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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】人工芝生及び生産方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 13/08 20060101AFI20241203BHJP
   D01F 6/46 20060101ALI20241203BHJP
   D01F 8/06 20060101ALI20241203BHJP
   D01F 8/12 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
E01C13/08
D01F6/46 C
D01F8/06
D01F8/12 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525971
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2022083867
(87)【国際公開番号】W WO2023099574
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】17/539,551
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510256676
【氏名又は名称】ポリテックス・シュポルトベレーゲ・プロドゥクシオンス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Polytex Sportbelaege Produktions GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シック、ステファン
【テーマコード(参考)】
2D051
4L035
4L041
【Fターム(参考)】
2D051HA05
4L035AA05
4L035BB31
4L035CC02
4L035DD02
4L035EE08
4L035FF01
4L035LA04
4L035LC05
4L035MA05
4L041AA07
4L041AA25
4L041BA03
4L041BA06
4L041BA21
4L041BA38
4L041BC06
4L041BC17
4L041BD20
4L041CA19
4L041CA36
4L041CA63
4L041DD06
(57)【要約】
本発明は、人工芝生(1000)を製造する方法を提供する。方法は、ポリマー混合物(400)などのポリマー混合物を作成する段階、ここで、ポリマー混合物は少なくとも三相系である、を備える。ポリマー混合物は、第1ポリマー、第2ポリマー、及び相溶化剤を含む。第1ポリマーはポリアミド(PA)であり、第2ポリマーはポリエチレン(PE)である。第1ポリマーは0.125重量パーセントから5重量パーセントの量で含まれ、第2ポリマーは60重量パーセントから97重量パーセントの量で含まれ、相溶化剤は0.375重量パーセントから15重量パーセントの量で含まれる。第1ポリマー及び第2ポリマーは非混和性であり、第1ポリマーは、第2ポリマー内で相溶化剤によって囲まれたポリマービーズを形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー混合物を作成する段階、ここで、前記ポリマー混合物は少なくとも三相系であり、ここで、前記ポリマー混合物は第1ポリマー、第2ポリマー、及び相溶化剤を含み、ここで、前記第1ポリマー及び前記第2ポリマーは非混和性であり、ここで、前記第1ポリマーは、前記第2ポリマー内で前記相溶化剤によって囲まれたポリマービーズを形成する;
前記ポリマー混合物を押し出してモノフィラメントにする段階;
前記モノフィラメントを焼き入れする段階;
前記モノフィラメントを再加熱する段階;
前記再加熱されたモノフィラメントを延伸して前記ポリマービーズを繊維領域へと変形させ、前記モノフィラメントを人工芝生繊維へと形成する段階、前記繊維領域は前記第1ポリマーを含み、前記繊維領域は前記相溶化剤によって少なくとも部分的に囲まれ、前記相溶化剤によって前記第2ポリマーから分離され、前記繊維領域は中央に位置付けられ、従って前記繊維領域は形成後に剥離しない;
前記人工芝生繊維を人工芝生下地に組み込む段階
を備える、人工芝生を製造する方法。
【請求項2】
前記第1ポリマーはポリアミドを含み、前記第2ポリマーはポリエチレンを含み、前記第1ポリマーは、0.125重量パーセントから5重量パーセントの量で含まれ、前記第2ポリマーは、60重量パーセントから97重量パーセントの量で含まれ、前記相溶化剤は、0.375重量パーセントから15重量パーセントの量で含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記相溶化剤は、0.5重量パーセントから1.0重量パーセントの量で含まれる、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記相溶化剤はマレイン酸無水物グラフトポリエチレンである、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記相溶化剤はエチレンエチルアクリレートであるか又はエチレンエチルアクリレートを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2ポリマーの前記ポリエチレンは、少なくとも第1直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び第2LLDPEを含み、前記第1LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約0.9g/10分から約1.1g/10分のメルトフローレートを有し、前記第2LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約2.2g/10分から約2.4g/10分のメルトフローレートを有する、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1LLDPE対前記第2LLDPEの重量比は1:20及び1:3の間であり、前記第1LLDPE及び前記第2LLDPEの前記混合物のメルトフローレートは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約1.95g/10分から約2.25g/10分である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2ポリマーの前記ポリエチレンは高密度ポリエチレン(HDPE)を更に含み、前記HDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約3.9g/10分から約4.1g/10分のメルトフローレートを有し、前記HDPEは、0.1重量パーセントから15重量パーセントの量で含まれる、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマー混合物は加工補助添加剤を更に含み、前記加工補助添加剤は、フルオロポリマー系加工添加剤、シロキサン、又はそれらの組み合わせを含み、前記加工補助添加剤は0.1重量パーセントから1.0重量パーセントの量で含まれる、任意の前述の請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー混合物は、ヒンダードアミン光安定剤、抗酸化剤、脱酸素剤、第3LLDPE、フィラー及び顔料のうちの少なくとも1つを含むポリマー保護混合物を更に含み、前記ポリマー保護混合物は、3.0重量パーセントから15.0重量パーセントの量で含まれる、任意の前述の請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマー混合物は、
0.125重量パーセントから5重量パーセントの前記第1ポリマー、
0.375重量パーセントから15重量パーセントの前記相溶化剤、
ヒンダードアミン光安定剤、抗酸化剤、脱酸素剤、第3LLDPE、フィラー及び顔料のうちの少なくとも1つを含む、3重量パーセントから15重量パーセントのポリマー保護混合物、及び
0.1重量パーセントから1.0重量パーセントの加工補助添加剤、ここで、前記加工補助添加剤は、フルオロポリマー系加工添加剤、又はシロキサンを含む、
からなり、
前記第2ポリマーは、
20重量パーセントから75重量パーセントの第1直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、前記第1LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約0.9g/10分から約1.1g/10分のメルトフローレートを有する、
5重量パーセントから25重量パーセントの第2LLDPE、前記第2LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約2.2g/10分から約2.4g/10分のメルトフローレートを有する、及び
0,01重量パーセントから15重量パーセントの高密度ポリエチレン(HDPE)、前記HDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約3.9g/10分から約4.1g/10分のメルトフローレートを有する、
からなる、任意の前述の請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマー混合物は、
0.25重量パーセントから2.5重量パーセントの前記第1ポリマー、
0.75重量パーセントから7.5重量パーセントの前記相溶化剤、
ヒンダードアミン光安定剤、抗酸化剤、脱酸素剤、第3LLDPE、フィラー及び顔料のうちの少なくとも1つを含む、4重量パーセントから11重量パーセントのポリマー保護混合物、及び
0.15重量パーセントから0.75重量パーセントの加工補助添加剤、ここで、前記加工補助添加剤は、フルオロポリマー系加工添加剤、又はシロキサンを含む、
からなり、
前記第2ポリマーは、
55重量パーセントから70重量パーセントの第1直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、前記第1LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約0.9g/10分から約1.1g/10分のメルトフローレートを有する、
10重量パーセントから20重量パーセントの第2LLDPE、前記第2LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約2.2g/10分から約2.4g/10分のメルトフローレートを有する、及び
8重量パーセントから14重量パーセントの高密度ポリエチレン(HDPE)、前記HDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約3.9g/10分から約4.1g/10分のメルトフローレートを有する、
からなる、任意の前述の請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリマービーズは結晶部分及び非結晶部分を含み、前記ポリマービーズを延伸して前記繊維領域にすることにより、前記非結晶部分に対する前記結晶部分のサイズが拡大する、任意の前述の請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマー混合物を作成する前記段階は、
前記第1ポリマーを前記相溶化剤と混合することによって第1混合物を形成する段階;
前記第1混合物を加熱する段階;
前記第1混合物を押し出す段階;
前記押し出された第1混合物を粒状化する段階;
前記粒状化された第1混合物を前記第2ポリマーと混合する段階;及び
前記粒状化された第1混合物を前記第2ポリマーと共に加熱して前記ポリマー混合物を形成する段階
を有する、任意の前述の請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記延伸されたモノフィラメントは、円形バルジ、及び前記円形バルジから反対方向に延在する2つの突出部を含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマー混合物を押し出してモノフィラメントにする前記段階は、前記ポリマー混合物を液体クラッディングポリマー成分と共押出しする段階を有し、前記ポリマー混合物は円柱状コアを形成し、前記液体クラッディングポリマー成分は、前記コアを取り囲むクラッディングを形成し、前記クラッディングは非円形プロファイルを有する、先の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
共押出しする前記段階は、前記コアから反対方向に延在する2つの突出部を備えた前記クラッディングを形成する段階を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記突出部のうちの少なくとも1つの前記プロファイルは凹形側を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記突出部のうちの少なくとも1つの前記プロファイルは、前記少なくとも1つの突出部の片側の少なくとも60%にわたる波状セクションを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第1ポリマー及び前記第2ポリマーは再生可能資源から形成されたポリマーである、任意の前述の請求項に記載の方法。
【請求項21】
第1ポリマーの繊維領域を備え、前記繊維領域は、相溶化剤及び第2ポリマーによって実質的に囲まれており、前記相溶化剤は、前記第1ポリマー及び前記第2ポリマーの間に位置しており、従って前記繊維領域は中央に位置付けられ、剥離しない、人工芝生繊維。
【請求項22】
前記相溶化剤は、マレイン酸無水物グラフトポリエチレン又はエチレンエチルアクリレートである、請求項21に記載の人工芝生繊維。
【請求項23】
前記第1ポリマーはポリアミドを含み、前記第2ポリマーはポリエチレンを含み、
前記第1ポリマーは0.125重量パーセントから5重量パーセントの量で含まれており、
前記第2ポリマーは60重量パーセントから97重量パーセントの量で含まれており、
前記相溶化剤は0.375重量パーセントから15重量パーセントの量で、特に0.5重量パーセントから1.0重量パーセントの量で含まれている、
請求項21から22のいずれか1項に記載の人工芝生繊維。
【請求項24】
人工芝生下地;及び
請求項21から23のいずれか1項に記載の複数の人工芝生繊維
を備える人工芝生。
【請求項25】
請求項1から20のいずれか1項に記載の製造方法によって得ることができる人工芝生。
【請求項26】
前記人工芝生繊維は、前記人工芝生下地を越えて予め定められた長さを延在し、前記繊維領域は、前記予め定められた長さの半分より短い長さを有する、請求項24又は25に記載の人工芝生。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成芝生とも呼ばれる人工芝生及び人工芝生の生産に関する。本発明は更に、芝を模倣する繊維の生産に関し、特に、ポリマーブレンドに基づく人工芝生繊維の製品及び生産方法、及びこれらの人工芝生繊維から作製される人工芝生カーペットに関する。
【背景技術】
【0002】
人工芝生又は人工芝は、芝と置き換えて使用される繊維から構成される表面である。人工芝生の構造は、人工芝生が芝に似た外観を有するように設計される。通常、人工芝生は、サッカー、アメリカンフットボール、ラグビー、テニス、ゴルフなどのスポーツ用、競技場用、又は運動場用の表面として使用される。更に、人工芝生は、景観整備用途で頻繁に使用される。
【0003】
