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特表2024-545532自動車両の照明装置用のライトガイド、照明装置、および自動車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-09
(54)【発明の名称】自動車両の照明装置用のライトガイド、照明装置、および自動車両
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/241 20180101AFI20241202BHJP
   F21S 43/14 20180101ALN20241202BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20241202BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20241202BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241202BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S43/14
F21W103:00
F21W103:20
F21Y115:10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539676
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2022087257
(87)【国際公開番号】W WO2023126276
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202123383993.X
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ツォーピン、ニー
(72)【発明者】
【氏名】シー、シンアン-スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】リン、クンイー
(57)【要約】
本発明は、自動車両の照明装置用のコリメーター(100)に関する。当該コリメーター(100)は、自らを通じて光源からの光を当該コリメーター(100)へ入射させることを可能とするように構成された光入射面(101)と、光入射面(101)を通じて当該コリメーター(100)へ入射して当該コリメーター(100)によってコリメートされた光線を出射させるように構成された光出射面(102)とを備えている。当該コリメーター(100)は、光配分部分(103)を更に備えている。本件出願は更に、照明装置および自動車両に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コリメーター(100)であって、
自らを通じて光源からの光線を当該コリメーター(100)へ入射させることを可能とするように構成された光入射面(101)と、
前記光入射面(101)を通じて当該コリメーター(100)へ入射して当該コリメーター(100)によってコリメートされた光線を出射させるように構成された光出射面(102)と、
を備え、
光配分部分(103)を更に備えたコリメーター(100)。
【請求項2】
前記光配分部分(103)は、第1反射面(1031)と第2反射面(1032)とを備え、前記第1反射面(1031)は、前記光入射面(101)を当該コリメーター(100)内へと通過する光線を前記第2反射面(1032)に向かって反射するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のコリメーター(100)。
【請求項3】
前記第1反射面(1031)は、段状の構造を伴った完全反射面であることを特徴とする請求項2記載のコリメーター(100)。
【請求項4】
前記第2反射面(1032)は光調節部位(1034,1035)を備え、前記光調節部位(1034,1035)は、当該光調節部位へ入射する光線の出射角を再配分するように構成されていることを特徴とする請求項2記載のコリメーター(100)。
【請求項5】
前記光調節部位(1034,1035)は、前記第2反射面(1032)の主平面に対する傾斜角を有した枕形状の光学的な表面を備えていることを特徴とする請求項4記載のコリメーター(100)。
【請求項6】
前記光出射面(102)は、異なる複数の光調節部位(1034,1035)からの光線をそれぞれ出射させる異なる複数の光出射部位を備えていることを特徴とする請求項4記載のコリメーター(100)。
【請求項7】
第1側部(104)と第2側部(105)とを更に備え、前記第1側部(104)に第1補助反射面(1041)と第2補助反射面(1042)とが設けられ、前記第1補助反射面(1041)と前記第2補助反射面(1042)とが、それぞれ異なる光調節部位(1034,1035)からの光線を受けて反射するように構成されていることを特徴とする請求項4記載のコリメーター(100)。
