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特表2024-545542推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造
(51)【国際特許分類】
   F02K 9/96 20060101AFI20241203BHJP
   B64G 1/40 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
F02K9/96
B64G1/40 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559112
(86)(22)【出願日】2023-08-15
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2023113063
(87)【国際公開番号】W WO2024087811
(87)【国際公開日】2024-05-02
(31)【優先権主張番号】202211338484.1
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520468807
【氏名又は名称】西安航天発動机有限公司
【氏名又は名称原語表記】Xi’an Space Engine Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.69, 2nd Shenzhou Rd., Aerospace Industrial Base, Yanta District, Xi’an,Shaanxi,710100,China
(74)【代理人】
【識別番号】100207561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳元 八大
(72)【発明者】
【氏名】杜 疆
(72)【発明者】
【氏名】許 桐▲イェ▼
(72)【発明者】
【氏名】段 立立
(72)【発明者】
【氏名】胡 敏
(72)【発明者】
【氏名】範 文強
(72)【発明者】
【氏名】呉 振中
(72)【発明者】
【氏名】趙 晶軍
(57)【要約】
本発明は、ロケットエンジン試験装置の技術分野に属し、試験時に推力室のヘッドを密封するために使用される特に推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造に関する。この推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造は、第1密封部材と、第2密封部材と、第3密封部材とを含み、第1密封部材及び第2密封部材は、いずれも推力室のヘッドに環状の密封面を形成し、第1密封部材、第2密封部材及び第3密封部材の密封面は、外から内へ順に設けられ、共同で推力室のヘッドを密封し、第1密封部材は、試験負荷力を推力室ヘッドフランジに伝達し、第2密封部材は、試験負荷力を推力室ヘッドフランジの背面に伝達し、第3密封部材は、試験負荷力を試験装置の底座に伝達する。試験過程における高圧負荷は、それぞれ第1密封部材、第2密封部材及び第3密封部材に作用することによって、各密封部材の安全係数が向上し、高圧試験状況での密封部材の応力レベルが減少する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験時に推力室(24)のヘッドを密封するために使用される推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造であって、
第1密封部材と、第2密封部材と、第3密封部材とを含み、
第1密封部材及び第2密封部材は、いずれも推力室(24)のヘッドに環状の密封面を形成し、第1密封部材、第2密封部材及び第3密封部材の密封面は、外から内へ順に設けられ、共同で推力室(24)のヘッドを密封し、
第1密封部材は、試験負荷力を推力室ヘッドフランジ(26)に伝達し、第2密封部材は、試験負荷力を推力室ヘッドフランジ(26)の背面に伝達し、第3密封部材は、試験負荷力を試験装置の底座に伝達することを特徴とする、推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造。
【請求項2】
前記第1密封部材は、端面シールフランジ(3)と、第1リンク(13)と、第1ゴムリング(17)と、第1ストッパ(18)とを含み、
前記端面シールフランジ(3)は、リング状構造であり、推力室ヘッドフランジ(26)に第1リンク(13)を介して着脱可能に接続され、
端面シールフランジ(3)の推力室ヘッドフランジ(26)に貼合される端面には、第1シール溝が設けられ、第1シール溝は、環状であり、端面シールフランジ(3)の周方向全体において延在し、
第1シール溝内には、第1ゴムリング(17)及び第1ストッパ(18)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造。