人工芝生を使用する利点は、定期的な草刈り、掘り起こし、施肥、及び散水のように、芝の競技用又は景観整備用表面を手入れする必要がなくなることである。散水は、例えば、水使用に関する地域的な制限のために困難である場合がある。他の気候帯では、グラウンド上で競技及び/又は運動することによって天然芝表面が損傷するのに比較して、芝の再成長及び閉じた芝被覆物の再形成が遅い。人工芝生のグラウンドは、メンテナンスするのに同様の注意及び努力を必要としないが、汚れ及びごみを洗浄しなければならない、及び定期的にブラシがけしなければならないなどのいくらかのメンテナンスを必要とする場合がある。これは、繊維が競技又は運動中に踏み付けられた後に立ち上がるのを助けるために行われる場合がある。5~15年の通常の使用期間全体にわたり、人工芝生の運動場が高い機械的磨滅に耐えることができ、UVに抵抗することができ、熱サイクル又は熱による経年変化に耐えることができ、化学物質及び様々な環境条件との相互作用に抵抗することができるならば、それは有益であり得る。従って、人工芝生が長い使用寿命を有し、耐久性をもち、その使用期間全体にわたってその競技及び表面特性、及び外観を維持するならば、それは有益である。
【0004】
米国特許出願US2010/0173102 A1は、クラッディング用の材料が、コアに使用される材料の親水性とは異なる親水性を有することを特徴とする人工芝を開示している。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、独立請求項において、人工芝生を製造する方法を提供する。実施形態は、従属請求項において与えられる。
【0006】
一態様において、本発明は、人工芝生カーペットを製造する方法を提供する。方法は、ポリマー混合物を作成する段階を含む。本明細書において使用されるポリマー混合物は、異なるタイプのポリマーの混合物を含み、ポリマー混合物に様々な添加剤が添加されたものも場合によっては含む。用語「ポリマー混合物」は、用語「マスターバッチ」又は「化合物バッチ」でも置き換えられる場合がある。前記ポリマー混合物は、少なくとも三相系である。本明細書において使用される三相系は、少なくとも3つの別個の相に分けられる混合物を含む。前記ポリマー混合物は第1ポリマー、第2ポリマー、及び相溶化剤を含む。これらの3つの品目が、三相系の相を形成する。系に添加される追加のポリマー又は相溶化剤が存在する場合、三相系は四、五、又はそれより多い相の系へと増加し得る。前記第1ポリマー及び前記第2ポリマーは非混和性である。前記第1ポリマーは、前記第2ポリマー内で前記相溶化剤によって囲まれたポリマービーズを形成する。
【0007】
方法は、前記ポリマー混合物を押し出してモノフィラメントにする段階を更に備える。この押出しを実施するために、ポリマー混合物は例えば加熱されてもよい。方法は、前記モノフィラメントを焼き入れする段階を更に備える。この段階において、モノフィラメントは冷却される。方法は、前記モノフィラメントを再加熱する段階を更に備える。方法は、前記再加熱されたフィラメントを延伸して前記ポリマービーズを糸状領域へと変形させ、前記モノフィラメントを人工芝生繊維へと形成する段階を更に含む。この段階では、モノフィラメントは延伸される。これによりモノフィラメントはより長くなり、この工程においてポリマービーズは延伸され、細長くされる。延伸する量に応じて、ポリマービーズはより細長くされる。
【0008】
本明細書において、「糸状領域」は「繊維領域」とも呼ばれる。
【0009】
方法は、前記人工芝生繊維を人工芝生下地に組み込む段階を更に備える。いくつかの例において、人工芝生下地は、布帛又は布帛マットである。
【0010】
人工芝生繊維の人工芝生下地への組み込みは、例えば、人工芝生繊維を人工芝生下地にタフティングし、タフティングされた人工芝生繊維を人工芝生下地に結び付けることによって実施され得る。例えば、人工芝生繊維は針を用いて下地に挿入され、カーペットがタフティングされ得る方式でタフティングされてもよい。人工芝生繊維のループが形成される場合、ループは同じ段階の間に切断されてもよい。方法は、人工芝生繊維を人工芝生下地に結び付ける段階を更に含む。この段階では、人工芝生繊維は、人工芝生下地に結び付けられ、又は取り付けられる。これは、人工芝生下地の表面を糊付け又はコーティングして人工芝生繊維を定位置に保持するなどの様々な方式で実施され得る。これは、例えば、ラテックス又はポリウレタンなどの材料で人工芝生下地の表面又は一部分をコーティングすることによって行われ得る。
【0011】
人工芝生繊維の人工芝生下地への組み込みは、例えば、人工芝生カーペットの製造中に人工芝生繊維を人工芝生下地(又は繊維マット)へと織り込むことによって代替的に実施され得る。人工芝生を製造するこの技法は、米国特許出願US20120125474 A1から知られている。
【0012】
用語「ポリマービーズ」又は「ビーズ」は、第2ポリマー内において非混和性であるポリマーの、液滴などの局所的領域を指し得る。ポリマービーズは、いくつかの例では円形又は球形又は卵形の形状である場合があるが、それらは不規則な形状である場合もある。いくつかの例では、ポリマービーズは、通常は直径が約0.1から3マイクロメートル、好ましくは1から2マイクロメートルのサイズを有する。他の例において、ポリマービーズはより大きい。それらは、例えば、最大で50マイクロメートルの直径を備えたサイズを有し得る。
【0013】
いくつかの例では、延伸されたモノフィラメントは、人工芝生繊維として直接使用されてもよい。例えば、モノフィラメントは、テープ又は他の形状として押し出され得る。
【0014】
他の例では、人工芝生繊維は、概して互いにケーブル化され、撚られ、又は結束された、いくつかの延伸されたモノフィラメント繊維の束又はグループであってもよい。いくつかの場合において、束は、いわゆるリワインディングヤーンでリワインディングされ、これによりヤーンの束が一緒に保持され、後のタフティング又は織り込み工程のための準備が整った状態にされる。
【0015】
モノフィラメントのサイズは、例えば直径50~600マイクロメートルでもよい。ヤーン重量は、通常は50~3000dtexに達し得る。
【0016】
実施形態は、第2ポリマー及び任意の非混和性ポリマーが互いから剥離し得ないという利点を有し得る。糸状領域は第2ポリマー内に埋め込まれている。従って、これらが剥離することは不可能である。第1ポリマー及び第2ポリマーを使用することにより、人工芝生繊維の特性を調整することが可能になる。例えば、より柔らかいプラスチックを第2ポリマーに使用して、より天然芝のような、より柔らかい感触を人工芝生に与えることができる。より剛性が高いプラスチックを第1ポリマー又は他の非混和性ポリマーに使用して、より高い復元力及び安定性、及び踏み付けられ又は押し下げられた後に跳ね返る能力を人工芝生に与えることができる。
【0017】
更なる利点は、場合によっては、糸状領域が、押出し工程の間にモノフィラメントの中央領域に集中するということであり得る。これにより、より剛性が高い材料がモノフィラメントの中央に、より多量のより柔らかいプラスチックがモノフィラメントの外面又は外側領域に集中する。更に、これにより、より芝のような特性を備えた人工芝生繊維がもたらされ得る。
【0018】
更なる利点は、人工芝生繊維が、改善された長期間の弾力性を有することであり得る。これにより人工芝生のメンテナンスの必要性が減少し、繊維のブラシがけの必要性が減少し得るが、これは使用後又は踏み付けられた後に、それらがその形状をより自然に取り戻し、立ち上がるからである。
【0019】
別の実施形態において、前記ポリマービーズは結晶部分及び非結晶部分を含む。ポリマー混合物は押出し工程の間に加熱される可能性が高く、第1ポリマーの一部分及び第2ポリマーの一部分も、様々な領域においてより多くの非結晶構造又はより多くの結晶構造を有する場合がある。ポリマービーズを延伸して糸状領域にすることにより、第1ポリマーにおける非結晶部分に対する結晶部分のサイズが拡大し得る。例えば、これにより、第1ポリマーは非結晶構造を有するときよりも剛性が高くなり得る。これにより、より高い剛性、及び押し下げられたときに跳ね返る能力を備えた人工芝生がもたらされ得る。また、いくつかの場合には、モノフィラメントを延伸することにより、第2ポリマー又は他の追加のポリマーにおいても、それらの構造のより大きい部分がより結晶質になり得る。
【0020】
これの具体的な例において、第1ポリマーはポリアミドでもよく、第2ポリマーはポリエチレンでもよい。ポリアミドを延伸することにより、ポリアミドをより硬くする結晶領域が増加する。これは、他のプラスチックポリマーに関しても当てはまる。
【0021】
別の実施形態において、前記ポリマー混合物を作成する前記段階は、前記第1ポリマーを前記相溶化剤と混合することによって第1混合物を形成する段階を有する。前記ポリマー混合物を作成する前記段階は、前記第1混合物を加熱する段階を更に有する。前記ポリマー混合物を作成する前記段階は、前記第1混合物を押し出す段階を更に有する。前記ポリマー混合物を作成する前記段階は、前記第1混合物を押し出す段階を更に有する。前記ポリマー混合物を作成する前記段階は、前記押し出された第1混合物を粒状化する段階を更に有する。前記ポリマー混合物を作成する前記段階は、前記粒状化された第1混合物を前記第2ポリマーと混合する段階を更に有する。前記ポリマー混合物を作成する前記段階は、前記粒状化された第1混合物を前記第2ポリマーと共に加熱して前記ポリマー混合物を形成する段階を更に有する。ポリマー混合物を作成するこの特定の方法により、第1ポリマー及び相溶化剤が第2ポリマー内にどのように分散するかを非常に正確に制御することが可能になるので、この方法は有利であり得る。例えば、押し出された第1混合物のサイズ又は形状により、ポリマー混合物内のポリマービーズのサイズが決定され得る。
【0022】
ポリマー混合物を作成する前述の方法において、例えば、いわゆる一軸スクリュー押出し方法が使用され得る。これに対する代替案として、ポリマー混合物は、それを構成する成分の全てを一度に合わせることによって作成することもできる。例えば、第1ポリマー、第2ポリマー、及び相溶化剤は全て同時に一緒に添加されてもよい。追加のポリマー又は他の添加剤などの他の原材料も同時に合わせられてもよい。次いで、ポリマー混合物の混合の量は、例えば、押出し用の二軸スクリュー送りを使用することによって増加させられ得る。この場合、ポリマービーズの所望の分散は、適切な混合の比率又は混合量を使用することによって達成され得る。
【0023】
別の実施形態において、ポリマー混合物は少なくとも四相系である。ポリマー混合物は、少なくとも第3ポリマーを備える。第3ポリマーは、第2ポリマーと非混和性である。第3ポリマーは、第2ポリマー内で相溶化剤によって囲まれたポリマービーズを更に形成する。
【0024】
別の実施形態において、ポリマー混合物を作成する段階は、第1ポリマー及び第3ポリマーを相溶化剤と混合することによって第1混合物を形成する段階を有する。前記ポリマー混合物を作成する前記段階は、前記第1混合物を加熱する段階を更に有する。前記ポリマー混合物を作成する前記段階は、前記第1混合物を押し出す段階を更に有する。前記ポリマー混合物を作成する前記段階は、前記押し出された第1混合物を粒状化する段階を更に有する。前記ポリマー混合物を作成する前記段階は、前記第1混合物を前記第2ポリマーと混合する段階を更に有する。前記ポリマー混合物を作成する前記段階は、前記第1混合物を前記第2ポリマーと共に加熱して、前記ポリマー混合物を形成する段階を更に有する。この方法により、ポリマー混合物を作製し、2つの異なるポリマーを使用したポリマービーズのサイズ及び分散を制御する正確な手段が提供され得る。代替案として、第1ポリマーは、同じ又は異なる相溶化剤と共に第3ポリマーを作製するのとは別個に、相溶化剤と共に粒状体を作製するために使用され得る。粒状体は、次いで第2ポリマーと混合されて、ポリマー混合物を作製し得る。
【0025】
これに対する代替案として、ポリマー混合物は、第1ポリマー、第2ポリマー、第3ポリマー、及び相溶化剤を全て一緒に同時に添加し、次いでそれらをより激しく混合することによって作製されてもよい。例えば、二軸スクリュー送りが押出機に使用されてもよい。
【0026】
別の実施形態において、第3ポリマーは極性ポリマーである。
【0027】
別の実施形態において、第3ポリマーはポリアミドである。
【0028】
別の実施形態において、第3ポリマーは、一般にPETとも省略されるポリエチレンテレフタレートである。
【0029】
別の実施形態において、第3ポリマーは、一般にPBTとも省略されるポリブチレンテレフタレートである。
【0030】
別の実施形態において、ポリマー混合物は、1重量%及び30重量%の間の、組み合わせられた第1ポリマー及び第3ポリマーを含む。この例において、重量の残余は、第2ポリマー、相溶化剤、及びポリマー混合物に入れられる任意の他の追加の添加剤などの成分によって構成され得る。
【0031】
別の実施形態において、ポリマー混合物は、1及び20重量%の間の、組み合わせられた第1ポリマー及び第3ポリマーを含む。やはり、この例において、ポリマー混合物の重量の残余は、第2ポリマー、相溶化剤、及び任意の他の追加の添加剤によって構成され得る。
【0032】
別の実施形態において、ポリマー混合物は、5重量%及び10重量%の間の、組み合わせられた第1ポリマー及び第3ポリマーを含む。やはり、この例において、ポリマー混合物の重量の残余は、第2ポリマー、相溶化剤、及び任意の他の追加の添加剤によって構成され得る。
【0033】
別の実施形態において、ポリマー混合物は、1重量%及び30重量%の間の第1ポリマーを含む。この例において、重量の残余は、例えば第2ポリマー、相溶化剤、及び任意の他の追加の添加剤によって構成され得る。
【0034】
別の実施形態において、ポリマー混合物は、1重量%及び20重量%の間の第1ポリマーを含む。この例において、重量の残余は、第2ポリマー、相溶化剤、及びポリマー混合物に混合される任意の他の追加の添加剤によって構成され得る。
【0035】
別の実施形態において、ポリマー混合物は、5重量%及び10重量%の間の第1ポリマーを含む。この例は、第2ポリマー、相溶化剤、及びポリマー混合物に混合される任意の他の追加の添加剤によって構成される、重量の残余を有し得る。
【0036】
別の実施形態において、第1ポリマーは極性ポリマーである。
【0037】
別の実施形態において、第1ポリマーはポリアミドである。
【0038】
別の実施形態において、第1ポリマーは、一般に略語PETで知られているポリエチレンテレフタレートである。
【0039】
別の実施形態において、第1ポリマーは、一般的な略語PBTでも知られているポリブチレンテレフタレートである。
【0040】
別の実施形態において、第2ポリマーは非極性ポリマーである。
【0041】
別の実施形態において、第2ポリマーはポリエチレンである。
【0042】
別の実施形態において、第2ポリマーはポリプロピレンである。
【0043】
別の実施形態において、第2ポリマーは、第2ポリマー用に使用され得る前述のポリマーの混合物である。
【0044】
別の実施形態において、相溶化剤は、ポリエチレン又はポリアミドにグラフトされたマレイン酸;マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸リシノールオキサゾリンなどの不飽和酸又はその無水物を用いたポリエチレン、SEBS、EVA、EPD、又はポリプロピレンの、フリーラジカルで開始されたグラフトコポリマーにグラフトされた無水マレイン酸;メタクリル酸グリシジルを用いたSEBSのグラフトコポリマー、メルカプト酢酸及び無水マレイン酸を用いたEVAのグラフトコポリマー;無水マレイン酸を用いたEPDMのグラフトコポリマー;無水マレイン酸を用いたポリプロピレンのグラフトコポリマー;ポリオレフィングラフトポリアミドポリエチレン又はポリアミド;ポリアクリル酸タイプの相溶化剤、又はエチレンエチルアクリレートとも呼ばれるエチレンエチルアクリレートコポリマー(EEA)のうちのいずれか1つである。
【0045】
好ましい実施形態によれば、相溶化剤は、ポリエチレンにグラフトされたマレイン酸、又はエチレンエチルアクリレート(EEA)である。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、ポリマー混合物の、0.5重量パーセントから1重量パーセントは、EEAからなり得る。
【0047】
