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特表2024-545577温度補償付き非侵襲的分析装置センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】温度補償付き非侵襲的分析装置センサ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/145 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
A61B5/145
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527448
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 IB2022060799
(87)【国際公開番号】W WO2023084419
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】17/454,383
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/805,338
(32)【優先日】2022-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】522313879
【氏名又は名称】ノウ・ラブズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Know Labs, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】ボスア,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,ジュニア,エドワード スティーブン
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL05
4C038KX01
(57)【要約】
非侵襲的分析物センサは、分析物センサの1つ以上の要素の温度を感知する1つ以上の温度センサを含む。感知された温度は、分析物センサによって収集されたデータの後処理、すなわち補正、に使用でき、および/または分析物センサの操作を調整するために使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非侵襲的分析物センサシステムであって、
無線またはマイクロ波周波数範囲の電磁波を放射するように構成された第1のアンテナであって、少なくとも1つの分析物を含むターゲットに、前記無線またはマイクロ波周波数範囲の送信信号を送信するように配置された第1のアンテナと、
前記無線またはマイクロ波周波数範囲の電磁波を検出するように構成された第2のアンテナであって、前記第2のアンテナは、前記第1のアンテナによる前記少なくとも1つの分析物を含む前記ターゲットへの前記送信信号の送信から生じる前記無線またはマイクロ波周波数範囲の応答を検出するように配置された第2のアンテナと、
前記第1のアンテナに電気的に接続可能であり、前記第1のアンテナによって送信される前記送信信号を生成するように構成されている送信回路と、前記第2のアンテナに電気的に接続可能である受信回路とを含む電子回路と、
前記電子回路の素子の温度を検出する、前記電子回路内の少なくとも1つの温度センサと
を含む非侵襲的分析物センサシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの温度センサが、前記電子回路の回路基板の温度を検出するように配置されている、請求項1に記載の非侵襲的分析物センサシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの温度センサが、前記電子回路の信号発生器、無線周波数電力検出器、または増幅器の温度を検出するように配置されている、請求項1に記載の非侵襲的分析物センサシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの分析物が、グルコース、アルコール、酸素またはその指標、白血球、または黄体形成ホルモンを含む、請求項1に記載の非侵襲的分析物センサシステム。
【請求項5】
分析物センサシステムであって、
各々が無線またはマイクロ波周波数の電磁波を送受信するように構成された、少なくとも3つのアンテナを有するアンテナアレイ、および
前記アンテナアレイに接続され、前記少なくとも3つのアンテナの動作を制御する電子回路であって、前記少なくとも3つのアンテナのいずれか1つ以上が、分析物を含むターゲットに無線またはマイクロ波周波数帯の送信信号を送信するように制御され、前記少なくとも3つのアンテナのいずれか1つ以上が、前記分析物を含む前記ターゲットへの前記送信信号の送信から生じる前記無線またはマイクロ波周波数帯の応答を検出するように制御されるように、前記少なくとも3つのアンテナの動作を制御する電子回路
を含み、前記電子回路は、前記電子回路の素子の温度を検出する、または前記アンテナアレイの温度を検出する少なくとも1つの温度センサを含む、
分析物センサシステム。
【請求項6】
前記電子回路は回路基板を含み、前記少なくとも1つの温度センサが前記回路基板の温度を検出する、請求項5に記載の分析物センサシステム。
【請求項7】
前記電子回路は、信号発生器、無線周波数電力検出器、および増幅器を含み、前記少なくとも1つの温度センサが、前記信号発生器、前記無線周波数電力検出器、または前記増幅器の温度を検出する、請求項5に記載の分析物センサシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの温度センサは前記アンテナアレイの温度を検出する、請求項5に記載の分析物センサシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの分析物は、グルコース、アルコール、酸素またはその指標、白血球、または黄体形成ホルモンを含む、請求項5に記載の分析物センサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、検出器アレイ(アンテナアレイとも呼ばれる)を含む分析物センサを使用して分光技術によって分析物を検出する装置、システムおよび方法に関し、検出器アレイは、電磁スペクトルの無線周波数範囲またはマイクロ波周波数範囲で動作する。
【背景技術】
【0002】
