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特表2024-545564矯正されたワイヤ形状又はパイプ形状の材料を測定するための測定ユニットと測定方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】矯正されたワイヤ形状又はパイプ形状の材料を測定するための測定ユニットと測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20241203BHJP
   B21F 1/02 20060101ALI20241203BHJP
   B21F 11/00 20060101ALI20241203BHJP
   B21D 3/05 20060101ALI20241203BHJP
   B21C 51/00 20060101ALI20241203BHJP
   B21D 3/02 20060101ALI20241203BHJP
   B21B 38/04 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
G01B11/24 M
B21F1/02 B
B21F11/00 A
B21D3/05 G
B21C51/00 L
B21D3/02 A
B21B38/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525032
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2022079558
(87)【国際公開番号】W WO2023072818
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】102021212056.3
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102022203993.9
(32)【優先日】2022-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500146945
【氏名又は名称】ヴァフィオス アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】WAFIOS Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ゲニンガー
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ボルフ
【テーマコード(参考)】
2F065
4E070
【Fターム(参考)】
2F065AA46
2F065BB08
2F065BB12
2F065DD03
2F065FF04
2F065GG04
2F065HH05
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065QQ25
2F065QQ31
2F065UU03
2F065UU04
4E070AA04
4E070AC07
4E070AC08
4E070AC09
4E070BB01
4E070BF01
4E070DB03
(57)【要約】
異なる向きの矯正平面を有する2つの相前後して接続された調節可能なローラ矯正機(400-1、400-2)を有する矯正システムを通過した、矯正されたワイヤ形状又はパイプ形状の被矯正材における残留曲率を測定する測定ユニット(350)は、矯正システムを通過した被矯正材の、被矯正材から分離された棒状のセクション(110-A)をそれぞれ測定位置に収容し、かつ矯正された被矯正材の残留曲率を表す測定データを求めるための測定装置(520)を有している。この測定ユニットは、矯正平面固有の測定用に構成されており、その測定がローラ矯正機の異なる矯正平面に対する、測定データによって表される曲率成分の対応づけを可能にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる向きの矯正平面を有する2つの相前後して接続された調節可能なローラ矯正機を備えた矯正システムを通過した、矯正されたワイヤ形状又はパイプ形状の被矯正材における残留曲率を測定する測定ユニット(350)であって、
矯正システムを通過した被矯正材の、前記被矯正材から分離された棒形状のセクション(110-A)を測定位置にそれぞれ収容し、かつ前記矯正された被矯正材の残留曲率を表す測定データを求める測定装置(520)を有する、ものにおいて、
前記測定ユニット(350)が、矯正平面固有の測定用に構成されており、前記測定が、前記ローラ矯正機の異なる矯正平面に対する、前記測定データによって表される曲率成分の一義的な対応づけを可能にする、ことを特徴とする測定ユニット。
【請求項2】
前記棒状のセクションを第1の固定箇所と、前記第1の固定箇所に対して距離を有する第2の固定箇所とに次のように、すなわち前記固定箇所の各々について前記棒状の被矯正材の垂直位置と水平位置のみが定められて、前記固定箇所の間に位置する前記棒状の被矯正材のセクションに、重力を除いて力がかからないように、固定する装置(510、610);
前記第1と第2の固定箇所の間に位置する測定平面(524)内で、前記被矯正材の位置を測定する装置(520、620);
前記第1の固定箇所、前記第2の固定箇所において、かつ前記測定平面(524)内で、被矯正材の位置についての位置データを使用して前記残留曲率を求める装置;
を特徴とする請求項1に記載の測定ユニット。
【請求項3】
前記測定ユニットが、前記矯正システムを通過した前記被矯正材から予め決定可能な長さの棒状のセクション(110-A)を分離する切断装置(370)を有し、好ましくは前記切断装置(370)が前記測定装置(500)と共に共通のフレーム上に、あるいは共通のフレームに取りつけられている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の測定ユニット。
【請求項4】
前記測定ユニット(350)は、前記被矯正材が、前記矯正システム(400)を通過した回転位置において測定可能であるように、構成されている、ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の測定ユニット。
【請求項5】
回動防止装置(514-1、514-2)であって、前記回動防止装置が次のように、すなわち矯正と測定の間で、測定のために設けられている、分離された棒状のセクション(110-A)のその長手軸線を中心とする回転位置が変化せず、それによって前記被矯正材が、前記矯正システムを通過した回転位置において測定可能であるように、構成されている、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の測定ユニット。
【請求項6】
制御ユニット(390)であって、前記制御ユニットが駆動モードにおいて次のように、すなわち前記切断装置(370)と前記測定装置(500)が同調して駆動され、それによって前記矯正された被矯正材の前方の終端セクション(112)が制御された送りによって前記測定装置(500)内の測定位置へ移送され、その後前記被矯正材が前記測定ユニット(350)の回動防止装置(514-1、514-2)によって回動を防止され、特に水平方向に挟持され、かつその後前記切断装置(390)が、前記測定すべき棒状のセクションを前記被矯正材の残りの部分から分離するように駆動される、ように構成されている、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の測定ユニット。
【請求項7】
前記測定ユニット(350)が回転位置調節補助装置(550)を有し、前記回転位置調節補助装置が次のように、すなわち前記棒状のセクション(110-A)に設けられた、前記棒状のセクションの回転位置を確認するのに適した回転位置マーキング(115)と機能的に協働して、前記被矯正材が前記矯正システム(400)を通過した回転位置に対して既知の関係にある、定められた回転位置において前記棒状のセクションが測定可能であるように、前記棒状のセクションが前記測定ユニット内に収容可能であることを保証するように、構成されており、好ましくは前記回転位置調節補助装置が少なくとも1つの回転位置認識装置を有し、前記回転位置認識装置が、前記棒状のセクション(110-A)に設けられた前記回転位置マーキング(115)を認識するように構成されており、回転位置認識装置が好ましくは以下のグループ:
前記回転位置マーキングを光学的に検出するためのカメラ(558);
前記回転位置マーキング(115)の機械的接触に対する機械的マーキングカウンター部材であって、前記マーキングカウンター部材が好ましくは、接触によって前記棒状のセクションの所望の回転位置が調節可能であるように、回転位置マーキングに対して相補的なカウンター構造(556)を備えたセクションを有している、機械的マーキングカウンター部材、から選択される、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の測定ユニット。
【請求項8】
前記測定装置(500)が、入口側に第1のクランプ装置(510-1)を、そしてそれに対して長手方向に距離をおいて第2のクランプ装置(510-2)を有しており、前記クランプ装置(510-1、510-2)の間の領域内に測定システム(520)のコンポーネントが配置されており、前記測定システムが長手方向に対して横方向に、特に垂直に方向づけされた測定平面(524)を定め、かつ、前記測定平面(524)内に載置された棒状のセクション(110-A)の位置を定めるように、設計されており、好ましくは前記クランプ装置の各々が、水平の回転軸線によって取りつけられた1つの載置ローラ(512-1、512-2)と、ドライブによって変位可能な2つの横方向位置決め部材、特に横方向位置決めローラ(514-1、514-2)又は横方向位置決めブロックを次のように、すなわち挿入された棒状のセクションがそれぞれ垂直方向と水平方向において定められた固定箇所に固定可能であるように、有している、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の測定ユニット。
【請求項9】
長手方向に対して平行に測定されたクランプ装置(510-1、510-2)の間隔が、無段階に調節可能であり、好ましくは前記クランプ装置がキャリッジ上に取りつけられており、そのキャリッジがガイドレール(501)上を走行し、前記ガイドレールが前記測定システムの水平に方向づけされたベースプレート(502)の上側に固定されており、かつ/又は前記測定装置のコンポーネントが支持体(522)上に固定されており、前記支持体がキャリッジ上に取りつけられて、そのキャリッジが前記ガイドレール(501)上で走行可能であり、前記ガイドレールが前記クランプ装置も案内する、ことを特徴とする請求項8に記載の測定ユニット。
【請求項10】
