(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用負極およびそのための負極用磁性整列装置
(51)【国際特許分類】
H01M 4/133 20100101AFI20241129BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20241129BHJP
H01M 4/1393 20100101ALI20241129BHJP
【FI】
H01M4/133
H01M4/587
H01M4/1393
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533306
(86)(22)【出願日】2023-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 KR2023014426
(87)【国際公開番号】W WO2024080617
(87)【国際公開日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】10-2022-0131366
(32)【優先日】2022-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ス・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ゴン・キム
(72)【発明者】
【氏名】テク・ス・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ホ・チョ
(72)【発明者】
【氏名】シン・ウク・ジョン
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA02
5H050CB07
5H050CB08
5H050GA01
5H050GA02
5H050GA22
5H050GA27
5H050GA29
5H050HA00
5H050HA03
5H050HA04
5H050HA12
5H050HA13
(57)【要約】
本発明は、リチウム二次電池用負極およびそれを製造するための磁性整列装置に関するものである。上記磁性整列装置は、負極スラリーが塗布された負極集電体の上部および下部にそれぞれ磁石部を導入して負極スラリーに磁場を印加し、かつ上記磁石部において負極集電体の移送方向に沿って上流に位置する第1領域に下流に位置する第2領域より強い磁力を印加し得る。これにより、負極製造時の負極スラリーに含有された炭素系負極活物質の整列度および負極活性層表面の算術平均高さは特定範囲に容易に制御され得る。また、これにより製造された負極は、電気的物性はもちろん負極活性層の表面特性に優れるという利点がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極集電体、および前記負極集電体上に設けられ炭素系負極活物質を含有する負極活性層を含み、
下記式1で表される前記負極活性層中の炭素系負極活物質の整列度(O.I)が0.1~5.0であり、
前記負極活性層の表面の算術平均高さ(Sa)が3.0μm~10.0μmであり、
[式1]
O.I=I
004/I
110
式1において、
I
004は、負極活性層に対するX線回折分光(XRD)測定時の(004)結晶面を示すピークの面積を表し、
I
110は、負極活性層に対するX線回折分光(XRD)測定時の(110)結晶面を示すピークの面積を表す、リチウム二次電池用負極。
【請求項2】
前記負極活性層の平均厚さは50μm~300μmである、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項3】
前記炭素系負極活物質は、天然黒鉛および人造黒鉛のうち1種以上を含む、請求項1または2に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項4】
炭素系負極活物質を整列させるための負極製造用磁性整列装置であって、
炭素系負極活物質を含む負極スラリーが塗布された負極集電体の移送方向に沿って上部および下部にそれぞれ位置して磁力を印加する第1磁石部および第2磁石部と、
前記第1磁石部および前記第2磁石部により磁力が印加された負極スラリーを乾燥させる乾燥部と、を含み、
前記第1磁石部および前記第2磁石部は、それぞれ、負極集電体の移送方向を基準として上流に位置する第1領域と下流に位置する第2領域に区分され、
前記第1領域では、前記第2領域より磁力の強度が強い磁場が印加される、磁性整列装置。
【請求項5】
前記第1磁石部および前記第2磁石部は、それぞれ、前記負極集電体の移送方向(x軸方向)および幅方向(y軸方向)にそれぞれ配置される複数の単位磁石を含み、
前記複数の単位磁石のうち前記第1磁石部の第1領域と前記第2磁石部の第1領域に配置された単位磁石は、ハルバッハ配列に配置されている、請求項4に記載の磁性整列装置。
【請求項6】
前記第1磁石部と前記第2磁石部は、前記負極集電体の移送方向における前記第1領域の長さが前記第2領域の長さより短い、請求項4または5に記載の磁性整列装置。
【請求項7】
前記第1磁石部の第1領域および前記第2磁石部の第1領域は、それぞれ、前記第1磁石部および前記第2磁石部の全長を基準として5%~50%の長さを占める、請求項4または5に記載の磁性整列装置。
【請求項8】
前記第1磁石部と前記第2磁石部は、それぞれ、前記負極集電体の移送方向に0.5m~10mの長さを有する、請求項4または5に記載の磁性整列装置。
【請求項9】
前記第1磁石部と前記第2磁石部との間の離隔距離は10mm~50mmである、請求項4または5に記載の磁性整列装置。
【請求項10】
前記第1磁石部および前記第2磁石部は、互いに反対の極を有する磁石を含む、請求項4または5に記載の磁性整列装置。
【請求項11】
負極集電体上に炭素系負極活物質を含む負極スラリーを塗布する段階と、
請求項4に記載の磁性整列装置を用いて、負極スラリーに含有された炭素系負極活物質を整列する段階と、
炭素系負極活物質が整列された負極スラリーを乾燥して負極活性層を形成する段階と、を含む、負極の製造方法。
【請求項12】
前記磁性整列装置は、負極スラリーが塗布された負極集電体の移送方向に沿って上部および下部にそれぞれ位置し、移送方向の上流に位置する第1領域と下流に位置する第2領域に区分される第1磁石部および第2磁石部を含み、
前記第1領域で印加される磁力/第2領域で印加される磁力の割合は1.4以上である、請求項11に記載の負極の製造方法。
【請求項13】
前記第1領域では、8,000G以上の磁力が印加される、請求項12に記載の負極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年10月13日付の韓国特許出願第10-2022-0131366号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、リチウム二次電池用負極およびそれを製造するための磁性整列装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
近年、携帯型電子機器などの小型装置のみならず、ハイブリッド自動車や電気自動車のバッテリーパックまたは電力貯蔵装置などの中大型装置にも二次電池が広く適用されている。
【0004】
