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特表2024-545468ビランテロールトリフェニル酢酸塩を調製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】ビランテロールトリフェニル酢酸塩を調製する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 213/08 20060101AFI20241129BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241129BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241129BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20241129BHJP
   C07C 217/08 20060101ALI20241129BHJP
   C07C 57/38 20060101ALI20241129BHJP
   C07C 51/41 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
C07C213/08
A61P43/00 111
A61P11/00
A61K31/137
C07C217/08
C07C57/38
C07C51/41
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024538103
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 GB2022053293
(87)【国際公開番号】W WO2023118833
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】117669
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】315015195
【氏名又は名称】ホビオネ サイエンティア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】カルヴァーリョ, ルイーザ
(72)【発明者】
【氏名】カッツ, マリアンナ
(72)【発明者】
【氏名】トーレス, ヌーノ
【テーマコード(参考)】
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C206AA04
4C206FA14
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA90
4C206NA20
4C206ZA59
4C206ZC41
4H006AA02
4H006AB25
4H006AC41
4H006AC80
4H006BB14
4H006BC10
4H006BC19
4H006BC31
4H006BC35
4H006BD70
4H006BD80
4H006BE01
4H006BJ50
4H006BM30
4H006BN10
4H006BN30
4H006BP10
4H006BU40
(57)【要約】
一態様では、ビランテロール((R)-4-(2-((6-(2-((2,6-ジクロロベンジル)オキシ)エトキシ)ヘキシル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;化合物VI)又はその薬学的に許容できる塩を調製する方法は、ステップAからB(i)が、ワンポット又は短縮プロセスとして実行される以下のステップ:A)化合物(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)を、2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)と塩基の存在下で、有機溶媒中においてカップリングするステップ、及びB)(i)塩基を、ステップAにおいて形成された反応混合物に添加して、オキサゾリジノン保護基を除去して、化合物Vを形成するステップ、(ii)化合物Vをビランテロール(化合物VI)又はその薬学的に許容できる塩に変換するステップを含む。別の態様では、ビランテロール((R)-4-(2-((6-(2-((2,6-ジクロロベンジル)オキシ)エトキシ)ヘキシル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;化合物VI)又はその薬学的に許容できる塩を調製する方法は、化合物(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)を、2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)とカップリングするステップ、及び形成された生成物を、ビランテロール又はその薬学的に許容できる塩に変換するステップを含み、方法の間、中間体化合物は単離されない、又は1種類しか単離されない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビランテロール((R)-4-(2-((6-(2-((2,6-ジクロロベンジル)オキシ)エトキシ)ヘキシル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;化合物VI)又はその薬学的に許容できる塩を調製する方法であって、ステップAからB(i)が、ワンポットプロセスとして実行される以下のステップ:
A)化合物(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)を、2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)と塩基の存在下で、有機溶媒中においてカップリングするステップ、及び
B)(i)塩基を、ステップAにおいて形成された反応混合物に添加して、オキサゾリジノン保護基を除去して、化合物Vを形成するステップ、
(ii)化合物Vをビランテロール(化合物VI)又はその薬学的に許容できる塩に変換するステップを含む、方法。
【請求項2】
ビランテロール((R)-4-(2-((6-(2-((2,6-ジクロロベンジル)オキシ)エトキシ)ヘキシル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;化合物VI)又はその薬学的に許容できる塩を調製する、請求項1に記載の方法であって、ステップAからCが、ワンポットプロセスとして実行される以下のステップ:
A)化合物(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)を、2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)と塩基の存在下で、有機溶媒中においてカップリングするステップ、
B)塩基を、ステップAにおいて形成された反応混合物に添加して、オキサゾリジノン保護基を除去するステップ、及び
C)酸性溶液を、ステップBで形成された反応混合物に添加して、アセトニド保護基を切断して、ビランテロール(化合物VI)を形成するステップ、
D)任意選択で、化合物VIをその薬学的に許容できる塩に変換するステップを含む、方法。
【請求項3】
ビランテロールの薬学的に許容できる塩を調製する、請求項1又は2に記載の方法であって、ステップAからDが、ワンポットプロセスとして実行される以下のステップ:
A)化合物(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)を、2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)と塩基の存在下で、有機溶媒中においてカップリングするステップ、
B)塩基を、ステップAにおいて形成された反応混合物に添加して、オキサゾリジノン保護基を除去するステップ、及び
C)酸性溶液を、ステップBで形成された反応混合物に添加して、アセトニド保護基を切断して、ビランテロール(化合物VI)を形成するステップ、
D)化合物VIを、その薬学的に許容できる塩に変換するステップを含む、方法。
【請求項4】
化合物Vが得られるまで、中間体の単離が存在しない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
化合物VIが得られるまで、中間体の単離が存在しない、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
ビランテロール(化合物VI)の薬学的に許容できる塩が、ステップDで得られるまで、中間体の単離が存在しない、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
プロセスをバッチモード又は連続フローモードで実行する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップAにおける有機溶媒が、極性非プロトン溶媒、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、n-メチル-ピロリジン-2-オン、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、スルホラン又はそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはDMSOである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
化合物IIに対する溶媒の容量が、少なくとも10容量、好ましくは25容量である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップAで使用される塩基が、水酸化アルカリ金属、アルカリ金属水素化物又はアルカリ金属アルコキシドからなる群から選択され、好ましくはカリウムtert-ブトキシドである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
