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特表2024-545604パッケージング用途のための多層ポリマー発泡フィルムおよびそれを作製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】パッケージング用途のための多層ポリマー発泡フィルムおよびそれを作製する方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/18 20060101AFI20241203BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20241203BHJP
   B32B 27/28 20060101ALI20241203BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20241203BHJP
   B32B 3/28 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B32B5/18 101
B65D65/40 D
B32B27/28 102
B32B27/32 C
B32B3/28 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529760
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 US2022050276
(87)【国際公開番号】W WO2023091585
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】17/530,407
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514248569
【氏名又は名称】ミューセル・エクストルージョン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Mucell Extrusion, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サニエイ,メディー
(72)【発明者】
【氏名】リンデンフェルツァー,マーク,イー.
(72)【発明者】
【氏名】フレドリクソン,エリック,ヴイ.
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AC31
3E086BA04
3E086BA15
3E086BA16
3E086BB02
3E086BB05
3E086BB35
3E086BB55
3E086BB85
3E086CA01
3E086CA11
3E086CA15
3E086CA21
3E086CA29
3E086DA08
4F100AA03
4F100AA03H
4F100AA08
4F100AA08H
4F100AK03
4F100AK03G
4F100AK05A
4F100AK05B
4F100AK05C
4F100AK06B
4F100AK06C
4F100AK69D
4F100AL06
4F100AL06G
4F100BA04
4F100BA07
4F100CA13A
4F100CA23A
4F100CA30A
4F100DJ01A
4F100DJ02A
4F100EH202
4F100GB15
4F100GB23
4F100JA13
4F100JD03
4F100JD04
4F100JK04
4F100JK15
4F100JK17
4F100JL03
(57)【要約】
直接および非直接食品接触および無菌パッケージング用途に好適な多層発泡フィルムおよび前記フィルムを作成する方法が開示される。多層発泡フィルムは、複数のセルを包含する発泡層、ここでセルの少なくとも10%は閉鎖セルである、および発泡層の各側にあるHDPEを含む2つの固体スキン層、およびエチレンビニルアルコール(EVOH)を含む固体層を含み、ここで前記発泡層は、固体スキン層の1つとEVOHを含む固体層との間にあり、フィルムは、8ミリ以上の全体的な厚さを有し、および、折り目付け、折り畳みまたはスコアリングされたフィルムの、ASTM D3985によるcc/m/24hrにおける酸素透過率の、折り目付け、折り畳みまたはスコアリング前の同一フィルムの酸素透過率に対する比が、1.1未満である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルを包含する発泡層、ここでセルの少なくとも10%は閉鎖セルである、および
発泡層の各側にあるHDPEを含む2つの固体スキン層、および
エチレンビニルアルコール(EVOH)を含む固体層、
を含み、
ここで前記発泡層は、固体スキン層の1つとEVOHを含む固体層との間にあり、およびフィルムは、8ミリ以上の全体の厚さを有し、および、折り目付け、折り畳みまたはスコアリングされたフィルムの、ASTM D3985によるcc/m/24hrにおける酸素透過率の、折り目付け、折り畳みまたはスコアリング前の同一フィルムの酸素透過率に対する比が、1.1未満である、
折り目付け、折り畳み、またはスコアリングされた、多層発泡フィルム。
【請求項2】
フィルムが、TAPPI T 538による40未満の平均シェフィールド平滑度を有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
フィルムが、ピアシングまたはパンチングされる、請求項1または2に記載のフィルム。
【請求項4】
フィルムが、0.962gr/cm未満のバルク密度値を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項5】
フィルムが、25未満のTAPPI T 538による平均シェフィールド平滑度を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項6】
フィルムが、TAPPI/ANSI T 489 om-15による18超のテーバー曲げ剛性値を有し、単位面積当たりの質量(単位面積当たりの質量、グラム毎平方メートル(gr/m))のテーバー剛性値に対する比が13以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項7】
フィルムが、ASTM E398-13による1gr/m/24hr未満の水蒸気透過率を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項8】
フィルムが、ASTM D3985による10cc/m/24hr未満の酸素透過率を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項9】
発泡層が、0.94~0.962gr/cmの密度を有するHDPEを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項10】
フィルムが、TAPPI/ANSI T 489 om-15による280未満のテーバー曲げ剛性値を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項11】