ターゲット内の分析物を検出・測定できることに関心が集まっている。その一例が、生体物質中のグルコースの測定である。患者のグルコースを測定する例では、現在の分析物測定法は、指の棒や実験室ベースの検査用の血液のような体液や、しばしば侵襲的な経皮装置を使用して患者から採取される体液に対して測定を行うという点で、侵襲的である。生体物質中のグルコース測定が可能であることを訴求する非侵襲的な方法がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、非侵襲的な方法の多くは、概して、グルコースなどの対象となる分析物に対する特異性の欠如、体温の変動による干渉、皮膚化合物(汗など)や色素による干渉、設置の複雑さ(検出装置が患者の身体の複数の場所に設置される)などに悩まされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、概して、電磁スペクトルの無線周波数範囲またはマイクロ波周波数範囲などの非光学周波数を使用する分光技術によって分析物を検出する装置、システム、および方法に関する。本明細書に記載の分析物センサは、複数の検出器素子(アンテナ素子またはアンテナとも呼ばれる)を有する検出器アレイを含み、そのうちの少なくとも1つは、無線周波数範囲またはマイクロ波周波数範囲の電磁信号を送信でき、そのうちの少なくとも1つは、電磁信号の送信の結果生じる無線周波数範囲またはマイクロ波周波数範囲の電磁信号を受信できる。
【0005】
本明細書に記載の非侵襲性分析物センサにおいて、1つ以上の温度センサは、回路基板、無線周波数信号発生器、増幅器、またはセンサの他の素子など、センサの様々な素子に接続され得る。検出されたセンサ素子の温度は、データの後処理(すなわち補正)に使用でき、および/または分析物センサの動作を調整するために使用できる。
【0006】
一実施形態において、非侵襲的分析物センサシステムは、無線周波数範囲又はマイクロ波周波数範囲の電磁波を放射するように構成された第1のアンテナを含み得る。第1のアンテナは、無線周波数範囲又はマイクロ波周波数範囲の送信信号を、少なくとも1つの分析物を含むターゲットに送信するように位置決めされ、配置される。非侵襲的分析物センサシステムは、無線またはマイクロ波周波数範囲の電磁波を検出するように構成された第2のアンテナを含み得る。第2のアンテナは、第1のアンテナによる少なくとも1つの分析物を含むターゲットへの送信信号の送信から生じる無線またはマイクロ波周波数範囲の応答を検出するように配置されている。第1のアンテナに電気的に接続可能で、第1のアンテナによって送信される送信信号を生成するように構成された送信回路と、第2のアンテナに電気的に接続可能な受信回路とを含む電子回路が提供される。電子回路には、電子回路の素子の温度を検出する少なくとも1つの温度センサがある。
【0007】
別の実施形態では、分析物センサシステムは、それぞれが無線周波数またはマイクロ波周波数の電磁波を送受信するように構成された少なくとも3つのアンテナを有するアンテナアレイを含み得る。センサシステムは、アンテナアレイに接続され、少なくとも3つのアンテナの動作を制御する電子回路をさらに含み得る。少なくとも3つのアンテナのいずれか1つ以上が、分析物を含むターゲットに無線周波数範囲またはマイクロ波周波数範囲の送信信号を送信するように制御され、少なくとも3つのアンテナのいずれか1つ以上が、分析物を含むターゲットへの送信信号の送信から生じる無線周波数範囲またはマイクロ波周波数範囲の応答を検出するように制御され得る。さらに、電子回路は、電子回路またはアンテナアレイの素子の温度を検出する少なくとも1つの温度センサを含む。
【0008】
さらに別の実施形態では、分析物センサシステムは、それぞれが無線周波数またはマイクロ波周波数の電磁波を送受信するように構成された少なくとも3つのアンテナを有するアンテナアレイを含み得る。電子回路は、アンテナアレイに接続され、少なくとも3つのアンテナの動作を制御し、電子回路は、少なくとも3つのアンテナの1つ以上によって、分析物を含むターゲットに送信される無線またはマイクロ波周波数範囲の送信信号を生成する送信側回路と、少なくとも3つのアンテナの1つ以上に接続可能であり、分析物を含むターゲットへの送信信号の送信から生じる無線またはマイクロ波周波数範囲の応答を検出する受信側回路とを含む。さらに、電子回路またはアンテナアレイの素子の温度を検出する少なくとも1つの温度センサが設けられている。
【0009】
本明細書に記載の非侵襲的分析物センサにおいて、センサの受信側はスーパーヘテロダイン回路を含み得る。スーパーヘテロダイン回路は、受信アンテナに電気的に接続された入力を有するミキサと、ミキサの別の入力に接続され、無線周波数信号を生成するように構成された無線周波数発生器を含む。ミキサ出力は入力周波数に基づいている。ミキサへの入力がそれぞれ1つの周波数である例では、ミキサの出力は、入力周波数の和で1つの周波数となり、入力周波数の差で1つの周波数となる。これらのうちの1つが所望の周波数として選択され、バンドパスフィルタなどのフィルタが、選択された周波数を通過させ、それ以外を拒否するように構成される。これにより、ミキサ出力から不要な周波数が除去され、システム内のノイズが大幅に減少するという利点もある。
【0010】
また、送信回路と受信回路との間に、送信アンテナと受信アンテナとのアンテナアレイを迂回する較正経路を設けることもできる。さらに、1つまたは複数の温度センサは、送信信号を生成する無線周波数信号発生器および/またはスーパーヘテロダイン回路の無線周波数信号発生器など、センサの様々な素子に接続できる。
【0011】
本明細書に記載の一実施形態では、非侵襲的分析物センサシステムは、無線周波数電磁波を放射するように構成された第1のアンテナを含み得る。第1のアンテナは、少なくとも1つの分析物を含むターゲットに無線周波数送信信号を送信するように位置決めされ配置される。非侵襲的分析物センサシステムは、無線周波数電磁波を検出するように構成された第2のアンテナを含み得る。第2のアンテナは、少なくとも1つの分析物を含むターゲットへの第1のアンテナによる無線周波数送信信号の送信の結果として生じる無線周波数応答を検出するように位置決めされ配置される。送信回路は、第1のアンテナに電気的に接続可能であり、送信回路は、第1のアンテナによって送信される無線周波数の送信信号を生成するように構成された第1の無線周波数信号発生器を含む。さらに、第2のアンテナには受信回路が電気的に接続可能であり、受信回路はスーパーヘテロダイン回路を含む。
【0012】
本明細書に記載される別の実施形態では、非侵襲的分析物センサシステムは、少なくとも2つのアンテナ、または少なくとも3つのアンテナを有するアンテナアレイを含み得る。これらのアンテナはそれぞれ、無線周波数電磁波を放射および受信するように構成される。送信回路は、少なくとも2つのアンテナのいずれか1つ以上に選択的に電気的に接続可能であり、送信回路は、送信回路が電気的に接続される少なくとも2つのアンテナの1つ以上によってターゲットに送信される電磁スペクトルの無線周波数範囲内の少なくとも1つの送信信号を生成するように構成される第1の無線周波数信号発生器を含む。さらに、受信回路は、少なくとも2つのアンテナのいずれか1つ以上に選択的に電気的に接続可能である。受信回路は、受信回路が電気的に接続される少なくとも2つのアンテナのうちの1つ以上に電気的に接続可能な第1の入力を有するミキサを含み、第2の無線周波数発生器はミキサの第2の入力に接続される。ミキサは、第1の入力および第2の入力を介して受信された信号に基づいて無線周波数出力信号を生成するように構成され、ミキサは、生成された無線周波数出力信号を出力する出力を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態による、ターゲットに対する分析物センサを有する分析物センサシステムの概略図である。
