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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-09
(54)【発明の名称】クロージャシステムを有する履物
(51)【国際特許分類】
   A43B 23/02 20060101AFI20241202BHJP
   A43C 11/00 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
A43B23/02 104
A43C11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534769
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 IB2022062547
(87)【国際公開番号】W WO2023119159
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/292,280
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511264353
【氏名又は名称】プーマ エス イー
【氏名又は名称原語表記】PUMA SE
【住所又は居所原語表記】Puma Way 1,91074 Herzogenaurach Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジーギスムント,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】サスマン,ラインホルト
(72)【発明者】
【氏名】ジラード,ロメイン
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050JA02
4F050JA04
4F050JA05
4F050JA06
4F050JA09
4F050JA13
4F050MA23
(57)【要約】
履物用クロージャシステムは、トラック、ノブ、および履物のアッパーと作動可能に係合するように構成された紐を含む。紐はノブに取り付けられ、ノブは履物を締めたり緩めたりするためにトラック内で動かせるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物のクロージャシステムであって、
トラックと、
ノブと、
前記履物のアッパーに動作可能に係合するように構成された紐と、を含み、
前記紐は、前記ノブに取り付けられ、前記ノブが前記履物を締めたり緩めたりするためにトラック内で移動するように構成されている、
クロージャシステム。
【請求項2】
前記紐が、前記履物の巻線領域を画定する複数のガイドに動作可能に係合する、
請求項1に記載のクロージャシステム。
【請求項3】
前記トラックは、踵領域内で前記アッパーに沿って延びている、
請求項1に記載のクロージャシステム。
【請求項4】
前記トラックが、前記履物の前記アッパーとソールを横切って延びている、
請求項1に記載のクロージャシステム。
【請求項5】
前記トラックが、第2端部よりも巻線領域に近い位置にある第1端部を有する、
請求項2に記載のクロージャシステム。
【請求項6】
前記ノブは、前記トラックによって画定されたチャネル内で並進及び回転するように構成されている、
請求項2に記載のクロージャシステム。
【請求項7】
前記ノブが前記トラックの前記第2端部に位置するとき、前記履物が締め付けられる、
請求項5記載のクロージャシステム。
【請求項8】
履物のクロージャシステムであって、
第2端部に対向する第1端部を有するトラックであって、係合壁が第1端部から第2端部まで延びているトラックと、
前記トラック内で受けられるように構成されたノブと、
前記ノブによって動作可能に受け入れられるように構成された紐と、を含み、
前記紐は、前記トラックに形成された開口部を通って挿入され、前記ノブは、前記履物を締め付けるために前記トラックの第1端部から前記第2端部まで動かされるように構成される、
クロージャシステム。
【請求項9】
前記係合壁が、スロット、取付孔、およびスロートを画定する、
請求項8に記載のクロージャシステム。
【請求項10】
前記取付孔が、前記トラックの第2端部に隣接して配置されている、
請求項9に記載のクロージャシステム。
【請求項11】
前記スロットは、前記第1端部と前記第2端部との間を直線的に延びている、
請求項9に記載のクロージャシステム。
【請求項12】
前記係合壁が前記トラックの側壁の上端と下端との間に配置されている、
請求項9に記載のクロージャシステム。
【請求項13】
前記係合壁が、第2端部に隣接して位置するピットを有するスロットを画定し、前記ピットがバンパーによって前記スロットから分離される、
請求項8に記載のクロージャシステム。
【請求項14】
前記係合壁が第2端部に複数のピットを画定する、
請求項13に記載のクロージャシステム。
【請求項15】
一つの履物のクロージャシステムであって、
第1端部と第2端部を有するトラックであって、係合壁が前記第1端部から前記第2端部まで延びているトラックと、
前記トラック内で受けられるように構成されたノブと、
前記ノブによって動作可能に受けられるように構成された紐であって、前記紐は、前記トラックに形成された開口部を通って挿入され、前記ノブは、前記トラック内で回転して前記履物を締め付けるように構成されている紐と、を含む、
クロージャシステム。
【請求項16】
前記ノブがヘッドと軸を含む、
請求項15に記載のクロージャシステム。
【請求項17】
前記ノブの軸が、第1直径を規定する第1部分と第2直径を規定する第2部分とを含む、
請求項16に記載のクロージャシステム。
【請求項18】
前記ノブの前記軸が、その上に配置された環状ガスケットを含む、
請求項16に記載のクロージャシステム。
【請求項19】
前記ノブが、互いに相対的に回転するように構成された上部ディスクと下部ディスクとを有するヘッドを含む、
請求項15に記載のクロージャシステム。
【請求項20】
前記ノブは、前記履物を締めたり緩めたりするように前記トラック内で並進するように構成される、
請求項15に記載のクロージャシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、締め付けシステム又はクロージャシステムを有する履物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の多くの靴または他の履物は、一般に、アッパーと、アッパーの下端に取り付けられたソールとから構成されている。従来の靴はさらに、アッパーとソールの内面によって形成される内部空間、すなわち空洞またはキャビティを含み、靴を足に固定する前に使用者の足を受け入れる。ソールはアッパーの下面または境界に取り付けられ、アッパーと地面の間に位置する。その結果、ソールは通常、シューズを履いているときに安定性とクッション性をユーザーに提供する。ある実施態様では、ソールは、アウトソール、ミッドソール、トップ部分などの複数の構成要素を含むことがある。アウトソールはソールの底面にトラクション(引っ張り)を提供し、ミッドソールはアウトソールの内面に取り付けられ、ソールにクッション性または追加された安定性を提供する場合がある。例えば、ソールは、ソールに沿った1つまたは複数の所望の位置で安定性を高める可能性のある特定のフォーム材、または使用者が走ったり、歩いたり、別の活動に従事したりするときに足や脚にかかる応力や衝撃エネルギーを軽減する可能性のあるフォーム材を含む場合がある。ソールはまた、ソールの全体的な剛性を高め、使用中のエネルギー損失を低減するために、ソールに埋め込まれたプレートなどの追加部品を含むこともある。
【0003】
アッパーは一般にソールから上方に延び、足を完全にまたは部分的に包む内部空洞を画定する。多くの場合、アッパーは足の甲とつま先の領域、および内側と外側の側面を横切って伸びている。また、多くの履物には、アッパーの内側と外側の縁の間のギャップを埋めるように甲の部分を横切って延びるシュータンが含まれ、このシュータンが空洞への開口部を画定する。シュータンはまた、靴の締め付けを調節できるように、紐締めシステムの下方で、アッパーの内側と外側の間に配置されることもある。シュータンはさらに、内部空間または空洞から足を出し入れできるように、使用者が操作可能であってもよい。さらに、紐締めシステムは、ユーザーがアッパーやソールの特定の寸法を調整することを可能にし、それにより、アッパーが様々なサイズや形状を持つ多種多様な足のタイプに対応することを可能にする。
【0004】
多くのシューズのアッパーは、多種多様な素材から構成されることがあり、それらはアッパーを形成するために利用され、シューズの1つ以上の意図された用途に基づいて選択されることがある。アッパーはまた、アッパーの特定の領域に特化した様々な素材からなる部分を含むこともある。例えば、アッパーの前部や踵領域に隣接して、より高い抵抗力や剛性を提供するために、安定性を追加することが望ましい場合がある。これとは対照的に、靴の他の部分には、伸縮抵抗性、柔軟性、通気性、吸湿発散性などの特性を持たせるために、柔らかい織物を含めることができる。
