IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータの特許一覧

特表2024-545472加圧された固体酸化物燃料電池と膨張機との一体化による高効率電力ソリューション
<>
  • 特表-加圧された固体酸化物燃料電池と膨張機との一体化による高効率電力ソリューション 図1
  • 特表-加圧された固体酸化物燃料電池と膨張機との一体化による高効率電力ソリューション 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】加圧された固体酸化物燃料電池と膨張機との一体化による高効率電力ソリューション
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20241129BHJP
   F02C 6/00 20060101ALI20241129BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20241129BHJP
   H01M 8/04014 20160101ALI20241129BHJP
   H01M 8/04111 20160101ALI20241129BHJP
【FI】
H01M8/04 J
F02C6/00 E
H01M8/12 101
H01M8/04014
H01M8/04111
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538486
(86)(22)【出願日】2023-01-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2023025036
(87)【国際公開番号】W WO2023143868
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】102022000001484
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100196449
【弁理士】
【氏名又は名称】湯澤 亮
(72)【発明者】
【氏名】ベヌスルパリ,プラナヴ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェゲスナ,ラマ ラジュ
(72)【発明者】
【氏名】パンデイ,マニーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ワーグ,ラフール
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA07
5H127AB03
5H127AC15
5H127BA01
5H127BA02
5H127BA05
5H127BA06
5H127BA36
5H127BA45
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB17
5H127BB25
5H127BB37
(57)【要約】
【解決手段】 固体酸化物燃料電池システム(1;21)であって、当該固体酸化物燃料電池(1;21)の上流の酸化剤ガス供給ライン及び酸化剤ガス圧縮システム(3,4;23,24)と、当該固体酸化物燃料電池(1;21)の上流の燃料供給ラインと、当該固体酸化物燃料電池(1;21)の下流の、未反応燃料及び酸化剤ガスを燃焼させるように構成された燃焼室(7;27)と、当該燃焼室(7;27)の下流の排気ガスラインと、熱交換器(6;26)であって、当該熱交換器(6;26)の高温側の排気ガスと、当該熱交換器(6;26)の低温側の当該酸化剤ガス及び燃料との間の熱交換を可能にするように構成されている、熱交換器(6;26)と、当該熱交換器(6;26)の下流の当該排気ガスを膨張させるように構成された膨張システム(5;25,29)と、を備え、当該酸化剤ガス圧縮システム(3,4;23,24)は、電気モータ(2;22)によって駆動される低圧圧縮機(3;23)と、共通シャフト(8)により当該膨張システム(5;25,29)によって駆動される高圧圧縮機(4;24)と、を備える、固体酸化物燃料電池システム(1;21)。