場合、GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)処置グループのSGOT(血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)における有意な(p<0.001)減少があった。しかしながら、この減少は、純粋なピクロシド1および塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)による処置において観察された減少よりも優れていなかった。
【0141】
市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置のシクロホスファミド誘発性好中球減少症におけるSGPT(血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)(IU/L)への効果
シクロホスファミドの投与は、プラセボグループと比較した場合、シクロホスファミド対照グループにおいてSGPT
(血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)レベルにおける有意な増加を引き起こした(p<0.001)。動物への市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)の低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)の高用量処置の投与は、表8Bと
図5Bにおいて表示されるように、シクロホスファミド対照グル―プと比較して、SGPT
(血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)レベルの有意な逆転(p<0.001)を引き起こした。市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)の低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)の高用量処置においてSGPT
(血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)における観察された減少は、GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)による処置において達成されたSGPT(血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)レベルのそれに同等した(p<0.001)。しかしながら、この減少は、純粋なピクロシド1および塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)による処置において観察された減少よりも優れていなかった。
【0142】
市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置および市販合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置のシクロホスファミド誘発性好中球減少症における血清クレアチニン値(mmol/L)への効果
シクロホスファミドの投与は、プラセボグループと比較した場合、クレアチニンの有意に(p<0.001)上がったレベルを引き起こした。表8Bおよび
図5Bにおいて表示されるように、シクロホスファミド対照グループと比較して、市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)
低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)
高用量処置に続いてクレアチニン値の有意な(p<0.001)低減が、観察された。シクロホスファミド対照グループと比較した場合、GCSF処置グループのクレアチニンレベルにおける有意な(p<0.001)減少があった。市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)
低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)
高用量処置によるクレアチニンレベルの減少は、GCSF、純粋なピクロシド1、および塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)処置グループに匹敵し、およびより良好であった。
【0143】
市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)の低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)の高用量処置のシクロホスファミド誘発性腎毒性における血中尿素窒素(mmol/L)への効果。
シクロホスファミドの投与は、プラセボグループと比較した場合、血中尿素窒素(BUN)レベルの有意な(p<0.001)上昇を引き起こした。表8Bおよび
図5Bにおいて表示されるように、シクロホスファミド対照グループと比較して、市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)
低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)
高用量処置の投与に続いて、BUNレベルにおける有意な(p<0.001)減少が見られた。シクロホスファミド対照グループと比較した場合、GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)処置グループのBUNレベルにおいて有意な(p<0.001)減少があった。市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)
低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)
高用量処置、GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)、純粋なピクロシド1、および塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)におけるBUNレベルの減少は、それぞれのグループにおいて同様であった。
【0144】
市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)の低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)の高用量処置のシクロホスファミド誘発性腎毒性における尿酸(mg/L)への効果。
