(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-09
(54)【発明の名称】光学追跡マーカ
(51)【国際特許分類】
A61B 90/90 20160101AFI20241202BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20241202BHJP
【FI】
A61B90/90
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532381
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2022084325
(87)【国際公開番号】W WO2023104681
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】テルメール モーリス アライン
(57)【要約】
本発明は、医用装置の光学マーカ追跡に関する。ますます多様になっている機器及び装置に適した光学追跡を提供するために、医用装置の光学追跡のためのマーカ10が提供される。マーカは、少なくとも第1のタイプ14及び第2のタイプ16の複数の光学的に識別可能なセグメントを有するパターン12を有する。第1のタイプの光学的に識別可能なセグメントは第1の光学特性を有し、第2のタイプの光学的に識別可能なセグメントは第2の光学特性を有する。第1の光学特性及び第2の光学特性は、指定された光学カメラベースの追跡装置にとって互いに区別可能に異なる。セグメントは、2次元的に交互するパターン20で配置された四角形18として提供される。四角形はそれぞれ、互いに平行である2つの第1の対向する辺22と、互いに非平行である2つの第2の対向する辺24とを有する。すべての四角形の第1の対向する辺は、少なくとも3本の平行一次グリッド線28を規定するアラインされた態様で配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用装置の光学追跡のためのマーカであって、
少なくとも第1のタイプ及び第2のタイプの複数の光学的に識別可能なセグメントを有するパターンを有し、
前記第1のタイプの光学的に識別可能なセグメントは第1の光学特性を有し、前記第2のタイプの光学的に識別可能なセグメントは第2の光学特性を有し、
前記第1の光学特性及び前記第2の光学特性は、指定された光学カメラベースの追跡装置にとって区別可能に互いに異なり、
前記セグメントは、2次元的に交互するパターンで配列される四角形として提供され、
前記四角形はそれぞれ、互いに平行である2つの第1の対向する辺と、互いに平行でない2つの第2の対向する辺とを有し、
すべての前記四角形の第1の対向する辺は、少なくとも3本の平行一次グリッド線を規定するようにアラインされて配される、マーカ。
【請求項2】
少なくとも6本の平行一次グリッド線が設けられている、請求項1に記載のマーカ。
【請求項3】
前記2次元的に交互するパターンで配された前記四角形は、前記第1及び第2のタイプの一方のセグメントのとなりに、前記第2のタイプ及び第1のタイプの他方のセグメントが続くように交互に配される、請求項1又は2に記載のマーカ。
【請求項4】
前記四角形は、その頂点が互いに交わるように配され、前記四角形のエッジがグリッドを形成する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマーカ。
【請求項5】
同じタイプのセグメントは、互いに隣る相互の第2の辺を有さず、共通の辺を有する隣接するセグメントは、異なるタイプのものである、請求項4に記載のマーカ。
【請求項6】
前記パターンは、少なくともそのパターンセグメントが、前記マーカの長手方向の延長方向に関して明確な方向情報を提供するという点で非対称である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のマーカ。
【請求項7】
前記パターンは、長手方向軸を有する略管形に配され、
前記少なくとも3本の平行一次グリッド線は、前記長手方向軸とアラインされる、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のマーカ。
【請求項8】
前記パターンが閉じた管形に配される場合、前記パターン内に配される前記第2の対向する辺が、前記長手方向軸に対して傾斜して配置される少なくとも1つの平面を規定する、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のマーカ。
【請求項9】
前記パターンは、長手方向軸及び開断面を有するオープン菅の形に配され、
前記少なくとも3本の平行一次グリッド線が、前記長手方向軸とアラインされ、
C字形断面を有するオープン管の形状の直径を変化させるように、前記パターンは、C字型の一方の側からC字型の他方の側へ横切るラインを有する。請求項1乃至8のいずれか1項に記載のマーカ。
【請求項10】
すべての前記四角形のパターン内の前記第2の対向する辺が、少なくとも1つの二次グリッド線を形成し、
平坦に展開されて配置される場合に、前記少なくとも1つの二次グリッド線は、前記少なくとも3本の平行一次グリッド線を横切って配置され、
前記二次グリッド線は、少なくとも2つのセグメンによる曲線、波線又は折れ線のグループのうちの少なくとも1つとして提供され、
前記少なくとも1つの二次グリッド線は、前記パターンの外側境界線に対して非平行に設けられ、
前記少なくとも1つの二次グリッド線は、前記少なくとも3本の平行一次グリッド線のうちの1つと交差する点において、前記少なくとも3本の平行一次グリッド線のうちの当該1つに対して非垂直である。請求項1乃至9のいずれか1項に記載のマーカ。
【請求項11】
前記区別可能に異なることは、前記光学カメラベースの追跡デバイスにより決定される光波スペクトルの色及び輝度値のグループの少なくとも1つのパラメータが異なることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のマーカ。
【請求項12】
前記第1のタイプのセグメント及び前記第2のタイプのセグメントが、可視光波領域、赤外光波領域、及び紫外光波領域のグループのうちの少なくとも1つにおいて区別可能に検出可能である、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のマーカ。
【請求項13】
