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特表2024-545501包装材料ラミネート及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-09
(54)【発明の名称】包装材料ラミネート及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/207 20120101AFI20241202BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20241202BHJP
   B32B 27/10 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
B65B9/207
B32B27/00 H
B32B27/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533997
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2022084840
(87)【国際公開番号】W WO2023104908
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】21212908.4
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】トフト、ニルス
(72)【発明者】
【氏名】ホルバート、アンドリュー
【テーマコード(参考)】
3E050
4F100
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB02
3E050CA01
3E050CB01
3E050DC01
3E050GB05
4F100AJ04
4F100AJ04A
4F100AJ04C
4F100AK21
4F100AK21D
4F100AK69
4F100AK69D
4F100AR00B
4F100AR00D
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100DG10
4F100DG10A
4F100DG10C
4F100EH46
4F100EH46D
4F100GB16
4F100JB09
4F100JB09D
4F100JD01
4F100JD01D
(57)【要約】
ラミネート包装材料(10)を製造する方法が提供される。ラミネート包装材料は、コアモジュール(20)と、包装材料(10)によって形成された包装容器(2)の内部に面することを意図した内側モジュール(40)と、包装材料(10)によって形成された包装容器(2)の外部に面することを意図した外側モジュール(30)とを備える。本方法は、紙又は板紙又は他のセルロース系材料の第1バルク層(22)を備えるコアモジュール(20)を提供するステップと、紙又は板紙又は他のセルロース系材料の第2支持層(32)と、鉱油汚染物質の移行を防止するように構成された第1の均質な移行バリア層又はコーティング(34)とを備える固体外側モジュール(30)を提供するステップと、第1の移行バリア層又はコーティング(34)が、第2支持層(32)の少なくとも片面に塗布され、第1バルク層(22)が非バージン材料で作られ、固体外側モジュール(30)及び内側モジュール(40)をコアモジュール(20)にラミネートすることを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアモジュール(20)と、包装材料(10)によって形成された包装容器(2)の内部に面するように意図された内部モジュール(40)と、前記包装材料(10)によって形成された前記包装容器(2)の外部に面するように意図された外部モジュール(30)とを備えるラミネート包装材料(10)を製造する方法であって、当該該方法は、
紙又は板紙又は他のセルロース系材料の第1バルク層(22)を備えるコアモジュール(20)を提供し、
前記紙又は板紙又は他のセルロース系材料の第2支持層(32)と、鉱油汚染物質の移行を防止するように構成された第1の均質な移行バリア層又はコーティング(34)とを含む固体外部モジュール(30)を提供し、前記移行バリア層又はコーティング(34)が前記第2支持層(32)の少なくとも片面に塗布され、少なくとも前記第1バルク層(22)が非バージン材料で作られ、
前記外側モジュール(30)と前記内側モジュール(40)を前記コアモジュール(20)に貼り合わせる、
方法。
【請求項2】
前記固体外部モジュール(30)を提供することが、前記第2支持層(32)上に均質な層を形成するために前記第1の移行バリア層又はコーティング(34)を塗布すること、をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の移行バリア層又はコーティング(34)の塗布が、水性分散コーティング及びその後の乾燥によって行われる、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ガスバリア層又はコーティング(44c、46)を含む前記内部モジュール(40)を提供すること、をさらに含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ガスバリア層又はコーティング(44c、46)が、鉱油汚染物質の移行を防止するように構成された前記第2の均質な移行バリア層又はコーティングである、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記非バージン材料が最大100質量%までリサイクル材料から作られ、残部、すなわち残りの材料は非リサイクル材料である、
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記外側モジュール(30)を前記コアモジュール(20)に積層することが、前記第1の移行バリア層又はコーティング(34)が、前記第1バルク層(22)と前記第2支持層(32)との間に配置されるように実施される、
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記外側モジュール(30)を前記コアモジュール(20)に積層することが、前記第2支持層(32)が前記第1バルク層(22)と前記移行バリア層又はコーティング(34)との間に配置されるように実施される、