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体酸化物燃料電池システム(1;21)であって、前記固体酸化物燃料電池(1;21)の上流の酸化剤ガス供給ライン及び酸化剤ガス圧縮システム(3,4;23,24)と、前記固体酸化物燃料電池(1;21)の上流の燃料供給ラインと、前記固体酸化物燃料電池(1;21)の下流の、未反応燃料及び酸化剤ガスを燃焼させるように構成された燃焼室(7;27)と、前記燃焼室(7;27)の下流の排気ガスラインと、熱交換器(6;26)であって、前記熱交換器(6;26)の高温側の排気ガスと、前記熱交換器(6;26)の低温側の前記酸化剤ガス及び燃料との間の熱交換を可能にするように構成されている、熱交換器(6;26)と、前記熱交換器(6;26)の下流の前記排気ガスを膨張させるように構成された膨張システム(5;25,29)と、を備え、前記酸化剤ガス圧縮システム(3,4;23,24)は、電気モータ(2;22)によって駆動される低圧圧縮機(3;23)と、共通シャフト(8)により前記膨張システム(5;25,29)によって駆動される高圧圧縮機(4;24)と、を備える、固体酸化物燃料電池システム(1;21)。
【請求項2】
前記燃焼室(7;27)は、前記固体酸化物燃料電池(1;21)と一体である、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池システム(1;21)。
【請求項3】
前記燃焼室(7;27)は、前記固体酸化物燃料電池(1;21)と別体である、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池システム(1;21)。
【請求項4】
前記膨張システム(5)は、膨張機(5)を備える、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池システム(1)。
【請求項5】
前記膨張システム(25、29)は、前記熱交換器(26)の下流の前記排気ガスを膨張させるように構成された高圧膨張機(25)と、第2の熱交換器(28)であって、前記第2の熱交換器(28)の高温側の前記高圧膨張機(25)の上流の前記熱交換器(26)からの前記排気ガスと前記高圧膨張機(25)の下流の排気ガス流(39)との間の熱交換を可能にするように構成されている、第2の熱交換器(28)と、前記第2の熱交換器(28)の下流の排気流(40)を膨張させるように構成された低圧膨張機(29)と、を備え、前記低圧膨張機(29)は、共通のシャフトにより前記高圧膨張機(25)と前記高圧圧縮機(24)とに接続されている、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池システム(21)。
【請求項6】
前記膨張機は、高温ガス膨張機、ターボ膨張機、低圧膨張機から選択される、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池システム(21)。
【請求項7】
前記燃料は、天然ガス、アンモニア、水素、バイオガスから選択される、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池システム(21)。
【請求項8】
前記酸化剤ガスは空気である、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池システム(21)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加圧された固体酸化物燃料電池とターボ機械との一体化による高効率電力ソリューションに関する。より具体的には、本開示は、圧縮機が固体酸化物燃料電池用の加圧された空気を生成し、固体酸化物燃料電池からの高温排気ガスが動力回収膨張機内で膨張されるシステムに関する。システムは、高温ガス膨張機、ターボ膨張機、低圧膨張機を含む異なるタイプの膨張機とともに動作するように構成される。
【0002】
本明細書に開示される実施形態は、具体的には、ターボ機械と一体化された固体酸化物燃料電池システムに関し、各ユニットは互いに個別に動作することができる。本明細書に開示される実施形態によれば、固体酸化物燃料電池の上流の圧縮システムは、電気モータ駆動遠心分離圧縮機又は往復低圧圧縮機と、動力回収膨張機によって駆動される高圧圧縮機との組み合わせである。
【背景技術】
【0003】
燃料電池は、化学ポテンシャルエネルギーから直接仕事を抽出し、その結果、ガスタービンにおいて支配的であるエントロピー発生燃焼プロセスをバイパスするために使用することができることが知られている。
【0004】
特に、固体酸化物燃料電池(solid oxide fuel cell、SOFC)は、イオン伝導性酸化物電解質を介して燃料と酸化剤とを電気化学的に結合させることによって電気を生成するエネルギー変換装置である。高密度電解質は、2つの多孔質電極、アノードとカソードとの間に挟まれている(アノード/電解質/カソードのサンドイッチは、単電池と呼ばれる)。燃料はアノードに供給され、酸化反応を受け、電子を外部回路に放出する。酸化剤は、カソードに供給され、外部回路から電子を受け取り、還元反応を受ける。外部回路におけるアノードからカソードへの電子の流れは、直流電気を生成する。SOFCは、特定の電池構成及びシステム設計に応じて、大気条件は加圧された条件下で約700~1000℃で動作する。
