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特表2024-545487ワークピースの表面をレーザビームを用いて加工するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-09
(54)【発明の名称】ワークピースの表面をレーザビームを用いて加工するための装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/14 20140101AFI20241202BHJP
   B23K 26/36 20140101ALI20241202BHJP
   B23K 26/60 20140101ALI20241202BHJP
   H05H 1/26 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
B23K26/14
B23K26/36
B23K26/60
H05H1/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024529820
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 EP2022082802
(87)【国際公開番号】W WO2023089194
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】102021130466.0
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500321346
【氏名又は名称】プラズマトリート ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】PLASMATREAT GMBH
【住所又は居所原語表記】Queller Str. 76-80,D-33803 Steinhagen,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ブスケ
【テーマコード(参考)】
2G084
4E168
【Fターム(参考)】
2G084AA03
2G084AA07
2G084CC02
2G084CC03
2G084CC08
2G084CC23
2G084CC34
2G084DD12
2G084DD17
2G084DD18
2G084GG02
2G084GG18
4E168AD00
4E168CB04
4E168DA28
4E168EA03
4E168EA06
4E168EA17
4E168FA02
4E168FB05
4E168GA04
4E168KB03
4E168KB05
(57)【要約】
本発明は、ワークピース(6)の表面(4)をレーザビーム(8、8’)を用いて加工するための装置(2、302、402、502、602、802)であって、レーザビーム(8、8’)を提供するためのレーザシステム(12、12’)と、大気プラズマジェット(16、16’)を発生させるように構成されるプラズマノズル(14、14’)とを備え、プラズマノズル(14、14’)は、プラズマノズル(14、14’)内で発生するプラズマジェット(16、16’)が動作中にそれから出現するノズルヘッド(22、22’)を有し、レーザシステム(12、12’)及びプラズマノズル(14、14’)は、動作中にプラズマノズル(14、14’)のノズルヘッド(22、22’)からレーザビーム(8、8’)が出現するように互いに対して配置され構成される装置であって、動作中にノズルヘッド(22、22’)から出現するプラズマジェット(16、16’)に関して、及び/又は、動作中にノズルヘッド(22、22’)から出現するレーザビーム(8、8’)に関して、或る角度で及び/又はオフセットで延びる回転軸(R)の周りで、ノズルヘッド(22、22’)を回転させることができる、装置に関する。本発明は、このような装置を動作させるための方法にも関する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース(6)の表面(4)をレーザビーム(8、8’)を用いて加工するための装置(2、302、402、502、602、802)であって、
- 前記レーザビーム(8、8’)を提供するためのレーザシステム(12、12’)と、
- 大気プラズマジェット(16、16’)を発生させるように構成されるプラズマノズル(14、14’)と
を備え、
- 前記プラズマノズル(14、14’)は、前記プラズマノズル(14、14’)内で発生するプラズマジェット(16、16’)が動作中にそれから出現するノズルヘッド(22、22’)を有し、
- 前記レーザシステム(12、12’)及び前記プラズマノズル(14、14’)は、動作中に前記プラズマノズル(14、14’)の前記ノズルヘッド(22、22’)から前記レーザビーム(8、8’)が出現するように互いに対して配置され構成される、装置であって、
- 動作中に前記ノズルヘッド(22、22’)から出現する前記プラズマジェット(16、16’)に対して、及び/又は、動作中に前記ノズルヘッド(22、22’)から出現する前記レーザビーム(8、8’)に対して、或る角度で及び/又はオフセットで延びる回転軸(R)の周りで、前記ノズルヘッド(22、22’)を回転させることができること
を特徴とする装置。
【請求項2】
前記ノズルヘッド(22、22’)は、動作中に前記プラズマジェット(16、16’)がそれから出現するプラズマ出口開口(24、24’)を有し、前記レーザシステム(12、12’)及び前記プラズマノズル(14、14’)は、動作中に前記レーザビーム(8、8’)が前記プラズマ出口開口(24、24’)から出現するように互いに対して配置され構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ノズルヘッド(22、22’)は、動作中に前記プラズマジェット(16、16’)がそれから出現するプラズマ出口開口(24、24’)と、前記プラズマ出口開口(24、24’)とは別のレーザ出口開口(84)とを有し、前記レーザシステム(12、12’)及び前記プラズマノズル(14、14’)は、動作中に前記レーザビーム(8、8’)が前記レーザ出口開口(84)から出現するように互いに対して配置され構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記レーザ出口開口(84)が、前記プラズマ出口開口(24、24’)よりも小さい断面積(118)を有することを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記回転軸(R)が前記レーザ出口開口(84)を通って延びることを特徴とする、請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
前記プラズマノズル(14、14’)が、ハウジング軸(G)を備えたハウジング(50)を有し、前記回転軸(R)が前記ハウジング軸(G)と一致することを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記プラズマノズル(14、14’)が、ハウジング軸(G)を備えたハウジング(50)を有し、前記回転軸(R)が前記ハウジング軸(G)に対してオフセットで平行に走ることを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジング軸(G)が前記レーザ出口開口(84)を通って走ることを特徴とする、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置(2、302、402、502、602、802)が、更なる大気プラズマジェット(16’)を発生させるように構成される更なるプラズマノズル(14’)を有し、前記更なるプラズマノズル(14’)は、前記更なるプラズマノズル(14’)内で発生する更なるプラズマジェット(16’)が動作中にそれから出現する更なるノズルヘッド(22’)を有し、前記ノズルヘッド(22、22’)及び前記更なるノズルヘッド(22’)を前記回転軸(R)の周りで共に回転させることができることを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記レーザシステム(12)、前記プラズマノズル(14)、及び前記更なるプラズマノズル(14’)は、動作中に前記レーザビーム(8)が前記ノズルヘッド(22)と前記更なるノズルヘッド(22’)の両方から出現するように互いに対して配置され構成されることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記装置(2、302、402、502、602、802)が、更なるレーザビーム(8’)を提供するための更なるレーザシステム(12’)を有し、前記更なるレーザシステム(12’)及び前記更なるプラズマノズル(14’)は、動作中に前記更なるレーザビーム(8’)が前記更なるノズルヘッド(22’)から出現するように互いに対して配置され構成されることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記装置(2、302、402、502、602、802)が、前記ノズルヘッド(22)及び/又は前記更なるノズルヘッド(22’)を前記回転軸(R)の周りで回転させるように構成される回転ドライブ(92、306)を有することを特徴とする、請求項1~11の何れか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記プラズマノズル(14、14’)が、作動ガス中のアーク状放電(48)によって前記大気プラズマジェット(16、16’)を発生させるように構成され、前記アーク状放電(48)が、好ましくは電極間に高周波高電圧を印加することにより発生することを特徴とする、請求項1~12の何れか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記装置(2、302、402、502、602、802)が、請求項15に記載の方法により前記装置(2、302、402、502、602、802)を制御するように構成される制御器(96)を含むことを特徴とする、請求項1~13の何れか一項に記載の装置。
