特表 2024-545528 パーソナルケア組成物

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公表特許公報(A)

(11)【公表番号】

(43)【公表日】2024-12-09

(54)【発明の名称】パーソナルケア組成物

(51)【国際特許分類】

   A61K 8/44 20060101AFI20241202BHJP

   A61K 8/06 20060101ALI20241202BHJP

   A61Q 19/02 20060101ALI20241202BHJP

   A61Q 19/00 20060101ALI20241202BHJP

   A61K 8/365 20060101ALI20241202BHJP

【ＦＩ】

A61K8/44

A61K8/06

A61Q19/02

A61Q19/00

A61K8/365

【審査請求】未請求

【予備審査請求】未請求

(21)【出願番号】P 2024539297

(86)(22)【出願日】2022-12-07

(85)【翻訳文提出日】2024-08-20

(86)【国際出願番号】 EP2022084705

(87)【国際公開番号】W WO2023126136

(87)【国際公開日】2023-07-06

(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/143514

(32)【優先日】2021-12-31

(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN

(31)【優先権主張番号】22153546.1

(32)【優先日】2022-01-27

(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP

(81)【指定国・地域】

(71)【出願人】

【識別番号】521042714

【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ

(74)【代理人】

【識別番号】100114188

【弁理士】

【氏名又は名称】小野 誠

(74)【代理人】

【識別番号】100119253

【弁理士】

【氏名又は名称】金山 賢教

(74)【代理人】

【識別番号】100124855

【弁理士】

【氏名又は名称】坪倉 道明

(74)【代理人】

【識別番号】100129713

【弁理士】

【氏名又は名称】重森 一輝

(74)【代理人】

【識別番号】100137213

【弁理士】

【氏名又は名称】安藤 健司

(74)【代理人】

【識別番号】100183519

【弁理士】

【氏名又は名称】櫻田 芳恵

(74)【代理人】

【識別番号】100196483

【弁理士】

【氏名又は名称】川嵜 洋祐

(74)【代理人】

【識別番号】100160255

【弁理士】

【氏名又は名称】市川 祐輔

(74)【代理人】

【識別番号】100219265

【弁理士】

【氏名又は名称】鈴木 崇大

(74)【代理人】

【識別番号】100228980

【弁理士】

【氏名又は名称】副島 由加里

(74)【代理人】

【識別番号】100151448

【弁理士】

【氏名又は名称】青木 孝博

(74)【代理人】

【識別番号】100146318

【弁理士】

【氏名又は名称】岩瀬 吉和

(74)【代理人】

【識別番号】100127812

【弁理士】

【氏名又は名称】城山 康文

(72)【発明者】

【氏名】グ，シュエラン

(72)【発明者】

【氏名】ミ，ティンヤン

【テーマコード（参考）】

4C083

【Ｆターム（参考）】

4C083AC301

4C083AC302

4C083AC581

4C083AC582

4C083CC03

4C083DD31

4C083DD33

4C083EE16

(57)【要約】

カルボキシメチルシステイン化合物及びヒドロキシル置換脂肪酸を含んでいるパーソナルケア組成物が開示されている。

【特許請求の範囲】

【請求項1】

カルボキシメチルシステイン化合物及びヒドロキシル置換脂肪酸を含んでいる、パーソナルケア組成物。

【請求項2】

前記カルボキシメチルシステイン化合物が、カルボキシメチルシステイン、カルボキシメチルシステインのエステル及び／又はカルボキシメチルシステインの塩を含んでいる、請求項１に記載の組成物。

【請求項3】

前記カルボキシメチルシステイン化合物が、カルボキシメチルシステインの塩を含んでおり、好ましくは、前記カルボキシメチルシステイン化合物が、カルボキシメチルシステインリシンを含んでいる、請求項２に記載の組成物。

