(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-09
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッドおよび設計の最適化
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20241202BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20241202BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B102:32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535192
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 US2022052599
(87)【国際公開番号】W WO2023107750
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524221639
【氏名又は名称】ミラー、ジェームズ
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、ジェームズ
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA02
2C002CH01
2C002CH02
2C002CH03
2C002CH05
(57)【要約】
【要約】
【解決手段】
【選択図】
図1
ゴルフクラブ用のクラブヘッドが提供される。前記クラブヘッドは、最適化された設計から付加製造プロセスによって製造された場合に、前記クラブヘッドが初期のオブジェクト設計から製造された前記クラブヘッドの形態と実質的に同じ機能を果たすようにトポロジー最適化されている。前記最適化は、AMプロセスによって製造される、対応するクラブヘッドが満たさなければならない設計要件によって制約されてもよい。ゴルフクラブヘッドの設計をトポロジー最適化するシステムは、反復最適化プロセスを適用してクラブヘッドの初期設計を最適化された設計に変換するデバイスロジックを含む。前記設計要件は、メモリに格納されうる、またはインターフェースを介して提供される入力データから生成されうる1若しくはそれ以上の入力ベクトルによって表されてもよい。プロセッサは、最適化された設計を格納してもよく、および/または、最適化された設計を付加製造デバイスなどの他のシステムにエクスポートしてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、本体であって、当該本体の初期設計に対して、前記初期設計と実質的に同様に機能し且つ入力制約のセットを満たすようにトポロジー最適化されている、前記本体を有する、ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、格子構造設計の最適化を用いて、前記本体の前記初期設計における個体構造を格子構造に置き替えるものである、ゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
請求項2に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記格子構造は、前記本体の境界を定義するフレームによって制約される適合格子である、ゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
請求項1に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記本体はリンク部材の配置を有するものであり、前記リンク部材は、製造材料を含み、前記本体内の対応するノードで互いに交差するものである、ゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
請求項4に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記製造材料は、付加製造プロセスによって分散させることができる金属または金属複合材料を有するものである、ゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
請求項4に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記リンク部材は、長さ、厚み、角度、及び曲率が変化するものである、ゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
請求項4に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記リンク部材は、前記本体の外面を定義する複数のフレーム部材を含むものである、ゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