少なくとも1つの層が、顔料、スリップ剤、帯電防止剤、紫外線安定剤、無水マレイン酸、および酸化防止剤を包含する、ある程度の量の他の添加剤を含有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項12】
フィルムが、0.4未満のASTM D1894による静的摩擦係数値を有する少なくとも1つの固体スキン層を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項13】
フィルムが、0.3未満のASTM D1894による動的摩擦係数を有する少なくとも1つの固体スキン層を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項14】
フィルムが、3、5、または7つの層を含み、環状押出ダイおよび1.5:1~3.5:1のブローアップ比を使用して、ブローフィルムプロセスによって生産される、請求項1~13のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項15】
核剤が、10~100μmの平均セルサイズを有する発泡層を生産するために使用される、請求項1~14のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項16】
発泡層中の非発泡体積についてのセル密度が、10~10セル/cmであり、およびフィルム密度が、0.1~0.9g/cmである、請求項1~15のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項17】
発泡層が50%超の閉鎖セルを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項18】
発泡層が、無機添加剤、有機添加剤、または無機および有機添加剤の混合物の含量が0.05~15重量パーセントである核剤から構成される、請求項1~17のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項19】
少なくとも1つの層が、0.02~20dg/minの溶融指数を有するHDPEを含む固体層である、請求項1~18のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項20】
両方の外側のスキン層を除いた層の少なくとも1つは、LDPEを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項21】
折り目付け、折り畳み、またはスコアリングされた多層フィルムを作製する方法であって、
発泡層、HDPEを含む2つの固体スキン層、およびエチレンビニルアルコール(EVOH)を含む1つの固体層を共押出して多層フィルムを形成すること、ここで発泡層は複数のセルを包含し、ここでセルの少なくとも10%は閉鎖セルであり、発泡層は固体スキン層のうちの1つとEVOHを含む層との間にあり、およびフィルムが8ミリ以上の全体の厚さを有する;および
多層フィルムを折り目付け、折り畳み、またはスコアリングすること、
ここで、ASTM D3985による、cc/m/dayにおける折り目付け、折り畳み、またはスコアリングされたフィルムの酸素透過率値は、ASTM D3985による、cc/m/dayにおける折り目付け、折り畳み、またはスコアリング前の多層フィルムの酸素透過率値の10%を超えて増加しない、
を含む、方法。
【請求項22】
いずれかの発泡層が、EVOHを含む層に直接隣接して共押出される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記フィルムをピアシングまたはパンチングすることをさらに含む、請求項21または22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、無菌パッケージング産業における紙の代替用途のために使用され得る多層ポリマー発泡フィルム(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)を含む)に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
パッケージング用途のための板紙使用量は、全パッケージング市場の約3分の1を占めている。直接食品接触パッケージングでは、板紙は何らかの形態のバリアコーティングにより安全に機能する。従来、バリア特性が必須である食品パッケージング用途では、板紙は、パラフィンワックスコーティングされているか、また通常ポリエチレンであるポリマーフィルムではラミネートされている。室温で保管され、かつ、パッケージングが無菌的にされ、これに続いで気密シーリングされる貯蔵安定製品では、酸素バリア特性が必須である。紙-ホイル-プラスチックラミネート容器の出現、例えば1959年のTetrahedronは、それが金属缶やガラス容器で置き換えることができるパッケージング産業の変曲点であった。したがって、典型的には、金属化(metalized)されたポリマーフィルムまたはアルミニウムフィルムの層が、板紙の構造に組み込まれる。リサイクル施設の大部分が、特定のリサイクル技術を提供することができるインフラを欠いているため、これは、重大なリサイクル問題を引き起こし得る。
【0003】
例えば、ミルク、ベビーフード、トマト製品、ブロス、スープ、野菜、デザート、液体卵、ヨーグルト、ドレッシングなどの、防腐剤を使用することなく、冷蔵を省き、腐敗を防止する、無菌的にパッケージングされている滅菌・低温殺菌製品には、累積的な人気と関心が寄せられている。したがって、新興市場における食品パッケージングの膨大な需要の増加に伴い、貯蔵寿命を印刷および前印刷(preprinting)するための表面品質、パッケージングに使用される板紙に匹敵する曲げ剛性値、および十分なバリア特性、これらのすべてがパッケージング産業で現在使用される種類の板紙に置き換わる製品として不可欠な特性であり得る、を保有する、改良された酸素および湿度バリア特性を有する、軽量でリサイクル可能なポリマーフィルムで製造することが望ましい。さらに、上述の製品は、コーティングされた板紙のウィッキング(wicking)問題に対処することができる。
【0004】
多層シートまたはフィルムで作製された柔軟性のある無菌パッケージング製品の生産の間の最も重要な問題の1つは、シート、および特に酸素バリア層に対するあらゆる形態、例えば、折り目付け、スコアリング、ピアシング、パンチング、または折り畳みのプロセスの間に開始され、次いで伝播する可能性のある微小亀裂の形態の物理的損傷の発生によるパッケージの欠陥である。例えば、これらの亀裂は、パッケージング産業で現在使用されている多層シートおよびフィルムの構造に従来から包含されているアルミニウム層、金属化層、またはエチレンビニルアルコール(EVOH)層においてさえ典型的には発生する。これらの欠陥は、パッケージ全体の酸素バリア特性の完全性を劣化させ得、製品の貯蔵寿命を低下をもたらす。したがって、多層シートまたはフィルム中のバリア層が、上記プロセスを経たときに物理的損傷を受けることから保護する方法を革新することが有益である。