前記パターンを担持する本体構造が設けられており、
前記本体構造は、
i)管形構造であって、該管形構造の外側に前記パターンが設けられており、管軸が前記マーカの前記長手方向軸を形成している、管形構造、又は
ii)単一湾曲オープンシェル構造であって、前記パターンが前記シェル構造の凸状外側面又は凹状内側面に設けられており、湾曲の軸が、前記マーカの長手方向軸を形成し、前記少なくとも3本の平行な一次グリッド線が、前記マーカの長手方向軸とアラインして配されており、前記少なくとも3本の平行一次グリッド線が、前記マーカの長手方向軸とアラインして配されている、シェル構造、
である、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のマーカ。
【請求項14】
管形の形状が、
円形断面をもつシリンダ、
丸い、非円形の断面をもつ管体、
角柱、
錐台、及び
円錐台、
のグループのうちの1つを有する、請求項6乃至13のいずれか1項に記載のマーカ。
【請求項15】
前記パターンは、前記一次グリッド線を横切る方向に延在する境界セクションに沿って設けられた少なくとも1つのエッジバンドを有し、
前記少なくとも1つのエッジバンドは、前記第1の光学特性及び前記第2の光学特性のうちの1つをメイン光学特性として有し、
前記少なくとも1つのエッジバンドは、前記一次グリッド線の各々が前記メイン光学特性を有する前記エッジバンドの部分で終端するように配され、
前記パターンは、前記パターンの一方の側の境界セクションに沿った第1のエッジバンドと、前記パターンの他方の側の境界セクションに沿った第2のエッジバンドとを有し、前記第1のエッジバンドは第1の光学特性を有し、第2のエッジバンドは前記第2の光学特性を有し、請求項1乃至14のいずれか1項に記載のマーカ。
【請求項16】
前記少なくとも1つのエッジバンドは、エッジバンドパターンを有し、前記エッジバンドパターンは、前記少なくとも1つのエッジバンドによって符号化された情報を提供するように符号化スキームで配列された複数の第1及び第2のエッジバンドセグメントを有し、
前記第1のエッジバンドセグメントは、第1のエッジバンド光学特性を有し、前記第2のエッジバンドセグメントは、前記第1のエッジバンド光学特性とは異なる第2のエッジバンド光学特性を有し、
前記エッジバンドパターンは、前記エッジバンドに沿って少なくとも3回繰り返される、請求項15に記載のマーカ。
【請求項17】
本体構造と、
光学追跡のためのマーカと、を有し、
前記マーカは、前記本体構造に取り付けられており、
少なくとも1つの前記マーカは、請求項1乃至16のいずれか1項に記載のマーカとして提供される、医用装置。
【請求項18】
医用装置のための光学追跡システムであって、
少なくとも1つのマーカと、
少なくとも1つの光学カメラベースの追跡装置と、を有し、
前記少なくとも1つのマーカは、請求項1乃至14のいずれか1項に記載のマーカとして提供され、前記光学カメラベースの追跡装置は、前記第1の光学特性及び前記第2の光学特性を検出し、更なる画像データ処理ステップのための画像データを提供するように構成される、光学追跡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用装置の光学追跡のためのマーカ、及び医用装置のための光学追跡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光学追跡システムは、手術中に、例えばナビゲーション、追跡、又は文書化の目的のために使用することができる。光学追跡システムは、医療産業の分野で一般的になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ナビゲーションシステムは、被検体に対する手術器具の位置に関するリアルタイム情報を提供することができる。これは、例えば、開腹手術プロシージャに取って代わることが増えている低侵襲画像誘導介入の間に有用であり得る。光学追跡は、光学カメラを介して検出可能なパターンを使用することができ、このパターンは、マーカが取り付けられたデバイスの空間オリエンテーションの判定を可能にする。例えば、わずか数ミリメートルのシャフト直径を有する介入ニードルに、可視光カメラによって追跡可能な符号化パターンを設けることができる。ニードルよりも大きなデバイスを追跡する必要が高まっていることが示されている。
【0004】
従って、より多様な機器及びデバイスに適した光学追跡を提供する必要がありうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決され、更なる実施形態は、従属請求項に組み込まれる。本発明の以下に記載される態様は、医用装置の光学追跡のためのマーカ、及び医用装置のための光学追跡システムにも適用されることに留意されたい。
【0006】
本発明によれば、医用装置の光学追跡のためのマーカが提供される。マーカは、複数の少なくとも第1のタイプ及び第2のタイプの光学的に識別可能なセグメントをもつパターンを有する。第1のタイプの光学的に識別可能なセグメントは第1の光学特性を有し、第2のタイプの光学的に識別可能なセグメントは第2の光学特性を有する。第1の光学特性及び第2の光学特性は、指定された光学カメラベースの追跡装置にとって互いに区別可能に異なる。セグメントは、2次元的に交互するパターンで配置された四角形として提供される。四角形はそれぞれ、互いに平行である2つの第1の対向する辺と、互いに平行でない2つの第2の対向する辺とを有する。すべての四角形の第1の対向する辺は、少なくとも3本の平行一次グリッド線を規定するアラインされた態様で配置される。
【0007】
効果として、マーカの空間オリエンテーションの識別を可能にするマーカパターンが提供される。マーカは、より大きい直径のデバイスに取り付けるのに適している。
【0008】
一例によれば、少なくとも6本の平行一次グリッド線が設けられる。
【0009】
一例によれば、2次元的に交互するパターンで配列される四角形は、第1及び第2のタイプの一方のセグメントに次いで、第2のタイプ及び第1のタイプの他方のセグメントが続くように交互に配置される。
【0010】
一例によれば、四角形は、それらの頂点が互いに交わるように配置され、四角形のエッジは、グリッドを形成する。
【0011】
一例によれば、同じタイプのセグメントは、互いに隣り合う相互の第2の辺を有しない。更に、共通の辺を有する隣接するセグメントは、異なるタイプのものである。
