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特表2024-545569合わせガラスアセンブリ、信号伝送システム及び車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】合わせガラスアセンブリ、信号伝送システム及び車両
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20241203BHJP
   G02B 5/28 20060101ALI20241203BHJP
   G02B 5/26 20060101ALI20241203BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20241203BHJP
   G01S 7/481 20060101ALI20241203BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20241203BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20241203BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20241203BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
C03C27/12 K
G02B5/28
G02B5/26
G02B5/22
G01S7/481 A
G01S17/931
G01S7/03 246
G01S13/931
B60J1/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526512
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 CN2022129798
(87)【国際公開番号】W WO2023078381
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】202111305472.4
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516151818
【氏名又は名称】フーイャォ グラス インダストリー グループ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シーシン
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ユェミン
(72)【発明者】
【氏名】グァン,ジンリャン
【テーマコード(参考)】
2H148
4G061
5J070
5J084
【Fターム(参考)】
2H148CA17
2H148CA23
2H148FA09
2H148FA12
2H148FA22
2H148GA01
2H148GA09
2H148GA12
2H148GA24
2H148GA33
2H148GA61
4G061AA09
4G061AA25
4G061AA29
4G061BA02
4G061CB16
4G061CD18
5J070AB24
5J070AE20
5J070AF03
5J084AB20
5J084AC02
(57)【要約】
合わせガラスアセンブリ(100)、信号伝送システム(10)及び車両(1)が提供される。合わせガラスアセンブリ(100)は、合わせガラス(110)、電波透過層(120)及び断熱層(130)を備える。合わせガラス(110)は、信号伝送領域(Q1)及び非信号伝送領域(Q2)を有する。電波透過層(120)は合わせガラス(110)に載せられており、電波透過層(120)の合わせガラス(110)における正投影は、信号伝送領域(Q1)及び非信号伝送領域(Q2)を覆う。断熱層(130)は合わせガラス(110)に載せられており、断熱層(130)の合わせガラス(110)における正投影は、非信号伝送領域(Q2)を覆い、且つ信号伝送領域(Q1)を回避する。本出願の合わせガラスアセンブリは断熱機能と局部の高い赤外光透過率という機能を両立させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合わせガラスアセンブリであって、
前記合わせガラスアセンブリは、合わせガラス、電波透過層及び断熱層を備え、
前記合わせガラスは、信号伝送領域及び非信号伝送領域を有し、
前記電波透過層は前記合わせガラスに載せられており、前記電波透過層の前記合わせガラスにおける正投影は、前記信号伝送領域及び前記非信号伝送領域を覆い、
前記断熱層は前記合わせガラスに載せられており、前記断熱層の前記合わせガラスにおける正投影は、前記非信号伝送領域を覆い、且つ前記信号伝送領域を回避する、
ことを特徴とする合わせガラスアセンブリ。
【請求項2】
前記合わせガラスは、第1透明基板、第2透明基板及び接着フィルムを備え、
前記第1透明基板は、第1表面と前記第1表面に対向して設けられた第2表面とを有し、
前記第2透明基板は、第3表面と前記第3表面に対向して設けられた第4表面とを有し、前記第4表面と比べて、前記第3表面は前記第2表面により近く、
前記接着フィルムは、前記第1透明基板と前記第2透明基板とを接着するために用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項3】
前記第2透明基板、前記接着フィルム及び前記断熱層はいずれも、互いに連通する貫通孔を有し、且つ各前記貫通孔は少なくとも一部が前記信号伝送領域に位置し、前記電波透過層は前記第2表面に設けられており、前記断熱層は、前記第2透明基板に近い前記電波透過層の表面に設けられており、又は、前記断熱層は前記第3表面に設けられており、又は、前記断熱層は前記接着フィルム内に設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項4】
前記断熱層及び前記接着フィルムはいずれも、互いに連通する貫通孔を有し、且つ各前記貫通孔は少なくとも一部が前記信号伝送領域に位置し、前記電波透過層は前記第4表面に設けられており、前記断熱層は前記第2表面に設けられており、又は、前記断熱層は前記第3表面に設けられており、又は、前記断熱層は前記接着フィルム内に設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項5】
前記断熱層及び前記接着フィルムはいずれも、互いに連通する貫通孔を有し、且つ各前記貫通孔は少なくとも一部が前記信号伝送領域に位置し、前記電波透過層は前記第3表面に設けられており、前記断熱層は前記第2表面に設けられており、又は、前記断熱層は前記第1透明基板に近い前記電波透過層の表面に設けられており、又は、前記断熱層は前記接着フィルム内に設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項6】
複数の前記貫通孔は、前記合わせガラスアセンブリの内部領域又は縁部に設けられており、前記信号伝送領域の前記第2表面における正投影の面積Sは、S≧50mm*80mmである、
ことを特徴とする請求項3~5のいずれか一項に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項7】
前記接着フィルムの貫通孔に充填材が充填されており、前記充填材は、波長が380nm~1650nm又は3mm~30mmの範囲にある、垂直に入射する検出信号に対して、2%以下の遮断率を有し、且つ前記充填材は、波長が380nm~1650nm又は3mm~30mmの範囲にある、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対して、5%以下の遮断率を有する、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項8】
前記電波透過層の前記合わせガラスにおける正投影は前記合わせガラスの面積の70%以上を占め、前記断熱層の前記合わせガラスにおける正投影は前記合わせガラスの面積の70%以上を占め、前記電波透過層の前記合わせガラスにおける正投影と前記断熱層の前記合わせガラスにおける正投影との重なり領域は、前記断熱層の前記合わせガラスにおける正投影の面積の80%以上を占める、
ことを特徴とする請求項1に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項9】
前記電波透過層と前記断熱層との重なり領域は、53%以下の総太陽エネルギー透過率を有し、前記信号伝送領域は、波長が380nm~1650nm又は3mm~30mmの範囲にある、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対して、85%以上の透過率を有する、
ことを特徴とする請求項8に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項10】
前記電波透過層は、高屈折率層及び低屈折率層を含む積層構造を少なくとも1つ備え、前記高屈折率層の屈折率が1.9~2.6であり、前記低屈折率層の屈折率が1.3~1.8であり、前記断熱層は、金属銀層、銀合金層又は透明導電酸化物層のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項11】
前記電波透過層がある場合の前記信号伝送領域の、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対する透過率は、前記電波透過層がない場合の前記信号伝送領域の、55°~70°の入射角で入射する前記検出信号に対する透過率より少なくとも3%大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項12】
