(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】医療用安全針アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/158 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
A61M5/158 500N
A61M5/158 500F
A61M5/158 500Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533283
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 IB2022000681
(87)【国際公開番号】W WO2023099956
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524211249
【氏名又は名称】デザイン 33 インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】DESIGN 33 INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100190414
【氏名又は名称】芹澤 友之
(72)【発明者】
【氏名】フォーバー、サイモン、ジョン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066CC01
4C066FF04
4C066KK04
4C066LL17
(57)【要約】
医療用針と、安全装置と、を備える医療用安全針アセンブリであって、前記医療用針は、遠位端と、近位端と、前記遠位端と前記近位端との間に延びる軸と、を有し、前記針は、その遠位端に先端を有し、前記針の近位端は、流体経路に接続可能であり、前記針軸は80°から90°の屈曲部を有し、前記安全装置は、ベースプレートと、ハウジングとを備え、前記ベースプレートと前記ハウジングは空洞を囲んでおり、前記安全装置は、前記屈曲部から遠位の前記針軸上に摺動可能に配置され、前記針軸は、前記ベースプレートの遠位側開口部および前記ハウジングの近位側開口部を通過し、前記針は、前記針先が前記ベースプレートから遠位方向に延びる挿入位置と、前記針先が前記空洞内の位置にある格納位置とを有し、前記ハウジングは、前記ベースプレートに取り付けられた第一部分と、伸長可能な取付要素(33)によって前記第一部分に取り付けられた第二部分(32)と、を備え、前記近位側開口部は、前記ハウジングの前記第二部分(32)に配置され、前記取付要素(33)は、第一位置と第二位置との間において、前記針軸の近位方向における前記第一部分に対する前記ハウジングの前記第二部分(32)の相対的な移動を可能にし、前記針軸は、デッドストップを備え、前記デッドストップは、前記ハウジングの前記第二部分(32)の近位側開口部から遠位に配置され、前記開口部を通過できない、医療用安全針アセンブリ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用針(14)と、
安全装置(10)と、
を備える医療用安全針アセンブリ(1)であって、
前記医療用針(14)は、
遠位端と、近位端と、前記遠位端と前記近位端との間に延びる軸と、を有し、
前記針は、その遠位端に先端(18)を有し、
前記針の近位端は、流体経路に接続可能であり、
前記針軸は80°から90°の屈曲部(19)を有し、
前記安全装置(10)は、
ベースプレート(11)と、
ハウジング(30)と、
を備え、
前記ベースプレートと前記ハウジングは空洞を囲んでおり、
前記安全装置は、前記屈曲部(19)から遠位の前記針軸上に摺動可能に配置され、
前記針軸は、前記ベースプレートの遠位側開口部および前記ハウジングの近位側開口部を通過し、
前記針(14)は、前記針先が前記ベースプレート(11)から遠位方向に延びる挿入位置と、前記針先が前記空洞内の位置にある格納位置とを有し、
前記ハウジング(30)は、
前記ベースプレート(11)に取り付けられた第一部分(31)と、
伸長可能な取付要素(33)によって前記第一部分(31)に取り付けられた第二部分(32)と、
を備え、
前記近位側開口部は、前記ハウジングの前記第二部分(32)に配置され、
前記取付要素(33)は、第一位置と第二位置との間において、前記針軸の近位方向における前記第一部分(31)に対する前記ハウジングの前記第二部分(32)の相対的な移動を可能にし、
前記針軸は、デッドストップ(22)を備え、
