(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】巻き取り可能な、特に予め接合されたシート材料を仕上げるためのロールアセンブリ、及び対応するシート材料
(51)【国際特許分類】
B29C 59/04 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
B29C59/04 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024538136
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 DE2022100942
(87)【国際公開番号】W WO2023116972
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】102021134589.8
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522243439
【氏名又は名称】マシューズ インターナショナル ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】524116298
【氏名又は名称】マシューズ インターナショナル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】クラウス‐ディーター クルト ティエル
(72)【発明者】
【氏名】アチム ワンドゥケ
(72)【発明者】
【氏名】アチム ヴォン ウィルト
【テーマコード(参考)】
4F209
【Fターム(参考)】
4F209AC03
4F209AD16
4F209AF01
4F209AG01
4F209AG05
4F209AR07
4F209AR12
4F209AR13
4F209PA04
4F209PB02
4F209PC05
4F209PJ11
4F209PQ01
(57)【要約】
本発明は、巻き取り可能な、特に予め接合されたシート材料を仕上げるためのロールアセンブリであって、第1のエンボスロール及び第2のエンボスロールを含み、第1のエンボスロール及び第2のエンボスロールは、シート材料をエンボス加工するためのロールニップをそれらの間に形成し、第1のロールはシート材料に構造要素を作り出すための複数の突起を含み、第2のロールは突起を受け入れるための複数の窪みを含み、第1のエンボスロールと第2のエンボスロールとの間に形成されるロールニップ部分が、少なくとも部分的に構造要素を取り囲む局所的に接合されたシート材料の境界を作り出すように設計され、ロールニップ部分は、少なくとも1つの第1の円錐状の接合部分と、ロール軸に実質的に平行に形成された少なくとも1つの接合部分とを含む、ロールアセンブリに関する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻き取り可能な、特に予め接合されたシート材料を仕上げるためのロールアセンブリ(1)であって、
前記シート材料をエンボス加工するためのロールニップ(4)をそれらの間に形成する第1のエンボスロール(2)及び第2のエンボスロール(3)
を含み、
前記第1のロール(2)は、前記シート材料に構造要素を作り出すための複数の突起(5)を有し、前記第2のロール(3)は、前記突起(5)を受け入れるための複数の窪み(6)を有し、
前記第1のエンボスロール(2)と前記第2のエンボスロール(3)との間に形成されるロールニップ部分(7)が、少なくとも部分的に前記構造要素(24)を取り囲む局所的に接合されたシート材料の境界を作り出すように設計され、前記ロールニップ部分(7)は、少なくとも1つの第1の円錐状の接合部分(8)を有し、前記ロールニップ部分(7)は、ロール軸と実質的に平行に形成された少なくとも1つの接合部分(9)をさらに有することを特徴とする、
前記ロールアセンブリ(1)。
【請求項2】
前記ロールニップ部分(7)が、段付きプロファイル(10)を有する、請求項1に記載のロールアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記第1の円錐状の接合部分(8)が、前記突起(5)の円錐状の近位フランク部分(11)と、前記窪み(6)の円錐状のマウス部分(12)との間に形成されている、請求項1または2に記載のロールアセンブリ(1)。
【請求項4】
