(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】原子炉制御システム
(51)【国際特許分類】
G21C 7/10 20060101AFI20241203BHJP
G21C 5/00 20060101ALI20241203BHJP
G21C 7/16 20060101ALI20241203BHJP
G21C 7/14 20060101ALI20241203BHJP
B63H 21/18 20060101ALI20241203BHJP
B63G 8/08 20060101ALN20241203BHJP
【FI】
G21C7/10
G21C5/00 A
G21C7/10 400
G21C7/16 110
G21C7/14 110
B63H21/18
B63G8/08 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528597
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 GB2022052831
(87)【国際公開番号】W WO2023084204
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390038014
【氏名又は名称】ビ-エイイ- システムズ パブリック リミテッド カンパニ-
【氏名又は名称原語表記】BAE SYSTEMS plc
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】オーストン、ジェレミー・ヘンリー
(57)【要約】
中心軸(320)が炉心(302)の長さに沿って延びる炉心(302)を有する原子炉ユニット(300)を備える核分裂原子炉システムのための原子炉制御システム(100)。原子炉ユニット(300)は、炉心(302)内に設けられた第1の領域(310)と、炉心(302)の外側に設けられた第2の領域(312)とを備える。制御システム(100)は、第1の領域(310)を通って延びるように構成された第1の部分(210)と、第2の領域(312)を通って延びるように構成された第2の部分(220)とを有する制御ダクト(200)を備える。ダクト(200)は、一連の制御ユニット(400)で満たされ、制御ユニット(400)の各々は、制御ダクト(200)に沿って進行するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸が炉心の長さに沿って延びる前記炉心を有する原子炉ユニットを備える核分裂原子炉システムのための原子炉制御システムであって、
前記原子炉ユニットは、前記炉心内に設けられた第1の領域と、前記炉心の外側に設けられた第2の領域とを備え、
前記原子炉制御システムは、制御ダクトを備え、前記制御ダクトは、
前記第1の領域を通って延びるように構成された第1の部分と、
前記第2の領域を通って延びるように構成された第2の部分と
を有し、
前記制御ダクトは、一連の制御ユニットで満たされ、前記制御ユニットの各々は、前記制御ダクトに沿って進行するように構成されている、原子炉制御システム。
【請求項2】
前記制御ダクトは、第1の方向D1及び第2の方向D2への前記制御ユニットの並進のために構成され、
前記第1の方向D1は、前記第2の部分から前記第1の部分に向かう進行方向であり、
前記第2の方向D2は、前記第1の部分から前記第2の部分に向かう進行方向である、請求項1に記載の原子炉制御システム。
【請求項3】
前記制御ダクトは、前記第1の部分と前記第2の部分との間に延びる第1の弓形部分を備え、前記制御ダクトの前記第1の部分、前記第1の弓形部分、及び前記第2の部分は、それらによって、制御ユニットの通過のための連続経路を画定する、請求項1又は2に記載の原子炉制御システム。
【請求項4】
前記制御ダクトは、
前記第1の部分と前記第2の部分との間に延びる第2の弓形部分
を備え、
前記第2の弓形部分は、前記第1の弓形部分が前記第1の部分及び前記第2の部分によって前記第2の弓形部分から離間されるように、前記第1の弓形部分に対して前記第1の部分及び前記第2の部分の反対端部に設けられ、
前記制御ダクトの前記第1の部分、前記第1の弓形部分、前記第2の部分、及び前記第2の弓形部分は、それらによって、制御ユニットの通過のための単一の連続ループ経路を画定する、請求項3に記載の原子炉制御システム。
【請求項5】
制御ユニットの格納のための第1のタンクと、ここで、前記制御ダクトは、前記第1のタンクから制御ユニットを受け取り、及び/又は前記第1のタンクに制御ユニットを供給するように構成され、
制御ユニットの格納のための第2のタンクと、ここで、前記制御ダクトは、前記第2のタンクから制御ユニットを受け取り、及び/又は前記第2のタンクに制御ユニットを供給するように構成されている、
をさらに備え、
前記第1のタンク、前記第1の部分、第1の弓形部分、前記第2の部分、及び前記第2のタンクは、制御ユニットの通過のための経路を画定するように連続的に設けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載の原子炉制御システム。
【請求項6】
前記制御ユニットのうちのいくつかは、吸収体ユニットであり、
前記制御ユニットのうちのいくつかは、ディスプレーサユニットである、
請求項1から5のいずれか一項に記載の原子炉制御システム。
【請求項7】
前記吸収体ユニットは、前記ディスプレーサユニットよりも重くない、請求項6に記載の原子炉制御システム。
【請求項8】
前記制御ユニットは、球状であり、前記制御ダクトの直径と同じか又はそれよりもわずかに小さい外径を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の原子炉制御システム。
【請求項9】
第1の動作モードにおいて、前記制御ダクトに沿って第1の方向D1に前記制御ユニットを駆動するように動作可能であり、第2の動作モードにおいて、前記制御ダクトに沿って第2の方向D2に前記制御ユニットを駆動するように動作可能である駆動機構がさらに設けられている、請求項1から8のいずれか一項に記載の原子炉制御システム。
【請求項10】
前記駆動機構は、ねじが回転したとき、前記制御ユニットが前記制御ダクトに沿って駆動されるように、前記制御ユニットとの係合のためのトラックを有するねじを備える、請求項9に記載の原子炉制御システム。
【請求項11】
前記ねじは、前記制御ユニットを駆動するように動作可能である第1の位置と、前記ねじと前記制御ユニットとの間にすきまが維持される第2の位置との間で移動するように構成されている、請求項10に記載の原子炉制御システム。
【請求項12】
前記制御ユニットが前記制御ダクトに対して移動することができる第1の動作モードと、前記制御ユニットが前記制御ダクトに対して所定の位置に固定される第2の動作モードとを有するように構成された、前記制御ダクト内に設けられた逆止機構をさらに備える、請求項9から11のいずれか一項に記載の原子炉制御システム。
【請求項13】
前記制御ダクトは、実質的に一定の直径を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の原子炉制御システム。
【請求項14】