【0012】
一例によれば、パターンは、少なくともそのパターンセグメントがマーカの長手延在方向に関して明確な方向情報を提供するという点で非対称である。
【0013】
一例によれば、パターンは、長手方向軸を有する略管形に構成される。少なくとも3本の平行な一次グリッド線は、長手方向軸とアラインされる。
【0014】
一例によれば、パターンが閉じた管形の形状に配置される場合、パターン内に配置される第2の対向する辺は、長手方向軸に対して傾斜して配置される少なくとも1つの平面を規定する。
【0015】
一例によれば、パターンは、長手方向軸及び開断面を有するオープン管の形状で構成される。少なくとも3本の平行な一次グリッド線は、長手方向軸とアラインされる。
【0016】
一実施形態として、開断面を有する、略管形又はオープン管の直径を変化させることが提供される。一例では、開断面は、C字形断面として提供される。
【0017】
一例によれば、すべての四角形のパターン内の第2の対向する辺は、少なくとも1つの二次グリッド線を形成する。更に、平坦にかつ展開されて配置される場合、少なくとも1つの二次グリッド線は、少なくとも3本の平行一次グリッド線を横切る方向に配置される。
【0018】
追加的に又は代替的に提供される一実施形態として、二次グリッド線は、少なくとも2つのセグメントによる曲線、波線、又は折れ線のグループのうちの少なくとも1つとして提供される。
【0019】
別の一実施形態として、追加的に又は代替的に、少なくとも1つの二次グリッド線は、パターンの外側境界線に対して非平行に提供される。
【0020】
追加的又は代替的に提供される一実施形態として、少なくとも3本の平行一次グリッド線のうちの1つとの交点において、少なくとも1つの二次グリッド線は、少なくとも3本の平行一次グリッド線のうちの1つに対して非垂直である。
【0021】
一例によれば、パターンを担持する本体構造が提供される。一実施形態では、本体構造は、i)管形構造の外側に設けられたパターンを有する管形構造である。管構造の軸は、マーカの長手方向軸を形成する。別の一実施形態では、本体構造は、ii)シェル構造の凸状外側又は凹状内側に設けられたパターンを有する、単一に湾曲したオープンシェル構造である。
【0022】
曲率軸は、マーカの長手方向軸を形成する。
【0023】
更に、少なくとも3本の平行一次グリッド線がマーカの長手方向軸とアラインして配置されることもできる。
【0024】
一例によれば、パターンは、一次グリッド線を横切って延在する境界セクションに沿って設けられた少なくとも1つのエッジバンドを含む。少なくとも1つのエッジバンドは、メイン光学特性として、第1の光学特性及び第2の光学特性のうちの1つを有する。
【0025】
少なくとも1つのエッジバンドは、一次グリッド線の各々がメイン光学特性を有するエッジバンドの部分で終端するように配置される。
【0026】
一実施形態として、パターンは、パターンの一方の側の境界セクションに沿った第1のエッジバンドと、パターンの他方の側の境界セクションに沿った第2のエッジバンドとを有し、第1のエッジバンドは第1の光学特性を有し、第2のエッジバンドは第2の光学特性を有する。
【0027】
本発明によれば、本体構造及び光学追跡のためのマーカを有する医用装置も提供される。マーカは、本体構造に取り付けられる。更に、少なくとも1つのマーカは、前述の実施形態のうちの1つによる医用装置の光学追跡のためのマーカとして提供される。
【0028】
本発明によれば、医用装置のための光学追跡システムが更に提供される。システムは、少なくとも1つのマーカと、少なくとも1つの光学カメラベースの追跡装置とを有する。少なくとも1つのマーカは、前述の実施形態のうちの1つによる医用装置の光学追跡のためのマーカとして提供される。光学カメラベースの追跡装置は、第1の光学特性及び第2の光学特性を検出し、更なる画像データ処理ステップのための画像データを提供するように構成される。
【0029】
マーカは、例えば、病院の手術室内で装置及び部品を追跡するために使用されることができる。使用分野は、拡張現実の手術ナビゲーション装置におけるものである。マーカは、例えば、低侵襲脊椎手術中に、椎弓根スクリューを配置する際に骨プローブ、アウル、又はスクリュードライバーを追跡するために使用されることができる。マーカは、椎弓根スクリュー、ビーム、及びサポートに使用することができる。
【0030】
一態様によれば、例えば1cmより大きい直径を有する器具の6DOF(自由度)光学追跡を可能にするマーカが提供される。マーカは、円柱の周りに巻き付けられたチェッカーパターンを使用し、この場合、四角形のサイズは、6-DOF追跡を容易にするようにパターンを横切って変化する。
【0031】
一態様によれば、パターンのベースはチェッカーパターンである。チェッカーパターンは、コンピュータビジョン用途での使用に適している。一態様によれば、パターンは、その寸法のうちの1つに沿ってパターンによって形成される線が、追跡される装置の中心軸と平行であるようにアラインされる。これらの線は、任意の角度からの(透視)投影下で直線のままである。これにより、この新しいパターンをより大きな器具に使用できる。
【0032】
例えば、マーカの基本形状はシリンダである。一例では、器具の先端部の上でマーカをスライドさせてそれを取り付けるために、規則的なシリンダが提供される。別の例では、マーカは、側方から取り付けるための部分的なシリンダとして提供される。
【0033】
例えば、四角形は、マーカにわたってサイズが変化し、任意の回転対称性を除去し、従って、6-DOF追跡を可能にする。閉じたシリンダの場合、パターンは、円錐の中心軸に対して垂直ではなく、わずかな角度である2つの平面を使用して規定される。これは、マーカの周りに連続的な変化を与える。オープンシリンダの場合、パターンは(円周方向に)連続的である必要はない。一例では、中間セグメントのサイズは、開口部の一方の側で最も小さいものから、開口部の他方の側で最も大きいものまで変化する。
【0034】
一実施形態として、特別なバンドがマーカの上部及び下部に配置され、マーカの残りの部分よりも小さい四角形を有する。パターンの直線に近いこれらのバンドの部分は、マーカの一方の側ではすべて黒であり、他方の側ではすべて白である。これは、マーカの方向を決定するために使用され、シリンダの中心軸を横切る対称性を除去する。
【0035】
