(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】流動接触分解及び脱水素ユニットにおけるエネルギー最適化
(51)【国際特許分類】
B01D 53/82 20060101AFI20241203BHJP
B01D 53/56 20060101ALI20241203BHJP
B01D 53/50 20060101ALI20241203BHJP
F23J 15/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B01D53/82 ZAB
B01D53/56
B01D53/50 100
F23J15/00 A
F23J15/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530460
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 US2022080639
(87)【国際公開番号】W WO2023102413
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】デ レン、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ホワイマン、ウィリアム ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン ザ セカンド、リチャード エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ナイト、ジェフリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】パチパンデ、アニル ニヴルッティ
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ、アンドリュー ジェイ.
【テーマコード(参考)】
3K070
4D002
【Fターム(参考)】
3K070DA02
3K070DA03
3K070DA16
3K070DA22
3K070DA23
3K070DA25
4D002AA02
4D002AA08
4D002AA12
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4D002BA03
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4D002FA05
4D002GA01
4D002GB02
4D002GB03
4D002HA03
4D002HA08
4D002HA10
(57)【要約】
煙道ガスから硫黄化合物を除去するための乾燥吸着剤注入(DSI)ユニット又はスラリー試薬注入(SRI)ユニットの使用を伴うプロセスが記載される。例えば、FCC再生器からの煙道ガスは、過熱蒸気及び飽和蒸気を作るために使用される。次いで、煙道ガスは、DSIユニットに送られて、硫黄化合物を除去し、次いで、にエコノマイザ(又は熱交換器)に送られて、ボイラ供給水又は燃焼空気を加熱する。温度は湿式スクラバープロセスの場合ほど低下しないので、追加のエネルギーをエコノマイザで回収することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動接触分解(FCC)ユニット触媒再生器、FCCユニット触媒再生器CO燃焼器、又は脱水素化ユニット触媒再生器からの煙道ガスを処理するための方法であって、
前記FCCユニット触媒再生器、前記FCCユニット触媒再生器CO燃焼器、又は前記脱水素反応器からの煙道ガス流(125)からの熱を、熱回収蒸気発生器(HRSG)内のボイラ供給水流(155)に伝達して、冷却された煙道ガス流(145)及び蒸気流(140)を形成するステップであって、前記煙道ガス流(125)が、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、及び触媒微粒子のうちの1つ以上を含み、前記煙道ガス流(145)が、200℃~290℃の範囲の温度を有し、前記温度が、水と、硫酸及び/又は三酸化硫黄を含む酸との露点より高い、ステップと、
前記HRSGからの前記冷却された煙道ガス流中の前記硫黄含有化合物、前記窒素含有化合物、又はその両方のうちの1つ以上を、除染反応器(190)内の反応物(185)と反応させるステップであって、前記反応物(185)が、NaHCO
3、NaOH、KOHのうちの1つ以上を含み、Na
2SO
4、NaNO
3、NaNO
2、Na
2CO
3、K
2SO
4、及びKNO
3のうちの1つ以上を含む反応器流出物流(195)を形成する一方で、前記反応器流出物流(195)を200℃~290℃の範囲の温度に維持する、ステップと、
前記反応器流出物流(195)を濾過して、前記Na
2SO
4、前記NaNO
3、前記NaNO
2、前記Na
2CO
3、前記K
2SO
4、前記KNO
3、及び前記触媒微粒子のうちの少なくとも1つを除去し、濾過された反応器流出物流(225)を形成するステップと、
燃焼空気流又はボイラ供給水流(235)を前記濾過された反応器流出物流(225)で予熱し、それによって温度を130℃~200℃に低下させ、水の露点より上に維持するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記燃焼空気流又は前記ボイラ供給水流(235)を、前記濾過された反応器流出物流(225)で予熱するステップは、ガス/ガス熱交換器又はガス/液体熱交換器(230)を使用して、前記燃焼空気流又は前記ボイラ供給水流(235)を、前記濾過された反応器流出物流(225)で予熱するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記煙道ガス流(125)は、部分燃焼FCCユニット再生器(110)からの煙道ガス流(125)を含み、前記方法は、