バッチモードでは、塩基が、化合物IIに対して、少なくとも化学量論モル量又はそれ超で使用される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
化合物IIに対して、約1~約1.15モル当量の塩基が使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
連続フローモードでは、塩基が、化合物IIに対して、少なくとも化学量論モル量又はそれ超で使用される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
化合物IIに対して、約1.15~3モル当量の塩基が使用される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
バッチモードでは、ステップAを温度20~30℃、好ましくは20~25℃にて実行する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
連続フローモードでは、ステップAにおける化合物IIと塩基の反応を、20℃~100℃の範囲の温度、好ましくはおよそ20℃にて実行し、流量を調整し、滞留時間を0.5min~30minの範囲、好ましくはおよそ6minとする、請求項1~10、又は13~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
連続フローモードでは、ステップAにおける脱プロトン化した化合物IIと化合物IIIの反応では、20℃~100℃の範囲の温度、好ましくはおよそ60℃にて実行し、流量を調整し、滞留時間を0.5min~30minの範囲、好ましくはおよそ6minとする、請求項1~10、又は13~14、又は16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
バッチモードでは、ステップBにおいて使用される塩基が、化合物IIに対して、1~3モル当量の量、化合物IIに対して、好ましくは1.5モル当量で使用される、請求項1~12、又は15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
バッチモードでは、水がステップBにおいて、化合物IIに対して、1.5~3モル当量、好ましくは化合物IIに対して、1.5モル当量の量で使用される、請求項1~12、又は15、又は18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
連続フローモードでは、ステップBにおいて使用される塩基が、化合物IIに対して、15モル当量まで、好ましくは化合物IIに対して、約4~5モル当量の量で使用される、請求項1~10、13~14、又は16~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
バッチモードでは、反応を温度30~65℃、好ましくは35~50℃にて実行する、請求項1~12、又は15、又は18~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
連続フローモードでは、反応を、20℃~150℃の範囲、好ましくはおよそ80℃の温度にて実行する、請求項1~10、13~14、又は16~17、又は20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
連続フローモードでは、ステップBにおいて、流量を調整し、滞留時間を0.5min~30minの範囲、好ましくはおよそ4minとする、請求項1~10、13~14、又は16~17、又は20、又は22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
ステップCに使用される酸性溶液が、0.1~1N HCl溶液、1~10%HClアルコール溶液、好適な有機溶媒に溶解したHCl、例えばDMF-HCl、エーテル-HCl、酢酸-HCl、好ましくは1N HCl水溶液からなる群から選択され、又は、ステップCにおけるアセタール加水分解を達成するのに好適ないずれかの酸性溶液である、請求項2~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
バッチモードでは、ステップCを約20℃及び30℃からの、特に約20℃及び25℃からの温度にて実行する、請求項1~12、又は15、又は18~19、又は21、又は24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
連続フローモードでは、ステップCを、20℃~100℃の範囲の温度、好ましくはおよそ20℃にて実行する、請求項1~10、13~14、又は16~17、又は20、又は22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
連続フローモードでは、ステップCにおいて、流量を調整し、滞留時間を0.5min~30minの範囲、好ましくはおよそ10minとする、請求項1~10、13~14、又は16~17、又は20、又は22~24、又は26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
化合物VIをトリフェニル酢酸と反応させて、ビランテロールトリフェニル酢酸塩(化合物I)を形成するステップを含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の、ビランテロールトリフェニル酢酸塩(化合物I)を調製する方法。
【請求項29】
iii)アセトニド保護基を、酸性溶液中において、化合物Vから除去して、化合物VIを形成するステップ、及び
iv)化合物VIをトリフェニル酢酸と反応させて、化合物Iを形成するステップを含む、請求項1、又は4、又は7~28のいずれか一項に記載の、ビランテロールトリフェニル酢酸塩(化合物I)を調製する方法。
【請求項30】
ビランテロール((R)-4-(2-((6-(2-((2,6-ジクロロベンジル)オキシ)エトキシ)ヘキシル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;化合物VI)又はその薬学的に許容できる塩を調製する方法であって、化合物(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)を、2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)とカップリングするステップ、及び形成された生成物をビランテロール又はその薬学的に許容できる塩に変換するステップを含み、方法の間、中間体化合物が単離されない、又は1種類しか単離されない、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、一般的には、ビランテロール及びその薬学的に許容できる塩を調製する新規な方法に関する。より詳細には、本発明は、ビランテロールをバッチ又は連続フローモードで調製するための中間体を調製する新たな方法に関連する。これらの新たな合成方法は、プロセス時間、資源の削減及び廃棄物の減少を含む、公知の経路に対する利点を提示する。
【0002】
[発明の背景]
ビランテロールトリフェニル酢酸塩(I)は、化学名(R)-4-(2-((6-(2-((2,6-ジクロロベンジル)オキシ)エトキシ)ヘキシル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール2,2,2-トリフェニルアセテート[CAS:503070-58-4]、及び以下の分子構造:
【化1】

を有する長時間作用型βアドレナリン受容体アゴニスト(LABA)である。ビランテロールトリフェニル酢酸塩(I)は、国際公開第2003/024439号でGlaxoSmithKlineにより初めて請求された。これは、組合せ生成物、例えば、フルチカゾンフランカルボン酸エステルとの商品名ブレオエリプタ(Breo Ellipta)(登録商標);ウメクリジニウム臭化物とのアノーロエリプタ(Anoro Ellipta)(登録商標)(2013年にFDA承認);また両方とのトレレジーエリプタ(Trelegy Ellipta)(登録商標)(2017年にFDA承認)における使用について承認されている。組合せ生成物は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置について指示されている。
【0003】
ビランテロール及びその薬学的に許容できる塩を調製する方法は、国際公開第2003/024439号で、対応する特許出願米国特許第7361787号で、及びJ.Med.Chem.2010年、53、4522~4530頁で開示されている。報告されている合成シーケンスは、化合物II及び化合物IIIの調製を含む(スキーム1)。これらの重要な中間体は、カリウムtert-ブトキシドの存在下でカップリングされて、化合物IVを形成する。オキサゾリジノン切断は、THF中において、4当量のトリメチルシラノール酸カリウム(KOTMS)の存在下で行われて、化合物Vが得られる。アセタール保護基は、エタノール酸性条件で除去され、ビランテロール塩基(化合物VI)を形成する。後者は、エタノール中において、80℃にて対応するトリフェニル酢酸塩(trifenatate salt)に変換される。
【0004】
【化2】
【0005】
国際公開第2003/024439号に記載されている方法では、いくつかの難点が提示されている。方法は、オキサゾリジノン環を切断するのに還流温度下で4当量のKOTMSを必要とする。さらに方法は、対応するエーテル不純物を形成しやすいアセタール切断のために、アルコール溶媒を使用する。この方法は、工業プロセスに実用的ではない不純物をパージするのに煩雑な精製、例えば大規模な液液抽出又はクロマトグラフィー精製を必要とする。