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1バルク層(22)が非バージン材料で作られ、前記第2支持層(32)がバージン材料で作られる、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記固体外部モジュール(30)を提供することが、前記第2支持層(32)の片面のみ、又は両面に前記バリア層又はコーティング(34)を塗布することによって実施される、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記紙又は板紙又は他のセルロース系材料の第3支持層(42)と、前記第3支持層(42)の少なくとも一方の側における鉱油汚染物質の移行を防止するように構成された前記第2の移行バリア層又はコーティング(46)とを備える固体内部モジュール(40)を提供すること、をさらに含む、
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記固体内部モジュール(40)を提供することが、前記第3支持層(42)上に均質な層又はコーティングを形成するために第2の移行バリア層又はコーティング(46)を適用すること、をさらに含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の移行バリア層又はコーティング(46)の塗布は、前記第3支持層(42)上又は中間ポリマーフィルム基材(44a~b)上に直接行われる、
請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の移行バリア層又はコーティング(46)の塗布が、水性分散液又は溶液コーティング及びその後の乾燥によって行われる、
請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記内側モジュール(40)を前記コアモジュール(20)に積層することが、前記第2の移行バリア層又はコーティング(46)が前記第3支持層(42)と前記第1バルク層(22)との間に配置されるように実施される、
請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1及び前記第2の移行バリア層又はコーティング(34、44)が、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンビニルアルコール共重合体(PVOH)、ナノ結晶セルロース(NCC)、及びミクロフィブリル化セルロース(MFC)からなる群からの1つ以上の材料を備える、
請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記外側モジュール(30)及び前記内側モジュール(40)を前記コアモジュール(20)にラミネートすることが、押出ラミネート又はウェットラミネートによって行われる、
請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の方法により製造されたラミネート包装材料(10)。
【請求項19】
請求項18に記載のラミネート包装材料(10)によって少なくとも部分的に作られた包装容器(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート包装材料及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、ラミネート包装材料を備える、又はラミネート包装材料からなる包装容器に関する。特に、本発明は、ラミネート包装材料を備える液体食品の包装を意図した包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体食品用の使い捨てタイプの包装容器は、板紙やカートンをベースにした包装用ラミネートから製造されることが多い。このような包装容器の1つは、Tetra Brik Aseptic(登録商標)で販売されており、主に、長期常温保存用に販売される牛乳やフルーツジュース等の液体食品の包装に使用される。このような既知の包装容器の包装材料は、通常、紙又は板紙のバルク層と、熱可塑性プラスチックの外側の液密層を備えるラミネートである。包装容器をガス気密、特に酸素ガス気密にするため、例えば、無菌包装や牛乳やフルーツジュースの包装の目的で、これらの包装容器のラミネートは通常、追加のバリア層、例えばアルミニウム箔を備える。
【0003】
ラミネートの内側、すなわちラミネートから製造される容器の充填された食品内容物に面することを意図した側には、したがって、アルミニウム箔上に塗布された最内層があり、この最内層は、接着性ポリマー及び/又はポリオレフィンのようなヒートシール可能な熱可塑性ポリマーを含む1層又は複数層の部分層を備えてもよい。また、バルク層の外側には、最も外側のヒートシール可能なポリマー層がある。
【0004】
包装容器は、一般に、ウェブから、又は包装材料のプレハブ状ブランクから、パッケージを形成し、充填し、密封するタイプの最新の高速包装機によって製造される。従って、包装容器は、ラミネート包装材料のウェブの長手方向の両縁を、ヒートシール可能な内側と外側の熱可塑性ポリマー層を溶着することによって作られるオーバーラップ接合部で互いに一体化し、ウェブをチューブに改質することによって製造され得る。チューブは目的とする液体食品で充填され、その後、チューブ内の内容物の高さより下方で互いに所定の距離をおいてチューブの横方向シールを繰り返すことにより、個々のパッケージに分割される。包装材料は、横方向シールに沿って切り込みを入れることによりチューブから分離され、包装材料に設けられた折り目線に沿って折り目をつけることにより、所望の幾何学的形状、通常は平行六面体又は立方体が与えられる。
【0005】
この連続的なチューブ成形、充填及び密封包装方法の概念の主な利点は、チューブ成形の直前にウェブを連続的に滅菌し得ることであり、したがって、無菌包装方法、すなわち、充填される液体内容物及び包装材料自体が細菌から低減され、充填された包装容器が清潔な条件下で製造され、充填された製品に微生物が増殖する危険性がなく、周囲温度でも長期間保存することができる方法の可能性を提供する。Tetra Brik(登録商標)タイプの包装方法のもう一つの重要な利点は、上述のように連続高速包装が可能なことであり、これはコスト効率にかなりの影響を与える。