シクロホスファミドの投与は、シクロホスファミド対照グループにおける血清尿酸値(p<0.001)における有意な増加(p<0.001)を引き起こした。市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)の
低用量処置と市販の合成桂皮酸(6mg/錠)の
高用量処置を動物に投与したところ、表8Bと
図5Bに示すように、シクロホスファミド対照群と比較して尿酸値の有意な改善(p<0.001)が見られた。GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)による処置もまた、シクロホスファミド対照グループと比較した場合、尿酸レベルにおける有意な減少(p<0.001)を引き起こした。市販の合成桂皮酸(0.6mg/錠)
低用量処置および市販の合成桂皮酸(6mg/錠)
高用量処置による血清尿酸値における減少は、GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)、純粋なピクロシド1、および塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)処置グル―プに匹敵し、およびより良好であった。
【0145】
表8B:シクロホスファミド誘発性好中球減少症における肝臓および腎臓パラメータに対する市販合成桂皮酸(0.6mg/錠)低用量処置および市販合成桂皮酸(6mg/錠)高用量処置の効果
【表8B】
$p<0.05、
$$p<0.01、
#p<0.001、プラセボグループと比較した場合
*p<0.01、
***p<0.001、CP対照と比較した場合
【0146】
推論:表8Bから、試験化合物(純粋なピクロシド1、塩なしの分解されたピクロシド(本開示の桂皮酸))、市販の桂皮酸(0.6mg/錠)低用量、および市販の桂皮酸(6mg/錠)高用量を、5日目から5日間、1日当たり1動物当たり1錠投与し、CP対照(シクロホスファミド)が、プラセボ錠剤とともに投与されたことが明らかである。さらに、表8Bから、純粋なピクロシド1および塩なしの分解されたピクロシド1(本開示の桂皮酸)は、既知の抗好中球減少性タンパク質組み換え薬GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)と比較して、好中球減少性動物モデルにおいて改善された肝臓および腎臓パラメータを示すことが明らかである。
【0147】
実験11:本開示の桂皮酸(塩なしの分解されたピクロシド1)の致死用量と好中球減少症の緩和のために有効性に要する量との比較
市販の合成桂皮酸の致死用量(LD50)は、5000mg/kgであったが、桂皮酸の有効性の用量は、24mg/kgであることが見出された。
本開示によって調製された桂皮酸の動物有効性の用量は、0.6mg/マウス、または0.6mg/25gマウス、または6mg/250gマウス、または24mg/kgマウスであった。
【0148】
本開示によって調製された桂皮酸のヒト用量は、AED(動物等価用量)を、12.3で割った=24/12.3=1.95mg/kgHED(ヒト等価用量)。
体重65kgの個人について=60x1.95mg=117mg/用量
【0149】
用法は、5日間投与された。ゆえに、化学療法を受ける患者に対する総HED(ヒト等価用量)は、がんのより低いステージを患うがん患者によって取られる1117mgx5=585mg/用量となる。
【0150】
市販の合成桂皮酸の致死用量(LD50)はラットにおいて5000mg/kgであったが、本開示の桂皮酸(塩なしの分解されたピクロシド1)の抗好中球減少活性のための効果的な用量は、24mg/kgであることが見出された。ゆえに、ヒトの等価用量である2mg/kgに投与した場合の効果的な動物用量24mg/kgは、好中球減少症患者に経口投与した場合、毒性がないことは明らかである。
【0151】
本開示によって調製された桂皮酸の動物有効用量は、6mg/25gマウスまたは60mg/250gマウス、または240mg桂皮酸/kgであった。
本開示によって調製された桂皮酸のヒト投与量、AED(動物等価用量)を12.3で割った値240/12.3=19.51mg/kgHED(ヒト等価用量)である。
体重65kgの個人について=60x19.51mg=1170mg/用量
【0152】
用法は、5日間投与された。ゆえに、化学治療患者のための総HED(ヒト等価用量)は、1170mgx5=5850mg/用量であり、より進行したステージのがんを患ったがん患者により摂取される。
【0153】
技術的な進歩および経済的有意性
上述の本開示は、医薬製剤の実現および桂皮酸の調製のプロセスを含むが、これに限定されないいくつかの技術的利点、
●重篤な有害事象なしに、好中球数と共に他の血液細胞数を、効果的に改善すること;
●シクロホスファミド誘発性好中球減少症のケースにおいて使用し得ること;
●改善された患者のコンプライアンス;および
●経口の、注射の、および吸入ルートを介して好適に投与され得ること、
を有する。
【0154】
本明細書全体を通じて、「含む」という語、または「含む」や「含む」などのバリエーションは、述べられた要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップのグループの包含を示唆するものであると理解されるが、しかしその他の要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップのグループの除外を示唆するものではないと理解されるだろう。
【0155】
「少なくとも」または「少なくとも1つ」という表現の使用は、開示の態様で1つ以上の所望の課題または結果を達成するための1つ以上の要素、成分、もしくは量を使用することを提案する。
【0156】
この明細書に包含されている文書、行為、資料、デバイス、記事または同種のものの考察はいずれも、開示のための文脈を提供することをただ目的とする。これらの事項の一部またはすべてが先行技術の基礎の一部をなす、または本出願の優先日以前に存在していた開示に関連する分野における一般的な常識として存在したことの自認とみなされるべきではない。
【0157】
様々な物理的パラメータ、寸法または量について言及される数値は近似値のみであり、およびパラメータ、寸法または量に割り当てられた数値より高い/低い値は、明細書に特定にそれとは反対の記載がない限り、開示の視野内にあるものと想定される。
【0158】
ここでは好ましい態様の構成要素および構成要素部分に相当な強調が置かれる一方、開示の原理から逸脱することなく、多くの態様がなされ得、および好ましい態様において多くの変更をなし得ることが理解されるであろう。本開示の好ましい態様ならびに他の態様におけるこれらのおよびその他の変更は、本明細書の開示から当業者には明らかであり、前述の説明事項は、本開示を単に例証するものとして解釈されるべきであり、および制限として解釈されるべきではないことが、まぎれもなく理解されるべきである。
【国際調査報告】