【請求項15】
請求項1~14の何れか一項に記載の装置(2、302、402、502、602、802)を動作させる方法であって、
- 前記プラズマノズル(14、14’)でもって大気プラズマジェット(16、16’)が発生し、前記大気プラズマジェットが前記ノズルヘッド(22、22’)から出現し、
- 前記レーザシステム(12、12’)によりレーザビーム(8、8’)が提供され、前記レーザビームが前記ノズルヘッド(22、22’)から出現し、
- 前記ノズルヘッド(22、22’)が前記回転軸(R)の周りで回転させられる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークピースの表面をレーザビームを用いて加工するための装置であって、レーザビームを提供するためのレーザシステムと、大気プラズマジェットを発生させるように構成されるプラズマノズルとを備え、プラズマノズルは、プラズマノズル内で発生するプラズマジェットが動作中にそれから出現するノズルヘッドを有し、レーザシステム及びプラズマノズルは、動作中にプラズマノズルのノズルヘッドからレーザビームが出現するように互いに対して配置され構成される、装置に関する。本発明は、このような装置を用いてワークピースの表面を加工するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書の文脈において、加工とは、特に、表面の構造又は組成等の表面特性を、的を絞ったやり方で変更し、様々な用途に合わせて最適化することのできる、レーザビームを用いた表面の加工を意味するものと理解される。
【0003】
レーザビームを使用して様々な材料の表面を洗浄する、層を除去する、或いは不連続のエリア内で、的を絞ったやり方で表面を変更することが技術の現状から公知である。特に、ワークピースの表面をレーザビームを用いて加工することにより、表面を後続の工程ステップ用に特別に準備することができる。例えば、レーザビームを用いた加工は、好ましくは、接着、溶接、半田付け又は塗装用に表面を前処理するために使用される。
【0004】
レーザビームを用いた材料の表面の加工は、しばしば、応力に対する表面の耐性を高めるためにも使用される。レーザ焼入、レーザ再溶解、及びレーザコーティング等の工程により、例えば、硬度及び靭性を増し、表面構造を変化させることができる。ワークピース表面をレーザビームを用いて加工することにより、ワークピースの摩耗保護又は腐食保護を改良することもできる。レーザビームを用いて表面を加工することにより表面にラベル又はマークを付けることができることも公知である。
【0005】
プラズマジェットを使用し、加工前にプラズマジェットを用いた処理を通じて表面特性を有利に変更することによってレーザビームを用いた表面の加工を改良することが更に公知である。例えば、プラズマジェットを使用して、レーザビームに関する表面の吸収特性を変化させる、好ましくは改良することができる。このようにして、レーザビームの、表面へのエネルギー結合をより効果的なものにすることができ、例えば、レーザによる材料除去を増加させることができる。
【0006】
表面をレーザビームを用いて加工する際、特に表面洗浄中などに層を除去する際、除去された粒子のうちの一部がしばしば表面上に再度堆積する。例えば、除去された汚染物質がワークピース表面上に堆積し、ワークピース表面が再度汚染されるということがしばしばある。除去された材料が再び堆積することにより、ワークピース表面上に不用な混合層が形成することもある。このことにより、ワークピース表面が不規則になり、加工エリアの近傍で材料特性が改変されることがある。
【0007】
この問題を克服するために、ワークピース表面上の、加工すべきエリア上へ、レーザビームに加えてプラズマジェットを指向することが公知である。プラズマジェットは、レーザビームにより除去された材料を分解又は変質させて、もはや材料がワークピース表面上に堆積しないようにすることができる。
【0008】
特許文献1は、ワークピースの表面をレーザビームを用いて加工するための装置であって、大気プラズマジェットを発生させるためにプラズマノズルが使用され、この大気プラズマジェットが、動作中にレーザビームと共にプラズマノズルのプラズマ出口開口から出現する、装置を開示している。
【0009】
ところが、レーザビーム及びプラズマジェットを用いて表面を効果的に加工することが、大きめのワークピース表面上では未だ不可能である。特に、大きめのワークピース表面を均一に加工することは困難であることが判明している。先行技術から公知の装置では、レーザビームとプラズマジェットとの間の相互作用、特に、プラズマによりレーザビームが吸収される可能性も、レーザビームの強度に対する有害な影響を有することがあり、レーザビームを用いたワークピース表面の加工が不十分になることがある。追加として、レーザビームにより大量の材料が分離することによって、材料はワークピース表面上で不必要に堆積し得ることが分かった。
【0010】
本発明は、ワークピースの表面をレーザビームを用いて加工するための装置を、前述の欠点の少なくとも1つ以上が少なくとも部分的に解消されるように更に展開するという技術的課題に依拠する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2017/178580(A1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、ワークピースの表面をレーザビームを用いて加工するための装置であって、レーザビームを提供するためのレーザシステムと、大気プラズマジェットを発生させるように構成されるプラズマノズルとを備え、プラズマノズルは、プラズマノズル内で発生するプラズマジェットが動作中にそれから出現するノズルヘッドを有し、レーザシステム及びプラズマノズルは、動作中にプラズマノズルのノズルヘッドからレーザビームが出現するように互いに対して配置され構成される、装置において解決され、本発明によれば、動作中にノズルヘッドから出現するプラズマジェットに対して、及び/又は、動作中にノズルヘッドから出現するレーザビームに対して、或る角度で及び/又はオフセットで延びる回転軸の周りで、ノズルヘッドを回転させることができるという点で解決される。
【0013】
このようにして、プラズマジェット及び/又はレーザビームの、ワークピース表面への影響エリアを増加できることが分かっている。このようにして、例えば、プラズマジェットに作用させる空間エリアを大きくし、ワークピース表面から分離される任意の物質を分解又は変質させて、加工されるワークピース表面の再汚染がそこで生じないようにすることができる。追加として又は別法として、例えば、レーザビームが作用するワークピース表面のエリアが大きくなり、より効果的に加工又は処理できる表面積が大きくなることを、このようにして達成することができる。例えば、回転可能なノズルヘッドをワークピース表面に対して付加的に移動させることにより、広い表面ストリップを加工することができる。
【0014】
追加として、ワークピース表面の、より均一な加工をこのようにして達成できることが分かった。このようにして、表面の材料特性に、より的を絞ったやり方で影響を与えることができ、或いは、材料除去、従って洗浄を、例えば局所的に過剰処理したエリアを生じさせることなく、より均一に実行することができる。
【0015】
装置は、ワークピースの表面をレーザビームを用いて加工するためのものである。ワークピースの表面を加工することには、例えば有機汚染物質の表面を洗浄することが含まれることがある。このような汚染物質は、レーザビームを用いて容易に除去することができるが、容易に表面に復帰する。レーザビームにより除去される有機汚染物質をプラズマジェットを使用して分解又は酸化し、表面が再度汚染されるのを防止することができる。回転可能なノズルヘッドと連携させれば、汚染物質を効果的に洗浄するワークピース表面を大きくして再汚染を防止することができる。
【0016】