CO燃焼器(110)において、前記煙道ガス流(105)中のCOを燃焼させて、完全に酸化された煙道ガス流(125)を形成するステップであって、前記煙道ガス流(125)から熱を伝達するステップが、前記完全に酸化された煙道ガス流(125)から熱を伝達するステップを含む、ステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記燃焼空気流(120)は、前記CO燃焼器(110)に送られる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記反応器流出物流(195)を濾過するステップは、バッグフィルタ又は静電集塵器(210)を使用して、前記反応器流出物流(195)を濾過するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フィルタ材料流を2つの部分(220A及び220B)に分割するステップと、
第1の部分(220B)を前記除染反応器(190)に再循環させるステップと、
前記第2の部分(220A)を回収するステップと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記窒素含有化合物は、乾燥基準で1000ppm(v)未満の量で、前記冷却された煙道ガス流中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記硫黄含有化合物は、乾燥基準で5000ppm(v)未満の量で、前記冷却された煙道ガス流中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記HRSGは、過熱蒸気セクション(130)及び飽和蒸気セクション(150)を含み、前記煙道ガス流(125)から前記ボイラ供給水流(155)へ熱を伝達するステップは、
前記煙道ガス流(125)を前記過熱蒸気セクション(130)に導入して、過熱蒸気流(140)及び部分的に冷却された煙道ガス流(145)を生成するステップと、
前記ボイラ供給水流(155)及び前記部分的に冷却された煙道ガス流(145)を、前記飽和蒸気セクション(150)に導入して、飽和蒸気流(160)を生成するステップと、
前記飽和蒸気流(160)の少なくとも一部(170)を、前記過熱蒸気セクション(130)に導入するステップと、
前記飽和蒸気流(170)を前記煙道ガス流(125)で過熱して、前記過熱蒸気流(140)を生成するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記反応物(185)は、乾燥形態又はスラリー形態である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の記載)
本出願は、2021年11月30日に出願された米国特許出願第17/538,411号の優先権を主張するものであり、当該特許出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
流動接触分解(fluid catalytic cracking、FCC)ユニット及び流動床脱水素化ユニットからの煙道ガスの従来の処理は、煙道ガスから硫黄化合物を除去するための、苛性スクラバーなどの湿式ガススクラビング技術の使用を含む。このプロセスにおいて、FCC再生器からの煙道ガスは、ボイラ供給水と熱交換されて蒸気を作り、煙道ガスを冷却する。煙道ガスは、水急冷を使用して400~500°Fの温度から140~194°Fの温度に更に冷却される。冷却された煙道ガスは、NaOHと接触し、このNaOHが、硫黄化合物と反応して、Na2SO3及び/又はNa2SO4、並びに水を形成し、これらは除去される。煙道ガスを任意に加熱し、処理して、窒素化合物を除去することができる。また煙道ガスを任意に処理して、触媒微粉子及び他の微粒子を除去するためにこともできる。次に、処理済みの煙道ガスを、大気に排出することができる。
【0003】
しかしながら、このシステムは、その資本コストは高く、NaOH、水、電気、凝集剤、及びスラリーの取り扱いの使用による運転コストも高い。更に、このシステムは、大きなエリアを必要とし、メンテナンス集約的である。湿式スクラバープロセスは、水急冷及びNaOH水溶液の使用に起因して、高い補給水要件を有する。このシステムはまた、H2SO4の使用に関連する腐食の問題、及び塩の存在によるスプレーノズルのファウリングの懸念に悩まされる。実質的な量の顕熱エネルギーは、SO3(酸)露点制限のために回収されない。不十分なエネルギー回収は、高いスタック温度及び不十分な熱プロファイル(湿式硫黄除去を可能にするために断熱飽和までボイラ煙道ガス出口を急冷し、場合によっては、その後、窒素(NOx)除去を可能にするために必要な選択的触媒還元(Selective Catalytic Reduction、SCR)入口温度要件まで煙道ガスを再加熱する)に起因する。これは、負のエネルギーバランスをもたらし得る。更に、形成されたサブミクロンエアロゾル(H2SO4)によって引き起こされるH2SO4/SO3青色プルーム、及び煙道ガスが大気に放出されるときの水凝縮によって引き起こされる白色プルームの問題があり得る。これは流れを加熱することによって避けることができるが、この手法は、資本及び運転コストを増加させる。
【0004】
したがって、硫黄化合物を含有する煙道ガスを処理するための、改善されたプロセスが必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【発明を実施するための形態】
【0006】
このプロセスは、煙道ガスから硫黄化合物を除去するための乾燥吸着剤注入(dry sorbent injection、DSI)ユニット又はスラリー試薬注入(slurry reagent injection、SRI)ユニットの使用を伴う。例えば、FCC再生器からの煙道ガスは、過熱蒸気及び飽和蒸気を作るために使用される。次いで、煙道ガスは、DSIユニットに送られて、硫黄化合物を除去し、次いで、にエコノマイザ(又は熱交換器)に送られて、ボイラ供給水、熱媒油、又は燃焼空気を加熱する。煙道ガス温度は湿式スクラバープロセスの場合ほど低下しないので、エコノマイザにおいて煙道ガスから追加の熱エネルギーを回収することができる。
【0007】
