(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】イオン伝導性膜を製造する方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/1081 20160101AFI20241203BHJP
H01M 8/1053 20160101ALI20241203BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20241203BHJP
H01M 8/1058 20160101ALI20241203BHJP
C25B 11/052 20210101ALI20241203BHJP
C25B 9/23 20210101ALI20241203BHJP
C25B 13/04 20210101ALI20241203BHJP
C25B 13/08 20060101ALI20241203BHJP
C25B 1/04 20210101ALN20241203BHJP
C25B 9/00 20210101ALN20241203BHJP
【FI】
H01M8/1081
H01M8/1053
H01M8/10 101
H01M8/1058
C25B11/052
C25B9/23
C25B13/04 301
C25B13/08 301
C25B1/04
C25B9/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527859
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 GB2022053130
(87)【国際公開番号】W WO2023105229
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512269535
【氏名又は名称】ジョンソン マッセイ ハイドロジェン テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson Matthey Hydrogen Technologies Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】クール、ジェイク
(72)【発明者】
【氏名】ディキンソン、アンガス
(72)【発明者】
【氏名】オサリバン、ジュリー
【テーマコード(参考)】
4K011
4K021
5H126
【Fターム(参考)】
4K011AA23
4K011AA30
4K011BA07
4K011DA01
4K021AA01
4K021BA02
4K021DB18
4K021DB31
4K021DB43
4K021DB53
4K021DC01
4K021DC03
5H126AA05
5H126BB06
5H126FF05
5H126HH03
5H126HH04
5H126JJ03
5H126JJ05
5H126JJ09
(57)【要約】
本発明によれば、イオン伝導性膜を製造する方法が提供される。方法は、(a)基材を提供する工程と、(b)基材上に第1の分散体を堆積させて、第1の層を形成する工程であって、第1の分散体がイオン伝導性ポリマーを含む、工程と、(c)第2の分散体を第1の分散体上に堆積させて、第1の層上に第2の層を形成する工程であって、第2の分散体がイオン伝導性ポリマーを含む、工程と、(d)第2の分散体が補強成分の細孔の少なくとも一部を含浸するように、細孔を含む補強成分を提供する工程と、(e)第1の層及び第2の層を乾燥させる工程と、を含み、工程(e)は、工程(c)及び(d)の後に実施される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン伝導性膜を製造する方法であって、前記方法は、
(a)基材を提供する工程と、
(b)前記基材上に第1の分散体を堆積させて、第1の層を形成する工程であって、前記第1の分散体がイオン伝導性ポリマーを含む、工程と、
(c)前記第1の分散体上に第2の分散体を堆積させて、前記第1の層上に第2の層を形成する工程であって、前記第2の分散体がイオン伝導性ポリマーを含む、工程と、
(d)前記第2の分散体が補強成分の細孔の少なくとも一部を含浸するように、細孔を含む補強成分を提供する工程と、
(e)前記第1の層及び前記第2の層を乾燥させる工程と、
を含み、
工程(e)は、工程(c)及び(d)の後に実施される、
イオン伝導性膜を製造する方法。
【請求項2】
前記第1の分散体が、前記第2の分散体の密度よりも大きい密度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の分散体が、前記第1の分散体の表面張力よりも小さい表面張力を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の分散体が、前記第1の分散体よりも前記補強成分に向かってより高い湿潤度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記補強成分が、前記第2の層の厚さと実質的に同じ厚さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の分散体が、水、水以外の極性溶媒、又はそれらの混合物を含む連続相を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の分散体の前記連続相が、水以外の極性溶媒を、連続相の総重量に基づいて、70重量%未満、好ましくは10~50重量%、又はより好ましくは20~40重量%の範囲の量で含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の分散体が、水、水以外の極性溶媒、又はそれらの混合物を含む連続相を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の分散体の前記連続相が、水以外の前記極性溶媒を、連続相の総重量に基づいて、50~100重量%、好ましくは60~90重量%、又はより好ましくは70~80重量%の範囲及びそれを含む量で含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の分散体と前記第2の分散体とが同時に堆積される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の分散体及び/又は前記第2の分散体が、スロットダイコーティング法、ナイフコーティング法、バーコーティング法、インクジェット印刷法、グラビア印刷法、カーテンコーティング法、又はスプレーコーティング法を使用して堆積される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記スロットダイコーティング法が、第1の出口及び第2の出口を含むスロットダイヘッドを提供することを含み、前記第1の分散体が前記第1の出口を介して前記基材上に堆積され、前記第2の分散体が前記第2の出口を介して前記第1の分散体上に堆積される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(f)前記第2の層上に第3の分散体を堆積させて、第3の層を形成する工程であって、前記第3の分散体がイオン伝導性ポリマーを含む、工程と、
(g)前記第3の層を乾燥させる工程と、