【0006】
例えば、牛乳やジュース等の敏感な液体食品用の包装容器は、本発明のラミネート包装材料のシート状ブランクやプレハブ状ブランクから製造できる。平らに折り畳まれた包装用ラミネートのチューブ状ブランクから、ブランクを積み上げて開放チューブ状容器カプセルを形成し、その開放端の一方を一体型エンドパネルの折り畳みとヒートシールによって閉鎖することによって包装容器が製造される。オプションとして、チューブ状容器カプセルの開放端は、包装材料にプラスチック上部を成形することによって閉鎖することができるこうして閉鎖された容器カプセルは、その開放端から当該食品、例えばジュースが充填され、その後、対応する一体型エンドパネルのさらなる折り畳みとヒートシールによって閉鎖される。シート状ブランク及びチューブ状ブランクから製造される包装容器の例は、従来のいわゆるゲーブルトップパッケージである。このタイプのパッケージには、プラスチック製の成型トップ及び/又はスクリューキャップを有するものもある。
【0007】
上述したラミネート包装材料の商業的な例は、通常、75%の板紙、20%のポリマー材料、5%のアルミニウムを含む。板紙は紙製品にリサイクルされ、残りの25%(すなわちポリマーとアルミニウム)は、パネルボードやルーフシート等にリサイクルできる。最新のリサイクル工場では、新しい有用な製品に変換する前に、水パルプ化工程を経て、紙とポリマーやアルミニウムを分離する。
【0008】
これまで、ラミネート包装材料は、バージン板紙を使用して製造されている。現在の循環型製造のトレンドに合わせるため、新しい包装容器の包装材料を製造する際に、以前の包装容器の板紙繊維を利用することが望まれている。しかし、既存の生産設備では、再生板紙に含まれる可能性のある汚染物質の管理ができないため、バージン板紙を再生板紙に置き換えることは不可能である。
【0009】
特に、再生板紙には、鉱油飽和炭化水素と鉱油芳香族炭化水素の両方が含まれている可能性がある。これらの汚染物質は、例えば、リサイクルされる古い印刷紙やパッケージの装飾に使用された印刷インクの残留物である可能性があり、食品安全上の理由から、このような汚染物質がパッケージ製品に漏出しないようにすることが重要である。
【0010】
そのため、利用可能な設備や手順が、包装材料への再生繊維の使用を妨げており、この分野での改善が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従来技術の上記で特定された限界の1つ以上を少なくとも部分的に克服することである。特に、本発明の目的は、リサイクル材料を備え、包装材料ラミネートで包装された製品が不健康な汚染を受けるリスクがなく、液体食品の包装に使用できる包装材料ラミネートを提供することである。
【0012】
この問題を解決するために、本発明の第1の態様によれば、ラミネート包装材料の製造方法が提供される。ラミネート包装材料は、コアモジュールと、包装材料によって形成される包装容器の内部に面するように意図された内側モジュールと、包装材料によって形成される包装容器の外部に面するように意図された外側モジュールとを有する。本方法は、i)紙又は板紙又は他のセルロース系材料の第1バルク層を備えるコアモジュールを提供すること、ii)紙又は板紙又は他のセルロース系材料の第2支持層、及び鉱油汚染物質の移行を防止するように構成された第1の均質な移行バリア層又はコーティングを備える固体外側モジュールを提供すること、ここで、第1の均質な移行バリア層又はコーティングは、第2支持層の少なくとも片面に塗布され、少なくとも第1バルク層は、非バージン材料で作られており、iii)固体外側モジュール及び内側モジュールをコアモジュールに積層すること、を含む。第1の移行バリア層又はコーティングが「均質」であるとは、均一で連続した層又はコーティングであることを意味する。つまり、面外方向の厚さ全体にわたって均一な組成を有するだけでなく、面内方向の延長全体にわたって均一な組成を有することを意味する。さらに、ラミネートにおけるコーティング又はラミネート内の層であるため、ラミネートにおける面内方向の延長全体にわたって、隣接又は被覆されている層を連続的に覆っている。「固体」という用語は、材料が乾燥した最終状態にあること、すなわち、固化、乾燥又は架橋等を必要とする溶融物、分散物又は溶液の形態で塗布されていないこと、又はそれを含まないことを意味する。
【0013】
固体外側モジュールを提供することは、第1の移行バリア層又はコーティングを第2支持層上に均質な層を形成するように塗布することをさらに備えてもよい。これにより、外側モジュールを制御された条件下で予め製造することができ、第1の移行バリア層又はコーティングが鉱油汚染物質の移行を効果的に防止していることが保証される。
【0014】
移行バリア層又はコーティングの塗布は、水性分散コーティングと、その後の熱風又は対流加熱などの蒸発乾燥によって実施してもよい。これは、均一で強固な移行バリア層又はコーティングを確実にするために非常に効果的なプロセスであることが証明されており、PVOHなどの市販の移行バリア層又はコーティング材料の使用も可能である。
【0015】
本方法は、ガスバリア層又はコーティングを含む内部モジュールを提供することをさらに備えてもよい。従って、内部モジュールは、包装容器の完全性と食品の安全性をさらに確実にするガスバリアで予め製造され得る。
【0016】
ガスバリア層又はコーティングは、鉱油汚染物質の移行を防止するように構成された第2の均質な移行バリア層又はコーティングであってもよい。したがって、鉱油汚染物質の移行を防止し、ガスバリアを提供する特定の層又はコーティングで内部モジュールを設計することが可能であり、設計者の自由度と包装材料のコンパクト性を向上させる。
【0017】
非バージン材料は、最大100質量%までリサイクル材料で作ることができ、残部、すなわち材料の残りは非リサイクル材料である。したがって、100%リサイクル材料でも移行バリア層又はコーティングが鉱油汚染物質の移行を効果的に防止するため、さまざまなグレードのリサイクル材料を使用することができる。
【0018】
外側モジュールをコアモジュールにラミネートする際に、移行バリア層又はコーティングが第1バルク層と第2支持層との間に配置されるように実施してもよい。従って、第1バルク層中の鉱油汚染物質は、コアモジュールから移動して第2支持層に達することが防止され、コアモジュールと第1バルク層に効果的に封じ込められる。
【0019】