増加したエネルギー回収は、煙道ガスのSOx含有量(酸露点)と直接相関する。乾燥収着剤注入(DSI)システム又はスラリー試薬注入(SRI)システムを利用することによって、収穫されなかった顕熱エネルギーを捕捉することができ、FCCユニットのエネルギー効率を実質的に改善し、負のエネルギーバランスを回避することができる。湿式ガススクラバーシステムの代わりにDSI及びSRIシステムを利用することによって達成されるエネルギー効率の増加は、環境限界を超えるSOx濃度を有する煙道ガスが生成される、任意のタイプのFCCスタイルプロセス又は流動脱水素プロセス、例えば、完全燃焼及び部分燃焼FCCユニット、並びに流動床式プロパン及び/又はブタン脱水素ユニットにも適用することができる。
【0008】
プロセスは、DSI(又はSCR)又はSRIの下流にエコノマイザを追加することによってエネルギー回収の実質的な増加をもたらし、下流のSCRの場合には熱プロファイルが改善される(すなわち、流出物を加熱するために必要な再加熱がより少ない)。エネルギー最適化は、煙道ガスを断熱飽和温度(例えば、140~194°F)まで冷却する必要性を回避することによって実現される。代わりに、乾式スクラバーシステム又はスラリー試薬注入システムによる、硫黄除去及び微粒子除去後の、流出液の温度が維持される。したがって、HRSGボイラに対するSO3露点制限が除去され、乾式スクラバーシステム、スラリー試薬注入システム、又は窒素除去ユニット(例えば、SCRの形態)の下流に、ガス/ガス熱交換器及び/又はガス/液体熱交換器を実装することによって、追加の顕熱エネルギーを水露点まで除去することができる。回収された顕熱エネルギーは、HRSGボイラ及び/又は触媒冷却器で使用されるボイラ供給水を予熱するために使用することができ、それによって、負のエネルギーバランスの可能性を低減又は排除することができる。低圧(Low-pressure、LP)蒸気又は中圧(medium pressure、MP)蒸気を生成することができ、これは、FCCプロセス、流動脱水素プロセス、及び/又は溶媒系炭素捕捉ユニットにおいて使用することができる。追加のエネルギー回収によって生成される値は、煙道ガス中の硫黄含有量が増加するにつれて増加するが、これは、SO3露点制限のためにHRSGで行うことができる顕熱回収を制限するためである。
【0009】
新規な構成は、煙道ガスを、450°Fではなく300°Fに冷却することによって、最大20%の追加の熱エネルギー回収を可能にする(450°Fで硫黄除去を実行することによって可能になる)。この追加のエネルギーは、CO燃焼器(存在する場合)及び/若しくはDFAHのための燃焼空気、並びに/又はHRSG及び/若しくは触媒クーラー(存在する場合)のためのボイラ供給水を予熱するために使用することができる。LP流又はMP流は、上述したように、FCCプロセス、流動脱水素化プロセス、及び/又は溶媒系炭素捕捉ユニットにおいて使用することができる。
【0010】
エコノマイザの上流で硫黄を除去することにより、管の腐食リスクが低減され、システムの信頼性が大幅に向上する。本プロセスは、水及び酸の露点より上に留まることによって、硫黄除去ステップにおける腐食(H2SO4)の懸念を低減又は排除する。腐食性状態での運転を回避することにより、ステンレス鋼製の煙道ガススクラバーが不要となり、完全なシステムは、炭素鋼から作ることができる。
【0011】
更に、硫黄が除去されるので、エコノマイザにおける煙道ガス出口温度を450°Fから300°Fに低下させることができる。したがって、ボイラ供給水(boiler feed water、BFW)の350°Fへの追加の予熱はもはや必要とされず(典型的なBFWは、230~250°Fである)、これは、循環(蒸気ドラム)水ポンプ(BFW流の3分の1)を不要とし、かつBFWの露点問題を排除する。この結果、信頼性が改善され、メンテナンス要件が低減される(例えば、管の故障が少なくなり、管の交換が少なくなる)。
【0012】
乾式スクラビングシステム又はスラリー注入システムは、煙道ガスを断熱飽和温度(140~194°F)に急冷する必要性を回避し、スラリーの取り扱い濃度要件を満たし、水バランスを維持することによって、補給水の必要性を大幅に低減又は排除する。DSI技術は水を必要とせず、水は希少資源であると考えられるので、システムの水のメトリックは大幅に改善される。補給水の消費量は、最大60%減少させることができる。
【0013】
本発明はまた、複雑なスラリーの取り扱いの必要性を回避してのスプレーノズルのファウリングの懸念を排除し、水凝縮の結果としての白色プルーム、及びH2SO4エアロゾル放出の結果としての青色プルームを回避する。加えて、NaHCO3を使用する場合、最大で21%のNOx低減が達成され得るが、システムの圧力低下は、最大で50%も低くなり得る。スクラビング試薬としてKOHを使用する場合、スクラビングされた残留物は、販売可能な価値を有するK2SO4/KNO3肥料(4.47%CAGR)となる。
【0014】
部分燃焼FCCでは、CO燃焼器からの出口温度は、890~1040℃である。
【0015】
部分燃焼FCCの場合、FCC再生器からの出口温度は、650~700℃である。完全燃焼FCCの場合、出口温度は690~740℃であるが、脱水素プロセスの場合には、出口温度は690~760℃である。
【0016】
部分燃焼FCC、完全燃焼FCC、及び脱水素プロセスの場合、HRSGからの煙道ガス出口温度は、200~290℃である。
【0017】