前記デッドストップ(22)は、前記ハウジングの前記第二部分(32)の前記近位側開口部から遠位に配置され、前記開口部を通過できない、
医療用安全針アセンブリ(1)。
【請求項2】
前記デッドストップ(22)は、変形したカニューレ直径を有する前記針軸の部分または針の曲がりである、
請求項1に記載の安全針アセンブリ(1)。
【請求項3】
前記取付要素(33)は、可撓性を呈する、
請求項1または2に記載の安全針アセンブリ(1)。
【請求項4】
前記取付要素(33)は、前記第一位置または前記第二位置において前記ハウジング(30)の前記第二部分(32)を弾性的に保持する、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の安全針アセンブリ(1)。
【請求項5】
ガイド要素(61)は、前記ハウジング(30)の前記第二部分(32)の移動を導く、
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の安全針アセンブリ(1)。
【請求項6】
前記第二位置における前記ハウジングの前記第二部分(32)と前記ベースプレート(11)との間の内部距離は、前記針先(18)が前記ベースプレート(11)の前記開口部(41)を通過するのに十分となっている、
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の安全針アセンブリ(1)。
【請求項7】
前記ハウジングの前記第二部分(32)が複数の伸縮要素から構成されている、
請求項1から6のうちいずれか一項に記載の安全針アセンブリ(1)。
【請求項8】
前記ベースプレート(11)は、安全機構(50、51)を備え、
前記針先(18)が前記ベースプレート(11)を通過すると、前記安全機構(50、51)は、前記遠位側開口部(41)を閉じる、
請求項1から7のうちいずれか一項に記載の安全針アセンブリ(1)。
【請求項9】
前記安全機構は、前記針軸と接触して横方向に付勢された板ばね(50)を備え、
前記板ばね(50)は、金属板(51)を備え、
前記金属板(51)は、前記針軸の方向と直交して配置され、前記針先(18)が前記開口部を通過すると前記ベースプレート(11)の前記開口部(41)を閉じる、
請求項1から8のうちいずれか一項に記載の安全針アセンブリ(1)。
【請求項10】
前記ハンドル(13)は、前記針(14)に取り付けられており、
前記ハンドル(13)が前記ベースプレート(10)に平行な第一位置と前記ベースプレートに直交する第二位置との間で移動可能である、
請求項1から9のうちいずれか一項に記載の安全針アセンブリ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用安全針アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
埋め込み型血管アクセスシステムは、患者の体内への治療薬の反復注射を容易にするために、医療分野で広く使用されている。血管アクセスシステムは一般に、カテーテルに取り付けられる血管アクセスポートで構成される。血管アクセスポートは一般に、上面にエラストマーセプタム(septum)が露出したハウジングから構成される。エラストマーセプタムの下には、針の先端がエラストマーセプタムを通過する際にアクセス可能なリザーバがある。血管アクセスポートは、リザーバから延びる管状の細長い部材を有し、カテーテルの装着を可能にしている。
【0003】
血管アクセスシステムは患者の体内に留置される。カテーテルの遠位先端は、治療薬が届けられる所定の位置、一般的には上大静脈のすぐ先の右心房の入り口に配置される。血管アクセスシステムが留置されると、医療従事者は、皮膚及びエラストマーセプタムを通じて、リザーバ空間に針の先端を挿入し、治療薬を投与することができる。皮膚から伸びる針の高さを最小限にするため、針は患者の皮膚から最小限の高さになるように約90°曲げられている。
【0004】
この種の用途に好ましいタイプの針の先端は、針の原理的な斜面に近い曲げを有している。この曲がりが一旦形成されると、原理的な斜面は針軸の曲がっていない部分の軸にほぼ平行になる。このタイプの針先に対して一般的に受け入れられている用語は、ヒューバー(Huber)針先である。このコンセプトの針をエラストマーセプタムに押し通すと、セプタムにちょうどスリットが形成される。針が抜去されるとき、スリット面は再び接触して復元し、セプタムの半径方向の圧縮とエラストマー材料の固有特性とによって密封が維持される。通常の皮下注射針をエラストマーセプタムに刺入した場合、針がセプタムから小片を抜き取る危険性が高まる。これにより、セプタムを損傷させ、及び/又はカテーテルを閉塞させ又は患者の血管系に放出され得る小片を放出する可能性がある。
