(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-09
(54)【発明の名称】ペロブスカイト太陽電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H10K 30/50 20230101AFI20241202BHJP
H10K 30/40 20230101ALI20241202BHJP
【FI】
H10K30/50
H10K30/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525794
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 KR2022020808
(87)【国際公開番号】W WO2023121211
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0182673
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510149600
【氏名又は名称】ジュソン エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ジェホ
(72)【発明者】
【氏名】ファン チョルジュ
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA11
5F251GA03
5F251XA32
(57)【要約】
本発明は、第1導電性電荷伝達層が形成された基板を準備する工程、前記基板上に開口パターンを具備したマスクを配置する工程、および前記基板および前記マスク上にペロブスカイト層を形成する工程を含む、ペロブスカイト太陽電池の製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電性電荷伝達層が形成された基板を準備する工程、
前記基板上に開口パターンを具備したマスクを配置する工程、および
前記基板および前記マスク上にペロブスカイト層を形成する工程を含む、ペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記ペロブスカイト層を形成する工程を、大気圧より低い圧力で行うことを特徴とする、請求項1に記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記基板上に開口パターンを具備したマスクを位置決めする工程が、前記基板と前記マスクを静電気力で密着させる工程を含む、請求項2に記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記マスクパターンを除去し、前記基板上にペロブスカイト層を残存させて複数の単位セル別に前記ペロブスカイト層を分離形成する工程を含んでなる、請求項1に記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項5】
前記マスクが、エッジ部マスクパターン、コンタクト部マスクパターン及び分離部マスクパターンを含んでなり、
前記エッジ部マスクパターンは、前記基板の一側と他側の端に形成され、
前記コンタクト部マスクパターンと前記分離部マスクパターンは、前記基板の中央側に互いに離隔するように形成される、請求項1に記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項6】
前記マスクパターンを除去する工程の前に、前記基板と前記マスク上に第2導電性電荷伝達層を形成する工程をさらに含み、
前記マスクパターンを除去する工程において、前記基板上の第2導電性電荷伝達層を残存させ、前記複数の単位セル別に前記第2導電性電荷伝達層を分離形成する、請求項4に記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項7】
基板を準備する工程、
前記基板上に開口パターンを具備したマスクを配置する工程、および
前記基板および前記マスク上に第1導電性電荷伝達層とペロブスカイト層を形成する工程を含む、ペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項8】
前記ペロブスカイト層を形成する工程を、大気圧より低い圧力で行うことを特徴とする、請求項7に記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項9】
前記基板上に開口パターンを具備したマスクを位置決めする工程が、前記基板と前記マスクを静電気力で密着させる工程を含む、請求項8に記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項10】
前記マスクパターンを除去し、前記基板上にペロブスカイト層を残存させて、複数の単位セル別に前記ペロブスカイト層を分離形成する工程を含んでなる、請求項7に記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項11】