【0005】
特に、SOFCがより高い圧力及び温度でより多くの電力を発生させることは周知である。したがって、動作圧力の増加は、同じ燃料消費量に対してSOFCからの電力出力の対応する増加をもたらす。この結果を達成するために、SOFCの入口における圧縮機が、流入空気を加圧するために必要とされる。しかしながら、SOFCは全供給燃料を完全に利用することができない。未利用燃料は、SOFCの下流で燃焼に供し、それによって排気流のエンタルピーを上昇させることができ、これは、燃料電池とターボ機械との一体化による膨張によって更に回収することができる。したがって、電力は、固体酸化物燃料電池発電機及びタービンの両方によって生成される。このため、高効率の加圧されたSOFCをターボ機械製品と組み合わせることは、同じ出力を発生させるための全体的な燃料消費を低減するための関心領域となっている。
【0006】
米国特許第5413879(A)号は、圧縮機が、圧縮された空気を生成し、圧縮された空気が予熱され、次いで固体酸化物燃料電池発電機に供給される、一体型ガスタービン固体酸化物燃料電池システムを開示している。固体酸化物燃料電池発電機は、第1の燃料流も供給され、電力及び高温ガスを生成する。固体酸化物燃料電池発電機において、燃料の未反応部分は、高温ガス中に残っている酸素とともに燃焼されて、高温ガスを更に加熱する。依然として高温である排気流の潜在能力を十分に利用するために、更に加熱された高温ガスは次にトッピング燃焼器に向けて送られ、トッピング燃焼器には第2の燃料流が供給され、それにより、いっそう更に加熱された高温ガスを生成し、この高温ガスは次にタービン内で膨張される。
【0007】
しかしながら、タービンから余剰電力を発生させるために過剰な燃料を追加すると、このようなシステムの効率は低減する。それにもかかわらず、タービンがその定格電力で運転され、それと同時に圧縮機を駆動しなければならないので、それは避けられない。
【0008】
その結果、先行技術による複合システムは、ユニット内の圧縮機及び出力タービンが互いに連結されるので、機械的に結合される。そのため、ガスタービン及びSOFCの両方に対して常に最適な条件で動作することは困難である。
【0009】
したがって、現在の技術のシステムの効率制限及び結合に対処するために固体酸化物燃料電池をターボ機械と一体化する改善された方法は、有益であり、技術において歓迎されるであろう。更に、過剰な燃料を追加して、それによってタービンから余剰電力を発生させる追加の燃焼器の問題に対処する改善されたシステムも歓迎されるであろう。より一般的には、より高い効率を提供し、それによって長時間運転時のシステムの操業費用(operative expense、OPEX)を低減すると同時にkW当たりの炭素排出を低減することによって、先行技術による一体型ガスタービン固体酸化物燃料電池システムに伴う問題により効果的に対処するように適合された、固体酸化物燃料電池をターボ機械と一体化する改善された方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0010】
一態様では、本明細書に開示される主題は、固体酸化物燃料電池システムを対象とし、固体酸化物燃料電池システムは、固体酸化物燃料電池の上流の燃料供給ライン、及び酸化剤ガス圧縮システムを有する酸化剤ガス供給ラインと、当該固体酸化物燃料電池の下流の排気ガスラインと、熱交換器であって、当該熱交換器の高温側の当該排気ガスと、当該熱交換器の低温側の当該酸化剤ガス及び燃料との間の熱交換を可能にするように構成された熱交換器と、当該熱交換器の下流の当該排気ガスを膨張させるように構成された膨張システムと、を備え、酸化剤ガス圧縮システムは、電気モータによって駆動される低圧圧縮機と、共通シャフトにより当該膨張システムによって駆動される高圧圧縮機と、を備える。
【0011】
別の態様によれば、燃焼室が、未反応燃料及び酸化剤ガスを燃焼させるために、当該固体酸化物燃料電池の下流に配置される。燃焼室は、当該固体酸化物燃料電池と一体であってもよいし、別体であってもよい。
【0012】
更に別の態様によれば、膨張システムは膨張機を備える。
【0013】