本発明の一態様は、流動接触分解(FCC)ユニット触媒再生器、FCCユニット触媒再生器CO燃焼器、又は脱水素化ユニット触媒再生器からの煙道ガスを処理するための方法を含む。一実施形態では、本方法は、FCCユニット触媒再生器、FCCユニット触媒再生器CO燃焼器、又は脱水素反応器からの煙道ガス流からの熱を、熱回収蒸気発生器(heat recovery steam generator、HRSG)内のボイラ供給水流に伝達して、冷却された煙道ガス流及び蒸気流を形成するステップであって、煙道ガス流は、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、及び触媒微粒子のうちの1つ以上を含み、煙道ガス流は、200℃~290℃の範囲の温度を有し、その温度が水の露点より高い、ステップと、HRSGからの冷却された煙道ガス流中の、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、又はその両方のうちの1つ以上を、除染反応器内の反応物と反応させるステップであって、反応物が、NaHCO3、NaOH、KOHのうちの1つ以上を含み、Na2SO4、NaNO3、NaNO2、Na2CO3、K2SO4、及びKNO3のうちの1つ以上を含む反応器流出物流を形成する一方で、反応器流出物流を200℃~290℃の範囲の温度に維持するステップと、反応器流出物流を濾過して、Na2SO4、NaNO3、NaNO2、Na2CO3、K2SO4、KNO3、及び触媒微粒子のうちの少なくとも1つを除去し、濾過された反応器流出物流を形成するステップと、燃焼空気流又はボイラ供給水流を濾過された反応器流出物流で予熱し、それによって温度を130℃~200℃に低下させ、水の露点より上に維持するステップと、を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、燃焼空気流又はボイラ供給水流を濾過された反応器流出物流で予熱するステップは、ガス/ガス熱交換器又はガス/液体熱交換器を使用して、燃焼空気流又はボイラ供給水流を濾過された反応器流出物流で予熱するステップを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、煙道ガス流は、部分燃焼FCCユニット再生器からの煙道ガス流を含み、方法は、燃焼器において煙道ガス流中のCOを燃焼させて完全に酸化された煙道ガス流を形成するステップを更に含み、煙道ガス流から熱を伝達するステップは、完全に酸化された煙道ガス流から熱を伝達するステップを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、燃焼空気流はCO燃焼器に送られる。
【0021】
いくつかの実施形態では、反応器流出物流を濾過するステップは、バッグフィルタ又は静電集塵器を使用して、反応器流出物流を濾過するステップを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、本方法は、フィルタ材料流を2つの部分に分割するステップと、第1の部分を前記除染反応器に再循環させるステップと、第2の部分を回収するステップと、を更に含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、窒素含有化合物は、乾燥基準で1000ppm(v)未満の量で、冷却された煙道ガス流中に存在する。
【0024】
いくつかの実施形態では、硫黄含有化合物は、乾燥基準で5000ppm(v)未満の量で、冷却された煙道ガス流中に存在する。
【0025】
いくつかの実施形態では、HRSGは、過熱蒸気セクション及び飽和蒸気セクションを含み、煙道ガス流からボイラ供給水流へ熱を伝達するステップは、煙道ガス流を過熱蒸気セクションに導入して、過熱蒸気流及び部分的に冷却された煙道ガス流を生成するステップと、ボイラ供給水流及び部分的に冷却された煙道ガス流を、飽和蒸気セクションに導入して、飽和蒸気流を生成するステップと、飽和蒸気流の少なくとも一部を過熱蒸気セクションに導入するステップと、飽和蒸気流を煙道ガス流で過熱して、過熱蒸気流を生成するステップと、を含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、反応物は、乾燥形態又はスラリー形態である。
【0027】
本発明の別の一態様は、流動接触分解(FCC)ユニット触媒再生器、FCCユニット触媒再生器CO燃焼器、又は脱水素化ユニット触媒再生器からの煙道ガスを処理するための方法である。一実施形態では、本方法は、FCCユニット触媒再生器、FCCユニット触媒再生器CO燃焼器、又は脱水素反応器からの煙道ガス流を、熱回収蒸気発生器(HRSG)の過熱蒸気セクションに導入して、過熱蒸気流及び部分的に冷却された煙道ガス流を生成するステップであって、HRSGが過熱蒸気セクション及び飽和蒸気セクションを含み、煙道ガス流は、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、及び触媒微粒子のうちの1つ以上を含み、煙道ガス流は、200℃~290℃の範囲の温度を有し、その温度が水の露点より高い、ステップと、ボイラ供給水流及び部分的に冷却された煙道ガス流を、HRSGの飽和蒸気セクションに導入して、飽和蒸気流を生成するステップと、飽和蒸気流の少なくとも一部を、HRSGの過熱蒸気セクションに導入するステップと、飽和蒸気流を煙道ガス流で過熱して、過熱蒸気流を生成するステップと、HRSGからの冷却された煙道ガス流中の、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、又はその両方のうちの1つ以上を、除染反応器内の反応物と反応させるステップであって、反応物が、NaHCO3、NaOH、KOHのうちの1つ以上を含み、Na2SO4、NaNO3、NaNO2、Na2CO3、K2SO4、及びKNO3のうちの1つ以上を含む反応器流出物流を形成する一方で、反応器流出物流を200℃~290℃の範囲の温度に維持するステップと、バッグフィルタ又は静電集塵器を使用して前記反応器流出物流を濾過して、Na2SO4、NaNO3、NaNO2、Na2CO3、K2SO4、KNO3、及び触媒微粒子のうちの少なくとも1つを除去し、濾過された反応器流出物流を形成するステップと、燃焼空気流又はボイラ供給水流を濾過された反応器流出物流で予熱し、それによって温度を130℃~200℃に低下させ、水の露点より上に維持するステップと、を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、燃焼空気流又はボイラ供給水流を濾過された反応器流出物流で予熱するステップは、ガス/ガス熱交換器又はガス/液体熱交換器を使用して、燃焼空気流又はボイラ供給水流を濾過された反応器流出物流で予熱するステップを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、煙道ガス流は、部分燃焼FCCユニット再生器からの煙道ガス流を含み、方法は、燃焼器において煙道ガス流中のCOを燃焼させて完全に酸化された煙道ガス流を形成するステップを更に含み、煙道ガス流から熱を伝達するステップは、完全に酸化された煙道ガス流から熱を伝達するステップを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、燃焼空気流はCO燃焼器に送られる。