前記マスクが、エッジ部マスクパターン、コンタクト部マスクパターン及び分離部マスクパターンを含んでなり、
前記エッジ部マスクパターンは、前記基板の一側と他側の端に形成され、
前記コンタクト部マスクパターンと前記分離部マスクパターンは、前記基板の中央側に互いに離隔するように形成される、請求項7に記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項12】
前記マスクパターンを除去する工程の前に、前記基板と前記マスク上に第2導電性電荷伝達層を形成する工程をさらに含み、
前記マスクパターンを除去する工程において、前記基板上の第2導電性電荷伝達層を残存させ、前記複数の単位セル別に前記第2導電性電荷伝達層を分離形成する、請求項10に記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項13】
基板上に第1マスクを配置し、前記第1マスクを用いて複数の単位セル別に分離された第1電極層を形成する工程、
前記第1電極層上に第2マスクを配置し、前記第2マスクを用いて前記複数の単位セル別に分離した第1導電性電荷伝達層、ペロブスカイト化合物からなる光吸収層及び第2導電性電荷伝達層を一緒に形成する工程、および
前記第1電極層上に第3マスクを配置し、前記第3マスクを用いて前記複数の単位セル別に分離した第2電極層を形成する工程を含んでなる、ペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記第1マスクが、前記基板の一側と他側の端に形成された第1エッジ部マスクパターンおよび、前記基板の中央側に形成された第1分離部マスクパターンを含んでなり、
前記第2マスクは、前記基板の一方と他側の端に形成された第2エッジ部マスクパターンおよび、前記基板の中央側に互いに離隔するように形成された第2コンタクト部マスクパターンおよび第2分離部マスクパターンを含んでなり、
前記第3マスクは、前記基板の一側と他側の端に形成された第3エッジ部マスクパターンおよび、前記基板の中央側に形成された第3分離部マスクパターンを含んでなる、請求項13に記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項15】
複数の前記第1電極層が、第1分離部を挟んで分離していて、
複数の前記第2電極層は、第2分離部を挟んで分離していて、
1つの単位セル内の前記第2電極層は、それと隣接する他の1つの単位セル内の前記第1の電極層とコンタクト部を介して連結していて、
前記第1分離部マスクパターンは、前記第1分離部に対応し、
前記第2分離部マスクパターンおよび前記第3分離部マスクパターンは、前記第2分離部に対応し、
前記第2コンタクト部マスクパターンは、前記コンタクト部に対応する、請求項14に記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項16】
前記第1エッジ部マスクパターンに対応する領域には、ショート防止のための第3分離部が具備される、請求項14に記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項17】
前記第2エッジ部マスクパターンおよび前記第3エッジ部マスクパターンが、最外郭に具備される前記第1電極層の一部分と重畳するように形成され、前記最外郭に具備される前記第1電極層の一部分と重畳する領域には第1端子が形成される、請求項14に記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項18】
前記第2コンタクト部マスクパターン及び前記第2エッジ部マスクパターンが、最外郭に位置する1つの前記第1電極層を除く残りの前記第1電極層上にそれぞれ形成される、請求項14に記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペロブスカイト太陽電池に関するもので、より詳細には、複数の単位セルが直列に連結したペロブスカイト太陽電池の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト化合物からなる光吸収層を含んでなり、従来は前記ペロブスカイト化合物からなる光吸収層を主に溶液工程によって形成した。
【0003】
前記溶液工程は、所定の溶媒にペロブスカイト化合物を溶かしてスピンコート(Spin coating)、スプレーコート(spray coating)、またはスロットダイ(Slot Die)などの方法で液体状態のペロブスカイト化合物を基板上に塗布して形成する工程である。
【0004】