前記測定システム(520)が、前記クランプ装置の間に位置する測定平面(524)内の前記棒状のセクションの位置を定める光学的な測定システムであって、好ましくは前記測定システムが第1のレーザーユニット(525-1)と第2のレーザーユニット(525-2)を有し、それらが横方向に、特に互いに対して垂直に方向づけされた測定方向に、それぞれ前記測定平面内に延びるレーザー光カーテンを発生させ、それぞれレーザーユニットに対向して、前記棒状のセクション(110-A)の前記測定平面を通る部分の投影を検出するための、感光性センサを有するセンサユニットが配置されている、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の測定ユニット。
【請求項11】
異なる向きの矯正平面を有する2つの互いに前後して接続されたローラ矯正機を備えた矯正システムを通過した、矯正されたワイヤ形状又はパイプ形状の被矯正材における残留曲率を測定する測定方法であって、前記矯正システム(400)を通過した被矯正材から予め決定可能な長さの棒状のセクション(110-A)が、切断装置(370)によって分離され、かつ前記棒状のセクションが測定装置(500)によって測定され、前記測定装置が被矯正材から分離された棒状のセクション(110-A)を測定位置内に収容するための測定装置(520)と、前記矯正された被矯正材の残留曲率を表す測定データを求める装置とを有する、ものにおいて、
前記測定データに基づいて求められた曲率成分が前記ローラ矯正機の異なる矯正平面に対応づけられる、矯正平面固有の測定を特徴とする、測定方法。
【請求項12】
矯正と測定の間において前記被矯正材のその長手軸線を中心とする回転位置が変化しないので、前記被矯正材が前記矯正システムを通過した回転位置において測定される、ことを特徴とする請求項11に記載の測定方法。
【請求項13】
前記被矯正材の棒状のセクションを測定するために、まず、前記矯正された被矯正材の前方の終端セクション(112)が、制御された送りによって、前記測定装置(500)内の測定位置へ移送され、その後前記被矯正材が、回動防止により、特に水平方向における挟持によって、自己回転を阻止され、かつ
その後に前記測定すべき棒状のセクション(110-A)が、前記被矯正材の残りの部分から分離される、
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の測定方法。
【請求項14】
以下のステップ:
前記棒状のセクション(110-A)の回転位置を定めるのに適した回転位置マーキング(115)を、前記棒状のセクションに形成するステップ;
前記回転位置マーキングを有する前記棒状のセクションを前記測定ユニット(350)へ移送するステップ;及び
前記回転位置マーキング(115)を有する前記棒状のセクション(110-A)を定められた回転位置で前記測定ユニットの前記測定位置へ配置するステップであって、前記定められた回転位置が、前記被矯正材が前記矯正システム(400)を通過した回転位置に対して既知の関係にある、ステップ、を有し、
前記定められた回転位置が、前記測定ユニットの回転位置調節補助装置(550)を使用して調節され、前記回転位置調節補助装置が、前記棒状のセクションにおける前記回転位置マーキング(115)と協働して、前記棒状のセクションが前記定められた回転位置に配置されることを保証するように、構成されている、
ことを特徴とする請求項11から13のいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項15】
前記回転位置マーキング(115)の形成が、以下の措置:
前記被矯正材の周に切り欠き又は他の掘り下げた構造を形成すること;
前記被矯正材の端部に屈曲したセクションを形成すること;
前記被矯正材の端部に面取りを形成すること;
カラーマーキング又はレーザーマーキングを形成すること;
絶縁層の一部の片側を除去すること;
前記棒状のセクションに、特に取りつけ、クリップ止め又は接着によって、好ましくは3Dプリントによって、別に形成された適合した形状のマーキング部材をとりつけること;及び
前記棒状のセクションの側面に、あるいはその上に好ましくは自己接着するステッカーを接着すること、
のうちの1つを含む、ことを特徴とする請求項14に記載の測定方法。
【請求項16】
前記矯正された被矯正材の測定が、以下のステップ:
前記矯正された被矯正材を、第1の固定箇所と前記第1の固定箇所に対して間隔をおいた第2の固定箇所に次のように、すなわち前記固定箇所の各々のために前記被矯正材の垂直位置と水平位置が設けられ、かつ前記固定箇所の間に位置する被矯正材セクションに重力を別にして力がかからないように、固定するステップ;
前記第1と前記第2の固定箇所の間に位置する測定平面(524)内で前記被矯正材の位置を測定するステップ;および
前記第1の固定箇所、前記第2の固定箇所において、かつ前記測定平面(524)内の前記被矯正材の位置のための位置データを使用して、前記残留曲率を求めるステップ、を有する、ことを特徴とする請求項11から15のいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項17】
測定するために光学的測定システムが使用され、前記光学的測定システムが好ましくはレーザー放射を用いて、測定平面内に位置する2つの互いに対して垂直のレーザー光カーテンを発生させ、かつ対向する感光性のセンサを用いて検出し、それによって投影により2つの方向において前記測定平面内の前記被矯正材の位置がきわめて正確に定められる、ことを特徴とする請求項11から16のいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項18】
特に被矯正材からまっすぐな、あるいは屈曲した成形部品を形成するための変形機械内で使用するために、通過するワイヤ形状又はパイプ形状の被矯正材(110)のくせをとる矯正システム(400)を調整する方法であって、
前記矯正システム(400)が、異なる向きの矯正平面を備えた、2つの相前後して接続された調節可能なローラ矯正機(400-1、400-2)を有し、
前記矯正システム(400)を通過した前記被矯正材から切断装置(370)を用いて予め決定可能な長さの棒状のセクション(110-A)が分離され、
前記棒状のセクションが測定装置(500)によって測定され、前記測定装置が、それぞれ前記被矯正材から分離された棒状のセクション(110-A)を測定位置内に収容するための測定装置(520)と、矯正された被矯正材の残留曲率を表す測定データを求める装置とを有し、かつ
少なくとも1つのローラ矯正機(400-1、400-2)の矯正幾何学配置が、前記測定データにしたがって次のように、すなわち前記被矯正材のその後に矯正されるセクションの残留曲率が、前記矯正幾何学配置の変更によって目標残留曲率に関して改善されるように、変更される、
ものにおいて、
請求項1から10のいずれか1項に記載の測定装置が使用される、ことを特徴とする矯正システムを調節する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる向きの矯正平面を備えた、2つの相前後して接続されたローラ矯正機を有する矯正システムを通過して、矯正されたワイヤ形状又はパイプ形状の被矯正材における残留曲率を測定する測定ユニットと測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤ、パイプ、その他の細長い半製品材料は、製造直後はしばしば巻き上げた材料ストック(コイル)の形式で存在し、通常は、さらに加工する前に巻き癖を矯正しれなければならない。矯正は、成形プロセスのグループに属する製造プロセスであって、ここでは被矯正材とも称される細長い材料をさらに加工する前に、できる限りまっすぐな形状、すなわち残留曲率の少ない、あるいはほとんどない状態にするために用いられる。そのために矯正プロセスにおいて、材料が材料ストックから矯正システムを通して移送され、矯正システムは、矯正動作によって材料に変形を加えることにより、矯正された材料もしくは矯正された被矯正材を産出する。
【0003】
本出願において考察される種類の矯正システムは、少なくとも2つのローラ矯正機を有している。ローラ矯正機は、互いに平行な回転軸線を有する、受動的な、すなわち回転駆動されない多数の矯正ローラを有しており、それらの矯正ローラが通過方向において通過区間の両側に交互に配置されており、かつ駆動中に工作物に接触する周セクションによって矯正幾何学配置を定める。ローラ矯正機を用いて、被矯正材の一次元の入力曲率(ローラ矯正機内へ進入する前の曲率)を1つの平面内で変化させることが可能であるため、矯正プロセス後にこの平面内には定められた残留曲率が存在する。大体において、残留曲率のない最終製品、すなわちまっすぐな最終製品が望まれる。大体において、2つの相前後して接続されたローラ矯正機を有する矯正システムが使用され、これにより、2つの互いに垂直な平面内における入力曲率が除去される。
【0004】
ローラ矯正機を有する矯正システムは回転せず、この点において、多くの様々な平面内で矯正力をもたらす、いわゆる矯正羽根を有する回転する矯正システムとは原理的に異なる。
【0005】
調節可能なローラ矯正機においては、矯正ローラの少なくとも1つは、通過方向に対して直交する送り方向に送達可能である。それによってローラ矯正機の矯正幾何学配置を変化させて、よりよい矯正結果を得ることができる。ローラ矯正機のタイプにしたがって、矯正ローラは、手動、半自動あるいは対応づけられたアクチュエータ(たとえばサーボモータ、空気圧シリンダ、油圧シリンダなど)を用いて、制御ユニットの制御信号に反応して自動的に送達することができる。
【0006】
不十分な矯正結果は、たとえばコイル交換後又は他のプロセスへ切り替えた後に、新しい被矯正材の使用を開始した場合に生じることがある。プロセスの進行中でも、材料非均質性、材料特性の変化及び/又は矯正ローラの摩耗が、矯正結果の悪化をもたらすことがあり得る。原材料は、製造公差の影響も受ける。変化は、抜き取り試料を用いた定期的な検査により認識することができる。矯正品質の許容できない悪化が生じた場合、矯正システムは、矯正幾何学配置の変更によってよりよく調整しなければならない。
【0007】
実際に、機械操作者は、担当する機械において安定した矯正品質を保証するためには、多くの経験と熟練を必要とする。機械操作者の能力に関係なく、再現性の高い矯正品質を有する製造プロセスを実現するために、すでに多数の研究が存在する。
【0008】
