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特表2024-545465２－［（４Ｓ）－８－フルオロ－２－［４－（３－メトキシフェニル）ピペラジン－１－イル］－３－［２－メトキシ－５－（トリフルオロメチル）フェニル］－４Ｈ－キナゾリン－４－イル］アセテート及びカリウムイオンを含む医薬組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】２－［（４Ｓ）－８－フルオロ－２－［４－（３－メトキシフェニル）ピペラジン－１－イル］－３－［２－メトキシ－５－（トリフルオロメチル）フェニル］－４Ｈ－キナゾリン－４－イル］アセテート及びカリウムイオンを含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/517 20060101AFI20241129BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20241129BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241129BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20241129BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241129BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20241129BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241129BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20241129BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20241129BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20241129BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20241129BHJP
【ＦＩ】
A61K31/517
A61K47/02
A61K47/26
A61K47/18
A61K47/10
A61K47/32
A61K9/08
A61K9/19
A61P31/12
A61P31/22
A61P31/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537867
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-08-21
(86)【国際出願番号】 EP2022087245
(87)【国際公開番号】W WO2023118300
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】21216336.4
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522337554
【氏名又は名称】アーイーツェー２４６ アクチェンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート ブッシュマン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ゴルトナー
(72)【発明者】
【氏名】ホルディ カルレス セロン ベルトラン
【テーマコード（参考）】
4C076
4C086
【Ｆターム（参考）】
4C076AA12
4C076AA29
4C076BB11
4C076CC35
4C076DD30Z
4C076DD38
4C076DD50
4C076DD51
4C076EE16
4C076EE23
4C076FF15
4C076FF36
4C076GG06
4C076GG45
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC46
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA44
4C086MA66
4C086NA02
4C086NA03
4C086ZB33
(57)【要約】
本発明は、PEG、シクロデキストリン、リジン、アルギニン、特にHPBCDなどの錯化可溶化剤を本質的に含まない、2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸及びカリウムイオンを含有する新規な安定した医薬組成物に関する。本発明はさらに、前記医薬組成物の調製の方法に関する。本発明はさらに、病気の治療の方法における及び/又は予防剤としての前記医薬組成物の使用、特に抗ウイルス剤としての、好ましくはサイトメガロウイルスに対するその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のレテルモビル、及びカリウムイオンを含む医薬組成物であって、【化1】
・前記医薬組成物をレテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、シクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない、
医薬組成物。
【請求項2】
前記カリウムイオンが、水酸化カリウム(KOH)の溶液、好ましくはKOHの水溶液、の形態で含有される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
特にスクロース及びマンニトールから選択される炭水化物、アミノ酸、特にフェニルアラニン、ポリアルコキシ化合物、特にポロキサマー、より詳細にはポロキサマー188、並びにポリビニルピロリドン(PVP)、特にPVP PF12から成る群から選択される少なくとも1つの賦形剤をさらに含む、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記医薬組成物は、錯化可溶化剤を本質的に含まない、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記医薬組成物は、ポリアルコキシ化合物、特にポロキサマー、より詳細にはポロキサマー188を含み、他の錯化可溶化剤を本質的に含まない、請求項1～3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記賦形剤が、マンニトール若しくはスクロース又はそれらの組み合わせである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項7】
バッファー、好ましくはトリスヒドロキシアミノメタン(Tris)をさらに含む、請求項1～6に記載のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
請求項1～7のいずれか一項に記載の医薬組成物を製造する方法であって、以下のステップ：i) レテルモビルに対するカリウムイオンのモル比が、0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00の範囲にあるレテルモビル及びカリウムイオンの溶液、並びに任意選択で、炭水化物、特にスクロース又はマンニトール、アミノ酸、特にフェニルアラニン、ポリアルコキシ化合物、特にポロキサマー、より詳細にはポロキサマー188、及びポリビニルピロリドン(PVP)、特にPVP PF12から成る群から選択される少なくとも1つの賦形剤を用意すること；
ii) 必要があれば、ステップi)で得られた前記溶液のpHを、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲に、好ましくはHClで調整すること；
iii) 任意選択で、前記溶液を濾過すること、
を含む、方法。
【請求項9】
前記カリウムイオンを、ステップiにおいて、KOH溶液、好ましくはKOH水溶液、の形態で用意する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記得られた溶液を凍結乾燥して凍結乾燥物を得る後続の追加ステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記凍結乾燥物を、第1の非経口的に許容される希釈剤に再構成して、レテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲の再構成溶液を得て、続いて任意選択で、前記再構成溶液を、第2の非経口的に許容される希釈剤で、注射又は注入に許容される最終濃度まで希釈する後続の追加ステップをさらに含み、ここで、前記第1及び前記第2の非経口的に許容される希釈剤が同一であっても、又は異なっていてもよい、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
疾患、特にウイルス感染症、好ましくはヒトサイトメガロウイルス(HCMV)感染症又はヘルペスウイルス科グループの別のメンバーによる感染症の治療及び/又は予防の方法に使用するための、請求項1～7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
疾患、特にウイルス感染症、好ましくはヒトサイトメガロウイルス(HCMV)感染症又はヘルペスウイルス科グループの別のメンバーによる感染症の治療及び/又は予防のための医薬品の調製のための、請求項1～7のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項14】
感染症の治療及び/又は予防の方法を必要とする対象におけるウイルス感染症、好ましくはヒトサイトメガロウイルス(HCMV)感染症又はヘルペスウイルス科グループの別のメンバーによる感染症の治療及び/又は予防の方法であって、請求項1～7のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レテルモビルとしても知られ、経口及び静脈内投与並びに注射に適した2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸及びカリウムイオンを含有する新規な安定した医薬組成物に関する。前記医薬組成物は、PEG、シクロデキストリン、リジン、アルギニン、特にHPBCDなど、特定の錯化可溶化剤(complexing solubilizing agents)を本質的に含まない。前記製剤は、ウイルス疾患、特にヒトサイトメガロウイルス(以下、HCMV)感染症を治療する方法における使用に適する。本発明はまた、前記医薬組成物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サイトメガロウイルス(CMV)は、固形臓器移植及び同種造血幹細胞移植の後に重大な病的状態と予防可能な死亡を引き起こす、よく見られる日和見感染症である。
【0003】
HCMVは、ヘルペスウイルス科又はヘルペスウイルスとして知られるウイルス科に属するウイルスの一種である。典型的にはHCMVと略され、代替としてヒトヘルペスウイルス5(HHV-5)として知られる。ヘルペスウイルス科内では、HCMVはベータヘルペスウイルス亜科に属し、他の哺乳類由来のサイトメガロウイルスも含まれる。
【0004】
レテルモビルは、HCMV感染症に対処するための高度に活性な薬剤として知られており、Lischka et al., In Vitro and In Vivo Activities of the Novel Anticytomegalovirus Compound Letermovir. Antimicrob. Agents Chemother. 2010, 54: p.1290-1297、及びKaul et al., First report of successful treatment of multidrug-resistant cytomegalovirus disease with the novel anti-CMV compound Letermovir. Am. J. Transplant. 2011, 11:1079-1084; 並びにMarschall et al., In Vitro Evaluation of the Activities of the Novel Anticytomegalovirus Compound Letermovir against Herpesviruses and Other Human Pathogenic Viruses. Antimicrob. Agents Chemother. 2012, 56:1135-1137に詳しく記載されている。
【0005】
レテルモビルの正確な化学名は、2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸であり、レテルモビルの化学構造は以下のように示される：
【化1】
【0006】
レテルモビルは、抗ウイルス剤として、特にヒトサイトメガロウイルス(HCMV)によって引き起こされる感染症の治療、予防(prevention又はprophylaxis)のために開発され、国際公開第2004/096778号に開示されている。さらに、国際公開第2013/127971号に記載のように、2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸の塩も調製された。
