(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】水中清掃ロボット
(51)【国際特許分類】
E04H 4/16 20060101AFI20241129BHJP
B63C 11/00 20060101ALI20241129BHJP
G05D 1/226 20240101ALI20241129BHJP
G05D 1/46 20240101ALI20241129BHJP
G05D 1/648 20240101ALI20241129BHJP
【FI】
E04H4/16
B63C11/00 B
G05D1/226
G05D1/46
G05D1/648
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533798
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-07-23
(86)【国際出願番号】 EP2022084033
(87)【国際公開番号】W WO2023104628
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524212154
【氏名又は名称】マリナー・ドライエス・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンクラー・ローラント
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA05
5H301BB11
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD06
5H301DD15
5H301QQ04
(57)【要約】
水中清掃ロボット(20)は、水中清掃ロボット(20)を水中で移動させる移動装置(23)と、水中に位置する物体(2、3)を清掃する清掃装置(24)と、移動装置(23)及び/又は清掃装置(24)を制御する制御装置(25)と、水中清掃ロボット(20)の外部から信号を受信及び/又は送信する及びその逆を行う通信装置(26、27)と、を備える。通信装置は、水中で伝送される超音波信号を受信する第1の超音波変換器(27)を有し、受信した超音波信号(39)に対応する電気信号を制御装置(25)に転送するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中清掃ロボット(20)において、
前記水中清掃ロボット(20)を水中で移動させる移動装置(23)と、
水中に位置する物体(2、3)を清掃する清掃装置(24)と、
前記移動装置(23)及び/又は前記清掃装置(24)を制御する制御装置(25)と、
前記水中清掃ロボット(20)の外部から信号を受信及び/又は送信する及びその逆を行う通信装置(26、27)と、
を備え、
前記通信装置は、水中で伝送される超音波信号を受信する第1の超音波変換器(27)を含み、
前記通信装置は、受信した超音波信号(39)に対応する電気信号を前記制御装置(25)へ転送するように構成されている、水中清掃ロボット(20)。
【請求項2】
前記水中清掃ロボット(20)は、受信した超音波信号(39)に対応する電気信号を復調するとともに復調された信号を前記制御装置へ転送する第1のモデム(26)をさらに有する、請求項1に記載の水中清掃ロボット(20)。
【請求項3】
前記通信装置(26、27)は、受信した超音波信号に対応する超音波信号を第1の超音波変換器(27)を介して再び送出するように構成されている、請求項1又は2に記載の水中清掃ロボット(20)。
【請求項4】
前記水中清掃ロボット(20)は、前記移動装置(23)及び/又は前記清掃装置(24)に電気エネルギを供給するバッテリ(21)をさらに備え、
前記バッテリ(21)は、好ましくは再充電可能に構成されていて、
前記水中清掃ロボット(20)は、前記バッテリ(21)に外部から供給される電気エネルギを再充電するために前記バッテリ(21)に接続された外部端子(22a、22b)をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の水中清掃ロボット(20)。
【請求項5】
水中清掃用のシステム(100)において、
請求項1から4のいずれか一項に記載の水中清掃ロボット(20)と、
前記水中清掃ロボット(20)を制御する制御ユニット(11)と、
前記制御ユニットによって出力される信号を超音波信号へと変換する及び水中で超音波信号を送出するために、前記制御ユニット(11)に接続された第2の超音波変換器(32)と、を備える、システム。
【請求項6】