このような二次電池は、正極/分離膜/負極の積層構造からなる充放電が可能な発電素子であって、一般的に、正極はリチウム金属酸化物を正極活物質として含み、負極は黒鉛などの炭素系負極活物質を含み、充電時に正極から放出されたリチウムイオンが負極の炭素系負極活物質内部に吸蔵され、放電時に炭素系負極活物質内部に含有されたリチウムイオンが正極のリチウム金属酸化物に吸蔵され、充放電が繰り返される構成を有する。
【0005】
このとき、負極に用いられる負極活物質としては、天然黒鉛などの黒鉛材料が挙げられる。このような黒鉛は、層状構造を有しており、炭素原子が網目構造を形成し、平面状に広がった層が多数積層されて形成されている。充電時には、このような黒鉛層のエッジ面(層が重なっている面)からリチウムイオンが侵入して層間に拡散する。また、放電時にはリチウムイオンが脱離して層のエッジ面から放出され得る。また、黒鉛は、層の面方向の電気抵抗率が層の積層方向より低いので、層の面方向に沿って迂回した電子の伝導経路が形成される。
【0006】
これに関連して、従来黒鉛を用いたリチウム二次電池において、負極の充電性能を改善するために負極に含有された黒鉛を磁場配向させる技術が提案されている。具体的には、負極形成時に磁場中で黒鉛の(002)結晶面が負極集電体に対してほぼ垂直になるように配向させ、それを固定させる構成を有する。この場合、黒鉛層のエッジ面が正極活性層に向かうので、リチウムイオンの挿入脱離が円滑に行われると同時に、電子の伝導経路が短縮されて負極の電子伝導性が向上し得る。これにより、電池の充電性能を改善し得る。
【0007】
このために、負極の製造時に磁性装置を用いて、炭素系負極活物質として黒鉛を含む負極スラリーに磁場を印加することにより黒鉛を整列させる方式が適用されている。しかしながら、上記方式は、負極スラリーが塗布された金属薄板の上部と下部に永久磁石を配置して磁場を印加する方式であって、一定の磁力を維持しにくく、作業容易性が低いのみならず、永久磁石の末端、すなわち、磁場の終端で磁力による引力現象が発生して金属薄板に黒鉛の整列が崩れるので、最終的に製造される負極活性層における黒鉛は整列度が低い制限がある。また、負極スラリー内で整列された炭素系負極活物質に相当なストレスがかかるので、製造される負極活性層表面にスクラッチやクレーター状の溝が形成されるなど表面特性が低下し得、これにより製造された負極は電気的物性が低減されるか、または電池組立時の工程上の不良を誘発するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2018-0048131号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10-2022-0060017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、負極活性層内に含有された炭素系負極活物質の負極集電体に対する垂直整列特性に優れ、負極活性層の表面特性に優れた負極を製造するための磁性整列装置およびそれを用いた負極製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述された問題を解決するために、本発明は一実施形態において、
負極集電体、および上記負極集電体上に設けられ、炭素系負極活物質を含有する負極活性層を含み、
下記式1で表される上記負極活性層中の炭素系負極活物質の整列度(O.I)が0.1~5.0であり、
上記負極活性層の表面の算術平均高さ(Sa)が3.0μm~10.0μmであることを特徴とするリチウム二次電池用負極を提供する。
【0011】
[式1]
O.I=I004/I110
【0012】
式1において、
I004は、負極活性層に対するX線回折分光(XRD)測定時の(004)結晶面を示すピークの面積を表し、
I110は、負極活性層に対するX線回折分光(XRD)測定時の(110)結晶面を示すピークの面積を表す。
【0013】
このとき、上記負極活性層の平均厚さは50μm~300μmであり得る。
【0014】
また、上記負極活性層に含有された炭素系負極活物質は、天然黒鉛および人造黒鉛のうち1種以上を含み得る。
【0015】
また、本発明は一実施形態において、上記リチウム二次電池用負極を製造するための磁性整列装置を提供する。
具体的には、上記磁性整列装置は、炭素系負極活物質を整列させるための負極製造用磁性整列装置であって、
炭素系負極活物質を含む負極スラリーが塗布された負極集電体の移送方向に沿って上部および下部にそれぞれ位置して磁力を印加する第1磁石部および第2磁石部と、
上記第1磁石部および第2磁石部により磁力が印加された負極スラリーを乾燥させる乾燥部と、を含み、
上記第1磁石部および第2磁石部は、それぞれ、負極集電体の移送方向を基準として上流に位置する第1領域と下流に位置する第2領域に区分され、
上記第1領域は、第2領域より磁力の強度が強い磁場が印加されることを特徴とし得る。
【0016】
このとき、上記第1磁石部および第2磁石部は、それぞれ、負極集電体の移送方向(x軸方向)および幅方向(y軸方向)にそれぞれ配置される複数の単位磁石を含み、上記複数の単位磁石のうち第1磁石部と第2磁石部の第1領域に配置された単位磁石は、ハルバッハ配列に配置され得る。
【0017】
また、上記第1磁石部と第2磁石部は、負極集電体の移送方向に0.5m~10mの長さを有してもよく、上記長さにおいて第1領域が占める長さは、第2領域の長さより短くてもよい。具体的には、第1領域は、第1磁石部および第2磁石部の全長を基準として5%~50%の長さを占めることができる。
【0018】
また、上記第1磁石部と第2磁石部との間の離隔距離は10mm~50mmであり得る。
【0019】
また、上記第1磁石部および第2磁石部は、互いに反対の極を有する磁石を含み得る。
【0020】
さらに、本発明は一実施形態において、
負極集電体上に炭素系負極活物質を含む負極スラリーを塗布する段階と、
上述された本発明に係る磁性整列装置を用いて、負極スラリーに含有された炭素系負極活物質を整列する段階と、
炭素系負極活物質が整列された負極スラリーを乾燥して負極活性層を形成する段階と、を含む負極の製造方法を提供する。
【0021】
ここで、上記負極の製造方法で用いられる磁性整列装置は、上述されたように負極スラリーが塗布された負極集電体の移送方向に沿って上部および下部にそれぞれ位置し、移送方向の上流に位置する第1領域と下流に位置する第2領域に区分される第1磁石部および第2磁石部を含み得、このとき、上記第1領域で印加される磁力/第2領域で印加される磁力の割合は1.4以上であり得、上記第1領域で印加される磁力は8,000G以上であり得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る磁性整列装置は、負極スラリーに含有された炭素系負極活物質の整列度および負極活性層表面の算術平均高さを特定範囲に制御し得る。このように、炭素系負極活物質の整列度および負極活性層表面の算術平均高さが特定範囲に制御された負極は、電気的物性はもちろん、負極活性層の表面特性に優れるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る負極用磁性整列装置を概略的に示す構造図である。
【
図2】第1磁石部および第2磁石部に含まれた単位磁石の配列を示す斜視図である。
【