【0031】
いくつかの実施形態では、本方法は、フィルタ材料流を2つの部分に分割するステップと、第1の部分を前記除染反応器に再循環させるステップと、第2の部分を回収するステップと、を更に含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、窒素含有化合物は、乾燥基準で1000ppm(v)未満の量で、冷却された煙道ガス流中に存在する。
【0033】
いくつかの実施形態では、硫黄含有化合物は、乾燥基準で5000ppm(v)未満の量で、冷却された煙道ガス流中に存在する。
【0034】
いくつかの実施形態において、反応物は、乾燥形態又はスラリー形態である。
【0035】
本発明の別の一態様は、流動接触分解(FCC)ユニット触媒再生器、FCCユニット触媒再生器CO燃焼器、又は脱水素ユニット触媒再生器からの煙道ガスを処理するための装置である。一実施形態では、装置は、過熱蒸気セクション及び飽和蒸気セクションを含む熱回収蒸気発生器であって、過熱蒸気セクションが、煙道ガス入口、煙道ガス出口、飽和蒸気入口、及び過熱蒸気出口を有し、過熱蒸気セクションの煙道ガス入口は、FCCユニット触媒再生器、FCCユニット触媒再生器CO燃焼器、又は脱水素ユニット触媒再生器の出口と流体連通しており、飽和蒸気セクションが、煙道ガス入口、煙道ガス出口、ボイラ供給水入口、及び飽和蒸気出口を有し、飽和蒸気セクションの煙道ガス入口は、過熱蒸気セクションの煙道ガス出口と流体連通し、飽和蒸気セクションの飽和蒸気出口は、過熱蒸気セクションの飽和蒸気入口と流体連通している、熱回収蒸気発生器と、煙道ガス入口、煙道ガス出口、及び反応物入口を有する除染反応器であって、除染反応器の煙道ガス入口が、前記飽和蒸気セクションの煙道ガス出口と流体連通している、除染反応器と、煙道ガス入口、煙道ガス出口、及びフィルタ材料出口を有するフィルタセクションであって、フィルタセクションの煙道ガス入口が、除染反応器入口の煙道ガス出口と流体連通している、フィルタセクションと、煙道ガス入口及び煙道ガス出口を有する熱交換器であって、熱交換器の煙道ガス入口が、フィルタセクションの煙道ガス出口と流体連通しており、熱交換器が、ボイラ供給水流と熱連通しており、ボイラ供給水流が、飽和蒸気セクションのボイラ供給水入口と流体連通している、熱交換器と、を備える。
【0036】
いくつかの実施形態において、CO燃焼器は、煙道ガス入口、煙道ガス出口、及び燃焼空気入口を有し、CO燃焼器の煙道ガス出口が、過熱蒸気セクションの煙道ガス入口と流体連通し、熱交換器が、燃焼空気流と熱連通し、燃焼空気流が、CO燃焼器の燃焼空気入口と流体連通する。
【0037】
図は、プロセス100の一実施形態を示す。部分燃焼FCC煙道ガスについては、煙道ガス流105は、燃料ガス流115(又は他の燃料源)及び燃焼空気120と共に、CO燃焼器110に送られて、煙道ガス中のCOを燃焼させる。次いで、完全燃焼した流れ125は、HRSG過熱蒸気ユニット130に送られる。部分燃焼FCCのためのFCC再生器の煙道ガス出口温度は、650~700℃の範囲であり、CO燃焼器の後の温度は、890~1040℃である。
【0038】
完全燃焼FCC再生器又は脱水素ユニット触媒再生器の場合、煙道ガス流105は、HRSG過熱蒸気ユニット130に送られ、CO燃焼器は存在しない。完全燃焼FCCの場合の煙道ガス出口温度は、650~760℃の範囲である。一方、脱水素プロセスの場合は、650~740℃の範囲である。
【0039】
部分的に冷却された煙道ガス流145は、HRSG飽和蒸気ユニット150に送られる。ボイラ供給水流135は、部分的に冷却された煙道ガス流145によって加熱され、飽和蒸気流160及び凝縮物流165を形成する。
【0040】
飽和蒸気流160の一部170は、HRSG過熱蒸気ユニット130に送られる。飽和蒸気流160の残り175は、必要に応じて使用するためにプラントの他の部分に送ることができる。
【0041】
HRSG飽和蒸気ユニット150からの冷却された煙道ガス流180は、反応物185(乾燥又はスラリー)と混合されて、除染反応器190に送られ、そこで反応物が硫黄含有化合物と反応する。フィルタゾーン210は、微粒子及び微粉を除去する。フィルタゾーン210が電気集塵器を備えるときに、電気がフィルタゾーン210に供給され、かつ/又はIAが、バッグフィルタを備えるフィルタゾーン210に供給される。Na2SO4、NaNO3、NaNO2、Na2CO3、K2SO4、及びKNO3のうちの1つ以上と、触媒微粒子とを含む濾過された材料が、フィルタゾーン210から除去される。濾過された材料220Aは、プロセスから除去することができる。あるいは、又は更に、濾過された材料220Bが、除染反応器190に再循環され、Na2CO3変換収率を、(すなわち、85重量%から98重量%に)増加させ得る。
【0042】
濾過された煙道ガス225は、熱交換器230に送られ、ボイラ供給水又は燃焼ガスであり得る流れ235と熱交換されて、加熱された流れ240を形成する。加熱された流れ240がボイラ供給水である場合、それは、ボイラ供給水流れ155として、HRSG飽和蒸気ユニット150に送ることができる。加熱された流れ240が燃焼空気である場合、それはCO燃焼器110に送ることができる。あるいは、又は更に、加熱された流れ240の全部又は一部245は、必要に応じてプラントの他のエリアに送ることができる。例えば、加熱されたボイラ供給水は、再生器セクション内の触媒冷却器、主カラム塔底流発生器、下流の溶媒系CO2捕捉プラント内のリボイラなどに送ることができる。
【0043】
熱交換された燃焼煙道ガス流250は、大気に放出することができる。
【実施例】
【0044】
実施例1:熱エネルギー回収