一実施形態として、両端のバンドの方向符号化部分の間で、バイナリパターンは、それぞれ逆の黒と白の四角形を用いて符号化される。バイナリパターンは、誤り訂正技法及びパディングビットを使用して符号化されるID値である。一実施形態として、このパターンは、典型的にはマーカの一部のみが追跡システムに見えるので、マーカの周りで3回繰り返される。パターンは、パターンの少なくとも3分の1が可視である場合、元のID値を再構成することができるように構築される。
【0036】
一態様によれば、様々なサイズの四角形を有するチェッカーパターン、任意にマーカの端部上に符号化された一意のID、及び更に任意にシリンダ形状を含むパターンが提供され、このパターンは、マーカを装置に取り付けるのを助けるように部分シリンダとすることができる。パターンは、約1センチメートルより大きい直径を有する装置に提供される。
【0037】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、それを参照して説明される。
【0038】
以下、添付図面を参照して、例示的な発明の例示的な実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】医用装置の光学追跡のためのマーカの一例を、閉じたシリンダとして示す図。
【
図2】
図1のマーカ設計を、展開した2Dビューで示す図。
【
図3】オープン菅の形状、すなわち、オープンシリンダとしてのマーカの例を示す斜視図。
【
図5】
図4のマーカ設計を、展開した2Dビューで示す図。
【
図7】
図4のマーカ設計を、展開した2Dビューで示す図。
【
図8】マーカの更なる例を展開したビューで示す図。
【
図9】医用機器のための光学追跡システムの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
ここで、特定の実施形態が、添付の図面を参照して、詳細に説明される。以下の説明では、図面における同様の参照番号が、異なる図面においても、同様の構成要素について使用される。詳細な構成及び構成要素のような、本明細書で規定される事項は、例示的な実施形態の包括的な理解を助けるために提供される。また、よく知られている機能又は構成は、不必要な詳細により実施形態を不明瞭にするので、詳細には説明されない。更に、「・・のうちの少なくとも1つ」などの表現は、構成要素のリストに先行する場合、構成要素のリスト全体を修飾し、リストの個々の構成要素を修飾しない。
【0041】
図1は、医用装置の光学追跡のためのマーカ10の一例を斜視図で示す。マーカ10は、複数の光学的に識別可能なセグメントの少なくとも第1のタイプ14及び第2のタイプ16を有するパターン12を有する。第1のタイプ14の光学的に識別可能なセグメントは、第1の光学特性を有する。第2のタイプ16の光学的に識別可能なセグメントは、第2の光学特性を有する。第1の光学特性及び第2の光学特性は、指定された光学カメラベースの追跡装置にとって、互いに区別可能に異なる。セグメントは、2次元的に交互のパターン20に配置される四角形18として提供される。四角形18はそれぞれ、互いに平行な2つの第1の対向する辺22と、互いに平行でない2つの第2の対向する辺24とを有する。従って、四角形18は、角として4つの頂点26を有する。すべての四角形18の第1の対向する辺22は、アラインされた態様で配置されることで、少なくとも3本の平行一次グリッド線28を規定する。
【0042】
図1の例では、第1の光学特性、すなわち、第1のタイプ14の光学的に識別可能なセグメントは白であり、第2の光学特性、すなわち、第2のタイプ16の光学的に識別可能なセグメントは黒である。
【0043】
別の例では、第1の光学特性、すなわち第1のタイプ14の光学的に識別可能なセグメントは、第1の色であり、第2の光学特性、すなわち第2のタイプ16の光学的に識別可能なセグメントは、第2の色である。
【0044】
第1の対向する辺22及び第2の対向する辺24は、第1及び第2の対向するエッジとも呼ばれることもできる。
【0045】
一例では、少なくとも6本の平行一次グリッド線28が設けられる。例えば、6本の平行一次グリッド線28は、60°のステップで設けられる。
【0046】
少なくとも6本の平行一次グリッド線28を有することにより、1つのカメラであっても、パターンの必要最小限の部分が可視であるようになる。パターンは、任意の方向において、カメラシステムがそれらの平行一次グリッド線の少なくとも3つを三角測量できるように、十分な数の平行一次グリッド線28を有するべきである。パターンに含まれるライン数は、もちろん、カメラシステムの設定によって異なる。
【0047】
一例では、偶数の平行一次グリッド線28が設けられる。これは、閉じた管形状を有する場合にチェスボードパターンをもたらす。これは、管形シャフトの周りに配置される場合に、周方向ブロックの少なくとも2つがカメラにとって可視であり、すなわち、検出可能であるという効果を提供する。
【0048】
一例では、平行一次グリッド線28は、互いに一定の距離を有し、例えば、管形シャフト等に配置される場合に周方向に規則的に変位されている。
【0049】
別の例では、平行一次グリッド線28は、互いに対して変化する距離を有して提供され、例えば、円周方向に非規則的に変位される。
【0050】
一例では、カメラシステムは、マーカの完全な360度が少なくとも2つのカメラによって可視であるように提供される。このような場合、3本の平行なラインで十分である。
【0051】
一例では、カメラシステムは、120度ビュー用に構成される。更に、少なくとも9本の平行一次グリッド線が設けられる。
【0052】
別の例では、いくつかのマージンを有し及びID符号化の容易でよりロバストな方法を可能にする12本の平行一次グリッド線が提供される。
【0053】
上述したように、同じ色の2つのセグメントが(周回される場合に一致する境界セクションにおいて)互いに隣り合うことを回避するために、偶数が提供される。
【0054】
一例では、2次元的に交互するパターンで配置される四角形は、第1及び第2のタイプの一方のセグメントに次いで、第2のタイプ及び第1のタイプのそれぞれの他方のセグメントが配されるように交互に配置される。
【0055】
図1に一実施形態として示されているように、四角形18は、それらの頂点26が相互に交わるように配置され、四角形のエッジ(第1の対向する辺22)は、グリッドを形成している。
【0056】