例えば、相溶化剤として使用されるEEAは、15%から25%のアクリル酸エチル(EA)、特に18%から23%のEAである、(重量による)コモノマー含有量を有し得る。
【0048】
好ましい実施形態によれば、EEAは約0.90g/cm3から1.0g/cm3、例えば0.90g/cm3から0.96g/cm3(ASTM D792)の密度を有する。好ましくは、相溶化剤として使用されるEEAは、20~22、特に20.5~21.5のメルトフローインデックス((g/10分@190℃/2.16kg)(ASTM D1238))を有する。
【0049】
一実施形態において、相溶化剤は、(無水マレイン酸グラフトポリエチレンとも呼ばれる)マレイン酸無水物グラフトポリエチレンである。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、ポリマー混合物の、0.5重量パーセントから1重量パーセントは、マレイン酸無水物グラフトポリエチレンからなり得る。
【0051】
好ましい実施形態において、無水マレイン酸グラフトポリエチレンは、置換法(すなわちASTM D792、ISO1183の試験方法)によって測定したときに0.83~1.03g/cmの密度、好ましくは0.93g/cmの密度、及び/又は190℃/2.16kg(すなわちASTM D1238、ISO1133の試験方法)で測定された1.575g/10分~1.925g/10分のメルトフローインデックス、好ましくは1.75g/10分のメルトフローインデックスを有する。
【0052】
一実施形態において、第1ポリマーは、第2ポリマーの0.1重量パーセントから30重量パーセントの量で含まれる。別の実施形態において、第1ポリマーは、第2ポリマーの10重量パーセントより小さいか又はそれに等しい量で、好ましくは第2ポリマーの0.4重量パーセントから10重量パーセントの量で、より好ましくは第2ポリマーの0.5重量パーセントの量で含まれる。更に他の実施形態において、第1ポリマーは、第2ポリマーの0.1重量パーセントから5重量パーセントの量で、好ましくは第2ポリマーの0.4重量パーセント~5重量パーセントの量で、より好ましくは第2ポリマーの0.4重量パーセント~1重量パーセントの量で含まれる。
【0053】
別の実施形態において、ポリマー混合物は、80~90重量%の第2ポリマーを含む。この例において、重量の残余は、第1ポリマー、第2ポリマーがポリマー混合物中に存在する場合は場合によっては第2ポリマー、相溶化剤、及びポリマー混合物に添加される任意の他の化学物質又は添加剤によって構成され得る。
【0054】
別の実施形態において、ポリマー混合物は、ワックス、艶消し剤、紫外線安定剤、難燃材、抗酸化剤、顔料、及びそれらの組み合わせのうちのいずれか1つを更に含む。これらの列挙した追加の成分は、ポリマー混合物に添加されて、難燃性であること、人工芝生がより忠実に芝に似るように緑色を有すること、日照下でのより優れた安定性などの他の所望の特性を人工芝生繊維に与えることができる。
【0055】
別の実施形態において、人工芝生繊維を作成する段階は、モノフィラメントを編んで人工芝生繊維にする段階を含む。すなわち、いくつかの例において、人工芝生繊維は単一のモノフィラメントではなく、多くの繊維の組み合わせである。
【0056】
別の実施形態において、人工芝生繊維はヤーンである。
【0057】
別の実施形態において、方法は、延伸されたモノフィラメントを互いに結束して人工芝生繊維を作成する段階を更に備える。
【0058】
別の実施形態において、方法は、複数のモノフィラメントを一緒に編み、結束し、又は紡糸して人工芝生繊維を作成する段階を更に備える。複数の、例えば4から8本のモノフィラメントをヤーンへと形成し、又は仕上げることができる。
【0059】
別の態様において、本発明は、前述の方法のうちのいずれか1つによる人工芝生製造を提供する。
【0060】
別の態様において、本発明は、人工芝生下地、及び人工芝生下地にタフティングされた人工芝生繊維を備える人工芝生を提供する。人工芝生下地は、例えば布帛、又は繊維をそれにタフティングすることができる他の平坦な構造体であり得る。人工芝生繊維は、少なくとも1つのモノフィラメントを有する。少なくとも1つのモノフィラメントのそれぞれは、糸状領域の形態で第1ポリマーを含む。少なくとも1つのモノフィラメントのそれぞれは第2ポリマーを含み、糸状領域は第2ポリマーに埋め込まれている。少なくとも1つのモノフィラメントのそれぞれは、糸状領域のそれぞれを囲み第2ポリマーから少なくとも1つの第1ポリマーを分離する相溶化剤を含む。この人工芝生は、糸状領域が相溶化剤を介して第2ポリマー内に埋め込まれているので、極めて耐久性があるという利点を有し得る。従って、それらが剥離することはできない。第2ポリマーが第1ポリマーを囲むことにより、柔らかく、実際の芝生と同様に感じる硬い人工芝生が提供され得る。本明細書に記載の人工芝生は、共押出しされる人工芝生とは異なる。共押出しでは、通常は50から60マイクロメートルのコアが、直径で約200から300マイクロメートルの直径を有する外側カバー又は外装材料によって囲まれ得る。この人工芝生には、第1ポリマーの多数の糸状領域が存在する。糸状領域は、モノフィラメントの長さ全体に沿って延びていない場合がある。人工芝生は、前述の方法の段階のいずれかによって提供される特性又は特徴も有し得る。
【0061】
別の実施形態において、糸状領域は20マイクロメートルより小さい直径を有する。
【0062】
別の実施形態において、糸状領域は10マイクロメートルより小さい直径を有する。
【0063】
別の実施形態において、糸状領域は1及び3マイクロメートルの間の直径を有する。
【0064】
別の実施形態において、前記人工芝生繊維は、前記人工芝生下地を越えて予め定められた長さを延在する。前記糸状領域は、前記予め定められた長さの半分より短い長さを有する。
【0065】
別の実施形態において、糸状領域は2mmより短い長さを有する。
【0066】
先に記載した実施形態のうちの1つ又は複数と組み合わせられ得る本開示の別の実施形態によれば、人工芝生を製造する方法は、ポリマー混合物を作成する段階、ここで、前記ポリマー混合物は少なくとも三相系である、を備える。前記ポリマー混合物は、第1ポリマー、第2ポリマー、及び相溶化剤を含む。前記第1ポリマーはポリアミド(PA)であり、前記第2ポリマーはポリエチレン(PE)である。前記第1ポリマーは、0.125重量パーセントから5重量パーセントの量で含まれ、前記第2ポリマーは、60重量パーセントから97重量パーセントの量で含まれ、前記相溶化剤は、0.375重量パーセントから15重量パーセントの量で含まれる。前記第1ポリマー及び前記第2ポリマーは非混和性であり、前記第1ポリマーは、前記第2ポリマー内で前記相溶化剤によって囲まれたポリマービーズを形成する。
【0067】
好ましい一実施形態において、ポリアミドはナイロン(例えばナイロン6)である。しかしながら、本開示の範囲は他のポリアミドを含み、自然に及び人工的に発生するポリアミドの両方を含む。例えば、本開示のポリアミドは、ウール及びシルクなどの自然に発生するポリアミド(すなわちタンパク質)、及び例えばアラミド及びポリ(アスパラギン酸)ナトリウムなどの人工的に作製されたポリアミドを含み得る。
【0068】
別の好ましい実施形態において、第2ポリマーはDOW(登録商標)によって生産されているポリエチレン樹脂などのポリエチレンである。しかしながら、本開示の範囲は、バイオポリエチレン(すなわち化石燃料ではなく再生可能資源から生産/提供されるポリエチレン)などの他のポリエチレンを包含する。例えば、本開示の範囲は、高密度及び低密度ポリエチレンがサトウキビに由来するバイオエタノールから生産される、サトウキビから生産されるポリエチレンを含む。本開示の実施形態は、小麦粒及びサトウダイコンなどの他の供給原料から作製されたポリエチレンも企図する。
【0069】
PA/PEポリマー混合物の相溶化剤の含有量を多くすること、好ましくは0.125重量パーセントから5重量パーセントの量で含まれた第1ポリマー、60重量パーセントから97重量パーセントの量で含まれた第2ポリマー、及び0.375重量パーセントから15重量パーセントの量で含まれた相溶化剤を含むPA/PEポリマー混合物の相溶化剤の含有量を多くすることは、混合物の流れ特性を変化させて混合物の質量をより一様にし、それによって混合物の加工中に混合物の圧力及び温度がより均一になり、エネルギー消費の変動が回避され、且つノズルプレート又はダイから混合物を押し出すのに際して且つ押し出した後に混合物が分離しなくなるという技術的効果を有する。相溶化剤及び第1ポリマー(例えばポリアミド)は、約5部対1部(5:1部)から約2:1部の定められた比で、より好ましくは約4:1から2.5:1の定められた比で、更により好ましくは約3:1の定められた比で、調合物中に存在し得る。
【0070】
一実施形態によれば、相溶化剤はエチレンエチルアクリレート(すなわちエチレン及びアクリル酸エチルの触媒共重合によって生み出された塩基性樹脂からなるコポリマー)を含むことが好ましい。別の実施形態によれば、相溶化剤はマレイン酸無水物を含む。本開示のポリマー混合物の実施形態は、ノズルプレート及び/又はダイでの離れがより速くなる(すなわちノズルプレート及び/又はダイから混合物を押し出す際の離れがより速くなる)という技術的効果を有し、又は換言すると、より効率的且つより均一に、及び/又は廃棄される材料をより少なくモノフィラメントを生成する押出し段階を提供し、人工芝生繊維がより大きい極性、より良好な耐摩耗性、より良好な破断伸び、良好な復元力及び張力、人工芝生下地への組み込みにおけるより高い適正、及び/又はフィールドホッケーヤーンとしてのより高い適正を有するという技術的効果も提供することができる。更に、エチレンエチルアクリレート相溶化剤を含む本発明のポリマー混合物は、人工芝生繊維製造機の耐用期間を最適化し、特に押出し機械及び/又は例えばノズルプレート及び/又はダイなどの構成要素の耐用期間及び/又は使用を延長し、こうした構成要素の洗浄(例えば超音波洗浄)の間の期間を延長するという技術的効果も有する。例えば、開示されたポリマー混合物の実施形態により、ノズル及び/又はダイの洗浄の間の期間は、無水物相溶化剤を使用したときの2~3日からエチレンエチルアクリレート相溶化剤を使用したときの2~3週間へと延びる。
【0071】
別の実施形態において、前記ポリマー混合物を作成する前記段階は、前記第1ポリマーを前記相溶化剤と混合することによって第1混合物を形成する段階、前記第1混合物を加熱する段階、前記第1混合物を押し出す段階、前記押し出された第1混合物を粒状化する段階、前記粒状化された第1混合物を前記第2ポリマーと混合する段階、及び前記粒状化された第1混合物を前記第2ポリマーと共に加熱して前記ポリマー混合物を形成する段階を有する。
【0072】
別の実施形態において、方法は、前記ポリマー混合物を押し出してモノフィラメントにする段階、前記モノフィラメントを焼き入れする段階、前記モノフィラメントを再加熱する段階、前記再加熱されたモノフィラメントを延伸して前記ポリマービーズを繊維領域へと変形させ、前記モノフィラメントを人工芝生繊維へと形成する段階を更に備え得る。前記繊維領域は前記第1ポリマーを含み、前記相溶化剤によって少なくとも部分的に囲まれ、前記相溶化剤によって前記第2ポリマーから分離される。前記繊維領域は中央に位置付けられ、従って前記繊維領域は形成後に剥離しない。方法は、前記人工芝生繊維を人工芝生下地に組み込む段階も更に備え得る。
【0073】
更に別の実施形態において、前記第2ポリマーの前記ポリエチレンは、少なくとも第1直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び第2LLDPEを含む。前記第1LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約0.9g/10分から約1.1g/10分のメルトフローレートを有し、前記第2LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約2.2g/10分から約2.4g/10分のメルトフローレートを有する。LLDPEの適当な例示的実施形態は、DOW(登録商標)によって製造されている。
【0074】
一実施形態において、第1LLDPE及び第2LLDPEは、それぞれ約0.90g/cmから約0.93g/cm、好ましくはそれぞれ約0.91g/cmから約0.925g/cmの密度を有する。一実施形態によれば、第1LLDPEは0.917g/cmの密度を有し、第2LLDPEは0.922g/cmの密度を有する。
【0075】
別の実施形態において、第1LLDPE及び第2LLDPEは、約1部対20部(1:20部)から約1:2部の定められた比で調合物中に存在することが好ましく、約1:20から1:3の定められた比で存在することがより好ましい。好ましい比は、PAの分離を軽減するという技術的効果を有し、これは最終的な適切な耐摩耗性を製品に与えるために重要である。好ましい比は、調合物(すなわち混合物)のメルトフローインデックス(MFI)が最適なMFIに近付くことを確実とし、これは一実施形態では第2LLDPEのMFIに対応する。分離は、押出しノズルプレート及び/又はダイでの圧力降下が発生した場合に特に関連する。
【0076】
一実施形態において、前記第1LLDPE及び第2LLDPEの重量比は1:20及び1:3の間であり、前記第1LLDPE及び前記第2LLDPEの混合物のメルトフローレートは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約1.95g/10分から約2.25g/10分である。
【0077】
別の実施形態によれば、第2ポリマーのポリエチレンは、高密度ポリエチレン(HDPE)を更に含む。HDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約3.9g/10分から約4.1g/10分のメルトフローレートを有し、HDPEは0.1重量パーセントから15重量パーセントの量で含まれる。更に、別の実施形態において、HDPEは約0.93g/cmから約0.97g/cm、好ましくは約0.95g/cmから約0.96g/cmの密度を有する。
【0078】
一実施形態において、ポリマー混合物は加工補助添加剤を更に含む。加工補助添加剤は、加工中の(加工混合物溶融体とも呼ばれる)ポリマー混合物の粘度を低下させて、押出機スクリュー、押出機ハウジング及びノズル及び/又はダイプレートなどの押出機構成要素に堆積物が蓄積することを軽減又は防止するという技術的効果を有する。加工補助添加剤は、フルオロポリマー系加工添加剤、シロキサン、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。加工補助添加剤は、0.1重量パーセントから1.0重量パーセントの量で含まれてもよい。
【0079】
BYK-Altana及び3Mによる製品(例えばDynamar(登録商標))などの従来の加工補助添加剤は、長鎖ポリフルオロアルキル化合物などの長鎖ポリフルオロポリマーを含む。短鎖ポリフルオロポリマー(例えば短鎖ポリフルオロアルキル物質(PFAS))の使用については現在環境的な懸念があるが、長鎖ポリフルオロポリマーと短鎖ポリフルオロポリマーを分析的に区別することは困難であり、その結果として、人工芝生繊維ではフッ素の存在のみが試験される。フッ素の存在が検出されると、規制機関は通常、短鎖PFASが少なくとも不純物として存在する可能性が高いと結論付ける。従って、加工補助添加剤としてシロキサンのみを使用することの一利点は、フッ素非含有の調合物及びフッ素非含有の製品が得られるということに加えて、調合物及び製品が短鎖ポリフルオロポリマーを含むか否かについてのいかなる疑義もなくし、それによって製品が環境に有害であるといういかなる懸念も少なくするということである。
【0080】