前記制御ダクトの前記第2の部分の少なくとも一部は、前記制御ダクトの前記第1の部分の直径よりも大きい直径を有し、
前記第2の部分は、ねじが第2の位置にあるとき、前記制御ユニットが第1の方向D1に押し込まれるように、圧力源と流体連通している、請求項1から12のいずれか一項に記載の原子炉制御システム。
【請求項15】
複数の吸収体ユニットが、吸収体ユニットの列を形成するために、前記制御ダクトに沿って連続的に互いに隣接して設けられ、
第1の複数のディスプレーサユニットが、ディスプレーサユニットの第1の列を形成するために、前記制御ダクトに沿って連続的に互いに隣接して設けられ、
第2の複数のディスプレーサユニットが、ディスプレーサユニットの第2の列を形成するために、前記制御ダクトに沿って連続的に互いに隣接して設けられ、
ディスプレーサユニットの前記第1の列は、吸収体ユニットの前記列の第1の端部から延びており、ディスプレーサユニットの前記第2の列は、吸収体ユニットの前記列の第2の端部から延びている、請求項1から14のいずれか一項に記載の原子炉制御システム。
【請求項16】
第1の方向D1において、複数の吸収体ユニットが、ディスプレーサユニットの第1の列によってピストンから離間され、第2の方向D2において、複数の吸収体ユニットが、ディスプレーサユニットの第2の列によって前記ピストンから離間されるように、ディスプレーサユニットの前記第1の列と、ディスプレーサユニットの前記第2の列との間に前記ピストンが設けられている、請求項1から15のいずれか一項に記載の原子炉制御システム。
【請求項17】
前記ピストンは、前記ねじが前記第2の位置にあるとき、前記ピストンがその下の前記制御ユニットに作用して前記制御ユニットを前記制御ダクトに沿って移動させるように前記制御ダクト内に構成され、配置されている、請求項11に従属する請求項16に記載の原子炉制御システム。
【請求項18】
前記制御ダクトの前記第1の部分は、炉心中心軸に実質的に平行に延びており、
前記制御ダクトの前記第2の部分は、前記炉心中心軸に実質的に平行に延びている、請求項1から17のいずれか一項に記載の原子炉制御システム。
【請求項19】
原子炉ユニットと、
請求項1から18のいずれか一項に記載の原子炉制御システムと
を備える、核分裂原子炉システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、原子炉制御システムに関する。
【0002】
特に、本開示は、原子炉ユニットを備える核分裂原子炉システムのための原子炉制御システムに関する。
【背景技術】
【0003】
すべての黒鉛減速核分裂原子炉ユニットの一態様は、黒鉛の低い減速能により、それらの炉心サイズが、所与の電力能力について、水減速炉と比較して比例的に著しく大きいことである。したがって、原子炉ユニット及び関連する構成要素は、水冷式原子炉とは異なり、一般に、発電パッケージの全体的なサイズ決定を左右する。
【0004】
例として、黒鉛減速核分裂原子炉1(General Atomics GT-MHR)の例が
図1に示されている。多くの設計に共通して、この配置は、原子炉容器3の上に配置されなければならない従来の直線状の制御棒2を有する。よく知られているように、制御棒は、原子炉の内外に延びていなければならない。したがって、制御棒を原子炉から完全に取り外すことを可能にするために、炉心高さに等しい空間が利用可能でなければならない。
【0005】
制御棒支持構造4の除去は、原子炉ユニット1のサイズ及び重量を低減する。加えて、原子炉ユニットのサイズを低減することは、それを収容するために必要とされる空間の体積を全体的に低減し、結果として、電力ユニットを収容するために必要とされる材料の量、したがって重量を低減する。いくつかの適用例では、空間及び重量が貴重であるので、これは重要である。たとえば、原子力船舶(特に潜水艇、たとえば潜水艦)内の原子炉ユニットのサイズを低減することは、他の機器のための空間を作るか、又は船舶をより小さく、より軽くするという目標に寄与する。
【0006】
したがって、同じ電力出力及び制御レベルに対してよりコンパクトな原子炉ユニット設計を可能にする構成が大いに望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本開示によれば、添付の特許請求の範囲に記載される装置及びシステム/方法が提供される。本発明の他の特徴は、従属請求項及び続く説明から明らかになるであろう。
【0008】
したがって、中心軸(320)が炉心(302)の長さに沿って延びる炉心(302)を有する原子炉ユニット(300)を備える核分裂原子炉システムのための原子炉制御システム(100)が提供され得る。原子炉ユニット(300)は、炉心(302)内に設けられた第1の領域(310)と、炉心(302)の外側に設けられた第2の領域(312)とを備え得る。制御システム(100)は、第1の領域(310)を通って延びるように構成された第1の部分(210)と、第2の領域(312)を通って延びるように構成された第2の部分(220)とを有する制御ダクト(200)を備え得る。ダクト(200)は、一連の制御ユニット(400)で満たされることがあり、制御ユニット(400)の各々は、制御ダクト(200)に沿って進行するように構成される。
【0009】
制御ダクト(200)は、第1の方向D1及び第2の方向D2への制御ユニット(400)の並進のために構成され得る。第1の方向D1は、第2の部分(220)から第1の部分(210)に向かう進行方向であり得る。第2の方向D2は、第1の部分(210)から第2の部分(220)に向かう進行方向であり得る。
【0010】
制御ダクト(200)は、第1の部分(210)と第2の部分(220)との間に延びる第1の弓形部分(230)を備えることがあり、制御ダクト(200)の第1の部分(210)、第1の弓形部分(230)、及び第2の部分(220)は、それらによって制御ユニット(400)の通過のための連続経路を画定する。
【0011】
制御ダクト(200)は、第1の部分(210)と第2の部分(220)との間に延びる第2の弓形部分(240)を備えることがあり、第2の弓形部分(240)は、第1の弓形部分(230)が第1の部分(210)及び第2の部分(220)によって第2の弓形部分(240)から離間されるように、第1の弓形部分(230)に対して第1の部分(210)及び第2の部分(220)の反対端部に設けられる。制御ダクト(200)の第1の部分(210)、第1の弓形部分(230)、第2の部分(220)、及び第2の弓形部分(240)は、それらによって、制御ユニット(400)の通過のための単一の連続ループ経路を画定し得る。
【0012】
制御システムは、制御ユニット(400)の格納のための第1のタンク(700)をさらに備え得る。制御ダクト(200)は、第1のタンク(700)から制御ユニット(400)を受け取り、及び/又は第1のタンク(700)に制御ユニット(400)を供給するように構成され得る。制御システムは、制御ユニット(400)の格納のための第2のタンク(720)をさらに備え得る。制御ダクト(200)は、第2のタンク(720)から制御ユニット(400)を受け取り、及び/又は第2のタンク(720)に制御ユニット(400)を供給するように構成され得る。第1のタンク(700)、第1の部分(210)、第1の弓形部分(230)、第2の部分(220)、及び第2のタンク(720)は、制御ユニット(400)の通過のための経路を画定するように連続的に設けられ得る。