【0007】
非晶質レテルモビルを含む液体医薬製剤が国際公開第2013/127970号に記載され、その製剤は、特に静脈内投与に使用でき、レテルモビルを含有し、長期安定性を有し、保存可能で、さらに実質的に生理学的pHを有する医薬組成物に関する。さらに、例えば、水を加えることによって、注射用に簡単な方法で再溶解できる安定した固体医薬組成物を得るために、そのような組成物を凍結乾燥でき、その結果、例えば、静脈内投与用の安定な医薬組成物を得ることができることが発見された。
【0008】
しかし、固形臓器移植及び同種造血幹細胞移植を必要とする全ての年齢の対象における使用に適した、実質的に生理学的なpHで長期安定性を有するレテルモビルを含む医薬組成物に対する必要性が依然として存在する。そのうえ、レテルモビルと、PEG、リジン、アルギニン、シクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)などの錯化可溶化剤とを含む医薬組成物は、水などの非経口的に許容される希釈剤に溶解したとき、粒子に関する問題を引き起こす傾向があり、したがって、意図される使用の前に追加のワークアップ、例えば、投与前の医薬組成物の濾過が必要とされる。したがって、即使用可能な、粒子を含まない、レテルモビルを含む非経口溶液に対する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0009】
第1の態様において、本発明は、式(I)のレテルモビル及びカリウムイオンを含む医薬組成物であって、
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、水に、レテルモビルに関して1～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、シクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない、
医薬組成物に関する。
【化2】
・前記医薬組成物が、水に、レテルモビルに関して1～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、シクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない、
医薬組成物に関する。
【0010】
レテルモビルに対するカリウムイオンのモル比が、0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00であると、レテルモビルは、改善された溶解性を示し、さらなる可溶化剤、特にシクロデキストリンなどの錯化可溶化剤を使用する必要なく、所望の治療効果を達成するために十分な濃度で存在する。また、前記比率でカリウムイオンを含む医薬組成物は、実質的に生理的なpHを有し、長期安定性を示す。
【0011】
さらに、前記医薬組成物は、水、グルコース水溶液又は乳酸リンゲル液などの非経口的に許容される希釈剤に完全に再溶解できる凍結乾燥物の形態で得ることができることが発見された。再溶解されたとき、前記凍結乾燥物は、レテルモビルが、前記再溶解溶液中に1～100mg/mL、好ましくは20～100mg/mLの濃度範囲で存在する場合、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを示す。前記再溶解溶液のpHは、カリウムイオンとレテルモビルのモル比が、0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00の範囲で安定であり、7～8、好ましくは7.4～7.8の生理的範囲にあり、所定の範囲におけるカリウムイオンの驚くべき自己緩衝作用の明確な証拠である。得られる再溶解溶液は、長期安定性を示す。
【0012】
別の態様において、本発明は、以下のステップ：
i) レテルモビルに対するカリウムイオンのモル比が、0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00の範囲にあるレテルモビル及びカリウムイオンの溶液；並びに任意選択で、スクロース又はマンニトールなどの炭水化物、フェニルアラニンなどのアミノ酸、ポロキサマー、特にポロキサマー188などのポリアルコキシ化合物、及びPVP PF12などのポリビニルピロリドン(PVP)から成る群から選択される少なくとも1つの賦形剤を用意すること；
ii) 必要があれば、ステップi)で得られた溶液のpHを、好ましくはHClを用いて、7～8の範囲に調整すること；
iii) 任意選択で、前記溶液を濾過すること、
を含む、前記医薬組成物を製造する方法に関する。
i) レテルモビルに対するカリウムイオンのモル比が、0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00の範囲にあるレテルモビル及びカリウムイオンの溶液；並びに任意選択で、スクロース又はマンニトールなどの炭水化物、フェニルアラニンなどのアミノ酸、ポロキサマー、特にポロキサマー188などのポリアルコキシ化合物、及びPVP PF12などのポリビニルピロリドン(PVP)から成る群から選択される少なくとも1つの賦形剤を用意すること；
ii) 必要があれば、ステップi)で得られた溶液のpHを、好ましくはHClを用いて、7～8の範囲に調整すること；
iii) 任意選択で、前記溶液を濾過すること、
を含む、前記医薬組成物を製造する方法に関する。
【0013】
特に、本発明による方法は、上記ステップiiiで得られた溶液を凍結乾燥して、凍結乾燥物を得て、任意選択で凍結乾燥物を第1の非経口的に許容される希釈剤に再溶解して、レテルモビルに関して1～100mg/mL、好ましくは20～100mg/mLの濃度範囲の再溶解溶液を得て、任意選択で前記再溶解溶液を、第2の非経口的に許容される希釈剤で、注射又は注入に許容される最終濃度にさらに希釈する、後続のステップをさらに含むことができ、前記第1及び前記第2の非経口的に許容される希釈剤が同じでも、異なってもよい。
【0014】
本発明の別の態様は、疾患、特にウイルス感染症、好ましくはヒトサイトメガロウイルス(HCMV)感染症又はヘルペスウイルス科グループの別のメンバーによる感染症を治療及び/又は予防する薬剤の調製のための本明細書に記載の医薬組成物の使用に関する。
【0015】
本発明の別の態様は、前記医薬組成物を投与することによる、それを必要とする対象におけるウイルス感染症、好ましくはヒトサイトメガロウイルス(HCMV)感染症又はヘルペスウイルス科グループの別のメンバーによる感染症の治療及び/又は予防のための方法に関する。特に、本発明による医薬組成物は、新生児、特定の固形臓器移植を必要とする対象、例えば、腎臓の障害をもつ対象及び同種造血幹細胞移植を必要とする対象の治療に適している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
「含む」という用語は、「から成る」という意味も包含し、例えば、前記メンバーを含むメンバーの群は、これらのメンバーのみから成るメンバーの群も包含することが留意される。
【0017】
本明細書で使用される「室温」という用語は、「標準室温」という用語と同義であり、19℃～26℃の範囲の温度を指す。例えば、「室温で撹拌する」とは、「19℃～26℃の範囲の温度で撹拌する」という意味である。
【0018】
本発明の範囲内では、「安定性」という用語は、医薬組成物の成分、特に活性物質の化学的安定性だけでなく、組成物自体の物理化学的安定性も意味すると理解される。特に、本発明による組成物は、構成成分の沈殿に対して安定でなければならない。
【0019】
この文脈では、「安定性」という用語は、前記液体医薬組成物は本発明のHPLC法に従って測定されるときに、2℃～8℃、又は25℃、又は40℃において、少なくとも1か月、好ましくは少なくとも3か月、さらにより好ましくは少なくとも6か月、さらにより好ましくは12か月、さらにより好ましくは18か月、最も好ましくは少なくとも36か月の保存期間の間、本発明による医薬組成物が活性物質のうち最小限＞90％、好ましくは＞95％、より好ましくは＞98％の割合を含有することを意味する。
【0020】
本発明によるシクロデキストリンは、いずれの修飾又は非修飾シクロデキストリン、特にα-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン又はγ-シクロデキストリンから選択されるものを包含すると理解される。修飾されたβ-シクロデキストリンの例としては、特に、ヒドロキシアルキル-β-シクロデキストリン、例えば、ヒドロキシメチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン又はヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、アルキル-ヒドロキシアルキル-β-シクロデキストリン、例えば、メチル-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン又はエチル-ヒドロキシプロピル-シクロデキストリン又はスルホアルキル-シクロデキストリンが挙げられる。ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンは様々な置換度で利用でき、特に2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンは、Cavasol（登録商標）W7 HP、Cavitron（登録商標）W7 HP5及びCavitron（登録商標）W7 HP7として入手可能である。
【0021】
本明細書で使用される場合、「錯化可溶化剤」という用語は、特に水溶液中で、前記化合物と有効成分の分子との間に配位結合を形成することによって、すなわち、実際にかつ検出可能に本発明の医薬組成物の有効成分と錯体を形成することによって、本発明の医薬組成物の有効成分の溶解性を高める化合物を指す。錯化可溶化剤の非限定的な例としては、リジン又はアルギニンなどの非ポリマー可溶化剤、及びPEG又はシクロデキストリンなどのポリマー可溶化剤が挙げられる。
【0022】
本明細書で使用される場合、「非経口的に許容される希釈剤」、「非経口混合希釈剤」及び「市販の希釈剤」という用語は、局所又は経口以外の経路による対象への投与に適した、有効成分を希釈するために使用される液体材料を指す。非経口経路の例としては、筋肉内、血管内(動脈内又は静脈内を含む)、眼窩内、眼球後、鼻腔内、くも膜下腔、脳室内、脊髄内、腹腔内、肺内、大槽内、関節内、胸骨内、眼球周囲又は病巣内投与が挙げられる。非経口的に許容される希釈剤の例としては、水、グルコース水溶液又は乳酸リンゲル液が挙げられる。本出願内では、「市販の希釈剤」、「非経口混合物希釈剤」及び「非経口的に許容される希釈剤」という用語は、同じ意味を有し、交換可能に使用される。
【0023】
本明細書で使用される場合、「炭水化物」という用語は、ポリヒドロキシアルデヒド若しくはケトンである化合物、又は加水分解でそのような化合物を生じる物質を指す。炭水化物には、窒素、リン、又は硫黄をさらに含有し得るものもある。炭水化物の例としては、単糖、二糖、オリゴ糖、及び多糖、特にスクロース又はマンニトールが挙げられる。
【0024】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、20個の天然に存在するアミノ酸又は非天然の側鎖をもち、D及びL光学異性体の両方を含むそれらの合成類似体のいずれかを指す。アミノ酸の例としては、特にアラニン及びフェニルアラニンが挙げられる。
【0025】
本明細書で使用される場合、「ポリアルコキシ化合物」という用語は、反復単位が、酸素原子に連結された直鎖又は分枝鎖を有するアルキル基を表すポリマー化合物を指す。ポリアルコキシ化合物の例としては、ポロキサマー、特にポロキサマー188が挙げられる。
【0026】
本発明の範囲内で、「によって得られる」及び「によって得ることができる」という用語は、同じ意味を有し、交換可能に使用される。
【0027】
本発明の範囲内で、「当量」という用語は、「モル当量」を意味すると理解される。
【0028】
本明細書で使用される場合、「水溶液」という用語は、水を含む液体均質混合物を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「凍結乾燥(lyophilization及びfreeze-drying)」という用語は、交換可能に使用され、溶媒、特に水を含有する所望の生成物が、特に液体窒素又は冷却棚を使用することによって、十分な温度に冷却されるプロセスを意味し、このプロセスでは、溶媒の一部又は全部が凍結され、凍結された溶媒は、1つ又は複数の乾燥工程によって、特に昇華及び脱着による非結合溶媒の除去によって、さらに除去される。「凍結乾燥物」及び「凍結乾燥生成物」という用語は、凍結乾燥によって得られる生成物を指し、本明細書を通して交換可能に使用される。
【0030】
本明細書で使用される場合、「再溶解」又は「再溶解すること」という用語は、凍結乾燥物を、希釈剤、好ましくは非経口的に許容される希釈剤、特に水に溶解するプロセスを指す。「再溶解された溶液」は再溶解によって得られる生成物を指す。
【0031】