FCC再生器出口を、704℃(1300°F)及びO2濃度2%とした状態での完全燃焼を想定してシミュレーションを行った。表1は燃焼生成物を示す。
【0045】
【0046】
基本ケースでは、温度が704℃(1300°F)から232℃(450°F)に低下し、289.9MMBTU/時の回収率をもたらす。
【0047】
DSIシステムを使用したところ、温度が704℃(1300°F)から149℃(300°F)に低下し、337.0MMBTU/時の回収率をもたらすが、これはエネルギー回収率が16%(47.1MMBTU/時)増加することを意味している。
【0048】
CO燃焼器出口を、982℃(1800°F)及びO2濃度2%とした状態での部分燃焼を想定してシミュレーションを行った。表2は燃焼生成物を示す。
【0049】
【0050】
基本ケースでは、温度が982℃(1800°F)から232℃(450°F)に低下し、629.7MMBTU/時の回収率をもたらす。
【0051】
DSIシステムを使用したところ、温度が982℃(1300°F)から149℃(300°F)に低下し、692.3MMBTU/時の回収率をもたらすが、これはエネルギー回収率が10%(62.5MMBTU/時)増加することを意味している。
【0052】
実施例2:脱硫補給水の使用
表3は、煙道ガスを脱硫するためのFCC煙道ガス流の流量、SOx含有量、及びNaHCO3補給要件を示す。この表の目的は、煙道ガス流を脱硫するために補給水を必要としないということを示すことである。以下の脱硫反応が起こっている。
2NaHCO3→Na2CO3+CO2+H2O
Na2CO3+SO2+1/2O2→Na2SO4+CO2
Na2CO3+SO3→Na2SO4+CO2
【0053】
【0054】
表4は、煙道ガスを脱硫するためのFCC煙道ガス流の流量、SOx含有量、及びNaOH(aq)補給要件を示す。表4は、NaOHが、水溶液(典型的には濃度が20重量%である)としてスクラバーに注入されるので、煙道ガス流を脱硫するために補給水が必要であることを示す。以下の脱硫反応が起こっている。
2NaOH+SO2→Na2SO3+H2O
2NaOH+SO3→Na2SO4+H2O
【0055】
示されていないことは、5~10重量%のNa塩濃度を有するスクラバー流出液が形成されるので、塩の沈殿を回避するためにさらなる補給水を必要とすることである。
【0056】
【0057】
実施例3:急冷水の使用:湿式スクラバー対乾式スクラバー
表5は、完全燃焼FCC再生器と共に湿式スクラバーを使用することが、煙道ガスを断熱飽和温度に急冷するために84,430lb/時の補給水を必要とすることを示す。大気への水の総量は189,361lb/時である。
【0058】
【0059】
表6は、部分燃焼FCC再生器と共に湿式スクラバーを使用することが、煙道ガスを断熱飽和温度に急冷するために11,2300lb/時の補給水を必要とすることを示す。大気に放出される水の量は205,060lb/時である。
【0060】
【0061】
DSIシステムを使用すれば、煙道ガスの脱硫を高温(酸及び水の露点より高い)で行うことができるので、補給水を必要としない。完全燃焼FCC再生器の場合、大気への水の量は、104,931lb/時であり、これは45%の節約である。部分燃焼FCC再生器の場合、大気への水の量は、137,760lb/時であり、これは45%の節約である。
【0062】
特定の実施形態
以下を特定の実施形態と併せて説明するが、この説明は、前述の説明及び添付の請求項の範囲を例解するものであり、それらを限定することを意図するものではないということが理解されよう。
【0063】
本発明の第1の実施形態は、流動接触分解(FCC)ユニット触媒再生器、FCCユニット触媒再生器CO燃焼器、又は脱水素化ユニット触媒再生器からの煙道ガスを処理するための方法であって、FCCユニット触媒再生器、FCCユニット触媒再生器CO燃焼器、又は脱水素化反応器からの煙道ガス流からの熱を、熱回収蒸気発生器(HRSG)内のボイラ供給水流に伝達して、冷却された煙道ガス流及び蒸気流を形成するステップであって、煙道ガス流は、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、及び触媒微粒子のうちの1つ以上を含み、煙道ガス流は200℃~290℃の範囲の温度を有し、温度が水と、硫酸及び/又は三酸化硫黄を含む酸との露点より高い、ステップと、HRSGからの冷却された煙道ガス流中の、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、又はその両方のうちの1つ以上を、除染反応器内の反応物と反応させるステップであって、反応物が、NaHCO3、NaOH、KOHのうちの1つ以上を含み、Na2SO4、NaNO3、NaNO2、Na2CO3、K2SO4、及びKNO3のうちの1つ以上を含む反応器流出物流を形成する一方で、反応器流出物流を200℃~290℃の範囲の温度に維持する、ステップと、反応器流出物流を濾過して、Na2SO4、NaNO3、NaNO2、Na2CO3、K2SO4、KNO3、及び触媒微粒子のうちの少なくとも1つを除去し、濾過された反応器流出物流を形成するステップと、燃焼空気流又はボイラ供給水流を濾過された反応器流出物流で予熱し、それによって温度を130℃~200℃に低下させ、水の露点より上に維持するステップと、を含む、方法である。本発明の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、燃焼空気流又はボイラ供給水流を、濾過された反応器流出物流で予熱するステップは、ガス/ガス熱交換器又はガス/液体熱交換器を使用して、燃焼空気流又はボイラ供給水流を濾過された反応器流出物流で予熱するステップを含む。本発明の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、煙道ガス流は、部分燃焼FCCユニット再生器からの煙道ガス流を含み、方法は、燃焼器において煙道ガス流中のCOを燃焼させて完全に酸化された煙道ガス流を形成するステップを更に含み、煙道ガス流から熱を伝達するステップは、完全に酸化された煙道ガス流から熱を伝達するステップを含む。