外側モジュールをコアモジュールにラミネートする際に、第2支持層が第1バルク層と移行バリア層又はコーティングとの間に配置されるように実施してもよい。その結果、移行バリア層又はコーティングは第2支持層の外側に配置され、それによって鉱油汚染物質が包装材料の外側の環境に移行するのを効果的に防止する。
【0020】
第2支持層は、バージン材料で作られてもよい。本実施形態では、外側モジュールを設けることによって、コアモジュールの外側を効果的に「密封」し、鉱油汚染物質が包装材料の外側に移動するのを防ぐことができる。
【0021】
第2支持層の片面のみ、又は両面にバリア層又はコーティングを施すことで、固体外側モジュールを提供し得る。これにより、包装材料及び包装材料を形成するための変換プロセスの設計自由度が得られる。また、例えば、第2支持層の内側にPVOHを使用し、第2支持層の外側に異なる移行バリアコーティングを使用するなど、移行バリア層又はコーティングに異なる材料を使用することもできる。
【0022】
本方法は、紙又は板紙又は他のセルロース系材料の第3支持層と、第3支持層の少なくとも片面に鉱油汚染物質の移行を防止するように構成された移行バリア層又はコーティングとを含む固体内部モジュールを提供することをさらに備えてもよい。これにより、特に第1バルク層がリサイクル材料で作られている場合、移行バリア層又はコーティングが第1バルク層から包装材料の内部への鉱油汚染物質の移行を防止するため、さらなる利点が得られる。
【0023】
固体内部モジュールを提供することは、移行バリア層又はコーティングを第3支持層上に適用し、均質な層を形成するさらなるステップを備えてもよい。これにより、制御された条件下で内部モジュールを事前に製造することができ、移行バリア層又はコーティングが鉱油汚染物質の移行を効果的に防止していることが保証される。
【0024】
移行バリア層又はコーティングの塗布は、第3支持層上又は中間ポリマーフィルム基材上に直接実施してもよい。好ましくは、移行バリア層又はコーティングの塗布は、水性分散液又は溶液コーティングとその後の乾燥によって行われる。これにより、内部モジュールの製造方法及び材料の選択に大きな柔軟性がもたらされる。
【0025】
内側モジュールをコアモジュールにラミネートする際には、移行バリア層又はコーティングが第3支持層と第1バルク層との間に配置されるように実施してもよい。したがって、第1バルク層中の鉱油汚染物質は、移行して第3支持層に到達することが効果的に防止され、コアモジュール及び第1バルク層に効果的に封じ込められる。
【0026】
移行バリア層又はコーティングは、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンビニルアルコール共重合体(PVOH)、ナノ結晶セルロース(NCC)及びミクロフィブリル化セルロース(MFC)の群から選ばれる1つ以上の材料を備えてもよい。このような移行バリア材料は、非化石起源であること、及び/又は、使用済み飲料カートンの繊維リサイクルの流れのような、古紙及びカートン材料のリサイクルに使用される水性リサイクル液中で容易に再分散可能であることによって、環境に対してより持続可能であるため、より好ましい。このような移行バリア材料を水性分散液の形で塗布し、その後乾燥させることにより、乾燥した固形物の量が少ない非常に薄いコーティングを施すことができる。この種のコーティングでは、EVOH材料は水分散性であり、PVOHに非常に似ている、すなわちポリマー中のビニルアルコールモノマーの含有量が高い。
【0027】
この方法は、少なくとも第1バルク層を貫通する穴又はスリットを備える少なくとも1つの構造的弱化部を設けることをさらに備えてもよい。これは、包装材料に、例えばストロー穴等の容易に貫通する開口構造を設けることができるという点で有利である。
【0028】
外側モジュールと内側モジュールをコアモジュールにラミネートする際に、押し出しラミネート又はウェットラミネートで実施してもよい。これにより、利用可能で非常に効率的な工程と設備を使用することができる。ウェットラミネート、コールドラミネート、好ましくは水性接着剤組成物によるラミネーションは、強制的な乾燥を必要とせず、環境の観点から有利で持続可能な方法である。必要とされる乾燥エネルギーは全くないか、実質的に少なく、接着剤又は接着材料は著しく少なくてすむ。ポリマーバインダーの使用量は非常に少なく、例えば5g/m以下である。ウェットラミネートに使用される物質は、鉱物油汚染物質移行バリア用のコーティングに使用される物質、例えばPVOHやEVOHポリマーと同種のものであってもよい。これらは、ラミネート後に乾燥させる湿潤溶液としてラミネート時に添加されるため、固体のバリア層にはならず、有用性は低い。しかし、移行バリア性の向上にさらに貢献する可能性がある。
【0029】
第2の態様によれば、ラミネート包装材料が提供される。ラミネート包装材料は、第1の態様による方法によって製造される。
【0030】
第3の態様によれば、第2の態様によるラミネート包装材料によって少なくとも部分的に作られた包装容器が提供される。
【0031】
本発明のさらに他の目的、特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0032】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】一実施形態によるラミネート包装材料から液体食品用包装容器を製造する機械の概略側面図である。
図2】一実施形態によるラミネート包装材料の断面図である。
図3a】一実施形態によるラミネート包装材料を半製造するための変換プロセスを示す概略図である。
図3b】一実施形態によるラミネート包装材料を半製造するための変換プロセスを示す概略図である。
図4】ラミネート包装材料を製造するための変換プロセスを示す概略図である。
図5a】異なる実施形態によるラミネート包装材料の断面図である。
図5b】異なる実施形態によるラミネート包装材料の断面図である。
図6】様々な実施形態による開口構造を備えるラミネート包装材料の断面図である。
