(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】熱化学的熱エネルギを連続的に発生させるための流動層反応器、並びに対応する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
B01J 8/24 20060101AFI20241203BHJP
F28D 13/00 20060101ALI20241203BHJP
F27B 15/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B01J8/24 311
F28D13/00
F27B15/00
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024522032
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2021080274
(87)【国際公開番号】W WO2023072415
(87)【国際公開日】2023-05-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506425251
【氏名又は名称】スミトモ エスエイチアイ エフダブリュー エナージア オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ロズネル,テーム
【テーマコード(参考)】
3L103
4G070
4K046
【Fターム(参考)】
3L103AA31
4G070AA01
4G070AB07
4G070BA02
4G070BB34
4G070CA06
4G070CA07
4G070CA08
4G070CB02
4G070CB16
4G070CC01
4G070CC02
4G070CC20
4G070DA23
4K046HA03
4K046JD05
(57)【要約】
1)アルカリ土類金属若しくは元素形態のLi、B、Mg、Al、Si、Fe及びZnから成る群からの金属のうち1つの固体粒子と、スチーム、空気、酸素等の気体若しくは蒸気形態の酸化剤、又は、2)アルカリ土類金属若しくは酸化形態の上記金属のうち1つの固体粒子と、水酸化物を得るための気体若しくは蒸気形態の水和化合物、の反応のうち1つを用いて熱化学的熱エネルギを連続的に発生させる流動層反応器に関する。反応器は、反応器チャンバ及びその第1の端部に配置され固体粒子を反応器内へ供給する入口を備える。反応器チャンバ内に流動化ステージのアレイを配置し、流動化ステージの各々は、反応開始進行用に反応性流動化剤により固体粒子を流動化する複数のノズルを備える。流動化ステージは、反応による放出熱を選択的に回収する1つ以上の熱交換器を備える。反応材料排出用に、反応器チャンバの第1の端部とは反対側の端部に出口を配置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)アルカリ土類金属、もしくは、元素形態の、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子と、スチームもしくは酸素を含有するガスもしくは蒸気等の気体もしくは蒸気の形態の酸化剤、又は、
2)アルカリ土類金属、もしくは、酸化形態の、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子と、水酸化物を得るための気体もしくは蒸気の形態の水和化合物、
の反応のうち1つを用いることによって熱化学的熱エネルギを連続的に発生させるための流動層反応器(1)であって、
前記反応器(1)は、
反応器チャンバ(10)と、
前記反応器チャンバ(10)の前記第1の端部に配置され、前記固体粒子を前記反応器(1)内へ供給するための入口(2)と、を備え、
前記反応器チャンバ(10)内に、流動化ステージ(3)のアレイが配置され、
前記流動化ステージ(3)の各々は、前記反応を開始させて進行させるため、反応性流動化剤、前記酸化剤、又は前記水和化合物によって前記固体粒子を流動化するための複数のノズル(32)を備え、
流動化ステージ(3)には、前記反応から放出された前記熱を選択的に回収するための1つ以上の熱交換器(4)が備えられ、
反応材料を排出するため、前記反応器チャンバ(10)の前記第1の端部とは前記反対側の端部に出口5が配置されている、流動層反応器(1)。
【請求項2】
気相(スチーム)における酸化カルシウム(CaO)+水(H
2O)->水酸化カルシウム(Ca(OH)
2)の反応からの固体粒子を利用することによって、熱化学的熱エネルギを連続的に発生させるための流動層反応器(1)であって、
前記反応器(1)は、
反応器チャンバ(10)と、
前記反応器チャンバ(10)の前記第1の端部に配置され、CaOの前記固体粒子を前記反応器(1)内へ供給するための入口(2)と、を備え、
前記反応器チャンバ(10)内に、流動化ステージ(3)のアレイが配置され、
前記流動化ステージ(3)の各々は、前記反応を開始させて進行させるため、スチームによってCaOを流動化するための複数の蒸気ノズル(32)を備え、
流動化ステージ(3)には、前記反応において前記固体材料から放出された前記熱を選択的に回収するための1つ以上の熱交換器(4)が備えられ、
Ca(OH)
2を排出するため、前記反応器チャンバ(10)の前記第1の端部とは前記反対側の端部に出口(5)が配置されている、流動層反応器(1)。
【請求項3】
前記流動化ステージ(3)は、1つの区画内に構成されて、前記反応器チャンバ(10)内でのCaO/Ca(OH)
2等の固体粒子の流れを可能とすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の反応器。
【請求項4】
前記反応器(1)は、縦型であり、前記反応器チャンバ(10)において相互に対して垂直方向の位置に構成された前記入口(2)及び前記出口(5)を有することを特徴とする、請求項1から3の何れか一項に記載の反応器。
【請求項5】
前記熱交換器(4)又は複数の熱交換器(4)は、前記反応器チャンバの内壁(11)を形成するように構成されていることを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載の反応器。
【請求項6】
前記反応器には、反応性流動化剤と非反応性流動化剤の混合物を同一のノズル(32)を介して前記反応器チャンバ内へ導入するためのノズル(32、32a)が備えられているか、又は、
前記反応器には、反応性流動化剤と非反応性流動化剤のために別個のノズル(32、32a)が備えられていることを特徴とする、請求項1から5の何れか一項に記載の反応器。
【請求項7】
前記反応器(1)は、断面が円形であり、長さが前記幅よりも大きいことを特徴とする、請求項1から6の何れか一項に記載の反応器。
【請求項8】
前記反応器(1)は、前記反応器チャンバ(10)内に、2つから5つの流動化ステージ(3)、好ましくは3つから4つの流動化ステージ(3)を備えることを特徴とする、請求項1から7の何れか一項に記載の反応器。
【請求項9】
前記反応器(1)は、前記反応を開始させて進行させるために固体粒子を反応性流動化剤によって流動化するための第1のセットのノズル(32)と、固体粒子の流動化を増大させるために前記固体粒子を不活性の又は反応性の低い流動化剤によって流動化するための第2のセットのノズル(32a)と、を備えることを特徴とする、請求項1から8の何れか一項に記載の反応器。
【請求項10】
前記反応器に、余分な流動化剤を排出するためのガス排出チャネル(9)が備えられていることを特徴とする、請求項1から9の何れか一項に記載の反応器。
【請求項11】
1)アルカリ土類金属、もしくは、元素形態の、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子と、スチーム、空気、もしくは酸素等、気体もしくは蒸気の形態の酸化剤、又は、