【請求項4】

前記カルボキシメチルシステイン化合物が、前記組成物の少なくとも０．００００１重量％で且つ１０重量％以下の量で存在しており、好ましくは、カルボキシメチルシステイン化合物が、前記組成物の少なくとも０．０１重量％で且つ３重量％以下の量で存在している、先行する請求項のいずれか１項に記載の組成物。

【請求項5】

前記ヒドロキシル置換脂肪酸が、８～３０個の炭素原子を有する直鎖、好ましくは、１２～２４個の炭素原子を有する直鎖を含んでいる、先行する請求項のいずれか１項に記載の組成物。

【請求項6】

前記ヒドロキシル置換脂肪酸が、ヒドロキシル置換Ｃ_８－Ｃ_２４脂肪酸であり、前記ヒドロキシル置換脂肪酸が、ヒドロキシル置換Ｃ_１２－Ｃ_２０脂肪酸である、先行する請求項のいずれか１項に記載の組成物。

【請求項7】

前記ヒドロキシル置換脂肪酸が、ヒドロキシミリスチン酸、ヒドロキシパルミチン酸、ヒドロキシステアリン酸又はそれらの混合物を含んでおり、好ましくは、前記ヒドロキシル置換脂肪酸が、２－ヒドロキシステアリン酸を含んでいる、請求項６に記載の組成物。

【請求項8】

前記組成物中のヒドロキシル置換脂肪酸の量が、好ましくは、その組成物の０．０００１～７重量％であり、好ましくは、その組成物の０．００５～３重量％である、先行する請求項のいずれか１項に記載の組成物。

【請求項9】

前記カルボキシメチルシステイン化合物と前記ヒドロキシル置換脂肪酸のモル比が、３：１～１００：１、好ましくは、２：１～１５：１である、先行する請求項のいずれか１項に記載の組成物。

【請求項10】

前記組成物が、エマルションであり、好ましくは、水中油型エマルションである、先行する請求項のいずれか１項に記載の組成物。

【請求項11】

前記組成物がその、その組成物の１０～９６重量％の量、好ましくは、その組成物の４２～８８重量％の量の水を含んでいる、先行する請求項のいずれか１項に記載の組成物。

【請求項12】

皮膚の外観を改善する方法；皮膚の色素沈着、シミ及び／若しくは変色を低減させる方法；並びに／又は、皮膚を明るくする方法であって、その皮膚に先行する請求項のいずれか１項に記載の組成物を局所的に適用する段階を含む、前記方法。

【請求項13】

皮膚の外観を改善するための；皮膚の色素沈着、シミ及び／若しくは変色を低減させるための；並びに／又は、皮膚を明るくするための、先行する請求項１～１１のいずれか１項に記載の組成物の使用。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、カルボキシメチルシステイン化合物及びヒドロキシル置換脂肪酸を含んでいる、増強された肌美白効果を提供するためのパーソナルケア組成物に関する。

【背景技術】

【0002】

多くの消費者は、自分の皮膚の特徴に関心がある。例えば、消費者は、自分の皮膚の色素沈着の程度、そばかす及び／又はシミ（ａｇｅ ｓｐｏｔ）を気にしている。他の消費者は、日光への曝露によって引き起こされる皮膚の暗色化を軽減させることを望んでいる。消費者のこのようなニーズに応えるため、皮膚特性を改善する製品の開発が数多く試みられてきた。しかしながら、これまでに開発された製品は、多くの場合、有効性が低い傾向にある。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0003】

本発明者らは、高い肌美白効果（ｓｋｉｎ ｂｒｉｇｈｔｅｎｉｎｇ ｅｆｆｉｃａｃｙ）を有するパーソナルケア組成物を開発することへの関心が高まっていることを認識し、従って、カルボキシメチルシステイン化合物とヒドロキシル置換脂肪酸を含んでいるパーソナルケア組成物を開発した。驚くべきことに、そのような組成物が、改善された肌美白効果を提供することができることを見出した。