【0005】
しかし、多くの場合、履き心地とフィット感が向上したアッパーを有する履物が、改良された閉鎖機構とともに望まれている。
【発明の概要】
【0006】
本明細書で説明する履物は、様々な構成を有してよい。履物は、アッパーと、アッパーに連結されたソール構造体とを有することができる。
【0007】
いくつかの態様において、履物用のクロージャシステム(閉鎖システム)は、履物のアッパーと動作可能に係合するように構成されたトラック、ノブ、および紐を含む。紐はノブに取り付けられ、ノブは履物を締めたり緩めたりするためにトラック内で動かせるように構成されている。
【0008】
いくつかの実施形態では、紐は、履物の巻線領域を画定する複数のガイドに動作可能に係合する。他の実施形態では、トラックは、第2端部よりも巻線領域の近くに位置する第1端部を有する。別の実施形態では、ノブがトラックの第2端部に位置するときに履物が締め付けられる。さらに他の実施形態では、ノブは、トラックによって画定されたチャネル内で並進および回転するように構成されている。さらに他の実施形態では、トラックは踵領域内でアッパーに沿って延びる。いくつかの実施形態では、トラックはアッパーとソールを横切って延びている。
【0009】
幾つかの態様において、履物用クロージャシステムは、第2端部と対向する第1端部を有するトラックを含み、係合壁が第1端部から第2端部まで延びている。クロージャシステムはまた、トラック内に受容されるように構成されたノブを含む。さらに、クロージャシステムは、ノブによって動作可能に(operably)受けられるように構成された紐も含み、紐は、トラックに形成された開口部を通って挿入され、ノブは、履物を締め付けるためにトラックの第1端部から第2端部まで動かされるように構成されている。
【0010】
いくつかの実施形態において、係合壁は、スロット、取付孔、およびスロートを規定する。他の実施形態では、取付孔はトラックの第2端部に隣接して配置される。さらに他の実施形態では、スロットは、第1端部と第2端部との間を直線的に延びている。異なる実施形態において、係合壁は、トラックの側壁の上端と下端との間に配置される。いくつかの実施形態では、係合壁は、第2端部に隣接して位置するピットを有するスロットを画定し、ピットはバンパーによってスロットから分離される。さらに他の実施形態では、係合壁は第2端部に複数のピットを画定する。
【0011】
いくつかの態様において、履物用クロージャシステムは、第1端部および第2端部を有するトラックを含み、係合壁が第1端部から第2端部まで延びている。また、クロージャシステムは、トラック内に受容されるように構成されたノブを含む。さらに、クロージャシステムは、ノブによって動作可能に受けられるように構成された紐を含み、紐は、トラック内に形成された開口部を通って挿入され、ノブは、履物を締め付けるためにトラック内で回転するように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、ノブはヘッドと軸とを含む。他の実施形態では、ノブの軸は、第1直径を規定する第1部分と、第2直径を規定する第2部分とを含む。さらに他の実施形態では、ノブの軸は、その上に配置された環状ガスケットを含む。さらに他の実施形態では、ノブは、互いに相対的に回転するように構成された上部ディスクと下部ディスクとを有するヘッドを含む。異なる実施形態では、ノブは、履物を締めたり緩めたりするためにトラック内で並進するように構成される。
【0013】
履物の特徴及び利点を含む履物の他の側面は、本明細書の図及び詳細な説明を検討すれば、当該技術分野における通常の知識を有する者に明らかになるであろう。従って、履物のそのような側面は全て、詳細な説明及び本要約に含まれることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の一実施形態による、アッパーとソール構造体を含む右靴として構成された履物の底面および内側面の透視図である。
図2図1の履物の上面図である。
図3】アッパーが取り外され、その上に使用者の足の骨格構造が重ねられた、図1の履物の上面図である。
図4】本開示の一実施形態によるクロージャシステムを有する履物の側面図の概略図である。
図5図4のクロージャシステムのトラックとノブの概略図であり、ノブは緩められた構成に配置されている。
図6図4のクロージャシステムのトラックとノブの概略図であり、ノブは締め付けられた構成に配置されている。
図7図6のノブの概略図である。
図8】履物用クロージャシステムのノブの別の実施形態の側面図の概略図である。
図9図8のノブのクロージャシステムのトラックの別の実施形態の上面図の概略図である。
図10】履物用クロージャシステムのノブのさらに別の実施形態の側面図の概略図である。
図11図10のノブのクロージャシステムのトラックの別の実施形態の上面図の概略図である。
図12】履物用クロージャシステムのノブのさらに別の実施形態の側面図の概略図である。
図13】履物用クロージャシステムのノブの別の実施形態の側面図の概略図である。
図14】履物用クロージャシステムのトラックの断面図の概略図である。
図15】履物用クロージャシステムのトラックのさらに別の実施形態の平面図の概略図である。
図16】履物用クロージャシステムのトラックのさらに別の実施形態の平面図の概略図である。
図17】履物用クロージャシステムのトラックのさらに別の実施形態の平面図の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の考察および添付の図には、シューズおよびソール構造体の様々な実施形態または構成が開示されている。シューズまたはソール構造体の実施形態は、ランニングシューズ、テニスシューズ、バスケットボールシューズなどのスポーツシューズを参照して開示されているが、シューズまたはソール構造体の実施形態に関連する概念は、例えば、クロストレーニングシューズ、フットボールシューズ、ゴルフシューズ、ハイキングシューズ、ハイキングブーツ、スキーおよびスノーボードブーツ、サッカーシューズおよびクリート、ウォーキングシューズ、トラッククリートなどの広範囲の履物および履物スタイルに適用することができる。シューズやソール構造体の概念は、ドレスシューズ、サンダル、ローファー、スリッパ、ヒールなど、非競技用とされる履物にも適用することができる。履物に加えて、本明細書に記載される特定の概念は、ヘルメット、パッドまたは保護パッド、すね当て、および手袋を含む、他のタイプのアパレルまたは他の運動用具に適用され、組み込まれることもある。さらに、本明細書に記載の特定の概念は、クッション、バックパックストラップ、ゴルフクラブ、または他の消費者製品もしくは工業製品に組み込むことができる。従って、本明細書に記載の概念は、様々な製品に利用することができる。
【0016】
本明細書で使用される「約」という用語は、例えば、本明細書の開示の実施形態を含み得る履物の成形品又は他の製造品に使用される典型的な測定及び製造手順を通じて、これらの手順における不注意な誤りを通じて、組成物又は混合物を製造するため又は方法を実施するために使用される成分の製造、供給源又は純度の相違を通じて等によって生じ得る数値量の変動を指す。本開示全体を通して、用語「略」および「約」は、その用語が先行する数値の±5%の値の範囲を指す。
【0017】
本開示は、アッパー及び/又はソール又はソール構造体などの、履物及び/又は履物の特定の構成要素に向けられている。アッパーは、編物、織布、及び/又は不織布から構成されてもよい。編物は、糸の編み立てにより、織布は糸の織り立てにより、不織布は一体の不織ウェブの製造により製造することができる。編まれた織物には、縦糸編み、横糸編み、平編み、丸編み、及び/又は他の適切な編み作業によって形成された織物が含まれる。編まれた織物は、例えば、プレーンニット構造、メッシュニット構造、及び/又はリブニット構造を有することができる。織物には、例えば、平織り、綾織り、サテン織り、ドビン織り、ジャカード織り、二重織り、及び/又は二重布織りなどの多数の織り形態のいずれかの方法によって形成されたテキスタイル(織物)が含まれるが、これらに限定されない。不織布には、例えば、エアレイド法及び/又はスパンレイド法によって作られたテキスタイルが含まれる。アッパーは、第1ヤーン(糸)、第2ヤーン、及び/又は第3のヤーンなどの様々な材料から構成されてもよく、これらは様々な特性または様々な視覚特性を有していてもよい。
【0018】
