(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-09
(54)【発明の名称】筋ジストロフィー、多発性硬化症、および/または関連疾患を、改善、予防、および/または処置するための組成物。
(51)【国際特許分類】
A23L 33/145 20160101AFI20241202BHJP
A23L 33/125 20160101ALI20241202BHJP
A61K 31/716 20060101ALI20241202BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20241202BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241202BHJP
A61K 35/74 20150101ALI20241202BHJP
C12N 1/14 20060101ALN20241202BHJP
【FI】
A23L33/145
A23L33/125
A61K31/716
A61P21/04
A61P25/00
A61K35/74 D
C12N1/14 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579638
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2022041412
(87)【国際公開番号】W WO2023106009
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2021200800
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022042559
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594063474
【氏名又は名称】株式会社ソフィ
(71)【出願人】
【識別番号】512083551
【氏名又は名称】有限会社ジーエヌコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾仲 隆
(72)【発明者】
【氏名】アブラハム,サミュエル ジェイケー
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018MD33
4B018MD81
4B018ME14
4B018MF13
4B065AA57X
4B065CA44
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA20
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA94
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC04
4C087CA14
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA94
(57)【要約】
本発明は、筋ジストロフィーを、改善、予防、および/または処置するための、ベータ-グルカン、該ベータ-グルカンを含む組成物、および該ベータ-グルカンの使用方法を提供するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベータ-グルカンを含む、筋ジストロフィー、および/または多発性硬化症を改善、予防、および/または処置するための組成物。
【請求項2】
ベータ-グルカンが、オウレオバシディウム・プルランスN-163(NITE P-03377)によって産生されるベータ-グルカンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
デュシェンヌ型筋ジストロフィーを、改善、予防、および/または処置するために使用される、請求項1または2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年12月10日に出願された「A composition for improving, preventing and/or treating muscular dystrophy, multiple sclerosis and/or related diseases」と題する日本出願第2021-200800号、ならびに2022年3月17日に出願された「A composition for improving, preventing and/or treating muscular dystrophy, multiple sclerosis and/or related diseases」と題する日本出願第2022-42559号の出願日の利益を主張するものであり;それらの内容は、それら全体が参照されることによって本明細書に組み込まれる。
【0002】
デュシェンヌ型筋ジストロフィーを持つ若年男児における、オウレオバシディウム・プルランスのN-163株が産生する1,3-1,6ベータグルカンの疾患修飾免疫調節効果について、非盲検、前向き、無作為化、比較、多部門臨床研究の結果とともに開示する。
【0003】
本発明は、筋ジストロフィー、多発性硬化症、および/または関連疾患を、改善、予防および/または処置するためのベータ-グルカンに関する。本発明はまた、筋ジストロフィー、多発性硬化症、および/または関連疾患を改善、予防、および/または処置するためのベータ-グルカンを含む組成物、ならびに筋ジストロフィー、多発性硬化症、および/または関連疾患を改善、予防、および/または処置するためのベータ-グルカンの使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
はじめに:
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、重度のかつ進行性の骨格筋の衰弱をもたらす壊滅的なX連鎖性神経筋障害であり、心筋および呼吸筋の随伴性欠陥を伴う歩行困難および早期死亡につながる。ジストロフィンタンパク質の完全喪失[2]をもたらすジストロフィン遺伝子における突然変異は、依然として主要な根本的メカニズムである。ジストロフィンの喪失は、筋繊維の原形質膜の損傷へつながり、原形質の構造的安定性をゆがめ、筋繊維の衰弱へとつながる。弱められた筋繊維は、筋肉機能中に起こる収縮および弛緩のサイクルに耐え得ない。膜への損傷は細胞質内含有物を放出し、免疫系を誘発し、さらなる筋線維の損傷、衰弱、および最終的には死をもたらす[3]。好中球浸潤およびマクロファージの変性組織の食作用[3]によって、慢性的な炎症促進状態が続き、他の生理学的条件においては、そうでなければより早く修復されるための高度に調整されたやり方で起こる筋損傷の修復を妨げる。筋肉は相対的に免疫学的特権があり、局所的な免疫応答を生成する能力が低く、膿瘍および肉芽腫の形成率が低い[3]。したがって、DMDへの治療的アプローチにおいては、慢性炎症状態を回復させるために炎症および免疫を調節することが不可欠となる。ステロイド療法は、最も一般的に用いられている免疫調節処置のアプローチである。しかしながら、副作用は、疾患の悪化に寄与する長期にわたる筋肉の衰弱および萎縮に加え、体重増加、骨弱化、高血圧、および行動の変化を包含する[4,5]。したがって、副作用の少ない免疫調節を支援する戦略を開発する必要がある。栄養補助食品は潜在的な選択肢である。DMDのゼブラフィッシュモデルにおいて運動改善を生じるベータグルカン[6]の他に、黒酵母オウレオバシディウム・プルランスのN-163株由来の1,3-1,6ベータグルカンは、炎症をやわらげることが報告されており、それはCD11b、血清フェリチン、ガレクチン-3、およびフィブリノーゲンなどの抗炎症マーカーの減少によって明らかである。それはまた、ヒトの健康なボランティアにおいて、好中球対リンパ球比(NLR)の減少、およびリンパ球対CRP比(LCR)および白血球対CRP比(LeCR)の増大を介して、有益な免疫調節を生ずる[7]。マウスの研究における、脂肪毒性に関連した炎症カスケードの緩和もまた報告されている[8]。非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の動物モデルにおいて行われた別の研究は、肝臓の炎症、および肝臓内のF4/80+細胞(炎症に関連するマクロファージ)の蓄積の減少を示した[9]。
本パイロット研究は、DMDを持つ患者において、従来の治療レジメンと比較して、A.プルランスのN-163株産生のベータ1,3-1,6グルカンの免疫調節効果を評価するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Ikewaki N, Kurosawa G, Iwasaki M, Preethy S, Dedeepiya VD, Vaddi S, Senthilkumar R, Levy GA, Abraham SJK. Hepatoprotective effects of Aureobasidium pullulans derived Beta 1,3-1,6 biological response modifier glucans in a STAM- animal model of non-alcoholic steatohepatitis. Journal of Clinical and Experimental Hepatology-2022. https://doi.org/10.1016/j.jceh.2022.06.008
【非特許文献2】Preethy S, Ikewaki N, Levy GA, Raghavan K, Dedeepiya VD, Yamamoto N, Srinivasan S, Ranganathan N, Iwasaki M, Senthilkumar R, Abraham SJK. Two unique biological response-modifier glucans beneficially regulating gut microbiota and faecal metabolome in a non-alcoholic steatohepatitis animal model, with potential for applications in human health and disease. BMJ Open Gastroenterology 2022;9:e000985. doi: 10.1136/bmjgast-2022-000985
【非特許文献3】Raghavan K, Dedeepiya VD, Srinivasan S, Pushkala S, Subramanian S, Ikewaki N, Iwasaki M, Senthilkumar R, Preethy S, Abraham S. Disease-modifying immune-modulatory effects of the N-163 strain of Aureobasidium pullulans-produced 1,3-1,6 Beta glucans in young boys with Duchenne muscular dystrophy: Results of an open-label, prospective, randomized, comparative clinical study. medRxiv 2021.12.13.21267706; doi: 10.1101/2021.12.13.21267706
【非特許文献4】Vetvicka V, Vetvickova J. Combination Therapy with Glucan and Coenzyme Q10 in Murine Experimental Autoimmune Disease and Cancer. Anticancer Res. 2018 Jun;38(6):3291-3297. doi: 10.21873/anticanres.