前記ロール軸に実質的に平行に形成された前記接合部分(9)が、前記ロール軸と実質的に平行に整列した前記突起(5)のサドル領域(13)と、前記ロール軸に実質的に平行に整列した前記窪み(6)のショルダ領域(14)との間に形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のロールアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記第1の円錐状の接合部分(8)が、前記ロール軸に実質的に平行に形成された前記接合部分(9)に直接隣接する、請求項1~4のいずれか1項に記載のロールアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記第1の円錐状の接合部分(8)が、前記構造要素(5)をリング形状に取り囲む、請求項5に記載のロールアセンブリ(1)。
【請求項7】
前記ロール軸に実質的に平行に整列された前記接合部分(9)が、前記第1の円錐状の接合部分(8)を部分的に取り囲む、請求項5に記載のロールアセンブリ(1)。
【請求項8】
前記突起(5)が、開口部として設計された構造要素を作り出すために設けられた針である、請求項1~7のいずれか1項に記載のロールアセンブリ(1)。
【請求項9】
前記突起(5)が、隆起部として設計された構造要素を作り出すために設けられたエンボス隆起部(16)である、請求項1~7のいずれか1項に記載のロールアセンブリ(1)。
【請求項10】
前記ロールニップ部分(7)が、前記第1の円錐状の接合部分(8)の反対側にあって前記ロール軸に実質的に平行に形成された前記接合部分(9)に隣接する第2の円錐状の接合部分(15)をさらに含み、前記第1の及び前記第2の円錐状の接合部分(8、15)が、前記ロール軸に実質的に平行に形成された前記接合部分(9)から離れて反対側の方向に延在する、請求項1~9のいずれか1項に記載のロールアセンブリ(1)。
【請求項11】
前記第2のロール(3)が、前記シート材料に隆起部を作り出すための複数のエンボス隆起部(16)を有し、前記第1のロール(2)は、前記エンボス隆起部(16)を受け取るための複数の凹部(17)を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載のロールアセンブリ(1)。
【請求項12】
前記第2の円錐状の接合部分(15)が、前記エンボス隆起部(16)の円錐状の近位フランク部分(18)と前記凹部(17)の円錐状のマウス部分(19)との間に形成されている、請求項10または11のいずれか1項に記載のロールアセンブリ(1)。
【請求項13】
前記ロール軸に実質的に平行に形成された前記接合部分(9)におけるロールニップの厚さ(D2)が、0.01mm~0.03mmの間、好ましくは0.02mmである、請求項1~12のいずれか1項に記載のロールアセンブリ(1)。
【請求項14】
前記第1の、及び/または前記第2の円錐状の接合部分(8、15)におけるロールニップの厚さ(D1)が、0.02mm~0.08mmの間、好ましくは、0.05mmである、請求項1~13のいずれか1項に記載のロールアセンブリ(1)。
【請求項15】
前記第1の円錐状の接合部分(8)の高さ(H4)が、0.2mm~0.6mmの間、好ましくは0.4mmである、請求項1~14のいずれか1項に記載のロールアセンブリ(1)。
【請求項16】
前記第2の円錐状の接合部分(15)の高さ(H5)が、0.2mm~0.6mmの間、好ましくは0.4mmである、請求項10~15のいずれか1項に記載のロールアセンブリ(1)。
【請求項17】
前記ロール軸に実質的に平行に形成された前記接合部分(9)の幅(B2)が、0.5mm~1mmの間、好ましくは0.7mmである、請求項1~16のいずれか1項に記載のロールアセンブリ(1)。
【請求項18】
前記第1の円錐状の接合部分(8)の垂直に対する角度(α)が、10°~18°の間、好ましくは14°である、請求項1~17のいずれか1項に記載のロールアセンブリ(1)。
【請求項19】
前記第2の円錐状の接合部分(15)の垂直に対する角度(γ)が、10°~18°の間、好ましくは14°である、請求項10~15のいずれか1項に記載のロールアセンブリ(1)。
【請求項20】
前記第1の円錐状の接合部分(8)が、前記第2の円錐状の接合部分(15)と平行に整列している、請求項11~15のいずれか1項に記載のロールアセンブリ(1)。
【請求項21】
前記ロール表面を加熱するためのデバイスが、前記第1のエンボスロール(2)及び/または前記第2のエンボスロール(3)に設けられている、請求項1~20のいずれか1項に記載のロールアセンブリ(1)。
【請求項22】
巻き取り可能な、特に予め接合されたシート材料(22)であって、
平面に延在する少なくとも1つの巻き取り可能なシート材料層(23)と、
前記少なくとも1つのシート材料層(23)上に分布した複数の構造要素(24)と、
を含み、