本明細書で使用される場合、「治療」又は「治療すること」という用語は、治療薬、すなわち、レテルモビル(単独若しくは別の薬剤との組み合わせ)の対象への適用若しくは投与、又はHCMV感染症、HCMV感染症の症状、若しくはHCMV感染症を発症する可能性を治癒、治癒、軽減、緩和、改変、治療、改善又は影響することを目的とする、HCMV感染症、HCMV感染症の症状、若しくはHCMV感染症を発症する可能性を有する対象に由来する単離組織若しくは細胞株への治療薬の適用若しくは投与として定義される。そのような治療は、ゲノム薬理学の分野から得られた知識に基づいて、特異的に調整又は改変することができる。
【0032】
本明細書で使用される場合、「予防する」、「予防すること」又は「予防」という用語は、障害若しくは疾患の発症がなかった場合には、障害若しくは疾患が発症しないこと、又は障害若しくは疾患の発症が既にあった場合には、さらなる障害若しくは疾患の進行がないことを意味する。また、疾患又は疾患に関連する症状の一部又は全部を予防する能力も考慮される。疾患の予防(Prevention)は、疾患の予防(prophylaxis)を包含する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒト又は非ヒト哺乳動物を指す。非ヒト哺乳動物としては、例えば、ヒツジや、ウシ、ブタ、ネコ、イヌ及びネズミ哺乳動物などの家畜及びペットが挙げられる。好ましくは、対象はヒトである。一実施形態において、対象はヒト乳児である。好ましい実施形態において、対象はヒト新生児である。別の好ましい実施形態において、対象は、特定の固形臓器移植を必要とする対象、例えば腎臓の障害をもつ対象及び同種造血幹細胞移植を必要とする対象である。
【0034】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、化合物の生物学的活性又は特性を損なわず、比較的非毒性である担体又は希釈剤などの材料を指す。すなわち、その材料は、望ましくない生物学的作用を引き起こすこともなく、それが含有される組成物のいずれの成分とも有害な方法で相互作用することもなく、対象に投与することができる。
【0035】
本明細書で使用される場合、「本質的に含まない」という用語は、5モル％未満の含有量を指す。
【0036】
本発明の主題は、式(I)のレテルモビル及びカリウムイオンを含む医薬組成物であって、
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、水に、レテルモビルに関して1～100mg/mL、好ましくは20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、シクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない、
医薬組成物に関する。
【化3】
・前記医薬組成物が、水に、レテルモビルに関して1～100mg/mL、好ましくは20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、シクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない、
医薬組成物に関する。
【0037】
本発明の主題は、さらに、式(I)のレテルモビル及びカリウムイオンを含む医薬組成物であって、
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.80～0.90:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、グルコース水溶液、好ましくは水中の5％(重量/体積)グルコース溶液に、レテルモビルに関して1～100mg/mL、好ましくは20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、シクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない、
医薬組成物に関する。
【化4】
・前記医薬組成物が、グルコース水溶液、好ましくは水中の5％(重量/体積)グルコース溶液に、レテルモビルに関して1～100mg/mL、好ましくは20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、シクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない、
医薬組成物に関する。
【0038】
本発明の主題は、さらに、式(I)のレテルモビル及びカリウムイオンを含む医薬組成物であって、
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、乳酸リンゲル液に、レテルモビルに関して1～100mg/mL、好ましくは20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、シクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない、
医薬組成物に関する。
【化5】
・前記医薬組成物が、乳酸リンゲル液に、レテルモビルに関して1～100mg/mL、好ましくは20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、シクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない、
医薬組成物に関する。
【0039】
一実施形態において、前記医薬組成物中のカリウムイオンは、水酸化カリウム(KOH)の溶液、好ましくはKOHの水溶液、の形態で含有される。
【0040】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリンから成る群から選択される化合物を本質的に含まない。一実施形態において、本発明による医薬組成物はリジンを本質的に含まない。別の実施形態において、本発明による医薬組成物はアルギニンを本質的に含まない。さらに別の実施形態において、本発明による医薬組成物はPEGを本質的に含まない。さらに別の実施形態において、本発明による医薬組成物はシクロデキストリンを本質的に含まない。好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物はヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを本質的に含まない。別の好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、PEG、リジン、アルギニン及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)を本質的に含まない。
【0041】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、錯化可溶化剤を本質的に含まない、特にPEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)を本質的に含まない。
【0042】
一実施形態において、本発明による医薬組成物の錯化可溶化剤の含有量は、5モル％未満である。好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物の錯化可溶化剤の含有量は、3モル％未満である。より好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物の錯化可溶化剤の含有量は、1モル％未満である。より好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物の錯化可溶化剤の含有量は0.5モル％未満である。最も好ましくは、本発明による医薬組成物の錯化可溶化剤の含有量は、0.3モル％未満である。
【0043】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、レテルモビル及びカリウムイオンを含み、ここで、前記医薬組成物は：
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.80～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、レテルモビルに関して1～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.80～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、レテルモビルに関して1～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
【0044】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、レテルモビル及びカリウムイオンを含み、ここで、前記医薬組成物は：
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.84～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、レテルモビルに関して1～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.84～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、レテルモビルに関して1～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
【0045】
好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、レテルモビル及びカリウムイオンを含み、ここで、前記医薬組成物は：
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.88～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、レテルモビルに関して1～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.88～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、レテルモビルに関して1～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
【0046】
より好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、レテルモビル及びカリウムイオンを含み、ここで、前記医薬組成物は：
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.90～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、レテルモビルに関して1～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.90～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、レテルモビルに関して1～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
【0047】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、レテルモビル及びカリウムイオンを含み、ここで、前記医薬組成物は：
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.80～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、レテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.80～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、レテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
【0048】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、レテルモビル及びカリウムイオンを含み、ここで、前記医薬組成物は：
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.84～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、レテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.84～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、レテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
【0049】
好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、レテルモビル及びカリウムイオンを含み、ここで、前記医薬組成物は：
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.88～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、レテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.88～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、レテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