一方、ペロブスカイト太陽電池を製造する際に、効率向上のために複数の単位セルを直列に連結する方案があるが、このために前記溶液工程で形成した光吸収層をパターニングする工程が必要であり、前記光吸収層をパターニングするためにレーザースクライビング工程を行うことになるが、この場合、前記光吸収層を構成するペロブスカイト化合物に悪影響を及ぼすことがあり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した従来の問題点を解決するために考案されたものであり、本発明は、レーザースクライビング工程を行わずにペロブスカイト化合物からなる光吸収層をパターン形成することにより、複数の単位セルが直列に連結したペロブスカイト太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、第1導電性電荷伝達層が形成された基板を準備する工程、前記基板上に開口パターンを具備したマスクを配置する工程、および前記基板および前記マスク上にペロブスカイト層を形成する工程を含むペロブスカイト太陽電池の製造方法を提供する。
【0007】
本発明はさらに、基板を準備する工程、前記基板上に開口パターンを具備したマスクを配置する工程、および前記基板および前記マスク上に第1導電性電荷伝達層とペロブスカイト層を形成する工程を含むペロブスカイト太陽電池の製造方法を提供する。
【0008】
前記ペロブスカイト層を形成する工程は、大気圧より低い圧力で行うことができる。
【0009】
前記基板上に開口パターンを具備したマスクを配置する工程は、前記基板と前記マスクを静電気力で密着させる工程を含むことができる。
【0010】
前記マスクパターンを除去し、前記基板上のペロブスカイト層を残存させて、複数の単位セル別に前記ペロブスカイト層を分離形成する工程を含むことができる。
【0011】
前記マスクは、エッジ部マスクパターン、コンタクト部マスクパターン、及び分離部マスクパターンを含んでなり、前記エッジ部マスクパターンは、前記基板の一側と他側の端に形成され、前記コンタクト部マスクパターンと前記分離部マスクパターンは、前記基板の中央側に互いに離隔するように形成することができる。
【0012】
前記マスクパターンを除去する工程の前に、前記基板と前記マスク上に第2導電性電荷伝達層を形成する工程をさらに含み、前記マスクパターンを除去する工程時に前記基板上の第2導電性電荷伝達層を残存させて前記複数の単位セル別に前記第2導電性電荷伝達層を分離形成することができる。
【0013】
本発明はまた、基板上に第1マスクを配置し、前記第1マスクを用いて複数の単位セル別に分離された第1電極層を形成する工程、前記第1電極層上に第2マスクを配置し、前記第2マスクを用いて前記複数の単位セル別に分離された第1導電性電荷伝達層、ペロブスカイト化合物からなる光吸収層及び第2導電性電荷伝達層を一緒に形成する工程、および、前記第1電極層上に第3マスクを配置し、前記第3マスクを用いて前記複数の単位セル別に分離された第2電極層を形成する工程を含んでなるペロブスカイト太陽電池の製造方法を提供する。
【0014】
前記第1マスクは、前記基板の一側と他側の端に形成された第1エッジ部マスクパターンおよび前記基板の中央側に形成された第1分離部マスクパターンを含んでなり、前記第2マスクは、前記基板の一側と他側の端に形成された第2エッジ部マスクパターンおよび前記基板の中央側に互いに離隔するように形成された第2コンタクト部マスクパターンおよび第2分離部マスクパターンを含んでなり、前記第3マスクは、基板の一側と他側の端に形成された第3エッジ部マスクパターンおよび前記基板の中央側に形成された第3分離部マスクパターンを含んでなることができる。
【0015】
複数の前記第1電極層は、第1分離部を挟んで分離されていて、複数の前記第2電極層は、第2分離部を挟んで分離されていて、1つの単位セル内の前記第2電極層は、それに隣接する他の1つの単位セル内の前記第1電極層とコンタクト部を介して連結していて、前記第1分離部マスクパターンが前記第1分離部に対応し、前記第2分離部マスクパターンおよび前記第3分離部マスクパターンは、前記第2分離部に対応し、前記第2コンタクト部マスクパターンは、前記コンタクト部に対応することができる。
【0016】
前記第1エッジ部マスクパターンに対応する領域には、ショート防止のための第3分離部を具備することができる。
【0017】
前記第2エッジ部マスクパターンおよび前記第3エッジ部マスクパターンは、最外郭に具備される前記第1電極層の一部分と重畳するように形成され、前記最外郭に具備される前記第1電極層の一部分と重畳する領域には、第1端子を形成することができる。
【0018】
前記第2コンタクト部マスクパターン及び前記第2エッジ部マスクパターンは、最外郭に位置する1つの前記第1電極層を除く残りの前記第1電極層上に、それぞれ形成することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のような本発明によれば、次のような効果がある。
【0020】