好ましい一実施形態において、本開示の加工補助添加剤はシロキサンである。別の実施形態において、シロキサンは、0.5wt%の量でポリマー混合物に含まれて、フッ素非含有の混合物及び繊維製品をもたらす。環境的/毒物学的な懸念に対処することに加えて、加工補助添加剤としてシロキサンを使用することにより、PA/PEブレンド(すなわち混合物)の加工中に発生し得る堆積物を軽減することもできる。上に記載したように、相溶化剤によって堆積物を軽減することができるが、堆積物は、押出し工程に関連付けられる構成要素などの加工機械の構成要素に依然として蓄積し得る。シロキサン調合物のみを使用することは、ダイ及び/又はノズル寿命を約24時間から最大72時間へと延長させる技術的効果を有する。
【0081】
更に別の実施形態において、ポリマー混合物は、ヒンダードアミン光安定剤、抗酸化剤、脱酸素剤、第3LLDPE、及び/又はフィラー及び顔料のうちの少なくとも1つを有するポリマー保護混合物を更に含み得る。ポリマー保護混合物は、3.0重量パーセントから15.0重量パーセントの量で含まれ得る。一実施形態において、保護混合物はポリマー混合物の約10重量パーセントで含まれてもよく、保護混合物それ自体は、(1)14重量%のヒンダードアミン光安定剤、抗酸化剤、及び脱酸素剤;(2)45~65重量%の第3LLDPE(例えばポリマー担体);及び(3)31~41重量%のフィラー及び顔料を含み得る。
【0082】
別の実施形態において、ポリマー混合物は、0.125重量パーセントから5重量パーセントの第1ポリマー、0.375重量パーセントから15重量パーセントの相溶化剤、ヒンダードアミン光安定剤、抗酸化剤、脱酸素剤、第3LLDPE、フィラー及び顔料のうちの少なくとも1つを含む3重量パーセントから15重量パーセントのポリマー保護混合物、及び0.1重量パーセントから1.0重量パーセントの加工補助添加剤からなる。加工補助添加剤は、フルオロポリマー系加工添加剤、シロキサン、又はそれらの組み合わせである。第2ポリマーは、20重量パーセントから75重量パーセントの第1直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ここで、第1LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約0.9g/10分から約1.1g/10分のメルトフローレートを有する、5重量パーセントから25重量パーセントの第2LLDPE、ここで、第2LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約2.2g/10分から約2.4g/10分のメルトフローレートを有する、及び0.01重量パーセントから15重量パーセントの高密度ポリエチレン(HDPE)、HDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約3.9g/10分から約4.1g/10分のメルトフローレートを有する、からなる。
【0083】
更に別の実施形態によれば、ポリマー混合物は、0.25重量パーセントから2.5重量パーセントの第1ポリマー、0.75重量パーセントから7.5重量パーセントの相溶化剤、ヒンダードアミン光安定剤、抗酸化剤、脱酸素剤、第3LLDPE、フィラー及び顔料のうちの少なくとも1つを含む4重量パーセントから11重量パーセントのポリマー保護混合物、及び0.15重量パーセントから0.75重量パーセントの加工補助添加剤、ここで、加工補助添加剤は、フルオロポリマー系加工添加剤、シロキサン、又はそれらの組み合わせである、からなる。第2ポリマーは、55重量パーセントから70重量パーセントの第1直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、第1LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約0.9g/10分から約1.1g/10分のメルトフローレートを有する、10重量パーセントから20重量パーセントの第2LLDPE、第2LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約2.2g/10分から約2.4g/10分のメルトフローレートを有する、及び8重量パーセントから14重量パーセントの高密度ポリエチレン(HDPE)、HDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約3.9g/10分から約4.1g/10分のメルトフローレートを有する、からなる。
【0084】
一実施形態において、ポリマービーズは結晶部分及び非結晶部分を含み、ポリマービーズを延伸して繊維(すなわち糸状)領域にすることにより、非結晶部分に対する結晶部分のサイズが拡大する。
【0085】
本開示の一実施形態によれば、モノフィラメントはコア(例えば円柱状コア)を含む円形バルジ、及び円形バルジから延在する2つの突出部を含む。別の実施形態において、前記ポリマー混合物を押し出してモノフィラメントにする前記段階は、前記ポリマー混合物を液体クラッディングポリマー成分と共押出しする段階を有する。共押出しすると、前記ポリマー混合物は円柱状コアを形成し、前記液体クラッディングポリマー成分は、前記コアを取り囲むクラッディングを形成する。
【0086】
一実施形態において、前記クラッディングは非円形プロファイルを有する。本開示の範囲は、クラッディングの、反対向きの及び/又は反対向きでない突出部を含む。一実施形態において、突出部のうちの少なくとも1つのプロファイルは凹形側を含む。しかしながら、本開示の範囲は、非凹形側(例えば凸形側又は直線側)を備えたプロファイルを有する突出部又は突出部の一部分を含む。
【0087】
一般に、コア/クラッディング構造は、人工芝生のそれぞれの葉の全体として所望されるある程度の弾力性又は剛性などの特性を提供するようにコアを最適化することができ、一方で柔らかさ及び外観などの特定の表面特性を備えるようにクラッディングを設計することができるという利点を有し得る。特に、コアは、これらの人工芝生繊維から製造される人工芝生葉の所望の復元力が達成されるのに十分な剛性を人工芝生繊維に提供するコアポリマー及び/又は糸ポリマーを含むことができる。柔らかいクラッディングポリマーが選択され、コアポリマーがクラッディングポリマーと同じポリマーであるという特定の場合においては、人工芝生繊維の復元力は糸状領域のみから生じており、糸ポリマーはそれに応じて選ばれるべきである。
【0088】
コアポリマー及びクラッディングポリマーの混和性により、コア及びクラッディングの間に十分な量の密着を提供するための追加のインターフェース材料が不必要になり得る。流体状態からの製造中、コアポリマー及びクラッディングポリマーは互いに混合して、単一成分の繊維に匹敵する機械的安定性を提供する準一体型の移行ゾーンをコア及びクラッディングの間に形成することができる。
【0089】
適当な非円形の幾何形状が選択された場合、クラッディングの非円形プロファイルにより、単なる円形円柱状の繊維と比較して、それぞれの人工芝生繊維の表面積対質量比が増加し得る。従って、これらの人工芝生繊維から製造される人工芝生は、従来なら葉の密度がより高い人工芝生を製造することによって達成されるはずの、単位面積当たりの被覆度の改善を特徴とし得る。本発明の実施形態によれば、被覆度の改善をより少ないポリマー消費量で達成することができ、これにより製造コストを削減することができる。
【0090】
本開示の別の実施形態によれば、モノフィラメントは、円形バルジ、及び円形バルジから延在する2つの突出部を含む。一実施形態において、円形バルジ及び2つの突出部を含むモノフィラメントの形状は、ノズルプレート又はダイから混合物を押し出すと形成される。
【0091】
それぞれのモノフィラメントは円柱状のポリマー繊維でもよく、ここで、用語「円柱状」は略直円柱、すなわちその一次軸がその基準平面又は断面に対して垂直に配向された円柱を指す。具体的には、生産されるそれぞれの繊維は非円形柱、すなわち非円形断面を有するものでもよい。非円形断面の例は、楕円又は多角形を含む。コア及びクラッディングの断面は互いに無関係に選択されてもよく、コア及びクラッディングのそれぞれは非円形断面を有し得ることが理解されるべきである。非限定的な例では、楕円形のコアが豆形状のクラッディングによって囲まれる。別の非限定的な例では、繊維は、円形のコア、及び2つの突出部が少なくともコアの直径の長さでコアから外向きに延在するクラッディングを有する。
【0092】
実施形態によれば、突出部のうちの少なくとも1つのプロファイルは、前記少なくとも1つの突出部の片側の少なくとも60%にわたる波状セクションを備える。ここでは、波状セクションは、繊維の全体的な寸法に比較して小さい反復的要素を含む、繊維プロファイルの一部として理解される。本開示の範囲においては、反復的要素の少なくとも2つのインスタンス(すなわち1度の反復)が少なくとも1つの波状突出部のそれぞれに収まっている場合、及び少なくとも1つの波状突出部のそれぞれについて、その振幅が前記突出部の最大厚みの25パーセントより大きくない場合に、これが当てはまると考えられる。
【0093】
波状部は表面積対質量比を更に増加させ、従って上に言及した利益に寄与することができる。別の有利な効果は、波状プロファイルを有する人工芝生繊維から生産される人工芝生の拡散光散乱が、滑らかな表面を有する繊維と比較して増加することであり得る。加えて、波状部は繊維の復元力を増加させ得る。波状部は、案内縁部を液滴に提供することにより、液体(例えば雨水)の繊維への付着も減少させることができ、すなわち波状部により、液体接触表面を縮小しながら繊維表面を拡大することができる。従って、波状プロファイルを有する人工芝生繊維から生産される人工芝生は、より効率的に生産され、使用中の乾燥時間がより短くなり得る。
【0094】
実施形態によれば、波状セクションは非円形プロファイルの片側にわたっており、非円形プロファイルは、波状側以外に更なる波状セクションを備えない。一例では、繊維は両側性であり、1つの滑らかな面(プロファイルの滑らかな側、例えば直線又は凹形)及び1つの溝付き面(波状側)を含む。波状部の前述の一般的な利点に加えて、片側の波状部は天然芝で見られる葉の構造により近似している場合があり、これは、こうした繊維で製造される人工芝生の特性に有益に寄与し得る。こうした人工芝生では、それぞれの繊維の溝付き面の一部分が、確率論的分布で芝生の表面に現れ得る。これにより、均質性がより低くマットさがより少ない外観を芝生に与えることができる。加えて、こうした芝生を例えばスポーツ活動に使用することにより、規定された配向を人工芝葉に局所的に与えることができ、それにより、配向された接触区域は、その確率論的に配向された環境から容易に識別可能になる。
【0095】
更なる態様では、本発明は、人工芝生下地;及び複数の繊維を含む人工芝生ヤーンを備える人工芝生に関し、複数の繊維のそれぞれは、エチレンエチルアクリレートを含む相溶化剤及びポリエチレンによって実質的に囲まれたポリアミド繊維領域を含み、相溶化剤はポリアミド及びポリエチレンの間に位置しており、従って繊維領域は中央に位置付けられており、剥離しない。
【0096】
本発明の前述の実施形態のうちの1つ又は複数は、組み合わせられる実施形態が相互に排他的でない限り、組み合わせられてもよいことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0097】
以下では、単なる例示のために、図面を参照して本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【0098】
図1】人工芝生を製造する方法の一例を図示するフローチャートを示す。
図2】ポリマー混合物を作成する一方法を図示するフローチャートを示す。
図3】ポリマー混合物をどのように作成するかの更なる例を図示するフローチャートを示す。
図4】ポリマー混合物の断面を図示する図を示す。
図5】ポリマー混合物の更なる例を示す。
図6】ポリマー混合物を押し出してモノフィラメントにすることを図示する。
図7】モノフィラメントの小さいセグメントの断面を示す。
図8】モノフィラメントを延伸する効果を図示する。
図9】延伸されたモノフィラメントの断面の電子顕微鏡画像を示す。
図10】人工芝生の一例の断面の一例を示す。
図11】本開示の一実施形態による、人工芝生繊維を生産するためのモノフィラメントの径方向断面図を示す。
図12】本開示の別の実施形態による、人工芝生繊維を生産するためのモノフィラメントの径方向断面図を示す。
図13】本開示の一実施形態による波状人工芝生繊維の断面プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0099】
これらの図における同様に付番された要素は、均等な要素であるか、又は同じ機能を実施する。先に説明された要素は、機能が均等な場合、後の図にて必ずしも説明されない。
【0100】
図1は、人工芝生を製造する方法の一例を図示するフローチャートを示す。最初に、段階100において、ポリマー混合物を作成する。ポリマー混合物は、少なくとも三相系である。ポリマー混合物は、第1ポリマーを備える。ポリマー混合物は、第2ポリマー及び相溶化剤を更に備える。第1ポリマー及び第2ポリマーは非混和性である。他の例では、やはり第2ポリマーと非混和性である第3、第4、又は更に第5ポリマーなどの追加のポリマーが存在してもよい。第1ポリマーとの組み合わせ、又は追加の第3、第4、又は第5ポリマーとの組み合わせで使用される追加の相溶化剤も存在してもよい。第1ポリマーは、相溶化剤によって囲まれたポリマービーズを形成する。ポリマービーズは、第2ポリマーと混和性でない追加のポリマーによっても形成され得る。
【0101】
ポリマービーズは相溶化剤によって囲まれており、第2ポリマー内にあるか、又は第2ポリマーに混合されている。次の段階102では、ポリマー混合物を押し出してモノフィラメントにする。次に段階104では、モノフィラメントを焼き入れ又は急速に冷却する。次に段階106では、モノフィラメントを再加熱する。段階108では、再加熱されたモノフィラメントを延伸してポリマービーズを糸状領域へと変形させ、モノフィラメントを人工芝生繊維へと形成する。人工芝生繊維を形成するために、追加の段階がモノフィラメントに実施される場合もある。例えば、モノフィラメントは、所望の特性を有するヤーンへと紡がれるか、又は編まれてもよい。次に、段階110では、人工芝生繊維を人工芝生下地に組み込む。段階110は、例えば、人工芝生繊維を人工芝生下地へとタフティングすること又は織り込むことであり得るが、これらに限定されない。次いで、段階112では、人工芝生繊維を人工芝生下地に結び付ける。例えば、人工芝生繊維は、コーティング又は他の材料によって定位置に糊付け又は保持され得る。段階112は任意選択の段階である。例えば、人工芝生繊維が人工芝生下地へと織り込まれる場合、段階112は実施される必要がない場合がある。
【0102】
図2は、ポリマー混合物を作成する一方法を図示するフローチャートを示す。この例において、ポリマー混合物は三相系であり、第1ポリマー、第2ポリマー、及び相溶化剤を含む。ポリマー混合物は、色付けする、又は耐燃性又はUV耐性を提供する、又はポリマー混合物の流れ特性を改善する添加剤などの他のものも含んでもよい。最初に、段階200において、第1ポリマーを相溶化剤と混合することによって第1混合物を形成する。この段階の間に、追加の添加剤も添加されてもよい。次に、段階202では、第1混合物を加熱する。次に、段階204では、第1混合物を押し出す。次いで、段階206では、押し出された第1混合物を次いで粒状化し、又は小片へと細断する。次に、段階208では、粒状化された第1混合物を第2ポリマーと混合する。この時に、追加の添加剤もポリマー混合物に添加されてもよい。最後に、段階210では、粒状化された第1混合物を第2ポリマーと共に加熱してポリマー混合物を形成する。加熱及び混合は同時に行われてもよい。
【0103】
図3は、どのようにポリマー混合物を作成するか100の更なる例を図示するフローチャートを示す。この例において、ポリマー混合物は、少なくとも第3ポリマーを追加的に備える。第3ポリマーは第2ポリマーと非混和性であり、ポリマー混合物は少なくとも四相系である。第3ポリマーは、第2ポリマーと共に相溶化剤によって囲まれるポリマービーズを更に形成する。最初に、段階300において、第1ポリマー及び第3ポリマーを相溶化剤と混合することによって第1混合物を形成する。この時点で、追加の添加剤も第1混合物に添加されてもよい。次に、段階302では、第1混合物を加熱する。第1混合物の加熱及び混合は同時に行われてもよい。次に、段階304では、第1混合物を押し出す。次に、段階306では、押し出された第1混合物を粒状化し、又は小片へと細断する。次に、段階308では、第1混合物を第2ポリマーと混合する。この時に、追加の添加剤もポリマー混合物に添加されてもよい。次いで最後に、段階310では、加熱された第1混合物及び第2ポリマーを加熱してポリマー混合物を形成する。加熱及び混合は同時に行われてもよい。