【0050】
より好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、レテルモビル及びカリウムイオンを含み、ここで、前記医薬組成物は：
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.90～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、レテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.90～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、レテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
【0051】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、レテルモビル及びカリウムイオンを含み、ここで、前記医薬組成物は：
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.80～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、グルコース水溶液、好ましくは水中の5％(重量/体積)グルコース溶液に、レテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.80～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、グルコース水溶液、好ましくは水中の5％(重量/体積)グルコース溶液に、レテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
【0052】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、レテルモビル及びカリウムイオンを含み、ここで、前記医薬組成物は：
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.84～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、グルコース水溶液、好ましくは水中の5％(重量/体積)グルコース溶液に、レテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.84～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、グルコース水溶液、好ましくは水中の5％(重量/体積)グルコース溶液に、レテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
【0053】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、レテルモビル及びカリウムイオンを含み、ここで、前記医薬組成物は：
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.88～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、グルコース水溶液、好ましくは水中の5％(重量/体積)グルコース溶液に、レテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.88～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、グルコース水溶液、好ましくは水中の5％(重量/体積)グルコース溶液に、レテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
【0054】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、レテルモビル及びカリウムイオンを含み、ここで、ここで、前記医薬組成物は：
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.90～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、グルコース水溶液、好ましくは水中の5% w/vのグルコース溶液にレテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.90～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、グルコース水溶液、好ましくは水中の5% w/vのグルコース溶液にレテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
【0055】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、レテルモビル及びカリウムイオンを含み、ここで、前記医薬組成物は：
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.80～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、乳酸リンゲル液にレテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.80～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、乳酸リンゲル液にレテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
【0056】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、レテルモビル及びカリウムイオンを含み、ここで、前記医薬組成物は：
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.84～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、乳酸リンゲル液にレテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.84～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、乳酸リンゲル液にレテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
【0057】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、レテルモビル及びカリウムイオンを含み、ここで、前記医薬組成物は：
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.88～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、乳酸リンゲル液にレテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.88～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、乳酸リンゲル液にレテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
【0058】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、レテルモビル及びカリウムイオンを含み、ここで、前記医薬組成物は：
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.90～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、乳酸リンゲル液にレテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.90～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、乳酸リンゲル液にレテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、及びシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まない。
【0059】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.81～＜1.00:1.00、より好ましくは0.82～＜1.00:1.00、より好ましくは0.83～＜1.00:1.00、より好ましくは0.84～＜1.00:1.00、より好ましくは0.85～＜1.00:1.00、より好ましくは0.86～＜1.00:1.00、より好ましくは0.87～＜1.00:1.00、より好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.89～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含む。
【0060】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、カリウムイオンを、水酸化カリウム溶液(KOH)、好ましくはKOHの水溶液、の形態で、レテルモビルに対して0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.81～＜1.00:1.00、より好ましくは0.82～＜1.00:1.00、より好ましくは0.83～＜1.00:1.00、より好ましくは0.84～＜1.00:1.00、より好ましくは0.85～＜1.00:1.00、より好ましくは0.86～＜1.00:1.00、より好ましくは0.87～＜1.00:1.00、より好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.89～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含む。
【0061】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、前記医薬組成物がレテルモビルに関して1～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8の範囲のpHを呈することができる。好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、前記医薬組成物がレテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8の範囲のpHを呈することができる。
【0062】
好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、前記医薬組成物がレテルモビルに関して1～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7.4～7.8の範囲のpHを呈することができる。より好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、前記医薬組成物がレテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7.4～7.8の範囲のpHを呈することができる。
【0063】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、前記医薬組成物が、グルコース水溶液、好ましくは水中の5％(重量/体積)グルコース溶液に、レテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8の範囲のpHを呈することができる。好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、前記医薬組成物が、グルコース水溶液、好ましくは水中の5％(重量/体積)グルコース溶液に、レテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7.4～7.8の範囲のpHを呈することができる。
【0064】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、前記医薬組成物が乳酸リンゲル液にレテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8の範囲のpHを呈することができる。好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、前記医薬組成物が乳酸リンゲル液にレテルモビルに関して20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7.4～7.8の範囲のpHを呈することができる。
【0065】
一実施形態において、式(I)のレテルモビル及びカリウムイオンを含む医薬組成物であって、