【発明の概要】
【0005】
概要
例えば、無菌パッケージング用途に使用され得る多層ポリマー発泡フィルムが本明細書に記載される。
以下にさらに説明するように、いくつかの態様において、多層フィルムは、折り目付け、折り畳みまたはスコアリング工程の後、それらの酸素透過率(OTR)特性を保持する。すなわち、折り目付け、折り畳み、またはスコアリングされた多層フィルムは、折り目付け、折り畳み、またはスコアリング前の同一の多層フィルムのそれと同様のOTRを有する。これは、例えば、折り目付け、折り畳み、またはスコアリングの間の物理的損傷の結果として、OTRの増加を経験し得る従来の多層フィルムよりも有利であり得る。
いくつかの態様において、フィルムは、優れた印刷品質および紙板に置き換わる十分に高い曲げ剛性をもたらす、非常に平滑な表面を有し得る。フィルムは、リサイクル可能であり、かつ軽量であり得る。
【0006】
一側面において、折り目付け、折り畳み、またはスコアリングされた多層発泡フィルムが提供される。フィルムは、複数のセルを包含する発泡層を含む。セルの少なくとも10%は閉鎖セルである。フィルムは、発泡層の各側にHDPEを含む2つの固体スキン層をさらに含む。フィルムは、エチレンビニルアルコール(EVOH)を含む固体層をさらに含む。発泡層は、固体スキン層の1つと、EVOHを含む固体層との間にある。フィルムは、8ミリ以上の全体の厚さを有する。折り目付け、折り畳み、またはスコアリングされたフィルムのASTM D3985によるcc/m/24hrにおける酸素透過率の折り目付け、折り畳み、またはスコアリング前の同一フィルムの酸素透過率に対する比は、1.1未満である。
【0007】
別の側面において、折り目付け、折り畳み、またはスコアリングされた多層フィルムを作製する方法が提供される。方法は、発泡層、HDPEを含む2つの固体スキン層、およびエチレンビニルアルコール(EVOH)を含む1つの固体層を共押出して多層フィルムを形成することを含む。発泡層は、複数のセルを包含し、ここでセルの少なくとも10%は閉鎖セルである。発泡層は、固体スキン層の1つと、EVOHを含む層との間にある。フィルムは、8ミリ以上の全体の厚さを有する。方法は、多層フィルムを折り目付け、折り畳み、またはスコアリングすることをさらに含む。折り目付け、折り畳み、またはスコアリングされたフィルムのASTM D3985による、cc/m/dayにおける酸素透過率値は、折り目付け、折り畳み、またはスコアリング前の多層フィルムのASTM D3985による、cc/m/dayにおける、酸素透過率値の10%を超えて増加しない。
他の側面、態様、利点、および特色は以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0008】
詳細な説明
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に他に指示しない限り複数形の指示物を包含する。
本明細書に開示される全ての範囲は、言及された終点を包含し、独立して結合可能である(例えば、「18~100」のテーバー単位構成における曲げ剛性の範囲は、終点である18および100、ならびに全ての中間値を包含する。同じ文脈において、例えば、8ミリ超の全体の厚さは、終点である8ミリを包含する。)
【0009】
本明細書に使用されるとき、近似の言葉は、それが関係する基本的機能における変化をもたらすことなく変更されてもよい、いずれの定量的表示をも修飾するために適用されてよい。結果的に、「約」および「実質的に」などの用語(単数または複数)により修飾された値は、正確な特定値に限定されずともよい。修飾語「約」はまた、2つの終点の絶対値により定義される範囲を開示しているものとしても見なされるべきである。例えば、表現「約0.05~約15」はまた、範囲「0.05~15」をも開示する。
【0010】
本明細書に使用されるとき、用語「軽量」は、本明細書に記載の製品のバルク密度値が、関連するベース未加工樹脂(base virgin resin)から作製されたそれらの固体対応物の密度、または関連するベース未加工樹脂の密度未満であるか、または等しいことを指す。同様の文脈において、それは、本明細書に記載の製品のバルク密度値が同じ厚さの、または同じ単位面積あたりの重量値(gr/m)の板紙の密度未満であるか、または少なくとも等しいことを指す。例えば、本発明の製品のバルク密度値は、0.962gr/cmの関連するベース未加工樹脂の密度値未満であるか、または関連するベース未加工樹脂から作製されたその固体対応物の0.962gr/cmのバルク密度値未満である、0.962gr/cm未満であり得る。
【0011】
本開示は、あらゆる種類の無菌パッケージングにおいて使用されるのに好適な多層軽量ポリエチレン発泡フィルム;あらゆる種類の酸素感受性製品のパッケージング;低温殺菌製品のパッケージング;ビスケット、クッキー、穀物、茶、コーヒー、砂糖、小麦粉、ドライフードミックス、チョコレート、砂糖菓子、ペットフードなどのドライフード製品のパッケージング;チルド食品およびアイスクリームなどの冷凍食品のパッケージング;調理済みおよびあらかじめ調理済み(precooked)製品および食品のパッケージング;野菜、果物、肉および魚などの生鮮製品の裏板(backing board);ベビーフードのパッケージング;あらゆる種類のデザートのパッケージング;ブロス、スープ、ジュースドリンク、ミルクおよびミルク由来製品の全ての種類、濃縮物、あらゆる種類のドレッシング、液体卵、トマト製品などの液体食品および飲料のパッケージング;および洗濯用洗剤、シャンプー、およびボディウォッシュのパッケージング;SUP、サシェを包含する全ての種類のポーチを作製すること;ならびにペットフードのパッケージングを含むパッケージングに関する。
上記の例は、本開示の製品の用途をなんら限定するものではなく、他の用途も可能である。
【0012】
本明細書に記載されている合成軽量フィルムの生産および板紙の置き換えのための材料選択の背後にある根拠の1つは、リサイクル可能性に取り組むこと、およびワックスでコーティングされた紙板、金属化フィルム、およびアルミニウム層を有するフィルムおよびシート(これらの全ては、リサイクル可能でないか、または容易にリサイクル可能でない)を使用することの欠点を回避することであるが;もっとも、実際には、消費者の大多数は、上記製品、例えば、無菌パッケージングされたミルクボックスまたは長期寿命飲料ボックスは、リサイクル可能であると直感的に信じている。
【0013】
