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特表2024-545561仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、及び/又は複合現実(MR)ベースの視覚機能評価のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、及び/又は複合現実(MR)ベースの視覚機能評価のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/024 20060101AFI20241203BHJP
   A61B 3/028 20060101ALI20241203BHJP
   A61B 3/113 20060101ALI20241203BHJP
   A61B 3/06 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20241203BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20241203BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20241203BHJP
   G02B 27/02 20060101ALN20241203BHJP
【FI】
A61B3/024
A61B3/028
A61B3/113
A61B3/06
A61K45/00
A61K39/395 N
A61P3/10
A61P27/02
A61P27/06
G06F3/0346 423
G06F3/01 510
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523864
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 US2022047489
(87)【国際公開番号】W WO2023069752
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/270,897
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
(71)【出願人】
【識別番号】513283268
【氏名又は名称】アペリス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APELLIS PHARMACEUTICALS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100227927
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 拓
(72)【発明者】
【氏名】マッケオウン,アレックス エス
(72)【発明者】
【氏名】シャイブラー,ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】レインズ,ジェイソン ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ワイデル,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】フィスター,マティアス
【テーマコード(参考)】
2H199
4C084
4C085
4C316
5B087
5E555
【Fターム(参考)】
2H199CA42
2H199CA92
2H199CA96
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZA012
4C084ZA331
4C084ZB112
4C084ZB212
4C084ZC351
4C084ZC412
4C085AA14
4C085BB17
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE03
4C316AA09
4C316AA13
4C316AA14
4C316AA18
4C316AA21
4C316AB02
4C316AB07
4C316AB11
4C316AB16
4C316FA01
4C316FA02
4C316FB12
4C316FC04
5B087AA09
5B087BC12
5B087BC32
5E555AA64
5E555BA38
5E555BB38
5E555BC08
5E555BE17
5E555CA42
5E555CB65
5E555DA08
5E555DB53
5E555DC21
5E555EA22
5E555FA00
(57)【要約】
改善された仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、及び/又は複合現実(MR)ベースの視覚機能評価のためのシステム及び方法が本明細書に提示される。様々な実施形態において、本明細書に記載のシステム及び方法は、静的な及び/又は変化する/移動する視覚刺激(ターゲット)を被験者に表示して、刺激に対する眼球運動のパターンを誘発及び記録するために視線追跡を利用し、眼球運動の前記パターンは、疾患又は網膜機能障害と相関される。特定の実施形態において、機能的視覚試験の技術は、機能的視覚試験の過程中に、被験者が時間的及び空間的にターゲットを追跡しているかどうかを自動的に特定するための視認性判定をリアルタイムで自動的に実行する。幾つかの実施形態において、システム及び方法は、VRヘッドセット光学系を着用者の眼と位置合わせし、及び/又は患者又は別の個人のいずれかの視野に対する特定の患者の暗点の影響をシミュレートするグラフィック暗点マスクをレンダリングする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実デバイス(例えば、視線追跡機能を伴うVRヘッドセット)を使用して被験者に対して機能的視覚試験(例えば、コントラスト感度及び/又は空間周波数試験、例えば径方向掃引試験)を実行するための方法であって、
前記機能的視覚試験の過程にわたって、前記被験者の視野内の仮想及び/又は拡張シーン内の1つ以上のターゲット(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、又は5つ以上のターゲット)を、コンピューティングデバイスのプロセッサによって、前記被験者に(例えば、VRヘッドセットのヘッドマウントディスプレイ上で)レンダリングして表示することと、
前記プロセッサによって、前記機能的視覚試験の前記過程中にリアルタイムで、前記被験者が前記仮想及び/又は拡張シーン内の前記1つ以上のターゲットを(例えば、時間及び空間において)追跡しているかどうかを自動的に特定するための視認性判定を自動的に実行することであって、前記視認性判定が、少なくとも部分的に、時間ベースのパラメータに基づく、ことと、
任意選択的に、前記プロセッサによって、前記視認性判定を使用して試験結果を計算及び/又は表示することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記視認性判定を実行することは、
前記プロセッサによって、前記被験者の注視点をリアルタイムで決定することと、
前記プロセッサにより、前記時間ベースのパラメータを使用して、前記注視点と前記仮想及び/又は拡張シーン内の前記1つ以上のターゲットの現在の空間位置とを比較することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記視認性判定を実行することは、
前記プロセッサによって、前記被験者の注視点をリアルタイムで決定することと、
前記プロセッサによって、前記注視点が前記仮想及び/又は拡張シーン内の前記ターゲットのうちの1つと位置合わせされるかどうかを決定することと、
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記視認性判定を実行することは、
前記プロセッサによって、前記被験者の注視点をリアルタイムで決定することと、
前記プロセッサによって、前記時間ベースのパラメータのうちの少なくとも1つを使用して、前記被験者が前記仮想及び/又は拡張シーン内の前記ターゲットのうちの1つを追跡しているかどうかを決定することと、
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記時間ベースのパラメータはそれぞれ、前記注視点が前記仮想及び/又は拡張シーン内の前記1つ以上のターゲットのうちの1つ以上と位置合わせされる又は位置合わせされない期間に対応する、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記注視点と前記仮想及び/又は拡張シーン内の前記ターゲットのうちの1つ以上の前記現在の空間位置との前記比較に基づいて(例えば、前記プロセッサにより、時間ベースのパラメータのうちの1つ以上を使用して1つの(又は少なくとも1つの)所定の閾値期間に関して前記ターゲットのうちの1つ以上に前記注視点が位置合わせされるとの決定に基づいて)、前記仮想及び/又は拡張シーン内の前記ターゲットのうちの1つ以上のコントラスト及び/又は空間分解能を自動的に調整する(例えば、減少する)ことを含む、請求項2から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記被験者の前記視野内の前記仮想及び/又は拡張シーン内に表示される複数のターゲットがあり、前記時間ベースのパラメータは、(i)前記被験者の1つの注視点(例えば、前記注視点)が前記仮想及び/又は拡張シーン内の前記複数のターゲットのうちの特定のターゲット上にある(例えば、該特定のターゲットと位置合わせされる)ときを追跡するためのパラメータ、(ii)前記被験者の1つの注視点(例えば、前記注視点)が前記仮想及び/又は拡張シーン内の前記複数のターゲットのうちの特定のターゲットから離れている(例えば、該特定のターゲットと位置合わせされない)ときを追跡するためのパラメータ、(iii)前記被験者の1つの注視点(例えば、前記注視点)が前記仮想及び/又は拡張シーン内の前記複数のターゲットのうちのいずれかのターゲット上にある(例えば、該ターゲットと位置合わせされる)ときを追跡するためのパラメータ、並びに(iv)前記被験者の1つの注視点(例えば、前記注視点)が前記仮想及び/又は拡張シーン内の前記複数のターゲットの全てから離れている(例えば、該複数のターゲットの全てと位置合わせされない)ときを追跡するためのパラメータ、の4つのパラメータを含む(例えば、4つのパラメータから成る)、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記4つのパラメータは、前記機能的視覚試験で使用される全ての有意の変数の少なくとも80%(例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、例えば、少なくとも98%、例えば、100%)を占める(例えば、有意の変数が、機能的視覚試験の結果に少なくとも5%の影響を有する変数である場合)、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記時間ベースのパラメータが非対称[例えば、パラメータ(i)及びパラメータ(ii)が異なる時間長を指し(異なる時間長に対応し)、及び/又はパラメータ(iii)及びパラメータ(iv)が異なる時間長を指し(異なる時間長に対応し)(例えば、パラメータ(i)は、パラメータ(ii)よりも短い時間長を指し、及び/又はパラメータ(iii)は、パラメータ(iv)よりも短い時間長を指す]である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(i)前記時間ベースのパラメータの少なくとも1つは、前記ターゲットの1つを追跡する前記被験者に対応し[例えば、その間に注視点が前記仮想及び/又は拡張シーン内の前記ターゲットのうちの1つと位置合わせされる(例えば、前記ターゲットのうちの1つに入射する)]、(ii)前記時間ベースのパラメータの少なくとも1つは、前記ターゲットのいずれかを追跡する前記被験者に対応し[例えば、その間に注視点が前記仮想及び/又は拡張シーン内の前記ターゲットのいずれかと位置合わせされる(例えば、前記ターゲットのいずれかに入射する)]、又は(iii)(i)と(ii)の両方である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記時間ベースのパラメータのうちの1つ以上を使用して前記試験中に前記仮想及び/又は拡張シーン内の前記1つ以上のターゲット(例えば、前記1つ以上のターゲットのうちの1つ以上)のコントラスト、空間位置、空間分解能、及び/又は移動方向を(例えば、突然に)自動調整する(例えば、追跡された前記ターゲットの1つを低コントラストにして難易度を上げる、追跡された前記ターゲットの1つの移動方向を急に変更して難易度を上げる、前記ターゲットの全てを高コントラストでリセットする、又は前記試験を停止する)ことを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上のターゲットの前記コントラスト、空間位置、空間分解能、及び/又は移動方向を調整することは、
前記プロセッサによって、前記被験者の注視点をリアルタイムで決定することと、
前記時間ベースのパラメータのうちの少なくとも1つに従って前記1つ以上のターゲットと位置合わせされている前記被験者の注視点に少なくとも部分的に基づいて、前記仮想及び/又は拡張シーン内の前記1つ以上のターゲット(例えば、前記1つ以上のターゲットのうちの少なくとも1つ)の前記コントラスト及び/又は空間分解能を自動的に調整することと、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記視認性判定は、前記時間ベースのパラメータのみを使用して実行される(すなわち、前記視認性判定を行うために非時間ベースのパラメータは使用されない)、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記視認性判定を実行するために合計10個以下のパラメータ(例えば、合計8個以下のパラメータ、合計6個以下のパラメータ、合計5個以下のパラメータ、又は合計4個以下のパラメータ)が使用される(例えば、前記パラメータの各々が時間ベースのパラメータである)、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上のターゲットは、[例えば、前記被験者が前記ターゲットを追跡しているか否かにかかわらず(例えば、前記被験者の注視点を使用して、前記プロセッサによって決定されると、)]前記機能的視覚試験中に前記仮想及び/又は拡張シーン内で移動する及び/又は移動方向を変える、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上のターゲットは、前記機能的視覚試験中に前記仮想及び/又は拡張シーン内のコントラストを変化させる(例えば、前記プロセッサによって、リアルタイムで、前記被験者が前記1つ以上のターゲットを追跡していると決定することに基づいて)[例えば、前記被験者が所定の期間にわたってターゲットを(例えば、連続的又は断続的に)追跡しているときにのみ前記ターゲットのコントラスト及び/又は空間分解能を変更する)]、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記機能的視覚試験は、糖尿病性網膜症(例えば、糖尿病性黄斑網膜症の有無にかかわらず)、シュタルガルト病、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、網膜色素変性症、緑内障、内顆粒層疾患、地図状萎縮、及び加齢黄斑変性(AMD)(例えば、中間型加齢黄斑変性(中間型AMD)、萎縮型加齢黄斑変性(萎縮型AMD)、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)、及び/又は新生血管型加齢黄斑変性(新生血管型AMD))からなる群から選択される1つ以上の眼の状態に関する試験(例えば、アウトカム尺度、例えば、機能的エンドポイント)である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記試験結果は、眼の状態におけるアウトカム尺度(例えば、前記被験者の片眼又は両眼に影響を及ぼす)である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記眼の状態は、糖尿病性網膜症(例えば、糖尿病性黄斑網膜症の有無にかかわらず)、シュタルガルト病、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、網膜色素変性症、緑内障、内顆粒層疾患、地図状萎縮、及び加齢黄斑変性(AMD)(例えば、中間型加齢黄斑変性(中間型AMD)、萎縮型加齢黄斑変性(萎縮型AMD)、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)、及び/又は新生血管型加齢黄斑変性(新生血管型AMD))からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記試験結果は、前記被験者の眼の状態[例えば、糖尿病性網膜症(例えば、糖尿病性黄斑網膜症の有無にかかわらず)、シュタルガルト病、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、網膜色素変性症、緑内障、内顆粒層疾患、地図状萎縮、及び加齢黄斑変性(AMD)(例えば、中間型加齢黄斑変性(中間型AMD)、萎縮型加齢黄斑変性(萎縮型AMD)、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)、及び/又は新生血管型加齢黄斑変性(新生血管型AMD))]の存在、重症度、及び/又は進行を示す、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記試験結果は、前記被験者の機能的視覚に対応するメトリック(例えば、曲線下面積(AUC)メトリック)(例えば、100%の特異度で少なくとも90%の感度、100%の特異度で少なくとも91%の感度、100%の特異度で少なくとも92%の感度、又は100%の特異度で少なくとも92.5%の感度を有する)(例えば、少なくとも90%の感度、少なくとも91%の感度、少なくとも92%の感度、又は少なくとも92.5%の感度を有する)を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記メトリックは、疎なAUCメトリック(例えば、1つ以上の径方向掃引が実行されておらず、及び/又は考慮されていない場合)である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記1つ以上のターゲットのそれぞれは、前記仮想及び/又は拡張シーン内でグラフィカルにレンダリングされた視認性パッチ(例えば、コントラストベースの視認性パッチ)である、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
人工知能を使用せずに実行される、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記試験結果は、コントラスト感度(例えば、二乗平均平方根(RMS)コントラスト比の逆数)及び空間周波数(1度当たりのサイクル、CPDで)(例えば、プロットとして記憶される又はプロットに提示される)の関数を含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記プロセッサによって、(例えば、請求項84から87のいずれか一項に記載の方法を用いて)前記機能的視覚試験中に暗点をシミュレートすることを含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
薬学的に許容され得る容器と、前記容器内に固定される或いはさもなければ密封される治療剤と、ラベルとを備える包装された医薬組成物又はキットであって、前記治療剤が眼の状態[例えば、地図状萎縮及び/又は加齢黄斑変性(AMD)(例えば、中間型加齢黄斑変性(中間型AMD)、萎縮型加齢黄斑変性(萎縮型AMD)、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)、及び/又は新生血管型加齢黄斑変性(新生血管型AMD))]のためのものであり、前記ラベルは、前記治療剤が前記眼の状態の処置のためのものであることを特定する記述及び/又はコード、(i)前記眼の状態が請求項1から26のいずれか一項に記載の方法に従って行われる機能的視覚試験によって診断及び/又は監視されていること、及び/又は(ii)前記治療剤の有効性が請求項1から26のいずれか一項に記載の方法に従って行われる機能的視覚試験によって被験者(例えば、患者)の集団において確立及び/又は確認されていることを含む、包装された医薬組成物又はキット。
【請求項28】
請求項1から26のいずれか一項に記載の方法に従って機能的視覚試験を使用して、眼の状態と診断された、眼の状態について監視されている又は監視される、及び/又は眼の状態の悪化重症度(例えば、被験者の片眼又は両眼に影響を及ぼす)を示すと判定された前記被験者を処置する方法であって、治療有効量の治療剤(例えば、医薬化合物)を前記被験者に投与することを含む、方法。
【請求項29】
前記眼の状態は、糖尿病性網膜症(例えば、糖尿病性黄斑網膜症の有無にかかわらず)、シュタルガルト病、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、網膜色素変性症、緑内障、内顆粒層疾患、地図状萎縮、及び加齢黄斑変性(AMD)(例えば、中間型加齢黄斑変性(中間型AMD)、萎縮型加齢黄斑変性(萎縮型AMD)、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)、及び/又は新生血管型加齢黄斑変性(新生血管型AMD))からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記治療剤が抗体(例えば、モノクローナル抗体)(例えば、抗D因子抗体又は血管内皮成長因子(VEGF)阻害剤)である、請求項28又は請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記治療剤が血管内皮成長因子(VEGF)阻害剤である、請求項28又は請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記治療剤がラニビズマブ、ファリシマブ、ブロルシズマブ、アフリベルセプト、又はペガプタニブである、請求項28から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記治療剤がビタミン補助剤及び/又はミネラル補助剤(例えば、ビタミンC、亜鉛、ビタミンE、銅又はβ-カロテンを含む)を含む、請求項28又は請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記治療剤が補体阻害剤(例えば、C3阻害剤又はC5阻害剤)を含む、請求項28又は請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記補体阻害剤は、C3及び/又はC3の生物学的に活性なフラグメント(例えば、C3b又はC3a)に結合するペプチド、タンパク質、抗体又はアプタマーを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記治療剤は、(i)ビタミンC、亜鉛、ビタミンE、銅、β-カロテン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるビタミン補助剤及び/又はミネラル補助剤、(ii)ラニビズマブ、(iii)ファリシマブ、(iv)ブロルシズマブ、(v)アフリベルセプト、(vi)ペガプタニブ、(vii)補体阻害剤、(viii)神経保護剤、(ix)抗炎症剤、(x)フリーラジカルスカベンジャー、(xi)抗アポトーシス剤、(xii)インテグリン調節剤、(xiii)遺伝子療法、又は(xiv)細胞療法である、請求項28又は請求項29に記載の方法。
【請求項37】
治療剤の治療有効性(例えば、利益)を決定する方法であって、(i)請求項1から26のいずれか一項に記載の方法による機能的視覚試験を被験者に施すことと、及び(ii)前記機能的視覚試験の試験結果に基づいて前記被験者に対する治療剤の治療有効性(例えば、利益)を決定することとを含む方法。
【請求項38】
前記治療有効性を決定することは、質調整生存年(QALY)を定量化することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記機能的視覚試験からの試験結果に基づいて(例えば、QALYの定量化に基づいて)前記治療有効性を決定することに少なくとも部分的に基づいて、前記治療剤の費用有効性を決定することを含む、請求項37又は請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記治療剤は、(i)ビタミンC、亜鉛、ビタミンE、銅、β-カロテン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるビタミン補助剤及び/又はミネラル補助剤、(ii)ラニビズマブ、(iii)ファリシマブ、(iv)ブロルシズマブ、(v)アフリベルセプト、(vi)ペガプタニブ、(vii)補体阻害剤、(viii)神経保護剤、(ix)抗炎症剤、(x)フリーラジカルスカベンジャー、(xi)抗アポトーシス剤、(xii)インテグリン調節剤、(xiii)遺伝子療法、又は(xiv)細胞療法である、請求項37から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
請求項1から26のいずれか一項に記載の方法を使用して眼の状態と診断された及び/又は眼の状態について監視された被験者を処置するための、(i)ビタミンC、亜鉛、ビタミンE、銅、β-カロテン及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるビタミン補助剤及び/又はミネラル補助剤、(ii)ラニビズマブ、(iii)ファリシマブ、(iv)ブロルシズマブ、(v)アフリベルセプト、(vi)ペガプタニブ、(vii)補体阻害剤、(viii)神経保護剤、(ix)抗炎症剤、(x)フリーラジカルスカベンジャー、(xi)抗アポトーシス剤、(xii)インテグリン調節剤、(xiii)遺伝子療法、又は(xiv)細胞療法の使用。
【請求項42】
請求項1から26のいずれか一項に記載の方法に従って機能的視覚試験を使用して、眼の状態と診断された、眼の状態について監視された又は監視される、及び/又は眼の状態の悪化重症度(例えば、被験者の片眼又は両眼に影響を及ぼす)を示すと判定された前記被験者を処置する方法であって、治療上有効な治療的介入(例えば、レーザー凝固療法)を前記被験者に施すことを含む、方法。
【請求項43】
眼の状態と診断された、眼の状態について監視された又は監視される、及び/又は眼の状態の悪化重症度(例えば、被験者の片眼又は両眼に影響を及ぼす)を示すと判定された前記被験者を処置する方法であって、治療有効量の治療剤(例えば、医薬化合物)を前記被験者に投与することを含み、前記治療剤の有効性は、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法に従って機能的視覚試験を使用して被験者の集団において確立又は確認されている、方法。
【請求項44】
前記眼の状態は、糖尿病性網膜症(例えば、糖尿病性黄斑網膜症の有無にかかわらず)、シュタルガルト病、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、網膜色素変性症、緑内障、内顆粒層疾患、地図状萎縮、及び加齢黄斑変性(AMD)(例えば、中間型加齢黄斑変性(中間型AMD)、萎縮型加齢黄斑変性(萎縮型AMD)、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)、及び/又は新生血管型加齢黄斑変性(新生血管型AMD))からなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記治療剤による処置は、適切な対照[例えば、無処置又は偽処置(例えば、プラセボ)]と比較して、前記機能的視覚試験の性能を維持もしくは改善し、及び/又は前記機能的視覚試験の性能の低下率を低下させる、請求項43又は請求項44に記載の方法。
【請求項46】
眼の状態[例えば、地図状萎縮及び/又は加齢黄斑変性(AMD)(例えば、中間型加齢黄斑変性(中間型AMD)、萎縮型加齢黄斑変性(萎縮型AMD)、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)及び/又は新生血管型加齢黄斑変性(AMD)]と診断された個体を処置するための治療剤の使用であって、被験者の集団において請求項1から26のいずれか一項に記載の方法を用いて治療剤の治療有効性が確立又は確認されている、使用。
【請求項47】
前記治療剤は、(i)ビタミンC、亜鉛、ビタミンE、銅、β-カロテン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるビタミン補助剤及び/又はミネラル補助剤、(ii)ラニビズマブ、(iii)ファリシマブ、(iv)ブロルシズマブ、(v)アフリベルセプト、(vi)ペガプタニブ、(vii)補体阻害剤、(viii)神経保護剤、(ix)抗炎症剤、(x)フリーラジカルスカベンジャー、(xi)抗アポトーシス剤、(xii)インテグリン調節剤、(xiii)遺伝子療法、又は(xiv)細胞療法を含む、請求項46に記載の使用。
【請求項48】
プロセッサと、命令が記憶されたメモリとを備え、前記命令は、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法を実行するために前記プロセッサによって実行可能である、システム[例えば、仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実デバイス(例えば、視線追跡機能を伴うVRヘッドセット)]。
【請求項49】
仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実デバイス(例えば、視線追跡機能を伴うVRヘッドセット)を使用して被験者に対して視覚試験を実行するための方法であって、プロセッサによって、(例えば、VRヘッドセットのヘッドマウントディスプレイ上で)前記デバイスを介して前記被験者の視野内の仮想及び/又は拡張シーン内の物体を前記被験者に対してレンダリング及び表示することを含み、前記被験者の頭部が[例えば、前記被験者が前記被験者の注視点(例えば、前記物体における関心領域との最良の視覚の位置合わせに対応する位置)に対して好ましい位置に前記物体を向けることができるように]向きを変えるとき、前記物体の位置は仮想空間内で固定された(例えば、仮想及び/又は拡張シーン内に固定された)ままである、方法。
【請求項50】
前記デバイスを並進移動させる前記被験者は、前記仮想空間内で前記被験者に対して前記物体を移動させない(例えば、前記被験者は、前記仮想空間内の前記物体に近づくことも遠ざかることもできない)、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