を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第3の分散体を堆積させる工程が、前記第1及び第2の層を乾燥させる工程の後に行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第3の層が、前記第1の層の厚さと実質的に同じ厚さを有する、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1及び第2の層を乾燥させる前記工程の後に前記基材を除去する工程を更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記基材が触媒層である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
触媒コーティングされたイオン伝導性膜の製造方法であって、
請求項1~17のいずれか一項に記載の方法を使用して製造されたイオン伝導性膜を提供する工程と、
前記イオン伝導性膜に触媒層を適用する工程と、
を含む、触媒コーティングされたイオン伝導性膜の製造方法。
【請求項19】
膜シールアセンブリを製造する方法であって、
請求項1~17のいずれか一項に記載の方法を使用して製造されたイオン伝導性膜を提供する工程と、
前記イオン伝導性膜にシール構成要素を適用する工程と、
を含む、膜シールアセンブリを製造する方法。
【請求項20】
膜-電極アセンブリの製造方法であって、
請求項1~17のいずれか一項に記載の方法を使用して製造されたイオン伝導性膜を提供する工程と、
前記イオン伝導性膜にガス拡散電極を適用する工程と、
を含む、膜-電極アセンブリの製造方法。
【請求項21】
膜-電極アセンブリの製造方法であって、
請求項18に記載の方法を使用して製造された触媒コーティングされたイオン伝導性膜を提供する工程と、
前記触媒コーティングされたイオン伝導性膜にガス拡散層を適用する工程と、
を含む、膜-電極アセンブリの製造方法。
【請求項22】
膜-電極アセンブリの製造方法であって、
請求項19に記載の方法を使用して製造された膜シールアセンブリを提供する工程と、
前記膜シールアセンブリにガス拡散電極を適用する工程と、
を含む、膜-電極アセンブリの製造方法。
【請求項23】
請求項1~17のいずれか一項に記載の方法を使用して得ることができる電気化学デバイス用のイオン伝導性膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロトン交換膜などのイオン伝導性膜を製造する方法に関する。特に、本発明は、燃料電池又は電気分解装置などの電気化学デバイス用のイオン伝導性膜を製造する方法に関する。本発明はまた、触媒コーティングされたイオン伝導性膜を製造する関連方法、及び膜電極アセンブリを製造する関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、電解質によって分離された2つの電極を含む電気化学電池である。水素又はアルコール、例えばメタノール又はエタノールなどの燃料がアノードに供給され、酸素又は空気などの酸化剤がカソードに供給される。電気化学反応が電極で発生し、燃料及び酸化剤の化学エネルギーが電気エネルギー及び熱に変換される。電極触媒は、アノードにおける燃料の電気化学的酸化、及びカソードにおける酸素の電気化学的還元を促進するために使用される。
【0003】
水素燃料又はアルコール燃料のプロトン交換膜燃料電池(PEMFC)では、電解質は固体ポリマー膜であり、これは電子絶縁性であり、プロトン伝導性である。アノードで生成されたプロトンは、膜を横切ってカソードに輸送され、そこでそれらは酸素と結合して水を形成する。最も広く使用されているアルコール燃料はメタノールであり、PEMFCのこの変形例はしばしば直接メタノール燃料電池(direct methanol fuel cell:DMFC)と呼ばれる。
【0004】
PEMFCの主成分は膜電極アセンブリ(MEA)として知られており、本質的に5層から構成されている。中心層は、ポリマーイオン伝導性膜である。イオン伝導性膜の両側には、特定の電極触媒反応用に設計された電極触媒を含有する電極触媒層が存在する。電極触媒層は導電性である。最後に、各電極触媒層に隣接して、ガス拡散層が存在する。ガス拡散層は、反応物質が電極触媒層に到達できるようにする必要があり、電気化学反応によって生成される電流を伝導する必要がある。したがって、ガス拡散層は、多孔質であり、導電性である必要がある。
【0005】
従来より、MEAは、以下に概説される多くの方法によって構築することができる。
(i)ガス拡散層に電極触媒層を適用して、ガス拡散電極を形成してもよい。2つのガス拡散電極をイオン伝導性膜の両側に配置し、互いに積層して、5層MEAを形成することができる。
(ii)イオン伝導性膜の両面に電極触媒層を適用して、触媒コーティングされたイオン伝導性膜を形成してもよい。続いて、触媒でコーティングされたイオン伝導性膜の両面にガス拡散層を適用する。
(iii)片側に電極触媒層でコーティングされたイオン伝導性膜、その電極触媒層に隣接するガス拡散層、及びイオン伝導性膜の反対側のガス拡散電極から、MEAを形成することができる。
【0006】
既知の構築方法は、典型的には、イオン伝導性膜をそのガラス転移温度(Tg)を超えて加熱する必要があり、これはイオン伝導性膜を損傷し、不良品をもたらす可能性がある。
【0007】
ポリマーイオン伝導性膜は、膜の機械的強度を改善し、したがってMEAの耐久性及び燃料電池の寿命を向上させるために、膜の厚さ内に埋め込まれた平面多孔質材料などの補強材料を含むことができる。補強材料を含むMEAは、膜カールの影響を受けやすい可能性がある。膜カールを避けることが望ましい。
【0008】
このようなポリマーイオン伝導性膜は、電気分解装置などの他の電気化学デバイスにも応用されている。高純度の水素及び酸素を生成するための水の電気分解は、電気分解装置を使用してアルカリ及び酸性電解質系の両方で行うことができる。酸性電解質系は、典型的には、固体プロトン伝導性ポリマー電解質膜を使用し、ポリマー電解質膜水電気分解装置(PEMWE)として知られている。PEMWEのセル内では、触媒コーティングされたイオン伝導性膜が使用され、これは、ポリマー電解質膜の両面に適用された2つの触媒層(それぞれアノード反応及びカソード反応用)を有する(プロトン伝導性)ポリマー電解質膜を含む。電解セルを完成させるために、典型的には金属メッシュである集電体を、触媒コーティングされたイオン伝導性膜の両側に配置する。電気分解装置に使用されるこのようなポリマーイオン伝導性膜は、燃料電池用のポリマーイオン伝導性膜の製造に使用されるものと同じ又は類似のプロセスを使用して製造することができ、同じ問題を受けやすい。
【発明の概要】
【0009】
燃料電池及び電気分解装置などの電気化学デバイスの商業化を促進するために、イオン伝導性膜の製造速度を改善することが望ましい。これにより、MEAの製造速度が向上し、製造能力及びデバイススループットが向上する。
【0010】
補強されたイオン伝導性膜を製造する場合、補強材料は膜の厚さ内に中央に埋め込まれることが望ましい。典型的には、補強イオン伝導性膜の製造は、少なくとも3回の堆積及び乾燥サイクルを含み、その結果、補強材料を膜の厚さの中央に配置することができる。このプロセスの効率を改善することが望ましい。