【発明の概要】
【0007】
本発明は、以下に関する:
(1)ベータ-グルカンを含む、筋ジストロフィー、および/または多発性硬化症を改善、予防、および/または処置するための組成物。
(2)ベータ-グルカンが、オウレオバシディウム・プルランスN-163(NITE P-03377)によって産生されるベータ-グルカンを含む、(1)に記載の組成物。
(3)デュシェンヌ型筋ジストロフィーを、改善、予防、および/または処置するために使用される、(1)または(2)に記載の組成物。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2:IL-6は、他のグループと比較して、N-163ステロイド-veグループにおいて最も有意な減少を示した(
*p値の有意性<0.05)。
【
図3】
図3:IL-13レベルのレベルは、対照グループにおいて統計的に有意な増大を、ならびに処置グループにおいて減少を示した(
*p値の有意性<0.05)。
【
図4】
図4:TGF-βのレベルは、他のグループと比較して、N-163ステロイド-veグループにおいて有意な減少を示した(
*p値の有意性<0.05)。
【
図5】
図5:ジストロフィンのレベルは、他のグループと比較して、N-163ステロイド-veグループにおいて有意な増大を示した(
*p値の有意性<0.05)。
【
図6A】
図6:本研究のさまざまなグループにおける、A.ハプトグロビン;B.CK、およびC.尿中ミオグロビンのレベル(
*p値の有意性<0.05)。
【
図6B】
図6:本研究のさまざまなグループにおける、A.ハプトグロビン;B.CK、およびC.尿中ミオグロビンのレベル(
*p値の有意性<0.05)。
【
図6C】
図6:本研究のさまざまなグループにおける、A.ハプトグロビン;B.CK、およびC.尿中ミオグロビンのレベル(
*p値の有意性<0.05)。
【
図7A】
図7:本研究のさまざまなグループにおける、A.タイチン、B.TNF-α、およびC.シスタチンCのレベル(
*p値の有意性<0.05)。
【
図7B】
図7:本研究のさまざまなグループにおける、A.タイチン、B.TNF-α、およびC.シスタチンCのレベル(
*p値の有意性<0.05)。
【
図7C】
図7:本研究のさまざまなグループにおける、A.タイチン、B.TNF-α、およびC.シスタチンCのレベル(
*p値の有意性<0.05)。
【
図8A】
図8:本研究のさまざまなグループにおける、6MWTおよびNSAAの結果(
*p値の有意性<0.05)。
【
図8B】
図8:本研究のさまざまなグループにおける、6MWTおよびNSAAの結果(
*p値の有意性<0.05)。
【
図9】筋ジストロフィーを管理するための血管平滑筋ジストロフィンを中心としたアプローチの図解。
【
図13】以下の文献において報告されているmdxマウスにおける増大したLDH:Murphy S, Dowling P, Zweyer M, Henry M, Meleady P, Mundegar RR, Swandulla D, Ohlendieck K. Proteomic profiling of mdx-4cv serum reveals highly elevated levels of the inflammation-induced plasma marker haptoglobin in muscular dystrophy. Int J Mol Med. 2017 Jun;39(6):1357-1370. doi: 10.3892/ijmm.2017.2952
【
図18】
図18は、HE染色された筋切片の代表的な顕微鏡写真を示す。
【
図20】
図20は、N-163における減少した炎症スコアを示す。
【
図21】
図21は、シリウスレッド染色された筋切片の代表的な顕微鏡写真を示す。
【
図22】
図22は、線維化領域(シリウスレッド染色)を示す。
【
図23】
図23は、マッソンの三重染色された筋切片の代表的な顕微鏡写真を示す。
【
図24】
図24は、線維化領域(マッソンの三重染色陽性領域)を示す。
【
図26】
図26は、N-163後のバクテロイデスの増大を示す。
【
図27】
図27は、Faecalibacterium prausnitziiがN-163後に、最も存在量の多い種であったことを示す。
【
図28】
図28は、N-163ベータグルカン後に腸内細菌が減少、しかし対照グループにおいては増大ということを示す。
【
図29】
図29は、N-163ベータグルカン後にラクトバチルスが増大、しかし対照グループにおいては減少ということを示す。
【
図30】
図30は、N-163ベータグルカン後にロゼブリアが増大、しかし対照グループにおいては減少ということを示す。
【
図31】
図31は、N-163ベータグルカン後にビフィドバクテリウムが増大、しかし対照グループにおいては減少ということを示す。
【
図32】
図32は、N-163ベータグルカン後のプレボテラの増大を示す。
【
図33】
図33は、N-163ベータグルカン後にアリスティペスが減少、しかし対照グループにおいては増大ということを示す。
【
図34】
図34は、N-163ベータグルカン後にファーミキューテスが減少、しかし対照グループにおいては増大ということを示す。
【
図35】
図35は、N-163ベータグルカン後のAkkermansia mucinipihlaの減少を示す。
【
図36】
図36は、MRCの筋力グレードをパーセンテージで示す。
【
図41】
図41は、N-163後のC反応性タンパク質(CRP)の減少を示す。
【
図42】
図42は、N-163後のバクテロイデスの増大、およびファーミキューテスの減少を示す。
【
図44】
図44は、N-163介入後にFaecalibacterium prausnitziiの存在量が増大したことを示す。
【
図45】
図45は、N-163介入後にPrevotella copriの存在量が増大したことを示す。
【
図46】
図46は、N-163介入後にBifidobacterium longumの存在量が増大したことを示す。
【
図47】
図47は、N-163介入後にStreptococcus parasanguinisの存在量が減少したことを示す。
【
図48】
図48は、N-163介入後にStreptococcus salivariusの存在量が減少したことを示す。
【
図49】
図49は、N-163介入後にParabacteroides distasonisの存在量が増大したことを示す。
【
図50】
図50は、N-163介入後にRoseburia intestinalisの存在量が増大したことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[発明の詳細な説明]
本発明において使用されるグルカンは、オウレオバシディウム・プルランスAPNN-M163株(本明細書では「M163株」、または「N-163株」とも呼ばれる)由来のグルカンであり得て、好ましくはN-163由来のβ-1,3-1,6グルカン(本明細書では単に「N-163グルカン」、または「N-163ベータグルカン」とも呼ばれる)である。「オウレオバシディウム・プルランスAPNN-M163株」は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(〒292-0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)にて、寄託番号NITE P-03377として、2021年2月9日に寄託されている。
【0010】
N-163株によって産生されるグルカンは、以下の化学構造を有すると推定された(日本国特許出願第2021-187255号)。
【化1】
【0011】
本発明の組成物は、ヒトを包含する哺乳動物によって摂取される場合に、その機能を発揮する。本明細書に使用されるとき、用語「摂取」は、ヒトの体に入り得る限り、いずれの投与経路も限定されず、経口投与、経管投与、および経腸投与などの、すべての既知の投与方法によって実現される。一般的には、経口摂取、および消化管を介した経腸摂取が望ましい。
【0012】
本発明の投与量は、投与経路、年齢、体重、および症状などのさまざまな要素を考慮して適宜設定され得る。本発明の組成物の投与量は特に限定されないが、グルカンの量は好ましくは0.05mg/kg/日以上、より好ましくは0.5mg/kg/日以上、特に好ましくは1.0mg/kg/日である。しかしながら、長期間にわたって摂取する場合は、その量は上述の好ましい量よりも小さくてよい。さらに、本発明において使用されるグルカンは、十分な食経験を有し、安全性の点から問題ない。したがって、上述の量をはるかに超える量(例えば、10mg/kg/日以上)も可能である。
【0013】
本発明の組成物は、食品または飲料として使用され得る。本発明の組成物は、特定保健用食品および栄養機能食品などの特別用途食品として、ヒトなどの動物へ投与することによって、線維症に関連するさまざまな疾患に対して、処置または予防が達成され得る。
【0014】