図1~3は、アッパー102とソール構造体104とを含む履物100の例示的な実施形態を示す。アッパー102はソール構造体104に取り付けられ、足が挿入され得る内部空洞106(図2および図3参照)を共に画定する。参考までに、履物100は、足先領域108、中足領域110、および踵領域112を画定する(図2および図3参照)。足先領域108は、一般に、つま先、母指球、及び中足骨とつま先又は指骨とを連結する関節を含む足の一部を包む履物100の部分に対応する。中足領域110は、足先領域108に近接して隣接し、一般に、足のアーチ(土踏まず)を包む履物100の部分と、足のブリッジとに対応する。踵領域112は、中足領域110に近接し隣接しており、一般的に、踵又は踵骨、足首、及び/又はアキレス腱を含む足の後方部分を包む履物100の部分に対応する。
【0019】
多くの従来の履物のアッパーは、複数の要素、例えば、織物、ポリマーフォーム、ポリマーシート、革、及び合成皮革から形成され、これらの要素は、縫い目における接着又は縫合によって接合される。いくつかの実施形態では、履物100のアッパー102は、ニット(編まれた)構造体又はニット部品(構成要素)から形成される。様々な実施形態において、ニット部品は、アッパーに異なる特性を提供し得る様々なタイプの糸を組み込むことができる。例えば、アッパー102のある領域は、第1特性のセットを付与する第1タイプの糸から形成され、アッパー102の別の領域は、第2特性のセットを付与する第2タイプの糸から形成されてもよい。この構成を用いると、アッパー102の異なる領域に対して特定の糸(ヤーン)を選択することにより、アッパー102の特性をアッパー102全体で変化させることができる。
【0020】
アッパー102を構成する材料(複数可)に関して、特定の種類の糸がニット部品の領域に与える特定の特性は、糸の様々なフィラメントおよび繊維を形成する材料に少なくとも部分的に依存する可能性がある。例えば、綿はニット素材にソフトな効果、生分解性、または自然な美観を与えることができる。エラスタンとストレッチ・ポリエステルはそれぞれ、ニット素材に所望の伸縮性と回復性を与える。レーヨンは高い光沢があり吸湿性のある素材を提供し、ウールは吸湿性を高めた素材を提供し、ナイロンは耐摩耗性のある耐久性のある素材を提供し、ポリエステルは疎水性があり、耐久性のある素材を提供することができる。
【0021】
ニット部品の特性に影響を与え、所望の特性を提供するために、ニット部品の他の側面を変化させることもできる。例えば、ニット部品を形成する糸は、モノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸を含むことができ、または糸は、各々が2つ以上の異なる材料で形成されるフィラメントを含むことができる。さらに、ニット部品は、ニット部品の領域に特定の特性を付与するために、特定の編みプロセスを使用して形成される場合がある。従って、糸を形成する材料と糸の他の側面の両方を選択して、アッパー102の特定の領域に様々な特性を付与することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、ニット構造体の弾性は、ニット構造体に横方向に力が加えられた後の、第1、非伸張状態におけるニット構造の幅または長さと、第2、伸張状態におけるニット構造体の幅または長さとの比較に基づいて測定され得る。さらなる実施形態において、アッパー102はまた、追加の構造要素を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、踵領域プレートまたはカバー(図示せず)を踵領域112に設けて、使用者の踵に付加的なサポートを提供することができる。いくつかの実施形態では、他の要素、例えば、プラスチック材料、ロゴ、商標なども、接着剤または熱成形プロセスを使用して外面に適用され、固定されてもよい。いくつかの実施形態では、アッパー102に関連する特性、例えば、ステッチタイプ、糸タイプ、または異なるステッチタイプもしくは糸タイプに関連する特性、例えば、弾性、美的外観、厚さ、通気性、または耐擦過性を変化させてもよい。
【0023】
再び図1を参照すると、ソール構造体104は、アッパー102に接続または固定され、履物100が使用者によって着用されるときに使用者の足と地面との間に延びる。ソール構造体104は、アウトソール、ミッドソール、踵領域、バンプ、及び/又はインソールを含み得る1つまたは複数の構成要素を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、ソール構造体は、使用者にトラクション(引っ張り)を提供するとともにソール構造体に構造的完全性を提供するアウトソール、クッションシステムを提供するミッドソール、および使用者のアーチを支持するインソールを含むことができる。さらに、インソールはストローベルボード、前足部ボード、ラスティングボードなど、またはそれらの組み合わせであってもよく、インソールはアッパー102とソール構造体104の間に設けられてもよく、インソールはアッパー102の一部として設けられてもよい。
【0024】
さらに、インソールは、アッパー102の内部空洞106内に配置することができ、履物100が着用されている間、使用者の足と直接接触することができる。さらに、アッパー102は、例えば、使用者の足とアッパー102、ソール104、インソールなどとの間の摩擦を低減することによって、及び/又は吸湿発散特性を提供することによって、快適性を高めることができるライナー(図示せず)を含むこともできる。ライナーは、内部空洞106の全体を覆ってもよいし、その一部だけを覆ってもよい。いくつかの実施形態では、ライナーをアッパー102に固定するため、及び/又は履物100に美的要素を提供するために、結合部(図示せず)が内部空洞106の開口部を囲むことがある。
【0025】
図2及び図3を参照すると、履物100は、外側面116及び内側面118も画定している。使用者が靴を履いているとき、外側面116は履物100の外側に面する部分に対応し、一方、内側面118は履物100の内側に面する部分に対応する。このように、履物100は、対向する外側面116と内側面118を有する。内側面118と外側面116は、図1の長手方向軸Lと共平面である履物100の長手方向中心面又は軸120に沿って互いに隣接している。本明細書で更に議論されるように、長手方向中央面又は軸120は、履物100の内側面118と外側面116との間の中央の中間軸を画定することができる。別の言い方をすれば、長手方向平面又は軸120は、履物100の後部の近位端122と履物100の前部の遠位端124の間に延び、履物100のインソール(中敷)126、ソール構造体104、及び/又はアッパー102の中間を連続的に画定してもよく、すなわち、長手方向平面又は軸120は、踵領域112の後部の近位端122を通って足先領域108の前部の遠位端124まで延びる直線軸である。
【0026】
別段の定めがない限り、また図2及び図3を参照しない限り、履物100は、足先領域108、中足領域110、及び踵領域112によって画定され得る。足先領域108は、一般に、足指又は指節130、母指球132、及び足128の中足骨136と足指又は指節130とを連結する関節134の1つ以上を含む足128の一部を包む履物100の部分に対応し得る。中足領域110は、足先領域108に近接して隣接している。中足領域110は、一般に、足128の甲とともに足128の土踏まずを包む履物100の部分に対応する。踵領域112は、中足領域110に近接しており、中足領域110に隣接している。踵領域112は、一般に、踵又は踵骨138、足首(図示せず)、及び/又はアキレス腱(図示せず)を含む、足128の後部を包む履物100の部分と対応している。
【0027】
なお、図2及び図3を参照すると、足先領域108、中足領域110、踵領域112、内側面118、及び外側面116は、履物100の境界又は領域を画定することを意図している。そのために、足先領域108、中足領域110、踵領域112、内側面118、及び外側面116は、一般的に履物100の部分を特徴付ける。本開示のある態様は、足先領域108、中足領域110、踵領域112、内側面118、及び/又は外側面116のうちの1つ以上と同範囲にある部分または要素を指す場合がある。さらに、アッパー102とソール構造体104の両方が、足先領域108、中足領域110、踵領域112内に、及び/又は内側面118及び/又は外側面116に沿った部分を有することを特徴としてもよい。したがって、アッパー102及びソール構造体104、並びに/又はアッパー102およびソール構造体104の個々の部分は、足先領域108、中足領域110、踵領域112内に配置される、及び/又は内側面118及び/又は外側面116に沿って配置される部分を含むことができる。
【0028】
なお、図2及び図3を参照すると、足先領域108、中足領域110、踵領域112、内側面118、及び外側面116が詳細に示されている。足先領域108は、つま先端部140から履物100の最も幅の広い部分142まで延びている。最も幅の広い部分142は、つま先端部140の遠位部分からつま先端部140の反対側にある踵端部146の遠位部分まで延びる長手方向軸120に対して垂直である第1の線144に沿って、画定または測定される。中足領域110は、最も広い部分142から履物100の最も細い部分148まで延びている。履物100の最も細い部分148は、長手方向軸120に対して垂直な第2の線150を横切って測定される履物100の最も細い部分として定義される。踵領域112は、最も薄い部分148から履物100の踵端部146まで延びている。