前記構造要素(24)はそれぞれ、少なくとも部分的に前記構造要素(24)を取り囲み、前記シート材料(22)の局所的接合によって形成される境界(25)を有し、前記境界(25)は、少なくとも1つの第1の円錐状の部分(26)を有し、前記境界(25)も、前記平面に実質的に平行に形成される少なくとも1つの部分(27)を有することを特徴とする、
前記シート材料(22)。
【請求項23】
前記境界(25)が、段付きプロファイルを有する、請求項22に記載のシート材料(22)。
【請求項24】
前記第1の円錐状の部分(26)が、前記構造的特徴(24)に直接隣接する、請求項22または23に記載のシート材料(22)。
【請求項25】
前記平面に実質的に平行に形成された前記部分(27)が、前記第1の円錐状の部分(26)に直接隣接する、請求項22~24のいずれか1項に記載のシート材料(22)。
【請求項26】
前記第1の円錐状の部分(26)が、前記構造要素(24)をリング形状に取り囲む、請求項25に記載のシート材料(22)。
【請求項27】
前記平面に実質的に平行に形成された前記部分(27)が、前記第1の円錐状の部分(26)を部分的に取り囲む、請求項25に記載のシート材料(22)。
【請求項28】
前記構造要素(24)が、開口部として形成されている、請求項22~27のいずれか1項に記載のシート材料(22)。
【請求項29】
前記構造要素(24)が、隆起部として形成されている、請求項22~27のいずれか1項に記載のシート材料(22)。
【請求項30】
前記境界(25)が、前記第1の円錐状の部分(26)の反対側で、前記平面に実質的に平行に形成された前記部分(27)に隣接する第2の円錐状の部分(28)を有する、請求項22~28のいずれか1項に記載のシート材料(22)。
【請求項31】
前記シート材料が、前記平面から離れて延在する複数の隆起部(29)をさらに含む、請求項22~28のいずれか1項に記載のシート材料(22)。
【請求項32】
前記第2の円錐状の部分(28)が、隆起部(29)にさらに直接隣接する、請求項30または31のいずれか1項に記載のシート材料(22)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き取り可能な、特に予め接合されたシート材料を仕上げるためのロールアセンブリであって、第1のエンボスロール及び第2のエンボスロールを含み、第1のエンボスロール及び第2のエンボスロールは、シート材料をエンボス加工するためのロールニップをそれらの間に形成し、第1のロールはシート材料に構造要素を製造するための複数の突起を含み、第2のロールは突起を受け入れるための複数の窪みを含み、針と窪みとの間に形成されるロールニップ部分が、少なくとも部分的に構造要素を取り囲む局所的に接合されたシート材料の境界を作り出すように設計され、ロールニップ部分は、少なくとも1つの第1の円錐状の接合部分を含む、ロールアセンブリに関する。本発明はさらに、対応するシート材料に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第2018/0228666A1号から、三次元構造及び開口部を有する液体吸収性不織布を製造するためのデバイスが既に知られている。本明細書に記載のデバイスは、相補的な円錐状の窪みと係合する複数の円錐状の針を含む。このように形成された円錐状のニップでは、エンボス加工される材料が一方では圧縮され、他方では針の先端が不織布に開口部を形成する。
【0003】
しかしながら、開示されたデバイスは、開口部が作成されるときにエンボス加工される材料が不十分にクランプされるだけであるという欠点を有し、その結果、開口部の作成中に材料がニップ内で滑る可能性があり、したがってエンボス材料での構造の均一性が低レベルでしか達成され得ない。さらに、不織布に作成された構造は、均一な圧縮強度しか有していないため、吸収性及び安定性に関して不織布を構成するとき、折衷的な解決策しか考慮することができない。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の目的は、ロールアセンブリまたは巻き取り可能なシート材料のいずれかを、改善された製品特性を有し、より経済的に製造できるように改善することである。
【0005】
この目的は、独立請求項の特徴により解決される。本発明の有利な実施形態は、図面、説明、及び従属請求項の主題である。
【0006】