本発明の一実施例によれば、シャドウマスクのようなマスクを用いてペロブスカイト化合物からなる光吸収層をパターン形成することにより、レーザースクライビング工程なしに複数の単位セルが直列に連結したペロブスカイト太陽電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】は、本発明の一実施例によるペロブスカイト太陽電池の概略的な製造工程の断面図である。
【
図1B】は、本発明の一実施例によるペロブスカイト太陽電池の概略的な製造工程の断面図である。
【
図1C】は、本発明の一実施例によるペロブスカイト太陽電池の概略的な製造工程の断面図である。
【
図1D】は、本発明の一実施例によるペロブスカイト太陽電池の概略的な製造工程の断面図である。
【
図1E】は、本発明の一実施例によるペロブスカイト太陽電池の概略的な製造工程の断面図である。
【
図1F】は、本発明の一実施例によるペロブスカイト太陽電池の概略的な製造工程の断面図である。
【
図1G】は、本発明の一実施例によるペロブスカイト太陽電池の概略的な製造工程の断面図である。
【
図1H】は、本発明の一実施例によるペロブスカイト太陽電池の概略的な製造工程の断面図である。
【
図1I】は、本発明の一実施例によるペロブスカイト太陽電池の概略的な製造工程の断面図である。
【
図1J】は、本発明の一実施例によるペロブスカイト太陽電池の概略的な製造工程の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の利点および特徴、ならびにそれらを達成する方法は、添付の図と共に詳細に後述される実施例を参照することによって明らかになるであろう。しかし、本発明は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態で具現されるものであり、単に本実施例は、本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に、発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるのみである。
【0023】
本発明の実施例を説明するための図に開示された形状、大きさ、比率、角度、数などは例示的なものであり、本発明が図に示された事項に限定されるものではない。明細書全体にわたって、同じ参照番号は同じ構成要素を指称する。なお、本発明の説明において、関連する公知技術に対する具体的な説明が、本発明の要旨を不必要に曖昧にし得ると判断される場合、その詳細な説明は省略する。本発明上で言及する「含む」、「有する」、「からなる」などが使用される場合、「~のみ」が使用されていない限り、他の部分が追加され得る。構成要素を単数で表現した場合、特に明示的な記載事項がない限り、複数を含む場合を含む。
【0024】
構成要素を解釈するにおいて、誤差範囲に対する別途の明示的な記載がなくても、誤差範囲を含むものと解釈する。
【0025】
位置関係に関する説明の場合、例えば、「~上に」、「~上部に」、「~下部に」、「~横に」などで2つの部分の位置関係が説明される場合、「すぐ」または「直接」という表現が使用されていない限り、2つの部分の間に1つ以上の他の部分が位置することもできる。
【0026】
時間関係に対する説明の場合、例えば、「~後に」、「~に続き」、「~次に」、「~前に」などで時間的先後関係が説明される場合、「すぐ」または「直接」という表現が使用されていない限り、連続的でない場合も含むことができる。
【0027】
第1、第2などは、様々な構成要素を説明するために使用されるが、これらの構成要素は、これらの用語によって限定されない。これらの用語は、単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用されるものである。したがって、以下で言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素であることもあり得る。
【0028】
本発明のいくつかの実施例の各々の特徴は、部分的または全体的に互いに結合または組み合わせ可能であり、技術的に様々な連動および駆動が可能であり、各実施例は互いに対して独立して実施することもでき、連関関係で一緒に実施することもできる。
【0029】
以下、図を参照して本発明の好ましい実施例について詳細に説明することにする。
【0030】
図1A~
図1Jは、本発明の一実施例によるペロブスカイト太陽電池の概略的な製造工程断面図である。
【0031】
まず、
図1Aから分かるように、基板100上にバリア層200を形成し、前記バリア層200上に第1マスク(M11、M12)を配置する。
【0032】
前記バリア層200の形成工程は、前記基板100を薄膜蒸着チャンバ内に配置した後、前記薄膜蒸着チャンバ内で大気圧よりも低い圧力で行うことができる。前記第1マスク(M11、M12)を位置決めする工程も前記薄膜蒸着チャンバ内で行うことができる。ここで、前記第1マスク(M11、M12)を位置決めする工程は、前記基板100と前記第1マスク(M11、M12)を静電気力で密着させる工程を含むことができる。