【0006】
他の会社は、最初の合成経路を改善するために請求した。Laurus Labsは、国際公開第2014/041565号(米国特許出願公開第2015/0239862号)で、代替アルコール溶媒、例えばメタノール及びイソプロパノール中におけるビランテロールトリフェニル酢酸塩の調製を報告している。しかし、これらの溶媒の使用は、収率又は純度に対して例外的に効果をもたないことが報告されている。或いは、この特許は、ノンアルコール溶媒、好ましくはアセトンの使用により、不純物プロファイルの低下が引き起こされることを請求している(HPLCにより純度99.5%超、0.1%超の単一の不純物なし)。このステップは、トリフェニル酢酸スラリーを化合物VI溶液へと、そのいずれもアセトン中において、添加すること、及び50~55℃に加熱することを含む(国際公開第2014/041565号、実施例13)。ビランテロールトリフェニル酢酸塩は、99.79%の純度で得られる。このケースでは、主な改善は、最後のステップのために行われるが、プロセス全体の難点は維持されている。
【0007】
中国特許第111807973号(Shanghai Anovent Pharmaceutical Co Ltd)は、ビランテロールを調製し、コハク酸の使用に依拠する方法を開示している。国際公開第2017001907号(Teva)も、ビランテロールの調製に関するが、ポリペプチドを伴う生体触媒変換プロセスを採用する。国際公開第2021033198号(Melody Healthcare PVT Ltd.)は、複雑なプロセスにおいて、触媒量での硫酸水素テトラブチルアンモニウム(TBAHS)の使用を採用する。
【0008】
イスラエル特許出願第233520号は、化合物II及び化合物IIIからビランテロールを調製する同様の合成戦略について記載している。このケースでは、カップリングステップのためにDMFを使用すると、望ましくない副産物が導かれ、化合物IVを調製するために、代替溶媒としてTHF又はDMSOの使用が提案されることが開示されている。DMSO中において実行されるカップリング反応は、HPLCにより95面積%までの純度を有する化合物IVを獲得するのに高温(70℃)を必要とするが、THF中において実行される反応では、純度は75.5面積%に下落する。さらに、すべての中間体は、依然として抽出手順により単離されている。
【0009】
本発明者らは、これらの以前の報告を再検討し、ビランテロール及びその薬学的に許容できる塩を調製する、より効率的な方法を開発する必要性が依然として存在することをここで認識した。この結果として、本発明者らはここで本発明を考案し、本発明により、以前の方法で見出される難点の多くが克服される、又は実質的に最小化される。
【0010】
本発明者らは、化合物V及び化合物VI、またそれ自体の塩(例えば化合物I)が、収率の改善、従来技術で検証されている既存の大規模な抽出及び単離ステップを避けながらの同様の不純物プロファイルを示す短縮したアプローチにより、効率的に生成できることを見出した。このアプローチは、1又は2ステッププロセスでのビランテロールトリフェニル酢酸塩の調製を可能とし、これは、4つの合成ステップを含む以前の戦略と比較した場合、適切な(relevant)改善である。この手段では、ビランテロール塩は、優れた効率、時間、資源及び廃棄物の節制を示すプロセスにより得られる。特に、多くとも1種類の中間体(化合物V)の単離しか存在しない。
【0011】
[発明の概要]
本発明は、ビランテロール及びその薬学的に許容できるその塩、特にビランテロールトリフェニル酢酸塩を、バッチ又は連続フローモードで調製する新規な方法に関する。本発明は、特にビランテロール中間体を調製する短縮した方法に関し、出発材料に、各反応後に後処理を行わず、また、中間体を単離せずに、連続する化学反応を施した。このアプローチは、いくつかの単離及び精製ステップを避け、したがってプロセス効率及び化学収率を上昇させる。
【0012】
スキーム2は、式Iの化合物を獲得する短縮したステップを含む、合成シーケンスを描写する。
【0013】
【化3】
【0014】
スキーム3は、式Iの化合物を獲得する方法を描写し、中間体化合物は単離されない。
【0015】
【化4】
【0016】
本発明の一態様によれば、ビランテロール((R)-4-(2-((6-(2-((2,6-ジクロロベンジル)オキシ)エトキシ)ヘキシル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;化合物VI)又はその薬学的に許容できる塩を調製する方法であって、ステップにおいて、AからB(i)が、ワンポット又は短縮プロセスとして実行される以下のステップ:
A)化合物(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)を、2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)と塩基の存在下で、有機溶媒中においてカップリングするステップ、及び
B)(i)塩基を、ステップAにおいて形成された反応混合物に添加して、オキサゾリジノン保護基を除去して、化合物Vを形成するステップ、
(ii)化合物Vをビランテロール(化合物VI)又はその薬学的に許容できる塩に変換するステップを含む、方法が提供される。
【0017】
本明細書に記載されているように、中間体化合物(例えば化合物IV)は、ステップB(i)において化合物Vが得られるまで、反応混合物からの単離が存在しない。化合物Vは次いで、必要に応じて単離し、続いてビランテロール又はその薬学的に許容できる塩に変換してもよい。或いは、以下にさらに記載されているように、一態様では、化合物Vは単離されない。方法は、短縮又はワンポットプロセスとして続けて、ビランテロール又はその薬学的に許容できる塩、例えばビランテロールトリフェニル酢酸塩を直接得ることができる。
【0018】
本発明は、したがって、ビランテロール((R)-4-(2-((6-(2-((2,6-ジクロロベンジル)オキシ)エトキシ)ヘキシル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;化合物VI)又はその薬学的に許容できる塩を調製する方法であって、化合物(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)を、2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)とカップリングするステップ、及び形成された生成物をビランテロールに変換するステップを含み、1種類の中間体化合物しか単離されない、方法を包含する。例えば、この中間体化合物は、化合物Vであり得る。前記変換は、例えば、上記のプロセスステップのようにしてもよい。
【0019】
本発明の別の態様によれば、ビランテロール((R)-4-(2-((6-(2-((2,6-ジクロロベンジル)オキシ)エトキシ)ヘキシル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;化合物VI)又はその薬学的に許容できる塩を調製する方法であって、ステップにおいて、AからCが、ワンポット又は短縮プロセスとして実行される以下のステップ:
A)化合物(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)を、2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)と塩基の存在下で、有機溶媒中においてカップリングするステップ、
B)塩基を、ステップAにおいて形成された反応混合物に添加して、オキサゾリジノン保護基を除去するステップ、及び
C)酸性溶液を、ステップBで形成された反応混合物に添加して、アセトニド保護基を切断して、ビランテロール(化合物VI)を形成するステップ、
D)任意選択で、化合物VIをその薬学的に許容できる塩に変換するステップを含む、方法が提供される。
【0020】
本明細書に記載されているように、この態様では、中間体化合物(例えば化合物IV又はV)は、ステップCにおいて化合物VIが得られるまで、反応混合物からの単離が存在しない。化合物VI(ビランテロール)は次いで、必要に応じて単離し、続いて必要に応じてその薬学的に許容できる塩、例えばビランテロールトリフェニル酢酸塩に変換してもよい。或いは、以下にさらに記載されているように、一態様では、化合物VIは単離されない。方法は、短縮又はワンポットプロセスとして続けて、ビランテロールの薬学的に許容できる塩、例えばビランテロールトリフェニル酢酸塩を直接得ることができる。
【0021】
本発明は、したがって、ビランテロール((R)-4-(2-((6-(2-((2,6-ジクロロベンジル)オキシ)エトキシ)ヘキシル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;化合物VI)又はその薬学的に許容できる塩を調製する方法であって、化合物(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)を、2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)とカップリングするステップ、及び形成された生成物をビランテロールに変換するステップを含み、中間体化合物が単離されない、方法を包含する。前記変換は、例えば、上記のプロセスステップのようにしてもよい。
【0022】
さらなる態様では、ビランテロールの薬学的に許容できる塩を調製する方法であって、ステップAからDが、ワンポット又は短縮プロセスとして実行される以下のステップ:
A)化合物(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)を、2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)と塩基の存在下で、有機溶媒中においてカップリングするステップ、