特許文献1(独国特許第19503850(C1)号明細書)には、内蔵された測定装置を有する曲げ機械のための回転しない矯正機が記載されている。この矯正機は、ワイヤ材料又はバンド材料のための、少なくとも1つの矯正平面内で作動する、少なくとも1つの回転しない矯正装置を有している。この矯正装置は、材料を加工する、複数の互いに連続する矯正ローラを有しており、それらは矯正平面内かつ材料の通過軸線に対して横方向に少なくとも1つのアクチュエータによって調節可能である。材料の通過方向において矯正装置の後方に、材料曲がり測定装置がもうけられており、その中に予め定められた長さの材料部分に対して測定区間が設けられており、かつ測定区間に沿って、曲がりの程度と曲がり方向を求める少なくとも1つの機械的及び/又は電子的及び/又は光学的な走査装置が配置されており、走査装置によって材料セクションの測定された曲がりを表す信号を生成可能であり、かつ少なくとも1つの矯正ローラのアクチュエータは、信号に応答して補正操作運動を行うアクチュエータである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許第19503850(C1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、矯正された被矯正材の残留曲率の正確な測定を可能にし、かつ有意義な測定結果を提供し、それを、矯正システムの調整と駆動において利用して、ローラ矯正機の矯正幾何学配置を迅速かつシステマチックに最適化して、良好な矯正結果が得られるようにする、矯正されたワイヤ形状又はパイプ形状の被矯正材を測定する測定ユニットと測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、本発明の表現にしたがって、請求項1の特徴を有する測定ユニット及び請求項11の特徴を有する測定システムによって解決される。すべての請求項の文言は、参照によってこの明細書の内容とされる。
【0012】
測定ユニットと測定方法は、異なる向きの矯正平面を備えた、(少なくとも)2つの相前後して接続されたローラ矯正機を有する矯正システムを通過した、矯正されたワイヤ形状又はパイプ形状の被矯正材の残留曲率を測定するのに適している。好ましくは矯正平面は、互いに対して垂直に方向づけされており、特に矯正平面の1つが水平であり、他方は垂直である。
【0013】
測定は、矯正システムを通過した被矯正材から切断装置によって分離された、予め決定可能な長さ(棒長さ)の棒状のセクション(棒)において実施される。それぞれ個々の棒が測定される。
【0014】
測定ユニットは、測定位置にそれぞれ棒状のセクションを収容し、かつ矯正された被矯正材の残留曲率を表す測定データを求めるための測定装置を有している。
【0015】
特殊性は、測定ユニットが矯正平面固有の測定用に構成されていることにあり、これによりローラくせとり矯正器具の異なる矯正平面に対する、測定データもしくは測定データによって表される曲率成分の少なくともほぼ一義的な対応づけを可能にする。
【0016】
本発明は、特に以下の熟考に基づいている:
【0017】
ローラ矯正機は、単一の矯正平面内においてのみ矯正を行う。矯正システムが、異なる矯正平面、特に互いに対して垂直に方向づけられた矯正平面、を有する連続して通過される2つのローラ矯正機を備える場合、2つの矯正平面おける曲率は、第1近似で互いに独立して判定することができる。調節プロセスにおける矯正ローラの目的に合った調節もしくは送達のために、あるいは駆動中の閉ループ制御の枠内で、矯正された被矯正材において求められた測定結果を個々の矯正平面に一義的に対応づけできることが、重要であることが知られている。これを可能にする測定方法と測定装置が、この出願において「矯正平面固有の測定」又は「矯正平面選択的な測定」と称される。
【0018】
まだ被矯正材の隣接する部分とつながっている、矯正された被矯正材のセクションにおける直線性もしくは残留曲率を測定することが、知られている。場合によっては被矯正材が通過する、すなわち前進している段階において、測定することができる。あるいは、測定のために被矯正材を短時間停止させることもできる(独国特許第19503850(C1)号明細書を参照)。発明者は、その場合に被矯正材の他のセクションから作用する応力と力が測定されるセクションの形状に強く影響を与えて、真の湾曲状態が測定されないことがあることを欠点と考えている。
【0019】
請求項に記載の発明によれば、測定は、矯正システムを通過した後に切断装置によって被矯正材から分離された、予め決定可能な長さの棒状のセクションもしくは棒に対して実施される。棒の測定すべき被矯正材は、後続の残りの部分から分離されていることにより、外的な強制なしで弛緩することができるので、棒の形状は、真の湾曲状況を少なくともほぼ歪曲なしで表す。発明者の知見によれば、矯正された被矯正材から比較的短いセクションが分離されて、この棒がその後測定され、もしくは直線性検査される場合、より良好に解釈可能な測定結果を得ることができる。
【0020】
それによって、比較的簡単に実施でき、かつ評価できる測定方法によって、曲率成分についての正確な量的説明を得ることができ、その曲率成分は評価する際に異なる矯正平面に一義的に対応づけることができる。
【0021】
好ましい棒長さは、通常、1メートルよりもずっと短く、矯正された材料の剛性にしたがって、たとえば300mmと700mmの間である。
【0022】
この構成の他の利点は、以下のように考えることができる。多くの従来の直線性測定システムは、たとえば所望の矯正品質を有する充分に矯正された被矯正材と、充分でない矯正品質を有する被矯正材とを区別するために、被矯正材の湾曲状態についての包括的な説明を可能とするように設計されている。それとは異なり、請求項に記載の発明の測定ユニットもしくは測定方法は、残留曲率についての大まかな値を求めることができるだけでなく、測定から得られた、棒状セクションの残留曲率に関する情報を、曲率成分に分割し、それを矯正システムの個々の矯正平面に一義的に対応づけることができる。この種の矯正平面固有の、もしくは矯正平面選択的な測定によって、求められた残留曲率のどの成分が、少なくとも2つの矯正機のどちらによってももたらされたか、を量的に検出することができる。
【0023】
矯正平面にしたがって分類された、被矯正材の残留曲率に関するこの情報によって、その後、たとえば矯正システムの調整の枠内で、ローラ矯正機の目的にあった調整を行うことができ、それによって少ない実験で矯正ローラの適切な調整がもたらされる。たとえば矯正システムが、垂直に方向づけされた第1の矯正平面を有する第1のローラ矯正機と、その後段に接続された、水平の矯正平面を有する第2のローラ矯正機を有する場合に、測定データを用いて残留曲率の水平と垂直の成分を互いに分離して数量化することができる。したがって調整プロセスにおいて、たとえば、確認された残留曲率が矯正平面の1つにおいて主に又は排他的に発生する場合、矯正ローラの調節は、その矯正平面が過剰な残留曲率によって影響を受ける矯正機に集中することができる。すでに上述したように、有意義な測定結果を得るための重要な寄与は、適切な有限長さに分離された棒に対して測定を行うことによって、もたらすことができる。測定すべき被矯正材、すなわち分離された棒は、後続の残りの部分から分離されていることによって、外的な強制なしで弛緩することができるので、棒の形状が真の湾曲状況を少なくともほぼ歪曲なしで表す。弛緩した棒に対するこのような測定を可能にするために、いくつかの実施形態は、矯正された棒状の被矯正材を第1の固定箇所と、この第1の固定箇所に対して間隔を有する第2の固定箇所に固定する装置を有しており、それらは、固定箇所の間に位置する棒状の被矯正材のセクションに重力以外の力がかからないように、固定箇所の各々について棒状の被矯正材の垂直位置と水平位置のみが予め定められるように、構成され、かつ配置されている。さらに、第1と第2の固定箇所の間に位置する測定平面内で被矯正材の位置を測定する装置と、第1の固定箇所と第2の固定箇所及び測定平面内での被矯正材の位置についての位置データを使用して、残留曲率を求める装置が設けられている。
【0024】
ここで提案される種類のほぼ力のかからない位置固定は、固定箇所に収容された棒に、空間内で方向づけするある程度の自由度を与えるので、棒は弛緩して湾曲を形成することができる。これは、測定すべきワイヤが2つのワイヤガイドの間の領域内で測定され、それらの測定ガイドがそれぞれワイヤのすべての側を密に包囲し、かつ場合によっては生じる斜めの方向づけを阻止する解決に対する、重要な差異と見なされる。
【0025】
測定ユニットは、プロセスにおいて前段に接続されている他の機械、たとえばその最終製品が矯正された棒である矯正及び分離機械、に属する切断装置によって分離されたワイヤを扱うことができる。これらの場合において、測定ユニットに専用の切断ユニットは不要である。
【0026】
さらなる発展例によれば、測定ユニットは、矯正システムを通過した被矯正材から予め決定可能な長さの棒状のセクションを分離するための切断装置を有している。測定装置は、材料流れ方向において切断装置の後段に接続されている。切断装置が内蔵されていることによって、測定ユニットは自足のユニットとして、矯正されたエンドレス材料から適切な長さの棒状のセクションを分離して、このセクションにおいて直線性検査もしくは残留曲率の測定を行うことができる。
【0027】
切断装置は、固定の位置関係を保証し、かつたとえば調整ステーションとして使用することができる、機能的ユニットを形成するために、測定装置と共に測定ユニットの共通のフレームに、あるいはその上に取りつけることができる。この種の自足の測定ユニットの実施例が、以下で詳細に説明される。
【0028】
矯正平面固有の、もしくは矯正平面選択的な測定を実現するために、好ましくは測定ユニットは、被矯正材が、矯正システムを通過した回転位置において測定されるように、構成されている。その場合に「回転位置」という概念は、被矯正材の長手軸線を中心とする自己回転に関する回転位置もしくは回転方位を言う。矯正平面固有の測定データは、分離と測定の間で場合によっては生じる回転が機械的に検出され、かつ測定装置によって求められた測定データがその後回転方向に関して補正されることによって、求めることもできる。しかし、この種の自己回転を方法技術的かつ構造的な措置によって排除することは、ずっと簡単かつ正確であるとみなされる。
【0029】
測定のために、被矯正材の残りの部分から適切な長さの分離された棒が分離されるので、分離の行為と測定の行為の間でその長手軸線を中心とする棒の自己回転は回避されるべきであり、それによって該当するローラ矯正機に対する測定結果の一義的な対応づけが可能になる。これは特に、丸材料を加工する際に、これがたとえば分離と測定の間で斜面に沿って転がるように載置された場合に、問題となり得る。凹凸のある横断面を有する、たとえば矩形の横断面を有する材料を加工する場合には、自己回転を阻止するために、たとえば被矯正材をその平坦面をまっすぐな、あるいは平坦な置き場上に載置するなどの簡単な措置で充分である。
【0030】
さらなる発展例によれば、測定ユニットは、回動防止装置を特徴としており、それは測定のために設けられている棒状のセクションのその長手軸線を中心とする回転位置が矯正と測定の間で変化せず、被矯正材が矯正システムを通過した、その回転位置において測定可能であるように、構成されている。したがって回動防止装置及び/又は回動防止措置によって、矯正と測定の間で長手軸線を中心とする材料の回転位置が変化しないことが、保証される。
【0031】