本発明の組成物が食品または飲料として使用される場合、食品または飲料の種類は特に限定されない。さらに、食品または飲料の形状は特に限定されず、通常使用される食品または飲料のいずれの形状であってよい。例えば、それは、固体形状(粉末および顆粒形状を包含する)、ペースト形状、液体形状、および懸濁液形状などの、いずれの形状であってもよく、ならびにこれらの形状に限定されるものではない。
【0015】
医薬として使用される場合、本発明の組成物が腸に届くので、経口投与され得る剤形が好ましい。本発明による薬剤の好ましい剤形の例は、錠剤、コーティング錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末剤、溶液剤、シロップ剤、トローチ剤等を包含する。これらのさまざまな製剤は、活性成分であるグルカン、賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、着色剤、香味剤、可溶化剤、懸濁化剤、コーティング剤等を使用することによって常法に従って製剤化される。医薬製剤の技術分野において通常使用される補助剤を混合することによって製剤化され得る。
【0016】
いくつかの態様において、本発明は、本発明の効能を強化するために、他の食品、飲料、薬剤、およびいずれの他の物質と組み合わせても使用され得る。
【0017】
一態様において、本発明の組成物または医薬は、筋ジストロフィー、多発性硬化症、および/または関連疾患の患者など、それを必要とする対象の腸内微生物叢を改善し得て、それにより、本発明の組成物または医薬は、これらの疾患を改善、予防、および/または処置し得る。
【0018】
一態様において、腸内微生物叢を改善することは、腸内細菌の減少、ラクトバチルスの増大、ロゼブリアの増大、ビフィドバクテリウムの増大、プレボテラの増大、アリスティペスの減少、ファーミキューテスの減少、アッカーマンシアの減少、またはそれらの組み合わせを包含するが、これらに限定されず、ここで、本発明の組成物または医薬は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)などの筋ジストロフィーを改善、予防、および/または処置するために使用され得る。
【0019】
腸内細菌は、炎症応答を高めることが説明されており、したがってその減少は多発性硬化症およびDMDにおいて有益であろう(参考:https://www.mdpi.com/2076-2607/9/4/697/htm)。
ラクトバチルス種の回復は、炎症性サイトカインを減少させることが示されており、N-163によってそれが増大することはMSにおいて有益である(参考:https://www.mdpi.com/2076-2607/9/4/697/htm)。
ロゼブリアの増大は、それが酪酸(有益な代謝産物)を産生する細菌であるため、腸の健康のマーカーである(参考:Future Microbiol 2017: 157-170)。
Bifidobacterium longumは、筋肉機能および認知技量を増大させることが報告されている(参考:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7745561/)。したがって、N-163後のBifidobacterium longumの増大は有益である。
アリスティペスは、炎症および上皮の変化に寄与する(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7745561/)。ファーミキューテスは、宿主の炎症レベルに影響を与えることで、うつ病の発症において役割を担う(https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcimb.2022.831186/)。PDおよびMSを持つ患者においては、アッカーマンシアの存在量の増大が報告されている(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28843021/)。そのため、これらの細菌が減少することは有益である。
【0020】
別の態様において、腸内微生物叢を改善することは、バクテロイデス(Bacteridetes)の増大、ファーミキューテスの減少、プレボテラの増大、Faecalibacterium prausnitziiの増大、Prevotella copriの増大、Bifidobacterium longumの増大、Streptococcus parasanguinisの減少、Streptococcus salivariusの減少、Parabacteroides distasonisの増大、Roseburia intestinalisの増大、またはそれらの組み合わせを包含するが、これらに限定されず、ここで、本発明の組成物または医薬は、多発性硬化症を改善、予防、および/または処置するために使用され得る。
【0021】
MS患者は、プレボテラ属、特にPrevotella copriに属する細菌の減少を伴う腸内毒素症を呈して来た(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30513004/;https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5730390/)。抗炎症性常在細菌であるフィーカリバクテリウム(Fecalibacterium)は、MSを持つ患者においては少ないことが報告されている(J Investig Med. 2015 Jun;63(5):729-34. doi: 10.1097/JIM.0000000000000192.)。ビフィドバクテリアは免疫応答の調整において実質的な役割を有し、MS患者の腸内では、ビフィドバクテリアの出現頻度が低いことが報告されている(https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2211034819303554)。MS患者においては、Parabacteroides distasonisの存在量が減少する(https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1711235114)。R. intestinalisは、腸の炎症を予防することが示されている(https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcimb.2021.757718/full)。そのため、N-163後にこれらの細菌が増大することは有益である。
Streptococcus parasanguinis(www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.2011703117)、S. salivarius/thermophilus(www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.2011703117)が、MS患者において有意に増加していることが報告されている。そのため、N-163後にこれらの細菌が減少することは有益である。
【実施例】
【0022】
例1
方法:
この試験は、DMDを持つ患者の、治験責任医師主導、単一施設、無作為化、非盲検、前向き、比較、2群間臨床研究である。この研究は、45日にわたり運営された。包含する2つの処置部門は以下である。
処置部門I、対照部門:薬物療法、すなわちT. deflocort(ステロイド)6mg~24mgの有無にかかわらず、T.カルシウムおよびビタミンD1000に加えて、関節可動性のための標準的な定型的理学療法を含む、従来の処置レジメン。
処置部門II、介入:従来の処置に加えて、1袋のN-163ベータグルカン(15gゲル)を1日1回。
包含基準:書面によるインフォームドコンセントを得て研究に参加する意思のある、DMDの分子診断を持つ6~18歳の男性対象。
除外基準:いずれかの他の治療治験に、以前に(過去1か月以内に)または同時に参加する患者;悪性が既知であるかまたは悪性の疑いのある患者;いずれかの他の慢性疾患、あるいは治験責任医師の判断による腎機能、肝機能、または心機能の臨床的に関連のある制限を持つ患者。
【0023】
調査:
以下の検査を、研究対象から書面による同意を得た後に実施した。
【0024】
ベースライン時、および研究終了時(45日後):
-背景調査:性別、生年月日、年齢、習慣、現在の病歴、服薬、処置、アレルギー(薬物および食品に対して)、特定保健用食品の定期的な使用、機能性食品、健康食品、ベータ-グルカンを含有するβグルカン食品が豊富な食品の摂取、ならびに免疫力を高める食品の摂取
-病歴および身体測定:身長、体重、BMI、体温
-生理学的検査:収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍数
-ECG
-MRCグレーディングを使用した筋力テスト[10]
-6分間歩行テスト(6MWT)[11]
-ノーススター歩行能力評価(NSAA)[12]