B)塩基を、ステップAにおいて形成された反応混合物に添加して、オキサゾリジノン保護基を除去するステップ、及び
C)酸性溶液を、ステップBで形成された反応混合物に添加して、アセトニド保護基を切断して、ビランテロール(化合物VI)を形成するステップ、
D)化合物VIを、その薬学的に許容できる塩に変換するステップを含む、方法が提供される。
【0023】
本明細書に記載されているように、この態様では、中間体化合物(例えば化合物IV、V又はVI)は、ステップDにおいてビランテロールの薬学的に許容できる塩、例えばビランテロールトリフェニル酢酸塩が得られるまで、反応混合物からの単離が存在しない。ビランテロールの薬学的に許容できる塩、例えばビランテロールトリフェニル酢酸塩は、次いで単離し、さらに精製してもよい。この態様では、方法は、したがって短縮又はワンポットプロセスとして作用させて、ビランテロールの薬学的に許容できる塩、例えばビランテロールトリフェニル酢酸塩を直接得ることができる。
【0024】
本発明は、したがって、ビランテロールの薬学的に許容できる塩を調製する方法であって、化合物(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)を、2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)とカップリングするステップ、及び形成された生成物をビランテロールの薬学的に許容できる塩に変換するステップを含み、中間体化合物が単離されない、方法を包含する。前記変換は、例えば、上記のプロセスステップのようにしてもよい。
【0025】
本発明の好ましい態様では、ビランテロールの薬学的に許容できる塩は、ビランテロールトリフェニル酢酸塩である。
【0026】
一態様では、本方法は、いかなる精製も必要とせず、特に、例えば中間体化合物のクロマトグラフィー精製を必要としない。したがって、本発明は、プロセスの経過中に生成された中間体化合物での精製の実行なし、特にクロマトグラフィー精製の実行なしという特徴を含む。そのような中間体は、使用されるプロセスに応じて、化合物IV、若しくは化合物V、若しくは化合物VI;又は化合物IV及びVの両方、又は化合物IV、V及びVIのすべてを含んでもよい。
【0027】
中間体化合物を単離するためのケースでも同一である。したがって、本発明は、単離が、プロセスの経過中に生成された1種類又は複数の中間体化合物(複数可)で実行されない特徴を含む。そのような中間体は、使用されるプロセスに応じて、化合物IV、若しくは化合物V、若しくは化合物VI;又は化合物IV及びVの両方、又は化合物IV、V及びVIのすべてを含み得る。
【0028】
別の態様では、本発明は、ビランテロールトリフェニル酢酸塩としても公知の、(R)-3-{6-[2-(2,6-ジクロロベンジルオキシ)-エトキシ]-ヘキシル}-5-(2,2-ジメチル-4H-ベンゾ[1,3]ジオキシン-6-イル)-オキサゾリジン-2-オン2,2,2-トリフェニルアセテート(化合物I)を調製する方法であって、以下のステップ:
1.以下:
A.化合物(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)を、2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)と塩基の存在下で、好適な有機溶媒中においてカップリングするステップ、
B.塩基を反応混合物に添加して、オキサゾリジノン保護基を除去するステップ、及び
C.酸性溶液を反応混合物に添加して、アセトニド保護基を除去して、化合物VIを形成するステップを含む、短縮したステップ、並びに
2.化合物VIをトリフェニル酢酸と反応させて、化合物Iを好適な有機溶媒中において形成するステップを含む、方法を提供する。
【0029】
別の態様では、本発明は、ビランテロールトリフェニル酢酸塩としても公知の、(R)-3-{6-[2-(2,6-ジクロロベンジルオキシ)-エトキシ]-ヘキシル}-5-(2,2-ジメチル-4H-ベンゾ[1,3]ジオキシン-6-イル)-オキサゾリジン-2-オン2,2,2-トリフェニルアセテート(化合物I)を調製するための代替方法であって、以下のステップ:
1.以下:
A.化合物(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)を、2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)と塩基の存在下で、好適な有機溶媒中においてカップリングするステップ、及び
B.塩基を反応混合物に添加して、オキサゾリジノン保護基を除去して、化合物Vを形成するステップを含む短縮したステップ、並びに
2.アセトニド保護基を酸性溶液の存在下で、好適な有機溶媒中において除去して、化合物VIを生成するステップ、並びに
3.化合物VIをトリフェニル酢酸と反応させて、化合物Iを好適な有機溶媒中において形成するステップを含む、方法を提供する。
【0030】
本発明の別の態様では、ビランテロールとしても公知の、(R)-4-(2-((6-(2-((2,6-ジクロロベンジル)オキシ)エトキシ)ヘキシル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール(化合物VI)を調製する方法であって、
以下:
A.化合物(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)を、2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)と塩基の存在下で、好適な有機溶媒中においてカップリングするステップ、
B.塩基を反応混合物に添加して、オキサゾリジノン保護基を除去するステップ、及び
C.アセトニド保護基を切断するために、酸性溶液を反応混合物に添加して、化合物VIを形成するステップを含む短縮したステップを含む、方法が提供される。
【0031】
本発明のさらなる態様では、(R)-2-((6-(2-((2,6-ジクロロベンジル)オキシ)エトキシ)ヘキシル)アミノ)-1-(2,2-ジメチル-4H-ベンゾ[d][1,3]ジオキシン-6-イル)エタン-1-オール(化合物V)を調製する方法であって、
以下:
A.化合物(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)を、2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)と塩基の存在下で、好適な有機溶媒中においてカップリングするステップ、及び
B.塩基を反応混合物に添加して、オキサゾリジノン保護基を除去して、化合物Vを形成するステップを含む短縮したステップを含む、方法が提供される。
【0032】
ワンポット又は短縮プロセスは、本質的に、反応混合物からの中間体化合物のいかなる単離も伴わないプロセスが実行されることを意味する。したがって、中間体化合物の単離の通常のステップ、また後処理、又は精製は避けることができる。最終化合物(当該プロセスステップに関して)は、例えば単一容器又はポットにおける、例えば連続フロー反応器(複数可)を含み得る、順次又は連続して実行される一連の反応により直接得ることができる。このアプローチは、当業者により理解されるように、短縮化としても公知である。したがって、一態様では、化合物Vは、いかなる中間体、例えば化合物IVの単離もなしで、化合物II及びIIIから直接得ることができる。同じく、本発明の他の態様では、ビランテロール自体(化合物VI)又はその塩、例えばビランテロールトリフェニル酢酸塩(化合物I)は、いかなる中間体の単離もなしで、化合物II及びIIIから直接得ることができる。化合物は、優れた収率で、より効率的な手段で得られる。
【0033】
本発明では、ビランテロール又はその薬学的に許容できる塩、例えばビランテロールトリフェニル酢酸塩は、優れた効率、したがって時間、資源及び廃棄物の節制を示す方法を使用して得られる。特に、多くとも1種類の中間体(化合物V)の単離しか存在しないが、いくつかの態様では、さらに記載されているように、この単離は不要になり得る、又は避けられ得る。本方法は、クロマトグラフィー精製の必要性を有さず、サイクル時間及びプロセス廃棄物を削減する。
【0034】
本発明は、したがって、ビランテロール塩、特にビランテロールトリフェニル酢酸塩を生成する新規な方法について記載する。方法の1つは、原料として化合物II及び化合物III使用して、バッチ又は連続フローモードで、短縮化(すなわちワンポットプロセス)により化合物VIを形成する、効率的な2ステップアプローチを含む。この短縮した(すなわちワンポットプロセス)バッチ又は連続フロープロセスでは、中間体化合物IVは単離されず、中間体化合物Vに直接変換される。続いて、中間体化合物Vは単離されず、中間体化合物VIに直接変換される。方法は、バッチ及び連続フローモードの両方で、いくつかの単離及び精製ステップを避ける。
【0035】
代替プロセスでは、ビランテロールトリフェニル酢酸塩は、3ステップアプローチで得られる。このケースでは、化合物VIは、バッチ又は連続フローモードで、短縮化(すなわちワンポットプロセス)により、化合物II及び化合物IIIから調製される化合物Vから調製される。より詳細には、中間体化合物IVは単離されず、化合物Vに直接変換される。最終ステップとして、ビランテロール(化合物VI)は、次いでその薬学的に許容できる塩、好適にはビランテロールトリフェニル酢酸塩(化合物I)に変換され得る。
代替プロセスでは、本発明者らは、全体のプロセスをワンポット又は短縮プロセスとして、化合物II及びIIIからスタートしてワンステップで効率的に、実際に実行することも可能であると見出した。したがって、本発明者らは、ビランテロールの薬学的に許容できる塩、好適にはビランテロールトリフェニル酢酸塩(化合物I)は、本明細書で開示されている方法により、中間体化合物のいかなる単離もなしで直接得ることができることを見出した。
【0036】