【課題を解決するための手段】

【0004】

第１の態様において、本発明は、カルボキシメチルシステイン化合物及びヒドロキシル置換脂肪酸を含んでいるパーソナルケア組成物を対象とする。

【0005】

第２の態様において、本発明は、皮膚の外観を改善する方法；皮膚の色素沈着、シミ及び／若しくは変色を低減させる方法；並びに／又は、皮膚を明るくする方法を対象とし、ここで、該方法は、その皮膚に本発明の組成物を局所的に適用する段階を含む。

【0006】

第３の態様において、本発明は、皮膚の外観を改善するための；皮膚の色素沈着、シミ及び／若しくは変色を低減させるための；並びに／又は、皮膚を明るくするための、本発明の組成物の使用を対象とする。

【0007】

本発明の他の全ての態様は、以下に記載されている詳細な説明及び実施例を考慮することにより、より容易に明らかになるであろう。

【発明を実施するための形態】

【0008】

実施例における場合又は別途明示的に示されている場合を除き、本明細書中において、材料の量又は反応の条件、材料の物理的性質及び／又は使用を示す全ての数字は、場合により、単語「約」によって修飾されているものとして理解され得る。

【0009】

全ての量は、別途示されていない限り、組成物の重量によるものである。

【0010】

任意の値の範囲を指定する場合、任意の特定の上限値は、任意の特定の下限値と関連付けることができることに留意すべきである。

【0011】

不確かさを避けるために、単語「含んでいる（ｃｏｍｐｒｉｓｉｎｇ）」は、「含んでいる（ｉｎｃｌｕｄｉｎｇ）」を意味するが、必ずしも「からなる（ｃｏｎｓｉｓｔｉｎｇ ｏｆ）」又は「で構成されている（ｃｏｍｐｏｓｅｄ ｏｆ）」を意味するものではないことが意図されている。言い換えれば、記載されている段階又は選択肢は、網羅的である必要はない。

【0012】

本明細書中で見出される本発明の開示は、多重従属性や冗長性のない特許請求の範囲が見出され得るという事実とは無関係に、互いに多重従属性を有している特許請求の範囲で見出される全ての実施形態を包含するするものとみなされる。

【0013】

本発明の特定の態様（例えば、本発明の組成物）に関して特徴が開示されている場合、そのような開示は、本発明の任意の他の態様（例えば、本発明の方法）にも、必要に応じて変更を加えて、あてはまると考えられる。

【0014】

該カルボキシメチルシステイン化合物は、カルボキシメチルシステイン、カルボキシメチルシステインの塩、カルボキシメチルシステインのエステル、カルボキシメチルシステインのアミド又はそれらの混合物から選択される化合物のことを示している。好ましくは、該カルボキシメチルシステイン化合物は、カルボキシメチルシステイン、カルボキシメチルシステインのエステル及び／又はカルボキシメチルシステインの塩を含んでいる。さらに好ましくは、該カルボキシメチルシステイン化合物は、カルボキシメチルシステイン及び／又はカルボキシメチルシステインの塩を含んでいる。一層さらに好ましくは、カルボキシメチルシステイン化合物は、カルボキシメチルシステインの塩を含んでいる。一層さらに好ましくは、該カルボキシメチルシステイン化合物は、カルボキシメチルシステインリシンを含んでおり、最も好ましくは、該カルボキシメチルシステイン化合物は、カルボキシメチルシステインリシンである。

【0015】

好ましくは、該カルボキシメチルシステイン化合物は、該組成物の、少なくとも０．００００１重量％の量で、さらに好ましくは、少なくとも０．０００１重量％の量で、一層さらに好ましくは、少なくとも０．００１重量％の量で、一層さらに好ましくは、少なくとも０．０１重量％の量で、最も好ましくは、少なくとも０．１重量％の量で、存在している。