-採血、および血液中のIL-6、IL-13、TGF-β、クレアチニンキナーゼ(CK)、タイチン、ハプトグロビン、TNF-α、ジストロフィン、シスタチン、ならびに尿中のミオグロビンのレベルの調査
-服薬順守、および有害作用がある場合にはそれを記録するために、対象に毎週連絡した。
【0025】
研究対象=28
本研究は探索的研究として設計され、そのために2つの介入条件があった:1つの対照グループおよび1つの検査グループ。介入条件内および介入条件間の統計的比較に必要な最小参加者の数は、介入条件につき4人であるので、合計28人の標的研究参加者(処置部門I[対照]グループ10人、および、処置部門II[N-163]グループ18人)を使用した。
【0026】
研究対象の選択
研究の治験責任医師およびその他の治験責任医師は、研究への参加に同意し、除外基準ではなく包含基準を満たし、ならびに研究への参加に問題がないと判断された対象を包含した。
【0027】
研究対象の割り付け
割り付け担当者が、研究実施要綱に明記の通り、単純無作為化によって研究対象を2グループへ割り付けた。
【0028】
一次的成果:
-IL-6およびミオグロビン尿のレベルにおける、ベースラインからの変化の観察。
【0029】
二次的成果:
-血清中のIL-6、IL-13、TGF-β、CK、タイチン、ジストロフィン、ハプトグロビン、シスタチンC、およびTNF-αのレベル、ならびにELISAによって測定した尿ミオグロビンのレベルにおける変化の観察。
-有害作用のモニタリング
【0030】
統計分析:
すべてのデータは、Excel統計パッケージ分析ソフトウェア(Microsoft Office Excel(登録商標))を使用して分析し;スチューデントのt検定およびANOVAを使用した。有意な主たる効果があった場合は、事後的一対比較を行い、p値<0.05を有意と考えた。
【0031】
結果:
28人の患者をスクリーニングし、27人を対照(n=9)、および処置(n=18)へ無作為化した。1人の患者は診断の不正確な説明のため失格となった。本試験のCONSORTフロー図を
図1に示す。
対象者属性を
表1に示す。全研究母集団の平均年齢±標準偏差は、11.18±3.86歳(5~19歳の範囲)であり、グループにわたって同様であった。平均体重±標準偏差は35.59±15.5kg(範囲=10~65kg)であった。
【0032】
【0033】
患者の分布は以下の通りであった。
グループI:対照グループ(n=9);
A.ステロイド非投与(n=5)(ステロイド-ve)
B.ステロイド投与(n=4)(ステロイド+ve)
グループII:処置(N-163)グループ(n=18);
A.ステロイド非投与(n=9)(ステロイド-ve)
B.ステロイド投与(n=9)(ステロイド+ve)
【0034】
有害事象は報告されなかった。身体的検査、またはバイタルサイン(体温、血圧、酸素飽和度、脈拍数、またはECG)(データ示さず)において、ベースラインのデータから臨床的に有意な変化は観察されなかった。
【0035】
バイオマーカーレベル:
レベルは、平均値±標準偏差として表した。IL-6はN-163ステロイド-veグループにおいて最も大きな減少を示し、ベースライン値の7.2±1.2pg/mlから介入後2.7±0.03ng/mlとなったが、その差異は有意ではなかった(p値=0.16)(
図2)。
【0036】
IL-13は、ステロイド-veグループにおいてはベースライン時300.4±114.5pg/mlから介入後550.732±107.95pg/mlへ、ならびにステロイド+veグループにおいてはベースライン時142±112.82pg/mlから介入後263.5±99.38pg/mlへと、両対照グループにおいて増大した。それは、ベースライン時157.76±148.68pg/mlから介入後114.08±81.5pg/mlへ、およびベースライン時289.56±232.88pg/mlから介入後255.56±214.13pg/mlへと、両処置グループにおいて減少した。差異は、統計的に有意であった(p値=0.004)(
図3)。
図3:IL-13レベルは、対照グループにおいて統計的に有意な増大を示したが、処置グループにおいては減少した(
*p値の有意性<0.05)。
【0037】
TGF-βレベルは、ベースライン値の3302±1895ng/mlから介入後1325.66±517ng/mlへと、N-163ステロイド-veグループにおいて有意な減少を示し、これは他の全グループより有意に低かった(p値=0.0001)(
図4)。
【0038】
ジストロフィンレベルは、N-163ステロイド-veグループにおいては、ベースライン値の3.01±1.58ng/mlから介入後4.01±1.44ng/mlへと有意な増加を示し、N-163ステロイド+veグループは、ベースライン値の3.15±2.43ng/mlから介入後3.78±2.17ng/mlになり、これは対照グループよりも有意に高かった(p値=0.0009)(
図2)。N-163ステロイド-veグループは、N-163ステロイド+veグループより高いジストロフィン発現を示したが、その差異は有意ではなかった(p値=0.11)。処置グループにおけるジストロフィンレベルの増大は、最大32.8%であった。
【0039】
ハプトグロビンは、処置グループにおいては介入前後で大きな差異を示さなかったが、対照グループにおいてはわずかに増大した(
図6A)。CKは、処置グループにおいて増大した(
図6B)。尿ミオグロビンは、N-163ステロイド+veグループにおいて増大したが、他の全グループにおいて減少した(
図6C)。
【0040】
タイチンおよびシスタチンCは、N-163ステロイド+veグループおよび対照ステロイド+veグループにおいて減少したが、差異は有意ではなかった(
図7A、B)。TNF-αは、N-163ステロイド-veグループ以外の全グループにおいて減少した。
6MWTおよびNSAAは、グループ間でいずれの有意差も示さなかった(
図8A、B)。MRCグレーディングは、処置グループにおいて18人の患者中12人(67%)において改善を示したが、対照グループにおいては9人の対象中4人(44%)だけであった(表2)。
【0041】
【0042】
検討:
副腎皮質ステロイドおよびリハビリテーションケアなどの、DMDに対する現在の介入は、生存期間を20代または30代まで延長するのに役立つ。副腎皮質ステロイドは、未だに、炎症、ならびに関連する筋力および筋機能における低下を遅らせるための支持的アプローチの主流である[4]。しかしながら、ステロイドにはそれ自身の有害作用があり、それを処方することは、特定の患者にとっての危険性対有益性、および薬物に対する耐性に基づくものである。エクソンスキッピング遺伝子治療、および変異体DMD遺伝子を置換する細胞ベースの戦略が開発中であるが、所望の成果はまだ達成されていない。一方、栄養補助食品は、有害作用が少なく安全であることから、免疫調節および炎症を緩和するための潜在的な戦略であると考えられ得る[4]。筋ジストロフィーのゼブラフィッシュモデルにおける、1,3-1,6ベータ-グルカンによる運動性能およびミトコンドリア呼吸の改善[6]はすでに報告されている。
【0043】
本研究においては、黒酵母A.プルランスのN-163株由来の1-3,1-6ベータグルカンに注目し、これは、炎症を緩和することが報告され、抗炎症マーカーの減少および有益な免疫調節の産生によって証明されている[6~8]。N-163ベータグルカンの安全プロファイルが、本結果によって確認された。
【0044】
抗炎症および抗線維化の成果:DMDを持つ個体においては、血中IL-6が慢性的に上昇しており[13]、これが、DMDに関連する認知機能障害に寄与していることが報告されている。IL-6遮断薬は、DMDに対する治療アプローチとして提唱されている[14]。本研究において、IL-6は、N-163ステロイド-veグループにおいて最も高い減少を示した(
図2)。IL-6は、急性炎症性バイオマーカー(14)である一方、IL-13は、線維化促進性バイオマーカー[15]であり、有意に減少した(
図3)。TGF-β経路とともに、それは筋肉が瘢痕組織または線維症に置換することにつながる慢性炎症応答の要因であり、筋衰弱および筋機能の喪失という結果になる[16]主要な炎症促進性かつ線維化促進性サイトカインである。TGF-βレベルもまた、N-163ステロイド-veグループにおいて有意な減少を示した(
図4)。ジストロフィンの発現が20%回復[17,18]することは、DMD治療の有効性のポイントであると考えられており[19]、本研究の両方の処置グループにおいては、ベースラインから32.8%増大したことが発見された(
図5)。このことが、N-163ベータグルカンをDMDに対する有効な剤であるとして証明している。このジストロフィンの増大は、抗炎症性および抗線維化マーカー(IL-6、IL-13およびTGF-β)の制御を通して証明された免疫調節に起因し得る。
【0045】