請求項7に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記リンク部材は、さらに、前記複数のフレーム部材のうちの2つのフレーム部材間にそれぞれ延びて前記ゴルフクラブヘッドに構造支持を提供する1若しくはそれ以上の支柱を含むものである、ゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
請求項4に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記リンク部材は、シャフトが挿入される場合に前記ゴルフクラブヘッド302のシャフト取付部に接続するシャフト支持部材を含むものである、ゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
請求項9に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記シャフト支持部材は、前記シャフトが挿入される所から始まり、前記ゴルフクラブヘッドの背面に巻き付き、前記本体の外側に向かって前方に延びるフック状の形状を有して、前記ゴルフクラブヘッドのフェースを支持する他のリンク部材からの調整可能な分離を提供するものである、ゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
請求項4に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記リンク部材は前記ゴルフクラブヘッドのフェースの「スイートスポット」またはその付近で支持を提供するように配置されるフェース支持部材を含むものである、ゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
請求項11に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記フェース支持部材は前記フェースから前記クラブヘッドのトゥへと軸方向に後方へ延びている、ゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
請求項4に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記リンク部材の1若しくはそれ以上は、調整可能な張力下に配置されてもよく、前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、前記1若しくはそれ以上のリンク部材に機械的に接続されて前記張力の大きさを変更する調整機構を有するものである、ゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
請求項13に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記調整機構は、チューニングキーを受ける1若しくはそれ以上のチューニングポートを有するものであり、前記チューニングキーを回すと、前記ゴルフクラブヘッドの1若しくはそれ以上の構成要素にかかる様々な力が調整されるものである、ゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
請求項4に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記本体は、さらに、前記本体内のリンク部材間にある空スペースによって定義される1若しくはそれ以上のボイドを有するものである、ゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
請求項15に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記1若しくはそれ以上のボイドは、前記本体の周囲を1若しくはそれ以上の点で貫通するものである、前記ゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
請求項15に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記1若しくはそれ以上のボイドの1若しくはそれ以上は、スイング中に空気が前記ボイド内を通り若しくは通過することでプレーヤーへのフィードバックとして機能する特定のピッチの可聴音を生成するように構成されている、ゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
請求項4に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、さらに、ボールが当たる面を含むフェースを有するものであり、前記フェースは前記本体と一体的になっている、ゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
請求項18に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記フェースは1若しくはそれ以上の前記リンク部材を有するものである、ゴルフクラブヘッド。
【請求項20】