【0016】

好ましくは、該カルボキシメチルシステイン化合物は、該組成物の、１０重量％以下の量で、さらに好ましくは、５重量％以下の量で、一層さらに好ましくは、３重量％以下の量で、一層さらに好ましくは、１重量％以下の量で、最も好ましくは、０．５重量％以下の量で、存在している。

【0017】

好ましくは、該カルボキシメチルシステインリシンは、該組成物の、１０重量％以下の量で、さらに好ましくは、５重量％以下の量で、一層さらに好ましくは、３重量％以下の量で、一層さらに好ましくは、１重量％以下の量で、最も好ましくは、０．５重量％以下の量で存在している。好ましくは、該カルボキシメチルシステインリシンは、該組成物の、少なくとも０．００００１重量％の量で、さらに好ましくは、少なくとも０．０００１重量％の量で、一層さらに好ましくは、少なくとも０．００１重量％の量で、一層さらに好ましくは、少なくとも０．０１重量％の量で、最も好ましくは、少なくとも０．１重量％の量で、存在している。

【0018】

本発明の組成物は、ヒドロキシル置換脂肪酸を含んでいる。本明細書中で使用される脂肪酸は、少なくとも６個の炭素原子、好ましくは、６～３０個の炭素原子の、脂肪族鎖を有するカルボン酸を示している。該脂肪酸は、分枝鎖又は非分枝鎖であることができ、好ましくは、非分枝鎖脂肪酸である。好ましくは、該ヒドロキシル置換脂肪酸は、少なくとも４個の炭素原子を有する直鎖、さらに好ましくは、少なくとも６個の炭素原子を有する直鎖、一層さらに好ましくは、８～３０個の炭素原子を有する直鎖、一層さらに好ましくは、１０～２６個の炭素原子を有する直鎖、最も好ましくは、１２～２４個の炭素原子を有する直鎖を、含んでいる。

【0019】

好ましくは、該ヒドロキシル置換脂肪酸は、ヒドロキシル置換Ｃ_８－Ｃ_２４脂肪酸、さらに好ましくは、ヒドロキシル置換Ｃ_１０－Ｃ_２２脂肪酸、一層さらに好ましくは、ヒドロキシル置換Ｃ_１２－Ｃ_２０脂肪酸、最も好ましくは、ヒドロキシル置換Ｃ_１６－Ｃ_２０脂肪酸である。好ましくは、該ヒドロキシル置換脂肪酸は、ヒドロキシミリスチン酸、ヒドロキシパルミチン酸、ヒドロキシステアリン酸又はそれらの混合物を含んでいる。さらに好ましくは、該ヒドロキシル置換脂肪酸は、ヒドロキシステアリン酸を含んでいる。一層さらに好ましくは、該ヒドロキシル置換脂肪酸は、１２－ヒドロキシステアリン酸を含んでおり、最も好ましくは、該ヒドロキシル置換脂肪酸は、１２－ヒドロキシステアリン酸（１２ＨＳＡ）である。明確にするために、該ヒドロキシル置換脂肪酸は、さらに、該ヒドロキシル置換脂肪酸の塩、特に、そのナトリウム塩も包含するが、好ましくは、該ヒドロキシル置換脂肪酸は、遊離ヒドロキシル置換脂肪酸である。

【0020】

該組成物中のヒドロキシル置換脂肪酸の量は、その組成物の、好ましくは、０．０００１～７重量％、さらに好ましくは、０．００１～５重量％、一層さらに好ましくは、０．００５～３重量％、一層さらに好ましくは、０．０１～１重量％、最も好ましくは、その組成物の０．０５～０．６重量％である。該組成物中のヒドロキシル置換Ｃ_８－Ｃ_２４脂肪酸の量は、その組成物の、好ましくは、０．０００１～７重量％、さらに好ましくは、０．００１～５重量％、一層さらに好ましくは、０．００５～３重量％、一層さらに好ましくは、０．０１～１重量％、最も好ましくは、その組成物の０．０５～０．６重量％である。該組成物中の１２－ヒドロキシステアリン酸の量は、その組成物の、好ましくは、０．０００１～７重量％、さらに好ましくは、０．００１～５重量％、一層さらに好ましくは、０．００５～３重量％、一層さらに好ましくは、０．０１～１重量％、最も好ましくは、その組成物の０．０５～０．６重量％である。