【0011】
本発明は、上記の問題、要望、及びニーズの少なくともいくつかに対処しようとするものである。例えば、本発明は、より効率的な方法で、したがって製造スループットを増加させて、プロトン伝導性膜などのイオン伝導性膜を製造する方法を提供する。
【0012】
本発明の第1の態様によれば、イオン伝導性膜を製造する方法が提供され、方法は、
(a)基材を提供する工程と、
(b)基材上に第1の分散体を堆積させて、第1の層を形成する工程であって、第1の分散体がイオン伝導性ポリマーを含む、工程と、
(c)第2の分散体を第1の分散体上に堆積させて、第1の層上に第2の層を形成する工程であって、第2の分散体がイオン伝導性ポリマーを含む、工程と、
(d)第2の分散体が補強成分の細孔の少なくとも一部を含浸するように、細孔を含む補強成分を提供する工程と、
(e)第1の層及び第2の層を乾燥させる工程と、
を含み、
工程(e)は、工程(c)及び(d)の後に実施される。
【0013】
第1の分散体が乾燥する前に、第1の分散体上に第2の層として第2の分散体を堆積させることにより(すなわち、第1の湿潤層上に第2の湿潤層を形成するために)、製造プロセス中に必要とされる個別の加熱乾燥工程の数が減少し、イオン伝導性膜をより効率的に製造することが可能になる。
【0014】
第1及び第2の分散体は異なる。第1及び第2の分散体は、典型的には、第1及び第2の層の間の混合速度を低下させるのを助けるために、密度などの異なる物理的特性を有する。好ましくは、第1の分散体の密度は、第2の分散体の密度よりも大きい。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、触媒コーティングされたイオン伝導性膜を製造する方法であって、
第1の態様による方法を使用して製造されたイオン伝導性膜を提供する工程と、
イオン伝導性膜に触媒層を適用する工程と、
を含む、触媒コーティングされたイオン伝導性膜を製造する方法が提供される。
【0016】
本発明の第3の態様によれば、膜シールアセンブリを製造する方法であって、
第1の態様による方法を使用して製造されたイオン伝導性膜を提供する工程、又は第2の態様による方法を使用して製造された触媒コーティングされたイオン伝導性膜を提供する工程、及び
イオン伝導性膜又は触媒コーティングされたイオン伝導性膜にシール構成要素を適用する工程、
を含む、膜シールアセンブリを製造する方法が提供される。
【0017】
本発明の第4の態様によれば、膜-電極アセンブリを製造する方法であって、
第1の態様による方法を使用して製造されたイオン伝導性膜を提供する工程と、
イオン伝導性膜にガス拡散電極を適用する工程と、
を含む、膜-電極アセンブリを製造する方法が提供される。
【0018】
本発明の第5の態様によれば、膜-電極アセンブリを製造する方法であって、
第2の態様による触媒コーティングされたイオン伝導性膜を提供する工程と、
触媒コーティングされたイオン伝導性膜にガス拡散層を適用する工程と、
を含む、膜-電極アセンブリを製造する方法が提供される。
【0019】
第6の態様によれば、膜-電極アセンブリの製造方法であって、
第3の態様による膜シールアセンブリを提供する工程と、
ガス拡散電極を膜シールアセンブリに適用する工程と、
を含む、膜-電極アセンブリの製造方法が提供される。
【0020】
本発明の第7の態様によれば、第1の態様による方法を使用して得ることができる電気化学デバイス用のイオン伝導性膜が提供される。
【0021】
本発明を上述したが、本発明は、上に記載された特徴の任意の組合せ、又は以下の説明、図面若しくは特許請求の範囲に及ぶ。例えば、本発明の一態様に関連して開示された任意の特徴は、本発明の別の態様の任意の特徴と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
ここで、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【
図1】本発明の実施形態による例示的な方法を示す。
【
図2】本発明の実施形態による例示的な方法を示す。
【
図3】第1及び第2の層が同時に堆積される堆積プロセスの図である。
【
図4】第1の層の上の第2の層を示し、第2の層の密度は第1の層の密度よりも小さい。
【
図5】第1の層の上の第2の層を示し、第2の層は第1の層よりも低いアイオノマー濃度を有する。
【
図6】第1の層の上の第2の層を示し、第2の層の密度は第1の層の密度よりも小さい。
【
図7】イオン伝導性膜の断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、プロトン交換膜などのイオン伝導性膜を製造する方法を提供する。イオン伝導性膜は、燃料電池又は電気分解装置などの電気化学デバイスに適し得る。方法は、
(a)基材を提供する工程と、
(b)基材上に第1の分散体を堆積させて、第1の層を形成する工程であって、第1の分散体がイオン伝導性ポリマーを含む、工程と、
(c)第2の分散体を第1の分散体上に堆積させて、第1の層上に第2の層を形成する工程であって、第2の分散体がイオン伝導性ポリマーを含む、工程と、
(d)第2の分散体が補強成分の細孔の少なくとも一部を含浸するように、細孔を含む補強成分を提供する工程と、
(e)第1の層及び第2の層を乾燥させる工程と、
を含み、
工程(e)は、工程(c)及び(d)の後に実施される。
【0024】
上記の基本的なプロセスの多くの変形が可能であり、そのいくつかは、図面を参照して以下により詳細に説明されることが当業者には明らかであろう。しかしながら、そのような変形は全て、明示的に記載されているか否かにかかわらず、本発明の範囲内である。
【0025】
第1の分散体が乾燥する前に第2の湿潤層として第2の分散体を第1の分散体上に堆積させることにより、製造プロセス中に必要とされる個別の加熱及び乾燥工程の数が減少する。その結果、本方法は、イオン伝導性膜をより迅速に製造することを可能にする。また、より少ない加熱及び/又は乾燥工程を使用することにより、製造中にイオン伝導性膜を損傷するリスクが低減される。これは、より少ない不良品でより信頼性の高い製造プロセスをもたらすことができる。
【0026】
本明細書で使用される「分散体」という用語は、分散相(例えば固体粒子)が(液体)連続相中に分散されている系を意味する。分散相は、イオン伝導性ポリマーを含む。連続相は、1つ以上の溶媒を含む。
【0027】
第1及び第2の分散体は、典型的には、密度などの異なる物理的特性を有する。これは、第2の分散体が第1の分散体の上に別個の層を形成するのを助けることができ、乾燥前の第1の層と第2の層との間の混合を低減するのを助けることができる。
【0028】
例えば、1つの方法は、第1及び第2の分散体の相対密度を制御することである。好ましくは、第1の分散体の密度は、第2の分散体の密度よりも大きい。第2の分散体の密度は、20℃で測定した場合に、第1の分散体の密度より少なくとも0.5%、好ましくは少なくとも1%、より好ましくは少なくとも5%小さい場合がある。第2の分散体が第1の分散体の上に浮くように、より低い密度の第2の分散体を第1の分散体の上に堆積させることができる。したがって、第2の分散体は、第1の層上に別個の第2の層を形成する。第1及び第2の層は、少なくとも乾燥工程の前には別個の層として残る。第1及び第2の層の積層構造は、少なくとも乾燥工程が実行されるのに十分な長さの時間尺度で保持される。乾燥工程は、典型的には、第2の分散体が堆積された後、10分未満、好ましくは3分未満、より好ましくは約1分未満、最も好ましくは約30秒未満で開始される。第1及び第2の層を同時に乾燥させることができる。層は、50℃~100℃、好ましくは60℃~80℃の範囲及びそれを含む温度で乾燥させることができる。