【0005】
どのような針型器具でもそうであるように、不注意による針刺しというリスクが存在し、それは一般的に、針を廃棄する前に患者から針を抜去した際に発生する。このリスクは、血管アクセスシステムから抜去されるヒューバー針の場合に特に重大である。理由としては、血管アクセスポートのエラストマーセプタムによって針が半径方向に圧縮されているため、ポートからヒューバー針を取り外す力が大きいためである。また、医療従事者は、一般的に針の出口に近い位置で、反対側の手の指で血管アクセスポートを安定させる必要がある。
【0006】
不注意による針刺しという問題に対処するために、様々な安全装置が設計されている。一つの安全装置は、特許文献1に記載されている。特許文献1は、その近位端で針のセグメント上に配置された針基部を開示している。当該針基部は、可撓性プラスチック材料で作られた2つの略平坦な翼を有し、1つのヒンジが各翼を針基部に連結している。患者から針を抜去する際に、針が患者の皮膚から完全に抜去されるまで、翼を針に隣接した状態に保つ可動部材に抗して翼が撓む。その後、翼が針を取り囲むことで針先が針基部の外側に接触することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
血管アクセスポートで使用する針器具は、針刺しリスクを軽減するために数々の進歩があった。
【0009】
しかしながら、多くの安全装置にはさらなる問題がある。多くのケースで、カバーと機構が非常に大きい。装置が皮膚より上に大きくなるに連れて、針が不注意に当たって患者から外れてしまう危険性が高くなる。また、装置が患者の皮膚よりかなり上まで伸びていることは、外観上好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明は、低背化した医療用安全針アセンブリを提供することを目的とする。
【0011】
本発明の目的は、遠位端と、近位端と、遠位端と近位端との間に延びる軸(stem)とを有する医療用針を備えた医療用安全針アセンブリによって達成される。針は、その遠位端に先端を有する。針の近位端は、チューブを注射器に接続する接続ハブを備えたチューブ等の流体経路に接続可能である。針軸は80°~90°の屈曲部を有する。
【0012】
医療用安全針アセンブリは、ベースプレートとハウジングを有する安全装置をさらに備える。ベースプレートとハウジングは空洞を囲んでいる。安全装置は、屈曲部から遠位の針軸上に摺動可能に配置される。針軸は、ベースプレートの遠位側開口部およびハウジングの近位側開口部を通過する。針は、針先がベースプレートから遠位方向に延びる挿入位置と、針先が空洞内の位置にある格納位置とを有する。
【0013】
本発明に係る針アセンブリでは、ハウジングは、ベースプレートに取り付けられた第一部分と、伸長可能な取付要素によって第一部分に取り付けられた第二部分とを備える。近位側開口部がハウジングの第二部分に配置される。取付要素は、第一位置と第二位置との間において、針軸の近位方向における第一部分に対するハウジングの第二部分の相対的な移動を可能にする。針軸は、さらにデッドストップを備える。デッドストップは、ハウジングの第二部分の近位側開口部から遠位に配置され、開口部を通過できない。
【0014】
ハウジングの設計により、針が患者に挿入されている限り、超低背化が可能になる。しかし、このような低背では、通常、針先を完全に囲むのに十分な大きさの空洞を確保することができない。針アセンブリは、針が格納されるときに針先を囲む安全機構を備えていなければならない。針は、遠位方向と近位方向の両方向で、ベースプレートのハウジング内の空洞から出ないようにしなければならない。
【0015】
針軸のデッドストップは、安全装置から近位方向に針が離れるのを防止するために使用される。デッドストップは、例えば、針軸の直径の変形、ヒューバー型針の針先の曲がり、またはそれらの組み合わせであってもよい。安全装置の近位側開口部は、針軸がスムーズに通過できるような大きさになっている一方で、デッドストップは開口部で阻止される。
【0016】
軸上を摺動する一方で、デッドストップ上を通過することができない保持フェルールを用いることでデッドストップの効率を向上させることができる。このような保持フェルールは、例えば、ハウジングの近位側開口部を通過できない直径を有する円周状のカラーを有してもよい。また、保持フェルールは、針軸方向に延びるカラーを有してもよい。当該カラーは、ヒューバー型針の屈曲部を保持フェルールが通過するのを防止する一方で、当該屈曲部から近位の針軸の残りの部分上を摺動することができる。