【0021】

好ましくは、該カルボキシメチルシステイン化合物と該ヒドロキシル置換脂肪酸のモル比は、３：１～１００：１、さらに好ましくは、１：１～２５：１、一層さらに好ましくは、２：１～１５：１、一層さらに好ましくは、３：１～８：１である。好ましくは、該カルボキシメチルシステインリシンと該ヒドロキシル置換脂肪酸のモル比は、３：１～１００：１、さらに好ましくは、１：１～２５：１、一層さらに好ましくは、２：１～１５：１、一層さらに好ましくは、３：１～８：１である。好ましくは、該カルボキシメチルシステインリシンと該１２－ヒドロキシステアリン酸のモル比は、３：１～１００：１、さらに好ましくは、１：１～２５：１、一層さらに好ましくは、２：１～１５：１、一層さらに好ましくは、３：１～８：１である。

【0022】

好ましくは、該組成物は、ビタミンＢ３化合物（ビタミンＢ３の誘導体を包含する）を含んでいる。該ビタミンＢ３化合物は、ナイアシン、ニコチン酸、ナイアシンアミド又はそれらの混合物を含んでいる。最も好ましいビタミンＢ３化合物は、ナイアシンアミドである。該ビタミンＢ３化合物の量は、該組成物の０．１～１０重量％、好ましくは、０．５～５重量％であり得る。

【0023】

好ましくは、該組成物は、グルタミン、グルタミンエステル、グルタミン酸、ピログルタミン酸、塩及びそれらの混合物からなる群から選択されるグルタメート源を含んでいる。さらに好ましくは、該組成物は、ピログルタミン酸及び／又はピログルタミン酸の塩を含んでいる。一層さらに好ましくは、該組成物は、ピログルタミン酸のナトリウム塩を含んでいる。好ましくは、該グルタメート源は、該組成物の０．０００１～１０重量％の量で、さらに好ましくは、０．００１～６重量％の量で、一層さらに好ましくは、該組成物の０．０１～３重量％の量で、存在している。

【0024】

該組成物は、場合により、美白顔料（ｗｈｉｔｅｎｉｎｇ ｐｉｇｍｅｎｔ）を含むことができる。美白顔料は、典型的には、高屈折率物質の粒子である。例えば、該美白顔料は、１．３を超える屈折率、さらに好ましくは、１．８を超える屈折率、最も好ましくは、２．０～２．７の屈折率を有し得る。そのような美白顔料の例としては、オキシ塩化ビスマス、窒化ホウ素、硫酸バリウム、マイカ、シリカ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛又はそれらの組み合わせを含んでいる美白顔料などがある。さらに好ましい美白顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、マイカ、酸化鉄又はそれらの組み合わせを含んでいる粒子である。一層さらに好ましい美白顔料は、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、二酸化チタン又はそれらの組み合わせを含んでいる粒子であるが、それは、これらの物質が特に高い屈折率を有するからである。一層さらに好ましくは、該美白顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛又はそれらの混合物から選択され、最も好ましい美白顔料は、二酸化チタンである。美白顔料の平均直径は、典型的には、１５ｎｍ～１ミクロン、さらに好ましくは、３５ｎｍ～８００ｎｍ、一層さらに好ましくは、５０ｎｍ～５００ｎｍ、一層さらにさらに好ましくは、１００～３００ｎｍである。美白顔料の量は、該組成物の０．１～１５重量％、好ましくは、０．５～５重量％であり得る。