2)アルカリ土類金属、もしくは、酸化形態の、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子と、水酸化物を得るための気体もしくは蒸気の形態の水和化合物、
の反応のうち1つを用いることによって熱化学的熱エネルギを連続的に発生させるための方法であって、
前記方法は、
反応器チャンバ(10)の第1の端部で前記反応器チャンバ(10)に固体粒子の原材料を供給するステップと、
前記反応を開始させるため、第1の流動化ステージ(3)の流動化ジェットによって前記固体粒子を流動化させるステップと、を含み、
前記反応チャンバ(10)内の熱交換器4に、発生した熱が伝達され、
前記反応器チャンバ(10)の前記第1の端部からの原材料の前記供給を継続させることにより、前記原材料/部分的に反応した材料の混合物をその後の流動化ステージ(3)に移動させ、その流動化ステージ(3)では、流動化ジェットによる混合物の流動化が継続し、前記放出された熱は前記熱交換器(4)によって伝達され、前記流動化が継続するにつれて、前記混合物の組成はより多くの最終材料に変わり、最後の流動化ステージ(3)の後、前記混合物はわずかな割合のみの前記原材料を含み、前記流動化ステージの各々において、前記流動化ストリームの温度、飽和、及び流速によって前記反応の収率が制御され、
前記反応材料は、出口(5)を介して前記反応チャンバから除去される、方法。
【請求項12】
気相(スチーム)における酸化カルシウム(CaO)+水(H
2O)->水酸化カルシウム(Ca(OH)
2)の反応から熱化学的熱エネルギを連続的に発生させるための方法であって、この方法は、
反応器チャンバ10の第1の端部で前記反応器チャンバ(10)にCaOの固体粒子を供給するステップと、
前記反応を開始させるため、第1の流動化ステージ(3)のスチームジェットによってCaOを流動化させるステップと、を含み、
前記反応チャンバ(10)内の熱交換器(4)に、発生した熱が伝達され、
前記反応器チャンバ(10)の前記第1の端部からのCaOの原材料の前記供給を継続させて、前記部分的に反応したCaO/Ca(OH)
2の混合物をその後の流動化ステージ(3)に移動させ、その流動化ステージ(3)では、スチームジェットによる混合物の流動化が継続し、前記放出された熱は前記熱交換器(4)によって伝達され、前記流動化が継続するにつれて、前記CaO/Ca(OH)
2の混合物の組成はより多くのCa(OH)
2に変わり、最後の流動化ステージ(3)の後、前記混合物はわずかな割合のCaOと共にCa(OH)2を含み、前記流動化ステージ(3)の各々において、前記スチーム温度、飽和、及び流速によって前記反応の収率が制御され、
前記反応生成物Ca(OH)
2は、出口(5)を介して前記反応チャンバ(10)から除去される、方法。
【請求項13】
反応性流動化剤としてスチームが導入され、
前記スチームの温度は、流動化ステージ(3)からその後の流動化ステージ(3)まで、徐々に上昇するか、徐々に低下するか、又は同じ状態を維持する、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項14】
スチームノズル(32)における前記スチーム速度は、流動化ステージ3からその後の流動化ステージ(3)まで徐々に低下又は上昇する、請求項8、9又は10に記載の方法。
【請求項15】
反応性流動化剤と非反応性流動化剤の混合物が、前記反応性流動化剤と同じノズルを介してノズルによって前記チャンバ内に導入されるか、又は、
前記反応器には、反応性流動化剤と非反応性流動化剤のために別個のノズルが備えられている、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
1)アルカリ土類金属もしくは元素形態の金属の固体粒子と、スチーム、空気、もしくは酸素等の気体もしくは蒸気の形態の酸化剤、又は、
2)アルカリ土類金属もしくは酸化形態の金属の固体粒子と、水酸化物を得るための気体もしくは蒸気の形態の水和化合物、
の反応のうち1つを用いることにより、反応のうち1つに基づく熱化学的熱エネルギを連続的に貯蔵及び放出するためのシステム(100)であって、
前記システムは、請求項11から15の何れか一項の方法を利用するための、請求項1から10の何れか一項に記載の前記反応器1を備え、
前記システム(100)は更に、原材料のための貯蔵部(6)と、最終材料のための貯蔵部(7)と、前記最終材料を原材料に戻すプロセスのための再生反応器(8)と、を備え、
前記システム(100)は、必要に応じて熱を放出する際、及び、利用可能な場合に熱を貯蔵する際に利用される、システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001] 本発明は、熱化学的熱エネルギを連続的に発生させるための流動層反応器に関する。好適な実施形態によれば、酸化カルシウム+スチーム->水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の反応からの固体粒子を利用することによる。
【0002】
[002] 本発明は、有利には、気相(スチーム)における酸化カルシウム(CaO)+水(H2O)->水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の反応からの熱化学的熱エネルギを連続的に発生させるための対応する方法に関する。
【0003】
[003] また、本発明は、上記の反応及びその逆反応に基づいて熱エネルギを貯蔵及び放出するための対応するシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
[004] 化石燃料は、便利で広く利用可能なエネルギ源であるが、環境的側面のため、代替的な燃料及びエネルギ生成に対する関心が高まっている。従って、発電及び火力発電、輸送車両への動力供給、並びに世界的なエネルギ貿易を含む、化石燃料の多くの不可欠な役割に対して、高エネルギ密度を有する低炭素エネルギ担体を用いた燃料が代替案であることが分かっている。水を用いるCaO等の可逆発熱反応は、高温熱エネルギ貯蔵のための最も有望な反応の1つと考えられる。クリーンエネルギのリサイクル可能担体として、金属燃料は、今後の低炭素経済において化石燃料に代わる有望な代替案である。金属は高エネルギ密度を有し、従って金属は、多くのバッテリ、エネルギ物質、及び推進剤内の燃料である。金属燃料は、空気と共に燃やすか、又は水と反応させて、様々な発電規模で化学エネルギを放出することができる。金属酸素燃焼の生成物は、捕獲した後にクリーンエネルギによって動力供給されるゼロ炭素電解プロセスを用いてリサイクルすることができる固体であり、リサイクル可能ゼロ炭素太陽燃料又は電気燃料(electro fuel)として金属を用いることが可能となる。金属燃料の使用増加に対する主な技術的障壁は、金属燃料の化学エネルギを動力又は電力(エネルギ)に変換するためのクリーンかつ効率的な燃焼器/反応器/エンジン技術が現在は存在しないことである。
【0005】
[005] 国際公開第2021/105467号は、エネルギ貯蔵材料を用いた流動層装置を備えるエネルギ貯蔵のためのシステムを開示する。エネルギ貯蔵材料は、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、BaO、Ba(OH)2、BaCO3、及びMgH2等の金属水酸化物から選択された少なくとも1つを含む。一実施形態において、この流動層装置は少なくとも1つの有孔セパレータを備え、この有孔セパレータは流動層装置内に2つ以上の流動化区画を生成する。これにより、流動層装置に複数の流動化ゾーンを生成する。このような機構では、異なるゾーンにおいて異なる条件を有する可能性がある。有孔セパレータは、少なくとも部分的に小孔を有する(foraminous)。有孔セパレータは、一実施形態において、上方及び下方の流動化ゾーンが生成されるように水平方向に配置されている。別の実施形態では、いくつかの有孔セパレータが複数の流動化ゾーンを生成するように配置されている。有孔セパレータは、条件を異なるように保持できるいくつかの流動化ゾーンを生成するという利点を有する。例えば、温度が異なる可能性がある。例えば第1の予熱の後に第2の加熱によって更に高温にする場合、プロセスをいっそう効率的にすることができる。加圧流体を導入するためのデバイスは、この公報には図示されていない。