【0104】
図4は、ポリマー混合物400の断面を図示する図を示す。ポリマー混合物400は、第1ポリマー402、第2ポリマー404、及び相溶化剤406を備える。第1ポリマー402及び第2ポリマー404は非混和性である。第1ポリマー402は、第2ポリマー404ほど多くない。第1ポリマー402は、相溶化剤406によって囲まれ、第2ポリマー404内に分散されるように示されている。相溶化剤406によって囲まれる第1ポリマー402は、多くのポリマービーズ408を形成する。ポリマー混合物がどれほどよく混合されたか、及び温度に応じて、ポリマービーズ408は形状が球形又は卵形である場合があり、又はそれらは不規則な形状である場合もある。ポリマー混合物400は三相系の一例である。3つの相は第1ポリマー402の領域である。第2相領域は相溶化剤406であり、第3相領域は第2ポリマー404である。相溶化剤406は、第2ポリマー404から第1ポリマー402を分離する。
【0105】
図5は、ポリマー混合物500の更なる例を示す。図5に示されている例は図4に示されているものと同様であるが、しかしながら、ポリマー混合物500は第3ポリマー502を追加的に備える。ここで、ポリマービーズ408のいくつかは第3ポリマー502からなる。図5に示されているポリマー混合物500は四相系である。四相は、第1ポリマー402、第2ポリマー404、第3ポリマー502、及び相溶化剤406で構成される。第1ポリマー402及び第3ポリマー502は、第2ポリマー404と混和性でない。相溶化剤406は、第2ポリマー404から第1ポリマー402を、第2ポリマー404から第3ポリマー502を分離する。
【0106】
この例では、第1ポリマー402及び第3ポリマー502の両方に同じ相溶化剤406が使用される。他の例では、第1ポリマー402及び第3ポリマー502に異なる相溶化剤406が使用されてもよい。
【0107】
図6は、ポリマー混合物を押し出してモノフィラメントにすることを図示する。ある量のポリマー混合物600が示されている。ポリマー混合物600内に、多数のポリマービーズ408が存在する。ポリマービーズ408は、第2ポリマー404と混和性でない1つ又は複数のポリマーで作製されてもよく、やはり相溶化剤によって第2ポリマー404から分離される。スクリュー、ピストン、又は他の装置を使用して、プレート602の穴604にポリマー混合物600が押し込まれる。これにより、ポリマー混合物600は押し出されてモノフィラメント606になる。モノフィラメント606は、ポリマービーズ408も含むものとして示されている。第2ポリマー404及びポリマービーズ408は一緒に押し出される。いくつかの例では、第2ポリマー404はポリマービーズ408ほど粘性がなく、ポリマービーズ408はモノフィラメント606の中央に集中する傾向をもつことになる。これにより、モノフィラメント606のコア領域に糸状領域が集中し得るので、これにより、最終的な人工芝生繊維の所望の特性がもたらされ得る。
【0108】
図7は、モノフィラメント606の小さいセグメントの断面を示す。モノフィラメントは、ポリマービーズ408が混合された状態の第2ポリマー404を含むものとして再び示されている。ポリマービーズ408は、図示されていない相溶化剤406によって第2ポリマー404から分離されている。糸状構造体を形成するために、モノフィラメント606の一部が加熱され、次いでモノフィラメント606の長さに沿って延伸される。これは、延伸の方向を示す矢印700によって図示されている。
【0109】
図8は、モノフィラメント606を延伸することの効果を図示する。図8では、延伸されたモノフィラメント606の断面の一例が示されている。図7におけるポリマービーズ408は、延伸されて糸状構造体800となっている。ポリマービーズ408の変形の量は、モノフィラメント606'がどの程度延伸されたかに依存することになる。
【0110】
例は、合成芝生とも呼ばれる人工芝生の生産に関し得る。特に、本発明は、芝を模倣する繊維の生産に関する。繊維は、混和性でなく例えば硬さ、密度、極性のような材料特性が異なる第1及び第2ポリマー、及び相溶化剤からなる。
【0111】
第1段階において、第1ポリマーが相溶化剤と混合される。色顔料、UV及び熱安定剤、加工助剤、及びこうしたものとして当分野より知られている他の物質が、混合物に添加されてもよい。これにより、第1ポリマーが相溶化剤によって囲まれた二相系からなる粒状の材料がもたらされ得る。
【0112】
第2段階では、第2ポリマーを混合物に添加することによって三相系が形成され、これにより、この例では、第2ポリマーの量は三相系の約80~90質量パーセントであり、第1ポリマーの量は5質量%から10質量%であり、相溶化剤の量は5質量%から10質量%である。押出し技術を使用することにより、第2ポリマーのポリマーマトリックスに分散された、相溶化剤によって囲まれた第1ポリマーの液滴又はビーズの混合物がもたらされる。実用的な実装では、第1ポリマー及び相溶化剤の粒状体を含むいわゆるマスターバッチが形成される。本明細書において、マスターバッチは「ポリマー混合物」とも呼ばれ得る。粒状体混合物は溶融され、第1ポリマー及び相溶化剤の混合物が押し出しによって形成される。結果として生じるストランドは、破砕されて粒状体になる。結果として生じる粒状体及び第2ポリマーの粒状体は、次いで第2押出しに使用されて、次いで延伸されて最終的な繊維となる太い繊維を生み出す。
【0113】
押出しの間に使用される溶融温度は、ポリマーのタイプ及び使用される相溶化剤に依存する。しかしながら、溶融温度は通常は230℃及び280℃の間である。
【0114】
フィラメント又はフィブリル化テープとも呼ばれ得るモノフィラメントは、繊維生産押出しラインへと混合物を送ることによって生産される。溶融混合物は、押出し器具、すなわち紡糸口金プレート又は幅広のスロットノズルを通過してフィラメント又はテープの形態に溶融流を形成し、水紡糸浴槽において焼き入れ又は冷却され、異なる回転速度で回転している加熱されたゴデット及び/又は加熱オーブンを通過することによって乾燥及び延伸させられる。
【0115】
モノフィラメント又はテープは、次いで、更なる加熱オーブン及び/又は一組の加熱されたゴデットを通過する第2段階において、ライン上でアニールされる。
【0116】
この手順により、相溶化剤によって囲まれた第1ポリマーのビーズ又は液滴は長手方向に延伸され、小さい繊維状の線状構造体を形成するが、これらは、しかしながら第2ポリマーのポリマーマトリックスに完全に埋め込まれたままになる。
【0117】
図9は、上に記載した方法の一例を使用して製造された、延伸されたモノフィラメントの断面の顕微鏡画像を示す。延伸されたモノフィラメント606内の水平方向の白い縞は、糸状構造体800である。これらの糸状構造体のうちのいくつかが、800と表示されている。糸状構造体800は、第2ポリマー内で第1ポリマーの小さい線状構造体を形成するように示され得る。
【0118】
結果として生じる繊維は複数の利点を有することができ、すなわち柔らかさが耐久性及び長期間の弾力性と組み合わせられる。ポリマーの硬さ及び曲げ特性が異なる場合、繊維はより良好な復元力を示すことができる(これは、繊維が踏み付けられるとそれが跳ね返ることを意味する)。硬い第1ポリマーの場合、ポリマーマトリックス内に構築される小さい線状繊維構造体が、繊維のポリマー補強材を提供している。
【0119】
複合材料が第1及び第2ポリマーによって形成されていることによる境界設定は、第2ポリマーの短い繊維が第1ポリマーによって与えられるマトリックスに埋め込まれるということによって防止される。更に、1つの複合紡糸口金器具へと送るためにいくつかの押出しヘッドを必要とする複雑な共押出しは必要とされない。
【0120】
第1ポリマーはポリアミドなどの極性物質でもよく、一方第2ポリマーはポリエチレンなどの非極性ポリマーでもよい。第1ポリマーの代替案はポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリブチレンテレフタレート(PBT)であり、第2ポリマーの代替案はポリプロピレンである。最終的には3つのポリマーからなる材料(例えばPET、PA及びPP)が可能であり、PPはマトリックスを作成し、他のものは互いに無関係に繊維状の線状構造体を作成する。相溶化剤は、ポリエチレン又はポリアミドにグラフトされた無水マレイン酸でもよい。
【0121】
図10は、人工芝生1000の一例の断面の一例を示す。人工芝生1000は、人工芝生下地1002を備える。人工芝生繊維1004が人工芝生下地1002にタフティングされている。人工芝生下地1002の下部にはコーティング1006が示されている。コーティングは、人工芝生繊維1004を人工芝生下地1002に結び付け又は固定するように機能することができる。コーティング1006は任意選択でもよい。例えば、代替的に、人工芝生繊維1004は人工芝生下地1002に織り込まれてもよい。様々なタイプの糊、コーティング、又は接着剤がコーティング1006のために使用され得る。人工芝生繊維1004は、人工芝生下地1002の上方に距離1008だけ延在するように示されている。距離1008は、本質的には人工芝生繊維1004のパイルの高さである。人工芝生繊維1004内の糸状領域の長さは、距離1008の半分であるか又はそれより短い。
【0122】
先に記載した実施形態のうちの1つ又は複数と組み合わせられ得る本開示の別の実施形態によれば、人工芝生1000などの人工芝生を製造する方法は、ポリマー混合物400などのポリマー混合物を作成する段階、ここで、ポリマー混合物は少なくとも三相系である、を備える。ポリマー混合物は、第1ポリマー、第2ポリマー、及び相溶化剤を含む。第1ポリマーはポリアミド(PA)であり、第2ポリマーはポリエチレン(PE)である。第1ポリマーは0.125重量パーセントから5重量パーセントの量で含まれ、第2ポリマーは60重量パーセントから97重量パーセントの量で含まれ、相溶化剤は0.375重量パーセントから15重量パーセントの量で含まれる。第1ポリマー及び第2ポリマーは非混和性であり、第1ポリマーは、第2ポリマー内で相溶化剤によって囲まれたポリマービーズを形成する。
【0123】
方法は、ポリマー混合物を押し出してモノフィラメントにする段階、モノフィラメントを焼き入れする段階、モノフィラメントを再加熱する段階、再加熱されたモノフィラメントを延伸してポリマービーズを繊維領域へと変形させ、モノフィラメントを人工芝生繊維へと形成する段階を更に備え得る。繊維領域は第1ポリマーを含み、相溶化剤によって少なくとも部分的に囲まれ、相溶化剤によって第2ポリマーから分離される。繊維領域は中央に位置付けられ、従って繊維領域は形成後に剥離しない。方法は、人工芝生繊維を人工芝生下地に組み込む段階を更に備え得る。
【0124】
一実施形態において、ポリアミドは、好ましくはナイロン(例えばナイロン6)である。しかしながら、本開示の範囲は他のポリアミドを包含し、自然に及び人工的に発生するポリアミドの両方を含み得る。例えば、本開示のポリアミドは、ウール及びシルクなどの自然に発生するポリアミド(例えばタンパク質)、及び例えばアラミド及びポリ(アスパラギン酸)ナトリウムなどの人工的に作製されたポリアミドを含み得る。
【0125】
好ましい一実施形態において、第2ポリマーはDOW(登録商標)によって生産されているポリエチレン樹脂などのポリエチレンであるが、本開示の範囲は、再生可能ポリエチレン(すなわち化石燃料ではなく再生可能資源から生産/提供されるポリエチレン)などの他のポリエチレンを包含する。例えば、本開示の範囲は、高密度及び低密度ポリエチレンがサトウキビに由来するバイオエタノールから生産される、サトウキビから生産されるポリエチレンを含む。本開示の実施形態は、小麦粒及びサトウダイコンなどの他の供給原料から作製されたポリエチレンも企図する。
【0126】
驚くことに、PA/PEポリマー混合物の相溶化剤の含有量を多くすること、好ましくは0.125重量パーセントから5重量パーセントの量で含まれた第1ポリマー、60重量パーセントから97重量パーセントの量で含まれた第2ポリマー、及び0.375重量パーセントから15重量パーセントの量で含まれた相溶化剤を含むPA/PEポリマー混合物の相溶化剤の含有量を多くすることにより、混合物の流れ特性が有利に変化して混合物の質量がより一様になり、それによって混合物の加工中に混合物の圧力及び温度がより均一になり、エネルギー消費の変動が回避され、且つノズル及び/又はダイプレートから混合物を押し出すのに際して且つ押し出した後に混合物が分離しなくなるということを、出願人は発見した。相溶化剤及び第1ポリマー(例えばポリアミド)は、約5部対1部(5:1部)から約2:1部の定められた比で、より好ましくは約4:1から2.5:1の定められた比で、更により好ましくは約3:1の定められた比で、調合物中に存在し得る。
【0127】
別の実施形態によれば、相溶化剤はエチレンエチルアクリレート(すなわちエチレン及びアクリル酸エチルの触媒共重合によって生み出された塩基性樹脂からなるコポリマー)を含むことが好ましい。しかしながら、本開示の範囲は、上に開示したマレイン酸無水物などの他の相溶化剤を包含する。本開示のポリマー混合物の実施形態は、ノズル及び/又はダイプレートでの離れがより速くなる(すなわちノズル及び/又はダイプレートから混合物を押し出す際の離れがより速くなる)という有利な効果を有し、又は換言すると、より効率的且つより均一に、及び/又は廃棄される材料をより少なくモノフィラメントを生成する押出し段階を提供し、人工芝生繊維がより大きい極性、より良好な耐摩耗性、より良好な破断伸び、良好な復元力及び張力、人工芝生下地への組み込みにおけるより高い適正、及び/又はフィールドホッケーヤーンとしてのより高い適正を有するという有利な効果も提供することができる。更に、エチレンエチルアクリレート相溶化剤を含む本発明のポリマー混合物により、人工芝生繊維製造機の耐用期間も最適化され、特に押出し機械及び/又は例えばノズル及び/又はダイプレートなどの構成要素の耐用期間及び/又は使用が延長され、こうした構成要素の洗浄の間の期間が延長される(例えば超音波洗浄の期間が延長される)。例えば、開示されたポリマー混合物の実施形態により、ノズル及び/又はダイの洗浄の間の期間は、無水物相溶化剤を使用したときの2~3日からエチレンエチルアクリレート相溶化剤を使用したときの2~3週間へと延びる。
【0128】
一実施形態において、相溶化剤対第1ポリマーの重量比は2:1~4:1の範囲であり、好ましくは3:1である。
【0129】
更に別の実施形態において、第2ポリマーのポリエチレンは、少なくとも第1直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び第2LLDPEを含む。第1LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約0.9g/10分から約1.1g/10分のメルトフローレートを有し、第2LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約2.2g/10分から約2.4g/10分のメルトフローレートを有する。LLDPEの適当な例示的実施形態は、DOW(登録商標)によって製造されている。
【0130】
一実施形態において、第1LLDPE及び第2LLDPEは、それぞれ約0.90g/cmから約0.93g/cm、好ましくはそれぞれ約0.91g/cmから約0.925g/cmの密度を有する。一実施形態によれば、第1LLDPEは0.917g/cmの密度を有し、第2LLDPEは0.922g/cmの密度を有する。
【0131】