前記第2透明基板は、着色されたガラスである、
ことを特徴とする請求項3に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項13】
前記接着フィルムは、断熱性能を有する接着フィルムである、
ことを特徴とする請求項3~5のいずれか一項に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項14】
信号伝送システムであって、
前記信号伝送システムは、検出器と請求項1~13のいずれか一項に記載の合わせガラスアセンブリとを備え、前記検出器は前記信号伝送領域に対応して設けられており、前記検出器によって送信及び/又は受信される検出信号は、前記信号伝送領域を透過し、前記検出信号の波長は、380nm~1650nm又は3mm~30mmの範囲にあり、前記検出信号は、55°~70°の入射角で前記信号伝送領域に入射する、
ことを特徴とする信号伝送システム。
【請求項15】
前記第2透明基板、前記接着フィルム及び前記断熱層がいずれも、互いに連通する貫通孔を有する場合、前記検出器は複数の前記貫通孔のうちの少なくとも1つの貫通孔内に設けられており、且つ前記検出器と前記第2表面との間の距離dは、0mm≦d≦1mmの範囲にあり、又は、前記検出器は前記第1透明基板から離れた前記第2透明基板の片側に設けられており、且つ前記検出器と前記第4表面との間の距離dは、0mm≦d≦25mmの範囲にあり、
前記接着フィルム及び前記断熱層のみがいずれも、互いに連通する貫通孔を有する場合、前記検出器は前記第1透明基板から離れた前記第2透明基板の片側に設けられており、且つ前記検出器と前記第4表面との間の距離dは、0mm≦d≦25mmの範囲にある、
ことを特徴とする請求項14に記載の信号伝送システム。
【請求項16】
前記検出信号は、円偏光、又はP偏光、又はP偏光とS偏光との混合光であり、前記混合光における前記P偏光の割合が50%以上である、
ことを特徴とする請求項14に記載の信号伝送システム。
【請求項17】
前記検出器は、可視光カメラ、近赤外線カメラ、レーザーレーダー又はミリ波レーダーである、
ことを特徴とする請求項14に記載の信号伝送システム。
【請求項18】
車両であって、
前記車両は、車体と請求項14~17のいずれか一項に記載の信号伝送システムとを備え、前記信号伝送システムは前記車体に搭載されている、
ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、発明の名称が「合わせガラスアセンブリ、信号伝送システム及び車両」である、2021年11月05日に出願された中国特許出願第202111305472.4号の優先権を主張し、そのすべての内容が引用として本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、車両の自動運転の分野に関し、具体的に、合わせガラスアセンブリ、信号伝送システム及び車両に関する。
【背景技術】
【0003】
知能型運転の自動車の発展に伴い、車内に検出器を取り付けるという応用需要が徐々に多くなっており、また、車両の窓ガラスに断熱ガラスが多く利用されるようになる。検出器からの検出信号が断熱ガラスを通過する際、断熱ガラスに吸収及び/又は反射される。従って、検出器によって伝送される検出信号に対する断熱ガラスの透過率が大幅に低下し、検出器の検出精度が低下し、検出器が正常に作動できなくなる。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、合わせガラスアセンブリを提供する。合わせガラスアセンブリは、合わせガラス、電波透過層及び断熱層を備える。合わせガラスは、信号伝送領域及び非信号伝送領域を有する。電波透過層は合わせガラスに載せられており、電波透過層の合わせガラスにおける正投影は、信号伝送領域及び非信号伝送領域を覆う。断熱層は合わせガラスに載せられており、断熱層の合わせガラスにおける正投影は、非信号伝送領域を覆い、且つ信号伝送領域を回避する。
【0005】
合わせガラスは、第1透明基板、第2透明基板及び接着フィルムを備える。第1透明基板は、第1表面と第1表面に対向して設けられた第2表面とを有する。第2透明基板は、第3表面と第3表面に対向して設けられた第4表面とを有し、第4表面と比べて、第3表面は第2表面により近い。接着フィルムは、第1透明基板と第2透明基板とを接着するために用いられる。
【0006】
第2透明基板、接着フィルム及び断熱層はいずれも、互いに連通する貫通孔を有し、且つ各貫通孔は少なくとも一部が信号伝送領域に位置する。電波透過層は第2表面に設けられている。断熱層は、第2透明基板に近い電波透過層の表面に設けられており、又は、断熱層は第3表面に設けられており、又は、断熱層は接着フィルム内に設けられている。
【0007】
断熱層及び接着フィルムはいずれも、互いに連通する貫通孔を有し、且つ各貫通孔は少なくとも一部が信号伝送領域に位置する。電波透過層は第4表面に設けられている。断熱層は第2表面に設けられており、又は、断熱層は第3表面に設けられており、又は、断熱層は接着フィルム内に設けられている。
【0008】
断熱層及び接着フィルムはいずれも、互いに連通する貫通孔を有し、且つ各貫通孔は少なくとも一部が信号伝送領域に位置する。電波透過層は第3表面に設けられている。断熱層は第2表面に設けられており、又は、断熱層は第1透明基板に近い電波透過層の表面に設けられており、又は、断熱層は接着フィルム内に設けられている。
【0009】
複数の貫通孔は、合わせガラスアセンブリの内部領域又は縁部に設けられており、信号伝送領域の第2表面における正投影の面積Sは、S≧50mm*80mmである。
【0010】
接着フィルムの貫通孔に充填材が充填されている。充填材は、波長が380nm~1650nm又は3mm~30mmの範囲にある、垂直に入射する検出信号に対して、2%以下の遮断率を有し、且つ充填材は、波長が380nm~1650nm又は3mm~30mmの範囲にある、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対して、5%以下の遮断率を有する。
【0011】
電波透過層の合わせガラスにおける正投影は、合わせガラスの面積の70%以上を占める。断熱層の合わせガラスにおける正投影は、合わせガラスの面積の70%以上を占める。電波透過層の合わせガラスにおける正投影と断熱層の合わせガラスにおける正投影との重なり領域は、断熱層の合わせガラスにおける正投影の面積の80%以上を占める。
【0012】
電波透過層と断熱層との重なり領域は、53%以下の総太陽エネルギー透過率を有する。信号伝送領域は、波長が380nm~1650nm又は3mm~30mmの範囲にある、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対して、85%以上の透過率を有する。
【0013】
電波透過層は、高屈折率層及び低屈折率層を含む積層構造を少なくとも1つ備え、高屈折率層の屈折率が1.9~2.6であり、低屈折率層の屈折率が1.3~1.8である。断熱層は、金属銀層、銀合金層又は透明導電酸化物層のうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
電波透過層がある場合の信号伝送領域の、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対する透過率は、電波透過層がない場合の信号伝送領域の、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対する透過率より少なくとも3%大きい。
【0015】
第2透明基板は、着色されたガラスである。
【0016】
接着フィルムは、断熱性能を有する接着フィルムである。
【0017】
本出願は、信号伝送システムをさらに提供する。信号伝送システムは、検出器と上述の合わせガラスアセンブリとを備える。検出器は信号伝送領域に対応して設けられている。検出器によって送信及び/又は受信される検出信号は、信号伝送領域を透過する。検出信号の波長は、380nm~1650nm又は3mm~30mmの範囲にあり、検出信号は、55°~70°の入射角で信号伝送領域に入射する。
【0018】
第2透明基板、接着フィルム及び断熱層がいずれも、互いに連通する貫通孔を有する場合、検出器は複数の貫通孔のうちの少なくとも1つの貫通孔内に設けられており、且つ検出器と第2表面との間の距離dは、0mm≦d≦1mmの範囲にある。又は、検出器は第1透明基板から離れた第2透明基板の片側に設けられており、且つ検出器と第4表面との間の距離dは、0mm≦d≦25mmの範囲にある。接着フィルム及び断熱層のみがいずれも、互いに連通する貫通孔を有する場合、検出器は第1透明基板から離れた第2透明基板の片側に設けられており、且つ検出器と第4表面との間の距離dは、0mm≦d≦25mmの範囲にある。
【0019】
検出信号は、円偏光、又はP偏光、又はP偏光とS偏光との混合光であり、混合光におけるP偏光の割合が50%以上である。
【0020】
検出器は、可視光カメラ、近赤外線カメラ、レーザーレーダー又はミリ波レーダーである。
【0021】
本出願は、車両をさらに提供する。車両は、車体と上述の信号伝送システムとを備え、信号伝送システムは車体に搭載されている。
【0022】