図7】実施形態によるラミネート包装材料の製造方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1において、ラミネート包装材料10から包装容器2を製造するための機械1の一例が示されている。背景技術の説明によれば、機械1は、通常、機械1にロール供給されるラミネート包装材料10を滅菌するように構成された滅菌部3を備える。殺菌部の下流には、ラミネート包装材料10の長手方向の両端を互いにシールするチューブ形成部4がある。充填部5は、長手方向のチューブに所望の内容物を充填するように構成され、横シール部6は、包装容器2をラミネート包装材料10の上流側のチューブから分離するための横シール及び切断を提供する。
【0035】
図1に示す機械1等で使用するラミネート包装材料10の一例を、図2を参照して説明する。ラミネート包装材料10は、コアモジュール20と、包装材料10によって形成された包装容器2の外側に面するように意図された外側モジュール30と、包装材料10によって形成された包装容器2の内側に面するように意図された内側モジュール40とを備える。コアモジュール20は、コアモジュール20が外側モジュール30と内側モジュール40との間に配置されるように、外側モジュール30と内側モジュール40に積層される。
【0036】
本明細書に記載される全ての実施形態に共通して、コアモジュール20は、紙又は板紙又は他のセルロース系材料の第1バルク層22を備え、外側モジュール30は、コア層20に積層されるときに固体であり、紙又は板紙又は他のセルロース系材料の第2支持層32、及び鉱油汚染物質の移行を防止するように構成された少なくとも1つの第1の均質かつ固体の移行バリア層又はコーティング34を備える。コアモジュール20の少なくとも第1バルク層22は、非バージン材料、すなわち再生繊維からなる材料で作られている。
【0037】
すぐに使用できるラミネート包装材料10を形成するために、コアモジュール20が外側モジュール30と内側モジュール40との間に配置されるように、内側モジュール40もコアモジュール20にラミネートされる。図2にさらに示すように、ラミネート包装材料10は、ラミネート包装材料10の外層を形成するために外側モジュール30上に配置された最外層12と、ラミネート包装材料10の内層を形成するために内側モジュール40上に配置された最内層又は層部分14とをさらに備える。
【0038】
予め製造された異なるモジュール20、30、40からラミネート包装材料10を形成するという一般的な考え方は、最終的なラミネート包装材料10の設計及び正確な構成において大きな柔軟性を提供する。特に、外側モジュール30に移行バリア層又はコーティング34を設けることにより、少なくとも第1バルク層22をリサイクル材料で作ることができる。その結果、第2の支持層32がバージン材料で作られている場合、非バージン材料の層22が依然としてラミネート包装材料10の必要な安定性の一部を提供するため、バージン材料の総量を減少させることができる。このことは、変換プロセス、すなわちラミネート包装材料10を形成するための様々なプロセスにも当てはまる。さらに、製紙プロセスにおけるコーティング作業が不要になる可能性があるため、再生紙又は板紙は、第1バルク層22の各面にコーティング剤を封入する必要なく、製造されたままの状態で、すなわち紙リールに巻かれた状態で直接納入され得る。これは、製紙製造業者及び供給業者にとって大きな利点であり、再生繊維含有率を有するコア層をコンバーターに直接納入することができ、コア層をさらにコーティングする必要がなく、コンバーターの顧客に対して十分な移行バリア特性を保証することができ、従って、コンバーターの顧客に対してより低い製造コスト及び価格設定を可能にする。次に、図3a及び図3bを参照すると、一例のプロセスが概略的に示されている。このプロセスは、様々な投入材料から少なくとも半仕上げのラミネート包装材料を提供することを目的として、1つ以上の関連装置50によって実行される。図示の例では、得られる製品は、コアモジュール20、外側モジュール30、及び内側モジュール40を備えるラミネート材料である。このプロセスは一例として示されているに過ぎず、様々な修正や変形が可能であることに留意すべきである。
【0039】
紙又は板紙又は他のセルロース系材料の連続ウェブは、リール52上に供給される。操作において、第1バルク層22、すなわちコアモジュール20のウェブは、巻き戻され、ニップ54を通って供給される。ニップ54はまた、外側モジュール30を受け入れている。外側モジュール30は、例えば図3bに描かれているような別個の分散プロセスによって、コアモジュール20に積層される際に既に形成される。
【0040】
図3bに示すように、第1の外側モジュール30を準備するために、紙又は板紙又は他のセルロース系材料の連続ウェブがリール56に供給される。運転中、ウェブは巻き戻され、外側モジュール30の第2支持層32として前方に供給される。バリアフィルム、層、又はコーティング34は、例えば、第2支持層32の片面に塗布される水性分散液として提供される。オプションとして、ニップ58を通過させて、バリア層又はコーティング材料の均質な分布を確保する。バリア層又はコーティング材34の水性分散液の塗布は、図3bに示すように、スプレー、浸漬、又は例えばロール塗布によって実施され得る。
【0041】
ニップ58の下流には、懸濁液(通常は水)を固化させて蒸発させ、固体バリア層又はコーティング34を形成するために、乾燥機60を設けてもよい。従って、乾燥機60の下流では、外側モジュール30は、固形で予め製造された外側モジュール30である。外側モジュール30の製造後、図3aに示すように、外側モジュール30をコアモジュール20にラミネートする場所まで輸送するために、外側モジュール30を保管リール57に巻き取ってもよい。
【0042】
外側モジュール30をコアモジュール20にラミネートするために、接着剤を使用してもよい。図3aでは、これはいわゆるウェットラミネートの段階として図示されている。すなわち、液体、好ましくは水性の接着剤36が、外側モジュール30の一方の面、すなわちニップ部54においてコアモジュール20と対向するように意図された面に塗布される。図3aからさらに分かるように、外側モジュール30は、リール57、すなわち図3bに示すプロセスからの出力製品の形で製造装置に供給される。外側モジュール30をコアモジュール20に効率的にラミネートする目的で、接合ニップ54は、液体接着剤がそれぞれのモジュールの表面に適切に付着するように、より速く接合するための加熱ニップ54であってもよい。
【0043】