装置は、レーザビームを提供するためのレーザシステムを含む。従って、レーザシステムを使用して、ワークピースの表面をそれを用いて加工することのできるレーザビームを提供することができる。レーザシステムは、レーザ光源、特に、ファイバレーザ等の固体レーザを含むことができる。独自のレーザ光源の代わりに、レーザシステムは、外部レーザ光源からレーザシステム内へレーザビームを案内するために使用することのできる光ファイバをも有することができる。
【0017】
更に、レーザシステムは、レーザビームを案内するための導光システムを含んでもよく、導光システムは、以下の素子、例えば、レーザチャネル、光ガイド、特に、ガラスファイバ等のファイバ光ガイド、ミラー、半透過ミラー、レンズ、及び/又はビームスプリッタ等の光学素子のうちの1つ以上を含んでもよい。光ガイドにより、レーザ光を、特に単純かつ幾何学的に柔軟に誘導することが可能になる。好ましくは、レーザシステムは、加工すべき表面上へレーザビームを指向する、及び/又は集束する更なる光学素子を有する。この目的に適した光学素子は、ミラー、特に曲面ミラー、又はレンズを包含する。
【0018】
装置は、大気プラズマジェットを発生させるように構成されるプラズマノズルをも含む。本事例において、プラズマジェットというのは、少なくとも部分的にイオン化される指向性ガスジェットであると理解される。大気プラズマジェットというのは、大気圧下で動作するプラズマジェット、即ち、そこでは、プラズマジェットは、その圧力が実質的に大気圧である又は大気圧に近い、例えば800~1300mbarの範囲内である環境内へ指向されるものであると理解される。
【0019】
プラズマノズルは、プラズマノズル内で発生するプラズマジェットが動作中にそれから出現するノズルヘッドを有する。この目的で、ノズルヘッドは、特に、プラズマノズル内で発生するプラズマジェットがノズルヘッドを通って退出することのできる少なくとも1つのプラズマ出口開口を有する。ノズルヘッドの、及び/又はプラズマ出口開口の配向及び幾何学的設計を使用して、プラズマジェットの出口場所及び噴出方向を指定することができる。ノズルヘッドは、プラズマノズル内で発生するプラズマジェットが動作中にそれから出現する幾つかのプラズマ出口開口をも有してもよい。このようにして、プラズマジェットを分散させるエリアを大きくすることができる、及び/又は、ワークピース表面へのプラズマ効果の強さを変動させることができる。
【0020】
レーザシステム及びプラズマノズルは、動作中にノズルヘッドからレーザビームが出現するように互いに対して配置され構成される。この目的で、特に、プラズマノズルは、レーザシステムにより提供されるレーザビームが、プラズマノズルを通して案内されてノズルヘッドから出現できるように設計される。
【0021】
好ましくは、プラズマノズルは、レーザビームをそれを通して案内することのできる中空電極を有する。このことにより、ノズルヘッドの設計を簡素化することが可能になる。追加として、ノズルヘッドを通してレーザビームを案内するための別個の構成、例えば、別個に形成されるレーザチャネルは、このようにして省くことができる。
【0022】
ノズルヘッドは、回転軸の周りで回転させることができる。例えば、ノズルヘッドは、プラズマノズルの残部に対して回転するように設計することができる。一方、ノズルヘッドが、プラズマノズルの別の部分と共に又はプラズマノズル全体と共に回転可能であるように設計されることも考えられる。この目的で、ノズルヘッドは、プラズマノズルと共に又はその共回転部分と共に回転可能に固定されるように設計することができる。
【0023】
回転軸は、動作中にノズルヘッドから出現するプラズマジェットに対して、及び/又は、動作中にノズルヘッドから出現するレーザビームに対して、或る角度で及び/又はオフセットで走る。
【0024】
それに応じて、例えば、回転軸は、動作中にノズルヘッドから出現するプラズマジェットに対して或る角度で及び/又はオフセットで走ることができる。このようにして、プラズマジェットのインパクトエリアを拡大することができ、その結果、レーザビームによりワークピース表面から分離する物質がプラズマジェットと相互作用することのできるエリアが大きくなる。このエリア内で物質を分解及び/又は変質させ、ワークピース表面の汚染を低減することができる。プラズマジェットは特に、ノズルヘッドを回転させることにより、ワークピース表面上の円形経路に沿って進行することができ、この円形経路は、例えば、ノズルヘッドとワークピース表面との間の相対移動と重ね合わせることができ、ワークピース表面上には、プラズマジェットのストリップ形のインパクトエリアが創成される。
【0025】
回転軸を、プラズマ出口開口から出現するプラズマジェットに対してオフセットで配置するために、回転軸は例えば、プラズマジェットの出口が意図されるノズルヘッドのプラズマ出口開口の外側を走ってもよい。回転軸を、プラズマ出口開口から出現するプラズマジェットに対して或る角度で配置するために、回転軸は例えば、動作中にノズルヘッドから出現するプラズマジェットに対して3°~75°の、好ましくは5°~45°の範囲内の或る角度で走ってもよい。
【0026】
好ましくは、ノズルヘッドは、プラズマジェットがノズルヘッドの回転軸に対してオフセットで及び/又は特定の角度で出現するように設計される。この目的で、ノズルヘッドは特に、ノズルヘッドの内側に設けられるプラズマチャネルがそのところまで延びるプラズマ出口開口を有してもよい。プラズマ出口開口を回転軸に対してオフセットで配置することにより、回転軸はプラズマジェットに対してオフセットで配置することができる。追加として又は別法として、プラズマジェットが回転軸に対して或る角度でプラズマ出口開口を出るように、プラズマチャネルの延在方向及び/又は曲率を適合させることができる。追加として又は別法として、プラズマジェットが回転軸に対して或る角度でプラズマ出口開口を退出するように設計され配置される偏向素子も設けられてもよい。
【0027】
ノズルヘッドは、レーザビームが少なくとも複数区域においてプラズマチャネルを通過するように設計することができる。このことにより、ノズルヘッドの幾何学形状を簡素化することができる。というのも、レーザビームには、少なくとも複数区域において、個別のレーザチャネルが必要ないからである。
【0028】
追加として又は別法として、回転軸は、動作中にノズルヘッドから出現するレーザビームに対して或る角度で及び/又はオフセットで走ってもよい。このようにして、レーザビームのインパクトエリアを増加させることができ、物質、特に汚染物質が効果的に除去されるワークピース表面の表面積を大きくすることができる。
【0029】
本発明によれば、上の目的は、少なくとも一部において、上述した装置又はその実施形態を動作させる方法であって、プラズマノズルでもって大気プラズマジェットが発生し、この大気プラズマジェットがノズルヘッドから出現し、レーザシステムでもってレーザビームが提供され、このレーザビームがノズルヘッドから出現し、ノズルヘッドが回転軸の周りで回転させられる、方法により更に解決される。
【0030】
上述した装置及び方法は、例えばワークピースの表面を洗浄するために使用することができる。
【0031】
以下で、装置及び方法の様々な実施形態を説明する。個々の実施形態は、装置と方法の両方に適用可能であり、互いに組み合わせることもできる。
【0032】
第1実施形態において、ノズルヘッドは、動作中にプラズマジェットがそれから出現するプラズマ出口開口を有し、レーザシステム及びプラズマノズルは、動作中にレーザビームがプラズマ出口開口から出現するように互いに対して配置され構成される。このようにして、例えば、レーザビーム及びプラズマジェットは、加工すべきワークピース表面に共に衝突することができ、従って、例えば、レーザビームにより表面から除去された粒子は、プラズマジェットにより効果的にかつ即座に変質させることができる。このことにより、表面を単純なやり方で効果的に洗浄することができる。更に、プラズマジェット及びレーザビーム用に共通のプラズマ出口開口を設けることができるため、ノズルヘッドの設計を簡素化することができる。
【0033】
更なる実施形態において、レーザシステムは、プラズマ出口開口又はレーザ出口開口の断面におけるレーザビームの位置が連続して変化するように、レーザビームのビーム方向を連続して変動させるように構成される。方法の、対応する実施形態において、レーザビームの方向は、プラズマ出口開口又はレーザ出口開口の断面におけるレーザビームの位置が連続して変動するように連続して変動する。このようにして、レーザビームにより加工されるワークピースの表面上のエリアを増加させることができる。
【0034】
連続した変動というのは、レーザビームのビーム方向が連続して変化するということを意味する。例えば、レーザシステムは、レーザビームのビーム方向を変動させるために使用できる可動ミラーを備えたミラー光学系を有してもよい。
【0035】
レーザシステムは、レーザビームのビーム方向を、例えば、プラズマ出口開口又はレーザ出口開口の断面におけるレーザビームの位置が線状に前後に移動する又は円状に移動するように、好ましくは周期的に変動させる。
【0036】
更なる実施形態において、ノズルヘッドは、動作中にプラズマジェットがそれから出現するプラズマ出口開口と、プラズマ出口開口とは別のレーザ出口開口とを有し、レーザシステム及びプラズマノズルは、動作中にレーザビームがレーザ出口開口から出現するように互いに対して配置され構成される。