本出願に係る合わせガラスアセンブリは、合わせガラス、電波透過層及び断熱層を備える。合わせガラスは、信号伝送領域及び非信号伝送領域を有する。電波透過層は合わせガラスに載せられており、電波透過層の合わせガラスにおける正投影は、信号伝送領域及び非信号伝送領域を覆う。断熱層は合わせガラスに載せられており、断熱層の合わせガラスにおける正投影は、非信号伝送領域を覆い、且つ信号伝送領域を回避する。本出願に係る合わせガラスアセンブリでは、信号伝送領域に対応する一部の断熱層を除去し、且つ電波透過層が信号伝送領域及び非信号伝送領域を覆うことにより、合わせガラスアセンブリに断熱機能を持たせる上に、信号伝送領域の検出信号に対する透過率を向上させ、結果として、本出願の合わせガラスアセンブリは断熱機能と局部の高い赤外光透過率という機能を両立させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本出願の実施形態の技術案をより明確に説明するために、以下、実施形態に必要な図面を簡単に紹介する。明らかに、説明される図面は本出願のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者にとって、創造的な努力なしに、これらの図面によって他の図面を得ることができる。
図1図1は、本出願の一実施形態に係る合わせガラスアセンブリを示す概略図である。
図2図2は、本出願の一実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造(layered structure)の断面図である。
図3図3は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。
図4図4は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。
図5図5は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。
図6図6は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。
図7図7は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。
図8図8は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。
図9図9は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。
図10図10は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。
図11図11は、本出願の他の実施形態に係る合わせガラスアセンブリを示す概略図である。
図12図12は、本出願の一実施形態に係る図11における線B-Bに沿った断面図である。
図13図13は、本出願の他の実施形態に係る合わせガラスアセンブリを示す概略図である。
図14図14は、本出願の一実施形態に係る図13における線C-Cに沿った断面図である。
図15図15は、本出願の一実施形態に係る充填材が図5に追加的に設けられた層構造の断面図である。
図16図16は、本出願の一実施形態に係る充填材が図8に追加的に設けられた層構造の断面図である。
図17図17は、本出願の一実施形態に係る信号伝送システムを示す概略図である。
図18図18は、本出願の他の実施形態に係る信号伝送システムを示す概略図である。
図19図19は、本出願のさらなる他の実施形態に係る信号伝送システムを示す概略図である。
図20図20は、本出願の一実施形態に係る車両を示す概略図である。
図21図21は、本出願の他の実施形態に係る車両を示す概略図である。
図22図22は、本出願のさらなる他の実施形態に係る車両を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本出願の実施形態における図面を参照しながら本出願の実施形態における技術案を明晰に、全面的に説明する。明らかに、説明される実施形態は、本出願の一部の実施形態のみであり、全ての実施形態ではない。本出願における実施形態に基づいて、当業者が創造的な努力なしに得ることができるすべての他の実施形態は、皆本出願の保護範囲に属する。
【0025】
本出願の明細書、特許請求の範囲及び図面における「第一」「第二」などの用語は特定のシーケンスの説明のためではなく、異なる対象を区別するために用いられる。また、「含む」、「備える」又は他のいかなるバリアントなどの用語はその他の構成要素を含むことを排除せず、カバーすることを意図する。例えば、一連のステップもしくはユニットを含むプロセス、方法、システム、製品又はデバイスは、リストされたステップもしくはユニットに限定されず、選択的に、リストされていない他のステップもしくはユニットをさらに含み、又は選択的に、これらのプロセス、方法、製品又はデバイスに固有の他のステップもしくはユニットをさらに含む。
【0026】
本明細書に言及される「実施形態」は、実施形態と結びついて説明される特定の特徴、構造、又は特性は本出願の少なくとも一つの実施形態に含まれることができることを意味する。明細書のいかなるところに現れる当該言葉は必ずしも同じ実施形態を示すとは限らず、他の実施形態と相互に排他的な独立の実施形態又は選択可能な実施形態ではない。当業者は、本明細書に記載される実施形態が他の実施形態と組み合わせることができることを明示的に又は暗示的に理解することができる。
【0027】
図1を参照すると、図1は、本出願の一実施形態に係る合わせガラスアセンブリを示す概略図である。本出願は、合わせガラスアセンブリ100を提供する。合わせガラスアセンブリ100は、合わせガラス110、電波透過層120及び断熱層130を備える。合わせガラス110は、信号伝送領域Q1及び非信号伝送領域Q2を有する。電波透過層120は合わせガラス110に載せられており、電波透過層120の合わせガラス110における正投影は、信号伝送領域Q1及び非信号伝送領域Q2を覆う。断熱層130は合わせガラス110に載せられており、断熱層130の合わせガラス110における正投影は、非信号伝送領域Q2を覆い、且つ信号伝送領域Q1を回避する。
【0028】
合わせガラスアセンブリ100は、車両に取り付けられるために用いられる。一実施形態では、合わせガラスアセンブリ100は、車両のフロントガラスとして取り付けられる。別の実施形態では、合わせガラスアセンブリ100は、車両のリアウインドガラスとして取り付けられる。本出願において、合わせガラスアセンブリ100が、車両のフロントガラスとして取り付けられることを例として説明する。
【0029】
合わせガラス110は、信号伝送領域Q1及び非信号伝送領域Q2を有する。検出器200によって送信及び/又は受信される検出信号は、信号伝送領域Q1を透過して伝送される。信号伝送領域Q1は、検出信号に対して透過率が比較的高い。信号伝送領域Q1は、55°~70°の入射角度で入射する検出信号に対して透過率が85%以上であることが好ましく、その透過率が90%以上であることがより好ましく、さらにはその透過率が95%以上である。それによって、車内の検出器200が正常に作動し且つ高い検出精度を有することが確保される。ここで、入射角とは、入射する検出信号と信号伝送領域Q1の法線との間の角度である。
【0030】
具体的に、検出信号の波長は380nm~1650nm又は3mm~30mmの範囲にある。検出器200は、例として、可視光カメラ(380nm~780nm)、近赤外線カメラ(780nm~1650nm)、レーザーレーダー(light detection and ranging、LiDAR)(905nm、1550nm)、ミリ波レーダー(3mm~30mm)などが挙げられることができ、撮像、測距、測位などのために用いられる。なお、信号伝送領域Q1の数は1つであってもよく複数であってもよく、実際のニーズに応じて設定されることができる。
【0031】
具体的に、検出信号は、円偏光であってもよく、P偏光であってもよく、P偏光とS偏光との混合光であってもよく、混合光におけるP偏光の割合が50%以上である。レーザーレーダーの場合、車両の安全性の要求が高いため、信号伝送領域Q1は、レーザーレーダーからの検出信号に対してより高い透過率を有する必要がある。合わせガラスに入射するP偏光のブリュースター角と検出信号の入射角とがほぼ等しく、レーザーレーダーからの検出信号は、P偏光であり又はP偏光の割合が80%以上の混合光であることが好ましい。
【0032】
電波透過層120は合わせガラス110に載せられており、電波透過層120の合わせガラス110における正投影は、信号伝送領域Q1を覆う。電波透過層120により、信号伝送領域Q1の、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対する透過率を増加させることができる。透過率は、検出信号が55°~70°の入射角で入射する場合、国際標準化機構(International Organization for Standardization、ISO)9050に従って測定及び計算される。好ましくは、電波透過層120がある場合の信号伝送領域Q1の、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対する透過率は、電波透過層120がない場合の信号伝送領域Q1の、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対する透過率より少なくとも3%大きく、より好ましくは少なくとも5%大きく、さらには少なくとも8%大きい。
【0033】
電波透過層120の合わせガラス110における正投影は、非信号伝送領域Q2をさらに覆う。また、電波透過層120の合わせガラス110における正投影は合わせガラス110の面積の70%以上を占め、例えば、70%、80%、90%、95%、100%などを占める。従って、電波透過層120が合わせガラス110に堆積された(deposited)後、非信号伝送領域Q2に対応する一部の電波透過層120を除去する必要がない。信号伝送領域Q1の検出信号に対する透過率の向上を確保する上に、工程の難易度を大幅に低減し、生産効率を向上させることができる。