関連性のある他の生化学的マーカー:ハプトグロビンおよび尿ミオグロビンは、有意差を示さなかったが、N-163ステロイド+veグループにおける尿ミオグロビンの増大は、根本的なメカニズムについて、より多くの分析をするに値する。ステロイド処置を受けた個体の活動量がより多くなると、ジストロフィン欠乏筋はより大きな機械的ストレス下に置かれ、筋線維のさらなる損傷およびその結果としてのミオグロビン尿症の素因となることもある[20]。N-163ステロイド+veグループにおいて、および対照ステロイド+veグループにおいて、タイチンおよびシスタチンCが減少した一方で、CKの増大があり、これは、タイチン濃度が血清CK濃度と有意に相関することが報告されている[21]ので、逆説的である。
【0046】
筋力評価:筋力および筋緊張を査定するため、ベースライン時および介入後に同じ理学療法士によって盲検で行われる3つの評価があった。6MWTおよびNSAAは、グループ間でいずれの有意差をも示さなかったが、MRCグレーディングは、対照グループにおいては44%の対象に筋力の改善を示したのと比較して、処置グループにおいては67%の対象に筋力の改善を示し、これは有意である。45日間の研究であるという限界は、筋力および機能評価に関連しており、より長い研究期間および追跡調査期間に対する必要性を要求している。しかしながら、わずかではあるが、45日目のMRCグレーディングにおける改善は、この疾患修飾サプリメントの免疫調節効果に再び起因し得る。本研究は、N-163ベータグルカンがDMDに対処し得るというコンセプトの証明を3つの側面から示している:すなわち、IL-6およびTNF-αの減少によって示される炎症の減少、TGF-βおよびIL-13の減少によって明らかな線維化の減少、さらに重要なこととして、ジストロフィンレベルにおける32.8%の増大から明らかなジストロフィンの回復である。これらの効果は、ステロイドの使用不使用に関係なく維持され、これは、この安全性が証明された食品サプリメントが、ステロイドの状況に関係なくDMD患者を助け得るので、重要なことである。
【0047】
慢性炎症はすべての筋ジストロフィーの病因に共通するものであり、免疫調節処置は様々なタイプの筋ジストロフィーを持つ患者に益するものであろう[22]。さらに、炎症応答を調節し、新たなジストロフィン発現に対する免疫学的耐性を誘導することは、ジストロフィン置換治療の成功に不可欠である[23]。呼吸機能に関与する筋肉および心筋の評価の必要性は、それらがDMD患者のほとんどにおいて死亡の原因となっているので、ここで言及する必要がある[1]。肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)などの他のジストロフィン異常症は、呼吸筋や心筋に関与しないが、炎症性過活動(inflammatory overaction)は筋ジストロフィーのタイプの間で共通の病態生理である[22]。DMDに対する有効性が証明されれば、N-163ベータグルカンの有益な用途をLGMDなどの他のジストロフィン異常症へ拡大することが考えられ得る。
【0048】
DMDはまれな遺伝性疾患であり、最長寿命は30代までで、被害者の大部分は20代後半から30代で死亡する。出生時の平均寿命は、1970年以前に生まれた人は20余年であったが、1980年代および1990年代に生まれDMDと診断された人は徐々に10~15年増大した。この増大は、より良いまたは早期の換気補助、ステロイドの使用、および心臓ケアに起因する[24、25]ものであり、これらは支持的介入にすぎない。最近承認された遺伝子治療を用いて、さらなる進歩および寿命の増大が期待されている[26]。これらの遺伝子治療(エクソンスキッピングなどの)は、変異部位でのプレmRNAから、または変異部位に隣接するプレmRNAから、選択されたエクソンをスプライシングすることによって根本的な原因に対処し、変異ジストロフィン遺伝子から翻訳可能な転写物を生成してジストロフィン発現につなげるが[26、27]、それらは、遺伝子編集成分の筋系全体にわたっての送達、および起こりうる免疫応答の緩和などの課題によって、いまだに損なわれている[28]。したがって、現在必要とされているのは、免疫系を調節し、炎症およびそれに続く線維化を制御して、疾患の進行を遅らせることである。規則的なやり方のステロイドの初期の使用は、レジメンは施設間で異なるが後に断続的な使用へと変化し[29];今では、有害作用の少ない新しいステロイドが、臨床応用に向けてさまざまな段階において進行している[30]。この背景において、このN-163で産生された、有害反応の無いベータグルカン食品サプリメントの安全性は、欠くことのできない付加価値と考えられる。炎症成分(この研究のためにこのサプリメントを選択した基準)をターゲットにすることで、有益な成果を生じたことから、この特徴に関する追加研究は、多発性硬化症などの他の神経炎症性疾患に対する用途をあるいは拡大する価値があり得る。この時点にて、次の2つの理由で腸内マイクロバイオームについて言及することが不可欠である;ひとつは、多発性硬化症などの神経炎症性疾病の重症度とマイクロバイオームの関連性[31]であり、もうひとつは、神経発達疾患である自閉症スペクトラム障害を持つ小児における先の研究[32]において、ベータグルカンが腸内マイクロバイオームの有益な再構成を生じることが報告されているという事実である。多発性硬化症およびDMDの両方に付いて、炎症を抑制するステロイドは一般的であるが、DMDにおける腸内微生物叢と関連する係り合いはあまり報告されておらず、さらなる研究に値する。
【0049】
本研究の限界は、対象の不均一な分布、および短い追跡調査期間(わずか45日)を包含し;研究の過程にわたる筋機能の改善は変動性を示し、これは、年齢グループにおける疾患進行中の機能評定の変化に対する感度のレベルによるものであろう。27人の対象の間で、3分の2が歩行可能で、残りは歩行不可能であって;評価基準の差異は留意する必要があるが、個々の筋肉を正確に測定するための非侵襲的筋運動図が実施され得る場合は、疾患重症度の異なる段階での全DMD患者の間で同等の定量化を示すこともある。さらに、ステロイドの消費と、それを消費しなかった人、または最初の消費期間後にステロイドを中止した人との比較、ならびにレジメンの多様性も、成果を解釈する際に考慮すべきである。これらすべての側面から、このサプリメントを処置として検証するために、より長期間のより大規模な無作為化臨床試験に対する必要性が求められている。
【0050】
例2
血管平滑筋のジストロフィン中心のアプローチから筋ジストロフィーの治療管理を再検討する:
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、骨格筋および心筋の筋線維の筋腺維鞘におけるジストロフィンの欠如により、これらの筋が衰弱する結果であると長い間信じられてきた。このジストロフィンの欠如は、ジストロフィン遺伝子の突然変異によってもたらされる[33、34]。DMDに関連する血管平滑筋の欠陥は十分に確立されたことであるのに、DMDに対する処置アプローチのほとんどは、主に骨格筋の病態生理に対処するものであった[33、34]。DMDの病態生理は、骨格筋および心筋におけるジストロフィンの喪失により発症すると考えられており、これは、細胞外マトリックスと細胞内アクチン細胞骨格との間の構造的リンクを形成する、高度に組織された膜貫通タンパク質および細胞質ゾルタンパク質の複合体を不安定化させる。この複合体の不安定化が、筋肉細胞における収縮誘発性損傷、炎症、筋再生の失敗、ならびに線維組織および脂肪による筋肉の進行的な置換に対する感受性の増大につながる。現在利用可能な遺伝子置換およびエクソンスキッピング療法は、期待された成果を生じていない。以前の学術調査では、これは、骨格筋ジストロフィンの欠乏が臨床的な表現型を生ずる正確なメカニズムが理解されていないことが原因であるとされている[33、34]。最近、DMDの主な原因は、骨格筋または心筋ではなく、血管の平滑筋におけるジストロフィンの欠乏であることを指摘する強力な証拠[36]が現れた。血管平滑筋におけるこのジストロフィン欠乏は、一酸化窒素(NO)の産生および血管拡張に影響を及ぼす。このように、それが血液供給を制限し、それによって、運動中の筋肉の虚血、損傷、および疲労という結果となり、長期的には線維化につながり得る[34]。この新事実は、診断から管理まで、DMDのあらゆる側面にとって重要である。DMDの臨床診断は、症状、クレアチンキナーゼ上昇などの血中マーカー、遺伝子分析、およびジストロフィン評定のための骨格筋の生検に基づいている[35]。主病態は血管平滑筋ジストロフィン欠乏であることが指摘されているので、骨格筋の評価のみに基づく診断では不十分であることもある。さらに、血管膜上に発現し、ジストロフィン遺伝子にコードされないジストロフィンのホモログもまた報告されている[37]。
【0051】