【請求項8】
前記光入射面(101)は弧の形状を有していることを特徴とする請求項1記載のコリメーター(100)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のコリメーター(100)を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項10】
請求項9記載の照明装置を備えたことを特徴とする自動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件出願は、自動車両の照明の技術分野、特にコリメーター、照明装置、および自動車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の照明においては通常、所望の配光やパターンの出射光を形成するように光源から放出された光を調節するのに光学素子が用いられている。そして、出て行く光が照明ないし信号表示機能を満たすように光出射面によって誘導、即ち目標方向へ出射させられる。光出射面が大きかったり光学素子に光入射面ないし光取入口が1つしか設けられていなかったりする場合には、均質な照明効果を確保することが困難である。
【0003】
従来の設計では、大きな角度しか用いられない光線の部位が光出射面に設けられている。この部位では弱い光やエネルギーで大きな面積を照らすことが必要とされるため、この部位の輝度が別の部位の輝度よりも低くなってしまったり、規制の要求を満たすことができないことさえあったりする。コリメーターにおける光入射面の中央部位では(2つの側部に比べて)小さな角度の光線が、この部位で一旦屈折させられた後では完全に反射されることなく光出射角を満たすことができる。かくして多くの場合、光出射面の中央部位が最も高い輝度を有している。
【発明の概要】
【0004】
従って、本件出願の目的は、上述した技術的問題を少なくとも部分的に解決することのできるコリメーターを提供することである。
【0005】
本件出願によるコリメーターであって、自らを通じて光源からの光線を当該コリメーターへ入射させることを可能とするように構成された光入射面と、光入射面を通じて当該コリメーターへ入射して当該コリメーターによってコリメート(平行化)された光線を出射させるように構成された光出射面とを備え、光配分部分を更に備えたコリメーターが提供される。
【0006】
本件出願の非限定的な実施形態によれば、光配分部分は、第1反射面と第2反射面とを備え、第1反射面は、光入射面を通じて当該コリメーターへ入射する光線を第2反射面に向かって反射するように構成されている。
【0007】
本件出願による非限定的な実施形態において、第1反射面は、段状の構造を伴った完全反射面である。
【0008】
本件出願による非限定的な実施形態において、第2反射面は光調節部位を備え、光調節部位は、当該光調節部位へ入射する光線の出射角を再配分するように構成されている。
【0009】
本件出願による非限定的な実施形態において、光調節部位は、第2反射面の主平面に対する傾斜角を有した枕形状の光学的な表面を備えている。
【0010】
本件出願による非限定的な実施形態において、光出射面は、異なる複数の光調節部位からの光線をそれぞれ出射させる異なる複数の光出射部位を備えている。
【0011】
本件出願による非限定的な実施形態において、当該コリメーターは第1側部と第2側部とを更に備え、第1側部に第1補助反射面と第2補助反射面とが設けられ、第1補助反射面と第2補助反射面とが、それぞれ異なる光調節部位からの光線を受けて反射するように構成されている。
【0012】
本件出願による非限定的な実施形態において、光入射面は弧の形状を有している。
【0013】
本件出願は更に、これらの実施形態のいずれかによるコリメーターを備えた照明装置を提供するものである。
【0014】
本件出願は更に、上述の照明装置を備えた自動車両を提供するものである。
【0015】
上述した技術的解決策を採用することによって、本件出願のコリメーターは次の有益な効果を有するものである:本件出願のコリメーターは全体に均一な照明効果を有し、コリメーターによって占有される空間の節約を可能とする(それにより、ランプがよりコンパクトな構造を有することが可能となる)ように光出射面が大きな幅を有している場合であっても、均一な照明効果が保証され得る。
【0016】
本件出願は以下、図面との関連において更に説明されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本件出願によるコリメーターの正面図。
図2】本件出願によるコリメーターの正面図。
図3】本件出願による光配分構造の模式図。
図4】本件出願による光配分構造の所でのコリメーターの光路図。
図5】本件出願によるコリメーターの第2反射面の所での光路図I