(例えば、前記デバイスの1つ以上のレンズの品質に起因する周辺視野の減少を考慮するために、)(例えば、前記VRヘッドセットのヘッドマウントディスプレイ上にレンダリングされた)前記物体が湾曲される(すなわち、平坦ではない)(例えば、湾曲した試験チャート)、請求項49又は請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記物体が仮想試験チャート(例えば、アイチャート)(例えば、1つ以上のターゲット、例えば、例えば機能的視覚試験のための移動するターゲットを含む)である、請求項49から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記VRヘッドセットが低コストの既製のヘッドセットである、請求項49から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
プロセッサと、命令が記憶されたメモリとを備え、前記命令は、請求項49から52のいずれか一項に記載の方法を実行するために前記プロセッサによって実行可能である、システム[例えば、仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実デバイス(例えば、視線追跡機能を伴うVRヘッドセット)(例えば、低コストの既製のVRヘッドセット)]。
【請求項55】
被験者(例えば、黄斑変性などの黄斑疾患を伴う患者、例えば中心暗点を伴う患者)の片眼又は両眼に関して網膜の解剖学的構造に対する好ましい網膜軌跡(PRL)(例えば、解剖学的構造基準システム内の軌跡)(例えば、前記好ましい網膜軌跡は、中心窩又は黄斑以外の網膜上の位置である)を特定するためのシステムであって、
コンピューティングデバイスのプロセッサと、
命令が記憶されたメモリと、
を備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
経時的に(例えば、実際の眼の解剖学的構造とは無関係に)ヘッドセット基準システムにおける前記被験者の眼の視線方向(例えば、前記視線方向が視軸を規定する)に対応する第1のデータストリームを(例えば、VRヘッドセットから)受信させ、
経時的に前記ヘッドセット基準システムにおける前記被験者の前記眼の節点(例えば、前記節点が前記眼の角膜曲率中心に対応する)における視線原点に対応する第2のデータストリームを(例えば、前記VRヘッドセットから)受信させ、前記節点が、前記眼が回転して視線方向を変更するときに眼の回転中心の周りで移動し、
前記第2のデータストリームからのデータを使用して、前記眼の回転中心に対応する基準点(例えば、中心)を有するとともに前記節点によって近似された表面を有する幾何学的体積(例えば、球、例えば、最良適合球)を特定させ、
前記特定された幾何学的体積(例えば、前記球、例えば、前記最良適合球)から解剖学的基準(例えば、前記眼の光軸)を特定させ(例えば、前記眼の前記光軸を、前記球の中心と視線原点とを結ぶ線として特定させ)、
前記特定された解剖学的基準(例えば、前記眼の前記光軸)及び前記第1のデータストリームからのデータを使用して、網膜の解剖学的構造(例えば、前記解剖学的構造基準システム内の軌跡)に対する前記好ましい網膜軌跡(PRL)を特定させる(例えば、前記第1のデータストリームからのデータを使用して、前記光軸と前記眼の視軸との間の水平角φ及び/又は垂直角θを計算させるとともに、前記眼の前記特定された光軸並びに前記計算された水平角φ及び/又は垂直角θを使用して前記PRLを特定させる)[例えば、及びPRL変化を検出するために、例えば、疾患が進行するにつれて、経時的に(例えば、数ヶ月又は数年にわたって)行われる前記被験者との複数のセッションにおいて前記PRL(例えば、前記角度φ、θ)を監視させる]、
システム。
【請求項56】
前記第1のデータストリーム及び前記第2のデータストリームを生成するための仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実ヘッドセットを備える、請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
視線追跡カメラを備える(例えば、前記ヘッドセットが前記視線追跡カメラを備える)、請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
被験者の(前記)片眼又は両眼を照明するための照明源(例えば、赤外線照明源)を備える(例えば、前記ヘッドセットが前記照明源を備える)、請求項57に記載のシステム。
【請求項59】
前記仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実ヘッドセットは、ヘッドマウントディスプレイ、1つ以上のレンズ、前記第1のデータストリーム及び/又は前記第2のデータストリームを生成するための1つ以上のヘッドセットプロセッサ[例えば、請求項1に記載の命令を実行する前記コンピューティングデバイスの前記プロセッサは、(i)前記1つ以上のヘッドセットプロセッサの一部又は全部、(ii)前記1つ以上のヘッドセットプロセッサとは異なる、(iii)前記1つ以上のヘッドセットプロセッサと少なくとも部分的に同じ場所に配置される、(iv)前記1つ以上のヘッドセットプロセッサから空間的に分離される(遠隔にある)、並びに(v)前記1つ以上のヘッドセットプロセッサとの電気的及び/又はデータ通信状態にある、のうちのいずれか1つ以上である]、前記ヘッドセットにおける前記ディスプレイの位置を物理的に調整するための1つ以上の機構(例えば、ダイヤル、トグル、ノブ、又はスイッチ)、前記被験者の頭部に対する前記ヘッドセットの前記水平及び/又は垂直位置を調整する(例えば、手動調整する)ための1つ以上の機構(例えば、機械的機構、例えばノブ、ストラップ、ダイヤルなど)、回路基板、並びに頭部支持体(例えば、前記被験者の前記頭部に前記ヘッドセットを安定させるためのストラップ、マウント、ブレース、及び/又は、他の物理的構造)からなる群から選択される1つ以上の部材を備える、請求項56から58のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項60】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、視覚刺激(例えば、1つ以上の静的な及び/又は変化する/移動するグラフィックターゲット)を前記被験者に表示させて、前記特定されたPRLを使用して前記刺激に対する眼球運動のパターンを誘発及び記録させ、前記記録された眼球運動のパターンは、疾患又は状態(例えば、網膜機能障害)と相関される、請求項55から59のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項61】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記記録された眼球運動のパターンに少なくとも部分的に基づいて前記被験者が前記疾患又は状態を有し得ることを特定させる(例えば、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記被験者が前記疾患又は状態を有し得ることを示すグラフィック表示(例えば、英数字)を前記プロセッサに提示させる)、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
(例えば、ヘッドセットレンズの中心と着用者の(それぞれの)眼の中心との位置合わせを改善/最適化するために)前記着用者の頭部に対する仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実ヘッドセットの位置の調整(例えば、物理的調整、例えば前記着用者による手動調整)を促すためのシステムであって、
前記着用者の前記頭部に対する前記ヘッドセットの垂直位置を調整(例えば、手動調整)するための1つ以上の機構(例えば、機械的機構、例えばノブ、ストラップ、ダイヤルなど)を伴う仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実ヘッドセットと、
コンピューティングデバイスのプロセッサと、
命令が記憶されたメモリと、
を備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
経時的に前記ヘッドセットに対する着用者の眼の位置に対応する第1のデータストリーム(例えば、前記第1のデータストリームは、前記着用者の片眼又は両眼(のそれぞれ)の節点における視線原点に対応し、前記節点のそれぞれが、前記(それぞれの)眼の角膜曲率中心に対応する)(例えば、一方又は両方のそれぞれのヘッドセットレンズの前記中心に対する前記着用者の片眼又は両眼の前記中心の位置)を受信させ、仮想カメラの位置が前記ヘッドセットに対する前記着用者の眼の位置にリンクされ、
前記第1のデータストリームが受信される際に、前記仮想カメラのリアルタイム(又はほぼリアルタイム)位置に対応するリアルタイム(又はほぼリアルタイム)で前記ヘッドセット着用者の視野内に仮想アイアンサイトをレンダリングさせて表示させ、前記アイアンサイトが、互いに対して固定位置を有する2つの同心リングと、前記2つの同心リングに対してコントラストを成す色及び/又は色合いを有する第3のリングとを含み、前記第3のリングは、一方又は両方のそれぞれのヘッドセットレンズの中心が前記着用者の前記それぞれの眼の前記視線原点(角膜曲率の中心)と位置ずれしている場合に、前記2つの同心リングに対して視覚的に検出可能なオフセットを有し、
前記ヘッドセットの前記視野内で前記着用者に見える前記2つの同心リングに対する前記第3のリングのオフセットは、前記調整によって一方又は両方のそれぞれのヘッドセットレンズの前記中心が前記着用者の前記それぞれの眼の前記視線原点と位置合わせされるまで、前記1つ以上の(例えば、機械的な)機構を介して前記ヘッドセットの前記垂直位置の(例えば、前記着用者による)物理的調整を促し、前記仮想カメラの結果として生じる位置により、前記第3のリングが前記2つの同心リング間で完全に表示される、
システム。
【請求項63】
前記仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実ヘッドセットが前記第1のデータストリームを生成する、請求項62に記載のシステム。
【請求項64】
視線追跡カメラを備える(例えば、前記ヘッドセットが前記視線追跡カメラを備える)、請求項63に記載のシステム。
【請求項65】
着用者の(前記)片眼又は両眼を照らすための照明源(例えば、赤外線照明源)を備える(例えば、前記ヘッドセットが前記照明源を備える)、請求項64に記載のシステム。
【請求項66】
前記仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実ヘッドセットは、ヘッドマウントディスプレイ、1つ以上のレンズ、前記ヘッドセット内の前記ディスプレイの前記位置を物理的に調整するための1つ以上の機構(例えば、ダイヤル、トグル、ノブ、又はスイッチ)、回路基板、及び頭部支持体(例えば、前記被験者の前記頭部に前記ヘッドセットを安定させるためのストラップ、マウント、ブレース、及び/又は、他の物理的構造)からなる群から選択される1つ以上の部材を備える、請求項63から65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項67】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、一方又は両方のそれぞれのヘッドセットレンズの前記中心を前記着用者の前記それぞれの眼の前記視線原点と位置合わせさせる前記調整に従って、視覚刺激(例えば、1つ以上の静的及び/又は変化する/移動するグラフィックターゲット)を前記被験者に表示させて、前記刺激に対する眼球運動のパターンを誘発及び記録させ、前記記録された眼球運動のパターンは、疾患又は状態(例えば、網膜機能障害)と相関される、請求項62から66のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項68】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記記録された眼球運動のパターンに少なくとも部分的に基づいて前記被験者が前記疾患又は状態を有し得ることを特定させる(例えば、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、被験者が前記疾患又は状態を有し得ることを示すグラフィック表示(例えば、英数字)を前記プロセッサに提示させる)、請求項67に記載のシステム。
【請求項69】
視野に対する暗点の影響をシミュレートするグラフィック(例えば、2D)暗点マスクをレンダリングするためのシステムであって、前記暗点が特定の患者によって罹患され、前記システムは、
コンピューティングデバイスのプロセッサと、
命令が記憶されたメモリと、
を備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
シミュレートされた暗点の形状(例えば、円板などの選択されたデフォルト暗点形状、又は被験者の微小視野測定から導出された個人化された暗点形状、例えば、識別光感度(DLS)マップ)に対応するデータを受信させ、
暗点によって引き起こされる視覚効果の値に対応する1つ以上の視覚効果パラメータ(例えば、前記1つ以上のパラメータは、不透明度、彩度、ぼやけ、及び歪み(例えば、ピンクッション、バレル、又は渦)からなる群から選択される1つ以上の要素を含む)を特定するための入力を(例えば、実際の暗点に罹患している前記特定の患者から)受信させ、
前記シミュレートされた暗点の前記形状及び前記1つ以上の視覚効果パラメータに従って前記グラフィック暗点マスクを規定させ、
VRヘッドセットの着用者の注視点に対応する第1のデータストリームを(例えば、前記VRヘッドセットから)受信させ、
前記着用者の視野内の仮想及び/又は拡張シーンを前記VRヘッドセットの前記着用者にリアルタイムで(又はほぼリアルタイムで)レンダリング及び表示させ、前記仮想及び/又は拡張シーンの少なくとも一部は、前記グラフィック暗点マスクに従って変更され、前記仮想及び/又は拡張シーンは、注視点がリアルタイムで変化するとき、及び前記仮想及び/又は拡張シーンが前記シミュレートされた暗点の影響を受けるときに、前記着用者の前記注視点に追従する(例えば、前記着用者は前記患者であってもよく、又は前記着用者は前記患者とは異なる個人であってもよい)、
システム。
【請求項70】
前記命令は、前記プロセッサに、
第1の期間にわたって、(i)患者の健康な眼の視覚を遮断し、(ii)前記患者の前記暗点罹患眼に仮想シーンを表示し又は前記患者の前記暗点罹患眼による実際の視野の観察を可能にし、前記患者が片側暗点を有し、
第2の期間にわたって、前記仮想及び/又は拡張シーンを、前記患者の(1つの)健康な眼のみにシミュレートされた暗点を(例えば、前記VRヘッドセットを介して)レンダリングして表示し、前記仮想及び/又は拡張シーンが、所与の形状及び1つ以上の調整可能な視覚効果パラメータに対応するグラフィック暗点マスクに従って変更され、
前記患者が、各眼における前記患者の視野を比較するとともに、前記1つ以上の視覚効果パラメータ(及び/又は前記暗点形状)を調整して、前記眼によって見られる前記視野を、前記シミュレートされた暗点を有する前記眼によって見られる前記視野を伴う前記実際の暗点と一致させることができるように、前記患者からのフィードバックに従って前記仮想及び/又は拡張シーンを更新するとともに、リアルタイムで(又はほぼリアルタイムで)前記更新された仮想及び/又は拡張シーンを前記患者の前記健康な眼にレンダリングして表示する、
ことによって入力される患者からの前記1つ以上の視覚効果パラメータを特定させる、請求項69に記載のシステム。
【請求項71】
前記第1のデータストリームを生成する仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実ヘッドセットを備える、請求項69又は70に記載のシステム。
【請求項72】
視線追跡カメラを備える(例えば、前記ヘッドセットが前記視線追跡カメラを備える)、請求項69から71のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項73】
前記患者の(前記)片眼又は両眼を照明するための照明源(例えば、赤外線照明源)を備える(例えば、前記ヘッドセットが前記照明源を備える)、請求項69から72のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項74】
前記仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実ヘッドセットは、ヘッドマウントディスプレイ、1つ以上のレンズ、前記ヘッドセット内の前記ディスプレイの位置を物理的に調整するための1つ以上の機構(例えば、ダイヤル、トグル、ノブ、又はスイッチ)、前記被験者の頭部に対する前記ヘッドセットの水平及び/又は垂直位置を調整する(例えば、手動調整する)ための1つ以上の機構(例えば、機械的機構、例えばノブ、ストラップ、ダイヤルなど)、回路基板、並びに頭部支持体(例えば、前記被験者の前記頭部に前記ヘッドセットを安定させるためのストラップ、マウント、ブレース、及び/又は、他の物理的構造)からなる群から選択される1つ以上の部材を含む、請求項69から73のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項75】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、視覚刺激(例えば、1つ以上の静的な及び/又は変化する/移動するグラフィックターゲット)を前記被験者に表示させて、前記刺激に対する眼球運動のパターンを誘発及び記録させ、前記記録された眼球運動のパターンは、疾患又は状態(例えば、網膜機能障害)と相関される、請求項69から74のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項76】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記記録された眼球運動のパターンに少なくとも部分的に基づいて前記着用者が前記疾患又は状態を有し得る(又はそのリスクを有し得る)ことを特定させる(例えば、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記着用者が前記疾患又は状態を有し得る(又はそのリスクを有し得る)ことを示すグラフィック表示(例えば、英数字)を提示させる)、請求項75に記載のシステム。
【請求項77】
被験者(例えば、黄斑変性などの黄斑疾患を伴う患者、例えば中心暗点を伴う患者)の片眼又は両眼に関して網膜の解剖学的構造に対する好ましい網膜軌跡(PRL)(例えば、解剖学的構造基準システム内の軌跡)(例えば、前記好ましい網膜軌跡は、中心窩又は黄斑以外の網膜上の位置である)を特定する方法であって、
コンピューティングデバイスのプロセッサにより、経時的に(例えば、実際の眼の解剖学的構造とは無関係に)ヘッドセット基準システム内の前記被験者の眼の視線方向(例えば、前記視線方向が視軸を規定する)に対応する第1のデータストリームを(例えば、VRヘッドセットから)受信することと、
前記プロセッサにより、経時的にヘッドセット基準システム内の前記被験者の前記眼の節点(例えば、前記節点は眼の角膜曲率中心に対応する)における視線原点に対応する第2のデータストリームを(例えば、前記VRヘッドセットから)受信することであって、前記節点が、眼が回転して視線方向を変更するときに眼の回転中心の周りで移動する、ことと、
前記プロセッサにより、前記第2のデータストリームからのデータを使用して、前記眼の回転中心に対応する基準点(例えば、中心)を有するとともに前記節点によって近似された表面を有する幾何学的体積(例えば、球、例えば、最良適合球)を特定することと、
前記プロセッサにより、前記特定された幾何学的体積(例えば、前記球、例えば、前記最良適合球)から解剖学的基準(例えば、前記眼の光軸)を特定する(例えば、前記眼の前記光軸を、前記球の中心と視線原点とを結ぶ線として特定する)ことと、
前記特定された解剖学的基準(例えば、前記眼の前記光軸)及び前記第1のデータストリームからのデータを使用して、網膜の解剖学的構造に対する前記好ましい網膜軌跡(PRL)(例えば、前記解剖学的構造基準システム内の軌跡)を特定すること(例えば、前記第1のデータストリームからのデータを使用して、前記光軸と前記眼の視軸との間の水平角φ及び/又は垂直角θを計算するとともに、前記眼の前記特定された光軸並びに前記計算された水平角φ及び/又は垂直角θを使用して前記PRLを特定する)[例えば、及びPRL変化を検出するために、例えば、疾患が進行するにつれて、経時的に(例えば、数ヶ月又は数年にわたって)行われる前記被験者との複数のセッションにおいて、前記PRL(例えば、前記角度φ、θ)を監視する]と、
を含む方法。
【請求項78】
視覚刺激(例えば、1つ以上の静的な及び/又は変化する/移動するグラフィックターゲット)を前記被験者に表示して、前記特定されたPRLを使用して前記刺激に対する眼球運動のパターンを(例えば、前記プロセッサによって)誘発及び記録することを含み、前記記録された眼球運動のパターンは、疾患又は状態(例えば、網膜機能障害)と相関される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記プロセッサにより、前記記録された眼球運動のパターンに少なくとも部分的に基づいて前記疾患又は状態を有するとして前記被験者を特定する(例えば、又は代替的に、前記疾患又は状態のリスクを有するとして前記被験者を特定する)(例えば、前記プロセッサにより、前記被験者が前記疾患又は状態を有する(例えば、又は代替的に前記疾患又は状態を有し得る)ことを示すグラフィック表示(例えば、英数字)を提示する)ことを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
(例えば、ヘッドセットレンズの中心と着用者の(それぞれの)眼の中心との位置合わせを改善/最適化するために)前記着用者の頭部に対する仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実ヘッドセットの位置の調整(例えば、物理的調整、例えば着用者による手動調整)を促すための方法であって、
コンピューティングデバイスのプロセッサにより、経時的に前記ヘッドセットに対する着用者の眼の位置に対応する第1のデータストリーム(例えば、前記第1のデータストリームは、前記着用者の片眼又は両眼(のそれぞれ)の節点における視線原点に対応し、前記節点のそれぞれが、zb(それぞれの)眼の角膜曲率中心に対応する)(例えば、一方又は両方のそれぞれのヘッドセットレンズの中心に対する前記着用者の片眼又は両眼の中心の位置)を受信することであって、仮想カメラの位置が前記ヘッドセットに対する前記着用者の眼の位置にリンクされ、前記ヘッドセットが、前記着用者の前記頭部に対する前記ヘッドセットの垂直位置を調整(例えば、手動調整)するための1つ以上の機構(例えば、機械的機構、例えばノブ、ストラップ、ダイヤルなど)を備える、ことと、
前記プロセッサにより、前記第1のデータストリームが受信される際に、前記仮想カメラのリアルタイム(又はほぼリアルタイム)位置に対応するリアルタイム(又はほぼリアルタイム)で前記ヘッドセット着用者の視野内に仮想アイアンサイトをレンダリングして表示することであって、前記アイアンサイトが、互いに対して固定位置を有する2つの同心リングと、前記2つの同心リングに対してコントラストを成す色及び/又は色合いを有する第3のリングとを含み、前記第3のリングが、一方又は両方のそれぞれのヘッドセットレンズの中心が前記着用者の前記それぞれの眼の前記視線原点(角膜曲率の中心)と位置ずれしている場合に、前記2つの同心リングに対して視覚的に検出可能なオフセットを有する、ことと、
を含み、
前記ヘッドセットの前記視野内で前記着用者に見える前記2つの同心リングに対する前記第3のリングのオフセットは、前記調整によって一方又は両方のそれぞれのヘッドセットレンズの前記中心が前記着用者の前記それぞれの眼の前記視線原点と位置合わせされるまで、前記1つ以上の(例えば、機械的な)機構を介して前記ヘッドセットの前記垂直位置の(例えば、前記着用者による)物理的調整を促し、前記仮想カメラの結果として生じる位置により、前記第3のリングが前記2つの同心リング間で完全に表示される、
方法。
【請求項81】
視覚機能試験中に仮想アイアンサイト位置合わせをチェックすることを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記それぞれのヘッドセットレンズの一方又は両方の中心を前記着用者の前記それぞれの眼の前記視線原点と位置合わせさせる前記調整に続いて、視覚刺激(例えば、1つ以上の静的な及び/又は変化する/移動するグラフィックターゲット)を(例えば、前記プロセッサによって)前記着用者に表示して、前記刺激に対する眼球運動のパターンを誘発及び記録することを含み、前記記録された眼球運動のパターンは、疾患又は状態(例えば、網膜機能障害)と相関される、請求項80又は81に記載の方法。
【請求項83】
前記プロセッサにより、前記記録された眼球運動のパターンに少なくとも部分的に基づいて前記着用者が前記疾患又は状態を有する(又は有し得る)ことを特定する(例えば、及び前記着用者が前記疾患又は状態を有する(又は有し得る)ことを示すグラフィック表示(例えば、英数字)を提示する)ことを含む、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
視野に対する暗点の影響をシミュレートするグラフィック(例えば、2D)暗点マスクをレンダリングするための方法であって、前記暗点が特定の患者によって罹患され、前記方法は、
コンピューティングデバイスのプロセッサにより、シミュレートされた暗点の形状(例えば、円板などの選択されたデフォルト暗点形状、又は被験者の微小視野測定から導出された個人化された暗点形状、例えば、識別光感度(DLS)マップ)に対応するデータを受信することと、
前記プロセッサにより、暗点によって引き起こされる視覚効果の値に対応する1つ以上の視覚効果パラメータ(例えば、前記1つ以上のパラメータは、不透明度、彩度、ぼやけ、及び歪み(例えば、ピンクッション、バレル、又は渦)からなる群から選択される1つ以上の要素を含む)を特定するための入力を(例えば、実際の暗点に罹患している前記特定の患者から)受信することと、
前記プロセッサにより、前記シミュレートされた暗点の前記形状及び前記1つ以上の視覚効果パラメータに従って前記グラフィック暗点マスクを規定することと、
前記プロセッサにより、VRヘッドセットの着用者の注視点に対応する第1のデータストリームを(例えば、前記VRヘッドセットから)受信することと、
前記着用者の視野内の仮想及び/又は拡張シーンを前記VRヘッドセットの前記着用者にリアルタイムで(又はほぼリアルタイムで)レンダリング及び表示することであって、前記仮想及び/又は拡張シーンの少なくとも一部が、前記グラフィック暗点マスクに従って変更され、前記仮想及び/又は拡張シーンが、注視点がリアルタイムで変化するとき、及び前記仮想及び/又は拡張シーンが前記シミュレートされた暗点の影響を受けるときに、前記着用者の前記注視点に追従する(例えば、前記着用者は前記患者であってもよく、又は前記着用者は前記患者とは異なる個人であってもよい)、ことと、
を含む方法。
【請求項85】
第1の期間にわたって、(i)患者の健康な眼の視覚を遮断し、(ii)前記患者の前記暗点罹患眼に仮想シーンを表示し又は前記患者の前記暗点罹患眼による実際の視野の観察を可能にし、前記患者が片側暗点を有し、
第2の期間にわたって、前記仮想及び/又は拡張シーンを、前記患者の(1つの)健康な眼のみにシミュレートされた暗点を(例えば、前記VRヘッドセットを介して)レンダリングして表示し、前記仮想及び/又は拡張シーンが、所与の形状及び1つ以上の調整可能な視覚効果パラメータに対応するグラフィック暗点マスクに従って変更され、
前記患者が、各眼における前記患者の視野を比較するとともに、前記1つ以上の視覚効果パラメータ(及び/又は前記暗点形状)を調整して、前記眼によって見られる前記視野を、前記シミュレートされた暗点を有する前記眼によって見られる前記視野を伴う前記実際の暗点と一致させることができるように、前記患者からのフィードバックに従って前記仮想及び/又は拡張シーンを更新するとともに、リアルタイムで(又はほぼリアルタイムで)前記更新された仮想及び/又は拡張シーンを前記患者の前記健康な眼にレンダリングして表示する、
ことによって入力される患者からの前記1つ以上の視覚効果パラメータを前記プロセッサにより特定すること、
を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
視覚刺激(例えば、1つ以上の静的な及び/又は変化する/移動するグラフィックターゲット)を前記着用者に(例えば、前記プロセッサにより)表示して、前記刺激に対する眼球運動のパターンを誘発及び記録することを含み、前記記録された眼球運動のパターンは、疾患又は状態(例えば、網膜機能障害)と相関される、請求項84又は85に記載の方法。
【請求項87】
前記プロセッサにより、前記記録された眼球運動のパターンに少なくとも部分的に基づいて、前記着用者が前記疾患又は状態を有し得る(又はそのリスクを有し得る)ことを特定する(例えば、及び前記着用者が前記疾患又は状態を有し得る(又はそのリスクを有し得る)ことを示すグラフィック表示(例えば、英数字)を提示する)ことを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実デバイス(例えば、視線追跡機能を伴うVRヘッドセット)を使用して被験者に対して機能的視覚試験(例えば、コントラスト感度及び/又は空間周波数試験、例えば径方向掃引試験)を実行するためのシステムであって、
コンピューティングデバイスのプロセッサと、
命令が記憶されたメモリと、
を備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
前記機能的視覚試験の過程にわたって、ターゲット(例えば、移動するターゲット、例えば、空間周波数及びコントラストが離散的な間隔で、例えば、複数の掃引軌跡に沿って変化するターゲットであり、例えば、前記掃引は全て、共通の原点にある前記ターゲットから始まり、次に、機能の限界に達するまで、コントラスト感度関数(CSF)空間内のベクトルに沿って外側に放射し、その時点で、ターゲットの不可視性は、前記被験者による更なる追跡を防止し、閾値が記録される)を前記被験者に(例えば、前記VRヘッドセットを介して)レンダリングさせて表示させ、
前記機能的視覚試験の前記過程中に、前記被験者が時間的及び空間的に前記ターゲットを正確に追跡しているかどうかを自動的に特定するために、機械学習アルゴリズムを使用して視認性判定をリアルタイムで自動的に実行させ、
前記視認性判定を使用して試験結果を計算及び/又は表示させる、
システム。
【請求項89】
前記試験結果は、コントラスト感度(例えば、二乗平均平方根(RMS)コントラスト比の逆数)及び空間周波数(1度当たりのサイクル、CPD)のプロットを含む、請求項88に記載のシステム。
【請求項90】
前記機械学習アルゴリズム(例えば、前記機械学習アルゴリズムは、1つ以上の組換えニューラルネットワーク、及び/又は長・短期記憶、及び/又は1つ以上の時間畳み込みネットワークを含む)は、被験者の眼の位置が個々のターゲット(例えば、数百分間の観察及び注釈から選び出される)内にあったかどうかを判定したユーザのビデオ記録の手動評価によって確立されるグラウンドトゥルースを用いてユーザ試験から事前に訓練されている、請求項88又は89に記載のシステム。
【請求項91】