【0037】
プラズマ出口開口とは別のレーザ出口開口を設けることにより、プラズマジェットとレーザビームとの間の相互作用において柔軟性が大きくなることを達成することができる。例えば、加工すべきワークピース表面のエリア上にプラズマジェットを、レーザビームに対して空間的にオフセットでぶつからせることが可能である。このことにより、とりわけ、レーザビームにより除去された材料を、レーザビームの照射後に時間遅延を伴って好適な方向へ分散させることを考慮することが可能になる。その際、プラズマジェットは、それに応じて柔軟に調整することができる。
【0038】
追加として、プラズマジェットとレーザビームとの相互作用は、このようにして適宜低減することができる。特に、プラズマジェットによるレーザビームの強度に対する悪影響、特にレーザビームの吸収を、低減又は回避さえすることができる。このことにより、加工すべき表面に適用するレーザビームの強度を大きくすることができる。有利には、相互作用が低減されることは、レーザ散乱光が減少すること、及び、ワークピース表面上でのレーザビームの集束可能性が改良されることにもつながる。
【0039】
ノズルヘッド内には、少なくとも複数区域において、レーザ出口開口につながるレーザチャネルを設けることができる。このようにして、レーザビームを外部干渉から保護することができ、レーザビームの拡張を回避することができる。
【0040】
更なる実施形態において、レーザ出口開口は、プラズマ出口開口よりも小さい断面積を有する。更なる実施形態において、レーザ出口開口につながるチャネルは、プラズマ出口開口につながるプラズマチャネルよりも小さい断面積を有する。このようにして、レーザ出口開口から出現するプラズマジェットの意図しない部分の割合を低減することができる。好ましくは、プラズマ出口開口の断面積の、レーザ出口開口の断面積に対する比率、及び/又は、プラズマ出口開口につながるプラズマチャネルの断面積の、レーザ出口開口につながるチャネルの断面積に対する比率は、少なくとも2であり、好ましくは少なくとも4である。プラズマ出口開口の断面積は、例えば7~100mmの範囲内とすることができる。レーザ出口開口の断面積は、例えば0.2~20mm、好ましくは0.2~7mmの範囲内とすることができる。
【0041】
別法として、例えば、レーザビームの位置がレーザ出口開口の断面内で、例えば線に沿って前後に又は円状に移動するようにレーザシステムがレーザビームのビーム方向を変動させる場合、レーザ出口開口はプラズマ出口開口と同じ寸法又はそれより大きい断面積をも有することができる。
【0042】
更なる実施形態において、ノズルヘッドから出現するレーザビームは回転軸を通過する。このようにして、レーザシステムの回転素子を部分的に又は完全に省くことができることから、装置の設計の複雑さを軽減することができる。このことは、ノズルヘッドがレーザ出口開口を有する場合には、特に回転軸がレーザ出口開口を通って走ることにより達成することができ、レーザビームがノズルヘッドを通って退出するプラズマ出口開口をノズルヘッドが有する場合には、特に回転軸がプラズマ出口開口を通って走ることにより達成することができる。
【0043】
更なる実施形態において、プラズマノズルは、ハウジング軸を備えたハウジングを有し、回転軸はハウジング軸と一致する。このようにして、回転軸とハウジング軸との整列に起因して、不均衡に対する感受性が低く、慣性モーメントの比較的低い、従って高速回転に良く適した、構造的に単純かつ空間節約的な装置が達成される。
【0044】
更なる実施形態において、プラズマノズルは、ハウジング軸を備えたハウジングを有し、回転軸はハウジング軸に対してオフセットで平行に走る。このようにして、ノズルヘッド上に設けられるプラズマ出口開口及び/又はレーザ出口開口と回転軸との間の距離を大きくすることを達成できるため、プラズマジェット及び/又はレーザビームのインパクトエリアが増加する。
【0045】
更なる実施形態において、ハウジング軸はレーザ出口開口を通って走る。このことにより、レーザビームの、ノズルヘッドへの誘導を簡素化することが可能になり、従って、装置の特に単純な設計が可能になる。特に、プラズマノズルは、レーザビームをそれを通して案内することのできる中空電極を有することができる。中空電極は、好ましくは、ハウジングの軸に沿って走る。このような設計により、高度に回転対称な構成が可能になり、このことは、装置内でのプラズマジェットの均一な発生にとって、従ってその均一な動作にとって、有利であることがある。一方、ノズルヘッドからレーザビームがハウジング軸と平行に出現できるようにするために、中空電極もハウジング軸に対してオフセットで配置されてもよい。このことにより、装置の設計に関して柔軟性を増すことができる。
【0046】
一実施形態において、レーザビームは、ノズルヘッドから、特にプラズマ出口開口又はレーザ出口開口から、回転軸に対して或る角度で出現する。この事例において、ハウジング軸は、回転軸に対して或る角度で走ってもよく、回転軸と平行に走ってもよく、又は回転軸と一致してもよい。この実施形態において、レーザシステム及びプラズマノズルは、レーザビームが回転軸に対して或る角度でノズルヘッドから出現するように互いに配置され構成される。
【0047】
一実施形態において、ハウジング軸はプラズマ出口開口を通って走る。このことにより、装置の、より単純な、好ましくは高度に回転対称の設計が可能になる。
【0048】
更なる実施形態において、装置は、更なる大気プラズマジェットを発生させるように構成される更なるプラズマノズルを有し、この更なるプラズマノズルは、更なるプラズマノズル内で発生するプラズマジェットが動作中にそれから出現する更なるノズルヘッドを有し、ノズルヘッド及び更なるノズルヘッドを回転軸の周りで共に回転させることができる。
【0049】
このようにして、ワークピース表面は、幾つかのプラズマノズルでもって同時に処理することができる。このことにより、処理する表面積を大きくすることが可能になり、或いは、所与の表面をより迅速に処理することが可能になる。
【0050】
好ましくは、プラズマノズル及び更なるプラズマノズルは、回転軸に対してオフセットである又は回転軸に対して或る角度で走るそれぞれのハウジング軸を有する。このようにして、プラズマジェット、並びに、更なるプラズマジェット及び/又はレーザビームのインパクトエリアが著しく増加する。ノズルヘッド及び更なるノズルヘッド、又はプラズマノズル及び更なるプラズマノズルは、好ましくは、回転可能に固定されたやり方で互いに接続される。ノズルヘッド及び更なるノズルヘッド、又はプラズマノズル及び更なるプラズマノズルが、回転軸に関して互いに対向して配置されることが更に好適である。このようにして、回転軸の周りでの回転中の不均衡を軽減することができる。
【0051】
好ましくは、ノズルヘッド及び更なるノズルヘッドが、又はプラズマノズル及び更なるプラズマノズルが回転軸の周りで回転するために、共通の回転ドライブが設けられる。このことにより、装置の設計を、費用効果的かつ信頼できるものにすることができる。
【0052】
更なるノズルヘッドは、好ましくは、動作中に更なるプラズマジェットがそれから出現するプラズマ出口開口を有する。回転軸は、好ましくは、動作中にノズルヘッドから出現するプラズマジェットに対して、或る角度で及び/又はオフセットで走る。
【0053】
プラズマジェット及び更なるプラズマジェットが、回転軸に対して同じ又は同様の角度でそれぞれのノズルヘッドから出現することが実現されてもよい。特に、プラズマジェット及び更なるプラズマジェットは、内方に、即ち回転軸に向かって、或いは、外方に、即ち回転軸から離れるように指向することができる。このようにして、プラズマジェットの効果の強さを増すことができる。別法として、プラズマジェット及び更なるプラズマジェットのうちの一方が内方に指向され、他方が外方に指向されることも考えられる。このようにして、プラズマジェットのインパクトエリアを増加させることができる。
【0054】
装置の更なる実施形態において、レーザシステム、プラズマノズル、及び更なるプラズマノズルは、動作中にレーザビームがノズルヘッドと更なるノズルヘッドの両方から出現するように互いに対して配置され構成される。この目的で、例えばビームスプリッタを設けることができる。ビームスプリッタは、レーザシステムにより提供されるレーザビームを2つ以上の部分ビームへと分割するように構成され配置される。特に、ビームスプリッタとして、1つ以上の光学素子、特に、レンズ、光ガイドビームスプリッタ又は半透過ミラー等の光学回折素子が使用されてもよい。レーザシステムは、特に、レーザビームの1つ以上の部分ビームをノズルヘッドへ案内して、レーザビームの1つ以上の更なる部分ビームを更なるノズルヘッドへ案内する導光システムを含んでもよい。両方のプラズマノズル又はノズルヘッドに対して1つのレーザシステムを設けることにより、装置を、より費用効果的に製造することができる。
【0055】