図6】本件出願によるコリメーターの第2反射面の所での光路図I
図7】本件出願によるコリメーターの第2反射面の所での光路図I
【発明を実施するための形態】
【0018】
本件出願の諸実施形態を以下で例示する。当業者は十分に理解すべきであるように、説明される諸実施形態は、本件出願の概念を逸脱することなく種々のやり方で変更され得る。かくして、添付図面および明細書は、本質的に例証的かつ非限定的なものである。以下の文章において、同一の参照符号は全般的に、機能的に同一ないし類似の要素を示している。
【0019】
「第1」「第2」、「第3」などのような用語が、本件出願において様々な情報の項目を記述するのに用いられ得るが、それらのような情報の項目は、これらの用語に限定されるべきではない、ということを理解されたい。これらの用語は、同じ型式の情報の項目同士を区別するためだけに用いられるのである。例えば、本件出願の範囲を逸脱することなく、ある情報の第1項目が情報の第2項目と呼ばれてもよく、同様に、ある情報の第2項目が情報の第1項目と呼ばれてもよい。文脈に応じて、本明細書で用いられる場合の語「もし…ならば(if)」は、「…場合には(when ...)」や「…のときには(at the time of ...)」や「限定に応じて(in response to determination)」とも解釈され得る。
【0020】
本件出願の明細書において、「縦」、「横」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などのような用語によって示される向きや位置関係は通常、図面に示される向きや位置関係に基づいており、言及される装置や要素が特定の向きを有するか特定の向きで構成ないし作動されねばならないと示したり暗示したりするのではなく、本件出願の説明の便宜や明細書の簡潔性を図るだけのものである。従って、それらは本件出願の保護範囲の限定として理解すべきではない。
【0021】
図1および図2は、それぞれ本件出願のコリメーター100の正面図および側面図である。コリメーター100は、光入射面101と光出射面102とを備えている。その光入射面101は、光源からの光が当該光入射面101を通じてコリメーター100へ入射することを可能とするように構成されている。光出射面102は、光入射面101を通じてコリメーター100へ入射して当該コリメーターによってコリメートされる光線を出射させるように構成されている。
【0022】
光出射面が均一な照明効果を作り出すようにするためには、光出射面における光線のエネルギーが均等に配分されることを確保する必要がある。従って、本件出願は、光線の配分を再配分するための光配分部分103をもたらすものである。図2に示すように、光配分部分103は、コリメーター100上における段状の構造となっている。
【0023】
一例では、光配分部分103が第1反射面1031と第2反射面1032とを備えている。第1反射面1031と第2反射面1032の両者が完全反射面であることが好ましい。光入射面101を通じてコリメーター100へ入射する光線が、第1反射面1031と第2反射面1032とで2回完全反射されて、光出射面102の所で略平行なビームを生じさせ、光出射面102での略均一な光の配分を達成するのである。
【0024】
図2より、第1反射面1031が、段状の構造を伴った完全反射面であって、光入射面101を通じてコリメーター100へ入射する光線を第2反射面1032に向かって反射するように構成されていることが明らかである。第1反射面1031は、光入射面101を通じてコリメーター100へ入射する全ての光線を受けて、それらの光線を第2反射面1032に向かって反射するのである。そして、第2反射面1032を介して再配分および方向付けが達成される。図4は、本件出願によるコリメーターにおける光配分構造の所での光路図である。
【0025】
一例において図3に示すように、第2反射面1032は具体的には、自らへ入射する光線の出射角を再配分する光調節部位1034および1035を備えている。光調節部位1034および1035は、第2反射面1032の主平面に対して異なる傾斜角を有した複数の枕形状の光学的な表面を備えている。図5から図7は、第2反射面の所での互いに対応する光路図である。図5から図7に示すように、光調節部位1034および1035は、第1反射面1031を介して当該光調節部位内へと反射された光線を再配分およびコリメートする。
【0026】
光出射面102は、異なる光調節部位1034および1035からの光線をそれぞれ出射させる異なる複数の光出射部位(図示せず)を備えている。
【0027】