したがって、ロールニップ部分は、ロール軸に実質的に平行に形成された少なくとも1つの接合部分を有するように提供される。本発明は、ロール軸に平行に形成された接合部分により、製造プロセスにおいてロールを互いにより良好に整列させることが可能になるという利点を有する。ロール軸に平行な部分は、ロールを互いに固定し、したがって自己センタリング効果を確保する。その結果、ロールは、先行技術から既知のデバイスよりも高速で操作され得る。同時に、ロール軸に平行に設計されている接合部分は、材料のクランプが改善され、その結果材料が円錐状の領域を滑ることができず、したがって開口部をより高精度に作り出すことができる。さらに、一方の円錐状の接合部分と、他方のロール軸に平行に形成された接合部分とにより、材料に異なる圧縮の領域を形成することが可能になり、これにより、一方では高い材料安定性が得られ、他方では快適な触感または良好な吸収特性を実現することができる。シート材料は、例えば、不織布であり得る。不織布は、親水性または疎水性であり得る。シート材料も、組織またはフィルムであり得る。シート材料は、単層、多層、及び/または積層とすることができる。
【0007】
ロールニップ部分が段付きプロファイルを有するように提供され得る。段付きプロファイルは、ロール軸に実質的に平行に形成された複数の円錐状の、複数の接合部分を有し得る。
【0008】
円錐状の接合部分が、構造要素をリング形状に取り囲むように提供され得る。ロール軸に実質的に平行に整列した接合部分が、少なくとも部分的に円錐状の接合部分を取り囲むことも可能である。ロール軸に実質的に平行に整列する接合部分は、第1及び第2のエンボスロールのピッチ円直径の平面上に位置し得る。ロール軸に実質的に平行に整列している接合部分は、ロール全幅にわたって延び得、いずれのロールも突起または窪みを有さない場合に設けることができる。
【0009】
突起が針として設計されることが考えられる。針は、開口部を形成するように設計され得る。突起が針として設計されている場合、結果として、構造要素は開口部として設計される。円錐状の接合部分による材料のクランプは、ロール軸に基本的に平行であり、これにより、針は正確かつ正確な方法でシート材料に開口部を作成することができる。あるいは、突起は、隆起部として設計された構造要素を作り出すことを意図したエンボス隆起部として設計することができる。突起がエンボス隆起部として設計される場合、構造要素は、必然的に隆起部として設計される。この場合も、良好な材料クランプにより、隆起部が材料中に非常に正確に導入されることが可能になる。
【0010】
第1の円錐状の接合部分が、突起の円錐状の近位フランク部分と窪みの円錐状のマウス部分との間に形成されることが考えられる。突起は、ベース領域上に配置することができる。突起は、ベース領域から開始して、ロール表面から離れて半径方向に延在してもよい。ベース領域は、突起の最大幅よりも広い幅を有し得る。突起の近位フランク部分は、ベース域に隣接する突起のフット領域に設けられてもよい。窪みは、ロール表面内へ半径方向に延在する実質的に円筒形の部分を有し得る。ロール表面に対するマウス内領域では、窪みはその上側にベベルを有し得、これにより窪みの円錐状の開口部が形成される。突起は円形の断面を有し得る。あるいは、突起は、楕円形の断面を有してもよい。したがって、突起は、基本的に円錐状であり得る。
【0011】
ロール軸に実質的に平行に形成された接合部分は、ロール軸に実質的に平行に形成された突起のサドル領域と、ロール軸に実質的に平行に形成された窪みのショルダ領域との間に形成されるように提供され得る。サドル領域は、エンボスベースの上側によって形成され得る。サドル領域は、突起のフットからベース領域の外縁まで延在し得る。ベース領域の外縁は、ベベルを有し得る。ショルダ領域は、円錐状のマウス部分の上縁から水平方向に、すなわちロール軸に平行に延在してもよい。ショルダ領域及びサドル領域は、互いに平行に位置合わせされ得る。
【0012】
円錐状の接合部分が、ロール軸に実質的に平行に形成された接合部分に直接隣接しているということも考えられる。したがって、境界を作成するロールニップ部分は、突起のフット領域とベース領域との間の移行領域に配置され得る。
【0013】
ロールニップ部分は、さらに、第1の円錐状の部分の反対側で、ロール軸に平行に形成された接合部分に隣接する第2の円錐状の接合部分をさらに含み、第1及び第2の円錐状の接合部分は、ロール軸に平行に形成された接合部分から離れる反対側の方向に延在することが考えられる。第2の円錐状の接合部分は、エンボスベースの外縁に設けられたベベルと、ベベルに隣接する円錐状のエンボス隆起部分とによって形成することができる。
【0014】
さらに、第2のロールは、シート材料に隆起部を作り出すための複数のエンボス隆起部を有し、第1のロールは、エンボス隆起部を受け入れるための複数の凹部を有するように提供され得る。第2のロールは、第1の断面を有する複数の第1のエンボス加工突起、及び第2の断面を有する複数の第2のエンボス加工突起を有することができ、第2の断面は第1の断面とは異なる。第1の断面は、楕円形の基本形状を有し得る。第2の断面は、円形の基本形状を有し得る。エンボス隆起部は、角度の付いた側壁及び平坦な上部を有し得る。側壁と平坦な上部との間に0.3mmの半径を設けることができる。