本明細書では、いくつかの態様において、例えば無菌パッケージング用途のための、ならびに直接および非直接食品接触パッケージング用途のためのパッケージング産業において使用されている紙板の代替物となるように、少なくとも5層、例えば7層を含む、リサイクル可能な軽量多層フィルムが開示される。フィルムは高密度ポリエチレン(HDPE)を含み、ここで固体スキン層を除く少なくとも1つの層は、セル構造を有する。いくつかの態様において、セルの少なくとも10%が、閉鎖セルであり;いくつかの態様において、セルの50%超が、閉鎖セルであり;および、いくつかの態様において、セルの75%超が、閉鎖セルである。いくつかの態様において、セルの100%が閉鎖セルである。本明細書に使用されるとき、「閉鎖セル」は、隣接するセルへの相互接続性が無いように開口が無く、セルを完全に包囲するセル壁を有するセルを指す。いくつかの態様において、フィルムは、EVOHを含有する少なくとも1つの固体層を含み、固体層の各々は、発泡層と固体層との間、または2つの固体層の間のどこかに位置する。いくつかの態様において、フィルムは、少なくとも1つの発泡層および2つの固体スキン層、ならびにEVOHを含む1つ以上の固体層を含み、ここで前記発泡層は、スキン層とEVOHを含む層との間に位置する。
【0014】
いくつかの態様において、多層フィルムの全ての単位面積におけるEVOHの質量濃度は、フィルムの単位面積の質量の5パーセント未満である。いくつかの態様において、多層フィルムの全ての単位面積におけるEVOHの質量濃度は、フィルムの単位面積の質量の10パーセント未満である。いくつかの態様において、多層フィルムの全ての単位面積におけるEVOHの質量濃度は、フィルムの単位面積の質量の5パーセント未満である。いくつかの他の態様において、多層フィルムの全ての単位面積におけるEVOHの質量濃度は、フィルムの単位面積の質量の2パーセント未満である。
【0015】
さらに、いくつかの態様において、開示された多層発泡フィルム製品の曲げ剛性は、パッケージング産業における特性要件を満たすために、それらの固体対応物よりも改良され得る。これは、第一にかつ真っ先に、多層フィルムのコア中または2つの固体スキン層の間の1つ以上のセル層中への包含、セル層の厚さの正確な調整および変更、ならびに固体スキン層の厚さの微調整によって行うことができる。一般的に、同じ厚さにおいて、ポリエチレンの固体フィルムは、板紙が提供することができる曲げ剛性値をほとんど保有し得ない。これは、曲げ剛性を著しく強化することができる、板紙の繊維アライメントが高程度なことに起因する。加えて、それは、ポリマーフィルム中のポリマー鎖と比較して、板紙中の個々の繊維のより高い固有の剛性に起因する可能性がある。
【0016】
一般に、HDPEは、約0.3~0.5(g/100in/24hr)の比較的低い水蒸気透過率を有する。本明細書に記載される多層発泡フィルム製品の態様は、単位面積当たりの質量(グラム/平方メートル)の同じ値を有するその固体対応物と比較して、著しく高い湿度バリア特性を示すことができる。また、本明細書に記載される多層発泡フィルム製品の態様は、強化された酸素バリア特性を示すことができる。
【0017】
また、効率的で費用対効果の高いパッケージングプロセスにおける重要な要素であり得る、ポリマーパッケージの工業的規模での使用における問題の1つは、迅速かつ自由にデネスティング(de-nested)されるそれらの能力である。デネスティングの問題は、典型的には、摩擦および静電荷に起因する。本明細書に記載される多層発泡フィルムの態様は、スキン層の構造を操作することにより、および適切な量のスリップ剤、抗ブロックおよび帯電防止剤の固体スキン層中への包含によって、帯電防止および低摩擦挙動を示すことができる。
【0018】
いくつかの態様において、開示された製品を作製するための工程の1つは、コアセル層、または2つのスキン層の間のセル層の厚さを包含および制御すること、および固体スキンを微調整することにより曲げ剛性を制御および強化することができる手段、ならびに微量の超臨界膨張剤を添加することにより表面平滑性を著しく向上させる手段である。さらに、独特の構造と層との組合せが、アルミニウムまたは金属化されたバリア層の包含なく、どのようにして高いバリア特性をもたらしたかである。すなわち、フィルム製品は、任意の金属(例えば、アルミニウム)バリア層を含まないことができる。
【0019】
いくつかの態様において、押出機のヘッド圧力は、発泡層におけるセルの核形成の役に立つ極めて狭いギャップ(gap)のために上昇し得る、ブローフィルムプロセス(blown film process)が使用されてよい。かかる技法を使用することで、溶融破断が回避されるはずであり、および樹脂は優れた熱安定性および十分に高い溶融強度を有するはずである。典型的には、フィルム製造業者は、低密度ポリエチレン(LDPE)と直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とのブレンドを利用するが、一方でブレンドは多くの場合非混和性ブレンドであり、ここでLDPEは、加工能力および延性を改善する一方で、LLDPEは、弾性および強度を強化することができる。いくつかの態様において、記載される多層フィルムのすべての層は、HDPEを含み、場合によっては、これらの層のうちの1以上においてポリマー材料は、本質的にHDPEからなり、場合によっては、固体スキン層を除く固体層のうちの少なくとも1つにおいてポリマー材料は、EVOHを含む。一態様において、多層のフィルムの少なくとも1層はLDPEを含み得る。
【0020】
いくつかの態様において、多層フィルムは、9層;いくつかの態様において、7層;およびいくつかの態様において、5層を含むことができる。
例えば、5層フィルムは、発泡コア層(例えば、HDPEを含む)、およびコア層のそれぞれの反対側に各1つの、少なくとも2つの固体層(例えば、HDPEを含む)、ならびに発泡層と固体スキン層との間に各1つの、少なくとも1つの固体層(例えば、EVOHを含む)を含んでもよい。一態様において、5層フィルムは、固体コア層(例えば、EVOHを含む)、およびコア層のそれぞれの反対側に各1つの、少なくとも2つの固体層(例えば、HDPEを含む)、ならびに発泡層と固体スキン層との間に各1つの、少なくとも2つの発泡層(例えば、HDPEを含む)を含んでもよい。いくつかの態様において、5層フィルムは、層構造ABCBAを有していてもよい(すなわち、層Aが最も外側の2つの(スキン)層であり、層BがそれぞれA層および層Cと接触しており、層Cが中間層である)。例えば、層Aが、固体スキン層(例えば、HDPEを含む)であってもよく、層Bが、発泡層(例えば、HDPEを含む)であってもよく、層Cが、EVOH(例えば、固体)層であってもよい。
【0021】
1つの場合において、7層発泡フィルムは、コア層の各反対側に2つの固体スキン層(例えば、HDPEを含む)有する、中央に発泡コア層(例えば、HDPEを含む)、および発泡層と固体スキン層との間に各1つの少なくとも1つの固体層(例えば、EVOHを含む)を含む。別の場合において、7層発泡フィルムは、コア層の各反対側に2つの固体スキン層(例えば、HDPEを含む)を有する、中央に固体コア層(例えば、EVOHを含む)、および固体コア層と固体スキン層との間に各1つの、少なくとも1つの発泡層(例えば、HDPEを含む)を含む。いくつかの態様において、7層フィルムは、層構造ABCDCBAを有していてもよい(すなわち、層Aが2つの最も外側の(スキン)層であり、層BがそれぞれのA層およびそれぞれのC層と接触し、層Cがそれぞれの層Bおよび層Dと接触し、層Dが中央層である)。例えば、層Aは、固体スキン層(例えば、HDPEを含む)であってもよく、層Bは、発泡層(例えば、HDPEを含む)であってもよく、層Cは、固体タイ層(例えば、HDPEを含む)であってもよく、層Dは、EVOH(例えば、固体)層であってもよい。