【0034】
断熱層130は合わせガラス110に載せられており、断熱層130の合わせガラス110における正投影は、非信号伝送領域Q2を覆い、且つ信号伝送領域Q1を覆わない。即ち、断熱層130による信号伝送領域Q1の検出信号に対する透過率を低下させないことを確保するために、断熱層130が合わせガラス110に堆積された後、信号伝送領域Q1に対応する一部の断熱層130のみを除去すればよい。なお、断熱層130が合わせガラス110に堆積され且つ膜除去操作が行われた後、断熱層130の合わせガラス110における正投影は、非信号伝送領域Q2を覆い、且つ信号伝送領域Q1を回避する。また、断熱層130の合わせガラス110における正投影は合わせガラス110の面積の70%以上を占める。断熱層130が近赤外線を反射又は吸収することにより、合わせガラス110の非信号伝送領域Q2は断熱効果を有する。
【0035】
電波透過層120の合わせガラス110における正投影と断熱層130の合わせガラス110における正投影との重なり領域は、断熱層130の合わせガラス110における正投影の面積の80%以上を占める。具体的に、合わせガラス110は、電波透過層120と断熱層130との重なり領域において、53%以下の総太陽エネルギー透過率を有する。信号伝送領域Q1は、波長が380mm~1650mm又は3mm~30mmの範囲にある、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対して、85%以上の透過率を有する。それによって、非信号伝送領域Q2に対応する一部の電波透過層120を除去することなく、合わせガラス110が依然として効果的な断熱効果を有することが確保される。
【0036】
本出願に係る合わせガラスアセンブリ100は、合わせガラス110、電波透過層120及び断熱層130を備える。合わせガラス110は、信号伝送領域Q1及び非信号伝送領域Q2を有する。電波透過層120は合わせガラス110に載せられており、電波透過層120の合わせガラス110における正投影は、信号伝送領域Q1及び非信号伝送領域Q2を覆う。断熱層130は合わせガラス110に載せられており、断熱層130の合わせガラス110における正投影は、非信号伝送領域Q2を覆い、且つ信号伝送領域Q1を回避する。本出願に係る合わせガラスアセンブリでは、信号伝送領域Q1に対応する一部の断熱層130を除去し、且つ電波透過層120が信号伝送領域Q1及び非信号伝送領域Q2を覆うことにより、合わせガラスアセンブリ100に断熱機能を持たせる上に、信号伝送領域Q1の検出信号に対する透過率を向上させ、結果として、本出願の合わせガラスアセンブリ100は断熱機能と局部の高い赤外光透過率という機能を両立させる。
【0037】
一実施形態において、合わせガラス110は、第1透明基板1110、第2透明基板1120及び接着フィルムを備える。第1透明基板1110は、第1表面1111と第1表面1111に対向して設けられた第2表面1112とを有する。第2透明基板1120は、第3表面1121と第3表面1121に対向して設けられた第4表面1122とを有し、第4表面1122と比べて、第3表面1121は第2表面1112により近い。接着フィルム1130は、第1透明基板1110と第2透明基板1120とを接着するために用いられる。
【0038】
本実施形態において、中間接着フィルム1130は、ポリビニルブチラール(polyvinyl butyral、PVB)、イオン性接着フィルム(例えば、Sentry Glass(R) Plus(SGP))、エチレン・酢酸ビニル共重合体(ethylene vinyl acetate、EVA)、又はポリウレタン(polyurethane、PU)などであってもよく、中間接着フィルム1130は、第1透明基板1110と第2透明基板1120とを強固に接着すればいい。
【0039】
以下では、合わせガラス110の1つの適用場面について説明する。合わせガラス110が車両に利用される場合、合わせガラス110は、フロントガラスとして特定の傾斜角度で車両に取り付けられる。合わせガラス110の第1透明基板1110は、車外に露出する合わせガラス110の基板とされ、第2透明基板1120は、車内の合わせガラス110の基板とされる。
【0040】
一実施形態において、ISO9050では、第1透明基板1110は、88%以上の垂直可視光透過率(vertical visible light transmittance)TLを有する。別の実施形態では、ISO9050では、第1透明基板1110は、90%以上の垂直可視光透過率TLを有する。さらなる別の実施形態では、ISO9050では、第1透明基板1110は、92%以上の垂直可視光透過率TLを有する。合わせガラス110の可視光透過率が確保され、その結果、合わせガラス110を介する視野(field of view 、FOV)がより鮮明になる。
【0041】
例えば、第1透明基板1110はソーダ石灰シリカガラス(soda-lime-silica glass)、高アルミナガラス(high-alumina glass)又はホウケイ酸ガラス(borosilicate glass)などであってもよく、第2透明基板1120は、高アルミナガラス又はホウケイ酸ガラスであってもよい。それによって、合わせガラス110の強度が確保され、合わせガラス110は一定の強度の衝撃に耐えることができる。同時に、第1透明基板1110の厚さd1は1.6mm≦d1≦4mmの範囲にあり、第2透明基板1120の厚さd2は0.3mm≦d2≦2.3mmの範囲にあり、且つ積層した後の合わせガラス110の総厚さdはd≧4.2mmである。それによって、合わせガラス110が異なる軽量化要求に適用されることができることが確保される。
【0042】
他の実施形態において、合わせガラス110は複数の透明基板を有し、それに応じて、複数の透明基板を強固に接着することを可能にする複数の接着フィルム1130を有する。本出願において、合わせガラス110が2つの透明基板を有することを例として説明する。
【0043】
なお、本出願において、電波透過層120の厚さ及び断熱層130の厚さはnmレベルであり、人間の目ではそれらの厚さを識別することができない。また、第1透明基板1110、第2透明基板1120、電波透過層120、断熱層130及び接着フィルム1130は密接に接続されており、それらの間に隙間がない。合わせガラスアセンブリ100の構造をより明確に説明するために、本出願における合わせガラスアセンブリ100の図面では、各コンポーネントの厚さを増加させ、各コンポーネントを分離して層構造として図示している。以下、合わせガラスアセンブリ100の具体的な構造について説明する。
【0044】
図1図2図3及び図4を合わせて参照すると、図2は、本出願の一実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。図3は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。図4は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。一実施形態において、第2透明基板1120、接着フィルム1130及び断熱層130はいずれも、互いに連通する貫通孔140を有し、且つ各貫通孔140は少なくとも一部が信号伝送領域Q1に位置する。電波透過層120は第2表面1112に設けられている。断熱層130は、第2透明基板1120に近い電波透過層120の表面に設けられており(図2に示されたように)、又は、断熱層130は第3表面1121に設けられており(図3に示されたように)、又は、断熱層130は接着フィルム1130内に設けられている(図4に示されたように)。
【0045】
本実施形態において、各貫通孔140は少なくとも一部が信号伝送領域Q1に位置する。即ち、貫通孔140は、信号伝送領域Q1だけでなく、非信号伝送領域Q2にも位置する。検出器200からの検出信号は、第2透明基板1120、接着フィルム1130及び断熱層130を透過せず、貫通孔140、電波透過層120及び第1透明基板1110を透過して伝送される。それによって、第2透明基板1120、接着フィルム1130及び断熱層130による検出信号の遮断を回避し、第2透明基板1120、接着フィルム1130及び断熱層130の選択の自由度を向上させる。例えば、第2透明基板1120は着色されたガラスであることができる。接着フィルム1130は断熱性能を有する接着フィルムであることができる。断熱層130は性能がより高い断熱層であることができる。それによって、合わせガラスの製品ミックスをより多様化することができる。
【0046】
本実施形態において、電波透過層120は第2表面1112に設けられている。物理蒸着法(Physical Vapor Deposition、PVD)又は化学蒸着法(Chemical Vapor Deposition、CVD)などの方法によって、高い信号透過率という機能を有する電波透過層120が第2表面1112に堆積されることができ、それによって、信号伝送領域Q1の検出信号に対する透過率を増加させる。
【0047】
本実施形態において、断熱層130は、第2透明基板1120に近い電波透過層120の表面に設けられており(図2に示されたように)、又は、断熱層130は第3表面1121に設けられており(図3に示されたように)、又は、断熱層130は接着フィルム1130内に設けられている(図4に示されたように)。断熱層130は、PVD、CVD又はゾルゲルスプレー(sol-gel spraying)などの方法によって、第2透明基板1120に近い電波透過層120の表面に又は第3表面1121に直接に堆積され得る。又は、断熱層130は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)などの高分子フィルムに堆積された後、接着フィルム1130の中に挿入される(interlaid into)ことによって、接着フィルム1130の一部とされる。