【請求項3】
前記第1リンク(13)は、ボルトであり、端面シールフランジ(3)の通孔を通過して推力室ヘッドフランジ(26)のネジ穴に接続されることを特徴とする、請求項2に記載の推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造。
【請求項4】
前記第2密封部材は、シールフランジ(4)と、第1スライダ(5)とを含み、
前記第1スライダ(5)は、リング状構造であり、端面シールフランジ(3)の内側に位置し、第1スライダ(5)と端面シールフランジ(3)の内側面との間には、リング状の外シールチャンバが形成され、第1スライダ(5)の外側面には、外シールチャンバに入り込む第1パッキンが設けられ、前記第1パッキンは、外シールチャンバの推力室(24)に近い端に位置し、その外側面が端面シールフランジ(3)の内側面に貼合され、前記外シールチャンバ内には、第1シールリング部材が設けられ、
前記シールフランジ(4)は、端面シールフランジ(3)の推力室ヘッドフランジ(26)に背向する側に位置し、シールフランジ(4)は、リング状構造であり、下端が外シールチャンバ内に入り込んで第1シールリング部材に当接し、シールフランジ(4)の下端の外側面には、第1位置決め段差(27)が設けられ、第1位置決め段差(27)は、端面シールフランジ(3)の端面に当接して端面シールフランジ(3)の内側面に貼合されて位置決めし、
第1スライダ(5)と、シールフランジ(4)とは、着脱可能に固定接続され、シールフランジ(4)は、第1接続部材を介して推力室ヘッドフランジ(26)に着脱可能に接続されることを特徴とする、請求項2に記載の推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造。
【請求項5】
前記第1接続部材は、固定フランジ(1)と、アダプタ(2)と、第2リンク(14)とを含み、
前記固定フランジ(1)は、リング状構造であり、その最小内径が推力室ヘッドフランジ(26)の外径よりも大きく、
前記アダプタ(2)は、弧形板であり、対応する中心角が180°以下であり、
アダプタ(2)の内型面は、推力室ヘッドフランジ(26)の外側面及び下側面の形状に適合し、
アダプタ(2)は、推力室ヘッドフランジ(26)と、固定フランジ(1)との間に位置し、固定フランジ(1)と、シールフランジ(4)とは、第2リンク(14)を介して着脱可能に固定接続されることを特徴とする、請求項4に記載の推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造。
【請求項6】
前記第1シールリング部材は、2つの第2ゴムリング(19)を含み、2つの第2ゴムリング(19)の間には、リング状の第2ストッパ(20)が設けられることを特徴とする、請求項4に記載の推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造。
【請求項7】
前記第3密封部材は、第2スライダ(6)と、押圧蓋(9)とを含み、
前記第2スライダ(6)は、第1スライダ(5)の内側に位置し、第2スライダ(6)の外側面と、第1スライダ(5)の内側面との間には、リング状の内シールチャンバが形成され、第2スライダ(6)の外側面には、内シールチャンバに入り込む第2パッキン(38)が設けられ、第2パッキン(38)は、内シールチャンバの推力室(24)に近い端に位置し、その外側面が第1スライダ(5)の内側面に貼合され、内シールチャンバ内には、第2シールリング部材が設けられ、
前記押圧蓋(9)は、シールフランジ(4)の内側に位置し、押圧蓋(9)の外側面は、第3位置決め段差(34)を有し、押圧蓋(9)は、第3位置決め段差(34)を介してシールフランジ(4)の端面に当接し、シールフランジ(4)の内側面に接合して位置決めし、押圧蓋(9)の第2スライダ(6)に向かう端には、環状の第2位置決め段差(28)が設けられ、前記第2位置決め段差(28)は、内シールチャンバ内に入り込んで第2シールリング部材に当接し、
第2スライダ(6)は、押圧蓋(9)に着脱可能に固定接続され、押圧蓋(9)は、第2接続部材を介して試験装置の底座に着脱可能に固定接続されることを特徴とする、請求項4に記載の推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造。
【請求項8】
前記第2シールリングは、2つの第3ゴムリング(21)を含み、2つの第3ゴムリング(21)の間には、リング状の第3ストッパ(22)が設けられることを特徴とする、請求項7に記載の推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造。
【請求項9】
前記第2パッキン(38)の外径は、推力室(24)のスロート部の直径に適合することを特徴とする、請求項7に記載の推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造。