【0015】
さらに、第2の円錐状の接合部分が、エンボス隆起部の円錐状の近位フランク部分と凹部の円錐状のマウス部分との間に形成されるように提供され得る。
【0016】
ロール軸に実質的に平行に形成された接合部分におけるロールニップの厚さは、0.01mm~0.03mmの間、好ましくは0.02mmであることが考えられる。ロール軸に実質的に平行に形成された接合部分におけるロールニップの厚さが、第1及び/または第2の円錐状の接合部分におけるロールニップの厚さよりも小さいように提供され得る。ロール軸に基本的に平行であるロールニップ部分のロールニップの厚さがより小さいことにより、材料の良好なクランプとより高い圧縮が確保される。これにより、ロール軸に平行に延びる接合部分でのより高い材料安定性がもたらされる。
【0017】
例えば、第1及び/または第2の円錐状の接合部分におけるロールニップの厚さが、0.02mm~0.08mmの間、好ましくは0.05mmであるように提供され得る。
【0018】
さらに、第1の円錐状の接合部分の高さは、0.2mm~0.6mmの間であり得、好ましくは、0.4mmである。その結果、材料の開口部は、開口部を囲む接合された材料の円形円錐状のリング構造を有する。
【0019】
さらに、第2の円錐状の接合部分の高さは、0.2mm~0.6mmの間であり得、好ましくは、0.4mmである。その結果、材料中のエンボス構造は、エンボス構造を取り囲む接合材料で作製された円錐状のリング構造を有する。
【0020】
ロール軸に実質的に平行に形成された接合部分の幅は、0.5~1mmの間、好ましくは0.7mmであるように提供され得る。材料平面に平行に接合され、つば状の方法で開口部を取り囲む材料領域はまた、シート材料の三次元材料構造がより高い耐性を有することを確保する。材料平面に基本的に平行な接合部分のサイズを調整することにより、製造されるシート材料の基本的な強度を構成することができる。
【0021】
第1の円錐状の接合部分の垂直に対する角度は10°~18°の間であり、好ましくは14°であることが考えられる。
【0022】
加えて、垂直に対する第2の円錐状の接合部分の角度は、10°と18°との間であり、好ましくは14°であるように提供され得る。
【0023】
さらに、第1の円錐状の接合部分が第2の円錐状の接合部分と平行に整列しているように提供され得る。
【0024】
さらに、ロール表面を加熱するためのデバイスが、第1のエンボスロール及び/または第2のエンボスロールに設けられるように提供され得る。所定のエンボス圧力と組み合わせて最適なエンボス温度を設定することにより、所望の三次元シート材料構造を、高いプロセス速度で特に有利に製造することができる。
【0025】
本発明はさらに、巻き取り可能な、特に予め接合されたシート材料に関し、これは、
1つの平面に延在する少なくとも1つの予め接合されたシート材料層と、
シート材料層上に分布した複数の構造要素と、を含み、
構造要素はそれぞれ、少なくとも部分的に構造要素を取り囲み、シート材料の局所的な接合によって形成される境界を有し、境界は、少なくとも1つの第1の円錐状の部分と、平面に実質的に平行に形成された少なくとも1つの部分とを有する。
【0026】
境界は、段付きプロファイルを有することができる。段付きプロファイルは、複数の円錐状の部分と、平面に実質的に平行に形成された複数の部分とを有し得る。
【0027】
第1の円錐状の部分が開口部のすぐ隣であるように提供され得る。さらに、平面に実質的に平行に形成された部分は、第1の円錐状の部分に直接隣接することができる。
【0028】
さらに、境界が、第1の円錐状の部分の反対側で、平面に実質的に平行に形成された部分に隣接する第2の円錐状の部分を有するように提供され得る。第1の円錐状の部分が、構造要素をリング形状に取り囲むように提供され得る。あるいは、平面に実質的に平行に形成された部分は、第1の円錐状の部分を部分的に取り囲んでもよい。構造要素は、開口部として設計することができる。構造要素は、隆起部として設計することができる。平面に実質的に平行に形成される部分は、隆起部、窪み、または開口部などのいずれの構造要素も有さないシート材料層上のどこにでも設けられ得る。
【0029】
さらに、シート材料が、平面から離れて延びる複数の隆起部をさらに有するように提供され得る。
【0030】
さらに、第2の円錐状の部分も隆起部に直接隣接するように提供され得る。
【0031】
本発明の例示的な実施形態を以下の図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明による、ロールアセンブリの実施形態の正面図を示す。
【