【0033】
前記基板100は、硬質の材料(rigid material)からなることもでき、柔軟な材料(flexible material)からなることもできる。一例として、前記基板100は、ガラスまたはプラスチックからなることができる。
【0034】
前記バリア層200は、前記基板100の一面、例えば上面上に形成される。前記バリア層200は、前記基板100に含まれた物質が後続の工程で前記基板100の上方に拡散するのを防止する役割を果たすとともに、外部の水分や酸素が前記基板100を通して浸透するのを防ぐ役割をする。前記バリア層200は、前記基板100の上面全体に形成することができる。
【0035】
このようなバリア層200は、酸化シリコン、窒化シリコン、アルミニウムなどの金属酸化物、およびアルミニウムなどの金属窒化物などの無機絶縁物からなることができ、CVD(Chemical Vapor Deposition)またはALD(Atomic Layer Deposition)などの当業界で公知の様々な薄膜蒸着工程を通じて形成することができる。ただし、前記バリア層200は、省略することもできる。
【0036】
前記第1マスク(M11、M12)は、前記バリア層200の一面、例えば上面上に位置する。
【0037】
前記第1マスク(M11、M12)は、第1エッジ部マスクパターン(M11)および第1分離部マスクパターン(M12)を含んでなる。前記第1エッジ部マスクパターン(M11)および第1分離部マスクパターン(M12)を具備しない部分が、前記第1マスク(M11、M12)の開口パターンとなる。
【0038】
前記第1エッジ部マスクパターン(M11)は、前記基板100または前記バリア層200の一側と他側の端に対応するように形成される。前記第1分離部マスクパターン(M12)は、前記一側の第1エッジ部マスクパターン(M11)と他側の第1エッジ部マスクパターン(M11)との間、すなわち前記基板100またはバリア層200の中央側に所定の間隔をおいて複数個形成される。前記第1エッジ部マスクパターン(M11)の幅は、前記第1分離部マスクパターン(M12)の幅よりも大きく形成することができる。
【0039】
前記第1マスク(M11、M12)は、当業界で公知のシャドウマスク(Shadow Mask)を用いることができる。
【0040】
次に、
図1Bから分かるように、前記基板100または前記バリア層200の一面、例えば上面上に第1電極層300を形成する。
【0041】
前記第1電極層300の形成工程は、前記薄膜蒸着チャンバ内で大気圧より低い圧力で行うことができる。
【0042】
前記第1電極層300は、金属酸化物などの透明な導電物質からなり得る。前記第1電極層300は、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)、ALD等のような当業界で公知の様々な薄膜蒸着工程を介して形成することができる。
【0043】
前記第1電極層300は、前記基板100または前記バリア層200の上面に形成されるとともに、前記第1マスクパターン(M11、M12)の上面、具体的には前記第1エッジ部マスクパターン(M11)の上面および前記第1分離部マスクパターン(M12)の上面にも形成される。
【0044】
次に、
図1Cから分かるように、前記第1マスク(M11、M12)を前記基板100または前記バリア層200の一面から除去する。そうすると、前記第1マスク(M11、M12)の上面に形成された前記第1電極層300も一緒に除去され、それによって前記基板100または前記バリア層200の上面に形成された前記第1電極層300だけが残存するようになる。結局、複数の単位セル別に第1分離部(P1)を挟んで互いに離隔した前記第1電極層300が得られる。前記第1分離部(P1)のパターンは、前記第1分離部マスクパターン(M12)に対応し、前記第1分離部(P1)では前記第1電極層300を具備せず、前記基板100または前記バリア層200の上面を露出させることができる。
【0045】
ここで、前記第1エッジ部マスクパターン(M11)に対応する領域である前記基板100または前記バリア層200の一側および他側の端にも前記第1電極層300が具備されなくなる。すなわち、前記一側および他側の最外郭に位置する第1電極層300の端は、前記基板100または前記バリア層200の端より内側に位置する。したがって、前記第1エッジ部マスクパターン(M11)に対応する領域に、後述する第3分離部(
図1JのP3)領域を設けることができ、太陽電池の構成要素と外部の他の構成との間のショート問題を防止することができる。
【0046】
次に、
図1Dから分かるように、前記第1電極層300の一面、例えば上面上に第2マスク(M21、M22、M23)を配置する。
【0047】
前記第2マスク(M21、M22、M23)を位置決めする工程は、前記薄膜蒸着チャンバ内で行うことができる。ここで、前記第2マスク(M21、M22、M23)を位置決めする工程は、前記基板100と前記第2マスク(M21、M22、M23)を静電気力で密着させる工程を含むことができる。