【0017】
針軸のデッドストップが本発明に係る安全装置のハウジングの第二部分の開口部で阻止されると、第二部分は上方に持ち上げられ得る。伸長可能な取付部材はハウジングの第二部分を第一位置に固定し、持ち上げ力が第二部分に加わらない限りにおいて必要な低背化を得ることができる。従って、針が挿入されている限りにおいて安全装置は超低背化されている。
【0018】
針が抜去されると、針軸のデッドストップはハウジングの第二部分の開口部で阻止される。針がさらに引き戻されると、ハウジングの第二部分は針の近位方向において上方へ引っ張られる。ハウジングの二部分間にある伸長可能な取付要素は、規定された第二位置までハウジングの第二部分の移動を可能にする。ハウジングの第二部分が上方の第二位置にあるため、ハウジング内部の空洞の高さが増大し、ヒューバー屈曲部から先端までの針先全体を空洞が収容可能となる。
【0019】
取付要素は、第二部分が第一部分に対して相対的に動くことができるようにハウジングの第一部分と第二部分とを接続してもよい。一実施形態では、取付要素は可撓性を呈してもよい。ハウジングの第二部分がその第一位置にあるときに取付要素はS字形状またはZ字形状であってよい。取付要素は、第二位置において直線状になるように伸張されてよい。このような構成において、取付要素は、第一位置においてハウジングの第二部分を弾性的に保持可能となる。取付要素を伸張するためには僅かな力が必要となる。取付要素は、直線状の構成では、第二位置においてハウジングの第二部分を弾性的に保持してもよい。ハウジングの第二部分は、第一位置には戻らなくてもよいか、少なくともこれを達成するためにはかなりの力が必要となる。
【0020】
ハウジングの第二部分の移動は、ガイド要素によって導かれてもよい。ガイド要素は、ハウジング内に設けられてもよいし、ベースプレートに取り付けられていてもよい。
【0021】
一実施形態では、ハウジングの第二部分は、複数の伸縮要素を備えてもよい。これにより、針挿入位置におけるアセンブリの特定の薄型形状が可能になると同時に、針先全体を確実に収容するのに十分な大きさの空洞を形成可能となる。
【0022】
第二位置にある第二ハウジング要素とベースプレートとの間の内部距離は、針先がベースプレートの開口部を通過し、ハウジングの空洞に収容されるのに十分となる。
【0023】
好ましくは、ベースプレートは、針先がベースプレートを通過した際に遠位側開口部を閉じるための安全機構を備えてもよい。
【0024】
このような安全機構は、例えば、板ばねを備えてもよい。板ばねは、針軸に接触して横方向に付勢されると共に、板、例えば、金属板を備える。金属板は、針軸の方向に対して直交するように配置され、針先が開口部を通過するとベースプレートの開口部を閉じる。本設計では、板ばねは僅かに付勢されていてもよい。板ばねは、針が大きな力をかけずにベースプレートとハウジングを摺動できる程度の小さい横方向の力を針軸に加える。針先がベースプレートの開口部を通過すると、板ばねは付勢されない位置に揺動して、金属板によりベースプレートの開口部が閉じられる。このように、針先は、ベースプレートとともにハウジングによって形成された空洞内に完全に封入される。
【0025】
好ましい実施形態では、針を挿入・抜去するためのハンドルを針に取り付けてもよい。ハンドルは、ベースプレートと平行な第一位置と、ベースプレートと直交する第二位置との間で移動可能であってもよい。このようにして、ハンドルがベースプレートと平行な位置にあるときには、低背化を達成することができる。ハンドルをベースプレートと直交する位置にすることで、針を患者に挿入・抜去することができる。
【0026】
以下、添付の図を用いて、本発明の様々な実施形態に関して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】針挿入位置における本発明の一実施形態の断面の等角図である。
【
図2】針格納位置における
図1の実施形態の断面の等角図である。
【
図3】針を収納または挿入するためにハンドルが折り畳んだ状態での針挿入位置における
図1および
図2の実施形態の等角図である。
【
図4】針格納位置における
図3のアセンブリの等角図である。
【
図5】追加の任意の要素とともに安全針アセンブリを示した、前図の実施形態の分解図である。
【