前記機械学習アルゴリズムは、前記機能的視覚試験の過程中に、所与の時間窓(例えば、ミリ秒単位、例えば、<250ミリ秒、<100ミリ秒、<50ミリ秒、<25ミリ秒など)に関して、前記被験者が前記ターゲット(例えば、複数のターゲット、例えば3つ以上のターゲット、例えば5つのターゲットの視野における個々のターゲット)を観察している(又は観察していない)確率を決定し、前記被験者に提示された前記ターゲットの外観は、前記被験者が前記ターゲットを観察している(可能性がある)と決定すると、前記機能的視覚試験の前記過程で少なくとも1回変更される(例えば、コントラストの値及び/又は空間周波数の値)、(例えば、前記被験者がもはや前記ターゲットを追跡していないと前記アルゴリズムが決定すると、前記ターゲットの前記外観の変更が停止され、コントラスト及び空間周波数の最終値は、そのパラメータ空間に関する前記被験者の視覚的/機能的閾値として記録され、例えば、その時点で、新しいターゲットが提示され、前記プロセスが繰り返され、例えば、新しい掃引が行われる)、請求項88から90のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項92】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、1つ以上の閾値パラメータを(例えば、前記機能的視覚試験の前記過程で)調整させる(例えば、前記1つ以上の閾値パラメータは、(i)前記被験者の実際の眼の位置が前記ターゲット、例えば前記円形ターゲットの中心からどれだけ近いか、又は遠いかについての許容誤差、及び(ii)前記機械学習アルゴリズムを使用した前記視認性判定のための時間窓のうちの一方又は両方を含む)、請求項88から91のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項93】
仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実デバイス(例えば、視線追跡機能を伴うVRヘッドセット)を使用して被験者に対して機能的視覚試験(例えば、コントラスト感度及び/又は空間周波数試験、例えば径方向掃引試験)を実行するための方法であって、
コンピューティングデバイスのプロセッサにより、前記機能的視覚試験の過程にわたって、ターゲット(例えば、移動するターゲット、例えば、空間周波数及びコントラストが離散的な間隔で、例えば、複数の掃引軌跡に沿って変化するターゲットであり、例えば、前記掃引は全て、共通の原点にある前記ターゲットから始まり、次に、機能の限界に達するまで、コントラスト感度関数(CSF)空間内のベクトルに沿って外側に放射し、その時点で、ターゲットの不可視性は、前記被験者による更なる追跡を防止し、閾値が記録される)を前記被験者に(例えば、前記VRヘッドセットを介して)レンダリングして表示することと、
前記プロセッサにより、前記機能的視覚試験の前記過程中に、前記被験者が時間的及び空間的に前記ターゲットを正確に追跡しているかどうかを自動的に特定するために、機械学習アルゴリズムを使用して視認性判定をリアルタイムで自動的に実行することと、
前記プロセッサにより、前記視認性判定を使用して試験結果を計算及び/又は表示することと、
を含む方法。
【請求項94】
前記試験結果は、コントラスト感度(例えば、二乗平均平方根(RMS)コントラスト比の逆数)及び空間周波数(1度当たりのサイクル、CPD)のプロットを含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記機械学習アルゴリズム(例えば、前記機械学習アルゴリズムは、1つ以上の組換えニューラルネットワーク、及び/又は長・短期記憶、及び/又は1つ以上の時間畳み込みネットワークを含む)は、被験者の眼の位置が個々のターゲット(例えば、数百分間の観察及び注釈から選び出される)内にあったかどうかを判定したユーザのビデオ記録の手動評価によって確立されるグラウンドトゥルースを用いてユーザ試験から事前に訓練されている、請求項93又は94に記載の方法。
【請求項96】
前記機械学習アルゴリズムは、前記機能的視覚試験の過程中に、所与の時間窓(例えば、ミリ秒単位、例えば、<250ミリ秒、<100ミリ秒、<50ミリ秒、<25ミリ秒など)に関して、前記被験者が前記ターゲット(例えば、複数のターゲット、例えば3つ以上のターゲット、例えば5つのターゲットの視野における個々のターゲット)を観察している(又は観察していない)確率を決定し、前記被験者に提示された前記ターゲットの外観は、前記被験者が前記ターゲットを観察している(可能性がある)と決定すると、前記機能的視覚試験の前記過程で少なくとも1回変更される(例えば、コントラストの値及び/又は空間周波数の値)、(例えば、前記被験者がもはや前記ターゲットを追跡していないと前記アルゴリズムが決定すると、前記ターゲットの前記外観の変更が停止され、コントラスト及び空間周波数の最終値は、そのパラメータ空間に関する前記被験者の視覚的/機能的閾値として記録され、例えば、その時点で、新しいターゲットが提示され、前記プロセスが繰り返され、例えば、新しい掃引が行われる)、請求項93から95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記プロセッサによって、1つ以上の閾値パラメータを(例えば、前記機能的視覚試験の前記過程で)調整する(例えば、前記1つ以上の閾値パラメータは、(i)前記被験者の実際の眼の位置が前記ターゲット、例えば前記円形ターゲットの中心からどれだけ近いか、又は遠いかについての許容誤差、及び(ii)前記機械学習アルゴリズムを使用した前記視認性判定のための時間窓のうちの一方又は両方を含む)ことを含む、請求項93から96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
請求項77から87のいずれか一項に記載のステップを実行することを更に含む、請求項93から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
請求項77から87のいずれか一項に記載のステップを実行することを更に含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
治療的介入の治療有効性(例えば、利益)を決定する方法であって、(i)請求項1から26のいずれか一項に記載の方法に従って機能的視覚試験を施すことと、及び(ii)前記機能的視覚試験からの試験結果に基づいて被験者に対する治療的介入(例えば、レーザー凝固療法)の治療有効性(例えば、利益)を決定することとを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2021年10月22日に出願された米国仮特許出願第63/270,897号の利益を主張し、この仮特許出願の開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
現在の視線追跡又は視線推定システムは、眼球運動を追跡して、被験者が表面上又は空間の体積内のどこを見ているかを連続的に推定する。頭部装着型視線追跡システムは、被験者の片眼又は両眼の画像を捕捉するように設計される専用のカメラハードウェアと、眼を照らす光源(例えば、赤外線照明装置)とを含む。
【0003】
視線追跡システムは、主に、対話性の追加要素を提供することによってビデオゲームにおけるプレイヤ体験を向上させるために使用される。視線追跡は、患者の視覚の機能的評価のために検眼又は眼科の診療で広く使用されているものではない。現在市販されている視線追跡システムは、一般に感度がなく、適切な臨床評価に必要であるように、網膜の解剖学的構造との相関が低い。例えば、現在の仮想現実(VR)ヘッドセットは、眼の解剖学的構造とは無関係に、ヘッドセット基準システムにおける視線の方向を測定する。更に、VRヘッドセットの光学的品質は、コンパクトなレンズ設計のために制限され、収差が生じる。
【0004】
仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、及び/又は複合現実(MR)ベースの視覚機能評価のための改善されたシステム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
改善された仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、及び/又は複合現実(MR)ベースの視覚機能評価のためのシステム及び方法が本明細書に提示される。様々な実施形態では、本明細書に記載のシステム及び方法は、(i)解剖学的基準を利用して、被験者の眼の好ましい網膜軌跡(PRL)を決定し、(ii)VRヘッドセット光学系を着用者の眼と位置合わせし、それによってVRヘッドセットレンズの周辺部付近の収差(例えば、有彩色、球形)による不正確さを低減し、及び/又は(iii)特定の患者の暗点の影響をシミュレートするグラフィック(例えば、2D)暗点マスクを患者(例えば、患者の良好な眼)又は別の個人の視野にレンダリングする。更に、様々な実施形態において、本明細書に記載のシステム及び方法は、上記の(i)、(ii)、及び(iii)のうちの1つ以上による視線追跡を利用して、静的な及び/又は変化する/移動する視覚刺激(ターゲット)を被験者/患者に表示し、刺激に対する眼球運動のパターンを誘発及び記録し、眼球運動の前記パターンは、疾患又は網膜機能障害と相関される。
【0006】
幾つかの態様では、機能的視覚試験を使用して、地図状萎縮及び/又は加齢黄斑変性(AMD)(例えば、滲出型AMD、新生血管型AMD及び/又は萎縮型AMD)などの眼の状態を診断及び/又は監視することができる。機能的視覚試験は、仮想空間及び/又は拡張空間内でコントラストを移動及び/又は変化させる1つ以上のターゲットを提供することができる。被験者の注視点を追跡して、それが任意の所与の瞬間にターゲットの1つと位置合わせされているかどうかを決定することができる。時間ベースのパラメータを使用して、被験者がターゲット及び/又は任意のターゲットを追跡して視認性判定を行っているかどうかを決定することができる。試験結果(例えば、径方向掃引試験)は、視認性判定に基づいて計算及び/又は表示することができる。例えば、プロットは、被験者の眼の状態を診断及び/又は監視するために使用可能なコントラスト感度-空間周波数空間において生成することができる。
【0007】
一態様において、本明細書に記載の技術は、例えばVR/AR/及び/又はMRデバイス(例えば、ヘッドセット)(以下で使用されるように、「ヘッドセット」又は「VRヘッドセット」という用語は、仮想現実、拡張現実、及び/又は複合現実機能を実装する頭部装着型システム又は顔装着型システムを広く指す)を利用して機能的視覚試験を実行するために使用される。機能的視覚試験は、視覚的及び/又は拡張シーンで(例えば、シーン内の仮想チャート上で)1つ以上のターゲット(例えば、コントラストベースのパッチなどのパッチ)を提供することを含むことができる。ターゲットは、時間とともに移動することができる。視認性判定は、被験者が(例えば、シーン内で)1つ以上のターゲットを追跡しているかどうかを自動的に特定するために行われ得る。判定は、少なくとも部分的に、時間ベースのパラメータ(例えば、他のパラメータを使用しないか、又は1つ以上の非時間ベースのパラメータも使用する)に基づいてもよい。ターゲットのコントラスト、空間位置、空間周波数、及び/又は移動方向は、例えば、被験者がある程度の時間にわたってターゲットを追跡していたと決定すると、試験全体を通して(例えば、突然に)変化(例えば、減少)することができる。試験結果は、視認性判定を使用して計算及び/又は表示することができる。試験結果は、被験者の視覚を特徴付ける曲線下面積(AUC)メトリックなどのメトリックを含むことができる。メトリックは、被験者の眼の状態の存在、重症度、及び/又は進行を示すことができる。
【0008】
別の態様において、本明細書に記載の技術は、眼追跡機能を備えたVR/AR/及び/又はMRヘッドセット(以下で使用されるように、「ヘッドセット」又は「VRヘッドセット」という用語は、仮想現実、拡張現実、及び/又は複合現実機能を実装する頭部装着型システム又は顔装着型システムを広く指す)を介して被験者の眼の好ましい網膜軌跡(PRL)を決定するために解剖学的基準を利用する。例えば、特定の実施形態では、視線方向及び視線原点にそれぞれ対応する2つのデータストリームが受信される。このデータは、現在存在する商用の視線追跡機能を有するVRヘッドセットシステムから受信することができ、生成されたデータは、眼の解剖学的構造基準システムではなく、ヘッドセット基準システムを有する。経時的に受信された視線原点データ(複数のデータ点)は、球又は他の幾何学的体積をモデル化するために使用される。次いで、眼の解剖学的構造における安定した基準、例えば、解剖学的構造基準システムにおける眼の光軸が、例えば、モデル化された球の中心と視線原点とを結ぶ線として特定される。次いで、網膜の解剖学的構造に対するPRLが、特定された光軸及び視線方向を使用して特定される。
【0009】
更に別の態様では、ヘッドセット光学系を眼と位置合わせするVRヘッドセット調整のための技術が提示され、それにより、VRヘッドセットレンズの周辺部付近の収差(例えば、色収差、球面収差)による不正確さが低減される。VRヘッドセットの光学的品質は、コンパクトなレンズ設計(例えば、フレネルレンズ、シングレット)に起因して制限される。ヘッドセット光学系を眼と垂直(及び/又は水平)に位置合わせするための適切なヘッドセット調整は、一般にレンズの中心よりも周辺部でより一般的及び/又は顕著な収差の影響を低減又は排除することによって光学品質の改善を可能にする。本明細書に記載の技術は、視線追跡データを使用して、ユーザにフィードバックを提供してヘッドセット配置を調整し、光学アライメントを能動的に最適化する仮想アイアンサイトを実装する。
【0010】
更に別の態様では、視野に対する特定の患者の暗点の影響をシミュレートするグラフィック(例えば、2D)暗点マスクをレンダリングするための技術が提示される。暗点マスクは、その現在の形態の暗点をシミュレートすることができ、又は将来の暗点の推定された外観をシミュレートすることができる。本明細書に記載の技術は、注視点データストリームを提供する視線追跡機能を備えたVRヘッドセットを使用する。入力は、実際の暗点に苦しんでいる患者から受信され、グラフィック暗点マスクを画定するために使用される。グラフィック暗点マスクは、VRヘッドセット(マスクを作成するために患者によって使用されるのと同じ又は異なるヘッドセット)を介して、シミュレートされたシーン(VR)又は実際のシーン(AR)へのオーバーレイとして個人(患者又は患者の血縁者などの別の個体であり得る)に提示される。暗点マスクを使用して、例えば、処置なしで将来の暗点の影響をシミュレートすることによって、処置に対する患者のコンプライアンスを改善し、暗点マスクを介して患者が暗点で見る方法を体験することができる介護関係者の共感を高め、進展中の特定の視覚機能試験の感度を測定することができる(例えば、健康被験者の試験結果を暗点シミュレーションありとなしで比較することができる)。
【0011】
更に別の態様では、機能的視覚試験の過程でリアルタイムで、機械学習アルゴリズムを使用して視認性判定を自動的に実行して、被験者が時間的及び空間的にターゲットを正確に追跡しているかどうかを自動的に特定する機能的視覚試験の技術(例えば、任意選択的に、上記の(i)、(ii)、及び(iii)のうちの1つ以上から利益を得る前記変化する/移動する視覚刺激を使用する)が本明細書に提示される。
【0012】
一態様において、本発明は、仮想及び/又は拡張及び/又は複合現実デバイス(例えば、視線追跡機能を伴うVRヘッドセット)を使用して被験者に対して機能的視覚試験(例えば、コントラスト感度及び/又は空間周波数試験、例えば径方向掃引試験)を実行するための方法であって、機能的視覚試験の過程にわたって、被験者の視野内の仮想及び/又は拡張シーン内の1つ以上のターゲット(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、又は5つ以上のターゲット)を、コンピューティングデバイスのプロセッサによって、被験者に(例えば、VRヘッドセットのヘッドマウントディスプレイ上で)レンダリングして表示することと、プロセッサによって、機能的視覚試験の過程中にリアルタイムで、被験者が仮想及び/又は拡張シーン内の1つ以上のターゲットを(例えば、時間及び空間において)追跡しているかどうかを自動的に特定するための視認性判定を自動的に実行することであって、視認性判定が、少なくとも部分的に、時間ベースのパラメータに基づく、ことと、任意選択的に、プロセッサによって、視認性判定を使用して試験結果を計算及び/又は表示することとを含む方法に関する。
【0013】
幾つかの実施形態において、視認性判定を実行することは、プロセッサによって、被験者の注視点をリアルタイムで決定することと、プロセッサにより、時間ベースのパラメータを使用して、注視点と仮想及び/又は拡張シーン内の1つ以上のターゲットの現在の空間位置とを比較することとを含む。
【0014】
幾つかの実施形態において、視認性判定を実行することは、プロセッサによって、被験者の注視点をリアルタイムで決定することと、プロセッサによって、注視点が仮想及び/又は拡張シーン内のターゲットのうちの1つと位置合わせされるかどうかを決定することとを含む。幾つかの実施形態において、視認性判定を実行することは、プロセッサによって、被験者の注視点をリアルタイムで決定することと、プロセッサによって、時間ベースのパラメータのうちの少なくとも1つを使用して、被験者が仮想及び/又は拡張シーン内のターゲットのうちの1つを追跡しているかどうかを決定することとを含む。幾つかの実施形態において、時間ベースのパラメータはそれぞれ、注視点が仮想及び/又は拡張シーン内の1つ以上のターゲットのうちの1つ以上と位置合わせされる又は位置合わせされない期間に対応する。
【0015】
幾つかの実施形態において、方法は、注視点と仮想及び/又は拡張シーン内のターゲットのうちの1つ以上の現在の空間位置との比較に基づいて(例えば、プロセッサにより、時間ベースのパラメータのうちの1つ以上を使用して1つの(又は少なくとも1つの)所定の閾値期間に関してターゲットのうちの1つ以上に注視点が位置合わせされるとの決定に基づいて)、仮想及び/又は拡張シーン内のターゲットのうちの1つ以上のコントラスト及び/又は空間分解能を自動的に調整する(例えば、減少する)ことを含む。幾つかの実施形態において、方法は、時間ベースのパラメータのうちの1つ以上を使用して試験中に仮想及び/又は拡張シーン内の1つ以上のターゲット(例えば、1つ以上のターゲットのうちの1つ以上)のコントラスト、空間位置、空間分解能、及び/又は移動方向を(例えば、突然に)自動調整する(例えば、追跡されたターゲットの1つを低コントラストにして難易度を上げる、追跡されたターゲットの1つの移動方向を急に変更して難易度を上げる、全てのターゲットを高コントラストでリセットする、又は試験を停止する)ことを含む。幾つかの実施形態において、1つ以上のターゲットのコントラスト、空間位置、空間分解能、及び/又は移動方向を調整することは、プロセッサによって、被験者の注視点をリアルタイムで決定することと、時間ベースのパラメータのうちの少なくとも1つに従って1つ以上のターゲットと位置合わせされている被験者の注視点に少なくとも部分的に基づいて、仮想及び/又は拡張シーン内の1つ以上のターゲット(例えば、1つ以上のターゲットのうちの少なくとも1つ)のコントラスト及び/又は空間分解能を自動的に調整することとを含む。
【0016】
幾つかの実施形態では、被験者の視野内の仮想及び/又は拡張シーン内に表示される複数のターゲットがあり、時間ベースのパラメータは、(i)被験者の1つの注視点(例えば、前記注視点)が仮想及び/又は拡張シーン内の複数のターゲットのうちの特定のターゲット上にある(例えば、該特定のターゲットと位置合わせされる)ときを追跡するためのパラメータ、(ii)被験者の1つの注視点(例えば、前記注視点)が仮想及び/又は拡張シーン内の複数のターゲットのうちの特定のターゲットから離れている(例えば、該特定のターゲットと位置合わせされない)ときを追跡するためのパラメータ、(iii)被験者の1つの注視点(例えば、前記注視点)が仮想及び/又は拡張シーン内の複数のターゲットのうちのいずれかのターゲット上にある(例えば、該ターゲットと位置合わせされる)ときを追跡するためのパラメータ、並びに(iv)被験者の1つの注視点(例えば、前記注視点)が仮想及び/又は拡張シーン内の複数のターゲットの全てから離れている(例えば、該複数のターゲットの全てと位置合わせされない)ときを追跡するためのパラメータ、の4つのパラメータを含む(例えば、4つのパラメータから成る)。幾つかの実施形態において、4つのパラメータは、機能的視覚試験で使用される全ての有意の変数の少なくとも80%(例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、例えば、少なくとも98%、例えば、100%)を占める(例えば、有意の変数が、前記機能的視覚試験の結果に少なくとも5%の影響を有する変数である場合)。
【0017】
幾つか実施形態では、時間ベースのパラメータが非対称[例えば、パラメータ(i)及びパラメータ(ii)が異なる時間長を指し(異なる時間長に対応し)、及び/又はパラメータ(iii)及びパラメータ(iv)が異なる時間長を指し(異なる時間長に対応し)(例えば、パラメータ(i)は、パラメータ(ii)よりも短い時間長を指し、及び/又はパラメータ(iii)は、パラメータ(iv)よりも短い時間長を指す]である。
【0018】
幾つかの実施形態において、(i)時間ベースのパラメータの少なくとも1つは、ターゲットの1つを追跡する被験者に対応し[例えば、その間に注視点が仮想及び/又は拡張シーン内のターゲットのうちの1つと位置合わせされる(例えば、ターゲットのうちの1つに入射する)]、(ii)時間ベースのパラメータの少なくとも1つは、ターゲットのいずれかを追跡する被験者に対応し[例えば、その間に注視点が仮想及び/又は拡張シーン内のターゲットのいずれかと位置合わせされる(例えば、ターゲットのいずれかに入射する)]、又は(iii)(i)と(ii)の両方である。
【0019】
幾つかの実施形態において、視認性判定は、時間ベースのパラメータのみを使用して実行される(すなわち、視認性判定を行うために非時間ベースのパラメータは使用されない)。幾つかの実施形態では、視認性判定を実行するために合計10個以下のパラメータ(例えば、合計8個以下のパラメータ、合計6個以下のパラメータ、合計5個以下のパラメータ、又は合計4個以下のパラメータ)が使用される(例えば、各パラメータが時間ベースのパラメータである)。
【0020】
幾つかの実施形態において、1つ以上のターゲットは、[例えば、被験者がターゲットを追跡しているか否かにかかわらず(例えば、被験者の注視点を使用して、プロセッサによって決定されると、)]機能的視覚試験中に仮想及び/又は拡張シーン内で移動する及び/又は移動方向を変える。幾つかの実施形態において、1つ以上のターゲットは、機能的視覚試験中に仮想及び/又は拡張シーン内のコントラストを変化させる(例えば、プロセッサによって、リアルタイムで、被験者が1つ以上のターゲットを追跡していると決定することに基づいて)[例えば、被験者が所定の期間にわたってターゲットを(例えば、連続的又は断続的に)追跡しているときにのみターゲットのコントラスト及び/又は空間分解能を変更する)]。
【0021】
幾つかの実施形態において、機能的視覚試験は、糖尿病性網膜症(例えば、糖尿病性黄斑網膜症の有無にかかわらず)、シュタルガルト病、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、網膜色素変性症、緑内障、内顆粒層疾患、地図状萎縮、及び加齢黄斑変性(AMD)(例えば、中間型加齢黄斑変性(中間型AMD)、萎縮型加齢黄斑変性(萎縮型AMD)、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)、及び/又は新生血管型加齢黄斑変性(新生血管型AMD))からなる群から選択される1つ以上の眼の状態に関する試験(例えば、アウトカム尺度、例えば、機能的エンドポイント)である。
【0022】
幾つかの実施形態において、試験結果は、眼の状態におけるアウトカム尺度(例えば、被験者の片眼又は両眼に影響を及ぼす)である。幾つかの実施形態において、眼の状態は、糖尿病性網膜症(例えば、糖尿病性黄斑網膜症の有無にかかわらず)、シュタルガルト病、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、網膜色素変性症、緑内障、内顆粒層疾患、地図状萎縮、及び加齢黄斑変性(AMD)(例えば、中間型加齢黄斑変性(中間型AMD)、萎縮型加齢黄斑変性(萎縮型AMD)、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)、及び/又は新生血管型加齢黄斑変性(新生血管型AMD))からなる群から選択される。
【0023】
幾つかの実施形態において、試験結果は、被験者の眼の状態[例えば、糖尿病性網膜症(例えば、糖尿病性黄斑網膜症の有無にかかわらず)、シュタルガルト病、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、網膜色素変性症、緑内障、内顆粒層疾患、地図状萎縮、及び加齢黄斑変性(AMD)(例えば、中間型加齢黄斑変性(中間型AMD)、萎縮型加齢黄斑変性(萎縮型AMD)、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)、及び/又は新生血管型加齢黄斑変性(新生血管型AMD))]の存在、重症度、及び/又は進行を示す。
【0024】
幾つかの実施形態において、試験結果は、被験者の機能的視覚に対応するメトリック(例えば、曲線下面積(AUC)メトリック)(例えば、100%の特異度で少なくとも90%の感度、100%の特異度で少なくとも91%の感度、100%の特異度で少なくとも92%の感度、又は100%の特異度で少なくとも92.5%の感度を有する)(例えば、少なくとも90%の感度、少なくとも91%の感度、少なくとも92%の感度、又は少なくとも92.5%の感度を有する)を含む。幾つかの実施形態において、メトリックは、疎なAUCメトリック(例えば、1つ以上の径方向掃引が実行されておらず、及び/又は考慮されていない場合)である。幾つかの実施形態において、試験結果は、コントラスト感度(例えば、二乗平均平方根(RMS)コントラスト比の逆数)及び空間周波数(1度当たりのサイクル、CPDで)(例えば、プロットとして記憶される又はプロットに提示される)の関数を含む。
【0025】
幾つかの実施形態において、1つ以上のターゲットのそれぞれは、仮想及び/又は拡張シーン内でグラフィカルにレンダリングされた視認性パッチ(例えば、コントラストベースの視認性パッチ)である。
【0026】
幾つかの実施形態では、本方法が人工知能を使用せずに実行される。
【0027】
幾つかの実施形態において、本方法は、プロセッサによって、機能的視覚試験(例えば、本明細書に開示される方法を使用して)中に暗点をシミュレートすることを含む。
【0028】
一態様において、本発明は、薬学的に許容され得る容器と、容器内に固定される或いはさもなければ密封される治療剤と、ラベルとを備える包装された医薬組成物又はキットであって、治療剤が眼の状態[例えば、地図状萎縮及び/又は加齢黄斑変性(AMD)(例えば、中間型加齢黄斑変性(中間型AMD)、萎縮型加齢黄斑変性(萎縮型AMD)、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)、及び/又は新生血管型加齢黄斑変性(新生血管型AMD))]のためのものであり、ラベルは、治療剤が眼の状態の処置のためのものであることを特定する記述及び/又はコード、(i)眼の状態が請求項1から26のいずれか一項に記載の方法に従って行われる機能的視覚試験によって診断及び/又は監視されていること、及び/又は(ii)治療剤の有効性が請求項1から26のいずれか一項に記載の方法に従って行われる機能的視覚試験によって被験者(例えば、患者)の集団において確立及び/又は確認されていることを含む、包装された医薬組成物又はキットに関する。
【0029】
一態様において、本発明は、本明細書中に開示される方法に従って機能的視覚試験を使用して、眼の状態と診断された、眼の状態について監視されている又は監視される、及び/又は眼の状態の悪化重症度(例えば、被験者の片眼又は両眼に影響を及ぼす)を示すと判定された被験者を処置する方法であって、治療有効量の治療剤(例えば、医薬化合物)を被験者に投与することを含む、方法に関する。
【0030】
幾つかの実施形態において、眼の状態は、糖尿病性網膜症(例えば、糖尿病性黄斑網膜症の有無にかかわらず)、シュタルガルト病、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、網膜色素変性症、緑内障、内顆粒層疾患、地図状萎縮、及び加齢黄斑変性(AMD)(例えば、中間型加齢黄斑変性(中間型AMD)、萎縮型加齢黄斑変性(萎縮型AMD)、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)、及び/又は新生血管型加齢黄斑変性(新生血管型AMD))からなる群から選択される。
【0031】
幾つかの実施形態では、治療剤が抗体(例えば、モノクローナル抗体)(例えば、抗D因子抗体又は血管内皮成長因子(VEGF)阻害剤)である。幾つかの実施形態では、治療剤が血管内皮成長因子(VEGF)阻害剤である。幾つかの態様において、治療剤は、ラニビズマブ、ファリシマブ、ブロルシズマブ、アフリベルセプト又はペガプタニブである。幾つかの実施形態において、治療剤は、ビタミン補助剤及び/又はミネラル補助剤(例えば、ビタミンC、亜鉛、ビタミンE、銅又はβ-カロテンを含む)を含む。幾つかの態様において、治療剤は補体阻害剤(例えば、C3阻害剤又はC5阻害剤)を含む。幾つかの実施形態において、補体阻害剤は、C3及び/又はC3の生物学的に活性なフラグメント(例えば、C3b又はC3a)に結合するペプチド、タンパク質、抗体又はアプタマーを含む。幾つかの態様において、治療剤は、(i)ビタミンC、亜鉛、ビタミンE、銅、β-カロテン及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるビタミン補助剤及び/又はミネラル補助剤、(ii)ラニビズマブ、(iii)ファリシマブ、(iv)ブロルシズマブ、(v)アフリベルセプト、(vi)ペガプタニブ、(vii)補体阻害剤、(viii)神経保護剤、(ix)抗炎症剤、(x)フリーラジカルスカベンジャー、(xi)抗アポトーシス剤、(xii)インテグリン調節剤、(xiii)遺伝子療法、又は(xiv)細胞療法である。
【0032】
一態様において、本発明は、治療剤の治療有効性(例えば、利益)を決定する方法であって、(i)本明細書中に開示される方法による機能的視覚試験を被験者に施すことと、及び(ii)機能的視覚試験の試験結果に基づいて被験者に対する治療剤の治療有効性(例えば、利益)を決定することとを含む方法に関する。幾つかの実施形態において、治療有効性を決定することは、質調整生存年(QALY)を定量化することを含む。幾つかの実施形態において、方法は、機能的視覚試験からの試験結果に基づいて(例えば、QALYの定量化に基づいて)治療有効性を決定することに少なくとも部分的に基づいて、治療剤の費用有効性を決定することを含む。幾つかの態様において、治療剤は、(i)ビタミンC、亜鉛、ビタミンE、銅、β-カロテン及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるビタミン補助剤及び/又はミネラル補助剤、(ii)ラニビズマブ、(iii)ファリシマブ、(iv)ブロルシズマブ、(v)アフリベルセプト、(vi)ペガプタニブ、(vii)補体阻害剤、(viii)神経保護剤、(ix)抗炎症剤、(x)フリーラジカルスカベンジャー、(xi)抗アポトーシス剤、(xii)インテグリン調節剤、(xiii)遺伝子療法、又は(xiv)細胞療法である。