図2】第1のエンボスロールの実施形態のロール部分の平面図を 示す。
【
図3】第1のエンボスロールの一実施形態の拡大断面図を 示す。
【
図4】第1の第2のエンボスロールの実施形態のロール部分の平面図。
【
図5】第2のエンボスロールの実施形態の拡大断面図を示す。
【
図6】第1のエンボスロールと第2のエンボスロールとの間に形成されたエンボスニップの一実施形態の拡大断面図を示す。
【
図7】巻き取り可能な、特に予め接合されたシート材料の例示的な実施形態を断面図で示す。
【
図8】第1のエンボスロールと第2のエンボスロールとの間に形成されたエンボスニップのさらなる実施形態の拡大断面図を示す。
【
図9】第1のエンボスロールと第2のエンボスロールとの間に形成されたエンボスニップのさらなる実施形態の拡大断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1に示すロールアセンブリ1は、ロールニップ4を形成する第1のエンボスロール2及び第2のエンボスロール3を有する。複数の針5が、第1のエンボスロール2上に規則的な分布で配置されていることが分かる。針5は、全ての隣接する針5から同じ距離にある。当然ながら、針5は、互いに異なる距離を有することもできる。楕円形の断面を有する複数の第1の凹部17.1、及び円形の断面を有する複数の第2の凹部17.2が、針の間に配置される。第1の凹部17.1と第2の凹部17.2との比は、1:3である。第2のエンボスロール3上に、第1のエンボスロールの構造に相補的なエンボス構造が形成される。一方では、第2のエンボスロールは複数の窪み6を有し、これら複数の窪み6は、ロール2、3が互いに回転するときに、針5が窪み6で受け入れられるように整列している。同様に相補的な配置では、第2のエンボスロールは、複数の第1のエンボス隆起部16.1及び複数のエンボス隆起部16.2をさらに含み、これらは、ロールニップ4内の対応する凹部17.1、17.2に係合する。凹部17.1、17.2に対応して、第1のエンボス隆起部16.1は楕円形の断面を有し、第2のエンボス隆起部16.2は円形の断面を有する。
【0034】
図2は、第1のエンボスロール2のエンボス構造の平面図を示す。エンボス構造は、複数の針5、さらに、楕円形の断面を有する複数の第1の凹部17.1、及び円形の断面を有する複数の第2の凹部17.2を有する。各針5は、円形の断面を有する3つの第2の凹部17.2と、楕円形の断面を有する第1の凹部17.1とによって囲まれていることが分かる。楕円形の断面を有する第1の凹部17.1は、針5の左、右、上、または下に配置され得る。針5の最大幅B3、すなわち、ベース領域21に隣接する針5のフット領域の幅は、図示の実施形態では2.2mmである。第1及び第2の凹部17.1、17.2はそれぞれ、ロール表面に面するその上縁に円錐状のマウス部分19を有し、そのマウス部分はリング形状の凹部を囲むベベルの形状に設計されている。両方の凹部17.1、17.2の円錐状のマウス部分19の幅は、図示の実施形態では0.2mmである。
【0035】
図3は、第1のエンボスロール2のエンボスロール構造の拡大断面図を示す。特に、針5の断面図を見ることができる。針5は、ベース領域21上に配置され、ベース領域21から離れて延びる円錐状の形状を基本的に有する。ベース領域は、針5のフット領域の幅B3より広い幅を有する。ベース領域21の上側は、ロールのピッチ円の直径のレベルに存在する。針5の高さH1は、図示の実施形態では3.2mmである。針5の上部には、高さH2の針先端20があり、図示の実施形態では、高さH2は1.07mmである。針先端20は、フランク角度αを有する針5の下部領域よりも鋭角ではないフランク角度βを有し、ここで、β>αである。図示の例では、αは14°、βは28°である。針5の下部領域は、シート材料の開口部の境界の第1の円錐状の部分が作り出される円錐状の近位フランク部分11を提供する。針5の基本的に水平なサドル領域13は、針断面を越えて水平に突出したベース領域21の上側によって形成され、基本的に水平に形成された境界の接合部分9を作り出すように機能する。針5を囲む4つの凹部17.1、17.2の円錐状のマウス部分19は、サドル領域13に隣接している。次に、これらは、相補的なエンボス隆起部16.1、16.2とともに、第2の円錐状の接合部分15を部分的に形成する。凹部17はそれぞれ、深さT2を有し、図示の例では、深さT2は1.8mmである。凹部17の円錐状のマウス部分19の高さH5は、図示の実施形態では0.4mmである。円錐状のマウス部分は、垂直に対して角度γを有し、図示の例では14°である。
【0036】
図4は、第2のエンボスロール3のエンボス構造の平面図を示す。エンボス構造は、複数の窪み6を有し、さらに、楕円形の断面を有する複数の第1のエンボス隆起部16.1と、円形の断面を有する複数の第2のエンボス隆起部16.2とを有する。