さらなる発展例によれば、測定ユニットが制御ユニットを有し、その制御ユニットは駆動モードにおいて次のように、すなわち切断装置と測定装置が調整して駆動されて、制御された送りによって測定装置内の測定位置へ移送されている、矯正された被矯正材の前端セクションが、測定装置の回動防止装置によって、たとえば挟持により、自己回転を防止されており、その後に初めて切断装置が駆動されて、回動を防止された、測定すべき棒状のセクションが被矯正材の残りの部分から分離されるように、構成されている。分離前の被矯正材の挟持、あるいは他の回動防止の固定手段によって、分離された被矯正材は確実に静止する。
【0032】
切断と測定の間の調和は、測定ユニット内に切断装置が内蔵されていることによって、特に簡単に実現される。しかし、切断装置が外部にある場合、したがって測定ユニットの構成要素ではなく、他のユニットの属している場合にも、制御技術的な調整は可能である。
【0033】
多くの変形例において、被矯正材はまず測定装置の領域内へ移送されて、そこで回動を防止して収容され、その後に初めて残りの被矯正材から分離される。測定装置の実施形態において、回動防止は、クランプ装置の横方向に摺動可能な部材によって保証することができる。
【0034】
また、棒移送装置を設け、その棒移送装置が、被矯正材の分離すべきセクションを切断操作の実施前に把持し、被矯正材の残りの部分から分離した後に測定装置へ移送し、かつそこで変化しない回転位置で挿入し、あるいは載置し、かつ、棒状のセクションが測定装置内で回動を防止して収容された後に、解放するように、構成されることも、可能である
【0035】
上ですでに述べたように、測定ユニットは、被矯正材が矯正システムを通過した、その回転位置において測定できるように、構成することができる。しかし必ずしもそうである必要はないので、測定する際の棒状のセクションの回転位置が、残りの材料から分離する時点での棒状のセクションの回転位置とは異なることも、可能である。一般的に、棒状のセクションが測定ユニット内に、棒状のセクションが、被矯正材が矯正システムを通過した回転位置に対して既知の空間的関係にある、定められた回転位置内で測定できるように収容されれば、充分である。そうである場合に、矯正平面固有の測定を実施することができる。というのは、測定結果を個々の矯正平面に対応づけることができるからである。
【0036】
測定方法の多くの実施形態が、棒状のセクションに回転位置マーキングが形成され、それが矯正の際に存在した、棒状のセクションの回転位置を確認するのに適していることにより、この可能性を利用している。回転位置マーキングを有する棒状のセクションは、その後測定ユニットへ移送されて、測定ユニットの測定位置に定められた回転位置で配置される。この回転位置は、被矯正材が矯正システムを通過した回転位置に対して既知の空間的関係にあるので、換算又は座標変換が可能である。この定められた回転位置をシステマチックに確実に調節することができるようにするために、測定ユニットの側において回転位置調節補助装置が利用され、それは、棒状のセクションの回転位置マーキングと機能的に協働して、棒状のセクションが測定のために定められた回転位置に配置されることを保証するように、構成されている。このようにして得られた測定結果は、その後矯正平面に一義的に対応づけることができる。
【0037】
回転位置マーキングを発生させるために、様々な可能性が存在する。多くの実施形態において、棒状のセクションの端部に、あるいはその近傍に、曲がりもしくは屈曲したセクションが形成され、それが所定の方向において棒状のセクションの長手軸線に対して径方向となるまで斜めになり、それによって、回転位置を正確に定め、かつ場合によっては再現することを、可能にする。棒状のセクションの残りに比較した、屈曲したセクションの長さは、通常、きわめて短く、たとえば棒状のセクションの全長の最大20%、あるいは最大10%である。本出願の趣旨において、棒もしくは「棒状のセクション」は、それが全長にわたって実質的にまっすぐに延びている場合にだけ存在するのではない。むしろ、棒もしくは棒状のセクションは、それがその全長の圧倒的な部分にわたって、たとえばその全長の少なくとも80%又は少なくとも90%にわたって直線的に延びている場合でも、存在する。
【0038】
回転位置マーキングを発生させるために、セクションの材料内へ切り欠き又は他の部分的に掘り下げた構造を、たとえばパンチ、センターパンチ、ローレット工具又はテクスチャーに刻印する工具を用いて、形成することができる。作業ストロークを少しだけ案内して、刃が少し材料内へ進入して、切り欠きを形成することにより、マーキングするために切断工具も利用することができる。材料が絶縁されたワイヤである場合には、絶縁層の周面の小さい箇所において絶縁層を部分的又は完全に除去することによって回転位置マーキングを設けることもできるので、絶縁除去された箇所を用いて回転位置を認識することができる。原理的に、マーキングされた箇所が棒状のセクションの長手軸線に関して回転対称性をもたないような、各マーキングを利用することができる。たとえば切断装置を次のように、すなわち棒状のセクションを分離するための切断操作によって、棒状のセクションの端部に、たとえば片側に面取りが形成されることにより、回転位置マーキングとして用いられる特徴的な形状変化が形成されるように、設計することも可能である。複数の側に面取りを設けようとする場合には、面取りは、他の側から確実に区別可能な面取りを回転位置マーキングとして利用できるように、区別することができる。
【0039】
レーザービームにより、あるいはカラーマーキングを設けることにより、あるは好ましくは自己接着するステッカーを棒状のセクションの側面に接着することによって、回転位置マーキングを設けることも、可能である。端部に機械的作用を加えることによって棒状のセクションの形状を変化させる、上に挙げた可能性とは異なり、レーザーによるマーキング(レーザーマーキング)又はカラーによるマーキングあるは接着も、棒状のセクションの機械的負荷なしでそれにマーキングする1つの可能性である。
【0040】
回転位置マーキングとして、別に形成可能で、好ましくは形状適合された非対称のマーキング部材を利用することも可能であって、そのマーキング部材は、被矯正材の残りの部分から分離する前に、自由端部に、たとえばとりつけ、クリップ止め、挟持、接着などによって固定することができる。たとえば、3Dプリントを用いて形成されたクリップ又は小さいキャップを、棒を分離する前に自由端部上に取りつけ、あるいはかぶせ、又はクリップ止めすることができる。その場合に非対称であることにより、回転位置が容易に認識可能である。
【0041】
測定ユニットの側に、回転位置調節補助装置を設けることができ、同装置は、回転位置マーキングの種類に適合して、回転位置マーキングと機能的に協働して、棒状のセクションが測定のために指向される定められた回転位置に配置されることを、保証することができる。簡単な場合においては、測定ユニット自体にマーキング又は他の方向づけ補助を設けることができるので、機械操作者又はロボットは、指向される測定が可能になるには、棒状のセクションをどの回転位置で取りつけなければならないかを、光学的に検出することができる。また、回転位置認識装置が、回転位置マーキングを光学的に検出するためのカメラを有することも、可能である。その場合にはカメラ信号を用いて、棒状のセクションを測定ユニット内に、指向される定められた回転位置をとるように、配置することができる。この正しい位置方向づけは、操作者により、あるいは半自動又は自動で実施することができる。
【0042】
他の可能性は、回転位置認識補助装置を設けることにあって、その補助装置は棒状のセクションの回転位置マーキングに機械的に接触するための機械的マーキングカウンター部材を有している。このマーキングカウンター部材は、たとえば回転位置マーキングに対して相補的なカウンター構造を備えたセクションを有し、それによって接触自体を形成することにより、棒状のセクションの所望の回転位置を調節することができる。棒状のセクションの回転位置マーキングに対応するカウンター部材を設けることができる。たとえば、棒状のセクションの周面の1箇所に設けられた、回転位置マーキングとして用いられる切り欠き又はセンターパンチ内へ嵌まり込む、係止部材を設けることができる。定められた回転位置を得るために、折曲され、あるいは屈曲されたセクションを棒状のセクションの端部にある対応する切り抜き内へ挿入しなければならず、あるいは切断操作によって形成されマーキング(たとえば面取り)をしかるべき斜めの面に添接させなければならないこともあり得る。
【0043】
上述した措置を用いて、製造プロセスの間規則的又は不規則に予め定められた図式にしたがって、あるいは機会に関して矯正された棒が測定装置へ供給されて、そこで測定され、それによって矯正品質を判定し、かつ場合によっては矯正システムの調節を補償する変更を行うことにより、場合によってはプロセス内測定/閉ループ制御を行うこともできる。検査目的のために材料の流れから取り出された棒は、可能な場合に、後続の製造ステップへ再び供給することができるが、それは強制ではない。したがって時々、矯正した棒を測定目的のために材料の流れから分離して、場合によっては測定の終了後に再び材料の流れへ戻すことができる。
【0044】
さらなる発展例によれば、矯正された被矯正材が測定目的のために、第1の固定箇所とその第1の固定箇所に対して距離を有する第2の固定箇所において次のように、すなわち固定箇所の各々について被矯正材の垂直位置と横位置(たとえば棒の長手軸線に対して横の水平の方向)が定められ、固定箇所の間に位置する被矯正材セクションに重力以外力がかからないように、固定される。その後、第1と第2の固定箇所の間に位置する測定平面内で被矯正材の位置が測定される。これは、たとえば固定箇所の中央に位置することができる。その場合に固定箇所の間に位置するワイヤセクションの残留曲率が、第1の固定箇所、第2の固定箇所及び測定平面における被矯正材の位置についての位置データを使用して求められる。
【0045】
構造的に、測定装置において、第1と第2のクランプ装置を設けることができ、それらはしかるべき固定箇所において被矯正材のために載置部を提供し、かつ横方向に走行可能なクランプ部材を有し、それらが被矯正材に接触するように移動して、それによって横位置を定めることができる。クランプ部材は、被矯正材と接触する際に、いずれにせよわずかな力しか及ぼさない。
【0046】
さらなる発展例によれば、測定装置は切断装置へ向いた側あるいは向けるべき側(入口側)に、第1のクランプ装置を、そしてそれに対して長手方向に距離をおいて第2のクランプ装置を有しており、その場合にクランプ装置の間の領域内に測定システムのコンポーネントが配置されており、その測定システムが測定装置の長手方向に対して横に、特に垂直に方向づけされた測定平面を定め、かつ、測定平面内に載置された棒状のセクションの位置を定めるように、設計されている。測定平面は、好ましくはクランプ装置の間の中央に位置し、そこは典型的に、固定された棒状のセクションの量的に最大の変位が予測され、それが測定精度に寄与する。
【0047】