【0048】
以下は、断熱層130の合わせガラス110における正投影が信号伝送領域Q1を回避する実施形態である。一実施形態において、まず、断熱層130は、第2透明基板1120に近い電波透過層120の表面に、もしくは第3表面1121に堆積されることができ、又は、断熱層130は、高分子フィルムに堆積された後、接着フィルム1130の中に挿入されることによって、接着フィルム1130の一部とされる。次に、信号伝送領域Q1に対応する一部の断熱層130が除去される。他の実施形態において、まず、第2透明基板1120に近い電波透過層120の表面もしくは第3表面1121における、信号伝送領域Q1に対応する箇所にマスキング層が覆われる。次に、第2透明基板1120に近い電波透過層120の表面に、もしくは第3表面1121に断熱層130が堆積される。最後に、マスキング層が除去される。又は、まず、信号伝送領域Q1に対応する一部の高分子フィルムにマスキング層が覆われる。次に、高分子フィルムに断熱層130が堆積され、さらに、マスキング層が除去される。最後に、断熱層130が接着フィルム1130の中に挿入される。上記によって、信号伝送領域Q1の検出信号に対する透過率に影響を与えることなく、合わせガラス110の断熱効果を維持することを実現できる。
【0049】
本実施形態において、電波透過層120は、信号伝送領域Q1の、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対する透過率を増加させるために用いられる。電波透過層120は、高屈折率層及び低屈折率層を含む積層構造を少なくとも1つ備え、高屈折率層の屈折率が1.9~2.6であり、低屈折率層の屈折率が1.3~1.8である。 高屈折率層及び低屈折率層を含む積層構造の設計により、透過率を増加させる。高屈折率層は複数のサブ層を有してもよく、及び/又は、低屈折率層は複数のサブ層を有してもよく、高屈折率層と低屈折率層は、各サブ層の材料、各サブ層の厚さ、又は各サブ層の屈折率の少なくとも1つの点で異なる。合わせガラスがより良好な断熱効果を有するように、断熱層130は、赤外線を反射及び/又は吸収するために用いられる。断熱層130は、金属銀層、銀合金層又は透明導電酸化物(transparent conductive oxide、TCO)層のうちの少なくとも1つを含む。金属銀層、銀合金層又はTCO層は、良好な赤外線反射特性を有し、それによって、合わせガラスの赤外線に対する透過率を低下させる。好ましくは、銀合金層の材料は銀銅合金(silver-copper alloy)、銀インジウム合金(silver-indium alloy)、銀金合金(silver-gold alloy)などである。銀合金層の銀含有率は、95%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましい。TCO層は、少なくとも1つのTCO層を含み、インジウムドープ酸化スズ(indium-doped tin oxide、ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(fluorine-doped tin oxide、FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(antimony-doped tin oxide、ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(aluminum-doped zinc oxide、AZO)、インジウムドープ酸化亜鉛(indium-doped zinc oxide、IZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(gallium-doped zinc oxide、GZO)などであることが好ましい。断熱層130は他の誘電体層をさらに含む。
【0050】
関連技術では、信号透過率を増加させることができる信号伝送領域が断熱ガラスに追加的に設けられるように、実施形態は通常以下のようである。マグネトロンスパッタリングで電波透過層がガラスの全体表面に堆積された後、非信号伝送領域に対応する一部の堆積された電波透過層が除去される。又は、まず、非信号伝送領域に対応する一部のガラスにマスキング層が覆われ、次に、電波透過層がガラスに堆積され、最後に、マスキング層が除去される。しかし、非信号伝送領域のガラスにおける正投影の面積は、ガラスが位置する領域の面積の80%以上を占めるため、関連技術では、面積の割合が比較的小さい信号伝送領域のために膜除去工程を増やすことは、生産効率及び工程の複雑さの点で理想的ではない。結果として、バッチ生産プロセスにおける品質コストが高い。
【0051】
関連技術と比べて、例えば、具体的に(図2に示されたように)、ISO9050では、第1透明基板1110は、89.9%の垂直可視光透過率TLを有する。92nm厚のZnSnOx、7nm厚のTiOx、117nm厚のSiO2、及び25nm厚のTiOxが順に第2表面1112に堆積されて、電波透過層120を形成する。次に、第2透明基板1120に近い電波透過層120の表面に、11nm厚のAZO、12.8nm厚のAg、9nm厚のTiOx、60nm厚のZnSnOx、20nm厚のAZO、9.2nm厚のAg、9nm厚のTiOx、8nm厚のAZO、10nm厚のZnSnOx、及び10nm厚のSi3N4が順に堆積されて、断熱層130を形成する。また、信号伝送領域Q1に対応する一部の断熱層130が除去される。60°の角度αで車両1に取り付けられる合わせガラスアセンブリ100に対して実験的なテストが行わる。電波透過層120と断熱層130との重なり領域において、合わせガラスアセンブリ100の垂直可視光透過率TLは75.6%である。電波透過層120と断熱層130との重なり領域において、合わせガラスアセンブリ100は、第4表面1122に入射する可視光に対して14.1%の反射率RLを有する。電波透過層120と断熱層130との重なり領域において、合わせガラスアセンブリ100は、51.3%の総太陽エネルギー透過率TTSを有する。国際照明委員会(International Commission on Illumination、CIE)1976規格に基づいて、電波透過層120と断熱層130との重なり領域において、合わせガラスアセンブリ100の色値の表現式(color value expression formula)はL*=43.8、a*=-1.8、b*=-9.8であり、合わせガラスアセンブリ100は、水色の外観を有する。信号伝送領域Q1は、60°の入射角で入射する、波長が905nmの検出信号に対して87.04%の透過率Ts1を有し、電波透過層120が堆積されていない場合の信号伝送領域Q1は、60°の入射角で入射する、波長が905nmの検出信号に対して、81.5%の透過率Ts2を有し、透過率Ts1は透過率Ts2と比べて5.54%向上している。実験的なテストから分かるように、本実施形態において、断熱層130の設定により熱が効果的に遮断されることができ、電波透過層120の設定により、信号伝送領域Q1の信号に対する透過率を効果的に増加させることができ、また、断熱層130と電波透過層120との重なりの設定により、水色などの人目に快適な色外観を提供することもできる。
【0052】
本実施形態では(図2に示されたように)、非信号伝送領域Q2に対応する一部の電波透過層120を除去する必要がなく、信号伝送領域Q1に対応する一部の断熱層130を除去すればよく、それによって、製造工程がより簡単になる。従って、本出願の合わせガラスアセンブリ100は断熱機能と局部の高い赤外光透過率という機能を両立させ、高い効率で製造される。同時に、本実施形態において、電波透過層120の一部は、断熱層130のベースとされることができる。合わせガラスアセンブリ100の加工及び成型工程において、電波透過層120は、第1透明基板1110におけるアルカリ金属イオン(alkali metal ion)が断熱層130に遊離することを効果的に遮断できる。従って、断熱層の保護のためのベースフィルム層を追加的に設けなくても、合わせガラス100の製造工程中に断熱層130の断熱機能が損なわれないことができる。さらに、電波透過層120は、色を調整する役割を果たすこともできる。第2表面1112に電波透過層120及び断熱層130が順に堆積される工程は効率的且つ簡単であり、従って、合わせガラスアセンブリ100は断熱機能と局部の高い赤外光透過率という機能を両立させ、高い効率で製造される。
【0053】
図1図5図6及び図7を合わせて参照すると、図5は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。図6は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。図7は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。他の実施形態において、断熱層130及び接着フィルム1130はいずれも、互いに連通する貫通孔140を有し、且つ各貫通孔140は少なくとも一部が信号伝送領域Q1に位置する。電波透過層120は第4表面1122に設けられている。断熱層130は第2表面1112に設けられており(図5に示されたように)、又は、断熱層130は第3表面1121に設けられており(図6に示されたように)、又は、断熱層130は接着フィルム1130内に設けられている(図7に示されたように)。
【0054】