前記制御ユニット(11)によって出力される信号を変調する及び変調された信号を第2の超音波変換器(32)へ転送するために、前記制御ユニット(11)に設けられた又は前記制御ユニット(11)に接続されたモデム(13)をさらに備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか一項に記載の水中清掃ロボット(20)を2つ以上備える、請求項5又は6に記載のシステム。
【請求項8】
水面(7)下で作動する水中清掃ロボット、好ましくは請求項1から4のいずれか一項に記載の水中清掃ロボット(20)を制御する方法において、
水面(7)下に取り付けられた第2の超音波変換器(32)を用いて、前記水中清掃ロボット(20)を制御するための電気信号を超音波信号へと変換する(104)、ステップと、
水中超音波区間(39)を介して前記水中清掃ロボット(20)へと超音波信号を伝送する(105)、ステップと、
前記水中清掃ロボット(20)に取り付けられた第1の超音波変換器(27)によって、伝送された超音波信号を受信し、受信した超音波信号を前記水中清掃ロボット(20)を制御するための電気信号へと変換する(106)、ステップと、
を有する、方法。
【請求項9】
前記水中清掃ロボット(20)を制御するための電気信号を、超音波信号へと変換する前に、第2のモデム(13)によって変調し(103)、
前記第1の超音波変換器(27)から出力される電気信号を、第1のモデム(26)によって復調する(107)、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
好ましくは約100Hzの間隔の50のトーンにより変調のためにマルチトーン変調を用い、
好ましくは各シングルトーンを、周波数偏移変調(FSK)で、さらに好適には約25Hzのストロークで変調する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
伝送するために、所定のビット数を有するデータパケットを出力し、
好ましくは、超音波信号の反射を補整するために、連続するデータパケットを出力する間に所定の待機時間を維持する、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
制御ユニット(11)から前記水中清掃ロボット(20)へのデータ伝送と前記水中清掃ロボット(20)から前記制御ユニット(11)へデータ伝送との両方を行う、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
所定の帯域幅の2つの別々の周波数帯域で半二重データ伝送を行う、又は
所定の帯域幅の1つの周波数帯域で単向データ伝送を行う、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記水中清掃ロボット(20)は、超音波信号の受信が弱くなりすぎる又はなくなると、方向転換し、前記水中清掃ロボット(20)が以前良好に受信した所へ戻る、及び/又は
前記水中清掃ロボット(20)は、超音波信号の受信がなくなると、停止し、再び超音波信号を受信するまで待機する、及び/又は
前記水中清掃ロボット(20)は、バッテリの残留容量が所定の値を下回ると、自動的に初期位置へ戻る、及び/又は
前記水中清掃ロボット(20)は、清掃の終了後、自動的に初期位置へ戻る、請求項8から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
超音波信号は、距離測定及び水槽(1)内の前記水中清掃ロボット(20)のナビゲーションを補助するために用いられる、及び/又は
前記超音波変換器は、水の品質及びプールの品質に関するデータを把握するために用いられる、請求項8から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記水中清掃ロボット(20)を浮上させるために、空気を水面の上から吸い込み、浮上用ベルに送り込む、及び/又は
前記水中清掃ロボット(20)を浮上させるために、空気膨張カートリッジによって圧縮される空気を浮上用ベルに放出する、及び/又は
前記水中清掃ロボット(20)を潜水させるために、浮上用ベル内の空気を吸込みポンプによって吸い出す、請求項8から15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中清掃ロボット及び水中清掃ロボットを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水中清掃ロボットは、大小の程度こそあれ自動的にスイミングプールを清掃するために使用される。その際、一般的に、清掃ロボットは、特別な台車上で槽縁に摺動させられ、そこから清掃ロボットは、水中に降下させられる。ロボットは、次いで、自動的にかつ自立して潜入し、システマチックにプール底を進行し、部分的にプール壁も進行する。その際、ロボットは、後ろ側で、給電及び指令を受け取るためにケーブルを引っ張る。ロボットは、指令を、人によって槽の外側から受け取る。さらに、ロボットがそれ自体のケーブルに絡まる又は浮島の周りを移動し、その際にロボット自体をブロックすることを防止するソフトウェアが用いられる。清掃の最後に、ロボットは、水中に入れられた場所で自立して再び浮上する又は浮上が作動し、その後で、ロボットは、多くの場合手動で水から引き出される。そこから、ロボットは、搬送台車上に再び載置され、離反移動させられる。その際、これに続いて、水フィルタが洗浄される。