さらなる発展例によれば、クランプ装置の各々は、水平の回転軸線によって取りつけられた1つの載置ローラと、ドライブによって変位可能な2つの横方向位置決め部材とを有しており、挿入された棒状のセクションがそれぞれ垂直方向と水平方向に定められた固定箇所に固定可能である。その場合に載置ローラのジャケット面の上に位置するセクションが垂直位置を定め、側方に位置決めされた横方向位置決め部材が水平方向における位置を定めることができる。横方向位置決め部材は、たとえば回転可能に軸承された横方向位置決めローラとして形成することができる。しかし多くの場合に回転可能であることは、不要である。他のように固定的に取りつけられた横方向位置決め部材、たとえば横方向位置決めブロックを設けることもでき、それらは場合によっては、被矯正材に点状又は線状の接触面を提供するために、場合によっては凸状に湾曲された前面を有する。
【0048】
測定装置のこの種の実施例において、回動防止はクランプ装置の横方向に摺動可能な、たとえば横方向位置決めローラ又は横方向位置決めブロックの形状の、横方向位置決め部材によって保証され、したがってそれらは回動防止装置として機能する。棒状のセクションが、たとえば横方向位置決め部材によって垂直の回転軸線で、あるいは横方向位置決めブロックによって円筒状の前面で、側方をソフトに挟持される場合に、実質的に棒の長手軸線を中心とする回転の自由度が排除されるだけであり、載置ローラと棒状のセクションの外側との間の実質的に点状の接触箇所の間の水平方向の挟持は、場合によっては生じる棒のたるみ、もしくは垂直方向における変位を、本質的に妨げない。したがって、互いに間隔を有する2つの箇所において支持され、かつそのほかにおいては実質的に重力のみを受ける、棒状のセクションにおける真の湾曲状態を測定することができる。ローラ形状の横方向位置決め部材の代わりに、他の、場合によっては移動できないように支承された横方向位置決め部材、たとえば凸状に湾曲した接触面を有するブロックを設けることもできる。好ましくは、工作物に対する接触面は、実質的に点状もしくは小面積の接触接点のみが生じるように、形成することができなければならないので、矯正された棒は、水平方向においてのみ実質的に点状の接触箇所の間に挟持され、それによって場合によっては生じる垂直方向のたるみは、本質的に阻止されない。
【0049】
したがって回動防止は、クランプ装置と棒状のセクションとの間の点状又は線状の接触を可能にする、適切な幾何学配置を有する部材とすることができる。それに属するのが、たとえば言及されたローラであるが、少なくとも接触領域内に尖端又は丸みを有する、回転できない部材、したがってたとえば円筒状又は球状に湾曲した接触面もそうである。
【0050】
さらなる発展例によれば、長手方向に対して平行に測定したクランプ装置の間の間隔は、無段階に調節可能であるので、測定装置は様々な長さの棒状のセクションに簡単に適合させることができる。測定のために設けられる棒状のセクションは、多くの場合において1メートルよりもずっと短く、その長さは矯正された材料の剛性に依存し、たとえば300mmと700mmの間であり、場合によっては(比較的薄い棒材料の場合)それ未満でもあり得る。
【0051】
クランプ装置の1つは固定的に取りつけられており、他方だけが摺動可能とすることができるが、好ましくはクランプ装置はキャリッジ上に取りつけられ、そのキャリッジがガイドレール上を走行し、そのガイドレールが測定システムの水平に方向づけされたベースプレートの上側に固定されている。したがって2つのクランプ装置は、同一の軸線内で無段階に摺動することができ、その後所望の位置に固定することができる。
【0052】
異なる長さの棒のために、それぞれ測定平面を良好に位置決めすることができるようにするために、さらなる発展例によれば、測定装置のコンポーネントが支持体に固定されており、その支持体がキャリッジ上に取りつけられており、そのキャリッジがガイドレール上で走行可能であり、そのガイドレールがクランプ装置も案内する。したがってきわめて安定した、かつ測定すべき棒状のセクションの様々な寸法に容易に適合可能な配置が形成される。
【0053】
矯正システムを通過した後の被矯正材の計測記録、すなわち測定のために、原則として、ローラ矯正機の矯正平面内の残留曲率についての定量的な説明を提供し、かつ矯正平面に対する測定された残留曲率の一義的な対応づけを可能にする任意の測定装置を利用することができる。
【0054】
測定量は、直接残留曲率に相当する必要はなく、測定量が残留曲率を表す値であれば、充分である。測定は触覚的(したがって接触して)、あるいは非接触で、たとえば光学的及び/又は電磁的な装置を用いて行うことができる。その場合に重要なことは、測定技術が矯正機を調節するために、残留曲率もしくは、それぞれの矯正機が作用する矯正平面内の矯正品質についての説明を可能になることである。
【0055】
さらなる発展例によれば、測定装置が光学的な測定システムを有し、その測定システムがレーザー放射を用いて測定平面内に位置する、互いに対して垂直となる2つのレーザー光カーテンを発生させ、対向する感光性のセンサを用いて検出し、それによって投影により測定平面内の被矯正材の位置を2つの方向に高い精度で定めることができる。非接触の測定は、測定すべき棒の形状に影響を与えない。
【0056】
それぞれのローラ矯正機によって影響を受ける、湾曲平面(矯正ローラの回転軸線に対して垂直の平面)内に存在する、残留曲率は、測定平面内に存在する、棒セクションの測定される位置と測定平面内に位置する参照位置との間の間隔から、簡単に求めることができ、その参照位置は、被矯正材が目標残留曲率を有する場合に存在するものである。この参照位置は、好ましくは2つの固定箇所を結合する直線上にあるのではなく、固定箇所上に載置される、重力に基づいて存在する、被矯正材のたるみを考慮している。この参照点の位置を定めるために、感度分析のために使用された被矯正材パラメータを、場合によっては被矯正材が矯正プロセスにおいて何回か変形され、それによって場合によってその弾性的特性に関して変化された状況によって修正して、同様に利用することができる。
【0057】
本発明は、通過するワイヤ形状又はパイプ形状の被矯正材のくせをとる矯正システムを調整する方法にも関するものであって、それにおいて請求項に記載の発明に基づく測定装置と測定方法が使用される。
【0058】
本発明の他の利点及び態様が請求項から、かつ以下で図を用いて説明する、本発明の実施例についての以下の説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1図1は、ワイヤコイルからワイヤ材料を(図示されない)変形機械へ供給するための供給装置のコンポーネントを示しており、供給装置は統合された直線性測定システムを有する調整ステーションに配置されている。
図2図2は、図1に示す供給装置の矯正システムを拡大して示している。
図3図3は、図1に示す調整ステーションの測定装置を拡大して示している。
図3A図3Aは、測定平面を詳細に示している。
図4A図4Aは、ワイヤの残りの部分から分離して測定する間に、分離されて矯正された丸棒の自己回転が、回動防止装置によって阻止されることを、方法変形例で示している。
図4B図4Bは、ワイヤの残りの部分から分離して測定する間に、分離されて矯正された丸棒の自己回転が、回動防止装置によって阻止されることを、方法変形例で示している。
図4C図4Cは、ワイヤの残りの部分から分離して測定する間に、分離されて矯正された丸棒の自己回転が、回動防止装置によって阻止されることを、方法変形例で示している。
図5A図5Aは、矯正された棒がフラット材料から分離されて測定される、方法変形例を示している。
図5B図5Bは、矯正された棒がフラット材料から分離されて測定される、方法変形例を示している。
図5C図5Cは、矯正された棒がフラット材料から分離されて測定される、方法変形例を示している。
図5D図5Dは、矯正された棒がフラット材料から分離されて測定される、方法変形例を示している。
図6A図6Aは、供給装置の側に回転位置マーキングを発生させる装置を、測定ユニットの側には回転位置調節補助装置を有する、実施例を示している。
図6B図6Bは、供給装置の側に回転位置マーキングを発生させる装置を、測定ユニットの側には回転位置調節補助装置を有する、実施例を示している。
図6C図6Cは、供給装置の側に回転位置マーキングを発生させる装置を、測定ユニットの側には回転位置調節補助装置を有する、実施例を示している。
図6D図6Dは、供給装置の側に回転位置マーキングを発生させる装置を、測定ユニットの側には回転位置調節補助装置を有する、実施例を示している。
図6E図6Eは、供給装置の側に回転位置マーキングを発生させる装置を、測定ユニットの側には回転位置調節補助装置を有する、実施例を示している。
図7A図7Aは、供給装置の側に回転位置マーキングを発生させる装置を、測定ユニットの側には回転位置調節補助装置を有する、実施例を示している。
図7B図7Bは、供給装置の側に回転位置マーキングを発生させる装置を、測定ユニットの側には回転位置調節補助装置を有する、実施例を示している。
図7C図7Cは、供給装置の側に回転位置マーキングを発生させる装置を、測定ユニットの側には回転位置調節補助装置を有する、実施例を示している。
図8A図8Aは、供給装置の側に回転位置マーキングを発生させる装置を、測定ユニットの側には回転位置調節補助装置を有する、実施例を示している。
図8B図8Bは、供給装置の側に回転位置マーキングを発生させる装置を、測定ユニットの側には回転位置調節補助装置を有する、実施例を示している。
図9図9は、供給装置の側に回転位置マーキングを発生させる装置を、測定ユニットの側には回転位置調節補助装置を有する、実施例を示している。
図10図10は、矯正されて分離された棒における残留曲率を測定する測定装置の他の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下で、矯正されたワイヤ形状又はパイプ形状の被矯正材の残留曲率を測定する測定ユニットと測定方法の例を説明する。被矯正材は、互いに対して垂直に方向づけされた矯正平面を有する2つの相前後して接続されたローラ矯正機を有する矯正システムを通過している。被矯正材、たとえばワイヤは、被矯正材からまっすぐな、あるいは屈曲した成形部品を形成するために変形機械内でさらに加工することができる。測定ユニットと測定方法は、たとえば矯正システムを調節する際に利用することができる。
【0061】
図1は、ワイヤ加工設備のコンポーネントを示しており、そのワイヤ加工設備は、金属ワイヤの形状の細長い工作物110を加工するように設計され、かつ調整されており、その工作物はいわゆるコイルの、しがってリールの形式で巻き取られたワイヤ束の、形状の工作物ストックとして提供される。最初は工作物ストック上に大きい長さで存在する工作物材料から、コンピュータ数値制御される製造プロセス内で、ある程度大きい個数の同種又は非同種の成形部品が変形によって形成される。成形部品は、たとえばコイルばね、特に圧縮ばね又は引っ張りばね、あるいは他の幾何学配置の曲げ部品とすることができる。成形部品は、一般的に2次元又は3次元で屈曲することができ、場合によってはまっすぐな棒の形状で存在することもできる。たとえば矯正機械又は棒大量生産機械において)。デカルトx-y-z機械座標システムは、方向と位置関係をよりよく記述するために用いられる。