【0013】
制御ユニット(400)のうちのいくつかは、吸収体ユニット(410)であり得る。制御ユニットのうちのいくつかは、ディスプレーサユニット(420)であり得る。
【0014】
吸収体ユニット(410)は、ディスプレーサユニット(420)よりも重くないことがある。
【0015】
制御ユニット(400)は、球状であり、制御ダクト(200)の直径と同じか又はそれよりもわずかに小さい外径を有することがある。
【0016】
制御システムは、第1の動作モードにおいて、制御ダクト(200)に沿って第1の方向D1に制御ユニット(400)を駆動するように動作可能であり、第2の動作モードにおいて、制御ダクト(200)に沿って第2の方向D2に制御ユニット(400)を駆動するように動作可能である駆動機構(600)をさらに備え得る。
【0017】
駆動機構(600)は、ねじ(602)が回転したとき、制御ユニット(400)がダクト(200)に沿って駆動されるように、制御ユニット(400)との係合のためのトラック(604)を有するねじ(602)を備えることがある。
【0018】
ねじ(602)は、制御ユニット(400)を駆動するように動作可能である第1の位置と、ねじ(602)と制御ユニット(400)との間にすきまが維持される第2の位置との間で移動するように構成され得る。
【0019】
原子炉制御システム(100)は、制御ユニット(400)が制御ダクト(200)に対して移動することができる第1の動作モードと、制御ユニット(400)が制御ダクト(200)に対して所定の位置に固定される第2の動作モードとを有するように構成された、制御ダクト(200)内に設けられた逆止機構(1100)をさらに備え得る。
【0020】
制御ダクト(200)は、その長さに沿って実質的に一定の直径を有し得る。
【0021】
制御ダクト(200)の第2の部分(220)の少なくとも一部は、制御ダクト(200)の第1の部分(210)の直径よりも大きい直径を有し得る。第2の部分(220)は、ねじ(602)が第2の位置にあるとき、制御ユニット(400)が圧力源によって第1の方向D1に押し込まれるように、圧力源(1000)と流体連通していることがある。
【0022】
複数の吸収体ユニット(410)は、吸収体ユニット(410)の列(416)を形成するために、制御ダクト(200)に沿って連続的に互いに隣接して設けられることがある。第1の複数のディスプレーサユニット(420)は、ディスプレーサユニット(420)の第1の列(422)を形成するために、制御ダクト(200)に沿って連続的に互いに隣接して設けられることがある。第2の複数のディスプレーサユニット(420)は、ディスプレーサユニット(420)の第2の列(424)を形成するために、制御ダクト(200)に沿って連続的に互いに隣接して設けられることがある。ディスプレーサユニット(420)の第1の列(422)は、吸収体ユニット(410)の列の第1の端部(412)から延びることがある。ディスプレーサユニット(420)の第2の列(424)は、吸収体ユニット(410)の列の第2の端部(414)から延びることがある。
【0023】
ピストン(500)は、第1の方向D1において、複数の吸収体ユニット(410)が、ディスプレーサユニット(420)の第1の列(422)によってピストン(500)から離間され、第2の方向D2において、複数の吸収体ユニット(410)が、ディスプレーサユニット(420)の第2の列(424)によってピストン(500)から離間されるように、ディスプレーサユニット(420)の第1の列(422)と、ディスプレーサユニット(420)の第2の列(424)との間に設けられることがある。
【0024】
ピストン(500)は、ねじ(602)が第2の位置にあるとき、ピストン(500)がその下の制御ユニット(400)に作用して制御ユニット(400)をダクト(200)に沿って移動させるように、ダクト(200)内に構成及び配置され得る。
【0025】
制御ダクト(200)の第1の部分(210)は、炉心中心軸(320)に実質的に平行に延び得る。制御ダクト(200)の第2の部分(220)は、炉心中心軸(320)に実質的に平行に延び得る。
【0026】
原子炉ユニット(300)と、本開示による原子炉制御システム(100)とを備える核分裂原子炉システムが提供され得る。
【0027】
したがって、従来の設計よりもコンパクトであり、含まれる原子炉ユニットのサイズを全体的に著しく低減する、核分裂原子炉のための制御システムが提供される。
【0028】
次に、本開示の例は、図を参照しながら、単に例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】関連技術の従来の減速核分裂原子炉を示す図。
【
図2】本開示による原子炉制御システムを有する、そのシェルの一部が除去された原子炉ユニットの図。
【
図3】動作構成における、
図2に示された原子炉ユニット及び原子炉制御システムの断面図。
【
図4】停止構成における、
図2に示された原子炉ユニット及び原子炉制御システムの断面図。
【
図5】動作構成における、本開示による原子炉ユニット及び原子炉制御システムの代替例の断面図。
【
図6】停止構成における、
図5に示された原子炉ユニット及び原子炉制御システムの断面図。
【
図7】停止構成における、本開示による原子炉制御システムの例の一部の拡大図。
【
図8】本開示による原子炉制御システムの例の一部の拡大図。
【
図9】本開示による原子炉制御システムの例の一部の拡大図。
【
図10】本開示による原子炉制御システムのさらなる例の一部の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示は、核分裂原子炉システムのための原子炉制御システム100に関する。本開示はまた、原子炉ユニット300と、本開示による原子炉制御システム100とを備える核分裂原子炉システムに関する。
【0031】
たとえば、本開示の原子炉制御システムは、高温ガス冷却炉(HTGR:high temperature gas cooled reactor)を制御するために使用され得る。本システムは、電力を生成するために、炉心がタービンを駆動する作動流体を直接加熱する直接サイクル設計であり得る。冷却剤は、たとえば窒素であり得る。そのようなシステムの特徴は、当技術分野でよく知られており、したがって、詳細は、本明細書で説明されない。
【0032】
したがって、本開示の原子炉制御システム100は、核分裂原子炉システムの一部を形成し得る。
図2から
図6に示されているように、核分裂原子炉システムは、炉心302の第1の端部から第2の端部まで炉心302の長さに沿って延びる中心軸320を含む炉心302を有する原子炉ユニット300を備え得る。本開示の図は、原子炉ユニット300のみに関するものであり、核分裂原子炉システムの他の特徴(たとえば、熱交換器、タービンなど)は示されていない。
【0033】
図2から
図6に示されているように、炉心302は、シールド184(又は「炉心バレル」)と、炉心302及びシールド184を収容するケーシングシェル180(「原子炉圧力容器」を画定する)とによって囲まれることがあり、ケーシング180は、冷却アニュラス182を画定するためにシールド184から離間され、シェル180は、外面186を画定する。