【0006】
[006] 本発明の目的は、従来技術の解決策に比べて性能が大幅に向上した、熱化学的熱エネルギを発生させるための改良された流動層反応器を提供することである。この性能は特に、反応器の使用中の信頼性の高い動作、実行可能性、歩留まり、及び効率に関して向上する。また、本発明の目的は、反応を均一に起こすことができる工業規模の反応器を達成することである。本発明の目的は、アルカリ土類金属、又は、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子のための、改良された流動層反応器を提供することである。
【発明の概要】
【0007】
[007] 本発明の目的は、独立請求項及び本発明の異なる実施形態の詳細を記載している他の請求項に開示されているように実質的に達成することができる。
【0008】
[008] 一実施形態によれば、
1)アルカリ土類金属、もしくは、元素形態の、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子と、スチームもしくは酸素を含有するガスもしくは蒸気等の気体もしくは蒸気の形態の酸化剤、又は、
2)アルカリ土類金属、もしくは、酸化形態の、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子と、水酸化物を得るための気体もしくは蒸気の形態の水和化合物、
の反応のうち1つを用いることによって熱化学的熱エネルギを連続的に発生させるための流動層反応器が提供される。
反応器は、
反応器チャンバと、
反応器チャンバの第1の端部に配置され、固体粒子を反応器内へ供給するための入口と、を備え、
反応器チャンバ内に、流動化ステージのアレイが配置され、
流動化ステージの各々は、反応を開始させて進行させるため、反応性流動化剤、酸化剤、又は水和化合物によって固体粒子を流動化するための複数のノズルを備え、
流動化ステージには、反応から放出された熱を選択的に回収するための1つ以上の熱交換器が備えられ、
反応材料を排出するため、反応器チャンバの第1の端部とは反対側の端部に出口が配置されている。
【0009】
[009] 一実施形態によれば、
1)アルカリ土類金属、もしくは、元素形態の、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子と、スチームもしくは酸素を含有するガスもしくは蒸気等の気体もしくは蒸気の形態の酸化剤、又は、
2)アルカリ土類金属、もしくは、酸化形態の、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子と、水酸化物を得るための気体もしくは蒸気の形態の水和化合物、
の反応のうち1つを用いることによって熱化学的熱エネルギを連続的に発生させるための方法が提供される。
方法は、
反応器チャンバの第1の端部で反応器チャンバに固体粒子の原材料を供給するステップと、
反応を開始させるため、第1の流動化ステージの流動化ジェット(fluidizing jet)によって固体粒子を流動化させるステップと、を含み、
反応チャンバ内の熱交換器に、発生した熱が伝達され、
反応器チャンバの第1の端部からの原材料の供給を継続させることにより、原材料/部分的に反応した材料の混合物をその後の(consequent)流動化ステージに移動させ、その流動化ステージでは、流動化ジェットによる混合物の流動化が継続し、放出された熱は熱交換器によって伝達され、流動化が継続するにつれて、混合物の組成はより多くの最終材料に変わり、最後の流動化ステージの後、混合物はわずかな割合のみの原材料を含み、流動化ステージの各々において、流動化ストリームの温度、飽和、及び流速によって反応の収率が制御され、
反応材料は出口を介して反応チャンバから除去される。
【0010】
[0010] 明確さのみを目的として、反応材料という用語は、最終材料、すなわち出口を介して反応チャンバから除去される反応生成物を表す。例えば、気相すなわちスチームにおける酸化カルシウム(CaO)と水(H2O)の反応の場合、反応材料は水酸化カルシウム(Ca(OH)2)である。
【0011】
[0011] 一実施形態によれば、開示されている金属のうち1つが反応器チャンバ内に導入される固体粒子として用いられる場合、かつ、流動化剤が酸素含有ガスである場合、反応器チャンバ内で可燃性条件が生じる。概して、ステージを備えた流動化反応器チャンバと共に金属粉末を用いると、金属が酸化するにつれて可燃性状況が形成される。
【0012】
[0012] 上記に開示されている一般的な反応、反応器、及び方法は、いくつかの固体粒子又は粉末材料(powderous material)に適している。ここで、好適な実施形態のうち1つと関連付けて本発明を更に詳しく説明する。反応は、気相すなわちスチームにおける酸化カルシウム(CaO)+水(H2O)->水酸化カルシウム(Ca(OH)2)である。その理由は、これが、この目的のための最も経済的に実行可能な代替案の1つだからである。別の好適な実施形態は、マグネシウムを用いるもの、すなわち、MgO+H2O→Mg(OH)2である。他の開示されている材料、すなわち、リチウム(Li)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)も使用され得る。以下の開示では、プロセスがCaO/Ca(OH)2の反応を用いるものとして開示されている場合であっても、方法及び反応器は、他の開示されている材料、すなわち、アルカリ土類金属、又は、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つにも直接適用できる。
【0013】
[0013] 一実施形態によれば、固体粒子サイズは、1~1000μm又は1~500μm、又は100~300μmの範囲内とすればよい。固体粒子サイズは、反応自体及び粒子の流動性の双方に対して影響を及ぼし、粒子サイズが小さくなればなるほど反応性と流動性が速くなる。望ましい制御性を得るため、粒子サイズは、必要に応じて、また実際の動作条件に応じて選択することができる。
【0014】
[0014] 本発明の一実施形態によれば、反応性流動化剤、酸化剤、又は水和化合物を導入することに加えて、非反応性流動化剤を反応器に導入してもよい。非反応性流動化剤とは、この場合、反応に関与しないことを意味する。有利には、非反応性流動化剤は粒子の分布を改善するので、化学的に関与しないが反応を促進することができる。本発明の一実施形態によれば、気相(スチーム)における酸化カルシウム(CaO)+水(H2O)->水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の場合、スチームは反応性流動化剤であり、非反応性流動化剤としての空気及び/又は酸素含有ガスを反応器チャンバ内に導入することができる。本発明の一実施形態によれば、非反応性流動化剤は反応性流動化剤と同じ垂直方向レベルに導入され得る。本発明の一実施形態によれば、反応器には、反応性流動化剤と非反応性流動化剤の混合物を同じノズルを介して反応器チャンバ内に導入するためのノズルが備えられているか、又は、反応器には、反応性流動化剤と非反応性流動化剤のために別個のノズルが備えられている。従って、反応性流動化剤と非反応性流動化剤の混合物は反応性流動化剤と同じノズルを介してノズルによってチャンバ内に導入されるか、又は、反応器には、反応性流動化剤と非反応性流動化剤のために別個のノズルが備えられている。ここで、ノズルとは、ノズル上に実質的に一方向の流れを生成する装置を意味する。従って、流動化ノズルの各々は反応性流動化剤のソースと流体連通して配置されているので、反応性流動化剤は、好ましくは各レベルで別個に、ノズルを通して導入される。本発明の一実施形態によれば、特に、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子の場合、不活性ガス等の非反応性流動化剤を反応器チャンバに導入することができる。