図2によれば、各窪み6は、円形の断面を有する3つの第2のエンボス隆起部16.2と、楕円形の断面を有する第1のエンボス隆起部16.1とによって囲まれていることが分かる。楕円形の断面を有する第1のエンボス隆起部16.1は、針5の左、右、上、または下に配置され得る。窪み6の幅B1、すなわち、ロール表面に延在する窪み円筒の幅は、図示の実施形態において2.1mmである。第1及び第2のエンボス隆起部16.1、16.2はそれぞれ、ロール表面から離れる方向を向いた上縁に丸みを有し、図示の実施形態では、半径は0.3mmである。窪み6の円錐状のマウス部分12の幅は、図示の実施形態では0.2mmである。
【0037】
図5は、第2のエンボスロール3のエンボスロール構造の拡大断面図を示す。特に、窪み6の断面図を見ることができる。窪み6は、エンボス隆起部16の間に配置され、幅B1及び深さT1でロール表面内に延びる円筒形状を基本的に有し、図示の実施形態では、幅B1は2.1mmであり、深さT1は4mmである。窪み6のマウス領域の上縁では、窪み6は2.3mmの幅を有する。したがって、この幅は、針5の最大幅B3よりも大きく、深さT1は、針5の高さH1よりも大きい。マウス領域12のマウス角は、14°の角度αを有する。窪みの上縁を取り囲むショルダ領域14は、ロールのピッチ円直径の平面上に位置する。窪み6の円錐状のマウス領域12は、針の円錐状の近位フランク部分11と協働して、シート材料の開口部の境界の第1の円錐状の部分を作り出すように機能する。針5の水平サドル領域13とともに、窪み6の基本的に水平なショルダ領域14は、境界の基本的に水平に形成された接合部分9を作り出すように機能する。窪み6を囲む4つのエンボス隆起部16.1、16.2のうちのエンボス隆起部16の円錐状のフランク部分18は、ショルダ領域14に隣接する。その近位領域は次に、相補的な凹部17.1、17.2とともに、第2の円錐状の接合部分15を部分的に形成する。エンボス隆起部16はそれぞれ、高さH3を有し、図示の例では、高さH3は1.4mmである。エンボス隆起部の円錐状のフランク部分18はそれぞれ、垂直に対して角度γを有し、図示の例では14°である。
【0038】
図5は、最終的に、第1のエンボスロール2と第2のエンボスロール3との間に形成されたエンボスニップ4の実施形態の拡大断面図を示す。エンボスロール2、3が互いにロールするとき、第2のエンボスロール3のエンボス加工隆起部16が、エンボスニップ4を通過するときに、第1のエンボスロール2の凹部17に係合する。第2の円錐状の接合部分15は、エンボス隆起部16の円錐状の近位フランク部分18及び凹部17の円錐状のマウス部分19が合流し、互いに平行に整列している。これは、H5の高さを有する。接合部分15は、上側では窪み6の実質的に水平なショルダ領域14によって画定され、下側では、エンボスニップが、以下の接合部分15に隣接する窪み17の側壁の垂直方向の経過のためにエンボスニップが広がるという事実によって画定されている。接合部分15は、0.05mmのエンボスニップの厚さD1を有する。
【0039】
エンボスロール2、3が互いにロールするとき、第1のエンボスロール2の針5も、エンボスニップ4を通過するときに第2のエンボスロール3の窪み6に係合する。基本的に水平な接合部分9は、ベース領域21の基本的に水平なサドル領域13と窪み6の基本的に水平なショルダ領域14が交わる領域に形成され、それが互いに平行に整列している。これはB2の幅を有する。接合部分9は、エンボス隆起部16の円錐状の近位フランク部分18によって針5から外方向に面する側で画定され、針5に面する側面では、針5の円錐状の近位フランク部分11によって画定される。接合部分9は、0.02mmのエンボスニップの厚さD2を有し、したがって、円錐状の接合部分15及び8よりも大きなクランピング及びより大きな材料圧縮を生じさせる。
【0040】
第1の円錐状の接合部分8は、針5の円錐状の近位フランク部分11と窪み6の円錐状のマウス部分12とが交わる領域に形成され、これらは互いに平行に整列している。これは高さH4を有する。接合部分8は、その下側でベース領域21の基本的に水平なサドル領域13によって画定され、上側で、エンボスニップが、上から見た接合部分8に隣接する窪み6の側壁の垂直方向の経過のためにエンボスニップが広がるという事実によって、画定されている。第1の円錐状の接合部分8は、第2の円錐状の接合部分15と同様、0.05mmのエンボスニップの厚さD2を有する。隣接する接合部分8、9、15は、段付きプロファイル10を形成する。
【0041】