図3】負極活性層形成時の負極スラリーに対する磁場印加の有無による黒鉛のa-b軸結晶面の整列を示すイメージであって、(a)は磁場が印加されず、黒鉛の結晶面が整列されない場合であり、(b)は磁場が印加されて黒鉛の結晶面が整列した場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な実施形態を有し得るので、特定の実施形態を詳細な説明に詳細に説明する。
【0025】
しかしながら、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むものとして理解され得る。
【0026】
本発明において、「含む」や「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものとして理解され得る。
【0027】
また、本発明において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あると記載された場合、これは他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あると記載された場合、それは他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。また、本出願において「上に」配置されるということは、上部のみならず下部に配置される場合も含むものであり得る。
【0028】
また、本発明において、「主成分として含む」とは、全重量(または全体積)に対して定義された成分を50重量%以上(または50体積%以上)、60重量%以上(または60体積%以上)、70重量%以上(または70体積%以上)、80重量%以上(または80体積%以上)、90重量%以上(または90体積%以上)、または95重量%以上(または95体積%以上)含むことを意味し得る。例えば、「負極活物質として黒鉛を主成分として含む」とは、負極活物質全体の重量に対して、黒鉛を50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、または95重量%以上含むことを意味し得、場合によっては、負極活物質全体が黒鉛からとなって黒鉛を100重量%で含むことを意味することもできる。
【0029】
また、本明細書において、「炭素系負極活物質が配向される」または「炭素系負極活物質が整列される」とは、
図3の(b)のように、負極活物質粒子を構成する炭素系負極活物質の二次元平面構造を示す特定の結晶面(例えば、黒鉛のa-b軸結晶面)が負極集電体表面を基準として所定の傾きを有するように配列されることを意味し得る。これは、
図3の(a)のように、炭素系負極活物質の粒子自体が負極活性層内部でのみ所定の方向に整列されるが、負極集電体に対しては方向性を有しないこととは異なり得る。
【0030】
また、「炭素系負極活物質の配向性が高い」とは、負極活性層に含有された炭素系負極活物質の二次元平面構造を示す特定の結晶面(例えば、黒鉛のa-b軸結晶面)が負極集電体表面を基準として所定の傾きを有する頻度が高いことを意味し得る。また、場合によっては、負極活性層に含有された炭素系負極活物質の上記結晶面が負極集電体表面を基準として高い角度(例えば、垂直に近い角度、45°超、具体的には60°以上)に配列されたことを意味し得る。
【0031】
また、「炭素系負極活物質の整列度が高い」とは、本明細書で言及された「整列度(S60/0および/またはO.I)」が大きい値を有するものであり、負極活性層に含有された炭素系負極活物質の二次元平面構造を示す特定の結晶面(例えば、黒鉛のa-b軸結晶面)が負極集電体表面を基準として低い角度(例えば、45°未満)に配列されたことを意味し得る。逆に、「炭素系負極活物質の整列度が低い」とは、「整列度(S60/0および/またはO.I)」が小さい値を有するものであり、負極活性層に含有された炭素系負極活物質の上記結晶面が負極集電体表面を基準として高い角度(例えば、垂直に近い角度、45°以上、具体的には60°以上)に配列されたことを意味し得る。
【0032】
また、本明細書において、「炭素系負極活物質の結晶面」とは、炭素系負極活物質の原子が結晶の外形をなす面であって、本発明では炭素系負極活物質の平面を含む結晶面、または炭素系負極活物質結晶のa軸/a-b軸を含む結晶面を意味し得る。
【0033】
さらに、本明細書において「平均粒径(D50)」とは、粒子の粒径分布において積算値が50%となる粒径を意味し、それをメジアン直径(median diameter)ともいう。
【0034】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0035】
<リチウム二次電池用負極>
本発明は一実施形態において、
負極集電体、および上記負極集電体上に設けられ、炭素系負極活物質を含有する負極活性層を含み、
下記式1で表される上記負極活性層中の炭素系負極活物質の整列度(O.I)が0.1~5.0であり、
上記負極活性層の表面の算術平均高さ(Sa)が3.0μm~10.0μmであることを特徴とするリチウム二次電池用負極を提供する。
【0036】
[式1]
O.I=I004/I110
【0037】
式1において、
I004は、負極活性層に対するX線回折分光(XRD)測定時の(004)結晶面を示すピークの面積を表し、
I110は、負極活性層に対するX線回折分光(XRD)測定時の(110)結晶面を示すピークの面積を表す。
【0038】
本発明に係るリチウム二次電池用負極は、負極集電体の少なくとも一面に炭素系負極活物質を含む負極活性層を含む。上記負極活性層は、負極の電気的活性を具現する層であって、電池の充放電時に電気化学的酸化還元反応を具現する負極活物質を含む電極スラリーを電極集電体の両面に塗布した後に、それを乾燥および圧延することにより製造される。
【0039】
上記負極活性層は、電池の充放電時に可逆的酸化還元反応を通じて電気的活性を具現するために負極活物質として炭素系負極活物質を含む。具体的には、上記炭素系負極活物質とは、炭素原子を主成分とする素材を意味し、このような炭素系負極活物質としては黒鉛を含み得る。上記黒鉛は、天然黒鉛、人造黒鉛のうちいずれか1つ以上を含み得るが、好ましくは天然黒鉛を含むか、または天然黒鉛と人造黒鉛の混合物を含み得る。例えば、上記炭素系負極活物質は、天然黒鉛または人造黒鉛を単独で含み得、場合によっては、天然黒鉛と人造黒鉛を混合した形態で含み得る。この場合、天然黒鉛と人造黒鉛の混合割合は、重量を基準として5~40:60~95、または10~30:70~90であり得る。炭素系負極活物質は、天然黒鉛と人造黒鉛を上記のような混合割合で含むことにより、負極集電体と負極活性層との接着を強固にしながら負極集電体表面に対する炭素系負極活物質の配向性を高く具現し得る。
【0040】
上記炭素系負極活物質は、複数の鱗片状の黒鉛が集合して形成された球形の黒鉛造粒物であることが好ましい。鱗片状黒鉛としては天然黒鉛、人造黒鉛以外、タール・ピッチを原料としたメソフェーズ焼成炭素(バルクメソフェーズ)、コークス類(生コークス、グリーンコークス、ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークスなど)などを黒鉛化したものなどが挙げられる。特に、結晶性が高い天然黒鉛を複数用いて組み立てられたものが好ましい。また、1つの黒鉛造粒物は、鱗片状の黒鉛が2~100個、好ましくは3~20個が集合して形成され得る。
【0041】