【0029】
別の方法は、第1及び第2の分散体の粘度を制御することである。例えば、分散体を堆積させて第1及び第2の層をそれぞれ形成するときに、第1及び/又は第2の分散体の粘度が十分に高い場合、第1及び第2の分散体間の混合速度は、少なくとも乾燥工程の前に第1及び第2の層が別個の層として残るように十分に遅くすることができる。すなわち、第1及び第2の層の積層構造は、少なくとも乾燥工程が実行されるのに十分な長さの時間尺度に保持される。
【0030】
更なる方法は、第1及び第2の分散体中のイオン伝導性ポリマーの相対濃度を制御することである。好ましくは、第2の分散体中のイオン伝導性ポリマーの濃度は、第1の分散体中のイオン伝導性ポリマーの濃度よりも低い。このようにして、第2の分散体を第1の分散体上に堆積させて、2つの別個の層を形成することができる。第1及び第2の層は、少なくとも乾燥工程が実行されるのに十分な長さの時間尺度で別個の層として残ることができる。
【0031】
第1及び第2の分散体は別個の層を形成するが、第1の分散体と第2の分散体との間の界面でいくらかの混合が起こり得る。このような混合は、界面に混合層を形成することができる。ブレンド層は、第1及び第2の分散体の混合物を含む。好ましくは、第1の分散体と第2の分散体との間の混合は最小限である。第1及び第2の分散体は、実質的に別個の湿潤層として残る。好ましくは、第1及び第2の層は、乾燥時に実質的に別個の層として残る。
【0032】
第1の層及び第2の層は、層状構造を形成する。層状構造は準安定であり得る。例えば、適切に高い剪断力が適用されると、層状構造を破壊することができる。
【0033】
補強成分
方法は、第1及び第2の層を乾燥させる工程の前(すなわち、工程(e)の前)に補強成分を提供する工程を含む。補強成分は、第2の層に提供されることが好ましい。好ましくは、補強成分は平面補強成分である。補強成分は細孔を含む。第2の分散体は、補強成分の細孔の少なくとも一部を含浸する。補強成分は、第2の層の一部となる。好ましくは、第2の分散体は、補強成分の細孔の大部分(より好ましくは全て)に含浸する。例えば、第2の分散体は、補強成分の細孔の少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%(補強成分の細孔の総数の割合として)を含浸することができる。第2の分散体は、補強成分の細孔体積の少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%を含浸することができる。
【0034】
好ましくは、補強成分は、第2の分散体が第1の層上に堆積された後に第2の分散体中に提供される。すなわち、工程(c)の後に工程(d)を行うことが好ましい。あるいは、第2の分散体を第1の分散体上に堆積させる工程の前に、第2の分散体が補強成分の細孔の少なくとも一部に含浸するように、補強成分を第2の分散体中に提供することができる。すなわち、工程(d)は、工程(c)の前に行うことができる。この場合、第2の層が第2の分散体及び補強成分を含むように、補強成分及び第2の分散体を一緒に第1の分散体上に堆積させることができる。
【0035】
補強成分は、イオン伝導性膜に機械的強度を付与することができる。補強成分は、多孔質補強材料、例えば、膨張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)材料、又はナノファイバーネットワーク、例えば、ポリベンゾイミダゾール(PBI)繊維又はガラス繊維を含むネットワークを含むことができる。補強成分は、例えば、国際公開第2016/083785(A1)号に記載されているように、複数の開口部を含むことができる。
【0036】
補強成分は、第2の層の厚さと実質的に同じ厚さを有することができる。これは、z方向における(すなわち、面貫通方向における)補強成分の位置を制御するのに役立ち得る。
【0037】
第2の分散体は、第1の分散体よりも補強成分に向かってより高い湿潤度を有することができる。これにより、第1の分散体が補強成分の細孔に含浸することを実質的に抑制することができる。「湿潤度」(「濡れ性」とも呼ばれる)は、液体が表面をどれだけ十分に濡らす(すなわち、液体が表面にわたってどれだけ十分に広がる)かの尺度である。湿潤度は、表面における液体の接触角を測定することにより決定することができる。接触角は、室温で接触角計を使用するなど、既知の技術を使用して測定することができる。例えば、接触角は、Kyowa Interface Science Co.,Ltd.、Saitama,Japanから市販されているPCA-11接触角計を使用して測定することができる。接触角が大きいほど(180°まで)、濡れ性がより低い。接触角が小さいほど、濡れ性がより高い。第2の分散体は、接触角計を使用して25℃の温度で測定した場合に、第1の分散体よりも補強成分に対する接触角が小さくあり得る。
【0038】
第2の分散体は、補強成分に向かって実質的に完全に濡れ性であり得る。例えば、第2の分散体は、25℃の温度で接触角計を使用して測定した場合に、補強成分に対して90°未満の接触角を有し得る。第2の分散体の表面張力は、補強成分を完全に湿潤させるのに十分に低くすることができる。例えば、第2の分散体は、25℃の温度で測定した場合に、約38mN/m未満、好ましくは約28mN/m未満、より好ましくは約24mN/m未満の表面張力を有することができる。表面張力は、Vazquez,G et al.,J.Chem,Eng.Data,1995,40,611-614に記載されるように、ウィルヘルミー(Wilhelmy)プレート原理を利用する張力計を使用して測定することができる。
【0039】
第1の分散体は、補強成分に向かって実質的に非濡れ性であり得る。例えば、第1の分散体は、25℃の温度で接触角計を使用して測定した場合に、補強成分に対して90°超の接触角を有することができる。第1の分散体の表面張力は、第1の分散体が補強成分に向かって実質的に非濡れ性であるように十分に高くすることができる。例えば、第1の分散体は、25℃の温度で測定した場合に、約30mN/mを超える、好ましくは約38mN/mを超える、より好ましくは約42mN/mを超える表面張力を有することができる。表面張力は、Vazquez,G et al.,J.Chem,Eng.Data,1995,40,611-614に記載されるように、ウィルヘルミー(Wilhelmy)プレート原理を利用する張力計を使用して測定することができる。好ましくは、第1の分散体は、補強成分の細孔に含浸しない。例えば、適切に低いアルコール含有量及び/又は適切に高い水含有量(分散体の連続相の総重量に基づく重量%で)を含む第1の分散体を使用することにより、第1の分散体が補強成分の細孔に含浸するのを実質的に防ぐことができる。これにより、補強成分を第1の層に浸透させることなく、第1の層の上に直接配置することができる。結果として、z方向(すなわち、平面方向)における補強成分の位置を確実に制御することができる。このようにして、製造プロセスの効率も改善しながら、膜カールを低減又は排除することができる。更に、補強成分とは別個のイオン伝導性の第1の層を提供することにより、イオン伝導性膜を横切るイオン伝導性を改善することができる。