【0033】
一態様において、本発明は、本明細書中に開示される方法を使用して眼の状態と診断された及び/又は眼の状態について監視された被験者を処置するための、(i)ビタミンC、亜鉛、ビタミンE、銅、β-カロテン及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるビタミン補助剤及び/又はミネラル補助剤、(ii)ラニビズマブ、(iii)ファリシマブ、(iv)ブロルシズマブ、(v)アフリベルセプト、(vi)ペガプタニブ、(vii)補体阻害剤、(viii)神経保護剤、(ix)抗炎症剤、(x)フリーラジカルスカベンジャー、(xi)抗アポトーシス剤、(xii)インテグリン調節剤、(xiii)遺伝子療法、又は(xiv)細胞療法の使用に関する。
【0034】
一態様において、本発明は、治療的介入の治療有効性(例えば、利益)を決定する方法であって、(i)本明細書中に開示される方法による機能的視覚試験を施すことと、及び(ii)機能的視覚試験の試験結果に基づいて被験者に対する治療的介入(例えば、レーザー凝固療法)の治療有効性(例えば、利益)を決定することとを含む方法に関する。
【0035】
一態様において、本発明は、本明細書中に開示される方法に従って機能的視覚試験を使用して、眼の状態と診断された、眼の状態について監視された又は監視される、及び/又は眼の状態の悪化重症度(例えば、被験者の片眼又は両眼に影響を及ぼす)を示すと判定された被験者を処置する方法であって、治療上有効な治療的介入(例えば、レーザー凝固療法)を被験者に施すことを含む、方法に関する。
【0036】
一態様において、本発明は、眼の状態と診断された、眼の状態について監視された又は監視される、及び/又は眼の状態の悪化重症度(例えば、被験者の片眼又は両眼に影響を及ぼす)を示すと判定された被験者を処置する方法であって、治療有効量の治療剤(例えば、医薬化合物)を被験者に投与することを含み、治療剤の有効性は、本明細書中に開示される方法に従って機能的視覚試験を使用して被験者の集団において確立又は確認されている、方法に関する。幾つかの実施形態において、眼の状態は、糖尿病性網膜症(例えば、糖尿病性黄斑網膜症の有無にかかわらず)、シュタルガルト病、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、網膜色素変性症、緑内障、内顆粒層疾患、地図状萎縮、及び加齢黄斑変性(AMD)(例えば、中間型加齢黄斑変性(中間型AMD)、萎縮型加齢黄斑変性(萎縮型AMD)、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)、及び/又は新生血管型加齢黄斑変性(新生血管型AMD))からなる群から選択される。幾つかの実施形態において、治療剤による処置は、適切な対照[例えば、無処置又は偽処置(例えば、プラセボ)]と比較して、機能的視覚試験の性能を維持もしくは改善し、及び/又は機能的視覚試験の性能の低下率を低下させる。
【0037】
一態様において、本発明は、眼の状態[例えば、地図状萎縮及び/又は加齢黄斑変性(AMD)(例えば、中間型加齢黄斑変性(中間型AMD)、萎縮型加齢黄斑変性(萎縮型AMD)、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)及び/又は新生血管型加齢黄斑変性(AMD)]と診断された個体を処置するための治療剤の使用であって、被験者の集団において本明細書に記載の方法を用いて治療剤の治療有効性が確立又は確認されている、使用に関する。幾つかの態様において、治療剤は、(i)ビタミンC、亜鉛、ビタミンE、銅、β-カロテン及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるビタミン補助剤及び/又はミネラル補助剤、(ii)ラニビズマブ、(iii)ファリシマブ、(iv)ブロルシズマブ、(v)アフリベルセプト、(vi)ペガプタニブ、(vii)補体阻害剤、(viii)神経保護剤、(ix)抗炎症剤、(x)フリーラジカルスカベンジャー、(xi)抗アポトーシス剤、(xii)インテグリン調節剤、(xiii)遺伝子療法、又は(xiv)細胞療法を含む。
【0038】
一態様において、本発明は、プロセッサと、命令が記憶されたメモリとを備えるシステム[例えば、仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実デバイス(例えば、視線追跡機能を伴うVRヘッドセット)]に関し、命令は、本明細書中に開示された方法によって機能的視覚試験を実行するためにプロセッサによって実行可能である。
【0039】
一態様において、本発明は、仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実デバイス(例えば、視線追跡機能を伴うVRヘッドセット)を使用して被験者に対して視覚試験を実行するための方法であって、プロセッサによって、(例えば、VRヘッドセットのヘッドマウントディスプレイ上で)デバイスを介して被験者の視野内の仮想及び/又は拡張シーン内の物体を被験者に対してレンダリング及び表示することを含み、被験者の頭部が[例えば、被験者が被験者の注視点(例えば、物体における関心領域との最良の視覚の位置合わせに対応する位置)に対して好ましい位置に物体を向けることができるように]向きを変えるとき、物体の位置は仮想空間内で固定された(例えば、仮想及び/又は拡張シーン内に固定された)ままである、方法に関する。幾つかの実施形態において、デバイスを並進移動させる被験者は、仮想空間内で被験者に対して物体を移動させない(例えば、被験者は、仮想空間内の物体に近づくことも遠ざかることもできない)。幾つかの実施形態では、(例えば、デバイスの1つ以上のレンズの品質に起因する周辺視野の減少を考慮するために、)(例えば、VRヘッドセットのヘッドマウントディスプレイ上にレンダリングされた)物体が湾曲される(すなわち、平坦ではない)(例えば、湾曲した試験チャート)。幾つかの実施形態では、物体が仮想試験チャート(例えば、アイチャート)(例えば、1つ以上のターゲット、例えば、例えば機能的視覚試験のための移動するターゲットを含む)である。幾つかの実施形態において、VRヘッドセットは、低コストの既製のヘッドセットである。
【0040】
一態様において、本発明は、被験者(例えば、黄斑変性などの黄斑疾患を伴う患者、例えば中心暗点を伴う患者)の片眼又は両眼に関して網膜の解剖学的構造(例えば、解剖学的構造基準システム内の軌跡)に対する好ましい網膜軌跡(PRL)(例えば、好ましい網膜軌跡は、中心窩又は黄斑以外の網膜上の位置である)を特定するためのシステムであって、コンピューティングデバイスのプロセッサと、命令が記憶されたメモリと、を備え、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、経時的に(例えば、実際の眼の解剖学的構造とは無関係に)ヘッドセット基準システムにおける被験者の眼の視線方向(例えば、前記視線方向が視軸を規定する)に対応する第1のデータストリームを(例えば、VRヘッドセットから)受信させ、経時的にヘッドセット基準システムにおける被験者の眼の節点(例えば、前記節点が眼の角膜曲率中心に対応する)における視線原点に対応する第2のデータストリームを(例えば、VRヘッドセットから)受信させ、節点が、眼が回転して視線方向を変更するときに眼の回転中心の周りで移動し、第2のデータストリームからのデータを使用して、眼の回転中心に対応する基準点(例えば、中心)を有するとともに節点によって近似された表面を有する幾何学的体積(例えば、球、例えば、最良適合球)を特定させ、特定された幾何学的体積(例えば、球、例えば、最良適合球)から解剖学的基準(例えば、眼の光軸)を特定させ(例えば、眼の光軸を、球の中心と視線原点とを結ぶ線として特定させ)、特定された解剖学的基準(例えば、眼の光軸)及び第1のデータストリームからのデータを使用して、網膜の解剖学的構造(例えば、解剖学的構造基準システム内の軌跡)に対する好ましい網膜軌跡(PRL)を特定させる(例えば、第1のデータストリームからのデータを使用して、光軸と眼の視軸との間の水平角φ及び/又は垂直角θを計算させるとともに、眼の特定された光軸並びに計算された水平角φ及び/又は垂直角θを使用してPRLを特定させる)[例えば、及びPRL変化を検出するために、例えば、疾患が進行するにつれて、経時的に(例えば、数ヶ月又は数年にわたって)行われる被験者との複数のセッションにおいてPRL(例えば、角度φ、θ)を監視させる]、システムに関する。
【0041】
特定の実施形態において、システムは、第1のデータストリーム及び第2のデータストリームを生成するための仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実ヘッドセットを備える。特定の実施形態において、システムは、視線追跡カメラを備える(例えば、ヘッドセットが視線追跡カメラを備える)。特定の実施形態において、システムは、被験者の片眼又は両眼を照明するための照明源(例えば、赤外線照明源)を備える(例えば、ヘッドセットが照明源を備える)。
【0042】
特定の実施形態において、仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実ヘッドセットは、ヘッドマウントディスプレイ、1つ以上のレンズ、第1のデータストリーム及び/又は第2のデータストリームを生成するための1つ以上のヘッドセットプロセッサ[例えば、命令を実行するコンピューティングデバイスのプロセッサは、(i)1つ以上のヘッドセットプロセッサの一部又は全部、(ii)1つ以上のヘッドセットプロセッサとは異なる、(iii)1つ以上のヘッドセットプロセッサと少なくとも部分的に同じ場所に配置される、(iv)1つ以上のヘッドセットプロセッサから空間的に分離される(遠隔にある)、並びに(v)1つ以上のヘッドセットプロセッサとの電気的及び/又はデータ通信状態にある、のうちのいずれか1つ以上である]、ヘッドセットにおけるディスプレイの位置を物理的に調整するための1つ以上の機構(例えば、ダイヤル、トグル、ノブ、又はスイッチ)、被験者の頭部に対するヘッドセットの水平及び/又は垂直位置を調整する(例えば、手動調整する)ための1つ以上の機構(例えば、機械的機構、例えばノブ、ストラップ、ダイヤルなど)、回路基板、並びに頭部支持体(例えば、被験者の頭部にヘッドセットを安定させるためのストラップ、マウント、ブレース、及び/又は、他の物理的構造)からなる群から選択される1つ以上の部材を備える。
【0043】
特定の実施形態において、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、視覚刺激(例えば、1つ以上の静的な及び/又は変化する/移動するグラフィックターゲット)を被験者に表示させ、特定されたPRLを使用して刺激に対する眼球運動のパターンを誘発及び記録させ、前記記録された眼球運動のパターンは、疾患又は状態(例えば、網膜機能障害)と相関される。特定の実施形態において、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、前記記録された眼球運動のパターンに少なくとも部分的に基づいて前記被験者が前記疾患又は状態を有し得ることを特定させる(例えば、命令は、プロセッサによって実行されると、被験者が前記疾患又は状態を有し得ることを示すグラフィック表示(例えば、英数字)をプロセッサに提示させる)。
【0044】
別の態様において、本発明は、(例えば、ヘッドセットレンズの中心と着用者の(それぞれの)眼の中心との位置合わせを改善/最適化するために)着用者の頭部に対する仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実ヘッドセットの位置の調整(例えば、物理的調整、例えば着用者による手動調整)を促すためのシステムであって、着用者の頭部に対するヘッドセットの垂直位置を調整(例えば、手動調整)するための1つ以上の機構(例えば、機械的機構、例えばノブ、ストラップ、ダイヤルなど)を伴う仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実ヘッドセットと、コンピューティングデバイスのプロセッサと、命令が記憶されたメモリとを備え、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、経時的にヘッドセットに対する着用者の眼の位置に対応する第1のデータストリーム(例えば、第1のデータストリームは、着用者の片眼又は両眼(のそれぞれ)の節点における視線原点に対応し、前記節点のそれぞれが、(それぞれの)眼の角膜曲率中心に対応する)(例えば、一方又は両方のそれぞれのヘッドセットレンズの中心に対する着用者の片眼又は両眼の中心の位置)を受信させ、仮想カメラの位置がヘッドセットに対する着用者の眼の位置にリンクされ、第1のデータストリームが受信される際に、仮想カメラのリアルタイム(又はほぼリアルタイム)位置に対応するリアルタイム(又はほぼリアルタイムの)ヘッドセット着用者の視野内に仮想アイアンサイトをレンダリングさせて表示させ、前記アイアンサイトが、互いに対して固定位置を有する2つの同心リングと、2つの同心リングに対してコントラストを成す色及び/又は色合いを有する第3のリングとを含み、前記第3のリングは、一方又は両方のそれぞれのヘッドセットレンズの中心が着用者のそれぞれの眼の視線原点(角膜曲率の中心)と位置ずれしている場合に、2つの同心リングに対して視覚的に検出可能なオフセットを有し、ヘッドセットの視野内で着用者に見える2つの同心リングに対する第3のリングのオフセットは、前記調整によって一方又は両方のそれぞれのヘッドセットレンズの中心が着用者のそれぞれの眼の視線原点と位置合わせされるまで、1つ以上の(例えば、機械的な)機構を介してヘッドセットの垂直位置の物理的調整を(例えば、着用者によって)促し、仮想カメラの結果として生じる位置により、第3のリングが2つの同心リング間で完全に表示される、システムに関する。特定の実施形態において、仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実ヘッドセットは、第1のデータストリームを生成する。特定の実施形態において、システムは、視線追跡カメラを備える(例えば、ヘッドセットが視線追跡カメラを備える)。特定の実施形態において、システムは、着用者の片眼又は両眼を照明するための照明源(例えば、赤外線照明源)を備える(例えば、ヘッドセットが照明源を備える)。
【0045】
特定の実施形態において、仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実ヘッドセットは、ヘッドマウントディスプレイ、1つ以上のレンズ、ヘッドセット内のディスプレイの位置を物理的に調整するための1つ以上の機構(例えば、ダイヤル、トグル、ノブ、又はスイッチ)、回路基板、及び頭部支持体(例えば、被験者の頭部にヘッドセットを安定させるためのストラップ、マウント、ブレース、及び/又は、他の物理的構造)からなる群から選択される1つ以上の部材を備える。
【0046】
特定の実施形態において、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、一方又は両方のそれぞれのヘッドセットレンズの中心を着用者のそれぞれの眼の視線原点と位置合わせさせる前記調整に従って、視覚刺激(例えば、1つ以上の静的及び/又は変化する/移動するグラフィックターゲット)を被験者に表示させて、刺激に対する眼球運動のパターンを誘発及び記録させ、前記記録された眼球運動のパターンは、疾患又は状態(例えば、網膜機能障害)と相関される。特定の実施形態において、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、前記記録された眼球運動のパターンに少なくとも部分的に基づいて前記被験者が前記疾患又は状態を有し得ることを特定させる(例えば、命令は、プロセッサによって実行されると、被験者が前記疾患又は状態を有し得ることを示すグラフィック表示(例えば、英数字)をプロセッサに提示させる)。
【0047】
別の態様において、本発明は、視野に対する暗点の影響をシミュレートするグラフィック(例えば、2D)暗点マスクをレンダリングするためのシステムであって、前記暗点が特定の患者によって罹患され、システムが、コンピューティングデバイスのプロセッサと、命令が記憶されたメモリとを備え、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、シミュレートされた暗点の形状(例えば、円板などの選択されたデフォルト暗点形状、又は被験者の微小視野測定から導出された個人化された暗点形状、例えば、識別光感度(Differential light sensitivity:DLS)マップ)に対応するデータを受信させ、暗点(例えば、前記1つ以上のパラメータは、不透明度、彩度、ぼやけ、及び歪み(例えば、ピンクッション、バレル、又は渦)からなる群から選択される1つ以上の要素を含む)によって引き起こされる視覚効果の値に対応する1つ以上の視覚効果パラメータを特定するための入力を(例えば、実際の暗点に罹患している特定の患者から)受信させ、シミュレートされた暗点の形状及び1つ以上の視覚効果パラメータに従ってグラフィック暗点マスクを規定させ、VRヘッドセットの着用者の注視点に対応する第1のデータストリームを(例えば、VRヘッドセットから)受信させ、着用者の視野内の仮想及び/又は拡張シーンをVRヘッドセットの着用者にリアルタイムで(又はほぼリアルタイムで)レンダリング及び表示させ、前記仮想及び/又は拡張シーンの少なくとも一部は、グラフィック暗点マスクに従って変更され、前記仮想及び/又は拡張シーンは、前記注視点がリアルタイムで変化するとき、及び前記仮想及び/又は拡張シーンがシミュレートされた暗点の影響を受けるときに、着用者の注視点に追従する(例えば、着用者は患者であってもよく、又は着用者は患者とは異なる個人であってもよい)、システムに関する。
【0048】
特定の実施形態において、命令は、プロセッサに、第1の期間にわたって、(i)患者の健康な眼の視覚を遮断し、(ii)患者の暗点罹患眼に仮想シーンを表示し又は患者の暗点罹患眼による実際の視野の観察を可能にし、前記患者が片側暗点を有し、第2の期間にわたって、仮想及び/又は拡張シーンを、患者の(1つの)健康な眼のみにシミュレートされた暗点を(例えば、VRヘッドセットを介して)レンダリングして表示し、前記仮想及び/又は拡張シーンが、所与の形状及び1つ以上の調整可能な視覚効果パラメータに対応するグラフィック暗点マスクに従って変更され、患者が、各眼における患者の視野を比較するとともに、1つ以上の視覚効果パラメータ(及び/又は暗点形状)を調整して、眼によって見られる視野を、シミュレートされた暗点を有する眼によって見られる視野を伴う実際の暗点と一致させることができるように、患者からのフィードバックに従って仮想及び/又は拡張シーンを更新するとともに、リアルタイムで(又はほぼリアルタイムで)更新された仮想及び/又は拡張シーンを患者の健康な眼にレンダリングして表示する、ことによって入力される患者からの1つ以上の視覚効果パラメータを特定させる。
【0049】
特定の実施形態において、システムは、第1のデータストリームを生成する仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実ヘッドセットを備える。
【0050】
特定の実施形態において、システムは、視線追跡カメラを備える(例えば、ヘッドセットが視線追跡カメラを備える)。
【0051】
特定の実施形態において、システムは、患者の片眼又は両眼を照明するための照明源(例えば、赤外線照明源)を備える(例えば、ヘッドセットが照明源を備える)。
【0052】
特定の実施形態において、システムは仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実ヘッドセットを備え、仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実ヘッドセットは、ヘッドマウントディスプレイ、1つ以上のレンズ、ヘッドセット内のディスプレイの位置を物理的に調整するための1つ以上の機構(例えば、ダイヤル、トグル、ノブ、又はスイッチ)、被験者の頭部に対するヘッドセットの水平及び/又は垂直位置を調整する(例えば、手動調整する)ための1つ以上の機構(例えば、機械的機構、例えばノブ、ストラップ、ダイヤルなど)、回路基板、並びに頭部支持体(例えば、被験者の頭部にヘッドセットを安定させるためのストラップ、マウント、ブレース、及び/又は、他の物理的構造)からなる群から選択される1つ以上の部材を備える。
【0053】
特定の実施形態において、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、視覚刺激(例えば、1つ以上の静的な及び/又は変化する/移動するグラフィックターゲット)を被験者に表示させ、刺激に対する眼球運動のパターンを誘発及び記録させ、前記記録された眼球運動のパターンは、疾患又は状態(例えば、網膜機能障害)と相関される。特定の実施形態において、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、前記記録された眼球運動のパターンに少なくとも部分的に基づいて前記着用者が前記疾患又は状態を有し得る(又はそのリスクを有し得る)ことを特定させる(例えば、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、着用者が前記疾患又は状態を有し得る(又はそのリスクを有し得る)ことを示すグラフィック表示(例えば、英数字)を提示させる)。
【0054】
別の態様において、本発明は、被験者(例えば、黄斑変性などの黄斑疾患を伴う患者、例えば中心暗点を伴う患者)の片眼又は両眼に関して網膜の解剖学的構造に対する好ましい網膜軌跡(PRL)(例えば、解剖学的構造基準システム内の軌跡)(例えば、好ましい網膜軌跡は、中心窩又は黄斑以外の網膜上の位置である)を特定する方法であって、コンピューティングデバイスのプロセッサにより、経時的に(例えば、実際の眼の解剖学的構造とは無関係に)ヘッドセット基準システム内の被験者の眼の視線方向(例えば、前記視線方向が視軸を規定する)に対応する第1のデータストリームを(例えば、VRヘッドセットから)受信することと、プロセッサにより、経時的にヘッドセット基準システム内の被験者の眼の節点(例えば、前記節点は眼の角膜曲率中心に対応する)における視線原点に対応する第2のデータストリームを(例えば、VRヘッドセットから)受信することであって、節点が、眼が回転して視線方向を変更するときに眼の回転中心の周りで移動する、ことと、プロセッサにより、第2のデータストリームからのデータを使用して、眼の回転中心に対応する基準点(例えば、中心)を有するとともに節点によって近似された表面を有する幾何学的体積(例えば、球、例えば、最良適合球)を特定することと、プロセッサにより、特定された幾何学的体積(例えば、球、例えば、最良適合球)から解剖学的基準(例えば、眼の光軸)を特定する(例えば、眼の光軸を、球の中心と視線原点とを結ぶ線として特定する)ことと、特定された解剖学的基準(例えば、眼の光軸)及び第1のデータストリームからのデータを使用して、網膜の解剖学的構造に対する好ましい網膜軌跡(PRL)(例えば、解剖学的構造基準システム内の軌跡)を特定すること(例えば、第1のデータストリームからのデータを使用して、光軸と眼の視軸との間の水平角φ及び/又は垂直角θを計算するとともに、眼の特定された光軸並びに計算された水平角φ及び/又は垂直角θを使用してPRLを特定する)[例えば、及びPRL変化を検出するために、例えば、疾患が進行するにつれて、経時的に(例えば、数ヶ月又は数年にわたって)行われる被験者との複数のセッションにおいて、PRL(例えば、角度φ、θ)を監視する]とを含む方法に関する。
【0055】
特定の実施形態において、方法は、視覚刺激(例えば、1つ以上の静的な及び/又は変化する/移動するグラフィックターゲット)を被験者に表示して、特定されたPRLを使用して刺激に対する眼球運動のパターンを(例えば、プロセッサによって)誘発及び記録することを含み、前記記録された眼球運動のパターンは、疾患又は状態(例えば、網膜機能障害)と相関される。特定の実施形態において、方法は、プロセッサにより、前記記録された眼球運動のパターンに少なくとも部分的に基づいて前記疾患又は状態を有するとして前記被験者を特定する(例えば、又は代替的に、疾患又は状態のリスクを有するとして被験者を特定する)(例えば、プロセッサにより、被験者が前記疾患又は状態を有する(例えば、又は代替的に疾患又は状態を有し得る)ことを示すグラフィック表示(例えば、英数字)を提示する)ことを含む。
【0056】
別の態様において、本発明は、(例えば、ヘッドセットレンズの中心と着用者の(それぞれの)眼の中心との位置合わせを改善/最適化するために)着用者の頭部に対する仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実ヘッドセットの位置の調整(例えば、物理的調整、例えば着用者による手動調整)を促すための方法であって、コンピューティングデバイスのプロセッサにより、経時的にヘッドセットに対する着用者の眼の位置に対応する第1のデータストリーム(例えば、第1のデータストリームは、着用者の片眼又は両眼(のそれぞれ)の節点における視線原点に対応し、前記節点のそれぞれが、(それぞれの)眼の角膜曲率中心に対応する)(例えば、一方又は両方のそれぞれのヘッドセットレンズの中心に対する着用者の片眼又は両眼の中心の位置)を受信することであって、仮想カメラの位置がヘッドセットに対する着用者の眼の位置にリンクされ、ヘッドセットが、着用者の頭部に対するヘッドセットの垂直位置を調整(例えば、手動調整)するための1つ以上の機構(例えば、機械的機構、例えばノブ、ストラップ、ダイヤルなど)を備える、ことと、プロセッサにより、第1のデータストリームが受信される際に、仮想カメラのリアルタイム(又はほぼリアルタイム)位置に対応するリアルタイム(又はほぼリアルタイム)でヘッドセット着用者の視野内に仮想アイアンサイトをレンダリングして表示することであって、前記アイアンサイトが、互いに対して固定位置を有する2つの同心リングと、2つの同心リングに対してコントラストを成す色及び/又は色合いを有する第3のリングとを含み、前記第3のリングが、一方又は両方のそれぞれのヘッドセットレンズの中心が着用者のそれぞれの眼の視線原点(角膜曲率の中心)と位置ずれしている場合に、2つの同心リングに対して視覚的に検出可能なオフセットを有する、こととを含み、ヘッドセットの視野内で着用者に見える2つの同心リングに対する第3のリングのオフセットは、前記調整によって一方又は両方のそれぞれのヘッドセットレンズの中心が着用者のそれぞれの眼の視線原点と位置合わせされるまで、1つ以上の(例えば、機械的な)機構を介してヘッドセットの垂直位置の(例えば、着用者による)物理的調整を促し、仮想カメラの結果として生じる位置により、第3のリングが2つの同心リング間で完全に表示される、方法に関する。
【0057】
特定の実施形態において、本方法は、視覚機能試験中に仮想アイアンサイト位置合わせをチェックすることを含む。
【0058】
特定の実施形態において、方法は、それぞれのヘッドセットレンズの一方又は両方の中心を着用者のそれぞれの眼の視線原点と位置合わせさせる前記調整に続いて、視覚刺激(例えば、1つ以上の静的な及び/又は変化する/移動するグラフィックターゲット)を(例えば、プロセッサによって)着用者に表示して、刺激に対する眼球運動のパターンを誘発及び記録することを含み、前記記録された眼球運動のパターンは、疾患又は状態(例えば、網膜機能障害)と相関される。特定の実施形態において、方法は、プロセッサにより、前記記録された眼球運動のパターンに少なくとも部分的に基づいて前記着用者が前記疾患又は状態を有する(又は有し得る)ことを特定する(例えば、及び着用者が前記疾患又は状態を有する(又は有し得る)ことを示すグラフィック表示(例えば、英数字)を提示する)ことを含む。
【0059】
別の態様において、本発明は、視野に対する暗点の影響をシミュレートするグラフィック(例えば、2D)暗点マスクをレンダリングするための方法であって、前記暗点が特定の患者によって罹患され、方法が、コンピューティングデバイスのプロセッサにより、シミュレートされた暗点の形状(例えば、円板などの選択されたデフォルト暗点形状、又は被験者の微小視野測定から導出された個人化された暗点形状、例えば、識別光感度(DLS)マップ)に対応するデータを受信することと、プロセッサにより、暗点によって引き起こされる視覚効果の値に対応する1つ以上の視覚効果パラメータ(例えば、前記1つ以上のパラメータは、不透明度、彩度、ぼやけ、及び歪み(例えば、ピンクッション、バレル、又は渦)からなる群から選択される1つ以上の要素を含む)を特定するための入力を(例えば、実際の暗点に罹患している特定の患者から)受信することと、プロセッサにより、シミュレートされた暗点の形状及び1つ以上の視覚効果パラメータに従ってグラフィック暗点マスクを規定することと、プロセッサにより、VRヘッドセットの着用者の注視点に対応する第1のデータストリームを(例えば、VRヘッドセットから)受信することと、着用者の視野内の仮想及び/又は拡張シーンをVRヘッドセットの着用者にリアルタイムで(又はほぼリアルタイムで)レンダリング及び表示することであって、前記仮想及び/又は拡張シーンの少なくとも一部が、グラフィック暗点マスクに従って変更され、前記仮想及び/又は拡張シーンが、前記注視点がリアルタイムで変化するとき、及び前記仮想及び/又は拡張シーンがシミュレートされた暗点の影響を受けるときに、着用者の注視点に追従する(例えば、着用者は患者であってもよく、又は着用者は患者とは異なる個人であってもよい)、こととを含む方法に関する。
【0060】
特定の実施形態において、方法は、第1の期間にわたって、(i)患者の健康な眼の視覚を遮断し、(ii)患者の暗点罹患眼に仮想シーンを表示し又は患者の暗点罹患眼による実際の視野の観察を可能にし、前記患者が片側暗点を有し、第2の期間にわたって、仮想及び/又は拡張シーンを、患者の(1つの)健康な眼のみにシミュレートされた暗点を(例えば、VRヘッドセットを介して)レンダリングして表示し、前記仮想及び/又は拡張シーンが、所与の形状及び1つ以上の調整可能な視覚効果パラメータに対応するグラフィック暗点マスクに従って変更され、患者が、各眼における患者の視野を比較するとともに、1つ以上の視覚効果パラメータ(及び/又は暗点形状)を調整して、眼によって見られる視野を、シミュレートされた暗点を有する眼によって見られる視野を伴う実際の暗点と一致させることができるように、患者からのフィードバックに従って仮想及び/又は拡張シーンを更新するとともに、リアルタイムで(又はほぼリアルタイムで)更新された仮想及び/又は拡張シーンを患者の健康な眼にレンダリングして表示する、ことによって入力される患者からの1つ以上の視覚効果パラメータをプロセッサにより特定することを含む。
【0061】
特定の実施形態において、方法は、視覚刺激(例えば、1つ以上の静的な及び/又は変化する/移動するグラフィックターゲット)を着用者に(例えば、プロセッサにより)表示して、刺激に対する眼球運動のパターンを誘発及び記録することを含み、前記記録された眼球運動のパターンは、疾患又は状態(例えば、網膜機能障害)と相関される。特定の実施形態において、方法は、プロセッサにより、前記記録された眼球運動のパターンに少なくとも部分的に基づいて、前記着用者が前記疾患又は状態を有し得る(又はそのリスクを有し得る)ことを特定する(例えば、及び着用者が前記疾患又は状態を有し得る(又はそのリスクを有し得る)ことを示すグラフィック表示(例えば、英数字)を提示する)ことを含む。