図6】ベースプレートにおける針通路用の閉鎖機構の一実施形態を示す上面図である。
【0028】
用語「備えた(comprises)」および/または「備える(comprising)」が本明細書で使用される場合において、当該用語は、記載された特徴、ステップ、操作、要素および/または構成要素の存在を特定するものであるが、1以上の他の特徴、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではないことをさらに理解されたい。
【0029】
図1は、針挿入位置における本発明に係る医療用安全針アセンブリ1の一実施形態の断面の等角図である。本アセンブリは、ベースプレート11と、2つの部分(本図では1つの部分のみを示す)からなるハンドル13とを有する安全装置10と、遠位端にヒューバー先端18を具備した針14と、を備える。針の近位端は、チューブのような流体経路に接続可能となっている。
【0030】
本アセンブリ1の安全装置10は、ハウジング30をさらに備える。ハウジング30は、ベースプレート11に取り付けられた第一部分31と、取付要素33によって第一部分31に取り付けられた第二部分32とを有する。針は、ハウジングの第一部分と第二部分を横断し、遠位側開口部41がベースプレート11に設けられると共に、近位側開口部42がハウジングの第二部分32に設けられている。
【0031】
取付要素33は、伸長可能であり、第一位置と第二位置との間において針軸の近位方向における第一部分31に対するハウジングの第二部分32の相対的な移動を可能にする。
【0032】
針14は、ハウジングの第二部分32の近位側開口部42及びベースプレート11の遠位側開口部41を通じて摺動可能に延出している。図示の挿入位置では、針先はベースプレート11から遠位方向に延びている。針軸は、安全装置10の近位部において80°から90°の屈曲部19を有する。
【0033】
保持フェルール20は、ハウジング内のヒューバー先端18と針屈曲部19との間の針軸上に配置される。保持フェルールは、ヒューバー先端18のわずかな針曲がりによって形成されるデッドストップ(dead stop)22上を摺動しなくてもよい。さらに、保持フェルールが針先に向かってさらに滑り落ちないようにするために、軸径の変形がヒューバー22の屈曲部に近い針軸上に位置してもよい。
【0034】
板ばね50は、針軸に接触して横方向に付勢されている。板ばね50は、針軸の方向に直交するように配置された金属板51を備える。針先がベースプレート11の開口部41を通過すると、開口部40を閉じるように針軸に向かって板ばねが付勢される。
【0035】
ハンドル13がベースプレート11と平行な位置に図示される。アセンブリは、針が患者に挿入されるときの図示の構成では特に薄型である。
【0036】
このため、針が不注意に当たって患者から外れる危険性は低い。また、装置の外観も目立たない。
【0037】
図2は、針格納位置における
図1の実施形態を示している。針を格納するために、ハンドル13の2つの部分がベースプレート11に直交する位置に変えられており、医療従事者は、針14を上方に引っ張ることができる。針は、ベースプレート11の遠位側開口部41とハウジングの第二部分32の近位側開口部42とを通じて摺動する。保持フェルール20は、デッドロックとして機能するヒューバー先端18の屈曲部22に達するまで針軸上を摺動する。その後、保持フェルール20は、屈曲部22又はこの領域における針軸の直径の付加的な変形によって針軸上で阻止される。針軸上で阻止された保持フェルール20がハウジングの第二部分32に接触すると、保持フェルール20は第二部分32を上方に持ち上げる。柔軟であり且つ伸長可能な取付要素33は、元のS字形状から直線形状に変形し、ハウジングの第二部分32の上方への移動を規制する。本実施形態の装置は、星型に配置された3つの可撓性を呈する取付要素33を備える。一方で、本図では、そのうちの2つの取付要素33が図示されている。3つ目の取付要素33は、断面切断表現のため図示されていない。
【0038】
針によってハウジングの第二部分32が上方に移動すると、ハウジング内部の空洞34の高さが高くなり、針のヒューバー先端18全体が空洞34に包まれるようになる。
【0039】
記載されたような安全装置10の設計は、挿入位置での装置の低背化を可能にする。それにもかかわらず、ハウジング内部の空洞の大きさは、低背化がもはや重要でない格納位置においてヒューバー針先端を完全に囲むのに十分となる。
【0040】