【0015】
[0015] 一実施形態によれば、CaOが導入されて流動化剤がスチームである場合、水酸化カルシウムが形成され、燃焼は起こらない。
【0016】
[0016] 本発明の一実施形態によれば、気相(スチーム)における酸化カルシウム(CaO)+水(H2O)->水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の反応からの固体粒子を利用することによって熱化学的熱エネルギを連続的に発生させるための流動層反応器が提供される。
反応器は、
反応器チャンバと、
反応器チャンバの第1の端部に配置され、CaOの固体粒子を反応器内へ供給するための入口と、を備え、
反応器チャンバ内に、流動化ステージのアレイが配置され、
流動化ステージの各々は、反応を開始させて進行させるため、スチームによってCaOを流動化するための複数のスチームノズルを備え、
流動化ステージには、反応において固体材料から放出された熱を選択的に回収するための1つ以上の熱交換器が備えられ、
Ca(OH)2を排出するため、反応器チャンバ(10)の第1の端部とは反対側の端部に出口が配置されている。
【0017】
[0017] 本発明の一実施形態によれば、気相(スチーム)における酸化カルシウム(CaO)+水(H2O)->水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の反応から熱化学的熱エネルギを連続的に発生させるための方法である。この方法は、
反応器チャンバの第1の端部で反応器チャンバにCaOの固体粒子を供給するステップと、
反応を開始させるため、第1の流動化ステージのスチームジェットによってCaOを流動化させるステップと、を含み、
反応チャンバ内の熱交換器に、発生した熱が伝達され、
反応器チャンバの第1の端部からのCaOの原材料の供給を継続させることにより、部分的に反応したCaO/Ca(OH)2の混合物をその後の流動化ステージに移動させ、その流動化ステージでは、スチームジェットによる混合物の流動化が継続し、放出された熱は熱交換器によって伝達され、流動化が継続するにつれて、CaO/Ca(OH)2混合物の組成はより多くのCa(OH)2に変わり、最後の流動化ステージの後、混合物はわずかな割合のCaOと共にCa(OH)2を含み、流動化ステージの各々において、ストリームの温度、飽和、及び流速によって反応の収率が制御され、
反応生成物Ca(OH)2は出口を介して反応チャンバから除去される。
【0018】
[0018] これにより得られる効果によって、熱化学的熱エネルギは原材料から効率的に放出され、反応生成物は依然として乾燥粒子又は粉末形態であるので、保管が容易であり、また、逆反応で初期材料に再生すること、すなわち、アルカリ土類金属もしくは元素形態の金属、又はアルカリ土類金属もしくは酸化形態の金属に再生すること、例えばCa(OH)2->CaOが比較的簡単である。従って、熱化学的熱エネルギを連続的に発生させるための反応器、方法、及びシステムの性能は大幅に向上する。本発明は、反応器内部の下から上まで固体粒子の適正な流動化速度と分散を保証する。温度の反応は、平衡曲線の下方で、スチーム分圧の関数である。例えば、100kPa(1バール)では平衡温度は約520Cであり、温度が520Cを超える場合、反応は脱水に変化する。本反応器の1つの利点は、反応器内で反応を均一に起こすことができるので、熱交換器による熱回収が向上することである。
【0019】
[0019] 実施形態によれば、反応器チャンバ内に流動化ステージのアレイが配置され、流動化ステージの各々は、反応を開始させて進行させるため、スチームによってCaOを流動化するための複数のスチームノズルを備える。なお、最大の効率と収率を得るため、いくつかのステージで効率的な熱化学プロセスを実行する方が良い。しかしながら、酸化カルシウム及び後の酸化カルシウム/水酸化カルシウムの混合物の特性は、プロセス/反応中に、流動化特性が異なるように変化する。従って、反応器チャンバの第1の端部からのCaOの原材料の供給を継続させることにより、部分的に反応したCaO/Ca(OH)2の混合物をその後の流動化ステージに移動させ、その流動化ステージでは、スチームジェットによる混合物の流動化が継続し、放出された熱は熱交換器によって伝達され、流動化が継続するにつれて、CaO/Ca(OH)2の混合物の組成はより多くのCa(OH)2に変わり、最後の流動化ステージの後、混合物はわずかな割合のCaOと共にCa(OH)2を含む。一実施形態によれば、流動化ステージは、1つの区画内に構成されて、反応器チャンバ内でのCaO/Ca(OH)2の効率的な流れと反応を可能とする。従来技術の文献である国際公開第2021/105467号では、垂直方向に分割された小孔を有するセパレータすなわち有孔セパレータで分離されたいくつかの区画内で反応が実行されることが開示されている。理論的には、区画を水平方向に配置することも可能である。しかしながら、従来技術の文献では、複数の例が実験室規模で提案され、反応器の容積は約600mlである。本発明は、工業規模の運用とメガワット単位の電力容量が意図されているので、反応器の容積は数立方メートルから数百立方メートルであり、本発明者は、セパレータに潜在的な詰まりの問題があること、セパレータも区画も必要ないように反応器を簡素化する方が良いことを見出した。これは、連続使用される反応器の実行可能性と動作に大きな影響を及ぼす。詰まりが起こると、反応器を停止して、詰まった材料が除去されるまで数日間冷やす必要があるからである。
【0020】
[0020] 本発明の実施形態によれば、反応チャンバは、流動化ステージ間に分割壁及び/又は区画及び/又は有孔セパレータが存在しない。反応器チャンバ内に流動化ステージのアレイが配置され、流動化ステージの各々が、反応を開始させて進行させるため、反応性流動化剤によって固体粒子を流動化するための複数のノズルを備えている機構の効果である。反応器は、流動化ステージ間に有孔プレート及び/又は分割壁で分割された区画が存在しないように設計され得る。従って、熱化学反応を促進すると共に熱を回収するため、反応器チャンバ全体を有利に利用することができる。また、これにより、潜在的な詰まりの問題又は材料の他の蓄積も防止する。材料とは、原材料、部分的に反応した材料、又は最終生成物、言い換えると反応材料を意味する。
【0021】
[0021] 本発明の一実施形態によれば、流動化ステージの1つのアレイは反応器チャンバの下部に配置されて第1の流動化ステージを形成するようになっており、流動化ステージの別のアレイは第1の流動化ステージよりも高い垂直方向レベルに配置されている。有利には、流動化ステージの異なるアレイは異なる垂直方向レベルに配置することができる。反応器チャンバ内で垂直方向に配置された異なるレベルのステージ、又は反応器チャンバの傾斜構成に配置されたステージを利用することができる。有利には、異なる流動化ステージ又は異なる流動化レベルは、以下の相乗効果及び/又は利点を提供し得る。すなわち、粒子の分布を流動化によって向上させながら、反応に関与し原材料及び流動化剤から最終材料を形成する媒体として流動化剤を同時に利用する。流動化剤は、最終材料を形成する反応において「消費」及び/又は「捕獲」され得る。なお、原材料(例えばCaO)は、形成される最終生成物(例えばCa(OH)2)とは異なる密度を有し得る。更に、流動化剤(例えばスチーム)は、原材料及び/又は最終生成物とは異なる密度を有し得る。