図2】3つのアンテナを有するアンテナアレイを備えた非侵襲的分析物センサシステムの一実施形態の概略図である。
図3】6つのアンテナを有するアンテナアレイを備えた非侵襲的分析物センサシステムの別の実施形態の概略図である。
図4】受信側にスーパーヘテロダイン回路を有する分析物センサに使用される回路の一実施形態の概略図である。
図5】受信側にスーパーヘテロダイン回路を有する分析物センサに使用される回路の別の実施形態の概略図である。
図6】受信側にスーパーヘテロダイン回路を有する分析物センサに使用される回路の別の実施形態の概略図である。
図7】1つ以上の温度センサを有する分析物センサシステムの別の実施形態の概略図である。
【0014】
同じ参照番号は、全体を通して同じ要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下は、電磁スペクトルの無線周波数帯やマイクロ波周波数帯のような非光学周波数を使用する分光技術によって分析物を検出する装置、システム、方法の詳細な説明である。本明細書に記載の分析物センサは、複数の検出器素子(アンテナ素子またはアンテナとも呼ばれる)を有する検出器アレイを含み、そのうちの少なくとも1つは、無線周波数範囲またはマイクロ波周波数範囲の電磁信号を送信でき、そのうちの少なくとも1つは、電磁信号の送信の結果生じる無線周波数範囲またはマイクロ波周波数範囲の電磁信号を受信できる。以下、便宜上、検出器アレイをアンテナアレイと呼び、検出素子をアンテナと呼ぶ。
【0016】
一実施形態では、本明細書に記載のセンサシステムは、ターゲット中の少なくとも1つの分析物の存在を検出するために使用できる。別の実施形態では、本明細書に記載のセンサシステムは、ターゲット中の少なくとも1つの分析物の量または濃度を検出できる。ターゲットは、検出したい分析物を少なくとも1つ含んでいれば何でもよい。ターゲットはヒトでもヒトでなくても、動物でも非動物でも、生物学的でも非生物学的でもよい。例えば、ターゲットとしては、ヒト組織、動物組織、植物組織、無生物、土壌、液体、遺伝物質、微生物などが挙げられるが、これらに限定されない。ターゲットの非限定的な例としては、血液、間質液、脳脊髄液、リンパ液、尿、ヒト組織、動物組織、植物組織、無生物、土壌、遺伝物質、微生物の一つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、本明細書に記載の非侵襲的分析物センサは、血液中と間質液中の分析物を同時に検出できる。別の実施形態では、本明細書に記載の非侵襲的分析物センサは、血液中、間質液中、および細胞物質中の分析物を同時に検出できる。さらに、本明細書に記載された非侵襲的分析物センサは、人体に特定の位置合わせを必要とせずに使用できる。例えば、本明細書に記載された非侵襲性分析物センサは、分析物の感知中、静脈または動脈と位置合わせする必要はない。
【0017】
本明細書で説明するセンサによる検出は非侵襲的であり得、これはセンサが人体などのターゲットの外側に留まり、人体などのターゲットから体液やその他の除去を必要とせずに分析物の検出が行われることを意味する。人体におけるセンシングの場合、この非侵襲的センシングは生体内センシングとも呼ばれることがある。他の実施形態では、本明細書に記載のセンサは、分析物を含む材料が、例えば人体から除去されたインビトロのセンサであってもよい。
【0018】
送信アンテナ及び受信アンテナは、ターゲットの近傍に配置でき、ターゲット中の少なくとも1つの分析物の検出を補助するために、本明細書でさらに説明するように動作させ得る。送信アンテナは、無線やマイクロ波の周波数帯域の信号を、ターゲットに向かって送信する。少なくとも2つの周波数を有する信号は、各周波数で別々の時間に別々に送信される、各々が離散的な周波数を有する別々の信号部分によって形成できる。別の実施形態では、少なくとも2つの周波数を有する信号は、少なくとも2つの周波数を含む複数の周波数を含む複素信号の一部であってもよい。複素信号は、複数の信号をブレンドまたは多重化して生成でき、その後に複素信号を送信することで、複数の周波数が同時に送信される。複素信号を生成するための1つの可能な技術には、逆フーリエ変換技術を使用することが含まれるが、これに限定されない。受信アンテナは、少なくとも1つの分析物を含むターゲットへの送信アンテナによる信号の送信から生じる応答を検出する。
【0019】
送信アンテナと受信アンテナは、互いにデカップリング(離調などともいう)されていてもよい。デカップリングとは、送信アンテナと受信アンテナの間の直接通信を最小化するために、送信アンテナと受信アンテナの構成及び/又は配置を意図的に製作することであり、好ましくは遮蔽がないことである。送信アンテナと受信アンテナの間のシールドを利用できる。しかし、送信アンテナと受信アンテナは、シールドがなくてもデカップリングされる。
【0020】
受信アンテナによって検出された信号は、受信信号の強度および分析物が送信信号を吸収する1つまたは複数の周波数における強度の減少に基づいて、分析物を検出するために分析できる。電磁スペクトルの無線周波数範囲またはマイクロ波周波数範囲で動作する非侵襲的分光センサを使用して分析物を検出する例は、米国特許第10,548,503号に記載されており、その全内容は参照により本明細書に援用される。受信アンテナによって検出される信号は、複数の信号成分を含む複素信号とでき、各信号成分は異なる周波数にある。一実施形態では、検出された複素信号は、例えばフーリエ変換によって、異なる周波数の各信号成分に分解できる。一実施形態では、受信アンテナによって検出された複素信号は、検出された信号が分析物の検出を行うのに十分な情報を提供する限り、分析物を検出するために全体として(すなわち、複素信号をデマルチプレクスすることなく)分析できる。さらに、受信アンテナによって検出される信号は、それぞれが個別の周波数を有する個別の信号部分とできる。
【0021】
分析物は、検出したい任意の分析物であり得る。分析物はヒトでもヒトでなくても、動物でも非動物でも、生物学的でも非生物学的でもよい。例えば、分析物には、グルコース、血中アルコール、酸素またはその指標、白血球、黄体形成ホルモンの1つ以上が含まれるが、これらに限定されない。分析物には、化学物質、化学物質の組み合わせ、ウイルス、細菌などが含まれるが、これらに限定されない。分析物は他の媒体に含まれる化学物質であってもよく、そのような媒体の非限定的な例としては、少なくとも1つの分析物を含む液体、例えば血液、間質液、脳脊髄液、リンパ液、尿、ヒト組織、動物組織、植物組織、無生物、土壌、遺伝物質、微生物などがある。分析物は、鉱物や汚染物質など、ヒト以外の非生物的粒子であることもある。
【0022】