レーザシステム及び更なるプラズマノズルは、動作中にレーザビームが更なるノズルヘッドのプラズマ出口開口から出現するように互いに対して配置され構成されてもよい。レーザシステム及び更なるプラズマノズルは、動作中にレーザビームが、プラズマ出口開口とは別の更なるノズルヘッドのレーザ出口開口から出現するようにも互いに対して配置され構成されてもよい。これらの実施形態は、1つのプラズマノズルのプラズマ出口開口又はレーザ出口開口について既に上述したものと基本的に同じ利点を有する。
【0056】
更なる実施形態において、装置は、更なるレーザビームを提供するための更なるレーザシステムを有し、これによって、この更なるレーザシステム及び更なるプラズマノズルは、動作中に更なるレーザビームが更なるノズルヘッドから出現するように互いに対して配置され構成される。例えばビームスプリッタ又は複雑なビームガイドが不要になるため、このようにして、それぞれのレーザシステムの複雑さを軽減することができる。追加として、この実施形態により、異なるパラメータの、例えば、異なる強度又は波長のレーザビームを使用することができるため、ワークピース表面を、より柔軟に加工することが可能になる。例えばこのようにして、例えば異なる波長の放射線を使用すれば除去することが容易になる異なる種類の汚染物質を、より効果的にワークピース表面から除去することが可能になる。
【0057】
更なるレーザシステムは、更なるレーザビームをワークピース表面上へ調整及び/又は集束させるための光学素子、例えばレンズ又はミラーを含むことができる。
【0058】
一実施形態において、装置は、ノズルヘッド及び/又は更なるノズルヘッドを回転軸の周りで回転させるように構成される回転ドライブを有する。このようにして、ノズルヘッドの回転を、的を絞ったやり方で、好ましくは事前決定可能な回転周波数で制御することができる。回転周波数は、好ましくは、毎分100~5000回転数、より好ましくは毎分500~3500回転数の範囲内にある。これらの回転周波数では、プラズマジェット及び/又はレーザビームの、特に均一な効果を達成することができる。回転ドライブは、ノズルヘッドを回転軸の周りでプラズマノズルの残部に対して回転させるように、及び/又は、更なるノズルヘッドを回転軸の周りで更なるプラズマノズルの残部に対して回転させるように構成されてもよい。更に、回転ドライブは、プラズマノズルの一部又はプラズマノズル全体を回転軸の周りでノズルヘッドと共に回転させるように、及び/又は、プラズマノズルの一部又はプラズマノズル全体を回転軸の周りでノズルヘッドと共に回転させるように構成されてもよい。
【0059】
ノズルヘッド及び/又はプラズマノズルを回転させるように構成される回転ドライブと、更なるノズルヘッド及び/又は更なるプラズマノズルを回転させるように構成される更なる回転ドライブとが設けられることも考えられる。
【0060】
レーザシステム又はレーザシステムの一部、例えばレーザシステムのレーザ光源は、回転ドライブにより回転させられないように配置されることが実現されてもよい。このことにより、システム全体の安定性が高まることが可能になる。
【0061】
更なる実施形態において、レーザシステムは、レーザビームを、少なくとも複数区域において回転軸に沿って案内するように構成される。このようにして、レーザビームを、回転軸に沿って、回転軸の周りで回転する装置の構成要素の、即ちノズルヘッドの、場合によって残りのプラズマノズルの、及び場合によって、装置の更なる回転式構成要素のシステムへ結合することができる。レーザビームは、特に、装置の回転式構成要素のシステムの外側にあるレーザ光源により、提供することができる。このようにして、特に、レーザ光源がノズルヘッドと共に回転することは不要になる。レーザビームをノズルヘッドに案内するために、装置は、ノズルヘッドと共に回転する1つ以上のミラーを含んでもよい。レーザビームはその断面経路から、これらのミラーを介して回転軸に沿ってノズルヘッドに案内される。
【0062】
更なる実施形態において、プラズマノズルは、作動ガス中のアーク状放電によって大気プラズマジェットを発生させるように構成され、アーク状放電は、好ましくは、電極間に高周波高電圧を印加することにより発生する。このようにして、容易に集束することのできる、及び、表面から分離した物質を変質又は分解させるのに良く適したプラズマジェットを発生させることができる。追加として、このようにして発生するプラズマジェットは、特に高周波高電圧を使用する際、プラズマノズルからの出現後にほんの数センチメートルで割合に低温になるため、プラズマジェットによるワークピース表面の損傷を防止することができる。追加として、パルスプラズマ動作を通じてプラズマジェットの低温を達成することができる。
【0063】
高周波アーク状放電を発生させるための高周波高電圧は、例えば、1~100kVの、好ましくは1~50kVの、より好ましくは1~10kVの範囲内の電圧振幅、及び、1~300kHzの、特に1~100kHzの、好ましくは10~100kHzの、より好ましくは10~50kHzの周波数を有してもよい。
【0064】
更なる実施形態において、装置は、上述した方法又は説明したその実施形態のうちの1つにより装置を制御するように構成される制御器を有する。制御器は、例えば、少なくとも1つのプロセッサと、命令を備えたメモリとを有してもよい。装置は方法又はその実施形態により、少なくとも1つのプロセッサ上で命令を遂行することにより制御される。特に、制御器は、装置を制御するように、例えば回転周波数を制御するように構成されてもよい。
【0065】
添付の図面を参照すれば、装置及び方法の更なる特徴及び利点が、例示的実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1A】ワークピースの表面をレーザビームを用いて加工するための装置及び方法の第1例示的実施形態を示す。
図1B】ワークピースの表面をレーザビームを用いて加工するための装置及び方法の第1例示的実施形態を示す。
図1C】ワークピースの表面をレーザビームを用いて加工するための装置及び方法の第1例示的実施形態を示す。
図2】ワークピースの表面をレーザビームを用いて加工するための装置及び方法の第2例示的実施形態を示す。
図3】ワークピースの表面をレーザビームを用いて加工するための装置及び方法の第3例示的実施形態を示す。
図4】ワークピースの表面をレーザビームを用いて加工するための装置及び方法の第4例示的実施形態を示す。
図5】ワークピースの表面をレーザビームを用いて加工するための装置及び方法の第5例示的実施形態を示す。
図6】ワークピースの表面をレーザビームを用いて加工するための装置及び方法の第6例示的実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1A図1Cは、装置及び方法の第1例示的実施形態の略図を示す。図1Aは側部からの略断面図を示し、図1Bは、図1Aの、Iとラベル付けした部分の拡大図を示す。図1Cは、装置のノズルヘッドの下からみた図を示す。
【0068】
ワークピース6の表面4をレーザビーム8を用いて加工するための装置2は、プラズマジェット16を発生させるように構成されるプラズマノズル14を含む。プラズマノズル14は金属製の管状ハウジング50を有し、このハウジングは、図示するその上部領域内で直径が広がっており、軸受80によって固定支持管86上に回転可能に装着され、図示するその下部領域内でノズル管18を形成する。ハウジング50は、ノズル管18の中心を通って走るハウジング軸Gを有する。
【0069】
ハウジング50の内側にノズルチャネル88が形成され、このノズルチャネルは、上方で開放している支持管86の端部から、図面ではノズル管18の下端にて装着される交換可能なノズルヘッド22までつながっている。ノズルヘッド22は金属製であり雄ねじ23を有する。ノズルヘッド22はこの雄ねじでもってノズル管50の雌ねじ10にねじ込まれる。ノズルヘッド22は、プラズマ出口開口24につながっているプラズマチャネル54も有し、プラズマノズル14内で発生するプラズマジェット16は、動作中にこのプラズマ出口開口から出現する。
【0070】
支持管86内へ電気絶縁性セラミック管40が挿入される。動作中、支持管86及びセラミック管40を通して、作動ガス、例えば空気がノズルチャネル88内へ導入される。周方向に傾斜した穴34を有する旋回装置32がセラミック管40内へ挿入されているおかげで、作動ガスは、ノズルヘッド22まで渦巻き状にノズルチャネル88を流通するように旋回する。従って、作動ガスは、渦巻き36の形態でノズル管18の下流部分を流通する。渦巻きの中心はノズル管18の長手方向軸に沿って走る。
【0071】
旋回装置32上に、ピン形の中空電極の形態の内部電極38が装着され、この中空電極は、ノズル管18内でノズルヘッド22の方向に同軸に延び、内部チャネル68を有する。内部電極38は、旋回装置32に電気的に接続される。旋回装置32はセラミック管40により、ノズル管18から電気的に絶縁される。ノズル管18は、軸受80及び支持管86を介して接地され、対向電極を形成する。
【0072】
動作中、内部電極38と、対向電極として作用するノズル管18との間に、変圧器44により発生する高周波高電圧が印加される。高周波高電圧は、1~100kVの、好ましくは1~50kVの、より好ましくは1~10kVの範囲内の電圧振幅、及び、1~300kHzの、特に1~100kHzの、好ましくは10~100kHzの、より好ましくは10~50kHzの周波数を有してもよい。高周波高電圧は、高周波AC電圧であってもよいが、パルスDC電圧、又は両方の電圧形態を重ね合わせたものであってもよい。高周波高電圧は、内部電極38とノズル管18との間にアーク48の形態の高周波放電を発生させる。