請求項4に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、さらに、ボールが当たる面を含むフェースを有するものであり、前記フェースは、前記リンク部材の製造後に前記本体に取り付けられるものである、ゴルフクラブヘッド。
【請求項21】
請求項20に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記リンク部材は、前記フェースを前記本体に取り付けるための実質的に平面状の取付面を有するフェース支持部材を含むものである、ゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年12月11日に同題名で出願された米国仮特許出願第63/288,576号の優先権の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ゴルフクラブに関し、特に、付加製造プロセス向けに最適化されたゴルフクラブヘッドの設計に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、ゴルフクラブは、クラブの種類ならびにプレーヤーの身体的特性およびプレースタイルに応じた外観、振り子特性、および性能に設計される。ゴルフクラブは、特定の設計目標を達成するために、特定の材料により特定の仕様に製作される。また、競技ゴルフを管理する標準設定組織が設計仕様を制約する規則を定めている。時が経つにつれて、ゴルフクラブは、単純な打撃器具から、高性能材料からの構築や、クラブヘッドの複雑な輪郭、およびクラブ設計を顧客に合わせる正確なカスタマイズを表す高度エンジニアリングデバイスへと進化してきた。
【0004】
付加製造(additive manufacturing:AM)プロセスは、材料の付加を通じて部品を製造するプロセスである。具体的には、AMデバイスは、「構築方向」に(例えば、オブジェクトの下部から上部へ)材料の層に層を付加することで3次元オブジェクトを製造する。AMへの関心の高まりは、金属部品を含む非常に複雑な部品を比較的容易に製造できることに起因する。これにより、AMプロセスのために設計を最適化し、したがって、元の部品より複雑であっても材料の使用または無駄を少なくし且つより軽量でより設置面積等が小さくも同機能を果たす部品を製造するために、部品の計算モデル化が行われるようになった。いくつかの場合、設計を最適化することで、強度の向上、空気力学の向上、チューニング、カスタマイズ、または性能を変えたり市場において製品を差別化したりできるその他の特徴も提供しうる。
【0005】
一例において、トポロジー最適化(tolopogy optimization:TO)は、軽量で高性能な構造を設計する計算方法の種類を表す。数年にわたる集中的な研究の後、それは強力な設計ツールとして現われ、航空機部品、宇宙船モジュール、自動車部品、鋳造部品、コンプライアントメカニズムなどの最適化において展開されている。TOの包括的な目標は、剛性、耐荷重性、耐力などの仕様を満たす所与の設計から始めて、それを、付随する仕様を満たし、または上回りつつも、より軽量で最小限の材料を用いる最適化された設計にまで減らすことである。TOから生まれた設計は幾何学的に複雑であり、したがって従来のプロセスを用いて製造するのが困難であるが、多くの場合、これらの設計は付加製造することができる。また、AMにおける製造コストは使用する材料に比例するため、軽量のトポロジー最適化設計はAMにおいて特に重要である。
【0006】
本開示に記載されているように、金属部品製造およびそれに関連するコンピュータ実装式最適化の進歩は、ゴルフクラブの設計に有利に適用されて、既存のクラブの性能に匹敵するかそれを上回るゴルフクラブを生産することができ、また、定型(pre-fab)のカスタマイズ、製造の柔軟性、材料消費、空気力学、範囲および精度の性能、ならびにプレー中の適応性における向上も示し得る。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、製造技術および構造設計最適化における最近の開発を、ゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドに具体化された新規な概念およびアセンブリと併せて用いる。本発明の目的は、金属付加製造プロセスを用いた製造のために計算的に最適化され、さらにクラブの種類および/またはグレードに共通する所定の性能特性を満たすゴルフクラブヘッドを提供することである。更なる目的は、製造中の材料消費を削減でき、および/またはクラブ重量、重量バランス、空気力学、調整可能性、ユーザフィードバック、距離、制御、精度などに関してプレーヤーに利点を提供できる、クラブヘッドの「有機的」または「骨格的」構造を提供することである。本発明の他の目的は、ねじれ、重量、およびプレー中の調整によって十分に調整可能なクラブを提供することである。更なる目的は、クラブの1若しくはそれ以上の領域で重量を追加または削減するためのフレームワークを提供することである。他の目的は、独自の調整可能なクラブフェースを組み込む、または提供することである。他の目的は、USGAなどの組織に現在存在する可能性のあるプロゴルフ協会の機器規則および適合基準を満たし得る、あるいは満たさない場合がある、本発明の実施形態を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、同様の参照番号が同様の要素を示す図面と併せて以下の詳細な説明を読むことでよりよく理解されるであろう。