本発明の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり燃焼空気流は、CO燃焼器に送られる。本発明の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、反応器流出物流を濾過するステップは、バッグフィルタ又は静電集塵器を使用して、反応器流出物流を濾過するステップを含む。本発明の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、フィルタ材料流を2つの部分に分割するステップと、第1の部分を前記除染反応器に再循環させるステップと、第2の部分を回収するステップと、を更に含む。本発明の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、窒素含有化合物は、乾燥基準で1000ppm(v)未満の量で、冷却された煙道ガス流中に存在する。本発明の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、硫黄含有化合物は、乾燥基準で5000ppm(v)未満の量で、冷却された煙道ガス流中に存在する。本発明の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、HRSGは、過熱蒸気セクション及び飽和蒸気セクションを含み、煙道ガス流からボイラ供給水流へ熱を伝達するステップは、煙道ガス流を過熱蒸気セクションに導入して、過熱蒸気流及び部分的に冷却された煙道ガス流を生成するステップと、ボイラ供給水流及び部分的に冷却された煙道ガス流を、飽和蒸気セクションに導入して、飽和蒸気流を生成するステップと、飽和蒸気流の少なくとも一部を過熱蒸気セクションに導入するステップと、飽和蒸気流を煙道ガス流で過熱して、過熱蒸気流を生成するステップと、を含む。本発明の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、反応物は、乾燥形態又はスラリー形態である。
【0064】
本発明の第2の実施形態は、流動接触分解(FCC)ユニット触媒再生器、FCCユニット触媒再生器CO燃焼器、又は脱水素化ユニット触媒再生器からの煙道ガスを処理するための方法であって、FCCユニット触媒再生器、FCCユニット触媒再生器CO燃焼器、又は脱水素化反応器からの煙道ガス流を、熱回収蒸気発生器(HRSG)の過熱蒸気セクションに導入して、過熱蒸気流及び部分的に冷却された煙道ガス流を生成するステップであって、HRSGが過熱蒸気セクション及び飽和蒸気セクションを含み、煙道ガス流が硫黄含有化合物、窒素含有化合物、及び触媒微粒子のうちの1つ以上を含み、煙道ガス流が200℃~290℃の範囲の温度を有し、温度が水と、硫酸及び/又は三酸化硫黄を含む酸との露点の露点より高い、ステップと、ボイラ供給水流及び部分的に冷却された煙道ガス流を、HRSGの飽和蒸気セクションに導入して、飽和蒸気流を生成するステップと、飽和蒸気流の少なくとも一部を、HRSGの過熱蒸気セクションに導入するステップと、飽和蒸気流を煙道ガス流で過熱して、過熱蒸気流を生成するステップと、HRSGからの冷却された煙道ガス流中の、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、又はその両方のうちの1つ以上を、除染反応器内の反応物と反応させるステップであって、反応物が、NaHCO3、NaOH、KOHのうちの1つ以上を含み、Na2SO4、NaNO3、NaNO2、Na2CO3、K2SO4、及びKNO3のうちの1つ以上を含む反応器流出物流を形成する一方で、反応器流出物流を200℃~290℃の範囲の温度に維持する、ステップと、バッグフィルタ又は静電集塵器を使用して前記反応器流出物流を濾過して、前記Na2SO4、NaNO3、NaNO2、Na2CO3、K2SO4、KNO3、及び前記触媒微粒子のうちの少なくとも1つを除去し、濾過された反応器流出物流を形成するステップと、燃焼空気流又はボイラ供給水流を前記濾過された反応器流出物流で予熱し、それによって温度を130℃~200℃に低下させ、水の露点より上に維持するステップと、を含む、方法である。本発明の一実施形態は、この段落の第2の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、燃焼空気流又はボイラ供給水流を濾過された反応器流出物流で予熱するステップは、ガス/ガス熱交換器又はガス/液体熱交換器を使用して、燃焼空気流又はボイラ供給水流を濾過された反応器流出物流で予熱するステップを含む。本発明の一実施形態は、この段落の第2の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、煙道ガス流は、部分燃焼FCCユニット再生器からの煙道ガス流を含み、方法は、燃焼器において煙道ガス流中のCOを燃焼させて完全に酸化された煙道ガス流を形成するステップを更に含み、煙道ガス流から熱を伝達するステップは、完全に酸化された煙道ガス流から熱を伝達するステップを含む。本発明の一実施形態は、この段落の第2の実施形態からこの段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、燃焼空気流は、CO燃焼器に送られる。本発明の一実施形態は、この段落の第2の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、フィルタ材料流を2つの部分に分割するステップと、第1の部分を前記除染反応器に再循環させるステップと、第2の部分を回収するステップと、を更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の第2の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、窒素含有化合物は、乾燥基準で1000ppm(v)未満の量で、冷却された煙道ガス流中に存在する。本発明の一実施形態は、本段落の第2の実施形態までを含む本段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、窒素含有化合物は、乾燥基準で5000ppm(v)未満の量で、冷却された煙道ガス流中に存在する。本発明の一実施形態は、本段落における第2の実施形態にまで至る本段落におけるこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、反応物は、乾燥形態又はスラリー形態である。