化合物V及び化合物VI及び化合物Iは、本明細書に記載されている短縮した(すなわちワンポット)プロセスすべてにおいて、バッチ又は連続フローモードで、優れた収率を示し、クロマトグラフィー分離の必要がない短縮化(すなわちワンポットプロセス)により得られる。
【0037】
本発明の一態様では、本明細書に記載されている方法は、コハク酸の使用を必要としない。
【0038】
さらなる特徴では、本明細書に記載されている方法は、生体触媒変換プロセス、又はポリペプチドの使用を採用しない。
【0039】
[発明の詳細な説明]
本発明は、ビランテロール及びその薬学的に許容できる塩、例えば、特にビランテロールトリフェニル酢酸塩を調製する新規な方法に関する。本明細書に記載されている本発明の方法は、例えばバッチ又は連続フローモードで実行され得る。より詳細には、本発明は、ビランテロールトリフェニル酢酸塩の調製に関与する化合物V及び化合物VIを調製するための新たな方法に関連する。
【0040】
プロセスの1つでは、ビランテロール(化合物VI)又はその薬学的に許容できる塩、例えばビランテロールトリフェニル酢酸塩(化合物I)が調製され得、以下のステップ:
1.以下:
A.化合物(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)を、2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)と塩基の存在下で、好適な有機溶媒中においてカップリングするステップ、
B.塩基を反応混合物に添加して、オキサゾリジノン保護基を除去するステップ、及び
C.酸性溶液を、アセトニド保護基切断のために反応混合物に添加して、化合物VIを形成するステップを含む、短縮したステップ、又はワンポットプロセス、並びに
2.化合物VIをトリフェニル酢酸と反応させて、ビランテロールトリフェニル酢酸塩(化合物I)を形成するステップを含む。
【0041】
本発明によれば、方法は、化合物VIを化合物II及び化合物IIIから生成する短縮したステップ、又はワンポットプロセスを含み、これは、バッチ又は連続フローモードで実行され得る。
【0042】
反応(例えばステップA)は、方法のいずれかの態様では、いずれかの好適な有機溶媒中において実行され得る。極性非プロトン溶媒は、特に好適である。極性非プロトン溶媒は、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、n-メチル-ピロリジン-2-オン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、スルホラン又はそれらの混合物からなる群から選択され得、好ましくはDMSOである。
【0043】
特に、好ましい一態様では、化合物V又は化合物VI(ビランテロール)又はその塩を生成するまで、同一の溶媒がすべてのプロセスステップに使用され得る。DMSOがこれに好ましい。
【0044】
溶媒の容量は、化合物IIの容量に対して、例えば少なくとも10容量、又は10~30容量、好ましくは、約25容量であり得る。
【0045】
本発明によれば、ステップAは、化合物IIを化合物IIIと、塩基の存在下でカップリングすることを含む。化合物IIIは、化合物IIに対して過剰、好ましくは1.5モル当量までであり得、より好ましくは、化合物IIIは、化合物IIに対して約1.05~1.1モル当量で存在する。いくつかの態様では、約1.25モル当量の塩基が、化合物IIに対して使用され得る。
【0046】
塩基は、この反応に好適ないかなる塩基であってもよい。例えば、塩基は、水酸化アルカリ金属、アルカリ金属水素化物、例えば水素化ナトリウム;アルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシドからなる群から選択され得、好ましくはカリウムtert-ブトキシドである。塩基は、化合物IIに対して、少なくとも化学量論量又はそれ超で使用され得、好ましくは約1~約1.15モル当量の塩基、又は約1.1モル当量の塩基が使用され得る。連続フローモードでは、塩基は、化合物IIに対して、好ましくは少なくとも化学量論モル量又はそれ超で使用され、化合物IIに対して、好ましくは約1.15~3モル当量の塩基、又は化合物IIに対して、約1.25モル当量の塩基が使用される。
【0047】
反応は、好ましくは20℃~40℃、特に20℃~30℃の温度にて実行される。反応は、1~6時間、好ましくは1~2時間かけて実行され得る。バッチモードでは、ステップAは、好ましくは温度20~30℃、好ましくは20~25℃にて実行される。
【0048】
本発明によれば、HPLCにより検証してステップAが完了したら、ステップBは、第1の反応の後処理を実行せずに、好適な塩基を反応混合物に直接添加して、オキサゾリジノン環切断である第2の変換を行うことを含む。ステップBは、水を反応混合物に添加することも含み得る。使用される場合、水は、化合物IIに対して、例えば3モル当量まで、好ましくは約1.5~3モル当量の量で使用され得る。塩基は、このステップを実行するのに好適ないかなる塩基であってもよいが、好ましくはナトリウム又はカリウムトリアルキルシラノレート、例えばトリメチルシラノール酸カリウム;アルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムtert-ブトキシド又はカリウムtert-ブトキシドからなる群から選択され、好ましくはカリウムtert-ブトキシドである。塩基は、化合物IIに対して、3モル当量まで、好ましくは約1.5~2モル当量の量で使用される。バッチモードでは、ステップBにおいて使用される塩基は、典型的には化合物IIに対して、1~3モル当量、好ましくは化合物IIに対して、約1.5モル当量の量で使用される。
【0049】
本発明の一態様では、方法は、トリメチルシラノール酸カリウム(KOTMS)の使用を採用しない。
【0050】
本発明の別の特徴では、方法は、THFの溶媒としての使用を、例えば方法のステップBにおいて取り除くことができる。
【0051】
本発明の別の特徴では、方法は、アセトンの溶媒としての使用を、例えば方法のステップCにおいて取り除くことができる。本発明者らは、これにより不純物レベルが低下することを見出した。
【0052】
反応は、例えば、1~6時間、好ましくは1~2時間かけて実行され得る。反応は、例えば、30~65℃、好ましくは35~50℃の温度にて実行され得る。例えば、バッチモードでは、反応は、典型的には、30~65℃、好ましくは35~50℃の温度にて実行される。
【0053】
いくつかの好ましい実施形態では、反応は、反応完了まで、約50℃にて6時間まで実行される。好ましくは、反応させるステップは、反応完了まで、約50℃にて2時間実行される。
【0054】
本発明によれば、HPLCにより検証してステップBが完了したら、ステップCは、酸を反応混合物に直接添加して、アセタール保護基の除去である第3の反応を行うことを含む。酸性溶液は、0.1~1N HCl水溶液、1~10%HClアルコール溶液、好適な有機溶媒に溶解したHCl、例えばDMF-HCl、エーテル-HCl、酢酸-HClからなる群から選択され得、好ましくはHCl水溶液、例えば1N HCl水溶液である。酸性溶液は、温度0~25℃、好ましくは0~5℃にて反応混合物に添加され得る。酸の反応混合物への添加は、4時間まで、好ましくは約1~2時間かけて行われ得る。反応は、温度20~30℃、好ましくは20~25℃にて実行され得る。反応は、2~10時間、好ましくは4~6時間かけて実行され得る。短縮したステップが完了したら、反応混合物は、冷却し、重炭酸ナトリウム水溶液で中和し、続いて有機溶媒で抽出することができる。冷却は、20℃未満、好ましくは10~15℃の温度で実行する。抽出は、例えばエステル及びハロゲン化炭化水素、例えば酢酸エチル又はジクロロメタンからなる群から選択され得、好ましくは酢酸エチルである有機溶媒で行われる。
【0055】
本発明によれば、上記の手順により得られる化合物VIは、HPLCにより測定して90%超、好ましくは95%超の全体純度を有する。
【0056】
本発明によれば、上記の手順により得られた化合物VIは、HPLCにより99%超、好ましくはHPLCにより測定して99.85%超のキラル純度を有する。
【0057】
本発明によれば、連続フローモードで、ステップA、ステップB及びステップCは、化合物IIの溶液及び塩基をフロー反応器中において反応させて、脱プロトン化した化合物IIを形成すること、並びに、脱プロトン化した化合物II及び化合物IIIの溶液を、フロー反応器中において反応させて、化合物IVを形成すること、並びに、化合物IV及び塩基を、フロー反応器中において反応させて、化合物Vを形成すること、並びに、化合物V及び酸を、フロー反応器中において、又はバッチ反応器中において反応させて、化合物VIを形成することを含み得る。化合物IVを含有する反応混合物は、ステップBにおいて、フロー反応器に直接供給され得る、又は緩衝液タンクに収集され、ステップBのためにフロー反応器に供給され得る。化合物Vを含有する反応混合物は、ステップCのためにフロー反応器に直接供給され得る、又は緩衝液タンクに収集され、ステップCのためにフロー反応器に供給され得る。
【0058】