【0073】
ここで、放電がアークの形態で生じるため、放電の現象学的説明として用語「アーク」及び「アーク放電」を使用する。用語「アーク」は、電圧値が略一定であるDC放電の放電形態として他の場所でも使用されている。ただし、本事例では、アークの形態の高周波放電、即ち高周波アーク放電を扱っている。
【0074】
作動ガスの旋回流に起因して、このアーク48は、ノズル管18の軸上の渦巻き中心へ導かれ、ノズルヘッド22への移行部にある、先細りしているノズル管の下部エリア20内でようやく、ノズル管18の壁へと分岐する。
【0075】
渦巻き中心のエリア内で、従ってアーク48のすぐ近傍で高流速で回転する作動ガスは、アーク48と密接に接触し、従って部分的にプラズマ状態となり、大気プラズマジェット16が、ノズルヘッド22のプラズマチャネル54に侵入し、プラズマ出口開口24からプラズマノズルを退出する。
【0076】
プラズマノズル14は、支持管86上の回転可能な軸受により回転軸Rの周りで回転させることができる。装置2において、回転軸Rはプラズマノズル14のハウジング軸Gと一致する。
【0077】
ノズルヘッド22のプラズマチャネル54は、プラズマジェット16がハウジング軸Gに対して、従って回転軸Rに対して或る角度αでプラズマ出口開口24から出現するように形作られる。更に、プラズマ出口開口24は、プラズマジェット16が回転軸Rに対してオフセットでプラズマ出口開口24から出現するように位置決めされる。このようにして、回転軸Rは、動作中にノズルヘッド22から出現するプラズマジェット16に対して或る角度でかつオフセットで走る。
【0078】
角度αは、必要に応じて、ノズルヘッド22を交換することにより変動させてもよい。ノズルヘッド22の代わりに、プラズマジェット16が回転軸Rと平行、かつ回転軸に対してオフセットでプラズマ出口開口24から出現するノズルヘッドも選択されてもよい。
【0079】
プラズマノズル16を回転軸Rの周りで回転させるために回転ドライブ92が設けられ、この回転ドライブは、例えばギアホイール70を備えたモータ90を含んでもよく、ギアホイールは、ハウジング50上に配置される外部ギアホイール94と咬合する。プラズマ出口開口24から或る角度で出現するプラズマジェット16は、回転軸Rの周りで回転することに起因して、ワークピース表面4上で円形エリアにわたって掃引するが、プラズマノズル16とワークピース表面4との間での相対移動中、この円形エリアが、ワークピース表面4上にストリップ形エリアを形成するようにそれ自体重なり合ってもよい。
【0080】
更に、装置2は、レーザ光源62を備えたレーザシステム12を有し、このレーザ光源は、例えばプラズマノズル14の上方に配置されてもよい。レーザ光源62はレーザビーム8を提供する。レーザ光源62の別法として、装置2は、例えば外部レーザ光源に接続される光ガイドをも有してもよい。レーザ光源62により発生するレーザビーム8が中空電極38の内部チャネル68内へ案内されるように配置され構成されるレンズ光学系66及び/又はミラー67が設けられてもよい。
【0081】
レーザビーム8は、内部チャネル68を通過し、内部チャネル68を退出後、ノズルチャネル88の下部を通過し、ノズルヘッド22内に設けられて中空電極38の内部チャネル68と整列するように位置決めされたレーザチャネル82内へ入る。このレーザチャネルはレーザ出口開口84内へ開放し、レーザビーム8はこのレーザ出口開口を通ってノズルヘッド22を退出する。本実施例において、ハウジング軸G及び回転軸Rはレーザ出口開口84を通って走る。更に、レーザ光源62は、プラズマノズル14が回転しても静止したままであるように、即ち回転しないように配置される。このようにして、構造的に単純かつ信頼できる装置が設けられる。
【0082】
レーザ出口開口の断面におけるレーザビームの位置が例えば前後に又は円形経路上で連続して変動するようにレーザビームのビーム方向を連続して変動させるために、例えば、ミラー67は、連続して枢動するミラーとして設計されてもよい。このようにして、レーザビームは、作用する表面4のエリアが大きくなるように使用されてもよい。
【0083】
動作中、レーザビーム8及びプラズマジェット16は、ノズルヘッド22から、つまりレーザ出口開口84及びプラズマ出口開口24からそれぞれ出現し、ワークピース6の表面4に到達する。ワークピース表面4は、レーザビーム8が地点72にぶつかることにより、表面4上にある汚染物質74等の材料がレーザビーム8により除去される、例えば気化される、ことによって加工される。レーザビーム8により気化された材料76は、プラズマジェット16により分解又は変質し、表面4上に再び堆積することはない。このようにして、レーザビーム8により除去された有機材料がプラズマジェット16により分解され酸化されることから、特に有機物汚染が表面4から除去され得る。
【0084】
プラズマジェット16は通常数ミリメートルの直径を有するのに対し、レーザビーム8は通常1mm未満の直径を有する。従って、プラズマ出口開口24の断面積114は、レーザ出口開口84の断面積118より、例えば4倍以上大きくてもよい。別法として、例えば、上述したように、レーザ出口開口84の断面におけるレーザビーム8の位置が連続して変動する際は、図1A図1Cに示すように、レーザ出口開口84も、プラズマ出口開口24と同じ寸法に又はそれより大きくしてもよい。
【0085】
プラズマノズル14の回転に起因して、ワークピース表面4上のレーザスポットがプラズマ環により包囲されるため、レーザビーム8により除去される材料76をプラズマジェット16により極力完全に取り囲んで変換することができる。更に、プラズマノズル14と表面4との間の相対移動により、プラズマジェット16が、レーザスポットのエリアにわたっても掃引し、従ってレーザスポットのエリア内に残っている材料を直接変質又は分解できるという効果が得られる。
【0086】
装置2又はプラズマノズル14がワークピース6の表面4に沿って移動させられると、或いはその逆に、ワークピース6が装置2又はプラズマノズル14に沿って移動させられると、プラズマジェット16によりワークピース表面4上に描かれる円の直径にその幅が対応するストリップ上で、ワークピース6の表面4の均一な処理が達成される。ノズルヘッド22とワークピース6との間の距離を変動させることにより、網羅されるエリアの幅に影響を与えることができる。
【0087】
装置2は制御器96を更に含んでもよい。制御器は、好ましくは、通信リンク98を介して回転ドライブ92及びレーザ光源62に、並びに、変圧器44及び作動ガス源(図示せず)に接続される。制御器96によって、例えば、作動ガスの供給、レーザビーム8及びプラズマジェット16の提供、並びにノズルヘッド22の回転を制御することができる。このようにして、例えば作動ガスの供給に回転速度を適合させてもよく、或いは、加工すべき表面4に応じてレーザビーム8の強度を制御装置96を介して容易に変動させてもよい。
【0088】
図2は、装置及び方法の第2例示的実施形態を、側面からの略断面図において示す。
【0089】
装置302は装置2と同様の構造を有する。対応する構成要素には同じ参照符号を設ける。これに関して、図1A図1Cについての上の説明を参照されたい。
【0090】
装置302は、回転軸Rがハウジング軸Gと一致するのではなくハウジング軸Gに対してオフセットで平行であるという点で、装置2と相違する。それに応じて、プラズマノズル302の管状ハウジング50は、軸受80を介して支持管86上に装着されるのではなく、回転ドライブ306によって回転軸Rの周りで回転可能である回転アーム304に、回転可能に固定されたやり方で接続される。不均衡を回避するために、回転アーム304の、プラズマノズル14に対向する側に、釣合い重り308が設けられる。装置302では、管状ハウジング50内へ、旋回装置32を備えたセラミック管40が直接挿入される。
【0091】
更に、装置302は、ノズルヘッド22の代わりに、プラズマ出口開口24を備えたノズルヘッド322を有する。このプラズマ出口開口はノズルヘッド22上の中心に配置され、ハウジング50のハウジング軸Gはプラズマ出口開口24を通って延びる。このようにして、プラズマノズル14内で発生するプラズマジェット16、及び、レーザシステム12により中空電極38内へ導入されるレーザビーム8は共に、プラズマ出口開口24を通ってノズルヘッド322から出現する。これに対応して、回転軸Rは、ノズルヘッド322から出現するプラズマジェット16及びレーザビーム8に対してオフセットである。
【0092】
図3は、装置及び方法の第3例示的実施形態を、側面からの略断面図において示す。
【0093】
装置402は装置302と同様の構造を有する。対応する構成要素には同じ参照符号を設ける。これに関して、図2及び図1A図1Cについての上の説明を参照されたい。
【0094】