【0022】
[0022] 一実施形態によれば、反応器は断面が円形であり、長さが幅又は直径よりも大きい。流動化及び以下の反応を効率的に実行することができ、この長さによって、反応器が反応器チャンバ内で2~5の流動化ステージを含むこと、好ましくは3~4の流動化ステージを含むことが可能となる。更に、これによってプロセス効率を最適に適合させることができる。ほぼ全ての入力材料は反応して水酸化カルシウムになり、反応器の出口へ流れていく迂回した又はあふれた酸化カルシウムは存在しない。
【0023】
[0023] 一実施形態によれば、反応器は縦型であり、反応器チャンバにおいて相互に対して垂直方向の位置に構成された入口及び出口を有する。好ましくは、垂直方向の反応器構成において、反応器の垂直方向高さは反応器の水平方向幅よりも大きい。この垂直方向構成では、制御パラメータが、入力供給量(質量流量)、各ステージのノズルにおける流動化スチーム速度、スチーム温度、及び飽和(水分含量)であるように、材料の流れと同時反応を制御することができる。更に実施形態によれば、スチーム温度は、流動化ステージからその後の流動化ステージまで、徐々に上昇するか、徐々に低下するか、又は同じ状態を維持することができる。一実施形態によれば、スチームノズルにおけるスチーム速度は、流動化ステージからその後の流動化ステージまで、徐々に低下又は上昇することができる。ノズルのサイズ及び/又は形状は、有利な流動化及び反応を生じるように、1つの流動化ステージ及び/又は複数の流動化ステージにおいて変動し得る。また、一実施形態によれば、反応器に、余分な流動化剤を排出するためのガス排出チャネルが備えられている。
【0024】
[0024] 一実施形態によれば、CaO+H2O->Ca(OH)2、及び、Ca(OH)2+熱->CaO+H2Oの反応に基づく熱エネルギを貯蔵及び放出するためのシステムが提供される。このシステムは、上記に開示されている方法を利用するための上述した反応器を備える。システムは更に、CaOのための貯蔵部と、Ca(OH)2のための貯蔵部と、Ca(OH)2をCaOに戻すプロセスのための再生反応器と、を備える。システムは、必要に応じて熱を放出する際、及び、利用可能な場合に熱を貯蔵する際に利用される。
【0025】
[0025] 例えばCaO+H2O->Ca(OH)2のような上述した反応で発生し、熱交換器で回収された熱は、例えば地域暖房及び/又は発電のために利用され得る。流動化ステージには、反応から放出された熱を選択的に回収するための1つ以上の熱交換器が備えられている。この「選択的に回収する」という用語は、ここでは、反応器チャンバ内の各位置で最も効率的な熱回収を達成するため、熱交換器が実際の設計又は動作条件において相互に異なり得ることを意味する。好ましくは、発生した熱の一部は反応の維持に用いられて、スチーム等の流動化剤を加熱する。また、反応器チャンバ内に導入されたスチームは、反応器の主要スチームラインから抽出され得る。熱交換器を配置するためにいくつかの可能なやり方がある。例えば、様々な熱交換器順序付けの配置として、過熱器、蒸発器、エコノマイザーがあり得る。反応器チャンバの第1の熱交換器は最も熱い物である可能性が最も高い。実施形態の全てにおいて、目的は、反応で発生した全ての熱を熱交換器に伝達し、出口での反応材料の温度をできる限り低くすることである。
【0026】
[0026] 有利には、流動化ステージによって、流動化による粒子の分布と共に、反応器チャンバの入口側の反応を促進することができる。有利には、流動化及び/又は粒子速度を所望のレベルに及び/又は均一に維持することができ、これにより、例えば反応器チャンバの下部でのみ流動化が行われた場合に、潜在的な浸食の問題を防止できる。ノズルのサイズ及び/又は形状は、有利な流動化及び反応を生じるように、1つの流動化ステージ及び/又は複数の流動化ステージにおいて変動し得る。ステージを用いた流動化によって、反応器の容積は、エネルギ放出で高い強度を達成するように有利に最適化できる。
【0027】
[0027] 本特許出願で提案された本発明の例示的な実施形態は、添付の特許請求の範囲の適用性に制限を課すとは解釈されない。「備える(comprise)」という動詞は、本特許出願では、言及されていない特徴の存在を排除しない開かれた限定(open limitation)として用いられている。従属クレームで言及される特徴は、特に明記しない限り、相互に自由に組み合わせ可能である。本発明の特徴と見なされる新規の特徴は、添付の特許請求の範囲で特に述べられている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
[0028] 以下で、添付の例示的な概略図面を参照して本発明を説明する。
【0029】
【
図2a-2b】本発明の実施形態に従った断面ノズル構成を示す。
【
図3】本発明の別の実施形態に従った反応器を示す。
【
図4】本発明の一実施形態に従ったシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[0029]
図1は、以下の反応のうち1つを用いることによって熱化学的熱エネルギを連続的に発生させるための流動層反応器1を概略的に示す。
1)アルカリ土類金属、もしくは、元素形態の、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子と、スチーム、空気、もしくは酸素等の気体もしくは蒸気の形態の酸化剤、又は、
2)アルカリ土類金属、もしくは、酸化形態の、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子と、水酸化物を得るための気体もしくは蒸気の形態の水和化合物。
反応器1は、
反応器チャンバ10と、
反応器チャンバ10の第1の端部に配置され、固体粒子を反応器1内へ供給するための入口2と、を備え、
反応器チャンバ10内に、流動化ステージ3のアレイが配置され、
流動化ステージ3の各々は、反応を開始させて進行させるため、反応性流動化剤、酸化剤、又は水和化合物によって固体粒子を流動化するための複数のノズル32を備え、
流動化ステージ3には、反応から放出された熱を選択的に回収するための1つ以上の熱交換器4が備えられ、
反応材料を排出するため、反応器チャンバ10の第1の端部とは反対側の端部に出口5が配置されている。
【0031】
[0030] 言い換えると、反応性流動化剤によって固体粒子を流動化するため、流動化ステージ3の各々のノズル32を介して反応性流動化剤が導入される。固体粒子を流動化するための反応性流動化を供給するための複数のノズルが例示されている。従って、これにより、
図1の異なるレベルのノズルを介して異なる垂直方向レベルに反応性流動化剤を導入することができる。反応性流動化剤を供給することに加えて、同一のノズルから非反応性流動化剤を供給すること、又は同一のノズルから反応性と非反応性の流動化剤の混合物を供給することが可能であり得る。このため、各流動化ステージ3における反応と共に流動化を有利に制御することができる。
【0032】
[0031] 好適な実施形態によれば、
図1は、気相(スチーム)における酸化カルシウム(CaO)+水(H
2O)->水酸化カルシウム(Ca(OH)
2)の反応からの固体粒子を利用することにより、熱化学的熱エネルギを連続的に発生させるための流動層反応器1を概略的に示す。
反応器1は、
反応器チャンバ10と、
反応器チャンバ10の第1の端部に配置され、CaOの固体粒子を反応器1内へ供給するための入口2と、を備え、