【
図1】
図1は、本開示における、計算的に最適化されたゴルフクラブヘッドの例示的な実施形態の正面図である。
【
図2】
図2は、本開示における、計算的に最適化されたゴルフクラブヘッドの他の例示的な実施形態の上面斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示における、計算的に最適化されたゴルフクラブヘッドの他の例示的な実施形態の断面正面図である。
【
図4】
図4は、本開示における、計算的に最適化されたゴルフクラブヘッドの他の例示的な実施形態の側面図である。
【
図5】
図5は、本開示における、計算的に最適化されたゴルフクラブヘッドの他の例示的な実施形態の上面図である。
【
図6】
図6は、本開示における、計算的に最適化されたゴルフクラブヘッドの他の例示的な実施形態の断面側面図である。
【
図7】
図7は、本開示における、初期設計および性能目標のセットを、トポロジー最適化フレームワークに従って最適化された設計に変換するように構成された例示的なシステムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、図面を参照して以下の記載の好ましい実施形態で説明されており、図面において、同じ番号は同一または類似の要素を表す。本明細書全体を通じて、「一実施形態」、「実施形態」または同様の用語への言及は、その実施形態に関連して説明されている特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも一つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書全体を通じて、「一実施形態において」、「実施形態において」という語句や同様の用語の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を指すわけではない。
【0010】
本発明の記載されている特徴、構造、または特性は、1若しくはそれ以上の実施形態において、任意の好適な方法で組み合わせることができる。以下の説明では、本発明の実施形態を十分に理解できるように、複数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、関連技術の専門家であれば、具体的な詳細の1若しくはそれ以上がなくても、または他の方法、構成要素、材料などを用いて実施できることが理解されよう。他の場合では、本発明の態様を不明瞭にしないために、よく知られた構造、材料、または動作が詳細に示されておらず、または説明されていない。
【0011】
本開示は、現在または将来のあらゆる形態の付加製造を含むがこれに限定されない特定の製造プロセス向けにトポロジー最適化されたオブジェクトに一般的に見られる特徴的な「有機的」または「骨格的」構造を有する、ゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドの構造設計および設計概念、製造方法、ならびにコンピュータ実装される設計最適化方法を示す。本開示は、最適化プロセスの実施形態、およびそのプロセスによる製品である対応するゴルフクラブを提供する。いくつかの実施形態において、最適化プロセスは、例えば初期のクラブヘッド設計および目標パラメータのセットなどの入力を受け、その初期設計のトポロジー最適化を反復して、目標パラメータの要件を満たす最終的な最適化設計を含む複数の反復設計を生成することができる。目標パラメータは、これらに限られないが、製造に必要な材料の量の目標削減;重量、形状、適合性、材料組成などの物理的特性;ゴルフクラブに共通の若しくは望ましい性能特性(例えば、クラブヘッドの距離、精度、速度)、美観上の要件または目的;標準ベースの設計要件;本明細書で説明するようなクラブフェースとチューニングメカニズムとの互換性などを含む。図の例示的な実施形態には、最適化されたドライバーおよびアイアンが含まれているが、様々な実施形態において、本発明は、ドライバー、ウッド、アイアン、ハイブリッド、ウェッジ、およびパターを含むがこれらに限定されない、任意の従来の種類のゴルフクラブにおける最適化された形態を製造するのに適している。
【0012】
図1は、計算的に最適化された構成要素を有するゴルフクラブの設計である本発明の装置の例示的な実施形態を示しており、一般的に100として示される。一般的に、ゴルフクラブの設計100は、クラブヘッド102と、当該クラブヘッド102に取り付けられた、または一体化されたシャフト104とを含みうる。様々な実施形態において、クラブヘッド102およびシャフト104(またはその一部)の一方または両方が、本明細書で説明されているように、付加製造、鋳造、またはその他の好適な製造方法向けに最適化されうる。さらに、本明細書で説明されているような初期設計および目標パラメータのセットに基づく設計100などの最適化された設計は、初期設計とは大きなトポロジー的差異を示しうるが、いくつかの場合では、用いられる最適化アルゴリズムおよびその制約に応じて初期設計と視覚的に同様の可能性があることを理解されよう。