本発明によれば、連続フローモードでのステップAは、化合物IIの溶液及び塩基をフロー反応器中において反応させて、脱プロトン化した化合物IIを形成すること、並びに、脱プロトン化した化合物II及び化合物IIIの溶液を、フロー反応器中において反応させて、化合物IVを形成することを含む。化合物II及び化合物IIIの溶液は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、n-メチル-ピロリジン-2-オン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、スルホラン又はそれらの混合物からなる群から選択され得、好ましくはDMSOである極性非プロトン溶媒中において、好適に調製され得る。溶媒の容量は、化合物IIの容量に対して、少なくとも10容量、好ましくは約25容量であり得る。化合物IIIは、過剰であり得、好ましくは化合物IIに対して1.5モル当量まで、好ましくは約1.05モル当量で存在する。塩基は、いかなる好適な塩基であってもよいが、好ましくは水酸化アルカリ金属、アルカリ金属水素化物、例えば水素化ナトリウム;アルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシドからなる群から選択され、好ましくはカリウムtert-ブトキシドである。塩基は、好適には、少なくとも化学量論量、好ましくは1.25当量で使用される。化合物IIと塩基の反応では、連続フロー反応器中における温度は、20℃~100℃の範囲、好ましくはおよそ20℃である。好適には、流量を調整し、滞留時間を0.5min~30minのアレンジ、好ましくはおよそ2~15分、例えば約6minとする。脱プロトン化した化合物IIと化合物IIIの反応では、連続フロー反応器中における温度は、好ましくは、20℃~100℃の範囲、好ましくはおよそ60℃である。好適には、流量を調整し、滞留時間を0.5min~30minの範囲、好ましくはおよそ2~15分、例えば約6minとする。本発明によれば、ステップBでは、連続フローモードは、好適には、化合物IV及び塩基を含有する反応混合物を、連続フロー反応器中において反応させるステップを含む。塩基は、このステップに好適ないかなる塩基であってもよいが、好ましくはナトリウム又はカリウムトリアルキルシラノレート、例えばトリメチルシラノール酸カリウム;アルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムtert-ブトキシド又はカリウムtert-ブトキシドからなる群から選択され、好ましくはカリウムtert-ブトキシドである。塩基は、好ましくは化合物IIに対して、15モル当量まで、好ましくは化合物IIに対して、約4~5モル当量の量で使用される。連続フロー反応器中における温度は、例えば20℃~150℃の範囲、好ましくはおよそ80℃である。流量は、好適には調整してもよく、典型的には滞留時間を0.5min~30minの範囲、好ましくはおよそ2~10分、例えば約4minとする。
【0059】
本発明によれば、ステップCでは、連続フローモードは、化合物V及び酸を含有する反応混合物を、連続フロー反応器中において反応させるステップ、又は化合物Vを含有する反応混合物を、酸を含有するバッチ反応器に導いて、化合物VIを形成するステップを含む。酸は、このステップを行うのに好適ないかなる酸、例えばステップCにおいてアセタール加水分解を達成するのに好適ないかなる酸性溶液であってもよいが、好ましくは0.1~1N HCl水溶液、1~10%HClアルコール溶液、好適な有機溶媒に溶解したHCl、例えばDMF-HCl、エーテル-HCl、酢酸-HClからなる群から選択され、好ましくはHCl水溶液、例えば1N HCl水溶液である。酸は、化合物IIに対して過剰、好ましくはおよそ1.5モル当量使用され得る。
【0060】
連続フロー又はバッチ反応器中における温度は、典型的には、20℃~100℃の範囲、好ましくはおよそ20℃である。バッチモードでは、ステップCは、好ましくは温度約20℃~30℃、特に約20℃~25℃にて実行される。連続フローモードでは、ステップCは、好ましくは20℃~100℃の範囲の温度、好ましくはおよそ20℃にて実行される。
【0061】
連続フローモードでは、ステップCにおいて、流量を典型的には調整し、滞留時間を0.5min~30minの範囲、好ましくはおよそ10minとする。バッチモードでは、反応は、2~10時間、好ましくは4~6時間かけて実行され得る。化合物VIを形成するために短縮したバッチ又は連続フロープロセスで収集した反応混合物を冷却し、重炭酸ナトリウム水溶液で中和し、続いて有機溶媒で抽出した。冷却は、20℃未満、好ましくは10~15℃の温度で実行する。抽出は、エステル及びハロゲン化炭化水素、例えば酢酸エチル又はジクロロメタンからなる群から選択され、好ましくは酢酸エチルである好適であり得る有機溶媒で行う。
【0062】
本発明によれば、ステップAからCの上のプロセスのように得られた化合物VIは、プロセスの最後のステップとして薬学的に許容できる塩に変換され得、このプロセスは、短縮化により得られた化合物VIを好適な酸、好ましくはトリフェニル酢酸と、好適な溶媒の存在下で反応させるステップを含む。この酸の使用により、ビランテロールトリフェニル酢酸塩が最終生成物として得られ、この塩が好ましい。
【0063】
本発明によれば、ステップAからBの上のプロセスのように得られた化合物Vは、プロセスの最後のステップとして薬学的に許容できる塩に変換される化合物VIに変換され得、プロセスは、短縮化により得られた化合物VIを好適な酸、好ましくはトリフェニル酢酸と、好適な溶媒の存在下で反応させるステップを含む。この酸の使用により、ビランテロールトリフェニル酢酸塩が最終生成物として得られ、この塩が好ましい。
【0064】
本発明によれば、最後のステップは、例えば、化合物VIの好適な溶媒中で溶解すること、トリフェニル酢酸を添加して、ビランテロールトリフェニル酢酸塩を形成することを含み得る。反応は、好適には、例えば塩化メチレン(DCM)、酢酸エチル、THF、DMF、アセトン、アセトニトリル又はそれらの混合物からなる群から選択され得、好ましくはアセトンである極性非プロトン溶媒中で実行する。
【0065】
また、本発明によれば、さらなる態様では、上記のように、ビランテロールを薬学的に許容できる塩、例えばビランテロールトリフェニル酢酸塩に変換するステップも、ワンポットプロセスの一部を形成し得る。すなわち、短縮した反応(すなわちワンポットプロセス)は、塩が形成されるまで、ステップAからのすべてのステップを含み得る。これは、バッチ又は連続フローモードで行われ得る。
【0066】
したがって必要に応じて、化合物Iは、短縮化により、例えばバッチモードで原料として化合物II及びIIIを使用するワンステップアプローチで得られる。この短縮したバッチプロセスでは、中間体VIは単離されず、化合物Iに直接変換される。プロセスは、化合物Iを沈殿により反応混合物から直接単離することができるので、いくつかの蒸留、単離及び精製を避ける。この手段では、化合物Iは、優れた収率及び優れた純度で調製される。任意選択で、化合物Iの再結晶化を行うことができる。
【0067】
本発明によれば、化合物I(ビランテロールトリフェニル酢酸塩)は、例えばこのようにして調製され得、以下のステップ:
1.以下:
A.化合物(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)を、2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)と塩基の存在下で、好適な有機溶媒中においてカップリングするステップ、
B.塩基を反応混合物に添加して、オキサゾリジノン保護基を除去して、化合物Vを形成するステップを含む短縮したバッチ又は連続フロープロセス、並びに
2.アセトニド保護基を酸性溶液の存在下で、好適な有機溶媒中において除去して、化合物VIを生成するステップ、並びに
3.化合物VIをトリフェニル酢酸と反応させて、化合物Iを形成するステップを含む。
【0068】
本発明は、化合物Vを、化合物II及び化合物IIIから調製する方法であって:
A.化合物(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)を、2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)と塩基の存在下で、好適な有機溶媒中においてカップリングするステップ、及び
B.塩基を反応混合物に添加して、オキサゾリジノン保護基を除去して、化合物Vを形成するステップを含む方法も包含する。
【0069】
化合物Vは、次いで必要に応じて、単離及び精製し、続いて化合物VI、次いで好適には薬学的に許容できる塩、例えばビランテロールトリフェニル酢酸塩に変換してもよい。
【0070】
本発明は、したがって、化合物VIを化合物II及び化合物IIIから調製する方法であって:
A.化合物(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)を、2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)と塩基の存在下で、好適な有機溶媒中においてカップリングするステップ、
B.塩基を反応混合物に添加して、オキサゾリジノン保護基を除去するステップ、及び
C.酸性溶液を、アセトニド保護基切断のために反応混合物に添加して、化合物VIを形成するステップを含む、方法も含む。
【0071】
本発明はしたがって、本明細書に記載されている方法のステップに従って、ビランテロールトリフェニル酢酸塩(化合物I)を調製する方法であって、最終ステップとして、化合物VIをトリフェニル酢酸と反応させて、ビランテロールトリフェニル酢酸塩(化合物I)を形成するステップを含む、方法も含む。
【0072】
本発明は、本明細書に記載されている方法のステップに従って、ビランテロールトリフェニル酢酸塩(化合物I)を調製する方法であって、最終ステップとして:
i)アセトニド保護基を、酸性溶液中において、化合物Vから除去して、化合物VIを形成するステップ、及び
ii)化合物VIをトリフェニル酢酸と反応させて、化合物Iを形成するステップを含む、方法も含む。
【0073】
以下の実施例は、本発明を例証するが、本発明の限定と解釈されることを意図するものではない。
【実施例
【0074】
実施例1
(R)-4-(2-((6-(2-((2,6-ジクロロベンジル)オキシ)エトキシ)ヘキシル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール(ビランテロール)を合成するための短縮した手順