【請求項10】
前記第2接続部材は、固定座(10)と、タイロッド(11)とを含み、
押圧蓋(9)には、複数の第3接続スタッド(36)が設けられ、固定座(10)における第3接続スタッド(36)に対応する位置には、接続穴(30)が設けられ、第3接続スタッド(36)は、接続穴(30)を通過して第1ナット(15)に接続され、
固定座(10)には、複数の支持座(29)が設けられ、複数の支持座(29)は、固定座(10)の周方向において間隔をおいて均一に分布し、前記タイロッド(11)の一端は、ガスケット(12)及び第3ナット(23)を介して支持座(29)に接続され、他端は、試験装置の底座に取り付けられることを特徴とする、請求項7に記載の推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロケットエンジン試験装置の技術分野に属し、特に推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン推力室は、液体ロケットエンジンにおいて推進剤のエネルギーを変換して推力を発生させる部材であって、液体ロケットエンジンの中核となる部品です。推力室の研究では、設計、材料、製造プロセスなどの問題を解決するだけでなく、各部品の強度及び気密性試験の検証も解決しなければならない重要な問題となっている。
【0003】
そのため、推力室スロート部の密封部材、試験装置の底座、及び取り付けプラットフォームなどと組み合わせて使用され、用于考核推力室の溶接部の溶接品質及び構造静的強度を評価するための推力室ヘッドに使用される密封構造を研究する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的問題は、推力室スロート部の密封部材、試験装置の底座及び取付プラットフォームなどと組み合わせて使用され、推力室に対する試験に使用される推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造を提供することにある。
【0005】
上記の技術的問題を解決するために、本発明の技術的手段は、以下の通りである。
【0006】
試験時に推力室のヘッドを密封するために使用される推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造であって、
第1密封部材と、第2密封部材と、第3密封部材とを含み、
第1密封部材及び第2密封部材は、いずれも推力室のヘッドに環状の密封面を形成し、第1密封部材、第2密封部材及び第3密封部材の密封面は、外から内へ順に設けられ、共同で推力室のヘッドを密封し、
第1密封部材は、試験負荷力を推力室ヘッドフランジに伝達し、第2密封部材は、試験負荷力を推力室ヘッドフランジの背面に伝達し、第3密封部材は、試験負荷力を試験装置の底座に伝達する推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造。
【0007】
前記の推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造において、前記第1密封部材は、端面シールフランジと、第1リンクと、第1ゴムリングと、第1ストッパとを含み、
前記端面シールフランジは、リング状構造であり、推力室ヘッドフランジに第1リンクを介して着脱可能に接続され、
端面シールフランジの推力室ヘッドフランジに貼合される端面には、第1シール溝が設けられ、第1シール溝は、環状であり、端面シールフランジの周方向全体において延在し、
第1シール溝内には、第1ゴムリング及び第1ストッパが設けられる。
【0008】
前記の推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造において、前記第1リンクは、ボルトであり、端面シールフランジの通孔を通過して推力室ヘッドフランジのネジ穴に接続される。
【0009】
前記の推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造において、前記第2密封部材は、シールフランジと、第1スライダとを含み、
前記第1スライダは、リング状構造であり、端面シールフランジの内側に位置し、第1スライダと端面シールフランジの内側面との間には、リング状の外シールチャンバが形成され、第1スライダの外側面には、外シールチャンバに入り込む第1パッキンが設けられ、前記第1パッキンは、外シールチャンバの推力室に近い端に位置し、その外側面が端面シールフランジの内側面に貼合され、前記外シールチャンバ内には、第1シールリング部材が設けられ、
前記シールフランジは、端面シールフランジの推力室ヘッドフランジに背向する側に位置し、シールフランジは、リング状構造であり、下端が外シールチャンバ内に入り込んで第1シールリング部材に当接し、シールフランジの下端の外側面には、第1位置決め段差が設けられ、第1位置決め段差は、端面シールフランジの端面に当接して端面シールフランジの内側面に貼合されて位置決めし、