DMDの疾患進行は、筋系の活性に正比例する。血管平滑筋は拍動性の血流とともに一定の動きをしているが、骨格筋の場合はそうではない。この側面が、血管平滑筋が疾患の進行を早める主要な寄与因子であり得ることを指摘している。骨格筋とは対照的に、血管筋は、炎症促進性刺激、食事、またはアテローム性動脈硬化の発生などの他の因子に応答して、合成的で大部分が非収縮性の表現型に切り替わり得て[38]、DMDにおける疾患表現型にもまた影響を及ぼす。そのため、年齢が進むにともなって、疾患進行が早くなることにつながり得る。DMDにおいては性差があり、女性はキャリアであり、男性が主に疾患によって影響を及ぼされる。これらの差異は、エストロゲンの抗アテローム性動脈硬化作用、および閉経前の女性における血管内皮からの一酸化窒素(NO)合成における差異が原因であるとも考え得る[39]。ジストロフィン-糖タンパク質複合体(DGC)における血管平滑筋ジストロフィンの関与、ならびにNOシンターゼ(nNOS)、アクアポリン-4(AQP4)、およびアセチルコリン受容体などの複合体のアンカー型タンパク質(anchorage protein)との関連により、DMDは、骨格筋疾患を標的とした介入よりもむしろ全身的な介入を必要とする全身性疾患となる[39]。この疾患の「機能的虚血」という観点は、疾患の表現型に寄与する筋疲労よりもむしろ、既存の、および未来型両方の効果的な治療が期待される成果を達成するためには、虚血に対処することが重要であることを指摘している[39]。血管の平滑筋細胞および内皮における上述の変化に加えて、DMDマウスからの筋幹細胞(サテライト細胞としても知られている)は、血管新生を促進する能力が減少していることも示されている。これらのサテライト細胞は、血管新生を促進する血管内皮増殖因子(VEGF)および低酸素誘導因子-1α(HIF-1α)の分泌を促進するから、正常な状態下においては血管新生を促進する。ジストロフィーサテライト細胞においては、VEGFおよび低酸素誘導因子-1α(HIF-1α)のレベルが有意に減少することが発見された[40]。そのため、DMDにおける重要な血管新生促進戦略の1つとして、VEGF発現の回復が実施されてきた。VEGFの過剰発現、成長因子の直接筋肉内送達、血管新生の負の制御因子である血管増殖因子受容体1(VEGFR-1)の阻害、l-アルギニンおよびNOドナー補充のいずれかを介したNOシグナル伝達経路の調節、遺伝的nNOS過剰発現、および5-ホスホジエステラーゼ(PDE5)などのウイルスベースの遺伝子治療は、血管平滑筋-ジストロフィンを中心としたアプローチを通してDMDの管理を目的とした血管新生促進のために調査されているいくつかの治療法である[40]。
【0052】
PPARアゴニストを用いた他の全身的アプローチもまた、主に平滑筋を中心とした抗線維化薬剤であるDMD治療法として学術調査されている。この背景にある理論的根拠は、アテローム性動脈硬化をもたらす脂質失調が平滑筋ジストロフィンにおける変化に寄与するということである。加えて、発生、代謝、炎症、および多くの細胞プロセスに関与する遺伝子を調整するペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)もまた、これらの筋肉における脂肪の沈着に関与している[41]。PPARβ/δの活性化およびジストロフィン欠乏を補うウトロフィンAのその調整が、X連鎖性筋ジストロフィー(mdx)マウスにおけるDMD表現型を改善することが報告されている[41]。
【0053】
平滑筋ジストロフィン欠乏の全身の係り合いにおいて調べるべきもう一つの要因は、機能的虚血からの線維化に対する自律神経系の寄与である[38]。加えて、胃排出遅延、腸管通過性の減少、および慢性便秘などの消化管運動障害は、ジストロフィン不足と組み合わさって、NF-κB発現の増大をもたらし得る。これは腸内の収縮表現型および平滑筋機能の減少をもたらし得て、そのことはDMD患者において報告されている[41]。すべてのこれらの知見は、DMDについての全身規模での治療戦略に対するもう1つの重要な標的:すなわち腸内マイクロバイオーム-脳軸を指摘している。最近の研究は、骨格筋の病態における腸内微生物叢およびPPARの相互作用の重要性を強調している。抗生物質メトロニダゾールを用いたマウスの処置は、プロテオバクテリアの増大につながり、骨格筋萎縮という結果になった。これらのマウスにおいては、末梢筋における概日時計機構およびPPARγに関連する変化[41]が観察され、腸内毒素症と筋肉の時間代謝表現型との間に関連性がある可能性を示唆している。
【0054】
したがって、腸内毒素症とともに、これらの平滑筋および血管の機能障害のいくつかに対処し得る治療戦略は、既存の治療法に対する効果的な薬剤または補助となり得る。DMDを持つ若年男児における生物学的反応修飾グルカン(BRMG)に関する我々の最近の臨床試験[42]は、血管平滑筋に直接由来するジストロフィンの血漿レベルが増大することを指摘した。これは、筋ジストロフィーにおける病態生理学の血管平滑筋構成要素に対する対処における一歩前進である。この研究は、IL-6およびTGF-βの減少、ならびに筋力および6分間歩行テストにおける改善もまた報告した。これらの知見は、脂質代謝、PPARアゴニスト作用、および免疫調節を有益に調整することにおける、これらのBRMGの多面的な潜在性に起因すると考え得る。血管平滑筋を中心としたアプローチから、かかる全身的に作用する薬剤の潜在性を評価するために、さらなる研究が是認される。
【0055】
結論:
ステロイドの有無にかかわらず、N-163ベータグルカンは、この臨床研究において、DMDを持つ対象において、筋力の改善とともに、IL-6、TGF-βおよびIL-13の減少、ならびにジストロフィンレベルの増大に役立った。したがって、N-163ベータグルカンは、DMDを持つ患者にとって、安全かつ効果的な潜在的治療用疾患修飾補助剤である。記述した有益性は、この壊滅的な疾患の進行速度を遅らせるのに役立つこともあるが、より長期かつ大規模な研究による確認が、DMD患者の寿命を延ばすことに役立つ潜在性を持つ疾患修飾剤として、この剤の定型的な臨床用途の確立に役立つであろう。かかる検証の後、LGMDなどの他のジストロフィン異常症への適用への拡大が考えられ得て、腸内マイクロバイオームおよび神経炎症性疾患におけるその係り合いに関するさらなる徹底的な学術調査が、作用機序に光を当て、さらに有益な用途につながる可能性がある。
【0056】
背景:
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、進行性の筋衰弱および早期死亡をもたらす遺伝性の神経筋障害である。ステロイドは依然として支持療法のための主流のアプローチであるが、副作用を有しており;他の標的治療および遺伝子治療もまた開発されつつある。DMDにおける疾患修飾栄養補充補助剤の使用に関するエビデンスは限られているので、このパイロット試験は、DMDを持つ若年患者において、N-163株からのオウレオバシディウム・プルランス由来の1,3-1,6ベータグルカンの補充効果を評価するものである。
【0057】
方法:
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を持つ27人の患者(対照部門(従来の治療を受ける)に9人)が参加した。患者を、グループに分けた:ステロイドを投与しない者(ステロイド-ve)(n=5)、ステロイドを投与する者(ステロイド+ve)(n=4)、および処置部門(従来の治療とともに、N-163ベータグルカンサプリメント;N-163ステロイド-ve、およびN-163ステロイド+ve)の18人;彼らは、45日間研究に参加した。筋機能、疾患状態、ならびに血液中のIL-6、IL-13、TGF-β、クレアチニンキナーゼ(CK)、タイチン、TNF-α、ハプトグロビン、およびジストロフィン、および尿中のミオグロビンのレベルの評定を、ベースライン時および研究終了時に行った。
【0058】
結果:
IL-6はN-163ステロイド-veグループにおいて、ベースライン値の7.2±1.2pg/mlから2.7±0.03ng/mlへ有意な減少を示した。IL-13は、157.76±148.68pg/mlから114.08±81.5pg/ml(N-163ステロイド-ve)へ、および289.56±232.88pg/eから255.56±214.13pg/ml(N-163ステロイド+ve)へ、両処置グループにおいて減少した。TGF-βレベルは、ベースライン値の3302±1895ng/mlから介入後の1325.66±517ng/mlへと、N-163ステロイド-veグループにおいて有意な減少を示した。ジストロフィンレベルは、ステロイド+veグループ、および-veグループの両方において最大32%増大した。医学研究審議会(MRC)グレーディングは、処置グループにおいて18人の患者中12人(67%)において筋力改善を示し、ならびに対照グループにおいては9人中4人(44%)であった。
【0059】
結論:
N-163ベータグルカン食品サプリメントの補充は、疾患修飾的な有益な効果を生じた:45日にわたり、DMD対象において、炎症および線維化マーカーの有意な減少、ジストロフィンの増大、および筋力の改善があり、したがって検証後、これは、DMDの潜在的な補助処置となった。より長い追跡調査の期間、ならびに、作用機序および活動亢進性炎症および/または線維症によって誘発される他の疾患との共通性に関するさらなる研究が、他のジストロフィン異常症および神経炎症性疾患におけるこれらの拡大した用途への道を開くであろう。