【0040】
第1の分散体
第1の分散体は、第1のイオン伝導性膜層分散体である。第1の分散体は、1つ以上の溶媒を含む連続相を含む。第1の分散体は、水、極性溶媒(水以外)、又は(好ましくは)それらの混合物を含む(又はそれらからなる)連続相を含むことができる。極性溶媒は、極性プロトン性溶媒であり得る。好ましくは、極性溶媒はアルコール、より好ましくはC1~4アルコールである。C1~4アルコールは、メタノール、エタノール、プロパン-1-オール、プロパン-2-オール、n-ブタノール、イソ-ブタノール、ブタン-2-オール、及びtert-ブチルアルコール、又はそれらの混合物であり得る。好ましくは、C1~4アルコールはエタノール及び/又はプロパン-1-オールである。最も好ましくは、C1~4アルコールはエタノールである。好ましくは、連続相は、水及びC1~4アルコールを含む(又は本質的にこれらからなる)。より好ましくは、連続相は、水と、エタノール又はプロパン-1-オールの少なくとも1つとを含む(又は本質的にそれらからなる)。最も好ましくは、連続相は、水及びエタノールを含む(又は本質的にそれらからなる)。
【0041】
第1の分散体の連続相は、連続相の総重量に基づいて、水以外の極性溶媒(例えば、C1~4アルコール)を70重量%未満、好ましくは10~50重量%、又はより好ましくは20~40重量%の範囲の量で含むことができる。連続相は、これらの範囲の限界の任意の組合せで水以外の極性溶媒を含むことができる。特に明記しない限り、本出願に開示される全ての数値範囲の上限及び下限は、その範囲内に含まれる。
【0042】
第1の分散体の連続相は、30重量%超、好ましくは50~90重量%、より好ましくは60~80重量%の範囲の量の水を含むことができる。連続相は、これらの範囲の限界の任意の組合せで水を含むことができる。
【0043】
第1の分散体は、連続相中に分散されたイオン伝導性ポリマーを含む。イオン伝導性ポリマーは、プロトン伝導性ポリマー、又はヒドロキシルアニオン伝導性ポリマーなどのアニオン伝導性ポリマーであり得る。適切なプロトン伝導性ポリマーの例としては、パーフルオロスルホン酸アイオノマー(例えば、Nafion(登録商標)(E.I.DuPont de Nemours and Co.)、Aciplex(登録商標)(Asahi Kasei)、Aquivion(商標)(Solvay Speciality Polymers)、Flemion(登録商標)(Asahi Glass Co.)、あるいは、FuMA-Tech GmbHからfumapem(登録商標)P、E又はKシリーズの製品として入手可能なものなどのスルホン化炭化水素に基づくアイオノマー、JSR Corporation、Toyobo Corporationなどが挙げられる。適切なアニオン伝導性ポリマーの例としては、Tokuyama製のA901及びFuMA-Tech GmbH製のFumasep FAAが挙げられる。
【0044】
第1の分散体は、第1の分散体の総重量に基づいて、5~80重量%、好ましくは10~50重量%、より好ましくは15~30重量%、最も好ましくは15~20重量%の範囲の量でイオン伝導性ポリマーを含むことができる。第1の分散体は、これらの範囲の限界の任意の組合せでイオン伝導性ポリマーを含むことができる。例えば、第1の分散体は、10~20重量%の範囲の量のイオン伝導性ポリマーを含むことができる。
【0045】
工程(e)の前に、第1の層は第1の湿潤層である。第1の層を乾燥させる工程は、典型的には非導電性である第1のイオン伝導性膜層を形成する。適切には、第1の層(したがって、第1のイオン伝導性膜層)は補強されていない(すなわち、補強成分を含まない)。
【0046】
第2の分散体
第2の分散体は、第2のイオン伝導性膜層分散体である。第2の分散体は、水、極性溶媒(水以外)、又は(好ましくは)それらの混合物を含む(又はそれらからなる)連続相を含むことができる。極性溶媒は、極性プロトン性溶媒であり得る。好ましくは、極性溶媒はアルコール、より好ましくはC1~4アルコールである。C1~4アルコールは、メタノール、エタノール、プロパン-1-オール、プロパン-2-オール、n-ブタノール、イソ-ブタノール、ブタン-2-オール、及びtert-ブチルアルコール、又はそれらの混合物であり得る。好ましくは、C1~4アルコールはエタノール及び/又はプロパン-1-オールである。好ましくは、連続相は、水及びC1~4アルコールを含む(又は本質的にこれらからなる)。より好ましくは、連続相は、水と、エタノール又はプロパン-1-オールの少なくとも1つとを含む(又は本質的にそれらからなる)。最も好ましくは、連続相は、水及びエタノールを含む(又は本質的にそれらからなる)。
【0047】
第2の分散体の連続相は、それぞれの連続相の総重量に基づいて、第1の分散体の連続相よりも高い重量パーセントの水以外の極性溶媒(例えば、C1~4アルコール)を含むことができる。
【0048】
第2の分散体の連続相は、それぞれの連続相の総重量に基づいて、第1の分散体の連続相よりも低い重量パーセントの水を含むことができる。
【0049】
第2の分散体の連続相は、連続相の総重量に基づいて50~100重量%、好ましくは60~90重量%、又は最も好ましくは70~80重量%の範囲の量で、水以外の極性溶媒(例えば、C1~4アルコール)を含むことができる。
【0050】
第2の分散体の連続相は、連続相の総重量に基づいて0~50重量%、好ましくは10~40重量%、最も好ましくは20~30重量%の範囲の量の水を含むことができる。連続相は、水及び水以外の極性溶媒を、これらの範囲の任意の組合せで含むことができる。
【0051】
第2の分散体は、連続相中に分散されたイオン伝導性ポリマーを含む。イオン伝導性ポリマーは、プロトン伝導性ポリマー、又はヒドロキシルアニオン伝導性ポリマーなどのアニオン伝導性ポリマーであり得る。適切なプロトン伝導性ポリマーの例としては、パーフルオロスルホン酸アイオノマー(例えば、Nafion(登録商標)(E.I.DuPont de Nemours and Co.)、Aciplex(登録商標)(Asahi Kasei)、Aquivion(商標)(Solvay Speciality Polymers)、Flemion(登録商標)(Asahi Glass Co.)、あるいは、FuMA-Tech GmbHからfumapem(登録商標)P、E又はKシリーズの製品として入手可能なものなどのスルホン化炭化水素に基づくアイオノマー、JSR Corporation、Toyobo Corporationなどが挙げられる。適切なアニオン伝導性ポリマーの例としては、Tokuyama製のA901及びFuMA-Tech GmbH製のFumasep FAAが挙げられる。第1及び第2の分散体のイオン伝導性ポリマーは、同じであっても異なっていてもよい。
【0052】