【0029】
前述の説明に照らして、当業者には多数の変更が明らかであり、その個々の構成要素は、多数の履物に組み込むことができることを理解すべきである。従って、履物100の側面及びその構成要素は、履物100の一般的な領域又は部分を参照して説明されることがあるが、本明細書で説明される足先領域108、中足領域110、踵領域112、内側面118、及び/又は外側面116の境界は、履物の成形品の間で異なる可能性があることを理解されたい。しかしながら、履物100の側面及びその個々の構成要素は、履物100の正確な領域又は部分を参照して説明することもでき、本明細書における添付の特許請求の範囲は、本明細書で説明する足先領域108、中足領域110、踵領域112、内側面118、及び/又は外側面116のこれらの境界に関連する制限を組み込むことができる。
【0030】
なお、図2および図3を参照すると、内側面118は、遠位、つま先端部140から始まり、足先領域108に沿って中足領域110に向かって履物100の内側に沿って外側に弓なりになっている。内側面118は、第1の線144に達し、その時点で内側面118は、中央の長手方向軸120に向かって、内側に弓なりに曲がっている。内側面118は、第1の線144、すなわち最も幅の広い部分142から、第2の線150、すなわち最も細い部分148に向かって延び、その時点で、内側面118は中足領域110に、すなわち第1の線144を横切った時点で、入り込む。第2の線150に達すると、内側面118は長手方向の中心軸120から離れるように外側に反り、その地点で内側面118は踵領域112に、すなわち第2の線150を横切ると伸びる。その後、内側面118は外側に反り、次に踵端部146に向かって内側に反り、内側面118が長手方向の中心軸120に接する点で終端する。
【0031】
外側面116はまた、遠位、つま先端部140から始まり、足先領域108に沿って中足領域110に向かって履物100の外側面に沿って外側に反っている。外側面116は、第1の線144に達し、その地点で、外側面116は、長手方向の中心軸120に向かって、内側に弓なりに曲がっている。外側面116は、第1の線144、すなわち最も幅の広い部分142から、第2の線150、すなわち最も細い部分148に向かって延び、その点で、外側面116は、中足領域110に、すなわち第1の線144を横切って入り込む。第2の線150に達すると、外側面116は長手方向の中心軸120から離れるように外側に反り、その点で外側面116は踵領域112に、すなわち第2の線150を横切る際に伸びる。その後、外側面116は外側に反り、次に踵端部146に向かって内側に反り、外側面116が長手方向の中心軸120に接する地点で終端する。
【0032】
さらに図2および図3を参照すると、アッパー102は、外側面116および内側面118に沿って、また足先領域108、中足領域110および踵領域112を横切って延び、使用者の足を収容し包む。完全に組み立てられたとき、アッパー102は内面162と外面164も含む。内面162は内側に向き、一般に内部空洞106を画定し、アッパー102の外面164は外側に向き、一般にアッパー102の外周または境界を画定する。アッパー102はまた、履物100の踵領域112に少なくとも部分的に位置する開口部166を含み、この開口部は内部空洞106へのアクセスを提供し、この開口部を通して足を出し入れすることができる。いくつかの実施形態では、アッパー102は、踵領域112の開口部166から足の甲に対応する領域にわたって足先領域108に近接する領域まで延びる甲領域168も含むことができる。甲領域168は、本実施形態のシュータン170が配置される領域と同様の領域を構成することができる。いくつかの実施形態では、アッパー102はシュータン170を含まず、すなわちアッパー102はシュータンなしである。
【0033】
図示の実施形態では、ソール構造体104はミッドソール172とアウトソール174とを含む。アウトソール174は、踵領域112、中足領域110、および足先領域108にわたって、ソール構造体104の底端または底面176を画定してもよい。さらに、アウトソール174は、ソール構造体104の地面係合部分であってもよいし、接地係合面を含んでもよく、そのインソールの反対側であってもよい。図1に示されるように、アウトソール174の底面176は、さまざまな形状および構成を含み得るトレッドパターン178を含み得る。アウトソール174は、耐久性、耐摩耗性、耐摩耗性、またはトラクションをソール構造体104に付与するために、1つまたは複数の材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、アウトソール174は、任意の種類のエラストマー材料、例えば、熱硬化性エラストマーまたは熱可塑性エラストマーを含むゴム、または熱可塑性材料、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)から形成され得る。いくつかの実施形態では、アウトソール174はショアA硬度を95まで規定することができる。さらに、アウトソール174は、射出成形、加硫、層ごとの印刷、すなわち付加製造システムまたは方法などを含むプロセスによって製造してもよい。
【0034】
さらに、図1を参照すると、ミッドソール172は、例えばポリウレタン(PU)などの熱可塑性材料、及び/又はエチレン-酢酸ビニル(EVA)、そのコポリマー、または同様のタイプの材料から個別に構成することができる。他の実施形態では、ミッドソール172は、EVA-ソリッド-スポンジ(「ESS」)材料、EVAフォーム(例えば、PUMA(登録商標) ProFoam LiteTM、IGNITEフォーム)、ポリウレタン、ポリエーテル、オレフィンブロックコポリマー、オルガノシート、熱可塑性材料(例えば、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリオレフィンなど)、または超臨界フォームであってもよい。ミッドソール172は、単一のポリマー材料であってもよいし、EVAコポリマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)コポリマー、及び/又はオレフィンブロックコポリマーなどの材料の混合物であってもよい。PEBA材料の一例は、PEBAX(登録商標)である。いくつかの実施形態では、ミッドソール172は、射出成形、加硫、層ごとの印刷、すなわち、付加製造システムまたは方法などを含むプロセスによって製造される。
【0035】
ミッドソール172が超臨界発泡プロセスから形成される実施形態では、超臨界発泡体は、オートクレーブ、射出成形装置、または超臨界流体(例えば、CO、N、またはそれらの混合物)と、好ましくは溶融している材料(例えば、TPU、EVA、PEBAX(登録商標)、またはそれらの混合物)との混合を処理できる十分に加熱/加圧された容器内で実行されるプロセスを使用して製造される、TPU、EVA、PEBAX(登録商標)、またはそれらの混合物などの微細孔発泡体または粒子発泡体から構成される場合がある。例示的なプロセスの間、超臨界流体および溶融材料の溶液は、加圧された容器内に送り込まれ、その後、容器内の圧力が解放され、超臨界流体の分子が急速に気体に変換して材料内に小さなポケットを形成し、材料が発泡体に膨張する。さらなる実施形態では、ミッドソール172は、膨張プレス、射出装置、ペレット膨張処理、冷間発泡処理、圧縮成形技術、型抜き、またはそれらの任意の組み合わせの使用を含む、当該技術分野で公知の代替方法を使用して形成することができる。例えば、ミッドソール172は、超臨界ガスを使用して材料を発泡させる初期発泡工程を含み、その後、特定の形状に圧縮成形または型抜きする工程を使用して形成してもよい。
【0036】