分析物には、例えば、天然物質、人工物質、代謝物、および/または反応生成物が含まれる。非限定的な例として、少なくとも1つの分析物には、以下が含まれるが、これらに限定されるわけではない。インスリン、アカルボキシプロトロンビン、アシルカルニチン、アデニンリン酸リボシルトランスフェラーゼ、アデノシンデアミナーゼ、アルブミン、アルファフェトプロテイン、アミノ酸プロファイル(アルギニン(クレブス回路)、ヒスチジン/ウロカニン酸、ホモシステイン、フェニルアラニン/チロシン、トリプトファン)、アンドレノステニオン、アンチピリン、アラビニトールエナンチオマー、アルギナーゼ、ベンゾイルエクゴニン(コカイン)、ビオチニダーゼ、ビオプテリン、C-反応性タンパク質、カルニチン、プロBNP、BNP、トロポニン、カルノシナーゼ、CD4、セルロプラスミン、ケノデオキシコール酸、クロロキン、コレステロール、コリンエステラーゼ、結合1-βヒドロキシコール酸、コルチゾール、クレアチンキナーゼ、クレアチンキナーゼMMアイソザイム、シクロスポリンA、d-ペニシラミン、デエチルクロロキン、デヒドロエピアンドロステロン硫酸塩、DNA(アセチル化因子多型、アルコール脱水素酵素、α1-アンチトリプシン、嚢胞性線維症、デュシェンヌ型/ベッカー型筋ジストロフィー、アナライト-6-リン酸脱水素酵素、ヘモグロビンおよびその変異体(ヘモグロビンA、ヘモグロビンS、ヘモグロビンC、ヘモグロビンD、ヘモグロビンF、D-プンジャブおよびβ-サラセミアを含む、ヘモグロビンA、ヘモグロビンS、ヘモグロビンC、ヘモグロビンD、ヘモグロビンE、ヘモグロビンF、D-パンジャブ、β-サラセミア、特に、オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、カルボキシヘモグロビンなどのヘモグロビンの特定のコンフォーメーションまたはコンジュゲーション)、B型肝炎ウイルス;HCMV、HIV-1、HTLV-1、レーバー遺伝性視神経症、MCAD、RNA、PKU、三日熱マラリア原虫、性分化、21-デオキシコルチゾール);デスブチルハロファントリン;ジヒドロプテリジン還元酵素;ジフテリア/破傷風抗毒素;赤血球アルギナーゼ;赤血球プロトポルフィリン;エステラーゼD;脂肪酸/アシルグリシン;遊離β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン;遊離赤血球ポルフィリン;遊離サイロキシン(FT4);遊離トリヨードサイロニン(FT3);フマリルアセトアセターゼ;ガラクトース/ガラクトース-1-リン酸;ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ;ゲンタマイシン;アナライト-6-リン酸デヒドロゲナーゼ;グルタチオン;グルタチオンペリオキシダーゼ;グリココール酸;グリコシル化ヘモグロビン;ハロファントリン;ヘモグロビン変異体;ヘキソサミニダーゼA;ヒト赤血球炭酸脱水酵素I;17-α-ヒドロキシプロゲステロン;ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ;免疫反応性トリプシン;乳酸;鉛;リポタンパク質((a)、B/A-1、β);リゾチーム;メフロキン;ネチルマイシン;フェノバルビタール;フェニトイン;フィタン酸/プリスタン酸;プロゲステロン;プロラクチン;プロリダーゼ;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ;キニーネ;逆トリヨードサイロニン(rT3);セレン;血清膵リパーゼ;シソミシン;ソマトメジンC;特異抗体(アデノウイルス、抗核抗体、抗ゼータ抗体、アルボウイルス、オーエスキー病ウイルス、デングウイルス、メジナ虫、エキノコックス症、赤痢アメーバ、エンテロウイルス、ジアルジア・デュオデナリザ、ヘリコバクター・ピロリ、B型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、HIV-1、IgE(アトピー性疾患)、インフルエンザウイルス、リーシュマニア・ドノバニ、レプトスピラ、麻疹/おたふく風邪/風疹、らい菌(ハンセン病)、マイコプラズマ肺炎、ミオグロビン、回旋糸状虫、パラインフルエンザウイルス、熱帯熱マラリア原虫、ポリオウイルス、緑膿菌、呼吸器合胞体ウイルス、リケッチア(ツツガムシ病)、マンソン住血吸虫、トキソプラズマ、梅毒トレポネーマ、クルーズ・トリパノソーマ/ランジェリ、ベシキュラ・ストマチスウイルス、バンクロフト糸状虫、黄熱ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、バンクロフト糸状虫、黄熱ウイルス);特異抗原(B型肝炎ウイルス、HIV-1);スクシニルアセトン;スルファドキシン;テオフィリン;甲状腺刺激ホルモン(TSH);チロキシン(T4);チロキシン結合グロブリン;微量元素;トランスフェリン;UDP-ガラクトース-4-エピメラーゼ;尿素;ウロポルフィリノーゲンI合成酵素;ビタミンA;白血球;亜鉛プロトポルフィリン;PGF2αおよびPGE2などのプロスタグランジン;エストロゲン、プロゲステロン、および/または卵胞刺激ホルモン(FSH)などのホルモン。
【0023】
分析物には、ターゲットに導入される1つ以上の化学物質も含まれ得る。分析物は、造影剤、放射性同位元素、その他の化学物質などのマーカーを含み得る。分析物には、フルオロカーボンをベースとする合成血液を含み得る。分析物は、薬物または医薬組成物を含み得、非限定的な例としては、エタノールまたは他のアルコール;ケトン;大麻(マリファナ、テトラヒドロカンナビノール、ハシシ);吸入薬(亜酸化窒素、亜硝酸アミル、亜硝酸ブチル、クロロ炭化水素、炭化水素);コカイン(クラックコカイン);覚醒剤(アンフェタミン、メタンフェタミン、リタリン、サイラート、プレルディン、ディドレックス、プレステート、ボラニル、サンドレックス、プレジン);鎮静剤(バルビツール酸塩、メタカロン、精神安定剤(バリウム、リブリウム、ミルタウン、セラックス、エクアニル、トランキセンなど);幻覚剤(フェンサイクリジン、リゼルグ酸、メスカリン、ペヨーテ、シロシビン);麻薬(ヘロイン、コデイン、モルヒネ、アヘン、メペリジン、パーコセット、パーコダン、タッシオネックス、フェンタニル、ダルボン、タルウィン、ロモチル);デザイナードラッグ(フェンタニル、メペリジン、アンフェタミン、メタンフェタミン、フェンサイクリジンの類似体、例えばエクスタシー);アナボリックステロイド;およびニコチンが挙げられ得る。分析物には、他の薬物や医薬組成物も含まれる。分析物には、例えば、アスコルビン酸、尿酸、ドーパミン、ノルアドレナリン、3-メトキシチラミン(3MT)、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)、ホモバニリン酸(HVA)、5-ヒドロキシトリプタミン(5HT)、5-ヒドロキシインドール酢酸(FHIAA)など、神経化学物質や体内で生成される他の化学物質を含み得る。
【0024】
一実施形態において、分析物は、被験体内の酸素レベルを決定するために使用できる1つ以上の分析物である。分析物としては、例えば、単体酸素、オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、その他、被験体内の酸素濃度を示す、あるいはその代用となる適切な分析物を挙げ得る。酸素レベルは、酸素の全体的なレベル、または酸素を示す分析物それ自体、またはデオキシヘモグロビンに対するオキシヘモグロビンの比率のような比率であり得る。