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、レテルモビルに関して1～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、シクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まず、
さらに少なくとも1つの医薬担体又は賦形剤を含む、
医薬組成物。
【化6】
・前記医薬組成物が、レテルモビルに関して1～100mg/mLの濃度範囲で水に溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、シクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まず、
さらに少なくとも1つの医薬担体又は賦形剤を含む、
医薬組成物。
【0066】
一実施形態において、式(I)のレテルモビル及びカリウムイオンを含む医薬組成物であって、
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、グルコース水溶液、好ましくは水中の5％(重量/体積)グルコース溶液に、レテルモビルに関して1～100mg/mL、好ましくは20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、シクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まず、
さらに少なくとも1つの医薬担体又は賦形剤を含む、
医薬組成物。
【化7】
・前記医薬組成物が、グルコース水溶液、好ましくは水中の5％(重量/体積)グルコース溶液に、レテルモビルに関して1～100mg/mL、好ましくは20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、シクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まず、
さらに少なくとも1つの医薬担体又は賦形剤を含む、
医薬組成物。
【0067】
一実施形態において、医薬組成物は式(I)のレテルモビル及びカリウムイオンを含む医薬組成物であって、
・カリウムイオンを、レテルモビルに対して0.80～＜1.00:1.00、より好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00の範囲のモル比で含み；かつ
・前記医薬組成物が、乳酸リンゲル液に、レテルモビルに関して1～100mg/mL、好ましくは20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、シクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まず、
さらに少なくとも1つの医薬担体又は賦形剤を含む、
医薬組成物。
【化8】
・前記医薬組成物が、乳酸リンゲル液に、レテルモビルに関して1～100mg/mL、好ましくは20～100mg/mLの濃度範囲で溶解したとき、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈することができ；かつ
・PEG、リジン、アルギニン、シクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)から成る群から選択される錯化可溶化剤を本質的に含まず、
さらに少なくとも1つの医薬担体又は賦形剤を含む、
医薬組成物。
【0068】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、スクロース又はマンニトールなどの炭水化物、フェニルアラニンなどのアミノ酸、ポロキサマー、より詳細にはポロキサマー188などのポリアルコキシ化合物、及びPVP PF12などのポリビニルピロリドン(PVP)から成る群から選択される少なくとも1つの賦形剤を含む。好ましい実施形態において、前記賦形剤は、マンニトール又はスクロース又はそれらの組み合わせである。
【0069】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、錯化可溶化剤を本質的に含まない。
【0070】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、錯化可溶化特性を示す賦形剤を含有することができる。一実施形態において、そのような賦形剤は、ポロキサマーなどのポリアルコキシ化合物である。一実施形態において、ポロキサマーは、ポロキサマー188である。
【0071】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、ポロキサマー188などのポロキサマーなどのポリアルコキシ化合物を含み、他の錯化可溶化剤を本質的に含まない。
【0072】
一実施形態において、使用される賦形剤は、特定の固形臓器移植を必要とする対象、例えば、腎臓の障害をもつ対象及び同種造血幹細胞移植を必要とする対象への投与に適している。そのような賦形剤の非限定的な例としては、スクロース、マンニトール、フェニルアラニン、及びポロキサマー188などのポロキサマー、及びPVP PF12などのポリビニルピロリドン(PVP)が挙げられる。
【0073】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、バッファー、好ましくはトリスヒドロキシアミノメタン(Tris)をさらに含む。
【0074】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、HClをさらに含む。
【0075】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、気候帯I～IVをカバーするICH Q1A(R2)(新規原薬及び製剤の安定性試験)に従って、安定性を示す。好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、少なくとも1か月間安定である。より好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、少なくとも3か月間安定である。より好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、少なくとも6か月間安定である。より好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、少なくとも12か月間安定である。より好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、少なくとも18か月間安定である。より好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、少なくとも36か月間安定である。
【0076】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、固体形態である。好ましい実施形態において、前記医薬組成物の前記固体形態は、凍結乾燥物である。
【0077】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、液体形態である。好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物の前記液体形態は、水溶液である。別の好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物の前記液体形態は、少なくとも1つの非経口的に許容される希釈剤中の溶液である。非経口的に許容される希釈剤の非限定的な例としては、水、グルコース水溶液及び乳酸リンゲル液が挙げられる。
【0078】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、静脈内(IV)投与又は注射に適している。
【0079】
本発明の主題は、さらに、以下のステップ：
i) レテルモビルに対するカリウムイオンのモル比が、0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.84～＜1.00:1.00、より好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00の範囲にあるレテルモビル及びカリウムイオンの溶液、並びに任意選択で、炭水化物、特にスクロース又はマンニトール、アミノ酸、特にフェニルアラニン、ポリアルコキシ化合物、特にポロキサマー、より詳細にはポロキサマー188、及びポリビニルピロリドン(PVP)、特にPVP PF12から成る群から選択される少なくとも1つの賦形剤を用意すること、
を含む、本発明による医薬組成物を製造する方法に関する。
i) レテルモビルに対するカリウムイオンのモル比が、0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.84～＜1.00:1.00、より好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00の範囲にあるレテルモビル及びカリウムイオンの溶液、並びに任意選択で、炭水化物、特にスクロース又はマンニトール、アミノ酸、特にフェニルアラニン、ポリアルコキシ化合物、特にポロキサマー、より詳細にはポロキサマー188、及びポリビニルピロリドン(PVP)、特にPVP PF12から成る群から選択される少なくとも1つの賦形剤を用意すること、
を含む、本発明による医薬組成物を製造する方法に関する。
【0080】
一実施形態において、上記ステップiで得られた溶液は、水などの非経口的に許容される希釈剤中の溶液である。
【0081】
一実施形態において、カリウムイオンは、KOH溶液、好ましくは水性KOH溶液、の形態でステップiで提供される。
【0082】
一実施形態において、上記ステップiによる溶液を用意することは、以下のステップ：
a-1) 非経口的に許容される希釈剤、特に水にレテルモビルの懸濁液を用意すること；
b-1) KOHをステップa-1で得られた懸濁液に加えて混合物を得ること；
c-1) 任意選択で、ステップb-1で得られた混合物を少なくとも30分間撹拌すること；
d-1) 任意選択で、炭水化物、特にスクロース及びマンニトール、アミノ酸、特にフェニルアラニン、ポリアルコキシ化合物、特にポロキサマー、より詳細にはポロキサマー188、及びポリビニルピロリドン(PVP)、特にPVP PF12から成る群から選択される少なくとも1つの賦形剤を前記混合物に加えること；
e-1) 任意選択で、前記混合物を少なくとも30分間撹拌すること、
を含む。
a-1) 非経口的に許容される希釈剤、特に水にレテルモビルの懸濁液を用意すること；
b-1) KOHをステップa-1で得られた懸濁液に加えて混合物を得ること；
c-1) 任意選択で、ステップb-1で得られた混合物を少なくとも30分間撹拌すること；
d-1) 任意選択で、炭水化物、特にスクロース及びマンニトール、アミノ酸、特にフェニルアラニン、ポリアルコキシ化合物、特にポロキサマー、より詳細にはポロキサマー188、及びポリビニルピロリドン(PVP)、特にPVP PF12から成る群から選択される少なくとも1つの賦形剤を前記混合物に加えること；
e-1) 任意選択で、前記混合物を少なくとも30分間撹拌すること、
を含む。
【0083】
好ましい実施形態において、ステップb-1においてKOHの水溶液が加えられる。
【0084】
好ましい実施形態において、ステップc-1における溶液は、少なくとも2時間撹拌される。
【0085】
好ましい実施形態において、ステップe-1における溶液は、少なくとも2時間撹拌される。
【0086】
好ましい実施形態において、レテルモビルに対して0.80～＜1.00当量のKOHが、ステップb-1において加えられる。より好ましい実施形態において、レテルモビルに対して0.84～＜1.00当量のKOHが、ステップb-1において加えられる。より好ましい実施形態において、レテルモビルに対して0.88～＜1.00当量のKOHが、ステップb-1において加えられる。より好ましい実施形態において、レテルモビルに対して0.90～＜1.00当量のKOHが、ステップb-1において加えられる。
【0087】
一実施形態において、レテルモビルに対して0.80当量のKOHが、ステップb-1において加えられる。一実施形態において、レテルモビルに対して0.82当量のKOHが、ステップb-1において加えられる。一実施形態において、レテルモビルに対して0.84当量のKOHが、ステップb-1において加えられる。一実施形態において、レテルモビルに対して0.86当量のKOHが、ステップb-1において加えられる。一実施形態において、レテルモビルに対して0.88当量のKOHが、ステップb-1において加えられる。一実施形態において、レテルモビルに対して0.90当量のKOHが、ステップb-1において加えられる。
【0088】
別の実施形態において、ステップiによる溶液を用意する方法は、ステップa-1～e-1の代わりに、以下のステップa-2～e-2：
a-2) 非経口的に許容される希釈剤、特に水にKOHの溶液を用意すること；
b-2) レテルモビルをステップa-2で得られた溶液に加えて混合物を得ること；
c-2) 任意選択で、ステップb-2で得られた混合物を少なくとも30分間撹拌すること；
d-2) 任意選択で、炭水化物、特にスクロース及びマンニトール、アミノ酸、特にフェニルアラニン、ポリアルコキシ化合物、特にポロキサマー、より詳細にはポロキサマー188、及びポリビニルピロリドン(PVP)、特にPVP PF12から成る群から選択される少なくとも1つの賦形剤を前記混合物に加えること；