第1スライダと、シールフランジとは、着脱可能に固定接続され、シールフランジは、第1接続部材を介して推力室ヘッドフランジに着脱可能に接続される。
【0010】
前記の推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造において、前記第1接続部材は、固定フランジと、アダプタと、第2リンクとを含み、
前記固定フランジは、リング状構造であり、その最小内径が推力室ヘッドフランジの外径よりも大きく、
前記アダプタは、弧形板であり、対応する中心角が180°以下であり、
アダプタの内型面は、推力室ヘッドフランジの外側面及び下側面の形状に適合し、
アダプタは、推力室ヘッドフランジと、固定フランジとの間に位置し、固定フランジと、シールフランジとは、第2リンクを介して着脱可能に固定接続される。
【0011】
前記の推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造において、前記第1シールリング部材は、2つの第2ゴムリングを含み、2つの第2ゴムリングの間には、リング状の第2ストッパが設けられる。
【0012】
前記の推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造において、前記第3密封部材は、第2スライダと、押圧蓋とを含み、
前記第2スライダは、第1スライダの内側に位置し、第2スライダの外側面と、第1スライダの内側面との間には、リング状の内シールチャンバが形成され、第2スライダの外側面には、内シールチャンバに入り込む第2パッキンが設けられ、第2パッキンは、内シールチャンバの推力室に近い端に位置し、その外側面が第1スライダの内側面に貼合され、内シールチャンバ内には、第2シールリング部材が設けられ、
前記押圧蓋は、シールフランジの内側に位置し、押圧蓋の外側面は、第3位置決め段差を有し、押圧蓋は、第3位置決め段差を介してシールフランジの端面に当接し、シールフランジの内側面に接合して位置決めし、押圧蓋の第2スライダに向かう端には、環状の第2位置決め段差が設けられ、前記第2位置決め段差は、内シールチャンバ内に入り込んで第2シールリング部材に当接し、
第2スライダは、押圧蓋に着脱可能に固定接続され、押圧蓋は、第2接続部材を介して試験装置の底座に着脱可能に固定接続される。
【0013】
前記の推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造において、前記第2シールリングは、2つの第3ゴムリングを含み、2つの第3ゴムリングの間には、リング状の第3ストッパが設けられる。
【0014】
前記の推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造において、前記第2パッキンの外径は、推力室のスロート部の直径に適合する。
【0015】
前記の推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造において、前記第2接続部材は、固定座と、タイロッドとを含み、
押圧蓋には、複数の第3接続スタッドが設けられ、固定座における第3接続スタッドに対応する位置には、接続穴が設けられ、第3接続スタッドは、接続穴を通過して第1ナットに接続され、
固定座には、複数の支持座が設けられ、複数の支持座は、固定座の周方向において間隔をおいて均一に分布し、前記タイロッドの一端は、ガスケット及び第3ナットを介して支持座に接続され、他端は、試験装置の底座に取り付けられる。
【0016】
推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造は、以下の利点を有する。
【0017】
試験過程における高圧負荷は、各密封部材が力を受ける面積の割合に応じて3つに分けてそれぞれ第1密封部材、第2密封部材及び第3密封部材に作用する。これによって、各密封部材のネジ山の安全係数が向上し、高圧試験状況での密封部材の応力レベルが低減し、密封信頼性が向上する。
【0018】
第2密封部材、第3密封部材を取り付ける過程において、第2ゴムリング、第3ゴムリングを合わせ面に取り付ける際に、締め代、即ち、圧縮量がない。取り付けが完了した後、第1締付ナット及び第2締付ナットを締めることで、第2ゴムリング及び第3ゴムリングは拡張して径方向に沿って圧縮される。圧縮量は、通常約25%に設定される。これによって、取り付けの難しさが低減し、ゴムリングの圧縮量が増大し、密封構造の信頼性が向上する。
【0019】