【0062】
別の態様において、本発明は、仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実デバイス(例えば、視線追跡機能を伴うVRヘッドセット)を使用して被験者に対して機能的視覚試験(例えば、コントラスト感度及び/又は空間周波数試験、例えば径方向掃引試験)を実行するためのシステムであって、コンピューティングデバイスのプロセッサと、命令が記憶されたメモリとを備え、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、機能的視覚試験の過程にわたって、ターゲット(例えば、移動するターゲット、例えば、空間周波数及びコントラストが離散的な間隔で、例えば、複数の掃引軌跡に沿って変化するターゲットであり、例えば、掃引は全て、共通の原点にあるターゲットから始まり、次に、機能の限界に達するまで、コントラスト感度関数(CSF)空間内のベクトルに沿って外側に放射し、その時点で、ターゲットの不可視性は、被験者による更なる追跡を防止し、閾値が記録される)を被験者に(例えば、VRヘッドセットを介して)レンダリングさせて表示させ、機能的視覚試験の過程中に、被験者が時間的及び空間的にターゲットを正確に追跡しているかどうかを自動的に特定するために、機械学習アルゴリズムを使用して視認性判定をリアルタイムで自動的に実行させ、視認性判定を使用して試験結果を計算及び/又は表示させる、システムに関する。
【0063】
特定の実施形態において、試験結果は、コントラスト感度(例えば、二乗平均平方根(RMS)コントラスト比の逆数)及び空間周波数(1度当たりのサイクル、CPD)のプロットを含む。
【0064】
特定の実施形態において、機械学習アルゴリズム(例えば、前記機械学習アルゴリズムは、1つ以上の組換え(recombinant)ニューラルネットワーク、及び/又は長・短期記憶、及び/又は1つ以上の時間畳み込みネットワークを含む)は、被験者の眼の位置が個々のターゲット(例えば、数百分間の観察及び注釈から選び出される)内にあったかどうかを判定したユーザのビデオ記録の手動評価によって確立されるグラウンドトゥルースを用いてユーザ試験から事前に訓練されている。
【0065】
特定の実施形態において、機械学習アルゴリズムは、機能的視覚試験の過程中に、所与の時間窓(例えば、ミリ秒単位、例えば、<250ミリ秒、<100ミリ秒、<50ミリ秒、<25ミリ秒など)に関して、被験者がターゲット(例えば、複数のターゲット、例えば3つ以上のターゲット、例えば5つのターゲットの視野における個々のターゲット)を観察している(又は観察していない)確率を決定し、被験者に提示されたターゲットの外観は、被験者がターゲットを観察している(可能性がある)と決定すると、機能的視覚試験の過程で少なくとも1回変更される(例えば、コントラストの値及び/又は空間周波数の値)、(例えば、被験者がもはやターゲットを追跡していないとアルゴリズムが決定すると、ターゲットの外観の変更が停止され、コントラスト及び空間周波数の最終値は、そのパラメータ空間に関する被験者の視覚的/機能的閾値として記録され、例えば、その時点で、新しいターゲットが提示され、プロセスが繰り返され、例えば、新しい掃引が行われる)。
【0066】
特定の実施形態において、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、1つ以上の閾値パラメータを(例えば、機能的視覚試験の過程で)調整させる(例えば、1つ以上の閾値パラメータは、(i)被験者の実際の眼の位置がターゲット、例えば円形ターゲットの中心からどれだけ近いか、又は遠いかについての許容誤差、及び(ii)機械学習アルゴリズムを使用した視認性判定のための時間窓のうちの一方又は両方を含む)。
【0067】
別の態様において、本発明は、仮想現実デバイス及び/又は拡張現実デバイス及び/又は複合現実デバイス(例えば、視線追跡機能を伴うVRヘッドセット)を使用して被験者に対して機能的視覚試験(例えば、コントラスト感度及び/又は空間周波数試験、例えば径方向掃引試験)を実行するための方法であって、コンピューティングデバイスのプロセッサにより、機能的視覚試験の過程にわたって、ターゲット(例えば、移動するターゲット、例えば、空間周波数及びコントラストが離散的な間隔で、例えば、複数の掃引軌跡に沿って変化するターゲットであり、例えば、掃引は全て、共通の原点にあるターゲットから始まり、次に、機能の限界に達するまで、コントラスト感度関数(CSF)空間内のベクトルに沿って外側に放射し、その時点で、ターゲットの不可視性は、被験者による更なる追跡を防止し、閾値が記録される)を被験者に(例えば、VRヘッドセットを介して)レンダリングして表示することと、プロセッサにより、機能的視覚試験の過程中に、被験者が時間的及び空間的にターゲットを正確に追跡しているかどうかを自動的に特定するために、機械学習アルゴリズムを使用して視認性判定をリアルタイムで自動的に実行することと、プロセッサにより、視認性判定を使用して試験結果を計算及び/又は表示することとを含む方法に関する。
【0068】
特定の実施形態において、試験結果は、コントラスト感度(例えば、二乗平均平方根(RMS)コントラスト比の逆数)及び空間周波数(1度当たりのサイクル、CPD)のプロットを含む。
【0069】
特定の実施形態において、機械学習アルゴリズム(例えば、前記機械学習アルゴリズムは、1つ以上の組換えニューラルネットワーク、及び/又は長・短期記憶、及び/又は1つ以上の時間畳み込みネットワークを含む)は、被験者の眼の位置が個々のターゲット(例えば、数百分間の観察及び注釈から選び出される)内にあったかどうかを判定したユーザのビデオ記録の手動評価によって確立されるグラウンドトゥルースを用いてユーザ試験から事前に訓練されている。
【0070】
特定の実施形態において、機械学習アルゴリズムは、機能的視覚試験の過程中に、所与の時間窓(例えば、ミリ秒単位、例えば、<250ミリ秒、<100ミリ秒、<50ミリ秒、<25ミリ秒など)に関して、被験者がターゲット(例えば、複数のターゲット、例えば3つ以上のターゲット、例えば5つのターゲットの視野における個々のターゲット)を観察している(又は観察していない)確率を決定し、被験者に提示されたターゲットの外観は、被験者がターゲットを観察している(可能性がある)と決定すると、機能的視覚試験の過程で少なくとも1回変更される(例えば、コントラストの値及び/又は空間周波数の値)、(例えば、被験者がもはやターゲットを追跡していないとアルゴリズムが決定すると、ターゲットの外観の変更が停止され、コントラスト及び空間周波数の最終値は、そのパラメータ空間に関する被験者の視覚的/機能的閾値として記録され、例えば、その時点で、新しいターゲットが提示され、プロセスが繰り返され、例えば、新しい掃引が行われる)。
【0071】
特定の実施形態において、方法は、プロセッサによって、1つ以上の閾値パラメータを(例えば、機能的視覚試験の過程で)調整する(例えば、1つ以上の閾値パラメータは、(i)被験者の実際の眼の位置がターゲット、例えば円形ターゲットの中心からどれだけ近いか、又は遠いかについての許容誤差、及び(ii)機械学習アルゴリズムを使用した視認性判定のための時間窓のうちの一方又は両方を含む)ことを含む。
【0072】
特定の実施形態において、本方法は、本明細書に記載の他の方法のいずれかの特徴を含む。
【0073】
本明細書で別個の組み合わせとして具体的に明示的に説明されているか否かにかかわらず、この概要のセクションを含む、本明細書で説明されている特徴の任意の2つ以上を組み合わせて、本開示の実装形態を形成することができる。
【0074】
本明細書に記載された方法、システム、及び技術の少なくとも一部は、1つ以上の非一時的機械可読記憶媒体に記憶された命令を1つ以上の処理デバイス上で実行することによって制御することができる。非一時的機械可読記憶媒体の例は、読み出し専用メモリ、光ディスクドライブ、メモリディスクドライブ、及びランダムアクセスメモリを含む。本明細書に記載された方法、システム、及び技術の少なくとも一部は、1つ以上の処理デバイスと、様々な制御動作を実行するために1つ以上の処理デバイスによって実行可能な命令を記憶するメモリとからなるコンピューティングシステムを使用して制御され得る。
【0075】
定義
本開示をより容易に理解するために、本明細書で使用される特定の用語を以下に定義する。以下の用語及び他の用語の追加の定義は、本明細書全体を通して記載され得る。
【0076】
治療剤:本明細書で使用される場合、「治療剤」という語句は、一般に、生物に投与された場合に所望の薬理学的効果を誘発する任意の薬剤を指す。幾つかの態様において、作用物質は、それが適切な集団にわたって統計学的に有意な効果を示すならば、治療剤であると見なされる。幾つかの実施形態において、適切な集団は、モデル生物の集団であり得る。幾つかの実施形態では、適切な集団は、特定の年齢群、性別、遺伝的背景、既存の臨床状態などの様々な基準によって規定され得る。幾つかの実施形態では、治療剤は、疾患、障害、及び/又は状態の1つ以上の症状又は特徴を緩和、改善、緩和、阻害、予防、発症の遅延、重症度の低減、及び/又は発生率の低減に使用することができる物質である。幾つかの実施形態では、「治療剤」は、ヒトへの投与のために市販され得る前に、政府機関によって承認されているか、又は承認される必要がある薬剤である。幾つかの実施形態では、「治療剤」は、ヒトへの投与のために医学的処方が必要とされる薬剤である。
【0077】
治療上有効:本明細書で使用される場合、治療有効な物質[例えば、治療剤(例えば、医薬化合物、例えば製剤)]は、それが投与される所望の効果を生じる物質である。幾つかの実施形態では、この用語は、治療的投薬レジメンに従って疾患、障害及び/又は状態に罹患しているか又は罹患しやすい集団に投与した場合に、疾患、障害及び/又は状態を処置するのに十分な量を指す。幾つかの実施形態では、治療有効物質は、適切な量で投与された場合、疾患、障害、及び/又は状態の1つ以上の症状の発生率及び/又は重症度を低下させる、及び/又は発症を遅延させる物質である。当業者は、「治療上有効」という用語が、特定の個体において実際に処置が成功することを必要としないことを理解するであろう。むしろ、治療有効量は、そのような処置を必要とする患者に投与された場合に、かなりの数の被験者において特定の所望の薬理学的応答を提供する量であり得る。幾つかの実施形態では、治療有効量への言及は、1つ以上の特定の組織(例えば、疾患、障害又は状態によって影響を受ける組織)又は体液(例えば、血液、唾液、血清、汗、涙、尿などである)で測定される量への言及であり得る。当業者は、幾つかの実施形態では、治療有効量の特定の薬剤又は治療が単回用量で製剤化及び/又は投与され得ることを理解するであろう。幾つかの実施形態では、治療上有効な薬剤は、例えば、投薬レジメンの一部として、複数の用量で製剤化及び/又は投与され得る。
【0078】
処置:本明細書で使用される場合、用語「処置」(「処置する」又は「処置すること」とも)は、特定の状態(例えば、疾患又は障害)の1つ以上の症状、特徴、及び/又は原因を部分的又は完全に緩和、改善、緩和、阻害、発症の遅延、重症度の低下、及び/又は発生率の低下をもたらす治療化合物又は治療手順(例えば、外科的介入)の任意の投与を指す。幾つかの実施形態では、そのような処置は、関連する状態の徴候を示さない被験者(例えば、疾患又は障害)及び/又は状態の初期徴候のみを示す被験者(例えば、疾患又は障害)の処置であり得る。代替において、又は、加えて、そのような処置は、関連するd症状(例えば、疾患又は障害)の1つ以上の確立された徴候を示す被験者の処置であり得る。幾つかの実施形態では、処置は、関連症状(例えば、疾患又は障害)に罹患していると診断された被験者の処置であり得る。幾つかの実施形態では、処置は、関連症状(例えば、疾患又は障害)の発症リスクの増加と統計的に相関する1つ以上の感受性因子を有することが知られている被験者の処置であり得る。
【0079】
被験者:本明細書で使用される場合、「被験者」はヒトである。幾つかの実施形態では、被験者は、例えば眼の関連症状(例えば、疾患又は障害)(例えば、片眼又は両眼)に罹患しているか、罹患している可能性がある。幾つかの実施形態では、被験者は、眼の状態などの状態(例えば、疾患又は障害)の影響を受けやすい。幾つかの実施形態では、被験者は、状態(例えば、疾患又は障害)の1つ以上の症状又は特徴を示す。幾つかの実施形態では、被験者は、症状又は症状の特徴(例えば、疾患又は障害)を示さない。幾つかの実施形態では、被験者は、状態(例えば、疾患又は障害)に対する感受性又は状態のリスクに特徴的な1つ以上の特徴を有する人である。幾つかの実施形態では、被験者は患者である。幾つかの実施形態では、被験者は、診断及び/又は治療剤が投与された、投与され得る、及び/又は投与された個体である。被験者は、眼の状態と診断され、及び/又は眼の状態について監視され得る。被験者の眼の状態を監視することができる。眼の状態は、被験者の片眼又は両眼に影響を及ぼし得る。幾つかの態様において、状態は、眼の状態、例えば、糖尿病性網膜症(例えば、糖尿病性黄斑網膜症の有無にかかわらず)、シュタルガルト病、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、網膜色素変性症、緑内障、内顆粒層疾患、地図状萎縮及び加齢黄斑変性(AMD)(例えば、中間型加齢黄斑変性(中間型AMD)、萎縮型加齢黄斑変性(萎縮型AMD)、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)、及び/又は新生血管型加齢黄斑変性(新生血管型AMD))などである。視覚に影響を及ぼす他の眼の状態(例えば、機能的視覚)は、当技術分野で公知である。
【0080】
投与:本明細書で使用される場合、「投与」という用語は、典型的には、被験者又は系への組成物の投与を指す。当業者は、適切な状況で、被験者、例えばヒトへの投与に利用され得る様々な経路を認識するであろう。例えば、幾つかの実施形態では、投与は、眼、経口、静脈内、非経口などであり得る。幾つかの実施形態では、投与は、間欠的(例えば、時間的に分離された複数の用量)及び/又は周期的(例えば、共通の期間によって分離された個々の用量)投与である投与を含み得る。幾つかの実施形態では、投与は、少なくとも選択された期間の連続投与(例えば、灌流)を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0081】
本開示の前述及び他の目的、態様、特徴、及び利点は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによってより明らかになり、より良く理解され得る。
【0082】
図1A】例示的な実施形態に係る、VRヘッドセットを使用して網膜の解剖学的構造に対して好ましい網膜軌跡(PRL)を特定するためのシステム及び方法の概略図である。
図1B】例示的な実施形態に係る、VRヘッドセットを使用して網膜の解剖学的構造に対して好ましい網膜軌跡(PRL)を特定するためのシステム及び方法の概略図である。
図2】例示的な実施形態に係る、VRヘッドセットシステムを使用してPRLを特定するための例示的な方法のブロックフロー図である。
図3A】中心よりも周辺部でより顕著な収差を有するVRヘッドセットレンズを通した視界の画像である。
図3B】中心よりも周辺部でより顕著な収差を有するVRヘッドセットレンズを通した視界の画像である。
図4】例示的な実施形態に係る、それぞれのVRヘッドセットレンズの一方又は両方の中心に対する着用者の片眼又は両眼の中心の位置が位置合わせされるように、VRヘッドセットの垂直位置の調整を促すための典型的な方法のブロックフロー図である。
図5】例示的な実施形態に係る、VRヘッドセットの調整を促して眼とレンズを垂直に位置合わせする方法で使用される仮想アイアンサイトを示す概略図である。
図6】例示的な実施形態に係る、グラフィック暗点マスクをレンダリングするためのシステムで使用するための、患者(左)の中心暗点の眼底画像及びオーバーレイされた識別光感度(DLS)値である。
図7】例示的な実施形態に係る、暗点に罹患している患者が新聞印刷用紙をどのように見るかをシミュレートするための、新聞印刷用紙にオーバーレイされた暗点マスクの画像である。
図8A】例示的な実施形態に係る、視線追跡機能を有するVRヘッドセットを装着している患者からの入力を用いて暗点マスクを作成するための方法のブロックフロー図である。このブロック図では、「片側」暗点は、片眼の暗点を指し、他眼の視覚は損なわれていない。この流れの場合、暗点は右眼に存在し、左眼は「健康」であり、比較対照として使用される。
図8B】例示的な実施形態に係る、図8Aの方法を介して作成された暗点マスクをレンダリングする方法のブロックフロー図である。
図9A】例示的な実施形態に係る、本明細書に記載のシステム及び方法で使用するための、視線追跡機能を有するVRヘッドセットの構成要素を示す概略図である。
図9B】例示的な実施形態に係る、本明細書に記載のシステム及び方法で使用するための、視線追跡機能を有するVRヘッドセットの構成要素を示す概略図である。
図9C】例示的な実施形態に係る、本明細書に記載のシステム及び方法で使用するための、視線追跡機能を有するVRヘッドセットの構成要素を示す概略図である。
図10】例示的な実施形態に係る、網膜の解剖学的構造に対する好ましい網膜軌跡(PRL)を特定するための方法のブロックフロー図である。
図11】例示的な実施形態に係る、VRヘッドセットレンズの中心と着用者のそれぞれの眼の中心との位置合わせを改善/最適化するために、着用者の頭部に対するVRヘッドセット位置の調整を促すための方法のブロックフロー図である。
図12】例示的な実施形態に係る、視野に対する暗点の影響をシミュレートするグラフィック暗点マスクをレンダリングする方法のブロックフロー図である。
図13】例示的な実施形態に係る、例示的なクラウドコンピューティング環境のブロック図である。
図14】例示的な実施形態に係る、本明細書に記載の方法を実行するために使用することができる、及び/又は本明細書に記載のシステムで使用することができるコンピューティングデバイス500及びモバイルコンピューティングデバイス550の一例を示す概略図である。
図15A】例示的な実施形態に係る、被験者がターゲットを見ているかどうかを自動的に決定する視認性判定を含む、AI支援径方向掃引機能的視覚試験のためのニューラルネットワーク実装形態の概略図である。
図15B】例示的な実施形態に係る、被験者がターゲットを見ているかどうかを自動的に決定する視認性判定を含む、AI支援径方向掃引機能的視覚試験のためのニューラルネットワーク実装形態の概略図である。
図16】例示的な実施形態に係る、AI支援径方向掃引機能的視覚試験において予測閾値を適用した後のパッチ視認性確率(上のパネル)、パッチ予測(中央のパネル)、及びグローバル視認性(下のパネル)を示すグラフである。
図17】例示的な実施形態に係る、AI支援径方向掃引機能的視覚試験における機械学習アルゴリズムのアーキテクチャ(例えば、1次元畳み込みネットワークアーキテクチャ)として長・短期記憶(LSTM)及び時間畳み込みネットワーク(TCN)を使用した結果を示すグラフである。
図18A】例示的な実施形態に係る、被験者の視野内の仮想及び/又は拡張シーン上にレンダリング及び表示される複数のターゲットのうちの1つのターゲットに向けられた注視点を有する眼の概略図である。
図18B】例示的な実施形態に係る、被験者(例えば、視線追跡を伴うVRヘッドセットの装着)によって見ることができる仮想及び/又は拡張シーン上にレンダリング及び表示された複数のターゲットの概略図である。
図19A】例示的な実施形態に係る、径方向掃引試験の試験結果を示す図であり、斜線領域はメトリックによって考慮されない領域を表す。
図19B】例示的な実施形態に係る、再現性が高く高感度の結果を示す、様々な重症度の暗点(なし、軽度、又は重度)を有する又はシミュレートする複数の眼に対する径方向掃引試験(「AUC」と表記)メトリックのコントラスト感度空間下の領域を示す。
図19C】例示的な実施形態に係る、ベースライン及び疎なメトリックについての追加の計算されたAUCメトリック値及び対応する受信者動作特性(ROC)曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
視線追跡又は視線推定システムは、眼球運動を追跡して、被験者が表面上又は空間の体積内のどこを見ているかを連続的に推定する。頭部装着型視線追跡システムは、被験者の片眼又は両眼の画像を捕捉するように設計される専用のカメラハードウェアと、眼を照らす光源(例えば、赤外線照明装置)とを含む。ヘッドマウントシステムは、現実のシーン、完全なコンピュータ生成シーン(仮想現実、VR)、オーバーレイされたコンピュータ生成グラフィック構成要素(拡張現実、AR)を有する現実のシーン、及び/又はVRとARとを融合した複合現実(MR)シーンを被験者が見ることを可能にすることができる。システムはまた、複数のこれらの動作モード(現実世界、VR、AR、及び/又はMR)を切り替える能力を提供することができる。更に、システムは、インタラクティブVR、AR、又はMR視覚体験が被験者に提示されている間に視線追跡を行うことができ、それにより、システムは、提示された仮想又は拡張シーンのどこで被験者が任意の所与の時間を見ているかを特定する。
【0084】
本明細書に記載のシステム及び方法は、そのようなVRヘッドセットシステム(以下で使用されるように、「ヘッドセット」又は「VRヘッドセット」という用語は、仮想現実、拡張現実、及び/又は複合現実機能を実装する頭部装着型システム又は顔装着型システムを広く指す)を利用する。
【0085】
様々な実施形態では、本明細書に記載のシステム及び方法は、(i)解剖学的基準を利用して、被験者の眼の好ましい網膜軌跡(PRL)を決定し、(ii)VRヘッドセット光学系を着用者の眼と位置合わせし、それによってVRヘッドセットレンズの周辺部付近の収差(例えば、有彩色、球形)による不正確さを低減し、及び/又は(iii)特定の患者の暗点の影響をシミュレートするグラフィック(例えば、2D)暗点マスクを患者(例えば、患者の良好な眼)又は別の個人の視野にレンダリングする。
【0086】
図1A及び図1Bは、例示的な実施形態に係る、VRヘッドセットを使用して網膜の解剖学的構造に対して好ましい網膜軌跡(PRL)を特定するためのシステム及び方法の概略図である。既存のVRヘッドセットは、眼の解剖学的構造(RS)とは無関係に、ヘッドセット基準システム(RS)内の視線の方向を測定及び提供する。本明細書に記載の技術は、RSヘッドセット基準システムにおける眼の解剖学的構造の安定した基準を決定して、網膜の解剖学的構造に対する好ましい網膜軌跡(PRL)を決定する。この例では、解剖学的基準は眼の光軸である。
【0087】
視線追跡機能を備えたVRヘッドセットは、ヘッドセット基準システム(RS)において視線方向及び視線原点データストリームを提供する。解剖学的に、所与の時点における視線原点は、角膜曲率中心である眼の節点に対応する。視線方向を変更するために眼が回転すると、節点は眼の回転中心の周りを移動する。眼の回転中心は、十分な数の異なる節点位置から決定される。例えば、これらの点は、経時的に、例えば全ての節点が存在する球としてモデル化することができる眼の形状に近似する。次いで、眼の光軸は、回転中心及び節点から決定される。
【0088】
したがって、ヘッドセット基準座標(実際の眼の解剖学的構造とは独立した座標系)内のデータの第1のストリームが、経時的な被験者の眼の視線方向に対応するVRヘッドセットから受信され、前記視線方向は視軸を規定する。ヘッドセット基準座標系におけるデータの第2のストリームは、経時的に変化する被験者の眼の節点における視線原点に対応するVRヘッドセットから受信される。各節点は、所与の時点で測定された眼の角膜曲率中心に対応する。次に、第2のデータストリームからのデータを使用して、眼の回転中心に対応する中心を有し、節点によって近似された表面を有する幾何学的体積がモデル化/規定される(例えば、球、例えば、最良適合球)。次いで、眼の光軸が、モデル化された球体から特定され、光軸は、球体の中心と視線原点とを結ぶ線である。次に、このように特定された光軸及び第1の流れからのデータ(視軸/視線方向)を使用して、網膜の解剖学的構造(例えば、眼の座標系において)に対して好ましい網膜軌跡(PRL)が特定される。例えば、第1のストリームからのデータは、光軸と眼の視軸との間の水平角φ及び/又は垂直角θを計算するために使用され、PRLは、眼の特定された光軸並びに計算された水平角φ及び/又は垂直角θを使用して特定される。特定の実施形態では、本方法は、例えば、疾患又は状態が進行するにつれてPRL変化を監視するために定期的な検査で行われる複数のセッションで得られる、経時的にPRL(例えば、角度φ、θ)を監視するために使用される。
【0089】
図2は、例示的な実施形態に係る、VRヘッドセットシステムを使用してPRLを特定するための特定の例示的な方法のブロックフロー図である。最初のステップでは、VRヘッドセットの内蔵視線追跡システムが較正される。例えば、レンズの垂直及び/又は水平位置は、本明細書で以下に更に詳細に説明する仮想アイアンサイトを使用して調整される。次に、被験者がVRヘッドセットを装着して注視している間に、経時的に視線追跡データストリームが収集される。この例の視線追跡データは、図2のブロック図では、gaze_origin及びgaze_directionとして示されている。次に、システムは、データ品質を改善するために、示された条件を満たす全てのgaze_originデータ点を除外する。次に、システムは、残りのgaze_originデータ点に球を適合させ、sphere_center及びsphere_radiusを決定する。視線追跡データ点の品質は、sphere_radiusをsphere_centerとgaze_origin との間の距離と比較することによって評価される(差はerrorである)。システムは、errorが所与の閾値を超えデータ点をフィルタリングし、クリーンアップされたデータストリームが生成される。以前に特定されたsphere_center及びsphere_radiusは、フィルタリングされたgaze_originデータ点に新しい球を適合させることによって精緻化される。そして、errorが最も小さいgaze_origin及びgaze_directionから基準データ点を選択する。基準データ点は、図2では、gaze_originr(光軸)及びgaze_direction(視軸)として示されている。次いで、システムは、光学軸と視軸との間の水平角及び垂直角φ、θを計算する。システムは、例えば定期的な検査で行われる複数のセッションで得られる、経時的なこれらの角度の変化を監視して、例えば、処方された治療、手術、及び/又は治療によって得られる疾患の進行及び/又は利益を示す、患者のPRL変化を監視することができる。
【0090】
図3A及び図3Bは、中心よりも周辺部でより顕著な収差を有するVRヘッドセットレンズを通した視界の画像である。市販のVRヘッドセット(専門システムであっても)の光学品質は、例えばフレネルレンズ及びシングレットの使用で見られるように、コンパクトなレンズ設計のために制限される。シングレットは、フレネルレンズと比較して、一般に、より厚く、より重く、より湾曲している。しかしながら、両方の種類は、通常、レンズの中心よりもレンズの周辺部でより顕著な収差、例えば色収差及び/又は球面収差を有する。これは、VRシステムを使用して機能的視覚試験を実行するときに不正確な測定をもたらす可能性がある。
【0091】
したがって、本明細書に記載のシステム及び方法の特定の実施形態は、着用者によるヘッドセット調整(又は、ヘッドセット着用者が見ている虚像を表示する画面を見ている着用者の補助者による調整)をトリガする仮想アイアンサイトを実装し、VRシステムの着用者の対話型フィードバックを可能にして、ヘッドセット光学系をリアルタイムで眼に位置合わせする。これにより、改善された光学的品質及び機能的視覚試験からのより正確な測定が可能になる。
【0092】
図4は、例示的な実施形態に係る、それぞれのVRヘッドセットレンズの一方又は両方の中心に対する着用者の片眼又は両眼の中心の位置が位置合わせされるように、VRヘッドセットの垂直位置の調整を促すための例示的な方法のブロックフロー図である。システムは、経時的にVRヘッドセットに対する眼の位置、例えば、眼又は着用者の各眼の節点に対応するgaze_origin、それぞれの眼の角膜曲率中心に対応する節点を測定する。仮想カメラの位置は、VRヘッドセットに対する着用者の眼の位置に関連付けられている。そして、システムは、リアルタイムで眼の位置に基づいて仮想カメラ位置を動的に配置(及び再配置)する。被験者は、トグル、ストラップ、ダイヤル、スイッチ、ノブ、ダイヤル、又は他の機構(例えば、手動又は電子)を物理的に調整することによって、仮想アイアンサイトを介してリアルタイムフィードバックを観察しながらVRヘッドセットを再配置する。gaze_originはリアルタイムで追跡され続け、仮想カメラは、被験者がVRヘッドセットを再配置すると動的に再配置される。被験者は、仮想アイアンサイトの位置合わせが達成されるまで、仮想アイアンサイトによって促されるようにヘッドセットを再配置し続け、着用者の眼(又は両眼)とVRヘッドセットのそれぞれのレンズ(複数可)の中心の位置合わせを示す。
【0093】
一例では、ヘッドセット着用者の視野内にリアルタイムで提示される仮想アイアンサイトは、互いに対して固定された位置を有する2つの同心リングと、同心リングとは対照的な色を有する第3のリングとを含む。第3のリングは、一方又は両方のヘッドセットレンズの中心が着用者のそれぞれの眼の視線原点とずれている場合に、2つの同心リングに対して視覚的に検出可能なオフセットを有する。オフセットは、着用者によるヘッドセットの物理的調整を促し、それにより、調整によりレンズの中心が着用者のそれぞれの眼の視線原点と位置合わせされるまで、ヘッドセットの垂直位置を調整する。結果として生じる仮想カメラの位置により、第3のリングは、2つの同心リングの間に完全に表示される。次いで、システムは、リングが位置合わせされたときに仮想カメラ位置をフリーズすることができる。次いで、アライメントを視覚機能試験中に定期的にチェックして、アライメントが維持され続けることを保証することができる。
【0094】
図5は、例示的な実施形態に係る、VRヘッドセットの調整を促して眼とレンズを垂直に位置合わせする方法で使用される仮想アイアンサイトを示す概略図である。この例では、VRヘッドセットを装着している頭部の上部画像は、ヘッドセットが着用者の頭部の低すぎる位置にあり、眼の中心とVRヘッドセットのそれぞれのレンズの中心との間に垂直方向の位置ずれを引き起こしていることを示している。リング間の間隔が固定された2つの同心リングは青色で表示され、第3のリングは金色で表示される。右側には、仮想カメラがVRヘッドセットに対する眼の位置にリンクされている、仮想シーンの側面図が示されている。上の例では、ヘッドセットは低すぎる位置にあり、ゴールドリングは、最適な垂直位置のために2つの青色リングの間にあるべきところより下にある。下の例では、ヘッドセットは最適に配置される。ヘッドセットは、レンズの中心が眼の中心と一致するように、着用者の顔により高く適合するように調整されている。したがって、金リングは、着用者には、2つの同心の青色リングの間に完全に嵌合するように見え、整列が達成されたことを示す。
【0095】