針先18がベースプレート11の開口部41を通過すると、板ばねは、針軸方向と直交する位置で板ばねに固定された金属板51がベースプレート11の開口部41を閉じる位置に揺動する。
【0041】
図3は、針挿入位置における安全針アセンブリ1の等角図を示しており、医療従事者が針を容易に挿入または引っ込めることができるように、ハンドル13の2つの部分が折り畳まれている。ハウジングの第二部分32が第一位置(低い位置)にある限りにおいて、折り畳まれたハンドル13により、ハウジングの第二部分32とS字形状の可撓性の取付要素33を視認可能となる。
【0042】
図4は、針が格納された状態での
図3の実施形態を示す。針がハウジングの第二部分32を上方に引っ張っていることから、取付要素33は伸張した直線形状となっており、ハウジングの第二部分32の上方への動きを規制している。
【0043】
図5は、本構成で商品化され得る一式の医療用安全針アセンブリ1の分解図を示す。ヒューバー先端針14は、針のヒューバー先端18でのわずかな屈曲部と、さらに近位方向への80から90°の屈曲部19との2つの屈曲部を示している。第一の屈曲部と第二の屈曲部との間の針軸によって、ベースプレート11の開口部41および安全装置10のハウジング30の第二部分32の開口部42を通じて針が摺動可能となる。
【0044】
ハウジング30は、伸長可能な可撓性の取付要素33によって互いに取り付けられた第一部分31と第二部分32とを備える。取付要素33は、最初はS字形状であり、大きく突出することなくハウジングの第一部分31の中間にハウジングの第二部分32を配置させることができる。ハウジングの第二部分32は、2つの屈曲部の間の針軸を摺動可能に収容するための近位側開口部42を有する。
【0045】
針アセンブリ1の安全装置10は、遠位側開口部41を有するベースプレート11をさらに備える。ベースプレート11は、ベースプレート11と一体化若しくは連結され得る周方向距離要素55を含んでもよい。特に、周方向距離要素55は、発泡リングであってもよい。ハウジング部分31とベースプレート11は、接続要素60によって互いに接続されてもよい。また、ベースプレート11は、ハウジングの第二部分を第一位置から第二位置に導くためのガイド要素61を有する。付加的な保持要素62は、伸長可能な取付要素33が直線形状に伸長されたときにハウジングの第一部分31に加えられる張力に抵抗する。
【0046】
安全装置10は、組み立てられた位置で針軸に接触しつつ、横方向に付勢された板ばね50をさらに備える。この板ばねは、横方向の金属板51を有する。金属板51は、ハウジングの近位側開口部42およびベースプレートの遠位側開口部41を横切る針軸の方向に対して直交するように配置される。この金属板は、針が格納されてベースプレートの開口部を通過しなくなると、ベースプレートの開口部41を閉じる。
【0047】
保持フェルール20は、針の第一屈曲部と第二屈曲部との間の部分において針軸上に配置され得る。保持フェルールのカラー(collar)21の高さは、フェルールによる針の先端の屈曲部上の摺動を不能とするため、針が上方に引かれたときに、保持フェルールはこの位置で阻止され、針が患者から抜去されたときにハウジングの第二部分32を第一位置から第二位置へと上方に引き上げる。
【0048】
図示された安全針アセンブリは、ハンドル13をさらに備える。ハンドル13は、第二屈曲部19の近位側で針に取り付けられるが、屈曲部に近接している。ハンドルは、2つのフラップを有する。2つのフラップは、針14を正確に挿入または抜去できるように、ベースプレートおよびハウジングに対して略直交する位置において単一のハンドルを形成するように折り畳められ得る。
【0049】
針の近位端は、チューブ70に接続されてもよい。チューブ70には、例えば注射器を接続するための接続ハブ71が近位端において設けられてもよい。接続ハブは、本目的のために標準的なルアー(Luer)接続若しくは他の適切な接続要素を有していてもよい。チューブ70を通る流体経路を制限または停止するために、クランプ72が当該一式に追加されてもよい。
【0050】
図6は、ベースプレート11の針開口部41を閉じるための安全機構として機能する板ばね50を備えたベースプレート11を示している。針14が針開口部41を通過している限りは、板ばねが針軸と横方向に接触しつつ、矢印Fで示すようにわずかに付勢されている。針が引き抜かれて、針開口部41を通過しなくなるときに、板ばねが矢印Fの方向に移動して、金属板51が針開口部41を閉じる。このように、針先端は、ベースプレート11とハウジング30によって形成された空洞から出ることができなくなる。
【国際調査報告】