このような炭素系負極活物質、具体的には、黒鉛は球形の粒子形態を有し得、このとき、黒鉛粒子の球形度は0.75以上であり得、例えば0.75~1.0、0.75~0.95、0.8~0.95、または0.90~0.99であり得る。ここで、「球形化度」とは、粒子の中心を通る任意の直径のうち、最も長さが短い直径(短径)/最も長さが長い直径(長径)の割合を意味し得、球形化度が1である場合に、粒子の形態は球形であることを意味する。上記球形化度は、粒子形状分析器を介して測定され得る。本発明は、炭素系負極活物質の形状を球形に近く具現することにより、負極活性層の電気伝導度を高く具現し得るので、電池の容量を改善し得、負極活物質の比表面積を増加させ得るので、負極活性層と集電体との間の接着力を向上させ得るという利点がある。
【0042】
また、上記炭素系負極活物質は、0.5μm~10μmの平均粒径(D50)を示すことができ、具体的には2μm~7μm、0.5μm~5μm、または1μm~3μmの平均粒径(D50)を示すことができる。
【0043】
球形天然黒鉛の平均粒径は、リチウムイオンの充電による粒子の膨張を防ぎ得るように、粒子それぞれに対する膨張方向の無秩序度を最大化するために粒径を小さくするほど有利であり得る。しかしながら、天然黒鉛の粒径が0.5μm未満である場合には、単位体積当たりの粒子数の増加により多量のバインダーが必要となり、球形化度および球形化収率が低くなり得る。一方、最大粒径が10μmを超えると、膨張が激しくなり、充放電が繰り返されることにより粒子間結着性と、粒子と集電体との結着性が低下し、サイクル特性が大幅に減少され得る。
【0044】
本発明に係る負極の負極活性層は、上述された本発明に係る磁性整列装置により、炭素系負極活物質のa-b軸結晶面が負極集電体に対して垂直な方向に整列され得る。本発明は、負極活性層に含有された炭素系負極活物質のa-b軸結晶面を負極集電体に対して所定の方向性を有するように整列させることにより電極抵抗をより低くし得、これにより負極活性層の充電性能をより向上させ得る。ここで、上記炭素系負極活物質(例えば、黒鉛)のa-b軸結晶面が整列された程度(すなわち、配向度)は、黒鉛に対する結晶面分析により判断され得る。
【0045】
一つの例として、上記負極活性層は、炭素系負極活物質のa-b軸結晶面が負極集電体に対して垂直に整列され、負極活性層に対するX線回折分光(XRD)測定時に、下記式1で表される炭素系負極活物質の整列度(O.I)が0.1~5.0を満たし得る。
【0046】
[式1]
O.I=I004/I110
【0047】
式1において、
I004は、負極活性層に対するX線回折分光(XRD)測定時の(004)結晶面を示すピークの面積を表し、
I110は、負極活性層に対するX線回折分光(XRD)測定時の(110)結晶面を示すピークの面積を表す。
【0048】
上記炭素系負極活物質の結晶面配向は、X線回折分光分析などの炭素系負極活物質に対する結晶面分析によって判断され得る。上記式1で表される炭素系負極活物質の整列度(O.I)は、X線回折測定時の炭素系負極活物質の結晶構造が整列された方向、具体的には、炭素系負極活物質の二次元平面構造を示すa-b軸結晶面が負極集電体表面に対して整列された程度を示す指標となり得る。例えば、負極活性層が炭素系負極活物質として黒鉛を含む場合に、負極活性層に対するX線回折分光分析時の黒鉛に対するピークである2θ=26.5±0.2°、42.4±0.2°、43.4±0.2°、44.6±0.2°、54.7±0.2°、および77.5±0.2°を示す。これは、負極活性層に含有された黒鉛の結晶面のうち、(002)面、(100)面、(101)R面、(101)H面、(004)面、(110)面を示す。一般的に黒鉛の場合に、a軸およびb軸面にグラフェン層が置かれ、このようなグラフェン層がc軸に沿って積層され、ヘキサゴナル(hexagonal)またはロンボヘドラル(rhombohedral)の結晶構造を有することになる。ここで、上記結晶面ピークは、このような結晶構造の面特性を示すピークである。また、2θ=43.4±0.2°に現れるピークは、炭素系物質の(101)R面と電流集電体、例えばCuの(111)面に該当するピークが重複(overlap)して現れたとも考えられる。
【0049】
本発明は、(110)面を示す2θ=77.5±0.2°でのピークと、(004)面を示す2θ=54.7±0.2°でのピークの面積割合、具体的には、上記ピークの強度を積分して得られる面積の割合で黒鉛の整列度(O.I)を測定し得る。また、X線回折はターゲット線としてCuK α線を用いて測定したものであり、ピーク強度解像度(Peak intensity resolution)の向上のために、モノクロメーター(monochromator)装置でターゲット線を抽出して測定した。このとき、測定条件は2θ=10°~90°およびスキャンスピード(°/s)が0.044~0.089、ステップサイズ(step size)は0.026°/ステップの条件で測定した。また、2θ=54.7±0.2°に現れる(004)面は、黒鉛層の二次元平面構造が積層された層状構造の厚さ方向特性(c軸方向特性)を示し、2θ=77.5±0.2°に現れる(110)面は、積層された黒鉛層の平面特性(a-b軸方向特性)を示す。したがって、黒鉛層平面の厚さ方向特性を示す(004)面ピークが小さいほど、また、黒鉛層の平面特性を示す(110)面ピークが大きいほど、黒鉛の平面が負極集電体表面に対して高い角度で整列されることを示す。すなわち、上記整列度(O.I)は、その値が0に近いほど、負極集電体表面に対する黒鉛層表面の角度または傾きが90°に近く、その値が大きくなるほど、負極集電体表面に対する傾きが0°または180°に近いことを意味し得る。このような側面で、本発明に係る負極活性層は、炭素系負極活物質が負極集電体に対して垂直に整列されるので、炭素系負極活物質が垂直に整列されない場合と比較して黒鉛の整列度(O.I)が低いことがあり得る。具体的には、負極活性層に含有された炭素系負極活物質の整列度は0.1~5.0であり得、より具体的には0.1~4.5、0.1~4.0、0.1~3.5、0.1~3.0、0.1~2.5、0.1~2.0、0.1~1.0、0.5~2.9、1.0~4.5、1.1~4.1、1.5~4.0、1.1~3.5、1.5~3.0、0.9~2.9、0.1~2.4、0.1~2.1、0.1~1.9、2.0~5.0、2.0~4.0、2.1~3.9、2.5~3.9、3.1~4.5、0.1~0.6、0.15~0.6、0.15~0.5、0.2~0.5、0.2~0.4、0.25~0.45、または0.3~0.5であり得る。
【0050】
また、上記負極活性層は、負極集電体に対する炭素系負極活物質の垂直整列が均一に誘導され、所定の単位面積内で任意的に測定された複数の炭素系負極活物質の整列度(O.I)間の偏差が低いことがあり得る。
【0051】
一つの例として、上記負極活性層は、負極活性層の単位面積(10cm×10cm)に存在する任意の3地点に対するX線回折分光(XRD)測定時に、式1で表される炭素系負極活物質の整列度(O.I)偏差が平均値を基準として5%未満であり得、具体的には4%以下、3%以下、2%以下、または1%以下であり得る。
【0052】