具体的には図5から図6に示すように、コリメーターの光入射面の中央部位では、低角度の光線が、この部位の第1反射面1031によって反射されてから第2完全反射面1032に到達し、当該光線が第2反射面1032の光調節部位によって調節された後、その出射方向が、実質的に光入射面に面した部位から、コリメーターの左側に近い部位へと変化する。その結果、元々は最高の輝度を有している光出射面102の中央部位の輝度が、本来の輝度と比べて僅かに低下させられる。図7に示すように、コリメーターの光入射面の両側については、高角度の光線が、この部位の第1反射面1031によって反射されてから第2完全反射面1032に到達し、第2反射面1032によって反射された後で光出射面に到達する。高角度の光線が、図5および図6に示すように調節された光線と一緒になることで、コリメーターの左側の光出射部位が調節後には中央部位と略同じ輝度を有していることを確保することができる。
【0028】
第2反射面1032の光調節部位1034および1035による調節後には、左側の(元々は、より低い輝度を有する)光出射部位は今や、より多くのエネルギー配分を有し、中央の(元々は、より高い輝度を有する)光出射部位は今や、減少したエネルギー配分を有している。その結果、光出射面102が均一な光出射効果を生じさせるのである。
【0029】
図3および図5から図7に示す例において、光調節部位は、2つの傾斜角を有した枕形状の光学的な表面を備えている。光調節部位1034および1035における枕形状の光学的な表面の設定モード、位置、および数は、実際のニーズに応じて、具体的には光源の輝度、コリメーターの寸法、光出射面の寸法、その他の要因に応じて選択され得るが、それらの要因は本件出願において具体的に限定されることはない。
【0030】
コリメーター100は、第1側部104と第2側部105とを更に備えている。一例では図1から図2に示すように、第1側部104の長さが第2側部105の長さよりも長くなっている。側部同士が異なる長さを有している場合、本件出願の設計によって生み出される光の均質化の効果がより顕著なものとなるのである。
【0031】
一例では図1から図2に示すように、第1側部104に第1補助反射面1041と第2補助反射面1042とが設けられている。第1補助反射面1041と第2補助反射面1042とは、それぞれ異なる光調節部位からの光線を受けて反射するように構成されている。各補助反射面は、光線の略平行な出射を更に確保するよう、光線の光出射角を調節するように設定されていてよい。補助反射面は、光配分部分103によって調節された光線のエネルギー配分には影響を与えない。
【0032】
本件出願のある一例によれば、第1側部104および第2側部105は、完全反射面であることが好ましく、略平坦なプロファイルを有することができる。
【0033】
一例では、光入射面101が弧の形状を有している。弧は、コリメーター100の内側へと嵌入した弧であることが好ましい。従来のコリメーターの光入射面に比べて、弧の形状の光入射面101は、均一な出光配分により繋がりやすいのである。
【0034】
また図1および図2に示すように、光出射面102は、光パターンが照明上の規制の要求を満たすことを可能とする歯状の構造を有している。
【0035】
好適な例において、コリメーター100は、製造プロセスを簡素化してコストを減らすように一体的に形成され、出来れば透明なプラスチック材料、例えばPMMAやポリカーボネートなどを成型することによって一体的に製造される。
【0036】
随意の例において、光源106は発光ダイオードであることが好ましい。
【0037】
本件出願によるコリメーターは、自動車両の照明装置や信号表示装置、例えばテールライト(尾灯)やシグナルライト(信号灯)に適用可能である。
【0038】
本件出願のコリメーターは、全体として均一な照明効果を有し、コリメーターによって占有される空間の節約を可能とする(それにより、ランプがよりコンパクトな構造を有することが可能となる)ように光出射面が大きな幅を有している場合であっても、均一な照明効果を確保することができる。
【0039】
本件出願は更に、コリメーター100を備えた照明装置を提供するものである。
【0040】
また、本件出願は更に、上述の照明装置を備えた自動車両を提供するものである。
【0041】
本件出願による照明装置および自動車両は、少なくともコリメーター100によってもたらされる有益な効果を有している。
【0042】
当業者にとっては、本件出願が上記の例示的な諸実施形態の詳細に限定されるものではなく、本件出願の趣旨や本質的特徴を逸脱することなく本件出願を別な特定の形態で実施することができる、ということは明らかである。かくして、どの視点をとるかに拘わらず、各実施形態は例示的かつ非限定的なものであると見做されるべきであり、本件出願の範囲は添付特許請求の範囲によって定められるのであって上記説明によってではなく、従って各請求項における均等な必須要素の意味や範囲の内に入る全ての変更が本件出願に包含されることが企図されている。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、関連した請求項を限定するものと解釈すべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】