代替的に、膨張システムは、当該熱交換器の下流の当該排気ガスを膨張させるように構成された高圧膨張及び低圧膨張機と、第2の熱交換器の高温側の高圧膨張機の上流の熱交換器からの排気ガスと当該高圧膨張機の下流の排気ガス流との間の熱交換を可能にするように構成された追加の熱交換器と、第2の熱交換器の下流の排気ガス流を膨張させるように構成された低圧膨張機とを備える。特に、低圧膨張機は、共通シャフトにより高圧膨張機と高圧圧縮機とに接続され得る。
【0014】
特に、一態様によれば、固体酸化物燃料電池における反応のための酸化剤ガスは、空気である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の開示される実施形態、及びそれに付随する利点の多くについて、添付図面に関連して考慮される場合、以下の発明を実施するための形態を参照することによってそれらがより良好に理解されるため、完全な理解が容易に得られるであろう。
図1図1は、第1の実施形態による、ターボ機械と一体化された固体酸化物燃料電池システムの概略図を例示する。
図2図2は、第2の実施形態による、ターボ機械と一体化された固体酸化物燃料電池システムの概略図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一態様によれば、本主題は、高効率発電ソリューションを提供するためにターボ機械と一体化された固体酸化物燃料電池システムを対象とする。特に、この目的は、SOFCの高圧高温の排気中に存在するエネルギーを更に回収するために、2段階圧縮-SOFCシステムを燃料電池の出口で1つ以上の膨張機と組み合わせることによって達成される。提案された組み合わせは、従来の発電システムと比較してより高い効率を提供し、それによって長時間運転時のシステムの操業費用(OPEX)を低減すると同時にkW当たりの炭素排出を低減する。
【0017】
一態様によれば、提案された主題は、より厳しい排出基準を尊重しながら、産業用途及びマイクログリッド用途の両方に対する将来のエネルギー需要の増加に対処することを可能にする。
【0018】
一態様によれば、提案される主題は、広範囲の動作圧力にわたって高効率を提供し、産業用途及びマイクログリッド用途の両方に対応することができる。これは、同じで電力が大幅に少ない燃料によって生成され得ることを意味し、これはまた、より少ない排出につながる。
【0019】
一態様によれば、提案された主題は、電気モータによって供給されるときに圧縮によって要求される追加の電力が、より低い圧力での燃料追加によるよりも効率的であるという事実を利用するので、一体型ガスタービンSOFCシステムと比較して、より低い圧力でより効率的である。
【0020】
別の態様によれば、提案される主題はまた、より低い質量流量に適合し、より低い電力範囲で働くことが可能であり、マイクログリッド用途のための魅力的な提供となる。
【0021】
更に別の態様によれば、SOFCからの排気ガス温度は、いくつかの低出力膨張機の温度限界よりも高い可能性があるので、膨張機入口温度を制御するために異なる構成が必要である。この構成によれば、熱交換器は、第1の膨張機に向けて送られるSOFCからの排気流の温度を、第1の膨張機からの出口流と熱交換することによって低下させるために設けられる。したがって、第1の膨張機からの出口流エンタルピーは、熱交換器の後で結果的に増加し、第2の膨張機により更に回収することができる。
【0022】
ここで、本開示の実施形態を詳細に参照し、これらの1つ以上の例は、図に例示されている。各例は、本開示を限定するものではなく、本開示の説明として提供するものである。実際には、本開示の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、本開示に様々な修正及び変形を加えることができるということが、当業者には明らかであろう。本明細書全体を通して「ある実施形態」又は「一実施形態」又は「いくつかの実施形態」への言及は、一実施形態に関して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な個所における「ある実施形態では」又は「一実施形態では」又は「いくつかの実施形態では」という句が現れると、それは、必ずしも同じ実施形態を指しているものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において、任意の好適な様式において組み合わされ得る。
【0023】
様々な実施形態の要素を提示する際、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、要素のうちの1つ以上があることを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、非排他的であることが意図され、列記された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味するものである。