さらに、上記負極活性層は、表面の算術平均高さ(Sa)が特定範囲に調節され、負極活性層の表面特性に優れると言える。具体的には、上記負極活性層は、表面の算術平均高さ(Sa)が特定範囲を満たし、スクラッチ、クレーター状の溝などの欠点(defect)が著しく少ない特徴を示す。このために、上記負極活性層は、表面の算術平均高さ(Sa)が3.0μm~10.0μmであり得、より具体的には3.0μm~8.0μm、3.0μm~6.0μm、または3.5~5.0μmであり得る。このとき、上記表面の算術平均高さ(Sa)とは、三次元表面の平均面に対して各点間高さ差の絶対値平均を示し、この値が低いほど表面の粗さは低いことを意味する。また、上記表面の算術平均高さ(Sa)は、三次元表面の粗さを測定し得るものであれば特に制限されず、具体的には光学顕微鏡、X線光電子分光器(XPS)、レーザーコンフォーカルマイクロスコープなどを用いて測定され得る。
【0053】
上記負極活性層は、負極集電体に負極スラリーを塗布および乾燥して製造することになる。ここで、上記負極スラリーには、乾燥前に負極活性層に含有された炭素系負極活物質の整列のための磁力が印加されるが、一般的に負極スラリーに印加される磁力は、負極スラリー内に含有された炭素系負極活物質に相当なストレスを誘発し、表面にスクラッチやクレーター状の溝を形成し得る。このようなスクラッチやクレーター状の溝は、負極活性層内の活物質の密度差を誘発する表面不均一を誘導し、密度が高い特定サイト(site)に集中的にリチウムプレーティング(Li-plating)およびそれによる電極の劣化を発生させ得る。しかしながら、本発明に係る負極は、負極活性層表面の算術平均高さ(Sa)を特定範囲に調節することにより、負極集電体に対して垂直方向に整列された炭素系負極活物質を含みながらもスクラッチやクレーター状の溝が形成されず、表面特性に優れた負極活性層を含み得る。
【0054】
また、上記負極活性層の平均厚さは50μm~300μmであり得、具体的には50μm~250μm、100μm~250μm、または100μm~200μmであり得る。本発明は、負極活性層の平均厚さを上記範囲に調節することにより電極のエネルギー密度を高めることができるのみならず、負極活性層製造時の負極スラリー内部に磁力を均一に印加し得るので、炭素系負極活物質の均一な整列を誘導し得る。
【0055】
一方、本発明に係る負極活性層は、負極活物質と共に、必要に応じて導電材、バインダー、その他の添加剤などを選択的にさらに含み得る。
【0056】
上記導電材は、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、炭素繊維などを1種以上含み得るが、これに制限されるものではない。
【0057】
一つの例として、上記負極活性層は、導電材としてカーボンブラック、カーボンナノチューブ、炭素繊維などを単独で含有するかまたは併用し得る。
【0058】
このとき、上記導電材の含有量は、負極活性層全体100重量部に対して0.1~10重量部であり得、具体的には0.1~8重量部、0.1~5重量部、0.1~3重量部、2~6重量部、または0.5~2重量部であり得る。本発明は、導電材の含有量を上記のような範囲に制御することにより、低い含有量の導電材により負極の抵抗が増加して充電容量が低下することを防止し得る。また、過量の導電材により負極活物質の含有量が低下して充電容量が低下するか、または負極活性層のローディング量増加により急速充電特性が低下するという問題を予防し得る。
【0059】
また、上記バインダーは、活物質と導電材などの結合と集電体に対する結合に助力する成分であって、電極の電気的物性を低下させない範囲で好適に適用され得るが、具体的には、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidenefluoride、PVDF)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー、スルホン化されたエチレン-プロピレン-ジエンモノマー、スチレンブタジエンゴムおよびフッ素ゴムからいずれか1つ以上を含み得る。
【0060】
上記バインダーの含有量は、負極活性層全体100重量部に対して0.1~10重量部であり得、具体的には0.1~8重量部、0.1~5重量部、0.1~3重量部、または2~6重量部であり得る。本発明は、負極活性層に含有されたバインダーの含有量を上記範囲に制御することにより、低い含有量のバインダーにより活性層の接着力が低下するか、または過量のバインダーにより電極の電気的物性が低下することを防止し得る。
【0061】
また、上記負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せずに高い導電性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、ニッケル、チタン、焼成炭素などを使用し得、銅やステンレススチールの場合、カーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理されたものを使用することもできる。また、上記負極集電体の平均厚さは、製造される負極の導電性と総厚さを考慮して1~500μmで好適に適用され得る。
【0062】
<負極用磁性整列装置>
本発明は一実施形態において、
炭素系負極活物質を整列させるための負極製造用磁性整列装置であって、
炭素系負極活物質を含む負極スラリーが塗布された負極集電体の移送方向に沿って上部および下部にそれぞれ位置して磁力を印加する第1磁石部および第2磁石部と、
上記第1磁石部および第2磁石部により磁力が印加された負極スラリーを乾燥させる乾燥部と、を含み、
上記第1磁石部および第2磁石部は、それぞれ、負極集電体の移送方向を基準として上流に位置する第1領域と下流に位置する第2領域に区分され、
上記第1領域は、第2領域より磁力の強度が強い磁場が印加されることを特徴とする磁性整列装置を提供する。
【0063】
本発明に係る負極の磁性整列装置は、二次電池に用いられる負極製造時に適用される装置であって、炭素系負極活物質を含む負極スラリーが塗布された負極集電体の表面、すなわち、負極スラリー表面に磁場を印加することにより、負極スラリーに含有された炭素系負極活物質のa-b軸結晶面を負極集電体に対して垂直方向またはそれに近いように整列させ得る。上記磁性整列装置は、負極スラリー内に含有された炭素系負極活物質の均一な整列を具現し得る。このように製造された負極は、電池の充放電時のリチウムイオンの移動度が増加し、抵抗が減少して、充放電性能が向上する効果を示すことができる。
【0064】
ここで、負極集電体に対して垂直方向に整列されることは、炭素系負極活物質の結晶面が整列されることを意味する。具体的には、「炭素系負極活物質が負極集電体に対して垂直に整列される」とは、球形粒子を構成する炭素系負極活物質の結晶面、具体的には、黒鉛の結晶面のうち二次元構造を有する黒鉛の平面方向を示す結晶面が負極集電体表面に対して垂直に整列されて配置されたことを意味し得る。このとき、黒鉛の平面方向は、負極集電体に対して60~120°の平均傾きを有し得、好ましくは70~110°、または80~100°の平均傾きを有し得る。
【0065】
このために、本発明に係る磁性整列装置10は、
図1に示したように、炭素系負極活物質を含む負極スラリーが塗布された負極集電体の移送方向に沿って上部および下部にそれぞれ位置して磁力を印加する第1磁石部110aおよび第2磁石部110bと、上記第1磁石部110aと第2磁石部110bによって磁力が印加された負極スラリーを乾燥させる乾燥部120とを含む構成を有する。
【0066】
上記磁性整列装置において、第1磁石部110aと第2磁石部110bは、移送中の電極シート、すなわち、負極スラリーが塗布された負極集電体の上部と下部にそれぞれ配置され、負極スラリーSの表面に磁場を印加する役割を果たす。