【0062】
駆動準備ができた状態において、ワイヤ加工設備は、(図示されない)変形機械を有し、その変形機械は、コイルばねを形成する場合には、たとえばばね巻き機械として設計することができる。
【0063】
さらに、細長いワイヤ形状の工作物材料を変形機械へ供給する装置300が設けられている。この装置300は、本出願において短く供給装置300とも称される。供給装置は変形機械であって、その変形機械が巻かれたワイヤストックのあるていど強く湾曲したワイヤから変形によって矯正されたワイヤを生じさせる。図1は、調整場所もしくは調整ステーション350における供給装置300のいくつかのコンポーネントを示している。
【0064】
供給装置300の課題は、後段に接続された変形機械もしくはその引込み装置に、まっすぐに矯正された形状のワイヤ(残留曲率が許容誤差領域内でほぼゼロ)を各時点で、できるだけ正確にその時点で必要とされる速度で供給することにある。供給装置300は、専用の制御ユニット390を有しており、その制御ユニットが変形機械の制御ユニットと通信する。2つの制御ユニットの機能性は、唯一の制御ユニット内に統合することができる。
【0065】
調整場所における調節の終了後に、供給装置が供給すべき変形機械における、その作業位置へ移動される。そのために、図示されるコンポーネントが移動可能なプラットフォーム上に取りつけられており、そのプラットフォームがたとえばガイドレール上で線形に摺動可能又は垂直の回転軸線を中心に回転可能に支承されており、あるいは案内されないで(たとえばローラ又はホィールの上)移動可能とすることができる。
【0066】
供給装置は、供給ユニット310を有しており、その供給ユニットがコイルの形状の工作物ストック381を収容するための収容装置330及び後段に接続された、変形機械内へ進入する前に工作物のくせをとるための矯正システム400を有している。矯正システム400の詳細が、図2に示されている。
【0067】
図1は、調節ステーション350における供給ユニット310を示しており、それが機械操作者に、調整ステーション350にある矯正システム400においてすべての作業を行うことを可能にし、それらの作業は矯正システムを使用される工作物材料に合わせて調節し、供給ユニットが製造駆動において、したがって供給ユニットが変形機械におけるその作業位置にある場合に、高い矯正品質を有する矯正された工作物材料、特に残留曲率のない、あるいは許容誤差領域内のわずかな残留曲率を有する材料を供給するために、必要である。
【0068】
工作物ストック(コイル)は、交換可能なリール335上に予め保持され、そのりールが収容装置330によって収容され、かつ収容された状態において水平の回転軸線を中心に回転可能に支承されている。その場合に支承は、リールの回転軸線の領域内で行われず、その代わりに床領域内に水平の回転軸線を有する2つの軸平行の支持ローラ332、333が取りつけられている。これらの支持ローラは、収容装置330の構成部分である。リールは2つの支持ローラ上に載置されるので、リールのディスク形状のサイド部材の周が2つの支持ローラ上に載置され、かつ空間内の回転軸線の位置が定められている。例場合において、リールは専用のドライブを有するアクティブなリールである。ドライブ334が前方の支持ローラ333と係合し、かつそれを制御ユニット390による制御を受けて駆動することができる。
【0069】
引き出されたワイヤは、方向変換装置340を介して案内され、その方向変換装置は上方の方向変換ローラ340-1と下方の方向変換ローラ340-2を有しており、それらが垂直の支持体341上に軸平行に回転可能に支承されている。上方の方向変換ローラは、ばね復帰を有するアクティブなダンサーローラとして形成されている。このローラの位置を照会することによって、支持-/駆動ローラのための駆動モータが閉ループ制御される。下方の方向変換ローラは、たとえばその周の4分の3にわたって巻き付かれて、出口、したがって下方の方向変換ローラ340の上側が、矯正システム400の入口側の通過開口部の高さにある。
【0070】
したがってワイヤは、下方の方向変換ローラによって実質的に水平に矯正システム400へ案内される。方向変換装置と矯正システムの間には、ワイヤ案内装置375があり、その出口は後段に接続されている矯正システム400の入口と一直線になっている。ワイヤ案内装置内へ、ワイヤ端部認識装置を統合することができる。
【0071】
代替的な構造が、図1に破線で示され、もしくは示唆されている。この構造においては、下方の方向変換ローラは省かれる。この構造は、比較的平らで、一方の側において(ここでは上へ向かって)開放した貯蔵ボックスの形状の緩衝貯蔵器600と前段に接続されている補助引込み装置610とを有し、その補助引込み装置は上方の方向変換ローラ340-1の後方に配置することができる。補助引込み装置は、補助ドライブによって駆動することができ、かつ工作物、したがってこの例においてはワイヤを、予め決定可能な移送速度で後段に接続されている緩衝貯蔵器600へ移送するように構成されている。緩衝貯蔵器は、工作物のための入口と出口を有している。緩衝貯蔵器は、緩衝貯蔵器内の工作物が入口と出口の間で可変の長さの工作物ループ111を形成することができるように、形成されている。したがって緩衝貯蔵器の前と後ろの領域の間の速度差を補償することができる。好ましくは緩衝貯蔵器の充填度合を検出し、かつ充填度合をあらわすセンサ信号を発生させるための、センサシステムが設けられている。その場合に制御装置は、補助引込み装置の移送速度がセンサシステムのセンサ信号にしたがって制御可能であり、もしくは制御されるように、構成することができる。緩衝貯蔵器は、必要な場合には水平に組み込むこともできるので、工作物ループは、実質的に水平に方向づけされた平面内に形成される。これ以上の詳細と変形例については、国際公開第2020/224977(A1)号を参照するよう指示し、供給装置についてのその開示内容は、参照によりこの明細書の内容とされる。
【0072】
矯正システム400は2つの、互いに直接相前後して配置されて、互いに独立して調節可能なローラ矯正機400-1、400-2を有しており、それらはそれぞれいくつかの数の軸平行の矯正ローラを有している。ここではそれぞれ7つの矯正ローラが設けられているが、他の数、たとえば5から9も可能である。相前後して接続された矯正機の矯正ローラの回転軸線は、互いに対して直交して方向づけされている。
【0073】
ローラ矯正機において、矯正ローラはくせをとるべき材料のニュートラル軸線に関して偏心して調節されているので、変化する曲がりを発生させ、それが矯正すべき材料を可塑領域内へ変形させて、それによって矯正する。ローラ矯正機械とは異なり、矯正ローラはここでは受動的であり、すなわち回転駆動されず、したがって矯正ローラを回転させるためのドライブは存在しない。ワイヤは、ローラ矯正機を通して引っ張られる。そのために引込み装置385が設けられており、その引込み装置は材料の流れ方向に矯正システム400の後方に配置されており、かつ特に、ワイヤ材料を矯正システム300の2つのローラ矯正機400-1、400-2を通して後続のコンポーネントの方向に引っ張るために、用いられる。
【0074】
矯正システム400のコンポーネントは、フレーム部分によって支持され、そのフレーム部分内に供給ユニット310の制御ユニット390も収容することができる。このフレーム部分は、引込み装置385も支持する。この引込み装置385は、例場合において、ドラム引込み装置として形成されており、かつ他の実施形態においては、ベルト引込み装置又はペンチ型引込み装置として形成することもできる。材料の流れ方向において引込み装置385の後方に、選択的な、場合によっては手動操作可能なクリップ装置を設けることができ、そのクリップ装置によって必要な場合に通過するワイヤの軸方向の位置を固定することができる。
【0075】
他の詳細について、図2に拡大して示す、垂直平面(x-z平面)内で有効な第1のローラ矯正機400-1の例で説明する。
【0076】
第1のローラ矯正機400-1は、互いに対して平行の水平の回転軸線を備えた、7つの受動的な矯正ローラR1、...R7を有しており、それらは通過方向115に通過区間(x軸線に対して平行)の対向する側に交互に配置されている。これらの矯正ローラは、矯正システムの駆動中にその、被矯正材110と接触する周セクションによってローラ矯正機の有効な矯正幾何学配置を定める。第1のローラ矯正機400-1は、実質的に矯正平面の垂直の平面(x-z平面)内でのみ湾曲を変化させる。水平平面内での矯正を担当する第2のローラ矯正機400-2は、同様に構築されており、ここでは矯正ローラ回転軸線は垂直に延びている。
【0077】
例場合において、7つすべての矯正ローラは、自動的に送達可能な矯正ローラとして設計されており、かつ制御ユニット390の制御信号に反応してサーボモータドライブ405-1、...405-7によって自動的に互いに独立して、通過方向に対して垂直に方向づけされた送達方向(z軸線に対して平行)に双方向で送達することができる。
【0078】
すべての矯正ローラが手動で調節可能な変形例も存在する。そのために、たとえば調節ねじと位置表示を設けることができる。また、いくつかの矯正ローラ(たとえば2、3又は4)が自動で、そして他のいくつか(たとえば3、4又は5)が手動で送達可能な例も存在する。
【0079】
調節する際の自由度が多いことに基づいて、ローラ矯正機の正しい調節のために、多くの経験を有する機械操作者が必要である。各場合において調節操作もしくは調整は多大な時間を必要とする。
【0080】
調整ステーション350もしくは調節ステーション350は、切断装置370を有しており、その切断装置によって、矯正システムにおける調節作業の経過において試料として矯正された棒形状のワイヤセクション110-Aが供給されたワイヤから切り取られ、それによって直線性検査用に準備される。例場合において、自動化された切断装置370が設けられており、代替的に手動操作可能な切断装置を設けることができる。さらに調整ステーション350は、測定装置500を有している。
【0081】
切断装置によって分離されたワイヤセクションもしくはワイヤ棒110-Aは、後段に接続された測定装置500によって直線性もしくは残留曲率について検査される。その場合に回動防止装置によって、測定のために設けられた材料棒の、その長手軸線を中心とする回転位置が変化しないので、ワイヤは、矯正システムを通過した、その回転位置において測定されることが、保証される。
【0082】
測定装置500及び対応づけられた切断装置370は、測定ユニット350のコンポーネントであって、その測定ユニットが、場合によっては他のコンポーネントと、自足のユニットを形成し、それを調整ステーション350として用いることができる。したがって調節ステーションと測定ユニットのために、同一の参照符号350が使用される。
【0083】