【0022】
別の態様において、9層発泡フィルムは、コア層の各反対側に2つの固体スキン層(例えば、HDPEを含む)を有する、中央に発泡コア層(例えば、HDPEを含む)、および発泡層と固体スキン層との間に各1つの、少なくとも1つの固体層(例えば、EVOHを含む)を含む。別の態様において、9層発泡フィルムは、コア層の各反対側に2つの固体スキン層(例えば、HDPEを含む)を有する、中央に固体コア層(例えば、EVOHを含む)、および固体コア層と固体スキン層との間に各1つの少なくとも1つの発泡層(例えば、HDPEを含む)を含む。いくつかの態様において、9層フィルムは、層構造ABCDEDCBAを有していてもよい(すなわち、層Aは最も外側の2つの(スキン)層であり、層BはそれぞれのA層およびそれぞれのC層と接触し、層Cがそれぞれの層Bおよびそれぞれの層Dと接触し、層Dがそれぞれの層Cおよび層Eと接触し、層Eが中間層である)。例えば、層Aは、固体スキン層(例えば、HDPEを含む)であってもよく、層Bは、固体タイ層(例えば、HDPEを含む)であってもよく、層Cは、(例えば、固体の)EVOH層であってもよく、層Dは、固体タイ層(例えば、HDPEを含む)であってもよく、層Eは、発泡層(例えば、HDPEを含む)であってもよい。
【0023】
別の態様において、5、7、または9層であり得る多層フィルムは、少なくとも1つの発泡層および2つの固体スキン層、ならびに少なくとも1つの固体層(例えば、EVOHを含む)を含む。別の態様において、5、7、または9層であり得る多層フィルムは、EVOHを含む少なくとも1つの固体層を含み、その各々は、発泡層と固体層との間、または2つの固体層の間に位置する。
いくつかの態様において、本明細書に記載される多層フィルムは、少なくとも1つの発泡層およびEVOHを含有する1以上の固体層を含む、複数の層、例えば3層~19層を含む。いくつかの他の態様において、本明細書に記載される多層フィルムは、EVOHを含有する少なくとも1つの固体層を含む、複数の層、例えば3層~19層を含む。
他の層構成も可能であることは理解されるべきである。
【0024】
一態様において、記載される多層フィルムを生産するプロセスは、極めて小さいおよび正確な量、例えば0.1wt%未満の超臨界ガスを加工助剤および膨張剤として活用してもよい。いくつかの態様において、他のガス濃度、例えば、0.1重量パーセント超は可能である。かかる超臨界ガスは、押出機の円筒の延長として効率的なおよび効果的なミキサー、例えばキャビティトランスファーミキサー(cavity transfer mixer)の内部で、高い圧力、例えば34バール超にて、溶融されたポリマー中へ注入されてもよい。プロセスにおいて使用される超臨界膨張剤は窒素、二酸化炭素または窒素および二酸化炭素の混合物のいずれかであり得る。いくつかの態様において、超臨界膨張剤は、
34バール以上の;いくつかの場合において、70バール以上の;いくつかの場合において、240バール以上の、および、いくつかの場合において、380バール以上の注入圧にて押出機の混合セクション内部に導入され得る。ミキサーの温度は的確に±1℃以内で制御され得る。僅かな量のガスの包含が、プロセスおよび、例えば、ブローフィルム押出プロセスにおけるいくつかの重要な利点を提供し得る。例えば、ガスは背圧を縮小し得、これはより高いスループット(throughput)で加工することを許容し、いかなる気泡(bubble)の不安定性をも猶予し得る。したがって、溶融破断が有意に縮小されうるであろう。また、ガスはHDPEの加工能力を強化し得、そしてセル構造を有する層における核剤の存在により物理的な膨張剤としての機能を果たす。物理的な膨張剤の添加は溶融物の粘度の操作に起因する溶融破断の発生を抑制し得、これは、高い表面平滑度をもたらし得る。ゆえにフィルム上の印刷の品質は著しく改善され得る。
【0025】
一般に、従来のポリマー加工機器を本明細書に記載のフィルムを生産するために使用してもよい。いくつかの場合において、例えば、フィルムは0.45~1.3mmのダイギャップ、および1.5:1~3.5:1の範囲にわたるブローアップ比を有する環状ダイを使用するブローフィルムプロセスにより生産され得る。より高いブローアップ比は、よりよくバランスのとれたMD/TD(機械方向(machine direction)/垂直方向(transverse direction))配向をもたらし得、これは全体的なフィルム靭性を改善する。ダイのジオメトリおよび仕様は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、例えば、特許出願US2012/0228793A1に従って製造されてもよい。
【0026】
従来のPEブローフィルムの大多数は、気泡の安定性を強化するためのLDPEを含むPEのブレンドを使用して加工される。ほとんどすべてのHDPEフィルムは、高量の原料の(high stock)ブローフィルムプロセスにおいて作製され;さもなくば、HDPEフィルムの引裂強度は著しく低下する。上に記載のとおり、多層のフィルムを生産するために使用される方法の態様において、超臨界ガスは、環状ダイに進入する前に、トランスファーミキサー内部で、正確に制御された割合にて溶融物中へと注入されてもよい。このユニットは±1℃の的確さである別々の温度区画および1%未満のガス注入圧変動として制御され得るであろう。ガスの可塑化効果は、溶融された樹脂の粘度変化をもたらし得、従来使用されている加工温度と比較してより低い温度にて環状ダイ内部での樹脂の加工能力を強化するであろう。ゆえに、相対的に安定した気泡がポケット内部で作製され得る。次いで、ポリエチレンの全体的な高い比熱容量のために、気泡の垂直方向の(transverse)伸張が、フィルムが冷却されるまで遅延され得、気泡の安定性およびフロストラインの高さをさらに強化し得る。これはまたいくつかの他の物理的機械的性質を改善するためのスキン層の晶析動力学(crystallization kinetics)の操作において有益でもあるかもしれない。スキンの結晶化度が高いほど、スキン層の摩擦係数が低下する可能性がある。
いくつかの態様において、本明細書に記載の多層発泡フィルムはブローフィルムプロセス、キャストフィルムプロセス(cast film process)、または他の好適な方法により生産され得る。
【0027】