【0067】
このとき、上記第1磁石部110aと第2磁石部110bは、それぞれ負極スラリーS表面に磁場を印加するために、磁石111aおよび111bと、上記磁石を固定する支持部112aおよび112bとを含み得る。
【0068】
具体的には、
図2に示したように、負極スラリーSが塗布された負極集電体が移送される方向をx軸方向といい、移送される負極集電体の幅方向をy軸と定義する場合に、上記第1磁石部110aと第2磁石部110bは、x軸方向およびy軸方向にそれぞれ複数の単位磁石を含み得る。上記単位磁石は、x軸方向とy軸方向にそれぞれm個(ただし、mは2以上の整数)およびn個(ただし、nは2以上の整数)ずつを含む磁石列をなし得、これにより、1つの磁石部は、m×n個の単位磁石を含み得る。
【0069】
また、上記第1磁石部110aと第2磁石部110bは、負極集電体の移送方向、すなわち、x軸方向に上流に位置する第1領域1111aおよび1111bと、下流に位置する第2領域1112aおよび1112bに区分し得る。ここで、上記第1領域1111aおよび1111bは、第2領域1112aおよび1112bより磁力の強度(または磁場の強度)が強く磁場を印加し得る。
【0070】
このような磁力の強度差は、当業界で通常的に適用される方式で具現され得るが、好ましくは、第1領域1111aおよび1111bに配置された複数の単位磁石はハルバッハ配列に配置し、第2領域1112aおよび1112bに配置された複数の単位磁石は、磁石部表面にN極またはS極の磁力(すなわち、単一極)が露出して均一磁場を印加し得るように配置して具現し得る。ここで、ハルバッハ配列とは、単位磁石の配置を制御して電界強度を向上させた配列方式をいい、単位磁石を同じ極に配置する場合と比較して、1.5倍以上の強い磁力を具現し得る。本発明は、第1磁石部と第2磁石部の第1領域1111aおよび1111bにハルバッハ配列を有する複数の単位磁石を配置することにより、負極スラリーの移送時に移送方向を基準として上流に位置する第1領域1111aおよび1111bで高い磁場が印加され、その後、下流に位置する第2領域1112aおよび1112bでは、第1領域1111aおよび1111bに比べて相対的に低い磁場を印加し得る。これにより、本発明は、磁石部末端の強い磁場により、負極集電体に対して垂直に整列された炭素系負極活物質の整列度が低減されることを防止し得、負極スラリーにかかるストレスを減らし得るので、製造される負極活性層の表面特性を向上させ得る。
【0071】
このとき、上記第1領域1111aおよび1111bと第2領域1112aおよび1112bは、第1磁石部110aと第2磁石部110bの表面で印加される磁力および/または第1磁石部110aと第2磁石部110bとの間の空間に印加される磁力が一定の割合を有し得る。
【0072】
一つの例として、第1領域1111aおよび1111bは、8,000G以上、9,000G以上、10,000G以上、8,000~12,000G、または8,500~11,000Gで第1磁石部110aと第2磁石部110bとの間の空間に磁力が印加され得、第1領域1111aおよび1111bの磁力/第2領域1112aおよび1112bの磁力の割合は、1.4以上、1.5以上、1.6以上、1.4~2.5、1.4~2.2、1.5~1.8、または1.6~2.0であり得る。
【0073】
他の一つの例として、上記第1領域1111aおよび1111bは、10,000G以上、11,000G以上、10,000~15,000G、10,000~12,000G、または11,000~12,000Gで第1磁石部110aと第2磁石部110bの表面に磁力が印加され得、第1領域1111aおよび1111bの磁力/第2領域1112aおよび1112bの磁力の割合は、1.4以上、1.5以上、1.6以上、1.4~5.0、1.4~3.0、1.4~2.5、または1.5~2.0であり得る。
【0074】
また、上記第1領域1111aおよび1111bと第2領域1112aおよび1112bは、これらの領域の大きさの割合が一定に調節され得る。具体的には、第1領域1111aおよび1111bは、負極集電体の移送方向への長さが第2領域1112aおよび1112bより短いことがあり得る。具体的には、第1領域1111aおよび1111bは、第1磁石部110aと第2磁石部110bの全長を基準として5~50%を占めることができ、より具体的には5~40%、10~30%、または10~20%を占めることができ、残りは第2領域1112aおよび1112bが占める構造を有し得る。一つの例として、第1領域1111aおよび1111bは、第1磁石部110aと第2磁石部110bの全長を基準として15%を占めることができ、第2領域1112aおよび1112bは、第1領域1111aおよび1111bと連続的に連結され、上記第1磁石部110aと第2磁石部110bの全長を基準として85%を占めることができる。
【0075】
本発明は、第1領域1111aおよび1111bと第2領域1112aおよび1112bの長さを上記のように調節することにより、炭素系負極活物質の整列を効果的に制御し得るのみならず、負極スラリーにかかるストレスを著しく下げることができる。
【0076】
一方、上記単位磁石111aおよび111bは、電磁石および/または永久磁石を含み得る。上記電磁石は、直流電磁石と交流電磁石とをいずれも含み得る。また、上記永久磁石としては、NdFeB系磁石、SmCo系磁石、フェライト(Ferrite)磁石、アルニコ(Alnico)磁石、FeCrCo系磁石、ボンド(Bond)磁石(Nd-Fe-B系、Sm-Fe-N系、Sm-Co系、フェライト(Ferrite)系)などを含む強磁性性質の磁石と軟磁性性質の磁石とをいずれも含み得る。
【0077】
また、上記第1磁石部110aと第2磁石部110bは、互いに対向するように負極スラリーSの移送方向に沿って位置し、互いに反対の極を有するように配置され得る。例えば、第1磁石部110aの第1磁石111aが有するN極と、第2磁石部110bの第2磁石111bが有するS極が対向しているか、または第1磁石部110aの第1磁石111aが有するS極と、第2磁石部110bの第2磁石111bが有するN極が対向するように配置され得る。このようにN極とS極が対向している空間の間を電極シートが通る場合に、第1磁石部110aと第2磁石部110bとの間で負極集電体Cに対する炭素系負極活物質の垂直整列がより効果的になされ得る。
【0078】
また、上記第1磁石部110aと第2磁石部110bとの間の離隔距離は、10mm~50mmであり得、具体的には10mm~40mm、20mm~50mm、または15mm~45mmであり得る。本発明は、第1磁石部110aと第2磁石部110bとの間の離隔距離を上記範囲に調節することにより、負極スラリーSに含有された炭素系負極活物質の整列をより効率的に行い得る。
【0079】
さらに、第1磁石部110aと第2磁石部110bは、負極集電体の移送方向(すなわち、x軸方向)に0.5m~10mの長さを有し得、上記第1磁石部110aと第2磁石部110bの長さは、負極製造時に負極スラリーが塗布された負極集電体の移送速度および/または負極スラリーに磁力が印加される時間に応じて好適に調節され得る。例えば、負極スラリーが塗布された負極集電体の移送速度が3±0.2m/minである場合に、第1磁石部110aと第2磁石部110bの長さは3±0.5mであり得、移送速度が6±0.2m/minである場合に、第1磁石部110aと第2磁石部110bの長さは6±0.5mであり得る。本発明は、第1磁石部110aと第2磁石部110bの全長を上記のように調節することにより、負極スラリーに含有された炭素系負極活物質の整列を垂直に近く具現し得る。