【0024】
ここで図面を参照すると、図1は、ターボ機械と一体化された例示的な固体酸化物燃料電池システムの概略図を示す。提案された構成の中心には、空気と燃料との間の電気化学反応を容易にして電力を発生させる加圧された固体酸化物燃料電池(SOFC)システム1がある。電気モータ2によって駆動される低圧圧縮機3と、ガス膨張機5によって駆動される高圧圧縮機4とが、固体酸化物燃料電池(SOFC)システム1の上流のSOFC空気供給ライン上に配置され、二段階圧縮によりSOFCシステム1に向けて送られる空気を圧縮するように構成される。熱交換器6は、高圧圧縮機4の下流でSOFC空気供給ライン上に配置され、高圧圧縮機4からの空気とSOFCシステム1からの排気ガス16との間の熱交換を可能にするように構成される。熱交換器6はまた、SOFCシステム1の上流のSOFC燃料供給ラインの燃料流と、SOFCシステム1からの排気ガス16との間の熱交換を可能にするように構成される。SOFCシステム1は、当該SOFC燃料供給ラインからの空気及び未利用燃料の燃焼を容易にするための一体のゾーン又は燃焼室7からなる。最後に、膨張機5は、熱交換器6の下流でSOFCシステム排気ライン上に配置され、高温排気ガス流17によって駆動される。膨張機5は、共通シャフト8により高圧圧縮機4に接続されている。
【0025】
これまで説明してきた図1の概略図では、熱交換器6はSOFCシステム1の外部にあるが、他の実施形態では、熱交換器6はSOFCシステム1と一体化であってもよい。
【0026】
これまで説明してきた図1の概略図では、燃焼室7はSOFCシステム1と一体であるが、他の実施形態では、燃焼室7はSOFCシステム1の外部にある。いずれにしても、この燃焼室7は、当該SOFC燃料供給ラインからの空気及び未利用燃料のみの燃焼を容易にするものとする。
【0027】
本開示によれば、第1の実施形態は、常に以下を含むものとする。
【0028】
-電気モータ駆動の低圧圧縮機、
-高圧圧縮機、
-当該高圧圧縮機を駆動する膨張機、
-低温流と高温流との間の熱交換を容易にする熱交換器、及び
-以下からなる固体酸化物燃料電池システム、
・圧縮された空気又は任意の他の適合性のある酸化剤を圧縮システムから受け取る手段、
・天然ガス、アンモニア、水素、バイオガスを含むがこれらに限定されない任意の適合性のある燃料を受け取る手段、
・受け取った圧縮された酸化剤及び燃料を予熱する手段、
・受け取った燃料と酸化剤との間の電気化学反応により電力を生成する手段、
・電気化学反応において利用されない燃料及び酸化剤を燃焼させる手段。
【0029】
加えて、本開示によれば、固体酸化物燃料電池は、同様の圧力及び温度条件で、同様の効率又はより高い効率で動作するように適合された任意の燃料電池によって置き換えることができる。
【0030】
図1に示すターボ機械と一体化された固体酸化物燃料電池システムは、以下のように動作する。SOFCシステム1への空気は、二段階圧縮により圧縮され、空気流は、空気流ライン11を通って低圧圧縮機3に向けて送られて、第1の段階の圧縮を受け、第1の段階の圧縮からの空気流は、部分的に圧縮された空気流ライン12を通って、ガス膨張機5によって駆動される高圧圧縮機4に向けて送られて、第2の段階の圧縮で更に圧縮される。圧縮された空気流13は、高圧圧縮機4から排出され、SOFCシステム1に供給される前に、SOFCシステム1から来る排気ガス流16との熱交換によりSOFC適合温度レベルにするために、熱交換器6に向けて送られる。熱交換器6はまた、燃料流10を通って外部源から送られる燃料流を加熱する。熱交換器6からの加熱された空気及び加熱された燃料は、次に、加熱された空気流ライン14及び加熱された燃料流ライン15を通ってSOFCシステム1に向けて送られる。SOFCシステム1において、加熱された空気及び加熱された燃料は、それぞれカソード及びアノードにおいて電気化学反応を受けて電力を発生させる。未利用燃料及び空気は燃焼室7に送られ、そこで燃焼される。この燃焼は、燃焼室7からの排気ガス流の温度を更に上昇させる。次に、高温の排気ガス流は、高温排気ガス流ライン16を通って熱交換器6に向けて送られ、熱交換器6で一定量の熱を失った後、高圧排気ガス流ライン17を通って膨張機5に向けて送られる。次いで、高圧排気ガス流は、膨張機5内で膨張される。膨張機5は、この膨張により発生した動力を、共通のシャフト8により高圧圧縮機4を駆動するために伝達する。
【実施例
【0031】
実施例1