いくつかの態様において、各層のポリマー組成物は、ある程度の量の他の添加剤、例えば、顔料、スリップ剤、帯電防止剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、核剤、清澄剤または無水マレイン酸を含む。発泡層は任意に0.05~15重量パーセントの、無機添加剤、有機添加剤、または無機および有機添加剤の混合物を核剤として含有していてもよい。いくつかの態様において、発泡層は任意に0.05~15重量パーセントの、無機添加剤、有機添加剤、または無機および有機添加剤の混合物を核剤として含有していてもよい。いくつかの態様において、発泡層は任意に1~15重量パーセントの、無機添加剤、有機添加剤、または無機および有機添加剤の混合物を核剤として含有していてもよい。いくつかの態様において、発泡層は任意に2.5~15重量パーセントの、無機添加剤、有機添加剤、または無機および有機添加剤の混合物を核剤として含有していてもよい。いくつかの態様において、発泡層は任意に5~15重量パーセントの、無機添加剤、有機添加剤、または無機および有機添加剤の混合物を核剤として含有していてもよい。いくつかの態様において、発泡層は任意に7.5~15重量パーセントの、無機添加剤、有機添加剤、または無機および有機添加剤の混合物を核剤として含有していてもよい。いくつかの態様において、発泡層は任意に10~15重量パーセントの、無機添加剤、有機添加剤、または無機および有機添加剤の混合物を核剤として含有していてもよい。いくつかの態様において、発泡層は任意に12.5~15重量パーセントの、無機添加剤、有機添加剤、または無機および有機添加剤の混合物を核剤として含有していてもよい。
【0028】
例えば、発泡層は約15重量%までのタルクを核剤として含有していてもよい。いくつかの態様において、少なくとも1つの層は清澄剤を1重量パーセント未満、たとえば0.5重量パーセント未満、たとえば0.1重量パーセント未満、たとえば0.05重量パーセント未満にて、包含していてもよい。いくつかの場合において、フィルムの少なくとも1つの層は約35重量%までの炭酸カルシウムを含有していてもよい。いくつかの場合において、フィルムの少なくとも1つの層は約30重量%までの炭酸カルシウムを含有していてもよい。いくつかの場合において、フィルムの少なくとも1つの層は約25重量%までの炭酸カルシウムを含有していてもよい。いくつかの場合において、フィルムの少なくとも1つの層は約20重量%までの炭酸カルシウムを含有していてもよい。いくつかの場合において、フィルムの少なくとも1つの層は約15重量%までの炭酸カルシウムを含有していてもよい。
【0029】
いくつかの態様において、本明細書に記載されるフィルムの少なくとも1つの層は、5重量パーセント未満、例えば約4重量パーセント未満、例えば約3重量パーセント未満、例えば約2.5重量パーセント未満、例えば約2重量パーセント未満、例えば約1重量パーセント未満の無水マレイン酸を含む。
ある場合において、多層発泡フィルムは、2つの固体スキン層を含むことができ、ここでスキン層のうちの1つが適切な量、例えば1重量パーセント未満、例えば0.75重量パーセント未満、例えば0.5重量パーセント未満の黒色顔料を含有し、および他の固体スキン層が、適切な量、例えば1重量パーセント未満、例えば0.75重量パーセント未満、例えば0.5重量パーセント未満の白色顔料を含有する。いくつかの他の態様において、両方の固体スキン層は、適量の白色顔料を含む。
【0030】
別の場合において、多層発泡フィルムの固体スキン層は、0.5重量パーセント未満の抗ブロッキング剤および/または0.2重量パーセント未満の帯電防止剤を含む。
一態様において、多層発泡フィルムは、0.38未満など、0.4未満の静的摩擦係数値を有する少なくとも1つの固体スキン層を有する。別の態様において、フィルムは、0.3未満の動的摩擦係数値を有する少なくとも1つの固体スキン層を有する。
【0031】
少なくとも1つの発泡層を含む、記載される多層フィルムは、TAPPI/ANSI T 489 om-15によると、テーバー剛性単位構成において、とりわけ、18超、場合によっては20超、および場合によっては25超の曲げ剛性値などの既知の発泡フィルム物品と比較して著しく改善された物理機械的特性のセットを有することができ、ここで、単位面積あたりの質量(フィルムの単位面積あたりの質量(グラム/平方メートル(gr/m))のテーバー単位構成の剛性値に対する比が13以下、場合によっては11未満、場合によっては10未満である。一態様において、フィルムは、TAPPI/ANSI T 489 om-15による、280未満のテーバー曲げ剛性値を有し得る。
【0032】
記載されるフィルムは100未満のTAPPI T538による、平均シェフィールド平滑度を有する表面を有し得る。いくつかの態様において、フィルムは、50未満;いくつかの場合において、40未満;いくつかの場合において、30未満;および、いくつか場合において、15未満の平均シェフィールド平滑度を有していてもよい。
多層発泡フィルムは、8ミリ超、いくつかの場合において10ミリ超、いくつかの場合において13ミリ超、およびいくつかの場合において15ミリ超の全体の厚さを有し得る。
いくつかの態様において、本明細書に記載される軽量フィルムは、1gr/cm未満;いくつかの場合において、0.962gr/cm未満;いくつかの場合において、0.94gr/cm未満;いくつかの場合において、0.9gr/cm未満;いくつかの場合において、0.85gr/cm未満;およびいくつかの場合において、0.8gr/cm未満のバルク密度を有する。
【0033】
いくつかの態様において、開示されたフィルムの発泡層は、既知のフィルムと比較して、例えば、開示されたフィルムの発泡層は、均一に分散したセル、例えば閉鎖セル形態を有し、約10~250μm、例えば、50~250μm、例えば、150~250μm、例えば、200~250μmの平均セルサイズ;約10~10セル/cmの非発泡ポリマー体積に対する平均セル密度、および1~9の発泡層の膨張比、例えば1~8の発泡層の膨張比、例えば1~7の発泡層の膨張比、例えば1~6の発泡層の膨張比、例えば1~5の発泡層の膨張比、例えば1~4の発泡層の膨張比、例えば1~3の発泡層の膨張比、例えば1~2の発泡層の膨張比を有する、はるかに良好なセル形態を有すし得る。いくつかの場合において、発泡層は、少なくとも10%の閉鎖セル、およびいくつかの場合において、50%超の閉鎖セルを含む。一態様において、発泡層は実質的に、全面的に閉鎖セル形態(例えば、95%超の閉鎖セル)を有する。
【0034】
いくつかの態様において、多層発泡フィルムは、PE/EVOHブレンドを含有する少なくとも1つの層を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載される多層発泡フィルムは、固体スキン層を除く少なくとも1つの層を含み、約30~50重量パーセントのEVOH、例えば約35~49重量パーセントのEVOH、例えば約40~49重量パーセントのEVOH、例えば約45~49重量パーセントのEVOH、および5重量パーセント未満、例えば2重量パーセントの無水マレイン酸を含有する。いくつかの態様において、フィルムの単位面積におけるEVOHの全体質量濃度は、フィルムの単位面積の質量の10パーセントを超えない。いくつかの態様において、フィルムの単位面積におけるEVOHの全体質量濃度は、フィルムの単位面積の質量の7.5パーセントを超えない。いくつかの態様において、フィルムの単位面積におけるEVOHの全体質量濃度は、フィルムの単位面積の質量の5パーセントを超えない。いくつかの態様において、フィルムの単位面積におけるEVOHの全体質量濃度は、フィルムの単位面積の質量の4パーセントを超えない。いくつかの態様において、フィルムの単位面積におけるEVOHの全体質量濃度は、フィルムの単位面積の質量の3パーセントを超えない。いくつかの態様において、フィルムの単位面積におけるEVOHの全体質量濃度は、フィルムの単位面積の質量の2.5パーセントを超えない。