図4は、図1~3の履物100に類似する履物200の概略図を示している。従って、同様の要素を示すために同様の符号が使用される。図4に示されるように、履物200は、アッパー102及び/又はソール104を使用者の足の周りに締め付けたり緩めたりするための締め付けシステム又はクロージャシステム204を有する。図示の実施形態では、クロージャシステム204は、トラック208とノブ212とを含む。トラック208は、履物200の側面に配置され、アッパー102からソール104まで延びている。さらに、履物200は、アッパー102上の巻線領域216を含む。クロージャシステム204は、アッパー102の巻線領域216に配置された複数のガイド224またはアイに動作可能に係合される、例えば、縫うように通される紐220をさらに含む。いくつかの実施形態では、ガイド224は、紐220がアッパー102及び/又はソール104を使用者の足の周りに締めたり緩めたりするために縫うように通すことができるように、巻き付けパターン228に配置される。そのため、ガイド224は互いに間隔をあけて、外側116と内側118に配置されている。紐220は、アッパー102を横切るように外側面116から内側面118まで蛇行状に、すなわち巻きパターン228で延びており、紐220が締め付けられると、紐220がガイド224を互いに近づけるように引っ張り、それによってアッパー102及び/又はソール104を使用者の足の周りに締め付ける。同様に、紐220を緩めると、ガイド224が互いに相対的に広がって、アッパー102及び/又はソール104を使用者の足の周りに緩めることができる。紐220およびガイド224は、カバー(図示せず)によって、あるいは紐220とガイド224をアッパー102の層内に埋め込むことによって、見えないようにすることができる。さらに、ガイド224は、外側および内側の両側面116、118のソール104に結合するか、またはソール104に形成することができ、紐220を締めると、ガイド224が、外側面116および内側面118を互いに向かって、たとえば足に対して上方および内側に寄せることによって、ソール104を使用者の足に巻き付ける。ガイド224は、他の構成の中でも、踵領域112や足先領域108など、履物200の様々な領域に配置できることが企図されている。
【0037】
さらに、図4を参照すると、トラック208は、アッパー102上、かつ概して履物200の中足領域110内に位置する第1端部232を有し、一方、第2端部236は、ソール104上、かつ概して履物200の踵領域112内に位置する。このように、トラック208の第1端部232は、トラック208の第2端部236よりも巻線領域216の近くに位置する。図5および図6に目を向けると、トラック208には、紐220の一部が挿入される一対の開口部240が形成されており、トラック208には、紐220の一部が、例えば固定的または可動的に取り付けられるなどして動作可能に受容されるチャネル244が形成されている。さらに、チャネル244は、その中で摺動及び/又は回転運動のためにノブ212を受容する。図示の実施形態では、トラック208はアッパー102とソール104の両方に取り付けられており、アッパー102とソール104の両方に接着、糊付け、固定、またはその他の方法で結合されることによって取り付けられてもよい。
【0038】
図4に示されるように、チャネル244は、ノブ212がチャネル244内で第1端部232から第2端部236まで選択的に、例えば摺動によって移動できるように、トラック208の第1端部232から第2端部236まで延びている。従って、使用者が履物200を締めたいと望むとき、ノブ212は、トラック208のチャネル244内を摺動することによって、すなわちノブ212を巻線領域216から遠ざけることによって、第1端部232から第2端部236に移動させることができる。このようにして、より多くの紐220が開口部240を通ってチャネル244内に引き込まれ、その結果、紐220が巻線領域216内で締め付け力を発揮してガイド224をより近くに引き寄せ、したがって、アッパー102及び/又はソール104を使用者の足の周りに締め付ける。さらに、紐220はノブ212に結合され、ノブ212の回転によって紐220の一部がノブ212の一部に巻き付くようにするなど、さらなる締め付けと緩めの機能を提供する。使用者が履物200を緩めたいと望むとき、ノブ212は、トラック208のチャネル244を摺動することによって、すなわちノブ212を巻線領域216に向かって移動させることによって、第2端部236から第1端部232に移動させることができる。このようにすると、開口部240を通ってチャネル244に引き込まれる紐220がより少なくなり、その結果、紐220が巻線領域216内で弛緩してガイド224が広がり、その結果、アッパー102及び/又はソール104が使用者の足の周囲で緩む。
【0039】
図4の履物200には、アッパー102から延びるカラー248も描かれており、このカラー248は、使用者の足首の周りを広げるための布地/弾性材料で形成されてもよい。さらに、ソール104の内側面118は、足先領域108内にクッション要素252を含む。クッション要素252は、ソール104に形成された凹部を含み、足先領域108の曲げおよびねじりの柔軟性を高めることができる。たとえば、内側面118から外側面116に向かってソール104に延びる凹部は、トランポリンと同様の反力を与えることができ、衝撃時の減衰と衝撃後のバネのような反力を使用者に経験させる。クッション要素252は、ソール104の減衰特性及び/又は剛性特性を高めるために加圧されるブラダーとして構成されてもよいとさらに考えられる。いくつかの実施形態では、クッション要素252は、ソール104の衝撃緩和及び/又は剛性特性をさらに高めるために、流体、気体、または固体粒子、あるいはそれらの何らかの組み合わせで満たされている。
【0040】
次に図5を参照すると、図4のトラック208の概略図であるトラック208がより詳細に示されている。トラック208は、スロット256と、係合壁264に形成された取付孔260とを含む。図示された実施形態において、スロット256は、トラック208によって規定される並進軸Xと平行に、トラック208に沿って直線的に延びる。トラック208の側壁268は、チャネル244を取り囲み、取付孔260の反対側に位置する第1端部232と、取付孔260に隣接して位置する第2端部236とを含む。スロット256は、第1端部232から第2端部236まで少なくとも部分的に延びている。図示された実施形態では、トラック208は、互いに向かって内側に延びる一対の突起272の形態の保持特徴を有し、取付孔260とスロット256との間に狭められたスロート(喉部)276を画定し、スロート276は、取付孔260およびスロット256よりも狭い。図5に示されるように、スロート276および突起272は、第1端部232よりも第2端部236の近くに位置する。
【0041】
図示の実施形態では、ノブ212は、その外周に隆起部280と、ノブ212の使用者の握りを向上させるための曲面部材282とを備えている。図5の図示の実施形態では、ノブ212は第1端部232に配置されている。図4及び図6では、ノブ212は、取付孔260に保持される第2端部236に配置されている。これを達成するために、ノブ212は、明確にするために提供された想像上の中央矢印で示されるように、ノブ212が取付孔260内に固定されるまで、スロット256内のトラックの並進軸Xに沿って、突起272によって形成されたスロート276を通って並進する。そのために、紐220の一部は、トラック208の側壁268に形成された開口部240を通って、外側の矢印で示すように、チャネル244内に引き込まれる。開口部240は、好ましくは、第2端部236から等距離に位置し、第2端部236よりも第1端部232に近い。
【0042】
別の態様では、ノブ212は、紐220のさらなる調節のためにトラック208内で回転し、使用者の足の周りに履物200を締めたり緩めたりするように構成されている。図6および図7に示されるように、ノブ212は、ノブ212が時計回り方向または反時計回り方向のいずれかに回転する回転軸Rを規定する。いずれかの方向に回転すると、紐220はチャネル244内でノブ212の一部に巻き付き、それにより、紐220のより多くが開口部240を通ってトラック208のチャネル244内に引き込まれ、従って、ガイド224により大きな締め付け力を及ぼして、履物200を使用者の足の周りに締め付ける。このようにして、ノブ212とトラック208は、履物200を使用者の足の周りに締め付けたり緩めたりする複数の手段を提供するように構成されている。特に、ノブ212およびトラック208は、スライドのように、履物200を締めたり緩めたりするための粗い調整、すなわち大きな増分を可能にし、回転のように、履物200を締めたり緩めたりするための微調整、すなわち小さな増分を可能にする。
【0043】
図8は、図4~7のノブ212に類似したノブ284の概略図を示している。ノブ284は、その上面296から外側に延びるフィン292を有するヘッド288を含む。図示の実施形態では、フィン292及び上面296は湾曲しているが、他の構成も可能である。さらに、ヘッド288は、使用者がノブ284のヘッド288を把持するのを補助するために、その外周に放射状に間隔をあけて設けられた隆起部300をさらに含む。ヘッド288は上部ランプ(傾斜路)308によってスプール304に接続されている。図8に示されるように、上部ランプ308は、ヘッド288からスプール304まで延びる錐面として描かれているが、上部ランプ308は異なるサイズおよび形状であってもよい。さらに、下部ランプ312がスプール(糸巻き)304をフランジ316に接続し、下部ランプ312も上部ランプ308と同様の円錐台の表面であるが、それに対して反転した向きで配置されている。また、スプール304は回転軸Rに対して横方向に延びる通路320を含み、紐220の一部がノブ284に取り付けられるように、通路320に通すことができるようになっている。スプール304に通路320があるため、ノブが回転軸Rを中心に回転すると、紐220の一部がスプール304に巻き付くようになっている。
