(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】ワクチン組成物及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 39/215 20060101AFI20241129BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20241129BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20241129BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20241129BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20241129BHJP
C07K 14/165 20060101ALN20241129BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20241129BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20241129BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20241129BHJP
C12N 15/50 20060101ALN20241129BHJP
【FI】
A61K39/215
A61P31/12
A61P11/00
A61P37/04
C07K19/00 ZNA
C07K14/165
C07K14/47
C12N15/62 Z
C12N15/12
C12N15/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537464
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2022086304
(87)【国際公開番号】W WO2023117742
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524063969
【氏名又は名称】オシバックス
【氏名又は名称原語表記】OSIVAX
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ル ヴェール, アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ハラー, マージョリー
(72)【発明者】
【氏名】ギュイヨン‐ジェラン, デルフィーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス, フローランス
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA03
4C085BA71
4C085CC07
4C085EE03
4C085GG03
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA41
4H045CA01
4H045CA40
4H045DA86
4H045EA31
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、免疫原性組成物、及びヒト対象におけるコロナウイルス疾患の予防のためのワクチンとしての上記免疫原性組成物の使用に関する。より具体的には、本発明は、コロナウイルス疾患の予防を必要とするヒト対象におけるコロナウイルス疾患の予防における免疫原性組成物の使用の方法であって、前記免疫原性組成物が、(i)SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原と、(ii)C4bpオリゴマー化ドメインに由来する自己組織化ポリペプチド及び正に帯電した尾部を含むキャリアタンパク質とを含む融合タンパク質を含む、方法に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とするヒト対象における、コロナウイルス疾患、特にCOVID-19の予防のため、より詳細には重度のCOVID-19に対する防御のためのワクチンとしての使用のための免疫原性組成物であって、前記免疫原性組成物は融合タンパク質を含み、前記融合タンパク質は、
(i)SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原と、それが融合している
(ii)C4bpオリゴマー化ドメインに由来する自己組織化ポリペプチド及び正に帯電した尾部を含むキャリアタンパク質と
を含む、免疫原性組成物。
【請求項2】
前記融合タンパク質がグリコシル化されていない、請求項1に記載の使用のための免疫原性組成物。
【請求項3】
前記融合タンパク質が、細菌発現系、例えば大腸菌発現系から取得可能である、請求項1又は2に記載の使用のための免疫原性組成物。
【請求項4】
前記キャリアタンパク質が、C末端で前記ヌクレオカプシドN抗原に融合しており、任意選択でグリシン-セリンリンカーを介して融合している、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。
【請求項5】
前記融合タンパク質が、自己組織化後に七量体タンパク質を形成する、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。
【請求項6】
前記SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原が、SARS-Cov2株由来の少なくとも1種のヌクレオカプシドN抗原を含む、例えば、前記SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原が、SARS-Cov2武漢(A)株のヌクレオカプシドNタンパク質[P0DTC9(NCAP_SARS2)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(2019-nCoV)]から本質的になる、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。
【請求項7】
前記ヌクレオカプシドN抗原が、
(i)配列番号1のポリペプチド、又は
(ii)配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する抗原性ポリペプチドバリアント
を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。
【請求項8】
C4bpオリゴマー化ドメインに由来する前記自己組織化ポリペプチドが、配列番号2、又は配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する機能的バリアントを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。
【請求項9】
前記正に帯電した尾部が、配列ZXBBBBZ(配列番号3)を含み、ここで、(i)Zは存在しないか又は任意のアミノ酸であり、(ii)Xは任意のアミノ酸であり、(iii)Bはアルギニン又はリジンであり、好ましくは、前記正に帯電した尾部が、配列番号4の配列を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。
【請求項10】
前記キャリアタンパク質が、配列番号5から本質的になるか、又は前記キャリアタンパク質が、配列番号5に対して少なくとも90%の同一性を有する配列番号5の機能的バリアントである、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。
【請求項11】
前記融合タンパク質が、配列番号6を含むか若しくは配列番号6から本質的になるか、又は配列番号6に対して少なくとも90%の同一性を有する配列番号6の機能的バリアントである、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。
【請求項12】
前記融合タンパク質が配列番号11によってコードされる、請求項11に記載の使用のための免疫原性組成物。
【請求項13】
前記免疫原性組成物が筋肉内経路を介して投与される、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。
【請求項14】
前記使用が、ヌクレオカプシドNに特異的な総T細胞応答、ヌクレオカプシドNに特異的なCD4+/CD8+T細胞応答、抗ヌクレオカプシドN IgG(抗体応答)、並びに/又はコロナウイルス症状のうちの1つ若しくは複数に対する防御、例えば、肺損傷、呼吸不全、敗血症性ショック、及び/若しくは多臓器機能不全等の重度のコロナウイルス症状の1つ若しくは複数に対する防御、より具体的には、武漢(A)、欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)、デルタインド(B.1.617.2)、オミクロン、SARS-Cov1、及びMERS-CoVからなる群から選択される、より詳細には、欧州B.1、デルタ、オミクロン及び/若しくはベータ株からなる群から選択されるコロナウイルス株に起因するコロナウイルス疾患からの防御をもたらす、請求項1~13のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。
【請求項15】
前記SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原が武漢(A)株から選択され、前記使用が、
(i)欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)、デルタインド(B.1.617.2)、オミクロン、SARS-Cov1、及びMERS-CoVからなる群から選択される、より詳細には、欧州(B.1)、デルタ、オミクロン及び/若しくはベータ株からなる群から選択されるコロナウイルス感染症に対する交差反応性免疫応答、例えば、ヌクレオカプシドNに特異的な総T細胞応答、ヌクレオカプシドNに特異的なCD4+/CD8+T細胞応答、抗ヌクレオカプシドN IgG(抗体応答)、並びに/又は
(ii)欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)、デルタインド(B.1.617.2)、オミクロン、SARS-Cov1、及びMERS-CoVからなる群から選択される、より詳細には、欧州(B.1)、デルタ、オミクロン及び/若しくはベータ株からなる群から選択されるコロナウイルス感染症に起因するコロナウイルス疾患に対する交差防御、
をもたらす、請求項1~13のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。
【請求項16】
タンパク質スパイク又はその抗原性断片を含む第2のコロナウイルスワクチン、例えば、好ましくはコミナティワクチン(Pfizer-BioNTech;BNT162b2 mRNA)又はスパイクバックスCOVID-19ワクチン(Moderna、mRNA-1273 SARS-CoV-2)から選択される、SARS-Cov2タンパク質スパイク又はその抗原断片をコードするmRNAを含むmRNAワクチンと組み合わされて、同時に又は逐次に投与される、請求項1~15のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、免疫原性組成物、及びヒト対象におけるコロナウイルス疾患(coronavirus disease)の予防のためのワクチンとしての上記免疫原性組成物の使用に関する。
【0002】
[背景技術]
2021年末に、新興重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2)によって引き起こされたコロナウイルス疾患2019の世界的なパンデミックは、世界中で520万超の死亡例を伴う2億6000万超の症例をもたらした。一部の感染者は無症候性のままであるが、一部の感染者は治療を全く又はほとんど受けずに回復する軽度の呼吸器疾患を発症し、他の感染者(症候性の者のうち10~20%)は重度の疾患を経験し、重度の疾患は、最初の症状の発生から約11日後の突然の悪化として生じる場合が多く(Chen,S.ら、2020.Front.Med.0.doi:10.3389/fmed.2020.567296)、場合により患者の死亡を引き起こす呼吸不全及び多臓器合併症を伴う(「Interim Clinical Guidance for Management of Patients with Confirmed Coronavirus Disease(COVID-19)」.U.S.Centers for Disease Control and Prevention(CDC).2020年4月6日。2020年3月2日にオリジナルからアーカイブ、2021年2月12日に更新)。
【0003】
今日まで、ワクチン開発の取り組みは主要抗原としてのスパイク(S)タンパク質を主に対象としているが、複数の変異は、変異したウイルス株がSタンパク質に対する免疫から逃避することを可能にするため、「ウイルス免疫逃避」に関する懸念が存在する。ヌクレオカプシド(Nタンパク質)は、伝播及び進化の間、コロナウイルスの変異株間で比較的保存されている。
【0004】
2021年末時点で公的に入手可能なデータ、とりわけWHOからの、COVIDワクチンを開発するための進行中の研究開発の取り組みに関するデータに基づくと、現在およそ25の、ヌクレオカプシドを標的とするプログラムが存在する。
【0005】
これらのプログラムのうち、大半はエピトープを標的としており、8つのプログラムのみが、以降に簡単に記載するように、全長ヌクレオカプシド抗原を含んでいる(臨床段階の2つのDNAワクチン及び3つのウイルスベクターワクチン/前臨床段階の1つの細菌ベクターワクチン及び2つのウイルスベクターワクチン)。
【0006】
臨床段階のプロジェクト:
Genexineは、SARS-CoV-2受容体結合ドメイン(RBD)フォルドン及びヌクレオカプシドタンパク質(NP)並びにSARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードするプラスミドDNAをコードするDNAワクチンであるGX-19Nを、現在第2相において開発中である(Ahnら、2021、https://doi.org/10.1101/2021.05.26.21257700)。
【0007】
Scancellは、SA.RS-CoV-2のスパイクタンパク質受容体結合ドメイン及び全長ヌクレオカプシドタンパク質の両方をコードする二価DNAワクチンを開発中である(Brentvilleら、2021、https://doi.org/10.1101/2021.06.18.448932)。
【0008】