【0065】
本発明の第3の実施形態は、流動接触分解(FCC)ユニット触媒再生器、FCCユニット触媒再生器CO燃焼器、又は脱水素ユニット触媒再生器からの煙道ガスを処理するための装置であって、過熱蒸気セクション及び飽和蒸気セクションを含む熱回収蒸気発生器を備える、装置であり、過熱蒸気セクションが、煙道ガス入口、煙道ガス出口、飽和蒸気入口、及び過熱蒸気出口を有し、過熱蒸気セクションの煙道ガス入口は、FCCユニット触媒再生器、FCCユニット触媒再生器CO燃焼器、又は脱水素ユニット触媒再生器の出口と流体連通しており、飽和蒸気セクションが、煙道ガス入口、煙道ガス出口、ボイラ供給水入口、及び飽和蒸気出口を有し、飽和蒸気セクションの煙道ガス入口は、過熱蒸気セクションの煙道ガス出口と流体連通し、飽和蒸気セクションの飽和蒸気出口は、過熱蒸気セクションの飽和蒸気入口と流体連通している、熱回収蒸気発生器と、煙道ガス入口、煙道ガス出口、及び反応物入口を有する除染反応器であって、除染反応器の煙道ガス入口が、前記飽和蒸気セクションの煙道ガス出口と流体連通している、除染反応器と、煙道ガス入口、煙道ガス出口、及びフィルタ材料出口を有するフィルタセクションであって、フィルタセクションの煙道ガス入口が、除染反応器入口の煙道ガス出口と流体連通している、フィルタセクションと、煙道ガス入口及び煙道ガス出口を有する熱交換器であって、熱交換器の煙道ガス入口が、フィルタセクションの煙道ガス出口と流体連通しており、熱交換器が、ボイラ供給水流と熱連通しており、ボイラ供給水流が、飽和蒸気セクションのボイラ供給水入口と流体連通している、熱交換器と、を備える。本発明の実施形態は、この段落の第3の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、CO燃焼器は、煙道ガス入口、煙道ガス出口、及び燃焼空気入口を有し、CO燃焼器の煙道ガス出口が、過熱蒸気セクションの煙道ガス入口と流体連通し、熱交換器が、燃焼空気流と熱連通し、燃焼空気流が、CO燃焼器の燃焼空気入口と流体連通する。
【0066】
更に詳述することなく、前述の説明を使用して、当業者が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明を最大限まで利用し、かつ本発明の本質的な特性を容易に確認することができ、本発明のさまざまな変更及び修正を行い、さまざまな使用及び条件に適合させることができると考えられる。したがって、先行する好ましい特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなるようにも本開示の残りを限定するものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるさまざまな修正及び同等の構成を網羅することを意図するものである。
【0067】
上記では、全ての温度は摂氏度で記載され、全ての部及び百分率は、別途記載のない限り、重量基準である。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動接触分解(FCC)ユニット触媒再生器、FCCユニット触媒再生器CO燃焼器、又は脱水素化ユニット触媒再生器からの煙道ガスを処理するための方法であって、
前記FCCユニット触媒再生器、前記FCCユニット触媒再生器CO燃焼器、又は前記脱水素反応器からの煙道ガス流(125)からの熱を、熱回収蒸気発生器(HRSG)内のボイラ供給水流(155)に伝達して、冷却された煙道ガス流(145)及び蒸気流(140)を形成するステップであって、前記煙道ガス流(125)が、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、及び触媒微粒子のうちの1つ以上を含み、前記煙道ガス流(145)が、200℃~290℃の範囲の温度を有し、前記温度が、水と、硫酸及び/又は三酸化硫黄を含む酸との露点より高い、ステップと、
前記HRSGからの前記冷却された煙道ガス流中の前記硫黄含有化合物、前記窒素含有化合物、又はその両方のうちの1つ以上を、除染反応器(190)内の反応物(185)と反応させるステップであって、前記反応物(185)が、NaHCO
3、NaOH、KOHのうちの1つ以上を含み、Na
2SO
4、NaNO
3、NaNO
2、Na
2CO
3、K
2SO
4、及びKNO
3のうちの1つ以上を含む反応器流出物流(195)を形成する一方で、前記反応器流出物流(195)を200℃~290℃の範囲の温度に維持するステップと、
前記反応器流出物流(195)を濾過して、前記Na
2SO
4、前記NaNO
3、前記NaNO
2、前記Na
2CO
3、前記K
2SO
4、前記KNO
3、及び前記触媒微粉子のうちの少なくとも1つを除去し、濾過された反応器流出物流(225)を形成するステップと、
燃焼空気流又はボイラ供給水流(235)を、前記濾過された反応器流出物流(225)で予熱し、それによって温度を130℃~200℃に低下させ、水の露点より上に維持するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記燃焼空気流又は前記ボイラ供給水流(235)を、前記濾過された反応器流出物流(225)で予熱するステップは、ガス/ガス熱交換器又はガス/液体熱交換器(230)を使用して、前記燃焼空気流又は前記ボイラ供給水流(235)を、前記濾過された反応器流出物流(225)で予熱するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィルタ材料流を2つの部分(220A及び220B)に分割するステップと、
第1の部分(220B)を前記除染反応器(190)に再循環させるステップと、
前記第2の部分(220A)を回収するステップと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】