【0044】
さらに図8を参照すると、フランジ316は、スプール304、およびそれに巻き付けられた紐220の任意の部分を、段付き軸324から分離する環状の円板状の部品である。軸段付き軸324は、フランジ316からスプール304とは反対側に延び、回転軸Rに対してヘッド288、スプール304、およびフランジ316と同心に延びている。軸段付き軸324は、フランジ316と軸段付き軸324の第2部分332との間に延びる第1部分328を含み、第2部分332は、第1部分328とノブ212のベース336との間に延びている。段付き軸324の第1部分328は第1直径D1を規定し、軸段付き軸324の第2部分は第2直径D2を規定し、ベース336は第3の直径D3を規定する。第1直径D1は、第2直径D2および第3の直径D3の両方よりも小さい。図8に示されるように、第2直径D2は、第3の直径D3よりも小さく、第1直径D1よりも大きい。後述するように、軸段付き軸324は、図9に描かれているように、ノブ284がトラック344内を摺動できるように構成されている。図8に戻って参照すると、段付き軸324の第2部分332は、他の構成も可能であるが、滑らかな外面を有する概ね円筒形の軸として提供される。さらに、タブ340がベース336からフランジ316に向かって、すなわちベース336から垂直に上方に延びている。図示の実施形態では1つのタブ340が描かれているが、複数のタブ340がベース336上に配置されてもよいことが企図される。段付き軸324とベース336のタブ340は、ノブ284のロック機能として協働することが理解されよう。
【0045】
図8および図9を参照すると、ノブ284およびトラック344は一緒に、履物200用のクロージャシステムの別の実施形態を構成している。図示の実施形態では、図4図7のトラック208に類似するトラック344は、図8のノブ284に対応するように構成された取付孔260、スロート276、およびスロット256を含む。そのために、取付孔260およびスロット256は、第2直径D2に対応する寸法を画定し、スロート276は、第1直径D1に対応する寸法を画定する。このように、ノブ284がロックされた構成でトラック344に係合されるとき、すなわち、ノブ284がトラック344の第2端部236で取付孔260内に受容されるとき、ノブ284は、段付き軸324の第2部分332を取付孔260内に嵌め込むことによって取付孔260内に回転可能に固定されるように構成される。これは、ベース336がトラック344に接触するまで、使用者がノブ284をトラック344から離れる方向に持ち上げることによって達成できる。さらに、ノブ284が回転軸Rを中心に回転し、紐220がスプール304に巻き付けられ、タブ340を取付孔260の近傍でトラック344の係合壁264を貫通して形成された開口部348に嵌め込んで所定位置にロックすることにより、スプール304からの紐220の巻き戻しを防止することができる。さらに、タブ340は、ベース336をトラック344に結合するために、締りばめを介して開口部348内に収まるように構成されている。使用者がノブ284を回転させたいときには、ノブ284のヘッド288に下向きの押圧力を加えて、タブ340を開口部348から外すことができる。取付孔260と段付き軸324の第2部分332は同じ直径D2を有するので、取付孔260内での第2部分332の回転と垂直移動は、第2部分332とトラック344の係合壁264との間の摩擦によって抵抗される。他の実施形態では、取付孔内での第2部分332の回転および垂直方向の並進は、第2部分332と係合壁264との間の摩擦抵抗によって影響されないか、または実質的に影響されない。むしろ、紐220からノブ284の一部を引っ張る引張力が、使用者の介入なしにノブ284の実質的な垂直方向及び/又は回転変位を防止することが判明している。
【0046】
さらに、図8および図9を参照すると、トラック344は、トラック208と同様に、第1端部232と第2端部236との間に概ね直線状に延びるスロット256を有する。従って、ノブ284を第2端部236から第1端部232に移動させ、それによって履物200を緩めるために、使用者はノブ284のヘッド288を押し下げて、第2部分332を取付孔260内の係合から外れるように移動させ、段付き軸324の第1部分328が取付孔260内に配置され、フランジ316がトラック344の係合壁264に寄りかかるようにすることができる。第1部分328の第1直径D1は、第2部分332の第2直径D2よりも小さく、また取付孔260の直径D2よりも小さいので、段付き軸324の第1部分328は、取付孔260内で自由に動く。さらに、締め付けられた構成、すなわち、ノブ284がトラック344の第2端部236に位置するところにおいて、紐220によってノブ284に加えられる張力により、第1部分328は、トラック344のスロート(喉部)276に向かって引っ張られ得る。また、使用者がノブ284のヘッド288を押し下げ、また、紐220によって加えられる引張力の補助の有無にかかわらず、ノブ284をトラック344のスロート276に向かって手動で押すことができることも企図される。すると、第1直径D1がスロート276の寸法に相当するため、第1部分328は、トラック344のスロート276を通ってスロット256内に移動するように構成される。第1部分328がスロット256内に位置すると、使用者はノブ284を第1端部232に向かって動かして紐220の張力を完全に緩和し、巻線領域216におけるガイド224の締め付け力をなくし、使用者の足の出し入れのために履物200を弛緩させる、すなわち緩めることができる。
【0047】
使用者は、第1部分328を、スロット256を通してスロート276までスライドさせることにより、ノブ284を第2端部236に向かって選択的に移動、例えばスライドさせて戻すことができる。次に、ノブ284を引いたり押したりして、段付き軸324の第1部分328を、スロート276を通して取付孔260内に移動させる。次に、使用者はノブ284のヘッド288を上方に引いて、第1部分328を取付孔260から持ち上げ、第2部分332をトラック344の係合壁264と係合するために取付孔260内の所定の位置に持ってくる。その際、ノブ284は半ロック構成に移動される。この半ロック構成では、ノブ284が巻線領域216から離れる、すなわちトラック344の第2端部に向かって移動することにより、紐220によって巻線領域216のガイド224に伝達される張力または引っ張り力によって、履物200が使用者の足の周りに実質的に締め付けられる。このように、半ロック構成では、ノブ284は、少なくとも部分的に、スロート276の突起272と段付き軸324の第2部分332の第2直径D2との間の係合によって、トラック344に沿った並進から取付孔260内に固定される。さらにノブ284をロック構成に移動させるために、使用者は、回転軸Rを中心にノブ284を回転させるなどして、ノブ284上のベース336のタブ340をトラック344の係合壁264上の開口部348の1つと位置合わせする。これには、上部ランプ(傾斜路)308および下部ランプ(傾斜路)312によって指示されるスプール304の周りに紐220の一部を巻き付けることも含まれ、その結果、履物200に加えられる張力に対する微調整が行われる。このようにして、ノブ284およびトラック344は、回転および並進によって動作し、履物200を選択的に締めたり緩めたりするように構成される。
【0048】
図10および図11は、ノブ354およびトラック356の代替実施形態を描いており、これらは一緒になって、図8および図9に関連して説明したシステムに類似するクロージャシステムのさらに別の実施形態を構成している。このように、同様の符号が、同様の構造を示すために使用される。図10に示されるように、ノブ354は、図8のノブと実質的に同じ構造を有するが、スプール304は、ヘッド288と、ベース336とフランジ316との間で軸360の周囲に嵌め込まれ、軸360に結合された環状ガスケット364を有する軸360との間に接続されている。特に、環状ガスケット364は、トラック356の係合壁264によって圧縮されるように構成されている。そのため、環状ガスケット364は、他の適切な材料の中でも、ゴムまたはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または熱可塑性エラストマーなどのエラストマ材料または可撓性材料で作られている。環状ガスケット364は、第2直径D2のような取付孔260の寸法に等しい外径を規定する。このようにして、環状ガスケット364は、トラック356の第2端部236において取付孔260内に位置決めされたときにトラック356の係合壁264と係合するように構成され、それにより、トラック356内での外れ又は並進に抵抗するためのノブ354のロック特徴として作用する。さらに、環状ガスケット364は、履物200の締め付け力をより細かく調節するために、使用者が望むように、紐220の一部がスプール304に巻き付くのを可能にするように、取付孔260内で十分に回転させることができる。同時に、エラストマー特性により、環状ガスケット364とトラック356の係合壁264との間の摩擦抵抗は、使用者によって解放されたときにノブ354を回転に対して保持または固定するのに十分なように調整されている。加えて、環状ガスケット364のエラストマー特性により、軸360がスロット256内に位置決めされるまで、軸360は、環状ガスケット364を圧縮しながら、トラック356のスロート276を通って押され又は並進することができ、環状ガスケット364は、その後、元の形状に戻る、すなわち、減圧することができる。このようにして、ノブ354は、図8のノブ284と同じ機能を提供するが、高さ、すなわちヘッド288からベース336までの距離が短い。