Vaxartは、全長S及びN抗原を発現する経口錠剤ベースのウイルスベクター(Ad5)ワクチンを開発中である(2021年5月のワクチン会議において発表:https://investors.vaxart.com/static-files/b555c11c-6863-4763-8539-12754840a652)。
【0009】
City of Hopeは、全長SARS-CoV-2スパイク及びヌクレオカプシドを共発現する合成改変ワクシニアアンカラ(sMVA)ベクターを開発中である(Chiuppesiら、2020、https://doi.org/10.1038/s41467-020-19819-1)。
【0010】
ImmunityBioは、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)プラットフォームを使用した、細胞表面発現を増加するように改変されたスパイク(S)タンパク質(S融合)と、MHCクラスI及びII提示並びにT細胞応答を増強するためのT細胞刺激ドメインの増強を伴うヌクレオカプシド(N)タンパク質(N-ETSD)との両方を発現するウイルスベクターワクチンを開発中である(Sielingら、2021年6月、https://doi.org/10.1101/2021.04.05.21254940、Riceら、2021年7月、https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34290317/)。
【0011】
前臨床段階のプロジェクト:
コロラド州立大学(Colorado State University)は、ハムスターにおいて重度のCOVID-19様疾患に対する防御を実証した、SARS-CoV-2膜及びヌクレオカプシドタンパク質を発現する複製型細菌ベクターワクチンを開発中である(Jiaら、2021、https://doi.org/10.1038/s41541-021-00321-8)。
【0012】
ミネソタ大学(University of Minnesota)は、ヌクレオカプシド(N)タンパク質を発現するHAd5がシリアンハムスター及びk18-hACE2マウスの両方において体重減少の抑制及びウイルス量の減少をもたらすことを報告した(Matchettら、https://doi.org/10.1101/2021.04.26.441518)。
【0013】
ノースウェスタン大学ファイバーグ医学院(Northwestern University Feinberg School of Medicine)は、SARS-CoV-2スパイク及びヌクレオカプシドタンパク質を発現するAd5ベクターワクチンが肺及び脳の両方において急性の防御を付与し得ることを報告した(Dangiら、2021、https://doi.org/10.1016/j.celrep.2021.109664)。
【0014】
これらの開発にもかかわらず、新規コロナウイルスワクチン、特に広域スペクトルの防御をもたらし得るワクチンをさらに開発する必要性が依然として存在する。
【0015】
OVX836(OSIVAX、Lyon、France)は、インフルエンザ株に対するワクチンとして臨床開発中の組換えタンパク質である。抗原性部分は、A/WSN/1933(H1N1)インフルエンザウイルスのNP配列に対応する。OVX836タンパク質は7コピーのNPを含有し、それぞれがOVX313と融合している。OVX313配列は、ヒトC4b結合タンパク質(hC4BP)のC末端オリゴマー化ドメインに由来するが[Hofmeyer Tら、J Mol Biol.2013;425:1302~1317]、ヒト配列との相同性を最小化するように改変されている(ハイブリッドニワトリ配列;20%未満の相同性)。
【0016】
本発明者らは、現在、驚くべきことに、SARS-Cov2株のヌクレオカプシドNタンパク質を有する類似した融合タンパク質が、特に細菌細胞発現系において効率的に作製することができ、且つ、特にハムスター研究において明らかになったように、異なるコロナウイルス株に対する交差防御(広域スペクトル)を含む、SARS-Cov2疾患等のコロナウイルス疾患に対する有意な防御をもたらすことを見出した。
【0017】
[簡単な説明]
したがって、一態様では、本開示は、必要とするヒト対象における、コロナウイルス疾患、特にCOVID-19の予防のため、典型的には重度のCOVID-19からの防御のためのワクチンとしての使用のための免疫原性組成物であって、前記免疫原性組成物は融合タンパク質を含み、前記融合タンパク質は、
(i)ヌクレオカプシドN抗原、好ましくはSARS-Cov2 N抗原と、それが融合している
(ii)C4bpオリゴマー化ドメインに由来する自己組織化ポリペプチド及び正に帯電した尾部を含むキャリアタンパク質と
を含む、免疫原性組成物に関する。
【0018】
本開示はまた、コロナウイルス疾患、特にCOVID-19を予防、防御、又は交差防御するための、典型的には重度のCOVID-19を防御するための方法であって、それを必要とするヒト対象に、前記方法は、免疫原性量の融合タンパク質を投与するステップを含み、前記融合タンパク質は、
(i)ヌクレオカプシドN抗原、好ましくはSARS-Cov2 N抗原と、それが融合している
(ii)C4bpオリゴマー化ドメインに由来する自己組織化ポリペプチド及び正に帯電した尾部を含むキャリアタンパク質と
を含む、方法に関する。
【0019】
本開示はさらに、コロナウイルス疾患、特にCOVID-19を予防、防御、又は交差防御するための、典型的には重度のCOVID-19を防御するためのワクチンの製造における、融合タンパク質の使用に関し、前記融合タンパク質は、
(i)ヌクレオカプシドN抗原、好ましくはSARS-Cov2 N抗原と、それが融合している
(ii)C4bpオリゴマー化ドメインに由来する自己組織化ポリペプチド及び正に帯電した尾部を含むキャリアタンパク質と
を含む。
【0020】
上記方法又は使用の好ましい実施形態では、前記融合体は、以降に開示されるOVX033である。さらに好ましい実施形態では、前記融合タンパク質は、筋肉内投与のための免疫原性組成物として製剤化され、筋肉内投与される。
【0021】
本開示の別の態様は、
(i)SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原と、それが融合している
(ii)C4bpオリゴマー化ドメインに由来する自己組織化ポリペプチド及び正に帯電した尾部を含むキャリアタンパク質と
を含む融合タンパク質に関する。
【0022】
具体的な実施形態では、前記融合タンパク質は、グリコシル化されていない、及び/又は細菌発現系、例えば大腸菌(E.coli)発現系から取得可能である。好ましい実施形態では、前記融合タンパク質は配列番号11によってコードされるOVX033である。
【0023】
本開示の別の態様は、前記融合タンパク質をコードする核酸、特に配列番号11の核酸、又は配列番号11の核酸を含む発現ベクター、又は宿主細胞、典型的には配列番号11の核酸を含む細菌宿主細胞に関する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】OVX030のSDS PAGE及びウェスタンブロット解析。精製されたOXV030を、還元及び変性条件下において4~12%Bis-Tris電気泳動ゲルで分画し、インスタントブルーを用いて染色したか[A]、又はニトロセルロース膜にブロッティングし、ポリクローナルウサギ抗OVX313[B]及び抗ヌクレオカプシド抗体(Genetex、GTX135357)[C]とそれに続く二次抗ウサギ/HRP抗体(Sigma、A0545)とを用いてプローブした。SDS PAGE:0.5、1、1.5μg/ウェル。ウェスタンブロット:150、300、600ng/ウェル。MW:分子量マーカー。
【
図2】SDS PAGE(A)及びウェスタンブロット(B)によるN-OVX313タンパク質の合成DNA構築物の過剰発現解析。総画分抽出物(正規化された試料)を、還元及び変性条件下において4~12%Bis-Tris電気泳動ゲルで分画し、インスタントブルーを用いて染色したか(A)、又はニトロセルロース膜にブロッティングし、抗ヌクレオカプシド抗体(Genetex、GTX135357)とそれに続く二次抗ウサギ/HRP抗体(Sigma、A0545)とを用いてプローブした(B)。BI:誘導前。032:SARS-CoV-2過剰発現からのヌクレオカプシドタンパク質の総画分。030、033、034:オリゴドム(OligoDOM)(登録商標)と融合したSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質の合成DNA構築物。MW:分子量マーカー。
【
図3】ハムスター攻撃感染モデルにおけるOV033の有効性。ハムスターを、50μgのOVX033を用いて筋肉内(IM)若しくは鼻腔内経路(IN)によって、又は陰性対照としてNaClを用いて、4週間空けて2回ワクチン接種した。動物に、最後のワクチン接種の4週間後に、10
4TCID
50のB.1(D614G)SARS-COV-2株を用いて攻撃感染を行った。[A]感染後(pi)の体重推移、[B]感染の4日後の肺ウイルス力価、及び[C]感染の7日後の肺における肺炎の面積。統計解析:*p<0.05、**p<0.01
【
図4】SARS-Cov-2のB.1株を用いるハムスター攻撃感染モデルにおけるOV033の有効性。ハムスターを、50μg若しくは100μgのOVX033を用いて筋肉内(IM)によって、又は陰性対照としてNaClを用いて、4週間空けて2回ワクチン接種した。動物に、最後のワクチン接種の4週間後に、10
4TCID
50のB.1(D614G)SARS-COV-2株を用いて攻撃感染を行った。[A]感染後(pi)の体重推移、[B]感染の4日後の肺ウイルス力価、及び[C]感染の7日後の肺における肺炎の面積。統計解析:*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
【
図5】SARS-CoV-2のデルタ株を用いるハムスター攻撃感染モデルにおけるOV033の有効性。ハムスターを、50μgのOVX033又は陰性対照としてのNaClを用いて筋肉内経路(IM)によって、4週間空けて2回ワクチン接種した。動物に、最後のワクチン接種の4週間後に、10
4TCID
50のB.1.617.2 SARS-COV-2株(デルタ)を用いて攻撃感染を行った。[A]感染の4日後の肺ウイルス力価、及び[B]感染の7日後の肺における肺炎の面積。統計解析:**p<0.01。
【
図6】SARS-CoV-2のオミクロン株を用いるハムスター攻撃感染モデルにおけるOV033の有効性。ハムスターを、50μgのOVX033又は陰性対照としてのNaClを用いて筋肉内経路(IM)によって、4週間空けて2回ワクチン接種した。動物に、最後のワクチン接種の4週間後に、10
4TCID
50のB.1.1.529 SARS-COV-2株(オミクロン)を用いて攻撃感染を行った。[A]感染の4日後の肺ウイルス力価、[B]感染の7日後の鼻甲介におけるウイルス力価、及び[C]感染の7日後の肺における肺炎の面積。統計解析:**p<0.01。
【
図7】ハムスターにおけるOV033の免疫原性。ハムスターを、50μgのOVX033又は陰性対照としてのNaClを用いて筋肉内経路(IM)によって、4週間空けて2回ワクチン接種した。動物を、最後のワクチン接種の4週間後に安楽死させ、免疫応答をELISA及びIFNγ ELISpotによって特徴付けた。[A]D56の血清におけるN特異的血清IgG抗体価。[B]D56の脾臓におけるIFNγ ELISpot応答。[C]D56の肺におけるIFNγ ELISpot応答。統計解析:**p<0.01。
【
図8】2回目のワクチン接種の8日後におけるそれぞれの群(OVX032、OVX030、OVX30+IFA、OVX030+アダバックス(AdaVax))のNP特異的IFNγスポット形成T細胞(SFC/2×10
5PBMC)の数の平均。統計は、クラスカル・ウォリス統計検定とそれに続くダンの多重比較検定とを使用して実施した***p<0.001。
【0025】
[発明を実施するための形態]
〔詳細な説明〕
定義
本開示がより容易に理解されるようにするために、ある特定の用語を初めに定義する。追加の定義は詳細な説明全体にわたって記載される。
【0026】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸並びに非天然型アミノ酸(unnatural amino acid)(本明細書では「天然に存在しないアミノ酸」とも称される)、例えば、天然に存在するアミノ酸と同様に機能するアミノ酸アナログ及びアミノ酸ミメティックを指す。天然に存在するアミノ酸とは、遺伝暗号によってコードされるもの、並びに後に修飾されたアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、ガンマ-カルボキシグルタミン酸、及びO-ホスホセリンである。アミノ酸アナログとは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、例えば、水素に結合しているアルファ炭素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。そのようなアナログは、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)又は修飾されたペプチド骨格を有し得るが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸ミメティックとは、アミノ酸の一般的な化学構造と異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様に機能する化学的化合物を指す。「アミノ酸」及び「アミノ酸残基」という用語は、全体にわたって交換可能に使用される。
【0027】
置換とは、天然に存在するアミノ酸を、別の天然に存在するアミノ酸又は非天然型アミノ酸のいずれかで置き換えることを指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「タンパク質」という用語は、1本又は複数本の直鎖に配置されたアミノ酸(「ポリペプチド」とも称される)から作られ、球形に折り畳まれている任意の有機化合物を指す。「タンパク質」という用語には、タンパク質性物質又は融合タンパク質が含まれる。そのようなポリペプチド鎖におけるアミノ酸は、隣接するアミノ酸残基のカルボキシル基とアミノ基との間のペプチド結合によって一緒に結合し得る。「タンパク質」という用語には、限定されないが、ペプチド、一本鎖ポリペプチド、又はアミノ酸の2本以上の鎖から主になる任意の複合タンパク質がさらに含まれる。「タンパク質」という用語には、限定されないが、糖タンパク質又は他の公知の翻訳後修飾がさらに含まれる。「タンパク質」という用語には、天然タンパク質の公知の天然又は人工化学修飾、例えば、限定されないが、糖鎖改変、PEG化、HES化、PAS化等、非天然アミノ酸の組込み、化学的コンジュゲーション又は他の分子のためのアミノ酸修飾等がさらに含まれる。