反応器チャンバ10内に、流動化ステージ3のアレイが配置され、
流動化ステージ3の各々は、反応を開始させて進行させるため、スチームによってCaOを流動化するための複数のスチームノズル32を備え、
流動化ステージ3には、反応において固体材料から放出された熱を選択的に回収するための1つ以上の熱交換器4が備えられ、
Ca(OH)
2を排出するため、反応器チャンバ10の第1の端部とは反対側の端部に出口5が配置されている。反応器1自体に加えて、
図1には、原材料CaOが貯蔵部6に貯蔵され、そこからスクリューコンベア(図示せず。バルブ及び他の器具類も
図1には示されていない)等の適切な手段によって反応器1内へ供給される実施形態が提案されている。反応器1の後、反応材料又は最終材料は貯蔵部7へ移される。反応器1は縦型であり、反応器チャンバ10において相互に対して垂直方向の位置に構成された入口2及び出口5を有する。
図1に示されている実施形態によれば、固体粒子材料を導入するための入口2は反応器チャンバ10の上部に配置され、反応した材料を排出するための出口5は、反応器チャンバ10の下部であるので入口2とは反対側の端部に配置されている。
図1には、
図2a又は
図2bで概略的に示されている適切なパターンに構成されたノズル32を備えた5つの流動化ステージ3のアレイが提案されている。このパターンは、例えばノズルが特定の間隔で取り付けられたパイプ31が存在するように形成できる。流動化ステージという用語は、相互に特定の垂直方向距離内に配置された流動化レベルを意味する。言い換えると、1つの流動化ステージは、実質的に1つの垂直方向レベルで反応性流動化剤を導入するためのノズル32を備える。言い換えると、反応性流動化剤は、固体粒子を流動化して反応に関与するようにノズル32を介して導入される。流動化ステージ又はレベル間の垂直方向距離は、等しく分布させることができる。これはつまり、垂直方向で相互に一定の距離を意味する。従って、反応器チャンバ内の下から上まで固体粒子の適正な流動化速度と分散が保証される。ノズル32のサイズ及び/又は形状は、有利な流動化及び反応を行うため、1つの流動化ステージ及び/又は複数の流動化ステージで変動し得る。
【0033】
[0032] パイプ31は、スチーム又は他の何らかの適切な反応性流動化剤(fluidizer)又は流動化剤(fluidizing agent)、例えば空気又は酸素のためのマニホルドを形成する。パイプ31の断面は、少数の好適な断面を挙げると、円形断面又は矩形断面を有し得る。
図1では、熱交換器は基本的な構成で配置され、各流動化ステージ3ごとに1つの熱交換器4層が配置されている。しかしながら、熱交換器4の数が流動化ステージ3の数よりも多いように、又は熱交換器4の数が流動化ステージ3の数よりも少ないように変更してもよい。1つの熱交換器4は、反応器1から熱を伝達する熱伝達媒体(水、スチーム、何らかの他の流体)のための少なくとも1つの熱交換器入口41及び少なくとも1つの熱交換器4出口42を含む。熱交換器入口41及び出口42は適切なやり方でグループ化することができ、一実施形態では直列に又は並列に接続することができ、熱交換器のための流体源は任意の適切なソースからとすればよい。また、熱交換器からの加熱された流体のターゲットは任意の適切なものとすればよい。熱交換器の実際の構成は反応器又はプラントの設計に関する問題であり、内壁を熱交換器で形成するか、又は、熱交換器を反応器チャンバ10内へ半径方向に延出するよう構成することができ(
図2aで示されているように)、熱交換器4内への熱伝達は例えば対流又は伝導に基づくものとすればよい。熱交換器は管を含むことができ、管束として反応器チャンバ内へ延出するように構成され得る(図示せず)。反応及び熱の回収は反応器内で均一に実行できるので、排出される粒子の温度は低下する。これは、熱交換器4によって熱が回収されることを意味する。
【0034】
[0033]
図2a及び
図2bには、
図1の反応器チャンバの水平断面が示されており、流動化ステージ3を形成するパイプ31上に配置されたノズル32のいくつかの可能な構成が概略的に示されている。ノズルを介して、反応器チャンバ10内に反応性流動化剤が導入される。また、ノズルを介して反応器チャンバ10内に非反応性流動化剤を導入することも可能である。本開示の全ての図は概略的であるので、要素は一定の縮尺通りに示されておらず、例示のみの目的で相対的な寸法が示されている。しかしながら、全ての流動化ステージ3は1つの区画内に構成されて、反応器チャンバ10内でのCaO/Ca(OH)
2の効率的な流れと反応を可能とする。このため、
図2a及び
図2bに示されているパイプ31は、各流動化ステージ3のための区画を形成しておらず、材料はパイプ31の構成を通過できる。従って、粒子の詰まりを回避又は軽減することができ、既知の解決策に比べて動作の有用性及び効率が向上する。流動化ステージ、言い換えると流動化導入ステージのこの構成により、反応は反応器チャンバ内で均一に発生する。
【0035】
[0034]
図3に、反応器1の一実施形態が提案されている。この実施形態では、反応器チャンバ10の中央エリアにノズル32のためのマニホルドとして機能する中央パイプ31が存在し、更に、反応器チャンバ10の壁に配置されたノズルが存在するように、流動化ステージ3が配置されている。流動化の効果は、流動化媒体(スチーム等)の速度と共にノズル32の適切な方向付けによって決定される。
図1、
図2a、
図2b(断面で示されている)、及び
図3の実施形態によれば、反応器1は、大まかな流れ方向に対して垂直な断面が円形であり、長さが幅よりも大きい。この特徴は、反応器における反応時間に影響を及ぼし、適切には、ステージの長さ、直径、及び数は、反応器の設計に対して選択されるパラメータである。他の可能な反応器の断面形状は、矩形や、六角形又は八角形等の多角形である。熱交換器は、
図2b及び
図3には示されていないが、
図1におけるように流動化ステージ間に配置され得る。同様に、
図1におけるように、1つの流動化ステージ3は、異なる垂直方向レベルのノズル32の垂直方向距離によって規定される。
【0036】
[0035]
図4に、以下の反応のうち1つを用いることにより、反応のうち1つに基づく熱化学的熱エネルギを連続的に貯蔵及び放出するためのシステム100が概略的に提案されている。
1)アルカリ土類金属、もしくは、元素形態の、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子と、スチーム、空気、もしくは酸素等の気体もしくは蒸気の形態の酸化剤、又は、
2)アルカリ土類金属、もしくは、酸化形態の、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子と、水酸化物を得るための気体もしくは蒸気の形態の水和化合物。
システムは反応器1を備え、システム100は更に、原材料のための貯蔵部6と、最終材料のための貯蔵部7と、最終材料を原材料に戻すプロセスのための再生反応器8と、を備える。システム100は、必要に応じて熱を放出する際、及び、利用可能な場合に熱を貯蔵する際に利用される。本開示の反応器において、このエネルギの貯蔵及び放出及び/又はエネルギの蓄積(charging)/排出(discharging)は1つの位置で実行することができるか、あるいは、エネルギが利用可能である場所でエネルギ蓄積を実行し、次いで、エネルギが蓄積された材料を、エネルギが材料から排出される位置へ輸送することができる。
【0037】