【0049】
図12は、上部ディスク384と下部ディスク388とを有する改良ヘッド380の形態のロック機能を含むノブ376の別の実施形態を示す。ヘッド380の上部ディスク384は、複数の角度のついた歯396が半径方向に対称に延びる底面392を含む。シャフト400が上部ディスク384の底面392に接続され、回転軸Rがそこを通過する。さらに、ヘッド380の下部ディスク388は、複数の反対の角度のついた歯408が半径方向に対称に延びる上面404を含む。角度の付いた歯396は、反対の角度の付いた歯408と係合するように、例えば、かみ合うように構成され、上部ディスク384を下部ディスク388に固定し、上部ディスク384及び/又は下部ディスク388の互いに対する回転が、一緒に固定されたときに防止されるようになっている。さらに、通路412が上部ディスク384内に配置され、その回転により紐220の大体が上部ディスク384に巻き付くようになっている。紐220の一部が、シャフト400を取り囲む環状空間416内で上部ディスク384と下部ディスク388との間でシャフト400の周囲に巻かれ得ることが企図され、これはさらに、紐220の弾力性のある可撓性材料によって、角度の付いた歯396と反対の角度の付いた歯408との間及び/又はその間の圧縮を可能にする。
【0050】
さらに、図10のノブ354と同様に、ノブ376は、ベース428と下部ディスク388との間の軸420の周囲に配置され、軸420に結合された環状ガスケット424を有する軸420を有する。いくつかの実施形態では、上部ディスク384は、使用者の握りを向上させるための細長いフィン438を含む。いくつかの実施形態では、上部ディスク384はシャフト400に回転可能に取り付けられるように構成される一方、下部ディスク388はシャフト400に固定的に取り付けられるように構成される。例えば、シャフト400は、上部ディスク384の底面392にねじ込まれ、上部ディスク384をシャフト400から部分的に外すと、上部ディスク384が下部ディスク388から離れ、角度の付いた歯396と反対の角度のついた歯408とが係合しなくなるようにすることができる。いくつかの実施形態において、上部ディスク384は、シャフト400に固定的に取り付けられるように構成され、上部ディスク384とシャフト400の両方は、下部ディスク388に対して回転するように構成される。例えば、シャフト400は、軸420内に同心円状に配置され、ナット436によってベース428に固定され、シャフト400が軸420およびベース428に対して相対的に回転できるようになっている。さらに、シャフト400は、上部ディスク384が下部ディスク388から離れるように持ち上げられるとナット436がベース428に接触するように、ベース428および軸420に対して垂直方向の移動を可能にする寸法、例えば、高さを有する。次いで、上部ディスク384が下部ディスク388に向かって下げられると、ナット436はベース428から離間する。ノブ376は、それぞれ図9および図11のトラック344、356の係合壁264と共に使用され、履物200用のクロージャシステムの別の実施形態を構成することができる。
【0051】
図13は、図10のノブ354に最も類似しているが、スプール304と軸360がヘッド288に対して再配置されているノブ440のさらに別の実施形態を示している。図13に示されるように、環状ガスケット364がその上に配置された軸(アクスル)360は、フランジ316とヘッド288との間に延び、スプール304は、軸360の下方で、フランジ316とベース336との間に延びている。このようにして、図13のノブ440は、通路320を通したときに、紐220をスプール304の周囲でフランジ316と軸360の下方にガイドするように構成されている。ノブ354は、図9および図11のトラック344、354の係合壁264とそれぞれ使用して、履物200用のクロージャシステムのさらに別の実施形態を構成してもよい。
【0052】
図14を参照すると、トラック452の実施形態の断面図の概略図が、上端464で外側に延びるリップ460を含む側壁456を示している。側壁456は、上端464から下端472の底壁468まで延びている。さらに、係合壁476が、底壁468から距離をおいて側壁456から内側に延び、下端472よりも上端464に近い。その結果、係合壁476は、トラック452内で、底壁468と係合壁476との間にチャンバー480を形成する。係合壁476は、トラック344のスロット256、取付孔260、およびスロート276を形成することが理解されよう。ノブ440がトラック452と共に使用されるとき、ノブ440のスプール304がチャンバー480内に配置され得ることが企図される。従って、紐220は、係合壁476によって隠され、従って、視界から隠され、履物200を取り囲む環境から保護されながら、チャンバー480内でスプール(糸巻き)304に巻き付けることができる。
【0053】
図15において、トラック484の別の実施形態は、ピット500に向かって斜めに延びる傾斜部496を有する直線状スロット492を画定する係合壁488を含む。スロット492は、トラック484の第1端部232から第2端部236に向かって延びており、傾斜部496およびピット500は、トラック484の第2端部236に、または隣接して、すなわち、履物200に取り付けたときに巻線領域216から離れた位置に配置されている。上述したノブ212、284、354、376、440のいずれもが、スロット492内を移動し、傾斜部496を通ってピット500内に据えられることが理解されよう。ピット500は、トラック484の第2端部236に位置し、スロット492からオフセットされ、バンパー504によってスロット492から分離されているため、ノブ212、284、354、376、440のいずれもが、紐220によってノブ212、284、354、376、440に加えられる張力または締め付け力の補助を受けて、ピット500内の所定の位置に保持されたままである。トラック484は、ノブ212、284、354、376、440のいずれかと一緒に使用して、履物200のクロージャシステムを構成することができる。
【0054】
図16は、一列に連続して配置された複数のピット516a、516b、516cを備える点を除き、図14のトラックと同様のトラック512の別の実施形態を描いている。図示の実施形態では、傾斜部496は、第1バンパー520aによって部分的に画定される最も内側のまたは第1ピット516aに隣接している。中央または第2ピット516bは、最も内側のピット516aに隣接し、第1バンパー520aに対向するように、第2バンパー520bによって最も内側のピット516aから分離される。最も外側のピットまたは第3のピット516cは、中央のピット516bに隣接し、第2バンパー520bに対向するように、第3のバンパー520cによって中央のピット516bから分離される。このようにして、使用者は、ノブ212、284、354、376、440のいずれかを、紐220によってノブ212、284、354、376、440に加えられる引張り力または締め付け力による補助によって所定の位置に保持された状態で、ピット516a、516b、516cのいずれかに確実に係合したり、係合から外れるように動かすことができる。さらに、中央のピット516bは、最も内側のピット516aよりも巻線領域216から漸増的に大きい距離に配置され、最も外側のピット516cは、中央のピット516bおよび最も内側のピット516aよりも巻線領域216から漸増的に大きい距離に配置されているため、使用者は、ピット516a、516b、516cのいずれかにノブ212、284、354、376、440を配置することによって、紐220によって履物200に加えられる張力または締め付け力を選択的に調節することができる。トラック512は、ノブ212、284、354、376、440のいずれかと一緒に使用して、履物200のクロージャシステムを構成することができる。
【0055】