別の実施形態において、第1LLDPE及び第2LLDPEは、約1部対20部(1:20部)から約1:4部の定められた比で調合物中に存在することが好ましく、約1:20から1:3部の定められた比で存在することがより好ましい。好ましい比は、PAの分離を軽減するという有利な効果を有し、これは最終的な適切な耐摩耗性を製品に与えるために重要である。好ましい比は、メルトインデックスとも呼ばれる調合物のメルトフローインデックス(MFI)が最適なMFIに近付くことを確実とし、これは一実施形態では第2LLDPEのMFIに対応する。分離の軽減は、押出しノズル及び/又はダイでの圧力降下が発生した場合に特に関連する。
【0132】
表1は7つのサンプル調合物を示し、それぞれの調合物は、第1LLDPE対第2LLDPEの特定の重量比、計算されたMFI、測定されたMFI、及び計算及び測定されたMFIの間の精度を有する。特定のサンプルのMFIは、第1及び第2LLDPEのMFIに依存する。
【表1】
【0133】
一実施形態において、第1LLDPE対第2LLDPEの重量比は1:20及び1:3の間であり、第1LLDPE及び第2LLDPEの混合物の(メルトフローレートとも呼ばれる)メルトフローインデックスは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約1.95g/10分から約2.25g/10分である。
【0134】
別の実施形態によれば、第2ポリマーのポリエチレンは、高密度ポリエチレン(HDPE)を更に含む。HDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約3.9g/10分から約4.1g/10分のメルトフローレートを有し、HDPEは0.1重量パーセントから15重量パーセントの量で含まれる。更に、別の実施形態では、HDPEは約0.93g/cmから約0.97g/cmの、好ましくは約0.95g/cmから約0.96g/cmの密度を有する。
【0135】
一実施形態において、ポリマー混合物は加工補助添加剤を更に含む。加工補助添加剤により、加工中の(加工混合物溶融体とも呼ばれる)ポリマー混合物の粘度が低下して、押出機スクリュー、押出機ハウジング及びノズル及び/又はダイプレートなどの押出機構成要素に堆積物が蓄積することが軽減又は防止されるので有利である。加工補助添加剤は、フルオロポリマー系加工添加剤、シロキサン、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。加工補助添加剤は、0.1重量パーセントから1.0重量パーセントの量で含まれてもよい。
【0136】
BYK-Altana及び3Mによる製品(例えばDynamar(登録商標))などの従来の加工補助添加剤は、長鎖ポリフルオロアルキル化合物などの長鎖ポリフルオロポリマーを含む。短鎖ポリフルオロポリマー(例えば短鎖ポリフルオロアルキル物質(PFAS))の使用については現在環境的な懸念があるが、長鎖ポリフルオロポリマーと短鎖ポリフルオロポリマーを分析的に区別することは困難であり、その結果として、人工芝生繊維ではフッ素の存在のみが試験される。フッ素の存在が検出されると、規制機関は通常、短鎖PFASが少なくとも不純物として存在する可能性が高いと結論付ける。従って、加工補助添加剤としてシロキサンのみを使用することの一利点は、フッ素非含有の調合物及びフッ素非含有の製品が得られるということに加えて、調合物及び製品が短鎖ポリフルオロポリマーを含むか否かについてのいかなる疑義もなくし、それによって製品が環境に有害であるといういかなる懸念も少なくするということである。
【0137】
好ましい一実施形態において、本開示の加工補助添加剤はシロキサンである。別の実施形態において、シロキサンは、0.5wt%の量でポリマー混合物に含まれて、フッ素非含有の混合物及び繊維製品をもたらす。環境的/毒物学的な懸念に対処することに加えて、加工補助添加剤としてシロキサンを使用することにより、PA/PEブレンド(すなわち混合物)の加工中に発生し得る堆積物を軽減することもできる。上に記載したように、相溶化剤によって堆積物を軽減することができるが、堆積物は、押出し工程に関連付けられる構成要素などの加工機械の構成要素に依然として蓄積し得る。シロキサン調合物のみを使用することは、ダイ及び/又はノズル寿命を約24時間から最大72時間へと延長させる技術的効果を有する。
【0138】
更に別の実施形態において、ポリマー混合物は、ヒンダードアミン光安定剤、抗酸化剤、脱酸素剤、第3LLDPE、及び/又はフィラー及び顔料のうちの少なくとも1つを有するポリマー保護混合物を更に含み得る。ポリマー保護混合物は、3.0重量パーセントから15.0重量パーセントの量で含まれ得る。一実施形態において、保護混合物はポリマー混合物の約10重量パーセントで含まれてもよく、保護混合物それ自体は、(1)14重量%のヒンダードアミン光安定剤、抗酸化剤、及び脱酸素剤;(2)45~65重量%の第3LLDPE(例えばポリマー担体);及び(3)31~41重量%のフィラー及び顔料を含み得る。
【0139】
別の実施形態において、ポリマー混合物は、0.125重量パーセントから5重量パーセントの第1ポリマー、0.375重量パーセントから15重量パーセントの相溶化剤、ヒンダードアミン光安定剤、抗酸化剤、脱酸素剤、第3LLDPE、フィラー及び顔料のうちの少なくとも1つを含む3重量パーセントから15重量パーセントのポリマー保護混合物、及び0.1重量パーセントから1.0重量パーセントの加工補助添加剤からなる。加工補助添加剤は、フルオロポリマー系加工添加剤、シロキサン、又はそれらの組み合わせである。第2ポリマーは、20重量パーセントから75重量パーセントの第1直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ここで、第1LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約0.9g/10分から約1.1g/10分のメルトフローレートを有する、5重量パーセントから25重量パーセントの第2LLDPE、ここで、第2LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約2.2g/10分から約2.4g/10分のメルトフローレートを有する、及び0.01重量パーセントから15重量パーセントの高密度ポリエチレン(HDPE)、HDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約3.9g/10分から約4.1g/10分のメルトフローレートを有する、からなる。
【0140】
更に別の実施形態によれば、ポリマー混合物は、0.25重量パーセントから2.5重量パーセントの第1ポリマー、0.75重量パーセントから7.5重量パーセントの相溶化剤、ヒンダードアミン光安定剤、抗酸化剤、脱酸素剤、第3LLDPE、フィラー及び顔料のうちの少なくとも1つを含む4重量パーセントから11重量パーセントのポリマー保護混合物、及び0.15重量パーセントから0.75重量パーセントの加工補助添加剤、ここで、加工補助添加剤は、フルオロポリマー系加工添加剤、シロキサン、又はそれらの組み合わせである、からなる。第2ポリマーは、55重量パーセントから70重量パーセントの第1直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、第1LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約0.9g/10分から約1.1g/10分のメルトフローレートを有する、10重量パーセントから20重量パーセントの第2LLDPE、第2LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約2.2g/10分から約2.4g/10分のメルトフローレートを有する、及び8重量パーセントから14重量パーセントの高密度ポリエチレン(HDPE)、HDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約3.9g/10分から約4.1g/10分のメルトフローレートを有する、からなる。
【0141】
一実施形態において、ポリマービーズは結晶部分及び非結晶部分を含み、ポリマービーズを延伸して繊維(すなわち糸状)領域にすることにより、非結晶部分に対する結晶部分のサイズが拡大する。
【0142】
別の実施形態において、ポリマー混合物を作成する段階は、第1ポリマーを相溶化剤と混合することによって第1混合物を形成する段階、第1混合物を加熱する段階、第1混合物を押し出す段階、押し出された第1混合物を粒状化する段階、粒状化された第1混合物を第2ポリマーと混合する段階、及び粒状化された第1混合物を第2ポリマーと共に加熱してポリマー混合物を形成する段階を有する。
【0143】
図11は、本開示の一実施形態による、人工芝生繊維を生産するためのモノフィラメント1100の径方向断面図を示す。径方向断面図(すなわち切り口)は、モノフィラメント1100の中心軸に対して垂直に配向される。それは、円柱状コア1102を含む円形バルジ1101、及びコア1102を囲む非円形クラッディング1104を備える。コア1102は、コアポリマー1106、及びコアポリマー1106に埋め込まれた糸状(すなわち繊維)領域1108を備える。糸状領域は糸ポリマーから形成され、これは、好ましくは高い曲げ剛性又は硬さを備えたポリマーである。一実施形態において、糸状領域は第1ポリマー402(例えば図4を参照)から形成される。一実施形態において、第1ポリマーはポリアミド、好ましくはナイロン(例えばナイロン6)である。糸状領域は、軸方向に、且つランダムな径方向位置及び/又は配向でコアポリマー1106に広がる。
【0144】
コアポリマー1106はコア体積の大部分を占め、クラッディング1104を形成するクラッディングポリマーと混和性である任意のポリマーでもよい。コアポリマー1106はコア1102の最大部分を占めるので、それは比較的安価な材料であるように選ばれることが好ましい。一実施形態において、コアポリマー1106は第2ポリマー404(例えば図4を参照)である。一実施形態において、第2ポリマーはポリエチレン(例えばポリエチレン樹脂)である。コアポリマー1106は糸ポリマー1108と非混和性であり得る。この場合、図11には図示されていないが、繊維領域は、(相溶化剤406(図4)が繊維領域402を囲むことを示す図4によって図示されているように)相溶化剤によって囲まれ、糸ポリマー1108を液体コアポリマー1106と乳化させる能力を有する。好ましい一実施形態において、繊維領域1108を囲む相溶化剤(例えば相溶化剤406)はエチレンエチルアクリレートである。しかしながら、本開示の範囲は、マレイン酸無水物などの他の相溶化剤を包含する。製造後、糸状領域は、固化されたモノフィラメント1100内でコアポリマー1106に密着して結合したままになる。
【0145】
本開示の一実施形態によれば、モノフィラメント1100は2つの突出部1110a、1110bを含む。2つの突出部は、コア1102を囲む非円形クラッディング1104の突出部である。
【0146】
別の実施形態において、ポリマー混合物を押し出してモノフィラメントにする段階は、ポリマー混合物(例えばポリマー混合物400、図4)を液体クラッディングポリマー成分(図示せず)と共押出しする段階を有する。共押出しすると、ポリマー混合物は円柱状コア1102(例えば液体円柱状コア)を形成し、液体クラッディングポリマー成分はコア1102を取り囲むクラッディング1104を形成する。
【0147】
一実施形態において、クラッディング1104は、2つの突出部1110a、1110bを有する図11によって図示されている非円形プロファイルなどの非円形プロファイルを有する。図11は、反対向きの2つの突出部1110a、1110bを備えて図示された非円形プロファイルを有するクラッディングを示すが、本発明の範囲は、1つ又は複数の突出部を含む任意のタイプの非円形プロファイルを有するクラッディングを包含する。本開示の範囲は、反対向きの及び/又は反対向きでない突出部も包含する。
【0148】
一実施形態において、図示されているように、突出部のうちの少なくとも1つのプロファイルは凹形側(例えば図12、1210を参照)を含む。しかしながら、本開示の範囲は、非凹形側(例えば凸形側又は直線側)を備えたプロファイルを有する突出部又は突出部の一部分を含む。
【0149】
一実施形態において、クラッディング1104は、流体状態においてコアポリマー1106と混和性であるように選ばれたクラッディングポリマーによって形成される。クラッディングポリマーはコアポリマー1106と同一でもよい。クラッディングポリマーがコアポリマー1106に接触する環状の円柱状ゾーン又は区域は、両方のポリマーが互いに混合される接触層(図示せず)である。従って、接触層は、単なる密着接合を伴う構成において通常発生する長距離力よりも強い力で、コア1106及びクラッディング1104を互いに接合してよい。
【0150】
クラッディング1104は、柔らかく滑らかな表面特性を提供することができるポリエチレンなどのポリマーによって形成されることが好ましい。クラッディング1104は、環境及び/又は使用者とのインターフェースとなるその機能をサポートする添加剤を含むことができる。クラッディング1104への通常の添加剤は、例えば特定の色を提供する顔料、艶消し剤、UV安定剤、アラミド繊維又はイントメッセント添加剤などの難燃性材料、抗酸化剤、殺菌剤、及び/又はクラッディング1104の柔らかさを増すワックスでもよい。
【0151】
クラッディング1104に添加剤を提供することは、これらをコア1102の外に存在したままにできるという利点を有し得る。このようにして、必要とされる単位質量当たりの高価な添加剤材料の含有量が小さくなる。一例として、外側から見えるのはクラッディング1104だけであるので、顔料をコア1102に添加する必要はない。より具体的な例として、天然の芝葉により似せるために、緑色の顔料、着色剤、及びワックスをクラッディング1104に添加することは有益であり得る。
【0152】
クラッディング1104の非円形プロファイルは、対称又は不規則、多角形、楕円形、レンズ形、平坦、尖ったもの又は細長いものでもよい。クラッディング1104は、モノフィラメントの幾何中心から反対の2方向に延在する2つの凸形セグメント、及びモノフィラメントの幾何中心から反対の別の2方向に延在する、平坦な突出部でもよい2つの突出部1110a、1110bで円形円柱状コア1102を取り囲むことによって芝の葉に似ていることが好ましい。凸形セグメント及び突出部1110a、1110bは、凸形側セグメント1112などの凸形セグメントによって交互に接合され得る。2つの突出部1110a、1110bは、コアを囲むクラッディングを備えたコアの直径と比較して実質的に平坦であるとき、モノフィラメント1110の生体模倣特性も増すことができ、それぞれのモノフィラメント1100の表面積対質量比を増加させることができ、それに応じて、こうしたモノフィラメント1110に基づく人工芝生繊維から製造される人工芝生における表面被覆度の改善を提供することができる。
【0153】
一実施形態において、フィラメントとも呼ばれ得るモノフィラメント1100は、ポリマー混合物400などのコアポリマー混合物、及びクラッディングポリマー成分を繊維生産共押出しライン(図示せず)へと送ることによって生産され得る。2つのポリマー溶融成分は互いに別々に準備され、次いで共押出し器具、すなわち紡糸口金プレートにおいて互いに合流して2つの溶融流をフィラメントへと形成し、このフィラメントは水紡糸浴槽において焼き入れ又は冷却され、異なる回転速度で回転している加熱されたゴデット及び/又は加熱オーブンを通過することによって乾燥及び延伸させられる。
【0154】
図12は、本開示の別の実施形態による、人工芝生繊維を生産するためのモノフィラメント1200の径方向断面図を示す。径方向断面図(すなわち切り口)は、モノフィラメント1200の中心軸に対して垂直に配向される。モノフィラメント1200は、ポリマー1202、及びポリマー1202に埋め込まれた糸状(すなわち繊維)領域1204を含む。糸状領域は糸ポリマーから形成され、これは、好ましくは高い曲げ剛性又は硬さを備えたポリマーである。一実施形態において、糸状領域は第1ポリマー402(例えば図4を参照)から形成される。一実施形態において、第1ポリマーはポリアミド、好ましくはナイロン(例えばナイロン6)である。糸状領域は、軸方向に、且つランダムな径方向位置及び/又は配向でポリマー1202に広がる。一実施形態において、ポリマー1202は第2ポリマー404(例えば図4を参照)である。一実施形態において、第2ポリマーはポリエチレン(例えばポリエチレン樹脂)である。