引き続き図1を参照して、一実施例を以下に開示する。以下の実施例では、同じ参照番号は、図1にすでに例示されており、上で説明したものと同じ又は対応する部品、要素、又は構成要素を表し、ここでは再度説明しない。
【0032】
この実施例では、4バラ(bara)の最大入口圧力が、膨張機5の動作限界として課され、この値は、市場の多くの高利得膨張機の構造的限界である。
【0033】
この実施例によれば、SOFC7のパラメータは以下の通りであった。
-動作圧力:約5バール
-排気温度:800℃
-電池電圧:0.841V
-100%の効率を有する内部改質器タイプ
【0034】
電気モータ2で駆動される低圧圧縮機3の動作パラメータは以下の通りであった。
-圧力比:1.5、流れ:空気、質量流量:20kg/s
-等エントロピー効率:85.7%
-機械効率:97%
-EMGB効率:90%
【0035】
高圧圧縮機4の動作パラメータは以下の通りであった。
-圧力比:4、流れ:空気、質量流量:20kg/s
-等エントロピー効率:85.7%
-機械効率:97%
【0036】
膨張機5の動作パラメータは以下の通りであった。
-圧力比:4;22.7kg/s流量:入口温度:482℃
-等エントロピー効率:85%
【0037】
熱交換器6の動作パラメータは以下の通りであった。
-有効性:60%
-熱交換器の両端の考えられる圧力低下:1.5バール
-最高温度:800℃
【0038】
図1を常に引き続き参照すると、同じ参照番号は、図1にすでに例示され上述された同じ流れを指定し、各流れのパラメータ値は、表1に例示される。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例1における構成要素の燃料消費及び対応する電力は、上記仮定から導き出され、以下の通りである。
-SOFC燃料入口:0.31kg/s
-燃料電池電力:9762kW
-シャフト正味電力:241kW
-EM電力:946kW
-総正味電力:9057kW
【0041】
実施例1のこの一体型システムの得られた効率は、60.42%に等しい。
【0042】
上記の実施例から、10MWまでの電力範囲について本開示に従って定義されるものとしてのシステムは、燃料電池の排気を利用して、膨張機を通してエネルギーを更に回収し、それによってシステムの全体的な効率を更に増加させるように機能することができることが明らかである。膨張機と燃料電池とをこのように一体化させない場合、空気を圧縮するために必要とされる電力は、燃料電池から引き出され、したがって、システム効率を低減させる。システムの効率は、最適圧力までは圧力とともに増加し、その後は一定のままである。10バールの圧力までの上記の実施例からのシステムの効率の変化は、60.42%~63.5%の範囲で検証することができる。63.5%の効率が達成された後、効率は一定のままであり、材料に実質的な影響を与え、高耐圧材料を選択する必要がある。
【0043】
実施例2
引き続き図1を参照して、更なる実施例を以下に開示する。この実施例では、4バラ(bara)の最大入口圧力が、膨張機5の動作限界として課された。本実施例によれば、より少量の空気流、すなわち2kg/sを使用して、低電力に対する解決策の適応性を実証した。
【0044】
この実施例によれば、SOFC7のパラメータは以下の通りであった。
-動作圧力:約5バール
-排気温度:800℃
-電池電圧:0.841V
-100%の効率を有する内部改質器タイプ
【0045】
電気モータ2で駆動される低圧圧縮機3の動作パラメータは以下の通りであった。
-圧力比:1.5、流れ:空気、質量流量:2kg/s
-等エントロピー効率:85.7%
-機械効率:97%
-EMGB効率:90%
【0046】
高圧圧縮機4の動作パラメータは以下の通りであった。
-圧力比:4、流れ:空気、質量流量:2kg/s
-等エントロピー効率:85.7%
-機械効率:97%
【0047】
膨張機5の動作パラメータは以下の通りであった。
-圧力比=4
-等エントロピー効率:80%
【0048】
熱交換器6の動作パラメータは以下の通りであった。
-有効性:60%
-熱交換器の両端の考えられる圧力低下:1.5バール
-最高温度:800℃
【0049】
図1を常に引き続き参照すると、同じ参照番号は、図1にすでに例示され上述された同じ流れを指定し、各流れのパラメータ値は、表2に例示される。
【0050】
【表2】
【0051】
実施例2における構成要素の燃料消費及び対応する電力は、上記仮定から導き出され、以下の通りである。
-SOFC燃料入口:0.031kg/s
-燃料電池電力:976kW
-シャフト正味電力:0kW
-EM電力:95kW
-総電力:881kW
【0052】
実施例2のこの一体型システムの得られる効率は、58.8%に等しい。