着用者の頭部/顔のヘッドセットのキュー調整に対するグラフィックオフセットを示す限り、図5に示すリング以外の仮想アイアンサイトを使用することができる。システムは、仮想カメラの位置がVRヘッドセットに対する着用者の眼の位置に正確にリンクされるように、及び/又は調整中にVRヘッドセットの着用者に提示されるオフセットがVRヘッドセットレンズの中心と着用者の眼の中心との間の相対変位を正確に示すように、使用前に較正され得る。図示の例は、垂直方向の位置合わせを示している。他の実施形態では、システムは、例えば、図5に示す垂直方向の位置合わせに加えて、又はその代わりに、眼とそれぞれのレンズとの適切な水平方向の位置合わせを達成するためにヘッドセットの物理的調整が必要であることを着用者に示すためのオフセットを描写するための仮想アイアンサイトの視界を表示する。特定の実施形態では、複数の仮想アイアンサイトが存在し得る。
【0096】
特定の実施形態では、本明細書に提示されるシステム及び方法は、例えば機能的視覚試験中に、VRヘッドセット着用者の視野に対する暗点の影響を視覚的にシミュレートする。実際の暗点は、患者の視野に影響を及ぼす死角又は歪みである。暗点の種類には、(i)視野の一部にかすみ眼を引き起こし、明るい「オーラ」外観を有し得る、シンチレーション暗点、(ii)視線の中で直接盲点である中心暗点、及び(iii)固視10度以内に相対的又は全体的な視力喪失を引き起こし、視線の中で直接ではない、傍中心暗点が含まれる。患者が報告した暗点特徴には、視野内のぼやけ、歪み、及び/又は物体の欠如又は欠落が含まれる。本明細書に記載の暗点シミュレーションのためのシステムのオペレータは、患者によって知らされる/説明されるように、これらの特徴のそれぞれを独立して調整して暗点の外観を最適化することができる。
【0097】
罹患患者の視覚に対する暗点の影響は、これまで説明又は実証することが困難であった。本明細書に記載のシステム及び方法は、VRヘッドセットで見るための暗点の影響のシミュレーションを可能にすることによって、暗点が患者の視覚にどのように影響するかをより良く理解することを可能にする。このより正確な実証は、例えば、介入が行われない場合、経時的な暗点に起因する視野の予測される外観をシミュレートするために使用することができ、それにより、処置選択肢の重要性を患者に知らせること、及び/又は処方された治療、手術、及び/又は治療剤の患者コンプライアンスを高めることを助けることができる。暗点の影響をシミュレートする能力はまた、患者の家族及び/又は介護者が患者が世界をどのように見るかを体験することを可能にし、それによって患者の共感を高め、患者にとって安全な活動(例えば、運転)を決定する能力を高めることができる。「シミュレートされた暗点」はまた、発達中の特定の視覚機能試験の感度の測定を可能にし得る。例えば、暗点シミュレーションあり及びなしの両方で実施された健康な被験者の試験結果を比較することができ、その結果は、例えば、暗点の特定のための機能試験の感度を示すために使用することができる。
【0098】
シミュレートされた暗点の形状は、微小視野測定、例えば、識別光感度(DLS)マップから導出することができる。図6は、患者の中心暗点(左)及び重ね合わせたDLS値の眼底画像である。罹患患者によってしばしば報告される暗点によって引き起こされる影響には、不透明度及び彩度の減少、並びにぼやけ及び歪みの増加が含まれる(例えば、ピンクッション、バレル、渦)。これらの影響は、VRヘッドセットでシミュレートすることができ、これらの影響の強度は、シミュレートされた暗点を作成する際に個別に調整することができる。例えば、被験者が1つの正常な眼及び暗点に影響を受けた1つの眼を有する場合、仮想シーンを被験者に提示し、一度に1つの眼でシーンの視覚を可能にすることによって、被験者からのフィードバックを求めることができる。次いで、被験者からのフィードバックを使用して、シミュレートされた暗点(グラフィックマスク)を構築する。グラフィックマスクは、オーバーレイされたグラフィック暗点マスクの影響を受ける仮想シーンを見回すことができるVRヘッドセットの着用者にリアルタイムでレンダリング及び表示することができる。シミュレートされた暗点は、VRヘッドセットの着用者の注視点にリアルタイムで追従する。
【0099】
例えば、図7は、例示的な実施形態に係る、暗点を患っている患者が新聞印刷用紙をどのように見るかをシミュレートするために、新聞印刷用紙にオーバーレイされた暗点マスクの画像である。
【0100】
図8Aは、例示的な実施形態に係る、視線追跡機能を有するVRヘッドセットを装着している患者からの入力を用いて暗点マスクを作成するための方法のブロックフロー図である。このブロック図では、「片側」暗点は、片眼の暗点を指し、他眼の視覚は損なわれていない。この流れの場合、暗点は右眼に存在し、左眼は「健康」であり、比較対照として使用される。シミュレートされた暗点は、健康な眼の側面にのみ示されている。損なわれた(左)眼は仮想的に覆われ、右眼は覆われず、調整されていないパラメータを有する仮想暗点マスクによって影響を受けた仮想(又は拡張/混合)シーンを見ることができる。次いで、健康な(右)眼を仮想的に覆い、障害のある(左)眼を露出させる(実際の暗点による影響を受ける)。患者は、実際の暗点をシミュレートされた暗点と比較し、オペレータは、患者のフィードバックに基づいて効果の強度を調整する。このプロセスは、患者が各眼を使用して自分の視覚を比較することができるように各眼を連続的に覆った状態で繰り返され、仮想暗点の視覚効果の強度は、健康な眼を使用する視野が障害のある眼を使用する視野に近づくまで調整され続ける。次に、シミュレートされた暗点と実際の暗点の外観が十分に類似している場合、パラメータセット(効果強度)が記憶される。次いで、例えば、患者が仮想(又は拡張/混合)シーンをどのように見るかを示すために、暗点マスクを家族に提示することができる。暗点マスクの進行のシミュレーションを実施して、未処置のままにした場合に暗点の効果が特定の期間にどのようになるかを患者に実証することもできる。
【0101】
図8Bは、例示的な実施形態に係る、図8Aの方法を介して作成された暗点マスクをレンダリングする方法のブロックフロー図である。この例では、デフォルト暗点形状又は個人化された暗点ベースのいずれかがロードされる。個人化された暗点ベースは、例えば、微小視野測定(例えば、DLSマップ)から決定することができる。その後、所定のパラメータセットが適用される。次いで、得られたシミュレートされた暗点を、例えば図8Aに示すワークフローを介して精緻化することができる。
【0102】
図10は、被験者(例えば、患者)の片眼又は両眼の網膜の解剖学的構造に対する好ましい網膜軌跡(PRL)を特定するための例示的な方法1000を示す。方法1000では、ヘッドセット基準システム(例えば、座標はVRヘッドセットの仮想空間に対応する)で経時的にデータストリームで受信されるデータは、被験者の網膜の解剖学的構造に対してPRLを特定するために被験者の解剖学的構造に対して配向される(例えば、座標が物理空間に対応する解剖学的基準系に変換することによって)。ステップ1002において、プロセッサは、経時的な眼の視線方向に対応する第1のデータストリームを受信する。第1のデータストリームはヘッドセット基準システム(例えば、実際の眼の解剖学的構造とは独立した仮想座標系)に向けられる。ステップ1004において、プロセッサは、経時的な眼の節点における視線原点に対応する第2のデータストリームを受信する。第2のデータストリームはまた、ヘッドセット基準システムにおいて方向付けられる。第1のデータストリームと第2のデータストリームの両方は、被験者の眼を監視する装置又はシステム、例えばVRヘッドセットから受信することができる(その実施形態は後で詳細に説明する)。
【0103】
節点は、例えばVRヘッドセットによって決定されるように、視線方向を変更するために眼が回転すると、眼の回転中心の周りを移動することができ、その結果、時間的に分解された節点のセットは、被験者の視線が時間とともに方向を変更すると決定される。節点は、眼の角膜曲率中心に対応し得る。
【0104】
ステップ1006において、プロセッサは、第2のデータストリームを使用して幾何学的体積を特定する。幾何学的体積は、眼の回転中心に対応する基準点(例えば、中心)と、節点によって近似される表面とを有する。幾何学的体積は、例えば、最良適合球などの球であってもよい。ステップ1008において、解剖学的基準(例えば、眼の光軸)が、特定された幾何学的体積からプロセッサによって特定される。解剖学的基準が眼の光軸である幾つかの実施形態では、眼の光軸は、幾何学的体積の中心(例えば、球体)と視線原点とを接続する線と見なすことができる。
【0105】
ステップ1010において、解剖学的基準及び第1のデータストリームからのデータを使用して、網膜の解剖学的構造に対して好ましい網膜軌跡(PRL)が決定される。したがって、特定されたPRLは、物理空間(例えば、眼に対応する位置を原点として)に対応する座標を使用することができる解剖学的構造基準システムに対して配向することができる。例えば、第1のデータストリームからのデータを使用して、光軸と眼の視軸との間の水平角及び/又は垂直角を計算することができ、したがって、特定された光軸及び計算された水平角を使用してPRLを特定することができる。PRLを監視して(例えば、数週間又は数ヶ月又は数年などのより長い期間にわたって行われる複数のセッションにわたって)、疾患の進行を示し得るPRLの変化を検出することができる。
【0106】
図11は、着用者の頭部に対するVRヘッドセット位置の調整を促すための例示的な方法1100を示す。ステップ1102において、プロセッサは、仮想カメラの位置がヘッドセットに対する着用者の眼の位置にリンクされている、ヘッドセットに対する着用者の眼の位置に対応する(経時的な)第1のデータストリームを受信する。例えば、第1のデータストリームは、(それぞれの)眼の角膜曲率中心などの、着用者の片眼又は両眼の(それぞれの)節点における視線原点に対応することができる。例えば、各節点は、一方又は両方のそれぞれのヘッドセットレンズの中心に対する着用者の片眼又は両眼の中心の位置に対応することができる。ヘッドセットは、着用者の頭部に対するヘッドセットの位置(例えば、垂直位置及び/又は水平位置)を調整するための1つ以上の調整機構を備えてもよい。
【0107】
ステップ1104において、第1のデータストリームが受信されると、仮想カメラのリアルタイム(又はほぼリアルタイム)位置に対応するリアルタイム(又はほぼリアルタイム)で仮想アイアンサイトがレンダリングされてヘッドセット着用者の視野内に表示される。特定の実施形態では、方法1100のように、仮想アイアンサイトは、互いに対して固定位置を有する2つの同心リング(例えば、円形であってもよいし、正多角形などの別の同様の形状を有してもよい)と、2つの同心リングとは対照的な色及び/又は色合い(例えば、色相、彩度、又は輝度)を有する第3のリング(例えば、円形であってもよいし、正多角形などの別の同様の形状を有してもよい)とを含む。第3のリングは、一般に、一方又は両方のヘッドセットレンズの中心が着用者の眼の視線原点(例えば、角膜曲率中心)と位置ずれしているときに、2つの同心リングに対して視覚的に検出可能なオフセットを有する。
【0108】
任意選択のステップ1106において、着用者は、存在する他の2つに対する第3のリングのオフセットに少なくとも部分的に基づいてヘッドセットを調整するように促される。特定の実施形態では、プロンプトは、第3のリングが他の2つに対してオフセットを有するように見えるという点で着用者によって視覚的に特定される(例えば、他の2つと同心ではない)。特定の実施形態では、プロンプトは、更なる視覚的及び/又は聴覚的通知などの何らかの種類の通知を更に含むことができる。任意選択のステップ1108において、着用者(又は別のもの、例えば、医師、検眼医、又は他の医療提供者)は、第3のリングが他の2つのリングと位置合わせされる(例えば、同心)まで、VRヘッドセットを(例えば、1つ以上の調整機構によって)調整することができる。位置合わせは、例えば、仮想カメラの位置を2つの同心リングの間に完全に表示させる調整によって決定されてもよい(例えば、2つの同心リングの外側として着用者によって視覚的に検出可能な部分が存在しない場合、第3のリングの一部が同心リングの一方又は両方によって弱く閉塞され得るか否かにかかわらず)。
【0109】
図12は、視野に対する暗点の影響をシミュレートするグラフィカル(例えば、2D)暗点マスクをレンダリングするための例示的な方法1200を示す。ステップ1202において、シミュレートされた暗点の形状に対応するデータがプロセッサによって受信される。データは、例えば、円板などの選択されたデフォルト暗点形状、又は被験者の微小視野測定から導出された個人化された暗点形状(例えば、識別光感度(DLS)マップ)に対応することができる。ステップ1204において、暗点によって引き起こされる視覚効果の値に対応する1つ以上の視覚効果パラメータを特定するために、入力がプロセッサによって受信される。例えば、入力は、実際の暗点(例えば、誰が、暗点マスクがシミュレートされている患者であり得るか、例えば、暗点マスクが疾患進行をシミュレートするために使用される場合)に罹患している特定の患者からのものであり得る。1つ以上の視覚効果パラメータは、不透明度、彩度、ぼやけ、及び歪み(例えば、ピンクッション、バレル、又は渦)のうちの1つ以上を含むことができる。ステップ1206において、グラフィック暗点マスクは、シミュレートされた暗点の形状及び1つ以上の視覚効果パラメータに従って、プロセッサによって規定される。
【0110】
ステップ1208において、例えばVRヘッドセットから第1のデータストリームがプロセッサによって受信され、第1のデータストリームはVRヘッドセットの着用者の注視点に対応する。ステップ1210において、仮想及び/又は拡張シーンが、プロセッサによってレンダリングされ、着用者の視野内にリアルタイムで(又はほぼリアルタイムで)表示される。仮想及び/又は拡張シーンの少なくとも一部は、グラフィック暗点マスクに従って修正される。シーンは、注視点がリアルタイムで変化するにつれて、着用者の注視点に追従することができる。仮想及び/又は拡張シーンは、着用者の注視点に従うグラフィック暗点マスクを使用してシミュレートされた暗点によって影響を受ける可能性がある。着用者は、患者とは異なる個人であってもよく、例えば、着用者が、暗点が特定の患者の視覚にどのように影響しているかを理解したい場合(例えば、着用者が医師、検眼医、又は他の医療提供者である場合)、又は医師、検眼医、又は他の医療提供者が、類似の疾患及び/又は疾患の進行を有する患者に基づいて、暗点が着用者の視覚にどのように影響し得るかの理解を着用者に伝えたい場合である。
【0111】
VR/AR/MRデバイス(例えば、ヘッドセット)構成要素
以下は、本明細書に記載の様々な実施形態で使用するための例示的なVRヘッドセットシステムの説明である。市販の仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、及び/又は複合現実(MR)システムは、頭部装着型及び/又は顔装着型ハードウェア、並びにアイトラッキングソフトウェアを特徴とし、本明細書に記載のシステム及び方法の構成要素として使用することができる。本明細書で使用される場合、「ヘッドセット」又は「VRヘッドセット」という用語は、仮想現実、拡張現実、及び/又は複合現実機能を実装するそのような頭部又は顔装着型システムを広く指す。例えば、特定の実施形態では、視線方向及び視線原点にそれぞれ対応する2つのデータストリームが、視線追跡機能を備えた市販のVRヘッドセットシステムから受信され、生成されたデータは、眼の解剖学的構造基準システムではなくヘッドセット基準システムを有する。
【0112】
本明細書に記載のシステム及び方法と共に使用することができる視線追跡機能を備えたプロフェッショナルグレードのVRヘッドセットシステムの例は、それぞれの本文が参照により本明細書に組み込まれる、https://business.vive.com/us/product/vive-pro-eye-office/及び「視線追跡方法、電子デバイス、及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体」と題する米国特許第10,990,170号明細書、及び「視線追跡装置及びその光源制御方法」と題する米国特許第10,705,604号明細書に記載されているように、HTC Corporation(新北省新北市Xindianに本社を置く)製のVIVE Pro Eye Office VRシステムである。
【0113】
図9Aは、本明細書に記載の方法を実行することができる例示的なシステム900を示す。例示的なシステム900は、プロセッサ904によって実行されると、本明細書に記載の1つ以上の方法を実行する命令が記憶されるメモリ902を含む。任意選択的に、システム900は、VRヘッドセット910を含むことができ、例えば、そこから、視線方向及び視線原点に対応する第1及び第2のデータストリームが、メモリ902に記憶された命令を実行する際に使用するために、プロセッサ904に送信され、プロセッサ904によって受信される。
【0114】
図9Bは、例えばVRヘッドセット910がVIVE Pro Eye Office VRシステムである場合に、VRヘッドセット910に含まれ得るコンポーネントの詳細ブロック図を示す。構成要素は、(i)被験者/患者の眼を追跡するためのカメラ912;(ii)被験者患者の眼を照明して、眼を追跡するためにカメラ912に信号を提供するための1つ以上の照明源LS1、LS2、...LSN;(iii)眼と相互作用した光(例えば、眼から反射される)をカメラ912に導くための、レンズ、反射器、又は他の導光構成要素などの、1つ以上の光学系916;(iv)被験者/患者に画像を表示するためのディスプレイ920;(v)カメラ912からの、ディスプレイ920のための、又はVRヘッドセット910内の他の構成要素からの及び/又は他の構成要素のためのデータを処理するための1つ以上のヘッドセットプロセッサ914;(vi)被験者/患者(例えば、被験者/患者の眼に対して、及び/又は使用中の快適さのために)上のVRヘッドセットを物理的に調整(例えば、配向及び/又は整列)するための1つ以上の調整及び/又は頭部支持機構922のうちの1つ以上を含むことができる。一般に、VRヘッドセット910は、被験者/患者の片眼又は両眼に一度に装着することができるウェアラブル装置である。例えば、VIVE Pro Eye Office VRシステムは両眼に装着されるが、使用可能な他のVRヘッドセットは、一度に片眼に装着される「単眼」スタイルを有してもよい。
【0115】
ディスプレイ920はまた、例えば、本明細書に記載の方法によって決定される被験者/患者の眼の機能に基づいて、被験者/患者に1つ以上のシミュレートされた画像を提供するために使用されてもよい。例えば、特定の実施形態では、ディスプレイ920を使用して、メモリ902に記憶された命令を使用してプロセッサ904によって生成された統合又はオーバーレイされた暗点マスクによって、被験者/患者にシミュレートされた疾患進行を提供することができる。
【0116】
命令を実行するプロセッサ904は、ヘッドセットプロセッサ914のうちの1つであってもよい。メモリ902及びプロセッサ904は、VRヘッドセット910に収容されてもよいし、例えばVRヘッドセット910と通信する(例えば、無線通信)サーバ又は他のコンピューティングデバイスに別々に収容されてもよい。1つ以上のヘッドセットプロセッサ914は、例えば無線でデータストリームをプロセッサ902に送信するために使用されてもよい。
【0117】
VRヘッドセット910はまた、1つ以上の調整及び/又は頭部支持機構922を含み得る。調整機構922は、ノブ、ストラップ、ダイヤルなどの1つ以上の機械的機構を含むことができる。調整機構922は、被験者/患者の頭部に対するヘッドセット(例えば、ディスプレイ920などのその構成要素)の水平及び/又は垂直位置を調整するために使用され得る。例えば、VIVE Pro Eye Office VRシステムは、「IPDノブ」によってシステムを使用して特定の被験者/患者までの瞳孔間距離(IPD)を調整するための機構を含む。IPD調整は、例えば被験者/患者によって手動で、又は医師、検眼医、又は他の医療提供者からの支援を受けて、物理的IPD測定値を最初に決定することを含み得る。別の例として、VIVE Pro Eye Office VRシステムは、レンズ距離調整ボタンを含み、これを押すことにより、被験者/患者がレンズの距離を更に調整したり、自分の顔に近づけたりすることができる。そのような調整は、被験者/患者の解剖学的構造又は眼鏡又は他の視覚補助などの他の要因を考慮するために使用され得る。ユーザは、VRヘッドセット910が適切に位置合わせ及び/又は配向されているかどうかを決定するために視線追跡(例えば、仮想アイアンサイト(位置合わせ支援)と組み合わせて)を使用する本明細書に開示された方法、例えば例示的な方法1100に基づいて、調整機構922のうちの1つ以上の調整を行うように促され得る。
【0118】
VRヘッドセットを固定し、及び/又は使用中にユーザに快適さを提供するのを支援するために、様々な頭部支持機構を使用してVRヘッドセットを被験者/患者の頭部に「装着」することができる。頭部支持機構922は、ストラップ、マウント、ブレース、パディングなどのような1つ以上の物理的構造を含むことができる。物理的構造は、調整可能(例えば、面ファスナ又は弾性ストラップ)又は準拠(例えば、発泡体パディング)又はその両方(例えば、パッドを有する調整可能なストラップ)であってもよい。例えば、VIVE Pro Eye Office VRシステムは、快適さのために被験者/患者の眼の周りに柔軟な支持を提供する交換可能な顔クッションと、ヘッドパッド、調整ダイヤル、及び中央ストラップとを含み、これらはシステムを被験者/患者の頭部に集合的に固定し、調整ダイヤルは、頭部の背面に位置するヘッドパッドの一部であり、中央ストラップは頭部の上部を覆っている。調節ダイヤルは、中央ストラップの張力を調節することができ、中央ストラップはまた、頭部への着脱を容易にするための面ファスナを有する。
【0119】
図9A図9Cに示すVRヘッドセット910などのVRヘッドセットの実施形態に含めることができる特定の例示的な調整及び/又は頭部支持機構に関する更なる詳細は、VIVE Pro Eye Office VRシステムのVIVE Pro Eye Userガイドに提供されている。他の調整及び/又は頭部支持スキームを使用することができる。更に、特定の実施形態では、特定の機構(例えば、構造)が調整機構及び頭部支持機構の両方として機能してもよい。例えば、ストラップは、VRヘッドセットを着用者に固定するために使用されてもよく、着用者の眼に対するVRヘッドセットの物理的位置を調整するために使用されてもよい。
【0120】
図9Cは、例示的なVRヘッドセット910を使用して被験者/患者の眼901を追跡する方法の概略図を示す。照明源(光源)LS1、LS2、...、LSNは、眼901に光を提供する。光は、照明後に眼901から反射器916によって受信され、カメラ912に向かって反射され、そこで検出され、ルックアップテーブル918を参照するコントローラの一部であるヘッドセットプロセッサ914を使用して処理される。任意選択的に、ディスプレイ920は、例えば、眼901を配向又は追跡するために、被験者/患者の眼球運動又は特定の焦点を促すために、被験者/患者に画像を同時に表示する。1つ以上の光学系916(例えば、レンズ)を使用して、ディスプレイ920からの光を被験者/患者に集束又は誘導することができる。ディスプレイ920は、1つ以上の光学系916の一部と考えることができ、例えば、VRヘッドセット910の「レンズ」は、ディスプレイ920(又はその一部)を含むことができる。
【0121】
例示的なVRヘッドセット910では、照明源LS1、LS2、...、LSNは、ターゲット領域上の眼901に複数の光ビームを投射する。光反射デバイス916は、眼901の表示画像IMGを受光してカメラ912に反射する。ヘッドセットプロセッサ914を有するコントローラは、カメラ912及び照明源LS1、LS2、...、LSNに結合される。ヘッドセットプロセッサ914は、表示画像IMGを受け取り、表示画像IMGのコントラスト比を解析する。ヘッドセットプロセッサ914は、解析の結果、更に指令信号DSを生成し、この指令信号DSによって各照明源LS1,LS2,...,LSNの点灯又は消灯の状態を制御する。ルックアップテーブル918は、照明源LS1,LS2,...,LSNの点灯/消灯状態と眼球の視野情報との関係を記憶するように構成されている。ルックアップテーブル918は、当業者には明らかであろう任意の適切な形態のメモリとして実装されてもよい。ルックアップテーブル918は、ヘッドセットプロセッサ914と共にコントローラの外部にあってもよく、コントローラに結合されてもよい。或いは、ルックアップテーブル918は、ヘッドセットプロセッサ914と共にコントローラに埋め込まれてもよい。そのようなルックアップテーブル918及びコントローラを使用してVRヘッドセット910の構成要素を制御し、被験者/患者の眼901を追跡する方法の追加の実施形態の更なる詳細は、米国特許第10,705,604号に見出すことができる。
【0122】
眼の状態/障害及び機能的視覚試験
以下は、機能試験が有益であり得る様々な眼の状態/障害の説明である。本明細書に記載のシステム及び方法は、VRヘッドセットを使用した機能試験において実装され得る。例えば、本明細書に記載のシステム及び方法は、静的な及び/又は変化する/移動する視覚刺激(ターゲット)を被験者/患者に表示して、刺激に対する眼球運動のパターンを誘発及び記録するために、本明細書に記載の技術を実装する視線追跡を利用し、眼球運動の前記パターンは、疾患又は状態、例えば網膜機能障害に相関する。そのような疾患又は状態の例としては、加齢黄斑変性(AMD)、より具体的には「萎縮型」又は「滲出型」AMD、並びに糖尿病性黄斑浮腫、静脈又は動脈閉塞、及び遺伝性網膜疾患が挙げられる。本明細書に記載のシステム及び方法によって可能にされる機能的視覚試験はまた、白内障、緑内障、視神経炎、糖尿病性網膜症、及び矯正されていない近視を特定及び/又は監視するのに役立ち得る。本明細書に記載のシステム及び方法によって特定及び/又は監視することができる光学機能異常はまた、多発性硬化症、統合失調症、又は他の神経障害に起因し得る(及びそれを示し得る)。
【0123】
黄斑変性症では、網膜の中心付近のスポットである黄斑が損傷を受ける。疾患が進行するにつれて、患者は中心暗点を経験することがある。暗点は、ぼやけた又は汚れたスポットとして現れる場合があり、又は死角(例えば、灰色又は黒点に進行する可能性がある)である場合がある。暗点の大きさは、疾患が進行するにつれて増加し得る。網膜の残りの部分は損傷を受けないままであり得、患者は、中心暗点の周り、直接視線の周りのものをより明確に見るために視線を動かすことによって暗点を補償し得る。患者は周辺視野を使用しており、ロッド細胞は、一度実施された錐体細胞を損傷する機能を実施するように教示される。このようにして、好ましい網膜軌跡(PRL)は、病変中心窩(黄斑の中心部の領域)を補償する偽中心窩として作用する網膜領域である。PRLの位置(網膜の解剖学的構造に対する)は、黄斑変性などの網膜の疾患又は状態を示し得るので重要であり、PRLの経時的な変化を追跡して疾患又は状態の進行を監視することができる。本明細書に記載のシステム及び方法を使用して実行される機能試験は、網膜の解剖学的構造に対するPRLの位置を特定するために、並びにPRLに直接関連してもしなくてもよい異常を特定するために使用することができる。
【0124】
実施され得る機能検査には、例えば、固視安定性検査、暗点に出入りする刺激の追跡、コントラスト感度検査(ペレット、フリッカーターゲット)、及び逐次探索(迷路)タスクが含まれる。
【0125】
固定安定性試験の一例では、視線追跡機能を備えたVRヘッドセットを装着している被験者は、仮想空間内で静止している、ディスプレイに提示された単一のターゲット(例えば、単一の点)上に固定する。試験は、低コントラスト、高コントラスト、ターゲットの異なる形状及びサイズ、並びに他の変形を組み込むことができる。被験者が試験の長さにわたって見ていた場所を示すヒートマップが生成される。次いで、システムは、健康な集団における既知のパラメータと比較した結果で二変量輪郭楕円面積(BCEA)を測定することができる。PRL決定はまた、例えば、経時的に監視されたPRLの変化を伴う機能試験の一部であってもよい。
【0126】
機能的視覚試験の別の例としては、その本文が参照により本明細書に組み込まれる、コントラスト感度試験、例えば、Mooney,S.W.ら「Gradiate:眼球運動から詳細なコントラスト感度関数を測定するための径方向掃引手法」Journal of Vision,20(13):17(2020)(https://doi.org/10.1167/jov.20.13.17)に記載されているような「Gradiate」試験が挙げられる。
【0127】
本明細書では、コントラスト感度機能的視覚試験に対する改善が提示され、機械学習モデルは、所与の時間窓(ミリ秒単位)について、被験者が個々のターゲットを観察した、又は観察しなかった確率を決定する。この改善は、他の機能的視覚試験に適用されてもよい。
【0128】
この改善を開発する際に、コントラスト感度試験中に、被験者が本当にターゲットを追跡していたかどうか、又は被験者が他の場所を見ていたかどうか、又はそうでなければ眼をランダムに動かしていたかどうかの客観的分類を有することが有益であることに現在留意されたい。ターゲットの視認性が徐々に低下する正確で迅速なフィードバックループが試験で開発された。コントラスト感度機能的視覚試験の過程で被験者が時間的及び空間的にターゲットを正確に追跡しているかどうかを決定するために、人工知能(AI)ベースの視認性判定アルゴリズムが作成された。
【0129】
AIシステムは、多数の試行(サンプルデータ)でユーザにターゲットを追跡させることによって開発され、次いで、試験後にビデオ記録を手動で評価し、被験者の眼の位置が個々のターゲット内にあるかどうかを注釈付けすることによって「グラウンドトゥルース」が確立された。グラウンドトゥルースデータセットは、数百分間の観測及び注釈を含んでいた。得られたAIモデルは、所与の時間窓(ミリ秒単位)について、被験者が個々のターゲット(例えば、5つのターゲットの分野)を観測した、又は観測しなかった確率を提供した。機能試験のために、AIフィードバックが被験者がターゲットを見ていることを示した場合、システムは、被験者がもはやターゲットを追跡していないとAIが決定するまで、それに応じてターゲットの外観を変更する。コントラスト及び空間周波数の最終値を、そのパラメータ空間に対する被験者の視覚的/機能的閾値として記録した。次いで、被験者は、異なるターゲット(例えば、径方向掃引試験の異なる掃引)に移動し、プロセスが繰り返される。
【0130】
組換えニューラルネットワーク、長・短期記憶、時間畳み込みネットワークなどを含む様々なアーキテクチャを試験した。複数の閾値パラメータを調整して、性能を変更及び改善することができる。これらは、AI判定のための時間窓(例えば、増加又は減少)、及び空間における、被験者の実際の眼の位置が円形ターゲットの中心からどれだけ近く又は遠くに位置するかについての許容誤差を含む。
【0131】