【0034】
図3から
図6に示されているように、原子炉ユニット300は、炉心302内に設けられた第1の領域310と、炉心302の外側に設けられた第2の領域312とを備える。したがって、第2の領域312は、炉心302の外周の外側に位置する。すなわち、第1の領域310は、炉心のシールド184の内側の炉心302内に設けられ、第2の領域312は、炉心302のシールド184の外側にある。第2の領域312は、炉心302のシールド184に隣接し得る。第2の領域312は、シェル180の外面186に隣接し得る。第2の領域312は、シェル180に隣接し得る。第1の領域310は、中心軸320と第2の領域312との間に位置し、第2の領域312は、第1の領域310の外側にある。第2の領域312は、冷却アニュラス182を含み得る。たとえば、第1の領域310は、シールド184によって画定された、
図3から
図6において「310」と標示された破線内の(すなわち、破線によって囲まれた)領域であり、第2の領域312は、第1の領域310を囲む(すなわち、その外側にある)(すなわち、「310」と標示された破線によって囲まれた領域の外側)。すなわち、第2の領域312は、シールド184によって画定された体積の外側にあり、第1の領域310の境界を画定する体積を画定する。
【0035】
制御システム100は、制御ダクト200を備える。
図2に示されているように、制御システム100は、炉心中心軸320の周りに離間された複数の制御ダクト200を備え得る。この制御ダクトすなわち各制御ダクトは、通路、パイプ又はチューブとして設けられることがあり、断面が円形であることがあり、たとえば円筒形の通路を形成する。この制御ダクトすなわち各制御ダクト200は、第1の領域310を通って延びるように構成された第1の部分210と、第2の領域312を通って延びるように構成された第2の部分220とを備え得る。
【0036】
制御ダクトの第2の部分220は、冷却アニュラス182を通って延び得る。制御ダクト200の第2の部分220は、冷却アニュラス182内に収容され得る。すなわち、制御ダクト200の第2の部分220は、完全に冷却アニュラス182内に位置し得る。
【0037】
制御ダクト200の第1の部分210は、炉心中心軸320に実質的に平行に延び得る。制御ダクト200の第2の部分220は、炉心中心軸320に実質的に平行に延び得る。したがって、制御ダクト200の第2の部分220は、制御ダクト200の第1の部分210に実質的に平行に延び得る。
【0038】
図示されていない代替例では、制御ダクト200の第1の部分210は、炉心中心軸320に対してある角度で延びることがあり、及び/又は、制御ダクト200の第2の部分220は、炉心中心軸320に対してある角度で延びることがある。したがって、制御ダクト200の第2の部分220は、制御ダクト200の第1の部分210に対して、ある角度で及び/又は平行に延びることがある。
【0039】
ダクト200は、一連の制御ユニット400で満たされ、制御ユニット400の各々は、制御ダクト200に沿って進行するように構成される。
【0040】
制御ダクト200は、制御ユニット400の並進のために構成される。すなわち、制御ダクト200は、制御ユニット400が制御ダクト200に沿って進行することを可能にするように構成される。制御ダクト200は、第1の方向D1及び第2の方向D2への制御ユニット400の並進のために構成される。第1の方向D1は、制御ダクトの第2の部分220から制御ダクトの第1の部分210に向かう進行方向である。第2の方向D2は、制御ダクトの第1の部分210から制御ダクトの第2の部分220に向かう進行方向である。
【0041】
制御ダクト200は、制御ダクト200の第1の部分210、第1の弓形部分230、及び第2の部分220が、制御ユニット400の通過のための連続経路を画定するように、制御ダクトの第1の部分210と、制御ダクトの第2の部分220との間に延びる第1の弓形部分230を備え得る。
【0042】
制御ダクト200の第1の弓形部分230は、半円形であることがある。すなわち、第1の弓形部分230は、制御ダクトの第1の部分210又は制御ダクトの第2の部分220のうちの一方(第1の弓形部分230がそこから延びる)から、制御ダクトの第1の部分210又は制御ダクトの第2の部分220のうちの他方まで、180度回転する制御ユニット400のための経路を画定するように構成され得る。
【0043】
図2から
図4の例に示されているように、制御ダクト200は、制御ダクト200の第1の部分210と、第2の部分220との間に延びる第2の弓形部分240を備え得る。この例では、制御ダクト200の第2の弓形部分240は、第1の弓形部分230が第1の部分210及び第2の部分220によって第2の弓形部分240から離間されるように、第1の弓形部分230に対して第1の部分210及び第2の部分220の反対端部に設けられる。
【0044】
制御ダクト200の第2の弓形部分240は、半円形であることがある。すなわち、制御ダクト200の第2の弓形部分240は、制御ダクト200の第1の部分210又は第2の部分220のうちの一方(第2の弓形部分240がそこから延びる)から第1の部分210又は第2の部分220のうちの他方まで、180度回転する制御ユニット400のための経路を画定するように構成され得る。
【0045】
したがって、
図2から
図4の例に示されているように、制御ダクト200の第1の部分210、第1の弓形部分230、第2の部分220、及び第2の弓形部分240は、制御ユニット400の通過のための単一の連続ループ経路を画定する。
【0046】
したがって、制御ダクト200の第1の部分210、第1の弓形部分230、第2の部分220、及び第2の弓形部分240は、制御ユニット400の通過のための単一の連続ループ経路を画定するように連続的に設けられ得る。
【0047】
図5、
図6に示される代替例では、
図2から
図4の例の第2の弓形部分240の代わりに、制御ダクト200が、第1のタンク700から制御ユニット400を受け取り、及び/又は第1のタンク700に制御ユニット400を供給するように構成される、制御ユニット400の格納のための第1のタンク700と、制御ダクト200が、第2のタンク720から制御ユニット400を受け取り、及び/又は第2のタンク720に制御ユニット400を供給するように構成される、制御ユニット400の格納のための第2のタンク720とが設けられることがある。
【0048】
したがって、
図5、
図6の例では、制御ダクト200の第1のタンク700、第1の部分210、第1の弓形部分230、第2の部分220、及び第2のタンク720は、第1のタンク700と第2のタンク720との間の制御ユニット400の通過のための経路を画定するように連続的に設けられる。
【0049】
炉心302及びその中心軸320は、(図に示されているように)垂直に延び得る。したがって、
図2から
図4の例では、原子炉ユニット300が、水平な基板、たとえば建築物の床上に取り付けられる場合、炉心302及びその中心軸320は、第2の弓形部分240が第1の弓形部分230の垂直上方になるように延びる。
【0050】