【0013】
クラブヘッド102は本体120を含み、本体120は、クラブヘッドの構造部材を含み、クラブヘッドの形状、サイズ、および外面の輪郭を定義する。本体120の設計は入力制約を満たすための最適解として最適化アルゴリズムによって生成される。図示の例を含む様々な実施形態において、本体120は、初期設計に比べて大幅なトポロジー最適化を示しうる。付加製造用の固体オブジェクトを最適化するのに適した任意の最適化アルゴリズムを適用して、本体120の設計を作成することができる。いくつかの実施形態において、例えば、格子構造設計の最適化を用いて、クラブヘッドの固体構造を格子構造に置き換えてもよい。本開示では、格子構造に基づかない他のアルゴリズムの適用性を制限することなく、本発明の設計の構造部材を特定するのに格子構造の用語を採用する。構造は、トポロジー最適化された設計の独特な外観を指すよう、「有機的」または「骨格的」とも記載されている。これらの用語は、本明細書において一般的な理解に従って用いられているが、設計構成要素の特性を制限するものではない。
【0014】
したがって、本体120のトポロジーは、製造材料で構成され、交差点若しくは「ノード」124で他のリンカー122に取り付けられ、または一体化されているリンク部材若しくは「リンカー」122の配置で構成されている。リンカー122は、均一な寸法を有してもよく、あるいは、長さ、厚さ、角度および/または曲率、密度などが変化してもよく、また、リンカー122は、異なるおよび/または望ましい最終製品の特性を示し、増強し、または付加しうる同じ若しくは異なる「材料」で作られてよい。いくつかの実施形態において、リンカー122は、付加製造プロセス若しくはその他の堆積様式によって分散させることができる金属または金属複合材料を有してもよい。さらに、前記材料は、ゴルフ業界での使用に適した性能材料であってもよい。リンカー122は、固体構造、または均一若しくは変化する壁厚を有するチューブ、あるいはそれらの組み合わせであってよい。本体120の設計は、本体120の境界を定義するフレーム130を含む。フレームはフレーム部材132を有するものであり、フレーム部材132は、1若しくはそれ以上の製造材料で構成され、例えば、クラブを振ったときに地面と対向する底面134、クラブヘッド102のクラウンを定義する上面136、クラブヘッド102の「ヒール」および「トゥ」など、クラブヘッド102の各外面および共通の外部構造を定義する。いくつかの実施形態において、フレーム部材132は格子構造のリンカーであってもよく、したがって、本体120は、フレーム130がクラブヘッド102の所望の形状を維持するようにフレーム部材132を制約する適合格子となりうる。
【0015】
いくつかの実施形態において、本体120は、ゴルフクラブ設計100の特性向上に寄与する他の要素を含んでもよい。例えば、本体120の格子は、1若しくはそれ以上の支柱を含んでもよく、当該支柱126は、2つのフレーム部材132間に延びてクラブヘッド102の構造支持を提供するリンカーまたは一連の一体型リンカー122であってもよい。また、本体120は、フレーム130の境界内のリンカー122間に空スペースを有する1若しくはそれ以上のボイド128を含んでもよい。いくつかの実施形態において、ボイド128の1若しくはそれ以上は、クラブヘッド102の周囲を1若しくはそれ以上の点で貫通し、クラブヘッド102の一方の側から他方の側へ目に見える空洞を、または完全な通路を形成してもよい。ボイド128は、ゴルフクラブの特徴に寄与するように設計されてもよく、これには、これらに限定されないが、所望の美的要素を与えること、空気力学的利点を提供すること、スイング制御を支援すること、または、スイング中に空気がボイド128内を通り若しくは通過するときに特定のピッチで生成される可聴音など、プレーヤーへのフィードバックを生成することなどが含まれる。
【0016】
図2は、本ゴルフクラブの設計200の他の例示的な実施形態を示す。クラブヘッド202およびシャフト204が上記のように提供されており、これには、クラブヘッド202の本体220であって、付加製造またはその他の製造プロセス、システム、若しくは技術向けに最適化され、リンカー222、ノード224、1若しくはそれ以上の支柱226、および1若しくはそれ以上のボイド228を含む本体220が含まれている。また、上述のように、ゴルフクラブの底面234および上面236とその他の外部特徴を定義するフレーム部材232を有するフレーム230が示されている。設計200の例示の図には、また、ゴルフクラブのボールが当たる面であるクラブヘッド202のフェース206も示されている。フェース206は、平面、凹面、または凸面であってよく、また、溝またはその他の表面構造を有していてもよい。