【0003】
原則として、全ての工程は、全自動式に進行するので、人は、ロボットを、水の方へ運び、水中にいれ、またその逆に水中から再び引き出して、搬送台車上に載置し、清掃工程の後でフィルタを洗浄するだけでよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、後方で引っ張られるケーブルによって場合によっては生じる問題、例えば前述の絡まり又はブロックを回避できる、改良された水中清掃ロボット及び改良された水中ロボットを制御する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1に記載された水中清掃ロボット、請求項5に記載されたシステム又は請求項8に記載された方法によって解決される。本発明の改良形態は、それぞれ従属請求項に記載されている。この場合、方法は、以下に説明する又は従属請求項に記載された装置の特徴によって改良される若しくはその逆であってもよく、又は方法及び/又は装置の特徴は、それぞれ互いに改良形態のために用いられてもよい。
【0006】
本発明による水中清掃ロボットは、水中清掃ロボットを水中で移動させる移動装置と、水中に位置する物体を清掃する清掃装置と、移動装置及び/又は清掃装置を制御する制御装置と、水中清掃ロボットの外部から信号を受信する通信装置と、を備える。双方向通信手段は、水中で伝送される超音波信号を受信及び送信する第1の超音波変換器を有し、受信した超音波信号に対応する電気信号を制御装置に転送する及びその逆に超音波信号を水中から水槽の外側の通信装置へ送信するように構成されている。
【0007】
そのような水中清掃ロボットによって、例えば後方で引っ張られるケーブルによって場合によっては生じる問題、例えば前述の絡まり又はブロックを回避できる。
【0008】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面に基づいてを参照して実施例の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】水中清掃ロボットが台車上で水槽の槽縁に配置された状態で、第1の実施形態による水中清掃システムを示す。
【
図2】水中清掃ロボットが水槽の底上に配置された状態で、第1の実施形態による水中清掃システムを示す。
【
図3】第1の実施形態による、水中清掃システムにおいて水中清掃ロボットを清掃する方法のためのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を記載する。
【0011】
図1は、第1の実施形態による水中清掃システム100を示す。水槽1は、底2と側壁3とを有する。水槽1は、例えばタイル張り、シート張り又はコンクリート打ちされたスイミングプール又はクロム鋼槽であってよい。槽縁4は、側壁3と槽を取り囲む床5との間の移行部を形成する。水槽1は、水面7が槽縁4の直ぐ下に位置するように水6で満たされている。
【0012】
図1に示された状態では、台車10上に水中清掃ロボット20が載置されていて、台車10は、水槽の槽縁4の付近で床5上に配置されている。
【0013】
台車10は、例えば搬送カートとして構成されている。台車10は、水中清掃ロボット20の保持及び搬送に用いられる構成要素の他に、水中清掃ロボット20用の制御ユニット11と1つ又は複数の充電用端子12を有する。例として、
図1には、充電用プレート12a及び充電用プラグ12bが示されていて、充電用プレート12a上に水中清掃ロボット20が着座し、充電用プレート12aは、この状態で、水中清掃ロボット20の対応する充電用コンタクト22aに接触し、充電用プラグ12bは、水中清掃ロボット20の対応する充電用ソケット22bに接続可能である。
【0014】
制御ユニットの操作は、制御ユニット自体で又は遠隔制御ユニット15を介して行うことができる。制御ユニット11は、モデム13を有する又はモデム13に接続されている。
【0015】