流体力学のプレートギャップ流動原理に基づいて、流体の漏れ量はシール長さの二乗に反比例するため、構造設計により、第2密封部材及び第3密封部材のそれぞれに2つのゴムリングを使用することによって、密封の信頼性を効果的に向上できる。金属ストッパによりシール溝のシール長さが増加し、締付ナットを設けることにより、ゴムリングの圧縮量の定量的制御が実現され、密封構造の信頼性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の実施例又は従来技術における技術的手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介する。明らかなように、以下の図面は、本発明のいくつかの実施例だけであり、当業者が創造的努力なしでこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0021】
図1】組立自緊式密封構造と推力室ヘッドとの組立状態の構造模式図である。
図2図1におけるA領域の局所拡大図である。
図3】固定座の構造模式図である。
図4図3におけるB-B断面の構造模式図である。
図5】押圧蓋の構造模式図である。
図6】押圧蓋の上面構造模式図である。
図7】第2スライダの構造模式図である。
図8】第2スライダの上面構造模式図である。
【0022】
符号の説明
1-固定フランジ;2-アダプタ;3-端面シールフランジ;4-シールフランジ;5-第1スライダ;6-第2スライダ;7-第1締付ナット;8-第2締付ナット;9-押圧蓋;10-固定座;11-タイロッド;12-ガスケット;13-第1リンク;14-第2リンク;15-第1ナット;16-第2ナット;17-第1ゴムリング;18-第2ゴムリング;19-第2ゴムリング;20-第2ストッパ;21-第3ゴムリング;22-第3ストッパ;23-第3ナット;24-推力室;25-第1接続スタッド;26-推力室ヘッドフランジ;27-第1位置決め段差;28-第2位置決め段差;29-支持座;30-接続穴;31-第1補強材;32-第2補強材;33-第3補強材;34-第3位置決め段差;35-接続チャンバ;36-第3接続スタッド;37-第2接続スタッド;38-安全係数。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施例により本発明をさらに説明する。
【0024】
推力室ヘッド用の組立自緊式密封構造は、試験時に推力室24のヘッドを密封するために使用される。組立自緊式密封構造は、第1密封部材と、第2密封部材と、第3密封部材とを含む。第1密封部材は、推力室24のヘッドに環状密封面を形成し、第1リンク13を介して試験負荷力を推力室ヘッドフランジ26のネジ穴に伝達する。第2密封部材は、推力室24のヘッドに環状密封面を形成し、第2リンク14を介して試験負荷力を推力室ヘッドフランジ26の背側に伝達する。第3密封部材は、タイロッド11を介して試験負荷力を試験装置の底座に伝達する。第1密封部材、第2密封部材及び第3密封部材の密封面は、外から内へ順に設けられ、共同で推力室のヘッドを密封する。第1密封部材、第2密封部材及び第3密封部材は、推力室24の軸方向位置に設けられ、互いに固定接続されないため、軸方向力の伝達が発生しない。別体式構造設計により、各受力部品の応力レベルが減少し、推力室24に対する試験多余力の影響が最小限に低減される。
【0025】
図1及び図2に示すように、第1密封部材は、端面シールフランジ3と、第1リンク13と、第1ゴムリング17と、第1ストッパ18とを含む。
【0026】
端面シールフランジ3は、推力室ヘッドフランジ26の端面の形状に適合し、リング状であり、内孔を有する。使用する際に、端面シールフランジ3と推力室ヘッドフランジ26は、第1リンク13を介して着脱可能に一体に接続される。好ましくは、第1リンク13は、ボルトであり、端面シールフランジ3の通孔を通過して推力室ヘッドフランジ26のネジ穴に接続される。
【0027】
端面シールフランジ3の推力室ヘッドフランジ26に貼合される端面には、第1シール溝が設けられる。第1シール溝は、環状であり、端面シールフランジ3の周方向全体において延在する。図2に示すように、第1シール溝内には、第1ゴムリング17及び第1ストッパ18が設けられる。第1ゴムリング17は、O型ゴムリングである。第1ストッパ18は、リング状であり、全体として第1シール溝内に嵌入され、これによって、漏れ通路におけるシール長さが増大し、密封構造の信頼性が向上し、部品の組み立ての難しさが低下する。
【0028】
第2密封部材は、シールフランジ4と、第1スライダ5と、第1接続部材と、第1シールリング部材と、第1締付ナット7とを含む。第1接続部材は、シールフランジ4と、推力室ヘッドフランジ26とを着脱可能に接続するために使用され、固定フランジ1と、アダプタ2と、第2リンク14と、第2ナット16とを含む。第1シールリング部材は、2つの第2ゴムリング19と、1つの第2ストッパ20とを含む。
【0029】