内側モジュール40は、外側モジュール30をコアモジュール20にラミネートするために使用されるニップ54の下流に配置されてもよい。さらなるニップ62によってコアモジュール20にラミネートされる。ラミネート作業とニップ62及び54の異なる順序は、代替的に可能である。内側モジュール40の様々な構成が可能であり、図3aには具体的な一実施形態の製造が示されている。
【0044】
図3aの具体的な実施形態に従って内側モジュール40を準備するために、紙又は板紙又はセルロース系材料の連続ウェブがリール64に供給される。運転中、ウェブは巻き戻され、内側モジュール40の第3の支持層42として前方に供給されてもよい。バリア層又はコーティング44は、例えば、ウェットラミネートによって第3の支持層42の片面に塗布される予め製造されたフィルムとして提供されてもよい。
【0045】
バリア層又はコーティング44を構成する予め製造されたフィルムは、例えば、第3支持層42の搬送経路に向かって供給され、リール66上に提供される連続的な予め製造されたウェブとして提供されてもよい。様々なオプションが可能であるが、予め製造されたフィルム又は基材は、例えば、ポリマーフィルム基材として、又は蒸着コーティングによってガスバリア層又はコーティングで被覆された紙又はセルロースベースのシート基材44として提供され得る。さらに、ガスバリアコーティングを有するバリア層又はシート44は、鉱油汚染物質の移動を防止することができる物質のコーティングを備えてもよく(図5a~b参照)、外側モジュール30のバリア層又はコーティング34を参照して上述したのと同様の方法で提供され得る。
【0046】
図3aでは、ウェットラミネート装置68が、バリア層又はコーティング44を備える予め製造されたフィルムの片面、すなわち、バリア層又はコーティング44を備える予め製造されたフィルムがニップ70で第3支持層42と対面する前に、第3支持層42と対面するように意図された面に、液体、好ましくは水性の接着剤を塗布する。あるいは、バリア層又はコーティング44を備える予め製造されたフィルムの第3支持層42へのラミネーションは、ポリマーの溶融フィルム又はポリマーの「カーテン」をラミネーショントーラーニップに供給するように構成された押出装置(図示せず)を用いて実行してもよく、その際、第3支持層42とバリアコーティングされたフィルム又はシート基材44の少なくとも一方は、好ましくはニップ70の領域で互いに接合され、ラミネートされ、これによりバリアコーティングされたフィルム又はシート基材44が第3支持層42に押圧され、押し出されたポリマーが所望のラミネーションを提供する。内側モジュール40が予め製造され、固体状態になると、ニップ62を通してコアモジュール20にラミネートされる。ニップ62でのラミネーション操作は、ラミネーションニップ54及び70(図示せず)に関連して説明したように、ウェットラミネート又は押し出しラミネートによって同様に実施してもよい。図示しない代替実施形態では、第3の支持層42及び/又はバリアコーティングされたフィルム又はシート基材44は、上述のように、ウェットラミネートによってコアモジュール20に接合され得る。
【0047】
内部モジュール40は、外部モジュール30及び図3bを参照して説明したのと同様の方法で事前に製造され得る。
【0048】
最終的なラミネート包装材料10を製造するプロセスを図4に示す。図3aに示す工程からの出力、すなわち、コアモジュール20、外側モジュール30及び内側モジュール40を含む積層材料は、最外層12及び最内層部分14を備える。これらの最外層及び最内層な並びに層部分12、14は、例えば、直列に配置され、ラミネート包装材料の反対側、すなわち外側モジュール30及び内側モジュール40にそれぞれ作用する押出装置72、74として図4に図示される押し出しコーティングによって提供され得る。特に、最内層部分14は、当該技術分野において周知のように、互いに配置された複数の共押し出しポリマー層として提供され得ることに言及すべきである。
【0049】
次に、図5a~bを参照して、ラミネート包装材料10の異なる実施形態をさらに詳細に説明する。すべての実施形態は、紙又は板紙又は他のセルロース系材料の少なくとも第1バルク層22及び第2支持層32を有する。少なくとも第1バルク層22は、非バージン材料で作られており、すなわち、少なくともある程度リサイクル繊維で構成されている。さらに、第1バルク層22は、コアモジュール20の一部を形成しており、第2支持層32は、固体の外側モジュール30の一部を形成しており、外側モジュール30は、鉱油汚染物質の移動を防止するように構成された、第1の均質で固体のバリア層又はコーティング34をさらに備える。
【0050】
図5aにおいて、ラミネート包装材料10は、非バージンセルロース系材料、すなわち再生繊維からなる材料からなる第1バルク層22を有するコアモジュール20を備える。外側モジュール30は、この実施形態では完全にバージンセルロース系材料、すなわち再生繊維を含まない材料からなる第2支持層32によって形成されている。鉱油汚染物質の移行を防止するための、第一の均質で固体の移行バリア層又はコーティング34が、第1バルク層22に面するように意図された第2支持層32の側に設けられる。このようにして、固体の外側モジュール40は、第2支持層32と移行バリア層又はコーティング34によって形成される。
【0051】
図5aに明確に示されているように、バリア層又はコーティング34は別個の層であり、接着層36、すなわち図3aにも言及されている接着剤によってコアモジュール20から分離されている。バリア層又はコーティング34とは逆に、接着層36は、セルロース系材料層のセルロース繊維に浸透して吸収される前に、無傷の表面層に乾燥することによって、固体のコーティング層にはならない。
【0052】
内部モジュール40は、第3の支持層42を備え、この支持層42は、この実施形態では、完全にバージンのセルロース系材料、すなわち再生繊維を含まない材料からなる。内側モジュール40はさらに、ポリマーフィルム基材44a又はセルロース系シート基材44bを含む予め製造されたフィルム又はシート44を備え、基材44bはガスバリア層又はコーティング44cで被覆されている。鉱油汚染物質の移行を防止するための、第2の均質で固体の移行バリアコーティング46が、第3の支持層42の片側、例えば、第1のバルク層22に面するように意図された側に設けられてもよい。
【0053】