いくつかの実施形態において、フェース206は、USGAまたはゴルフの試合に関する他の標準設定組織の規則および規制に従って構築されてもよい。フェース206は、本体220に取り付けられた、または本体220と一体化された構造によって定義されうる。例えば、クラブヘッド202が付加製造プロセスまたは同様の堆積プロセスによって製造される場合、フェース206を定義する構造は製造設計に含まれてよく、また、本体220のリンカー222とともに「印刷」されてもよい。クラブヘッド202が鋳造によって製造される他の実施例では、フェース206構造は、クラブヘッド202用の金型で定義されてもよく、あるいは代替的には別個に鋳造され、鋳造後に本体220に取り付けられてもよい。
【0017】
図3は、本ゴルフクラブの設計300の他の例示的な実施形態を示す。クラブヘッド302およびシャフト304が上記のように提供されており、これには、クラブヘッド302の本体320であって、付加製造向けに最適化され、リンカー322、ノード324、およびボイド328を含む本体320が含まれている。設計300の例示の図はまた、追加の支持制約に基づいてモデル化された本体320の構造を示す。例えば、リンカーの1若しくはそれ以上は、シャフト304が挿入されるクラブヘッド302のシャフト取付部を形成する、またはシャフト取付部に接続するシャフト支持リンカー350であってもよい。いくつかの実施形態において、シャフト支持リンカー350は、シャフト304が挿入される所から始まり、クラブヘッド302の背面に巻き付き、クラブヘッド302の反対側/外側に向かって前方に巻き付くフック状の形状を有して、クラブフェースを支持する他のリンカー322からの「調整可能な」分離性を高め、したがって個人の好みに合わせてクラブ/フェースを「調整」するための多様性を高める。さらに、リンカーの1若しくはそれ以上は、一方の端部が比較的広い直径を有するフェース支持リンカー360であってもよく、その端部でフェース支持リンカー360はクラブフェースを定義する構造と交差する。いくつかの実施形態において、フェース支持リンカー360の上記広い端部は実質的に平面状で、クラブフェースをクラブヘッド302に取り付けるための取付面を提供してもよい。
【0018】
図4は、本ゴルフクラブの設計400の他の例示的な実施形態を示す。クラブヘッド402およびシャフト404が上記のように提供されており、これには、クラブヘッド402の本体420であって、付加製造向けに最適化され、リンカー422、ノード424、およびボイド428を含む本体420が含まれている。設計400の例示の図にはまた、追加の支持制約に基づいてモデル化された本体420の構造が示されている。例えば、リンカー422の1若しくはそれ以上はボールが当たる面として機能するクラブフェース440を形成してもよく、またはボールを当てるための別個のクラブフェースに取り付けられてもよい。いくつかの実施形態において、クラブフェース440を形成するリンカー422の上記広い端部は、実質的に平面状で、別個のクラブフェース取付部をクラブヘッド402に取り付けるための取付面を提供する。さらに、前記リンカーの1若しくはそれ以上は、シャフト404が挿入されるクラブヘッド402のシャフト取付部を形成する、またはシャフト取付部に接続するシャフト支持リンカー450であってもよい。いくつかの実施形態において、シャフト支持リンカー350はシャフト404と一体的になっている。
【0019】
図5は、
図3および
図4に関して上述したようなクラブヘッド502の他の例示的な実施形態を示す。クラブヘッド502の本体520は、付加製造向けに最適化され、リンカー522、ノード524、およびボイド528を含む。リンカー522の1若しくはそれ以上はボールが当たる面として機能するクラブフェース540を形成してもよく、またはボールを当てるための別個のクラブフェースに取り付けられてもよい。いくつかの実施形態において、クラブフェース540を形成するリンカー522の上記広い端部は実質的に平面状で、別個のクラブフェース取付部をクラブヘッド502に取り付けるための取付面を提供してもよい。
【0020】
図6は、本ゴルフクラブの設計600の他の例示的な実施形態を示す。クラブヘッド602およびシャフト604が上記のように提供されており、これにはクラブヘッド602の本体620が含まれているものであり、当該クラブヘッド602の本体620は、付加製造向けに最適化され、リンカー622、ノード624、支柱626、およびボイド628を含む。設計600の例示の図にはまた、パネル642によって定義されるクラブフェース640が示されており、当該パネル642は、本体620のリンカーの1若しくはそれ以上に取り付けられ、または一体化されている。例えば、前記リンカーの1つは、