【0025】
一実施形態において、分析物は、被験者の水分補給を決定するための1つ以上の指標を含み得る。分析物は、例えば、ヘモグロビン、赤血球全体、1つ以上のホルモン、ナトリウム、浸透圧を決定できる1つ以上の溶質などを含み得る。分析物の量は、1つまたは複数の分析物の濃度、ヘマトクリット、浸透圧、または被験者の水分補給レベルの任意の他の適切な測定値など、水分補給の1つまたは複数の指標を決定するために使用できる。浸透圧は、血漿、間質液、唾液、尿などの1つ以上の浸透圧であり得る。一実施形態では、センサは、検出結果が被験者の膀胱内の分析物の存在または量を示すように配置でき、尿浸透圧などの水分補給に関連する尿パラメータを決定できる。一実施形態では、センサは、検出結果が唾液中の分析物の存在または量を示すように配置できる。水分補給レベルは、浸透圧やヘマトクリットを基準値と比較するなどして、1つ以上の指標に基づいて決定できる。基準値は、被験者に固有の基準値、一般的な基準値、被験者が属するグループの基準値等とできる。実施形態において、センサは、非侵襲的に被験体中の1つ以上の分析物を検出できる。一実施形態では、センサは、血液、尿、唾液サンプルなど、被験者から得られたサンプル中の1つ以上の分析物を検出できる。試料は所定の質量または体積を有し得る。
【0026】
一実施形態では、本明細書で説明するセンサは、指輪、時計、またはユーザの身体に装着される他の任意の適切なウェアラブル装置などのウェアラブル装置に組み込み得る。ウェアラブルデバイスは、例えば時計や指輪など、ユーザが長期間にわたって着用するように構成されていてもよい。あるいは、ウェアラブルデバイスは、一時的に装着されるように構成することもでき、例えば、1回以上の分析物測定の間のみ装着され、その後ウェアラブルデバイスは取り外される。一実施形態では、本明細書に記載のセンサは、非装着型装置として構成できる。例えば、センサは、分析物の読み取り中に、使用者が身体の一部を保持するか、または身体の一部をセンサに押し付ける装置として構成できる。
【0027】
センサを含む装置は、ウェアラブルであるか非ウェアラブルであるかにかかわらず、ユーザの心拍数、ユーザの血圧、ユーザの体温、ユーザのカロリー消費、ユーザのグルコースレベル、1つ以上のホルモンレベル、生体電気インピーダンスなどの1つ以上の生理学的パラメータを検出できるように構成することもできる。生理学的パラメータの1つ以上は、センサを用いて直接検出でき、および/またはセンサによる1つ以上の分析物の検出に基づいて決定できる。実施形態において、生理学的パラメータの1つ以上は、本明細書に記載されるセンサに加えて、装置に含まれる1つ以上の追加の生理学的センサを用いて検出または決定できる。一つ以上の追加的な生理学的センサは、感知される特定の生理学的パラメータに適した生理学的センサであり得る。一実施形態では、1つ以上の生理学的パラメータは、センサによって検出された1つ以上の分析物の存在または量、および装置に含まれる1つ以上の追加の生理学的センサによって行われた1つ以上の追加の測定値に基づいて決定できる。本装置はまた、カメラ、加速度計、歩数計、フィットネス/アクティビティトラッカー、高度計、気圧計、コンパス、全地球測位システム、睡眠モニター、落下センサ、マイク、スピーカーなどを含むが、これらに限定されない1つ以上の追加機能を含み得る。
【0028】
次に図1を参照すると、非侵襲性分析物センサ5を備えた非侵襲性分析物センサシステムの実施形態が示されている。センサ5は、例えば人体の間質液中の分析物など、目的の分析物9を含むターゲット7に対して相対的に描かれている。この例では、センサ5は送信アンテナ/素子11(以下、「送信アンテナ11」)と受信アンテナ/素子13(以下、「受信アンテナ13」)を含むアンテナアレイを含むように描かれている。センサ5はさらに、送信回路15、受信回路17、およびコントローラ19を含む。さらに後述するように、センサ5は、バッテリー(図1には図示せず)などの電源も含み得る。いくつかの実施形態では、電源は、例えば、センサ5に接続されたコードを介してセンサ5をコンセントに差し込むことにより、主電源から供給できる。
【0029】
送信アンテナ11は、電磁スペクトルの無線周波数(RF)またはマイクロ波範囲の信号21をターゲット7に送信するように配置、配置、構成されている。送信アンテナ11は、電極、または無線周波数(RF)またはマイクロ波範囲の電磁信号の他の任意の適切な送信機とできる。送信アンテナ11は、ターゲット7に対して、分析物のセンシングを行うのに十分な任意の配置および向きを有できる。非限定的な一実施形態では、送信アンテナ11は、実質的にターゲット7に向かう方向に向くように配置できる。
【0030】
送信アンテナ11によって送信される信号21は、送信アンテナ11に電気的に接続可能な送信回路15によって生成される。送信回路15は、送信アンテナ11によって送信される送信信号を生成するのに適した任意の構成を有できる。RFまたはマイクロ波の周波数範囲で送信信号を生成する送信回路は、当技術分野でよく知られている。一実施形態では、送信回路15は、例えば、電源への接続、周波数発生器、および任意選択でフィルタ、増幅器、またはRFまたはマイクロ波周波数の電磁信号を発生する回路のための任意の他の適切な素子を含み得る。一実施形態では、送信回路15によって生成される信号は、少なくとも2つの離散周波数(すなわち、複数の離散周波数)を有でき、各離散周波数は、約10kHz~約100GHzの範囲内にある。別の実施形態では、少なくとも2つの離散周波数のそれぞれは、約300MHzから約6000MHzの範囲とできる。一実施形態では、送信回路15は、約10kHz~約100GHzの範囲内、別の実施形態では約300MHz~約6000MHzの範囲内の周波数の範囲内を掃引するように構成できる。一実施形態では、送信回路15は、複素送信信号を生成するように構成でき、複素信号は複数の信号成分を含み、信号成分の各々は異なる周波数を有する。複素信号は、複数の信号をブレンドまたは多重化して生成でき、その後に複素信号を送信することで、複数の周波数が同時に送信される。
【0031】
受信アンテナ13は、送信アンテナ11による送信信号21のターゲット7への送信と分析物9への衝突から生じる1つ以上の電磁応答信号23を検出するように配置、配置、構成されている。受信アンテナ13は、無線周波数(RF)またはマイクロ波範囲の電磁信号の電極または任意の他の適切な受信機とできる。一実施形態では、受信アンテナ13は、少なくとも2つの周波数を有する電磁信号を検出するように構成され、各周波数は、約10kHz~約100GHzの範囲にあり、別の実施形態では、約300MHz~約6000MHzの範囲にある。受信アンテナ13は、分析物の検出を可能にする応答信号23の検出を可能にするのに十分な、ターゲット7に対する任意の配置および向きを有できる。非限定的な一実施形態では、受信アンテナ13は、実質的にターゲット7に向かう方向に向くように配置できる。