第2の分散体は、イオン伝導性ポリマーを、第2の分散体の総重量に基づいて5~80重量%、好ましくは10~50重量%、好ましくは15~30重量%、最も好ましくは15~20重量%の範囲の量で含むことができる。第2の分散体は、これらの範囲の限界の任意の組合せでイオン伝導性ポリマーを含むことができる。例えば、第2の分散体は、10~20重量%の範囲の量でイオン伝導性ポリマーを含むことができる。第1及び第2の分散体は、それぞれの分散体の総重量に基づいて、実質的に同じ又は異なる重量パーセントでイオン伝導性ポリマーを含むことができる。第1の分散体は、それぞれの分散体の総重量に基づいて、第2の分散体とは異なる(すなわち、より高い又はより低い)重量パーセントのイオン伝導性ポリマーを含むことができる。
【0053】
工程(e)の前に、第2の層は第2の湿潤層である。第2の層を乾燥させる工程は、典型的には非導電性である第2のイオン伝導性膜層を形成する。
【0054】
工程(b)及び(c)
第1の分散体及び第2の分散体は、同時に堆積させることができる。すなわち、第1の分散体上に第2の分散体を堆積させると同時に、基材上に第1の分散体を堆積させることができる。第1及び第2の分散体を同時に堆積させることにより、製造効率、製造速度を大幅に向上させることができ、したがって、製造能力及びスループットを大幅に向上させることができる。
【0055】
第1及び第2の分散体は、スロットダイ(スロット、押出)コーティング法(これにより、分散体は重力によって、又はスロットを介して圧力下で基材上に絞り出される)、ナイフコーティング、バーコーティング、インクジェット印刷、グラビア印刷、カーテンコーティング、又はスプレーコーティング法を使用して独立して堆積させることができる。これらの例示的な技術は、第1の分散体と第2の分散体との間の混合を実質的に回避することができる。第1及び第2の分散体は、同じ又は異なる技術を使用して堆積させることができる。好ましくは、第1及び第2の分散体は、スロットダイコーティング法を使用して堆積される。より好ましくは、第1及び第2の分散体は、デュアルスロットダイコーティング法を使用して堆積される。スロットダイコーティング法は、第1の出口及び第2の出口を含むスロットダイヘッドを提供することを含むことができる。第1の分散体は、第1の出口を介して基材上に堆積させることができる。第2の分散体は、第2の出口を介して第1の分散体上に堆積させることができる。スロットダイコーティング(又はデュアルスロットダイコーティング)は、第1の層と第2の層との間の乱流を最小限に抑え、したがって混合を最小限に抑えながら、第1の分散体上に第2の分散体を堆積させるための適切な方法を提供することができる。
【0056】
工程(e)
工程(e)は、工程(c)及び(d)の両方の後に実行される。工程(e)は、第1及び第2の層の両方を乾燥させることを含む。工程(e)は、適切には、第1及び第2の層から実質的に全ての溶媒を除去することを含む。
【0057】
第3の分散体
方法は、
(f)第2の層上に第3の分散体を堆積させて、第3の層を形成する工程であって、第3の分散体がイオン伝導性ポリマーを含む、工程と、
(g)第3の層を乾燥させる工程と、
を更に含み得る。
【0058】
典型的には、第3の分散体は、第1及び第2の層を乾燥させる工程の後(すなわち、工程(e)の後)に堆積される。あるいは、第3の分散体を第2の分散体上に堆積させて、第2の(湿潤)層上に第3の(湿潤)層を形成することができる。第3の層を乾燥させる工程は、典型的には非導電性である第3のイオン伝導性膜層を形成する。適切には、第3の層(したがって、第3のイオン伝導性膜層)は補強されていない(すなわち、補強成分を含まない)。
【0059】
第1、第2及び第3の層を乾燥させる工程は、3層イオン伝導性膜を形成することができる。3層イオン伝導性膜は、乾燥した第1の層、乾燥した第2の層、及び乾燥した第3の層を含み、乾燥した第2の層は、乾燥した第1の層と第3の層との間に配置される。乾燥した第2の層は、補強成分を含む。好ましくは、乾燥した第1及び第3の層は補強されていない。3層イオン伝導性膜は、非導電性であり得る。3層イオン伝導性膜は、燃料電池又は水電解セルのイオン伝導性電解質としての使用に適し得る。すなわち、イオン伝導性膜は電解質膜とすることができる。
【0060】
第2の分散体が補強成分の細孔の全部ではなく一部のみを含浸させる場合、第3の分散体は、補強成分の残りの未含浸細孔を含浸させることができる。第3の分散体は、第1又は第2の分散体と同じ又は異なる組成を有することができる。
【0061】
第3の分散体は、第3のイオン伝導性膜層分散体である。第3の分散体は、水、極性溶媒(水以外)、又はそれらの混合物を含む(又はそれらからなる)連続相を含むことができる。極性溶媒は、極性プロトン性溶媒であり得る。好ましくは、極性溶媒はアルコール、より好ましくはC1~4アルコールである。C1~4アルコールは、メタノール、エタノール、プロパン-1-オール、プロパン-2-オール、n-ブタノール、イソ-ブタノール、ブタン-2-オール、及びtert-ブチルアルコール、又はそれらの混合物であり得る。好ましくは、C1~4アルコールはエタノール及び/又はプロパン-1-オールである。好ましくは、連続相は、水及びC1~4アルコールを含む(又は本質的にこれらからなる)。より好ましくは、連続相は、水と、エタノール又はプロパン-1-オールの少なくとも1つとを含む(又は本質的にそれらからなる)。最も好ましくは、連続相は、水及びエタノールを含む(又は本質的にそれらからなる)。第3の分散体の連続相は、第1又は第2の分散体と同じ組成を有することができる。
【0062】
第3の分散体の連続相は、連続相の総重量に基づいて、水以外の極性溶媒(例えば、C1~4アルコール)を40重量%超、好ましくは50~90重量%、又はより好ましくは70~80重量%の範囲の量で含むことができる。
【0063】
第3の分散体の連続相は、60重量%未満、好ましくは10~50重量%、より好ましくは20~30重量%の範囲の量の水を含むことができる。
【0064】
第3の分散体は、連続相中に分散されたイオン伝導性ポリマーを含む。イオン伝導性ポリマーは、プロトン伝導性ポリマー、又はヒドロキシルアニオン伝導性ポリマーなどのアニオン伝導性ポリマーであり得る。適切なプロトン伝導性ポリマーの例としては、パーフルオロスルホン酸アイオノマー(例えば、Nafion(登録商標)(E.I.DuPont de Nemours and Co.)、Aciplex(登録商標)(Asahi Kasei)、Aquivion(商標)(Solvay Speciality Polymers)、Flemion(登録商標)(Asahi Glass Co.)、あるいは、FuMA-Tech GmbHからfumapem(登録商標)P、E又はKシリーズの製品として入手可能なものなどのスルホン化炭化水素に基づくアイオノマー、JSR Corporation、Toyobo Corporationなどが挙げられる。適切なアニオン伝導性ポリマーの例としては、Tokuyama製のA901及びFuMA-Tech GmbH製のFumasep FAAが挙げられる。第3の分散体のイオン伝導性ポリマーは、第1又は第2の分散体のイオン伝導性ポリマーと同じであり得る。
【0065】