図15A図15Bは、被験者がターゲットを見ているかどうかを自動的に決定する視認性判定を含む、AI支援径方向掃引機能的視覚試験のためのニューラルネットワーク実装の概略図である。例示的なAIネットワークアーキテクチャ、並びにAIのターゲットフィールド及び視認性判定出力(視認性検出)の一例が示されている。幾つかの実施形態では、深層リカレントニューラルネットワーク(DRNN)アーキテクチャが使用される。DRNNへの入力は、10個の連続するデータ点(注視点及び1つのパッチの座標を含む)であってもよい。DRNNは、3つの連結されたリカレントニューラルネットワーク(RNN)であってもよい。図15Aは、RNNの基本構造を示す。DRNNは、第10のフレームの出力(例えば、32個のスカラー)を取るアグリゲーションを使用し得る。全結合ネットワーク(例えば、2層)を使用して、隠れDRNN状態を可視性確率にマッピングすることができる。最終的な出力は、1つのパッチの可視性確率であってもよい。ネットワークは、約2分のデータ(例えば、グラウンドトゥルース及びバックプロパゲーションとの比較)で訓練され得る。パッチ視認性予測は、非常に短い訓練(例えば、約120秒)の後に既に評価データ(例えば、約45秒)に対して行われてもよい。図15Bは、機械学習アルゴリズムを用いた視認性検出の概略図である。
【0132】
図16は、例示的な実施形態に係る、AI支援径方向掃引機能的視覚試験において予測閾値を適用した後のパッチ視認性確率、パッチ予測、及びグローバル視認性を示すグラフである。グラフは、(凡例に示された)5つのターゲットのセットにおけるパッチ視認性の出力を示し、時間はx軸上に示されている。「パッチ予測」グラフは、予測閾値を適用する前の予測(黄色の線)と比較した「グラウンドトゥルース」(青色線、手動検証)を示し、「予測閾値を適用した後のグローバルな視認性」は、予測閾値を適用した後の予測に対するグラウンドトゥルースのプロットである。図17は、例示的な実施形態に係る、AI支援径方向掃引機能的視覚試験における機械学習アルゴリズムのアーキテクチャとして長・短期記憶(LSTM)及び時間畳み込みネットワーク(TCN)を使用した性能結果を示すグラフである。
【0133】
コントラスト感度試験を、HTC Vive Pro Eyeヘッドセットを使用して実施した。試験で使用した視覚タスクの例示的な静止フレームを以下に示す。5つのターゲットは、被験者の視野の周りをランダムなパターンで移動する。被験者がターゲットを追跡するにつれて、コントラストが低下する(見ることがより困難になる)。被験者は、もはや見ることができなくなるまで被験者をたどるように指示される。5つ全てのターゲットが見えなくなると、新しいターゲットセットが現れ、被験者はタスクを繰り返す(合計15個のターゲットを占める合計3つの「実行」がある)。
【0134】
コントラスト感度及び/又は空間周波数試験(例えば、径方向掃引試験)などの機能的視覚試験を使用して、被験者の眼の機能を試験することができる。被験者は、眼の状態に罹患しているか、眼の状態になるリスクがあるか、又は眼の状態を有するかどうか確信がない場合がある。そのような眼の状態は、例えば、加齢黄斑変性(AMD)及び/又は関連(例えば、関連付けられた)状態であり得る。そのような状態の例としては、萎縮型加齢黄斑変性(萎縮型AMD)、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)、新生血管型加齢黄斑変性(AMD)、及び地図状萎縮が挙げられる。機能的視覚試験を使用して、被験者の眼の状態を診断及び/又は監視することができる。例えば、機能的視覚試験を使用して、AMD又は関連(例えば、関連付けられた)症状(例えば、地図状萎縮)などの被験者の眼の状態の存在、重症度、及び/又は進行を示す検査結果を生成することができる。仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実デバイス(例えば、視線追跡機能を備えたVRヘッドセット)を使用して、機能的視覚試験を実行することができる。幾つかの実施形態では、眼の状態は、例えば、眼の状態を有することがどのようなものであるか、及び/又は被験者が既に有し得る眼の状態の進行に起因して何が起こり得るかを被験者に実証するために、そのようなデバイスを用いてシミュレートされる。幾つかの実施形態では、機能的視覚試験が行われている間に、そのようなデバイスを使用して暗点をシミュレートすることができる。機能的視覚試験を使用して、被験者(例えば、被験者の視力)の視覚の質を評価することができる。
【0135】
機能的眼検査は、一般に、被験者の視野内の仮想及び/又は拡張シーン内の1つ又は複数のターゲット上で被験者にレンダリング及び表示することを含む。1つ以上のターゲットは、視認性パッチ、例えばコントラストベースの視認性パッチであってもよい。図18A図18Bは、例えばVRヘッドセットによってレンダリングされ得る仮想及び/又は拡張シーンのチャート上のコントラストベースの視認性パッチの例を示す。1つ以上のターゲットは、2つ以上、3つ以上、4つ以上、又は5つ以上のターゲットであり得る。ターゲットは、試験中に連続的に移動することができる。ターゲット(複数可)は、例えば、被験者が十分な時間にわたってターゲット(複数可)を追跡していたという判定時に、試験中にコントラストを変化させることができる。幾つかの実施形態では、ターゲットは、試験中に移動方向を変更することができる。このような急激な方向の変化は、被験者が実際には以前に見た既知の経路を単にたどっていたときに、被験者が実際に移動ターゲットを追跡していると決定する可能性を低減することによって、視認性判定において試験をより信頼性の高いものにすることができる。幾つかの実施形態では、ターゲットの移動方向の急激な変化は、被験者が1秒未満(例えば、1つ以上の時間ベースのパラメータを使用する)でターゲットを追跡しているという判定に基づいて開始され得る(例えば、ターゲットが見られるとすぐに)。コントラスト、空間位置、空間分解能、及び/又は移動方向の調整(例えば、急激な調整)は、1つ以上の時間ベースのパラメータを使用して自動的に行われ得る。そのような調整は、追跡されたターゲットを低コントラストにして難易度を増加させ、追跡されたターゲットの移動方向を急に変更して難易度を増加させ、全てのターゲットを高コントラストでリセットし、及び/又は機能的視覚試験を停止することができる。例えば、被験者がかなりの期間(例えば、少なくとも5秒)いかなるターゲットも追跡しなかった場合、試験を停止することができ、又は全てのターゲットがそのコントラストリセットを有することができる。前者の場合は、被験者が試験に関与していない場合に起こり得、後者の場合は、全てのコントラストが低すぎるために被験者がもはやターゲットを見ることができない場合に起こり得る。試験中、1つ以上のターゲットのコントラスト及び/又は空間分解能は、仮想及び/又は拡張シーン内の1つ以上のターゲットの現在の空間位置に対する注視点の比較に基づいて、仮想及び/又は拡張シーン内で自動的に調整(例えば、減少)され得る。例えば、1つ以上の時間ベースのパラメータを使用して、注視点が1つの(又は少なくとも1つの)所定の閾値期間にわたって1つ以上のターゲットに位置合わせされるという判定に基づいて、自動調整を行うことができる。
【0136】
機能的視覚試験は、被験者が仮想及び/又は拡張シーン内の1つ以上のターゲット(例えば、時間及び空間において)を追跡しているかどうかを自動的に特定するために、リアルタイムで視認性判定を自動的に実行することを含むことができる。追跡は、ターゲットの空間的位置を被験者の注視点と比較することによって決定することができる。注視点は、例えばVRヘッドセットを用いて決定することができる。注視点の決定は、リアルタイムで行うことができる。幾つかの実施形態では、追跡は、注視点がある期間にわたってターゲットと位置合わせされたときに行われると考えられる。注視点は、ターゲットと一致する場合、又は幾つかの実施形態では、少なくともターゲットに局所的に近接している場合、ターゲットと位置合わせされていると見なされ得る[例えば、ターゲットよりもわずかに大きい(例えば、10%大きい)領域内]。図18Aは、被験者の眼を表す概略図であり、眼から仮想及び/又は拡張シーンに向かって延びる線は、この場合にはターゲット(この場合にはコントラストベースの視認性パッチ)と位置合わせされる(特にこの場合には入射する)眼の注視点を表す。
【0137】
視認性判定は、1つ以上の時間ベースのパラメータ、好ましくは複数の時間ベースのパラメータを使用して行うことができる。適切な時間ベースのパラメータの使用は、被験者がターゲットを観察及び/又は追跡している、又は偶発的であるために、注視点とターゲット(例えば、ターゲットの追跡)との間の位置合わせが意図的であるかどうかを決定するプロセスを単純化することができる。例えば、Mooneyらによって説明されたGradiate試験は、非時間ベースのパラメータを含む多くのパラメータ(10を超えるパラメータ)を使用して、(例えば、非常に多くの異なるパラメータを使用して視認性判定を行う際の複雑さのために)その試験を(i)信頼性がないか、又は信頼性が低いものにする可能性がある視認性判定を行う。対照的に、幾つかの実施形態では、本明細書に開示される機能的視覚試験は、合計10個以下のパラメータを使用する。幾つかの実施形態では、時間ベースのパラメータが使用され、人工知能を使用する必要はない(例えば、使用されない)。したがって、視認性判定は、Gradiate試験で説明したのとは異なる方法で行われてもよい。時間ベースのパラメータは、注視点が仮想及び/又は拡張シーン内の1つ以上のターゲットと位置合わせされるか又は位置合わせされない時間期間に対応することができる。例えば、幾つかの実施形態では、4つの時間ベースのパラメータが使用される。第1の時間ベースのパラメータは、被験者の注視点が仮想及び/又は拡張シーン内の特定のターゲット上にあるときを追跡するためのものであり得る。第2の時間ベースのパラメータは、被験者の注視点が仮想及び/又は拡張シーン内の特定のターゲットから外れたときに追跡するためのものであり得る。第3の時間ベースのパラメータは、被験者の注視点が仮想及び/又は拡張シーン内の複数のターゲットのいずれかにあるときに追跡するためのものであり得る。第4の時間ベースのパラメータは、被験者の注視点が仮想及び/又は拡張シーン内の複数のターゲットの全てから外れたときに追跡するためのものであり得る。
【0138】
この段落は、視認性判定を行うために4つの時間ベースのパラメータのセットを使用する例示的な(非限定的な)例を説明する。パラメータは、秒単位(例えば、その画分)を有することができる。各ターゲットは動き回り、それに関連付けられた証拠カウンタを有する(最小値0%、最大値100%)。被験者の注視点が特定のターゲットと位置合わせされる(例えば、入射する、又は近接する)場合、その関連する証拠カウンタは特定の速度で満たされている。第1の時間ベースのパラメータは、証拠カウンタがいつ満たされるかを管理する。第1の時間ベースのパラメータは、特定のターゲットを追跡するために100%まで満たすために0.5sとすることができる。すなわち、特定のターゲットと位置合わせされている注視点の0.5s間、証拠カウンタは0%から100%を占める。注視点が他のどこかにあり、もはやその特定のターゲット上にない場合、証拠カウンタは特定の速度で減少している。第2の時間ベースのパラメータは、証拠カウンタがいつ空になるかを管理する。第2の時間ベースのパラメータは、特定のターゲットを追跡しないために1sから0%まで空にすることができる。すなわち、1sの注視点が特定のターゲットと位置合わせされていない場合、証拠カウンタは100%から0%まで空になる。各証拠カウンタは、被験者が対応するターゲットを見ている間に増加し、被験者が他のどこかを見ている間に減少することができる。一般に、全てのターゲット[例えば、5つのターゲット全て(例えば、5つ全ての視認性パッチ)]の(視認性)証拠は、いつでも独立して、被験者の注視点が現在どこにあるか、及びそれが最近どこにあったかに応じて、0%~100%の間のどこかにあり得る。したがって、1つのカウンタは増加しているが、他のカウンタは減少している場合がある。特定のターゲットに対応する追跡の証拠が100%に達した場合、システムは、ターゲットが被験者によって見られていると仮定する(すなわち、意識的な認識があり、注視点がターゲットを偶然覆っただけではなかった)。そのターゲットの外観(コントラスト及び/又は空間周波数)は、結果的に、タスクをより困難にするように変更される。ターゲットが追跡されていない場合(例えば、もう見えている)(局所的証拠の全てが減少している)、大域的証拠もまた、一定の速度で0%に向かってゆっくりと減少している。第3の時間ベースのパラメータは、グローバル証拠カウンタがいつ空になるかを管理する。第3の時間ベースのパラメータは、いかなるターゲットも追跡しないために6sから0%まで空であり得る。すなわち、仮想及び/又は拡張シーン内のいかなるターゲットとも位置合わせされていない注視点の6s間、グローバル証拠カウンタは100%から0%まで空になる。同様に、局所的な証拠が増加している場合、全体的な証拠も増加する。第4の時間ベースのパラメータは、グローバル証拠カウンタがいつ満たされるかを管理する。第4の時間ベースのパラメータは、ターゲットのいずれかを追跡するために100%まで満たす4sであってもよい。すなわち、仮想及び/又は拡張シーン内の任意のターゲットと位置合わせされている注視点の4s間、証拠カウンタは0%から100%を満たす。幾つかの実施形態では、グローバル証拠カウンタが0%である場合、システムは、もはやパッチを見ることができないと仮定し、高いコントラストを有する5つの新しいパッチが示される。ターゲット(例えば、コントラストベースの視認性パッチ)のうちの任意の特定の1つのコントラスト及び/又は空間分解能は、証拠カウンタが満たされたときに自動的に減少され得る(例えば、被験者の注視点が特定の注視点と位置合わせされていない場合よりも0.5s間長く、被験者の注視点が特定の注視点と位置合わせされていた場合)。ターゲットは、例えば視認性判定の信頼性を高めるために、被験者がターゲットを追跡している間に移動方向を急激に変えることができる。
【0139】
時間ベースのパラメータは、例えば、100ms以下、250ms以下、500ms以下、750ms以下、1s以下、2s以下、4s以下、6s以下、8s以下、又は10s以下(例えば、各パラメータは、独立した期間に対応する)の期間などの、例えばミリ秒又は秒の期間に対応することができる。例えば、前述の例は、500ms、1s、4s、及び6sの期間に対応するパラメータを使用した。
【0140】
幾つかの実施形態では、4つの時間ベースのパラメータは、機能的視覚試験(例えば、有意の変数が、機能的視覚試験の結果に少なくとも5%の影響を有する変数である場合)で使用される全ての有意の変数の少なくとも80%(例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、例えば、少なくとも98%、例えば、100%)を占める。幾つかの実施形態では、視認性判定は、時間ベースのパラメータ(すなわち、視認性判定を行うために非時間ベースのパラメータは使用されない)のみを使用して実行される(例えば、4つの時間ベースのパラメータのみ)。幾つかの実施形態では、視認性判定を実行するために合計10個以下のパラメータ(例えば、合計8個以下のパラメータ、合計6個以下のパラメータ、合計5個以下のパラメータ、又は合計4個以下のパラメータ)が使用され、好ましくは各パラメータは時間ベースのパラメータである。
【0141】
視認性判定に使用される少なくとも1つの時間ベースのパラメータは、例えば、注視点が仮想及び/又は拡張シーン内のターゲットと位置合わせされる(例えば、ターゲットに入射する)ターゲットを追跡する被験者に対応することができる。視認性判定に使用される少なくとも1つの時間ベースのパラメータは、例えば、注視点が仮想及び/又は拡張シーン内のターゲットと位置合わせされない(例えば、ターゲットに入射する)ターゲットを追跡していない被験者に対応することができる。これら2つの異なるタイプの時間ベースのパラメータの組み合わせを使用することができる。
【0142】
時間ベースのパラメータは、例えば、4つの時間ベースのパラメータのセットの前述の例で説明したように、非対称であってもよい。例えば、注視点がターゲット上にある(例えば、ターゲットと位置合わせされる)ときに追跡するためのパラメータは、注視点がターゲットから離れている(例えば、ターゲットと位置合わせされない)ときに追跡するためのパラメータ(例えば、前の例の対応するパラメータでは0.5s対1s)とは異なる時間長を指す(例えば、該時間長に対応する)ことができる。「オン」パラメータは、「オフ」パラメータよりも短い時間長を指すことができる。別の例として、注視点が複数のターゲットのいずれかにある(例えば、ターゲットのいずれかと位置合わせされる)ときに追跡するためのパラメータは、注視点が全てのターゲット(例えば、前の例の対応するパラメータの4s対6s)から離れている(例えば、全てのターゲットと位置合わせされない)ときに追跡するためのパラメータとは異なる時間長を指す(例えば、該時間長に対応する)ことができる。「オン」パラメータは、「オフ」パラメータよりも短い時間長を指すことができる。
【0143】
視認性判定を実行することは、被験者の注視点をリアルタイムで決定することと、注視点を仮想及び/又は拡張シーン内の1つ以上のターゲットの現在の空間位置と比較することとを含むことができる。そのような比較は、時間ベースのパラメータを使用することができる。視認性判定を実行することは、リアルタイムで被験者の注視点を決定することと、注視点が仮想及び/又は拡張シーン内のターゲットと位置合わせされているかどうかを決定することとを含むことができる。視認性判定を実行することは、例えば、時間ベースのパラメータのうちの少なくとも1つを使用して、被験者の注視点をリアルタイムで決定することと、被験者が仮想及び/又は拡張シーン内のターゲットを追跡しているかどうかを決定することとを含むことができる。
【0144】
視認性判定は、被験者が1つ以上のターゲット(例えば、1つ以上の移動するターゲットを追跡することができ)を見ることができたことを意味し得る(例えば、ある期間にわたって)。径方向掃引試験は、1つ以上の視認性判定を行うことを含むことができる。視認性判定は、例えば、VRヘッドセット内のプロセッサ又はVRヘッドセットと通信するプロセッサを使用して行われ得る。
【0145】
試験結果は、視認性判定を使用して計算及び/又は表示することができる。幾つかの実施形態では、試験結果は、コントラスト感度(例えば、二乗平均平方根(RMS)の逆数)及び空間周波数(1度当たりのサイクル、CPDで)(例えば、プロットとして保存されるか、又はプロットに提示される)の関数を含む。機能的視覚試験からの試験結果は、眼の状態(例えば、被験者の片眼又は両眼に影響を及ぼすこと)のアウトカム尺度であり得る。機能的視覚試験は、AMD又は関連(例えば、関連付けられた)状態(例えば、地図状萎縮)などの眼の状態の試験であり得る。試験は、アウトカム尺度及び/又は機能的エンドポイントであり得る。包装された医薬組成物又はキットのラベルは、眼の状態の処置のための治療剤を特定する記述及び/又はコードを含むラベルを含むことができ、眼の状態は機能的視覚試験によって監視及び/又は診断されている。幾つかの態様では、被験者の眼の状態は、機能的視覚試験以外の方法、例えば撮像(例えば、光干渉断層撮影及び/又は眼底自発蛍光)によって診断され、続いて機能的視覚試験によって監視される。ラベルは、機能的視覚試験からの試験結果を使用して眼の状態の進行が観察された場合、被験者(例えば、患者)が治療剤を処方されるべきであることを示し得る。試験結果は、例えば、曲線下面積(AUC)メトリックなどの、被験者の機能的視覚に対応するメトリックを含むことができる(例えば、メトリックであってもよい)。AUCメトリックは、「疎な」AUCメトリックであってもよく、例えば、1つ以上の径方向掃引が実行されていない、及び/又は考慮されていない。幾つかの実施形態では、メトリック(例えば、AUCメトリック)は、100%の特異度で少なくとも90%の感度、100%の特異度で少なくとも91%の感度、100%の特異度で少なくとも92%の感度、又は100%の特異度で少なくとも92.5%の感度を有する。幾つかの実施形態において、メトリック(例えば、AUCメトリック)は、少なくとも90%の感度、少なくとも91%の感度、少なくとも92%の感度、又は少なくとも92.5%の感度を有する。試験結果は、例えば、VRヘッドセット内のプロセッサ又はVRヘッドセットと通信するプロセッサを使用して計算され得る。試験結果は、例えば、VRヘッドセット内のプロセッサ又はVRヘッドセットと通信するプロセッサを使用して表示され得る。
【0146】
機能的視覚試験を使用して、眼の状態を有する被験者を診断及び/又は監視することができる。被験者は、診断及び/又は監視に基づいて治療剤で(例えば、治療有効量の治療剤を投与することによって)処置され得る。例えば、被験者は、処置、例えば治療有効量の治療剤の投与のための適応症である眼の状態の悪化重症度を有すると判定され得る。眼の状態は、例えば、糖尿病性網膜症(例えば、糖尿病性黄斑網膜症の有無にかかわらず)、シュタルガルト病、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、網膜色素変性症、緑内障、内顆粒層疾患、地図状萎縮、及び加齢黄斑変性(AMD)(例えば、萎縮型加齢黄斑変性(萎縮型AMD)、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)及び/又は新生血管型加齢黄斑変性(新生血管型AMD))であり得る。眼の状態の診断及び/又は監視(例えば、悪化重症度の判定)(例えば、進行性の悪化)(例えば、進行不良)は、本明細書に開示される機能的視覚試験を使用することができる。幾つかの実施形態では、被験者に投与される治療剤の治療有効性は、本明細書に開示される機能的視覚試験を使用して、例えば機能的視覚試験からの試験結果から決定される。治療有効性は、特定の被験者について決定され得る。幾つかの実施形態では、機能的視覚試験を被験者の集団と共に使用して、候補治療剤及び/又は治療的介入の治療有効性を決定することができる(例えば、臨床試験において、例えば、試験のエンドポイントが満たされているかどうかを確立するために)。
【0147】
治療剤は、(i)ビタミンC、亜鉛、ビタミンE、銅、β-カロテン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるビタミン補助剤及び/又はミネラル補助剤、(ii)ラニビズマブ、(iii)ファリシマブ、(iv)ブロルシズマブ、(v)アフリベルセプト、又は(vi)ペガプタニブ、(vii)補体阻害剤、(viii)神経保護剤、(ix)抗炎症剤、(x)フリーラジカルスカベンジャー、(xi)抗アポトーシス剤、(xii)インテグリン調節剤、(xiii)遺伝子療法、又は(xiv)細胞療法であり得る。治療的介入は、レーザー凝固療法であり得る。
【0148】
幾つかの実施形態において、治療剤は、補体阻害剤(例えば、C3阻害剤又はC5阻害剤)を含む。幾つかの実施形態では、補体阻害剤は、補体成分又はその生物学的に活性なフラグメント(又は2つ以上の補体成分又はその生物学的に活性なフラグメントを含む複合体)に結合し、その活性を阻害するペプチド、タンパク質、抗体、アプタマー、又は小分子を含む。幾つかの実施形態において、補体成分又はその生物学的に活性なフラグメントは、C3、C3a、C3b、C4、C4a、C4b、C5、C5a、C5b、C1、C1q、B因子又はD因子である。幾つかの実施形態では、補体阻害剤は、補体成分(例えば、C3、C5、B因子、D因子又はC1)の発現を阻害する核酸、例えばsiRNA又はアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。
【0149】
幾つかの態様において、治療剤は遺伝子療法である。遺伝子療法は、病原性遺伝子産物の発現を阻害する、遺伝子内の突然変異を修正する、遺伝子の機能的コピーをそのような遺伝子の機能不全コピーを有する細胞に送達する、又は細胞に有益な核酸もしくはタンパク質を発現させるように、眼内の細胞を遺伝子改変し得る。
【0150】
幾つかの態様において、治療剤は細胞療法である。細胞は、例えば、幹細胞(例えば、人工多能性幹細胞)、幹細胞由来細胞、網膜色素上皮細胞、又は光受容細胞を含み得る。細胞は、疾患に失われた細胞を置換するか、又は残りの細胞の機能を支援又は補完することができる。
【0151】
以下は、4つの特定の時間ベースのパラメータを使用する例として前述した視認性判定を使用する機能的視覚試験の例示的な(非限定的な)例である。機能的視覚試験の有用性を試験するために、様々な重症度(軽度又は重度)の暗点を、シミュレートされた暗点のない試験の反復と同様に試験を実行しながらシミュレートされ、試験結果を比較した。シミュレートされた軽度又は重度の暗点を、公開された実際の患者の微小視野測定マップから設計した。範囲0-1.0からの2つの重症度レベル(0.2及び0.6)を選択した。暗点は同じサイズ及び形状であり、入力設定は、地図状萎縮(GA)における視力喪失の文献報告に基づいて、不透明度及びぼやけの両方で調整可能であった。
【0152】
シミュレートされた軽度又は重度の暗点を使用して、成人被験者の群においてコントラスト感度試験の性能を評価した。被験者の一部は屈折異常を有し、試験中に通常の補正レンズを使用した。そうでなければ、被験者は、重大な視力問題の病歴を報告しなかった。コントラスト空間周波数空間にマッピングする個々のターゲットを追跡する際の各被験者の性能は、各眼の曲線によって適合された。その曲線下面積(AUC)を、各眼による各タスクに対する被験者の成績のメトリックとして決定した。図19A~19Cは、その試験の結果をプロットしている。この試験は再現性及び感度を示し、軽度のシミュレートされた損失とより重度のシミュレートされた損失とを区別することができた。図19Aは、機能的視覚試験の試験結果を示す図である。「疎な」AUCメトリックを使用して、陰影領域に入る感度-周波数空間における径方向掃引を意図的に考慮しないことによって性能(図19Cを参照されたい)を決定した。図19Aの斜線領域によって示されるように、使用されたAUCメトリックから除外された低感度掃引を明らかにした、L1正則化を伴うロジスティック回帰。幾つかの実施形態では、AUCメトリックは、総(例えば、可能である)掃引(例えば、15回のうち6回の掃引)の75%(例えば、50%未満)未満を含む。そのようなメトリックは、改善された感度を示すことができ、試験時間の短縮を可能にすることができる。しかしながら、幾つかの代替的な径方向掃引メトリックは、感度の改善を示さないか、又は限定的に示すことに留意されたい。
【0153】
図19Bは、20個の眼からのデータについての異なるセッションにわたるAUCメトリックの進行を示す。第1のセッションでは、シミュレートされた暗点を使用せず、第2のセッションでは、軽度のシミュレートされた暗点を使用し、第3のセッションでは、重度のシミュレートされた暗点を使用し、第4のセッションでは、シミュレートされた暗点を使用しなかった(2回目)。最初と4番目のセッション中の20個の眼の性能を比較すると(両方ともシミュレートされた暗点なし)、高度の再現性が実証された(図19Bの右パネルに示す)。更に、軽度のシミュレートされた暗点及び重度のシミュレートされた暗点について、十分に分離された箱ひげプロットによって高い感度が示される。図19Cに示すように、AUCメトリックの受信者動作特性プロットを作成した。図19Cの左側のパネルは、中央及び右側のパネルにおけるROCプロットを理解するのに有用な例示的なROCプロットを示す。中央パネル及び右パネルを参照すると、両方のAUCメトリックについて、分離閾値点は、正常な暗点と中程度の暗点の分離よりも、正常な暗点と重度の暗点の分離の方が高いことが分かる。更に、セパレータ閾値点は、ベースラインAUCメトリックよりも疎なAUCメトリックについて高い(径方向掃引は考慮されない)。疎なAUCメトリックについての100%特異度での感度は92.5%であったが、ベースラインAUCメトリックについてはわずか90%であり、疎なメトリックの感度の改善を示している。
【0154】
頭部の向きと仮想物体を分離する
幾つかの実施形態では、例えば、低品質の光学系(例えば、フレネルレンズ)を備えた低コストの既製のVRヘッドセットの使用を可能にするために、物体(例えば、アイチャートなどの試験チャート)と被験者の頭部姿勢とを分離することが重要である。幾つかの実施形態では、被験者は、例えば、特定のターゲットと自身の最良の視覚を位置合わせするために、頭部(及びそれに伴うヘッドセット)を回転させることによって(例えば、コントラストベースの視認性パッチ)特定のターゲットと中心視野を位置合わせすることができる。そのような再配向を可能にすることにより、例えば、試験結果が仮想及び/又は拡張シーンのチャート上のターゲット空間位置に依存しないため、全体的な試験の信頼性を高めることができる。被験者は、頭部を回転させる(例えば、チャートの境界に向かって)だけで、試験チャート(例えば、その境界)上の知覚される光学的品質を高める機会を得ることができる。
【0155】
幾つかの実施形態では、方法は、仮想現実及び/又は拡張現実及び/又は複合現実デバイス(例えば、視線追跡機能を備えたVRヘッドセット)を介して被験者の視野内の仮想及び/又は拡張シーン内の物体を被験者にレンダリング及び表示することを含む。物体の位置は、被験者の頭部が向きを変えるときに仮想空間(例えば、仮想及び/又は拡張シーン内に固定される)内で固定されたままであり得る。そのような物体は、被験者が被験者の注視点に対して好ましい位置に物体を向けることができるように、被験者が自分の頭部を再配向するときに固定されたままであり得る。例えば、被験者は、最良の視覚と物体の関心領域(例えば、試験チャート内のターゲット)との位置合わせに対応する位置に物体を向けることができる。幾つかの実施形態では、デバイスを並進させる被験者は、仮想空間内の被験者に対して物体を移動させない。例えば、幾つかの実施形態では、被験者は、仮想空間内の物体(例えば、チャート)に近づいたり遠ざかったりすることができない。幾つかの実施形態では、物体(例えば、VRヘッドセットのヘッドマウントディスプレイ上にレンダリングされたときに)は、例えば、デバイスの1つ以上のレンズの品質に起因する周辺視野の減少を説明するために湾曲している(すなわち、平坦ではない)。幾つかの実施形態では、物体は、仮想試験チャート(例えば、アイチャート)、例えば、機能的視覚試験のための1つ以上のターゲット(例えば、移動するターゲット及び/又はコントラストを変化させるターゲット)を含む試験チャートである。試験チャートは湾曲していてもよい(例えば、曲がった紙片のように)。物体は、機能的視覚試験の一部としてレンダリング及び表示されるターゲットであってもよい。そのような方法は、例えば、被験者がその光学系下部(inferior optics)(例えば、被験者の視野の周辺を損なう)に対応することを可能にするので、視覚試験のために低コストの市販のVRヘッドセットの使用を可能にする。そのような方法は、機能的視覚試験中に使用することができる。
【0156】
眼の状態及びその処置を含む、本明細書に開示される方法の使用