代替的に、
図5、
図6の例では、原子炉ユニット300が、水平な基板、たとえば建築物の床上に取り付けられる場合、炉心302及びその中心軸320は、第1のタンク700及び第2のタンク720が第1の弓形部分230の垂直上方になるように延びる。
【0051】
図2から
図4の例と同様の構成を有するさらなる例では、原子炉は、水平に取り付けられることがある。そのような例では、原子炉ユニット300が、水平な基板、たとえば建築物の床上に取り付けられる場合、炉心302及びその中心軸320は、第2の弓形部分240が基板の上方で第1の弓形部分230と同じ高さになるように水平に延びる。
【0052】
制御ユニット400のうちのいくつかは、吸収体ユニット410である。制御ユニット400の残りのうちの少なくともいくつかは、ディスプレーサユニット420である。
【0053】
吸収体ユニット410は、放射エネルギーを吸収するように構成され得る。たとえば、吸収体ユニット410は、核連鎖反応動作を行うことに寄与する粒子を吸収するように構成され得る。たとえば、吸収体ユニット410は、中性子を吸収するように構成され得る。吸収体ユニット410は、炭化ホウ素粒子を備え得る。ディスプレーサユニット420は、吸収体ユニット410よりも低い吸収特性を有するように構成される。ディスプレーサユニット420は、黒鉛を備え得る。
【0054】
図示の例では、複数の吸収体ユニット410は、吸収体ユニット410の列416を形成するために、制御ダクト200に沿って連続的に互いに隣接して(すなわち、一列に)設けられる。第1の複数のディスプレーサユニット420は、ディスプレーサユニット420の第1の列422を形成するために、制御ダクト200に沿って連続的に互いに隣接して(すなわち、一列に)設けられる。第2の複数のディスプレーサユニット420は、ディスプレーサユニット420の第2の列424を形成するために、制御ダクト200に沿って連続的に互いに隣接して設けられる。ディスプレーサユニット420の第1の列422は、ダクト200に沿って第1の方向D1に吸収体ユニット410の列の第1の端部412から延びており、ディスプレーサユニット420の第2の列424は、ダクト200に沿って第2の方向D2に吸収体ユニット410の列の第2の端部414から延びている。
【0055】
吸収体ユニット410は、ディスプレーサユニット420よりも重くないことがある。吸収体ユニット410は、ディスプレーサユニット420よりも少なくとも2%軽いことがあるが、ディスプレーサユニットより80%を超えて軽いことはない。吸収体ユニット410は、ディスプレーサユニット420よりも少なくとも10%軽いことがあるが、ディスプレーサユニットよりも50%を超えて軽いことはない。吸収体ユニット410は、ディスプレーサユニット420よりも少なくとも20%軽いことがあるが、ディスプレーサユニットよりも30%を超えて軽いことはない。
【0056】
制御ユニット400は、球状であり得る。制御ユニット400は、制御ダクト200の直径と同じか又はそれよりもわずかに小さい外径を有することがある。
【0057】
制御ユニット400は、少なくとも10mmであり、300mmを超えない直径を有することがある。制御ユニット400は、少なくとも50mmであり、150mmを超えない直径を有することがある。制御ユニット400は、少なくとも90mmであり、110mmを超えない直径を有することがある。制御ユニット400は、約100mmの直径を有することがある。
【0058】
図2から
図7の例に示されているように、第1の動作モードにおいて、制御ダクト200に沿って第1の方向D1に制御ユニット400を駆動するように動作可能であり、第2の動作モードにおいて、制御ダクト200に沿って第2の方向D2に制御ユニット400を駆動するように動作可能である駆動機構600がさらに設けられ得る。
【0059】
図7に最も良く示されているように、駆動機構600は、ねじ602が回転したとき、制御ユニット400がダクト200に沿って駆動されるように、制御ユニット400との係合のためのトラック604を有するねじ602を備えることがある。トラック604は、アルキメデスねじタイプの配置を形成するようにねじ山として設けられ得る。ねじ602は、軸610の周りに回転可能であり、駆動モーター606によって駆動可能であり得る。駆動アーム608は、駆動モーター606からねじ602まで延びることがある。したがって、駆動モーター606は、ねじ602を回転軸610の周りに回転させ、それによって制御ユニット400をダクト200に沿って移動させるように動作可能であり得る。
【0060】
図7に示されているように、ねじ602は、制御ユニット400を駆動するように動作可能である第1の位置(
図7に示される)と、ねじ602と制御ユニット400との間にすきまが維持される第2の位置(図示せず)との間で移動するように構成される。すなわち、第2の位置では、ねじ602は、制御ユニット400から離間されている。ねじ602は、ねじ602が制御ユニット400を駆動するように動作可能である第1の位置(
図7に示す)と、制御ユニット400がねじ602のそばを通るとき、ねじ602と係合しないように、ねじ602と制御ユニット400との間にすきまが維持される第2の位置との間で、第1の変位方向(
図7に矢印D3で示される)に移動するように構成され得る。ねじ602は、ねじ602が制御ユニット400から離間される第2の位置と、ねじ602が制御ユニット400を駆動するように動作可能である第1の位置(
図7に示される)との間で、第2の変位方向(
図7に矢印D4で示される)に移動するように構成され得る。
【0061】
ピストン500は、第1の方向D1において、複数の(すなわち、一列の)吸収体ユニット410が、ディスプレーサユニット420の第1の列422によってピストン500から離間され、第2の方向D2において、複数の(すなわち、一列の)吸収体ユニット410が、ディスプレーサユニット420の第2の列424によってピストン500から離間されるように、ディスプレーサユニット420の第1の列422と、ディスプレーサユニット420の第2の列424との間に設けられる。
【0062】
ピストン500は、ねじ602が(ねじ602と制御ユニット400との間にすきまが維持される)第2の位置にあるとき、ピストン500がその下の制御ユニット400に作用して制御ユニット400をダクト200に沿って移動させるように、ダクト200内に構成及び配置される。したがって、ピストン500は、吸収体ユニット410が炉心302の第1の領域310に位置する(すなわち、移動する)ように、それ自体で、及び/又は、ディスプレーサユニット420の第1の列422のうちの少なくともいくつかのディスプレーサユニット420の重量と組み合わされたとき(たとえば、原子炉が図に示されているように垂直に取り付けられたとき)、ディスプレーサユニット420の第2の列424をダクト200に沿って第1の方向D1に進行させる質量を有することがある。
【0063】
ねじ602は、たとえば、ばねによって、ねじ602が制御ユニット400から離間される第2の位置に向けて付勢されながら取り付けられることがある。ねじ602は、ねじ602がアクチュエータ及び/又は圧力源からの圧力によって制御ユニット400を駆動するように動作可能である第1の位置に維持され得る。システムが故障した場合、アクチュエータ及び/又は圧力源は、ねじ602が第2の位置をとるようにねじ602を解放し、それによって制御ユニット400がダクト200に沿って移動することを可能にする。