試験登録:インド臨床試験登録機関、CTRI/2021/05/033346。2021年5月5日に登録。
【0060】
例3:F30S-mdxマウスモデルにおけるDMD研究
1.研究目的
MDXマウスに対するN-163ベータグルカンの効果を調べること。
2.実験設計および処置スケジュール
2.1.研究グループ
グループ1:正常な15匹のC57BL/10SnSlcマウスは、屠殺までいずれの処置もしなかった。
グループ2:ビヒクル
15匹のMDXマウスに、ビヒクル[純水]を10mL/kgの量で、0日目から45日目まで1日1回経口投与した。
グループ3:N-163ベータグルカン
15匹のMDXマウスに、N-163ベータグルカンをAPIとして3mg/kgの用量で補充したビヒクルを、10mL/kgの量で1日1回、0日目から45日目まで経口投与した。
3.試験終了時に、事前冷却した注射器を使用して、腹部大静脈を通して非絶食時の血液を採取した。
屠殺後、大腿四頭筋、腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋、前脛骨筋、長指伸筋、横隔膜、心筋を採取し、分析のために凍結した。
【0061】
結果:
結果を
図10~25に示す。N-163グループにおける筋肉重量の増大を、
図10に示す。N-163グループにおける血漿ALTおよびASTの減少を、
図11に示す。N-163グループにおけるLDHの減少を、
図12に示す。N-163グループにおけるシスタチンの減少を
図14に示す。N-163グループにおけるハプトグロビンの減少を
図15に示す。N-163グループにおけるTGF-ベータの増大を、
図16に示す。N-163グループにおけるIL-13の減少を、
図17に示す。
図19および表3は、中心核繊維-細胞数および画像を示す。
【0062】
【表3】
マッソンの三重染色法によって評価した中心核線維(CNF)の割合は、正常グループにおいては0であったが、ビヒクルグループにおいては80%へ増大し、N-163グループにおいては76.8%であった。
【0063】
N-163における炎症化スコアの減少を、
図20に示す。N-163における線維化スコアの減少を、
図21および22に示す(シリウスレッド染色)。
図23および24は、N-163において線維化が減少することを示す(マッソンの三重染色法)。
我々の研究においては、壊死性線維の増大により、正常マウスと比較してmdxマウスにおいてはCNFが増大した。N-163によって、炎症の減少によって壊死が対処され、ならびに末梢有核線維の数がN-163後に増大したので、CNFの数がN-163後に減少し、N-163投与後に成熟した正常なジストロフィン陽性線維が増大したことを示している。
mdxマウスは、正常マウスと比較して、大きなサイズの細胞を有し、線維化を増大させた一方、N-163処置後は、細胞は正常細胞に類似し、ならびに線維化もまた減少した。
【0064】
検討:
リポ多糖の増大は慢性炎症につながり、アディポネクチン(Adiponectin)(ApN)を用いた処置は、インスリン感受性、脂肪燃焼、および抗炎症/抗酸化ストレス特性を通して、DMDにおいて治療有益性を提供することができている。本研究においては、N-163 BRMGの補充はLDHレベルを減少させることができ、それが慢性炎症の緩和に役立つであろう[Am J Pathol. 2017 Jul;187(7):1577-1585.]。全身の骨格筋損傷の発症と同時に起きる、尿中タイチン排泄量の劇的な上昇が、DMD患者およびジストロフィン欠乏げっ歯類において報告されている[Neuromuscul Disord. 2017 Jul;27(7):635-645.]。本研究においては、N-163投与後、尿中タイチンレベルの有意な減少があり、それによって、骨格筋の損傷が回復したことが指摘された。誘導性血漿マーカーであるハプトグロビンは、組織損傷および無菌性炎症に関連して分泌される急性期応答タンパク質であり、DMDマウスにおいて上昇することが報告されている。本研究においては、N-163投与後に血漿マーカーであるハプトグロビンの有意な減少があった[Int J Mol Med. 2017 Jun;39(6):1357-1370.]。TGF-βは線維化に関与することが報告されているが、TGF-βはまた、抗炎症性サイトカインとしても機能し、炎症と線維化との間のバランスをとるのに役立っていることを本研究が示している[Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2002 Jun 1;22(6):975-82.]。ある研究においては、ステロイドおよびビタミンDを用いた処置が、線維化促進性マーカーであるIL-13を減少させることが示されている[Cytokine. 2018 Feb; 102:55-61.]。現在の研究においては、N-163BRMGがIL-13を減少させることが示されている。本研究においては、TGF-βはN-163グループにおいて増大した。N-163ベータグルカングループは、ビヒクルグループと比較して、線維化面積(マッソンの三重染色陽性面積)の有意な減少を示した。N-163ベータグルカングループにおける炎症スコアおよび線維化面積は、ビヒクルグループと比較して減少する傾向にあった。DMDにおいては、復帰変異線維(RF)と呼ばれる散発性のジストロフィン陽性筋線維が骨格筋前駆細胞から発生し、壊死線維の頻繁な再生により加齢とともにクローン的に拡大すると考えられている[Sci Rep. 2016 Dec 7;6:38371.]。新たに再生された筋線維の核は中心に位置し、一方、成熟した筋線維のそれらは末梢に位置する。我々の研究においては、壊死性線維の増大により、正常マウスと比較してmdxマウスにおいてはCNFが増大した。N-163によって、炎症の減少によって壊死が対処され、ならびに末梢有核線維の数がN-163後に増大したと推測するので、CNFの数がN-163後に減少し、N-163投与後に成熟した正常なジストロフィン陽性線維もまた増大したことを示している。N-163グループは、ビヒクルグループと比較して、線維化面積(マッソンの三重染色陽性面積)の有意な減少を示した。N-163ベータグルカングループにおける炎症スコアおよび線維化面積は、ビヒクルグループと比較して減少する傾向にあった。
【0065】
例4:F16S DMD-ヒト研究
方法:
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を持つ27人の患者(対照部門(従来の治療を受ける)に9人、および処置部門(従来の治療とともに、N-163ベータグルカンサプリメント)に18人)が参加した。
彼らは、45日間、本研究に参加した。
ベースライン時および45日後に糞便サンプルを採取し、腸内マイクロバイオーム分析のために全ゲノムメタゲノムシーケンスを行った。
【0066】
結果:
結果を
図26~35に示す。N-163後のバクテロイデスの増大を、
図26に示す。
図27は、Faecalibacterium prausnitziiがN-163後に、最も存在量の多い種であったことを示す。N-163ベータグルカン後に腸内細菌が減少、しかし対照グループにおいては増大ということを
図28に示す。N-163ベータグルカン後にラクトバチルスが増大、しかし対照グループにおいては減少ということを
図29に示す。N-163ベータグルカン後にロゼブリアが増大、しかし対照グループにおいては減少ということを
図30に示す。N-163ベータグルカン後にビフィドバクテリウムが増大、しかし対照グループにおいては減少ということを
図31に示す。N-163ベータグルカン後のプレボテラの増大を
図32に示す。N-163ベータグルカン後にアリスティペスが減少、しかし対照グループにおいては増大ということを
図33に示す。N-163ベータグルカン後にファーミキューテスが減少、しかし対照グループにおいては増大ということを
図34に示す。N-163ベータグルカン後のAkkermansia muciniphilaの減少を
図35に示す。
【0067】
検討:
腸内細菌は、炎症応答を高めることが説明されており、したがってその減少は多発性硬化症およびDMDにおいて有益である(参考:https://www.mdpi.com/2076-2607/9/4/697/htm)。
ラクトバチルス種の回復は炎症性サイトカインを減少させることが示されており、N-163によってそれが増大することはMSにおいて有益である(参考:https://www.mdpi.com/2076-2607/9/4/697/htm)。
ロゼブリアの増大は、それが酪酸(有益な代謝産物)を産生する細菌であるため、腸の健康のマーカーである(参考:Future Microbiol 2017: 157-170)。
Bifidobacterium longumは、筋肉機能および認知技量を増大させることが報告されている(参考:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7745561/)。したがって、N-163後のBifidobacterium longumの増大は有益である。