【0053】
上記の実施例から、マイクログリッド用途の1MWまでの電力範囲について本開示に従って定義されるものとしてのシステムは、燃料電池の排気を利用して、膨張機を通してエネルギーを更に回収し、それによってシステムの全体的な効率を更に増加させるように機能することができることが明らかである。膨張機と燃料電池とをこのように一体化させない場合、空気を圧縮するために必要とされる電力は、燃料電池から引き出され、したがって、システム効率を低減させる。システムの効率は、最適圧力までは圧力とともに増加し、その後は一定のままである。低電力用途の低い効率は、電力範囲において選択された膨張機のより低い等エントロピー効率に起因する。7バールの圧力までの上記の実施例からのシステムの効率の変化は、58.8~60.5%の範囲で検証することができる。
【0054】
ここで図2を参照すると、第2の実施形態による、ターボ機械と一体化された例示的な固体酸化物燃料電池システムの概略図が示されている。提案された構成の中心には、空気と燃料との間の電気化学反応を容易にして電力を発生させるSOFCシステム21がある。電気モータ22によって駆動される低圧圧縮機23と、高圧膨張機25によって駆動される高圧圧縮機24とが、SOFCシステム21の上流のSOFC空気供給ライン上に配置され、二段階圧縮によりSOFCシステム21に向けて送られる空気を圧縮するように構成される。熱交換器26は、高圧圧縮機24の下流でSOFC空気供給ライン上に配置され、高圧圧縮機24からの空気とSOFCシステム21からの排気ガスとの間の熱交換を可能にするように構成される。熱交換器26はまた、SOFCシステム21の上流のSOFC燃料供給ラインの燃料流30と、SOFCシステム21からの排気ガス36との間の熱交換を可能にするように構成される。SOFCシステム21は、流れ35からの空気及び未利用燃料の燃焼を容易にするために、一体のゾーン又は燃焼室27からなるべきである。高圧膨張機25は、熱交換器26の下流で、SOFCシステム排気ライン37上に配置される。高圧膨張機25は、共通シャフトにより高圧圧縮機24に接続されている。
【0055】
この第2の実施形態によれば、第2の熱交換器28は、高圧膨張機25の上流でSOFCシステム排気ライン37上に配置され、熱交換器26からの高圧排気流37の温度を、高圧膨張機25からの排気ガス流39と熱交換することによって低下させることができるように構成される。この構成は、SOFCシステム21に向けて送られる空気及び燃料との熱交換後のSOFC排気の温度が、低出力膨張機の典型的な温度制限よりも依然として高く、入口温度が膨張機設計の制約である場合に必要とされる。最後に、低圧膨張機29は、利用可能なエネルギーを更に回収するために熱交換器28の下流で排気流40上に配置される。低圧膨張機29は、共通シャフトにより高圧膨張機25及び高圧圧縮機24に接続される。膨張を2段階に分割することはまた、高圧膨張機25の低温の排気39を加熱するためにSOFC排気を使用することを可能にし、したがって、高い入口温度の制約のために単一段階膨張が可能でないとき、システムの効率を増加させる。
【0056】
これまで説明してきた図2の概略図では、燃焼室27はSOFCシステム21と一体であるが、他の実施形態では、燃焼室27はSOFCシステム21の外部にある。いずれにしても、この燃焼室は、流れ35からの空気及び未利用燃料のみの燃焼を容易にするものとする。
【0057】
本開示によれば、第2の実施形態は、常に以下を含むものとする。
-電気モータ駆動の低圧圧縮機、
-高圧圧縮機、
-当該高圧圧縮機を駆動する再加熱能力を有するターボ膨張機、
-低温流と高温流との間の熱交換を容易にする熱交換器、及び
-以下からなる固体酸化物燃料電池システム、
・圧縮された空気又は任意の他の適合性のある酸化剤を圧縮システムから受け取る手段、
・任意の適合性のある燃料を受け取る手段、
・受け取った圧縮された酸化剤及び燃料を予熱する手段、
・受け取った燃料と酸化剤との間の電気化学反応により電力を生成する手段、
・電気化学反応において利用されない燃料及び酸化剤を燃焼させる手段。
【0058】
加えて、本開示によれば、固体酸化物燃料電池は、同様の圧力及び温度条件で、同様の効率又はより高い効率で動作するように適合された任意の燃料電池によって置き換えることができる。
【0059】