【0029】
「組換えタンパク質」という用語には、本明細書で使用される場合、組換え手段によって調製、発現、作出、又は単離されたタンパク質、例えば、対応するタンパク質を発現するように形質転換された宿主細胞、例えばトランスフェクトーマから単離された融合タンパク質等が含まれる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「融合タンパク質」という用語は、遺伝子融合によって、例えば、別個のタンパク質の別々の機能ドメインをコードする少なくとも2つの遺伝子断片の遺伝子融合によって取得されるか又は取得可能な少なくとも1本のポリペプチド鎖を含む組換えタンパク質を指す。本開示のタンパク質融合体には、例えば、少なくともコロナウイルスヌクレオカプシドN抗原と少なくとも1種の他の部分とが含まれ、上記他の部分は、以下に記載されるような、C4bpオリゴマー化ドメインに由来する自己組織化ポリペプチド及びその正に帯電した尾部を含むキャリアタンパク質である。
【0031】
本明細書で使用される場合、「抗原性」ポリペプチドという用語には、特定のポリペプチド(例えばコロナウイルス株のヌクレオカプシドN)の免疫原性断片及びエピトープであって、少なくともそのような抗原性ポリペプチドが本明細書に開示されるキャリアタンパク質と融合された場合に、そのような抗原性ポリペプチドに対する免疫応答(例えばN特異的免疫応答)を誘導することができる、免疫原性断片及びエピトープが含まれる。
【0032】
本明細書で使用される場合、2つの配列間の同一性パーセントとは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要のあるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮に入れた、配列によって共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、同一性%=同一の位置の数/位置の総数×100)。配列の比較及び2つの配列間の同一性パーセントの決定は、以下に記載されるように、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。
【0033】
2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、Needleman及びWunschアルゴリズム(NEEDLEMAN、及びWunsch)を使用して決定することができる。
【0034】
2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の同一性パーセントはまた、例えば、EMBOSS Needle(ペアワイズアラインメント;www.ebi.ac.ukにおいて利用可能、Riceら、2000 Trends Genet 16:276~277)等のアルゴリズムを使用して決定されてもよい。例えば、EMBOSS Needleは、BLOSUM62行列、10の「ギャップオープンペナルティ」、0.5の「ギャップ伸長ペナルティ」、偽の「エンドギャップペナルティ」、10の「エンドギャップオープンペナルティ」、及び0.5の「エンドギャップ伸長ペナルティ」で使用され得る。一般的に、「同一性パーセント」は、比較した位置の数で割られ、100を掛けられる、一致した位置の数の関数である。例えば、アラインメント後の2つの比較された配列の間で、10の配列位置のうち6つが同一である場合、同一性は60%である。同一性%は、典型的には、解析が実施される問合せ配列の全長にわたって決定される。同じ一次アミノ酸配列又は核酸配列を有する2つの分子は、任意の化学的及び/又は生物学的修飾にかかわらず同一である。
【0035】
本明細書で使用される場合、「最適化された」という用語は、ヌクレオチド配列が、産生細胞又は生物、概して細菌細胞、例えば大腸菌株において好ましいコドンを使用してアミノ酸配列をコードするように変更されていることを意味する。最適化されたヌクレオチド配列は、開始ヌクレオチド配列によって本来コードされていたアミノ酸配列を完全に又は可能な限り多く保持するように操作されている。最適化されたヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列は、最適化アミノ酸配列とも称される。
【0036】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語には、任意のヒト又は非ヒト動物が含まれる。「非ヒト動物」という用語には、好ましくは、哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ等が含まれる。
【0037】
本明細書で使用される場合、ポリペプチドの「バリアント」とは、対応する天然ポリペプチドと比較される、例えば典型的にはアミノ酸置換、欠失、又は挿入によって取得される天然又は人工変異体バリアントであり得る。ある特定の実施形態では、バリアントは、親ポリペプチドと比較して、バリアントの配列全体にわたってアミノ酸欠失、挿入、又は置換の組合せを有し得る。
【0038】
本開示の文脈では、保存的置換とは、以下:
脂肪族残基I、L、V、及びM
シクロアルケニル会合残基F、H、W、及びY
疎水性残基A、C、F、G、H、I、L、M、R、T、V、W、及びY
負に帯電した残基D及びE
極性残基C、D、E、H、K、N、Q、R、S、及びT
正に帯電した残基H、K、及びR
小さな残基A、C、D、G、N、P、S、T、及びV
非常に小さな残基A、G、及びS
回転に関与する残基A、C、D、E、G、H、K、N、Q、R、S、P、及び形成に関与する残基T
柔軟な残基Q、T、K、S、G、P、D、E、及びR
の通りに示されるアミノ酸のクラス内での置換によって定義することができる。
【0039】
「機能的バリアント」とは、天然ポリペプチドの目的の特性を保持するバリアントである。
【0040】
好ましい実施形態では、バリアントは、天然ポリペプチド配列に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0041】
したがって、参照配列、特に本明細書に開示されるヌクレオカプシドN融合タンパク質に対して置換、挿入及び/又は付加、欠失、並びに共有結合修飾を含有するポリペプチドは、本開示の範囲内に含まれる。例えば、配列タグ又はアミノ酸、例えば1つ若しくは複数のリジンは、ペプチド配列に(例えば、N末端又はC末端において)付加することができる。配列タグは、ペプチド検出、精製、又は局在化のために使用され得る。リジンは、ペプチド溶解性を高めるため、又はビオチン化を可能にするために使用され得る。或いは、ペプチド又はタンパク質のアミノ酸配列のカルボキシ及びアミノ末端領域に位置するアミノ酸残基は、任意選択で、切断型配列をもたらすように欠失していてもよい。或いは、ある特定のアミノ酸(例えば、C末端残基又はN末端残基)は、例えば、可溶性であるか又は固体支持体に連結されるより大きな配列の一部としての配列の発現などの、配列の使用に応じて欠失していてもよい。
【0042】
本明細書で使用される場合、「コロナウイルス疾患」という用語は、コロナウイルス感染症、特に、SARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)、又は好ましくはCOVID-19(コロナウイルス疾患2019)、より具体的には重度のCOVID-19によって引き起こされる任意の疾患を指す。
【0043】
本明細書で使用される場合、疾患との関連における「予防」又は「予防すること」という用語は、(1)疾患状態若しくは障害又は疾患に関連する任意の症状を経験するか又は示すリスクを、そのようなリスクに曝露され得る個体において低下させること、及び(2)重度の疾患のリスク又は疾患の1つ若しくは複数の重度の症状を呈するリスクを低下させること、或いは(3)ウイルス排出を減少させて、それによってある対象から別の対象へのウイルスの伝播を潜在的に減少させることのうちの1つ又は複数を指す。特に、感染障害の予防に関して、「予防」という用語は、感染因子による感染の予防、感染因子の複製の阻害、疾患に関連する任意の症状の軽減若しくは消失、ウイルス排出の減少、又は感染に関連する症状のうちの1つ若しくは複数の重症度及び/若しくは持続時間の減少、又は感染因子の根絶を指す場合がある。本明細書で使用される場合、重度の疾患の発生率又は疾患の1つ若しくは複数の重度の症状を呈する頻度を低下させることに言及する場合、「防御」という用語が交換可能に使用されてもよい。
【0044】
例えば、コロナウイルス疾患との関連において、重度のコロナウイルス疾患は、(i)海面レベルの室内気におけるSpO2が94%未満、動脈血酸素分圧の吸入酸素濃度に対する比(PaO2/FiO2)が300mmHg未満、呼吸数が30回/分超、若しくは肺浸潤が50%超である個体、並びに/又は(ii)呼吸不全、敗血症性ショック、及び/若しくは多臓器機能不全を有する個体を指す場合がある。一部の実施形態では、コロナウイルス疾患に関する「重度の疾患」という用語は、入院を必要とする呼吸欠損症状を有する個体を指す。
【0045】
予防又は防御は、対象の群において決定され、全ての個体に当てはまらなくてもよい。典型的には、予防又は防御は、無作為化臨床試験によって対照群と比較して決定することができる。
【0046】
ヌクレオカプシドN抗原
本明細書で使用される場合、「ヌクレオカプシドN抗原」又は単に「N抗原」という用語は、任意の天然コロナウイルスヌクレオカプシドNタンパク質又はそれらの抗原性バリアントを指す。
【0047】
天然コロナウイルスヌクレオカプシドNタンパク質としては、限定されないが、コロナウイルス、特にSARS-Cov1、MERS-Cov及びSARS-Cov2のいずれかのヌクレオカプシドが挙げられる。
【0048】
一部の実施形態では、ヌクレオカプシド抗原(N)は、SARS-Cov2のウイルス株、より具体的には、武漢(A)、欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)、デルタインド(B.1.617.2)及びオミクロン株からなる群から選択されるSARS-Cov2株に由来する。
【0049】
具体的な実施形態では、ヌクレオカプシド抗原(N)は、配列番号1のポリペプチドを含む、SARS-Cov2株の、より具体的には、武漢(A)株由来のN抗原である。
【0050】
具体的な実施形態では、抗原性バリアントは、好ましくは配列番号1に由来する、コロナウイルスSARS-Cov1、MERS-Cov又はSARS-Cov2の野生型コロナウイルスヌクレオカプシドの少なくとも50、100、150、200、250、300、350、400、450、490の連続するアミノ酸残基を有するコロナウイルスヌクレオカプシド抗原の断片である。コロナウイルスヌクレオカプシド抗原の断片は、定義上、典型的にはSARS-Cov1、MERS-Cov又はSARS-Cov2由来の対応する全長天然コロナウイルスヌクレオカプシドよりも少なくとも1アミノ酸短い。
【0051】
具体的な実施形態では、コロナウイルスヌクレオカプシド抗原の抗原性バリアントは、典型的にはSARS-Cov1、MERS-Cov、又は好ましくはSARS-Cov2由来のコロナウイルスのヌクレオカプシドの対応する野生型配列に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%の同一性を有する抗原性ポリペプチドバリアントである。好ましくは、コロナウイルスヌクレオカプシド抗原の抗原性バリアントは、配列番号1に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%の同一性を有する抗原性ポリペプチドバリアントである。
【0052】
特定の実施形態では、前記バリアントは、特に配列番号1の天然SARS-Cov2ヌクレオカプシド抗原と比較した場合、天然又は非天然アミノ酸(non-natural amino acid)でのアミノ酸置換のみ、好ましくは天然アミノ酸での1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のアミノ酸置換のみによって、対応するコロナウイルスヌクレオカプシド天然抗原と異なる。具体的な実施形態では、バリアントは、配列番号1の天然SARS-Cov2ヌクレオカプシド抗原と比較して、天然アミノ酸での1、2、又は3つのアミノ酸置換を有する変異体バリアントである。より具体的な実施形態では、前記バリアントは、配列番号1のSARS-Cov2ヌクレオカプシド抗原と比較した場合、配列番号1のSARS-Cov2ヌクレオカプシド抗原と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のみのアミノ酸置換を有する天然バリアント(すなわち、ヒト組換え技術に起因しない、自然界に見出されるバリアント)である。
【0053】
より具体的な実施形態では、前記変異体バリアントのアミノ酸配列は、大半が保存的アミノ酸置換によって天然コロナウイルスヌクレオカプシド抗原と異なっていてもよく、例えば、バリアントにおける置換のうちの少なくとも10、例えば少なくとも9、8、7、6、5、4、3、2、又は1つが保存的アミノ酸残基置換えである。
【0054】
より保存的な置換の分類としては、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リジン-アルギニン、アラニン-バリン、及びアスパラギン-グルタミンが挙げられる。任意のコロナウイルスヌクレオカプシド抗原の、典型的には配列番号1の親ポリペプチドと比較される、疎水性親水性指標/親水性特性及び残基重量/サイズの点での保存もまた、バリアント変異体ポリペプチドに実質的に保持され得る。
【0055】
具体的な実施形態では、変異体バリアントは、上で定義された保存的アミノ酸置換によって別の天然アミノ酸と置き換えられている1、2、又は3つのアミノ酸残基を除いて、配列番号1と同一であるポリペプチドを含む。
【0056】
具体的な実施形態では、コロナウイルスヌクレオカプシド抗原のバリアントは、例えばwww.IEDB.orgでアクセス可能なIEDBデータベース(免疫エピトープデータベース)に記載されているような、ヒト免疫系によって認識されるエピトープにおいて、配列番号1の親ポリペプチドと比較していかなる変異も含まない。具体的な実施形態では、コロナウイルスヌクレオカプシドのバリアントは、配列番号1のヌクレオカプシド(武漢(A)株由来)と、欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)デルタインド(B.1.617.2)及びオミクロンの、対応するヌクレオカプシドアミノ酸配列のヌクレオカプシドとの間で保存されているアミノ酸残基のいずれにおいても、配列番号1の親ポリペプチドと比較して変異を含まない。