図7は、巻き取り可能な、特に予め接合されたシート材料22の例示的な実施形態を断面図で示す。シート材料22は、平面に延在する巻き取り可能なシート材料層23を有し、シート材料層23は、シート材料層23を通って延在する複数の開口部24を有する。開口部24はそれぞれ、開口部24を囲む境界25を有し、境界25はシート材料22の局所的接合によって特徴付けられる。境界25は、第1の円錐状の部分26と、平面に実質的に平行に形成された部分27とを有する。さらに、境界25は、第1の円錐状の部分26の反対側で、平面に実質的に平行に形成された部分27に隣接する第2の円錐状の部分28を有する。結果として、境界25は、段付きプロファイルを有する。第1の円錐状の部分26は、開口部24のすぐ隣にある。平面に実質的に平行に形成された部分27は、第1の円錐状の部分26に直接隣接する。シート材料は、さらに、平面から離れて延びる複数の隆起部29を含み、第2の円錐状の部分28は、隣接する隆起部29に直接隣接している。
【0042】
図8は、本発明のさらなる実施形態を示す。この場合、第1のエンボスロール2は、構造要素として針5のみを有し、第2のエンボスロール3は、専用に対応する窪み6を有する。針5が窪み6に係合するとき、シート材料は、ロールニップ4で接合または穿孔される。水平接合部分9及び水平接合部分9に隣接し、針5のフット領域においてリング形状に針5を囲む第1の円錐状の接合部分8では、穿孔する材料はクランプされることで、針先端20が正確に材料に開口部を作り出すことができる。また、この実施形態では、第1の円錐状の接合部分8が、針5の円錐状の近位フランク部分11と窪み6の円錐状のマウス部分の間に形成されている。ロール軸に基本的に平行に形成されている接合部分9は、第1のエンボスロール2及び第2のエンボスロール3のローリング円直径によって形成されるロールニップ部分において作り出され、これは、針5または窪み6が配置されていない場所ではロール幅全体に亘って延びる。
【0043】
図9は、本発明のさらに別の実施形態を示し、ここでは、第1のエンボスロール2は、構造要素としてエンボス隆起部5のみを有し、第2のエンボスロール3は、構造要素として対応する窪み6のみを有する。エンボス隆起部5は、ロールニップ4を通過するときに窪み6に係合するが、開口部の代わりに、それらは、構造化される材料に隆起またはバルジを作成するだけである。エンボス隆起部5はそれぞれ、円錐状のフランクを有し、その円錐状の近位部分11は、エンボス隆起部5のフット領域において、窪み6の円錐状のマウス部分12とともに、ロールニップ4の第1の円錐状の接合部分8を形成する。円錐状の接合領域8は、エンボス隆起部5全体をリング形状に囲む。ロール軸に基本的に平行に形成される接合部分9は、
図3の実施形態によれば、第1のエンボスロール2及び第2のエンボスロール3の圧延円直径によって形成されるロールニップ部分に作り出され、針5または窪み6が配置されていない場合、ロール幅全体に延びる。
【0044】
上記の説明、図、及び特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、個別にも、また任意の組み合わせでも、本発明の実施に不可欠となり得る。
【符号の説明】
【0045】
1 ロールアセンブリ
2 第1のエンボスロール
3 第2のエンボスロール
4 ロールニップ
5 突起、針、エンボス隆起部
6 窪み
7 ロールニップ部分
8 第1の円錐状の接合部分
9 ロール軸に基本的に平行に形成された接合部分
10 段付きプロファイル
11 針の円錐状の近位フランク部分
12 窪みの円錐状のマウス部分
13 ロール軸に基本的に平行に形成されたベース領域のサドル領域
14 ロール軸に基本的に平行に形成された窪みのショルダ領域
15 第2の円錐状の接合部分
16 エンボス隆起部
16.1 第1の断面を有するエンボス隆起部
16.2 第2の断面を有するエンボス隆起部
17 凹部
17.1 第1の断面を有する凹部
17.2 第2の断面を有する凹部
18 エンボス隆起部の円錐状の近位フランク部分
19 凹部の円錐状のマウス部分
20 針先端
21 ベース領域
22 シート材料
23 シート材料層
24 開口部
25 境界
26 第1の円錐状の部分
27 平面に実質的に平行に形成された部分
28 第2の円錐状の部分
29 隆起部
B1 窪みの幅
B2 ロール軸に実質的に平行に形成された部分の幅
B3 針の最大幅
D1 円錐状のエンボスニップの厚さ
D2 水平エンボスニップの厚さ
H1 針の高さ
H2 針先端の高さ
H3 エンボス隆起部の高さ
H4 エンボス隆起部の円錐状の近位フランク部分
H5 凹部の円錐状のマウス部分の高さ
T1 窪みの深さ
T2 凹部の深さ
α 針の円錐状の近位フランク部分の角度
β 針先端の角度
γ 窪みの円錐状のマウス部分の角度
【国際調査報告】