[0036] システム100の動作において、1)アルカリ土類金属、もしくは、元素形態の、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子、又は、2)アルカリ土類金属、もしくは、酸化形態の、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子は、貯蔵部6に貯蔵可能な原材料と見なされ、また、反応した化合物、又は他の用語では最終生成物、すなわち、1)酸化した又は2)水和した(水酸化物)粒子は、貯蔵部7に貯蔵可能な最終材料と見なされる反応材料である。
【0038】
[0037]
図5に、以下の反応のうち1つを用いることにより、熱化学的熱エネルギを連続的に発生させるための流動層反応器(1)の実施形態が提案されている。
1)アルカリ土類金属、もしくは、元素形態の、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子と、スチームもしくは酸素を含有するガスもしくは蒸気等の気体もしくは蒸気の形態の酸化剤、又は、
2)アルカリ土類金属、もしくは、酸化形態の、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子と、水酸化物を得るための気体もしくは蒸気の形態の水和化合物。
反応器1は、
反応器チャンバ10と、
反応器チャンバ10の第1の端部に配置され、固体粒子を反応器1内へ供給するための入口2と、を備え、
反応器チャンバ10内に、流動化ステージ3のアレイが配置され、
流動化ステージ3の各々は、反応を開始させて進行させるため、反応性流動化剤、酸化剤、又は水和化合物によって固体粒子を流動化するための複数のノズル32を備え、
流動化ステージ3には、反応から放出された熱を選択的に回収するための1つ以上の熱交換器4が備えられ、
反応材料を排出するため、反応器チャンバ10の第1の端部とは反対側の端部に出口5が配置されている。この実施形態において、固体粒子はプロセスに対する原材料として用いられ、最初に貯蔵部6に貯蔵され、入口2を介して反応器1及び反応器チャンバ10内へ供給され、次いで流動化され、反応が開始して進行する。この実施形態では、2列の流動化ノズルが構成されている。反応器は、反応性流動化剤と非反応性流動化剤の混合物を同一のノズル32を介して反応器チャンバ内へ導入するための単一のノズル32、32aを備えることができる。
図5の実施形態では、反応器は2列のノズル32、32aが備えられている、すなわち、反応性流動化剤のためのノズル32と非反応性流動化剤のためのノズル32aが提供されるように別個のノズルを用いて構成されている。この実施形態は、流動化に労力を要する材料、すなわち、より高密度の粒子材料又はそのようなものでは、特に適切であり得る。反応性流動化剤及び非反応性流動化剤の双方が反応器チャンバ10内に供給される場合、材料(容積)の入力/出力のバランスは、別個のガス排出チャネル9が必要となり得るようなものである。実際のプロセス条件に応じて、ガス排出チャネルに粒子分離器又は同様のものを搭載して、固体粒子がこのルートを通って反応器チャンバから逃げるのを回避することができる。プロセスにおいて、反応性流動化剤の量が反応に関与している実際の量を超えている必要がある場合は、単一タイプの流動化剤供給のみを有する、すなわち反応性流動化剤のためのノズル32のみを有する反応器1でも、このようなガス排出チャネルが必要となり得る。
【0039】
[0038] 本方法の一実施形態によれば、反応性流動化剤としてスチームが導入され、スチームの温度は、流動化ステージ3からその後の流動化ステージ3まで、徐々に上昇するか、徐々に低下するか、又は同じ状態を維持する。この方法、反応器、及びシステムには、多くの動作モードが存在し得る。
【0040】
[0039] 本方法の一実施形態によれば、スチームノズル32におけるスチーム速度は、流動化ステージ3からその後の流動化ステージ3まで、徐々に低下又は上昇する。
【0041】
[0040] 本明細書では、現時点で最も好適な実施形態と見なされるものと関連付けて本発明を一例として記載したが、本発明は開示された実施形態に限定されず、その特徴の様々な組み合わせ又は変更、及び、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲内に含まれるいくつかの他の用途を包含することが意図されることは理解されよう。上述した任意の実施形態に関連付けて述べた詳細事項と別の実施形態との組み合わせが技術的に実現可能である場合、それらは関連付けて使用され得る。
【0042】
構成要素リスト
1 反応器
10 反応器チャンバ
11 内壁
100 システム
2 入口
3 流動化ステージ
31 パイプ
32、32a ノズル
4 熱交換器
41 熱交換器入口
42 熱交換器出口
5 出口
6 貯蔵部(原材料用)
7 貯蔵部(最終生成物用)
8 再生反応器
9 ガス排出チャネル
【手続補正書】
【提出日】2023-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)アルカリ土類金属、もしくは、元素形態の、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子と、スチームもしくは酸素を含有するガスもしくは蒸気等の気体もしくは蒸気の形態の酸化剤、又は、
2)アルカリ土類金属、もしくは、酸化形態の、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子と、水酸化物を得るための気体もしくは蒸気の形態の水和化合物、
の反応のうち1つを用いることによって熱化学的熱エネルギを連続的に発生させるための流動層反応器(1)であって、
前記反応器(1)は、
反応器チャンバ(10)と、
前記反応器チャンバ(10)の前記第1の端部に配置され、前記固体粒子を前記反応器(1)内へ供給するための入口(2)と、を備え、
前記反応器チャンバ(10)内に、流動化ステージ(3)のアレイが配置され、
前記流動化ステージ(3)の各々は、前記反応を開始させて進行させるため、反応性流動化剤、前記酸化剤、又は前記水和化合物によって前記固体粒子を流動化するための複数のノズル(32)を備え、
流動化ステージ(3)には、前記反応から放出された前記熱を選択的に回収するための1つ以上の熱交換器(4)が備えられ、
反応材料を排出するため、前記反応器チャンバ(10)の前記第1の端部とは前記反対側の端部に出口5が配置され、前記反応器(1)は縦型であり、前記反応器チャンバ(10)において相互に対して垂直方向の位置に構成された前記入口(2)及び前記出口(5)を有する、流体層反応器(1)において、
前記ノズル(32)は、前記流動化ステージ(3)を形成するパイプ(31)上に配置され、
前記流動化ステージ(3)の全ては、1つの区画内に構成されて、前記反応器チャンバ(10)内での固体粒子の流れを可能とすることを特徴とする、流動層反応器(1)。
【請求項2】
気相(スチーム)における酸化カルシウム(CaO)+水(H
2O)->水酸化カルシウム(Ca(OH)
2)の反応からの固体粒子を利用することによって、熱化学的熱エネルギを連続的に発生させるための流動層反応器(1)であって、
前記反応器(1)は、
反応器チャンバ(10)と、
前記反応器チャンバ(10)の前記第1の端部に配置され、CaOの前記固体粒子を前記反応器(1)内へ供給するための入口(2)と、を備え、
前記反応器チャンバ(10)内に、流動化ステージ(3)のアレイが配置され、
前記流動化ステージ(3)の各々は、前記反応を開始させて進行させるため、スチームによってCaOを流動化するための複数の蒸気ノズル(32)を備え、
流動化ステージ(3)には、前記反応において前記固体材料から放出された前記熱を選択的に回収するための1つ以上の熱交換器(4)が備えられ、
Ca(OH)
2を排出するため、前記反応器チャンバ(10)の前記第1の端部とは前記反対側の端部に出口(5)が配置され、前記反応器(1)は縦型であり、前記反応器チャンバ(10)において相互に対して垂直方向の位置に構成された前記入口(2)及び前記出口(5)を有する、流体層反応器(1)において、