【0057】
本明細書で使用される場合、「保存されているアミノ酸残基」は、BLASTアルゴリズムを使用するもの等の標準的な配列タンパク質アラインメントを使用してアラインメントした場合に、武漢(A)株のヌクレオカプシドと、欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)デルタインド(B.1.617.2)及びオミクロンヌクレオカプシドアミノ酸配列のヌクレオカプシドとの間で同一であるアミノ酸残基に対応する。
【0058】
キャリアタンパク質
本明細書で使用される場合、「キャリアタンパク質」という用語は、概して、抗原がコンジュゲート又は融合し、それによって抗原をより免疫原性にするタンパク質を示す。キャリアタンパク質の機能は、キャリアタンパク質がコンジュゲート又は融合する前記抗原の免疫原性を高めることである。
【0059】
融合タンパク質における使用のためのキャリアタンパク質は、C4bpオリゴマー化ドメインに由来する自己組織化ポリペプチド及び正に帯電した尾部を含む。補体阻害因子であるC4結合タンパク質(C4bp)は、マウスで最初に発見された豊富な血漿タンパク質である。C4bpの天然の機能は、補体活性化の古典的経路及びレクチン経路を阻害することである。C4bpアルファ鎖遺伝子の最後のエクソンは、補体制御タンパク質ファミリーに属していないタンパク質における唯一のドメインをコードする。この非補体制御タンパク質ドメインは、ヒトでは57のアミノ酸残基、マウスでは54のアミノ酸残基を含有し、C4bpのオリゴマー化に必要且つ十分である。抗原と融合した場合、前記自己組織化ポリペプチドもまた、結果として得られる融合タンパク質のオリゴマー化に必要且つ十分であることが見出されている。
【0060】
国際出願PCT/IB2004/002717及び国際出願PCT/EP03/08926は、哺乳動物における抗原の免疫原性を高めるための、哺乳動物C4bpオリゴマー化ドメインの使用を記載している。国際公開第2007/062819号は、ニワトリ種のC4bpオリゴマー化ドメイン及びそのバリアントをさらに記載している。
【0061】
好ましい実施形態では、自己免疫反応を最小化するために、自己組織化ポリペプチドは、30%未満、好ましくは20%未満のヒトC4bpオリゴマー化ドメインに対する同一性を有する。
【0062】
特に、具体的な実施形態では、C4bpオリゴマー化ドメインに由来する前記自己組織化ポリペプチドは、配列番号2を含むか又は配列番号2から本質的になる。
【0063】
具体的な実施形態では、自己組織化ポリペプチドの機能的バリアントは、配列番号2に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%の同一性を有する。
【0064】
機能的バリアントには、配列番号2と比較して1つ又は複数のアミノ酸付加、欠失、及び/又は置換を有する、配列番号2のポリペプチドの自己組織化特性を保持する任意のバリアントが含まれ得る。
【0065】
特定の実施形態では、前記バリアントは、天然又は非天然アミノ酸でのアミノ酸置換のみ、好ましくは天然アミノ酸での1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のアミノ酸置換のみによって、配列番号2と異なる。具体的な実施形態では、バリアントは、配列番号2と比較して、天然アミノ酸での1、2、又は3つのアミノ酸置換を有する変異体バリアントである。
【0066】
より具体的な実施形態では、前記変異体バリアントのアミノ酸配列は、大半が保存的アミノ酸置換によって配列番号2の自己組織化ポリペプチドと異なっていてもよく、例えば、バリアントにおける置換のうちの少なくとも10、例えば少なくとも9、8、7、6、5、4、3、2、又は1つが保存的アミノ酸残基置換えである。
【0067】
キャリアタンパク質は、正に帯電したペプチドからなるC末端尾部をさらに含む。C末端尾部は、好ましくは、少なくとも50%が正に帯電したアミノ酸である6~10アミノ酸からなるペプチドである。正電荷を有するアミノ酸としては、アルギニン又はリジンが挙げられる。そのような正に帯電したペプチドの例は、国際公開第2014/090905号及び同第2014/147087号に開示されている。
【0068】
好ましい実施形態では、前記正に帯電した尾部は、配列ZXBBBBZ(配列番号3)を含み、ここで、(i)Zは存在しないか又は任意のアミノ酸であり、(ii)Xは任意のアミノ酸であり、(iii)Bはアルギニン又はリジンであり、好ましくは、前記正に帯電した尾部は、配列番号4の配列を含むか又は配列番号4の配列から本質的になる。
【0069】
より好ましい実施形態では、前記キャリアタンパク質は、配列番号5のポリペプチドに対応するOVX313ポリペプチドから本質的になる。
【0070】
具体的な実施形態では、前記キャリアタンパク質は、配列番号5に対して少なくとも70%、80%、又はより好ましくは少なくとも90%の同一性を有する、配列番号5のOVX313ポリペプチドの機能的バリアントである。
【0071】
他の実施形態では、前記キャリアタンパク質は、アミノ酸置換によって1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のアミノ酸のみが配列番号5と異なる、配列番号5のOVX313ポリペプチドの機能的バリアントである。他の実施形態では、前記キャリアタンパク質は、保存的アミノ酸置換によって1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のアミノ酸のみが配列番号5と異なる、配列番号5のOVX313ポリペプチドの機能的バリアントである。
【0072】
N融合タンパク質
本開示に記載の使用のための融合タンパク質は、
(i)上で定義されたコロナウイルスヌクレオカプシド抗原と、
(ii)C4bpオリゴマー化ドメインに由来する自己組織化ポリペプチド及び正に帯電した尾部を含む、上で定義されたキャリアタンパク質と
を含む。
【0073】
結果として得られる、核タンパク質抗原を有する融合タンパク質は、読みやすさのために、以降では「N融合タンパク質」と称す。
【0074】
具体的な実施形態では、キャリアタンパク質は、C末端でヌクレオカプシド抗原と、任意選択でペプチドリンカーを介して融合している。ペプチドリンカーは、融合タンパク質に対して一般的に使用される任意の短いペプチドリンカーであり得る。好ましいペプチドリンカーとしては、グリシン-セリンリンカー、例えばジペプチドgly-ser、又はgly-ser-ser-ser、又は(gly-ser-ser-ser)n(ここで、nは1~4の間の整数である)が挙げられる。
【0075】
具体的な実施形態では、前記N融合タンパク質は、自己組織化後に七量体粒子を形成する。
【0076】
具体的な実施形態では、前記N融合タンパク質は、自己組織化後に、100nm未満、例えば5~100nmの間、より具体的には10~100nmの間の直径を有する粒子を形成する。前記粒子の直径は、例えば動的光散乱法(DLS)によって測定され得る。DLSは、おおよそ0.3nm~10μmのサイズ範囲の粒子の流体力学的直径を測定する。DLS測定は、温度及び分散媒粘度に非常に感受性である。したがって、温度は25℃で一定に保つ必要があり、分散媒の粘度も把握している必要がある。
【0077】
具体的な実施形態では、前記N融合タンパク質は、SARS-Cov2株から選択される、好ましくは、武漢(A)、欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)、デルタインド(B.1.617.2)及びオミクロンからなる群から選択されるヌクレオカプシドNを含む。好ましい実施形態では、前記N融合タンパク質は、武漢(A)株から選択されるヌクレオカプシドNを含む。
【0078】
より好ましい実施形態では、前記N融合タンパク質は、配列番号6のポリペプチドに対応する、より好ましくは配列番号11によってコードされるOVX033ポリペプチドから本質的になる。
【0079】
具体的な実施形態では、前記N融合タンパク質は、配列番号6に対して少なくとも70%、80%、又はより好ましくは少なくとも90%の同一性を有するOVX033ポリペプチドの機能的バリアントである。
【0080】
他の実施形態では、前記N融合タンパク質は、アミノ酸置換によって1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のアミノ酸のみが配列番号6と異なる、配列番号6のOVX033ポリペプチドの機能的バリアントである。他の実施形態では、前記N融合タンパク質は、保存的アミノ酸置換によって1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のアミノ酸のみが配列番号6と異なる、OVX033ポリペプチドの機能的バリアントである。
【0081】
本発明者らは、驚くべきことに、そのようなN融合タンパク質が、特に細菌発現系、例えば大腸菌発現系において作製した場合、特にコロナウイルス疾患を防御することに関する優れた免疫原性特性を有することを見出した。
【0082】
具体的な実施形態では、本開示のN融合タンパク質は、哺乳動物細胞(例えばCHO又はヒト細胞株)において産生される糖タンパク質に典型的なN-グリコシル化を呈さなかった。より具体的な実施形態では、N融合タンパク質はグリコシル化されていない。他の具体的な実施形態では、本開示のN融合タンパク質は、細菌発現系、例えば大腸菌発現系から取得可能であるか又は取得される。
【0083】
N融合タンパク質を調製するための方法
本開示に記載の使用のためのN融合タンパク質は、遺伝暗号を使用して、及び任意選択で宿主細胞種に応じたコドンバイアスを考慮してヌクレオチド配列が容易に得られる前記N融合タンパク質をコードする核酸分子を使用する、組換えタンパク質を調製するための任意の従来の方法によって調製することができる。
【0084】
N融合タンパク質を調製するために使用することができるヌクレオチド配列の好ましい例は、典型的には表2及び3に記載されている配列番号1~6のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列である。
【0085】
核酸分子は、アミノ酸配列から得られ、原核細胞、例えば大腸菌(E.coli)細胞におけるタンパク質発現について最適化され得る。
【0086】
より好ましい実施形態では、前記N融合タンパク質は、配列番号11の最適化されたコード核酸配列を使用して、細菌細胞発現系において調製される。本発明者らは、驚くべきことに、結果として得られるN融合タンパク質が、そのような最適化された配列を用いて、他のヌクレオチド配列と比較して好適な品質及び収率で作製されることを見出した。
【0087】
核酸は、細胞溶解液中の全細胞に存在し得るか、又は部分的に精製されたか若しくは実質的に純粋な形態の核酸であり得る。核酸は、アルカリ/SDS処理、CsClバンド形成、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動、及び当技術分野で周知の他の技法を含む標準的な技法によって他の細胞成分又は他の汚染物質、例えば、他の細胞核酸又はタンパク質から精製された場合、「単離される」か又は「実質的に純粋になる」。本開示の核酸は、例えばDNA又はRNAであり得、イントロン配列を含有していてもしていなくてもよい。一実施形態では、核酸は、ベクター、例えば組換えプラスミドベクターに存在してもよい。
【0088】
核酸は、標準的な分子生物学的技法を使用して取得することができる。核タンパク質抗原をコードするDNA断片が取得された後、これらのDNA断片は、標準的な組換えDNA技法によってさらに操作することができる。これらの操作において、例えばヌクレオカプシド抗原をコードするDNA断片は、別のDNA分子、例えばキャリアタンパク質をコードする断片及び任意選択でリンカーに作動的に連結され得る。
【0089】
「作動的に連結」という用語は、上記文脈で使用される場合、例えば、2つのDNA断片によってコードされているアミノ酸配列がインフレームのままとなるように、又はタンパク質が所望のプロモーターの制御下で発現するように、2つのDNA断片が機能的に結合されることを意味することが意図される。
【0090】
次いで、本開示のN融合タンパク質(特にOVX033)は、例えば、当技術分野で周知の組換えDNA技法と遺伝子トランスフェクション法との組合せを使用して、宿主細胞トランスフェクトーマにおいて作製することができる。
【0091】
例えば、N融合タンパク質(典型的にはOVX033)、その対応する断片を発現させるために、部分又は全長組換えタンパク質をコードするDNAが、標準的な分子生物学的又は生化学的技法(例えば、DNA化学合成、PCR増幅、又はcDNAクローニング)によって取得され得、上記DNAは、遺伝子が転写及び翻訳制御配列に作動的に連結されるように発現ベクターに挿入され得る。
【0092】
上記文脈において、「作動的に連結」という用語は、ベクター内の転写及び翻訳制御配列が、組換えN融合タンパク質の転写及び翻訳を調節するという所期の機能を果たすように、コードポリペプチド配列がベクターにライゲーションされることを意味することが意図される。発現ベクター及び発現制御配列は、使用される発現宿主細胞と適合性となるように選択される。タンパク質コード遺伝子は、標準技法によって発現ベクターに挿入される。
【0093】
組換え発現ベクターは、宿主細胞からの組換え融合タンパク質の分泌を促進するシグナルペプチドをコードすることができる。N融合タンパク質コード遺伝子は、シグナルペプチドが組換えタンパク質のアミノ末端にインフレームで連結されるようにベクターにクローニングすることができる。シグナルペプチドは、C4bpの天然シグナルペプチド又は異種シグナルペプチド(すなわち、非C4bpタンパク質由来のシグナルペプチド)であり得る。具体的な実施形態では、シグナルペプチドはメチオニンアミノ酸である。
【0094】
N融合タンパク質コード配列に加えて、本明細書に開示される組換え発現ベクターは、宿主細胞における組換え融合タンパク質の発現を制御する調節配列を保有してもよい。「調節配列」という用語には、プロモーター、エンハンサー、及びタンパク質コード遺伝子の転写又は翻訳を制御する他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)が含まれることが意図される。調節配列の選択を含む発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択、所望されるタンパク質の発現のレベル等のような因子に依存し得ることは、当業者によって理解されるだろう。
【0095】
具体的な実施形態では、発現ベクターは、細菌宿主細胞における発現のための細菌プロモーターに作動的に連結されている配列番号11のコード配列を含む。