従って、ブロックとも呼ばれる同じタイプのセグメントは、頂点26、すなわち角を介してのみ互いに接触する。一例では、同じタイプのセグメントは、互いに隣り合う相互の第2の辺を有しない。言い換えれば、共通の辺ラインを有する隣り合うセグメントは、異なるタイプのものである。第1のタイプのセグメントは、第2のタイプのセグメントと隣接して配置され、逆もまた同様である。
【0057】
一例では、隣接する四角形18の頂点26は、互いに1点で交わる。
【0058】
一例では、同じタイプのセグメントは、互いに隣り合う相互の第2の辺をもたない。更に、共通の辺ラインを有する隣接するセグメントは、異なるタイプのものである。
【0059】
「パターン」という用語は、表面の図形的に異なる部分の反復構成に関する。部分は、一般的な概念、すなわちパターンの概念に従うように配置されるが、部分の少なくとも一部は他の部分とは異なる。
【0060】
用語「光学特性」は、部分の光学的外観に関する。これは、色又は輝度のようなパラメータを含むが、粗さ又は反射特性にも関連し得る。一例では、第1及び第2の光学特性は、白黒(又は少なくとも明るい灰色及び暗い灰色)として、又は補色として提供される。
【0061】
「光学的に識別可能である」という用語は、カメラのような光学的手段によって検出することができる特性に関する。用語「光学的に」は、可視光スペクトル、すなわち、人間の目によって可視である光波範囲を指すが、赤外光波範囲及び紫外光波範囲も指す。
【0062】
「カメラベースの追跡装置」という用語は、パターンを追跡するために使用することができる光学(可視光、赤外光、及び紫外光)センサを有する装置に関する。追跡は、パターンが更なる分析ステップのために検出される画像処理ステップのために使用されることができる画像データを提供することを指す。
【0063】
本出願の文脈において、「四角形」という用語は、4つの角及び4つの接続する辺をもつマーカパターンのセグメントを指す。一例では、辺は、その幾何学的意味において四角形を規定する直線である。一例では、1つ又は2つの辺は、より広い意味で、すなわち、現在の状況で適用されるその拡大された意味で、準四角形を規定する、曲線又はポリゴン線、すなわち、非直線である。しかしながら、本文脈では、四角形という用語は、すべての異なる偏差、並びに4つの角及び4つの接続辺を有する四角形に関する。従って、「四角形」という用語は、4つのエッジ及び4つの頂点を有する多角形を指す。しかしながら、本文脈において、用語「四角形」は、少なくとも4つの角及び4つのエッジを有する表面積を有する幾何学的な形に関する。一例では、正確に4つの角が提供される。一実施形態において、四角形の4つのエッジはすべて、直線、すなわち、線形のラインである。別の一実施形態において、互いに平行な2つの辺は、直線、すなわち、線形のラインであり、一方、他の2つの辺のうち、少なくとも1つの辺は、曲がった形状、すなわち、非線形の辺を有する。一例では、2つの非平行の辺のうち少なくとも一辺は、四角形の凸状の外側輪郭を提供している。一例として、両方の非平行の辺は、四角形の凸状の外側輪郭を提供している。別の例では、2つの非平行の辺のうちの少なくとも一辺は、四角形の凹状の外側輪郭を提供する。一例として、両方の非平行の辺は、四角形の凹状の外側輪郭を提供している。他の例として、非平行の辺の一方は、四角形の凸状外側輪郭を提供し、非平行側の他方は、四角形の凹面外側輪郭を提供する。
【0064】
図1に一実施形態として示されているように、パターン12は、長手方向軸30を有する管形に配置されている。少なくとも3本の平行一次グリッド線28は、長手方向軸30とアラインされる。
【0065】
この例では、パターン12は、
図1において、閉じた断面を有する管形に配置されている。管形の形状は、閉じた管形の形状と称されることもできる。例えば、閉じたシリンダは、例えば、O字形の断面又は円形の断面を有している。
【0066】
例えば、パターンが管形状に配置される場合、パターン内に配置される第2の対向する辺は、長手方向軸に対して傾斜して配置される少なくとも1つの平面を規定する。
【0067】
「パターン内」という語は、隣接する四角形、すなわち、次のパターンセグメントの他方の対向する辺に面する対向する辺に関する。
【0068】
パターンセグメントに面していないが、当該パターンの外側のエッジを形成する両辺はまた、例えば長手方向軸を横切る、例えば長手方向軸に垂直な平面を形成することができる。
【0069】
一例では、パターンは、円形又は非円形、例えば楕円形、又は楕円形の断面を有する断面が丸い管形状に配置される。
【0070】
別の例では、パターンは、矩形の管形状に配置され、例えば長方形又は正方形の断面を有して配置される。
【0071】
別の例では、パターンは、多角形の態様で、例えば多角形の断面を有して配置される。
【0072】
他の例では、パターンは、円形の管形状に配置される。
【0073】
一例では、パターン内に配置される第2の対向する辺は、少なくとも2つの平面を規定し、その平面から、少なくとも1つが、長手方向軸に対して傾斜して配置される。
【0074】
別の例では、少なくとも2つの平面が規定され、それらの平面のうち、1つは長手方向軸に対して傾斜して配置され、1つは長手方向軸に垂直に配置される。
【0075】
他の例では、少なくとも2つの平面が規定され、それらの平面のうち、少なくとも2つの平面が、長手方向軸に対して傾斜して配置される。
【0076】
一例として、前記2つの平面は平行に配置される。
【0077】
別の例として、2つの平面は、互いに傾斜して配置される。
【0078】
他の一実施形態(詳細には示されない)において、互いに平行な2つの辺は、直線の、すなわち線形のラインであり、一方、他方の2辺のうち、少なくとも1辺は、多角形の形状を有し、すなわち2又は3以上の線形のラインセグメントを含む辺を有する。そのような場合、本文脈で使用される「四角形」は、4つのいわゆる一次の角と、1つのいわゆる2次の角とを有する。
【0079】
頂点又は角は、2つのエッジが交わる点に関連する。
【0080】
2次元的に交互するパターンは、一種のチェスボードパターンを形成するが、グリッド線の一方向のみが直線及び平行である。セグメントの構成に関して用語「パターン」が使用されることに留意されたい。この場合、セグメントの少なくとも部分が互いに異なり、特に隣り合うセグメントの部分が互いに異なり、すなわち隣接するセグメントの部分が互いに異なる。従って、本文脈において、パターンという用語は、通常、同じセグメントの繰り返しを指し、一般的な順序として概念を示すが、セグメントのうちの少なくともいくつかの特徴的な差異を伴う構造について使用される。隣接するセグメントは互いに異なるが、それら、すなわち、それらの形状及びサイズは、ずらされた態様で、すなわち、等しいセグメントの間に1つ又は複数のセグメントを有して、パターンの構造において繰り返されることができる。