あるいは、鉱油汚染物質の移動を防止するためのバリアコーティング46は、予め製造されたフィルム又はシート44の一部を形成してもよい。予め製造されたフィルム又はシート44の構成は、内側から外側、又は外側から内側のいずれかから見て、i)バリアコーティング46-ガスバリア層又はコーティング4c-ポリマーフィルム基材44a又はセルロース系シート基材44b、ii)ガスバリア層又はコーティング44c-バリアコーティング46-ポリマーフィルム基材44a又はセルロース系シート基材44b、iii)バリアコーティング46-ポリマーフィルム基材44a又はセルロース系シート基材44b-ガスバリア層又はコーティング44c(図5aに示すとおり)のいずれか1つであってもよい。
【0054】
バリアコーティング46及び予め製造されたフィルム又はシート44は、別個の層であり、例えば、接着剤等の接着層47によってコアモジュール20から分離され、例えば、ある種の接着剤等の別の接着層48によって第3の支持層42から分離される。バリアコーティング46及び予め製造されたフィルム又はシート44とは逆に、接着層47、48は、セルロース系材料層のセルロース繊維に浸透して吸収される前に、乾燥させてそのままの表面層にすることによって、固体コーティング層にされることはない。
【0055】
別の実施形態を図5bに示す。図5bにおいて、ラミネート包装材10は、非バージンセルロース系材料、すなわち再生繊維からなる材料からなる第1バルク層22を有するコアモジュール20を備える。外側モジュール30は、この実施形態では完全にバージンセルロース系材料、すなわち再生繊維を含まない材料からなる第2支持層32によって形成される。鉱油汚染物質の移行を防止するための第1の均質なバリア層又はコーティング34が、第2支持層32の外側に面する側に設けられている。このようにして、固体の外側モジュール30は、第2支持層32と、第1の均質な固体のバリア層又はコーティング34とによって形成される。
【0056】
内側モジュール40は、第3支持層42を備え、この第3支持層42は、この実施形態では、完全にバージンのセルロース系材料、すなわち再生繊維を含まない材料からなる。ポリマーフィルム基材44a又はセルロース系シート基材44bを備える予め製造されたフィルム又はシート44、及びガスバリア層又はコーティング44cは、内側モジュール40の一部を形成し、コアモジュール20に面する第3支持層42の側に設けられている。鉱油汚染物質の移行を防止するための第2の均質なバリア層又はコーティング46は、第3支持層42の反対側、すなわち内側に向くように、すなわち第1バルク層22から遠ざかる方向に向くように設けられている。
【0057】
添付の図面を参照して説明した上記の実施形態は、本明細書に明示的に記載されていない異なる構成を提供するために、変更又は組み合わせることができることに言及すべきである。
【0058】
具体的な目的の一つは、リサイクル材料の使用を可能にすることであり、鉱油汚染物質がラミネート包装材料から拡散する危険性を低減しながら、そのような非バージン材料の使用が確実に行われることである。バリア層又はコーティング34、46のための異なる材料を考慮することができる。本発明者らは、鉱油汚染物質、すなわち鉱油飽和炭化水素及び鉱油芳香族炭化水素の移行を防止できるだけでなく、環境的に持続可能な材料であるために特に有用であることが証明されている材料のリストがあることに気が付いた。このような有用な材料には、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンビニルアルコール共重合体(PVOH)、ナノ結晶セルロース(NCC)、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)等が含まれる。
【0059】
酸素及び/又は水蒸気の透過を防止するための適切な材料は、物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)、特にプラズマエンハンスト化学蒸着法(PECVD)等の蒸着コーティングによって適用してもよい。ナノメートル厚さの蒸着バリアコーティングの例としては、金属化アルミニウム等の金属化コーティング、AlOxやSiOx等の金属酸化物コーティング、又は非晶質炭素コーティング、すなわち非晶質ダイヤモンドライクカーボンコーティング(DLC)等であってもよい。
【0060】
酸素及び/又は水蒸気の透過を防止するための他の適切な材料は、バリアポリマーの水性分散液又は溶液コーティング、又はポリマーバインダーと無機粒子又は充填剤のバリア組成物によって適用してもよい。場合によっては、酸素透過防止に適したポリマーや組成物は、鉱物油汚染物質の移行防止にも適している。
【0061】
複数のバリア層又はコーティング34、44、46を必要とする上述の実施形態は、単一のバリア材料のみを使用してもよく、異なるバリア層又はコーティング34、44、46に異なるバリア材料を使用してもよい。例えば、外側モジュール30は、第2支持層32の両側に配置された2つのバリア層又はコーティング34a~bを有してもよい。ラミネート包装材料10の外側に面するバリア層又はコーティング34aは、例えば、ラミネート包装材料10の視覚的外観も高めるために任意にさらに金属化されるPVOH層であってもよく、他方のバリア層又はコーティング34bは、固体PVOHのみの均質層であってもよい。PVOHコーティングは、乾燥固形分の低い坪量で最良のバリア性能を提供し、生産において最も効率的なコーティング/乾燥効率を提供するために、各コーティングステップの後に続いて乾燥させながら、互いに塗布される2つの薄いコーティングとして適用してもよい。
【0062】
特に、図5a~bの実施形態に関しては、ガスバリア層又はコーティング44と移行バリア層46とを単一の層に組み合わせる可能性がある。このような二重機能ガスバリア層又はコーティング44、46は、最も好ましくは、特に第3の支持層にも再生繊維含量がある場合に、第3支持層42の内側、すなわち包装容器の内側に面する側に配置することである。第3支持層42をポリマーフィルム基材で置き換えた場合、二重機能ガスバリア層又はコーティング44、46は、ポリマーフィルム基材のどの面にも配置することができる。従って、内部モジュール40が紙基材を持たず、予め製造されたガスバリアコーティングされたポリマーフィルムを有する場合、ガスバリア層又はコーティングは移動バリアとしても機能することができる。
【0063】