第3の分散体は、イオン伝導性ポリマーを、第2の分散体の総重量に基づいて5~80重量%、好ましくは10~50重量%、好ましくは15~30重量%、最も好ましくは15~20重量%の範囲の量で含むことができる。第3の分散体は、これらの範囲の限界の任意の組合せでイオン伝導性ポリマーを含むことができる。例えば、第3の分散体は、10~20重量%の範囲の量のイオン伝導性ポリマーを含むことができる。第3の分散体は、それぞれの分散体の総重量に基づいて、第1及び/又は第2の分散体と実質的に同じ重量パーセントのイオン伝導性ポリマーを含むことができる。
【0066】
好ましくは、第3の層は、第1の層と(z方向に)実質的に同じ厚さを有する。乾燥した第3の層は、乾燥した第1の層と同じ厚さを有することができる。したがって、第1の層と第3の層との間の膜の中央(z方向)に任意の補強成分を確実に配置することができ、膜のカールを低減することができる。補強成分の両側に第1及び第3の層を提供することにより、イオン伝導性膜を横切るイオン伝導性を改善することができる。
【0067】
基材
方法は、第1及び第2の層を乾燥させる工程の後に基材を除去する工程を更に含むことができる。第3の層が堆積される場合、第3の層を乾燥させる工程の後に基材を除去することができる。
【0068】
基材は、第1の分散体が堆積される表面を提供する。
【0069】
基材はバッキング層とすることができる。バッキング層は、製造中にイオン伝導性膜の支持を提供し、直ちに除去されない場合、その後の貯蔵及び/又は輸送中に支持及び強度を提供することができる。バッキング層が作られる材料は、必要な支持体を提供するべきであり、好ましくは第1の分散体と適合性であり、好ましくは第1の分散体に対して不透過性であり、イオン伝導性膜の製造に伴うプロセス条件に耐えることができ、イオン伝導性膜に損傷を与えることなく容易に除去することができる。使用するのに好適な材料の例としては、フルオロポリマー、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ペルフルオロアルコキシポリマー(perfluoroalkoxy polymer、PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP-ヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンとのコポリマー)、及びポリオレフィン、例えば、二軸延伸ポリプロピレン(biaxially oriented polypropylene、BOPP)が挙げられる。他の例としては、高温、例えば、最大200℃の温度でそれらの機械的強度/完全性を保持することができる積層体、多層押出物、及びコーティングされたフィルム/箔が挙げられる。例としては、ポリ(エチレン-コ-テトラフルオロエチレン)とポリエチレンナフタレート(PEN)との積層体、ポリメチルペンテン(polymethylpentene、PMP)とPENとの積層体、ポリパーフルオロアルコキシ(polyperfluoroalkoxy、PFA)と、ポリエチレンテレフタレート(PET)と、ポリイミド(PI)との積層体が挙げられる。積層体は、2つ又はそれ以上の層、例えば、ETFE-PEN-ETFE、PMP-PEN-PMP、PFA-PET-PFA、PEN-PFA、FEP-PI-FEP、PFA-PI-PFA、及びPTFE-PI-PTFEを有し得る。層は、アクリル又はポリウレタンなどの接着剤を使用して結合され得る。
【0070】
基材は触媒層であり得る。触媒層は、上で定義したバッキング層上にあってもよく、第1の分散体は触媒層上に堆積される。方法は、第1及び第2の層を乾燥させる工程の後に(又は存在する場合には工程(g)の後に)触媒層からバッキング層を除去する工程を更に含むことができる。基材が触媒層である場合、バッキング層はガス拡散層であり得る。ガス拡散層は、触媒層に付着したままであり得る。
【0071】
触媒層は触媒を含む。触媒層は、燃料電池又は電気分解装置の電極(例えば、アノード又はカソード)用であり得る。触媒は、好適には電極触媒である。触媒は、微細に分割された担持されていない金属粉末であってもよく、又は小さな金属ナノ粒子が導電性粒子状炭素支持体上に分散されている担持触媒であってもよい。電極触媒金属は、好適には、
(i)白金族金属(すなわち、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、及びオスミウム)、
(ii)金若しくは銀、
(iii)卑金属、又は
(iv)これらの金属若しくはこれらの酸化物のうちの1つ以上を含む合金若しくは混合物
から選択される。好ましい電極触媒金属は、他の貴金属又は卑金属と合金化され得る白金である。電極触媒が担持触媒である場合、炭素担体材料上の金属粒子の充填量は、得られる電極触媒の重量の、好適には、10~90重量%、好ましくは、15~75重量%の範囲である。
【0072】
図1~
図3は、本発明の例示的な方法を示す。各層の寸法(例えば、厚さ)は、明確にするために縮尺通りに描かれていない。同一の特徴及び方法工程を指すために、図面全体を通して同じ参照符号が使用されている。
【0073】
図1を参照すると、基材100上に第1の分散体が堆積されて、第1の層110を形成する。第1の分散体は、イオン伝導性ポリマーを含む。第1の分散体がまだ濡れている間に第2の分散体を第1の分散体上に堆積させて、第1の層110上に第2の層120を形成する。第2の分散体は、イオン伝導性ポリマーを含む。第2の分散体は、典型的には、第2の分散体が第1の分散体の上に浮くように、第1の分散体よりも低い密度を有する。第1及び第2の層110、120は、層状構造を形成している。ePTFE材料又はPBI繊維のネットワークなどの多孔質補強成分は、第2の層120上に置かれるが、第2の分散体はまだ濡れており、補強された第2の層125を提供する。第2の分散体は、補強成分の細孔を含浸させる。好ましくは、第1の分散体は、第2の分散体と比較して、補強成分に向かってより低い湿潤度を示し、その結果、第1の分散体は補強成分の細孔を含浸しない。補強成分は、第2の層内に存在する。補強成分は、第1の層110の上に存在する。続いて、第1及び第2の層を乾燥させて、補強されていない第1の層110及び補強された第2の層125を含む補強されたイオン伝導性膜150を形成する。その後、必要に応じて、基材100を除去することができる。
【0074】
図2は、本発明の更なる実施形態を示す。第1の分散体、第2の分散体及び補強成分は、
図1に関連して説明したのと同じ方法で堆積及び乾燥される。
図2の実施形態は、第3の層130を形成するために第2の層125上に第3の分散体を堆積させる追加の後続の工程を含む。第3の分散体は、イオン伝導性ポリマーを含む。続いて、第3の層130を乾燥させる。得られた生成物は、補強されていない第1及び第3のイオン伝導性層110、130の間の中央に配置された補強された第2のイオン伝導性層125を含む補強されたイオン伝導性膜250である。その後、必要に応じて、基材100を除去することができる。補強イオン伝導性膜250は、燃料電池又は電気分解装置に使用することができる。
【0075】
図1又は
図2の方法のいずれにおいても、第1及び第2の分散体を同時に堆積させることができる。すなわち、第1の分散体が依然として堆積されている間に、第2の分散体を第1の分散体上に堆積させることができる。好ましくは、第1及び第2の分散体は、それぞれ第1及び第2の層を形成する前に互いに接触又は界面を形成する。
図3は、第1及び第2の分散体を同時に堆積させる例示的な方法を示す。