【0025】

好ましくは、該組成物は、多価アルコールを含んでいる。多価アルコールは、グリセリン、プロピリーングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、１，３－ブチレングリコール、イソプレングリコール、エトキシ化グリセロール、プロポキシ化グリセロール又はそれらの混合物の群から選択することができる。最も好ましい多価アルコールは、グリセリンとしても知られるグリセロールである。多価アルコールの量は、該組成物の、０．１～２０重量％の範囲、好ましくは、０．５～１５重量％の範囲、さらに好ましくは、２及び１０重量％である。

【0026】

好ましくは、該組成物は、エモリエント物質を含んでいる。適切なエモリエント物質としては、シリコーン、炭化水素、トリグリセリド又はそれらの混合物などがある。これらのシリコーンは、有機、シリコーン含有又はフッ素含有、揮発性又は不揮発性、極性又は非極性であることができる。炭化水素としては、鉱油、ペトロラタム及びポリアルファ－オレフィンなどを挙げることができる。好ましい揮発性炭化水素の例としては、ポリデカン、例えば、イソドデカン及びイソデカン（例えば、Ｐｒｅｓｐｅｒｓｅ Ｉｎｃ．から入手可能なＰｅｒｍｅｔｈｙｌ－９９Ａ）及びＣ７－Ｃ８～Ｃ１２－Ｃ１５イソパラフィン（例えば、Ｅｘｘｏｎ Ｃｈｅｍｉｃａｌｓから入手可能なＩｓｏｐａｒシリーズ）などがある。例示的なトリグリセリドは、限定するものではないが、ヒマワリ種子油、綿実油、カノーラ油、大豆油、ヒマシ油、ボラージ（ｂｏｒａｇｅ）油、オリーブ油、シアバター、ホホバ油及びこれらの混合物である。モノ－及びジ－グリセリドも有用であり得る。特に好ましいのは、モノステアリン酸グリセリル及びジステアリン酸グリセリルである。

【0027】

好ましくは、該組成物は、保湿剤を含んでいる。特に好ましい保湿剤としては、ペトロラタム、アクアポリン操作活性剤（ａｑｕａｐｏｒｉｎ ｍａｎｉｐｕｌａｔｉｎｇ ａｃｔｉｖｅ）、オート麦穀粒粉、置換尿素、例えば、ヒドロキシエチル尿素、ヒアルロン酸及び／又はその前駆体Ｎ－アセチルグルコサミン、ヒアルロン酸及び／又はその前駆体Ｎ－アセチルグルコサミン又はそれらの混合物などがある。

【0028】

一部の組成物は、増粘剤を含み得る。これらは、セルロース系、天然ガム及びアクリル系ポリマーから選択することができるが、この増粘剤の種類によって限定されるものではない。セルロース類としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びこれらの組み合わせなどがある。適切なガム類としては、キサンタン、ペクチン、カラヤ、寒天、アルギネートガム及びそれらの組み合わせなどがある。アクリル系増粘剤としては、アクリル酸及びメタクリル酸のホモポリマー及びコポリマー、例えば、カルボマー、例えば、Ｃａｒｂｏｐｏｌ １３８２、Ｃａｒｂｏｐｏｌ ９８２、Ｕｌｔｒｅｚ、Ａｑｕａ ＳＦ－１及びＡｑｕａ ＳＦ－２（Ｌｕｂｒｉｚｏｌ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎから入手可能）などがある。増粘剤の量は、該組成物中の活性ポリマー（溶媒又は水は除く）の０．０１～３重量％の範囲であり得る。

【0029】

加えて、本発明の組成物は、０．５～１０重量％の金属イオン封鎖剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム（ＥＤＴＡ）、ＥＨＤＰ又は混合物；不透明化剤及びパール化剤、例えば、エチレングリコールジステアレート、二酸化チタン又はＬｙｔｒｏｎ ６２１（スチレン／アクリレートコポリマー）；をさらに含み得る。これらは、全て、製品の外観又は特性を高めるのに有用である。