本実施形態において、各貫通孔140は少なくとも一部が信号伝送領域Q1に位置する。即ち、貫通孔140は、信号伝送領域Q1だけでなく、非信号伝送領域Q2にも位置する。検出器200からの検出信号は、接着フィルム1130及び断熱層130を透過せず、電波透過層120、第2透明基板1120、貫通孔140、及び第1透明基板1110を透過して伝送される。それによって、接着フィルム1130及び断熱層130による検出信号の遮断を回避する。
【0055】
本実施形態において、電波透過層120は第4表面1122に設けられている。PVD又はCVDなどの方法によって、高い信号透過率という機能を有する電波透過層120が第4表面1122に堆積されることができ、それによって、信号伝送領域Q1の検出信号に対する透過率を増加させる。
【0056】
本実施形態において、断熱層130は第2表面1112に設けられており(図5に示されたように)、又は、断熱層130は第3表面1121に設けられており(図6に示されたように)、又は、断熱層130は接着フィルム1130内に設けられている(図7に示されたように)。断熱層130は、PVD、CVD又はゾルゲルスプレーなどの方法によって、第2表面1112に又は第3表面1121に直接に堆積され得る。又は、断熱層130は、PETなどの高分子フィルムに堆積された後、接着フィルム1130の中に挿入されることによって、接着フィルム1130の一部とされる。
【0057】
以下は、断熱層130の合わせガラス110における正投影が信号伝送領域Q1を回避する実施形態である。一実施形態において、まず、断熱層130は、第2表面1112にもしくは第3表面1121に堆積されることができ、又は、断熱層130は、高分子フィルムに堆積された後、接着フィルム1130の中に挿入されることによって、接着フィルム1130の一部とされる。次に、信号伝送領域Q1に対応する一部の断熱層130が除去される。他の実施形態において、まず、第2表面1112もしくは第3表面1121における、信号伝送領域Q1に対応する箇所にマスキング層が覆われる。次に、第2表面1112にもしくは第3表面1121に断熱層130が堆積される。最後に、マスキング層が除去される。又は、まず、信号伝送領域Q1に対応する一部の高分子フィルムにマスキング層が覆われる。次に、高分子フィルムに断熱層130が堆積され、さらに、マスキング層が除去される。最後に、断熱層130が接着フィルム1130の中に挿入される。上記によって、合わせガラス110の信号伝送領域Q1の、信号に対する透過率に影響を与えることなく、合わせガラス110の断熱効果を維持することを実現できる。
【0058】
図1図8図9及び図10を合わせて参照すると、図8は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。図9は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。図10は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。さらなる他の実施形態において、断熱層130及び接着フィルム1130はいずれも、互いに連通する貫通孔140を有し、且つ各貫通孔140は少なくとも一部が信号伝送領域Q1に位置する。電波透過層120は第3表面1121に設けられている。断熱層130は第2表面1112に設けられており(図8に示されたように)、又は、断熱層130は第1透明基板1110に近い電波透過層120の表面に設けられており(図9に示されたように)、又は、断熱層130は接着フィルム1130内に設けられている(図10に示されたように)。
【0059】
本実施形態において、各貫通孔140は少なくとも一部が信号伝送領域Q1に位置する。即ち、貫通孔140は、信号伝送領域Q1だけでなく、非信号伝送領域Q2にも位置する。検出器200からの検出信号は、接着フィルム1130及び断熱層130を透過せず、第2透明基板1120、電波透過層120、貫通孔140、及び第1透明基板1110を透過して伝送される。それによって、接着フィルム1130及び断熱層130による検出信号の遮断を回避する。
【0060】
本実施形態において、電波透過層120は第3表面1121に設けられている。PVD又はCVDなどの方法によって、高い信号透過率という機能を有する電波透過層120が第3表面1121に堆積されることができ、それによって、信号伝送領域Q1の検出信号に対する透過率を増加させる。
【0061】
本実施形態において、断熱層130は第2表面1112に設けられており(図8に示されたように)、又は、断熱層130は第1透明基板1110に近い電波透過層120の表面に設けられており(図9に示されたように)、又は、断熱層130は接着フィルム1130内に設けられている(図10に示されたように)。断熱層130は、PVD、CVD又はゾルゲルスプレーなどの方法によって、第2表面1112に又は第1透明基板1110に近い電波透過層120の表面に直接に堆積され得る。又は、断熱層130は、PETなどの高分子フィルムに堆積された後、接着フィルム1130の中に挿入されることによって、接着フィルム1130の一部とされる。
【0062】
以下は、断熱層130の合わせガラス110における正投影が信号伝送領域Q1を回避する実施形態である。一実施形態において、まず、断熱層130は、第2表面1112に、もしくは第1透明基板1110に近い電波透過層120の表面に堆積されることができ、又は、断熱層130は、高分子フィルムに堆積された後、接着フィルム1130の中に挿入されることによって、接着フィルム1130の一部とされる。次に、信号伝送領域Q1に対応する一部の断熱層130が除去される。他の実施形態において、まず、第2表面1112もしくは第1透明基板1110に近い電波透過層120の表面における、信号伝送領域Q1に対応する箇所にマスキング層が覆われる。次に、第2表面1112に、もしくは第1透明基板1110に近い電波透過層120の表面に断熱層130が堆積される。最後に、マスキング層が除去される。又は、まず、信号伝送領域Q1に対応する一部の高分子フィルムにマスキング層が覆われる。次に、高分子フィルムに断熱層130が堆積され、さらに、マスキング層が除去される。最後に、断熱層130が接着フィルム1130の中に挿入される。上記によって、信号伝送領域Q1の検出信号に対する透過率に影響を与えることなく、合わせガラス110の断熱効果を維持することを実現できる。
【0063】
図11図12図13及び図14を合わせて参照すると、図11は、本出願の他の実施形態に係る合わせガラスアセンブリを示す概略図である。図12は、本出願の一実施形態に係る図11における線B-Bに沿った断面図である。図13は、本出願の他の実施形態に係る合わせガラスアセンブリを示す概略図である。図14は、本出願の一実施形態に係る図13における線C-Cに沿った断面図である。一実施形態において、複数の貫通孔140は、合わせガラスアセンブリ100の内部領域(図11及び図12に示されたように)又は縁部(図13及び図14に示されたように)に設けられている。信号伝送領域Q1の第2表面1112における正投影の面積Sは、S≧50mm*80mmである。
【0064】
本実施形態において、実際のニーズに応じて、複数の貫通孔140は、合わせガラスアセンブリ100の内部領域又は縁部に設けられることができる。信号伝送領域Q1は、貫通孔140に対応して設けられており、且つ信号伝送領域Q1の第2表面1112における正投影の面積Sは、S≧50mm*80mmである。通常では、検出器200は信号伝送領域Q1に置かれる必要があり、検出信号を送信且つ受信するために用いられる。信号伝送領域Q1の第2表面1112における正投影の面積Sが50mm*80mm以上であることは、信号伝送領域Q1における信号の透過のために用いられる十分な検出面を確保することができる。
【0065】
図15及び図16を参照すると、図15は、本出願の一実施形態に係る充填材が図5に追加的に設けられた層構造の断面図である。図16は、本出願の一実施形態に係る充填材が図8に追加的に設けられた層構造の断面図である。一実施形態において、接着フィルム1130の貫通孔140に充填材150が充填されており、充填材150は、垂直に入射する検出信号に対して、2%以下の遮断率を有し、且つ充填材150は、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対して、5%以下の遮断率を有する。それによって、信号伝送領域Q1の検出信号に対する高い透過率が確保される。
【0066】
本実施形態において、充填材150の材料は、接着フィルム1130の材料と同じであってもよく、異なっていてもよい。好ましくは、充填材150の、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対する遮断率は、接着フィルム1130の、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対する遮断率より小さい。それによって、合わせガラス全体の強度を向上させると同時に、充填材150が信号伝送領域Q1の検出信号に対する透過率に与える影響をできるだけ低減する。
【0067】
図17図18及び図19を合わせて参照すると、図17は、本出願の一実施形態に係る信号伝送システムを示す概略図である。図18は、本出願の他の実施形態に係る信号伝送システムを示す概略図である。図19は、本出願のさらなる他の実施形態に係る信号伝送システムを示す概略図である。本出願は、信号伝送システム10をさらに提供する。信号伝送システム10は、検出器200と上述の合わせガラスアセンブリ100とを備える。検出器200は信号伝送領域Q1に対応して設けられている。検出器200によって送信及び/又は受信される検出信号は、信号伝送領域Q1を透過する。検出信号の波長は、380nm~1650nm又は3mm~30mmの範囲にある。検出信号は、55°~70°の入射角で信号伝送領域Q1に入射する。