【0035】
本明細書に記載されるフィルムは、ASTM E398-13による、0.05gr/100in/24hr未満の水蒸気透過率を有し得る。1つの場合において、フィルムの水蒸気透過率は0.1gr/100in/24hr未満である。いくつかの態様において、フィルムの水蒸気透過率は、1gr/m/day未満である。
いくつかの態様において、記載されるフィルムは、ASTM D3985による、0.65cc/100in/24hrまたは10cc/m/24hr未満の酸素透過率を有し得る。いくつかの場合において、記載されるフィルムは、ASTM D3985による、0.32cc/100in/24hrまたは5cc/m/24hr未満の酸素透過率を有することができる。いくつかの態様において、記載されるフィルムは、ASTM D3985による、0.13cc/100in/24hr、または2cc/m/24hr未満の酸素透過率を有し得る。
【0036】
いくつかの態様において、記載されるのフィルムは、ASTM D3985による、0.65cc/100in/24hr未満の酸素透過率値を有する樹脂を含有する少なくとも1つの層を含む。別の態様において、記載されるフィルムは、エチレンビニルアルコール(EVOH)を含有する、固体スキン層を除く少なくとも1つの層を含む。
例示的な態様において、多層発泡フィルム、例えば、5層発泡フィルムは、0.4未満および/または0.38未満の静的摩擦係数値を有する少なくとも1つの固体スキン層を有する。別の態様において、フィルム、例えば、5層発泡フィルムは、0.3未満の動的摩擦係数値を有する少なくとも1つの固体スキン層を有する。
【0037】
いくつかの態様において、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアミド(PA)、α-オレフィンコモノマー、例えばブテン、ヘキセン、またはオクテンを包含するLLDPEコポリマー;TPEファミリーとして知られているいずれかの樹脂、例えばこれらに限定されないが、プロピレン-エチレンコポリマー、熱可塑性オレフィン(TPO)、および熱可塑性ポリウレタン(TPU)などの様々な熱可塑性プラスティックは、多層発泡フィルムの少なくとも1つの層およびブローフィルムプロセスにおいて使用され得る。HDPE層を包含する本明細書に記載されるいくつかの態様において、HDPE層の一部または全部が、多層構造におけるPP層によって置き換えられる。HDPE層を包含する本明細書に記載されるいくつかの態様において、HDPE層の一部または全部が、多層構造におけるPET層によって置き換えられる。
【0038】
別の態様において、フィルムの少なくとも1つの層(例えば、外側のスキン層を除く)は、LDPE、PP、PA、EVOH、EVA、またはPVOHを含んでいてもよい。以下の例は、本開示のプロセスを例証する。例は、例示にすぎず、かつ、本明細書に定める材料、条件、または加工パラメータに関して本開示にいかなる限定を画すことも意図されない。
本明細書では、記載される多層フィルムにおいて、多層フィルムが折り目付け、スコアリング、ピアシング、パンチング、または折り畳みプロセスを経る場合に、例えば微小亀裂などの物理的な損傷のいずれかの形態を得ることから酸素バリア層(例えば、EVOH層)を保護する方法が開示される。前記方法において、任意の酸素バリア層は、酸素バリア層に隣接する少なくとも1つの発泡層によって、一方の側または両側で支持される。いくつかの態様において、任意の酸素バリア層は、酸素バリア層に近接する少なくとも1つの発泡層によって支持される。いくつかの態様において、任意の酸素バリア層は、スキン層のいずれかまたは両方に隣接する1つの発泡層の包含によって保護される。いくつかの態様において、酸素バリア層は、EVOHを含む。
【0039】
本明細書では、複数のセルを包含する少なくとも1つの発泡層、ここでセルの少なくとも10%は、閉鎖セルである、およびHDPEを含む2つの固体スキン層、ならびにエチレンビニルアルコール(EVOH)を含む1以上の固体層の共押出をすること、ここで前記発泡層はスキン層とEVOHを含む層の間で共押出され、および前記フィルムは、8ミリ以上の全体の厚さを有する;前記フィルムを折り目付け、スコアリングまたは折り畳むこと、ここで折り目付け、スコアリングまたは折り畳みされたもののASTM D3985によるcc/m/dayにおける酸素透過率値は、折り目付けされていない、スコアリングされていない、または折り畳まれていない(すなわち、折り目付け、スコアリング、または折り畳み前)、同一の多層フィルムのOTR値の30%を超えて増加しない、を含む、折り目付け、折り畳み、またはスコアリングされた多層フィルム(および関連する製品)を作製する方法が開示される。いくつかの態様において、折り目付け、スコアリング、または折り畳まれたフィルムの酸素透過率値は、折り目付けされていない、スコアリングされていない、または折り畳まれていない同一の多層フィルム(すなわち、折り目付け、スコアリング、または折り畳み前)のOTR値の20%を超えて、または10%を超えて、または5%を超えて増加しない。いくつかの態様において、折り目付け、折り畳み、またはスコアリングの前の同一フィルムの(ASTM D3985による、cc/m/24hrにおける)OTRに対するOTRの比は、1.1未満、場合によっては1.075未満、場合によっては1.05未満、場合によっては1.025未満である。
【実施例
【0040】

以下の例から得られた全ての製品を試験し、曲げ剛性、表面平滑度、酸素透過率、水蒸気透過率、および密度の観点から特徴付けした。フィルムの曲げ剛性を特徴付けするために、Taber Industriesのテーバー剛性試験機、モデル150-Eを使用した。製品の平滑度をGurley(商標)4340自動デンソメーターおよび平滑度試験機を使用して評価した。製品の酸素透過率(OTR)は、ASTM D3985による、AMETEK MOCONのOX-TRAN 1/50試験機を使用して測定した。試料の水蒸気透過率(WVTR)は、ASTM E398-13による、AMETEK MOCONのPERMATRAN-Wモデル1/50 G+試験機を使用して測定した。
【0041】
例1:多層HDPEフィルム(7層)の試料を、内部気泡冷却システム、ゲージ制御、質量スループット制御、および層厚制御を備え、スキンに対して「A」および「G」と表記される2つの55mm押出機、「B」および「F」と表記される2つの65mm押出機、ならびに「C」、「D」および「E」と表記される3つの35mm押出機を包含する7つの押出機からなる、Reifenhaeuser Extrusion Systemの7層ブローフィルムラインを用いて生産した。両方の65mm押出機には、窒素、二酸化炭素、または両方の混合物を注入することができる超臨界ガス注入ユニットならびにMuCell Extrusion LLCの2つの65mm MuCell Transfer Mixer(MTM)が装備されていた。すべてのフィルムを、0.7~1.2mmにわたるダイギャップおよび2.8:1~3.5:1にわたるブローアップ比を有する環状ダイを使用するブローフィルムプロセスにより生産した。環状ダイのリップは窒化ホウ素コーティングされた。