【0081】
「光学的に識別可能なセグメント」という用語は、パターンの異なる表面積を指す。光学的に識別可能なセグメントは、パターンセグメント又はパターン要素とも称され得る。
【0082】
セグメントの実際の(最小の)サイズは、追跡に使用されるカメラの解像度にも依存する。アスペクト比の最小値は、カメラの解像度によっても与えられる。
【0083】
図2は、
図1のマーカ設計を、展開した2D(計画)図で示す。一例では、パターンは、少なくともそのパターンセグメントがマーカの長手延在方向に関して明確な方向情報を提供するという点で非対称である。
【0084】
図1に示されるように、四角形18のすべてのパターン内の第2の対向する辺24は、少なくとも1つの二次グリッド線32を形成する。平坦かつ展開された状態で配置される場合、少なくとも1つの二次グリッド線32は、少なくとも3本の平行一次グリッド線28を横切って配置される。
【0085】
一実施形態として、二次グリッド線32は、曲線、波形ライン、又は少なくとも2つのセグメントを有する折れ線のグループのうちの少なくとも1つとして提供される。
【0086】
一実施形態として、少なくとも1本の二次グリッド線32は、パターンの外側の境界線34に対して非平行に設けられる。
【0087】
一実施形態として、少なくとも3本の平行一次グリッド線28のうちの1つとの交点において、少なくとも1つの二次グリッド線32は、少なくとも3本の平行一次グリッド線のうちの1つに対して非垂直である。
【0088】
一例では、少なくとも1つの二次グリッド線32は、曲線、波、又は少なくとも2つのセグメントを有する折れ線のグループのうちの少なくとも1つの形状を有する。
【0089】
一例では、少なくとも1つの二次グリッド線32は、曲線セグメント、波セグメント、及び線形セグメントのグループのうちの少なくとも1つを有する。
【0090】
顕著に異なることは、光学カメラベースのトラッキングデバイスの決定された光波スペクトルの色及び輝度値のグループの少なくとも1つのパラメータが異なることを含む。
【0091】
一例では、第1のタイプのセグメント及び第2のタイプのセグメントは、可視光波領域、赤外光波領域、及び紫外光波領域のグループのうちの少なくとも1つにおいて区別可能に検出可能である。
【0092】
一例(
図1及び
図3も参照)では、パターンを担持する本体51構造が提供される。本体構造は、i)管形構造の外側に設けられたパターンを有する管形構造49とすることができる。管体の軸は、マーカの長手方向軸30を形成する。本体構造はまた、ii)シェル構造36の凸状の外側の辺又は凹状の内側の辺(図示せず)に設けられたパターンを有する、単一湾曲オープンシェル構造36(
図3参照)であってもよい。曲率軸は、マーカの長手方向軸30を形成する。少なくとも3本の平行一次グリッド線28は、マーカの長手方向軸30とアラインされて配置される。
【0093】
用語「マーカの長手方向軸とアラインして配置される」は、少なくとも3本の平行な一次グリッド線28とマーカの長手方向軸30との平行配置を指す。
【0094】
「単一湾曲オープンシェル構造」という用語は、オープンシェルであり、1つの湾曲のみに沿って形成されるシェルの形の構造を指す。閉じたシェル構造とは対照的に、オープンシェルが提供されることに留意されたい。更に、シェル構造は、平坦であるのとは対照的に、又は二重に湾曲したシェルである2つの湾曲とは対照的に、単一の湾曲に従う湾曲を有することに留意されたい。用語「シェル」は、三次元の中実体である構造要素を指す。厚さは、その他の寸法と比較してかなり小さい。
【0095】
一例として、管形の形状は、円形の断面を有するシリンダ、丸みがあり非円形の断面を有する管体、角柱、錐台、及び円錐台のグループのうちの1つを有する。錐台は、多角形の断面を有する切頭構造に関する。円錐台は、円形断面を有する切頭構造体に関する。パターン12は、このような形状に設けられている。
【0096】
図1及び
図2に一実施形態として示されているように、パターン12は、一次グリッド線28を横切って延びる境界セクションに沿って設けられた少なくとも1つのエッジバンド38を有する。少なくとも1つのエッジバンド38は、メイン光学特性として、第1の光学特性及び第2の光学特性のうちの1つを含む。少なくとも1つのエッジバンド38は、一次グリッド線28の各々がメイン光学特性を有するエッジバンドの部分で終端するように配置される。
【0097】
図2に示される一実施形態では、パターンは、パターンの一方の側の境界セクションに沿った第1のエッジバンド38aと、パターンの他方の側の境界セクションに沿った第2のエッジバンド38bとを有する。第1のエッジバンド38aは第1の光学特性を有し、第2のエッジバンド38bは第2の光学特性を有する。
【0098】
別の一実施形態では、1つの第1のエッジバンド38のみが設けられる。
【0099】
用語「メイン光学特性」は、異なる光学特性のいくつかの部分を含む構造化されたエッジバンドに関する。
【0100】
「パターンの一方の側」及び「パターンの他方の側」は、第1の境界及び第2の境界と呼ばれることもある。パターンの一方の側及びパターンの他方の側は、2つの対向する境界セクション、すなわち、パターンのエッジゾーンを指し、これらは、一次グリッド線を横切る方向、例えば垂直方向である。
【0101】
第1及び第2のエッジバンドの配置は、どの光学特性、すなわち、どの色で一次グリッド線が終端しているか、すなわち、終了しているかを検出することによって、方向のより良好な区別を可能にする。
【0102】
例えば、白(又は明るい)のメイン光学特性が、第1の境界セクションに設けられて、例えば装置の指定された方法で配置されたときにパターン(
図2参照)の「底部」方向を示す。更に例えば、黒(又は暗い)のメイン光学特性が、第1の境界セクションに提供されることにより、例えば装置の、指定された方法で配置されたパターンの「上」方向を示す。
【0103】