カリウムtert-ブトキシド(1.98g、1.1equiv.)を、DMSO(15vol)中の(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(4g、16mmol)の溶液にN雰囲気下で添加し、反応を室温にて1時間撹拌する。DMSO(10vol)中の2-[2-(6-ブロモ-ヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロ-ベンゼン(6.47g、1.1equiv.)の溶液を、反応混合物に添加し、HPLCに従って反応が完了するまで、室温にて撹拌する。カリウムtert-ブトキシド(2.70g、1.5equiv.)を次いで反応混合物に添加し、反応混合物を、HPLCに従って完全に変換されるまで50℃に加熱する。反応混合物を冷却し、15%の1M HCl水溶液(4.5equiv)を反応混合物に滴下添加する。反応混合物を0~5℃に冷却し、残りの1M HCl水溶液を滴下添加する。反応を5℃にて1時間、次いで室温にてHPLCに従って反応が完了するまで撹拌する。反応混合物を10~15℃に冷却し、1M NaHCO水溶液で中和する。水性相を酢酸エチル(10vol)で3回抽出する。合わせた有機層を次いで水(10vol)で洗浄する。溶媒を蒸留し、真空下で乾燥させて、褐色油状物(7.5g、収率96%、HPLCにより純度:90.9%)として化合物VIを得た。
【0075】
実施例2
(R)-4-(2-((6-(2-((2,6-ジクロロベンジル)オキシ)エトキシ)ヘキシル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール(ビランテロール)を合成するための短縮した手順
カリウムtert-ブトキシド(1.29g、1.15equiv.)を、DMSO(15vol)中の(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(2.5g、10mmol)の溶液に、N雰囲気下で添加し、反応を室温にて1時間撹拌する。DMSO(10vol)中の2-[2-(6-ブロモ-ヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロ-ベンゼン(4.04g、1.05equiv.)の溶液を反応混合物に添加し、HPLCに従って反応が完了するまで室温にて撹拌する。カリウムtert-ブトキシド(2.3g、2equiv.)を次いで反応混合物に添加し、反応混合物を、HPLCに従って完全に変換されるまで40℃に加熱する。反応混合物を約15℃に冷却し、0.5M HCl水溶液で中和する。水性相を酢酸エチル(20vol)で3回抽出する。合わせた有機層を次いで水(60vol)で洗浄する。溶媒を蒸留し、真空下で乾燥させて、化合物VIを褐色油状物(5.1g、収率96%、HPLCにより純度:82.1%)として得る。
【0076】
実施例3
ビランテロールの合成の一般的手順
アセトン(67mL)中の化合物V(8.4g、16mmol)の溶液を5℃に冷却した。次いで、0.5M HCl水溶液(80mL)を滴下添加し、混合物をこの温度にて1時間撹拌した。混合物を次いで室温にて、HPLCに従って反応が完了するまで撹拌した。反応混合物を約15℃に冷却し、1M重炭酸ナトリウム溶液(40mL)で中和した。水性相を酢酸エチル(33mL)で3回抽出する。合わせた有機層を次いで水(67mL)で洗浄する。溶媒を蒸留し、真空下で乾燥させて、化合物VIを褐色油状物(4.6g、収率59%、HPLCにより純度:82.1%)として得た。
【0077】
実施例4
ビランテロールトリフェニル酢酸塩の合成の一般的手順
アセトン(14mL)中のトリフェニル酢酸(4.2g、1equiv.)のスラリーを、アセトン(126mL)中の4-((R)-2-{6-[2-(2,6-ジクロロベンジルオキシ)-エトキシ]-ヘキシルアミノ}-1-ヒドロキシエチル-)-2-ヒドロキシ-メチル-フェノール(7g、14.4mmol)の溶液に添加し、混合物を、完全に溶解するまで50℃に加熱した。混合物を室温にて12volに蒸留し、これに沈殿を誘導した。反応混合物を室温にて20時間まで撹拌した。生じた生成物を濾過し、アセトン(14mL)及びイソプロピルエーテル(14mL)で洗浄し、真空中で室温にて乾燥させて、ビランテロールトリフェニル酢酸塩を白色結晶性固体(5.6g、収率75w%、HPLCにより純度:96.6%)として得た。
【0078】
実施例5
化合物IVを合成するための連続フロー手順
DMSO(10mL)中の(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)(1g、4.01mmol)の溶液を0.012mL/min流量で、また、DMSO(10mL)中のカリウムtert-ブトキシド(0.56g、1.25equiv.)を0.012mL/min流量で、第1のPFAコイル反応器中に20℃にて注入した(0.6mL)。生じた混合物及びDMSO(10mL)中の2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)(1.62g、1.05equiv.)の溶液を、0.012mL/min流量で、第2のPFAコイル反応器中に20℃にて注入した(0.4mL)。正確な量及び流量は、要望に応じて変動させてもよいことは理解される。生成物は単離せず、反応混合物を収集し、HPLCにより分析し、97%の変換率を示した。
【0079】
実施例6
化合物IVを合成するための連続フロー手順
DMSO(10mL)中の(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)(1g、4.01mmol)の溶液を、0.033mL/min流量で、また、DMSO(10mL)中のカリウムtert-ブトキシド(0.68g、1.5equiv.)を0.033mL/min流量で、PFAコイル反応器中に20℃にて注入した(0.4mL)。生じた混合物及びDMSO(10mL)中の2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)(1.62g、1.05equiv.)の溶液を、0.033mL/min流量で、PFAコイル反応器中に60℃にて注入した(0.6mL)。生成物を単離せず、反応混合物を収集し、HPLCにより分析し、93%の変換率が示された。
【0080】
実施例7
化合物IVを合成するための連続フロー手順
DMSO(10mL)中の(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)(2g、8.02mmol)の溶液を0.033mL/min流量で、また、DMSO(10mL)中のカリウムtert-ブトキシド(1.12g、1.25equiv.)を0.033mL/min流量で、PFAコイル反応器中に20℃にて注入した(0.3mL)。生じた混合物及びDMSO(10mL)中の2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)(3.08g、1.0equiv.)の溶液を0.033mL/min流量で、PFAコイル反応器中に100℃にて注入した(0.6mL)。生成物を単離せず、反応混合物を収集し、HPLCにより分析し、98.5%の変換率が示された。この実施例で使用されるモル当量は、より少ない不純物を生じ得る。
【0081】
実施例8
化合物Vを合成するための連続フロー手順
DMSO(25mL)中の化合物IV(バッチトライアルから以前に単離した)(2.22g、4.01mmol)の溶液を0.05mL/min流量で、また、DMSO(10mL)中のカリウムtert-ブトキシド(0.4g、2.2equiv.)を0.05mL/min流量で、PFAコイル反応器中に80℃にて注入した(0.6mL)。生成物を単離せず、反応混合物を収集し、HPLCにより分析し、90%の変換率が示された。
【0082】
実施例9
化合物Vを合成するための連続フロー手順
DMSO(25mL)中の化合物IV(バッチトライアルから以前に単離した(2.22g、4.01mmol)の溶液を0.05mL/min流量で、また、DMSO(10mL)中のカリウムtert-ブトキシド(0.4g、.4.4equiv.)を0.1mL/min流量で、PFAコイル反応器中に80℃にて注入した(0.6mL)。生成物を単離せず、反応混合物を収集し、HPLCにより分析し、99.9%の変換率が示された。
【0083】
実施例10
化合物VIを合成するための連続フロー手順
DMSO(8mL)中の化合物V(バッチトライアルから以前に単離した(1g、1.81mmol)の溶液を0.15mL/min流量で、また、1M HCl水溶液(4.3equiv.)を0.15mL/min流量で、PFAコイル反応器中に20℃にて注入した(0.3mL)。生成物を単離せず、反応混合物を収集し、HPLCにより分析し、27%の変換率となった。
【0084】
実施例11
化合物VIを合成するための連続フロー手順
DMSO(8mL)中の化合物V(1g、1.81mmol)の溶液を0.025mL/min流量で、1M HCl水溶液(4.3equiv.)を0.025mL/min流量で、PFAコイル反応器中に20℃にて注入した(0.3mL)。生成物を単離せず、反応混合物を収集し、HPLCにより分析し、87%の変換率が示された。この実施例で使用される流量から、変換率がより高いことが明らかになり得る。
【0085】
実施例12
短縮した化合物Vを合成するための連続フロー手順
DMSO(10mL)中の(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)(1g、4.01mmol)の溶液を0.033mL/min流量で、また、DMSO(10mL)中のカリウムtert-ブトキシド(0.68g、1.5equiv.)を0.033mL/min流量で、PFAコイル反応器中に20℃にて注入した(0.4mL)。生じた混合物及びDMSO(10mL)中の2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)(1.62g、1.05equiv.)の溶液を0.033mL/min流量で、PFAコイル反応器中に20℃にて注入した(0.6mL)。生じた混合物及びDMSO(10mL)中のカリウムtert-ブトキシド(0.66g、13equiv.)を0.1mL/min流量で、PFAコイル反応器中に80℃にて注入した(0.6mL)。生成物を単離せず、反応混合物を収集し、HPLCにより分析し、89.5%の変換率が示された。