【0048】
前記第2マスク(M21、M22、M23)は、第2エッジ部マスクパターン(M21)、第2コンタクト部マスクパターン(M22)、及び第2分離部マスクパターン(M23)を含んでなる。前記第2エッジ部マスクパターン(M21)、第2コンタクト部マスクパターン(M22)、及び第2分離部マスクパターン(M23)を具備しない部分が、前記第2マスク(M21、M22、M23)の開口部パターンになる。
【0049】
前記第2エッジ部マスクパターン(M21)は、前記基板100または前記バリア層200の一側と他側の端に対応するように形成され、特に、前記一側と他側の最外郭に位置する第1電極層300の一部分と重畳するように形成される。前記第2エッジ部マスクパターン(M21)は、上述した第1エッジ部マスクパターン(M11)とは異なるパターンで形成され、特に、前記第1エッジ部マスクパターン(M11)よりも広い幅を有するように形成される。
【0050】
前記第2コンタクト部マスクパターン(M22)及び前記第2分離部マスクパターン(M23)は、一側の最外郭に位置する1つの第1電極層300を除く残りの全ての第1電極層300上にそれぞれ形成することができる。前記第2コンタクト部マスクパターン(M22)および前記第2分離部マスクパターン(M23)は、互いに所定の間隔を有するように形成される。
【0051】
前記第2エッジ部マスクパターン(M21)の幅は、前記第2コンタクト部マスクパターン(M22)の幅及び前記第2分離部マスクパターン(M23)の幅より大きく形成することができる。
【0052】
前記第2マスク(M21、M22、M23)は、当業界で公知のシャドウマスク(Shadow Mask)を用いることができる。
【0053】
次に、
図1Eから分かるように、前記第1電極層300の一面、例えば上面上に第1導電性電荷伝達層400、光吸収層500、及び第2導電性電荷伝達層600を順に形成する。すなわち、前記第1電極層300の上面上に第1導電性電荷伝達層400を形成し、前記第1導電性電荷伝達層400の上面上に光吸収層500を形成し、前記光吸収層500上に前記第2導電性電荷伝達層600を形成する。ここで、前記第1導電性電荷伝達層400は、前記第1分離部(P1)を介して前記バリア層200または前記基板100の上面と接することができる。
【0054】
前記第1導電性電荷伝達層400、光吸収層500、及び第2導電性電荷伝達層600の形成工程の各々は、前記薄膜蒸着チャンバ内で大気圧より低い圧力で行うことができる。
【0055】
前記第1導電性電荷伝達層400、光吸収層500、及び第2導電性電荷伝達層600は、前記第2マスク(M21、M22、M23)の上面上にも形成される。すなわち、前記第1導電性電荷伝達層400、光吸収層500、及び第2導電性電荷伝達層600は、前記第2エッジ部マスクパターン(M21)の上面、前記第2コンタクト部マスクパターン(M22)の上面、及び前記第2分離部マスクパターン(M23)の上面上にも形成される。
【0056】
ここで、前記第1導電性電荷伝達層400、光吸収層500、及び第2導電性電荷伝達層600の全体の厚みの合計は、前記第2マスクパターン(M21、M22、M23)の厚さと、同じかそれより小さいことがあり得る。
【0057】
前記第1導電性電荷伝達層400は電子輸送層からなり、前記光吸収層500はペロブスカイト層からなり、前記第2導電性電荷伝達層600は正孔輸送層からなることができる。
【0058】
または、前記第1導電性電荷伝達層400は正孔輸送層からなり、前記光吸収層500はペロブスカイト層からなり、前記第2導電性電荷伝達層600は電子輸送層からなることができる。
【0059】
前記電子輸送層は、BCP(Bathocuproine)、C60、またはPCBM(Phenyl-C61-butyric acid methyl ester)などの当業界で公知の様々なN型有機物、ZnO、c-TiO2/mp-TiO2、SnO2、またはIZOなどの当業界で公知の様々なN型金属酸化物、およびその他の当業界で公知の様々なN型有機または無機物を含んでなるとができる。
【0060】
前記正孔輸送層は、Spiro-MeO-TAD、Spiro-TTB、ポリアニリン、ポリピロール、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン-ポリスチレンスルホネート(PEDOT-PSS)、またはポリ-[ビス(4-フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)アミン](PTAA)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)(P3HT)等のような当業界で公知の様々なP型有機物、Ni酸化物、Mo酸化物または、V酸化物、W酸化物、Cu酸化物などの当業界で公知の様々なP型金属酸化物、およびその他の当業界で公知の様々なP型有機または無機物を含んでなることができる。