【0096】
哺乳動物宿主細胞発現のための調節配列としては、哺乳動物細胞における高レベルのタンパク質発現を導くウイルスエレメント、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))、及びポリオーマに由来するプロモーター及び/又はエンハンサーが挙げられる。或いは、ユビキチンプロモーター又はP-グロビンプロモーター等の非ウイルス調節配列が使用されてもよい。さらに、異なる供給源由来の配列から構成された調節エレメント、例えばSV40初期プロモーター由来の配列とヒトT細胞白血病ウイルス1型の長鎖末端反復配列とを含有するSRaプロモーターシステムが使用されてもよい。
【0097】
N融合タンパク質コード配列及び調節配列に加えて、本開示の組換え発現ベクターは、追加の配列、例えば、宿主細胞におけるベクターの複製を調節する配列(例えば複製起点)及び選択マーカー遺伝子を保有してもよい。選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を容易にする。例えば、選択マーカー遺伝子は、抗生物質(細菌発現系における)又は薬物(例えばG418)に対する耐性を付与する。
【0098】
N融合タンパク質の発現のために、組換えタンパク質をコードする発現ベクター(複数可)は、標準的な技法によって宿主細胞にトランスフェクトされる。「トランスフェクション」という用語の様々な形は、外来DNAの原核又は真核宿主細胞への導入のために一般的に使用される多種多様な技法、例えば、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、DEAEデキストラントランスフェクション等を包含することが意図される。本開示のタンパク質を原核宿主細胞又は真核宿主細胞のいずれかにおいて発現させることは理論的に可能である。
【0099】
Nタンパク質の発現は、原核細胞、例えば大腸菌宿主細胞において実行され得る。次いで、N融合タンパク質は、細菌細胞の溶解、及び標準的な精製手順を使用したさらなる精製によって回収され得る。具体的な実施形態では、N融合タンパク質は、DelCampo 2021(Frontiers in Immunology、doi:10/3389/fimm.2021.678483)に開示されている方法に類似した方法に従って作製される。
【0100】
具体的な実施形態では、本開示は、配列番号11のコード配列又は配列番号11のコード配列を含む発現ベクターを含む、N融合タンパク質の作製のための細菌宿主細胞、典型的には大腸菌宿主細胞に関する。
【0101】
免疫原性組成物
別の態様では、本開示は、組成物、例えば、先の節に記載されているN融合タンパク質と、1種又は複数種の薬学的に許容される賦形剤とを含有する免疫原性組成物を提供する。
【0102】
免疫原性組成物は、非経口、鼻腔内、筋肉内、又は皮下投与(例えば、筋肉内注射による)に好適な任意の水性ビヒクルを含む。これらの水性ビヒクルは、特に等張滅菌生理食塩水溶液(リン酸一ナトリウム若しくは二ナトリウム、ナトリウム、カリウム、塩化カルシウム若しくはマグネシウム等、又はそのような塩の混合物)であり得る。
【0103】
具体的な実施形態では、前記N融合タンパク質は、少なくとも400のアミノ酸残基、例えば400~600の間のアミノ酸残基、例えば540~560の間のアミノ酸残基を含み、任意選択で、前記N融合タンパク質は、本明細書に開示されるように、前記免疫原性組成物において、5~100nmの間、例えば10~100nmの間の直径を有する粒子を形成する。
【0104】
例えば、前記免疫原性組成物は、1種又は複数種の薬学的に許容される賦形剤と一緒に製剤化された、配列番号6のポリペプチド(OVX033)又は配列番号6に対して少なくとも70%、80%、好ましくは少なくとも90%、若しくは少なくとも95%の同一性を有するバリアントを含む水性組成物である。
【0105】
具体的な実施形態では、前記免疫原性組成物は、配列番号6のポリペプチド(OVX033)を含む水性組成物であって、上記ポリペプチドが、配列番号11のコード配列から取得され、グリコシル化されていない、水性組成物である。
【0106】
好ましい実施形態では、前記免疫原性組成物は、配列番号6のポリペプチド(OVX033)を含む水性組成物であって、上記ポリペプチドが、配列番号11のコード配列から取得され、細菌発現系、典型的には大腸菌宿主細胞から取得される、水性組成物である。
【0107】
具体的な実施形態では、前記免疫原性組成物は、武漢(A)、欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)、デルタインド(B.1.617.2)及びオミクロンからなる群から選択されるSARS-Cov2株から選択されるヌクレオカプシドNを含む融合タンパク質を提供する。
【0108】
具体的な実施形態では、前記免疫原性組成物は、特に、必ずしもというわけではないが、武漢(A)、欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)、デルタインド(B.1.617.2)及びオミクロンからなる群から選択される異なるSARS-Cov2株由来の複数の融合タンパク質を提供する。
【0109】
具体的な実施形態では、前記免疫原性組成物は、以下の賦形剤、例えば、緩衝液、塩、浸透圧調節物質、抗酸化剤、並びにバイアル表面におけるタンパク質喪失及び/又はタンパク質凝集を予防するための界面活性剤又は他の薬剤のうちの1つ又は複数をさらに含み得る。
【0110】
医薬組成物の形態、投与経路、投薬量、及びレジメンは、処置される状態、疾病の重症度、患者の年齢、体重、及び性別等に当然依存する。
【0111】
好ましい実施形態では、組成物は、筋肉内投与のために製剤化されている。
【0112】
一部の実施形態では、免疫原性組成物は、好ましくは筋肉内経路を介してヒト対象に投与される1又は2用量によって対象において抗原N特異的免疫応答を生じさせる、有効量のN融合タンパク質(典型的にはOVX033)において製剤化される。
【0113】
筋肉内投与の場合、例えば、組成物は、必要に応じて好適に緩衝され得る水性溶液、及び初めに十分な塩又は糖を用いて少なくとも等張にされる液体希釈剤である。これに関連して、用いられ得る滅菌水性媒体は、本開示を考慮することで当業者に知られるだろう。注射溶液の製剤の例は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第23版、2020年に提供されている。投薬量のある程度の変更は、処置されている対象の状態に応じて行ってもよい。製剤のさらなる具体例は、特にOVX033に関する使用についての実施例において示される。
【0114】
具体的な実施形態では、前記免疫原性組成物は、典型的にはスパイクSタンパク質又は膜Mタンパク質から選択される追加のコロナウイルス抗原をさらに含む。
【0115】
具体的な実施形態では、前記免疫原性組成物は、ヌクレオカプシドN抗原を唯一のコロナウイルス抗原としてさらに含む。特に、前記免疫原性組成物は、スパイクSタンパク質又は膜Mタンパク質から選択される追加のコロナウイルス抗原を含まない。
【0116】
具体的な実施形態では、前記免疫原性組成物は、例えば、任意選択でToll様受容体(TLR)アゴニスト又はサポニンと組み合わされる、アルミニウム塩(例えば酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム又はリン酸アルミニウム)、スクアレン又はリポソーム系アジュバントからなる群から選択される1種又は複数種のアジュバントをさらに含む。
【0117】
他の具体的な実施形態では、前記免疫原性組成物は、いかなるアジュバントも含まない。
【0118】
具体的な実施形態では、免疫原性組成物は、直ちに使用できる滅菌注射溶液として製剤化されている。
【0119】
滅菌注射溶液は、必要とされる量の活性化合物、すなわちN融合タンパク質を、様々な他の成分を含有する適切な溶媒に必要に応じて組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製される。
【0120】
N融合タンパク質及びNP融合タンパク質の免疫原性組成物の使用の方法
先の節に記載されているN融合タンパク質(特にOVX033、より具体的には細菌宿主細胞において配列番号11から取得されるN融合タンパク質)及びそれらの免疫原性組成物は、必要とするヒト対象における、コロナウイルス疾患、特にCOVID-19の予防における、典型的には重度のCOVID-19からの防御のためのワクチンとして有用である。
【0121】
したがって、本開示は、ヒト及び他の哺乳動物におけるコロナウイルス疾患の予防のための、組成物(例えば、先の節に記載されている免疫原性組成物)、方法、キット、及び試薬を提供する。本明細書に開示されるN融合タンパク質又は免疫原性組成物は、予防剤として使用することができる。本明細書に開示されるN融合タンパク質又は免疫原性組成物は、コロナウイルス疾患、特にCOVID-19を予防及び/又は防御するための、より具体的には重度のCOVID-19を防御するための医薬に使用されてもよい。
【0122】
例示的な態様では、本開示のN融合タンパク質又は免疫原性組成物は、コロナウイルス疾患、特にSARS-Cov2疾患、例えばCOVID-19からの予防的防御を実現するため、典型的には重度のCOVID-19を防御するために使用される。コロナウイルスからの予防的防御は、典型的には1又は複数の免疫原性用量のOVX033を有する、免疫原性量の本開示の組成物の投与後に達成することができる。免疫原性組成物は、1回、2回、3回、又は4回以上投与され得る。
【0123】
一部の実施形態では、本開示のN融合タンパク質又は免疫原性組成物は、対象におけるコロナウイルス感染症を予防する方法であって、前記対象に、少なくとも1免疫原性用量の本明細書において提供されるN融合タンパク質又は組成物、典型的には抗原決定基としてOVX033を含む組成物を投与するステップを含む方法において使用することができる。
【0124】
一部の実施形態では、本開示のN融合タンパク質又は免疫原性組成物は、対象における一次コロナウイルス感染症を阻害する方法であって、前記対象に、少なくとも1免疫原性用量の本明細書において提供されるN融合タンパク質又は組成物、典型的には抗原決定基としてOVX033を含む組成物を投与するステップを含む方法として使用することができる。
【0125】
一部の実施形態では、本開示のN融合タンパク質又は免疫原性組成物は、対象におけるコロナウイルス疾患、典型的には重度のコロナウイルス疾患の発生率を低下させる方法であって、前記対象に、免疫原性用量の本明細書において提供されるN融合タンパク質又は組成物、典型的には抗原決定基としてOVX033を含む組成物を少なくとも投与するステップを含む方法として使用することができる。一部の実施形態では、本開示のN融合タンパク質又は免疫原性組成物は、対象におけるコロナウイルス疾患、典型的には重度のコロナウイルス疾患、例えば重度のCOVID-19を防御する方法であって、前記対象に、免疫原性用量の本明細書において提供されるN融合タンパク質又は組成物、典型的には抗原決定基としてOVX033を含む組成物を少なくとも投与するステップを含む方法として使用することができる。
【0126】
本明細書で使用される場合、「重度のCOVID-19」という用語は、
中等度の疾病:臨床評価又はイメージング中に下気道疾患の証拠を示し、且つ、海面レベルの室内気における酸素飽和度(SpO2)が94%以上である個体。
重度の疾病:海面レベルの室内気におけるSpO2が94%未満、動脈血酸素分圧の吸入酸素濃度に対する比(PaO2/FiO2)が300mmHg未満、呼吸数が30回/分超、又は肺浸潤が50%超である個体。
重篤な疾病:呼吸不全、敗血症性ショック、及び/又は多臓器機能不全を有する個体
のいずれかを指す。
【0127】
一部の実施形態では、「重度のCOVID-19」という用語は、入院を必要とする呼吸欠損症状を伴うCOVID-19を指す。
【0128】
一部の実施形態では、本開示のN融合タンパク質又は免疫原性組成物は、対象におけるCOVID-19の重度の症状のうちの1つ又は複数を防御する方法であって、前記対象に、免疫原性用量の本明細書において提供されるN融合タンパク質又は組成物、典型的には抗原決定基としてOVX033を含む組成物を少なくとも投与するステップを含む方法として使用することができる。一部の実施形態では、本開示のN融合タンパク質又は免疫原性組成物は、コロナウイルスに感染した第1の対象からコロナウイルスに感染していない第2の対象へのコロナウイルスの伝播を阻害する方法であって、前記第1の対象及び前記第2の対象に、少なくとも1免疫原性用量の本明細書において提供されるN融合タンパク質又は組成物、典型的には抗原決定基としてOVX033を含む組成物を投与するステップを含む方法として使用することができる。
【0129】
本明細書で使用される場合、「免疫原性用量」という用語は、必要とする対象にそのような量を1回又は複数回投与した場合に対象において抗原N特異的免疫応答を誘導することが明確な量を指す。
【0130】
本開示の一部の実施形態は、対象において抗原N特異的免疫応答を誘導する方法であって、対象に、N特異的免疫応答を生じさせるのに有効な量の本明細書において提供される免疫原性組成物のいずれか(好ましくはOVX033を有する免疫原性組成物)を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、抗原N特異的免疫応答は、総T細胞応答(特にCD4+又はCD8+N特異的T細胞応答)及び/又はB細胞応答(特異的抗N免疫グロブリン応答)を含む。
【0131】
本開示の一部の実施形態は、対象において抗原N特異的交差反応性免疫応答を誘導する方法であって、対象に、本明細書において提供される免疫原性組成物のいずれか(好ましくは武漢A SARS-Cov2株を有する免疫原性組成物、より好ましくはOVX033)を、特に他のコロナウイルス株、例えば、欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)、デルタインド(B.1.617.2)、オミクロン、SARS-Cov1、及びMERS-CoVに対する交差反応性N特異的免疫応答を生じさせるのに有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
【0132】
本開示の一部の実施形態は、対象において抗原N特異的交差反応性免疫応答を誘導する方法であって、対象に、本明細書において提供される免疫原性組成物のいずれか(好ましくは武漢A SARS-Cov2株を有する免疫原性組成物、より好ましくはOVX033)を、特に他のSARS-Cov2株、例えば、欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)、デルタインド(B.1.617.2)、及びオミクロンに対する交差反応性N特異的免疫応答を生じさせるのに有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