【0064】
図8、
図9に示されているように、原子炉制御システム100は、制御ユニット400が制御ダクト200に対して移動することができる第1の動作モードと、制御ユニット400が制御ダクト200に対して所定の位置に固定される第2の動作モードとを有するように構成された、制御ダクト200内に設けられた逆止機構1100をさらに備え得る。
【0065】
逆止機構1100は、第2の部分220に設けられることがある。逆止機構1100は、第1の部分210に設けられることがある。
【0066】
図8、
図9に示されているように、逆止機構1100は、ラチェット構成要素1102を備え得る。第1の構成(すなわち、
図3、
図5、
図9に示されている動作構成)では、制御ユニット400は、第1の方向D1及び/又は第2の方向D2にラチェット構成要素1102を押す/通過させることができる。第2の構成(すなわち、
図4、
図6、
図8に示されている停止構成)では、ラチェット構成要素1102は、制御ユニット400が第1の方向D1にラチェット構成要素1102を通過することを可能にするが、制御ユニット400が第2の方向D2にラチェット構成要素1102を通過することを可能にしない。
【0067】
したがって、通常動作(すなわち、動作構成)では、逆止機構1100は、その第1の構成にある。しかしながら、停止が必要とされる場合、逆止機構1100は、吸収体ユニット410が炉心内に向かって第1の方向D1に(すなわち、第1の領域310内に、又は第1の領域310に向かう方向に)移動することを可能にするが、第2の方向D2に(すなわち、第2の領域312内に、又は第2の領域312に向かう方向に)移動することを防止するように、その第2の構成に変換される。
【0068】
図3から
図6に示されているように、制御ダクト200は、実質的に一定の直径を有し得る。
【0069】
代替例では、たとえば
図10に示されているように、制御ダクト200の第2の部分220の少なくとも一部は、制御ダクト200の第1の部分210の直径よりも大きい直径を有する。拡大された直径のこの領域は、第1の部分210、拡大された直径の領域、及び駆動機構600が第2の方向D2に連続的に設けられるように配置され得る。
【0070】
この例では、第2の部分220は、ねじ602が第2の位置にあるとき、制御ユニット400が圧力源によって第1の方向D1に押し込まれるように、圧力源1000と流体連通している。
【0071】
したがって、この例では、ピストン500及び制御ダクト200は、制御ユニット400の直径とピストン500との間に面積差が存在するように拡大される。したがって、拡大領域250の直径は、制御ユニット400の直径よりも5%から10%大きいことがある。制御ユニット400は、制御ダクト200の拡大領域250に入ると、弁として作用し、それによって、ピストン500を用いて制御ダクト200からのガスの漏洩を制限し、制御ダクト200は、駆動機構において通気される。次いで、ガス圧力が拡大断面250に加えられた場合、ピストン500と制御ユニット400との間の差圧は、ピストン500が第1の方向D1に向かって制御ダクト200の下方に駆動され、炉心反応を停止させることを保証する。
【0072】
核分裂原子炉システムの通常動作(すなわち、動作構成)の間、制御ユニット400は、駆動機構600の使用によって必要に応じて炉心302内の反応を減速させるために、必要に応じて制御ダクト200に沿って第1の方向D1及び第2の方向D2に移動される。
【0073】
駆動機構600は、炉心302の第1の領域310内の制御ユニット400の大部分がディスプレーサユニット420である配置を示す
図3、
図5に示される動作構成配置と、炉心300の第1の領域310内の制御ユニット400の大部分が吸収体ユニット410である
図4、
図6、
図7に示されている停止構成配置との間で、制御ユニット400を移動させ得る。駆動機構600は、制御ユニット400を、
図3、
図5に示されている位置と、
図4、
図6、
図7に示されている位置との間の位置に配置するように動作可能である。
【0074】
しかしながら、上記で説明されたように、原子炉制御システム100は、停止シナリオ中に、駆動機構が、制御ユニットが
図4、
図6、
図7に示されている配置を採用することを可能にするように動作可能であるように構成される。
【0075】
したがって、従来の設計よりもコンパクトであり、関連技術の例と比較して、含まれる原子炉ユニットのサイズを全体的に著しく低減する、核分裂原子炉のための制御システムが提供される。
【0076】
本開示の原子炉制御及び/又は停止構成要素が、炉心の端部から長手方向に延びるのではなく、炉心から半径方向外向きに延びるので、このことは、制御システムパッケージ設計全体に対する改善の実質的な可能性を有効にする。
【0077】
いくつかの例では、本開示の配置は、制御システム全体を原子炉ハウジング(たとえば、ケーシング180)内に配置することを可能にし、したがって、原子炉全体の体積を増加させない。
【0078】
制御棒の代わりに球状の制御ユニットを使用することは、制御棒が温度差及び中性子照射によって反りやすいので、さらなる重要な安全性の利点を有する。これは、過去に、故障した状況で自動停止を妨げる停止棒の詰まりを引き起こしていた。対照的に、球状の制御ユニットは、設計の基本的なセグメント化された性質と、制御ダクト200内の点接触及び線接触のみとにより、そのような詰まりを受けにくい。
【0079】
制御ユニットを移動させるためのアルキメデスねじなどの利用は、制御ユニットの正確な駆動制御を可能にし、駆動モーターからの固有の変速が可能になり、制御駆動モーターギヤボックスの必要性を低減する。
【0080】
制御システム100はまた、水平に取り付けられる原子炉を可能にし得る。水平な取付けは、潜水艦の船体内を含む、空間が制限された環境において利点を有し得る。しかしながら、水平配置が考慮される場合、重力誘導の停止はもはや実用的ではなく、(たとえば、
図10に関して説明されるように)停止要素の液圧又は空気圧挿入が必要とされ得る。
【0081】
本出願に関連して本明細書と同時に又は本明細書よりも前に出願され、本明細書とともに公衆の閲覧に供されるすべての論文及び文書に注意が向けられ、すべてのそのような論文及び文書の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0082】
本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に開示された特徴のすべて、及び/又はそのように開示された任意の方法もしくはプロセスのステップのすべては、そのような特徴及び/又はステップのうちの少なくともいくつかが相互排他的である組合せを除いて、任意の組合せで組み合わせられ得る。
【0083】
本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に開示された各特徴は、別段に明記されていない限り、同じ、均等の、又は同様の目的を果たす代替の特徴によって置き換えられ得る。したがって、別段に明記されていない限り、開示される各特徴は、一般的な一連の均等又は同様の特徴の一例にすぎない。