【0068】
一実施形態において、第2透明基板1120、接着フィルム1130及び断熱層130がいずれも、互いに連通する貫通孔140を有する場合、検出器200は複数の貫通孔140のうちの少なくとも1つの貫通孔内に設けられており(図17に示されたように)、且つ検出器200と第2表面1112との間の距離dは、0mm≦d≦1mmの範囲にある。又は、検出器200は第1透明基板1110から離れた第2透明基板1120の片側に設けられており(図18に示されたように)、且つ検出器200と第4表面1122との間の距離dは、0mm≦d≦25mmの範囲にある。
【0069】
別の実施形態において、接着フィルム1130及び断熱層130のみがいずれも、互いに連通する貫通孔140を有する場合、検出器200は第1透明基板1110から離れた第2透明基板1120の片側に設けられており(図19に示されたように)、且つ検出器200と第4表面1122との間の距離dは、0mm≦d≦25mmの範囲にある。
【0070】
図20図21及び図22を合わせて参照すると、図20は、本出願の一実施形態に係る車両を示す概略図である。図21は、本出願の他の実施形態に係る車両を示す概略図である。図22は、本出願のさらなる他の実施形態に係る車両を示す概略図である。本出願は車両1をさらに提供する。車両1は、車体20と上述の信号伝送システム10とを備え、信号伝送システム10は車体20に搭載されている。信号伝送システム10は、車体20の前部(図20に示されたように)、側部(図21に示されたように)、又は後部(図22に示されたように)に取り付けられることができるが、それらに限定されない。信号伝送システム10が車体20の前部に取り付けられる場合、合わせガラスアセンブリ100は、フロントガラスとされることができ、合わせガラスアセンブリ100は、55°≦α≦70°の範囲の角度αで取り付けられる。
【0071】
本実施形態において、車両1はセダン(sedan)、多目的車(multi-purpose vehicles、MPV)、スポーツ用多目的車(sport/suburban utility vehicle、SUV)、オフロード車(off-road vehicle、ORV)、ピックアップトラック、ワンボックスカー、客車、トラックなどであることができるが、それらに限定されない。1つ又は複数の信号伝送システム10を搭載した車両1は、撮像、測距、測位などの機能を有し、それによって、車両1は停車中又は走行中に車両近傍の障害物を検出することができる。
【0072】
以上、本出願の実施態様が示され説明されたが、上記実施態様は例示であり、本出願を制限するものであると理解されるべきではない。当業者であれば、本出願の範囲内で上記実施態様に対して変更、修正、置換、及び変形を加えることができる。これらの改善と潤色も本出願の保護範囲に属すべきである。
【符号の説明】
【0073】
1…車両
10…信号伝送システム
20…車体
100…合わせガラスアセンブリ
200…検出器
110…合わせガラス
120…電波透過層
130…断熱層
140…貫通孔
150…充填材
Q1…信号伝送領域
Q2…非信号伝送領域
1110…第1透明基板
1120…第2透明基板
1130…接着フィルム
1111…第1表面
1112…第2表面
1121…第3表面
1122…第4表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2024-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
電波透過層の合わせガラスにおける正投影と断熱層の合わせガラスにおける正投影との重なり領域は、53%以下の総太陽エネルギー透過率を有する。信号伝送領域は、波長が380nm~1650nm又は3mm~30mmの範囲にある、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対して、85%以上の透過率を有する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
本出願の実施形態の技術案をより明確に説明するために、以下、実施形態に必要な図面を簡単に紹介する。明らかに、説明される図面は本出願のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者にとって、創造的な努力なしに、これらの図面によって他の図面を得ることができる。
図1図1は、本出願の一実施形態に係る合わせガラスアセンブリを示す概略図である。
図2図2は、本出願の一実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造(layered structure)の断面図である。
図3図3は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。
図4図4は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。
図5図5は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。
図6図6は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。
図7図7は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。
図8図8は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。
図9図9は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。
図10図10は、本出願の他の実施形態に係る図1における線A-Aに沿った層構造の断面図である。
図11図11は、本出願の他の実施形態に係る合わせガラスアセンブリを示す概略図である。
図12図12は、本出願の一実施形態に係る図11における線B-Bに沿った断面図である。
図13図13は、本出願の他の実施形態に係る合わせガラスアセンブリを示す概略図である。
図14図14は、本出願の一実施形態に係る図13における線C-Cに沿った断面図である。
図15図15は、本出願の一実施形態に係る充填材が図5に追加的に設けられた層構造の断面図である。
図16図16は、本出願の一実施形態に係る充填材が図に追加的に設けられた層構造の断面図である。
図17図17は、本出願の一実施形態に係る信号伝送システムを示す概略図である。
図18図18は、本出願の他の実施形態に係る信号伝送システムを示す概略図である。
図19図19は、本出願のさらなる他の実施形態に係る信号伝送システムを示す概略図である。
図20図20は、本出願の一実施形態に係る車両を示す概略図である。
図21図21は、本出願の他の実施形態に係る車両を示す概略図である。
図22図22は、本出願のさらなる他の実施形態に係る車両を示す概略図である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
電波透過層120の合わせガラス110における正投影と断熱層130の合わせガラス110における正投影との重なり領域は、断熱層130の合わせガラス110における正投影の面積の80%以上を占める。具体的に、合わせガラス110は、電波透過層120の合わせガラス110における正投影と断熱層130の合わせガラス110における正投影との重なり領域において、53%以下の総太陽エネルギー透過率を有する。信号伝送領域Q1は、波長が380nm~1650nm又は3mm~30mmの範囲にある、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対して、85%以上の透過率を有する。それによって、非信号伝送領域Q2に対応する一部の電波透過層120を除去することなく、合わせガラス110が依然として効果的な断熱効果を有することが確保される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
関連技術と比べて、例えば、具体的に(図2に示されたように)、ISO9050では、第1透明基板1110は、89.9%の垂直可視光透過率TLを有する。92nm厚のZnSnOx、7nm厚のTiOx、117nm厚のSiO2、及び25nm厚のTiOxが順に第2表面1112に堆積されて、電波透過層120を形成する。次に、第2透明基板1120に近い電波透過層120の表面に、11nm厚のAZO、12.8nm厚のAg、9nm厚のTiOx、60nm厚のZnSnOx、20nm厚のAZO、9.2nm厚のAg、9nm厚のTiOx、8nm厚のAZO、10nm厚のZnSnOx、及び10nm厚のSi3N4が順に堆積されて、断熱層130を形成する。また、信号伝送領域Q1に対応する一部の断熱層130が除去される。60°の角度αで車両1に取り付けられる合わせガラスアセンブリ100に対して実験的なテストが行わる。電波透過層120の合わせガラス110における正投影と断熱層130の合わせガラス110における正投影との重なり領域において、合わせガラスアセンブリ100の垂直可視光透過率TLは75.6%である。電波透過層120の合わせガラス110における正投影と断熱層130の合わせガラス110における正投影との重なり領域において、合わせガラスアセンブリ100は、第4表面1122に入射する可視光に対して14.1%の反射率RLを有する。電波透過層120の合わせガラス110における正投影と断熱層130の合わせガラス110における正投影との重なり領域において、合わせガラスアセンブリ100は、51.3%の総太陽エネルギー透過率TTSを有する。国際照明委員会(International Commission on Illumination、CIE)1976規格に基づいて、電波透過層120の合わせガラス110における正投影と断熱層130の合わせガラス110における正投影との重なり領域において、合わせガラスアセンブリ100の色値の表現式(color value expression formula)はL*=43.8、a*=-1.8、b*=-9.8であり、合わせガラスアセンブリ100は、水色の外観を有する。信号伝送領域Q1は、60°の入射角で入射する、波長が905nmの検出信号に対して87.04%の透過率Ts1を有し、電波透過層120が堆積されていない場合の信号伝送領域Q1は、60°の入射角で入射する、波長が905nmの検出信号に対して、81.5%の透過率Ts2を有し、透過率Ts1は透過率Ts2と比べて5.54%向上している。実験的なテストから分かるように、本実施形態において、断熱層130の設定により熱が効果的に遮断されることができ、電波透過層120の設定により、信号伝送領域Q1の信号に対する透過率を効果的に増加させることができ、また、断熱層130と電波透過層120との重なりの設定により、水色などの人目に快適な色外観を提供することもできる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