【0080】
また、上記磁性整列装置10は、移送部20と結合されて炭素系負極活物質を含む負極スラリーが塗布された負極集電体を一方向に、具体的には工程方向に移送させ得る。このために、上記移送部20は、当業界で電極製造時に電極スラリーSが塗布された電極シートCを移送するのに通常的に適用する方式であれば特に制限せずに適用し得る。例えば、上記移送部20は、ロールツーロール(roll-to-roll)方式や、磁場印加が可能なコンベアベルト移送方式などが適用され得る。
【0081】
さらに、上記磁性整列装置において、乾燥部120は、第1磁石部110aと第2磁石部110bによって炭素系負極活物質が整列された負極スラリーSを乾燥させて整列された炭素系負極活物質を固定させる役割を果たす。
【0082】
上記乾燥部120は、スラリーSが塗布された電極シートを引入して搬出する入出口を除く周辺を遮断する壁体(図示せず)と、電極スラリーが塗布された電極シートが引出される側の壁体に電極シートを乾燥させるための乾燥機(図示せず)とを含んで形成される。
【0083】
電極スラリーSが塗布された電極シートCが乾燥部120の引入口を介して入ると、反対側の壁体から供給される光、波長、熱などのエネルギーが伝達される。したがって、上記壁体は、外部に内部のエネルギーが伝達されて熱損失が発生することを防止し得るように断熱材からなることが好ましい。
【0084】
また、上記乾燥部120はその方式が制限されるものではないが、負極活性層内に含有された炭素系負極活物質の整列を維持するために2段階の乾燥過程を行う構成を有し得る。具体的には、上記乾燥部120は、光を用いて負極スラリーを乾燥させる第1乾燥機と、熱を用いて負極スラリーを乾燥させる第2乾燥機とを含み得、上記第1乾燥機と第2乾燥機は連続的に作動して負極スラリーを乾燥させ得る。
【0085】
上記第1乾燥機は、負極スラリーを仮乾燥する装置であって、上述されたように負極スラリー表面に光または波長を照射し得る。一般的に、負極スラリーを乾燥する場合は、高温の熱風を加えることによって行われるが、この場合、負極スラリーの乾燥時間が長くかかるので、負極スラリー内の炭素系負極活物質の整列が乱れ得る。また、このような問題を解決するために熱風の温度を高める場合には、スラリー表面で乾燥される傾向が大きくなるので、バインダーが揮発する溶媒と共にスラリー表面に集中する現象(migration)が発生し、活物質層と負極集電体との付着強度が低下するという問題がある。本発明は、このような問題なしに炭素系負極活物質の高い整列度を維持しながら負極スラリーを乾燥させ得るように、第1乾燥機を用いてエネルギーを光または波長の形態で照射することにより電極スラリーを仮乾燥させる構成を有し得る。このような第1乾燥機としては、例えば紫外線乾燥機、近赤外線乾燥機、遠赤外線乾燥機などを含み得、具体的には電極スラリーの均一な乾燥速度を具現するために1μm以上、より具体的には5μm以上、10μm以上、または20μm以上の波長のエネルギーを放出する遠赤外線乾燥機を含み得る。上記遠赤外線乾燥機は、通常的に当業界で適用される近赤外線乾燥機や赤外線とは異なり、光または波長が長くてエネルギー効率がいい。そして、負極スラリーの表面のみならず内部まで均一にエネルギーを加え得るので、短時間で負極スラリーと負極集電体との間の接着力を高めることができるという利点がある。
【0086】
このとき、上記第1乾燥機は、50kW/m2~1,000kW/m2の出力密度でエネルギーを放出し得、具体的には50kW/m2~500kW/m2、50kW/m2~250kW/m2、または50kW/m2および200kW/m2の出力密度でエネルギーを放出し得る。本発明は、第1乾燥機の出力密度を上記範囲に制御することにより、過度な出力密度によって活物質層の不均一乾燥が誘導されることを防止し得る。
【0087】
また、第2乾燥機は、光または波長によって仮乾燥された負極スラリーを均一に完全に乾燥させるために熱を加え得る。このような第2乾燥機としては、当業界で通常的に適用されるものであれば特に制限されずに含み得るが、具体的には、熱風乾燥機、真空オーブン機などを単独でまたは併用するように含み得る。
【0088】
本発明に係る磁性整列装置は、上述された構成を有することにより、磁石部末端で発生する磁力による炭素系負極活物質の引力現象を低減させ得るので、負極スラリーに含有された炭素系負極活物質の整列度を著しく高めることができ、製造された負極活性層の表面特性に優れるので、電気的性能に優れた負極を製造し得るという利点がある。
【0089】
<負極の製造方法>
また、本発明は一実施形態において、
負極集電体上に炭素系負極活物質を含む負極スラリーを塗布する段階と、
上述された本発明に係る磁性整列装置を用いて、負極スラリーに含有された炭素系負極活物質を整列する段階と、
炭素系負極活物質が整列された負極スラリーを乾燥して負極活性層を形成する段階と、を含む負極の製造方法を提供する。
【0090】
本発明に係る負極の製造方法は、負極集電体上に炭素系負極活物質を含む負極スラリーを塗布し、塗布された負極スラリーの表面に上述された本発明の磁性整列装置を用いて磁場を印加することにより、負極スラリー内の炭素系負極活物質を負極集電体の表面に対して(または電極シートの移送方向に対して)垂直または垂直に近く整列させ得、炭素系負極活物質の整列後にスラリー内で整列された炭素系負極活物質に相当なストレスがかかるので、製造される負極活性層表面にスクラッチやクレーター状の溝が形成されることを防止し得る。
【0091】
上記負極製造方法において、負極スラリーを負極集電体に塗布する段階と、負極スラリーを乾燥させる段階は、当業界で通常的に適用される方式で行われ得る。
【0092】
また、上記負極スラリーに含有された炭素系負極活物質を整列する段階は、本発明に係る磁性整列装置を用いて負極集電体表面に塗布された負極スラリーに磁力が異なる磁場が順次的に印加され得る。
【0093】
上記磁性整列装置は、負極集電体の移送方向(すなわち、x軸方向)に沿って負極集電体の上部と下部に第1磁石部と第2磁石部がそれぞれ配置される。このとき、上記第1磁石部と第2磁石部は、負極集電体の移送方向、すなわち、x軸方向に上流に位置する第1領域1111aおよび1111bと、下流に位置する第2領域1112aおよび1112bに区別し得、上記第1領域1111aおよび1111bは、第2領域1112aおよび1112bより磁力の強度が強い磁場を印加し得る。
【0094】
このとき、上記第1領域1111aおよび1111bと第2領域1112aおよび1112bは、第1磁石部および第2磁石部の表面で印加される磁力および/または第1磁石部と第2磁石部との間の空間に印加される磁力が一定の割合を有し得る。
【0095】
一つの例として、第1領域1111aおよび1111bは、8,000G以上、9,000G以上、10,000G以上、8,000~12,000G、または8,500~11,000Gで第1磁石部110aと第2磁石部110bとの間の空間に磁力が印加され得、第1領域1111aおよび1111bの磁力/第2領域1112aおよび1112bの磁力の割合は、1.4以上、1.5以上、1.6以上、1.4~2.5、1.4~2.2、1.5~1.8、または1.6~2.0であり得る。
【0096】