【0032】
受信回路17は、受信アンテナ13と電気的に接続可能であり、受信アンテナ13からの受信応答をコントローラ19に伝える。受信回路17は、受信アンテナ13によって検出された電磁エネルギーを、応答信号23を反映する1つ以上の信号に変換するために、受信アンテナ13とインターフェースするのに適した任意の構成を有できる。受信回路の構造は当技術分野でよく知られている。受信回路17は、信号の増幅、信号のフィルタリングなどを通じて、信号をコントローラ19に供給する前に信号を調整するように構成できる。したがって、受信回路17は、フィルタ、増幅器、またはコントローラ19に供給される信号を調整するための他の適切な部品を含み得る。一実施形態では、受信回路17またはコントローラ19の少なくとも一方は、受信アンテナ13によって検出された、各々異なる周波数の複数の信号成分を含む複素信号を、各構成信号成分に分解またはデマルチプレクスするように構成できる。一実施形態では、複素信号を分解することは、検出された複素信号にフーリエ変換を適用することを含み得る。ただし、受信した複素信号を分解またはデマルチプレクスすることは任意である。その代わりに、一実施形態では、検出された信号が分析物の検出を行うのに十分な情報を提供する限り、受信アンテナによって検出された複素信号を全体として(すなわち、複素信号をデマルチプレクスすることなく)分析して分析物を検出できる。
【0033】
制御装置19は、センサ5の動作を制御する。コントローラ19は、例えば、送信アンテナ11によって送信される送信信号を生成するように送信回路15に指示できる。コントローラ19はさらに、受信回路17からの信号を受信する。コントローラ19は、オプションとして、受信回路17からの信号を処理して、ターゲット7中の分析物9を検出できる。一実施形態では、コントローラ19は、任意選択で、例えば、Bluetoothなどの1つまたは複数の無線接続、4G、5G、LTEなどの無線データ接続、またはWi-Fiを介して、ユーザデバイスおよび/またはリモートサーバ27などの少なくとも1つの外部デバイス25と通信できる。提供される場合、外部装置25および/またはリモートサーバ27は、例えば、分析物9を検出するために、コントローラ19が受信回路17から受信した信号を処理(またはさらに処理)できる。提供される場合、外部装置25は、例えば、有線データ接続を使用して、または外部装置25の無線データ接続またはWi-Fiを介して、センサ5とリモートサーバ27との間の通信を提供するために使用できる。
【0034】
引き続き図1を参照すると、センサ5は、内部空間31を画定するセンサハウジング29(破線で示す)を含み得る。センサ5の構成素子は、ハウジング29に取り付けられ、及び/又はハウジング29内に配置され得る。例えば、送信アンテナ11と受信アンテナ13はハウジング29に取り付けられている。いくつかの実施形態では、アンテナ11、13は、全体的または部分的にハウジング29の内部空間31内に存在し得る。いくつかの実施形態では、アンテナ11、13はハウジング29に取り付けられていてもよいが、少なくとも部分的または完全に内部空間31の外側に配置されている。いくつかの実施形態では、送信回路15、受信回路17およびコントローラ19は、ハウジング29に取り付けられ、全体がセンサハウジング29内に配置される。
【0035】
受信アンテナ13は、送信アンテナ11と受信アンテナ13との間の電磁結合が低減されるように、送信アンテナ11に対してデカップリングまたはデチューンされることがある。送信アンテナ11と受信アンテナ13のデカップリングは、受信アンテナ13によって検出される信号のうち、ターゲット7からの応答信号23である部分を増加させ、受信アンテナ13による送信信号21の直接受信を最小化する。送信アンテナ11と受信アンテナ13のデカップリングの結果、送信アンテナ11から受信アンテナ13への送信は、結合された送信アンテナと受信アンテナを有するアンテナシステムと比較して、減少した順方向利得(S21)と増加した出力時の反射(S22)を有する。
【0036】
実施形態では、送信アンテナ11と受信アンテナ13の結合率は95%以下である。別の実施形態では、送信アンテナ11と受信アンテナ13の結合率は90%以下である。別の実施形態では、送信アンテナ11と受信アンテナ13の結合率は85%以下である。別の実施形態では、送信アンテナ11と受信アンテナ13の結合率は75%以下である。
【0037】
送信アンテナ11と受信アンテナ13の間の結合を低減するための任意の技術を使用できる。例えば、送信アンテナ11と受信アンテナ13との間のデカップリングは、送信アンテナ11と受信アンテナ13とを互いにデカップリングするのに十分な、送信アンテナ11と受信アンテナ13との間の1つ又は複数の意図的に作製された構成及び/又は配置によって達成できる。
【0038】
例えば、以下にさらに説明する一実施形態では、送信アンテナ11と受信アンテナ13のデカップリングは、送信アンテナ11と受信アンテナ13が互いに異なる形状を有するように意図的に構成することによって達成できる。意図的に異なる幾何学的形状とは、意図的に異なる送受信アンテナ11、13の幾何学的構成を指す。意図的な形状の違いは、例えば製造誤差や公差に起因する、偶然または意図せずに発生する可能性のある送受信アンテナの形状の違いとは区別される。
【0039】
送信アンテナ11と受信アンテナ13のデカップリングを達成するための別の技法は、アンテナ11、13をデカップリングし、送信信号21の電磁力線の割合をターゲット7に強制するのに十分な適切な間隔を各アンテナ11、13間に設け、それにより、ターゲット7に伝わらずに送信アンテナ11から直接受信アンテナ13による電磁エネルギーの直接受信を最小化するか、または可能な限り排除することである。各アンテナ11、13間の適切な間隔は、送信アンテナ11からの信号の出力電力、アンテナ11、13のサイズ、送信信号の周波数、アンテナ間の遮蔽の有無などを含むが、これらに限定されない要因に基づいて決定できる。この技術は、受信アンテナ13によって検出された応答が分析物9を測定しており、送信アンテナ11から受信アンテナ13に直接流れる送信信号21だけではないことを確認するのに役立ちます。いくつかの実施形態では、アンテナ11、13間の適切な間隔を、アンテナ11、13の意図的な形状の違いとともに使用して、デカップリングを達成できる。
【0040】
一実施形態では、送信アンテナ11によって送信される送信信号は、少なくとも2つの異なる周波数を有でき、例えば、7~12の異なる離散的な周波数を有できる。別の実施形態では、送信信号は一連の離散的な別個の信号とでき、各別個の信号は単一の周波数または複数の異なる周波数を有する。
【0041】
一実施形態では、送信信号(または送信信号の各々)は、約300ms未満、等しい、またはそれ以上の送信時間にわたって送信され得る。別の実施形態では、送信時間は約200ms以上とできる。さらに別の実施形態では、送信時間は約30ms以下、等しいか、またはそれ以上とできる。送信時間は、例えば1秒、5秒、10秒など、秒単位で測定される大きさを有することもできる。実施形態では、同じ送信信号を複数回送信し、送信時間を平均化できる。別の実施形態では、送信信号(または送信信号の各々)は、約50%以下のデューティサイクルで送信できる。