水中清掃ロボット20は、バッテリ21を有し、バッテリ21は、電気エネルギを送り出すように構成されているバッテリ21は、例えば再充電可能な蓄電池として構成されている。バッテリ21は、1つ又は複数の充電用端子、例えば充電用コンタクト22a及び/又は充電用ソケット22bに接続されていて、充電用端子を介して充電できる。
【0016】
さらに、水中清掃ロボット20は、水中で水中清掃ロボット20を移動させるように構成された移動装置23と、水中に位置する物体、例えば水槽1の底2及び側壁3を清掃するための清掃装置24とを有する。移動装置23及び清掃装置24には、バッテリ21からエネルギが供給される。
【0017】
概略的に、
図1において、移動装置23は、車輪、キャタピラ又はローラによって示されていて、清掃装置24は、ブラシローラによって示されている。例えば静的なブラシ、高圧装置又は吸引装置も考えられる。しかし、本発明は、これらに限定されず、任意の移動装置と清掃装置とを有する水中清掃ロボット20に適用できる。
【0018】
図2から看取されるように、水中清掃ロボット20は、制御装置25をさらに有する。制御装置25は、移動装置23及び/又は清掃装置24の制御に用いられる。制御ユニット25は、モデム26を有する又はモデム26に接続されている。モデム26は、水中清掃ロボット20の外側に取り付けられた超音波変換器27に接続されている。
【0019】
図2は、水中清掃ロボット20が水槽1の底2上に配置された状態を示す。
【0020】
運転時、まず水中清掃ロボット20のバッテリ21が、充電用端子22を介して充電される。これに続いて、水中清掃ロボット20は、床5上で、台車10を用いて水槽の槽縁4まで移動させられる。これに続いて、水中清掃ロボット20は、水槽1の底2の上へ降下させられる。清掃ロボットは、水の外にある無線制御装置を用いて、短い区間を介して水中へと操縦できる。
【0021】
超音波変換器32は、水槽1内で水面7の下に配置され、ケーブル31を介して台車10のモデム13に接続されている。
【0022】
水中清掃ロボット20は、バッテリ21から供給される電気エネルギによって駆動され、移動装置23によって水中を移動する。水中清掃ロボット20は、例えば、水槽1の底2を進行し、底2を清掃装置24を用いて清掃する。水中清掃ロボット20の制御は、台車10の制御ユニットから、水中清掃ロボット20の制御装置25を介して行われる。
図3は、この制御の経過のフローチャートを示す。
【0023】
経過は、ステップ101で始まる。
-ステップ102では、制御指令及び/又は制御データが制御ユニット11において生成される。
-ステップ103では、制御指令及び/又はデータがモデム13によって変調され、電気信号として、ケーブル31を介して超音波変換器32へ伝送される。
-ステップ104では、超音波変換器32からの電気信号が超音波信号へと変換され、水中に送出される。
-ステップ105では、超音波信号が、水中超音波区間39を介して伝送される。
-ステップ106では、超音波信号が、水中清掃ロボット装置20の超音波変換器27によって受信され、電気信号へと変換される。
-ステップ107では、電気信号が、モデム13によって変調され、水中清掃ロボット20の制御装置25へと伝送される。
-ステップ108では、水中清掃ロボット20の制御装置25が、受信した電気信号に応じて制御を行う。
-ステップ109では、指令が実行されたかそして清掃工程が終了しているかどうか検査が行われる。
-清掃工程が終了していると(y=yes)、ステップ110で、制御の経過が終わる。そうでない場合(n=no)、経過が、ステップ102へと戻る。
【0024】
制御の経過は、水中清掃ロボット20が最後に水中に降下された箇所へと再び戻っているように設計されている。そこで、水中清掃ロボット20は、再び浮上し、台車10上に載置され、離反移動させられる。これに続いて、必要な維持作業及び必要であれば保守作業、例えば水フィルタの洗浄及び/又はバッテリの再充電が実行される。
【0025】
槽縁4に位置する制御ユニット11と水槽1にある水中清掃ロボット20との間の通信は、好ましくは超音波信号を介して、様々な処理が行われる水中で伝播するのに適した、好ましくは10kHzから400kHz、さらに好適には約40kHzから55kHzまで、その上さらに好適には約50kHzの周波数帯域で行われる。
【0026】
これにより、様々なスイミングプールで試験する際に、60mから80mの最大通信距離(見通し内伝搬なし)又は100m以上(見通し内伝搬あり)を達成できた。この場合、達成可能な距離は、主に槽形状、槽材料及び水の組成に依存する。
【0027】