【0133】
一部の実施形態では、抗原N特異的免疫応答は、総T細胞応答(特にCD4+又はCD8+N特異的T細胞応答)及び/又はB細胞応答(特異的抗N免疫グロブリン応答)を含む。
【0134】
一部の実施形態では、抗原N特異的免疫応答を生じさせる方法は、対象に、単回用量の本開示の免疫原性組成物(典型的には、例えば配列番号11及び/又は細菌発現系、例えば大腸菌宿主細胞から取得されるOVX033を有する)を投与するステップを含む。
【0135】
一部の実施形態では、免疫原性組成物(典型的にはOVX033を有する)は、対象に、皮内注射、筋肉内注射、又は鼻腔内投与によって投与される。好ましい実施形態では、免疫原性組成物(典型的にはOVX033を有する)は、対象に、筋肉内注射によって投与される。
【0136】
実施例に示されるデータは、ハムスターにおいて特にOVX033を有する免疫原性組成物を使用する、コロナウイルス疾患に対する有意な強化された防御、及び他のコロナウイルス感染症、例えば他のSARS-Cov2株に対する交差反応性免疫応答を実証する。
【0137】
一部の実施形態では、N融合タンパク質(典型的にはOVX033)の有効量は、10μg~1000μg、50μg~1000μg、又はそれよりも多い1又は複数用量である。
【0138】
一部の実施形態では、ワクチンとしての使用のための免疫原性組成物(典型的にはOVX033を含む)は、対象を重度のCOVID-19に対して防御する。
【0139】
一部の実施形態では、ワクチンとしての使用のための免疫原性組成物(典型的にはOVX033を含む)は、対象を、肺損傷、呼吸不全、敗血症性ショック、及び/又は多臓器機能不全等のコロナウイルス疾患のうちの1つ又は複数の重度の症状に対して防御する。
【0140】
一部の実施形態では、ワクチンとしての使用のためのSARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原のN融合タンパク質を有する免疫原性組成物(典型的にはOVX033を含む)は、欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)、デルタインド(B.1.617.2)、オミクロン、SARS-Cov1、及びMERS-CoVからなる群から選択される他のコロナウイルスに対する交差反応性免疫応答(例えばヌクレオカプシドNに特異的なCD4+及び/又はCD8+T細胞応答、抗ヌクレオカプシドN IgG(抗体応答))をもたらす。
【0141】
一部の実施形態では、ワクチンとしての使用のためのSARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原のN融合タンパク質を有する免疫原性組成物(典型的にはOVX033を含む)は、欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)、デルタインド(B.1.617.2)、及びオミクロンからなる群から選択される他のSARS-Cov2株に対する交差反応性免疫応答(例えばヌクレオカプシドNに特異的なCD4+及び/又はCD8+T細胞応答、抗ヌクレオカプシドN IgG(抗体応答))をもたらす。
【0142】
一部の実施形態では、ワクチンとしての使用のための免疫原性組成物(典型的にはOVX033を含む)は、対象を、武漢(A)、欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)、デルタインド(B.1.617.2)及びオミクロン株からなる群から選択されるSARS-Cov2株のうちの1つ又は複数からのコロナウイルス疾患に対して免疫化する。
【0143】
一部の実施形態では、ワクチンとしての使用のための免疫原性組成物(典型的にはOVX033を含む)は、他のコロナウイルス疾患からのコロナウイルス症状のうちの1つ又は複数に対する交差防御、例えば、肺損傷、呼吸不全、敗血症性ショック、及び/又は多臓器機能不全等の重度のコロナウイルス症状のうちの1つ又は複数に対する防御、より具体的には、欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)、デルタインド(B.1.617.2)、オミクロン、SARS-Cov1、及びMERS-CoVからなる群から選択される、より詳細には、欧州B.1、デルタ、オミクロン及び/又はベータからなる群から選択されるコロナウイルス感染症に起因するコロナウイルス疾患からの交差防御をもたらす。
【0144】
一部の実施形態では、対象はコロナウイルス(例えば、武漢(A)、欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)、デルタインド(B.1.617.2)及びオミクロン株からなる群から選択されるSARS-Cov2株のうちの1つ又は複数)に曝露されたことがあるか、対象はコロナウイルスに感染しているか、又は対象はコロナウイルスによる感染のリスクがある。
【0145】
他の実施形態では、対象は、重度のCovid-19を発症するリスクがある。リスク因子としては、限定されないが、(アルファベット順に列挙して)年齢(リスクは、50歳以降、10年ごとに増加する)、癌、心血管疾患、慢性腎疾患、慢性肺疾患、糖尿病、免疫不全状態又は免疫抑制薬の服用、肥満(ボディマス指数≧30)、妊娠、及び鎌状赤血球疾患が挙げられる。
【0146】
一部の実施形態では、対象は、(i)高齢の対象(例えば65歳、70歳、又は80歳超)、(ii)妊娠している対象、(iii)免疫不全対象、又は(iv)小児(例えば18歳未満、16、14、12、10、8、6、4、2歳、又は2歳未満の者)のいずれかである。
【0147】
他の実施形態では、免疫原性組成物は、好ましくはタンパク質スパイク又はその抗原性断片を含むコロナウイルスワクチンから選択される第2のコロナウイルスワクチンと組み合わされて、同時に又は逐次に投与される。
【0148】
具体的な実施形態では、免疫原性組成物は、mRNAコロナウイルスワクチン、典型的には、例えばコミナティ(COMIRNATY)ワクチン(Pfizer-BioNTech;BNT162b2 mRNA)又はスパイクバックス(SPIKEVAX)COVID-19ワクチン(Moderna、mRNA-1273 SARS-CoV-2)からなる群から選択される、SARS-Cov2スパイクタンパク質又はその抗原性断片をコードするmRNAを含むmRNAコロナウイルスと組み合わされて、同時に又は逐次に投与される。
【0149】
本明細書で使用される場合、「組合せ」、「併用投与」、又は「同時投与」という用語は、少なくとも2種の有効成分(例えば免疫原性組成物の併用投与を指し、ここで、本明細書に開示されるN融合タンパク質を含む第1の免疫原性組成物は、第2のワクチン又は免疫原性組成物と同時に又は時間間隔内に別個に、それらを必要とする同じ対象に投与され、上記時間間隔は、組み合わされた有効成分がコロナウイルス、典型的にはCovid-19に対する免疫応答又は防御に関する協同又は相乗効果を示すことを可能にする。同時の又は時間間隔内の別個の送達方法は本明細書に記載される範囲に含まれるが、免疫原性組成物が同時に投与されなければならない、及び/又は送達のために一緒に製剤化されなければならない、ということを含意することは意図されていない。「組合せ」、「併用投与」、又は「同時投与」という用語が、活性(免疫原性)剤が必ずしも同じ投与経路によって投与されるわけではないレジメンを包含することもまた意図される。
【0150】
具体的な実施形態では、他のコロナウイルスワクチン(例えば、SARS-Cov2スパイクタンパク質又は抗原性断片をコードするmRNAを含むmRNAワクチン)は、本開示の前記免疫原性組成物の前に、典型的には、前記免疫原性組成物の投与の1カ月前~3カ月前の間に含まれる時間間隔内で初めに投与される。具体的な実施形態では、実施者は、他のワクチン(例えばmRNAワクチン)とN融合タンパク質ワクチンとの同時免疫応答を理想的にもたらして、免疫又は防御応答に対する相乗効果を生じさせるように、ワクチンの投与の順序を調整することができる。
【0151】
本開示を、以下の実施形態、実施例及び図面によってさらに示す。しかしながら、これらの実施例及び図面は、いかなる点においても本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0152】
具体的な実施形態
E1.必要とするヒト対象における、コロナウイルス疾患、特にCOVID-19の予防のため、典型的には重度のCOVID-19からの防御のためのワクチンとしての使用のための免疫原性組成物であって、前記免疫原性組成物は融合タンパク質を含み、前記融合タンパク質は、
(i)コロナウイルスヌクレオカプシドN抗原、好ましくはSARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原と、それが融合している
(ii)C4bpオリゴマー化ドメインに由来する自己組織化ポリペプチド及び正に帯電した尾部を含むキャリアタンパク質と
を含む、免疫原性組成物。
【0153】
E2.前記融合タンパク質がグリコシル化されていない、E1に記載の使用のための免疫原性組成物。
【0154】
E3.前記融合タンパク質が、細菌発現系、例えば大腸菌発現系から取得可能である、E1又はE2に記載の使用のための免疫原性組成物。
【0155】
E4.キャリアタンパク質が、C末端でヌクレオカプシドN抗原に融合しており、任意選択でグリシン-セリンリンカーを介して融合している、E1~E3のいずれか1つに記載の使用のための免疫原性組成物。
【0156】
E5.前記融合タンパク質が、自己組織化後に七量体タンパク質を形成する、E1~E4のいずれか1つに記載の使用のための免疫原性組成物。
【0157】
E6.前記SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原が、SARS-Cov2株由来の少なくとも1種のヌクレオカプシドN抗原を含む、例えば、前記SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原が、SARS-Cov2武漢(A)株のヌクレオカプシドNタンパク質[P0DTC9(NCAP_SARS2)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(2019-nCoV)]から本質的になる、E1~E5のいずれか1つに記載の使用のための免疫原性組成物。
【0158】
E7.前記ヌクレオカプシドN抗原が、
(i)配列番号1のポリペプチド、又は
(ii)配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する抗原性ポリペプチドバリアント
を含む、E1~E6のいずれか1つに記載の使用のための免疫原性組成物。
【0159】
E8.C4bpオリゴマー化ドメインに由来する前記自己組織化ポリペプチドが、配列番号2、又は配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する機能的バリアントを含む、E1~E7のいずれか1つに記載の使用のための免疫原性組成物。
【0160】
E9.前記正に帯電した尾部が、配列ZXBBBBZ(配列番号3)を含み、ここで、(i)Zは存在しないか又は任意のアミノ酸であり、(ii)Xは任意のアミノ酸であり、(iii)Bはアルギニン又はリジンであり、好ましくは、前記正に帯電した尾部が、配列番号4の配列を含む、E1~E8のいずれか1つに記載の使用のための免疫原性組成物。
【0161】
E10.前記キャリアタンパク質が、配列番号5から本質的になるか、又は前記キャリアタンパク質が、配列番号5に対して少なくとも90%の同一性を有する配列番号5の機能的バリアントである、E1~E9のいずれか1つに記載の使用のための免疫原性組成物。
【0162】
E11.前記融合タンパク質が、配列番号6を含むか若しくは配列番号6から本質的になるか、又は配列番号6に対して少なくとも90%の同一性を有する配列番号6の機能的バリアントである、E1~E10のいずれか1つに記載の使用のための免疫原性組成物。
【0163】
E12.前記融合タンパク質が配列番号11によってコードされる、E11に記載の使用のための免疫原性組成物。
【0164】
E13.前記免疫原性組成物が筋肉内経路を介して投与される、E1~E12のいずれか1つに記載の使用のための免疫原性組成物。
【0165】
E14.前記免疫原性組成物がSARS-Cov2スパイクS抗原を含まない、好ましくは、SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原が組成物における唯一のSARS-Cov2抗原決定基である、E1~E14のいずれか1つに記載の使用のための免疫原性組成物。
【0166】
E15.前記使用が、ヌクレオカプシドNに特異的な総T細胞応答、ヌクレオカプシドNに特異的なCD4+及び/若しくはCD8+T細胞応答、抗ヌクレオカプシドN IgG(抗体応答)、並びに/又はコロナウイルス症状のうちの1つ若しくは複数に対する防御、例えば、肺損傷、呼吸不全、敗血症性ショック、及び/若しくは多臓器機能不全等の重度のコロナウイルス症状のうちの1つ若しくは複数に対する防御、より具体的には、武漢(A)、欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)、デルタインド(B.1.617.2)、オミクロン、SARS-Cov1、及びMERS-CoVからなる群から選択される、より詳細には、欧州B.1、デルタ、オミクロン及び/若しくはベータからなる群から選択されるコロナウイルス株への感染に起因するコロナウイルス疾患からの防御をもたらす、E1~E14のいずれか1つに記載の使用のための免疫原性組成物。
【0167】
E16.前記SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原が武漢(A)株から選択され、前記使用が、ヌクレオカプシドNに特異的な総T細胞応答、ヌクレオカプシドNに特異的なCD4+/CD8+T細胞応答、抗ヌクレオカプシドN IgG(抗体応答)、並びに/又は欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)、デルタインド(B.1.617.2)、オミクロン、SARS-Cov1、及びMERS-CoVからなる群から選択される、より詳細には、欧州(B.1)、デルタ、オミクロン及び/若しくはベータ株からなる群から選択されるコロナウイルス株への感染に起因するコロナウイルス疾患からの交差防御をもたらす、請求項E1~E15のいずれか1つに記載の使用のための免疫原性組成物。
【0168】
E17.