【0061】
前記第1導電性電荷伝達層400、前記光吸収層500、及び前記第2導電性電荷伝達層600のそれぞれは、CVD(Chemical Vapor Deposition)又はALD(Atomic Layer Deposition)等のような当業界で公知の様々な薄膜蒸着工程を通じて形成することができる。
【0062】
次に、
図1Fから分かるように、前記第2マスク(M21、M22、M23)を前記第1電極層300の一面から除去する。そうすると、前記第2マスク(M21、M22、M23)の上面に形成された前記第1導電性電荷伝達層400、前記光吸収層500、及び前記第2導電性電荷伝達層600も一緒に除去され、それにより、前記第1電極層300の上面に形成された前記第1導電性電荷伝達層400、前記光吸収層500、及び前記第2導電性電荷伝達層600が残存するようになる。
【0063】
結局、複数の単位セル別にコンタクト部(P2)及び第2分離部(P3)を挟んで互いに離隔した前記第1導電性電荷伝達層400、前記光吸収層500、及び前記第2導電性電荷伝達層600のそれぞれを得ることができる。前記コンタクト部(P2)のパターンは、前記第2コンタクト部マスクパターン(M22)に対応し、前記第2分離部(P3)のパターンは、前記第2分離部マスクパターン(M23)に対応し、前記コンタクト部(P2)及び第2分離部(P3)では、前記第1電極層300の上面が露出することができる。
【0064】
ここで、前記基板100または前記バリア層200の一側および他側の端に、前記第1導電性電荷伝達層400、前記光吸収層500、および前記第2導電性電荷伝達層600が具備されなくなり、また、最外郭の前記第1電極層300の端の一部分上にも、前記第1導電性電荷伝達層400、前記光吸収層500、及び前記第2導電性電荷伝達層600が具備されなくなる。それによって、前記一側および他側の最外郭に位置する前記第1導電性電荷伝達層400、前記光吸収層500、および前記第2導電性電荷伝達層600の端は、前記一側および他側の最外郭に位置する前記第1電極層300の端より内側に位置するようになり、前記一側及び他側の最外郭に位置する前記第1電極層300の端の一部分が外部に露出する。
【0065】
図1F工程で得られた前記第1導電性電荷伝達層400は、前記第1電極層300の上面に形成され、前記第1分離部(P1)を充たすように形成され、前記第1導電性電荷伝達層400の下面は、前記バリア層200の上面と接することができる。また、複数の第1導電性電荷伝達層400は、コンタクト部(P2)および第2分離部(P3)を挟んで離隔することができる。上述したように、最外郭に位置する第1導電性電荷伝達層400の端は、最外郭に位置する第1電極層300の端より内側に位置することができ、それによって最外郭に位置する第1電極層300の端は、外部に露出することができる。
【0066】
図1F工程で得られた前記光吸収層500と前記第2導電性電荷伝達層600は、
図1F工程で得られた前記第1導電性電荷伝達層400と同じパターンで形成することができる。
【0067】
次に、
図1Gから分かるように、前記第1電極層300の一面、例えば上面上に第3マスク(M31、M32)を配置する。
【0068】
前記第3マスク(M31、M32)を位置決めする工程は、前記薄膜蒸着チャンバ内で行うことができる。ここで、前記第3マスク(M31、M32)を位置決めする工程は、前記基板100と前記第3マスク(M31、M32)を静電気力で密着させる工程を含むことができる。
【0069】
前記第3マスク(M31、M32)は、第3エッジ部マスクパターン(M31)と第3分離部マスクパターン(M32)を含んでなる。前記第3エッジ部マスクパターン(M31)および第3分離部マスクパターン(M32)を具備しない領域は、前記第3マスク(M31、M32)の開口パターンとなる。
【0070】
前記第3エッジ部マスクパターン(M31)は、前記基板100または前記バリア層200の一側と他側の端に対応するように形成され、特に、一側と他側の最外郭に位置する第1電極層300の端の一部分と重畳するように形成される。前記第3エッジ部マスクパターン(M31)は、前記第2エッジ部マスクパターン(M21)と同じ位置に同じパターンで形成することができる。ただし、前記第3エッジ部マスクパターン(M31)の厚さは、前記第2エッジ部マスクパターン(M21)の厚さより厚く形成することができる。
【0071】
前記第3分離部マスクパターン(M32)は、一側の最外郭に位置する1つの第1電極層300を除く他の全ての第1電極層300上にそれぞれ形成することができる。前記第3分離部マスクパターン(M32)は、前記第2分離部(P3)を充たすように形成され、特に、前述した第2分離部マスクパターン(M23)と同じ位置に同じパターンで形成することができる。ただし、前記第3分離部マスクパターン(M32)の厚さは、前記第2分離部マスクパターン(M23)の厚さより厚く形成することができる。