【0030】

該組成物は、その組成物の１０～９６重量％の量、さらに好ましくは、２５～９２重量％の量、一層さらに好ましくは、４２～８８重量％の量、最も好ましくは、その組成物の５５～８２重量％の量の、水を含むことができる。

【0031】

好ましくは、該組成物は、約２０ｓ^－１の比較的高い剪断速度で２０℃で測定した場合に、少なくとも１０ｍＰａ・ｓ、さらに好ましくは、３０～１００００ｍＰａ・ｓの範囲、一層さらに好ましくは、５０～５０００ｍＰａ・ｓの範囲、最も好ましくは、１００～２０００ｍＰａ・ｓの範囲の、粘度を有している。好ましくは、該組成物は、流体の形態にある。

【0032】

好ましくは、該組成物は、エマルションであり、さらに好ましくは、水中油型エマルションである。該スキンケア組成物は、ヒトの皮膚への局所適用に適した組成物を示しており、リーブオン製品及びウォッシュオフ製品を包含するが、好ましくは、リーブオン組成物である。本明細書中の組成物に関して使用されている用語「リーブオン」は、皮膚に適用されるか又は擦りつけられ、その皮膚上に放置される組成物を意味する。本明細書中の組成物に関して使用されている用語「ウォッシュオフ」は、皮膚に適用されるか又は擦りつけられ、適用直後に実質的に洗い流される皮膚洗浄剤を意味する。好ましくは、該スキンケア組成物は、流動性の液体を意味し、特に、メイクアップ製品というよりは、モイスチャライザーを意味する。

【0033】

好ましくは、該パーソナルケア組成物は、スキンケア組成物である。本明細書中で使用されている用語「皮膚」は、顔、首、胸、腹部、背中、腕、腕の下、手及び脚の皮膚を包含する。好ましくは、「皮膚」は、顔及び腕の下の皮膚を意味し、さらに好ましくは、皮膚は、唇及び瞼以外の顔の皮膚を意味する。

【0034】

好ましくは、該使用は、非治療的である。好ましくは、該方法は、非治療的である。用語「非治療的」は、典型的には、美容目的であることを意味し、治癒目的又は治療目的ではないことを意味する。

【0035】

以下の実施例は、本発明の理解を容易にするために提供される。該実施例は、「特許請求の範囲」の範囲を限定することを意図するものではない。

【実施例】

【0036】

実施例
材料

【表1】

実施例１
この実施例は、１２－ヒドロキシステアリン酸をカルボキシメチルシステインリシンと組み合わせることにより、肌美白効果が改善されることを示している。

【0037】

該肌美白効果は、ＭｅｌａＫｕｉｔｓ（登録商標）生体皮膚等価モデル（Ｂｉｏｃｅｌｌ、Ｘｉ’ａｎ、Ｃｈｉｎａ）を用いて評価した。製造元の指示に従い、一連の同一の生体皮膚等価モデルを構築した。モデル構築後、そのモデルに、エネルギー密度５０ｍＪ／ｃｍ^２のＵＶＢを照射し、その後、活性剤を含んでいる新鮮培地又は活性剤を含んでいない新鮮培地で、１日間培養した。このような照射と培養のプロセスを、リフレッシュされた同じ培地を用いて７回繰り返した。各モデルの明度（Ｌ^＊）を、ＤＳＭ ＩＩ Ｃｏｌｏｒ Ｍｅｔｅｒを用いて測定した。明度の測定は、少なくとも３回繰り返した。

【0038】

結果は、表１において要約されている。

【表2】

驚くべきことに、１２－ヒドロキシステアリン酸をカルボキシメチルシステインリシンと組み合わせることにより、肌美白効果が著しく改善されることが見いだされた。

【0039】

実施例２
この実施例は、カルボキシメチルシステインリシンがナイアシンアミドの肌美白効果を改善することができないことを示している。

【0040】

ナイアシンアミドを使用したこと及び異なるバッチの生体等価モデルを使用したことを除き、実施例１と同様の実験を行った。生体等価モデルの元の明度は、実施例１での明度とは異なっていた。試験結果は、表２において要約されている。