(i)SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原と、それが融合している
(ii)C4bpオリゴマー化ドメインに由来する自己組織化ポリペプチド及び正に帯電した尾部を含むキャリアタンパク質と
を含む融合タンパク質。
【0169】
E18.グリコシル化されていない、E17に記載の融合タンパク質。
【0170】
E19.細菌発現系、例えば大腸菌発現系から取得可能である、E17又はE18に記載の融合タンパク質。
【0171】
E20.キャリアタンパク質が、C末端でヌクレオカプシドN抗原と、任意選択でグリシン-セリンリンカーを介して融合している、E17~E19のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0172】
E21.自己組織化後に七量体タンパク質を形成する、E17~E20のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0173】
E22.前記SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原が、SARS-Cov2武漢(A)株、典型的には株[P0DTC9(NCAP_SARS2)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(2019-nCoV)]由来の少なくとも1種のヌクレオカプシドN抗原を含む、E17~E21のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0174】
E23.前記ヌクレオカプシドN抗原が、
(i)配列番号1のポリペプチド、又は
(ii)配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する抗原性ポリペプチドバリアント
を含む、E17~E22のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0175】
E24.C4bpオリゴマー化ドメインに由来する前記自己組織化ポリペプチドが、配列番号2、又は配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する機能的バリアントを含む、E17~E23のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0176】
E25.前記正に帯電した尾部が、配列ZXBBBBZ(配列番号3)を含み、ここで、(i)Zは存在しないか又は任意のアミノ酸であり、(ii)Xは任意のアミノ酸であり、(iii)Bはアルギニン又はリジンであり、好ましくは、前記正に帯電した尾部が、配列番号4の配列を含む、E17~E24のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0177】
E26.前記キャリアタンパク質が、配列番号5から本質的になるか、又は前記キャリアタンパク質が、配列番号5に対して少なくとも90%の同一性を有する配列番号5の機能的バリアントである、E17~E25のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0178】
E27.配列番号6を含むか若しくは配列番号6から本質的になるか、又は配列番号6に対して少なくとも90%の同一性を有する配列番号6の機能的バリアントである、E17~E26のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0179】
E28.配列番号11によってコードされる、E27に記載の融合タンパク質。
【0180】
E29.E17~E28のいずれかに規定の融合タンパク質をコードする核酸。
【0181】
E30.E29に記載の核酸を含む、E17~E28のいずれかに規定の融合タンパク質の作製のための発現ベクター。
【0182】
E31.E30に記載の発現ベクターを含む、E17~E28のいずれかに規定の融合タンパク質の作製のための宿主細胞。
【0183】
E32.細菌、好ましくは大腸菌宿主細胞である、E31に記載の宿主細胞。
【0184】
E33.E17~E28のいずれかに記載の融合タンパク質と、1種又は複数種の薬学的に許容される賦形剤とを含む免疫原性組成物。
【0185】
E34.筋肉内投与のために製剤化されている、E33に記載の免疫原性組成物。
【0186】
E35.E17~E28のいずれか1つに記載の融合タンパク質を作製するための方法であって、
(i)E31又はE32に記載の宿主細胞を、前記宿主細胞による前記融合タンパク質の合成のための条件下で培養するステップと、
(ii)前記融合タンパク質を回収するステップと、
(iii)任意選択で、前記融合タンパク質を精製するステップと
を含む方法。
【0187】
E36.必要とするヒト対象において、コロナウイルス、典型的にはSARS-Cov2に対する免疫応答を誘導するか、又はコロナウイルス疾患、特にCOVID-19若しくは重度のCOVID-19を予防するための方法であって、
(i)ヌクレオカプシドN抗原、好ましくはSARS-Cov2 N抗原と、それが融合している
(ii)C4bpオリゴマー化ドメインに由来する自己組織化ポリペプチド及び正に帯電した尾部を含むキャリアタンパク質と
を含む融合タンパク質を含む免疫原性量の組成物を投与するステップを含む方法。
【0188】
E37.前記融合タンパク質がグリコシル化されていない、E36に記載の方法。
【0189】
E38.前記融合タンパク質が、細菌発現系、例えば大腸菌発現系から取得可能である、E36又はE37に記載の方法。
【0190】
E39.キャリアタンパク質が、C末端でヌクレオカプシドN抗原と、任意選択でグリシン-セリンリンカーを介して融合している、E36~E38のいずれか1つに記載の方法。
【0191】
E40.前記融合タンパク質が、自己組織化後に七量体粒子を形成する、E36~E39のいずれか1つに記載の方法。
【0192】
E41.前記SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原が、SARS-Cov2株由来の少なくとも1種のヌクレオカプシドN抗原を含む、例えば、前記SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原が、SARS-Cov2武漢(A)株のヌクレオカプシドNタンパク質[P0DTC9(NCAP_SARS2)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(2019-nCoV)]から本質的になる、E36~E40のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
E42.前記ヌクレオカプシドN抗原が、
(i)配列番号1のポリペプチド、又は
(ii)配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する抗原性ポリペプチドバリアント
を含む、E36~E41のいずれか1つに記載の方法。
【0194】
E43.C4bpオリゴマー化ドメインに由来する前記自己組織化ポリペプチドが、配列番号2、又は配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する機能的バリアントを含む、E36~E42のいずれか1つに記載の方法。
【0195】
E44.前記正に帯電した尾部が、配列ZXBBBBZ(配列番号3)を含み、ここで、(i)Zは存在しないか又は任意のアミノ酸であり、(ii)Xは任意のアミノ酸であり、(iii)Bはアルギニン又はリジンであり、好ましくは、前記正に帯電した尾部が、配列番号4の配列を含む、E36~E43のいずれか1つに記載の方法。
【0196】
E45.前記キャリアタンパク質が、配列番号5から本質的になるか、又は前記キャリアタンパク質が、配列番号5に対して少なくとも90%の同一性を有する配列番号5の機能的バリアントである、E36~E44のいずれか1つに記載の方法。
【0197】
E46.前記融合タンパク質が、配列番号6を含むか若しくは配列番号6から本質的になるか、又は配列番号6に対して少なくとも90%の同一性を有する配列番号6の機能的バリアントである、E36~E45のいずれか1つに記載の方法。
【0198】
E47.前記融合タンパク質が配列番号11によってコードされる、E46に記載の方法。
【0199】
E48.前記免疫原性組成物が筋肉内注射によって投与される、E36~E47のいずれか1つに記載の方法。
【0200】
E49.前記免疫原性組成物がSARS-Cov2スパイク抗原を含まない、好ましくは、SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原が組成物における唯一のSARS-Cov2抗原決定基である、E36~E48のいずれか1つに記載の方法。
【0201】
E50.ヌクレオカプシドNに特異的な総T細胞応答、ヌクレオカプシドNに特異的なCD4 T細胞若しくはCD8+T細胞応答、抗ヌクレオカプシドN IgG(抗体応答)、並びに/又はコロナウイルス症状のうちの1つ若しくは複数に対する防御、例えば、肺損傷、呼吸不全、敗血症性ショック、及び/若しくは多臓器機能不全等の重度のコロナウイルス症状のうちの1つ若しくは複数に対する防御、より具体的には、武漢(A)、欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)、デルタインド(B.1.617.2)、オミクロン、SARS-Cov1、及びMERS-CoVからなる群から選択される、より詳細には、欧州B.1、デルタ、オミクロン及び/若しくはベータからなる群から選択されるコロナウイルス株への感染に起因するコロナウイルス疾患からの防御若しくは交差防御をもたらす、E36~E49のいずれか1つに記載の方法。
【0202】
E51.前記SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原が武漢(A)株由来であり、前記方法が、欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)、デルタインド(B.1.617.2)、オミクロン、SARS-Cov1、及びMERS-CoVからなる群から選択される、より詳細には、欧州B.1、デルタ、オミクロン及び/又はベータからなる群から選択されるコロナウイルス感染症に対する交差反応性免疫応答をもたらす、E36~E49のいずれか1つに記載の方法。
【0203】
E52.前記SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原が武漢A株由来であり、前記方法が、他のコロナウイルス疾患からのコロナウイルス症状のうちの1つ又は複数に対する交差防御、例えば、肺損傷、呼吸不全、敗血症性ショック、及び/又は多臓器機能不全等の重度のコロナウイルス症状のうちの1つ又は複数に対する防御、より具体的には、欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)、デルタインド(B.1.617.2)、オミクロン、SARS-Cov1、及びMERS-CoVからなる群から選択される、より詳細には、欧州B.1、デルタ、オミクロン及び/又はベータからなる群から選択されるコロナウイルス感染症に起因するコロナウイルス疾患からの交差防御をもたらす、E36~E49のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
[実施例]
実施例1:OVX030はワクチン開発に好適ではない切断された形態を呈する
本開示のワクチンを作製するために、DNA構築物を、大腸菌コドン最適化遺伝子のDNA合成によって取得した。初めに、2つの構築物を合成し、一方の構築物(配列番号12)はOVX030をコードし、別の構築物(配列番号13)はOVX031をコードし、両者はそれぞれ、OVX313と融合されるSARS-CoV2のN[P0DTC9(NCAP_SARS2)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(2019-nCoV)(SARS-CoV-2)]及びSARS-CoVのN[P59595(NCAP_SARS)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)]からなった。両方の構築物を、IPTG誘導性T5プロモーターを有する大腸菌発現ベクターにおいてクローニングした。
【0205】
大腸菌BL21(New England BioLabs、#C2530H)を使用する、OVX030及びOVX031をコードする構築物のタンパク質発現は、作製が25℃及び30μg/mLのカナマイシンの存在下において実施されたにもかかわらず、高い発現レベルに達することが可能であった。OVX030をコードする構築物の発現レベルはOVX031よりもわずかに高く、また、OVX030をコードする構築物はSARS-CoV2由来のNからなるため、OVX030をコードする構築物を初めに選択した。
【0206】
OVX030の小規模バッチを作製し、最初に、イオン交換クロマトグラフィー精製ステップとそれに続くサイズ排除クロマトグラフィーとによって精製した。これらのバッチを小規模の解析セット(濃度(A280)、SDS PAGEにおけるタンパク質純度、ウェスタンブロッティングによる同一性、LC-MSによる単量体の完全質量)に供した。バッチのLC-MS分析は、予想に従う51959.8Daの見かけの質量(理論MWからΔ0.3Da)を示した。
【0207】
対照的に、SDS PAGE及びウェスタンブロット解析(抗ヌクレオカプシド抗体を使用)は、精製ステップ中に除去することができない切断された形態のOVX030を強調した(赤色の狭い部分、
図1)。この知見は、候補ワクチンに期待される特徴に明らかに一致しなかった。
【0208】
実施例2:OVX033をコードする、ワクチン開発に好適なコドン最適化配列の選択
その後、他の3つの構築物を合成した。SARS-CoV2のNをコードする第1の構築物(配列番号14)を合成した。OVX032は、OVX313 C末端ドメインを有さない対照タンパク質として使用するために作製した。残りの2つの構築物(それぞれOVX033及びOVX034をコードする)は、OVX313と融合されるSARS-CoV2由来のNをコードする構築物の2つのコドン最適化バリアント配列である。OVX033をコードする第1の構築物(配列番号11)は、DNA合成によって取得された完全に新規な大腸菌最適化遺伝子であった。OVX034をコードする第2の遺伝子構築物(配列番号15)は、ヌクレオカプシドに対応するDNA配列について、OVX032をコードする遺伝子構築物と相同であった。
【0209】
OVX030及びOVX031について先に定義されたパラメータに従って大腸菌において発現されたOVX033構築物は、切断された形態の発現(OVX030をコードする構築物において検出された)の実質的な低下を伴う高いタンパク質発現レベルを呈する。
図2は、OVX030と比較したOVX033及びOVX034のタンパク質発現レベルを示す。
【0210】
したがって、OVX033ワクチン候補は、大腸菌細胞において発現される、配列番号11によってコードされる組換えタンパク質であり、OVX033ワクチン候補のサブユニットは、OVX313(オリゴドム(登録商標))と融合したSARS-CoV2のヌクレオカプシド(N)[P0DTC9(NCAP_SARS2)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(2019-nCoV)(SARS-CoV-2)]からなる。OVX033ワクチン候補は475アミノ酸から構成される。
【0211】
ジスルフィド結合、水素結合、塩架橋、及び多数の疎水性相互作用の組合せによって、OVX313 C末端ドメインは、融合したタンパク質が自然に七量体化することを可能にし、したがって、OV033は、各サブユニットを7コピー含有し、363.7kDa(すなわち、51.96kDa×7)の分子量(MW)と10.03の等電点(pI)とを有する七量体組換えタンパク質を形成する。