図2に示すターボ機械と一体化された固体酸化物燃料電池システムは、以下のように動作する。SOFCシステム21への空気は、二段階圧縮により圧縮され、空気流は、空気流ライン31を通って低圧圧縮機23に向けて送られて、第1の段階の圧縮を受け、第1の段階の圧縮からの空気流は、部分的に圧縮された空気流ライン32を通って、高圧膨張機25及び低圧膨張機29によって駆動される高圧圧縮機24に向けて送られて、第2の段階の圧縮で更に圧縮される。圧縮された空気流33は、高圧圧縮機24から排出され、SOFCシステム21に供給される前に、SOFCシステム21から来る排気ガス流36との熱交換によりSOFC適合温度レベルにするために、熱交換器26に向けて送られる。熱交換器26はまた、燃料流30を通って外部源から送られる燃料流を加熱する。熱交換器26からの加熱された空気及び加熱された燃料は、次に、加熱された空気流ライン34及び加熱された燃料流ライン35を通ってSOFCシステム21に向けて送られる。SOFCシステム21において、加熱された空気及び加熱された燃料は、それぞれカソード及びアノードにおいて電気化学反応を受けて電力を発生させる。未利用燃料及び空気は燃焼室27に送られ、そこで燃焼される。この燃焼は、燃焼室27からの排気ガス流の温度を更に上昇させる。次に、高温の排気ガス流は、高温排気ガス流ライン36を通って熱交換器26に向けて送られ、熱交換器26で一定量の熱を失った後、まず、高圧排気ガス流ライン37を通って第2の熱交換器28に向けて送られる。第2の熱交換器28は、高圧排気ガス流37が高圧排気ガス流ライン38を通って高圧膨張機25に送られる前に、排気ガス流ライン39を通って第2の熱交換器28に送られる高圧膨張機25からの排気ガス流と熱を交換することによって、高圧排気ガス流37の温度を低下させることを可能にする。最後に、熱交換器28の下流で、高圧膨張機25からの排気ガスは、低圧膨張機の供給ライン40を通って低圧膨張機29に向けて送られる。低圧膨張機における排気ガス流の膨張は、追加の動力を発生させることを可能にする。この追加の動力は、膨張機25での膨張によって発生した動力とともに、共通シャフトにより高圧圧縮機24に伝達される。
【0060】
実施例3
引き続き図2を参照して、一実施例を以下に開示する。以下の実施例では、同じ参照番号は、図2にすでに例示されており、上で説明したものと同じ又は対応する部品、要素、又は構成要素を表し、ここでは再度説明しない。
【0061】
この実施例では、10バラ(bara)の圧力がSOFCシステム21に印加された。
【0062】
この実施例によれば、SOFC21のパラメータは以下の通りであった。
-動作圧力:10バール
-排気温度:800℃
-電池電圧:0.859V
-100%の効率を有する内部改質器タイプ
【0063】
電気モータ22で駆動される低圧圧縮機23の動作パラメータは以下の通りであった。
-圧力比:2、流れ:空気、質量流量:2kg/s
-等エントロピー効率:85.7%
-機械効率:97%
-EMGB効率:90%
【0064】
高圧圧縮機24の動作パラメータは以下の通りであった。
-圧力比:5.5、流れ:空気、質量流量:2kg/s
-等エントロピー効率:85.7%
-機械効率:97%
【0065】
高圧膨張機25の動作パラメータは以下の通りであった。
-圧力比=2.9
-等エントロピー効率:80%
【0066】
低圧膨張機29の動作パラメータは以下の通りであった。
-圧力比=2.43
-等エントロピー効率:80%
【0067】
図2を常に引き続き参照すると、同じ参照番号は、図2にすでに例示され上述された同じ流れを指定し、各流れのパラメータ値は、表3に例示される。
【0068】
【表3】
【0069】
実施例3における構成要素の燃料消費及び対応する電力は、上記仮定から導き出され、以下の通りである。
-燃料電池燃料入口:0.031kg/s
-燃料電池電力:997kW
-シャフト正味電力:38kW
-EM電力:230kW
-総電力:805kW
【0070】
実施例3のこの一体型システムの得られた効率は、53.7%に等しい。
【0071】
この実施例は、SOFCからの高い排気温度又は膨張機における高い入口温度に対処する際の課題の場合に適用可能である。本開示のこの実施形態によれば、中間冷却熱交換器が導入され、高圧膨張機25への供給物の温度を低減することを可能にする。システムの効率の変化は、膨張に利用可能なより低いエンタルピーをもたらす追加の機器圧力損失に起因する。
【0072】
本発明の態様は、様々な特定の実施形態に関して説明されてきたが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲を逸脱することなく多くの修正、変更、及び省略が可能であることが、当業者には明らかであろう。加えて、本明細書で別段の指定がない限り、いずれのプロセス又は方法ステップの順序又は配列も、代替的な実施形態に従って変更又は再配列され得る。
図1
図2
【国際調査報告】