図17は、第1端部232から第2端部236まで延び、そこに沿って間隔を置いて配置された複数のコラル(囲い)536a、536b、536c、536dを含む直線状レースウェイ532を画定する係合壁528を有するトラック524のさらに別の実施形態を描いている。コラル536a、536b、536c、536dの各々は、他の構成も可能であるが、180度回転したL字形部材の形態の細いバー540によって少なくとも部分的に画定される。各バー540は、係合壁528から延び、それぞれのコラル536a、536b、536c、536dをレースウェイ532から部分的に分離する。第1コラル536aは第1端部232の近くに位置し、第4コラル536dは第2端部236の近くに位置し、一方、第2および第3コラル536b、536cは、図17に示されるように、その間に順次間隔をあけて配置される。ノブ212、284、354、376、440のいずれかをレースウェイ532に沿って移動させ、コラル536a、536b、536c、536dのいずれかに入れて、履物200に対する張力または締め付け力の量を調整できることが理解されよう。コラル536a、536b、536c、536dは、第1端部232と第2端部236との間に間隔を隔ててレースウェイ532に沿って配置されているので、トラック524は、履物200に対する引張り力の広い調整範囲を提供する。トラック524は、ノブ212、284、354、376、440のいずれかと一緒に使用して、履物200のクロージャシステムを構成することができる。
【0056】
米国特許第5,325,613号、米国特許第5,600,875号、米国特許第5,638,588号、米国特許第5,651,191号、米国特許第5,651,198号、米国特許第5,669,116号は、すべてプーマ エスイーに共通に譲渡されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ノブ212、284、354、376、440は、紐220とともに使用され、本開示の履物200に取り付けられたときに、さらなる締め付け機能を提供するために、ヘッドの代わりに、またはヘッドに加えて、閉鎖機構を含むように変更され得ることが企図される。
【0057】
ノブ212、284、354、376、440およびトラック208、344、356、452、484、512、524は、熱可塑性材料、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)で作られてもよいが、他の適切な材料が使用されてもよいことが理解されよう。幾つかの実施形態において、トラック208、344、356、452、484、512、524は、各々、単一部品として、または代替的に、一緒に溶接、融合、接着、もしくは固定された個別部品として製造される。いくつかの実施形態では、トラック208、344、356、452、484、512、524のいずれかは、接着剤、ファスナー、例えば、縫い付けまたはリベット、溶接、融着、またはその他の方法でアッパー102およびソール104の一方または両方に適切に取り付けることによって、履物200に結合され得る。
【0058】
他の実施形態では、他の構成が可能である。例えば、上述の議論において特定の実施形態に関して提示された特定の特徴および特徴の組み合わせは、他の実施形態および他の組み合わせにおいて、適宜利用することができる。さらに、本明細書に記載される実施形態のいずれかは、他の実施形態に関連して開示される構造または方法論のいずれかを含むように変更され得る。さらに、本開示は、具体的に示されたタイプの履物の物品に限定されない。さらに、本明細書に開示される実施形態のいずれかの履物の物品の態様は、任意のタイプの履物、アパレル、または他の運動用具と協働するように変更され得る。
【0059】
前述したように、本発明を特定の実施形態および実施例に関連して上述したが、本発明は必ずしもそのように限定されるものではなく、多数の他の実施形態、実施例、使用、変更、および実施形態、実施例および使用からの逸脱が、本明細書に添付された特許請求の範囲によって包含されることが意図されることが、当業者には理解されるであろう。本明細書において引用される各特許および刊行物の開示全体は、あたかもそのような各特許または刊行物が参照により個別に本明細書に組み込まれるかのように、参照により組み込まれる。本発明の様々な特徴および利点は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に対する多数の変更は、前述の説明を考慮すれば当業者には明らかであろう。従って、本明細書は例示的なものとしてのみ解釈されるべきであり、当業者が本発明を製造および使用できるようにする目的で提示されたものである。添付の特許請求の範囲に含まれるすべての変更に対する排他的権利は留保される。
【0061】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2021年12月21日に出願された米国仮出願第63/292,280号の利益および優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2023-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物のクロージャシステムであって、
トラックと、
ノブと、
前記履物のアッパーに動作可能に係合するように構成された紐と、を含み、
前記紐は、前記ノブに取り付けられ、前記ノブが前記履物を締めたり緩めたりするためにトラック内で並進および回転によって移動するように構成され、
前記ノブが、直線軸Xに沿って並進可能であり、直線軸Xと交差する回転軸Rを中心に回転可能である、
クロージャシステム。
【請求項2】
前記紐が、前記履物の巻線領域を画定する複数のガイドに動作可能に係合する、
請求項1に記載のクロージャシステム。
【請求項3】
前記トラックは、踵領域内で前記アッパーに沿って延びている、
請求項1に記載のクロージャシステム。
【請求項4】
前記トラックが、前記履物の前記アッパーとソールを横切って延びている、
請求項1に記載のクロージャシステム。
【請求項5】
前記トラックが、第2端部よりも巻線領域に近い位置にある第1端部を有する、
請求項2に記載のクロージャシステム。
【請求項6】
前記ノブは、前記トラックによって画定されたチャネル内で並進及び回転するように構成されている、
請求項2に記載のクロージャシステム。
【請求項7】
前記ノブが前記トラックの前記第2端部に位置するとき、前記履物が締め付けられる、
請求項5記載のクロージャシステム。
【請求項8】
履物のクロージャシステムであって、
第2端部に対向する第1端部を有するトラックであって、係合壁が第1端部から第2端部まで延びているトラックと、
前記トラック内で受けられるように構成されたノブと、
前記ノブによって動作可能に受け入れられるように構成された紐と、を含み、
前記紐は、前記トラックに形成された開口部を通って挿入され、
前記ノブは、前記履物を締め付けるために前記トラックの第1端部から前記第2端部まで動かされるように構成され、
前記トラックは、前記トラックに沿って直線的に延びるスロットと、前記スロットからオフセットされた少なくとも1つのピットを含み、
前記ピットはノブを受け入れるように構成される、
クロージャシステム。
【請求項9】
前記係合壁が、前記スロット、取付孔、およびスロートを画定する、
請求項8に記載のクロージャシステム。
【請求項10】
前記取付孔が、前記トラックの第2端部に隣接して配置されている、
請求項9に記載のクロージャシステム。
【請求項11】
前記スロットは、前記第1端部と前記第2端部との間を直線的に延びている、
請求項9に記載のクロージャシステム。
【請求項12】
前記係合壁が前記トラックの側壁の上端と下端との間に配置されている、
請求項9に記載のクロージャシステム。
【請求項13】
前記係合壁が、第2端部に隣接して位置する前記ピットを有する前記スロットを画定し、前記ピットがバンパーによって前記スロットから分離される、
請求項8に記載のクロージャシステム。
【請求項14】
前記係合壁が第2端部に複数のピットを含むように前記ピットを画定する、
請求項13に記載のクロージャシステム。
【請求項15】
履物のクロージャシステムであって、
第1端部と第2端部を有するトラックであって、係合壁が前記第1端部から前記第2端部まで延びているトラックと、
前記トラック内で受けられるように構成されたノブと、
前記ノブによって動作可能に受けられるように構成された紐であって、前記紐は、前記トラックに形成された開口部を通って挿入され、前記ノブは、前記トラック内で回転して並進する前記履物を締め付けるように構成されている紐と、を含む、
クロージャシステム。
【請求項16】
前記ノブがヘッドと軸を含む、
請求項15に記載のクロージャシステム。
【請求項17】
前記ノブの軸が、第1直径を規定する第1部分と第2直径を規定する第2部分とを含む、
請求項16に記載のクロージャシステム。
【請求項18】
前記ノブの前記軸が、その上に配置された環状ガスケットを含む、
請求項16に記載のクロージャシステム。
【請求項19】
前記ノブが、互いに相対的に回転するように構成された上部ディスクと下部ディスクとを有するヘッドを含む、
請求項15に記載のクロージャシステム。
【国際調査報告】