モデム13における変調によって、制御ユニット11によって生成された制御指令及び/又は制御データが、伝送に適した形にされる。伝送されるべきデータ及び指令のための変調として、例えば約100Hzの間隔で50トーンの、直交周波数分割多重(OFDM)とも称される例えばマルチトーン変調を選択でき、その際、各シングルトーンは、例えば約25Hzのストロークで周波数偏移変換(FSK)などの標準変調で変調できる。
【0028】
変調のこのタイプの組み合わせは、長い残響及び25Hzまでのドップラー周波数シフトを有する安定した通信用に設計されている。例えばクロム鋼槽では、数100msの残響があり、ドップラー周波数シフトの前述の範囲は、例えば水ノズルの付近の実際の水の流れ及び水中清掃時の通常のロボット速度を考慮したものである。
【0029】
通信は、例えば、半二重通信で、それぞれ5kHz帯域幅の2つの別々の周波数帯の交互のデータ伝送で、又は単向通信で、10kHzの単一周波数帯の交互のデータ伝送で行ってよい。
【0030】
伝送時、ロボットの制御及び監視のために、例えば約30情報ビットを含む小さなデータパケットが交換される。その際、データパケットのレイテンシは、1秒よりもはるかに短い。
【0031】
例えばデータパケットは、100msから200msまでの時間の50ビットマルチトーンで構成され、高速フーリエ変換(FFT)を用いて効率的に復調できる。データパケット内の30情報ビットは、前方誤り訂正機能(FFC)を用いて、例えばBose-Chaudhuri-HocquenghemーCode(BCHコード)を用いて、約20追加ビットで、伝送エラーに対して保護できる。付加的に、認識されていない伝送エラーを検出するために巡回冗長検査(CRC)が設定されてよい。
【0032】
データパケットの送出後、再び同一のハーフバンドのデータパケットが送出できるまで、約200msの待機時間(ガードタイム)又は残響の減衰を待たなければならない。
【0033】
水中清掃ロボットにエネルギ源としてバッテリを装着すること及び超音波信号を介する無線通信によって、この水中清掃システムでは、後方で引っ張られるケーブルによって場合によっては生じる問題、例えば前述の絡まり又はブロックを回避できる。水中清掃ロボットは、最大の運動自由度を有し、これにより、水槽の全面をカバーする自動的な清掃が、取付け部材及び島がある困難な槽形状でも可能となる。
【0034】
この場合、超音波を用いる水中無線通信は、特に有利であると証明されている。制御ユニットから水中清掃ロボットへの転送について前述前記したのと同様の形で、逆方向の伝送を行うこともできる。
【0035】
一般的に、超音波変換器としてシングルビーム又はマルチビーム変換器を使用してよい。マルチビーム変換器によって、全方向に放出する全方向性変換器まで放出角度が拡大されてよい。
【0036】
水中清掃ロボットは、受信が弱くなりすぎる又はなくなると、方向転換し、水中清掃ロボットが以前良好に受信した所へ戻るようにプログラムされてよい。水中清掃ロボットは、通信が中断されると(例えば制御ユニットの電源損失による)停止し、再び信号が提供されるまで待機するようにプログラムされてもよい。さらに、水中清掃ロボットは、清掃の終了後に自立して初期位置へ戻るようにプログラムされてもよい。さらに、水中清掃ロボットは、バッテリの残留容量が所定の値を下回る場合に自立して初期位置へ戻るようにプログラムされてもよい。
【0037】
超音波信号は、距離測定及び水槽内の水中清掃ロボットのナビゲーションを補助するために用いられてもよい。ゆえに、水中清掃ロボットは、例えば送信及び受信された超音波信号から水槽の側壁に対する距離を求め、自動的に壁の付近で方向転換できる。水中清掃ロボットは、例えば、複数の測定によって、側壁が真っ直ぐであり、これに従って整列されているか、又は側壁が任意の自由形状を有するか認識することもできる。
【0038】
さらに、超音変換器は、水の品質及びプールの品質に関するデータを把握するために用いてもよい。これによって、例えば清掃前後の特定の基準データを求め、比較してもよい。例えば、所定の条件(清潔な槽及び水)の下でティーチング動作によって、基準データを得ることができ、相違するとき、対応する通知を出力する、及び/又は措置を講じることができる。
【0039】
水中清掃ロボットを浮上させるために、例えば空気を水面の上から吸い込み、浮上用ベルに送り込むことができる。このことは、例えば空気ポンプによってホースを介して行うことができ、ホースの自由端は、水面上のブイによって保持される。代替的に、空気膨張カートリッジなどによって、ロボット内で圧縮された空気を浮上用ベルに放出できる。
【0040】
潜水のために、浮上ベル内の空気は、例えば清掃に用いられる、水中清掃ロボットの吸込みポンプによって放出できる。これによって、水中清掃ロボットは、まず水面で所定の浮遊状態にし、これに続いてゆっくりと底に降下できる。
【国際調査報告】