【0042】
送信信号と分析物との間の相互作用は、場合によっては、受信アンテナによって検出される信号の強度を増加させることがあり、他の場合には、受信アンテナによって検出される信号の強度を減少させることがある。例えば、非限定的な一実施形態では、検出された応答を分析する際、検出される分析物を含むターゲット中の化合物は、送信信号の一部を吸収でき、吸収は送信信号の周波数に基づいて変化する。受信アンテナによって検出される応答信号は、分析物などのターゲット中の化合物が送信信号を吸収する周波数での強度低下を含むことがある。吸収の周波数は分析物によって異なる。受信アンテナによって検出された応答信号は、分析物に関連する周波数で分析され、分析物による吸収に対応する信号強度の低下に基づいて、分析物による吸収に対応する周波数で信号強度の低下が観察されるかどうかに基づいて分析物を検出できる。分析物に起因するシグナル強度の増加に関しても、同様の手法を用い得る。
【0043】
分析物の存在の検出は、例えば、分析物に関連する既知の周波数で受信アンテナによって検出された信号強度の変化を識別することによって達成できる。この変化は、送信信号が分析物とどのように相互作用するかに応じて、信号強度の減少または信号強度の増加となる。分析物に関連する既知の周波数は、例えば、分析物を含むことが知られている溶液の試験を通じて確立できる。分析物の量の決定は、例えば、入力変数が信号の変化の大きさであり、出力変数が分析物の量である関数を用いて、既知の周波数における信号の変化の大きさを同定することによって達成できる。分析物の量の決定は、さらに、例えば、ターゲットの既知の質量または体積に基づいて濃度を決定するために使用できる。一実施形態では、分析物の存在と分析物の量の決定は、例えば、最初に分析物の存在を検出するために検出信号の変化を特定し、次に量を決定するために変化の大きさを特定するために検出信号を処理することによって、両方決定できる。
【0044】
センサ5とその構成部品およびそのバリエーションに関するさらなる情報は、米国特許第11,063,373号、同第11,031,970号、同第11,058,317号、同第11,058,331号および同第11,033,208号に記載されており、その全内容は参照により本明細書に援用される。
【0045】
図2-3は、非侵襲的分析物センサシステム100の追加実施形態の概略図である。図2-3に描かれたシステム100は、少なくとも3つ以上のアンテナ(図2)または少なくとも6つ以上のアンテナ(図3)を含む。しかし、異なる数のアンテナを使用することもできる。各実施形態において、システム100は、アンテナアレイのアンテナの1つ以上を送信アンテナまたは受信アンテナのいずれかとして使用できるように構成される。図2-3では、同様の要素は同じ参照数字で参照されている。先に説明した図1の実施形態と同様に、図2-3のアンテナアレイは非結合型アンテナアレイとでき、アンテナアレイのアンテナは互いに非結合型とできる。しかしながら、いくつかの実施形態では、システム100のアンテナは互いに切り離されない場合がある。一実施形態では、図2-3のアレイに使用されるアンテナは、互いに異なる形状を有できる。
【0046】
図2の実施形態では、システム100のアンテナアレイは3つのアンテナ102a、102b、102cを有し、各アンテナは基板106上に配置されている。システムはさらに、3つのスイッチ108a、108b、108c、受信スイッチコントローラ110a、受信スイッチコントローラ110aとは別の送信スイッチコントローラ110b、送信回路112、受信回路114、コントローラ116を含む。図3の実施形態では、システム100のアンテナアレイは、それぞれ基板106上に配置された6つのアンテナ102a~fと、6つのスイッチ108a~fとを有する。図2および図3のシステム100に関するさらなる情報は、米国特許11,058,321号に記載されており、その全内容は参照により本明細書に援用される。
【0047】
次に図4を参照すると、複数のアンテナ(図示せず)を有するアンテナアレイ122を有する分析物センサシステム120の一例が描かれている。アレイ122は、図2および図3のアンテナアレイと同様とすることも、異なる数のアンテナを有する異なる構成とすることもできる。システム120は、第1の無線周波数(RF)信号発生器124、1つ以上のフィルタ126、および1つ以上のスイッチ130を含む送信側回路を含む。オプションで送信増幅器131を設けることもできる。RF信号発生器124は、送信する無線周波数信号を発生する。信号発生器124によって生成されるRF信号は、約10kHzから約100GHzの範囲、または約300MHzから約6000MHzの範囲の周波数を有し得る。フィルタ126は、信号発生器124によって生成された信号を受信し、高調波コンテンツを除去するために信号をフィルタリングする。RF信号のインピーダンス整合/安定化のために、システム120の様々な場所に1つ以上の減衰器128を設け得る。この信号は、オプションの送信増幅器131によって、分析物を検出または測定するのに適切なレベルまで増幅される。次に、信号は、信号を送信するためにアレイ122のアンテナのいずれか1つ以上に信号を導くか、または受信側回路にアンテナアレイ122をバイパスする較正経路132に信号を導くスイッチ130に導かれる。較正経路132は、システムの較正および試験を目的とした既知量の測定を表し、この場合、減衰器134を含み得る。較正経路132は、減衰器134によって決定される既知の測定値を提供する。
【0048】
受信側回路は、受信アンテナとして機能するようにアレイ122のアンテナのいずれか1つ以上に選択的に接続できる1つ以上のスイッチ136を含む。受信信号は次に、低雑音増幅器などの増幅器138に入力される。増幅された信号は、第2のRF信号発生器142およびバンドパスフィルタ144とともにスーパーヘテロダイン回路の一部を構成するミキサ140の入力に供給される。ミキサ140には、一方の入力を介して増幅器138からの増幅信号が供給され、RF信号発生器142(局部発振器とも呼ばれる)によって生成された第2のRF信号が供給される。RF信号発生器142から出力される信号の周波数は、固定周波数であってもよく、その周波数は、1つ以上の送信アンテナによって送信される送信信号の周波数からオフセットされる。ミキサ140は、増幅器138とRF信号発生器142からの入力周波数に基づく出力信号を出力する出力146を含む。ミキサ140への入力がそれぞれ単一の周波数である例では、ミキサ140の出力は、増幅器138とRF信号発生器142からの入力周波数の和で1つの周波数となり、入力周波数の差で1つの周波数となる。これらの周波数のうちの1つが所望の周波数として選択され、バンドパスフィルタ144は、選択された周波数を通過させ、それ以外の周波数をすべて拒否するように構成される。
【0049】