【0155】
ポリマー1202は、糸ポリマー1204と非混和性であり得る。この場合、図12には図示されていないが、繊維領域は、(相溶化剤406(図4)が繊維領域402を囲むことを示す図4によって図示されているように)相溶化剤によって囲まれ、糸ポリマー1204を液体ポリマー1202と乳化させる能力を有する。好ましい一実施形態において、繊維領域1204を囲む相溶化剤(例えば相溶化剤406)はエチレンエチルアクリレートである。別の実施形態において、相溶化剤はマレイン酸無水物である。製造後、糸状領域は、固化されたモノフィラメント1200内でポリマー1202に密着して結合したままになる。
【0156】
本開示の一実施形態によれば、モノフィラメント1200は、円形バルジ1206、及び円形バルジ1206から延在する2つの突出部1208a、1208bを含む。一実施形態において、円形バルジ1206及び2つの突出部1208a、1208bを含むモノフィラメント1200の形状は、ノズルプレート又はダイから混合物を押し出すと形成される。
【0157】
一実施形態において、図示されているように、突出部のうちの少なくとも1つのプロファイルは凹形側(例えば図12、1210を参照)を含む。しかしながら、本開示の範囲は、非凹形側(例えば凸形側又は直線側)を備えたプロファイルを有する突出部又は突出部の一部分を含む。
【0158】
モノフィラメント1200のプロファイルは、対称又は不規則;多角形、楕円形、レンズ形、平坦、尖ったもの又は細長いものでもよい。円形バルジ1206、及び平坦な突出部でもよく、モノフィラメントの幾何中心から反対方向に延在する2つの突出部1208a、1208bは、芝の葉に似るように形状設定されることが好ましい。2つの突出部1208a、1208bは、円形バルジ1206のおおよその直径と比較して実質的に平坦であるとき、モノフィラメント1200の生体模倣特性も増すことができ、それぞれのモノフィラメント1200の表面積対質量比を増加させることができ、それに応じて、こうしたモノフィラメント1200に基づく人工芝生繊維から製造される人工芝生における表面被覆度の改善を提供することができる。
【0159】
図13は、本開示の一実施形態による、中央の円形バルジ1302及び丸くなった先端1306を備える2つの突出部1304a、1304bを備える波状人工芝生繊維1300の断面プロファイルを示す。円形バルジ1302は図11の円柱状コア1102などのコアを含んでもよいが、しかしながら本開示の範囲は、円柱状コアを含まない円形バルジ1302を包含する。一実施形態によれば、波状人工芝生繊維1300は人工芝生繊維1100の波状バージョンであり、別の実施形態では、波状人工芝生繊維1300は人工芝生繊維1200の波状バージョンである。
【0160】
プロファイルは、中央バルジ1302の前方部分及び突出部の先端1306の後方部分の間の全体厚みtにわたって延在する。2つの先端1306の間の距離は、繊維1300の全体幅wである。両方の突出部は、1つの直線側1308、及び直線側1308の反対の、直線の基準線に沿って複数のノッチを備えた1つの波状側1310を備えたプロファイルを有し得る。繊維が軸方向に(すなわち2d図面へと入る方向及び出ていく方向に)延在していることを考慮すると、このプロファイルは、1つの平坦面及び1つの溝付き面を備えた突出部に対応する。しかしながら、本開示の範囲は、直線側1308、波状側1310、凸形側(図示せず)及び/又は(任意選択の凹形側1312として示されている)凹形側を備えたプロファイル又はプロファイルの一部分を有する1つ又は複数の突出部を包含する。
【0161】
突出部は、100及び180度の間の角度を含み得る。示されている非限定的な例において、突出部は、プロファイルの波状側1310の方に約135度の角度を囲む。両方の突出部は、バルジ1302の厚みの約3倍の径方向延在部を有する。単に実証する目的で、例示的な全体プロファイル幅w=1.35mm、及び全体厚みt=0.45mmと仮定すると、図13のプロファイルは0.216mmの断面積を有する。例示的な平均密度0.92g/mmでは、これは約2000dtexのヤーン重量に対応する。
【0162】
一実施形態において、突出部のうちの少なくとも1つのプロファイルは、突出部の片側の少なくとも60%にわたる波状セクション1310を含む。
【0163】
更に別の実施形態において、共押出しは180及び270℃の間の動作温度で実施される。
【0164】
別の実施形態によれば、第1ポリマー及び第2ポリマーは再生可能資源から形成されたポリマーである。例えば、第1ポリマーは、ウール及びシルクなどの再生可能ポリアミド(例えばタンパク質)でもよく、第2ポリマーは、高密度及び低密度ポリエチレンがサトウキビに由来するバイオエタノールから生産される、サトウキビから生産されるポリエチレンなどの再生可能ポリエチレンでもよい。本開示の実施形態は、小麦粒及びサトウダイコンなどの他の供給原料から作製されたポリエチレンも企図する。
【0165】
第1及び/又は第2ポリマーを形成するための再生可能資源のための適当な炭素源は、所望の物質を生産するために使用され得る製造工程、又は任意の他の天然又は人工の材料又は工程によって提供され得る。例えば、ポリマーは、例えばセルロース、デンプン、キトサン、リグニンなどの多糖類、及びウール、シルク、及びゼラチンのようなタンパク質、油、及びPHAなどの微生物産生ポリ(エステル)などの再生可能資源で作製されてもよい。その14C原子含有量が昨今生きている生物のバイオマスの14C含有量と同様又は基本的に同一である、材料を生産するために使用される任意の種類の炭素源は、再生可能炭素源と呼ばれる。大気中のCO2は、放射性炭素C14の源である。化石(石油系)炭素源はより少ない量の放射性C14同位体を含んでおり、従って同位体分析(放射性炭素年代測定)を実施することによって再生可能(バイオベース)炭素源から識別することができる。5700年後に、全14C原子のおおよそ半分が崩壊する。
【0166】
一実施形態によれば、相溶化剤はマレイン酸無水物グラフトポリエチレンである。
【0167】
いくつかの実施形態によれば、マレイン酸無水物グラフトポリエチレンは、ポリマー混合物の0.5重量パーセントから1重量パーセントである。
【0168】
好ましい実施形態によれば、無水マレイン酸グラフトポリエチレンは、置換法(すなわちASTM D792、ISO1183の試験方法)によって測定したときに0.83~1.03g/cmの密度、好ましくは0.93g/cmの密度、及び/又は190℃/2.16kg(すなわちASTM D1238、ISO1133の試験方法)で測定された1.575g/10分~1.925g/10分のメルトフローインデックス、好ましくは1.75g/10分のメルトフローインデックスを有する。
【0169】
いくつかの実施形態によれば、第1ポリマーは、第2ポリマーの0.1重量パーセントから30重量パーセントの量で含まれる。他の実施形態において、第1ポリマーは、第2ポリマーの10重量パーセントより小さいか又はそれに等しい量で、好ましくは第2ポリマーの0.4重量パーセントから10重量パーセントの量で、より好ましくは第2ポリマーの0.5重量パーセントの量で含まれる。更に他の実施形態において、第1ポリマーは、第2ポリマーの0.1重量パーセントから5重量パーセントの量で、好ましくは第2ポリマーの0.4重量パーセント~5重量パーセントの量で、より好ましくは第2ポリマーの0.4重量パーセント~1.0重量パーセントの量で含まれる。
【0170】
別の実施形態によれば、本開示は、ポリマー混合物を作成する段階、ここで、ポリマー混合物は少なくとも三相系であり、ここで、ポリマー混合物は第1ポリマー、第2ポリマー、及び相溶化剤を含み、ここで、第1ポリマーはポリアミド(PA)であり、第2ポリマーはポリエチレン(PE)であり、ここで、第1ポリマーは、0.125重量パーセントから5重量パーセントの量で含まれ、第2ポリマーは、60重量パーセントから97重量パーセントの量で含まれ、相溶化剤は、0.375重量パーセントから15重量パーセントの量で含まれ、ここで、第1ポリマー及び第2ポリマーが非混和性であり、第1ポリマーは、第2ポリマー内で相溶化剤によって囲まれたポリマービーズを形成する;ポリマー混合物を押し出し、焼き入れ、再加熱及び延伸してポリマービーズを繊維領域へと変形させ、モノフィラメントを人工芝生繊維へと形成する段階;及び人工芝生繊維を人工芝生下地に組み込む段階によって製造される人工芝生を提供する。相溶化剤は、エチレンエチルアクリレート(EEA)、又はマレイン酸無水物グラフトポリエチレンであることが好ましい。
【0171】
一実施形態において、人工芝生繊維は、人工芝生下地を越えて予め定められた長さを延在し、繊維領域は、当該予め定められた長さの半分より短い長さを有する。
【0172】
別の実施形態において、繊維領域は2mmより短い長さを有する。
【0173】
別の実施形態によれば、本開示は、人工芝生下地;及び複数の繊維を含む人工芝生ヤーンを含む人工芝生を提供し、複数の繊維のそれぞれは、エチレンエチルアクリレートを含む相溶化剤及びポリエチレンによって実質的に囲まれたポリアミド繊維領域を含む。相溶化剤はポリアミド及びポリエチレンの間に位置しており、従って繊維領域は中央に位置付けられ、剥離しない。
【0174】
別の実施形態において、繊維領域は1及び3マイクロメートルの間の直径、及び2mmより短い長さを有する。
【0175】
別の実施形態において、複数の繊維のそれぞれはモノフィラメントを含み、モノフィラメントは、170マイクロメートルから600マイクロメートルの直径を有する。
【0176】
別の実施形態において、人工芝生ヤーンは複数のヤーン束を含み、それぞれのヤーン束は、互いに撚られ、リワインディングヤーンで巻かれた複数の繊維のうちのいくつかの繊維を含む。
【0177】
[符号の説明]
100 ポリマー混合物を作成する
102 ポリマー混合物を押し出してモノフィラメントにする
104 モノフィラメントを焼き入れする
106 モノフィラメントを再加熱する
108 再加熱されたモノフィラメントを延伸してポリマービーズを糸状領域へと変形させ、モノフィラメントを人工芝生繊維へと形成する
110 人工芝生繊維を人工芝生カーペットに組み込む
112 任意選択で人工芝生繊維を人工芝生カーペットに結び付ける
200 第1ポリマーを相溶化剤と混合することによって第1混合物を形成する
202 第1混合物を加熱する
204 第1混合物を押し出す
206 押し出された第1混合物を粒状化する
208 粒状化された第1混合物を第2ポリマーと混合する
210 粒状化された第1混合物を第2ポリマーと共に加熱してポリマー混合物を形成する
300 第1ポリマー及び第3ポリマーを相溶化剤と混合することによって第1混合物を形成する
302 第1混合物を加熱する
304 第1混合物を押し出す
306 押し出された第1混合物を粒状化する
308 第1混合物を第2ポリマーと混合する
310 混合された第1混合物を第2ポリマーと共に加熱してポリマー混合物を形成する
400 ポリマー混合物
402 第1ポリマー
404 第2ポリマー
406 相溶化剤
408 ポリマービーズ
500 ポリマー混合物
502 第3ポリマー
600 ポリマー混合物
602 プレート
604 穴
606 モノフィラメント
606' 延伸されたモノフィラメント
700 延伸の方向
800 糸状構造体
1000 人工芝生
1002 人工芝生カーペット
1004 人工芝生繊維(パイル)
1006 コーティング
1008 パイルの高さ
1100 モノフィラメント
1101 円形バルジ
1102 コア
1104 クラッディング
1106 コアポリマー
1108 繊維領域
1110 突出部
1112 凸形セグメント
1200 モノフィラメント
1202 ポリマー
1204 繊維領域
1206 円形バルジ
1208 突出部
1212 凸形セグメント
1300 繊維
1302 円形バルジ
1304 突出部
1306 先端
1308 直線側
1310 波状側
1312 凹形側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー混合物を作成する段階、ここで、前記ポリマー混合物は少なくとも三相系であり、ここで、前記ポリマー混合物は第1ポリマー、第2ポリマー、及び相溶化剤を含み、ここで、前記第1ポリマー及び前記第2ポリマーは非混和性であり、ここで、前記第1ポリマーは、前記第2ポリマー内で前記相溶化剤によって囲まれたポリマービーズを形成する;
前記ポリマー混合物を押し出してモノフィラメントにする段階;
前記モノフィラメントを焼き入れする段階;
前記モノフィラメントを再加熱する段階;
前記再加熱されたモノフィラメントを延伸して前記ポリマービーズを繊維領域へと変形させ、前記モノフィラメントを人工芝生繊維へと形成する段階、前記繊維領域は前記第1ポリマーを含み、前記繊維領域は前記相溶化剤によって少なくとも部分的に囲まれ、前記相溶化剤によって前記第2ポリマーから分離され、前記繊維領域は中央に位置付けられ、従って前記繊維領域は形成後に剥離せず、前記延伸されたモノフィラメントは円形バルジ、及び前記円形バルジから反対方向に延在する2つの突出部を含む;
前記人工芝生繊維を人工芝生下地に組み込む段階
を備える、人工芝生を製造する方法。
【請求項2】
前記第1ポリマーはポリアミドを含み、前記第2ポリマーはポリエチレンを含み、前記第1ポリマーは、0.125重量パーセントから5重量パーセントの量で含まれ、前記第2ポリマーは、60重量パーセントから97重量パーセントの量で含まれ、前記相溶化剤は、0.375重量パーセントから15重量パーセントの量で含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2ポリマーの前記ポリエチレンは、少なくとも第1直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び第2LLDPEを含み、前記第1LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約0.9g/10分から約1.1g/10分のメルトフローレートを有し、前記第2LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約2.2g/10分から約2.4g/10分のメルトフローレートを有する、請項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1LLDPE対前記第2LLDPEの重量比は1:20及び1:3の間であり、前記第1LLDPE及び前記第2LLDPEの混合物のメルトフローレートは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約1.95g/10分から約2.25g/10分である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2ポリマーの前記ポリエチレンは高密度ポリエチレン(HDPE)を更に含み、前記HDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約3.9g/10分から約4.1g/10分のメルトフローレートを有し、前記HDPEは、0.1重量パーセントから15重量パーセントの量で含まれる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマー混合物は、
0.125重量パーセントから5重量パーセントの前記第1ポリマー、
0.375重量パーセントから15重量パーセントの前記相溶化剤、
ヒンダードアミン光安定剤、抗酸化剤、脱酸素剤、第3LLDPE、フィラー及び顔料のうちの少なくとも1つを含む、3重量パーセントから15重量パーセントのポリマー保護混合物、及び