【0072】
前記第3エッジ部マスクパターン(M31)の幅は、前記第3分離部マスクパターン(M32)の幅よりも大きく形成することができる。
【0073】
前記第3マスク(M31、M32)は、当業界で公知のシャドウマスク(Shadow Mask)を用いることができる。
【0074】
次に、
図1Hから分かるように、前記第2導電性電荷伝達層600の一面、例えば上面上に第2電極層700を形成する。ここで、前記第2電極層700は、前記コンタクト部(P2)を介して前記第1電極層300と接することができる。
【0075】
前記第2電極層700の形成工程は、前記薄膜蒸着チャンバ内で大気圧より低い圧力で行うことができる。
【0076】
第2電極層700は、前記第3マスク(M31、M32)の上面上にも形成される。すなわち、前記第2電極層700は、前記第3エッジ部マスクパターン(M31)の上面および第3分離部マスクパターン(M32)の上面上にも形成される。
【0077】
前記第2電極層700は、MOCVDまたはALDなどの当業界で公知の様々な薄膜蒸着工程を介して形成することができる。
【0078】
次に、
図1Iから分かるように、前記第3マスク(M31、M32)を前記第1電極層300の一面から除去する。そうすると、前記第3マスク(M31、M32)の上面に形成された前記第2電極層700も一緒に除去され、それにより前記第2導電性電荷伝達層600の上面及び前記コンタクト部(P2)の内部に形成された前記第2電極層700のみが残存するようになる。
【0079】
結局、複数の単位セル別に第2分離部(P3)を挟んで互いに離隔する前記第2電極層700が得られる。ここで、1つの単位セルの第2電極層700は、前記コンタクト部(P2)を介して隣り合う他の1つ単位セルの第1電極層300と電気的に連結し、それによって複数の単位セルが互いに直列に連結される。
【0080】
前記複数の単位セルのそれぞれは、前記第1電極層300、前記第1導電性電荷伝達層400、前記光吸収層500、前記第2導電性電荷伝達層600、及び前記第2電極層700の組み合わせからなる。
【0081】
前記第2分離部(P3)のパターンは、前記第3分離部マスクパターン(M32)に対応し、前記第2分離部(P3)では、前記第1電極層300の上面が露出することができる。
【0082】
ここで、前記基板100または前記バリア層200の一側および他側の端に前記第2電極層700が具備されなくなり、また、最外郭の前記第の電極層300の端の一部分上にも前記第2電極層700が具備されなくなる。それによって、前記一側および他側の最外郭に位置する第2電極層700の端は、前記一側および他側の最外郭に位置する前記第1電極層300の端より内側に位置するようになり。前記一側及び他側の最外郭に位置する前記第1電極層300の端の一部分が外部に露出する。
【0083】
一側および他側の最外側に位置する前記第2電極層700の部は、一側および他側の最も外側に位置する前記第2導電性電荷伝達層600の端と一致するようにパターン形成することができる。
【0084】
次に、
図1Jから分かるように、一側の最外郭に位置する前記第1電極層300上に第1端子800aを形成し、他側の最外郭に位置する前記第2電極層700上に第2端子800bを形成する。
【0085】
前記第1端子800aが形成される領域は、前述した前記第2エッジ部マスクパターン(M21)及び前記第3エッジ部マスクパターン(M31)と最外郭に具備される前記第1電極層300の一部分が重畳する領域である。
【0086】
前記第1端子800aは、直列に連結した複数の単位セルの(+)端子として機能することができ、前記第2端子800bは、直列に連結した複数の単位セルの(-)端子として機能することができる。
【0087】
前記基板100または前記バリア層200の一側および他側の端は、外部に露出して第3分離部(P4)を構成するようになる。前記第3分離部(P4)によって、太陽電池の最外郭単位セルと外部の他の構成との間のショートの発生を防止することができる。
【0088】
以上、添付の図を参照して本発明の実施例をさらに詳細に説明したが、本発明は必ずしもこのような実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想から逸脱しない範囲内で多様に変形して実施することができる。したがって、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するものではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。したがって、上記で説明した実施例はすべての点で例示的なものであり、限定的なものではないと理解されなければならない。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
【国際調査報告】