アリスティペスは、炎症および上皮の変化に寄与する(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7745561/)。ファーミキューテスは、宿主の炎症レベルに影響を与えることで、うつ病の発症において役割を担う(https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcimb.2022.831186/)。PDおよびMSを持つ患者においては、アッカーマンシアの存在量の増大が報告されている(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28843021/)。そのため、これらの細菌が減少することは有益である。
【0068】
例5:F16S-DMD6か月ヒト研究
長期DMD研究
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者に対する、N-163ベータグルカン食品サプリメントの抗炎症および有益な効果を6か月間評価する臨床研究を運営した。
3~30歳の間の年齢の患者が本試験に包含されていた。
26人の患者が登録され、研究は進行中である。
【0069】
結果:
結果を
図36に示す。筋力の増大を、
図36に示す。MRC-筋力は、2か月の中間報告において平均67%から71%へ増大した。
【0070】
検討:
処置の最初の6か月の間に筋力の増大が報告され、その後2年は安定期が続き、その後の低下は副作用を有するステロイドなどの従来の治療の場合の未処置患者におけるよりも緩やかであった(Cochrane Database Syst Rev. 2008;1:CD003725-CD003725.)。本研究においては、安全な食品サプリメントN-163後に、処置自体の最初の2か月後に筋力の増大が報告されている。
【0071】
例6:F32S LGMD-ヒト研究
LGMD研究
DMD患者以外の別の筋ジストロフィー患者に対する、N-163食品サプリメントの抗炎症および有益な効果を60日間評価する臨床研究を運営した。
3~70歳の間の年齢の患者が本試験に包含されていた。
6人の患者が研究を完了した。
【0072】
結果:
結果を
図37~39に示す。血清中の減少したカルシウムを
図37に示す。N-163後の血清中の減少したCPKを
図38に示す。N-163後の血清中の減少したALPを
図39に示す。
【0073】
検討:
カルシウムの異常なレベルが、筋ジストロフィーにおいて報告されている(Mareedu et al. Front.Physio. 2021)。上昇したCPKレベルは、筋疾患の徴候である。(https://emedicine.medscape.com/article/1259041-workup#:~:text=Early%20in%20the%20disease%20process,elevation%20noted%20in%20Becker%20MD.)。LGMDは、増大したALT、ASTおよびLDHを特徴とする(Dis.Markers 2015;2015:543282)。そのため、N-163後にこれらのマーカーが減少することは有益である。
【0074】
例7:F27S 多発性硬化症-ヒト研究
方法:
多発性硬化症を持つ患者において免疫性の調節に関する、オウレオバシディウム・プルランスのN163株が産生するβ1,3-1,6グルカン(ベータグルカン)の効果を評価するための、非盲検、前向き、非無作為化、非比較の単一群臨床研究が運営されている。
研究期間=2か月。
7人の患者が研究を完了した。
【0075】
結果:
結果を
図40および41に示す。N-163後のIL-6の減少を、
図40に示す。N-163後のC反応性タンパク質(CRP)の減少を
図41に示す。
【0076】
検討:
炎症のマーカーであるIL-6およびCRPは、MSおよびDMDにおいて増大し、疾患の発病を促進することが示されている(Biomed Res Int. 2015;2015;891972)。IL-6の遮断は、筋ジストロフィーに対する治療法として報告されている(Ebiomedicine 2015;2(4))。そのため、N-163後にこれらのマーカーが減少することは有益である。
【0077】
例8:F27S-多発性硬化症腸内マイクロバイオーム分析
MS患者の糞便微生物叢メタゲノムシーケンスの方法:
サンプルを、リード長151bpでNovaseq V1.5を使用してシーケンスした。
サンプルは、全ゲノムメタゲノム分析用に利用した。最初に、リードを、ヒトDNAコンタミネーションを防ぐようにフィルターにかけた。ヒトゲノムとのアライメントは約0.01%~1.6%であった。フィルターしたリードは、下流の分析にさらに使用した。
また、前処理したリードを使用して新たなアセンブリを実行し、スキャフォールドを得た。
これらのスキャフォールドは次に、遺伝子予測に使用した。
【0078】
結果:
結果を
図42~50に示す。N-163後のバクテロイデスの増大、およびファーミキューテスの減少を、
図42に示す。N-163後のプレボテラの増大を、
図43に示す。
図44は、N-163介入後にFaecalibacterium prausnitziiの存在量が増大したことを示す。
図45は、N-163介入後にBifidobacterium longumの存在量が増大したことを示す。
図46は、N-163介入後にBifidobacterium longumの存在量が増大したことを示す。
図47は、N-163介入後にStreptococcus parasanguinisの存在量が減少したことを示す。
図48は、N-163介入後にStreptococcus salivariusの存在量が減少したことを示す。
図49は、N-163介入後にParabacteroides distasonisの存在量が増大したことを示す。
図50は、N-163介入後にRoseburia intestinalisの存在量が増大したことを示す。
【0079】
検討:
MS患者は、プレボテラ属、特にPrevotella copriに属する細菌の減少を伴う腸内毒素症を呈している(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30513004/;https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5730390/)。抗炎症性常在細菌であるフィーカリバクテリウムは、MSを持つ患者においては少ないことが報告されている(J Investig Med. 2015 Jun;63(5):729-34. doi: 10.1097/JIM.0000000000000192.)。ビフィドバクテリアは免疫応答の調整において実質的な役割を有し、MS患者の腸内では、ビフィドバクテリアの出現頻度が低いことが報告されている(https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2211034819303554)。MS患者においては、Parabacteroides distasonisの存在量が減少する(https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1711235114)。R. intestinalisは、腸の炎症を予防することが示されている(https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcimb.2021.757718/full)。そのため、N-163後にこれらの細菌が増大することは有益である。
Streptococcus parasanguinis(www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.2011703117)、S. salivarius/thermophilus(www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.2011703117)が、MS患者において有意に増加していることが報告されている。そのため、N-163後にこれらの細菌が減少することは有益である。
【0080】
改変ならびに他の態様
記載されたグルカン産生品、組成物および方法のさまざまな改変および変形、ならびに本発明の概念は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者には明らかであろう。本発明を、特定の好ましい態様に関連して記載したが、請求される本発明は、かかる特定の態様に限定されることを意図するものではないことを理解されたい。化学、生物学、医学、環境、化粧品または食品技術、あるいは関連分野の当業者にとって明白である、本発明を実行するための記載された形態のさまざまな改変は、以下の特許請求の範囲内であることが意図される。
【0081】
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【国際調査報告】