【0212】
実施例3:ハムスター防御研究におけるOVX033を使用した前臨床データ
3.1研究#1
第1のハムスター防御研究に使用されたOVX033の特徴を以下に示す:
【0213】
【0214】
OVX033を1mg/mLにおいて製剤化し、研究群を以下の通りとした:
【0215】
【0216】
1群当たり10匹のハムスターを、D0及びD28に(4週間空けて)、上に記載したようにOVX033を用いて鼻腔内(IN)又は筋肉内(IM)にワクチン接種した。D56、すなわち最後のワクチン接種の28日後に、104TCID50のSars-CoV-2株(欧州(B.1))を使用して動物を鼻腔内感染させた。5匹のハムスターを感染後D+4(D60)に屠殺し、残りのハムスター(1群当たり5匹)を感染後D+7(D63)に屠殺した。ハムスターの体重を、感染させた日から毎日モニタリングした。D60及びD63に、全ての屠殺したハムスターの肺、咽頭スワブ及び鼻甲介においてウイルス量を解析した。組織病理学的解析を、全ての屠殺したハムスターから採取した肺に対して実行した。
【0217】
研究中に取得された重要な結果を以降に要約する:
Sars-CoV-2感染の7日後に測定された体重減少について、OVX033 IMは、OVX033 INと異なり、ハムスターをSars-CoV-2感染後の体重減少から防御し、感染後D4、D5、D6及びD7においてNaCl陰性対照群との有意差が観察された(
図3Aを参照されたい。統計解析は、二元配置分散分析とそれに続くダネットの多重比較検定とを使用して実施した);
肺において測定されたウイルス量の有意な減少は、OVX033 IMにおいてのみ観察された(
図3Bを参照されたい;統計解析:OVX033処置群とNaCl群との間におけるマン・ホイットニー検定);
肺において、肺損傷の有意な軽減は、OVX033 IMにおいて感染後D7に観察された(
図3C、組織病理学結果を参照されたい。統計解析:OVX033処置群とNaCl群との間におけるt検定)。
【0218】
3.2研究#2
第2のハムスター防御研究に使用されたOVX033の特徴を以下に示す:
【0219】
【0220】
【0221】
1群当たり10匹のハムスターを、D0及びD28に(4週間空けて)、上に記載した製剤を用いてワクチン接種した。D56、すなわち最後のワクチン接種の28日後に、104TCID50のSars-CoV-2株(欧州(B.1))を使用して動物を鼻腔内感染させた。5匹のハムスターを感染後D+4(D60)に屠殺し、残りのハムスター(1群当たり5匹)を感染後D+7(D63)に屠殺した。ハムスターの体重を、感染させた日から毎日モニタリングした。D60及びD63に、全ての屠殺したハムスターの肺、咽頭スワブ及び鼻甲介においてウイルス量を解析した。組織病理学的解析を、全ての屠殺したハムスターから採取した肺に対して実行した。
【0222】
研究中に取得された重要な結果:
この場合もまた、肺において測定されたウイルス量の有意な減少が、処置群(OVX033 50μg及び100μg)において観察された(
図4B、統計解析:OVX033処置群とNaCl群との間におけるマン・ホイットニー検定)、
肺において、肺損傷の有意な軽減は、OVX033 50μg及び100μgにおいて感染後D7に観察された(
図4C、組織病理学結果、統計解析:OVX033処置群とNaCl群との間におけるt検定)。
【0223】
SARS-CoV-2感染の7日後に測定された体重減少について、50μg又は100μgにおけるOVX033は、ハムスターをSars-CoV-2感染後の体重減少から防御し、感染後D4、D5、D6及びD7においてNaCl陰性対照群との有意差が観察された(
図4A、統計解析は、二元配置分散分析とそれに続くダネットの多重比較検定とを使用して実施した)。
【0224】
3.3研究#3
第3のハムスター防御研究に使用されたOVX033の特徴を以下に示す:
【0225】
【表5】
OVX033を0.5mg/mLにおいて製剤化した:
【0226】
【0227】
1群当たり12匹のハムスターを、D0及びD28に(4週間空けて)、上に記載したようにOVX033を用いて筋肉内(IM)にワクチン接種した。D56、すなわち最後のワクチン接種の28日後に、104TCID50のSars-CoV-2株(デルタ、B.1.617.2)を使用して動物を鼻腔内感染させた。6匹のハムスターを感染後D+4(D60)に屠殺し、残りのハムスター(1群当たり6匹)を感染後D+7(D63)に屠殺した。ハムスターの体重を、感染させた日から毎日モニタリングした。D60及びD63に、全ての屠殺したハムスターの肺、咽頭スワブ及び鼻甲介においてウイルス量を解析した。組織病理学的解析を、全ての屠殺したハムスターから採取した肺に対して実行した。
【0228】
研究中に取得された重要な結果を以降に要約する:
肺においてRT-qPCRによって測定されたウイルス量の有意な減少は、OVX033を用いたワクチン接種後に観察された(
図5Aを参照されたい;統計解析:OVX033処置群とNaCl群との間におけるマン・ホイットニー検定);
肺において、肺損傷の有意な軽減は、OVX033において感染後D7に観察された(
図5Bを参照されたい、組織病理学結果、統計解析:OVX033処置群とNaCl群との間におけるマン・ホイットニー検定)。
【0229】
3.4研究#4
第4のハムスター防御研究に使用されたOVX033の特徴を以下に示す:
【0230】
【表7】
OVX033を0.5mg/mLにおいて製剤化した:
【0231】
【0232】
1群当たり12匹のハムスターを、D0及びD28に(4週間空けて)、上に記載したようにOVX033を用いて筋肉内(IM)にワクチン接種した。D56、すなわち最後のワクチン接種の28日後に、104TCID50のSars-CoV-2株(オミクロン、B.1.1.529)を使用して動物を鼻腔内感染させた。6匹のハムスターを感染後D+4(D60)に屠殺し、残りのハムスター(1群当たり6匹)を感染後D+7(D63)に屠殺した。ハムスターの体重を、感染させた日から毎日モニタリングした。D60及びD63に、全ての屠殺したハムスターの肺、咽頭スワブ及び鼻甲介においてウイルス量を解析した。組織病理学的解析を、全ての屠殺したハムスターから採取した肺に対して実行した。
【0233】
研究中に取得された重要な結果を以降に要約する:
肺においてRT-qPCRによって測定されたウイルス量の有意な減少は、OVX033を用いたワクチン接種後に観察された(
図6Aを参照されたい;統計解析:OVX033処置群とNaCl群との間におけるマン・ホイットニー検定);
鼻甲介においてRT-qPCRによって測定されたウイルス量の有意な減少は、OVX033を用いたワクチン接種の7日後に観察された(
図6Bを参照されたい;統計解析:OVX033処置群とNaCl群との間におけるマン・ホイットニー検定);
肺において、肺損傷の有意な軽減は、OVX033 IMにおいて感染後D7に観察された(
図6Cを参照されたい、組織病理学結果、統計解析:OVX033処置群とNaCl群との間におけるマン・ホイットニー検定)。
【0234】
実施例4:ハムスターにおけるOVX033の免疫原性
このハムスター免疫原性研究に使用されたOVX033の特徴を以下に示す:
【0235】
【表9】
OVX033を0.5mg/mLにおいて製剤化した:
【0236】
【0237】
1群当たり5匹のハムスターを、D0及びD28に(4週間空けて)、上に記載したようにOVX033を用いて筋肉内(IM)にワクチン接種した。血清を、ELISAによる抗N IgG解析のために、D0及びD56(屠殺)に後眼窩血の採血から採取した。D56、すなわち最後のワクチン接種の28日後に、動物を安楽死させ、肺及び脾臓を採取し、細胞を単離し、11aaが重複する15マーの核タンパク質ペプチドプール(武漢SARS-CoV-2株、Swiss-Prot ID:P0DTC9のもの)を用いた刺激の18時間後にIFNγ ELISpotによって解析した。
【0238】
研究中に取得された重要な結果を以降に要約する:
高レベルの抗N特異的血清IgG抗体が、OVX033を用いた2回のワクチン接種後の血清において検出された(
図7A、個々の値及び平均±95%CIを参照されたい)。
有意なIFNγ T細胞特異的応答が、脾臓及び肺において検出された(
図7B及び
図7Cを参照されたい;統計解析:OVX033処置群とNaCl群との間におけるマン・ホイットニー検定)。
【0239】
実施例5:肺細胞においてIFNγ T細胞特異的応答を示すOVX030(融合N-OVX313)対OVX032(融合していないN抗原)のマウスにおける比較研究
材料及び方法:
OVX030は、SARS-Cov2のN抗原とOVX313との融合体であり、実施例1に記載されている(配列番号12によってコードされる)。OVX032は、実施例2に開示されているSARS-Cov2のN抗原である(配列番号14によってコードされる)。
【0240】
5匹のC57BL6マウスの5つの群を、0日目及び28日目に以下の5つのレジメン:(i)OVX032(N)、(ii)OVX030(N-OVX313)、(iii)OVX030(N-OVX313)+不完全フロイントアジュバント(IFA)、(iv)OVX030(N-OVX313)+MF59アジュバント(アッダバックス(AddaVax))、又は(v)緩衝液のいずれかを用いて免疫化した。マウスを、免疫応答の評価のためにワクチン接種の8日後に屠殺した。
【0241】
結果:
肺細胞において、
図8に示すように、OVX030は細胞応答を誘導する。抗原NのみであるOVX032は、OVX030(N-OVX313)よりも有意に低いIFNγ細胞応答をもたらし、アジュバントは応答を低下させる傾向があるが、統計的な差は認められなかった。
【0242】
実施例6:本発明を実施するのに有用な配列
【0243】
【0244】
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とするヒト対象における、コロナウイルス疾
患の予防のた
めのワクチンとしての使用のための免疫原性組成物であって、前記免疫原性組成物は融合タンパク質を含み、前記融合タンパク質は、
(i)SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原と、それが融合している
(ii)C4bpオリゴマー化ドメインに由来する自己組織化ポリペプチド及び正に帯電した尾部を含むキャリアタンパク質と
を含む、免疫原性組成物。
【請求項2】
前記SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原が武漢(A)SARS-Cov2株由来であり、前記免疫原性組成物は、他のコロナウイルス株に対する交差反応性のN特異的免疫応答を生成するのに有効な量で投与するためのものである、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
前記SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原が武漢(A)SARS-Cov2株由来であり、前記ワクチンが、武漢(A)SARS-Cov2株の感染に起因しないコロナウイルス疾患のコロナウイルス症状の1つ以上に対する交差防御を提供する、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
前記他のコロナウイルス株がSARS-Cov2、SARS-Cov及び/又はMERS-Cov株から選択される、請求項2に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
前記コロナウイルス疾患がSARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)、及び/又はCOVID-19(コロナウイルス疾患2019)から選択される、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
前記融合タンパク質がグリコシル化されていない、請求項1
~5のいずれか一項に記載
の免疫原性組成物。
【請求項7】
前記キャリアタンパク質が、C末端で前記ヌクレオカプシドN抗原に融合しており、任意選択でグリシン-セリンリンカーを介して融合している、請求項1~
5のいずれか一項に記載
の免疫原性組成物。
【請求項8】
前記SARS-Cov2ヌクレオカプシドN抗原が、SARS-Cov2武漢(A)株のヌクレオカプシドNタンパク質[P0DTC9(NCAP_SARS2)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(2019-nCoV)]から本質的になる、請求項1~
5のいずれか一項に記載
の免疫原性組成物。
【請求項9】
前記ヌクレオカプシドN抗原が、
(i)配列番号1のポリペプチド、又は
(ii)配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する抗原性ポリペプチドバリアント
を含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載
の免疫原性組成物。
【請求項10】
前記キャリアタンパク質が、配列番号5から本質的になるか、又は前記キャリアタンパク質が、配列番号5に対して少なくとも90%の同一性を有する配列番号5の機能的バリアントである、請求項1~
5のいずれか一項に記載
の免疫原性組成物。
【請求項11】
前記融合タンパク質が、配列番号6を含むか若しくは配列番号6から本質的になるか、又は配列番号6に対して少なくとも90%の同一性を有する配列番号6の機能的バリアントである、請求項1~
5のいずれか一項に記載
の免疫原性組成物。
【請求項12】
前記融合タンパク質が配列番号11によってコードされる、請求項11に記載
の免疫原性組成物。
【請求項13】
前記免疫原性組成物は筋肉内経路を介して投与
するためのものである、請求項1~
5のいずれか一項に記載
の免疫原性組成物。
【請求項14】
他のSARS-Cov2株による感染に起因するCOVID-19に対する交差防御を提供する、請求項1~5のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
前記使用が、ヌクレオカプシドNに特異的な総T細胞応答、ヌクレオカプシドNに特異的なCD4+/CD8+T細胞応答、抗ヌクレオカプシドN IgG(抗体応答)、並びに/又
は重度のコロナウイルス症状の1つ若しくは複数に対する防
御をもたらす、請求項1~
5のいずれか一項に記載
の免疫原性組成物。
【請求項16】
前記使用が、欧州(B.1)、アルファ-UK(B.1.1.7)、ベータ南アフリカ(B.1.351)、ガンマブラジル(P.1)、デルタインド(B.1.617.2)、オミクロン、SARS-Cov1、及びMERS-CoVからなる群から選択される、コロナウイルス感染症に対する交差反応性免疫応答をもたらす、請求項1~5のいずれか一項に記載
の免疫原性組成物。
【請求項17】
欧州(B.1)、デルタ、オミクロン、及び/又はベータ株からなる群から選択されるSARS-Cov2感染に起因するコロナウイルス疾患に対する交差防御をもたらす、請求項1~5のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項18】
タンパク質スパイク又はその抗原性断片を含む第2のコロナウイルスワクチ
ンと組み合わされて、同時に又は逐次に投与
するためのものである、請求項1~
5のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項19】
前記第2のコロナウイルスワクチンが、SARS-Cov2タンパク質スパイク又はその抗原性断片をコードするmRNAを含む、mRNAワクチンである、請求項18に記載の免疫原性組成物。
【請求項20】
配列番号6の融合タンパク質を含む、ワクチン組成物。
【国際調査報告】