前記ノズル(32)は、前記流動化ステージ(3)を形成するパイプ(31)上に配置され、
前記流動化ステージ(3)の全ては、1つの区画内に構成されて、前記反応器チャンバ(10)内での固体粒子の流れを可能とすることを特徴とする、流動層反応器(1)。
【請求項3】
前記熱交換器(4)又は複数の熱交換器(4)は前記反応器チャンバの内壁(11)を形成するように構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の反応器。
【請求項4】
前記反応器には、反応性流動化剤と非反応性流動化剤の混合物を同一のノズル(32)を介して前記反応器チャンバ内へ導入するためのノズル(32、32a)が備えられているか、又は、
前記反応器には、反応性流動化剤と非反応性流動化剤のために別個のノズル(32、32a)が備えられていることを特徴とする、請求項1から3の何れか一項に記載の反応器。
【請求項5】
前記反応器(1)は、断面が円形であり、長さが前記幅よりも大きいことを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載の反応器。
【請求項6】
前記反応器(1)は、前記反応器チャンバ(10)内に、2つから5つの流動化ステージ(3)、好ましくは3つから4つの流動化ステージ(3)を備えることを特徴とする、請求項1から5の何れか一項に記載の反応器。
【請求項7】
前記反応器(1)は、前記反応を開始させて進行させるために固体粒子を反応性流動化剤によって流動化するための第1のセットのノズル(32)と、固体粒子の流動化を増大させるために前記固体粒子を不活性の又は反応性の低い流動化剤によって流動化するための第2のセットのノズル(32a)と、を備えることを特徴とする、請求項1から6の何れか一項に記載の反応器。
【請求項8】
前記反応器に、余分な流動化剤を排出するためのガス排出チャネル(9)が備えられていることを特徴とする、請求項1から7の何れか一項に記載の反応器。
【請求項9】
1)アルカリ土類金属、もしくは、元素形態の、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子と、スチーム、空気、もしくは酸素等、気体もしくは蒸気の形態の酸化剤、又は、
2)アルカリ土類金属、もしくは、酸化形態の、リチウム(Li)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、及び亜鉛(Zn)から成る群からの金属のうち1つの固体粒子と、水酸化物を得るための気体もしくは蒸気の形態の水和化合物、
の反応のうち1つを用いることによって熱化学的熱エネルギを連続的に発生させるための方法であって、
前記方法は、
反応器チャンバ(10)の第1の端部で前記反応器チャンバ(10)に固体粒子の原材料を供給するステップと、
前記反応を開始させるため、第1の流動化ステージ(3)の流動化ジェットによって前記固体粒子を流動化させるステップと、を含み、
前記反応チャンバ(10)内の熱交換器4に、発生した熱が伝達され、
前記反応器チャンバ(10)の前記第1の端部からの原材料の前記供給を継続させることにより、前記原材料/部分的に反応した材料の混合物をその後の流動化ステージ(3)に移動させ、その流動化ステージ(3)では、流動化ジェットによる混合物の流動化が継続し、前記放出された熱は前記熱交換器(4)によって伝達され、前記流動化が継続するにつれて、前記混合物の組成はより多くの最終材料に変わり、最後の流動化ステージ(3)の後、前記混合物はわずかな割合のみの前記原材料を含み、前記流動化ステージの各々において、前記流動化ストリームの温度、飽和、及び流速によって前記反応の収率が制御され、
前記反応器(1)は、縦型であり、前記反応器チャンバ(10)において相互に対して垂直方向の位置に構成された前記入口(2)及び前記出口(5)を有し、
前記ノズル(32)は、前記流動化ステージ(3)を形成するパイプ(31)上に配置され、
前記流動化ステージ(3)の全ては、1つの区画内に構成されて、前記反応器チャンバ(10)内での固体粒子の流れを可能とし、
前記反応材料は、出口(5)を介して前記反応チャンバから除去される、方法。
【請求項10】
気相(スチーム)における酸化カルシウム(CaO)+水(H
2O)->水酸化カルシウム(Ca(OH)
2)の反応から熱化学的熱エネルギを連続的に発生させるための方法であって、この方法は、
反応器チャンバ10の第1の端部で前記反応器チャンバ(10)にCaOの固体粒子を供給するステップと、
前記反応を開始させるため、第1の流動化ステージ(3)のスチームジェットによってCaOを流動化させるステップと、を含み、
前記反応チャンバ(10)内の熱交換器(4)に、発生した熱が伝達され、
前記反応器チャンバ(10)の前記第1の端部からのCaOの原材料の前記供給を継続させて、前記部分的に反応したCaO/Ca(OH)
2の混合物をその後の流動化ステージ(3)に移動させ、その流動化ステージ(3)では、スチームジェットによる混合物の流動化が継続し、前記放出された熱は前記熱交換器(4)によって伝達され、前記流動化が継続するにつれて、前記CaO/Ca(OH)
2の混合物の組成はより多くのCa(OH)
2に変わり、最後の流動化ステージ(3)の後、前記混合物はわずかな割合のCaOと共にCa(OH)2を含み、前記流動化ステージ(3)の各々において、前記スチーム温度、飽和、及び流速によって前記反応の収率が制御され、
前記反応器(1)は縦型であり、前記反応器チャンバ(10)において相互に対して垂直方向の位置に構成された前記入口(2)及び前記出口(5)を有し、
前記ノズル(32)は、前記流動化ステージ(3)を形成するパイプ(31)上に配置され、
前記流動化ステージ(3)の全ては、1つの区画内に構成されて、前記反応器チャンバ(10)内での固体粒子の流れを可能とし、
前記反応生成物Ca(OH)
2は、出口(5)を介して前記反応チャンバ(10)から除去される、方法。
【請求項11】
反応性流動化剤としてスチームが導入され、
前記スチームの温度は、流動化ステージ(3)からその後の流動化ステージ(3)まで、徐々に上昇するか、徐々に低下するか、又は同じ状態を維持する、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
スチームノズル(32)における前記スチーム速度は、流動化ステージ3からその後の流動化ステージ(3)まで徐々に低下又は上昇する、請求項9、10又は11に記載の方法。
【請求項13】
反応性流動化剤と非反応性流動化剤の混合物が、前記反応性流動化剤と同じノズルを介してノズルによって前記チャンバ内に導入されるか、又は、
前記反応器には、反応性流動化剤と非反応性流動化剤のために別個のノズルが備えられている、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
1)アルカリ土類金属もしくは元素形態の金属の固体粒子と、スチーム、空気、もしくは酸素等の気体もしくは蒸気の形態の酸化剤、又は、
2)アルカリ土類金属もしくは酸化形態の金属の固体粒子と、水酸化物を得るための気体もしくは蒸気の形態の水和化合物、
の反応のうち1つを用いることにより、反応のうち1つに基づく熱化学的熱エネルギを連続的に貯蔵及び放出するためのシステム(100)であって、
前記システムは、請求項9から13の何れか一項の方法を利用するための、請求項1から8の何れか一項に記載の前記反応器1を備え、
前記システム(100)は更に、原材料のための貯蔵部(6)と、最終材料のための貯蔵部(7)と、前記最終材料を原材料に戻すプロセスのための再生反応器(8)と、を備え、
前記システム(100)は、必要に応じて熱を放出する際、及び、利用可能な場合に熱を貯蔵する際に利用される、システム(100)。
【国際調査報告】