他の一つの例として、上記第1領域1111aおよび1111bは、10,000G以上、11,000G以上、10,000~15,000G、10,000~12,000G、または11,000~12,000Gで第1磁石部110aと第2磁石部110bの表面に磁力が印加され得、第1領域1111aおよび1111bの磁力/第2領域1112aおよび1112bの磁力の割合は、1.4以上、1.5以上、1.6以上、1.4~5.0、1.4~3.0、1.4~2.5、または1.5~2.0であり得る。
【0097】
本発明は、上述された構成を有する磁性整列装置を用いて負極スラリーに含有された炭素系負極活物質を整列させることにより、磁石部末端の強い磁場により負極集電体に対して垂直に整列された炭素系負極活物質の整列度が低減されることを防止し得、負極スラリーにかかるストレスを減らし得るので、製造される負極活性層の表面特性を向上させ得る。
【0098】
また、上記磁場は0.1~20秒の時間の間印加され得、より具体的には0.5~15秒、0.5~12秒、1~10秒、2~8秒、または2~5秒の時間の間印加され得る。
【0099】
一方、上記負極スラリーに含有された炭素系負極活物質は、リチウム二次電池の炭素系負極活物質として通常的に適用されたものを含み得る。具体的には、上記炭素系負極活物質とは、炭素原子を主成分とする素材を意味し、このような炭素系負極活物質としては黒鉛を含み得る。上記黒鉛は、天然黒鉛、人造黒鉛のうちいずれか1つ以上を含み得るが、好ましくは天然黒鉛を含むか、または天然黒鉛と人造黒鉛の混合物を含み得る。
【0100】
また、上記負極スラリーは、炭素系負極活物質の他に、導電材、バインダー、増粘剤などをさらに含み得、これらは当業界で通常的に用いられるものが適用され得る。
【0101】
以下、本発明を実施例および実験例によってより詳細に説明する。
【0102】
ただし、下記実施例および実験例は本発明を例示するものであり、本発明の内容が下記実施例および実験例に限定されるものではない。
【0103】
<実施例および比較例.リチウム二次電池用負極の製造>
図1に示したような構造を有する本発明の磁性整列装置を用いて、炭素系負極活物質が負極集電体に対して垂直に整列されたリチウム二次電池用負極を製造した。
【0104】
具体的には、まず天然黒鉛を負極活物質として用意し、負極活物質97重量部とスチレンブタジエンゴム(SBR)3重量部を水と混合して負極スラリーを形成した後に、ロールツーロール移送(移送速度:5m/min))されている銅薄板上にダイコーターを用いて負極スラリーをキャスティングした。このとき、銅薄板の移送方向に沿って平均厚さ165μmとなるように負極スラリーをキャスティングした。
【0105】
その後、塗布された負極スラリーが磁性整列装置の第1磁石部と第2磁石部との間を通過するように銅薄板を移動させることによって負極スラリーに磁場を印加した。ここで、上記第1磁石部と第2磁石部は、離隔距離が20mm(離隔距離の1/2値:10mm)となるように調節された。
【0106】
また、第1磁石部と第2磁石部は、負極集電体の移送方向を基準として上流に位置する第1領域と下流に位置する第2領域に区分され、(1)第1領域と第2領域にそれぞれ含まれた単位磁石の配列、(2)各領域に含まれた磁石表面の磁場強度、および(3)負極集電体の移送方向における第1領域長さ(L1)と第2領域長さ(L2)の割合(L1/L2)は、下記表1に示すように調節した。
【0107】
また、磁場が印加された負極スラリーを乾燥させるために、負極スラリーに磁場が印加された銅薄板を乾燥部に移動させ、負極スラリーを乾燥させてリチウム二次電池用負極を製造した。
【0108】
【0109】
<実験例.>
本発明に係る磁性整列装置の性能として、炭素系負極活物質の整列度および負極活性層の表面特性を評価するために、下記のような実験を行った。
【0110】
イ)炭素系負極活物質の整列度
実施例1~2と比較例1~3で製造された負極を対象に負極活性層に対するX線回折分光(XRD)を行ってスペクトルを測定した。このとき、上記X線回折(XRD)の測定条件は下記の通りである。
【0111】
- ターゲット:Cu(Kα-線)黒鉛単色化装置
- スリット(slit):発散スリット=1度、受信スリット=0.1mm、散乱スリット=1度
- 測定区域:(110)面:76.5度<2θ<78.5度/(004)面:53.5度<2θ<56.0度
【0112】
上記条件で測定されたスペクトルから、式1に係る各炭素系負極活物質の平均整列度(O.I)を算出した。その結果を表2に示した。
【0113】
[式1]
O.I=I004/I110
【0114】
式1において、
I004は、負極活性層に対するX線回折分光(XRD)測定時の(004)結晶面を示すピークの面積を表し、
I110は、負極活性層に対するX線回折分光(XRD)測定時の(110)結晶面を示すピークの面積を表す。
【0115】
ロ)負極活性層の表面特性
まず、実施例1~2と比較例1~3で製造された負極を対象にi)負極活性層の表面損傷を肉眼で確認した。次に、ii)負極活性層表面に対する光学顕微鏡分析を行った。このとき、上記光学顕微鏡は、分析されたイメージから表面の算術平均高さ(Sa)を算出するソフトウェアが搭載され、上記ソフトウェアはISO25178に従って表面の算術平均高さ(Sa)が計算されるように設定された。
【0116】
i)肉眼で確認された表面損傷結果およびii)光学顕微鏡分析により算出された負極活性層表面の算術平均高さ(Sa)を下記表2に示した。
【0117】
【0118】
上記表2に示したように、本発明に係る磁性整列装置を用いて製造されるリチウム二次電池用負極は、炭素系負極活物質の整列度が高く、表面特性に優れたリチウム二次電池用負極を製造し得ることが分かる。具体的には、本発明に係る磁性整列装置を用いて製造された実施例の負極は、炭素系負極活物質の整列度(I004/I110)が0.5未満と著しく低く、負極活性層の表面損傷がないのみならず、負極活性層表面の算術平均高さ(Sa)が3.0~6.0μmを満たすことが確認された。
【0119】
これは、本発明に係る磁性整列装置が、負極集電体の移送方向に沿って上流に位置する第1領域が下流に位置する第2領域より強い磁力を印加する磁石部を備えることにより、負極スラリーに含有された炭素系負極活物質の整列度および負極活性層表面の算術平均高さ(Sa)を特定範囲に調節し得ることを意味する。
【0120】
以上では、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者または当該技術分野に通常の知識を有する者であれば、後述される特許請求の範囲に記載された本発明の思想および技術領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更させ得ることを理解し得る。
【0121】
したがって、本発明の技術的範囲は、明細書の発明の概要に記載された内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定められる。
【符号の説明】
【0122】
10:磁性整列装置
20:移送部
30:コーティング部
110a:第1磁石部
110b:第2磁石部
111a、111b:複数の単位磁石
112a、112b:支持部
1111a、1111b:第1領域
1112a、1112b:第2領域
120:乾燥部
S:負極スラリー
C:負極集電体または電極シート
【国際調査報告】