本明細書では、とりわけ、視覚試験(例えば、機能的視覚試験)を(人工知能を使用して又は使用せずに)実行し、暗点をシミュレートし、PRLを決定し、VRヘッドセットを調整し、仮想及び/又は拡張シーン(例えば、被験者の頭部の向きに対して)内の固定位置にある物体(例えば、チャート)を表示するための方法、並びにそれらの方法を実行するためのシステムが開示される。これらの方法及び/又はシステムのいずれも、眼の状態を有するか、又は有し得る被験者と共に使用され得る。眼の状態は、方法及び/又はシステムを用いて監視及び/又は診断することができる。例えば、眼の状態の存在、重症度、及び/又は進行を決定することは、本明細書に開示される任意の方法及び/又はシステムを使用することができる。眼の状態は、例えば、糖尿病性網膜症(例えば、糖尿病性黄斑網膜症の有無にかかわらず)、シュタルガルト病、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、網膜色素変性症、緑内障、内顆粒層疾患、地図状萎縮、又は加齢黄斑変性(AMD)(例えば、萎縮型加齢黄斑変性(萎縮型AMD)、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)及び/又は新生血管型加齢黄斑変性(新生血管型AMD))を含む、本明細書に記載の任意の眼の状態であり得る。当業者は、他の眼の状態が本明細書に開示される方法又はシステムを適用することから利益を得ることができることを認識するであろう。治療剤及び/又は治療的介入の治療有効性(例えば、利益)を決定するために、(人工知能を使用して又は使用せずに)機能的視覚試験などの本明細書に開示されるシステム及び/又は方法を使用することができる。治療有効性を決定することは、質調整生存年(QALY)を定量化することを含み得る。代替的又は追加的に、治療剤及び/又は治療的介入の費用有効性を決定することは、少なくとも部分的に、機能的視覚試験などの本明細書に開示される方法からの試験結果に基づいて治療有効性を決定することに基づいてもよい。費用有効性は、QALYの定量化に基づいてもよい。被験者は、本明細書に開示されるシステム及び/又は方法(例えば、機能的視覚試験)を使用して、被験者の集団において治療上有効であることが確立又は確認されている治療剤及び/又は治療的介入で処置され得る。そのような治療剤及び/又は治療的介入による処置は、適切な対照[例えば、無処置又は偽処置(例えば、プラセボ)]と比較して、機能的視覚試験の性能を維持又は改善し、及び/又は機能的視覚試験の性能の低下率を低下させることができる。
【0157】
したがって、本明細書に開示される方法、例えば機能的視覚試験は、眼の状態の試験(例えば、アウトカム尺度又は機能的エンドポイント)として使用することができる。試験は、眼の状態のための治療剤及び/又は治療的介入などの処置が投与されるかどうか、どのように(例えば、どれだけの)か、及び/又はいつ(例えば、どのくらいの頻度で)かを知らせ、及び/又は指示し得る。次いで、治療剤及び/又は治療的介入を治療有効量で投与することができる。眼の状態(例えば、眼の状態の重症度の進行)の進行は、治療剤の投与及び/又は治療的介入の前及び/又は後に監視され得る。進行は、治療剤の更なる投与及び/又は治療的介入を知らせる及び/又は指示することができる。本明細書に開示される方法は、治療剤の治療有効性及び/又は眼の状態に対する治療的介入を評価するために使用され得る。次いで、その眼の状態を有する被験者を、その治療的介入及び/又は治療剤で処置することができる。
【0158】
被験者は、本明細書に開示される方法及び/又はシステムを使用して眼の状態と診断された後、本明細書に開示される方法及び/又はシステムを使用して被験者の眼の状態が監視された後、本明細書に開示される方法及び/又はシステムを使用して被験者の眼の状態が監視されている間、又は本明細書に開示される方法及び/又はシステムを使用して被験者が眼の状態の悪化重症度を示すと判定された後に(例えば、治療剤及び/又は治療的介入を用いて)処置され得る。方法及び/又はシステムは、好ましくは機能的視覚試験であり得る。本明細書に開示される方法及び/又はシステムは、眼の状態を診断及び/又は監視するために使用され得る。治療的介入は、レーザー凝固療法であり得る。
【0159】
診断及び/又は監視及び/又は悪化重症度の判定後又は診断中に眼の状態を処置するために投与される治療剤は、例えば、(i)ビタミンC、亜鉛、ビタミンE、銅、β-カロテン及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるビタミン補助剤及び/又はミネラル補助剤、(ii)ラニビズマブ、(iii)ファリシマブ、(iv)ブロルシズマブ、(v)アフリベルセプト、(vi)ペガプタニブ、(vii)補体阻害剤、(viii)神経保護剤、(ix)抗炎症剤、(x)フリーラジカルスカベンジャー、(xi)抗アポトーシス剤、(xii)インテグリン調節剤、(xiii)遺伝子療法、又は(xiv)細胞療法であり得る。幾つかの態様において、治療剤は補体阻害剤を含む。幾つかの実施形態では、補体阻害剤は、補体成分又はその生物学的に活性なフラグメント(又は2つ以上の補体成分又はその生物学的に活性なフラグメントを含む複合体)に結合し、その活性を阻害するペプチド、タンパク質、抗体、アプタマー、又は小分子を含む。幾つかの実施形態において、補体成分又はその生物学的に活性なフラグメントは、C3、C3a、C3b、C4、C4a、C4b、C5、C5a、C5b、C1、C1q、B因子又はD因子である。幾つかの実施形態では、補体阻害剤は、補体成分(例えば、C3、C5、B因子、D因子又はC1)の発現を阻害する核酸、例えばsiRNA又はアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。幾つかの態様において、治療剤は遺伝子療法である。遺伝子療法は、病原性遺伝子産物の発現を阻害する、遺伝子内の突然変異を修正する、遺伝子の機能的コピーをそのような遺伝子の機能不全コピーを有する細胞に送達する、又は細胞に有益な核酸もしくはタンパク質を発現させるように、眼内の細胞を遺伝子改変し得る。幾つかの態様において、治療剤は細胞療法である。細胞は、例えば、幹細胞(例えば、人工多能性幹細胞)、幹細胞由来細胞、網膜色素上皮細胞、又は光受容細胞を含み得る。細胞は、疾患に失われた細胞を置換するか、又は残りの細胞の機能を支援又は補完することができる。
【0160】
様々な実施形態で使用するためのネットワーク環境、コンピューティングデバイス、及びソフトウェア
図13に示すように、本明細書に記載のシステム及び方法を提供する際に使用するためのネットワーク環境400の実装形態が示され説明される。簡単に説明すると、ここで図13を参照すると、例示的なクラウドコンピューティング環境400のブロック図が示され説明されている。クラウドコンピューティング環境400は、(まとめて402)1つ以上のリソースプロバイダ402a、402b、402cを含むことができる。各リソースプロバイダ402は、コンピューティングリソースを含むことができる。幾つかの実装形態では、コンピューティングリソースは、データを処理するために使用される任意のハードウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。例えば、コンピューティングリソースは、アルゴリズム、コンピュータプログラム、及び/又はコンピュータアプリケーションを実行することができるハードウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。幾つかの実装形態では、例示的なコンピューティングリソースは、記憶及び検索機能を有するアプリケーションサーバ及び/又はデータベースを含むことができる。各リソースプロバイダ402は、クラウドコンピューティング環境400内の任意の他のリソースプロバイダ402に接続することができる。幾つかの実装形態では、リソースプロバイダ402は、コンピュータネットワーク408を介して接続されてもよい。各リソースプロバイダ402は、コンピュータネットワーク408を介して、1つ以上のコンピューティングデバイス404a、404b、404c(まとめて404)に接続することができる。
【0161】
クラウドコンピューティング環境400は、リソースマネージャ406を含むことができる。リソースマネージャ406は、コンピュータネットワーク408を介してリソースプロバイダ402及びコンピューティングデバイス404に接続することができる。幾つかの実装形態では、リソースマネージャ406は、1つ以上のリソースプロバイダ402による1つ以上のコンピューティングデバイス404へのコンピューティングリソースの提供を容易にすることができる。リソースマネージャ406は、特定のコンピューティングデバイス404からコンピューティングリソースの要求を受信することができる。リソースマネージャ406は、コンピューティングデバイス404によって要求されたコンピューティングリソースを提供することができる1つ以上のリソースプロバイダ402を特定することができる。リソースマネージャ406は、コンピューティングリソースを提供するためのリソースプロバイダ402を選択することができる。リソースマネージャ406は、リソースプロバイダ402と特定のコンピューティングデバイス404との間の接続を容易にすることができる。幾つかの実装形態では、リソースマネージャ406は、特定のリソースプロバイダ402と特定のコンピューティングデバイス404との間の接続を確立することができる。幾つかの実装形態では、リソースマネージャ406は、特定のコンピューティングデバイス404を、要求されたコンピューティングリソースを有する特定のリソースプロバイダ402にリダイレクトすることができる。
【0162】
図14は、本開示に記載された技術を実施するために使用することができるコンピューティングデバイス500及びモバイルコンピューティングデバイス550の一例を示す。コンピューティングデバイス500は、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、携帯情報端末、サーバ、ブレードサーバ、メインフレーム、及び他の適切なコンピュータなどの様々な形態のデジタルコンピュータを表すように意図されている。モバイルコンピューティングデバイス550は、携帯情報端末、携帯電話、スマートフォン、及び他の同様のコンピューティングデバイスなどの様々な形態のモバイルデバイスを表すように意図されている。ここに示されている構成要素、それらの接続及び関係、並びにそれらの機能は、例にすぎず、限定することを意味するものではない。
【0163】
コンピューティングデバイス500は、プロセッサ502と、メモリ504と、記憶デバイス506と、メモリ504及び複数の高速拡張ポート510に接続する高速インタフェース508と、低速拡張ポート514及び記憶デバイス506に接続する低速インタフェース512とを含む。プロセッサ502、メモリ504、記憶デバイス506、高速インタフェース508、高速拡張ポート510、低速インタフェース512のそれぞれは、各種バスを用いて相互接続され、共通のマザーボード上に実装されてもよいし、適宜他の態様で実装されてもよい。プロセッサ502は、高速インタフェース508に結合されたディスプレイ516などの外部入出力デバイスにGUI用のグラフィック情報を表示するためにメモリ504又は記憶デバイス506に記憶された命令を含む、コンピューティングデバイス500内で実行するための命令を処理することができる。他の実施態様では、複数のプロセッサ及び/又は複数のバスが、必要に応じて、複数のメモリ及びメモリの種類と共に使用されてもよい。また、複数のコンピューティングデバイスが接続されてもよく、各デバイスは必要な動作の一部を提供する(例えば、サーババンク、ブレードサーバのグループ、又はマルチプロセッサシステムとして)。したがって、複数の機能が「プロセッサ」によって実行されるものとして説明されるこの用語が本明細書で使用される場合、これは、複数の機能が任意の数のコンピューティングデバイス(1つ以上)の任意の数のプロセッサ(1つ以上)によって実行される実施形態を包含する。更に、機能が「プロセッサ」によって実行されるものとして説明されている場合、これは、機能が任意の数のコンピューティングデバイス(1つ以上)(例えば、分散コンピューティングシステムにおいて)の任意の数のプロセッサ(1つ以上)によって実行される実施形態を包含する。
【0164】
メモリ504は、コンピューティングデバイス500内に情報を記憶する。幾つかの実装形態では、メモリ504は揮発性メモリユニットである。幾つかの実装形態では、メモリ504は、不揮発性メモリユニットである。メモリ504はまた、磁気又は光ディスクなどのコンピュータ可読媒体の別の形態であってもよい。
【0165】
記憶デバイス506は、コンピューティングデバイス500に大容量ストレージを提供することができる。幾つかの実装形態では、記憶デバイス506は、フロッピーディスクデバイス、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイス、もしくはテープデバイス、フラッシュメモリもしくは他の同様のソリッドステートメモリデバイス、又は記憶エリアネットワークもしくは他の構成のデバイスを含むデバイスのアレイなどのコンピュータ可読媒体であるか、又はそれを含むことができる。命令は、情報キャリアに記憶することができる。命令は、1つ以上の処理デバイス(例えば、プロセッサ502)によって実行されると、上記のような1つ以上の方法を実行する。命令はまた、コンピュータ又は機械可読媒体(例えば、メモリ504、記憶デバイス506、又はプロセッサ502上のメモリ)などの1つ以上の記憶デバイスによって記憶することもできる。
【0166】
高速インタフェース508は、コンピューティングデバイス500の帯域集約的な動作を管理し、低速インタフェース512は、より低い帯域集約的な動作を管理する。このような機能の割り当ては一例にすぎない。幾つかの実装形態では、高速インタフェース508は、メモリ504、ディスプレイ516(例えば、グラフィックスプロセッサ又はアクセラレータを介して)、及び様々な拡張カード(図示せず)を受け入れることができる高速拡張ポート510に結合される。本実施態様では、低速インタフェース512は、記憶デバイス506及び低速拡張ポート514に結合されている。様々な通信ポート(例えば、USB、Bluetooth(登録商標)、イーサネット、ワイヤレスイーサネット)を含むことができる低速拡張ポート514は、例えばネットワークアダプタを介して、キーボード、ポインティングデバイス、スキャナ、又はスイッチもしくはルータなどのネットワーキングデバイスなどの1つ以上の入出力デバイスに結合することができる。
【0167】
コンピューティングデバイス500は、図に示すように、幾つかの異なる形態で実装することができる。例えば、それは、標準サーバ520として、又はそのようなサーバのグループにおいて複数回実装されてもよい。また、ラップトップコンピュータ522などのパーソナルコンピュータに実装してもよい。ラックサーバシステム524の一部として実装されてもよい。或いは、コンピューティングデバイス500からの構成要素は、モバイルコンピューティングデバイス550などのモバイルデバイス(図示せず)内の他の構成要素と組み合わせることができる。そのようなデバイスのそれぞれは、コンピューティングデバイス500及びモバイルコンピューティングデバイス550のうちの1つ以上を含むことができ、システム全体は、互いに通信する複数のコンピューティングデバイスで構成することができる。
【0168】
モバイルコンピューティングデバイス550は、とりわけ、プロセッサ552、メモリ564、ディスプレイ554などの入出力デバイス、通信インタフェース566、及びトランシーバ568を含む。モバイルコンピューティングデバイス550はまた、追加の記憶デバイスを提供するために、マイクロドライブ又は他のデバイスなどの記憶デバイスを備えることができる。プロセッサ552、メモリ564、ディスプレイ554、通信インタフェース566、及びトランシーバ568のそれぞれは、様々なバスを使用して相互接続され、構成要素の幾つかは、共通のマザーボード又は必要に応じて他の方法で取り付けられてもよい。
【0169】
プロセッサ552は、メモリ564に記憶された命令を含む、モバイルコンピューティングデバイス550内の命令を実行することができる。プロセッサ552は、別個の複数のアナログ及びデジタルプロセッサを含むチップのチップセットとして実装されてもよい。プロセッサ552は、例えば、ユーザインタフェースの制御、モバイルコンピューティングデバイス550によって実行されるアプリケーション、及びモバイルコンピューティングデバイス550による無線通信など、モバイルコンピューティングデバイス550の他の構成要素の調整を提供することができる。
【0170】
プロセッサ552は、ディスプレイ554に結合された制御インタフェース558及びディスプレイインタフェース556を介してユーザと通信することができる。ディスプレイ554は、例えば、TFT(Thin-Film-Transistor Liquid Crystal Display)ディスプレイ又はOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ、又は他の適切なディスプレイ技術であってもよい。ディスプレイインタフェース556は、ディスプレイ554を駆動してグラフィック及び他の情報をユーザに提示するための適切な回路を備えることができる。制御インタフェース558は、ユーザからコマンドを受信し、それらをプロセッサ552に提出するために変換することができる。更に、外部インタフェース562は、モバイルコンピューティングデバイス550と他のデバイスとの近距離通信を可能にするために、プロセッサ552との通信を提供することができる。外部インタフェース562は、例えば、幾つかの実装形態では有線通信、又は他の実装形態では無線通信を提供することができ、複数のインタフェースを使用することもできる。
【0171】
メモリ564は、モバイルコンピューティングデバイス550内の情報を記憶する。メモリ564は、コンピュータ可読媒体、揮発性メモリユニット、又は不揮発性メモリユニットのうちの1つ以上として実装することができる。拡張メモリ574も提供され、例えばSIMM(Single In Line Memory Module)カードインタフェースを含むことができる拡張インタフェース572を介してモバイルコンピューティングデバイス550に接続することができる。拡張メモリ574は、モバイルコンピューティングデバイス550のための追加の記憶空間を提供することができ、又はモバイルコンピューティングデバイス550のためのアプリケーション又は他の情報を記憶することもできる。具体的には、拡張メモリ574は、前述した処理を実行又は補足するための命令を含むことができ、セキュア情報も含むことができる。したがって、例えば、拡張メモリ574は、モバイルコンピューティングデバイス550のためのセキュリティモジュールとして提供することができ、モバイルコンピューティングデバイス550の安全な使用を可能にする命令でプログラムすることができる。加えて、安全なアプリケーションは、SIMMカード上に特定情報をハッキング不可能な方法で配置するなどの追加情報と共に、SIMMカードを介して提供されてもよい。
【0172】
メモリは、例えば、後述するように、フラッシュメモリ及び/又はNVRAMメモリ(non-volatile random access memory)を含むことができる。幾つかの実装形態では、命令は情報キャリアに記憶される。幾つかの実装形態では、命令は、1つ以上の処理デバイス(例えば、プロセッサ552)によって実行されると、上記のような1つ以上の方法を実行する。命令はまた、1つ以上のコンピュータ又は機械可読媒体(例えば、メモリ564、拡張メモリ574、又はプロセッサ552上のメモリ)などの1つ以上の記憶デバイスによって記憶することもできる。幾つかの実装形態では、命令は、例えばトランシーバ568又は外部インタフェース562を介して、伝播信号で受信することができる。
【0173】
モバイルコンピューティングデバイス550は、必要に応じてデジタル信号処理回路を含むことができる通信インタフェース566を介して無線で通信することができる。通信インタフェース566は、とりわけ、GSM音声通話(Global System for Mobile communications)、SMS(Short Message Service)、EMS(Enhanced Messaging Service)、又はMMSメッセージング(Multimedia Messaging Service)、CDMA(code division multiple access)、TDMA(time division multiple access)、PDC(Personal Digital Cellular)、WCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、CDMA2000、又はGPRS(General Packet Radio Service)などの様々なモード又はプロトコルの下での通信を提供することができる。そのような通信は、例えば、無線周波数を使用してトランシーバ568を介して行われ得る。更に、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(商標)、又は他のそのようなトランシーバ(図示せず)を使用するなど、短距離通信が行われてもよい。更に、GPS(全地球測位システム)受信機モジュール570は、追加のナビゲーション及び位置関連無線データをモバイルコンピューティングデバイス550に提供することができ、モバイルコンピューティングデバイス550上で実行されるアプリケーションによって適切に使用することができる。
【0174】
モバイルコンピューティングデバイス550はまた、音声コーデック560を使用して音声で通信することもでき、音声コーデックは、ユーザから音声情報を受信し、それを使用可能なデジタル情報に変換することができる。音声コーデック560は、同様に、例えばモバイルコンピューティングデバイス550のハンドセット内のスピーカなどを介して、ユーザに可聴音を生成することができる。そのような音は、音声通話からの音を含むことができ、記録された音(例えば、音声メッセージ、音楽ファイルなどである)を含むことができ、モバイルコンピューティングデバイス550上で動作するアプリケーションによって生成された音も含むことができる。
【0175】
モバイルコンピューティングデバイス550は、図に示すように、幾つかの異なる形態で実装することができる。例えば、携帯電話580として実装されてもよい。スマートフォン582、携帯情報端末、又は他の同様のモバイルデバイスの一部として実装されてもよい。
【0176】
本明細書で説明するシステム及び技術の様々な実施態様は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせで実現することができる。これらの様々な実施態様は、記憶システム、少なくとも1つの入力デバイス、及び少なくとも1つの出力デバイスからデータ及び命令を受信し、それらにデータ及び命令を送信するように結合された、特殊又は汎用であり得る少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行可能及び/又は解釈可能な1つ以上のコンピュータプログラムでの実施態様を含むことができる。
【0177】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション又はコードとも呼ばれる)は、プログラマブルプロセッサ用の機械命令を含み、高水準手続き型及び/又はオブジェクト指向プログラミング言語で、及び/又はアセンブリ/機械言語で実装することができる。本明細書で使用される場合、機械可読媒体及びコンピュータ可読媒体という用語は、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するために使用される任意のコンピュータプログラム製品、装置及び/又はデバイス(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLD))を指し、機械命令を機械可読信号として受信する機械可読媒体を含む。機械可読信号という用語は、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するために使用される任意の信号を指す。
【0178】
コンピュータプログラムは、例えば、所与の入力に対して1つ以上の出力値を決定するために、機械学習技術、例えば人工ニューラルネットワーク(ANN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、ランダムフォレスト、決定木、サポートベクターマシンなどを実装するソフトウェアを含むことができる。幾つかの実施形態では、機械学習技術を実装する機械学習モジュールは、例えばキュレートされた及び/又は手動で注釈付けされたデータセットを使用して訓練される。そのような訓練は、ニューラルネットワーク内の層に関連する重みなど、機械学習モジュールによって実施される機械学習アルゴリズムの様々なパラメータを決定するために使用することができる。幾つかの実施形態では、例えば特定のタスクを達成するために機械学習モジュールが訓練されると、決定されたパラメータの値が固定され、(例えば、不変、静的)機械学習モジュールは、新しいデータ(例えば、訓練データとは異なる)を処理し、そのパラメータ(例えば、機械学習モジュールは、フィードバック及び/又は更新を受信しない)を更に更新することなくその訓練されたタスクを達成するために使用される。幾つかの実施形態では、機械学習モジュールは、例えば精度のユーザレビューに基づいてフィードバックを受信することができ、そのようなフィードバックは、例えば機械学習モジュールを動的に更新するための追加の訓練データとして使用することができる。幾つかの実施形態では、訓練された機械学習モジュールは、調整可能及び/又は固定(例えば、ロックされている)パラメータ、例えばランダムフォレスト分類器を有する分類アルゴリズムである。幾つかの実施形態では、2つ以上の機械学習モジュールを組み合わせて、単一のモジュール及び/又は単一のソフトウェアアプリケーションとして実装することができる。幾つかの実施形態では、2つ以上の機械学習モジュールを、例えば別々のソフトウェアアプリケーションとして別々に実装することもできる。機械学習モジュールは、ソフトウェア及び/又はハードウェアであってもよい。例えば、機械学習モジュールは、完全にソフトウェアとして実施され得るか、又は、ANNモジュールのある機能は、専用のハードウェア(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを介して)を介して実行され得る。
【0179】
本明細書で使用される場合、「画像」、「ビデオ」、「ビデオストリーム」などの用語は、表示されるグラフィック画像又は一連のグラフィック画像(例えば、ビデオ)をレンダリングするために使用される画像データ(例えば、ピクセル強度値、ピクセル色成分値(例えば、RGB等)を指す。特定の実施形態では、カメラ又は他のデジタル画像記録デバイスから受信した画像データは、2次元(2D)データとして処理される。他の実施形態では、受信された画像データは、モデルの3次元(及び/又は2次元及び半次元)位置に変換又はマッピングされる。他の実施形態では、受信された画像データは、3次元(3D)又は2次元半データ(例えば、変換又はマッピングは不要である)として受信される。
【0180】
ユーザとの対話を提供するために、ここで説明するシステム及び技術は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイデバイス(例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)と、ユーザがコンピュータに入力を提供することができるキーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)とを有するコンピュータ上に実装することができる。他の種類のデバイスを使用して、ユーザとの対話を提供することもできる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック)とすることができ、また、ユーザからの入力は、音響、音声、又は触覚入力を含む任意の形態で受け取ることができる。
【0181】
本明細書で説明するシステム及び技術は、バックエンド構成要素(例えば、データサーバとして)を含む、又はミドルウェア構成要素(例えば、アプリケーションサーバ)を含む、又はフロントエンド構成要素(例えば、ユーザが本明細書に記載のシステム及び技術の実装と対話することができるグラフィカルユーザインタフェース又はウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ)を含む、又はそのようなバックエンド、ミドルウェア、もしくはフロントエンド構成要素の任意の組み合わせを含むコンピューティングシステムで実施することができる。システムの構成要素は、任意の形態又は媒体のデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)によって相互接続することができる。通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、及びインターネットが含まれる。
【0182】
コンピューティングシステムは、クライアント及びサーバを含むことができる。クライアント及びサーバは、一般に、互いに遠隔にあり、通常、通信ネットワークを介して対話する。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、互いにクライアント-サーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。
【0183】
幾つかの実装形態では、本明細書に記載のソフトウェアモジュールは、単一又は組み合わせたモジュールに分離、組み合わせ、又は組み込むことができる。図に示されているモジュールは、本明細書に記載されているシステムを、そこに示されているソフトウェアアーキテクチャに限定することを意図するものではない。
【0184】
本明細書に記載の異なる実施態様の要素を組み合わせて、具体的に前述していない他の実施態様を形成することができる。要素は、それらの動作に悪影響を及ぼすことなく、本明細書に記載のプロセス、コンピュータプログラム、データベースなどから除外することができる。更に、図に示されている論理フローは、望ましい結果を達成するために、示されている特定の順序、又は連続した順序を必要としない。本明細書に記載の機能を実行するために、様々な別個の要素を1つ以上の個々の要素に組み合わせることができる。本明細書に記載のシステム及び方法の構造、機能及び装置を考慮して、幾つかの実装形態では。
【0185】
特許請求される発明のシステム、アーキテクチャ、デバイス、方法、及びプロセスは、本明細書に記載の実施形態からの情報を使用して開発された変形及び適応を包含することが企図される。本明細書によって企図されるように、本明細書に記載のシステム、アーキテクチャ、デバイス、方法、及びプロセスの適応及び/又は修正を実行することができる。
【0186】
本明細書を通して、物品、デバイス、システム、及びアーキテクチャが特定の構成要素を有する、含む、又は含むものとして説明される場合、又はプロセス及び方法が特定のステップを有する、含む、又は含むものとして説明される場合、更に、列挙された構成要素から本質的になる、又はそれからなる本発明の物品、デバイス、システム、及びアーキテクチャがあり、列挙された処理ステップから本質的になる、又はそれからなる本発明によるプロセス及び方法があることが企図される。
【0187】
本発明が動作可能なままである限り、特定の動作を実行するためのステップ又は順序は重要ではないことを理解されたい。更に、2つ以上のステップ又は動作が同時に行われてもよい。
【0188】
例えば背景技術の節における任意の刊行物の本明細書における言及は、その刊行物が本明細書に提示された特許請求の範囲のいずれかに関して先行技術としての役割を果たすことを認めるものではない。背景技術のセクションは、明確にするために提示されており、任意の請求項に関する先行技術の説明を意味するものではない。
【0189】
見出しは、読者の便宜のために提供され、見出しの存在及び/又は配置は、本明細書に記載の主題の範囲を限定することを意図しない。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18A
図18B
図19A
図19B
図19C
【国際調査報告】