【0084】
本発明は、上記の実施形態の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に開示された特徴の任意の新規の1つ、もしくは任意の新規の組合せ、又は、そのように開示された任意の方法もしくはプロセスのステップの任意の新規の1つ、又は任意の新規の組合せに及ぶ。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸が炉心の長さに沿って延びる前記炉心を有する原子炉ユニットを備える核分裂原子炉システムのための原子炉制御システムであって、
前記原子炉ユニットは、前記炉心内に設けられた第1の領域と、前記炉心の外側に設けられた第2の領域とを備え、
前記原子炉制御システムは、制御ダクトを備え、前記制御ダクトは、
前記第1の領域を通って延びるように構成された第1の部分と、
前記第2の領域を通って延びるように構成された第2の部分と
を有し、
前記制御ダクトは、一連の制御ユニットで満たされ、前記制御ユニットの各々は、前記制御ダクトに沿って進行するように構成されている、原子炉制御システム。
【請求項2】
前記制御ダクトは、第1の方向D1及び第2の方向D2への前記制御ユニットの並進のために構成され、
前記第1の方向D1は、前記第2の部分から前記第1の部分に向かう進行方向であり、
前記第2の方向D2は、前記第1の部分から前記第2の部分に向かう進行方向である、請求項1に記載の原子炉制御システム。
【請求項3】
前記制御ダクトは、前記第1の部分と前記第2の部分との間に延びる第1の弓形部分を備え、前記制御ダクトの前記第1の部分、前記第1の弓形部分、及び前記第2の部分は、それらによって、制御ユニットの通過のための連続経路を画定する、請求項1又は2に記載の原子炉制御システム。
【請求項4】
前記制御ダクトは、
前記第1の部分と前記第2の部分との間に延びる第2の弓形部分
を備え、
前記第2の弓形部分は、前記第1の弓形部分が前記第1の部分及び前記第2の部分によって前記第2の弓形部分から離間されるように、前記第1の弓形部分に対して前記第1の部分及び前記第2の部分の反対端部に設けられ、
前記制御ダクトの前記第1の部分、前記第1の弓形部分、前記第2の部分、及び前記第2の弓形部分は、それらによって、制御ユニットの通過のための単一の連続ループ経路を画定する、請求項3に記載の原子炉制御システム。
【請求項5】
制御ユニットの格納のための第1のタンクと、ここで、前記制御ダクトは、前記第1のタンクから制御ユニットを受け取り、及び/又は前記第1のタンクに制御ユニットを供給するように構成され、
制御ユニットの格納のための第2のタンクと、ここで、前記制御ダクトは、前記第2のタンクから制御ユニットを受け取り、及び/又は前記第2のタンクに制御ユニットを供給するように構成されている、
をさらに備え、
前記第1のタンク、前記第1の部分、第1の弓形部分、前記第2の部分、及び前記第2のタンクは、制御ユニットの通過のための経路を画定するように連続的に設けられている、請求項1
又は2に記載の原子炉制御システム。
【請求項6】
前記制御ユニットのうちのいくつかは、吸収体ユニットであり、
前記制御ユニットのうちのいくつかは、ディスプレーサユニットである、
請求項1
又は2に記載の原子炉制御システム。
【請求項7】
前記吸収体ユニットは、前記ディスプレーサユニットよりも重くない、請求項6に記載の原子炉制御システム。
【請求項8】
前記制御ユニットは、球状であり、前記制御ダクトの直径と同じか又はそれよりもわずかに小さい外径を有する、請求項1
又は2に記載の原子炉制御システム。
【請求項9】
第1の動作モードにおいて、前記制御ダクトに沿って第1の方向D1に前記制御ユニットを駆動するように動作可能であり、第2の動作モードにおいて、前記制御ダクトに沿って第2の方向D2に前記制御ユニットを駆動するように動作可能である駆動機構がさらに設けられている、請求項1
又は2に記載の原子炉制御システム。
【請求項10】
前記駆動機構は、ねじが回転したとき、前記制御ユニットが前記制御ダクトに沿って駆動されるように、前記制御ユニットとの係合のためのトラックを有するねじを備える、請求項9に記載の原子炉制御システム。
【請求項11】
前記ねじは、前記制御ユニットを駆動するように動作可能である第1の位置と、前記ねじと前記制御ユニットとの間にすきまが維持される第2の位置との間で移動するように構成されている、請求項10に記載の原子炉制御システム。
【請求項12】
前記制御ユニットが前記制御ダクトに対して移動することができる第1の動作モードと、前記制御ユニットが前記制御ダクトに対して所定の位置に固定される第2の動作モードとを有するように構成された、前記制御ダクト内に設けられた逆止機構をさらに備える、請求項
9に記載の原子炉制御システム。
【請求項13】
前記制御ダクトは、実質的に一定の直径を有する、請求項1
又は2に記載の原子炉制御システム。
【請求項14】
前記制御ダクトの前記第2の部分の少なくとも一部は、前記制御ダクトの前記第1の部分の直径よりも大きい直径を有し、
前記第2の部分は、ねじが第2の位置にあるとき、前記制御ユニットが第1の方向D1に押し込まれるように、圧力源と流体連通している、請求項1
又は2に記載の原子炉制御システム。
【請求項15】
複数の吸収体ユニットが、吸収体ユニットの列を形成するために、前記制御ダクトに沿って連続的に互いに隣接して設けられ、
第1の複数のディスプレーサユニットが、ディスプレーサユニットの第1の列を形成するために、前記制御ダクトに沿って連続的に互いに隣接して設けられ、
第2の複数のディスプレーサユニットが、ディスプレーサユニットの第2の列を形成するために、前記制御ダクトに沿って連続的に互いに隣接して設けられ、
ディスプレーサユニットの前記第1の列は、吸収体ユニットの前記列の第1の端部から延びており、ディスプレーサユニットの前記第2の列は、吸収体ユニットの前記列の第2の端部から延びている、請求項1
又は2に記載の原子炉制御システム。
【請求項16】
第1の方向D1において、複数の吸収体ユニットが、ディスプレーサユニットの第1の列によってピストンから離間され、第2の方向D2において、複数の吸収体ユニットが、ディスプレーサユニットの第2の列によって前記ピストンから離間されるように、ディスプレーサユニットの前記第1の列と、ディスプレーサユニットの前記第2の列との間に前記ピストンが設けられている、請求項1
又は2に記載の原子炉制御システム。
【請求項17】
前記ピストンは、前記ねじが前記第2の位置にあるとき、前記ピストンがその下の前記制御ユニットに作用して前記制御ユニットを前記制御ダクトに沿って移動させるように前記制御ダクト内に構成され、配置されている、請求項11に従属する請求項16に記載の原子炉制御システム。
【請求項18】
前記制御ダクトの前記第1の部分は、炉心中心軸に実質的に平行に延びており、
前記制御ダクトの前記第2の部分は、前記炉心中心軸に実質的に平行に延びている、請求項1
又は2に記載の原子炉制御システム。
【請求項19】
原子炉ユニットと、
請求項1
又は2に記載の原子炉制御システムと