以上から、内部モジュール40は必ずしもセルロース系材料の第3支持層42を備える必要はなく、内部モジュール40は、所望のバリアコーティング44c、46が施された予め製造されたフィルム又はシート44、及びオプションとして追加のコーティング、層、又はフィルム(ただし、セルロース系材料の第3支持層42は含まない)のみを備えていてもよいことが明らかである。
【0064】
コアモジュール20、外側モジュール30、及び内側モジュール40からラミネート包装材料10を提供する別の重要な利点は、ラミネート包装材料10の特定の特性を異なるモジュールに割り当てることが可能であることである。従来の包装材料では、機械的特性、酸素バリア特性、完全性、外観などの特定の特性が絡み合っており、これらの特性はすべて包装材料全体の様々な層によって影響を受ける。しかし、本明細書で説明する実施形態では、これらの特性の少なくとも一部をモジュール20、30、40の1つ又は2つに割り当てることができる。例えば、外観は外側モジュール30にのみ依存し、バリア特性は内側モジュール40にのみ依存する。したがって、これらのモジュール30、40を直接交換することにより、外側と内側の差別化が可能になる。さらに、リサイクルされた含有物を含むコアモジュールに関連して、コア材料は、ラミネート加工やコンバーティング加工において、最初のカプセル化されていない状態で一度だけ取り扱われる必要があることを意味する。移行バリア材料の層やコーティングを備える外側モジュールと内側モジュールの間に一旦封入されると、それ以上、変換ラインや関係する材料を汚染することはない。特に、予め製造されたの、予め製造された外側モジュールと内側モジュールは、変換ラインを1回通貨してコア層にラミネートされるため、巻き取られたリール上の隣接するラミネートされたバージン材料と接触する可能性、又は非カバー状態でさらなるラミネーションステーションを通過する可能性のある、非バージンコア層のまだカバーされていない側は存在しない。
【0065】
ラミネート包装材料10の別の態様は、例えば、ストローを容易に使用できるようにするために、予め製造された開口構造を提供する可能性である。したがって、この目的のために、このような予め製造された開口構造は、最終的なラミネート包装材料10にストロー穴を形成し得る。
【0066】
このような予め製造された開口部構造の様々な例が、ラミネート包装材料10の断面を示す図6に示されている。ラミネート包装材料10は、本明細書に記載されるような任意のタイプ又は構成であり得るが、この特定の実施形態では、コアモジュール20は、バージン材料の第1バルク層22を備える。外側モジュール30は、2つの対向するバリア層又はコーティング34a~bによってシールされた第2支持層32を備える。内側モジュール40は、第3支持層42とバリアコーティング46を備える。最外層12が外側モジュール30にラミネートされ、1つ以上の最内層14が内側モジュール40にラミネートされる。
【0067】
予め製造された開口部構造16の様々な構成が図6に示されている。図6の左側から始めて、予め製造された開口構造16aは、コアモジュール20、外側モジュール30、及び内側モジュール40を全体的に貫通して延びる打ち抜き穴又はスリットとして設けられてもよい。包装材料10の最内層及び最外層12、14は、予め製造された開口構造16aを覆っている。
【0068】
図6の予め製造された開口部構造16bは、外側モジュール30とコアモジュール20を完全に貫通して延びているが、最内層及び最外層12、14、及び予め製造された開口部構造16bを覆うバリア層又はコーティング46を残して、内側モジュール40の第3支持層42のみを貫通している。
【0069】
予め製造された開口構造16cは、外側モジュール30とコアモジュール20を貫通して延びており、最内層及び最外層12、14と内側モジュール40は、予め作られた開口構造16bを覆うように残されている。この実施形態は有利で好ましい。再生繊維のいかなる汚染も、包装が開封される前に封入された製品に到達することが防止され、したがって、ストロー穴だけでなく、キャップなどの大きな開口構造にも好ましい。このように、予め製造された開口構造16cは、第1バルク層22が除去されているため、適度に貫通しやすい構造を提供するが、それでもなお、汚染物質がパッケージに封入された製品に到達するのを防止する。さらに、第1の均質な移行バリア層34、34aがコア層のできるだけ近くに、すなわち第1バルク層22と第2支持層32との間に配置されると、非バージンコア層からの移行ができるだけ少なくなる。
【0070】
あらかじめ作られた開口部構造16dはコアモジュール20のみを貫通して伸びており、最内層と最外層12、14、及び内側モジュール30と外側モジュール40は、予め製造された開口部構造16dを覆うように残されている。
【0071】
図6の予め製造された開口部構造16eは、コアモジュール20を完全に貫通し、最内層及び最外層12、14、ならびに外層モジュール30及び酸素バリア46を残して、内層モジュール40の第3支持層42を貫通して、予め製造された開口部構造16eを覆うように延びている。
【0072】
図6の開口部構造16fは、コアモジュール20と内側モジュール40を完全に貫通して伸びており、最内層及び最外層12、14と外側モジュール30が開口部構造16fを覆っている。
【0073】
次に図7に目を向けると、方法100が概略的に示されている。この方法100は、コアモジュール20と、包装材料10によって形成される包装容器の内部に面するように意図された内部モジュール40と、包装材料10によって形成される包装容器の外部に面するように意図された外部モジュール30とを有するラミネート包装材料10を製造することを目的として実行される。本方法は、紙又は板紙又は他のセルロース系材料の第1バルク層22を備えるコアモジュール20を提供する第1のステップ102と、固体の外側モジュール30を提供するステップ104とを備える。ステップ104は、外側モジュール30が、紙又は板紙又は他のセルロース系材料の第2支持層32と、鉱油汚染物質の移行を防止するように構成された第1の均質な移行バリア層又はコーティング34とを備えるように実行され、移行バリア層又はコーティング34は、第2支持層32の少なくとも片面に塗布される。第1バルク層22及び第2支持層32の少なくとも一方は、非バージン材料で作られている。本方法はさらに、固体の外側モジュール30及び内側モジュール40をコアモジュール20に積層するステップ106を含む。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6
図7
【国際調査報告】