【表3】

表２において、カルボキシメチルシステインリシンが、ナイアシンアミドの肌美白効果を改善することができないことが示された。

【0041】

【手続補正書】

【提出日】2024-08-28

【手続補正1】

【補正対象書類名】特許請求の範囲

【補正対象項目名】全文

【補正方法】変更

【補正の内容】

【特許請求の範囲】

【請求項1】

カルボキシメチルシステイン化合物及びヒドロキシル置換脂肪酸を含んでいる、パーソナルケア組成物。

【請求項2】

前記カルボキシメチルシステイン化合物が、カルボキシメチルシステイン、カルボキシメチルシステインのエステル及び／又はカルボキシメチルシステインの塩を含んでいる、請求項１に記載の組成物。

【請求項3】

前記カルボキシメチルシステイン化合物が、カルボキシメチルシステインの塩を含んでおり、好ましくは、前記カルボキシメチルシステイン化合物が、カルボキシメチルシステインリシンを含んでいる、請求項２に記載の組成物。

【請求項4】

前記カルボキシメチルシステイン化合物が、前記組成物の少なくとも０．００００１重量％で且つ１０重量％以下の量で存在しており、好ましくは、カルボキシメチルシステイン化合物が、前記組成物の少なくとも０．０１重量％で且つ３重量％以下の量で存在している、請求項１～３のいずれか１項に記載の組成物。

【請求項5】

前記ヒドロキシル置換脂肪酸が、８～３０個の炭素原子を有する直鎖、好ましくは、１２～２４個の炭素原子を有する直鎖を含んでいる、請求項１に記載の組成物。

【請求項6】

前記ヒドロキシル置換脂肪酸が、ヒドロキシル置換Ｃ_８－Ｃ_２４脂肪酸であり、前記ヒドロキシル置換脂肪酸が、ヒドロキシル置換Ｃ_１２－Ｃ_２０脂肪酸である、請求項１に記載の組成物。

【請求項7】

前記ヒドロキシル置換脂肪酸が、ヒドロキシミリスチン酸、ヒドロキシパルミチン酸、ヒドロキシステアリン酸又はそれらの混合物を含んでおり、好ましくは、前記ヒドロキシル置換脂肪酸が、１２－ヒドロキシステアリン酸を含んでいる、請求項６に記載の組成物。

【請求項8】

前記組成物中のヒドロキシル置換脂肪酸の量が、好ましくは、その組成物の０．０００１～７重量％であり、好ましくは、その組成物の０．００５～３重量％である、請求項１に記載の組成物。

【請求項9】

前記カルボキシメチルシステイン化合物と前記ヒドロキシル置換脂肪酸のモル比が、３：１～１００：１、好ましくは、２：１～１５：１である、請求項１に記載の組成物。

【請求項10】

前記組成物が、エマルションであり、好ましくは、水中油型エマルションである、請求項１に記載の組成物。

【請求項11】

前記組成物がその、その組成物の１０～９６重量％の量、好ましくは、その組成物の４２～８８重量％の量の水を含んでいる、請求項１に記載の組成物。

【請求項12】

皮膚の外観を改善する方法；皮膚の色素沈着、シミ及び／若しくは変色を低減させる方法；並びに／又は、皮膚を明るくする方法であって、その皮膚に請求項１に記載の組成物を局所的に適用する段階を含む、前記方法。

【請求項13】

皮膚の外観を改善するための；皮膚の色素沈着、シミ及び／若しくは変色を低減させるための；並びに／又は、皮膚を明るくするための、請求項１に記載の組成物の使用。

【国際調査報告】