e-2) 任意選択で、前記混合物を少なくとも30分間撹拌すること、
を利用することを含む。
a-2) 非経口的に許容される希釈剤、特に水にKOHの溶液を用意すること；
b-2) レテルモビルをステップa-2で得られた溶液に加えて混合物を得ること；
c-2) 任意選択で、ステップb-2で得られた混合物を少なくとも30分間撹拌すること；
d-2) 任意選択で、炭水化物、特にスクロース及びマンニトール、アミノ酸、特にフェニルアラニン、ポリアルコキシ化合物、特にポロキサマー、より詳細にはポロキサマー188、及びポリビニルピロリドン(PVP)、特にPVP PF12から成る群から選択される少なくとも1つの賦形剤を前記混合物に加えること；
e-2) 任意選択で、前記混合物を少なくとも30分間撹拌すること、
を利用することを含む。
【0089】
好ましい実施形態において、ステップc-2における溶液は、少なくとも2時間撹拌される。
【0090】
好ましい実施形態において、ステップe-2における溶液は、少なくとも2時間撹拌される。
【0091】
好ましい実施形態において、KOHに対して1.25～＞1.00当量のレテルモビルが、ステップb-2において加えられる。より好ましい実施形態において、KOHに対して1.19～＞1.00当量のレテルモビルが、ステップb-2において加えられる。より好ましい実施形態において、KOHに対して1.14～＞1.00当量のレテルモビルが、ステップb-2において加えられる。より好ましい実施形態において、KOHに対して1.11～＞1.00当量のレテルモビルが、ステップb-2において加えられる。
【0092】
一実施形態において、KOHに対して1.25当量のレテルモビルが、ステップb-2において加えられる。一実施形態において、KOHに対して1.22当量のレテルモビルが、ステップb-2において加えられる。一実施形態において、KOHに対して1.19当量のレテルモビルが、ステップb-2において加えられる。一実施形態において、KOHに対して1.16当量のレテルモビルが、ステップb-2において加えられる。一実施形態において、KOHに対して1.14当量のレテルモビルが、ステップb-2において加えられる。一実施形態において、KOHに対して1.11当量のレテルモビルが、ステップb-2において加えられる。
【0093】
一実施形態において、本発明による医薬組成物を製造する方法はさらに、ステップiで得られた溶液のpHを、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲に調整することを含む。1つの好ましい実施形態において、前記調整はHClを加えることによって行われる。より好ましい実施形態において、ステップiで得られた溶液のpHは、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲であり、pH調整は必要でない。
【0094】
一実施形態において、pH調整後に得られた溶液は、任意選択で、少なくとも10分間、好ましくは少なくとも30分間撹拌する。
【0095】
一実施形態において、本発明による医薬組成物を製造する方法は、任意選択で、ステップiで得られた溶液を濾過することを含む。一実施形態において、本発明による医薬組成物を製造する方法は、任意選択で、上記ステップiで得られた溶液のpHを調整した後に得られた溶液を濾過することを含む。
【0096】
一実施形態において、本発明による医薬組成物を製造する方法は、さらに、得られた溶液を凍結乾燥して凍結乾燥物を得ることを含む。
【0097】
一実施形態において、本発明による医薬組成物を製造する方法は、さらに、凍結乾燥物を第1の非経口的に許容される希釈剤に再溶解して、レテルモビルに関して0.1～100mg/mLの濃度範囲の再溶解溶液を得ること、及び任意選択で、さらに前記再溶解溶液を第2の非経口的に許容される希釈剤で、注射又は注入に許容される最終濃度に希釈することを含む。前記第1及び前記第2の非経口的に許容される希釈剤は、同一であっても、又は異なっていてもよい。一実施形態において、レテルモビルが、前記再溶解溶液中に0.1～100mg/mLの濃度範囲で存在するとき、前記再溶解溶液は、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈する。好ましい実施形態において、レテルモビルが、前記再溶解溶液中に20～100mg/mLの濃度範囲で存在するとき、前記再溶解溶液は、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲のpHを呈する。
【0098】
一実施形態において、注射又は注入に許容される最終濃度は、0.1～100mg/mLの範囲である。別の実施形態において、注射又は注入に許容される最終濃度は、0.8～100mg/mLの範囲である。別の実施形態において、注射又は注入に許容される最終濃度は、20～100mg/mLの範囲である。別の実施形態において、注射又は注入に許容される最終濃度は、50～100mg/mLの範囲である。別の実施形態において、注射又は注入に許容される最終濃度は、20～50mg/mLの範囲である。好ましい実施形態において、注射又は注入に許容される最終濃度は、0.8mg/mLである。
【0099】
好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物を製造する方法は、以下のステップ：
i) レテルモビルに対するカリウムイオンのモル比が、0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.84～＜1.00:1.00、より好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00の範囲にあるレテルモビル及びカリウムイオンの溶液；並びに任意選択で、スクロース又はマンニトールなどの炭水化物；フェニルアラニンなどのアミノ酸；ポロキサマー、特にポロキサマー188などのポリアルコキシ化合物；及びPVP PF12などのポリビニルピロリドン(PVP)から成る群から選択される少なくとも1つの賦形剤を用意すること；
ii) 必要があれば、ステップiで得られた溶液のpHを、好適な有機酸及び無機酸を用いて、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲に調整すること；
iii) 任意選択で、得られた溶液を濾過すること、
を含む。
i) レテルモビルに対するカリウムイオンのモル比が、0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.84～＜1.00:1.00、より好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00の範囲にあるレテルモビル及びカリウムイオンの溶液；並びに任意選択で、スクロース又はマンニトールなどの炭水化物；フェニルアラニンなどのアミノ酸；ポロキサマー、特にポロキサマー188などのポリアルコキシ化合物；及びPVP PF12などのポリビニルピロリドン(PVP)から成る群から選択される少なくとも1つの賦形剤を用意すること；
ii) 必要があれば、ステップiで得られた溶液のpHを、好適な有機酸及び無機酸を用いて、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲に調整すること；
iii) 任意選択で、得られた溶液を濾過すること、
を含む。
【0100】
ステップiiの一実施形態において、有機酸又は無機酸は、HClである。
【0101】
別の好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物を製造する方法は、以下のステップ：
i) レテルモビルに対するカリウムイオンのモル比が、0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.84～＜1.00:1.00、より好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00の範囲にあるレテルモビル及びカリウムイオンの溶液；並びに任意選択で、スクロース又はマンニトールなどの炭水化物；フェニルアラニンなどのアミノ酸；ポロキサマー、特にポロキサマー188などのポリアルコキシ化合物；及びPVP PF12などのポリビニルピロリドン(PVP)から成る群から選択される少なくとも1つの賦形剤を用意すること；
ii) 必要があれば、ステップiで得られた溶液のpHを、好適な有機酸及び無機酸を用いて、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲に調整すること；
iii) 任意選択で、得られた溶液を濾過すること；
iv) 得られた溶液を凍結乾燥して凍結乾燥物を得ること、
を含む。
i) レテルモビルに対するカリウムイオンのモル比が、0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.84～＜1.00:1.00、より好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00の範囲にあるレテルモビル及びカリウムイオンの溶液；並びに任意選択で、スクロース又はマンニトールなどの炭水化物；フェニルアラニンなどのアミノ酸；ポロキサマー、特にポロキサマー188などのポリアルコキシ化合物；及びPVP PF12などのポリビニルピロリドン(PVP)から成る群から選択される少なくとも1つの賦形剤を用意すること；
ii) 必要があれば、ステップiで得られた溶液のpHを、好適な有機酸及び無機酸を用いて、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲に調整すること；
iii) 任意選択で、得られた溶液を濾過すること；
iv) 得られた溶液を凍結乾燥して凍結乾燥物を得ること、
を含む。
【0102】
ステップiiの一実施形態において、有機酸又は無機酸は、HClである。
【0103】
別の好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物を製造する方法は、以下のステップ：
i) レテルモビルに対するカリウムイオンのモル比が、0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.84～＜1.00:1.00、より好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00の範囲にあるレテルモビル及びカリウムイオンの溶液；並びに任意選択で、スクロース又はマンニトールなどの炭水化物；フェニルアラニンなどのアミノ酸；ポロキサマー、特にポロキサマー188などのポリアルコキシ化合物；及びPVP PF12などのポリビニルピロリドン(PVP)から成る群から選択される少なくとも1つの賦形剤を用意すること；
ii) 必要があれば、ステップiで得られた溶液のpHを、好適な有機酸及び無機酸を用いて、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲に調整すること；
iii) 任意選択で、得られた溶液を濾過すること；
iv) 得られた溶液を凍結乾燥して凍結乾燥物を得ること；
v) 凍結乾燥物を、第1の非経口的に許容される希釈剤に再溶解して、レテルモビルに関して1～100mg/mL、好ましくは20～100mg/mLの濃度範囲の再溶解溶液を得て、任意選択で、さらに前記再溶解溶液を、第2の非経口的に許容される希釈剤で、注射又は注入に許容される最終濃度に希釈すること、ここで、前記第1及び前記第2の非経口的に許容される希釈剤は同一であっても、又は異なっていてもよい、
を含む。
i) レテルモビルに対するカリウムイオンのモル比が、0.80～＜1.00:1.00、好ましくは0.84～＜1.00:1.00、より好ましくは0.88～＜1.00:1.00、より好ましくは0.90～＜1.00:1.00の範囲にあるレテルモビル及びカリウムイオンの溶液；並びに任意選択で、スクロース又はマンニトールなどの炭水化物；フェニルアラニンなどのアミノ酸；ポロキサマー、特にポロキサマー188などのポリアルコキシ化合物；及びPVP PF12などのポリビニルピロリドン(PVP)から成る群から選択される少なくとも1つの賦形剤を用意すること；
ii) 必要があれば、ステップiで得られた溶液のpHを、好適な有機酸及び無機酸を用いて、7～8、好ましくは7.4～7.8の範囲に調整すること；
iii) 任意選択で、得られた溶液を濾過すること；
iv) 得られた溶液を凍結乾燥して凍結乾燥物を得ること；
v) 凍結乾燥物を、第1の非経口的に許容される希釈剤に再溶解して、レテルモビルに関して1～100mg/mL、好ましくは20～100mg/mLの濃度範囲の再溶解溶液を得て、任意選択で、さらに前記再溶解溶液を、第2の非経口的に許容される希釈剤で、注射又は注入に許容される最終濃度に希釈すること、ここで、前記第1及び前記第2の非経口的に許容される希釈剤は同一であっても、又は異なっていてもよい、
を含む。
【0104】
ステップiiの一実施形態において、有機酸又は無機酸は、HClである。
【0105】