バンドパスフィルタ144の出力は、次にRF電力検出器180によって処理され、アナログ・デジタル変換器(ADC)182によってサンプリングまたはデジタル化される。RF電力検出器180は、バンドパスフィルタ144から出力されるRF電力を検出するのに適した検出器であれば、何でもよい。非限定的な一例として、RF電力検出器180は対数増幅器とできる。RF電力検出器180およびADC182は、図示のようにディスクリート回路として実装することも、後述するマイクロコントローラ150bに統合することも、バンドパスフィルタ144に統合することも、一緒に統合することも、バンドパスフィルタ144に1つ、マイクロコントローラ150bに1つ統合することもできる。
【0050】
システム120は、信号発生器124、RF電力検出器180、ADC182、および信号発生器142に接続され、それらを制御するマイクロコントローラ150a、150b、150cと通信し、それらを制御できるメインコントローラ148をさらに含み得る。
【0051】
別の実施形態では、送信側および/または受信側の1つまたは複数の部品の温度を感知するために、1つまたは複数の温度センサを設け得る。一般に、図7を参照すると、アンテナアレイ202と、アンテナアレイ202の動作を制御する制御回路204とを含み得る非侵襲的分析物センサシステム200が描かれている。アンテナアレイ202は、図2及び図3のアンテナアレイと同様とすることもできるし、異なる数のアンテナを有する異なる構成とすることもできる。制御回路204は、本明細書で説明する方法でアンテナアレイの動作を制御するのに適した任意の構成を有できる。例えば、制御回路204は、図2~6のいずれか1つに描かれているような構造を有できる。制御回路204は、制御回路204の素子の対応する部品の温度を感知する1つ以上の温度センサ206を含む。温度が感知される制御回路204の素子は、制御回路204の回路基板、信号発生器、無線周波数電力検出器、および増幅器のうちの1つ以上とできるが、これらに限定されない。検出された素子の温度は、分析物センサ200によって収集されたデータの後処理(すなわち補正)に使用でき、及び/又は分析物センサ200の動作を調整するために使用できる。
【0052】
温度センサの概念を説明するために、図4~6を参照する。例えば、図4を参照すると、回路基板208の温度を感知するために、送信側回路および受信側回路の様々な電子部品が実装された回路基板208上に温度センサ151を設け得る。すべての素子を回路基板208に実装する必要はない。例えば、メインコントローラ148および/またはマイクロコントローラ150a、150b、150cのうちの1つまたは複数などの特定の素子は、回路基板とは別の1つまたは複数の位置に実装できる。一実施形態では、アンテナアレイ122は回路基板208に実装されることがある。別の実施形態では、アンテナアレイ122は、データの後処理に使用するため、および/または分析物センサ200の動作を調整するために使用するアンテナアレイ122の温度を感知するための温度センサ210を含み得る。
【0053】
追加的または代替的に、信号発生器124の温度を感知するために温度センサ152を設け得、および/または信号発生器142の温度を感知するために温度センサ154を設け得る。別の実施形態では、増幅器138の温度を感知するために、温度センサ156を増幅器138に関連付け得る。感知された温度は、メインコントローラ148(または1つ以上のマイクロコントローラ150a-cに接続する)に供給され得、メインコントローラ148(またはマイクロコントローラ150a~cのうちの1つ)は、温度補償アルゴリズムを実行し得る。一実施形態では、温度補正アルゴリズムは、較正経路132および/または以前の既知の測定値または温度の影響を考慮した計算された係数の助けを借りて、測定されているデータを後処理(すなわち補正)するために使用できる。別の実施形態では、感知された温度は、感知された温度に基づいて、信号発生器124、142の動作などのシステムの動作を調整するために使用され得る。
【0054】
図5は、スーパーヘテロダイン回路を含む分析物センサシステム160の他の例を示す。図5のシステム160は、図4のシステム120と類似しており、図4の要素と類似または同じ図5の要素は、同じ参照数字を用いて参照される。システム160がシステム120と異なる点は、システム160が、信号発生器124、信号発生器142、RF電力検出器180およびADC182の検出回路のそれぞれに接続され、それぞれを制御する単一のマイクロコントローラ150を使用する点である。システム160は、その他の点ではシステム120と同じであってもよい。
【0055】
図6は、スーパーヘテロダイン回路を含む分析物センサシステム170の他の例を示す。図6のシステム170は、図4および図5のシステム120、160と類似しており、図4および図5の要素と類似または同じ図6の要素は、同じ参照数字を用いて参照される。システム170は、RF信号発生器124、インピーダンス整合用の減衰器172、複数のフィルタ174a、174b、174c、174d、適切なフィルタ174a~d、減衰器128、および1つまたは複数のスイッチ130に信号を導くためのスイッチ176、178を含む送信側回路を含む。
【0056】
受信側回路は、1つ以上のスイッチ136、増幅器138、ミキサ140、第2のRF信号発生器142、およびバンドパスフィルタ144を含む。さらに、受信側回路にはRF電力検出器180とADC182が含まれる。この実施形態では、温度センサ151、152、154、156と同様の機能を有する温度センサ184も、RF電力検出器180の温度を感知するために設けられてもよく、この温度は、メインコントローラ148またはマイクロコントローラ150に供給される。さらに、インピーダンス整合用の減衰器186と増幅器188が、信号発生器142とミキサ140の間に設けられ、ミキサ140の第2の入力に供給されるRF信号を適切に調整できる。
【0057】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するために用いられており、限定を意図するものではない。"a"、"an"、"the"という用語は、特に明記されていない限り、複数形も含む。本明細書において使用される場合、"comprises"及び/又は"comprising"という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、操作、部品、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、部品、及び/又は構成要素の存在又は追加を排除するものではない。
【0058】
本出願に開示された実施例は、あらゆる点で例示的なものであり、限定的なものではないと考えられる。本発明の範囲は、前述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味および同等性の範囲内に入るすべての変更は、そこに包含されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】