図3は、好ましいデュアルヘッドスロットダイコーティングプロセスを示すが、代替のコーティング技術を使用することもできる。
【0076】
基材300は、スロットダイヘッド302の下に配置される。スロットダイヘッド302は、第1の出口304及び第2の出口306を含むデュアルスロットダイヘッドである。第1のアイオノマー分散体310は、第1の出口304を介して基材300上に堆積される。第1のアイオノマー分散体310は、第1の層312を形成する。例として、第1のアイオノマー分散体310は、40重量%のエタノール及び60重量%の水(連続相の総重量に基づく)を含む連続相を有することができる。
【0077】
第1のアイオノマー分散体310がまだ湿っている間に、第1のアイオノマー分散体310上に第2のアイオノマー分散体320が堆積されて、第2の層322を形成する。例として、第2のアイオノマー分散体320は、80重量%のエタノール及び20重量%の水(連続相の総重量に基づく)を含む連続相を有する。第1のアイオノマー分散体310は、第2のアイオノマー分散体320よりも密度が高い。第1のアイオノマー分散体と第2のアイオノマー分散体との間の混合は最小限である。
【0078】
第1及び第2のアイオノマー分散体が堆積されると、スロットダイヘッド302は、基材300に対してx印の方向に移動する。典型的には、スロットダイヘッド302は、堆積プロセス中に実質的に一定の速度で移動され、これは均一なコーティング厚を与えるのに役立ち得る。
【0079】
図3は、第2の層322に多孔質補強成分330を提供する工程を示す。多孔質補強成分330は、第1及び第2のアイオノマー分散体310、320がまだ湿っている間に、第2のアイオノマー分散体320上に置かれる。第2のアイオノマー分散体320は、補強成分330の細孔を含浸する。しかしながら、第1の層312は、補強成分330の細孔を含浸しない。いかなる理論又は推測にも束縛されることを望むものではないが、補強成分に対する第1の層312のより低い濡れ性は、補強成分が第1の層312に沈むのを実質的に防止すると考えられる。補強成分は、第2の層322内に存在する。補強成分330は、第1の含湿層312の上に直接存在する。したがって、補強成分330をz方向(
図3に示す垂直方向)に確実に配置することができ、これは膜のカールを回避するのに役立ち得る。
【0080】
実施例1
10重量%のエタノール及び90重量%の水(連続相の総重量に基づく)、25重量%のアイオノマー(第1の分散体の総重量に基づく)を含む第1の分散体を試料バイアルに添加した。識別を容易にするために、染料も第1の分散体に添加した。染料は、他の点では分散体の特性に実質的に影響を及ぼさなかった。
【0081】
80重量%のエタノール及び20重量%の水(連続相の総重量に基づく)並びに約17重量%のアイオノマー(第2の分散体の総重量に基づく)を含む第2の分散体を、液滴が試料バイアルの側壁を流下するように滴下した。第2の分散体は、第1の分散体よりも密度が低かった。
図4に示すように、第2の分散体420は、第1の分散体410の上に別個の層を形成した。
【0082】
層状構造は準安定であった。層状構造は、剪断(混合)力を加えることによって不可逆的に破壊することができる。しかしながら、層は、乱されずに放置された場合、48時間まで安定したままであった。
【0083】
実施例2
10重量%のエタノール及び90重量%の水(連続相の総重量に基づく)、25重量%のアイオノマー(第1の分散体の総重量に基づく)を含む第1の分散体を試料バイアルに添加した。識別を容易にするために、染料も第1の分散体に添加した。染料は、他の点では分散体の特性に実質的に影響を及ぼさなかった。
【0084】
10重量%のエタノール及び90重量%の水(連続相の総重量に基づく)並びに15重量%のアイオノマー(第2の分散体の総重量に基づく)を含む第2の分散体を、液滴が試料バイアルの側壁を流下するように滴下した。第2の分散体は、第1の分散体よりも低いアイオノマー濃度を有していた。
図5に示すように、第2の分散体520は、第1の分散体510の上に別個の層を形成した。
【0085】
層状構造は準安定であった。層状構造は、剪断(混合)力を加えることによって不可逆的に破壊することができる。しかしながら、層は、乱されずに放置された場合、48時間まで安定したままであった。
【0086】
実施例3
25重量%のエタノール及び75重量%の水(連続相の総重量に基づく)、20重量%のアイオノマー(第1の分散体の総重量に基づく)を含む第1の分散体を試料バイアルに添加した。
【0087】
30重量%のエタノール及び70重量%の水(連続相の総重量に基づく)並びに20重量%のアイオノマー(第2の分散体の総重量に基づく)を含む第2の分散体を、液滴が試料バイアルの側壁を流下するように滴下した。第2の分散体は、第1の分散体よりも密度が低かった。
図6に示すように、第2の分散体620は、第1の分散体610の上に別個の層を形成した。
【0088】
層状構造は準安定であった。層状構造は、剪断(混合)力を加えることによって不可逆的に破壊することができる。しかしながら、層は、乱されずに放置された場合、48時間まで安定したままであった。
【0089】
実施例4
第1の分散体を、バーコーティングを使用してポリエチレンテレフタレート(PET)基材上にコーティングして、第1の層を形成した。第1の分散体は、連続相の総重量に基づいて60重量%の水及び40重量%のエタノールの連続相を含んでいた。第1の分散体は、第1の分散体の総重量に基づいて約17重量%の量のアイオノマーを更に含んでいた。第1の層の湿潤層厚は30μmであった。
【0090】
第2の分散体を、バーコーティングを使用して別個のPET基材上にコーティングして、第2の層を形成した。第2の分散体は、連続相の総重量に基づいて20重量%の水及び80重量%のエタノールの連続相を含む。第2の分散体は、第2の分散体の総重量に基づいて約17重量%の量のアイオノマーを更に含んでいた。第2の層の湿潤層厚は200μmであった。
【0091】
第2の層がまだ湿っている間に、膨張PTFEシートの細孔が第2の分散体を完全に含浸するまで、膨張PTFEシート(Ningbo Quantum Seal Co.Ltd.から入手可能)を第2の層に入れた。続いて、膨張PTFEシートを、第1及び第2の分散体がまだ湿っている間に、第1の層の上に置いた。膨張PTFEシートを第1の層上に引き下げて、膨張PTFEシートと第1の層との間の良好な接触を確実にした。
【0092】
第1の層及び補強された第2の層を対流式オーブン内で80℃で乾燥させて、第1の非補強層及び第2の補強層を含むイオン伝導性膜を形成した。
図7は、バッキングフィルム700上の乾燥したイオン伝導性膜の断面のSEM画像を示す。第1の層710は、イオン伝導性ポリマーのみからなる。第2の層720は、補強成分及びイオン伝導性ポリマーを含む。第1の層710は、補強された第2の層720と直接接触しているが、分離したままである。この例では、第1の分散体は、第2の分散体よりも補強成分に対して低い濡れ性を有する。その結果、第1の分散体は補強成分の細孔を含浸せず、第1の層がまだ湿っているときに補強成分を添加しても、第1の層は既知の厚さの別個の層として残る。したがって、イオン伝導性膜を製造するのに必要な乾燥工程の数を減少させながら、補強成分の面貫通位置配置を確実に制御することができる。
【国際調査報告】