少なくとも1つのエッジバンド、例えば、底部エッジバンド38bは、該少なくとも1つのエッジバンドによって符号化された情報を提供するように符号化スキームで配列された複数の第1のエッジバンドセグメント42及び第2のエッジバンドセグメント44を有するエッジバンドパターン40を有する。第1のエッジバンドセグメント42は第1のエッジバンド光学特性を有し、第2のエッジバンドセグメント44は第2のエッジバンド光学特性を有し、第2のエッジバンドセグメント44は第1のエッジバンド光学特性とは異なる。一実施形態として、エッジバンドパターン40は、エッジに沿って少なくとも3回繰り返される。
【0104】
一実施形態において、少なくとも1つのエッジバンドのうち1つのみが、エッジバンドパターン40を有する。
【0105】
別の一実施形態では、2つのエッジバンドが提供され、両方がエッジバンドパターン40の例を有する。例えば、両方のエッジバンドは、同じエッジバンドパターンを有することができる。
【0106】
別の一実施形態では、2つのエッジバンドが提供され(
図2参照)、両方がエッジバンドパターン40の例を有する。例えば、両方のエッジバンドは、異なるエッジバンドパターンを有する。
図3に示すように、上側エッジバンドは、上側エッジバンドによって符号化される情報を提供するために符号化スキームで配列された複数の第1のエッジバンドセグメント42及び第2のエッジバンドセグメント44を有するエッジバンドパターン40を有する。上側エッジバンドの第1エッジバンドセグメント42は、第1のエッジバンド光学特性を有し、上側エッジバンドの第2エッジバンドセグメント44は、第1のエッジバンド光学特性とは異なる第2のエッジバンド光学特性を有する。
【0107】
一実施形態では、上側エッジバンドの第1のエッジバンド光学特性は、下側エッジバンドの第1のエッジバンド光学特性とは反対である。同様に、一実施形態では、上側エッジバンドの第2のエッジバンド光学特性は、下側エッジバンドの第2のエッジバンド光学特性とは反対である。
【0108】
別の一実施形態では、上側エッジバンドの第1のエッジバンド光学特性は、下側エッジバンドの第1のエッジバンド光学特性と同じである。上側エッジバンドの第2エッジバンド光学特性は、下側エッジバンドの第2エッジバンド光学特性と同じである。
【0109】
一実施形態として、第2のエッジバンドパターン40も、エッジに沿って少なくとも3回繰り返される。
【0110】
エッジバンドパターンは、第1及び第2のエッジバンドセグメントのシーケンスが交互の第1及び第2のエッジバンド光学特性を有するように配置される。一例では、エッジバンドの全幅にわたって、すなわち一次グリッド線の方向に延在するエッジバンドセグメントは、周方向に様々な長さを有する。しかしながら、第1のエッジバンド光学特性から第2のエッジバンド光学特性へ、及びその逆への遷移ラインは、各一次グリッド線28が、第1のエッジバンド光学特性(エッジバンドの1つについて)又は第2のエッジバンド光学特性(エッジバンドの他の1つについて)のいずれかの場において、端部又は終端点46で終端することを確実にするために、一次グリッド線に対してオフセットされる。
【0111】
一例では、第1のエッジバンド光学特性は、(メイン)パターンの第1の光学特性と同様に提供される。一実施形態として、追加又は代替として、第2のエッジバンド光学特性は、(メイン)パターンの第2の光学特性と同様に提供される。
【0112】
例えば、第1のエッジバンド光学特性は、(メイン)パターンの第1の光学特性と同じである。一実施形態として、追加又は代替として、第2のエッジバンド光学特性は、(メイン)パターンの第2の光学特性と同じである。
【0113】
エッジバンドパターンをエッジに沿って少なくとも3回繰り返すことは、完全なエッジバンドパターンをカバーする必要なく、符号化された情報を検出することができるという利点を提供する。パターンが管形の形状に設けられている場合、エッジバンドパターンが円周方向の最大120°にわたって配置される場合に、エッジバンドパターンは1つのビューで見ることができる(グリッド線の数について上述したことも参照されたい)。
【0114】
一例として、エッジバンドパターンは、例えば、マークされたツール又はデバイスを参照する符号化された情報を提供する。
【0115】
2つのエッジバンドを適用することにより、より多くのデータを結合して提供することが可能になる。
【0116】
一例では、説明されるバンドは、IDを符号化するパターンと組み合わされる。パターンを構成するセグメントは、メインパターンの平行線と比較して、その幅の半分だけシフトされる。これらの平行なライン上のセグメントは、バンドを形成する。他のセグメントは、何らかのIDを符号化するバイナリ信号を形成する。
【0117】
ある一実施形態では、セグメントのいくつかが正しく読み取られない、すなわち誤って読み取られた場合に、正しいIDが回復されることを確実にするために、エラー補正技術が提供される。
【0118】
一例では、略同じ方向に見て近接して配置される2以上のカメラを有する追跡システムが提供される。
【0119】
図2は、上側ゾーン48a、中央ゾーン48b、及び下側ゾーン48cのような、複数の異なる水平(ページの縦向きの図面に関する)ゾーンを有するパターンを示す。第1の境界線50aは、それぞれの第2の対向する辺24によって形成される。第1の境界線50aは、一実施形態として
図2において波状の輪郭で示されている。また、第2の境界線50bが、第2の対向する辺24によって形成されている。第2の境界線50bは、一実施形態として、
図2において波状の輪郭で示されている。それらの輪郭は、非平行であってもよく、例えば、周方向に逆の増加又は減少比を有してもよい。別の例において、
図8を参照して、パターンが展開されて配置される場合に、第2の境界線32のうちの1つ又はすべてが、直線47a、47bとして提供される。
【0120】
図3は、斜視図において、オープン管の形状、すなわち、オープンシリンダとしてのマーカ10の一例を示している。
【0121】
図3に別の実施形態として示される別の例では、マーカ10は、例えば長手方向のギャップ60を有するオープンシリンダとして提供される。パターン12は、例えばC字形断面のような開断面を有する管形状に配置される。
【0122】
一例では、パターン12は、長手方向軸及び開断面を有する略管形状に配置される。少なくとも3本の平行一次グリッド線が、長手方向軸とアラインされる。略管形の形状は、オープン管の形状ということもできる。
【0123】