0.1重量パーセントから1.0重量パーセントの加工補助添加剤、ここで、前記加工補助添加剤は、フルオロポリマー系加工添加剤、又はシロキサンを含む、
からなり、
前記第2ポリマーは、
20重量パーセントから75重量パーセントの第1直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、前記第1LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約0.9g/10分から約1.1g/10分のメルトフローレートを有する、
5重量パーセントから25重量パーセントの第2LLDPE、前記第2LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約2.2g/10分から約2.4g/10分のメルトフローレートを有する、及び
0.01重量パーセントから15重量パーセントの高密度ポリエチレン(HDPE)、前記HDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約3.9g/10分から約4.1g/10分のメルトフローレートを有する、
からなる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマー混合物は、
0.25重量パーセントから2.5重量パーセントの前記第1ポリマー、
0.75重量パーセントから7.5重量パーセントの前記相溶化剤、
ヒンダードアミン光安定剤、抗酸化剤、脱酸素剤、第3LLDPE、フィラー及び顔料のうちの少なくとも1つを含む、4重量パーセントから11重量パーセントのポリマー保護混合物、及び
0.15重量パーセントから0.75重量パーセントの加工補助添加剤、ここで、前記加工補助添加剤は、フルオロポリマー系加工添加剤、又はシロキサンを含む、
からなり、
前記第2ポリマーは、
55重量パーセントから70重量パーセントの第1直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、前記第1LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約0.9g/10分から約1.1g/10分のメルトフローレートを有する、
10重量パーセントから20重量パーセントの第2LLDPE、前記第2LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約2.2g/10分から約2.4g/10分のメルトフローレートを有する、及び
8重量パーセントから14重量パーセントの高密度ポリエチレン(HDPE)、前記HDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約3.9g/10分から約4.1g/10分のメルトフローレートを有する、
からなる、請項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマー混合物を押し出してモノフィラメントにする前記段階は、前記ポリマー混合物を液体クラッディングポリマー成分と共押出しする段階を有し、前記ポリマー混合物は円柱状コアを形成し、前記液体クラッディングポリマー成分は、前記円柱状コアを取り囲むクラッディングを形成し、前記クラッディングは非円形プロファイルを有する、請項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
共押出しする前記段階は、前記円柱状コアから反対方向に延在する2つの突出部を備えた前記クラッディングを形成する段階を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記突出部のうちの少なくとも1つのプロファイルは凹形側を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記突出部のうちの少なくとも1つのプロファイルは、前記少なくとも1つの突出部の片側の少なくとも60%にわたる波状セクションを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
人工芝生繊維であって、第1ポリマーの繊維領域を備え、前記繊維領域は、相溶化剤及び第2ポリマーによって実質的に囲まれており、前記相溶化剤は、前記第1ポリマー及び前記第2ポリマーの間に位置しており、従って前記繊維領域は中央に位置付けられ、剥離せず、前記人工芝生繊維は、円形バルジ、及び前記円形バルジから反対方向に延在する2つの突出部を更に備える、人工芝生繊維。
【請求項13】
前記第1ポリマーはポリアミドを含み、前記第2ポリマーはポリエチレンを含み、
前記第1ポリマーは0.125重量パーセントから5重量パーセントの量で含まれており、
前記第2ポリマーは60重量パーセントから97重量パーセントの量で含まれており、
前記相溶化剤は0.375重量パーセントから15重量パーセントの量で、特に0.5重量パーセントから1.0重量パーセントの量で含まれている、
請求項12に記載の人工芝生繊維。
【請求項14】
人工芝生下地;及び
請求項12又は13に記載の複数の人工芝生繊維
を備える人工芝生。
【請求項15】
請求項1又は2に記載の製造方法によって得ることができる人工芝生。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0176
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0176】
別の実施形態において、人工芝生ヤーンは複数のヤーン束を含み、それぞれのヤーン束は、互いに撚られ、リワインディングヤーンで巻かれた複数の繊維のうちのいくつかの繊維を含む
[項目1]
ポリマー混合物を作成する段階、ここで、前記ポリマー混合物は少なくとも三相系であり、ここで、前記ポリマー混合物は第1ポリマー、第2ポリマー、及び相溶化剤を含み、ここで、前記第1ポリマー及び前記第2ポリマーは非混和性であり、ここで、前記第1ポリマーは、前記第2ポリマー内で前記相溶化剤によって囲まれたポリマービーズを形成する;
前記ポリマー混合物を押し出してモノフィラメントにする段階;
前記モノフィラメントを焼き入れする段階;
前記モノフィラメントを再加熱する段階;
前記再加熱されたモノフィラメントを延伸して前記ポリマービーズを繊維領域へと変形させ、前記モノフィラメントを人工芝生繊維へと形成する段階、前記繊維領域は前記第1ポリマーを含み、前記繊維領域は前記相溶化剤によって少なくとも部分的に囲まれ、前記相溶化剤によって前記第2ポリマーから分離され、前記繊維領域は中央に位置付けられ、従って前記繊維領域は形成後に剥離しない;
前記人工芝生繊維を人工芝生下地に組み込む段階
を備える、人工芝生を製造する方法。
[項目2]
前記第1ポリマーはポリアミドを含み、前記第2ポリマーはポリエチレンを含み、前記第1ポリマーは、0.125重量パーセントから5重量パーセントの量で含まれ、前記第2ポリマーは、60重量パーセントから97重量パーセントの量で含まれ、前記相溶化剤は、0.375重量パーセントから15重量パーセントの量で含まれる、項目1に記載の方法。
[項目3]
前記相溶化剤は、0.5重量パーセントから1.0重量パーセントの量で含まれる、前述の項目のいずれか1項に記載の方法。
[項目4]
前記相溶化剤はマレイン酸無水物グラフトポリエチレンである、前述の項目のいずれか1項に記載の方法。
[項目5]
前記相溶化剤はエチレンエチルアクリレートであるか又はエチレンエチルアクリレートを含む、項目1から3のいずれか1項に記載の方法。
[項目6]
前記第2ポリマーの前記ポリエチレンは、少なくとも第1直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び第2LLDPEを含み、前記第1LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約0.9g/10分から約1.1g/10分のメルトフローレートを有し、前記第2LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約2.2g/10分から約2.4g/10分のメルトフローレートを有する、前述の項目のいずれか1項に記載の方法。
[項目7]
前記第1LLDPE対前記第2LLDPEの重量比は1:20及び1:3の間であり、前記第1LLDPE及び前記第2LLDPEの前記混合物のメルトフローレートは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約1.95g/10分から約2.25g/10分である、項目6に記載の方法。
[項目8]
前記第2ポリマーの前記ポリエチレンは高密度ポリエチレン(HDPE)を更に含み、前記HDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約3.9g/10分から約4.1g/10分のメルトフローレートを有し、前記HDPEは、0.1重量パーセントから15重量パーセントの量で含まれる、項目6又は7に記載の方法。
[項目9]
前記ポリマー混合物は加工補助添加剤を更に含み、前記加工補助添加剤は、フルオロポリマー系加工添加剤、シロキサン、又はそれらの組み合わせを含み、前記加工補助添加剤は0.1重量パーセントから1.0重量パーセントの量で含まれる、任意の前述の項目に記載の方法。
[項目10]
前記ポリマー混合物は、ヒンダードアミン光安定剤、抗酸化剤、脱酸素剤、第3LLDPE、フィラー及び顔料のうちの少なくとも1つを含むポリマー保護混合物を更に含み、前記ポリマー保護混合物は、3.0重量パーセントから15.0重量パーセントの量で含まれる、任意の前述の項目に記載の方法。
[項目11]
前記ポリマー混合物は、
0.125重量パーセントから5重量パーセントの前記第1ポリマー、
0.375重量パーセントから15重量パーセントの前記相溶化剤、
ヒンダードアミン光安定剤、抗酸化剤、脱酸素剤、第3LLDPE、フィラー及び顔料のうちの少なくとも1つを含む、3重量パーセントから15重量パーセントのポリマー保護混合物、及び
0.1重量パーセントから1.0重量パーセントの加工補助添加剤、ここで、前記加工補助添加剤は、フルオロポリマー系加工添加剤、又はシロキサンを含む、
からなり、
前記第2ポリマーは、
20重量パーセントから75重量パーセントの第1直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、前記第1LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約0.9g/10分から約1.1g/10分のメルトフローレートを有する、
5重量パーセントから25重量パーセントの第2LLDPE、前記第2LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約2.2g/10分から約2.4g/10分のメルトフローレートを有する、及び
0,01重量パーセントから15重量パーセントの高密度ポリエチレン(HDPE)、前記HDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約3.9g/10分から約4.1g/10分のメルトフローレートを有する、
からなる、任意の前述の項目に記載の方法。
[項目12]
前記ポリマー混合物は、
0.25重量パーセントから2.5重量パーセントの前記第1ポリマー、
0.75重量パーセントから7.5重量パーセントの前記相溶化剤、
ヒンダードアミン光安定剤、抗酸化剤、脱酸素剤、第3LLDPE、フィラー及び顔料のうちの少なくとも1つを含む、4重量パーセントから11重量パーセントのポリマー保護混合物、及び
0.15重量パーセントから0.75重量パーセントの加工補助添加剤、ここで、前記加工補助添加剤は、フルオロポリマー系加工添加剤、又はシロキサンを含む、
からなり、
前記第2ポリマーは、
55重量パーセントから70重量パーセントの第1直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、前記第1LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約0.9g/10分から約1.1g/10分のメルトフローレートを有する、
10重量パーセントから20重量パーセントの第2LLDPE、前記第2LLDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約2.2g/10分から約2.4g/10分のメルトフローレートを有する、及び
8重量パーセントから14重量パーセントの高密度ポリエチレン(HDPE)、前記HDPEは、DIN EN ISO1133 190℃/2.16kgに従って測定したときに約3.9g/10分から約4.1g/10分のメルトフローレートを有する、
からなる、任意の前述の項目に記載の方法。
[項目13]
前記ポリマービーズは結晶部分及び非結晶部分を含み、前記ポリマービーズを延伸して前記繊維領域にすることにより、前記非結晶部分に対する前記結晶部分のサイズが拡大する、任意の前述の項目に記載の方法。
[項目14]
前記ポリマー混合物を作成する前記段階は、
前記第1ポリマーを前記相溶化剤と混合することによって第1混合物を形成する段階;
前記第1混合物を加熱する段階;
前記第1混合物を押し出す段階;
前記押し出された第1混合物を粒状化する段階;
前記粒状化された第1混合物を前記第2ポリマーと混合する段階;及び
前記粒状化された第1混合物を前記第2ポリマーと共に加熱して前記ポリマー混合物を形成する段階
を有する、任意の前述の項目に記載の方法。
[項目15]
前記延伸されたモノフィラメントは、円形バルジ、及び前記円形バルジから反対方向に延在する2つの突出部を含む、前述の項目のいずれか1項に記載の方法。
[項目16]
前記ポリマー混合物を押し出してモノフィラメントにする前記段階は、前記ポリマー混合物を液体クラッディングポリマー成分と共押出しする段階を有し、前記ポリマー混合物は円柱状コアを形成し、前記液体クラッディングポリマー成分は、前記コアを取り囲むクラッディングを形成し、前記クラッディングは非円形プロファイルを有する、先の項目のいずれか1項に記載の方法。
[項目17]
共押出しする前記段階は、前記コアから反対方向に延在する2つの突出部を備えた前記クラッディングを形成する段階を更に含む、項目16に記載の方法。
[項目18]
前記突出部のうちの少なくとも1つの前記プロファイルは凹形側を含む、項目16に記載の方法。
[項目19]
前記突出部のうちの少なくとも1つの前記プロファイルは、前記少なくとも1つの突出部の片側の少なくとも60%にわたる波状セクションを含む、項目16に記載の方法。
[項目20]
前記第1ポリマー及び前記第2ポリマーは再生可能資源から形成されたポリマーである、任意の前述の項目に記載の方法。
[項目21]
第1ポリマーの繊維領域を備え、前記繊維領域は、相溶化剤及び第2ポリマーによって実質的に囲まれており、前記相溶化剤は、前記第1ポリマー及び前記第2ポリマーの間に位置しており、従って前記繊維領域は中央に位置付けられ、剥離しない、人工芝生繊維。
[項目22]
前記相溶化剤は、マレイン酸無水物グラフトポリエチレン又はエチレンエチルアクリレートである、項目21に記載の人工芝生繊維。
[項目23]
前記第1ポリマーはポリアミドを含み、前記第2ポリマーはポリエチレンを含み、
前記第1ポリマーは0.125重量パーセントから5重量パーセントの量で含まれており、
前記第2ポリマーは60重量パーセントから97重量パーセントの量で含まれており、
前記相溶化剤は0.375重量パーセントから15重量パーセントの量で、特に0.5重量パーセントから1.0重量パーセントの量で含まれている、
項目21から22のいずれか1項に記載の人工芝生繊維。
[項目24]
人工芝生下地;及び
項目21から23のいずれか1項に記載の複数の人工芝生繊維
を備える人工芝生。
[項目25]
項目1から20のいずれか1項に記載の製造方法によって得ることができる人工芝生。
[項目26]
前記人工芝生繊維は、前記人工芝生下地を越えて予め定められた長さを延在し、前記繊維領域は、前記予め定められた長さの半分より短い長さを有する、項目24又は25に記載の人工芝生。
【国際調査報告】