【0086】
実施例13
短縮した化合物VIを合成するための連続フロー手順
DMSO(10mL)中の(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)(1g、4.01mmol)の溶液を0.033mL/min流量で、また、DMSO(10mL)中のカリウムtert-ブトキシド(0.68g、1.5equiv.)を0.033mL/min流量で、PFAコイル反応器中に20℃にて注入した(0.4mL)。生じた混合物及びDMSO(10mL)中の2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)(1.62g、1.05equiv.)の溶液を0.033mL/min流量で、PFAコイル反応器中に20℃にて注入した(0.6mL)。DMSO(10mL)中の生じた混合物及びカリウムtert-ブトキシド(0.66g、13equiv.)を0.1mL/min流量で、PFAコイル反応器中に80℃にて注入した(0.6mL)。生じた混合物及び1M HCl水溶液を0.2mL/min流量で、PFAコイル反応器中に20℃にて注入した(2.4mL)。生成物を単離せず、反応混合物を収集し、HPLCにより分析し、85%の変換率が示された。
【0087】
実施例14
短縮した化合物VIを合成するための連続フロー手順
DMSO(10mL)中の(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物II)(1g、4.01mmol)の溶液を0.033mL/min流量で、また、DMSO(10mL)中のカリウムtert-ブトキシド(0.68g、1.5equiv.)を0.033mL/min流量で、PFAコイル反応器中に20℃にて注入した(0.4mL)。生じた混合物及びDMSO(10mL)中の2-[2-(6-ブロモヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロベンゼン(化合物III)(1.62g、1.05equiv.)の溶液を0.033mL/min流量で、PFAコイル反応器中に20℃にて注入した(0.6mL)。生じた混合物及びDMSO(10mL)中のカリウムtert-ブトキシド(0.66g、13equiv.)を0.1mL/min流量で、PFAコイル反応器中に80℃にて注入した(0.6mL)。生じた混合物を約15℃に冷却し、1M HCl水溶液で中和した。生成物を単離せず、反応混合物を収集し、HPLCにより分析し、88%の変換率が示された。
【0088】
薬学的に許容できるビランテロール塩の調製。
実施例15:
カリウムtert-ブトキシド(9.4g、1.1equiv.)をDMSO(15vol.)にN2雰囲気下で添加し、反応を室温にて1時間撹拌する。(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(19.0g、76.1mmol)を添加し、反応を室温にて1時間撹拌する。DMSO(5vol)中の2-[2-(6-ブロモ-ヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロ-ベンゼン(32.6g、1.09equiv.)の溶液を反応混合物に添加し、HPLCに従って反応が完了するまで室温にて撹拌する。水(2.1mL、1.5eq.)及びカリウムtert-ブトキシド(18.0g、2.1equiv.)を次いで反応混合物に添加し、反応混合物を、HPLCに従って完全に変換されるまで35℃に加熱する。反応混合物を10℃に冷却し、16%の0.5M HCl水溶液(3.5equiv.)を反応混合物に滴下添加する。反応混合物を25℃にて撹拌し、残りの0.5M HCl水溶液を滴下添加する。反応を、HPLCに従って反応が完了するまで25℃にて撹拌する。水性相を酢酸エチル(19.5vol)で抽出する。反応混合物を10~15℃に冷却し、1M NaCO水溶液で中和する。水性相を酢酸エチル(10vol)で2回抽出する。合わせた有機層を次いで水(10vol)で洗浄する。有機層をEtOAc(14vol.)の混合物に添加し、続いてトリフェニル酢酸を添加(22g、1.0equiv)し、室温にて1時間撹拌する。反応を0℃に冷却し、6時間撹拌する。固体を濾過により単離し、EtOAc(8vol.)で2回洗浄する。固体を真空下で乾燥して、化合物Iをオフホワイト固体(37.8g、収率64%、HPLCにより純度:99.2%)として得る。
【0089】
実施例16:
カリウムtert-ブトキシド(14.9g、1.1equiv.)をN2雰囲気下でDMSO(15vol.)に添加し、反応を室温にて1時間撹拌する。(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(3.5g、14.1mmol)を添加し、反応を室温にて1時間撹拌する。DMSO(5vol)中の2-[2-(6-ブロモ-ヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロ-ベンゼン(6.0g、1.09equiv.)の溶液を反応混合物に添加し、HPLCに従って反応が完了するまで、室温にて撹拌する。水(0.76mL、3.0eq.)及びカリウムtert-ブトキシド(2.5g、2.1equiv.)を次いで反応混合物に添加し、反応混合物を、HPLCに従って完全に変換されるまで、35℃に加熱する。水(3.5mL)を添加し、反応混合物を5℃に冷却する。0.5M HCl水溶液(3.5equiv.)を反応混合物に滴下添加する。反応を、HPLCに従って反応が完了するまで、25℃にて撹拌する。水性相を酢酸エチル(19.5vol)で抽出する。反応混合物を10~15℃に冷却し、1M NaCO水溶液で中和する。水性相を酢酸エチル(10vol)で2回抽出する。合わせた有機層を次いで水(10vol)で洗浄する。有機層をEtOAc(22vol.)に添加し、続いてトリフェニル酢酸(4.1g、1.0equiv)を添加し、室温にて1時間撹拌する。反応を0℃に冷却し、6時間撹拌する。固体を濾過により単離し、EtOAc(8vol.)で2回洗浄する。固体を真空下で乾燥させて、化合物Iをオフホワイト固体(3.5g、収率32%、HPLCにより純度:99.4%)として得る。
【0090】
実施例17:
カリウムtert-ブトキシド(4.21g、1.1equiv.)をDMSO(15vol.)にN2雰囲気下で添加し、反応を室温にて1時間撹拌する。(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(8.5g、34mmol)を添加し、反応を室温にて1時間撹拌する。DMSO(5vol)中の2-[2-(6-ブロモ-ヘキシルオキシ)-エトキシメチル]-1,3-ジクロロ-ベンゼン(14.63g、1.09equiv.)の溶液を反応混合物に添加し、HPLCに従って反応が完了するまで、室温にて撹拌する。水(0.95mL、1.5eq.)及びカリウムtert-ブトキシド(8.0g、2.1equiv.)を次いで反応混合物に添加し、反応混合物を、HPLCに従って完全に変換されるまで、35℃に加熱する。水(8.5mL)を添加し、反応混合物を5℃に冷却する。0.5M HCl水溶液(3.5equiv.)を反応混合物に滴下添加する。反応を、HPLCに従って反応が完了するまで、25℃にて撹拌する。水性相を酢酸エチル(19.5vol)で抽出する。反応混合物を10~15℃に冷却し、1M NaCO水溶液で中和する。水性相を酢酸エチル(10vol)で2回抽出する。合わせた有機層を次いで水(10vol)で洗浄する。有機層を等しい2部分(A及びB)に分ける。
【0091】
A部をEtOAc(22vol.)に添加し、続いてトリフェニル酢酸を添加(4.9g、1.0equiv)し、室温にて1時間撹拌する。反応を0℃に冷却し、6時間撹拌する。固体を濾過により単離し、EtOAc(4vol.)で2回洗浄する。固体を真空下で乾燥させて、化合物Iをオフホワイト固体(6.1g、収率46.1%、HPLCにより純度:99.2%)として得る。
【0092】
B部をEtOAc:水2.8%の混合物(22vol.)に添加し、続いてトリフェニル酢酸(4.9g、1.0equiv)を添加し、室温にて1時間撹拌する。反応を0℃に冷却し、6時間撹拌する。固体を濾過により単離し、EtOAc:水2.8%(4vol.)で2回洗浄する。固体を真空下で乾燥させて、化合物Iをオフホワイト固体(7.2g、収率54.6%、HPLCにより純度:99.4%)として得る。
【0093】
実施例18:
ビランテロールトリフェニル酢酸塩の再結晶化
化合物I(6.6g、7.2mmol)をEtOAc:水2.8%(50vol.)の混合物に添加する。懸濁液を45℃まで加熱し、化合物Iを溶解させながら1時間撹拌する。溶液を0℃に冷却し、6時間撹拌する。固体を濾過により単離し、EtOAc:水2.8%(4vol.)で2回洗浄する。固体を真空下で乾燥させて、化合物Iをオフホワイト固体(4.4g、収率67.5%、HPLCにより純度99.6%)として得る。
【0094】
実施例19
ビランテロールトリフェニル酢酸塩の再結晶化
化合物I(5.6g、7.2mmol)をEtOAc(55vol.)に添加する。懸濁液を60℃まで加熱し、化合物Iを溶解させながら1時間撹拌する。溶液を10℃に冷却し、6時間撹拌する。固体を濾過により単離し、EtOAc(4vol.)で2回洗浄する。固体を真空下で乾燥させて、化合物Iをオフホワイト固体(4.52g、収率81.0%、HPLCにより純度99.5%)として得る。
【国際調査報告】