第1スライダ5は、端面シールフランジ3の内側に位置する。第1スライダ5の外側面は、端面シールフランジ3の内側面に接合して密封を達成する。第1スライダ5は、リング状構造であり、内孔を有する。第1スライダ5の推力室24に向かう側面には環状溝が設けられ、これによって、重量が減少するとともに、第1スライダ5の密封効果が向上する。第1スライダ5と、端面シールフランジ3の内側面との間には、環状の外シールチャンバが形成される。第1スライダ5の外側面には、外シールチャンバに入り込む第1パッキンが設けられる。第1パッキンは、推力室24の近傍に設けられる。第1パッキンの外側面は、端面シールフランジ3の内側面に貼合される。外シールチャンバ内には、第1シールリング部材が設けられる。第1シールリング部材は、2つの第2ゴムリング19を含む。2つの第2ゴムリング19の間には、第2ストッパ20が設けられる。第2ストッパ20は、完全なリング状である。第2ストッパ20は、全体として外シールチャンバ内に嵌入される。第2ストッパ20の前後側には、それぞれ第2ゴムリング19が設けられ、これによって、漏れ通路におけるシール長さが増大し、密封構造の信頼性が向上する。
【0030】
シールフランジ4は、端面シールフランジ3の推力室ヘッドフランジ26に背向する側に位置する。シールフランジ4は、環状構造であり、内孔を有し、その下端が外シールチャンバ内に入り込み、第2ゴムリング19に当接する。シールフランジ4の外側面には、第1位置決め段差27が設けられる。第1位置決め段差27は、端面シールフランジ3の端面に当接し、端面シールフランジ3の内側面に貼合されることにより、シールフランジ4の位置決めを実現する。第1スライダ5には、第1接続スタッド25が溶接され、第1接続スタッド25と第1締付ナット7の螺合により第1スライダ5とシールフランジ4の固定接続を実現する。
【0031】
固定フランジ1は、完全な環状構造であり、その最小内径が推力室ヘッドフランジ26の外径よりも大きい。好ましくは、固定フランジ1の最小内径は、推力室ヘッドフランジ26の外径よりも0.5mm-1mm大きい。これによって、設備を組み立てる際に、推力室ヘッドフランジ26が固定フランジ1の内孔を通過できることで、固定フランジ1が推力室ヘッドフランジ26の多方側に到達することができる。即ち、図1に示される状態では、固定フランジ1は、推力室ヘッドフランジ26の下側に位置する。
【0032】
アダプタ2は、弧形板であり、対応する中心角が180°以下である。アダプタ2の内型面は、推力室ヘッドフランジ26の外側面及び下側面に貼合される。使用する際に、アダプタ2は、推力室ヘッドフランジ26と固定フランジ1との間に位置し、固定フランジ1と、シールフランジ4は、第2リンク14を介して着脱可能に接続される。第2リンク14は、ボルトであってもよく、第2ナット16と組み合わせて使用することにより固定フランジ1とシールフランジ4の確実な接続を実現する。
【0033】
第3密封部材は、第2スライダ6と、押圧蓋9と、第2接続部材と、第2シールリング部材と、第2締付ナット8と、第1ナット15とを含む。第2接続部材は、固定座10と、タイロッド11と、ガスケット12と、第3ナット23とを含み、押圧蓋9と、試験装置の底座とを着脱可能に接続するために使用される。第2シールリング部材は、2つの第3ゴムリング21及び1つの第3ストッパ22を含む。
【0034】
第2スライダ6は、第1スライダ5の内側に位置し、図7及び図8に示すように、第2スライダ6は、円盤状であり、その下側の端面には、重量を減少させるために凹溝が形成される。第2スライダ6の外側面は、第1スライダ5の内側面に接合して密封を実現する。第2スライダ6と第1スライダ5の内側面との間には、リング状の内シールチャンバが形成される。第2スライダ6の外側面には、内シールチャンバに入り込む第2パッキン38が設けられる。第2パッキン38は、内シールチャンバの推力室24に近い端に位置し、その外側面が第1スライダ5の内側面に貼合される。第2シールリング部材は、内シールチャンバ内に位置する。第3ストッパ22は、2つの第3ゴムリング21の間に位置する。第3ゴムリング21は、好ましくはO型シールリングである。第3ストッパ22は、完全なリング状であり、全体として内シールチャンバに内嵌される。第3ストッパ22の前後側には、それぞれ第3ゴムリング21が設けられる。これによって、漏れ通路におけるシール長さが増大し、密封構造の信頼性が向上する。
【0035】
さらに、第2パッキン38の外径は、推力室24のスロート部の直径に適合する。即ち、第2パッキン38の外径は、推力室24のスロート部の直径とほぼ等しい。第2スライダ6が受ける軸方向の力は、スロート部密封装置が受ける軸方向の力と同じである。この場合、第1密封部材、第2密封部材及び推力室24を力学解析の対象とすると、外力の合力はゼロである。つまり、推力室24に対して余分な力をほぼ加えないことで、推力室24の全体には不要な軸方向の変形が発生しないことが保証される。
【0036】