【0042】
表1は、本発明を解明するための非限定的な例として加工データおよび作製された製品の特徴付け結果を含む。試料は、0.85dg/分の溶融指数および0.962gr/cmの密度を有するDow Chemical Companyの高密度ポリエチレンELITE5960で生産した。必要に応じて、すべての試料において、添加剤、例えば、顔料を、LDPE担体を用いたマスターバッチの形態で添加した。明らかに、添加剤は、HDPE担体中で配合することができる。いくつかの試料において、ごく少量の、0.25dg/minの溶融指数および0.921gr/cmの密度を有するDow Chemical CompanyのLDPE132Iを使用した。炭酸カルシウムおよびタルクを調製し、ベース担体樹脂としてHDPE内に、夫々、80wt%充填された炭酸カルシウム、および70wt%充填されたタルクの高充填マスターバッチとして導入した。全てのタイ層は、無水グラフト化ポリオレフィンであるADMER接着樹脂を含む。この例において、中間層は32%のエチレン含量を有するエチレンビニルアルコール(EVOH)を含む。
【0043】
すべての試料は、それが表1に記載されているように、300~340kg/hrの全スループットで共押出された。超臨界ガスが注入された混合セクションの温度をすべての試料について184℃に維持した。超臨界窒素を物理的な膨張剤として使用し、そしてMuCellトランスファーミキサー(MTM)中へ、0.01wt%~0.07wt%の濃度にて、極めて的確に、溶融されたポリマー中へと注入した。押出機のゾーンの温度は、材料のデータシートに示されている従来の加工に従って設定した。
試料2および3は、342gr/mの同じベース重量を有する、固体試料1の発泡体バージョンであり、これは、固体試料1と比較してそれぞれ40%および45%低い密度を有する。
【0044】
表1に記載されているように、試料3は、その固体対応物と比較して190%高い曲げ剛性値を示す。試料5および6は、約390gr/mの同じベース重量を有する試料4の発泡体バージョンであり、これは固体試料4と比較して37%および39%低い密度を有する。試料5および6は、それぞれ、それらの固体対応物と比較して、140%および160%高い曲げ剛性値を示す。試料6は、約17.5のシェフィールドによる表面平滑度値を保有し、これは試料4に匹敵する。試料5と6の両方は、1.5cc/m/day未満の酸素透過率を示す。
試料8、9、10、および11は、約240g/mの同様のベース重量を有する試料7の発泡体バージョンであり、これは、約20%~30%低い密度を有する。試料9および10は、それらの固体対応物と比較して、140%および190%高い曲げ剛性を保有する。もっとも試料8および9は、試料10と比較して非常に薄い(ほぼ半分の)中間層を有するが、それらは、3cc/m/day未満の全て同じ範囲の酸素透過率を示す。また、試料8および9は、10未満のシェフィールドによる表面平滑度値を有し、それらの固体対応物に匹敵する。
さらに、ほとんど全ての試料1~11は、1gr/m/day未満の水蒸気透過率を保有する。
【0045】
【表1】
【0046】
例2:多層HDPEフィルム(3層)の試料を1つの105mm主押出機および2つの同一の75mm共押出機を含むWindmoeller & Hoelscher Corporationのブローフィルムラインを使用して生産した。コア押出機は、両方ともにMuCell Extrusion LLCの、窒素または二酸化炭素を注入可能な超臨界ガス注入ユニット、および120mm MuCellトランスファーミキサーを備えていた。すべてのフィルムを、0.45~1.3mmにわたるダイギャップ、および2.8:1~3.5:1にわたるブローアップ比を有する環状ダイを使用するブローフィルムプロセスにより生産した。環状ダイのリップは窒化ホウ素コーティングされた。
【0047】
表2は、本発明のいくつかの態様を解明するための非限定的な例として、作製された製品(試料12~15)の特徴付けの結果を含む。試料は、0.85dg/minの溶融指数および0.962gr/cmの密度を有するDow Chemical Companyの高密度ポリエチレンELITE5960で生産した。炭酸カルシウムおよびタルクを調製し、ベース担体樹脂としてHDPE内に、夫々、80wt%充填された炭酸カルシウム、および70wt%充填されたタルクの高充填マスターバッチとして導入した。全てのタイ層は、無水グラフト化ポリオレフィンであるADMER接着樹脂を含む。すべての試料の発泡コア層は、セル核剤としてタルクを含有する。
【0048】
すべての試料は、それが表2に記載されているように、約260~290kg/hrの全スループットで共押出された。超臨界ガスが注入された混合セクションの温度をすべての試料12~15について190℃で維持した。超臨界窒素を物理的な膨張剤として使用し、そしてMuCellトランスファーミキサー(MTM)中へ、0.011wt%~0.02wt%の濃度にて、極めて的確に、溶融されたポリマー中へと注入した。
試料15は、試料12、13、および14の固体対応物であり、これは、試料15と比較して約18%~25%低い密度を有する。試料15は、1.4cc/m/day未満の酸素透過率を示した。すべての試料は1未満の水蒸気透過率、および10未満のシェフィールドによる表面平滑度を示す。
【0049】
【表2】
【0050】
例3:TAPPI/ANSI T512 sp-12に従って、表1の試料11の折り目試料を調製し、折り目付けおよび折り畳み前後の酸素透過率(OTR)を試験した。説明したように、cc/m/24hrにおけるOTR値を、73°F(23℃)の標準温度および0%相対湿度(RH)においてASTM D3985に従って測定した。試験した試料はすべて同一であった。折り目付け前と折り目付け後の試料11の平均測定OTR値は、それぞれ1.56cc/m/24hrと1.6cc/m/24hrであった。
表1の試料11の固体対応物の折り目付けされた試料を調製し、前述の方法に従ってOTR値を測定した。試料の厚さは260μmであった。折り目付け前と折り目付け後の平均測定OTR値はそれぞれ0.95cc/m/24hrと1.17cc/m/24hrであった。
【0051】
例4.TAPPI/ANSI T512 sp‐12に従って、AVENO日常保湿ローションのパッケージングチューブの折り目付けされた試料を調製し、折り目付けおよび折り畳み前後の酸素透過率(OTR)を試験した。試料の全厚さは、60μmの厚さを有する1つのEVOH層を含む480μmであった。説明したように、cc/m/24hrにおけるOTR値を、73°F(23℃)の標準温度および0%相対湿度(RH)においてASTM D3985に従って測定した。折り目付け前と折り目付け後の平均測定OTRは、それぞれ0.29cc/m/24hrと0.41cc/m/24hrであった。
【国際調査報告】