上記のステップi～vは、必ずしもステップの特定の順序や数を意味しない。しかし、好ましくは、本発明の方法のステップは、上記の順序で実施される。前記ステップのいくつかは任意選択であってもよく、いくつかの実施形態において、任意選択のステップは実施されない。例えば、一実施形態において、ステップiiiを実施せずに、ステップiiの直後にステップivが続いてもよい。また、上記に示されたステップは、明示的に言及されていない追加ステップを除外しない。例えば、ステップi及び/又はiiで得られた溶液を任意選択で撹拌してもよい。
【0106】
本発明の主題は、さらに、本明細書に開示のいずれかの方法によって得ることができる医薬組成物に関する。
【0107】
本発明による医薬組成物は、ヘルペスウイルス科グループの代表的なもの、特にサイトメガロウイルス、特にヒトサイトメガロウイルスによる感染症を予防及び/又は治療する方法の使用に適した薬物を製造するために使用することができる。
【0108】
さらに、本発明の主題は、疾患、好ましくはウイルス感染症、特にヒトサイトメガロウイルス(HCMV)又はヘルペスウイルス科グループの他の代表的なものによる感染症を治療及び/又は予防する方法に使用するための本発明による医薬組成物に関する。
【0109】
本発明のさらなる態様は、疾患、好ましくはウイルス感染症、特にヒトサイトメガロウイルス(HCMV)又はヘルペスウイルス科グループの他の代表的なものによる感染症を治療及び/又は予防する方法における本発明による医薬組成物の使用に関する。
【0110】
本発明の別の態様は、疾患、特にウイルス感染症、好ましくはヒトサイトメガロウイルス(HCMV)感染症又はヘルペスウイルス科グループの別のメンバーによる感染症を治療及び/又は予防するための医薬品の調製のための本発明による医薬組成物の使用に関する。
【0111】
本発明のさらに別の態様は、本発明による医薬組成物を投与することによる、感染症を治療及び/又は予防する方法を必要とする対象におけるウイルス感染症、好ましくはヒトサイトメガロウイルス(HCMV)感染症又はヘルペスウイルス科グループの別のメンバーによる感染症を治療及び/又は予防する方法に関する。一実施形態において、前記対象は、新生児、特定の固形臓器移植を必要とする対象、例えば、腎臓の障害をもつ対象及び同種造血幹細胞移植を必要とする対象から成る群から選択される。
【0112】
一般に、体重1kg当たり約0.001～10mg、好ましくは同1kg当たり0.01～5mgの2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸(レテルモビル)が投与されるような方法で医薬組成物を投与することが有利であることが証明されている。
【0113】
それにもかかわらず、とりわけ、体重、活性物質に対する個々の反応、並びにそれが投与される時間及び間隔によって、レテルモビルの前述の量から逸脱する必要があり得る。例えば、ある特定の場合には、前述の最小量より少ない量のレテルモビルを投与するだけで充分であり得る一方で、他の場合には、記載の上限を超えることがある。大量に投与する場合は、それらを1日数回の個別投与に分けることが推奨され得る。
【0114】
以下、本発明を非限定的な例に基づいて詳細に説明する。
【0115】
別段の記述がない限り、以下の試験及び例に記載の百分率は重量百分率であり、部は重量割合であり、溶媒比、希釈比、及び液体溶液の濃度は、いずれの場合も体積に関する。
【0116】
略語
API 医薬品有効成分
h (単数若しくは複数の)時間
HCl 塩酸
HEPES (4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)
HPBCD ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
conc. 濃縮
min. 分
LAF 層流
PEG ポリエチレングリコール
PDE 一日曝露許容量
RT (HPLCにおける)保持時間
RP-HPLC 逆相高圧液体クロマトグラフィー
rpm 回転/分
rt 室温
API 医薬品有効成分
h (単数若しくは複数の)時間
HCl 塩酸
HEPES (4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)
HPBCD ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
conc. 濃縮
min. 分
LAF 層流
PEG ポリエチレングリコール
PDE 一日曝露許容量
RT (HPLCにおける)保持時間
RP-HPLC 逆相高圧液体クロマトグラフィー
rpm 回転/分
rt 室温
【0117】
分析方法
目視検査
サンプルを、白色の背景の前で、穏やかに手動で放射状に5秒間撹拌して、目に見える粒子の有無を検査した。
目視検査
サンプルを、白色の背景の前で、穏やかに手動で放射状に5秒間撹拌して、目に見える粒子の有無を検査した。
【0118】
pH
サンプルのpH値は、較正pH計EUTEGH CAKTON PH/Ion 510シリアル番号172361をPolilyte実験室電極(lab electrode)と共に用いて測定した。サンプルを撹拌し、電極を導入する。pH値が安定するまで測定を行う。測定と測定の間に、電極を水で充分にすすぐ。～1～2mLの分析量及び22℃±3℃の規定温度でpH測定を実施した。pH計の3点補正を、pH7.00、pH4.01及びpH10.01のバッファー(Hamilton Duracalバッファー)を用いて毎日行った。
サンプルのpH値は、較正pH計EUTEGH CAKTON PH/Ion 510シリアル番号172361をPolilyte実験室電極(lab electrode)と共に用いて測定した。サンプルを撹拌し、電極を導入する。pH値が安定するまで測定を行う。測定と測定の間に、電極を水で充分にすすぐ。～1～2mLの分析量及び22℃±3℃の規定温度でpH測定を実施した。pH計の3点補正を、pH7.00、pH4.01及びpH10.01のバッファー(Hamilton Duracalバッファー)を用いて毎日行った。
【0119】
逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)
RP-HPLCを使用して、レテルモビル遊離塩基及び可能性のある分解産物の濃度を測定した。
RP-HPLCを使用して、レテルモビル遊離塩基及び可能性のある分解産物の濃度を測定した。
【0120】
表1にRP-HPLC分析に使用した溶出液の概要を示す。
表1: RP-HPLC分析に使用される溶出液
表1: RP-HPLC分析に使用される溶出液
【表1】
【0121】
以下のパラメーターをRP-HPLC法に使用した。
計測器: Agilent Technologies 1200シリーズとVWD G131413検出器
カラム: Agilent Zorbax Eclipse XDB C-18、150×4.6mm、5μm
流量: 1.0ml/分
溶媒A: 水中の0.1％ギ酸
溶媒B: 100％メタノール中の0.1％ギ酸
終了時間: 26分
注入量: 10μl
カラム温度: 35℃
波長: 260nm
計測器: Agilent Technologies 1200シリーズとVWD G131413検出器
カラム: Agilent Zorbax Eclipse XDB C-18、150×4.6mm、5μm
流量: 1.0ml/分
溶媒A: 水中の0.1％ギ酸
溶媒B: 100％メタノール中の0.1％ギ酸
終了時間: 26分
注入量: 10μl
カラム温度: 35℃
波長: 260nm
【0122】
RP-HPLC法に使用した勾配を表2に示す。
表2: RP-HPLC分析中に適用した勾配
表2: RP-HPLC分析中に適用した勾配
【表2】
【0123】
参照標準物質の検量線を溶液中のレテルモビル遊離塩基の定量に使用した。
【0124】
サンプルを水中で約2mg/mLに希釈し(溶液中のレテルモビル遊離塩基について補正)、10μlの注入量で分析した。注入前に、希釈したサンプルを、シリンジフィルター(ナイロン、0.45μm)を通して濾過した。
【0125】
すべてのAPI関連ピークについて、ピーク積分を手動で行った。ブランク又は製剤緩衝剤の注入でも存在したピークは無視した。
【0126】
粉末X線回折(PXRD)
装置: Bruker D8 Advanceシリーズ2 Theta/Theta粉末回折システムでCuKα1線を使用し、透過ジオメトリで粉末回折パターンを取得した。そのシステムには、VÅNTEC-1単一光子計数PSD、ゲルマニウムモノクロメーター、固定発散スリット及びラジアルソーラーが備わっている。使用ソフトウェア: DIFFRACとXRD Commander V.2.5.1によるデータ収集及びEVA V.5.0.0.22(Bruker-AXS 2010-2018)による評価を行った。
装置: Bruker D8 Advanceシリーズ2 Theta/Theta粉末回折システムでCuKα1線を使用し、透過ジオメトリで粉末回折パターンを取得した。そのシステムには、VÅNTEC-1単一光子計数PSD、ゲルマニウムモノクロメーター、固定発散スリット及びラジアルソーラーが備わっている。使用ソフトウェア: DIFFRACとXRD Commander V.2.5.1によるデータ収集及びEVA V.5.0.0.22(Bruker-AXS 2010-2018)による評価を行った。
【0127】
サンプル調製: 約15mgの未処理サンプルをポリアセテートの2つの箔を使用して標準的なサンプルホルダー中で調製した。
【0128】
測定条件: 0.049°の角度ステップ及びステップあたりの2787秒の時間を用いる0.1時間測定において、室温にて4°～40°の2θの範囲でサンプルを測定した。
【実施例】
【0129】
実施例1. 異なる温度における異なる当量の水酸化カリウムを含むレテルモビル遊離塩基の溶液の観察
a) 初期乾燥
物質を秤量し、残留水を除去して秤量誤差を避けるために真空オーブン中で90℃(約5mbar)にて一晩乾燥させることによって、レテルモビル遊離塩基の26個のサンプルを調製して、KOHの当量を計算した(表3)。
約80mg及び300mgのサンプルを秤量し、それぞれ4mL及び3mLに溶かして、20mg/mL及び100mg/mL溶液を調製した。
a) 初期乾燥
物質を秤量し、残留水を除去して秤量誤差を避けるために真空オーブン中で90℃(約5mbar)にて一晩乾燥させることによって、レテルモビル遊離塩基の26個のサンプルを調製して、KOHの当量を計算した(表3)。
約80mg及び300mgのサンプルを秤量し、それぞれ4mL及び3mLに溶かして、20mg/mL及び100mg/mL溶液を調製した。
【0130】
表3. レテルモビル遊離塩基の26個のサンプルの初期乾燥プロセス
【表3】
【0131】
b) 懸濁液/溶液の調製、並びにpH及び溶解性の分析
手順: 対応する量の水及びそれぞれの当量の1M KOH水溶液を各サンプルに加えた。懸濁液をそれぞれ室温、40℃又は60℃で撹拌した。pH、溶解性及び沈殿を12時間後、24時間後、48時間後及び7日後に観察した(表4、表5、表6及び表7)。
手順: 対応する量の水及びそれぞれの当量の1M KOH水溶液を各サンプルに加えた。懸濁液をそれぞれ室温、40℃又は60℃で撹拌した。pH、溶解性及び沈殿を12時間後、24時間後、48時間後及び7日後に観察した(表4、表5、表6及び表7)。
【0132】
表4. 室温における異なる当量のKOHを含む水中20mg/mLのレテルモビル遊離塩基のサンプルの調製
【表4】
【0133】
表5. 室温における異なる当量のKOHを含む水中100mg/mLのレテルモビル遊離塩基のサンプルの調製
【表5】
【0134】
表6. 40℃及び60℃における異なる当量のKOHを含む水中20mg/mLのレテルモビル遊離塩基のサンプルの調製
【表6】
【0135】
表7. 40℃及び60℃における異なる当量のKOHを含む水中100mg/mLのレテルモビル遊離塩基のサンプルの調製
【表7】
【0136】
結果
20mg/mLのレテルモビル遊離塩基とKOHとのサンプルでは、1当量のKOHを伴ったサンプル(いくつかの粒子だけが溶液上、気-水相間に残る)以外では懸濁液中に常に粒子が存在する。
100mg/mLのレテルモビル遊離塩基とKOHのすべてのサンプルが、完全に溶解される(最初の2日間は、いくつかの粒子だけが溶液上、気-水相間に残る)。
温度を上げることによって、効果がわずかに異なる:
・40℃
－ 20mg/mLのレテルモビル遊離塩基と0.84、0.86及び0.88当量のKOHとのサンプルでは、懸濁液中に粒子が存在し、そして、外観が濁っている。
－ 100mg/mLのレテルモビル遊離塩基と0.84、0.86及び0.88当量のKOHとのサンプルでは、懸濁液中に粒子が存在する。
・60℃
－ 20mg/mLのレテルモビル遊離塩基と0.84当量のKOHとのサンプルでは、懸濁液中に粒子が存在する。
－ 20mg/mLのレテルモビル遊離塩基と0.86及び0.88当量のKOHとのサンプル、並びに100mg/mLのレテルモビル遊離塩基と0.84、0.86及び0.88当量のKOHとのサンプルでは、初日から1週間後も透明な溶液である。
20mg/mLのレテルモビル遊離塩基とKOHとのサンプルでは、1当量のKOHを伴ったサンプル(いくつかの粒子だけが溶液上、気-水相間に残る)以外では懸濁液中に常に粒子が存在する。
100mg/mLのレテルモビル遊離塩基とKOHのすべてのサンプルが、完全に溶解される(最初の2日間は、いくつかの粒子だけが溶液上、気-水相間に残る)。
温度を上げることによって、効果がわずかに異なる:
・40℃