一実施形態として、C字形断面を有する略管形の形状の直径が変更される。パターン12は、C字形の一方の側からC字形の他方の側まで横切るラインを備える。
【0124】
一例では、1つ又は複数の円錐形マーカは、「オープンシリンダ」、すなわち円錐形して提供されるが、軸方向に配向されたスリット又はギャップを有し、すなわち円周方向の不連続面を有する。
【0125】
別の例では、1つ又は複数の円錐形マーカは、「閉じたシリンダ」、すなわち円周方向に連続面を有する円錐形、すなわち軸方向に配向されるスリット又はギャップを有しない円錐形として提供される。
【0126】
図4は、マーカの別の例を斜視図で示す。
図5は、
図4のマーカ設計を、展開した2D(計画)図で示す。
【0127】
図5は、上側ゾーン52a及び下側ゾーン52bのような複数の異なる水平(ページの縦向きの図面に関する)ゾーンを有するパターンを示す。境界線54は、それぞれの第2の対向する辺24によって形成される。境界線54aは、一実施形態として
図5に波状の輪郭で示されている。
【0128】
図6は、マーカの他の例を斜視図で示す。
図7は、
図6のマーカ設計を、展開した2D(計画)図で示す。
【0129】
図7は、第1のゾーン56a、第2のゾーン56b、第3のゾーン56c、第4のゾーン56d、及び第5のゾーン56eのような、複数の異なる水平(ページの縦向きの図面に関する)ゾーンを有するパターンを示す。
【0130】
第1の境界線50aは、それぞれの第2の対向する辺24によって形成される。第1の境界線58aは、一実施形態として
図2に波状の輪郭で示されている。第2の境界線58bは、それぞれの第2の対向する辺24によって形成される。第2の境界線58bは、一実施形態として、
図7において波状の輪郭で示されている。第3の境界線58cは、それぞれの第2の対向する辺24によって形成される。第3の境界線58aは、一実施形態として、
図7において波状の輪郭で示されている。第4の境界線58dは、それぞれの第2の対向する辺24によって形成される。第4の境界線58dは、一実施形態として、
図7において波状の輪郭で示されている。
【0131】
(それぞれの境界線の)輪郭は、非平行であってもよく、例えば、周方向に逆の増加比又は減少比を有することができる。
【0132】
図8は、パターンが、Cの一方の側からCの他方の側へ横切るライン(直線47a、47bの形で示されている)を有する例を示す。
図8に一実施形態として示されるパターンは、Cの一方の側からCの他方の側へ2以上の横切るラインを有する。
【0133】
一例では、
図8に示されるパターンは、オープンシリンダ又はオープンな円錐の形状に適用され、従って、C字形断面を有する。
【0134】
別の例では、
図8に示されるパターンは、閉じたシリンダ又は閉じた円錐の形状に適用される。
【0135】
更に詳細には示されていない例において、本体構造及び光学追跡のためのマーカを有する医用装置も提供される。マーカは、本体構造に取り付けられる。更に、少なくとも1つのマーカは、上記及び下記の実施例のうちの1つによる医用装置の光学追跡のためのマーカとして提供される。
【0136】
図9は、医用装置用の光学追跡システム100の一例を示す。光学追跡システム100は、少なくとも1つのマーカ102と、少なくとも1つの光学カメラベースの追跡装置104とを有する。少なくとも1つのマーカ102は、前述の実施例のうちの1つによる医用装置の光学追跡ためのマーカ10の一例として提供される。光学カメラベースの追跡装置104は、第1の光学特性及び第2の光学特性を検出し、更なる画像データ処理ステップのための画像データを提供するように構成される。光学追跡システム100は、病院の手術室の環境で示されている。例えば、X線撮像システム106は、移動可能に取り付けられたCアーム108として提供される。Cアーム108の両端には、X線源110及びX線検出器112が設けられている。対象114は、対象支持体116上に配置される。マーカ102は、対象114に取り付けられる。更に、モニタ装置118が示され、コンソール120が右下手前に示されてる。光学カメラベースの追跡装置104は、4つのカメラ122が取り付けられる支持構造118を有する。ライン122は、コンソール120への光学カメラベースの追跡装置104のデータ接続を示す。
【0137】
別の一実施形態では、光学カメラベースの追跡装置104、すなわちカメラシステムは、X線検出器112に埋め込まれる。例えば、
図9に破線で示されるように、3以上のカメラ122’が、検出器112のハウジングに組み込まれる。
【0138】
用語「対象」は、個体とも呼ぶことができる。「対象」は、更に、患者とも呼ぶことができるが、この用語は任意の疾患又は病気が対象に実際に存在するかどうかを示さないことに留意されたい。
【0139】
本発明の実施形態は、それぞれ異なる主題を参照して説明されることに留意されたい。具体的には、いくつかの実施形態は、装置タイプの請求項を参照して説明され、他の実施形態は、システムタイプの請求項を参照して説明される。しかしながら、当業者は、上記及び下記の説明から、別段の記述がない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関する特徴間の任意の組み合わせも、本出願で開示されることを理解するであろう。しかしながら、すべての特徴が、組み合わされて、特徴の単純な合計よりも高い相乗効果を提供することができる。
【0140】
本発明は、図面及び前述の説明において詳しく図示され説明されてきたが、そのような図示及び説明は、例示的又は説明的であり、限定的ではないと考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示及び従属請求項の検討から、請求項に記載の発明を実施する際に当業者によって理解され達成されることができる。
【0141】
請求項において、単語「有する、含む(comprising)」は、他の構成要素又はステップを排除せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を排除しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に記載されたいくつかの項目の機能を満たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項において言及されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】