装置402は、更なるプラズマジェット16’を発生させるための更なるプラズマノズル14’が設けられるという点で、装置302と相違する。プラズマノズル14’の構造及び機能は、プラズマノズル14の構造及び機能に対応する。
【0095】
プラズマノズル16及び更なるプラズマノズル16’は、回転アーム304の両側に装着される。このようにして、釣合い重り308は省くことができる。
【0096】
レーザシステム12は、動作中にレーザビーム8がプラズマノズル14、14’のそれぞれのノズルヘッド22、22’から出現するように配置され構成される。この目的で、レーザシステム12は、半透過ミラーの形態のビームスプリッタ410と、ミラー411等の更なる光学素子とを備えた導光システム408を含み、ビームスプリッタ410を用いて発生する部分ビーム414、414’は、これらのミラーでもってノズルヘッド22、22’に案内される。
【0097】
図4は、装置及び方法の第4例示的実施形態を、側面からの略断面図において示す。
【0098】
装置502は、装置402と同様の構造を有する。対応する構成要素には同じ参照符号を設ける。これに関して、図3図2及び図1A図1Cについての上の説明を参照されたい。
【0099】
装置502は、回転軸Rに沿ってレーザビーム8の結合(独:Einkoppelung,英:in-coupling)が行われるという点で、装置402と相違する。このようにして、レーザシステム12のレーザ光源62を回転させることは不要になる。
【0100】
装置502は、導光システム408の代わりに、異なる導光システム508があることにより、装置402と更に相違する。導光システム508はガラスファイバの形態の光ガイド510を有し、レーザビーム8はレーザ光源12からビームスプリッタ512を介してこの光ガイドでもって光学素子514、514’に案内され、レーザビーム8のそれぞれの部分ビーム414、414’は、これらの光学素子でもって光ガイドから結合解除され、プラズマノズル14、14’を通してノズルヘッド22、22’に案内される。部分ビームはこのノズルヘッドから、それぞれのプラズマジェット16、16’と共に出現する。
【0101】
図5は、装置及び方法の第5例示的実施形態を、側面からの略断面図において示す。
【0102】
装置602は装置402と同様の構造を有する。対応する構成要素には同じ参照符号を設ける。これに関して、図3図2及び図1A図1Cについての上の説明を参照されたい。
【0103】
装置602は、レーザシステム12に加えて、更なるレーザ光源62’を備えた更なるレーザシステム12’が設けられ、レーザシステム12及び更なるレーザシステム12’は各々、それぞれのレーザビーム8、8’がそれぞれのノズルヘッド22、22’から出現するように配置され構成されるという点で、装置402と相違する。それに応じて、装置602は、プラズマノズル14及び更なるプラズマノズル14’について、それぞれのレーザシステム12、12’を有する。このようにして、表面4を加工するために、例えば、光学特性の異なる2つのレーザビーム8、8’が設けられてもよい。
【0104】
図6は、装置及び方法の第6例示的実施形態を、側面からの略断面図において示す。
【0105】
装置802は装置402と同様の構造を有する。対応する構成要素には同じ参照符号を設ける。これに関して、図3図2及び図1A図1Cについての上の説明を参照されたい。
【0106】
装置802は、回転軸Rに沿ってレーザビーム8の結合が行われるという点で、装置402と相違する。このようにして、レーザシステム12のレーザ光源62を回転させることは不要になる。レーザシステム12は、ミラー811、411等の光学素子を備えた導光システム808を有し、レーザビーム8は、これらのミラーでもってノズルヘッド22’に案内される。ミラー811、411がプラズマノズル14’と共に回転軸Rの周りで回転し、レーザビーム12は任意の角度位置にてノズルヘッド22’に案内される。図8は、レーザビーム8がノズルヘッド22’のみから出現する実施形態を示す。一方、ミラー811の上方に半透過ミラーを設け、プラズマノズル14上にミラー411に対応するミラーを設けることにより、及び、プラズマノズル14の設計をプラズマノズル14’に対応させることにより、レーザビーム8が両方のノズルヘッド22、22’から出現することも達成されてもよい。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース(6)の表面(4)をレーザビーム(8、8’)を用いて加工するための装置(2、302、402、502、602、802)であって、
- 前記レーザビーム(8、8’)を提供するためのレーザシステム(12、12’)と、
- 大気プラズマジェット(16、16’)を発生させるように構成されるプラズマノズル(14、14’)と
を備え、
- 前記プラズマノズル(14、14’)は、前記プラズマノズル(14、14’)内で発生するプラズマジェット(16、16’)が動作中にそれから出現するノズルヘッド(22、22’)を有し、
- 前記レーザシステム(12、12’)及び前記プラズマノズル(14、14’)は、動作中に前記プラズマノズル(14、14’)の前記ノズルヘッド(22、22’)から前記レーザビーム(8、8’)が出現するように互いに対して配置され構成される、装置であって、
- 動作中に前記ノズルヘッド(22、22’)から出現する前記プラズマジェット(16、16’)に対して、及び/又は、動作中に前記ノズルヘッド(22、22’)から出現する前記レーザビーム(8、8’)に対して、或る角度で及び/又はオフセットで延びる回転軸(R)の周りで、前記ノズルヘッド(22、22’)を回転させることができ
- 前記装置(2、302、402、502、602、802)が、前記ノズルヘッド(22)を前記回転軸(R)の周りで回転させるように構成される回転ドライブ(92、306)を有すること
を特徴とする装置。
【請求項2】
前記ノズルヘッド(22、22’)は、動作中に前記プラズマジェット(16、16’)がそれから出現するプラズマ出口開口(24、24’)を有し、前記レーザシステム(12、12’)及び前記プラズマノズル(14、14’)は、動作中に前記レーザビーム(8、8’)が前記プラズマ出口開口(24、24’)から出現するように互いに対して配置され構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ノズルヘッド(22、22’)は、動作中に前記プラズマジェット(16、16’)がそれから出現するプラズマ出口開口(24、24’)と、前記プラズマ出口開口(24、24’)とは別のレーザ出口開口(84)とを有し、前記レーザシステム(12、12’)及び前記プラズマノズル(14、14’)は、動作中に前記レーザビーム(8、8’)が前記レーザ出口開口(84)から出現するように互いに対して配置され構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記レーザ出口開口(84)が、前記プラズマ出口開口(24、24’)よりも小さい断面積(118)を有することを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記回転軸(R)が前記レーザ出口開口(84)を通って延びることを特徴とする、請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
前記プラズマノズル(14、14’)が、ハウジング軸(G)を備えたハウジング(50)を有し、前記回転軸(R)が前記ハウジング軸(G)と一致することを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記プラズマノズル(14、14’)が、ハウジング軸(G)を備えたハウジング(50)を有し、前記回転軸(R)が前記ハウジング軸(G)に対してオフセットで平行に走ることを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジング軸(G)が前記レーザ出口開口(84)を通って走ることを特徴とする、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置(2、302、402、502、602、802)が、更なる大気プラズマジェット(16’)を発生させるように構成される更なるプラズマノズル(14’)を有し、前記更なるプラズマノズル(14’)は、前記更なるプラズマノズル(14’)内で発生する更なるプラズマジェット(16’)が動作中にそれから出現する更なるノズルヘッド(22’)を有し、前記ノズルヘッド(22、22’)及び前記更なるノズルヘッド(22’)を前記回転軸(R)の周りで共に回転させることができることを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記レーザシステム(12)、前記プラズマノズル(14)、及び前記更なるプラズマノズル(14’)は、動作中に前記レーザビーム(8)が前記ノズルヘッド(22)と前記更なるノズルヘッド(22’)の両方から出現するように互いに対して配置され構成されることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記装置(2、302、402