図3は、測定装置500のコンポーネントの詳細を拡大して示している。測定装置500は、切断装置370へ向いた側に第1のクランプ装置510-1を、そしてその後ろに距離をおいて第2のクランプ装置510-2を有している。これらのクランプ装置がキャリッジ上に取りつけられており、そのキャリッジが2つのガイドレール501上を走行し、それらガイドレールが水平に方向づけされたベースプレート502上に固定されている。したがって通過方向に対して平行に測定される、クランプ装置の軸方向の間隔は、無段階に調節することができる。クランプ装置の各々は、水平の回転軸線によって取りつけられた1つの載置ローラ512-1、512-2と圧縮空気で変位可能な2つの横方向位置決めローラ514-1、514-2を有している。したがって挿入されたワイヤ棒は、それぞれ垂直方向にも水平方向にも正確に定められた固定箇所に固定することができる。ローラは、他の力又はトルクの導入なしに、ワイヤと接触するので、ワイヤ棒は前と後ろで定められた固定位置に載置されて、駆動中はそれらの間において重力のみを受ける。棒は、水平に摺動可能なローラ514-1、514-2の間にソフトに挟持される場合に、その軸線を中心に回転することはできない。
【0084】
クランプ装置510-1、510-2の間の領域内に、測定システム520のコンポーネントが取りつけられている。これらは、クロス形状の支持体522によって支持され、その支持体がキャリッジ上に取りつけられており、そのキャリッジがガイドレール501上を走行可能であって、そのガイドレールがクランプ装置も案内する。測定システム520は光学的な測定システムであって、それが、x方向に対して垂直に方向づけされた測定平面524内に載置されたワイヤの位置をきわめて正確に定めることができる。固定箇所の間のまっすぐな結合ラインの上方に、第2のレーザーユニット525-2が取りつけられており、それが測定平面524内に位置するレーザー光カーテンを発生させ、それが対向する側において感光性のセンサ527-2の検出領域内へ入射するので、投影内で横方向(水平方向)におけるワイヤの位置を正確に検出することができる。垂直方向における位置は、第1のレーザーユニット525-1及び対向するセンサ527-1によって検出される。測定は、好ましくは、2つの固定部材の間の中央で、2つのレーザーによって水平方向もしくは垂直方向に行われる。
【0085】
図3Aの拡大した詳細が、典型的な測定状況を示している。その場合にプラス印が、固定箇所と測定平面524の間の結合直線の交点を示している。斜線で示される円は、クランプ装置の間の中央におけるワイヤセクション110-Aの位置を表している。水平方向における距離値ΔHと垂直方向における距離値ΔVから、それぞれの矯正平面内のワイヤ棒の残留曲率を計算することができる。したがって結果は矯正平面固有であって、場合によっては2つのローラ矯正機の各々について別々に求めた、矯正幾何学配置の改良のための指示を提供するために、適切に評価される。
【0086】
評価する際に、ワイヤ棒が重力のみに基づいて所定のたるみをもたらし、その程度が材料特性値と固定箇所の間の間隔に依存することが、考慮される。この額が、評価する際に計算から除外される。測定の結果として、残留曲率についての量的な値が生じ、それは水平方向と垂直方向にも寄与分を有することがあり得る。これらの測定値に基づいて、その後、ローラ矯正機の矯正幾何学配置が、次のワイヤ片においては残留曲率が消滅しているように、調節されなければならない。
【0087】
発明者は、丸材料を加工する場合に潜在的な問題を見る。そこでは、矯正後にまだ水平平面における著しい膨らみを有する丸棒が、測定装置内へ挿入する際に自ずから安定した回転位置へ転がり、その位置において膨らみが下方へたるむことがあり得る。それが、実際には存在しない、垂直方向における膨らみを偽装し、それによって誤った測定結果と、その結果としての誤った送達及び/又は誤った矯正機における誤った送達がもたらされることになる。
【0088】
測定結果を異なる矯正平面もしくはローラ矯正機に正確に(水平と垂直)対応づけることができることを保証するために、必要な場合には、特別な措置によって、測定のために設けられたワイヤ棒が被矯正材の残りの部分から分離されて測定される間にその長手軸線を中心に回転できないことが、保証される。そのために測定システムは、矯正平面固有もしくは矯正平面選択的な測定用に構成されている。
【0089】
図4Aから4Cに図式的に示される方法変形例は、様々な横断面形状の多くの材料のため、特に丸材料のためにも、適している。その場合に、まず、被矯正材の、前方の前側113に連続する前方の終端セクション112が、制御された送りによって(前段に接続された引込み装置385による)測定装置500内の測定位置へ移送され(図4A)、その後クランプ装置510-1、510-2の横方向に摺動可能なローラ514-1もしくは514-2によって直径方向に対向する側で接触され、それによって水平に挟持され、したがって回転を阻止され(図4B)、かつその後に初めて測定すべき棒が被矯正材の残りの部分から分離される(図4C)。その後、光学的な測定システム520によって測定が開始される。
【0090】
クランプ装置の水平に走行可能なローラ514-1もしくは514-2は、回動防止装置として機能し、ワイヤ材料に水平方向において直径方向に対向する2つの接触点で比較的低い圧力で接触し、その圧力は、付着摩擦が長手軸線を中心とする棒の自己回転を阻止するために充分であるが、同時にワイヤ棒は、重力以外は力がかからないように弛緩することができ、したがって測定すべき残留曲率を示すように、定められている。
【0091】
図5Aから5Dを用いて、測定装置によって棒の直線性検査をする他の方法変形例が説明される。まず、フラットな矩形横断面を有するワイヤ(詳細を参照)が引込み装置385によるワイヤ送りによって切断位置へ送られる。これは特に、棒の前端部113がすでに後方もしくは第2のクランプ装置510-2の載置ローラに到達して、そこに載置されていることによって、特徴づけられている。この挿入操作の間、横方向位置決めローラはその引き戻された位置にある。その後、切断装置370による切断が行われる(図5B)。次の方法ステップにおいて(図5C)、切断されたワイヤ片がさらに前方のその測定位置へ移動され、そこでワイヤ棒が中心に位置する測定平面に関してセンタリングされて、両方の側において等しい長さの片が載置ローラを越えて張り出す。この短いワイヤ送りのために、特別な装置は必要とされない。むしろ後続のワイヤ片が引込み装置385によって測定すべきワイヤ棒の後方の前端部に到着し、それによって突き棒の形式で水平の送りをもたらすことができる。次の段階(図5D)において、横方向位置決めローラがその空気圧シリンダによって定められている固定位置の方向へ移動される。さらに、ワイヤ片が後方のストッパに押圧され、それによって定められた平面が保証される。したがってワイヤ棒は測定のために固定されている。前方と後方の固定位置の間の結合直線が後続のワイヤの送り軸線に対して同軸である必要がないことが、良好に認識できる。
【0092】
好ましい測定装置及びやりかたが、供給装置の形式の変形機械の調整の例で説明され、その供給装置は規定どおりの使用において内蔵されている矯正システムによって、コイルから供給された、変化する入力曲率をもって到着するワイヤ材料から矯正されたワイヤ材料を成形し、そのワイヤ材料が後段に接続された変形機械へ「エンドレス材料」として供給される。
【0093】
この矯正システムは、正確に2つのローラ矯正機を有することができ、それらが好ましくは互いに対して垂直の矯正平面を形成する。矯正システムは、3、4あるいは多数のローラ矯正機を有することもできる。たとえば矯正システムは、それぞれ45°変位した4つの矯正機を有することができ、それがたとえば丸ワイヤの矯正のための好ましい変形例となることができる。
【0094】
矯正システム内に内蔵されている変形機械は、矯正及び切断機械であってもよく、それは、様々な横断面大きさと形状を有する、矯正によって加工可能なワイヤ又は他の半製品材料を矯正し、かつ矯正した被矯正材をその後所望の長さに分離するように、考案されている。その場合に機械は、さらに長さ測定装置と切断装置を有し、その切断装置は好ましくは長さ測定装置の信号に基づいて自動的に操作することができる。その後測定ユニットが、分離され、矯正された棒を測定することができる。測定ユニットは、そのために専用の切断装置を必要としない。また、棒大量生産機械であってもよく、それは矯正システム、切断装置及び長さ測定装置の他にさらに、絶縁除去装置を有しており、それによって絶縁層により被覆された金属の初期材料から絶縁のセクションが除去される。
【0095】
矯正システムは、変形機械に統合することもでき、その変形機械は適切な変形工具によって矯正された被矯正材から自動的な製造プロセスにおいて、部分的に複雑な幾何学配置を有する成形部品の比較的小さい、あるいは比較的大きいシリーズを形成することができる。その場合に変形に必要な変形工具は、矯正システムの後段に接続されている。変形機械は、たとえばワイヤ材料、バンド材料又はパイプ材料から曲げ部品を形成する曲げ機械、あるいはばね形成機械あるいはねじ、くぎ、リベットなどを大量生産するためのワイヤネイル機械とすることができる。
【0096】
本発明は、様々なタイプの被矯正材のため、特に金属のワイヤ材料又はパイプ材料の矯正のために、使用可能である。被矯正材の横断面形状は、様々で、たとえば丸材料における円形の横断面、プロフィール材料における凹凸のある、かつ/又は多角形の横断面、特に四角材料における矩形横断面であることができる。たとえば、幅と高さの間の大きいアスペクト比を有する金属のフラットバンドのような、フラット材料も、矯正することができる。横断面大きさも、変化することができる。金属材料は、コーティングしなくてもよく、あるいはコーティング、たとえば電気的に導通しないプラスチックからなる絶縁層を有することができる。
【0097】
直線性検査もしくは直線性測定は、実施例において説明したように実施する必要はない。直線性検査は、少なくとも1つのカメラを用いて自動的に行うこともできる。たとえばフラット材料の場合には、たとえば90°変位した2つのカメラによって、通過中に直線性を検査することができる。特に丸いワイヤの場合には、ワイヤの回りを回転するカメラ、あるいはレーザースキャナを使用することができる。
【0098】
図6から9を用いて、それぞれ供給ユニットの側に回転位置マーキングを発生させる装置、そして測定ユニットの側に回転位置調節補助装置を有する、種々の実施例が記述される。したがって供給ユニットの側で、棒状のセクションに回転位置マーキングを生じさせることができ、これにより、どの回転位置もしくは回転空間位置において棒状のセクションが矯正されたかについての一義的な確認が可能となる。測定ユニットの側には、それに適合された回転位置調節補助装置が設けられており、それが、棒状のセクションにおける回転位置マーキングと機能的に協働して、そのセクションを定められた回転位置において測定ユニット内へ次のように、すなわち被矯正材が矯正システムを通過した回転位置に対して測定ユニットによって求められた測定値を一義的に関連させることができるように、収容することができる。供給ユニットと測定ユニットの間の棒状のセクションの移送は、手動、半自動又は自動で行うことができ、移送全体の間棒状のセクションの所定の回転位置又は方向づけを維持することは必要とされない。たとえば操作者は、マーキングされた棒状のセクションをワイヤから分離後に把持し、測定ユニット内へ挿入し、かつ回転位置マーキングとそれに適合する回転位置調節補助装置とを用いて、ワイヤを正しい回転位置で測定ユニットへ挿入することができる。