図3に関して上述したようなフェース支持リンカー626であってもよく、また、いくつかの実施形態において、クラブヘッド602のフェースからトウへと軸方向に後方へ延び、クラブフェース640の「スイートスポット」またはその付近で支持を提供する。いくつかの実施形態において、リンカー622の1若しくはそれ以上は調整可能な張力下で構成されてもよく、その力は調整機構を作動させることによって変更されてもよい。例えば、クラブヘッド602は、チューニングキー660を受ける1若しくはそれ以上のチューニングポート662を有してもよく、チューニングキー660を回すと、クラブヘッド602の1若しくはそれ以上の構成要素にかかる様々な力が調整されうるものであり、その結果、全体的な構造剛性、ねじれ、せん断、歪み、その他の力、ならびに本体620および/またはクラブフェース640にかかる力の大きさおよび方向を含むがこれらに限定されない、クラブの性能およびプレイアビリティに影響を及ぼすことができる。チューニングポートは複数存在してもよく、それぞれがクラブヘッド602の1若しくはそれ以上の特定の構成要素に取り付けられてよい。
【0021】
図7は、支持体積感応型のTOフレームワークに従ってオブジェクトの設計を最適化する例示的なシステムを示す。コンピューティングデバイス700はプロセッサ702を含み、プロセッサ702は、当該プロセッサ702内の、またはコンピューティングデバイス700のメモリ706に含まれる、デバイスロジック704を実行する。デバイスロジック704は、本明細書で説明するプロセスを実行するようにプロセッサ702を構成する。コンピューティングデバイス700は、Webサーバ、アプリケーションサーバ、アプリケーションプラットフォーム、仮想サーバ、クラウド・データ・サーバなどのサーバコンピュータ若しくは相互接続されたサーバコンピュータのシステム、あるいはパーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、電子書籍リーダー、スマートフォン、パーソナル・データ・アシスタント、マイクロコンソール、産業オートメーションシステム、またはプロセッサ702として、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、若しくはその他の適切なプロセッサを備えた同様のコンピューティングデバイスであってよい。いくつかの実施形態において、デバイスロジック704および/またはメモリ706は、AMプロセスによって製造できるオブジェクトの2次元および/または3次元設計を表すデータ(例えば、ファイル、データベースレコード、データストリームなど)を作成、変更、エクスポート、およびその他のプロセスを実行するための、コンピュータ支援製図(CAD)プログラムまたは他の好適なプログラムのプログラム命令およびその他のデータを格納していてよい。本明細書のプロセスを実行するプログラム命令およびその他のデータは、CADプログラムと連携してもよい。
【0022】
プロセッサ702は、入力として初期オブジェクト設計710を受け取る。初期オブジェクト設計710は、インターフェース708のユーザによって入力されてもよく、それはコンピューティングデバイス700または製図用コンピュータなどの他のデバイスでユーザに提示されてもよい。インターフェース708は、専用のソフトウェアアプリケーション(例えば、CADプログラム)、インターネットブラウザ若しくはその他のWebアプリケーション、またはインターフェース708が構成要素であるWebダッシュボードまたはその他の管理ツールなどの他の適切なアプリケーションを介して、ユーザデバイスのディスプレイに表示されてもよい。いくつかの実施形態において、インターフェース708は、ユーザに初期オブジェクト設計710を提供するように促すよう構成されていてもよく、また、それを行うための1若しくはそれ以上のオプションを提示し促進することができる。例えば、インターフェース708は、ユーザにアップロードするファイルを選択するように促してもよい。インターフェース708は、さらに、所望の性能特性、プレーヤーの物理的寸法、スイング分析データなど、現在のプロセスで用いられる他のデータを入力するようにユーザに促してもよい。
【0023】
プロセッサ702はデバイスロジック704を実行して反復最適化プロセス720を適用し、初期オブジェクト設計710を最適化された設計730に変換する。最適化された設計730は、性能についてトポロジー最適化されている。すなわち最適化された設計730からAMプロセスによって製造されたオブジェクトは、初期のオブジェクト設計710から製造されたオブジェクトと実質的に同じ機能を果たす。最適化は、さらに、AMプロセスによって製造される、対応するオブジェクトが満たさなければならない設計要件によって制約されてもよい。設計要件は、メモリ706に格納されうる、および/またはインターフェース708を介して提供される入力データから生成されうる1若しくはそれ以上の入力ベクトル732によって表されてもよい。プロセッサ702は、最適化された設計730(および任意の中間設計)をメモリ706などに格納してもよく、および/または最適化された設計730をAMデバイスなどの他のシステムにエクスポートしてもよい。
【0024】
本発明の様々な実施形態が図示され詳細に説明されているが、本発明の範囲および主旨から逸脱することなく当業者がそれらの実施形態を変更および適応できることは明らかである。
【国際調査報告】