、502、602、802)が、更なるレーザビーム(8’)を提供するための更なるレーザシステム(12’)を有し、前記更なるレーザシステム(12’)及び前記更なるプラズマノズル(14’)は、動作中に前記更なるレーザビーム(8’)が前記更なるノズルヘッド(22’)から出現するように互いに対して配置され構成されることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記装置(2、302、402、502、602、802)が、前記更なるノズルヘッド(22’)を前記回転軸(R)の周りで回転させるように構成される回転ドライブ(92、306)を有することを特徴とする、請求項~11の何れか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記プラズマノズル(14、14’)が、作動ガス中のアーク状放電(48)によって前記大気プラズマジェット(16、16’)を発生させるように構成され、前記アーク状放電(48)が、好ましくは電極間に高周波高電圧を印加することにより発生することを特徴とする、請求項1~12の何れか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記装置(2、302、402、502、602、802)が、請求項15に記載の方法により前記装置(2、302、402、502、602、802)を制御するように構成される制御器(96)を含むことを特徴とする、請求項1~13の何れか一項に記載の装置。
【請求項15】
請求項1~14の何れか一項に記載の装置(2、302、402、502、602、802)を動作させる方法であって、
- 前記プラズマノズル(14、14’)でもって大気プラズマジェット(16、16’)が発生し、前記大気プラズマジェットが前記ノズルヘッド(22、22’)から出現し、
- 前記レーザシステム(12、12’)によりレーザビーム(8、8’)が提供され、前記レーザビームが前記ノズルヘッド(22、22’)から出現し、
- 前記ノズルヘッド(22、22’)が前記回転軸(R)の周りで回転させられる、方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース(6)の表面(4)をレーザビーム(8、8’)を用いて加工するための装置(2、302、402、502、602、802)であって、
- 前記レーザビーム(8、8’)を提供するためのレーザシステム(12、12’)と、
- 大気プラズマジェット(16、16’)を発生させるように構成されるプラズマノズル(14、14’)と
を備え、
- 前記プラズマノズル(14、14’)は、前記プラズマノズル(14、14’)内で発生するプラズマジェット(16、16’)が動作中にそれから出現するノズルヘッド(22、22’)を有し、
- 前記レーザシステム(12、12’)及び前記プラズマノズル(14、14’)は、動作中に前記プラズマノズル(14、14’)の前記ノズルヘッド(22、22’)から前記レーザビーム(8、8’)が出現するように互いに対して配置され構成される、装置であって、
- 動作中に前記ノズルヘッド(22、22’)から出現する前記プラズマジェット(16、16’)に対して、及び/又は、動作中に前記ノズルヘッド(22、22’)から出現する前記レーザビーム(8、8’)に対して、或る角度で及び/又はオフセットで延びる回転軸(R)の周りで、前記ノズルヘッド(22、22’)を回転させることができ、
- 前記装置(2、302、402、502、602、802)が、前記ノズルヘッド(22)を前記回転軸(R)の周りで回転させるように構成される回転ドライブ(92、306)を有し、前記ノズルヘッド(22)の前記回転を、事前決定可能な回転周波数で制御することができること
を特徴とする装置。
【請求項2】
前記ノズルヘッド(22、22’)は、動作中に前記プラズマジェット(16、16’)がそれから出現するプラズマ出口開口(24、24’)を有し、前記レーザシステム(12、12’)及び前記プラズマノズル(14、14’)は、動作中に前記レーザビーム(8、8’)が前記プラズマ出口開口(24、24’)から出現するように互いに対して配置され構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ノズルヘッド(22、22’)は、動作中に前記プラズマジェット(16、16’)がそれから出現するプラズマ出口開口(24、24’)と、前記プラズマ出口開口(24、24’)とは別のレーザ出口開口(84)とを有し、前記レーザシステム(12、12’)及び前記プラズマノズル(14、14’)は、動作中に前記レーザビーム(8、8’)が前記レーザ出口開口(84)から出現するように互いに対して配置され構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記レーザ出口開口(84)が、前記プラズマ出口開口(24、24’)よりも小さい断面積(118)を有することを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記回転軸(R)が前記レーザ出口開口(84)を通って延びることを特徴とする、請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
前記プラズマノズル(14、14’)が、ハウジング軸(G)を備えたハウジング(50)を有し、前記回転軸(R)が前記ハウジング軸(G)と一致することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記プラズマノズル(14、14’)が、ハウジング軸(G)を備えたハウジング(50)を有し、前記回転軸(R)が前記ハウジング軸(G)に対してオフセットで平行に走ることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジング軸(G)が前記レーザ出口開口(84)を通って走ることを特徴とする、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置(2、302、402、502、602、802)が、更なる大気プラズマジェット(16’)を発生させるように構成される更なるプラズマノズル(14’)を有し、前記更なるプラズマノズル(14’)は、前記更なるプラズマノズル(14’)内で発生する更なるプラズマジェット(16’)が動作中にそれから出現する更なるノズルヘッド(22’)を有し、前記ノズルヘッド(22、22’)及び前記更なるノズルヘッド(22’)を前記回転軸(R)の周りで共に回転させることができることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記レーザシステム(12)、前記プラズマノズル(14)、及び前記更なるプラズマノズル(14’)は、動作中に前記レーザビーム(8)が前記ノズルヘッド(22)と前記更なるノズルヘッド(22’)の両方から出現するように互いに対して配置され構成されることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記装置(2、302、402、502、602、802)が、更なるレーザビーム(8’)を提供するための更なるレーザシステム(12’)を有し、前記更なるレーザシステム(12’)及び前記更なるプラズマノズル(14’)は、動作中に前記更なるレーザビーム(8’)が前記更なるノズルヘッド(22’)から出現するように互いに対して配置され構成されることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記装置(2、302、402、502、602、802)が、前記更なるノズルヘッド(22’)を前記回転軸(R)の周りで回転させるように構成される回転ドライブ(92、306)を有することを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記プラズマノズル(14、14’)が、作動ガス中のアーク状放電(48)によって前記大気プラズマジェット(16、16’)を発生させるように構成され、前記アーク状放電(48)が、好ましくは電極間に高周波高電圧を印加することにより発生することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記装置(2、302、402、502、602、802)が、請求項15に記載の方法により前記装置(2、302、402、502、602、802)を制御するように構成される制御器(96)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置(2、302、402、502、602、802)を動作させる方法であって、
- 前記プラズマノズル(14、14’)でもって大気プラズマジェット(16、16’)が発生し、前記大気プラズマジェットが前記ノズルヘッド(22、22’)から出現し、
- 前記レーザシステム(12、12’)によりレーザビーム(8、8’)が提供され、前記レーザビームが前記ノズルヘッド(22、22’)から出現し、
- 前記ノズルヘッド(22、22’)が前記回転軸(R)の周りで回転させられる、方法。
【国際調査報告】