【0099】
図6Aから6Dは、1つの実施形態の引込み装置385と後段に接続された切断装置370の領域を、被矯正材110の棒状のセクション110-Aに回転位置マーキングを生じさせる種々の段階で示している。被矯正材は、ここでは丸ワイヤであるとする。図6Aは、切断操作の間の、ワイヤ内へ進入する前の切断工具を示している。図6Bは、ワイヤの分離後の切断工具の引き戻し運動を示している。切断によって、棒状のセクションが分離され、次が形成されようとしている。できあがった棒状のセクションの分離後に、ワイヤが引き込み装置385によって少し、たとえば数センチメートル、送られる。その後上方の切断工具370-1によって切り欠き操作において、前方の端部から少し離れてワイヤの上側にV字状の切り欠き115-1が刻印され、もしくは設けられる(図6C)。切り欠きに利用した切断工具370-1を引き戻した後に、切り欠き115-1によって形成された回転位置マーキング115-1が、ワイヤの上側に見られる。ワイヤ(被矯正材)はその後、次の分離箇所が切断装置370の領域内へ達するまでの距離、送られる。その後、切り欠き115-1によってマークされた棒状のセクション110-Aが分離される。
【0100】
ワイヤは、切り欠き115-1を形成する場合に(図6C),供給されたワイヤにまだ懸架されているので、V字状の切り欠きの底は、水平方向に対して平行に延びており、切り欠きは上側にあり、それから垂直方向が認識可能である。したがって切り欠き115-1を用いて、矯正する際にワイヤがどの回転位置にあったかが、一義的に確認可能である。
【0101】
図6Eは、切り欠き115-1もしくは回転位置マーキングを用いて確認することができる、適切な方向づけもしくは回転位置で測定装置500内へ棒状のセクション110-Aを挿入することを示している。棒状のセクション110-Aは、載置ローラ512-1、512-2上に、マーキング115-1を有する棒端部が後方の載置ローラ512-2の向こう側にくるように、載置される。そこで測定ユニットが、下方を向いたくさび555を備えた回転位置調節補助装置550を有しており、そのV字状の形状が、切断工具370-1のエッジの形状に相当する。したがってワイヤは、ワイヤ上のマーキングと測定ステーションにおける適切な切り抜きとを用いて正確に、矯正ユニットを通過したように、方向づけすることができる。したがって測定データによって表される曲率成分を、ローラ矯正機の異なる矯正平面に一義的に対応づけることができる(矯正平面固有の測定)。
【0102】
図6の変形例において、回転位置マーキングとして用いられる切り欠き115-1を発生させるために、ワイヤの送り後に切断操作とは別の切り欠き操作が設けられているが、図7Aから7Cの変形例においては、回転位置マーキングは、切断操作の間に形成される。切断装置は、ここでは片側に斜面を有する上方の切断工具370-1を有し、その切断工具が、カウンターホルダとしての切断しない下方の切断工具と協働する。切断運動は、片側からだけ行われるので、ワイヤの端部に、回転位置マーキングとして設けられた斜めの面取り115-2が生じ、その向きにより切断の間のワイヤの回転位置を明確に定めることができる。
【0103】
それに適合した測定ユニット内で、第2の載置ローラの向こう側に回転位置調節補助装置550が存在し、それが垂直に走行可能なストッパを有し、そのストッパがその下方の端部に、切断工具の切断くさびに設けられた斜面に対応する斜面を有している。棒状のセクションは、棒状のセクション110-Aの前側に設けられた面取り115-2が、このストッパに平面的に添接するように、挿入される。したがってこの斜面と機械的に接触することによって、正しい方向づけが定められる。その後、ストッパが棒状のセクションとの係合を外れて移動されるので、ストッパとの接触によって測定が損なわれることがない。
【0104】
図8の実施例において、先行する棒状のセクションの分離後に、次の棒状のセクション110-Aの前方の端部においてワイヤの短い片が約90°折曲されるので、棒状のセクションの短い終端片115-3が垂直平面に対して平行に径方向に張り出す。この曲がり、もしくは径方向に張り出す終端片115-3が回転位置マーキングとして用いられ、かつ先行する棒状のセクションの分離後に、ここではたとえば切断工具370-1自体によって、設けられている。代替的に、別の曲げ工具も可能である。
【0105】
測定装置500(図8B)に、曲がり115-3に対応するマーキングカウンター部材を有する回転位置調節補助装置550が設けられており、そのマーキングカウンター部材が切り抜き556を有し、その中へ曲がりが嵌まり込む。棒状のセクション110-Aが測定装置内へ、屈曲された終端片が切り抜き内へ嵌まるように、挿入される。測定のために、マーキングカウンター部材が下方へ移動されるので、切り抜きが棒状のセクションとの係合を外れ、測定のためにこのセクションに力がかからない。
【0106】
図9は、代替案を図式的に示しており、それにおいて測定装置の回転位置調節補助装置550は、カメラ558を有し、そのカメラによって挿入された棒状のセクション110-Aの前方の端部を検出することができる。したがって回転位置マーキング(たとえば曲がり115-3)は、ここでは光学的な測定システムによって非接触で求められる。代替的に、リニアレーザーを光学的測定システムとして利用することもできる。その場合に光学的測定システムから供給される測定値は、測定の間に棒状のセクション110-Aの回転位置を定め、それによって矯正ユニット内の矯正平面の方向づけに対する関連を形成するために、処理される。
【0107】
図式的な図10は、測定装置600の他の実施例を示しており、この測定装置は、矯正し、かつ後続の被矯正材から分離した後の有限の長さの棒110-Aを、場合によっては存在する湾曲に関して測定するように、設計されている。比較的単純かつじょうぶに構築されている測定装置600は、製造ホールの適切な箇所に設置することができ、かつ種々の機械操作者によって、矯正された棒を時々場合によっては存在する湾曲に関して測定し、かつその場合に矯正平面固有の測定を実施するために、利用することができる。測定装置600は、様々な場所で使用することができるようにするために、たとえばローラワゴン上に取りつけることができるが、固定的に取りつけることも、もちろん可能である。
【0108】
測定装置600は、比較的重い、捻れにつよいベースプレート605を有しており、そのベースプレートは、たとえばローラワゴンの上側に取りつけることができ、かつ測定装置の他のすべてのコンポーネントを支持する。測定装置600は、第1の固定装置610-1及びそれに対してx方向に距離をもって第2の測定装置610-2を有している。これらは、測定すべき棒を正確に定められた空間的位置に強制力なしで収容することができるように、設計されている。x方向におけるこの間隔は、測定すべきもっとも短い棒よりも少し短いように寸法設計されている。
【0109】
各固定装置は、y-z平面内に垂直に立てたプレートの形状の軸受ブロック612-1、612-2を有している。各軸受ブロックの上側に、上方へ拡幅する、実質的にV形状の棒収容部615-1、615-2が形成されている。棒収容部の側面は、それぞれx-z平面もしくは垂直に対して45°の角度で斜めに立っており、かつそれぞれ屋根形状に形成されているので、各棒収容部は屋根形状の棟において、挿入される棒に対して点状又は線状の接触面のみを形成する。
【0110】
例場合において、矩形の横断面を有するフラット材料からなる棒110-Aが測定される。幅広側は側面の1つと線接触し、幅狭側は、V形状の底の近傍で他の側面に線接触で当接する。それによってy-z平面と垂直方向(z方向)及び横方向(y方向)においても棒材料の位置が定められて固定され、載置された棒に(重力は別にして)強制力が作用することはない。丸材料の測定は、まったく同様に可能であって、この場合において棒収容部の側面の内側へ張り出すエッジに、それぞれ点状の接触領域が生じる。
【0111】
第1の固定装置610-1の軸受ブロックの外側に、折り畳み可能なストッパ640が設けられており、このストッパが簡単なやり方で、棒中心が固定装置の載置箇所の間の正確に中心にくるように、棒を挿入することを可能にする。
【0112】
フラット材料を測定する場合には、通常、載置する際に自動的に、矯正して截断する際の回転位置と、測定の際の回転位置との間に、それらが互いに対して45°回動されている限りにおいて、正確に知られた関係が生じる。丸材料の場合には、この関係は、たとえば、回転位置マーキング(たとえばカラーマーキング、取りつけられ、あるいは挟み込まれたマーキング部材など)と、測定装置における適切な回転位置認識装置とを用いて、保証することができる。
【0113】
矯正された棒が、たとえば第1の矯正プロセスの後にまだ比較的強い湾曲を有し、かつ/又は少し捻れている場合に、棒が2つの固定箇所に(前方と後方もしくは第1と第2の固定装置に)正しい位置で載置されることを、保証できないことがある。それにもかかわらず、確実な測定を保証するために、多くの実施形態において2つの固定装置の1つに、付加的なクランプ部材が設けられており、それが棒の、棒収容部内に位置するセクションを把持して、そのセクションを小さい力で棒収容部の側面に押圧するように、形成されている。棒の終端セクションのみに作用するこのわずかな力によって、この棒収容部における棒の定められた回転位置を保証することができ、棒全体に強制力がもたらされて、測定すべき湾曲状態を変化させることはない。
【0114】
本来の測定は、すでに他の実施例において説明した測定操作とほぼ同様に遂行される。固定装置610-1、610-2の間の中央に、測定システム620のコンポーネントが取りつけられている。測定システムは、光学的に作動し、固定装置の間の中央に位置するy-z平面(測定平面)内に載置されたワイヤもしくは棒の位置を高い精度で定める。測定システムの電気光学的コンポーネント(2つのレーザーユニットと投影測定用のしかるべきセンサ)が、C字形状の支持体に固定されており、その支持体が視認できる前側へ向かって開放しており、したがって棒を手で快適に挿入できるようにしている。図3に示す変形例とは異なり、互いに直交して方向づけされた測定装置は、水平と垂直ではなく、水平方向(y方向)に対して45°傾斜している。これが、固定箇所のV字状の収容部によって生じる、棒の斜め位置に対応する。斜めの方向づけによって、たとえば、フラット材料を測定する場合に(例に示すように)、幅広側と幅狭側における曲率成分が、特に正確に検出して評価される。その他の機能方法については、先行する実施例を参照するよう指示する。
図1
図2
図3
図3A
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9
図10
【国際調査報告】