図15及び図16を参照すると、図15は、本出願の一実施形態に係る充填材が図5に追加的に設けられた層構造の断面図である。図16は、本出願の一実施形態に係る充填材が図に追加的に設けられた層構造の断面図である。一実施形態において、接着フィルム1130の貫通孔140に充填材150が充填されており、充填材150は、波長が380nm~1650nm又は3mm~30mmの範囲にある、垂直に入射する検出信号に対して、2%以下の遮断率を有し、且つ充填材150は、波長が380nm~1650nm又は3mm~30mmの範囲にある、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対して、5%以下の遮断率を有する。それによって、信号伝送領域Q1の検出信号に対する高い透過率が確保される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合わせガラスアセンブリであって、
前記合わせガラスアセンブリは、合わせガラス、電波透過層及び断熱層を備え、
前記合わせガラスは、信号伝送領域及び非信号伝送領域を有し、
前記電波透過層は前記合わせガラスに載せられており、前記電波透過層の前記合わせガラスにおける正投影は、前記信号伝送領域及び前記非信号伝送領域を覆い、
前記断熱層は前記合わせガラスに載せられており、前記断熱層の前記合わせガラスにおける正投影は、前記非信号伝送領域を覆い、且つ前記信号伝送領域を回避する、
ことを特徴とする合わせガラスアセンブリ。
【請求項2】
前記合わせガラスは、第1透明基板、第2透明基板及び接着フィルムを備え、
前記第1透明基板は、第1表面と前記第1表面に対向して設けられた第2表面とを有し、
前記第2透明基板は、第3表面と前記第3表面に対向して設けられた第4表面とを有し、前記第4表面と比べて、前記第3表面は前記第2表面により近く、
前記接着フィルムは、前記第1透明基板と前記第2透明基板とを接着するために用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項3】
前記第2透明基板、前記接着フィルム及び前記断熱層はいずれも、互いに連通する貫通孔を有し、且つ各前記貫通孔は少なくとも一部が前記信号伝送領域に位置する
ことを特徴とする請求項2に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項4】
前記断熱層及び前記接着フィルムはいずれも、互いに連通する貫通孔を有し、且つ各前記貫通孔は少なくとも一部が前記信号伝送領域に位置する
ことを特徴とする請求項2に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項5】
複数の前記貫通孔は、前記合わせガラスアセンブリの内部領域又は縁部に設けられており、前記信号伝送領域の前記第2表面における正投影の面積Sは、S≧50mm*80mmである、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項6】
前記接着フィルムの貫通孔に充填材が充填されており、前記充填材は、波長が380nm~1650nm又は3mm~30mmの範囲にある、垂直に入射する検出信号に対して、2%以下の遮断率を有し、且つ前記充填材は、波長が380nm~1650nm又は3mm~30mmの範囲にある、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対して、5%以下の遮断率を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項7】
前記電波透過層の前記合わせガラスにおける正投影は前記合わせガラスの面積の70%以上を占め、前記断熱層の前記合わせガラスにおける正投影は前記合わせガラスの面積の70%以上を占め、前記電波透過層の前記合わせガラスにおける正投影と前記断熱層の前記合わせガラスにおける正投影との重なり領域は、前記断熱層の前記合わせガラスにおける正投影の面積の80%以上を占める、
ことを特徴とする請求項1に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項8】
前記電波透過層の前記合わせガラスにおける正投影と前記断熱層の前記合わせガラスにおける正投影との重なり領域は、53%以下の総太陽エネルギー透過率を有し、前記信号伝送領域は、波長が380nm~1650nm又は3mm~30mmの範囲にある、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対して、85%以上の透過率を有する、
ことを特徴とする請求項に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項9】
前記電波透過層は、高屈折率層及び低屈折率層を含む積層構造を少なくとも1つ備え、前記高屈折率層の屈折率が1.9~2.6であり、前記低屈折率層の屈折率が1.3~1.8であり、前記断熱層は、金属銀層、銀合金層又は透明導電酸化物層のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項10】
前記電波透過層がある場合の前記信号伝送領域の、55°~70°の入射角で入射する検出信号に対する透過率は、前記電波透過層がない場合の前記信号伝送領域の、55°~70°の入射角で入射する前記検出信号に対する透過率より少なくとも3%大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項11】
前記電波透過層は前記第2表面に設けられており、又は、前記電波透過層は前記第3表面に設けられており、又は、前記電波透過層は前記第4表面に設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項12】
前記断熱層は前記第2表面に設けられており、又は、前記断熱層は前記第3表面に設けられており、又は、前記断熱層は前記第1透明基板に近い前記電波透過層の表面に設けられており、又は、前記断熱層は、前記第2透明基板に近い前記電波透過層の表面に設けられており、又は、前記断熱層は前記接着フィルム内に設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の合わせガラスアセンブリ。
【請求項13】
信号伝送システムであって、
前記信号伝送システムは、検出器と請求項2~4、6、11~12のいずれか一項に記載の合わせガラスアセンブリとを備え、前記検出器は前記信号伝送領域に対応して設けられており、前記検出器によって送信及び/又は受信される検出信号は、前記信号伝送領域を透過し、前記検出信号の波長は、380nm~1650nm又は3mm~30mmの範囲にあり、前記検出信号は、55°~70°の入射角で前記信号伝送領域に入射する、
ことを特徴とする信号伝送システム。
【請求項14】
前記第2透明基板、前記接着フィルム及び前記断熱層がいずれも、互いに連通する貫通孔を有する場合、前記検出器は複数の前記貫通孔のうちの少なくとも1つの貫通孔内に設けられており、且つ前記検出器と前記第2表面との間の距離dは、0mm≦d≦1mmの範囲にあり、又は、前記検出器は前記第1透明基板から離れた前記第2透明基板の片側に設けられており、且つ前記検出器と前記第4表面との間の距離dは、0mm≦d≦25mmの範囲にあり、
前記接着フィルム及び前記断熱層のみがいずれも、互いに連通する貫通孔を有する場合、前記検出器は前記第1透明基板から離れた前記第2透明基板の片側に設けられており、且つ前記検出器と前記第4表面との間の距離dは、0mm≦d≦25mmの範囲にある、
ことを特徴とする請求項13に記載の信号伝送システム。
【請求項15】
車両であって、
前記車両は、車体と請求項13に記載の信号伝送システムとを備え、前記信号伝送システムは前記車体に搭載されている、
ことを特徴とする車両。
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正の内容】
図6
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正の内容】
図7
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図16
【補正方法】変更
【補正の内容】
図16
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図19
【補正方法】変更
【補正の内容】
図19
【国際調査報告】