押圧蓋9は、シールフランジ4の内側に位置し、図5及び図6に示すように、押圧蓋9の外側面は、第3位置決め段差34を有する。押圧蓋9は、第3位置決め段差34を介してシールフランジ4の端面に当接し、シールフランジ4の内側面に接合して位置決めする。押圧蓋9の第2スライダ6に向かう端には、環状の第2位置決め段差28が設けられる。第2位置決め段差28は、内シールチャンバ内に入り込み、第3ゴムリング21に当接する。第2スライダ6には、第2接続スタッド37が溶接され、第2接続スタッド37と第2締付ナット8との接続により第2スライダ6と押圧蓋9との固定接続を実現する。
【0037】
押圧蓋9には、第3接続スタッド36が溶接され、図3及び図4に示すように、固定座10の第3接続スタッド36に対応する位置には接続穴30が形成される。接続穴30は、単なる穴である。第3接続スタッド36は、接続穴30を通過して第1ナット15に接続され、押圧蓋9と固定座10との固定接続を実現する。固定座10の上端には、複数の支持座29が設けられる。複数の支持座29は、固定座10の周方向に間隔をおいて均等に分布する。タイロッド11の一端は、ガスケット12及び第3ナット23を介して支持座29に接続され、他端は、ピン軸を介して試験装置の底座に取り付けられる。
【0038】
さらに、固定座10の強度を強化するために、固定座10の内腔には、第1補強材31、第2補強材32、及び第3補強材33が設けられる。
【0039】
組立自緊式密封構造を推力室24の試験に使用する際に、取り付ける前に第1ゴムリング17、第1ストッパ18、第2ゴムリング19、第2ストッパ20、第3ゴムリング21、第3ストッパ22に亀裂、分化、劣化などの現象があるか、各部材のネジ山に損傷があるかをチェックする必要がある。ある場合、交換又は修復する。取り付ける際に、第1密封部材、第2密封部材及び第3密封部材を順に取り付ける。具体的な手順は、以下の通りである。
【0040】
a.第1ゴムリング17及び第1ストッパ18を図2に示す状態で第1シール溝内に入れ、第1リンク13を介して端面シールフランジ3を推力室ヘッドフランジ26のネジ穴に螺合して接続し、第1密封部材の取り付けを完成させる。端面シールフランジ3の内孔は、第2密封部材の位置決め孔として作用することができる。
【0041】
b.第1スライダ5を端面シールフランジ3の内孔に入れ、そして第2ゴムリング19及び第2ストッパ20を図2に示される状態で外シールチャンバ内に取り付ける。
固定フランジ1を推力室ヘッドフランジ26を通過させ、推力室24の外側に外嵌する。
シールフランジ4を端面シールフランジ3の上方に位置させ、第1位置決め段差27を介して端面シールフランジ3の内孔に接合して位置決めする。
その後、アダプタ2の内側面を推力室ヘッドフランジ26の外側面に貼合し、固定フランジ1をアダプタ2に移動させ、アダプタ2の外側の底面を固定フランジ1の段差面に貼合する。
固定フランジ1を第2リンク14、第2ナット16によりシールフランジ4に固定接続させ、第1スライダ5を第1接続スタッド25、第1締付ナット7によりシールフランジ4に固定接続させ、第1締付ナット7を少し締めればよい。
第2密封部材の取り付けが完成し、この場合、シールフランジ4の内孔は、第3密封部材の位置決め孔として作用することができる。
【0042】
c.第2スライダ6を第1スライダ5内に置き、第3ゴムリング21及び第3ストッパ22を図2に示す状態で内シールチャンバ内に取り付ける。
押圧蓋9をシールフランジ4内に置き、第3位置決め段差34がシールフランジ4の端面に当接し、シールフランジ4の内側面に接合して位置決めする。第2スライダ6は、第2接続スタッド37、第2締付ナット8により押圧蓋9に固定接続され、第2締付ナット8を少し締めればよい。
固定座10を押圧蓋9の上側に置き、押圧蓋9は、第3接続スタッド36、第1ナット15を介して固定座10に固定接続される。
ガスケット12、第3ナット23を介して固定座10とタイロッド11を固定接続し、第3密封部材の取り付けが完成される。
【0043】
上記の手順に従って第1密封部材、第2密封部材及び第3密封部材を取り付けた後、すべての留め具のネジを締め、第1締付ナット7と第2締付ナット8を締めることで、第2ゴムリング19、第3ゴムリング21は拡張可能で、表面にシール差圧が発生して確実なシールを確保し、自己締め付けとシールを組み合わせることで取り付けが完了する。第1締付ナット7及び第2締付ナット8は、いずれも市販されているナットを使用してもよく、スタッドとの着脱可能な接続を実現できればよい。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施例を開示したが、本発明を制限するものではない。本発明の思想及び範囲内であれば、当業者が前記方法及び技術的手段に様々な変更及び修正することができる。そのため、本発明の技術的手段から逸脱しない内容であれば、本発明の実質的な技術的手段に基づいて上記の実施例に加えた任意の簡単な修正、同等変化及び就職は、全て本発明の技術的手段の保護範囲に含まられる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】