を備える、核分裂原子炉システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0084】
本発明は、上記の実施形態の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に開示された特徴の任意の新規の1つ、もしくは任意の新規の組合せ、又は、そのように開示された任意の方法もしくはプロセスのステップの任意の新規の1つ、又は任意の新規の組合せに及ぶ。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 中心軸が炉心の長さに沿って延びる前記炉心を有する原子炉ユニットを備える核分裂原子炉システムのための原子炉制御システムであって、
前記原子炉ユニットは、前記炉心内に設けられた第1の領域と、前記炉心の外側に設けられた第2の領域とを備え、
前記原子炉制御システムは、制御ダクトを備え、前記制御ダクトは、
前記第1の領域を通って延びるように構成された第1の部分と、
前記第2の領域を通って延びるように構成された第2の部分と
を有し、
前記制御ダクトは、一連の制御ユニットで満たされ、前記制御ユニットの各々は、前記制御ダクトに沿って進行するように構成されている、原子炉制御システム。
[2] 前記制御ダクトは、第1の方向D1及び第2の方向D2への前記制御ユニットの並進のために構成され、
前記第1の方向D1は、前記第2の部分から前記第1の部分に向かう進行方向であり、
前記第2の方向D2は、前記第1の部分から前記第2の部分に向かう進行方向である、[1]に記載の原子炉制御システム。
[3] 前記制御ダクトは、前記第1の部分と前記第2の部分との間に延びる第1の弓形部分を備え、前記制御ダクトの前記第1の部分、前記第1の弓形部分、及び前記第2の部分は、それらによって、制御ユニットの通過のための連続経路を画定する、[1]又は[2]に記載の原子炉制御システム。
[4] 前記制御ダクトは、
前記第1の部分と前記第2の部分との間に延びる第2の弓形部分
を備え、
前記第2の弓形部分は、前記第1の弓形部分が前記第1の部分及び前記第2の部分によって前記第2の弓形部分から離間されるように、前記第1の弓形部分に対して前記第1の部分及び前記第2の部分の反対端部に設けられ、
前記制御ダクトの前記第1の部分、前記第1の弓形部分、前記第2の部分、及び前記第2の弓形部分は、それらによって、制御ユニットの通過のための単一の連続ループ経路を画定する、[3]に記載の原子炉制御システム。
[5] 制御ユニットの格納のための第1のタンクと、ここで、前記制御ダクトは、前記第1のタンクから制御ユニットを受け取り、及び/又は前記第1のタンクに制御ユニットを供給するように構成され、
制御ユニットの格納のための第2のタンクと、ここで、前記制御ダクトは、前記第2のタンクから制御ユニットを受け取り、及び/又は前記第2のタンクに制御ユニットを供給するように構成されている、
をさらに備え、
前記第1のタンク、前記第1の部分、第1の弓形部分、前記第2の部分、及び前記第2のタンクは、制御ユニットの通過のための経路を画定するように連続的に設けられている、[1]から[3]のいずれか一項に記載の原子炉制御システム。
[6] 前記制御ユニットのうちのいくつかは、吸収体ユニットであり、
前記制御ユニットのうちのいくつかは、ディスプレーサユニットである、
[1]から[5]のいずれか一項に記載の原子炉制御システム。
[7] 前記吸収体ユニットは、前記ディスプレーサユニットよりも重くない、[6]に記載の原子炉制御システム。
[8] 前記制御ユニットは、球状であり、前記制御ダクトの直径と同じか又はそれよりもわずかに小さい外径を有する、[1]から[7]のいずれか一項に記載の原子炉制御システム。
[9] 第1の動作モードにおいて、前記制御ダクトに沿って第1の方向D1に前記制御ユニットを駆動するように動作可能であり、第2の動作モードにおいて、前記制御ダクトに沿って第2の方向D2に前記制御ユニットを駆動するように動作可能である駆動機構がさらに設けられている、[1]から[8]のいずれか一項に記載の原子炉制御システム。
[10] 前記駆動機構は、ねじが回転したとき、前記制御ユニットが前記制御ダクトに沿って駆動されるように、前記制御ユニットとの係合のためのトラックを有するねじを備える、[9]に記載の原子炉制御システム。
[11] 前記ねじは、前記制御ユニットを駆動するように動作可能である第1の位置と、前記ねじと前記制御ユニットとの間にすきまが維持される第2の位置との間で移動するように構成されている、[10]に記載の原子炉制御システム。
[12] 前記制御ユニットが前記制御ダクトに対して移動することができる第1の動作モードと、前記制御ユニットが前記制御ダクトに対して所定の位置に固定される第2の動作モードとを有するように構成された、前記制御ダクト内に設けられた逆止機構をさらに備える、[9]から[11]のいずれか一項に記載の原子炉制御システム。
[13] 前記制御ダクトは、実質的に一定の直径を有する、[1]から[12]のいずれか一項に記載の原子炉制御システム。
[14] 前記制御ダクトの前記第2の部分の少なくとも一部は、前記制御ダクトの前記第1の部分の直径よりも大きい直径を有し、
前記第2の部分は、ねじが第2の位置にあるとき、前記制御ユニットが第1の方向D1に押し込まれるように、圧力源と流体連通している、[1]から[12]のいずれか一項に記載の原子炉制御システム。
[15] 複数の吸収体ユニットが、吸収体ユニットの列を形成するために、前記制御ダクトに沿って連続的に互いに隣接して設けられ、
第1の複数のディスプレーサユニットが、ディスプレーサユニットの第1の列を形成するために、前記制御ダクトに沿って連続的に互いに隣接して設けられ、
第2の複数のディスプレーサユニットが、ディスプレーサユニットの第2の列を形成するために、前記制御ダクトに沿って連続的に互いに隣接して設けられ、
ディスプレーサユニットの前記第1の列は、吸収体ユニットの前記列の第1の端部から延びており、ディスプレーサユニットの前記第2の列は、吸収体ユニットの前記列の第2の端部から延びている、[1]から[14]のいずれか一項に記載の原子炉制御システム。
[16] 第1の方向D1において、複数の吸収体ユニットが、ディスプレーサユニットの第1の列によってピストンから離間され、第2の方向D2において、複数の吸収体ユニットが、ディスプレーサユニットの第2の列によって前記ピストンから離間されるように、ディスプレーサユニットの前記第1の列と、ディスプレーサユニットの前記第2の列との間に前記ピストンが設けられている、[1]から[15]のいずれか一項に記載の原子炉制御システム。
[17] 前記ピストンは、前記ねじが前記第2の位置にあるとき、前記ピストンがその下の前記制御ユニットに作用して前記制御ユニットを前記制御ダクトに沿って移動させるように前記制御ダクト内に構成され、配置されている、[11]に従属する[16]に記載の原子炉制御システム。
[18] 前記制御ダクトの前記第1の部分は、炉心中心軸に実質的に平行に延びており、
前記制御ダクトの前記第2の部分は、前記炉心中心軸に実質的に平行に延びている、[1]から[17]のいずれか一項に記載の原子炉制御システム。
[19] 原子炉ユニットと、
[1]から[18]のいずれか一項に記載の原子炉制御システムと
を備える、核分裂原子炉システム。
【国際調査報告】