－ 20mg/mLのレテルモビル遊離塩基と0.84、0.86及び0.88当量のKOHとのサンプルでは、懸濁液中に粒子が存在し、そして、外観が濁っている。
－ 100mg/mLのレテルモビル遊離塩基と0.84、0.86及び0.88当量のKOHとのサンプルでは、懸濁液中に粒子が存在する。
・60℃
－ 20mg/mLのレテルモビル遊離塩基と0.84当量のKOHとのサンプルでは、懸濁液中に粒子が存在する。
－ 20mg/mLのレテルモビル遊離塩基と0.86及び0.88当量のKOHとのサンプル、並びに100mg/mLのレテルモビル遊離塩基と0.84、0.86及び0.88当量のKOHとのサンプルでは、初日から1週間後も透明な溶液である。
【0137】
実施例2. 7日後の凍結乾燥及び水での再構成
a) 初期乾燥
物質を秤量し、残留水を除去して秤量誤差を避けるために真空オーブン中で90℃(約5mbar)にて一晩乾燥させることによってレテルモビル遊離塩基の14個のサンプルを調製し、KOHの当量を計算した(表15)。
約80mg及び300mgのサンプルを秤量してそれぞれ4mL及び3mLに溶かして、20mg/mL及び100mg/mLの溶液を調製した。
a) 初期乾燥
物質を秤量し、残留水を除去して秤量誤差を避けるために真空オーブン中で90℃(約5mbar)にて一晩乾燥させることによってレテルモビル遊離塩基の14個のサンプルを調製し、KOHの当量を計算した(表15)。
約80mg及び300mgのサンプルを秤量してそれぞれ4mL及び3mLに溶かして、20mg/mL及び100mg/mLの溶液を調製した。
【0138】
表8. レテルモビル遊離塩基の14個のサンプルの初期乾燥プロセス
【表8】
【0139】
b) 懸濁液/溶液の調製及び溶解性の分析
手順: 対応する量の水及びそれぞれの当量の1M KOH水溶液を各サンプルに加えた。懸濁液を室温で撹拌し、溶解性及び沈殿への影響を調べた(表9)。
手順: 対応する量の水及びそれぞれの当量の1M KOH水溶液を各サンプルに加えた。懸濁液を室温で撹拌し、溶解性及び沈殿への影響を調べた(表9)。
【0140】
表9. 水中での異なる当量のKOHを含むレテルモビル遊離塩基のサンプルの調製
【表9】
【0141】
7日間を通じての溶解性
1週間後、20mg/mLと0.8、0.82、0.84及び0.86当量のKOHとのサンプルにおいて、沈降物が残る。20mg/mLと0.88当量のKOHとのサンプルでは、少量の固形物が観察され、並びに20mg/mLと0.9及び1当量のKOHとのサンプルは、透明な溶液である。100mg/mLのサンプルはすべて、1週間後には透明な溶液である。
1週間後、20mg/mLと0.8、0.82、0.84及び0.86当量のKOHとのサンプルにおいて、沈降物が残る。20mg/mLと0.88当量のKOHとのサンプルでは、少量の固形物が観察され、並びに20mg/mLと0.9及び1当量のKOHとのサンプルは、透明な溶液である。100mg/mLのサンプルはすべて、1週間後には透明な溶液である。
【0142】
残りのサンプルは、1週間後に、目視検査で判定して透明な溶液であった。
【0143】
c) 凍結乾燥及び水での再構成
1週間後、サンプルを凍結乾燥した。
1週間後、サンプルを凍結乾燥した。
【0144】
手順:
20mg/mLのサンプル: 3mLのアリコートを冷凍庫に2時間入れた。液体窒素を使用してサンプルを凍結し、凍結乾燥プロセスを2日間にわたって行った(平均真空 約0.05mbar、温度 約－86℃)。白色の非晶質粉末が得られた。得られた固体をPXRDで分析し、凍結乾燥材料の非晶質性を確認した。20mg/mLの最終濃度を得るために、得られた固体を約3mLの水を用いて溶かし、沈殿及びpHを調べた(表8)。
20mg/mLのサンプル: 3mLのアリコートを冷凍庫に2時間入れた。液体窒素を使用してサンプルを凍結し、凍結乾燥プロセスを2日間にわたって行った(平均真空 約0.05mbar、温度 約－86℃)。白色の非晶質粉末が得られた。得られた固体をPXRDで分析し、凍結乾燥材料の非晶質性を確認した。20mg/mLの最終濃度を得るために、得られた固体を約3mLの水を用いて溶かし、沈殿及びpHを調べた(表8)。
【0145】
100mg/mLのサンプル: 2.6mLのアリコートを冷凍庫に2時間入れた。液体窒素を使用してサンプルを凍結し、凍結乾燥プロセスを2日間にわたって行った(平均真空 約0.05mbar、温度 約－86℃)。白色の非晶質粉末が得られた。得られた固体をPXRDで分析し、凍結乾燥材料の非晶質性を確認した。100mg/mLの最終濃度を得るために、得られた固体を約13mLの水を用いて溶かし、沈殿及びpHを調べた(表10)。
【0146】
表10. 凍結乾燥及び水での再構成
【表10】
【0147】
20mg/mLの初期及び最終濃度を有するサンプルの挙動は、凍結乾燥、そして水での再構成の前後で同じである。しかしながら、100mg/mLの初期濃度を有するサンプルの溶解性は、20mg/mLの濃度にて水で再構成したときには、低い。より大量のKOHを伴ったサンプルだけが完全に溶解する。
【0148】
実施例3. 7日後の凍結乾燥及び乳酸リンゲル液での再構成
a) 初期乾燥
物質を秤量し、残留水を除去し、秤量誤差を避けるために、真空オーブン中で90℃(約5mbar)にて一晩乾燥させることによって、レテルモビル遊離塩基の14個のサンプルを調製し、KOHの当量を計算した(表11)。
約80mg及び300mgのサンプルを秤量してそれぞれ4mL及び3mLに溶かして、20mg/mL及び100mg/mLの溶液を調製した。
a) 初期乾燥
物質を秤量し、残留水を除去し、秤量誤差を避けるために、真空オーブン中で90℃(約5mbar)にて一晩乾燥させることによって、レテルモビル遊離塩基の14個のサンプルを調製し、KOHの当量を計算した(表11)。
約80mg及び300mgのサンプルを秤量してそれぞれ4mL及び3mLに溶かして、20mg/mL及び100mg/mLの溶液を調製した。
【0149】
表11. レテルモビル遊離塩基の14個のサンプルの初期乾燥プロセス
【表11】
【0150】
b) 懸濁液/溶液の調製及び溶解性の分析
手順: 対応する量の水及びそれぞれの当量の1M KOH水溶液を各サンプルに加えた。懸濁液を室温で撹拌し、溶解性及び沈殿への影響を調べた(表19)。
手順: 対応する量の水及びそれぞれの当量の1M KOH水溶液を各サンプルに加えた。懸濁液を室温で撹拌し、溶解性及び沈殿への影響を調べた(表19)。
【0151】
表12. 水中での異なる当量のKOHを含むレテルモビル遊離塩基のサンプルの調製
【表12】
【0152】
7日間を通じての溶解性
1週間後、20mg/mLと0.8、0.82、0.84及び0.86当量のKOHとのサンプルにおいて、沈降物が残る。20mg/mLと0.88当量のKOHとのサンプルでは、少量の固形物が観察され、並びに20mg/mLと0.9及び1当量のKOHとのサンプルは、透明な溶液である。100mg/mLのサンプルはすべて、1週間後には透明な溶液である。
1週間後、20mg/mLと0.8、0.82、0.84及び0.86当量のKOHとのサンプルにおいて、沈降物が残る。20mg/mLと0.88当量のKOHとのサンプルでは、少量の固形物が観察され、並びに20mg/mLと0.9及び1当量のKOHとのサンプルは、透明な溶液である。100mg/mLのサンプルはすべて、1週間後には透明な溶液である。
【0153】
c) 凍結乾燥及び乳酸リンゲル液での再構成
1週間後、サンプルを凍結乾燥した。
1週間後、サンプルを凍結乾燥した。
【0154】
手順:
20mg/mLのサンプル: 3mLのアリコートを冷凍庫に2時間入れた。液体窒素を使用してサンプルを凍結し、凍結乾燥プロセスを2日間にわたって行った(平均真空 約0.05mbar、温度 約－86℃)。白色の非晶質粉末が得られた。得られた固体をPXRDで分析し、凍結乾燥材料の非晶質性を確認した。20mg/mLの最終濃度を得るために、得られた固体を約3mLの乳酸リンゲル液を用いて溶かし、沈殿及びpHを調べた(表13)。
20mg/mLのサンプル: 3mLのアリコートを冷凍庫に2時間入れた。液体窒素を使用してサンプルを凍結し、凍結乾燥プロセスを2日間にわたって行った(平均真空 約0.05mbar、温度 約－86℃)。白色の非晶質粉末が得られた。得られた固体をPXRDで分析し、凍結乾燥材料の非晶質性を確認した。20mg/mLの最終濃度を得るために、得られた固体を約3mLの乳酸リンゲル液を用いて溶かし、沈殿及びpHを調べた(表13)。
【0155】
100mg/mLのサンプル: 2.6mLのアリコートを冷凍庫に2時間入れた。液体窒素を使用してサンプルを凍結し、凍結乾燥プロセスを2日間にわたって行った(平均真空 約0.05mbar、温度 約－86℃)。白色の非晶質粉末が得られた。得られた固体をPXRDで分析し、凍結乾燥材料の非晶質性を確認した。100mg/mLの最終濃度を得るために、得られた固体を約13mLの乳酸リンゲル液を用いて溶かし、沈殿及びpHを調べた(表13)。
【0156】
表13. 凍結乾燥及び乳酸リンゲルでの再構成
【表13】
【0157】
20mg/mLの濃度を有するサンプルでは、凍結乾燥及び乳酸リンゲル液での再構成の前後の挙動は、わずかに異なる。低量のKOHを有するサンプルが凍結乾燥前に完全に溶解しなかった一方で、再構成によりすべてが溶解し、そして透明な溶液を得た。
【0158】
実施例4. 7日後の凍結乾燥及びグルコース5％水溶液での再構成
a) 初期乾燥
物質を秤量し、残留水を除去し、秤量誤差を避けるために、真空オーブン中で90℃(約5mbar)にて一晩乾燥させることによって、レテルモビル遊離塩基の14個のサンプルを調製し、KOHの当量を計算した(表14)。
約80mg及び300mgのサンプルを秤量してそれぞれ4mL及び3mLに溶かして、20mg/mL及び100mg/mLの溶液を調製した。
a) 初期乾燥
物質を秤量し、残留水を除去し、秤量誤差を避けるために、真空オーブン中で90℃(約5mbar)にて一晩乾燥させることによって、レテルモビル遊離塩基の14個のサンプルを調製し、KOHの当量を計算した(表14)。
約80mg及び300mgのサンプルを秤量してそれぞれ4mL及び3mLに溶かして、20mg/mL及び100mg/mLの溶液を調製した。
【0159】
表14. レテルモビル遊離塩基の14個のサンプルの初期乾燥プロセス
【表14】
【0160】
b) 懸濁液/溶液の調製及び溶解性の分析
手順: 対応する量の水及びそれぞれの当量の1M KOH水溶液を各サンプルに加えた。懸濁液を室温で撹拌し、溶解性及び沈殿への影響を調べた(表15)。
手順: 対応する量の水及びそれぞれの当量の1M KOH水溶液を各サンプルに加えた。懸濁液を室温で撹拌し、溶解性及び沈殿への影響を調べた(表15)。
【0161】
表15. 水中での異なる当量のKOHを含むレテルモビル遊離塩基のサンプルの調製
【表15】
【0162】
7日間を通じての溶解性
1週間後、20mg/mLと0.8、0.82、0.84及び0.86当量のKOHとのサンプルにおいて、沈降物が残る。20mg/mLと0.88当量のKOHとのサンプルでは、少量の固形物が観察され、並びに20mg/mLと0.9及び1当量のKOHとのサンプルは、透明な溶液である。100mg/mLのサンプルはすべて、1週間後には透明な溶液である。
1週間後、20mg/mLと0.8、0.82、0.84及び0.86当量のKOHとのサンプルにおいて、沈降物が残る。20mg/mLと0.88当量のKOHとのサンプルでは、少量の固形物が観察され、並びに20mg/mLと0.9及び1当量のKOHとのサンプルは、透明な溶液である。100mg/mLのサンプルはすべて、1週間後には透明な溶液である。
【0163】
c) 凍結乾燥及びグルコース5％水溶液での再構成
1週間後、サンプルを凍結乾燥した。
1週間後、サンプルを凍結乾燥した。
【0164】
手順:
20mg/mLのサンプル: 3mLのアリコートを冷凍庫に2時間入れた。液体窒素を使用してサンプルを凍結し、凍結乾燥プロセスを2日間にわたって行った(平均真空 約0.05mbar、温度 約－86℃)。白色の非晶質粉末が得られた。得られた固体をPXRDで分析し、凍結乾燥材料の非晶質性を確認した。20mg/mLの最終濃度を得るために、得られた固体を約3mLの5％グルコース溶液を用いて溶かし、沈殿及びpHを調べた(表16)。
20mg/mLのサンプル: 3mLのアリコートを冷凍庫に2時間入れた。液体窒素を使用してサンプルを凍結し、凍結乾燥プロセスを2日間にわたって行った(平均真空 約0.05mbar、温度 約－86℃)。白色の非晶質粉末が得られた。得られた固体をPXRDで分析し、凍結乾燥材料の非晶質性を確認した。20mg/mLの最終濃度を得るために、得られた固体を約3mLの5％グルコース溶液を用いて溶かし、沈殿及びpHを調べた(表16)。
【0165】
100mg/mLのサンプル: 2.6mLのアリコートを冷凍庫に2時間入れた。液体窒素を使用してサンプルを凍結し、凍結乾燥プロセスを2日間にわたって行った(平均真空 約0.05mbar、温度 約－86℃)。白色の非晶質粉末が得られた。得られた固体をPXRDで分析し、凍結乾燥材料の非晶質性を確認した。100mg/mLの最終濃度を得るために、得られた固体を約13mLの5％グルコース溶液を用いて溶かし、沈殿及びpHを調べた(表16)。
【0166】
表16. 凍結乾燥及びグルコース5%水溶液での再構成
【表16】
【0167】
5%グルコース溶液での再構成は、水での再構成と類似した結果を有する。より大量のKOHを含有するサンプルだけが、完全に溶解する。
【国際調査報告】